説明

麻薬性および非麻薬性鎮痛剤の組み合わせ

本発明は、麻薬性鎮痛剤および非麻薬性鎮痛剤を含む配合物、該配合物の使用法および調製法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対するクロスリファレンス
本出願は、35U.S.C.§119(e)のもとに、2007年3月16日出願の米国仮出願第60/895,155号に優先権を請求し、該出願の開示は本明細書に援用される。
発明の分野
本発明は、麻薬性および非麻薬性鎮痛剤の送達に有用な配合物に関する。
【発明の概要】
【0002】
本発明にしたがって:(A)麻薬性鎮痛剤;および(B)非麻薬性鎮痛剤を含む配合物を提供する。
本発明の別の側面は、麻薬性鎮痛剤の作用期間が非麻薬性鎮痛剤のものとマッチするように、麻薬性鎮痛剤および非麻薬性鎮痛剤が放出される、麻薬性鎮痛剤および非麻薬性鎮痛剤を含む配合物である。
【0003】
本発明のさらに別の側面は、麻薬性鎮痛剤および非麻薬性鎮痛剤を含む配合物を患者に送達する工程を含む、疼痛治療法の提供である。
本発明のさらなる側面は、麻薬性鎮痛剤および非麻薬性鎮痛剤を混合する工程を含む、疼痛治療において有用な配合物を調製するための方法の提供である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本発明の配合物は、麻薬性鎮痛剤および非麻薬性鎮痛剤を含む。本出願の目的のため、用語「麻薬性鎮痛剤」には、麻薬性鎮痛剤の前駆体、同族体(congener)、塩、複合体、類似体、および誘導体が含まれ、そして用語「非麻薬性鎮痛剤」には、非麻薬性鎮痛剤の前駆体、同族体、塩、複合体、類似体、および誘導体が含まれる。
【0005】
麻薬静鎮痛剤は、薬学的に有効な量で組成物中に存在する。「薬学的に有効な量」は、活性化合物に関して本出願において用いる際、そのために該化合物が投与された特定の薬理学的応答が、こうした治療が必要な被験体の有意な数で示されるのを可能にする量で、該化合物が存在することを意味する。ある量が「薬学的に有用な量」と見なされうるとしても、特定の例で特定の被験体に投与した際に、望ましい薬理学的応答が得られない可能性もある場合もありうることが理解される。
【0006】
指針の目的のため、大部分の適用は、約0.5mg〜約1000mg、約0.5mg〜約800mg、約1mg〜約600mg、1mg〜約200mg、約1mg〜約150mg、または約1mg〜約100mgの量の麻薬性鎮痛剤の使用を伴うと考えられる。
【0007】
本発明の実施中に用いてもよい麻薬性鎮痛剤の例には、オキシコドン、オキシモルホン、コデイン、モルヒネ、ヒドロモルホン、レボルファノール、メタドン、メペリジン、ブトルファノール、アルフェンタニル、スフェンタニル、フェンタニル、プロポキシフェン、レボメタジル、レミフェンタニル、トラマドールおよびヒドロコドンが含まれる。
【0008】
非麻薬性鎮痛剤は、薬学的に有効な量で組成物中に存在する。指針の目的のため、大部分の適用は、約0.5mg〜約1000mg、約0.5mg〜約800mg、約1mg〜約600mg、1mg〜約200mg、約1mg〜約150mg、または約1mg〜約100mgの量の非麻薬性鎮痛剤の使用を伴うと考えられる。
【0009】
本発明の実施中に使用可能な非麻薬性鎮痛剤の例には、アスピリン、イブプロフェン、アセトアミノフェン、NSAIDおよびCOXII薬剤が含まれる。
本発明の態様において、少なくとも1つの活性化合物(麻薬性鎮痛剤または非麻薬性鎮痛剤)が、ナノ粒子中に含有される。配合物中の粒子が、適切な方法、例えば沈降流分画、光子相関分光、光散乱法、ディスク遠心分離、または当業者に知られる他の技術によって測定した際、約2000nm未満の有効平均粒子サイズを有する場合、「ナノ粒子状」配合物であると言われる。「有効平均粒子サイズ」は、配合物中の粒子の平均粒子サイズを指す。個々の粒子は「ナノ粒子」として知られる。ナノ粒子は、活性化合物および表面修飾剤を含む。表面修飾剤は、ナノ粒子の表面と会合し、そしてナノ粒子が他のナノ粒子と集塊する(agglomerating)のを防止する。1より多い表面修飾剤を用いてもよい。
【0010】
当該技術分野において、ナノ粒子状投薬型は、非ナノ粒子状投薬型の同じ薬剤と比較した際、改善された生物学的利用能を示すことが知られる。これは、投薬型に含有される薬剤の溶解速度が、投薬型の表面積が増加する際には増加するためである。ナノ粒子状投薬型は比較的広い表面積を有し、そしてしたがって、そこに含有される薬剤に関して改善された溶解を示す。
【0011】
本発明の態様において、配合物中のナノ粒子は、上述のものなどの方法によって測定した際、約2000nm未満の有効平均粒子サイズを有する。本発明の多様な他の態様において、ナノ粒子は、約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約75nm未満、または約50nm未満の有効平均粒子サイズを有する。
【0012】
測定の別の型として、「D50」は、粒子サイズに言及して用いられる場合、上述のものなどの方法を用いて測定した際、そのサイズより下に粒子の50%が属する粒子サイズを指す。同様に、「D90」は、粒子サイズに言及して用いられる場合、上述のものなどの方法を用いて測定した際、そのサイズより下に粒子の90%が属する粒子サイズを指す。
【0013】
用いる表面修飾剤は、特に、関心対象の特定の活性化合物を含有するナノ粒子と、他のナノ粒子との集塊を防止可能なものでなければならない。本質的に、本発明の実施中、関心対象の活性化合物(麻薬性鎮痛剤または非麻薬性鎮痛剤)を含有するナノ粒子の表面と会合し、そして別のナノ粒子との集塊を防止することが可能な、任意の表面修飾剤を用いてもよい。適切な表面修飾剤の例には、ゼラチン、カゼイン、レシチン、アラビアゴム、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリル、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン・ヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレン・ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ステアリン酸ポリオキシエチレン、コロイド状二酸化ケイ素、ホスフェート、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、非晶質セルロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸化エチレン−酸化プロピレンブロックコポリマー(例えばポロキサマー)、ジオクチルスルホスクシネート、ラウリル硫酸ナトリウム、デキストラン、酸化エチレンおよびホルムアルデヒドを伴う4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノールポリマー、ポロキサミン、アルキルアリールポリエーテルスルホネート、ステアリン酸スクロースおよびジステアリン酸スクロースの混合物、p−イソノニルフェノキシポリ−(グリシドール)、グルカミド、グルコプラノシド(glucopuranosides)、マルトシド、グルコシド、PEG−リン脂質、PEG−コレステロール、PEG−コレステロール誘導体、PEG−ビタミンA、PEG−ビタミンE、リゾチーム、ビニルピロリドンおよび酢酸ビニルのランダムコポリマー、ポリマー、バイオポリマー、多糖、セルロース誘導体、アルギネート、リン脂質、双性イオン性安定化剤、ピリジニウム化合物、オキソニウム化合物、ハロニウム化合物、陽イオン性有機金属化合物、四級リン化合物、アニリニウム化合物、アンモニウム化合物、キトサン、ポリリジン、ポリビニルイミダゾール、ポリブレン、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロミドブロミド(PMMTMABr)、ヘキシルデシルトリメチルアンモニウムブロミド(HDMAB)、ポリビニルピロリドン−2−ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチルサルフェート、陽イオン性脂質、スルホニウム、ホスホニウム、コリンエステル、塩化ステアラルコニウム化合物、臭化または塩化セチルピリジニウム、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、アルキルピリジニウム塩、アミン、アミン塩、イミドアゾリニウム塩、プロトン化四級アクリルアミド、メチル化四級ポリマー、陽イオン性グアー、およびカルボニウム化合物が含まれる。
【0014】
表面修飾剤がアンモニウム化合物である態様において、修飾剤は、一級アンモニウム化合物、二級アンモニウム化合物、三級アンモニウム化合物、または四級アンモニウム化合物であってもよい。四級アンモニウム化合物は、式、NR(+)のものであってもよく、式中:
(i)R〜RのいずれもCHではないか;
(ii)R〜Rの1つがCHであるか;
(iii)R〜Rの3つがCHであるか;
(iv)R〜RのすべてがCHであるか;
(v)R〜Rの2つがCHであり、R〜Rの1つがCCHであり、そしてR〜Rの1つが炭素原子7個以下のアルキル鎖であるか;
(vi)R〜Rの2つがCHであり、R〜Rの1つがCCHであり、そしてR〜Rの1つが炭素原子19個以上のアルキル鎖であるか;
(vii)R〜Rの2つがCHであり、そしてR〜Rの1つがC(CH)n基であり、式中、n>1であるか;
(viii)R〜Rの2つがCHであり、R〜Rの1つがCCHであり、そしてR〜Rの1つが少なくとも1つのヘテロ原子を含むか;
(ix)R〜Rの2つがCHであり、R〜Rの1つがCCHであり、そしてR〜Rの1つが少なくとも1つのハロゲンを含むか;
(x)R〜Rの2つがCHであり、R〜Rの1つがCCHであり、そしてR〜Rの1つが少なくとも1つの環状フラグメントを含むか;
(xi)R〜Rの2つがCHであり、そしてR〜Rの1つがフェニル環であるか;または
(xii)R〜Rの2つがCHであり、そしてR〜Rの2つが純粋な脂肪族フラグメントである。
【0015】
こうした修飾剤の例には、限定されるわけではないが、塩化ベヘナルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベヘントリモニウム、塩化ラウラルコニウム、塩化セタルコニウム、臭化セトリモニウム、塩化セトリモニウム、セチルアミンヒドロフルオリド、塩化クロルアリルメテナミン(Quaternium−15)、塩化ジステアリルジモニウム(Quaternium−5)、塩化ドデシルジメチルエチルベンジルアンモニウム(Quaternium−14)、Quaternium−22、Quaternium−26、Quaternium−18ヘクトライト、ジメチルアミノエチルクロリド塩酸塩、塩酸システイン、ジエタノールアンモニウムPOE(10)オレチルエーテルホスフェート、ジエタノールアンモニウムPOE(3)オレイルエーテルホスフェート、獣脂塩化アルコニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウムベントナイト、塩化ステアラルコニウム、臭化ドミフェン、安息香酸デナトニウム、塩化ミリスタルコニウム、塩化ラウルトリモニウム、エチレンジアミン二塩酸塩、塩酸グアニジン、ピリドキシンHCl、イオフェタミン塩酸塩、メグルミン塩酸塩、塩化メチルベンゼトニウム、臭化ミルトリモニウム、塩化オレイルトリモニウム、ポリクォーターニウム−1、塩酸プロカイン、ココベタイン、ステアラルコニウムベントナイト、ステアラルコニウムヘクトナイト、ステアリルトリヒドロキシエチルプロピレンジアミン・ジヒドロフルオリド、獣脂塩化トリモニウム、および臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムが含まれる。
【0016】
表面修飾剤は商業的に入手可能であり、そして/または当該技術分野で知られる技術によって調製可能である。これらの表面修飾剤の大部分は既知の薬学的賦形剤であり、そしてAmerican Pharmaceutical AssociationおよびThe Pharmaceutical Society of Great Britainによって合同で出版された、Handbook of Pharmaceutical Excipients(The Pharmaceutical Press,2000)に詳細に記載されている。
【0017】
ナノ粒子内の活性化合物および表面修飾剤の相対量は非常に多様でありうる。個々の構成要素の最適な量は、例えば、選択した特定の活性化合物、親水性親油性バランス(HLB)、融点、および修飾剤の水溶液の表面張力等に応じうる。ナノ粒子内の活性化合物の濃度は、他の賦形剤を含まず、活性化合物および表面修飾剤を合わせた総乾燥重量に基づいて、重量にして、約99.5%〜約0.001%、約95%〜約0.1%、または約90%〜約0.5%で多様でありうる。表面修飾剤の濃度は、他の賦形剤を含まず、NSAIDおよび表面修飾剤を合わせた総乾燥重量に基づいて、重量にして、約0.5%〜約99.999%、約5.0%〜約99.9%、または約10%〜約99.5%で多様でありうる。
【0018】
本発明の態様において、表面修飾剤は、表面上に吸着される。
本発明の多様な態様において、ナノ粒子は、結晶(以後、「ナノ結晶」)、ペレット、ビーズ、顆粒、または球体の形であってもよい。
【0019】
本発明の態様において、配合物は、活性化合物を含むナノ粒子を含有し、そして哺乳動物被験体の血漿中でアッセイした際:同じ投薬量だが非ナノ粒子状型で投与した際の同じ活性化合物に関するCmaxよりも大きい、活性化合物に関するCmax;同じ投薬量だが非ナノ粒子状型で投与した際の同じ活性化合物に関するAUCよりも大きい、活性化合物に関するAUC;および/または同じ投薬量だが非ナノ粒子状型で投与した際の同じ活性化合物に関するTmaxよりも小さい、活性化合物に関するTmaxを示す。本発明の多様な態様において、配合物は、同じ投薬量であるが非ナノ粒子状型で投与した際の同じ活性化合物に関するCmaxより、少なくとも約50%、約100%、約200%、約300%、約400%、約500%、約600%、約700%、約800%、約900%、約1000%、約1100%、約1200%、約1300%、約1400%、約1500%、約1600%、約1700%、約1800%、または約1900%大きい、活性化合物に関するCmaxを示してもよい。本発明の多様な態様において、配合物は、同じ投薬量であるが非ナノ粒子状型で投与した際の同じ活性化合物に関するAUCより、少なくとも約25%、約50%、約100%、約125%、約150%、約175%、約200%、約225%、約250%、約275%、約300%、約350%、約400%、約450%、約500%、約550%、約600%、約700%、約750%、約800%、約850%、約900%、約950%、約1000%、約1050%、約1100%、約1150%、または約1200%大きい、活性化合物に関するAUCを示してもよい。本発明の多様な態様において、配合物は、同じ投薬量であるが非ナノ粒子状型で投与した際の同じ活性化合物に関するTmaxの約90%以下、約80%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、または約5%以下の、活性化合物に関するTmaxを示してもよい。
【0020】
本発明の1つの態様において、活性化合物はナノ粒子中に含有され、そして活性化合物に関するTmaxは、哺乳動物被験体の血漿中でアッセイした際、投与後、約6〜約8時間未満である。本発明の多様な他の態様において、活性化合物はナノ粒子中に含有され、そして活性化合物に関するTmaxは、哺乳動物被験体の血漿中でアッセイした際、投与後、約6時間未満、約5時間未満、約4時間未満、約3時間未満、約2時間未満、約1時間未満、または約30分間未満である。
【0021】
本発明の態様において、活性化合物はナノ粒子中に含有され、そして絶食状態に対して摂食状態で、ナノ粒子を含有する配合物を投与した際、吸収される活性化合物の量または薬剤吸収速度に実質的な相違がまったくない。こうした態様の利点は、これが食品の影響を実質的に排除し、そしてそれによって、被験体が食品とともにまたは食品を伴わずに配合物用量を摂取する必要がもはやないため、患者コンプライアンスを増加させることである。本発明の多様な態様において、絶食状態に対して摂食状態で投与した際に、NSAIDのAUCまたはCmaxの相違は、約60%未満、約55%未満、約50%未満、約45%未満、約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、または約3%未満である。1つの態様において、活性化合物はナノ粒子中に含有され、そして摂食状態での活性化合物の投与は、絶食状態での活性化合物の投与と生物学的に同等である。米国食品医薬品局の指針のもとでは、2つの産物または方法は、AUCおよびCmaxに関する90%信頼区間が、0.80〜1.25の間である場合、生物学的に同等である。欧州医薬品庁(EMEA)の指針のもとでは、活性化合物に関する90%信頼区間が、0.80〜1.25の間であり、そしてCmaxに関する90%信頼区間が、0.70〜1.43の間である場合、2つの産物または方法は生物学的に同等である。
【0022】
本発明の多様な態様において、配合物は、投与後、5分以内に少なくとも約20%、約30%、または約40%の活性化合物が溶解するものである。本発明の多様な態様において、配合物は、投与後、約10分以内に、少なくとも約40%、約50%、約60%、約70%、または約80%が溶解するものである。本発明の多様な態様において、配合物は、投与後、約20分以内に、少なくとも約70%、約80%、約90%、または約100%の活性化合物が溶解するものである。溶解は、好ましくは、組成物のin vivo溶解を予測する媒体、例えば0.025Mラウリル硫酸ナトリウムを含有する水性媒体中で測定される。溶解する量の決定を、分光光度法によって実行してもよい。また、回転ブレード法(European Pharmacopoeia)を用いて溶解を測定してもよい。
【0023】
被験体へのナノ粒子を含有する配合物の投与に際して、配合物中のナノ粒子は、in vivoで再分散しうる。本発明の態様において、配合物中のナノ粒子は、適切な方法、例えば光散乱法および顕微鏡によって測定した際、粒子の有効平均粒子サイズが約2000nm未満であるように、再分散する。本発明の多様な他の態様において、再分散ナノ粒子は、適切な方法、例えば光散乱法および顕微鏡によって測定した際、約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約75nm未満、または約50nm未満の有効平均粒子サイズを有する。
【0024】
配合物が、上記特性を示しうるかどうかは、生体関連水性媒体中でこの特性を示すかどうかによって立証されうる。こうした生体関連水性媒体は、ヒトの体において見られる生理学的条件に相当するイオン強度およびpHを示す任意の水性媒体であってもよい。こうした媒体は、例えば、所望のpHおよびイオン強度を示す、任意の塩、酸、または塩基の水性溶液の水性電解質溶液、あるいはその組み合わせであってもよい。生体関連pHは、当該技術分野に周知である。例えば、胃において、pH範囲は、2よりわずかに低い(しかし典型的には1より大きい)値から最大4または5までの範囲である。小腸において、pHは、4〜6の範囲でありうる。結腸において、pHは、6〜8の範囲でありうる。生体関連イオン強度もまた、当該技術分野に周知である。絶食状態胃液は、約0.1Mのイオン強度を有し、一方、絶食状態腸液は、約0.14Mのイオン強度を有する。適切なpHおよびイオン強度値は、酸、塩基、塩(sat)等の多くの組み合わせを通じて得られうる。
【0025】
活性化合物を含むナノ粒子は多様な方法によって作製可能である。こうした方法の例には、製粉、ホモジナイズ、沈降、凍結、テンプレート・エマルジョン技術、またはこれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0026】
製粉法においては、活性化合物がほとんど可溶性でない液体分散媒体(例えば、水、ベニバナ油、エタノール、t−ブタノール、グリセリン、ポリエチレングリコール(PEG)、ヘキサン、グリコール)中に活性化合物を含む粒子を分散させてもよい。次いで、機械的手段を適用して、粒子サイズを所望の有効平均粒子サイズに減少させてもよい。表面修飾剤の存在下で、活性含有粒子のサイズを減少させることも可能であるし、あるいは、サイズ減少前または後に、粒子を表面修飾剤と接触させてもよい。
【0027】
マイクロ沈降法において、活性化合物を適切な溶媒中に溶解してもよく、そして生じた組成物を、表面修飾剤を含む溶液に添加する。次いで、生じた活性含有ナノ粒子を、適切な非溶媒を用いて、溶液から沈降させてもよい。慣用的手段により、分散物の透析またはディアフィルトレーションおよび濃縮によって、形成されたいかなる塩も除去してもよい。
【0028】
ホモジナイズ法において、活性含有粒子を、第一の分散媒体中に分散させてもよい。次いで、この分散物をホモジナイズに供して、所望の有効平均粒子サイズまで、粒子サイズを減少させてもよい。こうした減少は、表面修飾剤の存在下で行ってもよいし、あるいはサイズ減少前または後に、修飾剤を粒子と接触させてもよい。
【0029】
例えば、液体内への噴霧凍結(SFL)または超迅速凍結(URF)によって、凍結によるナノ粒子の形成を達成してもよい。液体内への噴霧凍結(SFL)法において、活性化合物および表面修飾剤を含む有機または有機水性溶液を、低温液体(例えば液体窒素)内に注入する。次いで、溶液の小滴は、結晶化および粒子成長を最小限にするのに十分な速度で凍結し、したがって、活性化合物および表面修飾剤を含む所望のナノ粒子が形成される。超迅速凍結(URF)法では、活性化合物および表面修飾剤の水混和性、無水、有機、または有機水性溶液を、低温支持体上に適用する。次いで、凍結乾燥または大気凍結乾燥などの手段によって溶媒を除去し、生じたナノ構造化粒子を残す。
【0030】
テンプレート・エマルジョン法では、水中油エマルジョンを調製し、そして次いで、活性化合物および表面修飾剤を含む非水性溶液で膨張させる。次いで、溶媒および水を除去し、そして安定化されたナノ粒子を回収する。形成される粒子のサイズは、活性化合物含有溶液を装填する前のエマルジョン小滴のサイズの直接の結果である。したがって、この特性を制御し、そして最適化することも可能である。さらに、溶媒および表面修飾剤の選択によって、エマルジョンの安定性を調節可能である。
【0031】
本発明の配合物はまた、1以上の結合剤、充填剤、潤滑剤、懸濁剤、甘味料、フレーバー剤、保存剤、緩衝剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤、抗接着剤、および他の賦形剤も含んでもよい。こうした賦形剤が当該技術分野に知られる。ナノ粒子を含む粒子の使用を伴う本発明の態様において、これらの賦形剤は粒子内に存在してもよい。
【0032】
結合剤の例には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)が含まれる。
充填剤の例は、ラクトース一水和物、無水ラクトース、および多様なデンプンである。
結合剤の例は、多様なセルロースおよび架橋ポリビニルピロリドン、微結晶性セルロース、例えばAvicel(登録商標)PH101およびAvicel(登録商標)PH102、微結晶性セルロース、およびケイ化微結晶性セルロース(ProSolv SMCCTM)である。
【0033】
圧縮しようとする粉末の流動性に作用する剤を含めた、適切な潤滑剤は、Aerosil(登録商標)200などのコロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、およびシリカゲルである。
【0034】
甘味料の例は、スクロース、キシリトール、ナトリウムサッカリン、シクラメート、アスパルテーム、およびアセスルファム(acsulfame)などの任意の天然または人工甘味料である。フレーバー剤の例は、Magnasweet(登録商標)(MAFCOの商標)、バブルガムフレーバー、およびフルーツフレーバー等である。
【0035】
保存剤の例は、ソルビン酸カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸およびその塩、ブチルパラベンなどのパラヒドロキシ安息香酸の他のエステル、エチルまたはベンジルアルコールなどのアルコール、フェノールなどのフェノール系化合物、あるいは塩化ベンザルコニウムなどの四級化合物である。
【0036】
適切な希釈剤には、微結晶性セルロース、ラクトース、二塩基性リン酸カルシウム、糖類、および/または上記のいずれかの混合物などの薬学的に許容されうる不活性充填剤が含まれる。希釈剤の例には、Avicel(登録商標)PH101およびAvicel(登録商標)PH102などの微結晶性セルロース;ラクトース一水和物、無水ラクトース、およびPharmatose(登録商標)DCL21などのラクトース;Emcompress(登録商標)などの二塩基性リン酸カルシウム;マンニトール;デンプン;ソルビトール;スクロース;ならびにグルコースが含まれる。
【0037】
適切な崩壊剤には、軽度に架橋したポリビニルピロリドン、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、および加工デンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、ならびにこれらの混合物が含まれる。
【0038】
発泡剤の例は、有機酸および炭酸塩または重炭酸塩などの発泡性カップルである。適切な有機酸には、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸およびアルギン酸、ならびに無水物および酸性塩が含まれる。適切な炭酸塩および重炭酸塩には、例えば、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸グリシンナトリウム、L−リジン炭酸塩、および炭酸アルギニンが含まれる。あるいは、発泡剤カップルの重炭酸ナトリウム構成要素のみが存在してもよい。
【0039】
抗接着剤の例には、二酸化ケイ素およびタルクが含まれる。
本発明の態様において、麻薬性鎮痛剤および/または非麻薬性鎮痛剤は、粒子状投薬型であってもよい。粒子は、球体、例えば微小球体、ペレット、ビーズ、または顆粒の形であってもよい。粒子は、麻薬性鎮痛剤のみ、非麻薬性鎮痛剤のみ、または麻薬性鎮痛剤および非麻薬性鎮痛剤の両方を含有してもよい。麻薬性鎮痛剤および/または非麻薬性鎮痛剤がナノ粒子中に含有される態様において、投薬型の粒子はナノ粒子であってもよい。あるいは、粒子は、麻薬性および/または非麻薬性鎮痛剤を含むナノ粒子を含有してもよい。多数の粒子を含む配合物は、「多粒子状」配合物と称される。
【0040】
本発明の態様において、前述の粒子は、「即時放出粒子」である。「即時放出」によって、粒子が、粒子の溶解に際して直ちに中の化合物を放出することを意味する。
本発明の態様において、粒子は、修飾放出粒子である。「修飾放出」によって、粒子が、粒子からの即時でない化合物の放出を可能にすることを意味する。例えば、放出は制御されてもよいし、または遅延されてもよい。「制御放出」によって、化合物の放出が、特定の期間の間、特定の放出速度が達成される、特定の放出プロフィールによって特徴付けられることを意味する。異なる期間で、多様な異なる放出速度を達成してもよい。「遅延放出」によって、化合物は、化合物が放出されない遅延期間の後に放出されることを意味する。化合物は、遅延期間後、直ちに放出されてもよく、この場合、粒子は、「遅延即時放出」粒子と見なされる。あるいは、化合物は、最初の遅延期間後、制御放出方式で放出されてもよく、この場合、粒子は、「遅延制御放出」粒子と見なされる。
【0041】
本発明の態様において、関心対象の化合物(例えば麻薬性鎮痛剤、非麻薬性鎮痛剤)は、「脈動」方式で配合物から放出される。拍動放出プロフィールは、時間の経過に渡って、化合物が比較的高い血漿濃度である少なくとも2つの期間(「ピーク」)が、化合物が比較的低い血漿濃度レベルである期間(「底値」)によって分離されるものである。2ピークある脈動放出プロフィールを、「二峰性」放出プロフィールと呼ぶ。二峰性放出プロフィールは、例えば、関心対象の化合物の即時放出を可能にする粒子と、ある期間後に化合物の遅延放出を可能にする粒子とを組み合わせることによって達成可能である。異なる期間後に化合物の遅延放出を可能にする粒子を含有するさらなる集団を用いて、さらなるより高い血漿濃度「ピーク」を持つ放出プロフィールを生成してもよい。
【0042】
別の態様において、関心対象の化合物(例えば麻薬性鎮痛剤、非麻薬性鎮痛剤)は、「連続」方式で配合物から放出される。こうした放出において、関心対象の化合物は、一定速度または多様な速度のいずれかで、連続して放出される。これは、各集団が、異なる速度で関心対象の化合物を放出する、修飾放出粒子の2以上の異なる集団を含む、修飾放出粒子の使用によって達成可能である。
【0043】
関心対象の化合物(例えば麻薬性鎮痛剤または非麻薬性鎮痛剤)の修飾放出を可能にするため、粒子は、修飾放出コーティングまたは修飾放出マトリックスを含有していてもよい。コーティングまたはマトリックスは、粒子からの化合物の放出を遅延させるように働く。コーティングまたはマトリックスの量を調節することによって、例えば粒子により厚いコーティングを適用することによって、あるいはコーティングまたはマトリックスの成分を調節することによって、粒子の放出特性を調節してもよい。
【0044】
所望の方式で、関心対象の化合物(麻薬性または非麻薬性鎮痛剤)の放出を修飾する任意のコーティング物質を用いてもよい。本発明の実施中に使用するのに適したコーティング物質の例には:ポリマーコーティング物質、例えば、酢酸フタル酸セルロース、セルロースアセテートトリマレテート(trimaletate)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、アンモニオメタクリレートコポリマー、例えば商標Eudragit(登録商標)RSおよびRLのもとに販売されているもの、ポリアクリル酸およびポリアクリレートおよびメタクリレートコポリマー、例えば商標Eudragit(登録商標)SおよびLのもとに販売されているもの、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびセラック;ヒドロゲルおよびゲル形成性物質、例えばカルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ナトリウムカルメロース、カルシウムカルメロース、カルボキシメチルデンプンナトリウム、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ゼラチン、デンプン、ならびに水の吸着およびポリマーマトリックスの拡大を促進するように、架橋の度合いが低い、セルロースに基づく架橋ポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルピロリドン、架橋デンプン、微結晶性セルロース、キチン、アミノアクリル−メタクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標)RS−PM、Rohm & Haas)、プルラン、コラーゲン、カゼイン、寒天、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、(膨張性親水性ポリマー)ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリビニルピロリドン、陰イオン性および陽イオン性ヒドロゲル、低アセテート残渣を有するポリビニルアルコール、寒天およびカルボキシメチルセルロースの膨張性混合物、無水マレイン酸およびスチレン、エチレン、プロピレンまたはイソブチレンのコポリマー、ペクチン(分子量約30k−300k)、寒天、アラビアゴム、カラヤ、トラガカント、アルギンおよびグアーなどの多糖、ポリアクリルアミド、AquaKeep(登録商標)アクリレートポリマー、ポリグルカンのジエステル、架橋ポリビニルアルコールおよびポリN−ビニル−2−ピロリドン、デンプングリコール酸ナトリウム;親水性ポリマー、例えば多糖、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムまたはカルシウム、ニトロセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースエーテル、ポリエチレンオキシド(例えばPolyox(登録商標)、Union Carbide)、メチルエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース、プロピオン酸セルロース、ゼラチン、コラーゲン、デンプン、マルトデキストリン、プルラン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ポリビニル、グリセロール脂肪酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、メタクリル酸のコポリマーまたはメタクリル酸(例えばEudragit(登録商標)、Rohm and Haas)、他のアクリル酸誘導体、ソルビタンエステル、天然ゴム、レシチン、ペクチン、アルギネート、アルギン酸アンモニア、アルギン酸ナトリウム、カルシウム、カリウム、アルギン酸プロピレングリコール、寒天、ならびにアラビアゴム、カラヤ、ローカストビーン、トラガカント、カラギーン、グアー、キサンタン、スクレログルカン(scleroglucan)などのゴム、ならびにその混合物およびブレンドが含まれる。
【0045】
当業者によって認識されるであろうように、可塑剤、潤滑剤、溶媒等の賦形剤をコーティングに添加してもよい。適切な可塑剤には、例えばアセチル化モノグリセリド;グリコール酸ブチルフタリルブチル;酒石酸ジブチル;フタル酸ジエチル;フタル酸ジメチル;グリコール酸エチルフタリルエチル;グリセリン;プロピレングリコール;トリアセチン;クエン酸塩;トリプロピオイン;ジアセチン;フタル酸ジブチル;アセチルモノグリセリド;ポリエチレングリコール;ヒマシ油;クエン酸トリエチル;ポリ水素アルコール、グリセロール、酢酸エステル、三酢酸グリセロール、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ブチルオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ブチルオクチル、アゼライン酸ジオクチル、エポキシド化タレート(tallate)、トリイソクチルトリメリテート(triisoctyl trimellitate)、フタル酸ジエチルヘキシル、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−i−オクチルフタレート、ジ−i−デシルフタレート、ジ−n−ウンデシルフタレート、ジ−n−トリデシルフタレート、トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、セバシン酸ジブチルが含まれる。適切な溶媒には、アセトンおよびイソプロピルアルコールが含まれる。
【0046】
遅延即時放出が望ましい態様において、用いるコーティングは溶腸性であってもよい。溶腸性コーティングは、pH感受性ポリマーを含む。典型的には、これらのポリマーはカルボキシル化され、そして低いpHでは水とほとんど相互作用しない。しかし、高いpHでは、ポリマーがイオン化し、これによってポリマーの膨潤または溶解が引き起こされる。したがって、こうしたコーティングは、胃の酸性環境において損なわれないままであり、そして次いで、腸のよりアルカリ性の環境において溶解されることも可能である。
【0047】
所望の方式で、関心対象の化合物(麻薬性または非麻薬性鎮痛剤)の放出を修飾する任意のマトリックス物質を用いてもよい。本発明の実施中に使用するのに適したマトリックス物質の例には:in vitroまたはin vivoで、分散した関心対象の化合物の放出を修飾することが可能な、親水性ポリマー、疎水性ポリマーおよびその混合物が含まれる。本発明の実施に適した修飾放出マトリックス物質には、限定されるわけではないが、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)およびヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース、ポリエチレンオキシド、メチルセルロースおよびエチルセルロースなどのアルキルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、セルロースアセテートトリメリテート、ポリ酢酸フタル酸ビニル、ポリアルキルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ならびにその混合物が含まれる。
【0048】
本発明の態様において、配合物は、麻薬性鎮痛剤の作用期間が、非麻薬性鎮痛剤のものとマッチするように、麻薬性鎮痛剤および非麻薬性鎮痛剤を放出する。これは例えば、麻薬性鎮痛剤を含む修飾放出粒子および/または非麻薬性鎮痛剤を含む修飾放出粒子を用いることによって、達成可能である。1つの活性化合物の作用期間が他の活性化合物のものとマッチするよう、その化合物の放出がある期間に渡るように、放出を修飾する。こうした態様において、第二の活性化合物の放出もまた修飾可能である。
【0049】
即時放出粒子は、例えば、不活性ビーズ(例えば糖球体)上に、関心対象の化合物を含む溶液をコーティングすることによって作製可能である。コーティング後、溶媒を乾燥させ、即時放出粒子を残す。
【0050】
修飾放出粒子は、上述のものなどの即時放出粒子を、修飾放出コーティングの化合物を含む溶液でコーティングすることによって作製可能である。コーティング後、溶媒を乾燥させ、修飾放出粒子を残す。
【0051】
上述の粒子を合わせて、より大きい固形剤形、例えば錠剤、カプセル、ロゼンジ等を形成してもよい。
本発明は、麻薬性鎮痛剤および非麻薬性鎮痛剤を含む配合物を患者に送達する工程を含む、疼痛治療法を提供する。
【0052】
限定されるわけではないが、経口、直腸、目、非経口(例えば静脈内、筋内、または皮下)、大槽内、肺、膣内、腹腔内、局部(例えば粉末、軟膏または滴)、あるいは頬側または鼻スプレーを含む、任意の慣用的手段を通じて、被験体に配合物を投与可能である。
【0053】
非経口注射に適した組成物は、生理学的に許容されうる無菌水性または非水性溶液、分散物、懸濁物またはエマルジョン、および無菌注射可能溶液または分散物に再構成するための無菌粉末を含んでもよい。適切な水性および非水性キャリアー(carder)、希釈剤、溶媒、またはビヒクルの例には、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール等)、その適切な混合物、植物油(オリーブ油など)およびオレイン酸エチルなどの注射可能有機エステルが含まれる。例えば、レシチンなどのコーティングを使用することによって、分散物の場合は必要な粒子サイズを維持することによって、そして界面活性剤を使用することによって、適切な流動性を維持してもよい。
【0054】
本発明の配合物は、麻薬性鎮痛剤および非麻薬性鎮痛剤を混合するために、当該技術分野に知られる方法によって作製可能である。例えば、麻薬性鎮痛剤を含む粒子を、非麻薬性鎮痛剤を含む粒子で被包してもよい。
【実施例】
【0055】
実施例1
本実施例は、麻薬性鎮痛剤を含む即時放出粒子の調製を記載する。
麻薬性鎮痛剤(ヒドロコドン)を含む溶液を調製する((A)〜(F))。これらの溶液の配合を表1に示す。
【0056】
【表1】

【0057】
次いで、これらの溶液各々を不活性糖球体(30/35メッシュ)上にコーティングする。生じた粒子は、0.5〜0.6mmの平均直径を有する。
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は、このコーティングのための結合剤として作用する。二酸化ケイ素は抗接着剤である。
【0058】
実施例2
本実施例は、非麻薬性鎮痛剤を含む即時放出粒子の調製を記載する。
非麻薬性鎮痛剤(アスピリン)を含む溶液を調製する((A)〜(F))。これらの溶液の配合を表2に示す。
【0059】
【表2】

【0060】
次いで、これらの溶液各々を不活性糖球体(30/35メッシュ)上にコーティングする。生じた粒子は、0.5〜0.6mmの平均直径を有する。ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は、このコーティングのための結合剤として作用する。二酸化ケイ素は抗接着剤である。
【0061】
実施例3
本実施例は、麻薬性鎮痛剤を含む修飾放出粒子の調製を記載する。
実施例1で調製したものなどの麻薬性鎮痛剤(ヒドロコドン)を含む即時放出粒子を、粒子周囲の修飾放出コーティングを形成する溶液でコーティングする。こうした溶液の例を表3に提供する((A)〜(G))。
【0062】
【表3】

【0063】
アンモニオメタクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標)RS100)は、粒子に制御放出特性を与える、速度制御ポリマーである。タルクは、抗接着剤として用いられる。アセトンおよびイソプロピルアルコールは、アンモニオメタクリレートコポリマーの溶液を形成する際に用いられる溶媒である。溶液を即時放出粒子上にコーティングした後、溶媒は蒸発し、したがって粒子周囲に固形コーティングを形成する。次いで、生じたコーティング粒子をオーブン中で40〜500℃/30〜60%RHで10〜20時間乾燥させて、残ったいかなる溶媒も取り除き、そして約3〜6%の水分含量を得る。
【0064】
実施例4
本実施例は、非麻薬性鎮痛剤を含む修飾放出粒子の調製を記載する。
実施例2で調製したものなどの非麻薬性鎮痛剤(アスピリン)を含む即時放出粒子を、粒子周囲の修飾放出コーティングを形成する溶液でコーティングする。こうした溶液の例を表4に提供する((A)〜(G))。
【0065】
【表4】

【0066】
アンモニオメタクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標)RS100)は、粒子に制御放出特性を与える、速度制御ポリマーである。タルクは、抗接着剤として用いられる。アセトンおよびイソプロピルアルコールは、アンモニオメタクリレートコポリマーの溶液を形成する際に用いられる溶媒である。溶液を即時放出粒子上にコーティングした後、溶媒は蒸発し、したがって粒子周囲に固形コーティングを形成する。次いで、生じたコーティング粒子をオーブン中で40〜500℃/30〜60%RHで10〜20時間乾燥させて、残ったいかなる溶媒も取り除き、そして約3〜6%の水分含量を得る。
【0067】
実施例5
本実施例は、麻薬性鎮痛剤(ヒドロコドン)を含むナノ粒子の調製を記載する。
連続実験室ミキサーを用いて、30グラムのヒドロキシプロピルセルロース(Klucel EF型;Aqualon)を670グラムの脱イオン水中に溶解する。ヒドロキシプロピルセルロースは、表面修飾剤として働く。次いで、均質な懸濁物が得られるまで、300グラムのヒドロコドンを溶液内に分散させた。レーザー光散乱技術を用いて測定した際に平均粒子サイズがおよそ200nmになるまで、ポリマー性粉砕媒体を充填した実験室規模の媒体ミルを連続方式で用いる。
【0068】
実施例6
本実施例もまた、麻薬性鎮痛剤(ヒドロコドン)を含むナノ粒子の調製を記載する。
連続実験室ミキサーを用いて、25グラムのポリビニルピロリドン(K29/32;BASF Corpl)を575グラムの脱イオン水中に溶解する。ポリビニルピロリドンは、表面修飾剤として働く。次いで、均質な懸濁物が得られるまで、400グラムのヒドロコドンを溶液内に分散させる。レーザー光散乱技術を用いて測定した際に平均粒子サイズがおよそ200nmになるまで、ポリマー性粉砕媒体を充填した実験室規模の媒体ミルを連続方式で用いる。
【0069】
実施例7
本実施例は、非麻薬性鎮痛剤(アスピリン)を含むナノ粒子の調製を記載する。
連続実験室ミキサーを用いて、30グラムのヒドロキシプロピルセルロース(Klucel EF型;Aqualon)を670グラムの脱イオン水中に溶解する。ヒドロキシプロピルセルロースは、表面修飾剤として働く。次いで、均質な懸濁物が得られるまで、300グラムのアスピリンを溶液内に分散させた。レーザー光散乱技術を用いて測定した際に平均粒子サイズがおよそ200nmになるまで、ポリマー性粉砕媒体を充填した実験室規模の媒体ミルを連続方式で用いる。
【0070】
実施例8
本実施例もまた、非麻薬性鎮痛剤(アスピリン)を含むナノ粒子の調製を記載する。
連続実験室ミキサーを用いて、25グラムのポリビニルピロリドン(K29/32;BASF Corpl)を575グラムの脱イオン水中に溶解する。ポリビニルピロリドンは、表面修飾剤として働く。次いで、均質な懸濁物が得られるまで、400グラムのアスピリンを溶液内に分散させる。レーザー光散乱技術を用いて測定した際に平均粒子サイズがおよそ200nmになるまで、ポリマー性粉砕媒体を充填した実験室規模の媒体ミルを連続方式で用いる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
麻薬性鎮痛剤および非麻薬性鎮痛剤を含む配合物。
【請求項2】
前記麻薬性鎮痛剤が粒子中に含有され、そして前記非麻薬性鎮痛剤が別個の粒子中に別個に含有される、請求項1記載の配合物。
【請求項3】
前記粒子が修飾放出粒子である、請求項2記載の配合物。
【請求項4】
非麻薬性鎮痛剤を含む前記粒子が、前記非麻薬性鎮痛剤の作用期間が前記麻薬性鎮痛剤のものとマッチするように、前記非麻薬性鎮痛剤を放出する、請求項3記載の配合物。
【請求項5】
非麻薬性鎮痛剤を含む前記粒子が修飾放出粒子である、請求項4記載の配合物。
【請求項6】
麻薬性鎮痛剤を含む前記粒子が、前記麻薬性鎮痛剤の作用期間が前記非麻薬性鎮痛剤のものとマッチするように、前記麻薬性鎮痛剤を放出する、請求項3記載の配合物。
【請求項7】
麻薬性鎮痛剤を含む前記粒子が修飾放出粒子である、請求項6記載の配合物。
【請求項8】
請求項1記載の配合物の療法的有効量を投与する工程を含む、疼痛治療法。
【請求項9】
麻薬性鎮痛剤および非麻薬性鎮痛剤を混合する工程を含む、疼痛治療において有用な配合物を調製するための方法。

【公表番号】特表2010−521494(P2010−521494A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553826(P2009−553826)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/057093
【国際公開番号】WO2008/115820
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(507250508)エラン・ファルマ・インターナショナル・リミテッド (23)
【Fターム(参考)】