説明

麺玉形成袋入れ装置

【課題】麺玉w1を袋c1内へ収納したときに、麺線が封止位置に挟まることを防止する麺玉形成袋入れ装置を提供する。
【解決手段】麺玉形成袋入れ装置100は、搬送手段1と、麺玉形成部2と、袋収納部3を備えている。搬送手段1は搬送始点7aに供給された各麺線群wを、波状に屈曲された上り傾斜経路4を辿るように上昇させ、その上昇最中に各麺線に伸縮の弾圧力を付与する。麺玉形成部2では搬送手段1により上昇させた各麺線群wを丸めローラ25で丸めることにより麺玉w1を形成する。袋収納部3では、形成された麺玉w1を、袋c1内に自然落下させ該袋c1内に収納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は中華麺又は、うどん、そばなどの生麺の袋入り麺玉製品を製造する麺玉形成袋入れ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
開口が横向きとなるように位置保持された一つの袋内に横移動させて収納する麺玉形成袋入れ装置として、例えば特許文献1には、麺線群を麺玉状態にしてベルトコンベアに落下させ、袋が外装されている水平前方の直状桶に複数個の麺玉を送り出して、袋内に収容する装置が開示されている。また特許文献2にも、同様に麺玉を横向きに袋内に収容する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−62947号公報
【特許文献2】特開平7−187156号公報
【特許文献3】特開2008−146257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の生麺用の麺玉形成袋入れ装置においては、水平方向に麺玉が袋内に収納されるので、麺玉の一部の麺線が、袋の内面に接触するなどして該袋内にて後方へ尾を長く引いた状態になる現象が発生し易くなる。このように尾が袋の開口周辺まで到達していると、該袋の開口を閉じるときに麺線を跨いで封止が行われる恐れがある。
【0005】
尚、特許文献2には、その図8及び図10中には袋を縦向きに位置保持し、麺玉を袋内に落下させて収納して、袋の上端に形成された開口を通じることが開示されている。封止部における麺線の挟み込みを考慮した場合には、むしろ縦向きに麺玉を落下させた方が良い。しかし、これでは、特許文献2でも指摘されているように、下方の麺玉ほど形状が崩れてしまう。
本発明は、麺玉を袋内へ収納したときに、型崩れしにくく且つ麺線が封止部に挟み込まれる現象の発生を防止した麺玉形成袋入れ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
特許文献2に開示される麺玉を袋内に落下する技術においては、麺線が麺玉に形成されてから上方に持ち上げる工程が必要とされ、その搬送中に麺玉を構成する麺線の絡みが緩んでしまっており、その状態で落下させられるために、型崩れし易いのである。この結果、各麺玉が袋内に綺麗な団塊状態で収納されないことが生じ、袋入りの麺玉製品の品質を低下させている。
【0007】
従って、本発明に係る生麺用の麺玉形成袋入れ装置は、上り傾斜方向に沿って配置された複数の案内車に対して、互いに重なり合わされてジグザグに掛け回された一対の無端状ベルトであって、搬送方向を長さ方向として一定長さに切りそろえられた麺線群を互いの間に挟み込んで上昇搬送する一対の無端状ベルトと、前記一対の無端状ベルトにより上昇搬送させられた前記麺線群を丸めて麺玉に形成する麺玉形成部と、前記麺玉を自然落下させ、袋内に受け止める袋収納部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、麺線群を直線状のまま上方に持ち上げて、麺玉にロール巻きした後に袋内に自然落下させる。すなわち麺玉の状態で上昇搬送させておらず、この搬送中における麺玉の絡みが緩むことがない。また麺線群が上り傾斜経路を移動中に、搬送方向を波状に屈曲した上り傾斜経路により、麺線群が左右横方向に伸縮がかけられて、手もみ類似な作用が得られる。麺線間に予め打ち粉が混入されているときにはこの打ち粉が各麺線に均一に付着されて麺線同士の接着防止が促進される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例の麺玉形成袋入れ装置を示す側面図である。
【図2】麺玉形成袋入れ装置の平面図である。
【図3】上り傾斜経路の一部を示す拡大図である。
【図4】処理された袋入り麺玉製品の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して詳細に説明する。
図1及び図2において、麺玉形成袋入れ装置100は、麺線切り出し機101から一定長さに切り揃えられた麺線群wを前方a1へ搬送する搬送手段1と、麺線群wを丸め処理して麺玉w1を形成する麺玉形成部2と、これの送出位置b1に移動された麺玉w1を袋c1内に収納する袋収納部3とを備えている。
【0011】
搬送手段1は、上り傾斜経路4と、上り傾斜経路4の搬送上流側(入り口側)に上流側水平経路5と、上り傾斜経路4の搬送下流側(出口側)に下流側水平経路6とを具備する。
【0012】
下側の無端状ベルト7は、上流側水平経路5及び上り傾斜経路4にかけて、矢印方向f1に周回移動可能に掛け回されている。10、11、12、13、14、15,16、17は図示しない機枠に支持された案内車である。案内車10、11、12、13、14、15は従動車であり、案内車16は駆動車である。案内車11、12、13、14、1516は、上り傾斜方向g1に沿って配置されており、また、案内車17は無端状ベルト7に常時、緊張力を付与する。
【0013】
上側の無端状ベルト8は、上り傾斜経路4において下側の無端状ベルト7と一対となるベルトであり、下側の無端状ベルト7と対面して重なり合うように、案内車11、12、13、14、15,16及び、案内車18、19、20に矢印方向f2の周回移動可能に巻き掛けられている。案内車18は案内車16に連動して回転駆動されるものであり、また案内車19、20は無端状ベルト8に常時、適当な緊張力を付与する。後側の無端状ベルト9は、下流側水平経路6の上向き搬送面e1を形成している。
【0014】
図3は、上り傾斜経路4を拡大して示しているが、下側の無端状ベルト7の傾斜部の上向き搬送面d1と、上側の無端状ベルト8の傾斜部の下向き搬送面d2とを重ね合わせて、案内車11、12、13、14、15,16を縫うようにジグザグに掛け回わしている。案内車17、19、20による各ベルト7、8の緊張力で互いに近接する側へ付勢された状態とされている。これら上下側の無端状ベルト7、8の傾斜部の上向き搬送面d1と下向き搬送面d2との間箇所が上り傾斜経路4とされているのであり、したがって上り傾斜経路4はこれの傾斜方向g1を波状に屈曲されたものとなっている。
【0015】
このような上昇(或いは下降)の搬送過程に用いる波状の搬送路の技術は、例えば特許文献3に示されるように、紙幣を搬送するベルトコンベアに良く見られる。このようなベルトコンベアを本実施例に適用する場合においては、案内車11、12、13、14、15,16は麺線群wの麺線の長さ(例えば30cm)より小さいピッチで配列するのが好ましい。このようにすることにより、上り傾斜経路4上を搬送される麺線群wの各麺線は傾斜方向g1に直交する方向から見たときに、常に何れかの案内車11、12、13、14、15,16の外周面上に円弧状となって位置して、無端状ベルト7、8からその搬送力を的確に伝達されるようになり、各麺線群wは無端状ベルト7、8との間に滑りを生じない状態で確実に上方へ搬送される。また水平面に対する傾斜方向g1の角度は50度以上から90度(垂直)に設定するのが、搬送手段1全体の水平方向長を小さくする上で効果的である。また各案内車11、12、13、14、15,16の直径は例えば10cm以下にするのがよい。これにより案内車11、12、13、14、15,16の存在箇所の上り傾斜経路4部分の曲率を適当な大きさとすることができ、該経路4上を搬送される各麺線群wの全ての麺線の全長範囲の各部に効果的な繰り返し曲げ処理を付与することができる。
【0016】
後側の無端状ベルト9は、図示しない機枠に支持された複数の案内車21、22に矢印方向f3の周回移動可能に巻き掛けられている。案内車22は図示しない電動モータで回転駆動される。
【0017】
上記麺玉形成部2は、無端状ベルト9の後部と、左右一対の麺案内車23a、23bと、左右一対の前後向き案内板24a、24bと、丸めローラ25とを備えている。左右一対の麺案内車23a、23bは、無端状ベルト9の上向き搬送面e1上の後部の左右側に無端状ベルト9の左右幅中央線を対称に配置され、それぞれの垂直方向の中心軸g1、g2回りの矢印方向i1、i2へ回転駆動されるものとなっている。各麺案内車23a、23bの回転は案内車22に連動する機構とするのが好ましいのであり、このようにすると、無端状ベルト9で搬送される麺線群wの搬送速度に比例して各麺案内車23a、23bを回転させる。
【0018】
左右一対の前後向きの案内板24a、24bは、それぞれ長方形板であり、無端状ベルト9の後部の上向き搬送面e1上に麺案内車23a、23bに続いて配置されている。案内板24a、24bの対向側の面は摩擦係数の小さい案内面であり、丸めローラ25の左右幅にほぼ合致した距離だけ左右方向へ離間している。
【0019】
丸めローラ25は、円筒状の外周面を有する本体部25a、及び、これの中心に固定された回転軸25bを具備し、本体部25aの下部が一対の前後向き案内板24a、24bの間で一対の麺案内車23a、23bの前側上方となる位置に配置され回転軸25bは左右向きである。回転軸25bは、図示しない機枠に左右向き支軸26回りの上下揺動可能に装着されたアーム部材27の先端に軸受を介して回転のみ自在に支承されている。そして回転軸25bは図示しない電動モータから正逆任意な回転を付与されるものとなっており、本体部25aは回転軸25bと同体状に回転される。アーム部材27は空気圧シリンダ装置などの適宜な駆動手段28により上下揺動される構成とされている。駆動手段28は、無端状ベルト9の後部上方の図示しない機枠に固設されたセンサ29が麺線群wの後端を検出することで、丸めローラ25を予め設定された一定時間の間、上方へ揺動させ、他の期間中は図示のように下方へ降下された状態を保持させる構成とされている。
【0020】
袋収納部3は上流側水平経路5の搬送始点7aと、下流側水平経路6をなす無端状ベルト9の上向き搬送面e1との間範囲に形成されており、縦向き誘導筒30を備えている。この縦向きの誘導筒30は麺玉形成部2における麺玉w1の送出位置b1の真下位置に形成された図示しない機枠に固定され、上方から落下する麺玉w1を袋c1内に誘導する。誘導筒30の下部の箇所30aは、袋c1の開口を一時的に固定し、袋c1内部に連通状態に保持する。箇所30aへの袋c1の着脱は人手で行うようにしてもよいし、或いは、適宜な自動着脱機械を設けて自動的に行っても良い。
【0021】
次に上記実施例の麺玉形成袋入れ装置100の動作について説明する。
麺玉形成袋入れ装置100の各部を作動状態とした上で、線切り出し機101から、麺線群wを無端状ベルト7の搬送始点7a上に適当な時間間隔を置いて間歇的に供給させる。各麺線群wは、搬送方向a1に沿った多数本の麺線が左右方向へ単層状に配列された状態で、上流側水平経路5の上向き搬送面d1上に供給される。
【0022】
各麺線群wは上流側水平経路5を経た後、上り傾斜経路4に到達する。上り傾斜経路では、各麺線群wの麺線が外周面を無端状ベルト7と無端状ベルト8により挟まれ弾圧力で押圧されつつ、無端状ベルト7、8と一体状になって傾斜方向g1の前方へ搬送される。このように搬送される各麺線群wの全ての麺線は上り傾斜経路4が波状であることから該傾斜経路4上を滑り落ちることなく、またその搬送過程において麺線の全長範囲の各箇所を繰り返し屈曲されることで、手もみ類似の処理がされる。このもみ処理により麺線間に予め打ち粉が混入されているときにはこの打ち粉が各麺線に均一に付着されて麺線同士の接着防止が促進される。
【0023】
次に各麺線群wは上り傾斜経路4を経た後、下流側水平経路6上の搬送始点に次々と送り出される。下流側水平経路6はこれら各麺線群wを搬送始点7aでの麺線の配列状態を維持されたまま受け取り、さらに同じ姿勢を保持しつつ搬送終点9bへ向け移動させる。
【0024】
この移動により、各麺線群wは麺玉形成部2に順次に到達し、まず麺案内車23a、23bの外周面に接触しで無端状ベルト9の上向き搬送面e1上の左右幅中央位置に押し寄せられて前後向き姿勢の狭巾状に集められ、続いて該上向き搬送面e1の移動に伴って左右の前後向き案内板24a、24bの間領域に移動され、ここで回転軸25b回りの正方向(図1中の右回り方向)へ回転駆動されている丸めローラ25の外周面に押し当てられロール巻き状に巻き上げられる。この巻き上げ中にセンサ29が巻き上げ処理中の麺線の後端を検出すると、この検出に関連して、アーム部材27は上方揺動され、これに伴って、丸めローラ25は上向き搬送面e1に近接した状態から上方へ一定距離(麺玉の直径より僅かに小さい距離)だけ離間される。この離間動作終了時点まで、麺線群wは丸めローラ25の本体部25aの外周面の後部に接触した状態で丸め処理を継続される。丸めローラ25が前記一定距離の高さに到達したことに関連して、丸めローラ25は自動的に逆方向(図1中の左回り方向)へ一時的に回転駆動され、この回転駆動により、麺玉w1は無端状ベルト9及び丸めローラ25の前方送り作用でこれら無端状ベルト9及び丸めローラ25の間を経て僅かに弾圧された状態で送出位置b1まで送り出され、そのまま誘導筒30に落下する。麺玉に形成された直後に自然落下するため、麺が型崩れする間も無く袋c1内へ収納される。この後、アーム部材27は下方揺動され、丸めローラ25は元位置に復帰され次の作動に備える。
【0025】
こうして一定数(例えば5個)の麺玉w1が袋c1内に進入したとき、この麺玉w1入り袋c1は、次の麺玉w1が縦向き誘導筒30を通過するまでに、誘導筒30から人為的或いは機械により取り外される。そして、別の袋c1が誘導筒30に固定される。
【0026】
誘導筒30から取り外された麺玉w1入りの各袋c1は図4に示すようにその開口を溶着j1などにより封止されて複数食分の麺玉w1が収納された麺玉入り製品となる。或いは、誘導筒30に取り付けた状態のままで、封止装置31(図1)により溶着j1しても良い。
【0027】
上記実施例は次のように変形できる。
a:上記実施例では上流側水平経路5と上り傾斜経路4は無端状ベルト7を共用しているが、これに代えて、それぞれに、独立の無端状ベルトを設けることも差し支えない。
b:麺玉形成部2は、各麺線群wを麺玉w1に形成して送出位置b1に送り出すものであればよいのであって、例えば、無端状ベルト9、麺案内車23a、23b及び前後向き案内板24a、24bを具備していない特許文献2に開示されているようなものであってもよい。
c:上記実施例の麺玉形成部2では、丸めローラ25で巻き上げられた麺玉w1が丸めローラ25から直ちに空中の送出位置b1に送り出されるようにされているが、厳密に同じ場所でなくても良い。但し、丸めローラ25から送出位置b1が離れるに従って、麺玉w1の型くずれの程度は大きくなる。
【符号の説明】
【0028】
a1 前方(搬送方向)
b1 送出位置
c1 袋
e1 上向き搬送面
e2 下向き搬送面
g1 傾斜方向
w 麺線群
w1 麺玉
1 搬送手段
2 麺玉形成部
3 袋収納部
4 上り傾斜経路
5 上流側水平経路
6 下流側水平経路
7 下側の無端状ベルト
8 上側の無端状ベルト
9a 搬送手段1の前部
11、12、13、14、15、16 案内車
25 丸めローラ
30 誘導筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上り傾斜方向に沿って配置された複数の案内車に対して、互いに重なり合わされてジグザグに掛け回された一対の無端状ベルトであって、搬送方向を長さ方向として一定長さに切りそろえられた麺線群を互いの間に挟み込んで上昇搬送する一対の無端状ベルトと、
前記一対の無端状ベルトにより上昇搬送させられた前記麺線群を丸めて麺玉に形成する麺玉形成部と、
前記麺玉を自然落下させて袋内に受け止める袋収納部とを備えたことを特徴とする麺玉形成袋入れ装置。
【請求項2】
請求項1において、前記複数の案内車は、前記麺線群の一定長さよりも短いピッチで配列されることを特徴とする麺玉形成袋入れ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−56600(P2012−56600A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201535(P2010−201535)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(592230645)ヒラヤマプロダクツ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】