説明

麺類包装用容器

【課題】流水で締めて水切りを行うことができ、しかも、流水で締めた後は、麺を移し替える必要がなく、そのままの状態で麺を食することができる麺類包装用容器を提供する。
【解決手段】各コーナ部が円弧状に湾曲した平面略長方形のトレー状の容器本体10と、この容器本体10の一方の短辺側にミシン目付きのヒンジ部1Aを介して開閉可能に連設された蓋体20とから構成されている。蓋体20は、容器本体10の開放された上端開口部の半分弱の面積を有する注水用開口部Mが容器本体10の長手方向の片側に形成されるように、開放された上端開口部を部分的に閉塞する大きさを有しており、蓋体20には、直径が2〜5mm程度の円形の多数の水抜き用小孔21aが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、麺を水で締めて食する冷麺、素麺、ざるそば、冷やしうどん等の冷製麺類を収容するのに適した麺類包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の麺類包装用容器としては、例えば、図12(a)、(b)に示すように、上面が開放されたトレー状の麺類包装用容器50がある。この麺類包装用容器50は、茹でた麺Nを収容した状態で内袋に密封包装し、液体つゆや加薬を充填した小袋と共に外袋に密封包装した状態で冷凍して保管、陳列販売するようになっており、底面には、水切り用のざるとして使用することができるように、多数の水抜き用小孔51が形成されている。
【0003】
購入者が麺Nを食する際は、外袋を開封して、内袋を開封することなくそのままの状態で電子レンジに入れて凍った麺Nを解凍し、麺Nがある程度柔らかくなった時点で電子レンジから取り出して内袋を開封し、麺Nが入った麺類包装用容器50内に水を注ぎながら麺Nを締めた後、水切りを行った麺Nを丼等の別の器に移し替えて液体つゆをかけると共に加薬等をふりかけることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−219784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この麺類包装用容器50は、上述したように、麺Nを流水で締める際、水切り用のざるとして使用することができるので、水切り用のざるを別途用意する必要はないが、水切りを行った麺Nを別の容器に移し替えなければならないので、麺Nを移し替えるための器を別途用意しなければならないという問題がある。
【0006】
こういった問題を解決するには、底面に多数の水抜き用小孔が形成されたトレー状の水切り用ざると、この水切り用ざるが嵌合する一回り大きいトレー状の容器本体とによって麺類包装用容器を構成し、容器本体を取り外して、麺の入った水切り用のざるに水を注ぎながら麺を締めた後、取り外した容器本体に水切りを行った麺を移し替えるようにすることが考えられるが、麺類包装用容器の製造コストが高くなると共に麺を移し替えるための手間がかかるという問題があり、概ね同様の大きさを有する水切り用ざると容器本体との双方を廃棄することになるので、廃棄ゴミが増えるという問題もある。
【0007】
そこで、この発明の課題は、流水で締めて水切りを行うことができ、しかも、流水で締めた後は、麺を移し替える必要がなく、そのままの状態で麺を食することができる麺類包装用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、麺類を収容する麺類包装用容器であって、上面が開放された容器本体と、前記容器本体の開放された上面を、片側に注水用開口部が形成されるように部分的に閉塞する、前記容器本体に着脱自在に装着される蓋体とを有し、前記蓋体には、多数の水抜き用小孔が形成されていることを特徴とする麺類包装用容器を提供するものである。
【0009】
また、上記の課題を解決するため、請求項2に係る発明は、麺類を収容する麺類包装用容器であって、上面が開放された容器本体と、前記容器本体の開放された上面を、片側に注水用開口部が形成されるように部分的に閉塞する、前記容器本体の上端部に開閉可能に連設された蓋体とを有し、前記蓋体には、多数の水抜き用小孔が形成されていることを特徴とする麺類包装用容器を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
以上のように構成された請求項1に係る発明の麺類包装用容器では、麺を収容した容器本体に蓋体を取り付け、容器本体の上面に形成された注水用開口部が上側を、蓋体が下側を向くように、容器本体を斜めに立てた状態で、上側に位置している注水用開口部から流水を注ぎ込んで、蓋体に形成された多数の水抜き用小孔から排水しながら麺を流水で締めた後、水切りを行って蓋を取り外すと、水切りされた麺が容器本体に収容された状態となっているので、麺を別の器に移し替えるための手間がなく、麺を移し替えるための器を別途用意する必要もない。
【0011】
また、以上のように構成された請求項2に係る発明の麺類包装用容器では、麺を収容した容器本体の開放された上面を、容器本体に連設された蓋体を閉じることによって部分的に閉塞し、容器本体の上面に形成された注水用開口部が上側を、蓋体が下側を向くように、容器本体を斜めに立てた状態で、上側に位置している注水用開口部から流水を注ぎ込んで、蓋体に形成された多数の水抜き用小孔から排水しながら麺を流水で締めた後、水切りを行って蓋を開くと、水切りされた麺が容器本体に収容された状態となっているので、麺を別の器に移し替えるための手間がなく、麺を移し替えるための器を別途用意する必要もない。
【0012】
また、蓋体は容器本体に比べて扁平で小さいので、概ね同様の大きさを有する水切り用ざると容器本体とによって麺類包装用容器を構成する場合に比べて、麺類包装用容器の製造コストを抑えることができると共に、使用後の廃棄ゴミを最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明に係る麺類包装用容器の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】(a)は同上の麺類包装用容器を示す平面図、(b)は同上の麺類包装用容器を示す正面図、(c)は同上の麺類包装用容器を示す左側面図、(d)は同上の麺類包装用容器を示す右側面図である。
【図3】(a)は同上の麺類包装用容器の蓋体を閉じた状態を示す平面図、(b)は同上の麺類包装用容器の蓋体を閉じた状態を示す正面図、(c)は同上の麺類包装用容器の蓋体を閉じた状態を示す側面図である。
【図4】図3(a)のX−X線に沿った部分断面図である。
【図5】同上の麺類包装用容器の使用方法を説明するための説明図である。
【図6】同上の麺類包装用容器の使用方法を説明するための説明図である。
【図7】同上の麺類包装用容器の使用方法を説明するための説明図である。
【図8】同上の麺類包装用容器における容器本体の変形例を示す側面図である。
【図9】(a)は蓋体の変形例が装着された麺類包装用容器を示す斜視図、(b)は容器本体に対する蓋体の嵌合状態を示す部分断面図である。
【図10】他の実施形態である麺類包装用容器を示す分解斜視図である。
【図11】他の実施形態である麺類包装用容器を示す平面図である。
【図12】(a)は従来例を示す平面図、(b)は同上の従来例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、麺を水で締めて食する冷麺、素麺、ざるそば、冷やしうどん等の冷製麺類を収容する麺類包装用容器1を示している。この麺類包装用容器1は、図1、図2(a)〜(d)及び図3(a)〜(c)に示すように、各コーナ部が円弧状に湾曲した平面略長方形のトレー状の容器本体10と、この容器本体10に開閉可能に連設された蓋体20とから構成されており、容器本体10及び蓋体20は、電子レンジで解凍する際に自己発熱して溶融しない素材、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等からなる熱可塑性合成樹脂によって形成されている。
【0015】
前記容器本体10は、底壁11の周縁から立ち上がる周壁12の上端部に、一回り大きい段部13が形成されていると共に、その段部13の上端縁からフランジ14が外側に張り出しており、容器本体10の一方の短辺側のフランジ14の直線部分の外縁に、蓋体20がミシン目付きのヒンジ部1Aを介して連設されている。
【0016】
前記蓋体20は、直径が2〜5mm程度の円形の多数の水抜き用小孔21aが形成された蓋板21と、この蓋板21の周縁部に形成された、容器本体10の段部13に内嵌合される嵌合部22と、この嵌合部22の上端縁から外側に張り出すフランジ23とから構成されており、容器本体10の開放された上端開口部の半分弱の面積を有する注水用開口部Mが容器本体10の長手方向の片側に形成されるように、開放された上端開口部を部分的に閉塞する大きさを有している。
【0017】
蓋体20は、図4に示すように、その嵌合部22が容器本体10の段部13に内嵌合されることによって、容器本体10に保持されるようになっているが、蓋体20の先端縁は、容器本体10の段部13に嵌合することはないので、容器本体10に対する蓋体20の嵌合がより堅くなるように、容器本体の段部13における蓋体20の先端コーナ部に対応する部分には、蓋体20の嵌合部22が係合する突起15が形成されている。
【0018】
図5に示すように、上述した冷麺、素麺、ざるそば、冷やしうどん等の麺Nは、茹でた状態で麺類包装用容器1の容器本体10に収容され、蓋体20を閉じて容器本体10の上端開口部を部分的に閉塞した状態で内袋に密封包装され、液体つゆや加薬を充填した小袋と共に外袋に密封包装した状態で冷凍して保管、陳列販売される。
【0019】
購入者が麺を食する際は、まず、外袋を開封して、内袋を開封することなくそのままの状態で電子レンジに入れて凍った麺Nを解凍し、麺Nがある程度柔らかくなった時点で電子レンジから取り出して内袋を開封する。
【0020】
続いて、内袋から取り出した麺類包装用容器1を、図6に示すように、容器本体10の上面開口部に形成された注水用開口部Mが上側を、蓋体20が下側を向くように、容器本体10を斜めに立てた状態で、上側に位置している注水用開口部Mから流水を注ぎ込んで、蓋体20に形成された多数の水抜き用小孔21aから排水しながら麺Nを流水で締める。
【0021】
最後に、水切りを行って蓋体20を開き、蓋体20をミシン目付きのヒンジ部1A部分で容器本体10から切り離すと、図7に示すように、容器本体10に水切りされた麺Nが収容された状態となっているので、麺を他の器に移し替えることなく、容器本体10に収容された麺に液体つゆをかけると共に加薬等をふりかけ、そのままの状態で食することができる。
【0022】
以上のように、この麺類包装用容器1は、解凍した麺を流水で締める際には、水切り用のざるとして使用することができると共に、麺を流水で締めた後は、蓋体20を容器本体10から切り離して、器としても使用することができるので、麺を別の器に移し替えるための手間がなく、麺を移し替えるための器を別途用意する必要もないので、使い勝手がよい。
【0023】
また、蓋体20は容器本体10に比べて扁平で小さいので、概ね同様の大きさを有する水切り用ざると容器本体とによって麺類包装用容器を構成する場合に比べて、麺類包装用容器の製造コストを抑えることができると共に、使用後の廃棄ゴミを最小限に抑えることができる。
【0024】
なお、上述した実施形態では、蓋体20がミシン目付きのヒンジ部1Aを介して容器本体10に連設されているが、蓋体20は容器本体10から切り離さなくても、器として使用することはできるので、ミシン目付きのヒンジ部1Aに代えて、破断用のミシン目が形成されていない通常のヒンジ部を採用することも可能である。
【0025】
また、上述した実施形態では、多数の水抜き用小孔21aを蓋板21の周縁を除いて略均等に配置しているが、これに限定されるものではなく、例えば、容器本体10の長手方向の中央部側(蓋体20の先端部側)における水抜き用小孔21aの形成密度を大きくしておくと、麺を流水で締めるために、図6に示すような状態で使用する際、注水用開口部Mから容器本体10に注ぎ込んでいる流水量が多少多くなっても、容器本体10内における水位が最上位の水抜き用小孔21aの形成位置よりも上昇しにくく、蓋体20の先端側から溢れにくくなるので、麺の流出を抑えることができる。
【0026】
また、上述した実施形態では、水抜き用小孔21aを蓋体20にだけ形成しているが、これに限定されるものではなく、例えば、図8に示すように、容器本体10における蓋体20の連設端側の周壁12の上端部にも水抜き用小孔12aを形成しておくことで、さらに水抜き効果を高めることができる。
【0027】
また、上述した実施形態では、直径が2〜5mm程度の円形の水抜き用小孔21a、12aを蓋体20や容器本体10に形成しているが、水抜き用小孔21a、12aの孔径や形状は特に限定されるものではなく、収容する麺類の太さや形状等に応じて適宜設定すればよい。
【0028】
また、上述した各実施形態では、蓋体20の嵌合部22が容器本体10の段部13に内嵌合されるようになっているが、これに限定されるものではなく、例えば、図9(a)、(b)に示すように、側面部分だけにフランジ23の先端縁から垂下する垂下片24を連設し、内嵌合だけではなく、外嵌合を併用するようにしてもよく、さらに、内嵌合に代えて外嵌合を採用したり、部分的な凹凸嵌合を採用したりすることも可能である。
【0029】
また、上述した麺類包装用容器1のように、蓋体が開閉可能に容器本体に連設される場合は、手で押さえることによって、蓋体を容器本体に保持することができるので、必ずしも、蓋体を容器本体に嵌合させて保持する必要はない。
【0030】
また、上述した実施形態では、容器本体10の上端開口部の半分強の面積を閉塞する大きさの蓋体20を採用しているが、蓋体20の大きさは特に限定されるものではなく、十分な注水用開口部Mを確保することができるのであれば、蓋体20はできるだけ大きい方が望ましい。
【0031】
また、蓋体20は、必ずしも、容器本体10に連設されている必要はなく、例えば、図10に示す麺類包装用容器2のように、容器本体10に着脱可能な独立した蓋体20Aを採用することも可能である。ただし、麺類包装用容器1のように、蓋体20が容器本体10に連設されていると、麺を流水で締めるために、図6に示すような状態で使用する際、少なくとも、蓋体20の下端部(基端部)が容器本体10から外れることがなく、容器本体10の下端からの麺の流出を確実に防止することができる。
【0032】
また、上述した各実施形態では、蓋体20、20Aが、容器本体10の開放された上端開口部の半分弱の面積を有する注水用開口部Mが容器本体10の長手方向の片側に形成されるように、開放された上端開口部を部分的に閉塞する大きさを有しているが、これに限定されるものではなく、例えば、図11に示す麺類包装用容器3のように、容器本体10の上端部の全周にわたって嵌合する、容器本体10の上端開口部と略同一サイズの蓋体20Bを採用し、この蓋体20Bに注水用開口部Mを形成するようにしてもよい。
【0033】
また、上述した各実施形態では、各コーナ部が円弧状に湾曲した平面略長方形のトレー状の容器本体10を採用しているが、これに限定されるものではなく、例えば、丼形状やお椀形状の容器本体を採用することも可能である。
【0034】
また、上述した実施形態では、麺を流水で締めて食する冷麺、素麺、ざるそば、冷やしうどん等の冷製麺類を収容する麺類包装用容器1について説明したが、本発明の麺類包装用容器は、流水で締めた後、暖かいつゆをかけて食する麺類を収容する麺類包装用容器として使用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、麺を水で締めて食する冷麺、素麺、ざるそば、冷やしうどん等の冷製麺類を収容する麺類包装用容器として利用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1、2、3 麺類包装用容器
1A ミシン目付きのヒンジ部
10 容器本体
11 底壁
12 周壁
12a 水抜き用小孔
13 段部
14 フランジ
15 突起
20、20A、20B 蓋体
21 蓋板
21a 水抜き用小孔
22 嵌合部
23 フランジ
24 垂下片
M 注水用開口部
N 麺

【特許請求の範囲】
【請求項1】
麺類を収容する麺類包装用容器であって、
上面が開放された容器本体と、
前記容器本体の開放された上面を、片側に注水用開口部が形成されるように部分的に閉塞する、前記容器本体に着脱自在に装着される蓋体と
を有し、
前記蓋体には、多数の水抜き用小孔が形成されていることを特徴とする麺類包装用容器。
【請求項2】
麺類を収容する麺類包装用容器であって、
上面が開放された容器本体と、
前記容器本体の開放された上面を、片側に注水用開口部が形成されるように部分的に閉塞する、前記容器本体の上端部に開閉可能に連設された蓋体と
を有し、
前記蓋体には、多数の水抜き用小孔が形成されていることを特徴とする麺類包装用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−71864(P2012−71864A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218127(P2010−218127)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】