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黄変防止層を有する尿石防止剤
説明

黄変防止層を有する尿石防止剤

【課題】長期間にわたって黄変しないトイレ排水管用尿石防止剤を提供すること。
【解決手段】固体酸を有効成分とした主剤層と前記主剤層の少なくとも一部を被覆する黄変防止層を有する打錠成形体からなるトイレ排水管用尿石防止剤。
黄変防止層は、安息香酸、フマル酸及びステアリン酸カルシウムからなる群から選ばれた一種又は二種以上の化合物を含有し、その含有量の合計が黄変防止層中において70質量%以上であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ排水管の尿石防止剤に係わり、さらに詳しくは、固体酸を主成分とする尿石防止剤に、黄変防止層を設けた尿石防止剤に関する。本発明の尿石防止剤は、水洗式の各種トイレに適用することができる。
【背景技術】
【0002】
トイレ排水管、特に、男子用トイレの排水管には、尿の分解により生成するカルシウム系化合物や有機物の混合物が固着した尿石と称されているスケールが生成し、尿および洗浄水の流れを悪化させ、はなはだしい場合には排水管を閉塞し、トイレは使用不能の状態となる。また、尿石中の有機物は、細菌により腐敗し悪臭を発生する。男子用トイレの悪臭は、有機物の腐敗による悪臭と尿の分解により発生するアンモニアの混合臭である。
【0003】
従来、トイレ排水管のスケール防止方法として、薬剤を洗浄水配管の途中に注入する方法および球状に成形した薬剤を男子用トイレの便器内に投入する方法などが実用化されている。これらの方法において使用する薬剤として、界面活性剤、殺菌剤および香料を含有するものが種々提案されている。
【0004】
本出願人は、固体酸を有効成分とする成形体からなる尿石防止剤を開発している(特許文献1)。この尿石防止剤は男子用便器等で使用すると尿石防止剤が黄色く着色する場合もあったが、錠剤に着色剤を入れ着色させるか、錠剤を容器等に入れ使用することで問題になることはなかった。しかし、最近、着色剤により便器に色移りしたり、デザイン性のある容器では錠剤が見えやすくなったりする場合もあり、尿石防止剤の黄変化を改善する必要が生じてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−38299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、長期間にわたって黄変しないトイレ排水管用尿石防止剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、尿石防止剤を含有する層の少なくとも一部の表面に安息香酸、フマル酸及びステアリン酸カルシウムからなる群から選ばれた一種又は二種以上の化合物を含有する層を設けることで長期間にわたって黄変を抑えることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)固体酸を有効成分とした主剤層と前記主剤層の少なくとも一部を被覆する黄変防止層を有する打錠成形体からなるトイレ排水管用尿石防止剤、
(2)黄変防止層が、トイレ排水管に設置したときの前記打錠成形体の上面になる部分に設けられたことを特徴とする前記(1)に記載のトイレ排水管用尿石防止剤、
(3)黄変防止層が安息香酸、フマル酸及びステアリン酸カルシウムからなる群から選ばれた一種又は二種以上の化合物を含有し、その含有量の合計が黄変防止層中において70質量%以上であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のトイレ排水管用尿石防止剤、及び
(4)主剤層100質量部に対して、黄変防止層1〜10質量部であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のトイレ排水管用尿石防止剤に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の尿石防止剤は、長期間使用しても黄変を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(黄変化)
尿石防止剤は水洗トイレの水で溶解してその溶解した薬剤によって尿石の付着を防止するものである。したがって、尿石防止剤に尿等が付着する状況にある。そして尿等は尿石防止剤の内部に浸透することで尿石防止剤内に留まることができ、尿の色または尿が変色することで尿石防止剤の表面が黄色等に変色することになる。
【0011】
(尿石防止剤)
本発明の尿石防止剤は、主剤層と黄変防止層で構成され、前記黄変防止層が主剤層の少なくとも一部を被覆している打錠成形体からなる。前記黄変防止層は、トイレ排水管に設置したときの前記打錠成形体の上面になる部分に設けられることが好ましい。
【0012】
(主剤層)
主剤層は、固体酸とその他成分で構成されている。また、その他の成分として、多孔性吸着剤、粉末化基剤、油状揮発性物質等を例示することができる。
【0013】
(主剤層:固体酸)
本発明において、固体酸とは、常温で固体の酸性物質であり、カルシウムイオンと反応してpH5〜8.5の範囲の水に対する溶解度が0.001g/100g(水)以下の塩を生成しないものであれば、特に、制限はない。たとえば、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素アンモニウム等の水溶性酸性塩類、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム等の強酸と弱塩基との水溶性塩類およびホウ酸、スルファミン酸などを挙げることができる。また、コハク酸、クエン酸、マレイン酸、イソフタル酸、酒石酸、ヒドロキシ酢酸、p−トルエンスルホン酸、フマル酸、アジピン酸、サリチル酸、プラシジル酸、ヒドロケイ皮酸、無水マレイン酸、安息香酸、リンゴ酸等の常温固体の有機酸類も使用でき、これら酸性物質は、1種単独または2種以上の混合物として使用できる。
打錠成形体中の固体酸の含有量は、通常50〜95質量%、好ましくは75〜95質量%である。
【0014】
(その他の成分:油状揮発性物質)
本発明において、油状揮発性物質とは、水難溶性の揮発性成分を含むものを言い、香料の他に、忌避剤又は防虫剤、防臭剤又は脱臭剤、殺虫剤、農薬等を用いることができる。
香料としては、トイレの悪臭や尿石防止剤成分の臭いをマスキングし、使用者に好感を抱かせるものであれば特に制限されず、天然香料、合成香料、調合香料等を使用することができる。例えば天然香料としては、マスティック油、パセリ油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、メントール油、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、コリアンダー油、オレンジ油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローレル油、カモミール油、カルダモン油、キャラウェイ油、ベイ油、レモングラス油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー、シトラス油、ミックスフルーツ油、ストロベリー油、シナモン油、クローブ油、グレープ油等が挙げられる。
【0015】
合成香料としては、カルボン、アネトール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルアンスラニレート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、エチノンアルコール、プロピルアルコール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルフェイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、エチルチオアセテート等が挙げられる。
【0016】
合成香料及び/又は天然香料も含む調合香料としては、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、ヨーグルトフレーバー、フルーツミックスフレーバー、ハーブミントフレーバー等が挙げられる。
【0017】
また、忌避剤又は防虫剤、防臭剤又は脱臭剤、殺虫剤、農薬などとしては、以下のものが挙げられる。
忌避剤又は防虫剤としては、カプサイシン、ペパーミント油、ユーカリ、サイプレス、ヌマヒノキ、メントール油、アリルイソチオシアネート、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、ノニル酸バニリルアミド等が挙げられる。
防臭剤又は脱臭剤としては、フタル酸エステル、リン酸エステル、植物系油抽出物、テルペン系脱臭剤等が挙げられる。
【0018】
農薬としては、フェニトロチオン、メチルパラチオン、パラチオン、ジアジノン、ワルファリン、アラクロール、ピレトリン、シクロヘキシミド、セトキシジム、トリフューミゾール(trifiumizole)等が挙げられる。
殺虫剤としては、ペルメトリン、ピレスロイド化合物、フィプロニル等が挙げられる。
打錠成形体中の揮発性物質の含有量は、通常0.1〜5.0質量%、好ましくは1.0〜2.0質量%である。
【0019】
(その他の成分:多孔性吸着剤)
本発明において多孔性吸着剤は、前記した油状揮発性物質を吸着・保持させ、さらに徐放性を持たせる目的で使用する。多孔性吸着剤としては、徴小な細孔又は微小な空隙を有する微粒子であれば特に制限されないが、平均の一次粒子径1.0〜120μm、多孔度1.0〜2.0mL/gのものが好ましい。
微粒子としては、有機及び無機微粒子があるが、有機微粒子としては、セルロース、セルロース誘導体等を挙げることができる。
無機微粒子としては、例えばケイ酸カルシウム、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等のケイ酸類を挙げることができる。ケイ酸カルシウムとしてはフローライトR(トクヤマ)、含水二酸化ケイ素としてはサイリシア(富士シリシア)、カープレックス(塩野義製薬)、軽質無水ケイ酸としては、AEROSIL(日本アエロジル)等が市販されており、容易に入手することができる。
打錠成形体中の多孔性吸着剤の含有量は、通常0.1〜0.9質量%、好ましくは0.2〜0.7質量%である。
【0020】
(その他の成分:粉末化基剤)
本発明において粉末化基剤は、通常、油状物質の賦形剤として用いられているものを用いることができ、上記多孔性吸着剤の吸着補助剤として使用する。粉末化基剤としては、アラビアガム、サンタンガム、トラガントガム、ジェランガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム等のガム類、カラギーナン、寒天、LMペクチン、HMペクチン等の多糖類等が挙げられる。
打錠成形体中の粉末化基剤の含有量は、通常0.1〜15質量%、好ましくは1〜10質量%である。
【0021】
(その他の添加剤)
本発明のトイレ排水管の尿石防止剤は、前記の添加剤に加え、結合剤、滑沢剤、顔料、溶解速度調整剤、界面活性剤、腐食防止剤、殺菌剤、イオン封鎖剤等を添加することができる。
(その他の添加剤:結合剤)
結合剤として、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースのNa塩等を好適に例示することができる。
(その他の添加剤:滑沢剤)
滑沢剤は粒子同士等の摩擦の低減の目的で添加するものであり、特に限定されるものではないが、ステアリン酸カルシウム、DKエステルF20W等を例示することができる。
(その他の添加剤:顔料)
顔料は特に限定されるものではないが、便器に色移りしにくいものが好ましい。また、クロモフタルイエロー等を例示することができる。
【0022】
(黄変防止層)
黄変防止層は、尿石防止剤の黄変防止のために設けられた層であり、尿等が尿石防止剤内部に浸透することを防止する。そのためには尿石防止剤よりも溶解速度が遅いほうが好ましい。また、尿石防止剤全体が溶解するまでには黄変防止層も溶解しなければならないため、極端に溶解速度が遅くないほうが好ましい。さらに尿石防止剤全体と同一の圧力で打錠することができるほうが好ましく、尿石防止剤の薬剤を有する層と密着性が強いほうが好ましい。これらの全てを満たすためには、黄変防止層中に、安息香酸、フマル酸及びステアリン酸カルシウムからなる群から選ばれる一種又は二種以上の化合物を合計で70質量%以上含有することが好ましく、さらに90質量%以上含有することが一層好ましい。
また黄変防止層は、主剤層の少なくとも一部を被覆するように設けられており、打錠成形体の上面であっても下面であってもその両方であってもよく、また、全面であってもよいが、好ましくは上面である。通常、錠剤の下面の方により多くの水が流れるため、上面の方に水は掛かりにくくなっている。尿石防止剤の錠剤の上面とは、トイレに設置したときの錠剤の上面になる部分である。
平面部分を有する錠剤の場合は、通常、少なくとも一つの平面部分が上面となるから、平面部分に黄変防止層を設けるだけでもよい。
全て曲面で構成された錠剤の場合は、上面は一定しないため、全面に黄変防止層を設けるのが好ましい。この場合、錠剤が溶解すると共に底面が削れて平面になり、安定に設置できるようになることで上面が一定になる。
錠剤はどのような形状であっても、上下区別可能な容器に収容することでトイレに設置した時に常に上面を上方に向けることができる。
黄変防止層は主剤層100質量部に対して1〜10質量部であることが好ましく、さらに2〜7質量部であるほうがより好ましい。
また、黄変防止層の厚さは、適宜選択できるが、錠剤全体の厚みが25mmの場合で通常は、0.25〜2.5mmであり、錠剤全体の厚みが上記以外の場合も、ほぼ同様の比でよい。
【0023】
(製法)
本発明の尿石防止剤の製法は、尿石防止剤として、固体酸、その他の成分、その他の添加剤を混合して尿石防止剤の粉体を調製し、黄変防止層として、安息香酸、フマル酸、ステアリン酸カルシウム等の一種又は二種以上の化合物を混合して黄変防止層の粉体を調製し、臼に尿石防止剤の粉体を充填し、仮圧縮後、さらに黄変防止層の粉体を充填し、圧縮することで錠剤を形成する。また、臼に尿石防止剤の粉体、黄変防止層の粉体の順に充填し、圧縮することで錠剤を形成する。
本発明の尿石防止剤は、任意の形状、たとえば、球状、円柱状、孔空き円柱状、円板状、立方体状、円錐状、角錐状、動植物形状等に打錠できる。
【0024】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明の範囲は、下記実施例によりなんら限定されるものではない。
略号の意味は、以下のとおりである。
HPC:ヒドロキシプロピルセルロース
また、実施例において、使用される原料のメーカー名は以下のとおりである。
HPC−SL:日本曹達株式会社製
DKエステルF20W:第一工業製薬株式会社製
アラビアガム:和光純薬工業株式会社製(試薬)
サイリシア(登録商標):富士シリシア化学株式会社製
ゼオライト:日東粉化工業株式会社製
ORANGE AF−18237:曽田香料株式会社製
【実施例】
【0025】
以下に実施例を示すが、本発明はこの実施例になんら束縛されるものではない。
【0026】
(錠剤作製)
第1表に記載の主剤層の粉体および黄変防止層の粉体をそれぞれ混合して均一にし、臼に主剤の粉体、黄変防止層の粉体の順に充填し、圧縮することで円柱状の錠剤を作成した。
なお、主剤層100質量部に対し、黄変防止層は2.5質量部である。
【0027】
【表1】

【0028】
(黄変化試験)
1日当り10人以上使用する男子トイレに実施例1〜4、比較例1の錠剤を尿石防止剤用の上下の見分けがつく容器に入れ、上面を上に向けて設置し、黄変化を目視にて観察し、7、14、21日目に下記指標で評価し、その結果を第2表に記載した。
【0029】
黄変指数
0: 錠剤を作製した状態、白色である。
1: 若干、着色したように見えるが、かなり薄い。
2: 十分に着色したことがわかる。
3: 着色している。
【0030】
【表2】

【0031】
第2表より、本発明品は長期間にわたり、尿石防止剤の黄変化防止ができることが判明した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体酸を有効成分とした主剤層と前記主剤層の少なくとも一部を被覆する黄変防止層を有する打錠成形体からなるトイレ排水管用尿石防止剤。
【請求項2】
黄変防止層が、トイレ排水管に設置したときの前記打錠成形体の上面になる部分に設けられたことを特徴とする請求項1に記載のトイレ排水管用尿石防止剤。
【請求項3】
黄変防止層が安息香酸、フマル酸及びステアリン酸カルシウムからなる群から選ばれた一種又は二種以上の化合物を含有し、その含有量の合計が黄変防止層中において70質量%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトイレ排水管用尿石防止剤。
【請求項4】
主剤層100質量部に対して、黄変防止層1〜10質量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のトイレ排水管用尿石防止剤。


【公開番号】特開2013−94695(P2013−94695A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237323(P2011−237323)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000004307)日本曹達株式会社 (434)
【Fターム(参考)】