説明

麩焼き品の製造方法および製造装置

【課題】従来の最中の皮等の麩焼き品の製造装置を利用して、多彩な色柄、色模様、色分けされた見栄えの良い麩焼き品を製造することを可能にする麩焼き品の製造方法および製造装置を提供する。
【解決手段】餅生地14を連続的に成形型に供給するための供給機構100と、成形型20を循環搬送する搬送チェーン32等の搬送機構と、餅生地14が供給された成形型20を加熱して餅生地を焼成する焼成機構と、焼成後の麩焼き品を搬出する搬出機構とを備え、前記供給機構100が、異なる色の餅生地14を別個に連続的に押し出す押し出し装置11a、11b、11cと、これらの押し出し装置から押し出された餅生地14a、14b、14cを1本により合わせるより合わせ機構15とを備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は最中の皮、麩焼き菓子等の麩焼き品の製造方法および製造装置に関し、より詳細には複数の色分けあるいは色模様(色柄)の麩焼き品を量産することができる麩焼き品の製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最中の皮を量産する製造装置には、雄型と雌型とからなる成形型を搬送チェーン等の循環装置により循環移動させ、循環搬送路の上流側で成形型に餅生地を供給し、雄型と雌型とで餅生地をクランプし、搬送路中で成形型を加熱して餅生地を焼成し、循環搬送路の下流側で成形型を型開きし、焼成された最中の皮を離型して最中の皮を製造する装置が提供されている(たとえば、特許文献1、2参照)。
【0003】
この最中の皮の製造装置では、成形型に餅生地を供給する方法として、個片に形成した餅生地を雌型の凹部に一つずつ供給する方法と、餅生地の押し出し装置を用いて雌型上に、連続的にやわらかい丸棒状に餅生地を押し出し、成形型の移動とともに連続的に成形型に供給する方法がある。押し出し装置を用いて餅生地を押し出して供給する方法は、個片に形成した餅生地を雌型に供給する方法と比較して、装置の構成が簡素化でき効率的な量産が可能である。
【0004】
なお、成形型に個片に形成した餅生地を供給して最中の皮を製造する場合には、成形型に供給した小片状の餅生地が型内で膨らんで焼成されるために、出来上がりの最中の皮の外観に、個片状の餅生地の形態があらわれる。最中の皮を見たときに、最中の皮の表面に四角形状の模様(かたち)が見えることがある。これが、個片として供給した餅生地の形跡である。押し出し装置を用いて最中の皮を製造する装置の場合には、このような個片で供給した餅生地の形跡があらわれないという利点がある。
【特許文献1】特開2004−97014号公報
【特許文献2】特開平10−323157号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した最中の皮の自動製造装置によれば、最中の皮を効果的に量産することができる。しかしながら、従来の最中の皮の製造装置によって製造される最中の皮は、円形、俵形、栗形等のように外形には種々のものが提供されているものの、最中の皮の色については、白色、小麦色、茶色、ピンク色、黄色といった単色のものとなっている。これは従来の最中の皮の製造装置では、成形型に供給する餅生地の色が最中の皮の仕上がり色になることによる。
【0006】
餅生地を焼成して製造する製品には最中の皮に限らず、せんべい状の麩菓子、あられなどもある。これらの商品においても、餅生地の色が仕上がり色となるから、せんべいなどの見栄えを良くしたり、植物などを表現するといった場合には、焼成後に色づけしたり模様を型押ししてつけるといったことが行われている。
このように、最中の皮や麩菓子などの麩焼き品(本明細書では、餅生地を焼いて製造する製品を「麩焼き品」と称する)は、従来は単色のものに限定されている。
【0007】
本発明者は、従来の最中の皮や麩焼き品について、いろいろな色柄、色分け、色模様とすることによって見栄えの良い商品として提供することについて検討し、本発明を想到したものである。すなわち、本発明は、従来の製造方法を大きく変えることなく、多彩な色柄、色模様、色分けされた最中の皮等の麩焼き品を提供することを可能とする麩焼き品の製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するため次の構成を備える。
すなわち、押し出し装置を用いてノズルから連続的に餅を棒状に押し出し、押し出された餅生地を成形型によりクランプし、成形型を加熱して餅生地を焼成し、成形型から製品を離型することによって製造する麩焼き品の製造方法において、餅生地の色が異なる少なくとも2本の餅生地を別個に、棒状に押し出し、これらの押し出された餅生地を1本の餅生地により合わせた後、前記成形型によりクランプして焼成することを特徴とする。
【0009】
また、押し出し装置を用いてノズルから連続的に餅を棒状に押し出し、押し出された餅生地を個片に切断し、個片に切断された餅生地を焼成して製造する麩焼き品の製造方法において、餅生地の色が異なる少なくとも2本の餅生地を別個に、棒状に押し出し、これらの押し出された餅生地を1本の餅生地により合わせた後、個片に切断して焼成することを特徴とする。より合わせた餅生地を個片に切断して焼成することによって、見栄えのよいあられ菓子が製造できる。
【0010】
また、押し出し装置を用いてノズルから連続的に餅を棒状に押し出し、押し出された餅生地を個片に切断し、個片に切断された餅生地を所定形状に成形して製造する切り餅の製造方法において、餅生地の色が異なる少なくとも2本の餅生地を別個に、棒状に押し出し、これらの押し出された餅生地を1本の餅生地により合わせた後、個片に切断して所定形状に成形することを特徴とする。この切り餅の製造方法によれば、たとえば紅白の色が混じりあった、見栄えの良い切り餅を提供することができる。
【0011】
また、餅生地を連続的に成形型に供給するための供給機構と、成形型を循環搬送する搬送機構と、餅生地が供給された成形型を加熱して餅生地を焼成する焼成機構と、焼成後の麩焼き品を搬出する搬出機構とを備え、前記供給機構が、異なる色の餅生地を別個に連続的に押し出す少なくとも2台の押し出し装置と、これらの押し出し装置から押し出された餅生地を1本により合わせるより合わせ機構とを備えていることを特徴とする。
【0012】
また、前記より合わせ機構は、餅生地を通過させる貫通孔がテーパ孔に形成され、テーパ孔の内周面にスクリュー面が形成されたより合わせ部材と、該より合わせ部材を一方向に回転させ前記スクリュー面により前記餅生地を前送りする駆動部とを備えていることにより、餅生地を確実に1本により合わせて前送りすることができる。
また、前記より合わせ機構の餅生地の出口側に、餅生地を左右にひねるひねり機構が設けられていることにより、餅生地を構成する色生地の位置が変化して、さらに多彩な色柄、色模様の麩焼き品が得られる。
また、前記ひねり機構は、内周面に突起が形成された貫通孔を備えるひねり部材と、ひねり部材を軸線の回りに左右に回動させる可変速回動駆動部とを備えていることによって、やわらなか餅生地に確実にひねり作用を作用させ、さらに多彩な色柄、色模様に形成することができる。
【0013】
また、前記餅生地の供給機構に設けられた押し出し装置とは別に、前記より合わせ機構の後方に、成形型に供給される餅生地の外面に餅生地を間欠的に付着させる餅生地の押し出し装置が設置されていることにより、さらに多彩な色柄、色模様の麩焼き品を得ることができる。
また、前記餅生地の供給機構に設けられた押し出し装置を前記搬送機構によって搬送される成形型の上方に配し押し出し装置のノズルから押し出された餅生地をノズルから下方に垂れ下がるように供給し、型開きした状態で成形型にのせられて前送りする構成とすることによれば、成形型を連続的に移動させながら餅生地を供給することができ、麩焼き品を容易に量産することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る麩焼き品の製造方法および麩焼き品の製造装置によれば、異なる色の餅生地を棒状に押し出した餅生地をより合わせて成形型に供給し、あるいは、異なる色生地が混在した状態の餅生地を調整してから餅生地を個片に切断するといったことにより、焼成して得られる最中の皮等の麩焼き品を多彩な色柄、色分け、色模様として得ることができ、従来の最中の皮等の麩焼き品には見られない、見栄えのよい商品として提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施の形態について添付図面にしたがって詳細に説明する。
(最中の皮の製造装置)
図1は、餅生地を成形型上に連続的に押し出して最中の皮を製造する最中の皮の製造装置の従来構成を示す。
すなわち、図示例の最中の皮の製造装置は、餅生地を連続的に成形型に供給するための供給機構10と、成形型20を循環搬送する搬送機構30と、餅生地が供給された成形型20を加熱して餅生地を焼成する焼成機構50と、焼成後の最中の皮を搬出する搬出機構60とを備える。
【0016】
供給機構10は、やわらかな餅状にあらかじめ調製した餅生地を細い丸棒状に押し出して成形型20に供給するためのものであり、成形型20の搬送路の上流側、すなわち焼成機構50に設けられた焼成炉52の手前側に配置されている。
供給機構10は押し出し用のスクリューを備えた押し出し装置11と、押し出し装置11に餅生地を供給するためのホッパー12とを備える。押し出し装置11は搬送機構30によって搬送される成形型20の上方に位置し、押し出し装置11のノズルから押し出された餅生地14はノズルから下方に垂れ下がるとともに、前方に搬送移動される成形型20にのった状態で前方に引き出されるようにして移動する。
【0017】
このように供給機構10から押し出される餅生地14は、成形型20にのった状態で、連続的に前方に引き出されるから、供給機構10によって餅生地14を送り出す速度と成形型20の搬送速度とは一致するように制御される。
図2は、供給機構10から成形型20に餅生地14を押し出している状態を平面的に示す。図示例の成形型20は、最中の皮の成形部が2列に形成された例で、雌型20aには2列に成形凹部21が形成され、雄型20bには雌型20aの成形凹部21に位置合わせして2列に成形凸部22が形成されている。
【0018】
供給機構10の押し出し装置11には成形型20の雌型20aに形成されている成形凹部21の平面位置に位置合わせして2つのノズル13a、13bが設けられている。各々のノズル13a、13bから押し出された餅生地14は、雌型20aの各列の成形凹部21上に垂れ下がり、成形型20が移動するとともに成形型20を長手方向に横断するようにして、成形型20とともに前送りされる。餅生地14は連続したやわらかい丸棒状となって押し出されるから、隣り合った成形型20の中間部分についても成形型20間を跨ぐようにして移送される。
【0019】
成形型20を循環搬送する搬送機構30は、循環駆動される搬送部材としての搬送チェーン32と、搬送チェーン32を水平方向のガイド移送するガイド部(不図示)と、搬送チェーン32に係合するスプロケット34と、スプロケット34を回転駆動する駆動部(不図示)とを備える。
成形型20は搬送チェーン32上に等間隔に複数個設置される。成形型20の雌型20aは搬送チェーン32に固定される一方、雄型20bは雌型20aに対して片開き可能に設けられる。すなわち、成形型20は焼成機構50に設けられている焼成炉52内を移動する際には型閉めされているのに対して、焼成炉52から搬出され焼成炉52に搬入される間は、型開きするように設けられている。成形型20の雄型20bは雌型20aの一方の側縁に軸支され、雌型20aの一方の側縁の軸支位置を支点として開閉する。
【0020】
成形型20を循環搬送する搬送機構30は、成形型20を一方向に循環搬送する作用とともに、成形型20を開閉操作する作用を合わせ有する。成形型20を開閉させる操作は、たとえば、成形型20の搬送路に成形型20とカム係合するカムを設け、成形型20が搬送路の所定位置に移動してきた際に、成形型20の雄型20bと搬送路に設けたカムとがカム係合して雄型20bを開閉させる構成とすることができる。
【0021】
餅生地14の焼成機構50は、搬送路の上流側から餅生地14をクランプした状態で搬送される成形型20の循環搬送路の1サイクル経路の中間位置を占める配置に設けられた焼成炉52を備える。焼成炉52中では、上流側から下流側へ、搬送チェーン32は水平上位置から水平下位置へ搬送向きを転換する。これによって、焼成炉52に進入する際には鉛直上位置にあった雄型20bは、焼成炉52から成形型20が搬出される際には鉛直下位置となる。焼成炉52の内壁は断熱壁によって囲まれ、焼成炉52の内部には餅生地を焼成するための加熱部54が設けられている。
【0022】
次に、図1に示す最中の皮の製造装置により最中の皮を連続的に製造する作用について説明する。
成形型20は搬送機構30により一方向に連続的に循環駆動され、循環経路の上流位置において、まず、供給機構10により餅生地14が成形型20に供給される。成形型20の循環経路の上流位置では、成形型20の雄型20bは型面が略鉛直向きとなる開き位置にある。成形型20には、搬送機構30により供給機構10の下方を通過して前送りされる際に、供給機構10から押し出される餅生地14が供給され、成形型20が移動するとともに、餅生地14は成形型20とともに前送りされる。
【0023】
成形型20の雄型20bは焼成炉52に向けて移動する際に徐々に型閉じ方向に回動し、焼成炉52に進入する位置で、成形型20は完全に型閉じする。成形型20が型閉じすることによって、餅生地14は成形凹部21と成形凸部22とで挟まれた成形部に充填され、余剰分は型外に排出される。
焼成炉52は成形型20の焼成炉52内における通過時間等を考慮して所定の加熱温度に調節されており、餅生地14をクランプした成形型20が焼成炉52内を通過して焼成炉52から搬出されるまでに餅生地14が焼成される。
【0024】
焼成炉52から成形型20が搬出されると、成形型20の雄型20bが型開き方向に回動開始し、略鉛直となる開き位置まで雄型20bが開く。成形型20の循環経路の下流側では雄型20bは鉛直下位置にあるから、焼成炉52を通過して焼成された最中の皮16は、雄型20bに付着した状態で型開きする。雄型20bが略鉛直向きに開いた状態で、エアブロー装置61により雄型20bに向けてエアを放射し、最中の皮16が雄型20bから離型される。離型された最中の皮16は下方に設置されている搬出機構としての搬出ベルト62上に落下し、搬出ベルト62により製造装置から搬出される。
【0025】
エアブロー装置61により最中の皮16が離型された成形型20は、装置の手前側(図1の左端)で水平下位置から水平上位置に反転し、循環搬送路の上流側に移動する。成形型20は型開きした状態で上流側に戻るから、その状態で供給機構10により餅生地14が供給される配置になる。こうして、搬送機構30により成形型20を循環移動させながら、成形型20に順次餅生地14を供給し、焼成後の最中の皮16を成形型20から離型させることにより、連続的に最中の皮を生産することができる。
【0026】
(麩焼き品の製造方法)
本発明に係る麩焼き品の製造方法は、餅生地を焼成して麩焼き品を製造する方法に関する。餅生地を使用して製造する麩焼き品には最中の皮の他に、麩焼きせんべい、あられ等の菓子類がある。
図3は、最中の皮の製造に本発明を適用した例を示すもので、上述した最中の皮の製造装置に設けられた餅生地の供給機構10を本発明の餅生地の供給機構100として構成した状態を示す。
【0027】
本実施形態の餅生地の供給機構100は、ノズルから餅生地をやわらかな棒状に連続的に押し出すための3台の押し出し装置11a、11b、11cを備えること、各々の押し出し装置11a、11b、11cには、ホッパー12a、12b、12cから異なる色の餅生地14a、14b、14cを供給することを特徴とする。餅生地は可食性着色剤を用いることで無着色の白生地を適宜色に着色することが可能であり、たとえば、ピンク色、青色、白色(無着色)の3色の餅生地14a、14b、14cを用いることができる。
【0028】
本実施形態の餅生地の供給機構100は、押し出し装置11a、11b、11cから押し出される丸棒状の餅生地14a、14b、14cを1本の餅生地により合わせるより合わせ機構15と、より合わせ機構15の出口側に配されたひねり機構18とを備える。
より合わせ機構15は、3本の餅生地14a、14b、14cをより合わせて通過させる貫通孔が形成されたより合わせ部材15aと、より合わせ部材15aを一方向に回転駆動する駆動部とを備える。図4に、より合わせ部材15aを正面方向から見た状態を示す。より合わせ部材15aに形成される貫通孔は、3本の餅生地14a、14b、14cが送入される入り口側が出口側よりも大径に形成されたテーパ孔に形成され、テーパ孔の内周面により合わせ部材15aを回転駆動した際に餅生地14a、14b、14cを前送りするスクリュー面15bが形成されている。
【0029】
ひねり機構18は、より合わせ機構15により1本の棒状により合わされた餅生地を左右にひねる(餅生地を軸方向に見て、左右に回す)作用をなすもので、丸棒状の餅生地を通す貫通孔が形成されたひねり部材18aと、ひねり部材18aを左右に180度程度の角度範囲で回動させる可変速回動駆動部とを備える。
図5に、ひねり部材18aを正面から見た状態を示す。ひねり部材18aに形成された餅生地の挿通孔の内面には周方向の3個所に突起18bが設けられる。突起18bはひねり部材18aを餅生地が通過する際に、餅生地の外面を変形させ、餅生地をくわえ込むようにすることによって、餅生地にひねり作用を作用させる。可変速回動駆動部によりひねり部材18aの回動速度を適宜調節することにより、供給される餅生地のひねり度合いを変化させることができ、成形型20で餅生地をクランプして生じる色柄、模様を多彩に変化させることができる。
【0030】
本実施形態の最中の製造装置は、餅生地の供給機構100の構成を除いては、前述した図1に示す最中の皮の製造装置とまったく同様である。
本実施形態の最中の皮の製造装置では、3台の押し出し装置11a、11b、11cから色違いの餅生地14a、14b、14cが押し出され、より合わせ機構15により1本により合わせられ、ひねり機構18で左右方向に適宜ひねられつつ餅生地14が成形型20に供給される。
【0031】
より合わせ機構15では、テーパ孔にスクリュー面15bが形成されたより合わせ部材15aを一方向に回転することにより、3本の餅生地14a、14b、14cが1本の餅生地により合わせられ、その際に、3色の餅生地が混在した丸棒状の餅生地14となる。
より合わせ機構15によって、1本により合わせられた餅生地14は、ひねり機構18により左右にひねられながら、前述した最中の製造装置と同様に、搬送チェーン32によって循環搬送される成形型20上に供給される。
【0032】
餅生地14は成形型20の雌型20aと雄型20bとによりクランプされ、前述した製造装置とまったく同様の作用によって、焼成炉52で焼成され、焼成炉52の搬出側で型開きされて最中の皮として得られる。
本実施形態の最中の皮の製造装置では、前述した製造装置とは異なり、成形型20には3色の餅生地がより合わされた状態で供給されるから、焼成して得られる最中の皮は、餅生地の色分けによって複数に色分けされ、最中の皮自体が色模様、色柄を備えた製品として得られる。
【0033】
より合わせ機構15では、3色の餅生地が適宜より合わせされ、混練され、成形型20によって餅生地14をクランプすることによって餅生地は微妙に色生地が混じり合った状態になって、焼成された最中の皮の色模様、色柄は多彩なものとなる。
ひねり機構18により餅生地14を左右にひねることにより、餅生地14を成形型20でクランプした際に、色位置がさらに微妙に変化し、得られる最中の皮の外観がさらに多様なものとなる。
【0034】
図3では、餅生地14にさらに色彩の変化を加えるために、ひねり機構18から送出される餅生地14の外面に付加的に他の餅生地を添加するように形成した例を示す。押し出し装置11d、11eは、前記押し出し装置11a、11b、11cとは別に、ひねり機構18から送出される餅生地14の外面にノズルを向けた配置として設置される。押し出し装置11d、11eは間欠的に餅生地を押し出すように制御され、餅生地14の外面に、いわば点状に餅生地を付着させる。
【0035】
餅生地14は押し出し装置11a、11b、11cから供給される3色の餅生地14の外面に、さらに押し出し装置11d、11eにより餅生地が付加されることによって、3色の餅生地の色模様に加えてさらに色柄が付加され、最中の皮の外観がさらに多彩になる。押し出し装置11d、11eから付加する餅生地の色は押し出し装置11a、11b、11cから供給する餅生地の色と異なる色であってもよいし、同じ色であってもよい。
【0036】
図6は、本実施形態の最中の皮の製造装置を用いて製造した最中の皮16の例を示す。上述したように、本実施形態の最中の皮の製造装置では、複数色の餅生地をより合わせて1本の餅生地として焼成するから、最中の皮16自体に色柄、色模様があらわれ、従来の最中の皮とは大きく外観の異なる製品として得られる。これらの色柄、色模様は餅生地での色生地の混じり具合によって種々の形態となり、きわめて多彩な形態としてあらわれる点も特徴的である。餅生地には、種々の色が利用できるから、色の組み合わせを変えることによっても多様な表現が可能となる。
【0037】
上記実施形態では餅生地の供給機構100として3台の押し出し装置11a、11b、11cを使用した例を示すが、餅生地の供給機構100としては少なくとも2台の押し出し装置を使用すればよい。
また、最中の皮の製造装置では、成形型20の雌型20aに形成されている成形凹部21の配置に合わせて丸棒状に餅生地を押し出して供給するから、成形型20に2列に成形凹部が形成されている場合には、列ごとに餅生地を供給するように押し出し装置11a〜11eを配置する。もちろん、最中の皮の形態によって成形型20に形成される成形凹部21の形態や列数が異なるから、成形型20に合わせて餅生地の供給機構を設置する。
なお、最中の成形型としては最中の皮ごとに単一の成形部が形成されているものの他に、複数の最中の皮を連接した形態の成形部を備えるものについても適用される。
【0038】
最中の皮は、和菓子に用いられる最中の皮の他に、ゼリーなどを詰めたお菓子の皮としても提供することができ、ソフトアイスクリームのコーンや最中のアイスクリームに用いる皮としても提供できる。
また、上記実施形態では、麩焼き品の例として最中の皮を製造する方法について説明したが、最中の皮以外に、麩焼きせんべいといったお菓子類を製造する場合にもまったく同様に適用できる。たとえば、麩焼きせんべいを製造する場合も、上述した最中の皮の製造方法と同様に、せんべいの成形型に、異なる色の餅生地をより合わせた餅生地を棒状に連続的に押し出し、成形型で餅生地を焼成することによって、種々の色模様、色柄の麩焼きせんべいを得ることができる。
また、小判や俵といった縁起物の麩焼き品を製造する場合も、複数色の餅生地を用いて、成形型により成形して焼成することによって、従来の単色の麩焼き品とくらべてはるかに見栄えの良い麩焼き品として得ることができる。
【0039】
また、本発明に係る麩焼き品の製造方法は、お菓子のあられを製造する場合にも適用できる。すなわち、餅生地の供給機構から色生地がより合わされて棒状に押し出した餅生地を次々と小さな個片に切断し、個片を焼成することによって、色彩のあざやかなあられ菓子となる。あられ菓子は焼成することによって大きく膨らむから、複数色の餅生地を組み合わせた餅生地を用いることにより、いろいろな色が組み合わさったきれいなあられとして得ることができる。
【0040】
このように、本発明に係る麩焼き品の製造方法は、最中の皮や麩やきせんべいのように成形型を用いて製造する場合にかぎらず、あられなどのお菓子を製造する場合にも適用することができる。さらにまた、本発明は麩焼き品に限らず、色生地をより合わせて棒状に押し出される餅生地から切り餅を形成する場合にも利用できる。すなわち、色生地をより合わせて棒状に押し出された餅生地を順次個片に切断し、成形型等で成形することによって切り餅となる。この切り餅は、紅白や黄色などの色柄が混在した見栄えの良い商品として得られるという特徴がある。
【0041】
なお、上記実施形態では、餅生地を成形型で焼成して麩焼き品を製造する方法について説明したが、本発明は原料として餅生地を使用する場合に限らず、小麦粉等を原材料としてウエハースを製造するといった場合にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】最中の皮の製造装置の全体構成を示す説明図である。
【図2】餅生地の供給機構から成形型に餅生地を供給する状態を示す平面図である。
【図3】最中の製造装置における餅生地の供給機構を示す説明図である。
【図4】より合わせ機構の筒状部材の正面図である。
【図5】ひねり機構のひねり部材の正面図である。
【図6】焼成して得られた最中の皮の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0043】
10 供給機構
11、11a、11b、11c 押し出し装置
12、12a、12b、12c ホッパー
13a、13b ノズル
14、14a、14b、14c 餅生地
15 より合わせ機構
15a より合わせ部材
15b スクリュー面
16 最中の皮
18 ひねり機構
18a ひねり部材
18b 突起
20 成形型
20a 雌型
20b 雄型
30 搬送機構
32 搬送チェーン
50 焼成機構
52 焼成炉
60 搬出機構
62 搬出ベルト
100 供給機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押し出し装置を用いてノズルから連続的に餅を棒状に押し出し、押し出された餅生地を成形型によりクランプし、成形型を加熱して餅生地を焼成し、成形型から製品を離型することによって製造する麩焼き品の製造方法において、
餅生地の色が異なる少なくとも2本の餅生地を別個に、棒状に押し出し、
これらの押し出された餅生地を1本の餅生地により合わせた後、前記成形型によりクランプして焼成することを特徴とする麩焼き品の製造方法。
【請求項2】
押し出し装置を用いてノズルから連続的に餅を棒状に押し出し、押し出された餅生地を個片に切断し、個片に切断された餅生地を焼成して製造する麩焼き品の製造方法において、
餅生地の色が異なる少なくとも2本の餅生地を別個に、棒状に押し出し、
これらの押し出された餅生地を1本の餅生地により合わせた後、個片に切断して焼成することを特徴とする麩焼き品の製造方法。
【請求項3】
押し出し装置を用いてノズルから連続的に餅を棒状に押し出し、押し出された餅生地を個片に切断し、個片に切断された餅生地を所定形状に成形して製造する切り餅の製造方法において、
餅生地の色が異なる少なくとも2本の餅生地を別個に、棒状に押し出し、
これらの押し出された餅生地を1本の餅生地により合わせた後、個片に切断して所定形状に成形することを特徴とする切り餅の製造方法。
【請求項4】
餅生地を連続的に成形型に供給するための供給機構と、成形型を循環搬送する搬送機構と、餅生地が供給された成形型を加熱して餅生地を焼成する焼成機構と、焼成後の麩焼き品を搬出する搬出機構とを備え、
前記供給機構が、異なる色の餅生地を別個に連続的に押し出す少なくとも2台の押し出し装置と、
これらの押し出し装置から押し出された餅生地を1本により合わせるより合わせ機構とを備えていることを特徴とする麩焼き品の製造装置。
【請求項5】
前記より合わせ機構は、餅生地を通過させる貫通孔がテーパ孔に形成され、テーパ孔の内周面にスクリュー面が形成されたより合わせ部材と、該より合わせ部材を一方向に回転させ前記スクリュー面により前記餅生地を前送りする駆動部とを備えていることを特徴とする請求項4記載の麩焼き品の製造装置。
【請求項6】
前記より合わせ機構の餅生地の出口側に、餅生地を左右にひねるひねり機構が設けられていることを特徴とする請求項4または5記載の麩焼き品の製造装置。
【請求項7】
前記ひねり機構は、内周面に突起が形成された貫通孔を備えるひねり部材と、ひねり部材を軸線の回りに左右に回動させる可変速回動駆動部とを備えていることを特徴とする請求項6記載の麩焼き品の製造装置。
【請求項8】
前記餅生地の供給機構に設けられた押し出し装置とは別に、前記より合わせ機構の後方に、成形型に供給される餅生地の外面に餅生地を間欠的に付着させる餅生地の押し出し装置が設置されていることを特徴とする請求項4〜7のいずれか一項記載の麩焼き品の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−48698(P2008−48698A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−230316(P2006−230316)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【出願人】(397055436)
【Fターム(参考)】