説明

麦角から麦角アルカロイド類を単離する方法

麦角菌(すなわち麦角)を、トルエン/エタノール溶媒混合物で抽出し、一次抽出物を得ることを含む方法によって、麦角アルカロイド類を麦角から高収率および高純度で麦角から単離する。前記一次抽出物は、さらに、アルカロイド類を精製するために2段階の液-液抽出にかけられ、結果として精製トルエン抽出物を得る。前記トルエン抽出物をさらに一部蒸発してトルエンあるいはトルエンと脂肪族炭化水素の混合物から結晶化することによって結晶性生成物を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麦角アルカロイド類の抽出および精製方法に関し、特に麦角菌類(fungi Claviceps purpurea)から麦角ペプチドアルカロイド類を抽出および精製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
麦角ペプチドアルカロイド類(エルゴペプチン類とも呼ばれる)は、薬剤を製造するために使用される天然物である。それらは、それら自身(例えば、エルゴタミン)あるいはその水素化された形態(例えば、ジヒドロエルゴタミン、ジヒドロエルゴクリスチン等のようなジヒドロ誘導体)において薬効を有することが知られている。さらに、それらはニセルゴリン、ペルゴリド等のようないくつかの半合成薬物の部分合成のための出発化合物として知られている。
【0003】
ペプチドタイプの麦角アルカロイド類は、寄生性コンディション(寄生植物としてライ麦を使用して野外で成長する)あるいは腐生性コンディション(すなわち、発酵)の下で培養することができる麦角菌類によって産出される。野外の麦角からおよび発酵ブロスからエルゴペプチン類を単離するために使用される方法は、共通の特徴(すなわち、溶媒および精製技術が同様)を有しているが、それらは出発物質の性質において実質的に異なる。
【0004】
すでに、麦角を抽出するためのいくつかのプロセスが開示されている。個々のプロセスは、主に麦角アルカロイド類の大規模な単離のために使用され、使用する溶媒の点で異なる。例えば、これらのうち古い方法では、水性のエタノールあるいはメタノールを使用し(DP 47 315およびDP 697 760参照)、より新しいプロセスでは、塩素化炭化水素類(DE 2 113 281、DE 2 637 764、およびDD 10 059参照)、ジエチルエーテル(CS 264 880およびCS 264 881参照)、アセトン(DE 1 695 986参照)、メチルイソブチルケトン(BE 891 421参照)、あるいはエチルアセテート(DE 2 949 593およびEP 22 418参照)を使用する。しかしながら、これらの溶媒のうちいくつかは、現在は安全性および環境上の懸念のため大規模のプロセス用としては容認されていない(例としてジエチルエーテルおよび塩素化炭化水素類がある)。さらに、これらの溶媒のうちいくつかは(例えば、水性メタノール、水性エタノール、およびアセトン)、生産に足る実用的な純度で麦角アルカロイド類を製造するのに十分であるものとして選択できない。
【0005】
麦角はまた、最大30%のオイルおよび他の脂質類を含有している。麦角の他の成分、主にオイルを抽出する溶媒を使用する従来のプロセスは、必然的に、付随する脂質類からアルカロイド類を分離する操作を必要とする。しかしながら、既知の溶媒が全て液-液抽出による脂質の直接除去に対して好適というわけではなく、それゆえ、蒸発による一次抽出物の濃縮およびその残留物を別の溶媒に溶解することを含む単離の手順が、前記プロセスの複雑性に追加される。さらに、オイルおよび他のバラスト成分を含有する一次抽出物の蒸発は、抽出されるアルカロイド類にとって有害である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
天然のエルゴペプチン類はリゼルギン酸の誘導体であり、いわゆるエルゴペプチニン類と呼ばれるイソリゼルギン酸の誘導体に容易に異性化する。この事実は、通常エルゴペプチン類の単離を複雑にする。なぜなら、麦角から得られた一次抽出物は常にエルゴペプチン類およびエルゴペプチニン類の混合物を含有するため、結晶性生成物を得ることを困難にし、それゆえ精製のもう一つの有効な手段である結晶化技術を不可能にする。したがって、麦角アルカロイド類の大規模な単離方法であって、安全で環境に優しい溶媒を使用し、シンプル且つ効率的な精製操作(例えば、結晶化)を伴う方法が、今なお望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、麦角から麦角アルカロイド類を抽出する新規な方法を提供する。
【0008】
当該方法は、麦角アルカロイド類を高収率および高純度で供給することができる、麦角抽出物の新規な精製方法も提供する。
【0009】
これらの及び他の利点は、麦角をトルエンおよびエタノールの混合物を用いて高収率で抽出することができるという本発明者の発見によって得られたものであり、以下に続く詳細な説明において明らかになるであろう。さらなる利点として、比較的温和な溶媒を用いて麦角抽出物を精製できること、比較的シンプルである本発明の方法は、産業的な量にスケールアップできること、が挙げられるが、これらに限定されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、麦角(すなわち麦角菌から)、比較的安全且つ環境的に許容される溶媒を用いて、シンプルで効率的な抽出方法によって、麦角アルカロイド類を単離することに関する。本発明の一実施形態では、麦角は、一次抽出物を形成するためにトルエン/エタノール混合物を用いて抽出される。この一次抽出物は、一次抽出物中の麦角アルカロイド類をさらに単離し精製するために、さらに液-液抽出されてもよい。
【0011】
前記トルエン/エタノール抽出混合物は、約5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,〜30%(v/v)のエタノールを含むことが好ましい。エタノールの濃度が5%未満の場合、麦角からの麦角アルカロイド類の抽出はそれほど効率的ではない。使用するエタノールの最大量は、所望する抽出の選択性に基づく。例えば、抽出されるバラスト成分の極性がより高く、一次抽出物をさらに処理することがより困難である場合は、より多くのエタノールが存在する。より好ましくは、10〜20%(v/v)のエタノールが前記抽出混合物中に存在する。
【0012】
前記抽出処理の温度は特に限定されない。なぜなら、エルゴペプチン類の通常の望まれない異性化は、高温で発生し得、所望の生成物の結晶化を妨げないからである。とは言うものの、約50℃を超える温度は経済的ではない。好ましい実施形態では、麦角は約20,25,30,35,40,45,〜50℃の間の温度範囲内、好ましくは室温で、トルエン/エタノール混合物を用いて抽出される。
【0013】
別の実施形態では、一次抽出物を、酸の水溶液を用いた液-液抽出にかける。一次抽出物の液-液抽出は、一般的に極性が大きく親水性であるアルカロイドを、極性が小さく疎水性のオイル類や脂質類から有利に分離できる。したがって、酸を含む水溶液を用いた一次抽出物の液-液抽出は、結果として、オイルを一次抽出物中に残す一方、水溶液中に麦角アルカロイド類を移行させる。このようにして得られたアルカロイド類を含む水性抽出物は、その後容易に一次抽出物から分離することができ、さらにアルカロイド類の単離および精製に役立つ。水溶液に使用される酸はいかなる酸であってもよい。塩酸水溶液中のエルゴペプチン類の塩酸塩は高い溶解度を有するため、塩酸が好ましい。
【0014】
別の実施形態では、その中でエマルジョンが形成するのを妨げるため又は減じるために、前記水溶液にアルコールを添加してもよい。一定の条件下で、前記水溶液が、アルカロイド類の単離の能力を減じるエマルジョンを形成しうることが発見された。したがって、効果を増大させるために、前記水溶液に、エマルジョンを阻害する量のアルコール、あるいは同様に機能する溶媒を添加することができる。例えば、一次抽出物からアルカロイド類を抽出するために使用される塩酸含有水溶液に、エタノールを添加することができる。前記水溶液中の酸の濃度は重大ではないが、前記溶液は、前記一次抽出物から定量的にアルカロイド類を抽出するために、少なくとも等価の酸を含有することが好ましい。例えば、前記の酸水溶液は、好ましくは約30%〜60%(v/v)の水、約70〜40%(v/v)のエタノールおよび約0.05〜1.0%(w/w)の酸からなる。前記の酸水溶液は、約40〜50%(v/v)の水、約60〜50%(v/v)のエタノールおよび約0.1〜0.3%(w/w)の酸からなることがより好ましい。前記酸水溶液は、約50%(v/v)の水、約50%(v/v)のエタノールおよび約0.2%(w/w)の酸、あるいは約40%(v/v)の水、約60%(v/v)のエタノールおよび約0.2%(w/w)の酸からなることがさらに好ましい。
【0015】
別の実施形態では、得られた水性抽出物をアルカリ性にして(pH>7.0)、それによって、別の液-液抽出において、有機溶媒中へのアルカロイドの移行を促進する。これは、何らかの水性のアルカリ溶液を用いて、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液、より好ましくは5%(w/w)の水酸化ナトリウム水溶液を用いて行うことができる。
【0016】
別の実施形態では、水性の抽出物を、そのアルカリ度を7.0より大きくした後で、トルエンで液-液抽出する。この液-液抽出ステップの結果として得られるトルエン抽出物は、実質的に麦角アルカロイド類のみを含有しているので、精製トルエン抽出物と呼ぶ。
【0017】
別の実施形態では、精製トルエン抽出物を一部蒸発させる。この一部蒸発は、結晶性生成物の形成を引き起こすことを目的とする。いくつかのアルカロイド、すなわちエルゴタミンおよびエルゴクリスチンは、単にトルエン抽出物を蒸発することによって結晶性生成物として得られることが見出された。前記有機溶媒が、エルゴペプチンおよびエルゴペプチニンの混合物を含むかもしれないという事実は、これらの生成物の結晶化に不利に影響しない。なぜなら、対応するエルゴペプチンおよびエルゴペプチニンの結晶性混合物、(例えばエルゴタミンとエルゴタミニンの混合物あるいはエルゴクリスチンおよびエルゴクリスチニンの混合物)が得られるからである。何らかの理論に拘束されることなく、本発明の抽出および精製技術は、結果として、実質的に純粋な形でおよび結晶化を阻害する不純物なしで、麦角アルカロイド類の単離を可能とする。したがって、抽出されたのがアルカロイド類の混合物である場合でさえ、前記溶媒の一部蒸発後には、結晶性生成物が得られる。さらに、高温で発生しうる、麦角アルカロイド類の異性化等の麦角アルカロイド類の起こりうる変換も、前記溶媒の蒸発後に得られる生成物の単離および結晶化に影響を与えるとは考えられない。したがって、高温での抽出は本発明の方法に不利な影響を及ぼさない。トルエンからのアルカロイド類の前記結晶化は、驚くべきことに実施例1および2において実証されるように、第一および第二の収穫物のアルカロイド組成と比較して、高純度の生成物を提供する。
【0018】
ある状況下で、前記トルエン抽出物が、アルカロイド類の混合物(例えばエルゴトキシンアルカロイド類の混合物)であって、それらが結晶化する能力を制限するものを含有しうることが見出された。前記トルエン抽出物のアルカロイド組成は、使用される麦角の菌株によって生成されるアルカロイド類の範囲に対応する。そのようなエルゴトキシンアルカロイド類の混合物がトルエン抽出物中に存在する場合、トルエンから直接得られる結晶性生成物は少量かあるいは無い。本発明の別の実施形態では、この制限は、一以上の脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサンまたはヘプタン等のC5-C8の炭化水素)を前記溶液に添加することによって克服される。ヘキサンはより好ましい炭化水素である。このような結晶化技術は、前記アルカロイドの組成には影響を及ぼさないが、実施例3で実証するように、それは、さらにバラスト成分のない結晶性生成物を産出することができ、さらなる使用に好適である。
【0019】
本発明の他の特徴は、以下に続く典型的な実施形態の説明において明らかになるであろう。前記実施形態は、本発明を説明するためのものであって、本発明を限定することを意図しない。
【実施例1】
【0020】
約20,000kgの麦角(エルゴクリスチン 菌株 GAL 130)を向流条件の下、トルエン:エタノール=87:13(v/v)の混合物を用いて、カルーセル(carrousel)タイプの連続抽出器で抽出した。約64m3の一次抽出物が得られた。その後、この一次抽出物を、連続抽出器ウェストファリア(Westfalia)にて、0.2%(w/w)の塩化水素を含有するエタノール:水=1:1(v/v)混合物によって抽出した。約28m3の水性の抽出物が生じた。この水性抽出物を5%(w/w)の水酸化ナトリウム水溶液によってアルカリ性にし(約pH7.3)、トルエンを用いて連続抽出器ウェストファリアで抽出した。約16m3のトルエン抽出物が得られた。このトルエン抽出物を約1000kgまで蒸発し、その結果生じた結晶性生成物をろ過し、トルエンで洗浄し、減圧乾燥機中で60℃・50mbarにて3時間乾燥し、第一収穫物である粗製エルゴクリスチンを152kg得た。母液を蒸発して約400kgとし、1500Lのテクニカル・ヘキサンを添加した。沈殿した結晶性生成物をろ過し、テクニカル・ヘキサンで洗浄し、乾燥して、第二収穫物である粗製エルゴクリスチンを89kgを得た。
【0021】
【表1】

【実施例2】
【0022】
約20,000kgの麦角(エルゴタミン 菌株 GAL 404)を向流条件の下、トルエン:エタノール=84:16(v/v)の混合物を用いて、カルーセル・タイプの連続抽出器で抽出し、78m3の一次抽出物を得た。この一次抽出物を、連続抽出器ウェストファリア(Westfalia)にて、0.2%(w/w)の塩化水素を含有するエタノール:水=6:4(v/v)混合物によって抽出し、18m3の水性の抽出物を得た。この水性抽出物を5%(w/w)の水酸化ナトリウム水溶液を添加することによって、そのpHを7.3まで上昇させ、アルカリ性にした。続いてそれを、トルエンを用いて連続抽出器ウェストファリアで抽出した。30m3のトルエン抽出物が得られた。このトルエン抽出物を約1000kgまで蒸発し、その結果生じた結晶性生成物をろ過し、トルエンで洗浄し、減圧乾燥機中で60℃・50mbarにて3時間乾燥した。その結果、第一収穫物である粗製エルゴタミンが約181kg得られた。母液を蒸発して約100kgとし、結晶性生成物をろ過し、トルエンで洗浄し、乾燥して、第二収穫物である粗製エルゴタミンを19kg得た。
【0023】
【表2】

【実施例3】
【0024】
約20,000kgの麦角(エルゴトキシン 菌株 GAL 310)を向流条件の下、トルエン:エタノール=87:13(v/v)の混合物を用いて、カルーセル・タイプの連続抽出器で抽出した。約69m3の一次抽出物が得られた。この一次抽出物を、連続抽出器ウェストファリアにて、0.2%(w/w)の塩化水素を含有するエタノール:水=1:1(v/v)混合物によって抽出し、その結果27m3の水性の抽出物を得た。この水性抽出物を5%(w/w)の水酸化ナトリウム水溶液によって、そのpHを約7.3まで上昇させ、アルカリ性にした。続いてそれを、トルエンを用いて連続抽出器ウェストファリアで抽出した。約17m3のトルエン抽出物が得られた。このトルエン抽出物を約800kgまで蒸発し、1800Lのテクニカル・ヘキサンを添加した。沈殿した結晶性生成物をろ過し、テクニカル・ヘキサンで洗浄し、減圧乾燥機中で60℃・50mbarにて3時間乾燥し、151kgの粗製エルゴトキシンを得た。
【0025】
【表3】

【0026】
本明細書では、本発明の好ましい実施形態および幅広い用途のうちの少数の例のみが記載されている。本発明は、様々な他の組み合わせ及び環境中で使用することができ、かつ、ここに示された本発明のコンセプトの範囲内において変更または修正することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
麦角から麦角アルカロイドを単離する方法であって、麦角をトルエンとエタノールを含む混合物で抽出し、一次抽出物を形成することを含む方法。
【請求項2】
前記混合物が、トルエンおよび約5〜30%(v/v)のエタノールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記混合物が、トルエンおよび約10〜20%(v/v)のエタノールを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記抽出が約20〜50℃の温度にて行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記抽出が室温付近にて行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記抽出が、パーコレーターのバッテリーにてあるいは連続抽出器にて、向流方法で行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
さらに、前記一次抽出物を酸水溶液を用いて抽出し、前記麦角アルカロイドを前記一次抽出物から水性抽出物へ移行させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記酸水溶液が、塩酸水溶液である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記塩酸水溶液が、約30〜60%(v/v)の水、約70〜40%(v/v)のエタノール、および約0.05〜1.0%(w/w)のHClを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記塩酸水溶液が、約40〜50%(v/v)の水、約60〜50%(v/v)のエタノール、および約0.1〜0.3%(w/w)のHClを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
さらに、前記水性抽出物のpHを7.0より上に上昇させることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記上昇が、水酸化ナトリウム水溶液(w/w)を添加することによって行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記上昇が、5%(w/w)の水酸化ナトリウム水溶液を添加することによって行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
さらに、前記7.0より上のpHをもつ水性抽出物をトルエンを用いて抽出し、前記麦角アルカロイドを前記水溶液から移行させることによって、精製トルエン抽出物を得ることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
さらに、前記精製トルエン抽出物から溶媒を一部蒸発して、結晶性麦角アルカロイドを形成させることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
さらに、前記の残留トルエンから前記結晶性麦角アルカロイドを分離することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
さらに、前記のトルエン一部蒸発後の濃縮物に、一種以上のC5〜C8の脂肪族炭化水素を添加して、前記麦角アルカロイドの結晶化を促進することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記一種以上の脂肪族C5〜C8炭化水素が、ヘキサンおよびヘプタンから選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記一種以上の脂肪族C5〜C8炭化水素が、ヘキサンである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
さらに、前記トルエン/脂肪族炭化水素の混合物から、前記結晶性麦角アルカロイドを分離することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記結晶性麦角アルカロイドを90%を超える純度で単離することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
麦角から麦角アルカロイドを単離する方法であって、
a.麦角をトルエンとエタノールを含む混合物で抽出して、一次抽出物を形成する;この際、前記混合物は、トルエンおよび約5〜30%(v/v)のエタノールを含有する;
b.前記一次抽出物を酸水溶液を用いて抽出し、前記麦角アルカロイドを前記一次抽出物から水性抽出物へ移行させる;
c.前記水性抽出物のpHを7.0より上に上昇させる;
d.前記7.0より上のpHをもつ水性抽出物をトルエンで抽出し、前記麦角アルカロイドを前記水溶液から移行させることによって、精製トルエン抽出物を得る;
e.前記精製トルエン抽出物から溶媒を一部蒸発して、結晶性麦角アルカロイドを形成させる;および、
f.前記の残留トルエンから前記結晶性麦角アルカロイドを分離する;
ことを含む方法。
【請求項23】
麦角から麦角アルカロイドを単離する方法であって、
a.麦角をトルエンとエタノールを含む混合物で抽出して、一次抽出物を形成する;この際、前記混合物は、トルエンおよび約5〜30%(v/v)のエタノールを含有する;
b.前記一次抽出物を酸水溶液を用いて抽出し、前記麦角アルカロイドを前記一次抽出物から水性抽出物へ移行させる;
c.前記水性抽出物のpHを7.0より上に上昇させる;
d.前記7.0より上のpHをもつ水性抽出物をトルエンで抽出し、前記麦角アルカロイドを前記水溶液から移行させることによって、精製トルエン抽出物を得る;
e.前記精製トルエン抽出物から溶媒を一部蒸発して、結晶性麦角アルカロイドを形成させる;
f.前記のトルエン一部蒸発後の濃縮物に、一種以上のC5〜C8の脂肪族炭化水素を添加して、前記麦角アルカロイドの結晶化を促進させる;および、
g.前記トルエン/脂肪族炭化水素の混合物から前記結晶性麦角アルカロイドを分離する;
ことを含む方法。

【公表番号】特表2007−523174(P2007−523174A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−554205(P2006−554205)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/005059
【国際公開番号】WO2005/082910
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(506283846)イヴァックス ファーマシューティカルズ エス.アール.オー. (2)
【Fターム(参考)】