説明

麺スナック菓子の製造方法、麺スナック菓子

【課題】麺の断面寸法が大きい場合や主原料が小麦粉以外の場合でも、食感、風味、見た目のいずれもが良好な麺スナック菓子が得られる方法を提供する。
【解決手段】攪拌工程と、蒸練工程と、練り工程と、圧延工程と、冷却工程と、切断工程と、着味工程(湿潤工程)と、フライ工程と、仕上げ工程をこの順に行う。すなわち、従来法のように生地を麺線にしてから蒸すのではなく、蒸練工程で得られたα化された生地を麺線にする。湿潤工程を行うことで、大きな火脹れのない見た目と優れた食感を有する麺スナック菓子となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、麺を素材としたスナック菓子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の麺を素材としたスナック菓子(以下、「麺スナック菓子」と称する。)は、例えば、小麦粉が主原料の生地を麺線にしてから蒸した後に、油で揚げる方法で製造されている。スナック菓子には、味、食感、形状の全ての点で新規な製品の開発が常に求められており、麺スナック菓子の場合にも、様々な味付けを行ったり、麺線の形を変えたり、製麺材料の配合を工夫したりすることが行われている。しかし、従来の方法では、麺が太くて食感に優れた麺スナック菓子や、主原料が小麦粉以外であって風味の良い麺スナック菓子を得ることができない。
【0003】
すなわち、従来の方法で、現状より麺の断面寸法が大きい(例えば、幅および厚さまたは直径が2.0mm以上の)麺スナック菓子を得ようとすると、内部のα化が不十分なため粉っぽい食感になる。また、従来の方法で、小麦粉以外を主原料とした麺スナック菓子を製造するためには、グルテンを入れて生地を作る必要がある。しかし、グルテンを入れると、独特のグルテン臭がついて風味が悪くなる。
【0004】
一方、小麦粉以外を主原料とした麺は、原料の粉に水を加えて攪拌した後、蒸練工程を経て圧延し、低温熟成した後に麺線に切り出すことで製造されている。
特許文献1には、米粉を主原料とし小麦粉を含まない生地が、高温蒸気による混練処理とα化処理によって圧延し易くなり、麺状に形成できることが記載されている。この方法では、板状にした混練処理物を常温で熟成させた後に圧延を行っている。また、この麺を油で揚げることで揚げ麺スナック菓子を提供できるとの記載がある。
【0005】
特許文献2には、小麦粉単独もしくは小麦粉および小麦粉以外の澱粉質粉末よりなる粉末原料をα化処理した後に、そのα化生地を押出成形し、得られた成形物を乾燥するパスタの製造方法が記載されている。α化処理の方法として、蒸煮、蒸練、エクストルーダー法が例示されている。また、得られたパスタを油揚げすることでスナック食品が得られるとの記載がある。
しかし、特許文献1および2には、麺スナック菓子の製造方法として、麺の断面寸法が大きい場合や主原料が小麦粉以外の場合でも、食感、風味、見た目のいずれもが良好な麺スナック菓子が得られる方法については記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−159546号公報
【特許文献2】特開昭61−21052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明の課題は、麺スナック菓子の製造方法として、麺の断面寸法が大きい場合や主原料が小麦粉以外の場合でも、食感、風味、見た目のいずれもが良好な麺スナック菓子が得られる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明の麺スナック菓子の製造方法は、穀物および芋類の少なくともいずれかで構成される主材と水を含む混合物を蒸練する(蒸気を通しながら練る)ことにより生地を得る蒸練工程と、蒸練工程後の生地を圧延する圧延工程と、圧延工程後の生地を切断して麺線を得る切断工程と、切断工程後の麺線に湿り気を与える湿潤工程と、湿潤工程後の麺線を油で揚げるフライ工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
前記主材としては、小麦粉、米粉(うるち米、もち米のいずれでもよい)、とうもろこし粉、じゃがいも粉、大豆粉、澱粉などの穀粉と、生のじゃがいも、じゃがいもの加熱処理品(加熱後に冷凍したものを含む)、じゃがいもの冷凍品、生のとうもろこし、とうもろこしの加熱処理品(加熱後に冷凍したものを含む)、とうもろこしの冷凍品等が挙げられる。これらのいずれか一つを主材として使用してもよいし、二種類以上を組み合わせて配合したものを主材として使用してもよい。
【0010】
好ましい組合せの例としては、米粉と小麦粉との組合せ、米粉とじゃがいも(粉状、生、加熱処理品、冷凍品のいずれでもよい)との組合せ、とうもろこし(粉状、生、加熱処理品、冷凍品のいずれでもよい)と米粉との組合せ、小麦粉とじゃがいも(粉状、生、加熱処理品、冷凍品のいずれでもよい)の組合せ、小麦粉ととうもろこし(粉状、生、加熱処理品、冷凍品のいずれでもよい)の組合せ等が挙げられる。
【0011】
なお、とうもろこし粉としては、コーングリッツ、コーンフラワー等が挙げられる。じゃがいも粉としては、ポテトフレーク、ポテトフラワー、ポテトグラニュール等が挙げられる。
この発明の方法によれば、従来法のように生地を麺線にしてから蒸すのではなく、蒸練工程で得られたα化された生地を麺線にするため、麺の太さ(幅および厚さまたは直径)が2.0mm以上であっても粉っぽさのない麺スナック菓子が得られる。
【0012】
また、蒸練工程を行うことで、小麦粉以外を主材の主原料(小麦粉以外の主材の合計含有率が主材全体の50質量%より多い、例えば50.1質量%以上)とした場合でも、グルテンを添加せずに良質な麺線が得られるため、小麦粉以外を主原料とした風味の良い麺スナック菓子が得られる。さらに、湿潤工程を行うことで、大きな火脹れのない見た目と優れた食感を有する麺スナック菓子が得られる。
【0013】
この発明の方法で、前記蒸練工程後の生地を蒸気を通さずに練る練り工程を行った後に前記圧延工程を行うと、火脹れがなく食感が硬めの麺スナック菓子が得られる。
前記湿潤工程として、麺線に着味液を付着させる着味工程を行うと、湿潤と着味を同時に行うことができるため、生産効率を上げることができる。
前記フライ工程の油の温度は、前記主材を構成する主原料の種類および含有率と、前記湿潤工程として着味工程を行う場合に使用する着味液の種類などに応じて、150〜230℃の範囲で調整する。
【0014】
主材の主原料が小麦粉である場合は、フライ工程の油の温度を165〜195℃とすることが好ましい。主材の主原料が米粉である場合は、フライ工程の油の温度を180〜230℃とすることが好ましい。主材の主原料がとうもろこしである場合は、フライ工程の油の温度を165〜195℃とすることが好ましい。主材の主原料がじゃがいもである場合は、フライ工程の油の温度を150〜177℃とすることが好ましい。
【0015】
いずれの場合も、油の温度が前記範囲よりも低いと、得られる麺スナック菓子の食感が悪くなる恐れがあり、油の温度が前記範囲よりも高いと、得られる麺スナック菓子が焦げて風味が悪くなる恐れがある。
この発明の方法は、前記フライ工程後の麺線に味を付ける仕上げ工程をさらに有してもよい。
なお、この発明の方法によれば、フライ工程前に長時間の熟成や乾燥工程が不要であるため、短時間で効率的に麺スナック菓子を製造することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明の麺スナック菓子の製造方法によれば、麺の断面寸法が大きい場合や主原料が小麦粉以外の場合でも、食感、風味、見た目のいずれもが良好な麺スナック菓子が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の実施形態の方法を説明する図である。
【図2】実施例1の方法で得られた麺スナック菓子を示す拡大図である。
【図3】実施例2の方法で得られた麺スナック菓子を示す拡大図である。
【図4】実施例3の方法で得られた麺スナック菓子を示す拡大図である。
【図5】実施例4の方法で得られた麺スナック菓子を示す拡大図である。
【図6】比較例1の方法で得られた麺スナック菓子を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施形態について説明するが、この発明はこの実施形態に限定されない。
この実施形態の麺スナック菓子の製造方法は、図1に示すように、攪拌工程と、蒸練工程と、練り工程と、圧延工程と、冷却工程と、切断工程と、着味工程(湿潤工程)と、フライ工程と、仕上げ工程をこの順に行う方法である。
【0019】
攪拌工程では、一例として小麦粉(主材)を容器内に入れて混合しながら、水を加えて攪拌する。必要に応じて食品素材や調味料、膨化剤等を配合することもある。
蒸練工程では、攪拌された混合物を蒸練機に入れて蓋をした後、蒸練機内に0.01〜0.1MPaの水蒸気を通した状態で、温度を95〜120℃に保持し、澱粉質が十分にα化されるまで練る。
【0020】
圧延工程での不具合を防止するために、蒸練後の生地の水分含有量は30〜50質量%であることが好ましい。蒸練後の生地の水分含有量が30質量%未満であると、生地が全体的にパサついた状態になり易く、圧延工程で生地が伸びにくくなる。蒸練後の生地の水分含有量が50質量%を超えると、生地が全体的にベタついた状態になり易く、柔らかさと粘着性が極端に強くなって、圧延ロールに巻きつき易くなる。
【0021】
練り工程では、蒸練機から生地を練り機に移して、常温、大気圧下で蒸気を通さずに生地を練る。その後、生地を練り機の排出口から押し出す。
圧延工程では、練り機から押し出された生地を圧延ロールにかけて厚さが0.8〜2.5mm程度の麺帯を得る。
冷却工程では、圧延工程で得られた麺帯を常温空間または冷却空間を移動させること等で、麺帯の温度が60℃以下になるまで冷却する。
【0022】
切断工程では、麺帯を切刃で切断して麺線を得る。切刃としては、麺線の幅に対応した番手のものを使用する。
着味工程では、得られた麺線を着味液(付着させたい味の成分が水に溶けている液体)に浸漬する。これにより、麺線に味付けが行われると同時に、麺線が濡れた状態となる。すなわち、この着味工程は麺線に湿り気を与える湿潤工程でもある。
【0023】
フライ工程では、着味工程後の麺線を長さ方向で切断した後に、165〜195℃程度の油で揚げる。
仕上げ工程では、フライ工程後の麺線に着味粉末をまぶす等の方法で味付けを行う。
この実施形態の方法によれば、従来法のように生地を麺線にしてから蒸すのではなく、蒸練工程で得られたα化された生地を麺線にするため、麺の太さが2.0mm以上であっても、粉っぽさのない麺スナック菓子が得られる。
【0024】
また、麺線に着味液を付着させる着味工程を行うことで、麺線に味付けがなされると同時に麺線が湿潤されている。すなわち、着味工程は湿潤工程を兼ねている。さらに、蒸練工程後の生地に対して練り工程を行った後に圧延工程を行っている。湿潤工程と練り工程を行うことで、フライ工程後の麺に火脹れが生じにくくなり表面が滑らかになるため、火脹れがなく食感が硬めの麺スナック菓子が得られる。
【0025】
上述の例では主材の主原料として小麦粉を使用しているが、小麦粉以外を主原料とした場合でも、この実施形態の方法を実施することにより、蒸練工程で得られたα化された生地を麺線にするため、グルテンを添加せずに良質な麺線が得られる。よって、この実施形態の方法によれば、小麦粉以外を主原料とした場合でも風味の良い麺スナック菓子が得られる。
【0026】
なお、この実施形態では、別の容器で攪拌工程を行った後に混合物を蒸練機に移して蒸練工程を行っているが、主材と水、必要に応じて食品素材や調味料、膨化剤等を蒸練機に入れて混合物を得る攪拌を、蒸練機内で行ってもよい。また、攪拌工程後の混合物を蒸練機に移した後、さらに水や主材、食品素材や調味料、膨化剤等を入れて、蒸練機内で攪拌を行ってもよい。
また、この実施形態では、蒸練工程と圧延工程の間に練り工程を行っているが、練り工程は省略することができる。練り工程を行わないとフライ工程後の麺に小さな火脹れが生じるが、大きな火脹れは生じず、さくさくした食感の麺スナック菓子が得られる。
【0027】
また、この実施形態では、麺線を着味液に浸漬することで、湿潤工程を兼ねた着味工程を行っているが、これに代えて、着味成分を含まない水に浸漬したり、着味成分を含まない水を麺線に噴霧したりすることで湿潤工程を行い、着味はフライ工程後に着味粉末をまぶす等の仕上げ工程のみで行ってもよい。また、湿潤工程を兼ねた着味工程として、着味液を麺線に噴霧する等の方法を採用してもよい。また、着味工程を行った場合は仕上げ工程を行わなくてもよい。
また、この実施形態で行っている冷却工程は、切断工程で麺帯を切りやすくするために行っており、省略することができる。また、この実施形態ではフライ工程の直前に長さ方向の切断を行っているが、長さ方向の切断は、着味工程(湿潤工程)の前に行ってもよいし、フライ工程の後に行ってもよい。
【実施例】
【0028】
[実施例1]
先ず、攪拌容器内に、主材として小麦粉を150kg入れ、水45リットルを注ぎ入れながら攪拌し、5分間捏ねた。次に、攪拌容器の内容物(小麦粉と水を含む混合物)を蒸練機に移して蓋をした後、蒸練機内に0.03MPaの水蒸気を通しながら、温度を100〜115℃に保持し、10分間蒸練を行った。蒸練後の生地の水分含有率は37.1質量%、温度は81〜85℃であった。
次に、蒸練機から生地を双軸練り出し機のホッパーに入れて、この生地をスクリュー羽根で送りながら、軸先端部に設けた練り用羽根で練った後、排出口から押し出した。次に、この生地を圧延ロールにかけて、厚さが2.0mm程度の麺帯とした。この時点での麺帯の温度は80℃であった。この麺帯を冷却して麺帯の温度を45℃まで下げた。
【0029】
次に、この麺帯を切刃を用いて切断して、幅約3.8mm×厚さ約2.0mmの麺線を得た。次に、この麺線を、醤油味の着味液に浸漬させた。次に、この麺線を切断機で8cm程度の長さに切断した。この切断された麺を直ぐにフライ装置の油浴に入れ、186℃で1分20秒揚げた。
このようにして得られた麺スナック菓子は、幅が約4.5mm、厚さが約3.0mm、長さが約8cmであり、太い麺であるにも関わらず粉っぽさが無く、図2に示すように、火脹れも無く、表面が滑らかであった。また、カリカリとした適度な食感を有するものであった。
【0030】
[実施例2]
以下の点を除き、実施例1と同じ方法で麺スナック菓子を製造した。
蒸練後の生地を双軸練り出し機に入れずに、圧延ロールにかけて厚さが2.0mm程度の麺帯とした。すなわち、この実施例では練り工程を省略した。
このようにして得られた麺スナック菓子は、幅が約4.1mm、厚さが約2.8mm、長さが約8cmであり、太い麺であるにも関わらず粉っぽさが無く、図3に示すように、大きな火脹れがなかった。また、さくさくした食感を有するものであった。
【0031】
[実施例3]
先ず、攪拌容器内に、主材として、うるち米の米粉(主原料)を60kgと小麦粉を50kg入れ、水40リットルを注ぎ入れながら攪拌し、5分間捏ねた。次に、攪拌容器の内容物(米粉と小麦粉と水を含む混合物)を蒸練機に移して蓋をした後、蒸練機内に0.03MPaの水蒸気を通しながら、温度を100〜115℃に保持し、10分間蒸練を行った。蒸練後の生地の水分含有率は40.3質量%、温度は80〜88℃であった。
次に、蒸練機から生地を双軸練り出し機のホッパーに入れて、この生地をスクリュー羽根で送りながら、軸先端部に設けた練り用羽根で練った後、排出口から押し出した。次に、この生地を圧延ロールにかけて、厚さが2.0mm程度の麺帯とした。この時点での麺帯の温度は79℃であった。この麺帯を冷却して麺帯の温度を40℃まで下げた。
【0032】
次に、この麺帯を切刃を用いて切断して、幅約3.8mm×厚さ約2.0mmの麺線を得た。次に、この麺線を、醤油味の着味液に浸漬させた。次に、この麺線を切断機で8cm程度の長さに切断した。この切断された麺を直ぐにフライ装置の油浴に入れ、187℃で1分20秒揚げた。
このようにして得られた麺スナック菓子は、幅が約4.1mm、厚さが約2.9mm、長さが約8cmであり、図4に示すように、火脹れも無く、表面が滑らかであった。また、実施例1で得られた麺スナック菓子よりも軽い食感を有し、ほんのり米の風味が味わえるものであった。
【0033】
[実施例4]
先ず、攪拌容器内に、主材として、うるち米の米粉を120kg入れ、水45リットルを注ぎ入れながら攪拌し、5分間捏ねた。次に、攪拌容器の内容物(米粉と水を含む混合物)を蒸練機に移して蓋をした後、蒸練機内に0.03MPaの水蒸気を通しながら、温度を100〜115℃に保持し、10分間蒸練を行った。蒸練後の生地の水分含有率は40.8質量%、温度は79℃であった。
次に、この生地を圧延ロールにかけて、厚さが1.0mm程度の麺帯とした。この時点での麺帯の温度は77℃であった。この麺帯を冷却して麺帯の温度を30℃まで下げた。
【0034】
次に、この麺帯を切刃を用いて切断して、幅約30mm×厚さ約1.0mmの麺線を得た。次に、この麺線を、塩味の着味液に浸漬させた。次に、この麺線を切断機で6cm程度の長さに切断した。この切断された麺を直ぐにフライ装置の油浴に入れ、189℃で1分20秒揚げた。
このようにして得られた麺スナック菓子は、幅が約34mm、厚さが約1.8mm、長さが約6cmであり、図5に示すように、大きな火脹れが無かった。また、さくさくした軽い食感で米の風味豊かなものであった。
【0035】
[実施例5]
先ず、攪拌容器内に、主材として、ポテトフレーク(主原料)を136kgとうるち米の米粉を15kg入れ、水61リットルを注ぎ入れながら攪拌し、5分間捏ねた。次に、攪拌容器の内容物(ポテトフレークと米粉と水を含む混合物)を蒸練機に移して蓋をした後、蒸練機内に0.03MPaの水蒸気を通しながら、温度を100〜115℃に保持し、10分間蒸練を行った。蒸練後の生地の水分含有率は40.5質量%、温度は80〜88℃であった。
次に、蒸練機から生地を双軸練り出し機のホッパーに入れて、この生地をスクリュー羽根で送りながら、軸先端部に設けた練り用羽根で練った後、排出口から押し出した。次に、この生地を圧延ロールにかけて、厚さが1.2mm程度の麺帯とした。この時点での麺帯の温度は79℃であった。この麺帯を冷却して麺帯の温度を40℃まで下げた。
【0036】
次に、この麺帯を切刃を用いて切断して、幅約5.0mm×厚さ約1.2mmの麺線を得た。次に、この麺線を、醤油味の着味液に浸漬させた。次に、この麺線を切断機で8cm程度の長さに切断した。この切断された麺を直ぐにフライ装置の油浴に入れ、170℃で1分20秒揚げた。
このようにして得られた麺スナック菓子は、幅が約8.0mm、厚さが約2.5mm、長さが約8cmであり、火脹れも無く、表面が滑らかであった。また、ポテト味が効いた香ばしい風味と、カリカリとした適度な食感を有するものであった。
【0037】
[実施例6]
以下の点を除き、実施例5と同じ方法で麺スナック菓子を製造した。
蒸練後の生地を双軸練り出し機に入れずに、圧延ロールにかけて厚さが1.2mm程度の麺帯とした。すなわち、この実施例では練り工程を省略した。
このようにして得られた麺スナック菓子は、幅が約7.5mm、厚さが約2.3mm、長さが約8cmであり、大きな火脹れがなかった。また、ポテト味で、さくさくした食感を有するものであった。
【0038】
[実施例7]
先ず、攪拌容器内に、主材として、コーンフラワー(主原料)を60kg、うるち米の米粉を50kg、および馬鈴薯澱粉を10kg入れ、水39リットルを注ぎ入れながら攪拌し、5分間捏ねた。次に、攪拌容器の内容物(コーンフラワーと米粉と馬鈴薯澱粉と水を含む混合物)を蒸練機に移して蓋をした後、蒸練機内に0.03MPaの水蒸気を通しながら、温度を100〜115℃に保持し、10分間蒸練を行った。蒸練後の生地の水分含有率は40.2質量%、温度は80〜88℃であった。
次に、蒸練機から生地を双軸練り出し機のホッパーに入れて、この生地をスクリュー羽根で送りながら、軸先端部に設けた練り用羽根で練った後、排出口から押し出した。次に、この生地を圧延ロールにかけて、厚さが1.2mm程度の麺帯とした。この時点での麺帯の温度は79℃であった。この麺帯を冷却して麺帯の温度を40℃まで下げた。
【0039】
次に、この麺帯を切刃を用いて切断して、幅約5.0mm×厚さ約1.2mmの麺線を得た。次に、この麺線を、醤油味の着味液に浸漬させた。次に、この麺線を切断機で8cm程度の長さに切断した。この切断された麺を直ぐにフライ装置の油浴に入れ、170℃で1分20秒揚げた。
このようにして得られた麺スナック菓子は、幅が約8.0mm、厚さが約2.5mm、長さが約8cmであり、火脹れも無く、表面が滑らかであった。また、コーン味が効いた香ばしい風味と、カリカリとした適度な食感を有するものであった。
【0040】
[実施例8]
以下の点を除き、実施例7と同じ方法で麺スナック菓子を製造した。
蒸練後の生地を双軸練り出し機に入れずに、圧延ロールにかけて厚さが1.2mm程度の麺帯とした。すなわち、この実施例では練り工程を省略した。
このようにして得られた麺スナック菓子は、幅が約7.6mm、厚さが約2.4mm、長さが約8cmであり、大きな火脹れがなかった。また、コーン味で、さくさくした食感を有するものであった。
【0041】
[比較例1]
以下の点を除き、実施例1と同じ方法で麺スナック菓子を製造した。
麺帯を切断して得た麺線を、醤油味の着味液に浸漬させる工程を行わずに切断機で切断し、得られた麺を直ぐにフライ装置の油浴に入れて、同じ条件で揚げた。
このようにして得られた麺スナック菓子は、幅が約4.7mm、厚さが約3.9mm、長さが約8cmであり、太い麺であるにも関わらず粉っぽさが無かったが、図6に示すように、大きな火脹れが非常に多かった。また、食べると油っぽさが強く、食味が不良であった。
【0042】
[比較例2(従来例)]
先ず、攪拌容器内に小麦粉を150kg入れ、水45リットルを注ぎ入れながら攪拌し、15分程度捏ねることで生地を得た。この生地を圧延ロールにかけて、厚さが2.0mm程度の麺帯とした。次に、この麺帯を切刃を用いて切断して、幅約3.8mm×厚さ約2.0mmの麺線を得た。
次に、この麺線を約100℃で2分間蒸した後、醤油味の着味液に浸漬させた。次に、この麺線を切断機で8cm程度の長さに切断した。この切断された麺を直ぐにフライ装置の油浴に入れ、186℃で1分20秒揚げた。
このようにして得られた麺スナック菓子は、幅が約4.2mm、厚さが約2.7mm、長さが約8cmであり、火脹れも無く、表面が滑らかであった。しかし、食べると粉っぽさが強く、口どけが悪く、芯が残ったような重い食感を有するものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物および芋類の少なくともいずれかで構成される主材と水を含む混合物を蒸練することにより生地を得る蒸練工程と、
蒸練工程後の生地を圧延する圧延工程と、
圧延工程後の生地を切断して麺線を得る切断工程と、
切断工程後の麺線に湿り気を与える湿潤工程と、
湿潤工程後の麺線を油で揚げるフライ工程と、
を有することを特徴とする麺スナック菓子の製造方法。
【請求項2】
前記蒸練工程後の生地を蒸気を通さずに練る練り工程を行った後に前記圧延工程を行う請求項1記載の麺スナック菓子の製造方法。
【請求項3】
前記湿潤工程として、麺線に着味液を付着させる着味工程を行う請求項1または2記載の麺スナック菓子の製造方法。
【請求項4】
前記フライ工程後の麺線に味を付ける仕上げ工程を行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の麺スナック菓子の製造方法。
【請求項5】
前記主材の主原料は小麦粉である請求項1〜4のいずれか1項に記載の麺スナック菓子の製造方法。
【請求項6】
前記主材の主原料は小麦粉以外である請求項1〜4のいずれか1項に記載の麺スナック菓子の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法で製造された麺スナック菓子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−66462(P2013−66462A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−196398(P2012−196398)
【出願日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【出願人】(595177361)株式会社おやつカンパニー (9)
【Fターム(参考)】