麻酔作用を有する抗菌化合物の使用
本発明は、薬剤の調製のための1種以上の抗菌化合物の使用であって、1種以上の抗菌化合物が、麻酔作用を示すことを特徴とする使用に関する。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、抗菌化合物を使用して麻酔作用を得ることに関する。特に、本発明は、2,4-ジクロロベンジルアルコール(DCBA)、アミルメタクレゾール(AMC)、塩化セチルピリジニウム(CPC)及びヘキセチジン(HT)を使用して麻酔作用を得ることを対象とする。
2,4-ジクロロベンジルアルコール(DCBA)は、周知の抗菌化合物であり、多数のグラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して使用される。2,4-DCBAは、多数の他の抗菌剤、例えば、アミルメタクレゾールのようなフェノール防腐剤と共に使用されてきた。
EP0 161 898は、プラークの治療のための2,4-DCBAを含む組成物の使用を教示する。US 4 167 583は、DCBAを含む抗細菌組成物を開示する。これらの組成物は、外科用機器を消毒するために使用される。WO92/1811は、ピロリ菌による胃の疾患の治療用調製物における抗菌剤、例えば2,4-DCBAの使用を開示する。WO96/32934は、HIVの治療用の薬剤調製物への2,4-DCBA及びアミルメタクレゾールの使用を教示する。WO2005/067906は、重症急性呼吸器症候群(SARS)の治療用の該組成物の使用を教示する。US 6 251 371は、真皮又は粘膜の炎症の治療へのDCBAの使用を教示する。
US2007/0202177は、抗細菌組成物におけるアミルメタクレゾールの使用を教示する。該組成物は、カテーテルロック溶液又はカテーテル被覆剤に使用され、感染を減少又は予防する。WO2005/123074及びWO2004/105758は、睡眠障害の治療用のトリプロリジンを含む組成物を開示する。該組成物は、さらにAMC及びDCBAのような活性剤(active)を含み得る。
塩化セチルピリジニウム(CPC)は、口腔のクリーニング及び咽頭又は口腔の軽症の感染及び歯の発生に伴う問題の治療のための経口リンスに一般的に使用されている。これは、特定の殺虫剤の成分としても使用されている。
【0002】
ヘキセチジンも口腔のクリーニング及び咽頭又は口腔の軽症の感染の治療のための経口リンスに使用される。
ほとんどの咽頭痛は、風邪及びインフルエンザウィルスのようなウィルスによって引き起こされる。いくつかの咽頭痛は、細菌、最も一般的に連鎖球菌による感染によって引き起こされ得る。極端な場合は、一連の抗生物質がしばしば必要とされる。これに対して、ウィルス性の咽頭痛は、抗生物質に反応せず、従って、該症状の取り扱いは、ウィルスが、体から排除されるまで必要とされる。
咽頭用ロゼンジは、一般的に以下の成分、麻酔薬、鎮痛剤、抗菌剤、緩和薬の1種以上を含む。
典型的な麻酔薬としては、ベンゾカイン及び塩酸リドカインが挙げられる。塩酸ベンジダミン及びアンブロキソールも局所麻酔特性を有する。局所麻酔剤は、その接触する領域を麻痺させかつ一時的に苦痛を取り除く。塩酸リドカイン及びベンゾカインは、広く医療及び歯科行為において軽度の外科的処置又は管を気管に挿入しなくてはならない場合に口腔及び咽頭を局所的麻痺させるために使用される。
典型的な供給されている鎮痛剤(又は痛み止め)としては、塩酸ベンジダミン、フルルビプロフェンが挙げられる。これらの鎮痛剤は、NSAID(非ステロイド系抗炎症薬)として知られる群に属し、痛み及び腫れを軽減する。全身作動性NSAID及び他の鎮痛剤、例えばパラセタモールもまた痛みの緩和に使用される。麻酔は、一般的に感覚又は触覚(feeling)を喪失又は欠如させると考えられる。この語は、可逆的方法であって、手術及び苦痛又は不愉快な処置を患者にとって苦痛なく受けられるようにする方法を表すのに一般的に用いられる。その一方、鎮痛は、痛みを一時的に緩和又は取り除く薬物をいう。局所麻酔剤とは異なり、これらは、それぞれ体の一部に供給する感覚又は運動神経の活動を止める感覚又は運動の遮断をしない。
【0003】
典型的な抗菌物質としては、アミルメタクレゾール、塩化セチルピリジニウム、ヘキセチジン及びジクロロベンジルアルコールが挙げられる。
他の既知の成分としては、揮発性油、例えばメタノール/ペパーミント、(神経作用を有し得る)ユーカリノキ及びペクチンが挙げられる。
本発明の第一の特徴としては、薬剤の調製のための1種以上の抗菌化合物の使用であって、1種以上の抗菌化合物が麻酔作用を有することを特徴とする使用を提供する。
典型的に1種以上の抗菌化合物としては、2,4-ジクロロベンジルアルコール、アミルメタクレゾール、塩化セチルピリジニウム、ヘキセチジン、リドカイン、ヘキシルレソルシノール又はベンゾカインから選択され得る。これらの1種以上の化合物は、2,4-ジクロロベンジルアルコール、アミルメタクレゾール、塩化セチルピリジニウム、ヘキセチジン、リドカイン及びベンゾカインの組み合わせでもよい。好ましい組み合わせとしては、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール、2,4-ジクロロベンジルアルコール/塩化セチルピリジニウム、2,4-ジクロロベンジルアルコール/ヘキセチジン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/リドカイン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/ベンゾカイン、アミルメタクレゾール/塩化セチルピリジニウム、アミルメタクレゾール/ヘキセチジン、アミルメタクレゾール/リドカイン、アミルメタクレゾール/ベンゾカイン、塩化セチルピリジニウム/ヘキセチジン、塩化セチルピリジニウム/リドカイン、塩化セチルピリジニウム/ベンゾカイン、ヘキセチジン/リドカイン、ヘキセチジン/ベンゾカイン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/塩化セチルピリジニウム、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/ヘキセチジン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/リドカイン及び2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/ベンゾカイン、ヘキシルレソルシノール/アミルメタクレゾール、ヘキシルレソルシノール/2,4-ジクロロベンジルアルコール、ヘキシルレソルシノール/塩化セチルピリジニウム、ヘキシルレソルシノール/ヘキセチジン、ヘキシルレソルシノール/リドカイン、及びヘキシルレソルシノール/ベンゾカインからなる群から選択され得る。
【0004】
本薬剤は、ロゼンジ、ゲル、スプレー、カプセル、トローチ剤(pastille)、ガム、溶解性顆粒、うがい剤、飲料、液体-ショット(liquid-shots)、錠剤、又はいかなる他の好適な形態であり得る。この薬剤は、ロゼンジの形態であり得る。
1種以上の抗菌剤を含む薬剤の基剤が、スクロース、グルコース、イソマルト、マルチトール、キシリトール又はマンニトールから選択される1種以上の成分を含む。
本薬剤は、乾性、痒い、炎症した、腫れた、刺痛の、灼熱痛の咽頭を含む咽頭痛の治療に使用され得る。本薬剤は、歯肉又は扁桃のような他の口腔領域の治療に使用され得る。
本薬剤の局所的麻酔作用は、10分未満の時間で得られ得る。本薬剤の局所的麻酔作用は、5分未満の時間で得られ得る。
本発明の第二の特徴によれば、患者が局所的麻酔作用を得る方法であって、麻酔作用を示す1種以上の抗菌化合物を含む組成物を投与する工程を含むことを特徴とする方法を提供する。
典型的な1種以上の抗菌化合物は、2,4-ジクロロベンジルアルコール、アミルメタクレゾール、塩化セチルピリジニウム、ヘキセチジン、リドカイン、ヘキシルレソルシノール又はベンゾカインから選択される。1種以上の化合物は、2,4-ジクロロベンジルアルコール、アミルメタクレゾール、塩化セチルピリジニウム、ヘキセチジン、リドカイン及びベンゾカインの組み合わせでもよい。好ましい組み合わせは、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール、2,4-ジクロロベンジルアルコール/塩化セチルピリジニウム、2,4-ジクロロベンジルアルコール/ヘキセチジン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/リドカイン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/ベンゾカイン、アミルメタクレゾール/塩化セチルピリジニウム、アミルメタクレゾール/ヘキセチジン、アミルメタクレゾール/リドカイン、アミルメタクレゾール/ベンゾカイン、塩化セチルピリジニウム/ヘキセチジン、塩化セチルピリジニウム/リドカイン、塩化セチルピリジニウム/ベンゾカイン、ヘキセチジン/リドカイン、ヘキセチジン/ベンゾカイン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/塩化セチルピリジニウム、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/ヘキセチジン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/リドカイン及び2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/ベンゾカイン、ヘキシルレソルシノール/アミルメタクレゾール、ヘキシルレソルシノール/2,4-ジクロロベンジルアルコール、ヘキシルレソルシノール/塩化セチルピリジニウム、ヘキシルレソルシノール/ヘキセチジン、ヘキシルレソルシノール/リドカイン、及びヘキシルレソルシノール/ベンゾカインからなる群から選択され得る。
【0005】
局所的麻酔作用は、10分未満の時間に得られ得る。局所的麻酔作用は、5分未満の時間に得られ得る。
患者は、乾性、痒い、炎症した、腫れた、刺痛の、灼熱痛の咽頭を含む咽頭痛にかかり得る。患者は、歯肉又は扁桃のような他の口腔領域の感染にもかかり得る。
本発明の態様としては、添付の図面を参照して単に例示のために示される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】アミルメタクレゾール(AMC)の濃度−応答曲線を示す。
【図2】アミルメタクレゾール(AMC)による、速い不活性化に伴う結合親和性の増加−遮断の電圧依存性示す。
【図3】アミルメタクレゾール(AMC)の遮断能の濃度−及び電圧−依存性増加に対する代表的な電流のトレースを示す。
【図4】ジクロロベンジルアルコール(DCBA)に対する濃度−応答曲線を示す。
【図5】ジクロロベンジルアルコール(DCBA)による、速い不活性化に伴う結合親和性の増加−遮断の電圧依存性を示す。
【図6】アミルメタクレゾール(AMC)及びジクロロベンジルアルコール(DCBA)の組み合わせの作用を示す。
【図7】AMC/DCBA組み合わせの速い不活性化を示す。
【図8】塩化セチルピリジニウム(CPC)に対する濃度応答曲線を示す。
【図9】塩化セチルピリジニウム(CPC)の速い不活性化を示す。
【図10】塩化セチルピリジニウム(CPC)に対する代表的な速い−不活性化電流トレースを示す。
【図11】ヘキセチジン(HT)の濃度応答曲線を示す。
【図12】ヘキセチジン(HT)の速い−不活性化効果を示す。
【図13】ヘキセチジン(HT)に対する代表的な速い−不活性化電流トレースを示す。
【図14】不活性化チャネルに対するアミルメタクレゾール(AMC)、ジクロロベンジルアルコール(DCBA)及びヘキセチジン(HT)の見積もられた親和性を示す。
【図15】不活性化チャネルに対するアミルメタクレゾール(AMC)、ジクロロベンジルアルコール(DCBA)及びヘキセチジン(HT)の見積もられた親和性を示す。
【図16】不活性化チャネルに対するアミルメタクレゾール(AMC)、ジクロロベンジルアルコール(DCBA)及びヘキセチジン(HT)の見積もられた親和性を示す。
【図17】ヘキシルレソルシノール(HR)に対する濃度−応答曲線を示す。
【図18】ヘキシルレソルシノール(HR)による、速い不活性化に伴う結合親和性の濃度依存的増加:ナトリウムチャネル遮断の電圧依存性を示す。
【図19】ヘキシルレソルシノール(HR)に対する速い不活性化電流トレースを示す。 (トランスフェクション及び細胞培養) 安定的に移入された(transfected)HEK293細胞株であって、ラット由来のNaV1.2神経ナトリウムチャネルのα−サブユニットを発現するものが使用された。発現ベクターpRc/CMV(インビトロジェン、サンディエゴ、米国)が、哺乳類のトランスフェクションに使用された。トランスフェクションは、リン酸カルシウム沈殿を使用して行われた。永久発現が、アミノグリコシド系抗生物質ジェネチシンG418(ライフテクノロジー、エッゲンシュタイン、ドイツ)に対する耐性への選択によって達成された。成功裡のチャネル発現は電気生理学的に確認された。 (溶液) ジクロロベンジルアルコール(DCBA)、アミルメタクレゾール(AMC)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、ヘキシルレソルシノール(HR)及びヘキセチジン(HT)を実験の前に1Mのエタノールストック溶液として調製した。次いで、ストック溶液をバス溶液(bath solution)に直接溶解した。バス溶液は、NaCl 140、MgCl2 1.0、KCl 4.0、CaCl2 2.0、Hepes 5.0、 デキストロース 5.0[mM]を含んでいた。パッチ電極(patch electrode)は、CsCl2 130、 MgCl2 2.0、EGTA 5.0、Hepes10[mM]を含んでいた。すべての溶液は、マンニトールの添加によって290mosml-1及びCsOHの添加によりpH7.4に調節された。
【0007】
(電気生理学)
標準的な全細胞の電圧-クランプ実験を20℃で行った。各実験は、試験前後での単一の濃度で薬物の存在下の試験記録(test recording)、及び薬物不存在下のコントロール記録(control recording)から構成された。各細胞は、ひとつの試験濃度のみにさらされた。3又は5以上の独立実験を試験される活性剤(active)に応じた各濃度で行った。
データ収集及び更なる解析のために、EPC9デジタル制御された増幅器をパルスとパルスフットソフトウェア(HEKAエレクトロニクス、ランブレット、ドイツ)を組み合わせて使用した。EPC9は、容量性及び漏洩電流の自動消去をプレパルスプロトコルを用いて提供する。データを10kHzでフィルタし及び1点あたり20μsでデジタル化した。パッチピペットの入力抵抗は、2.03.5 MΩ及び電池の電気容量は、915 pFであり、残りの直列抵抗(50%補正(compensation)後)は、1.22.5 MΩであった。直列抵抗におけるリンスを伴う実験は受け入れられなかった。定常状態不活性化の電圧依存性における時間−依存シフトを最小化するために、すべての試験実験を5分以内のパッチラプチャー(patch rupture)で行った。これらの実験条件の下で、コントロール条件の時間−依存性過分極シフトは、-2mV未満であった。
ピーク電流の振幅での薬物効果は、過分極膜電位(-100 mV 及び-150mV)で、生理学的条件で通常の静止電位に近い保持電位(70 mV)で、更に、遅い不活性化チャネルのフラクションの存在下の-100mVにて評価された。遅い不活性化は、長い(2.5s)プレパルスにより-90、-70、-50、-30 及び-10 mVに誘導され、次いで短い過分極が速い−不活性化からの回復を可能にした。我々のプロトコルにおいて回復間隔が、(当初10msと記載されていた代わりに)100msに延長され、薬物なしだけでなくすべての薬物−結合状態に対して十分な時間によって速い不活性化からの回復が可能になった。薬物の存在下、(ウォッシュアウトの間、同じプロトコルで誘発されたピーク電流に関して)0mVへの単一試験パルスで誘発された残留ナトリウム電流(Inorm)は、薬物の適用された濃度[C]に対してプロットされた。濃度−応答−カーブが、ヒルの式を使用してフィットされ、半最大チャネル遮断濃度(half-maximum channel blockade)(ICR50)、及びそれぞれのヒル係数nHを得た。
【0008】
【数1】
【0009】
【数2】
【0010】
ヘキセチジンの存在下、2-状態ヒル式、式2を適用し、不活性状態の半最大チャネル遮断濃度(ICI50)、それぞれのヒル係数nH、及びそれぞれの振幅a及び(1-a)が得られた。あらかじめ得られたICR50及びnHの値は、定数係数として導入された。
不活性化チャネルに対する薬物の結合は、直接の実験アプローチにほとんど利用し難いのは、不活性化チャネル状態及びすべての薬物−結合したチャネル状態が、脱分極で入手できないからである。モデルに依存する方法(model-dependent method)は、一般的に速い−不活性化チャネル状態への親和性への決定するために適用される。速い−不活性化チャネル状態に対する遮断及び親和性の電圧−依存性は、更にダブルパルスプロトコルを適用することによって評価された。試験パルスによって誘発された電流(Itest)であって、変化するプレパルス電位(150 mV〜5 mV)から始まり、最も過分極化した前電位(150 mV)において誘発された電流に標準化された電流は、100msの不活性化プレパルスの間、不活性化されていなかったチャネルの相対的フラクションを表す。得られた電流−電圧プロットに対するボルツマンフィットから半最大のチャネルアベイラビリティでの膜電位(V0.5)及びスロープ係数kを得、これは不活性化ゲートの「電圧感度」を反映する(式3を参照)。
【0011】
【数3】
【0012】
コントロール条件において、ボルツマンフィットのパラメータは、静止(resting)チャネル及び速い−不活性化チャネル間の分配の電圧−依存性を反映する(アベイラビリティ曲線)。薬物の存在下、定常状態のアベイラビリティ曲線は、薬物と、それぞれ静止チャネル及び速い−不活性化チャネルとの関連を示す。静止チャネルと比べて、薬物と速い−不活性化チャネルとのより堅い結合であって、リドカイン様局所麻酔薬によるナトリウムチャネル遮断の典型的な特徴は、チャネルアベイラビリティ曲線における負の電圧シフトV0.5によって表され、濃度依存性を示す。基本的仮定は、連続的な膜脱分極によって得られたより高い量のチャネル遮断は、電圧の軸に沿う静止状態及び速い−不活性化状態の間の脱分極(すなわちチャネルアベイラビリティ曲線)、及びこの二つのチャネル状態に対する遮断薬の異なる結合親和性によって決定される。薬物の存在下、電圧シフトΔV0.5は、式4に従って薬物濃度[C]に依存する。濃度に対してプロットしたΔV0.5に対するモデルのフィットは、速い不活性化チャネルにおける半最大効果濃度ICI50及び不活性化チャネルに対する薬物結合性のヒル型係数nをもたらす。
【0013】
【数4】
【0014】
K及びICR50は、定数係数として入力される。Kは、コントロールのアベイラビリティ曲線のスロープ係数であり、ICR50は、静止チャネルの半最大効果濃度であり、100 mVの保持電位において得られる。
脱分極パルスの列(trains)の間の遮断の蓄積は、パルス間の間隔が短かすぎるのでナトリウムチャネルのアベイラビリティを回復できないことを示唆する。使用依存性遮断は、10 Hzで適用される10 msパルスの列を使用する-100及び-70 mVの内部電位で評価され、薬物の存在下の試験列での第一パルスに関連する最終パルスに対する内向き電流の更なる減少として定義される。
【0015】
図1は、アミルメタクレゾール(AMC)の濃度−応答曲線を示す。図1の左側は、ナトリウムチャネルの濃度依存性遮断がそれぞれ-70mV(塗りつぶされた四角)、-100mV(空き三角)及び-150mV(塗りつぶされたひし形)の保持電位から0mVへの脱分極パルスで試験されたとき得られた結果を示す。同一のプロトコルでのコントロール実験で誘発されたピーク電流が使用され電流を標準化した。各シンボルが、化合物の存在下、残留ナトリウム電流の平均値(Inorm、 平均値±SD)であって、試験された各濃度に対する3以上の実験から導き出された値を示す。AMCの感度は、-100mVに比べ-70mVで増加した。
図1の右側は、AMCの様々な濃度におけるナトリウム電流の阻害を明示する代表的な電流トレースを示す。このトレースは、薬物の不存在下(コントロール、ウォッシュアウト)10Hzで-70 mV 〜0 mVで適用された一連の10パルスのうち最初のパルス及びAMCの存在下最初のパルス及び最後の3パルスを示す。ウォッシュアウトの間、電流は、-100mVでのAMCの高濃度の適用(> EC50)の後94 ± 6 %のコントロール電流に達した。ウォッシュアウトの間のピーク電流振幅の回復は、-70mVでコントロール振幅のわずか64 ± 9 %に達する保持電位−電流に依存した。いかなる理論に拘束されることを望まずに、この結論は、脱分極が、AMCに対する高−親和性状態であって、結合部位からの解離を妨げる状態を誘導することを示唆する。
【0016】
図2は、アミルメタクレゾール(AMC)による速い不活性化に伴う結合親和性の増加−遮断の電圧依存性を示す。定常−状態アベイラビリティ曲線は、様々な濃度(30、50、 100 μM)のアミルメタクレゾールの存在下(四角)及び不存在下(コントロール:丸、ウォッシュアウト:三角)二つのパルスのプロトコルにより評価された。各シンボルは、4以上の様々な実験からもたらされる平均フラクション電流(fractional current)であって、-150mVから指示されたプレパルス電位への100ms不活性化プレパルスに次ぐ0mVへの4ms試験パルスにより誘発される電流を示す。電流は、(-150mV前電位での一連の)最大値に標準化され、実線は、データに対する最良のボルツマンフィットを示す。試験パルス電流は薬物の存在下(塗りつぶされた四角)の最大値に又はコントロール(空き四角)の最大値に標準化された。図の縦矢印は、より脱分極した電位対過分極化プレパルス電位での50 μM AMCにより誘導されるピーク電流抑制の増加を示す。脱分極した前電位でのチャネルアベイラビリティのこの減少は、アベイラビリティ曲線の中間点における電圧シフトとなった。この効果の濃度−依存性は、モデル−依存アプローチで不活性化状態結合の親和性の評価をするために使用された。
脱分極した膜電位でのアミルメタクレゾールの遮断能における濃度−及び電圧依存的増加に対する代表的な電流トレースを図3に示す。電流は150 mV から100 mV (第一カラム)、 -70 mV (第二カラム) 又は50 mV(トレースの第三カラム)の100msプレパルスに次ぐ0mVへの4msの試験パルスの適用により誘発された。ウォッシュアウト中のピーク電流振幅の回復は、それぞれ-150、-100、及び-70 mV保持電位での90 ± 3、91 ± 3 及び64 ± 9 %のコントロール電流に達した。
【0017】
図4は、ジクロロベンジルアルコール(DCBA)に対する濃度−応答曲線を示す。それぞれ-70、-100及び-150 mVの保持電位でのジクロロベンジルアルコールによるナトリウム内向き電流の濃度−依存阻害が示される。0mVへの脱分極パルスが-150mV(塗りつぶされた菱形)、100 mV (空き三角)、又は-70 mV(塗りつぶされた四角)から開始された。電流は、それぞれのコントロール実験と同一のプロトコルにより誘発されたピーク電流に標準化された。各シンボルは、薬物の存在下残留ナトリウム電流の平均値(Inorm、平均値±SD)であって、各試験された濃度に対する4以上の独立した実験から得た値を表す。感度は、-100及び-150mVに比べ-70mVの保持電位でわずかに増加した。実線は、データと指示されたパラメータとのヒルフィットである(式1)。DCBAのウォッシュアウトの効果は不完全であった。-100mVの保持電位において、300及び500 μMのDCBAでウォッシュアウトの間、電流は、コントロール電流振幅の71 ± 3 %に達した。
-70mVにおいて電流振幅は、ウォッシュアウトの間、コントロール電流の63 ± 9 %に戻った。右の代表的な電流トレースは、DCBAによる電流阻害を示し、これは、コントロール及びウォッシュアウトの間、10Hzで適用される-70〜0mVの一連の10パルスのうち最初のパルス、及びDCBAの存在下最初のパルス及び最後の3パルスを表す。
【0018】
図5は、ジクロロベンジルアルコール(DCBA)による、速い不活性化に伴う結合親和性の増加−遮断の電圧依存性を示す。図5の上部は、DCBAに対する脱分極膜電位での遮断能の増加を示す。150 mVから100 mV (トレースの第一列)、-70 mV (トレースの第二列)又は50 mV (トレースの第三列)への100msプレパルスに次ぐ0mVへの短い(4ms)試験パルスの間コントロール及び100 μM (左)又は500 μM(右)ジクロロベンジルアルコールにおける代表的な電流トレースであり、これは、コントロールでの半最大チャネル不活性化電位に近い膜電位である。電流は、それぞれウォッシュアウトの間、-150、-100及び-70 mVでコントロール電流の88 ± 3、89 ± 5及び63 ±9 %に戻った。
図5の下側のプロットは、定常状態アベイラビリティ曲線が、ジクロロベンジルアルコールの不存在下(コントロール;丸、ウォッシュアウト;三角)及び100 μM (左図) 又は500 μMのジクロロ−ベンジルアルコール(右図、四角)の存在下、2種のパルスプロトコル(two-pulse protocol)によって評価されたときに得られた結果を示す。各シンボルは、4以上の様々な実験から得た平均フラクション電流であって、-150mVから指示されるプレパルス電位への100ms不活性化プレパルスに次ぎ、0mVへの4ms試験パルスにより誘発されたものを表す。電流は、最大値に標準化され(-150mV前電位で各シリーズ)、実線は、データへの最良のボルツマンフィット(式3、方法の部)を表す。薬物の存在下試験パルス電流は、薬物存在下(塗りつぶされたシンボル)の最大値又はコントロールでの最大値(空きシンボル)に標準化された。
【0019】
図6は、アミルメタクレゾール(AMC)及びジクロロベンジルアルコール(DCBA)の組み合わせの効果を示す。ナトリウムチャネルの濃度依存性遮断は、それぞれ-70(左)及び-100mV(右)保持電位で先述のプロトコルを使用し60及び100μM DCBAを30及び50 μM AMCに添加することにより試験した。各シンボルは、AMC単独の存在下(空き四角)又は30 μM AMC 及び60 μM DCBAの存在下(塗りつぶされた丸)又は50 μM AMC及び100 μM DCBA(塗りつぶされた三角)の存在下、残留ナトリウム電流(コントロールに関して)の平均値であって、各試験濃度に対して3以上の実験から得られたものを表した。
t-検定(t-test)は、30 μM/60 μM AMC/DCBAの組み合わせと30 μM AMC単独の効果と比べて有意差を表した。100 μM DCBAとの組み合わせにおいて、50 μM AMCの効果は、50 μM AMC単独の効果に関して有意に減少した。興味深いことに、30 μM/60 μM及び50 μM/100 μMのこれらの2種の化合物との組み合わせの間に有意差もなく、高濃度のDCBAの添加によりAMCへの濃度応答の急勾配を変えることを示す。
図7は、AMCとDCBAの組み合わせの速い不活性化を示す。定常−状態アベイラビリティ曲線は、AMC/DCBA-組み合わせの不存在下(コントロール:丸;ウォッシュアウト:三角)及び様々な濃度(30 μM/60 μM、50 μM/100 μM)のAMC/DCBA-組み合わせの存在下(四角)、2種のパルスのプロトコル(two pulse protocol)により評価された。各シンボルは、6以上の様々な実験から得た平均フラクション電流であって、-150mVから指示されたプレパルス電位へ100ms不活性化プレパルスに次ぎ0mVへの4ms試験パルスによって誘発されたものを表す。電流は、(-150mV前電位での各列における)最大値に標準化され、実線はデータへの最良のボルツマンフィットを表す。試験パルス電流は、薬物の組み合わせの存在下の最大値(塗りつぶされた四角)又はコントロールにおける最大値(空き四角)に標準化された。
30 μM/60 μMの組み合わせの効果は、30 μM AMC単独(上)の効果に非常に類似しているが、50 μM/100 μMの組み合わせの効果は、50 μM AMC単独(下)の効果に比べてDCBAの添加によって有意に減少した。
【0020】
図8は、塩化セチルピリジニウム(CPC)に対する濃度応答曲線を示す。図8の左側は、ナトリウムチャネルの濃度依存性遮断が、それぞれ-70 mV (塗りつぶされた四角)、 -100 mV (空き三角)及び-150 mV(塗りつぶされた菱形)の保持電位から0mVへの脱分極パルスで試験されたとき得られた結果を示す。それぞれのプロトコルでのコントロール実験で誘発されるピーク電流は、電流を標準化するために使用された。各シンボルは、化合物の存在下残留ナトリウム電流の平均値(Inorm, 平均値±SD)であって、試験された各濃度に対する5以上の実験より得られた値を表す。HRとAMCに比べ、CPCに対する感度は、-100mVに比べ-70mVで増加しなかった。この結果はCPC結合性が不活性化チャネルの存在下増えないことを示唆する。
図8の右側は、CPCの様々な濃度でのナトリウム電流の阻害を明示する代表的な電流トレースを示す。このトレースは、薬物の不存在下(コントロール、ウォッシュアウト)10Hzで適用した-70mVから0mVの一連の10パルスのうち最初のパルス及びCPCの存在下最初のパルスと最後の3パルスを示す。電流は、それぞれ-150、-100、及び-70 mVの保持電位でのウォッシュアウトの間、コントロール電流の66 ± 7、78± 5及び81 ± 5 %に達した。
図9は、塩化セチルピリジニウム(CPC)の速い不活性化を示す。定常−状態アベイラビリティ曲線は、塩化セチルピリジニウム不存在下(コントロール:丸;ウォッシュアウト:三角)及び0.1 μM (上)及び0.3 μM(下)の塩化セチルピリジニウムの存在下(四角)、2種-パルスのプロトコルによって評価された。各シンボルは、8以上の様々な実験から得られた平均フラクション電流であって、-150mVから指示されたプレパルス電位への100ms不活性化プレパルスに次いで0mVへの4msの試験パルスによって誘発された電流を表す。電流は、(-150mVの前電位での各列の)最大値に標準化され、実線は、データへの最良のボルツマンフィットを表す(式3、方法の部)。薬物の存在下の試験パルス電流は、薬物の存在下(塗りつぶされたシンボル)の最大値又はコントロール(空きシンボル)での最大値に標準化された。
【0021】
図10は、CPCの不存在下(コントロール、ウォッシュアウト)及び0.1 μM、0.3 μM及び1 μM CPCの存在下、代表的な電流トレースであって、150 mVから100 mV (第一カラム)、-70 mV (第二カラム)又は50 mV (第三カラム)への100msプレパルスに次ぐ0mVへの4msの試験パルスを適用することによって誘発されるものを示す。1 μM CPCは、ナトリウム内向き電流のほとんど完全な遮断を誘導し、0.3 μM濃度は静止チャネルの遮断のためのEC50にちかい。
図11は、ヘキセチジン(HT)に対する濃度応答カーブを示す。図11の左側は、それぞれ-70及び-150 mV保持電位でのナトリウム内向き電流の濃度−依存性阻害を示す。0mVへの脱分極パルスは、-150mV(塗りつぶされた菱形)又は-70mV(塗りつぶされた四角)から開始された。電流は、それぞれのコントロール実験での同一のプロトコルで誘発されたピーク電流に標準化された。各シンボルは、薬物の存在下残留ナトリウム電流の平均値(Inorm、平均値±SD)であって、試験された各濃度での4以上の独立実験から得られた値を表す。感度は、-150mVと比べ-70mV保持電位で増加した。-70mVにおいてヘキセチジンの非常に低濃度(0.1 μM)で誘導された遮断は、すでにコントロール電流振幅の41 ± 13 %であった。ヘキセチジン濃度効果曲線は、二相性であり、0.1 μM濃度の効果は、1 μMまで増加する濃度で最小限にしか増加せず、>3 μMの濃度で、濃度−依存性は、急勾配であった。
ヘキセチジンの二相性濃度−効果曲線が最良に示され、指示されたパラメータとともに平均データ(実線)に対して2段階ヒル式(式2)にフィットする。
30 μMを超える濃度が、全細胞実験におけるシール(seal)に対して毒性を示した。したがって、3つの実験で100μMのヘキセチジンがナトリウム内向き電流の完全な遮断を誘導するが、これは、単に特定のナトリウムチャネル遮断効果に起因するわけでない。
図11の右側の代表的な電流トレースは、HTによる電流阻害を明示し、これはコントロールとウォッシュアウトの間10Hzで適用される-70から0mVの一連の10パルスのうち最初のパルス、及びHTの存在下最初のパルスと最後の3パルスを示す。
ウォッシュアウトの間ピーク電流振幅の回復は、保持電位に依存した。ウォッシュアウトの間、電流は、-70mVでコントロール電流の47 ± 11 %及び-150mVで80 ± 8 %に達した。
【0022】
図12は、ヘキセチジン(HT)の速い−不活性化効果を示す。定常状態アベイラビリティ曲線は、ヘキセチジンの不存在下(コントロール:丸;ウォッシュアウト:三角)及び様々な濃度(0.3、1.0、3.0、10.0μM)のヘキセチジンの存在下(四角)、二種パルスのプロトコルによって評価された。各シンボルは、4以上の様々な実験から得られ-150mVから指示されたプレパルス電位への100ms不活性化プレパルスに次ぐ0mVへの4ms試験パルスによって誘発された平均フラクション電流を表す。電流は、(-150mV前電位での各シリーズの)最大値に標準化され、実線は、データへの最良のボルツマンフィットを表す。試験パルス電流は、薬物存在下の最大値(塗りつぶされた四角)又はコントロールの最大値(空き四角)に標準化された。HTの存在下電圧シフトは、広い範囲の濃度(0.3-3 μM)に対して非常に小さい濃度依存性しか示さない。
図13は、脱分極膜電位でのヘキセチジンの遮断能の濃度−及び電圧−依存性増加に対する代表的な速い−不活性化電流トレースを示す。電流は、150 mV から100 mV (第一列), -70 mV (第二列) 又は50 mV(トレースの列)への100msプレパルスに次ぎ0mVへの4ms試験パルスの適用により誘発された。
図14〜16は、アミルメタクレゾール(AMC)、ジクロロベンジルアルコール(DCBA)及びヘキセチジン(HT)の不活性化チャネルに対する見積もられた親和性を示す。AMC、HT及びDCBAは負の電位方向にナトリウムチャネルアベイラビリティの電圧依存性をシフトし、これらの化合物は、不活性化されたチャネルに対してより高い結合親和性を有することを示す。DCBAとHTの場合、電圧シフトは非常に小さい濃度−依存性を示した。以下の図は、AMC(図14)、DCBA(上、図15)、CPC(下、図15)、HT(図16)の存在下、出発値に比例して定常−状態アベイラビリティプロットの中間点における薬物−誘導された負のシフトの濃度−依存性を示す。各シンボルは、3以上の様々な実験から得られた平均値を表す。エラーバーは、標準偏差であり、実線は、平均的データと指示されたパラメータに対する式4のフィットを示す。AMC、DCBA及びHTの不活性化チャネルに対する見積もられた親和性は、静止チャネルに比べて数倍高かった。AMCの存在下の電圧シフトは、それぞれ4.2及び1.3の不活性化状態の結合性に対する推測ヒル係数により表された急勾配の濃度依存性を示した。HT及びDCBAは、それぞれ-21mV及び-15mVの最大値シフトを誘導し、これは、それぞれ0.5及び0.4の不活性化状態の結合性に対するヒル係数による小さい濃度−依存性を示した。この結論は、チャネル不活性化の存在下これらの化合物の結合性が負の協同性(cooperativity)を示すことを示唆する。
【0023】
図17の左側は、ナトリウムチャネルの濃度依存性遮断が、それぞれ-70 mV (塗りつぶされた四角)、-100 mV (空き三角)、及び150 mV (塗りつぶされた菱形)の保持電位から0mVへ脱分極パルスで試験されることを示す。同一のプロトコルを有するコントロール実験で誘発されたピーク電流の平均値が、電流を標準化するために使用された。各シンボルは、化合物の存在下残留ナトリウム電流の平均値(Inorm、 平均値±SD)を表し、これは、各試験濃度に対する5以上の実験から得られ、実線は、指示されたパラメータとデータとのヒルフィットである。ヘキシルレソルシノールにより誘導された遮断は、それぞれ-100及び-150mVに比べて-70mV保持電位で感度を増加させ明らかに電圧依存性である。HRにより誘導される遮断は、過分極化された保持電位で高濃度でさえも不完全だった。
図17の右側は、ヘキシルレソルシノールの様々な濃度でナトリウム電流の阻害を明示する代表的な電流トレースを表す。このトレースは、HRの不存在下(コントロール、ウォッシュアウト)10Hzで適用される-70mVから0mVの一連の10パルスのうち最初のパルス及びHRの存在下最初のパルスと最後の3パルスを示す。ウォッシュアウトの間、-100mVで高濃度(> EC50)のHRの適用後コントロール電流の90 ± 10 %に達した。興味深いことに、ウォッシュアウトの間ピーク電流振幅の回復は電圧−依存性であった。電流は-70mVでのコントロール振幅のおよそ61 ± 5%にだけ達した。この結果は、脱分極がHRの高−親和性状態を誘導し、結合状態からその解離を妨げることを示唆し得る。
【0024】
図18は、定常−状態アベイラビリティ曲線であって、ヘキシルレソルシノールの不存在下(コントロール:丸、ウォッシュアウト:三角)及び様々な濃度(1、3、10、30 μM)のヘキシルレソルシノールの存在下(四角)、2種のパルスのプロトコルにより評価される曲線を示す。各シンボルは、4以上の様々な実験から得られる平均フラクション電流を表し、-150mVから指示されたプレパルス電位への100ms不活性化パルスに次いで、0mVへの4ms試験パルスにより誘発された。電流は、(-150mV前電位での各シリーズ中の)最大値に標準化され、実線は、データへの最良のボルツマンフィットを表す。試験パルス電流は、薬物の存在下の最大値(塗りつぶされた四角)又はコントロールの最大値(空き四角)に標準化された。ヘキシルレソルシノールにより誘導された遮断が膜脱分極により増強された。1及び3μMのヘキシルレソルシノールによる電流阻害は、過分極化保持電位(-150から-85mVの間)で極小であり、かつNaV1.2 (-55 mV)での半最大電流不活性化電位近くでほとんど完全な電流阻害へ増加した。脱分極前電位でのチャネルアベイラビリティにおけるこの減少は結果としてアベイラビリティ曲線の中間点での電圧シフトとなった(図14を参照されたい)。この効果の濃度依存性は、先述のモデル−依存性アプローチを使用して不活性化状態への親和性を評価するために使用された(比較のために図14、15及び16を参照のこと)。
図19は、HRの不存在下(コントロール、ウォッシュアウト)及び1 μM、3 μM、10 μM及び30 μMのHRの存在下、HRの電圧−依存性遮断作用の代表的な電流トレースであって、-150mVから100 mV (トレースの第一列)、-70 mV (トレースの第二列)又は50 mV (トレースの第三列)への100msプレパルスに次ぐ4msの試験パルスを0mVへ適用することによって誘発されるトレースを示す。電流は、それぞれ-150、-100、及び-70 mVの保持電位でウォッシュアウトの間コントロール電流の95 ± 3、94± 4及び61 ± 5 %に達した。
【0025】
[表1]静止状態及び不活性化状態の結合に対する半最大(half maximum)遮断濃度及びヒル係数
表1
-150mVの保持電位において式3を濃度−応答プロットにフィットすることによって評価されたECR50及びnHである。ECI50及びnHiは、不活性化チャネルの相対的効果に対する推定値であってアベイラビリティ曲線における電圧シフトの濃度−依存性への式4のモデルフィットから得られる。
異種に発現した電圧−ゲート(voltage-gated)の神経ナトリウムチャネルにおけるアミルメタクレゾール、ジクロロベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、ヘキシルレソルシノール及びヘキセチジンの遮断効果が研究されてきた。すべての化合物は、脱分極−誘導されたナトリウム内向き電流を遮断した。研究されたすべての化合物のうち塩化セチルピリジニウムは過分極した電位からの脱分極におけるナトリウム内向き電流を遮断するための最高の効能を示した。1 μM塩化セチルピリジニウムは、ナトリウム内向き電流のほとんど完全な遮断を誘導した。約1.27のヒル係数nHの半最大静止−状態遮断濃度は、0.22μMであった。この結果は、塩化セチルピリジニウムによる遮断が、電圧依存性でなく濃度依存性であることを示す(図11、12、13)。
【0026】
アミルメタクレゾール、ジクロロベンジルアルコール及びヘキセチジンは、電圧−及び濃度−依存方法でナトリウム内向き電流を遮断する。ジクロロベンジルアルコールが、局所麻酔剤リドカインの遮断効能に比べて、研究されたすべての化合物のナトリウム電流の遮断に対する最低の効能を有した。半最大静止−状態遮断濃度は、過分極電位での急勾配の濃度−依存性を有し657 μMであり、脱分極電位での低濃度−依存性であった。ジクロロベンジルアルコール及びヘキセチジンの適用された濃度に対する不活性化の電圧−依存性におけるシフトをプロットすることによりシフトの非常に小さい濃度−依存性のみが明らかになった。これらの結果は、不活性化状態への遷移がジクロロベンジルアルコール及びヘキセチジンの追加の分子の結合を阻害し、上記とは別にジクロロベンジルアルコール及びヘキセチジンの結合が不活性化チャネル状態への遷移を阻害することを示唆する。
さらに、ヘキセチジンの場合、低濃度範囲での濃度増加に伴う、遮断効果の小さな増加を有する二相性濃度−応答曲線が観測され、これは3から100 μMの範囲の HTでの急勾配な濃度−応答曲線であった (EC50 35 μM)。これは、高親和性結合部位に対する負の協同性を有するヘキセチジンへの2つの別個の結合部位の存在と一致する(見積もられたEC50 0.001 μM)。
アミルメタクレゾール及びヘキシルレソルシノールは、静止チャネルより不活性化チャネルへのより高い結合親和性に関してリドカイン−様局所麻酔剤にほとんど良く似た化合物である。アミルメタクレゾールに対する静止状態からの脱分極におけるナトリウムチャネルの遮断に対するEC50は、55 μMであり、リドカインのそれぞれの効能より約10倍高かった。アミルメタクレゾールにより誘導された遮断は、電圧−依存性であり、不活性化の電圧−依存性におけるシフトにより示される脱分極した前電位とともに増加した。アミルメタクレゾールに対して、不活性化チャネルに対する結合性の見積もられた推定ECI50は、22 μMであり、ECR50より約3倍低い。静止チャネルの遮断の効果及び不活性化の電圧依存性におけるシフトに対する濃度−依存性は、アミルメタクレゾールに対して約4.2のヒル係数により表された急勾配であった。脱分極した電位での両薬物の効果の減少した可逆性は、不活性化−遮断された状態からの薬物の解離が、静止−遮断された状態からの薬物解離よりほとんどありそうもないことを示唆する。
【0027】
アミルメタクレゾール及びジクロロベンジルアルコールの組み合わせの遮断能は、ジクロロベンジルアルコールのアミルメタクレゾールへの添加がアミルメタクレゾールの効能を増加させることを確認することを目的として研究された。結果は、60 μM ジクロロベンジルアルコールの添加による30 μMアミルメタクレゾールの遮断能の増加、及び100 μMジクロロベンジルアルコールの添加による50 μMアミルメタクレゾールの遮断能の減少さえも示さなかった(図6、7)。この結果は、ジクロロベンジルアルコールが、同一の結合部位に対してアミルメタクレゾールと競争し、最終的にアミルメタクレゾールに比べてジクロロベンジルアルコールの低い効能のためにより小さい効果を導くことを示唆する。いかなる理論にも拘束されず、両薬物の組み合わせは、アミルメタクレゾールの局所的麻酔作用の天井効果(ceiling effect)を導くことと考えられる。
塩化セチルピリジニウムにより誘導された遮断は、クラスIbリドカイン−様ナトリウムチャネル遮断薬の作用と対比して電圧−依存性でない。研究された化合物の中で、アミルメタクレゾールは、リドカインより約10倍より大きな効能がある。アミルメタクレゾールは、クラスIbリドカイン−様ナトリウムチャネル遮断薬に相当し、不活性化チャネル状態への強い結合の典型的なパターンを示す。ジクロロベンジルアルコールは、静止チャネルの遮断に関してほぼリドカインと同程度強い。しかし、リドカインと比して、不活性化状態への遷移は、更なるジクロロベンジルアルコール分子の結合を妨げる。アミルメタクレゾールへのジクロロベンジルアルコールの添加は、単独薬として適用されたアミルメタクレゾールの効果を減少させ、この観察は、同一の結合部位に対して両化合物が競争することを想定して説明され得る。両薬物の組み合わせは、アミルメタクレゾールの局所麻酔作用が、高濃度で減じられることを裏付ける。
【0028】
ヘキセチジンに対する二相性の濃度−応答曲線が、この化合物に対して2つの区別できる結合部位が存在するという結論を導いた。
更なる変更及び改良がここに開示される本発明の範囲から離れずに組み込まれ得る。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、抗菌化合物を使用して麻酔作用を得ることに関する。特に、本発明は、2,4-ジクロロベンジルアルコール(DCBA)、アミルメタクレゾール(AMC)、塩化セチルピリジニウム(CPC)及びヘキセチジン(HT)を使用して麻酔作用を得ることを対象とする。
2,4-ジクロロベンジルアルコール(DCBA)は、周知の抗菌化合物であり、多数のグラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して使用される。2,4-DCBAは、多数の他の抗菌剤、例えば、アミルメタクレゾールのようなフェノール防腐剤と共に使用されてきた。
EP0 161 898は、プラークの治療のための2,4-DCBAを含む組成物の使用を教示する。US 4 167 583は、DCBAを含む抗細菌組成物を開示する。これらの組成物は、外科用機器を消毒するために使用される。WO92/1811は、ピロリ菌による胃の疾患の治療用調製物における抗菌剤、例えば2,4-DCBAの使用を開示する。WO96/32934は、HIVの治療用の薬剤調製物への2,4-DCBA及びアミルメタクレゾールの使用を教示する。WO2005/067906は、重症急性呼吸器症候群(SARS)の治療用の該組成物の使用を教示する。US 6 251 371は、真皮又は粘膜の炎症の治療へのDCBAの使用を教示する。
US2007/0202177は、抗細菌組成物におけるアミルメタクレゾールの使用を教示する。該組成物は、カテーテルロック溶液又はカテーテル被覆剤に使用され、感染を減少又は予防する。WO2005/123074及びWO2004/105758は、睡眠障害の治療用のトリプロリジンを含む組成物を開示する。該組成物は、さらにAMC及びDCBAのような活性剤(active)を含み得る。
塩化セチルピリジニウム(CPC)は、口腔のクリーニング及び咽頭又は口腔の軽症の感染及び歯の発生に伴う問題の治療のための経口リンスに一般的に使用されている。これは、特定の殺虫剤の成分としても使用されている。
【0002】
ヘキセチジンも口腔のクリーニング及び咽頭又は口腔の軽症の感染の治療のための経口リンスに使用される。
ほとんどの咽頭痛は、風邪及びインフルエンザウィルスのようなウィルスによって引き起こされる。いくつかの咽頭痛は、細菌、最も一般的に連鎖球菌による感染によって引き起こされ得る。極端な場合は、一連の抗生物質がしばしば必要とされる。これに対して、ウィルス性の咽頭痛は、抗生物質に反応せず、従って、該症状の取り扱いは、ウィルスが、体から排除されるまで必要とされる。
咽頭用ロゼンジは、一般的に以下の成分、麻酔薬、鎮痛剤、抗菌剤、緩和薬の1種以上を含む。
典型的な麻酔薬としては、ベンゾカイン及び塩酸リドカインが挙げられる。塩酸ベンジダミン及びアンブロキソールも局所麻酔特性を有する。局所麻酔剤は、その接触する領域を麻痺させかつ一時的に苦痛を取り除く。塩酸リドカイン及びベンゾカインは、広く医療及び歯科行為において軽度の外科的処置又は管を気管に挿入しなくてはならない場合に口腔及び咽頭を局所的麻痺させるために使用される。
典型的な供給されている鎮痛剤(又は痛み止め)としては、塩酸ベンジダミン、フルルビプロフェンが挙げられる。これらの鎮痛剤は、NSAID(非ステロイド系抗炎症薬)として知られる群に属し、痛み及び腫れを軽減する。全身作動性NSAID及び他の鎮痛剤、例えばパラセタモールもまた痛みの緩和に使用される。麻酔は、一般的に感覚又は触覚(feeling)を喪失又は欠如させると考えられる。この語は、可逆的方法であって、手術及び苦痛又は不愉快な処置を患者にとって苦痛なく受けられるようにする方法を表すのに一般的に用いられる。その一方、鎮痛は、痛みを一時的に緩和又は取り除く薬物をいう。局所麻酔剤とは異なり、これらは、それぞれ体の一部に供給する感覚又は運動神経の活動を止める感覚又は運動の遮断をしない。
【0003】
典型的な抗菌物質としては、アミルメタクレゾール、塩化セチルピリジニウム、ヘキセチジン及びジクロロベンジルアルコールが挙げられる。
他の既知の成分としては、揮発性油、例えばメタノール/ペパーミント、(神経作用を有し得る)ユーカリノキ及びペクチンが挙げられる。
本発明の第一の特徴としては、薬剤の調製のための1種以上の抗菌化合物の使用であって、1種以上の抗菌化合物が麻酔作用を有することを特徴とする使用を提供する。
典型的に1種以上の抗菌化合物としては、2,4-ジクロロベンジルアルコール、アミルメタクレゾール、塩化セチルピリジニウム、ヘキセチジン、リドカイン、ヘキシルレソルシノール又はベンゾカインから選択され得る。これらの1種以上の化合物は、2,4-ジクロロベンジルアルコール、アミルメタクレゾール、塩化セチルピリジニウム、ヘキセチジン、リドカイン及びベンゾカインの組み合わせでもよい。好ましい組み合わせとしては、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール、2,4-ジクロロベンジルアルコール/塩化セチルピリジニウム、2,4-ジクロロベンジルアルコール/ヘキセチジン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/リドカイン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/ベンゾカイン、アミルメタクレゾール/塩化セチルピリジニウム、アミルメタクレゾール/ヘキセチジン、アミルメタクレゾール/リドカイン、アミルメタクレゾール/ベンゾカイン、塩化セチルピリジニウム/ヘキセチジン、塩化セチルピリジニウム/リドカイン、塩化セチルピリジニウム/ベンゾカイン、ヘキセチジン/リドカイン、ヘキセチジン/ベンゾカイン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/塩化セチルピリジニウム、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/ヘキセチジン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/リドカイン及び2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/ベンゾカイン、ヘキシルレソルシノール/アミルメタクレゾール、ヘキシルレソルシノール/2,4-ジクロロベンジルアルコール、ヘキシルレソルシノール/塩化セチルピリジニウム、ヘキシルレソルシノール/ヘキセチジン、ヘキシルレソルシノール/リドカイン、及びヘキシルレソルシノール/ベンゾカインからなる群から選択され得る。
【0004】
本薬剤は、ロゼンジ、ゲル、スプレー、カプセル、トローチ剤(pastille)、ガム、溶解性顆粒、うがい剤、飲料、液体-ショット(liquid-shots)、錠剤、又はいかなる他の好適な形態であり得る。この薬剤は、ロゼンジの形態であり得る。
1種以上の抗菌剤を含む薬剤の基剤が、スクロース、グルコース、イソマルト、マルチトール、キシリトール又はマンニトールから選択される1種以上の成分を含む。
本薬剤は、乾性、痒い、炎症した、腫れた、刺痛の、灼熱痛の咽頭を含む咽頭痛の治療に使用され得る。本薬剤は、歯肉又は扁桃のような他の口腔領域の治療に使用され得る。
本薬剤の局所的麻酔作用は、10分未満の時間で得られ得る。本薬剤の局所的麻酔作用は、5分未満の時間で得られ得る。
本発明の第二の特徴によれば、患者が局所的麻酔作用を得る方法であって、麻酔作用を示す1種以上の抗菌化合物を含む組成物を投与する工程を含むことを特徴とする方法を提供する。
典型的な1種以上の抗菌化合物は、2,4-ジクロロベンジルアルコール、アミルメタクレゾール、塩化セチルピリジニウム、ヘキセチジン、リドカイン、ヘキシルレソルシノール又はベンゾカインから選択される。1種以上の化合物は、2,4-ジクロロベンジルアルコール、アミルメタクレゾール、塩化セチルピリジニウム、ヘキセチジン、リドカイン及びベンゾカインの組み合わせでもよい。好ましい組み合わせは、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール、2,4-ジクロロベンジルアルコール/塩化セチルピリジニウム、2,4-ジクロロベンジルアルコール/ヘキセチジン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/リドカイン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/ベンゾカイン、アミルメタクレゾール/塩化セチルピリジニウム、アミルメタクレゾール/ヘキセチジン、アミルメタクレゾール/リドカイン、アミルメタクレゾール/ベンゾカイン、塩化セチルピリジニウム/ヘキセチジン、塩化セチルピリジニウム/リドカイン、塩化セチルピリジニウム/ベンゾカイン、ヘキセチジン/リドカイン、ヘキセチジン/ベンゾカイン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/塩化セチルピリジニウム、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/ヘキセチジン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/リドカイン及び2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/ベンゾカイン、ヘキシルレソルシノール/アミルメタクレゾール、ヘキシルレソルシノール/2,4-ジクロロベンジルアルコール、ヘキシルレソルシノール/塩化セチルピリジニウム、ヘキシルレソルシノール/ヘキセチジン、ヘキシルレソルシノール/リドカイン、及びヘキシルレソルシノール/ベンゾカインからなる群から選択され得る。
【0005】
局所的麻酔作用は、10分未満の時間に得られ得る。局所的麻酔作用は、5分未満の時間に得られ得る。
患者は、乾性、痒い、炎症した、腫れた、刺痛の、灼熱痛の咽頭を含む咽頭痛にかかり得る。患者は、歯肉又は扁桃のような他の口腔領域の感染にもかかり得る。
本発明の態様としては、添付の図面を参照して単に例示のために示される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】アミルメタクレゾール(AMC)の濃度−応答曲線を示す。
【図2】アミルメタクレゾール(AMC)による、速い不活性化に伴う結合親和性の増加−遮断の電圧依存性示す。
【図3】アミルメタクレゾール(AMC)の遮断能の濃度−及び電圧−依存性増加に対する代表的な電流のトレースを示す。
【図4】ジクロロベンジルアルコール(DCBA)に対する濃度−応答曲線を示す。
【図5】ジクロロベンジルアルコール(DCBA)による、速い不活性化に伴う結合親和性の増加−遮断の電圧依存性を示す。
【図6】アミルメタクレゾール(AMC)及びジクロロベンジルアルコール(DCBA)の組み合わせの作用を示す。
【図7】AMC/DCBA組み合わせの速い不活性化を示す。
【図8】塩化セチルピリジニウム(CPC)に対する濃度応答曲線を示す。
【図9】塩化セチルピリジニウム(CPC)の速い不活性化を示す。
【図10】塩化セチルピリジニウム(CPC)に対する代表的な速い−不活性化電流トレースを示す。
【図11】ヘキセチジン(HT)の濃度応答曲線を示す。
【図12】ヘキセチジン(HT)の速い−不活性化効果を示す。
【図13】ヘキセチジン(HT)に対する代表的な速い−不活性化電流トレースを示す。
【図14】不活性化チャネルに対するアミルメタクレゾール(AMC)、ジクロロベンジルアルコール(DCBA)及びヘキセチジン(HT)の見積もられた親和性を示す。
【図15】不活性化チャネルに対するアミルメタクレゾール(AMC)、ジクロロベンジルアルコール(DCBA)及びヘキセチジン(HT)の見積もられた親和性を示す。
【図16】不活性化チャネルに対するアミルメタクレゾール(AMC)、ジクロロベンジルアルコール(DCBA)及びヘキセチジン(HT)の見積もられた親和性を示す。
【図17】ヘキシルレソルシノール(HR)に対する濃度−応答曲線を示す。
【図18】ヘキシルレソルシノール(HR)による、速い不活性化に伴う結合親和性の濃度依存的増加:ナトリウムチャネル遮断の電圧依存性を示す。
【図19】ヘキシルレソルシノール(HR)に対する速い不活性化電流トレースを示す。 (トランスフェクション及び細胞培養) 安定的に移入された(transfected)HEK293細胞株であって、ラット由来のNaV1.2神経ナトリウムチャネルのα−サブユニットを発現するものが使用された。発現ベクターpRc/CMV(インビトロジェン、サンディエゴ、米国)が、哺乳類のトランスフェクションに使用された。トランスフェクションは、リン酸カルシウム沈殿を使用して行われた。永久発現が、アミノグリコシド系抗生物質ジェネチシンG418(ライフテクノロジー、エッゲンシュタイン、ドイツ)に対する耐性への選択によって達成された。成功裡のチャネル発現は電気生理学的に確認された。 (溶液) ジクロロベンジルアルコール(DCBA)、アミルメタクレゾール(AMC)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、ヘキシルレソルシノール(HR)及びヘキセチジン(HT)を実験の前に1Mのエタノールストック溶液として調製した。次いで、ストック溶液をバス溶液(bath solution)に直接溶解した。バス溶液は、NaCl 140、MgCl2 1.0、KCl 4.0、CaCl2 2.0、Hepes 5.0、 デキストロース 5.0[mM]を含んでいた。パッチ電極(patch electrode)は、CsCl2 130、 MgCl2 2.0、EGTA 5.0、Hepes10[mM]を含んでいた。すべての溶液は、マンニトールの添加によって290mosml-1及びCsOHの添加によりpH7.4に調節された。
【0007】
(電気生理学)
標準的な全細胞の電圧-クランプ実験を20℃で行った。各実験は、試験前後での単一の濃度で薬物の存在下の試験記録(test recording)、及び薬物不存在下のコントロール記録(control recording)から構成された。各細胞は、ひとつの試験濃度のみにさらされた。3又は5以上の独立実験を試験される活性剤(active)に応じた各濃度で行った。
データ収集及び更なる解析のために、EPC9デジタル制御された増幅器をパルスとパルスフットソフトウェア(HEKAエレクトロニクス、ランブレット、ドイツ)を組み合わせて使用した。EPC9は、容量性及び漏洩電流の自動消去をプレパルスプロトコルを用いて提供する。データを10kHzでフィルタし及び1点あたり20μsでデジタル化した。パッチピペットの入力抵抗は、2.03.5 MΩ及び電池の電気容量は、915 pFであり、残りの直列抵抗(50%補正(compensation)後)は、1.22.5 MΩであった。直列抵抗におけるリンスを伴う実験は受け入れられなかった。定常状態不活性化の電圧依存性における時間−依存シフトを最小化するために、すべての試験実験を5分以内のパッチラプチャー(patch rupture)で行った。これらの実験条件の下で、コントロール条件の時間−依存性過分極シフトは、-2mV未満であった。
ピーク電流の振幅での薬物効果は、過分極膜電位(-100 mV 及び-150mV)で、生理学的条件で通常の静止電位に近い保持電位(70 mV)で、更に、遅い不活性化チャネルのフラクションの存在下の-100mVにて評価された。遅い不活性化は、長い(2.5s)プレパルスにより-90、-70、-50、-30 及び-10 mVに誘導され、次いで短い過分極が速い−不活性化からの回復を可能にした。我々のプロトコルにおいて回復間隔が、(当初10msと記載されていた代わりに)100msに延長され、薬物なしだけでなくすべての薬物−結合状態に対して十分な時間によって速い不活性化からの回復が可能になった。薬物の存在下、(ウォッシュアウトの間、同じプロトコルで誘発されたピーク電流に関して)0mVへの単一試験パルスで誘発された残留ナトリウム電流(Inorm)は、薬物の適用された濃度[C]に対してプロットされた。濃度−応答−カーブが、ヒルの式を使用してフィットされ、半最大チャネル遮断濃度(half-maximum channel blockade)(ICR50)、及びそれぞれのヒル係数nHを得た。
【0008】
【数1】
【0009】
【数2】
【0010】
ヘキセチジンの存在下、2-状態ヒル式、式2を適用し、不活性状態の半最大チャネル遮断濃度(ICI50)、それぞれのヒル係数nH、及びそれぞれの振幅a及び(1-a)が得られた。あらかじめ得られたICR50及びnHの値は、定数係数として導入された。
不活性化チャネルに対する薬物の結合は、直接の実験アプローチにほとんど利用し難いのは、不活性化チャネル状態及びすべての薬物−結合したチャネル状態が、脱分極で入手できないからである。モデルに依存する方法(model-dependent method)は、一般的に速い−不活性化チャネル状態への親和性への決定するために適用される。速い−不活性化チャネル状態に対する遮断及び親和性の電圧−依存性は、更にダブルパルスプロトコルを適用することによって評価された。試験パルスによって誘発された電流(Itest)であって、変化するプレパルス電位(150 mV〜5 mV)から始まり、最も過分極化した前電位(150 mV)において誘発された電流に標準化された電流は、100msの不活性化プレパルスの間、不活性化されていなかったチャネルの相対的フラクションを表す。得られた電流−電圧プロットに対するボルツマンフィットから半最大のチャネルアベイラビリティでの膜電位(V0.5)及びスロープ係数kを得、これは不活性化ゲートの「電圧感度」を反映する(式3を参照)。
【0011】
【数3】
【0012】
コントロール条件において、ボルツマンフィットのパラメータは、静止(resting)チャネル及び速い−不活性化チャネル間の分配の電圧−依存性を反映する(アベイラビリティ曲線)。薬物の存在下、定常状態のアベイラビリティ曲線は、薬物と、それぞれ静止チャネル及び速い−不活性化チャネルとの関連を示す。静止チャネルと比べて、薬物と速い−不活性化チャネルとのより堅い結合であって、リドカイン様局所麻酔薬によるナトリウムチャネル遮断の典型的な特徴は、チャネルアベイラビリティ曲線における負の電圧シフトV0.5によって表され、濃度依存性を示す。基本的仮定は、連続的な膜脱分極によって得られたより高い量のチャネル遮断は、電圧の軸に沿う静止状態及び速い−不活性化状態の間の脱分極(すなわちチャネルアベイラビリティ曲線)、及びこの二つのチャネル状態に対する遮断薬の異なる結合親和性によって決定される。薬物の存在下、電圧シフトΔV0.5は、式4に従って薬物濃度[C]に依存する。濃度に対してプロットしたΔV0.5に対するモデルのフィットは、速い不活性化チャネルにおける半最大効果濃度ICI50及び不活性化チャネルに対する薬物結合性のヒル型係数nをもたらす。
【0013】
【数4】
【0014】
K及びICR50は、定数係数として入力される。Kは、コントロールのアベイラビリティ曲線のスロープ係数であり、ICR50は、静止チャネルの半最大効果濃度であり、100 mVの保持電位において得られる。
脱分極パルスの列(trains)の間の遮断の蓄積は、パルス間の間隔が短かすぎるのでナトリウムチャネルのアベイラビリティを回復できないことを示唆する。使用依存性遮断は、10 Hzで適用される10 msパルスの列を使用する-100及び-70 mVの内部電位で評価され、薬物の存在下の試験列での第一パルスに関連する最終パルスに対する内向き電流の更なる減少として定義される。
【0015】
図1は、アミルメタクレゾール(AMC)の濃度−応答曲線を示す。図1の左側は、ナトリウムチャネルの濃度依存性遮断がそれぞれ-70mV(塗りつぶされた四角)、-100mV(空き三角)及び-150mV(塗りつぶされたひし形)の保持電位から0mVへの脱分極パルスで試験されたとき得られた結果を示す。同一のプロトコルでのコントロール実験で誘発されたピーク電流が使用され電流を標準化した。各シンボルが、化合物の存在下、残留ナトリウム電流の平均値(Inorm、 平均値±SD)であって、試験された各濃度に対する3以上の実験から導き出された値を示す。AMCの感度は、-100mVに比べ-70mVで増加した。
図1の右側は、AMCの様々な濃度におけるナトリウム電流の阻害を明示する代表的な電流トレースを示す。このトレースは、薬物の不存在下(コントロール、ウォッシュアウト)10Hzで-70 mV 〜0 mVで適用された一連の10パルスのうち最初のパルス及びAMCの存在下最初のパルス及び最後の3パルスを示す。ウォッシュアウトの間、電流は、-100mVでのAMCの高濃度の適用(> EC50)の後94 ± 6 %のコントロール電流に達した。ウォッシュアウトの間のピーク電流振幅の回復は、-70mVでコントロール振幅のわずか64 ± 9 %に達する保持電位−電流に依存した。いかなる理論に拘束されることを望まずに、この結論は、脱分極が、AMCに対する高−親和性状態であって、結合部位からの解離を妨げる状態を誘導することを示唆する。
【0016】
図2は、アミルメタクレゾール(AMC)による速い不活性化に伴う結合親和性の増加−遮断の電圧依存性を示す。定常−状態アベイラビリティ曲線は、様々な濃度(30、50、 100 μM)のアミルメタクレゾールの存在下(四角)及び不存在下(コントロール:丸、ウォッシュアウト:三角)二つのパルスのプロトコルにより評価された。各シンボルは、4以上の様々な実験からもたらされる平均フラクション電流(fractional current)であって、-150mVから指示されたプレパルス電位への100ms不活性化プレパルスに次ぐ0mVへの4ms試験パルスにより誘発される電流を示す。電流は、(-150mV前電位での一連の)最大値に標準化され、実線は、データに対する最良のボルツマンフィットを示す。試験パルス電流は薬物の存在下(塗りつぶされた四角)の最大値に又はコントロール(空き四角)の最大値に標準化された。図の縦矢印は、より脱分極した電位対過分極化プレパルス電位での50 μM AMCにより誘導されるピーク電流抑制の増加を示す。脱分極した前電位でのチャネルアベイラビリティのこの減少は、アベイラビリティ曲線の中間点における電圧シフトとなった。この効果の濃度−依存性は、モデル−依存アプローチで不活性化状態結合の親和性の評価をするために使用された。
脱分極した膜電位でのアミルメタクレゾールの遮断能における濃度−及び電圧依存的増加に対する代表的な電流トレースを図3に示す。電流は150 mV から100 mV (第一カラム)、 -70 mV (第二カラム) 又は50 mV(トレースの第三カラム)の100msプレパルスに次ぐ0mVへの4msの試験パルスの適用により誘発された。ウォッシュアウト中のピーク電流振幅の回復は、それぞれ-150、-100、及び-70 mV保持電位での90 ± 3、91 ± 3 及び64 ± 9 %のコントロール電流に達した。
【0017】
図4は、ジクロロベンジルアルコール(DCBA)に対する濃度−応答曲線を示す。それぞれ-70、-100及び-150 mVの保持電位でのジクロロベンジルアルコールによるナトリウム内向き電流の濃度−依存阻害が示される。0mVへの脱分極パルスが-150mV(塗りつぶされた菱形)、100 mV (空き三角)、又は-70 mV(塗りつぶされた四角)から開始された。電流は、それぞれのコントロール実験と同一のプロトコルにより誘発されたピーク電流に標準化された。各シンボルは、薬物の存在下残留ナトリウム電流の平均値(Inorm、平均値±SD)であって、各試験された濃度に対する4以上の独立した実験から得た値を表す。感度は、-100及び-150mVに比べ-70mVの保持電位でわずかに増加した。実線は、データと指示されたパラメータとのヒルフィットである(式1)。DCBAのウォッシュアウトの効果は不完全であった。-100mVの保持電位において、300及び500 μMのDCBAでウォッシュアウトの間、電流は、コントロール電流振幅の71 ± 3 %に達した。
-70mVにおいて電流振幅は、ウォッシュアウトの間、コントロール電流の63 ± 9 %に戻った。右の代表的な電流トレースは、DCBAによる電流阻害を示し、これは、コントロール及びウォッシュアウトの間、10Hzで適用される-70〜0mVの一連の10パルスのうち最初のパルス、及びDCBAの存在下最初のパルス及び最後の3パルスを表す。
【0018】
図5は、ジクロロベンジルアルコール(DCBA)による、速い不活性化に伴う結合親和性の増加−遮断の電圧依存性を示す。図5の上部は、DCBAに対する脱分極膜電位での遮断能の増加を示す。150 mVから100 mV (トレースの第一列)、-70 mV (トレースの第二列)又は50 mV (トレースの第三列)への100msプレパルスに次ぐ0mVへの短い(4ms)試験パルスの間コントロール及び100 μM (左)又は500 μM(右)ジクロロベンジルアルコールにおける代表的な電流トレースであり、これは、コントロールでの半最大チャネル不活性化電位に近い膜電位である。電流は、それぞれウォッシュアウトの間、-150、-100及び-70 mVでコントロール電流の88 ± 3、89 ± 5及び63 ±9 %に戻った。
図5の下側のプロットは、定常状態アベイラビリティ曲線が、ジクロロベンジルアルコールの不存在下(コントロール;丸、ウォッシュアウト;三角)及び100 μM (左図) 又は500 μMのジクロロ−ベンジルアルコール(右図、四角)の存在下、2種のパルスプロトコル(two-pulse protocol)によって評価されたときに得られた結果を示す。各シンボルは、4以上の様々な実験から得た平均フラクション電流であって、-150mVから指示されるプレパルス電位への100ms不活性化プレパルスに次ぎ、0mVへの4ms試験パルスにより誘発されたものを表す。電流は、最大値に標準化され(-150mV前電位で各シリーズ)、実線は、データへの最良のボルツマンフィット(式3、方法の部)を表す。薬物の存在下試験パルス電流は、薬物存在下(塗りつぶされたシンボル)の最大値又はコントロールでの最大値(空きシンボル)に標準化された。
【0019】
図6は、アミルメタクレゾール(AMC)及びジクロロベンジルアルコール(DCBA)の組み合わせの効果を示す。ナトリウムチャネルの濃度依存性遮断は、それぞれ-70(左)及び-100mV(右)保持電位で先述のプロトコルを使用し60及び100μM DCBAを30及び50 μM AMCに添加することにより試験した。各シンボルは、AMC単独の存在下(空き四角)又は30 μM AMC 及び60 μM DCBAの存在下(塗りつぶされた丸)又は50 μM AMC及び100 μM DCBA(塗りつぶされた三角)の存在下、残留ナトリウム電流(コントロールに関して)の平均値であって、各試験濃度に対して3以上の実験から得られたものを表した。
t-検定(t-test)は、30 μM/60 μM AMC/DCBAの組み合わせと30 μM AMC単独の効果と比べて有意差を表した。100 μM DCBAとの組み合わせにおいて、50 μM AMCの効果は、50 μM AMC単独の効果に関して有意に減少した。興味深いことに、30 μM/60 μM及び50 μM/100 μMのこれらの2種の化合物との組み合わせの間に有意差もなく、高濃度のDCBAの添加によりAMCへの濃度応答の急勾配を変えることを示す。
図7は、AMCとDCBAの組み合わせの速い不活性化を示す。定常−状態アベイラビリティ曲線は、AMC/DCBA-組み合わせの不存在下(コントロール:丸;ウォッシュアウト:三角)及び様々な濃度(30 μM/60 μM、50 μM/100 μM)のAMC/DCBA-組み合わせの存在下(四角)、2種のパルスのプロトコル(two pulse protocol)により評価された。各シンボルは、6以上の様々な実験から得た平均フラクション電流であって、-150mVから指示されたプレパルス電位へ100ms不活性化プレパルスに次ぎ0mVへの4ms試験パルスによって誘発されたものを表す。電流は、(-150mV前電位での各列における)最大値に標準化され、実線はデータへの最良のボルツマンフィットを表す。試験パルス電流は、薬物の組み合わせの存在下の最大値(塗りつぶされた四角)又はコントロールにおける最大値(空き四角)に標準化された。
30 μM/60 μMの組み合わせの効果は、30 μM AMC単独(上)の効果に非常に類似しているが、50 μM/100 μMの組み合わせの効果は、50 μM AMC単独(下)の効果に比べてDCBAの添加によって有意に減少した。
【0020】
図8は、塩化セチルピリジニウム(CPC)に対する濃度応答曲線を示す。図8の左側は、ナトリウムチャネルの濃度依存性遮断が、それぞれ-70 mV (塗りつぶされた四角)、 -100 mV (空き三角)及び-150 mV(塗りつぶされた菱形)の保持電位から0mVへの脱分極パルスで試験されたとき得られた結果を示す。それぞれのプロトコルでのコントロール実験で誘発されるピーク電流は、電流を標準化するために使用された。各シンボルは、化合物の存在下残留ナトリウム電流の平均値(Inorm, 平均値±SD)であって、試験された各濃度に対する5以上の実験より得られた値を表す。HRとAMCに比べ、CPCに対する感度は、-100mVに比べ-70mVで増加しなかった。この結果はCPC結合性が不活性化チャネルの存在下増えないことを示唆する。
図8の右側は、CPCの様々な濃度でのナトリウム電流の阻害を明示する代表的な電流トレースを示す。このトレースは、薬物の不存在下(コントロール、ウォッシュアウト)10Hzで適用した-70mVから0mVの一連の10パルスのうち最初のパルス及びCPCの存在下最初のパルスと最後の3パルスを示す。電流は、それぞれ-150、-100、及び-70 mVの保持電位でのウォッシュアウトの間、コントロール電流の66 ± 7、78± 5及び81 ± 5 %に達した。
図9は、塩化セチルピリジニウム(CPC)の速い不活性化を示す。定常−状態アベイラビリティ曲線は、塩化セチルピリジニウム不存在下(コントロール:丸;ウォッシュアウト:三角)及び0.1 μM (上)及び0.3 μM(下)の塩化セチルピリジニウムの存在下(四角)、2種-パルスのプロトコルによって評価された。各シンボルは、8以上の様々な実験から得られた平均フラクション電流であって、-150mVから指示されたプレパルス電位への100ms不活性化プレパルスに次いで0mVへの4msの試験パルスによって誘発された電流を表す。電流は、(-150mVの前電位での各列の)最大値に標準化され、実線は、データへの最良のボルツマンフィットを表す(式3、方法の部)。薬物の存在下の試験パルス電流は、薬物の存在下(塗りつぶされたシンボル)の最大値又はコントロール(空きシンボル)での最大値に標準化された。
【0021】
図10は、CPCの不存在下(コントロール、ウォッシュアウト)及び0.1 μM、0.3 μM及び1 μM CPCの存在下、代表的な電流トレースであって、150 mVから100 mV (第一カラム)、-70 mV (第二カラム)又は50 mV (第三カラム)への100msプレパルスに次ぐ0mVへの4msの試験パルスを適用することによって誘発されるものを示す。1 μM CPCは、ナトリウム内向き電流のほとんど完全な遮断を誘導し、0.3 μM濃度は静止チャネルの遮断のためのEC50にちかい。
図11は、ヘキセチジン(HT)に対する濃度応答カーブを示す。図11の左側は、それぞれ-70及び-150 mV保持電位でのナトリウム内向き電流の濃度−依存性阻害を示す。0mVへの脱分極パルスは、-150mV(塗りつぶされた菱形)又は-70mV(塗りつぶされた四角)から開始された。電流は、それぞれのコントロール実験での同一のプロトコルで誘発されたピーク電流に標準化された。各シンボルは、薬物の存在下残留ナトリウム電流の平均値(Inorm、平均値±SD)であって、試験された各濃度での4以上の独立実験から得られた値を表す。感度は、-150mVと比べ-70mV保持電位で増加した。-70mVにおいてヘキセチジンの非常に低濃度(0.1 μM)で誘導された遮断は、すでにコントロール電流振幅の41 ± 13 %であった。ヘキセチジン濃度効果曲線は、二相性であり、0.1 μM濃度の効果は、1 μMまで増加する濃度で最小限にしか増加せず、>3 μMの濃度で、濃度−依存性は、急勾配であった。
ヘキセチジンの二相性濃度−効果曲線が最良に示され、指示されたパラメータとともに平均データ(実線)に対して2段階ヒル式(式2)にフィットする。
30 μMを超える濃度が、全細胞実験におけるシール(seal)に対して毒性を示した。したがって、3つの実験で100μMのヘキセチジンがナトリウム内向き電流の完全な遮断を誘導するが、これは、単に特定のナトリウムチャネル遮断効果に起因するわけでない。
図11の右側の代表的な電流トレースは、HTによる電流阻害を明示し、これはコントロールとウォッシュアウトの間10Hzで適用される-70から0mVの一連の10パルスのうち最初のパルス、及びHTの存在下最初のパルスと最後の3パルスを示す。
ウォッシュアウトの間ピーク電流振幅の回復は、保持電位に依存した。ウォッシュアウトの間、電流は、-70mVでコントロール電流の47 ± 11 %及び-150mVで80 ± 8 %に達した。
【0022】
図12は、ヘキセチジン(HT)の速い−不活性化効果を示す。定常状態アベイラビリティ曲線は、ヘキセチジンの不存在下(コントロール:丸;ウォッシュアウト:三角)及び様々な濃度(0.3、1.0、3.0、10.0μM)のヘキセチジンの存在下(四角)、二種パルスのプロトコルによって評価された。各シンボルは、4以上の様々な実験から得られ-150mVから指示されたプレパルス電位への100ms不活性化プレパルスに次ぐ0mVへの4ms試験パルスによって誘発された平均フラクション電流を表す。電流は、(-150mV前電位での各シリーズの)最大値に標準化され、実線は、データへの最良のボルツマンフィットを表す。試験パルス電流は、薬物存在下の最大値(塗りつぶされた四角)又はコントロールの最大値(空き四角)に標準化された。HTの存在下電圧シフトは、広い範囲の濃度(0.3-3 μM)に対して非常に小さい濃度依存性しか示さない。
図13は、脱分極膜電位でのヘキセチジンの遮断能の濃度−及び電圧−依存性増加に対する代表的な速い−不活性化電流トレースを示す。電流は、150 mV から100 mV (第一列), -70 mV (第二列) 又は50 mV(トレースの列)への100msプレパルスに次ぎ0mVへの4ms試験パルスの適用により誘発された。
図14〜16は、アミルメタクレゾール(AMC)、ジクロロベンジルアルコール(DCBA)及びヘキセチジン(HT)の不活性化チャネルに対する見積もられた親和性を示す。AMC、HT及びDCBAは負の電位方向にナトリウムチャネルアベイラビリティの電圧依存性をシフトし、これらの化合物は、不活性化されたチャネルに対してより高い結合親和性を有することを示す。DCBAとHTの場合、電圧シフトは非常に小さい濃度−依存性を示した。以下の図は、AMC(図14)、DCBA(上、図15)、CPC(下、図15)、HT(図16)の存在下、出発値に比例して定常−状態アベイラビリティプロットの中間点における薬物−誘導された負のシフトの濃度−依存性を示す。各シンボルは、3以上の様々な実験から得られた平均値を表す。エラーバーは、標準偏差であり、実線は、平均的データと指示されたパラメータに対する式4のフィットを示す。AMC、DCBA及びHTの不活性化チャネルに対する見積もられた親和性は、静止チャネルに比べて数倍高かった。AMCの存在下の電圧シフトは、それぞれ4.2及び1.3の不活性化状態の結合性に対する推測ヒル係数により表された急勾配の濃度依存性を示した。HT及びDCBAは、それぞれ-21mV及び-15mVの最大値シフトを誘導し、これは、それぞれ0.5及び0.4の不活性化状態の結合性に対するヒル係数による小さい濃度−依存性を示した。この結論は、チャネル不活性化の存在下これらの化合物の結合性が負の協同性(cooperativity)を示すことを示唆する。
【0023】
図17の左側は、ナトリウムチャネルの濃度依存性遮断が、それぞれ-70 mV (塗りつぶされた四角)、-100 mV (空き三角)、及び150 mV (塗りつぶされた菱形)の保持電位から0mVへ脱分極パルスで試験されることを示す。同一のプロトコルを有するコントロール実験で誘発されたピーク電流の平均値が、電流を標準化するために使用された。各シンボルは、化合物の存在下残留ナトリウム電流の平均値(Inorm、 平均値±SD)を表し、これは、各試験濃度に対する5以上の実験から得られ、実線は、指示されたパラメータとデータとのヒルフィットである。ヘキシルレソルシノールにより誘導された遮断は、それぞれ-100及び-150mVに比べて-70mV保持電位で感度を増加させ明らかに電圧依存性である。HRにより誘導される遮断は、過分極化された保持電位で高濃度でさえも不完全だった。
図17の右側は、ヘキシルレソルシノールの様々な濃度でナトリウム電流の阻害を明示する代表的な電流トレースを表す。このトレースは、HRの不存在下(コントロール、ウォッシュアウト)10Hzで適用される-70mVから0mVの一連の10パルスのうち最初のパルス及びHRの存在下最初のパルスと最後の3パルスを示す。ウォッシュアウトの間、-100mVで高濃度(> EC50)のHRの適用後コントロール電流の90 ± 10 %に達した。興味深いことに、ウォッシュアウトの間ピーク電流振幅の回復は電圧−依存性であった。電流は-70mVでのコントロール振幅のおよそ61 ± 5%にだけ達した。この結果は、脱分極がHRの高−親和性状態を誘導し、結合状態からその解離を妨げることを示唆し得る。
【0024】
図18は、定常−状態アベイラビリティ曲線であって、ヘキシルレソルシノールの不存在下(コントロール:丸、ウォッシュアウト:三角)及び様々な濃度(1、3、10、30 μM)のヘキシルレソルシノールの存在下(四角)、2種のパルスのプロトコルにより評価される曲線を示す。各シンボルは、4以上の様々な実験から得られる平均フラクション電流を表し、-150mVから指示されたプレパルス電位への100ms不活性化パルスに次いで、0mVへの4ms試験パルスにより誘発された。電流は、(-150mV前電位での各シリーズ中の)最大値に標準化され、実線は、データへの最良のボルツマンフィットを表す。試験パルス電流は、薬物の存在下の最大値(塗りつぶされた四角)又はコントロールの最大値(空き四角)に標準化された。ヘキシルレソルシノールにより誘導された遮断が膜脱分極により増強された。1及び3μMのヘキシルレソルシノールによる電流阻害は、過分極化保持電位(-150から-85mVの間)で極小であり、かつNaV1.2 (-55 mV)での半最大電流不活性化電位近くでほとんど完全な電流阻害へ増加した。脱分極前電位でのチャネルアベイラビリティにおけるこの減少は結果としてアベイラビリティ曲線の中間点での電圧シフトとなった(図14を参照されたい)。この効果の濃度依存性は、先述のモデル−依存性アプローチを使用して不活性化状態への親和性を評価するために使用された(比較のために図14、15及び16を参照のこと)。
図19は、HRの不存在下(コントロール、ウォッシュアウト)及び1 μM、3 μM、10 μM及び30 μMのHRの存在下、HRの電圧−依存性遮断作用の代表的な電流トレースであって、-150mVから100 mV (トレースの第一列)、-70 mV (トレースの第二列)又は50 mV (トレースの第三列)への100msプレパルスに次ぐ4msの試験パルスを0mVへ適用することによって誘発されるトレースを示す。電流は、それぞれ-150、-100、及び-70 mVの保持電位でウォッシュアウトの間コントロール電流の95 ± 3、94± 4及び61 ± 5 %に達した。
【0025】
[表1]静止状態及び不活性化状態の結合に対する半最大(half maximum)遮断濃度及びヒル係数
表1
-150mVの保持電位において式3を濃度−応答プロットにフィットすることによって評価されたECR50及びnHである。ECI50及びnHiは、不活性化チャネルの相対的効果に対する推定値であってアベイラビリティ曲線における電圧シフトの濃度−依存性への式4のモデルフィットから得られる。
異種に発現した電圧−ゲート(voltage-gated)の神経ナトリウムチャネルにおけるアミルメタクレゾール、ジクロロベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、ヘキシルレソルシノール及びヘキセチジンの遮断効果が研究されてきた。すべての化合物は、脱分極−誘導されたナトリウム内向き電流を遮断した。研究されたすべての化合物のうち塩化セチルピリジニウムは過分極した電位からの脱分極におけるナトリウム内向き電流を遮断するための最高の効能を示した。1 μM塩化セチルピリジニウムは、ナトリウム内向き電流のほとんど完全な遮断を誘導した。約1.27のヒル係数nHの半最大静止−状態遮断濃度は、0.22μMであった。この結果は、塩化セチルピリジニウムによる遮断が、電圧依存性でなく濃度依存性であることを示す(図11、12、13)。
【0026】
アミルメタクレゾール、ジクロロベンジルアルコール及びヘキセチジンは、電圧−及び濃度−依存方法でナトリウム内向き電流を遮断する。ジクロロベンジルアルコールが、局所麻酔剤リドカインの遮断効能に比べて、研究されたすべての化合物のナトリウム電流の遮断に対する最低の効能を有した。半最大静止−状態遮断濃度は、過分極電位での急勾配の濃度−依存性を有し657 μMであり、脱分極電位での低濃度−依存性であった。ジクロロベンジルアルコール及びヘキセチジンの適用された濃度に対する不活性化の電圧−依存性におけるシフトをプロットすることによりシフトの非常に小さい濃度−依存性のみが明らかになった。これらの結果は、不活性化状態への遷移がジクロロベンジルアルコール及びヘキセチジンの追加の分子の結合を阻害し、上記とは別にジクロロベンジルアルコール及びヘキセチジンの結合が不活性化チャネル状態への遷移を阻害することを示唆する。
さらに、ヘキセチジンの場合、低濃度範囲での濃度増加に伴う、遮断効果の小さな増加を有する二相性濃度−応答曲線が観測され、これは3から100 μMの範囲の HTでの急勾配な濃度−応答曲線であった (EC50 35 μM)。これは、高親和性結合部位に対する負の協同性を有するヘキセチジンへの2つの別個の結合部位の存在と一致する(見積もられたEC50 0.001 μM)。
アミルメタクレゾール及びヘキシルレソルシノールは、静止チャネルより不活性化チャネルへのより高い結合親和性に関してリドカイン−様局所麻酔剤にほとんど良く似た化合物である。アミルメタクレゾールに対する静止状態からの脱分極におけるナトリウムチャネルの遮断に対するEC50は、55 μMであり、リドカインのそれぞれの効能より約10倍高かった。アミルメタクレゾールにより誘導された遮断は、電圧−依存性であり、不活性化の電圧−依存性におけるシフトにより示される脱分極した前電位とともに増加した。アミルメタクレゾールに対して、不活性化チャネルに対する結合性の見積もられた推定ECI50は、22 μMであり、ECR50より約3倍低い。静止チャネルの遮断の効果及び不活性化の電圧依存性におけるシフトに対する濃度−依存性は、アミルメタクレゾールに対して約4.2のヒル係数により表された急勾配であった。脱分極した電位での両薬物の効果の減少した可逆性は、不活性化−遮断された状態からの薬物の解離が、静止−遮断された状態からの薬物解離よりほとんどありそうもないことを示唆する。
【0027】
アミルメタクレゾール及びジクロロベンジルアルコールの組み合わせの遮断能は、ジクロロベンジルアルコールのアミルメタクレゾールへの添加がアミルメタクレゾールの効能を増加させることを確認することを目的として研究された。結果は、60 μM ジクロロベンジルアルコールの添加による30 μMアミルメタクレゾールの遮断能の増加、及び100 μMジクロロベンジルアルコールの添加による50 μMアミルメタクレゾールの遮断能の減少さえも示さなかった(図6、7)。この結果は、ジクロロベンジルアルコールが、同一の結合部位に対してアミルメタクレゾールと競争し、最終的にアミルメタクレゾールに比べてジクロロベンジルアルコールの低い効能のためにより小さい効果を導くことを示唆する。いかなる理論にも拘束されず、両薬物の組み合わせは、アミルメタクレゾールの局所的麻酔作用の天井効果(ceiling effect)を導くことと考えられる。
塩化セチルピリジニウムにより誘導された遮断は、クラスIbリドカイン−様ナトリウムチャネル遮断薬の作用と対比して電圧−依存性でない。研究された化合物の中で、アミルメタクレゾールは、リドカインより約10倍より大きな効能がある。アミルメタクレゾールは、クラスIbリドカイン−様ナトリウムチャネル遮断薬に相当し、不活性化チャネル状態への強い結合の典型的なパターンを示す。ジクロロベンジルアルコールは、静止チャネルの遮断に関してほぼリドカインと同程度強い。しかし、リドカインと比して、不活性化状態への遷移は、更なるジクロロベンジルアルコール分子の結合を妨げる。アミルメタクレゾールへのジクロロベンジルアルコールの添加は、単独薬として適用されたアミルメタクレゾールの効果を減少させ、この観察は、同一の結合部位に対して両化合物が競争することを想定して説明され得る。両薬物の組み合わせは、アミルメタクレゾールの局所麻酔作用が、高濃度で減じられることを裏付ける。
【0028】
ヘキセチジンに対する二相性の濃度−応答曲線が、この化合物に対して2つの区別できる結合部位が存在するという結論を導いた。
更なる変更及び改良がここに開示される本発明の範囲から離れずに組み込まれ得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤の調製のための1種以上の抗菌化合物の使用であって、前記1種以上の抗菌化合物が、麻酔作用を示すことを特徴とする使用。
【請求項2】
前記1種以上の抗菌化合物が、2,4-ジクロロベンジルアルコール、アミルメタクレゾール、塩化セチルピリジニウム、ヘキセチジン、リドカイン、ヘキシルレソルシノール又はベンゾカインから選択される請求項1記載の使用。
【請求項3】
前記1種以上の抗菌化合物が、2,4-ジクロロベンジルアルコール、アミルメタクレゾール、塩化セチルピリジニウム、ヘキセチジン、リドカイン、ヘキシルレソルシノール及びベンゾカインの組み合わせである請求項1又は2記載の使用。
【請求項4】
前記組み合わせが、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール、2,4-ジクロロベンジルアルコール/塩化セチルピリジニウム、2,4-ジクロロベンジルアルコール/ヘキセチジン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/リドカイン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/ベンゾカイン、アミルメタクレゾール/塩化セチルピリジニウム、アミルメタクレゾール/ヘキセチジン、アミルメタクレゾール/リドカイン、アミルメタクレゾール/ベンゾカイン、塩化セチルピリジニウム/ヘキセチジン、塩化セチルピリジニウム/リドカイン、塩化セチルピリジニウム/ベンゾカイン、ヘキセチジン/リドカイン、ヘキセチジン/ベンゾカイン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/塩化セチルピリジニウム、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/ヘキセチジン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/リドカイン及び2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/ベンゾカイン、ヘキシルレソルシノール/アミルメタクレゾール、ヘキシルレソルシノール/2,4-ジクロロベンジルアルコール、ヘキシルレソルシノール/塩化セチルピリジニウム、ヘキシルレソルシノール/ヘキセチジン、ヘキシルレソルシノール/リドカイン、及びヘキシルレソルシノール/ベンゾカインからなる群から選択される請求項3記載の使用。
【請求項5】
前記薬剤が、ロゼンジ、ゲル、スプレー、カプセル、トローチ剤、ガム、溶解性顆粒、うがい剤、飲料、液体−ショット、錠剤、又はいかなる他の好適な形態である請求項1〜4のいずれか1項記載の使用。
【請求項6】
前記薬剤が、ロゼンジの形態である請求項5記載の使用。
【請求項7】
前記1種以上の抗菌剤を含む薬剤の基剤が、スクロース、グルコース、イソマルト、マルチトール、キシリトール又はマンニトールから選択される1種以上の成分を含む請求項1〜6のいずれか1項記載の使用。
【請求項8】
前記薬剤が、乾性、痒い、炎症した、腫れた、刺痛の、灼熱痛の咽頭を含む咽頭痛、又は歯肉又は扁桃のような他の口腔領域の治療に使用される請求項1〜7のいずれか1項記載の使用。
【請求項9】
患者が、局所的麻酔作用を得る方法であって、麻酔作用を示す1種以上の抗菌化合物を含む組成物を投与する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記1種以上の抗菌化合物が、2,4-ジクロロベンジルアルコール、アミルメタクレゾール、塩化セチルピリジニウム、ヘキセチジン、リドカイン、ヘキシルレソルシノール又はベンゾカインから選択される請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記1種以上の抗菌化合物が、2,4-ジクロロベンジルアルコール、アミルメタクレゾール、塩化セチルピリジニウム、リドカイン、ヘキシルレソルシノール及びベンゾカインの組み合わせである請求項9又は10記載の方法。
【請求項12】
前記組み合わせが、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール、2,4-ジクロロベンジルアルコール/塩化セチルピリジニウム、2,4-ジクロロベンジルアルコール/ヘキセチジン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/リドカイン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/ベンゾカイン、アミルメタクレゾール/塩化セチルピリジニウム、アミルメタクレゾール/ヘキセチジン、アミルメタクレゾール/リドカイン、アミルメタクレゾール/ベンゾカイン、塩化セチルピリジニウム/ヘキセチジン、塩化セチルピリジニウム/リドカイン、塩化セチルピリジニウム/ベンゾカイン、ヘキセチジン/リドカイン、ヘキセチジン/ベンゾカイン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/塩化セチルピリジニウム、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/ヘキセチジン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/リドカイン及び2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/ベンゾカイン、ヘキシルレソルシノール/アミルメタクレゾール、ヘキシルレソルシノール/2,4-ジクロロベンジルアルコール、ヘキシルレソルシノール/塩化セチルピリジニウム、ヘキシルレソルシノール/ヘキセチジン、ヘキシルレソルシノール/リドカイン、及びヘキシルレソルシノール/ベンゾカインからなる群から選択される請求項12記載の方法。
【請求項13】
前記患者が、乾性、痒い、炎症した、腫れた、刺痛の、灼熱痛の咽頭を含む咽頭痛、又は歯肉又は扁桃のような他の口腔領域を患っている請求項9〜12のいずれか1項記載の方法。
【請求項1】
薬剤の調製のための1種以上の抗菌化合物の使用であって、前記1種以上の抗菌化合物が、麻酔作用を示すことを特徴とする使用。
【請求項2】
前記1種以上の抗菌化合物が、2,4-ジクロロベンジルアルコール、アミルメタクレゾール、塩化セチルピリジニウム、ヘキセチジン、リドカイン、ヘキシルレソルシノール又はベンゾカインから選択される請求項1記載の使用。
【請求項3】
前記1種以上の抗菌化合物が、2,4-ジクロロベンジルアルコール、アミルメタクレゾール、塩化セチルピリジニウム、ヘキセチジン、リドカイン、ヘキシルレソルシノール及びベンゾカインの組み合わせである請求項1又は2記載の使用。
【請求項4】
前記組み合わせが、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール、2,4-ジクロロベンジルアルコール/塩化セチルピリジニウム、2,4-ジクロロベンジルアルコール/ヘキセチジン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/リドカイン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/ベンゾカイン、アミルメタクレゾール/塩化セチルピリジニウム、アミルメタクレゾール/ヘキセチジン、アミルメタクレゾール/リドカイン、アミルメタクレゾール/ベンゾカイン、塩化セチルピリジニウム/ヘキセチジン、塩化セチルピリジニウム/リドカイン、塩化セチルピリジニウム/ベンゾカイン、ヘキセチジン/リドカイン、ヘキセチジン/ベンゾカイン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/塩化セチルピリジニウム、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/ヘキセチジン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/リドカイン及び2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/ベンゾカイン、ヘキシルレソルシノール/アミルメタクレゾール、ヘキシルレソルシノール/2,4-ジクロロベンジルアルコール、ヘキシルレソルシノール/塩化セチルピリジニウム、ヘキシルレソルシノール/ヘキセチジン、ヘキシルレソルシノール/リドカイン、及びヘキシルレソルシノール/ベンゾカインからなる群から選択される請求項3記載の使用。
【請求項5】
前記薬剤が、ロゼンジ、ゲル、スプレー、カプセル、トローチ剤、ガム、溶解性顆粒、うがい剤、飲料、液体−ショット、錠剤、又はいかなる他の好適な形態である請求項1〜4のいずれか1項記載の使用。
【請求項6】
前記薬剤が、ロゼンジの形態である請求項5記載の使用。
【請求項7】
前記1種以上の抗菌剤を含む薬剤の基剤が、スクロース、グルコース、イソマルト、マルチトール、キシリトール又はマンニトールから選択される1種以上の成分を含む請求項1〜6のいずれか1項記載の使用。
【請求項8】
前記薬剤が、乾性、痒い、炎症した、腫れた、刺痛の、灼熱痛の咽頭を含む咽頭痛、又は歯肉又は扁桃のような他の口腔領域の治療に使用される請求項1〜7のいずれか1項記載の使用。
【請求項9】
患者が、局所的麻酔作用を得る方法であって、麻酔作用を示す1種以上の抗菌化合物を含む組成物を投与する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記1種以上の抗菌化合物が、2,4-ジクロロベンジルアルコール、アミルメタクレゾール、塩化セチルピリジニウム、ヘキセチジン、リドカイン、ヘキシルレソルシノール又はベンゾカインから選択される請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記1種以上の抗菌化合物が、2,4-ジクロロベンジルアルコール、アミルメタクレゾール、塩化セチルピリジニウム、リドカイン、ヘキシルレソルシノール及びベンゾカインの組み合わせである請求項9又は10記載の方法。
【請求項12】
前記組み合わせが、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール、2,4-ジクロロベンジルアルコール/塩化セチルピリジニウム、2,4-ジクロロベンジルアルコール/ヘキセチジン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/リドカイン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/ベンゾカイン、アミルメタクレゾール/塩化セチルピリジニウム、アミルメタクレゾール/ヘキセチジン、アミルメタクレゾール/リドカイン、アミルメタクレゾール/ベンゾカイン、塩化セチルピリジニウム/ヘキセチジン、塩化セチルピリジニウム/リドカイン、塩化セチルピリジニウム/ベンゾカイン、ヘキセチジン/リドカイン、ヘキセチジン/ベンゾカイン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/塩化セチルピリジニウム、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/ヘキセチジン、2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/リドカイン及び2,4-ジクロロベンジルアルコール/アミルメタクレゾール/ベンゾカイン、ヘキシルレソルシノール/アミルメタクレゾール、ヘキシルレソルシノール/2,4-ジクロロベンジルアルコール、ヘキシルレソルシノール/塩化セチルピリジニウム、ヘキシルレソルシノール/ヘキセチジン、ヘキシルレソルシノール/リドカイン、及びヘキシルレソルシノール/ベンゾカインからなる群から選択される請求項12記載の方法。
【請求項13】
前記患者が、乾性、痒い、炎症した、腫れた、刺痛の、灼熱痛の咽頭を含む咽頭痛、又は歯肉又は扁桃のような他の口腔領域を患っている請求項9〜12のいずれか1項記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2011−503163(P2011−503163A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533658(P2010−533658)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【国際出願番号】PCT/GB2008/003852
【国際公開番号】WO2009/063223
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(501427803)レキット ベンキサー ヘルスケア (ユーケイ) リミテッド (11)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【国際出願番号】PCT/GB2008/003852
【国際公開番号】WO2009/063223
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(501427803)レキット ベンキサー ヘルスケア (ユーケイ) リミテッド (11)
【Fターム(参考)】
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