説明

黄色顔料分散液、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機発光装置

【課題】高輝度で且つ高コントラスト化の要求を達成しながら、カラーフィルタ製造工程における高温加熱工程後においても顔料凝集体が析出しない着色層(塗膜)を作製可能で、カラーフィルタの色再現域を向上するのに適した黄色顔料分散液、高温加熱工程時に顔料凝集体の析出が抑制され、高輝度及び高コントラストな着色層を形成可能で、カラーフィルタの色再現域を向上するのに適したカラーフィルタ用黄色樹脂組成物を提供する。
【解決手段】キノフタロン顔料及びイソインドリン顔料を含む顔料と、キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体と、顔料分散剤と、溶媒とを含有し、前記キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体を、前記キノフタロン顔料100質量部に対して、0.1〜20質量部含有する黄色顔料分散液である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、黄色顔料分散液、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピューターの発達、特に携帯用パーソナルコンピューターの発達に伴って、液晶ディスプレイの需要が増加している。また、最近においては家庭用の液晶テレビの普及率も高まっており、益々液晶ディスプレイの市場は拡大する状況にある。さらに液晶ディスプレイの性能においても、コントラストや色再現性の向上といったさらなる高画質化や消費電力の低減が強く望まれている。
このような状況において、液晶ディスプレイをカラー表示化させる機能を有するカラーフィルタにおいても、高輝度化や高コントラスト化、色再現性の向上といった要望が高まっている。特に最近、テレビ用途に対しても、バックライトの消費電力低減やLEDバックライトの特性に起因して、高輝度化の要望が高くなっている。
また上述した課題は、今後普及されていくことが予想される有機ELディスプレイにおいても同様であり、高輝度化や色再現性の向上については当該ディスプレイにおいても解決すべき問題であった。
【0003】
従来、一般的なカラーフィルタはガラス等の透明基板上に、赤色、緑色、青色の3色の着色層(画素)のパターンが形成されたものである。しかし、上記3色からなるカラーフィルタを用いた場合、表現可能な色は、xy色度図上におけるRGBの色三角形により規定される領域内の色に限られてしまうため、カラーフィルタの再現できる色の領域(色再現域)に限界があった。
近年、色再現性の向上のため、上記3色の着色層に加え、黄色やシアン等の着色層を加えた多色のカラーフィルタが用いられはじめている。また、カラーフィルタ全体としての輝度を向上させるため、黄色や白(透明)の着色層を加えたカラーフィルタが提案されている。
【0004】
黄色着色層を形成するために用いられる黄色顔料として、高コントラスト化に適したC.I.ピグメントイエロー150が挙げられる。しかしながら、C.I.ピグメントイエロー150を単独で黄色着色層に用いた場合、輝度や彩度が不十分であった。
特許文献1では、カラーフィルタのコントラストと彩度を両立するために、C.I.ピグメントイエロー150にC.I.ピグメントレッド177又はC.I.ピグメントレッド254を組み合わせた黄色組成物が記載されている。しかし、特許文献1の方法では、黄色顔料の透過波長領域において吸収を持つ赤色顔料を使用しているため、カラーフィルタの輝度が低下するという問題があった。
【0005】
特許文献2では、C.I.ピグメントイエロー139及びC.I.ピグメントイエロー150を含有するカラーフィルタ用黄色着色組成物が開示され、高コントラスト化が達成できるとしている。しかし、特許文献2では、C.I.ピグメントイエロー150を用いることにより、高コントラスト化を達成するものであり、C.I.ピグメントイエロー150にC.I.ピグメントイエロー139を組み合わせた場合、コントラストが低下するという問題があった。また、透過率の低い黄色顔料であるC.I.ピグメントイエロー150を用いているため、カラーフィルタとしての輝度も不十分であった。
【0006】
透過率の高い黄色顔料としては、キノフタロン顔料であるC.I.ピグメントイエロー138が挙げられる。しかしながら、C.I.ピグメントイエロー138は、顔料の分散状態が不安定で、顔料凝集が起こりやすく、着色樹脂組成物の保存安定性が不良となりやすい。また、この分散状態が不安定な着色樹脂組成物を用いて形成したカラーフィルタでは、顔料の凝集物による光の散乱等により、液晶が制御した偏光度合いを乱すこととなり、液晶表示パネルのコントラスト比が小さくなるという問題があった。
【0007】
特許文献3では、粘度が低く、保存安定性に優れた顔料分散液とするために、キノフタロン系顔料とキノフタロン系顔料のスルホン酸金属塩とを組み合わせたカラーフィルタ用黄色顔料組成物が記載されている。
【0008】
特許文献4では、赤色又は緑色画素において、C.I.ピグメントイエロー138の分散安定性を改善し、高コントラストなカラーフィルタを製造する試みとして、C.I.ピグメントイエロー138と、C.I.ピグメントイエロー138のスルホン化誘導体を組み合わせて用いたカラーペーストが記載されている。
しかしながら、特許文献3や特許文献4のC.I.ピグメントイエロー138にキノフタロン系顔料誘導体を組み合わせたカラーフィルタ用顔料組成物においても、近年のより高いコントラストについての要求特性に対しては、必ずしも十分に満足できるものではなくなってきている。
【0009】
特許文献5では、キノフタロン粗顔料を微細な顔料形に変換する方法として、キノフタロン粗顔料を粉砕し、当該粉砕物をキノフタロン顔料誘導体の存在下の溶媒中で再結晶させる方法、又はキノフタロン粗顔料をキノフタロン顔料誘導体の存在下で粉砕し、当該粉砕物を溶媒中で再結晶する方法を開示しており、前記キノフタロン顔料誘導体としてスルホン化キノフタロン顔料やフタルイミドメチルキノフタロン顔料を開示している。特許文献5では、キノフタロン顔料を製造する際に、粉砕された粗顔料の結晶成長を止める結晶化改質剤として、上記キノフタロン顔料誘導体が用いられているにすぎず、スルホン化キノフタロン顔料とフタルイミドメチルキノフタロン顔料のいずれも機能すると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−8920号公報
【特許文献2】特開2010−191468号公報
【特許文献3】特開2004−292785号公報
【特許文献4】特開2002−179979号公報
【特許文献5】特表2004−501911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者らは、キノフタロン顔料及びイソインドリン顔料を含む黄色着色層を有するカラーフィルタは、高い透過率(輝度)で色再現域を向上させることができるとの知見を得た。しかしその一方で、キノフタロン顔料及びイソインドリン顔料が共にコントラストの低い黄色顔料であることから、当該黄色着色層はコントラストが低下するという問題があった。
本発明者らは、従来より分散を強化することでキノフタロン顔料及びイソインドリン顔料の微細化を進め、このような微細化されたキノフタロン顔料及びイソインドリン顔料を用いることにより、高輝度で且つ高コントラストな黄色着色層(塗膜)が得られることをつきとめた。
しかしながら、微細化されたキノフタロン顔料においては、キノフタロン顔料の微細化に伴い、カラーフィルタ製造工程における露光後の高温(230℃以上)加熱工程後、塗膜表面に顔料の凝集体が異物のように析出する問題が発生することがわかった。このような顔料の凝集体が塗膜表面に異物のように析出した場合には、カラーフィルタは不良品として用いることができなくなってしまう。
【0012】
本発明は、このような状況下になされたものであり、高輝度で且つ高コントラスト化の要求を達成しながら、カラーフィルタ製造工程における高温加熱工程後においても顔料凝集体が析出しない着色層(塗膜)を作製可能で、カラーフィルタの色再現域を向上するのに適した黄色顔料分散液、高温加熱工程時に顔料凝集体の析出が抑制され、高輝度及び高コントラストな着色層を形成可能で、カラーフィルタの色再現域を向上するのに適したカラーフィルタ用黄色樹脂組成物、該カラーフィルタ用黄色樹脂組成物を用いて形成された黄色着色層を有する高輝度で色再現域の広いカラーフィルタ及び当該カラーフィルタを有する液晶表示装置並びに有機発光表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、キノフタロン顔料及びイソインドリン顔料を用い、更に、キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体を特定量組み合わせて従来より分散を強化させた顔料分散液を用いると、カラーフィルタに適した色を有し、高輝度で且つ高コントラスト化の要求を達成しながら、カラーフィルタ製造工程における高温加熱工程後においても顔料凝集体が析出しない黄色着色層を作成可能なカラーフィルタ用黄色樹脂組成物が得られることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0014】
本発明は、キノフタロン顔料及びイソインドリン顔料を含む顔料と、キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体と、顔料分散剤と、溶媒とを含有し、前記キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体を、前記キノフタロン顔料100質量部に対して、0.1〜20質量部含有する黄色顔料分散液を提供する。
【0015】
また、本発明は、キノフタロン顔料及びイソインドリン顔料を含む顔料と、キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体と、顔料分散剤と、アルカリ可溶性樹脂と、多官能性モノマーと、光開始剤と、溶媒とを含有し、前記キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体を、前記キノフタロン顔料100質量部に対して、0.1〜20質量部含有するカラーフィルタ用黄色樹脂組成物を提供する。
【0016】
本発明に係る黄色顔料分散液及びカラーフィルタ用黄色樹脂組成物においては、更に、キノフタロン顔料のスルホン酸誘導体を、前記顔料100質量部に対して、0.1〜20質量部含有することが、顔料の分散安定性を向上させ、高コントラストを達成しやすい点から好ましい。
【0017】
本発明に係る黄色顔料分散液及びカラーフィルタ用黄色樹脂組成物においては、前記キノフタロン顔料が、C.I.ピグメントイエロー138であることが、高輝度を達成しやすい点から好ましい。
【0018】
本発明に係る黄色顔料分散液及びカラーフィルタ用黄色樹脂組成物においては、前記イソインドリン顔料が、C.I.ピグメントイエロー139であることが、色再現域の広いカラーフィルタの黄色着色層を形成できる点から好ましい。
【0019】
本発明に係る黄色顔料分散液及びカラーフィルタ用黄色樹脂組成物においては、前記キノフタロン顔料のスルホン酸誘導体が、C.I.ピグメントイエロー138のスルホン酸誘導体であることが、顔料の分散安定性を向上させ、高輝度かつ高コントラストを達成しやすい点からより好ましい。
【0020】
本発明に係る黄色顔料分散液及びカラーフィルタ用黄色樹脂組成物においては、前記顔料分散剤が、下記一般式(I)で表される繰り返し単位(1)と、下記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)とを有し、さらに前記繰り返し単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と、有機酸化合物及び/又はハロゲン化アルキルとが塩を形成したブロック共重合体であることが、顔料分散性及び分散安定性を向上し、高輝度且つ高コントラストなカラーフィルタを形成できる点から好ましい。
【0021】
【化1】

[式(I)及び式(II)中、Rは、水素原子又はメチル基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Aは、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の基、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基である。上記アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ置換基を有していても良い。
xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。mは3〜200の整数、nは10〜200の整数を示す。]
【0022】
本発明に係る黄色顔料分散液及びカラーフィルタ用黄色樹脂組成物においては、前記顔料分散剤における前記有機酸化合物が、下記一般式(III)及び下記一般式(IV)で表される有機酸よりなる群から選択される少なくとも1種であることが、高輝度で且つ高コントラスト化の要求を達成しながら、フォトリソグラフィー法によるカラーフィルタ製造工程におけるアルカリ現像時の現像時間を短縮することができ、未露光箇所におけるカラーフィルタ用黄色樹脂組成物の残渣が少ない高品質なカラーフィルタを作製可能な点から好ましい。
【0023】
【化2】

[式(III)及び式(IV)中、R及びRa’はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基であり、R及びRa’のいずれかは炭素原子を含む。Ra’’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基である。Rb’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
、Ra’、及びRにおいて、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ、置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。]
【0024】
本発明に係るカラーフィルタ用黄色樹脂組成物においては、C光源で測定したCIE色度座標(x、y)が、(0.400,0.475)、(0.440,0.475)、(0.500,0.500)、(0.445,0.520)で囲まれる四角形内の範囲にある硬化膜を形成可能であることが、カラーフィルタの色再現域を広くできる点から好ましい。
【0025】
また本発明は、上記本発明に係るカラーフィルタ用黄色樹脂組成物を硬化させて形成されてなる黄色着色層を有することを特徴とするカラーフィルタを提供する。
更に、本発明は、上記本発明に係るカラーフィルタを有することを特徴とする液晶表示装置及び有機発光表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、高輝度で且つ高コントラスト化の要求を達成しながら、カラーフィルタ製造工程における高温加熱工程後においても顔料凝集体が析出しない着色層(塗膜)を作製可能で、カラーフィルタの色再現域を向上するのに適した黄色顔料分散液、高温加熱工程時に顔料凝集体の析出が抑制され、高輝度及び高コントラストな着色層を形成可能で、カラーフィルタの色再現域を向上するのに適したカラーフィルタ用黄色樹脂組成物、当該カラーフィルタ用黄色樹脂組成物を用いて形成された黄色着色層を有する高輝度で色再現域の広いカラーフィルタ及び当該カラーフィルタを有する液晶表示装置並びに有機発光表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明のカラーフィルタの一例を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。
【図3】図3は、本発明の有機発光表示装置の一例を示す概略図である。
【図4】図4は、実施例1−1の耐熱性評価に用いた塗膜の拡大写真である。
【図5】図5は、実施例2の耐熱性評価に用いた塗膜の拡大写真である。
【図6】図6は、実施例7の耐熱性評価に用いた塗膜の拡大写真である。
【図7】図7は、比較例3−1の耐熱性評価に用いた塗膜の拡大写真である。
【図8】図8は、比較例4の耐熱性評価に用いた塗膜の拡大写真である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の黄色顔料分散液、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機発光装置について順に説明する。
なお、本発明において光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波、さらには放射線が含まれ、放射線には、例えばマイクロ波、電子線が含まれる。具体的には、波長5μm以下の電磁波、及び電子線のことを言う。また本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートのいずれかであることを意味する。
【0029】
1.黄色顔料分散液
本発明に係る黄色顔料分散液は、キノフタロン顔料及びイソインドリン顔料を含む顔料と、キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体と、顔料分散剤と、溶媒とを含有し、前記キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体を、前記キノフタロン顔料100質量部に対して、0.1〜20質量部含有することを特徴とする。
【0030】
本発明の黄色顔料分散液は、顔料として少なくともキノフタロン顔料及びイソインドリン顔料を組み合わせて用い、更にキノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体を特定量組み合わせて、上記顔料を分散することにより、高輝度で且つ高コントラスト化の要求を達成しながら、カラーフィルタ製造工程における高温加熱工程後においても顔料凝集体が析出しない着色層(塗膜)を作製可能になる。また、キノフタロン顔料のみを用いる場合に比べて、黄色顔料分散液を赤みのあるものに調整することができ、当該顔料分散液を用いて形成された黄色着色層を有するカラーフィルタの色再現域を広いものとすることができる。
【0031】
上記特定の組み合わせにより、上記のような効果を発揮する作用としては、未解明であるが以下のように推定される。
溶媒中で分散時間を長くすることにより、キノフタロン顔料を微細化しつつ、微細化されて露出された顔料表面に顔料分散剤が適切に吸着して溶媒中での顔料の安定化を図ることができ、キノフタロン顔料をより均一に微細化することができると推定される。その結果、コントラストが向上した塗膜を得ることができる。
しかしながら、均一に微細化されていたキノフタロン顔料が塗膜にされた後、カラーフィルタ製造工程の加熱工程で230℃もの高温が塗膜にかけられると、顔料分散剤が熱運動することで、顔料に吸着していた顔料分散剤が顔料表面から脱離し、微細化されて露出された顔料表面同士の凝集力が強まり再結晶化することで、顔料の凝集体が析出してしまうのではないかと推定される。
高温加熱時の塗膜表面に顔料凝集体が析出する現象は、キノフタロン顔料に、キノフタロン顔料のスルホン酸誘導体を添加し、上記特定の塩型顔料分散剤を組み合わせて、顔料を微細化して顔料分散液を調製した場合も、顕著にみられた。
【0032】
それに対し、本願では、キノフタロン顔料に、キノフタロン顔料の特定のイミドアルキル化誘導体を特定量と、顔料分散剤とを添加することにより、キノフタロン顔料の分散工程において、微細化されて露出された顔料表面に、顔料分散剤だけでなくキノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体も吸着していると推定される。そして、カラーフィルタ製造工程の加熱工程で230℃もの高温が塗膜にかけられても、キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体は、構造が類似するキノフタロン顔料の表面に吸着したまま顔料表面を安定化させるため、微細化された顔料同士が凝集することなく、安定した塗膜を形成できるのではないかと推定される。
キノフタロン顔料のスルホン酸誘導体を用いた場合には、同様に、微細化されて露出された顔料表面に、顔料分散剤だけでなくキノフタロン顔料のスルホン酸誘導体も吸着し、溶媒中での顔料の安定化を図ることができ、キノフタロン顔料をより均一に微細化することができる。しかしながら、加熱工程で230℃もの高温が塗膜にかけられると、キノフタロン顔料のスルホン酸誘導体は、キノフタロン顔料の骨格部分への吸着力よりも、スルホ基と顔料分散剤との相互作用の力が勝り、顔料分散剤が熱運動する際に顔料表面から離れてしまうのではないかと推定される。その結果、微細化されて露出された顔料表面同士の凝集力が強まって、顔料の凝集体が析出してしまうのではないかと推定される。
一方、キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体は、イミド部分の極性が弱いため、230℃もの高温が塗膜にかけられても、スルホ基のように顔料分散剤との強い相互作用を受け難く、むしろ相対的に顔料表面との吸着力の方が強く、顔料表面を安定化させるため、微細化された顔料同士が凝集することなく、安定した塗膜を形成できるのではないかと推定される。
【0033】
すなわち、本願では、輝度を高くすることができるキノフタロン顔料に対して、顔料分散剤と、当該顔料分散剤と相互作用はあるが、相互作用が強すぎない、弱い極性基のイミド部分を有するキノフタロン顔料の誘導体を組み合わせて分散させることにより、キノフタロン顔料を微細化しながら露出された顔料表面を安定化させ、高温時もキノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体が微細に分散された顔料表面を安定化させたまま維持可能であるため、高輝度で且つ高コントラスト化の要求を達成しながら、カラーフィルタ製造工程における高温加熱工程後においても顔料凝集体が析出しない塗膜を作製可能であると推定される。
【0034】
本発明の黄色顔料分散液は、少なくともキノフタロン顔料及びイソインドリン顔料を含む顔料と、キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体と、顔料分散剤と、溶媒とを必須成分として含有するものであり、必要に応じて他の成分を含有しても良いものである。
以下、このような本発明の黄色顔料分散液の各成分について順に詳細に説明する。
【0035】
(顔料)
<キノフタロン顔料>
本発明に用いられるキノフタロン顔料は、下記化学式(1−1)で示される構造を有する。
【0036】
【化3】

(化学式(1−1)中、A〜Aはそれぞれ独立に、水素原子、塩素原子又は臭素原子を表す。)
【0037】
上記キノフタロン顔料を後述するキノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体と組み合わせることにより、高輝度で且つ高コントラスト化の要求を達成しながら、カラーフィルタ製造工程における高温加熱工程後においても顔料凝集体が析出しない着色層(塗膜)を作製可能になる。
【0038】
化学式(1−1)中、A〜Aはそれぞれ独立に、水素原子、塩素原子又は臭素原子を表わし、特に限定されないが、A〜Aのうち4つ以上が塩素原子であることが好ましく、更にA〜Aのうち6つ以上が塩素原子であることが好ましく、中でも、A〜Aの全てが塩素原子である、下記化学式(1−2)で示される構造を有するC.I.ピグメントイエロー138を用いることが、高輝度かつ高コントラストを達成しやすい点から好ましい。
【0039】
【化4】

【0040】
<イソインドリン顔料>
本発明においては、上記キノフタロン顔料と組み合わせてイソインドリン顔料が用いられる。キノフタロン顔料とイソインドリン顔料を組み合わせて用いることで、黄色着色層として適した色相に調整することができる。
イソインドリン系顔料は、イソインドリン構造を有する顔料であれば特に限定されず、例えば、C.I.ピグメントイエロー139の他、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントオレンジ66、C.I.ピグメントオレンジ69、C.I.ピグメントレッド260等が挙げられる。中でも、下記化学式(2)で示される構造を有するC.I.ピグメントイエロー139を用いることが、高輝度かつカラーフィルタの色再現域を向上するのに適している点から好ましい。
【0041】
【化5】

【0042】
本発明に用いられるキノフタロン顔料、イソインドリン顔料等の顔料の平均一次粒径としては、カラーフィルタの着色層とした場合に、所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、用いる顔料の種類によっても異なるが、コントラストを向上させる点から、10〜100nmの範囲内であることが好ましく、10〜50nmの範囲内であることがより好ましい。顔料の平均一次粒径が上記範囲であることにより、本発明の黄色顔料分散液、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物を用いて製造された液晶表示装置及び有機発光装置を高コントラストで、かつ高品質なものとすることができる。
なお、上記顔料の平均粒径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、個々の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、その平均をその粒子の粒径とした。次に、100個以上の粒子について、それぞれの粒子の体積(質量)を、求めた粒径の直方体と近似して求め、体積平均粒径を求めそれを平均粒径とした。なお、電子顕微鏡は透過型(TEM)または走査型(SEM)のいずれを用いても同じ結果を得ることができる。
【0043】
本発明に用いられるキノフタロン顔料は、再結晶法、ソルベントソルトミリング法等の公知の方法にて製造することができる。また、市販のキノフタロン顔料(例えば、BASF社製、商品名:Paliotol Yellow K0961HDや大日精化工業社製、商品名:クロモファインイエロー6203EC等)を用いても良い。
また、本発明に用いられるイソインドリン顔料は、再結晶法、ソルベントソルトミリング法等の公知の方法にて製造することができる。また、市販のイソインドリン顔料(例えば、(BASF社製、商品名:イルガフォアイエロー 2R−CF等)を用いても良い。
【0044】
本発明の黄色顔料分散液において、顔料及び顔料誘導体(以下、単に「色材」という場合がある)中のキノフタロン顔料の含有量は特に限定されない。高輝度及び高コントラストが達成しやすい点から、色材全体に対するキノフタロン顔料の含有量が、5〜95質量%であることが好ましく、更に9〜85質量%であることが好ましい。
また、本発明の黄色顔料分散液において、色材中のイソインドリン顔料の含有量は特に限定されない。顔料分散液を所望の色相とし、且つ、高コントラストが達成しやすい点から、色材全体に対するイソインドリン顔料の含有量が、5〜95質量%であることが好ましく、更に14〜90質量%であることが好ましい。
本発明の黄色顔料分散液においては、更に他の顔料を含んでいても良い。顔料中の他の顔料の含有量は、30質量%以下であることが好ましく、更に10質量%以下であることが好ましい。
【0045】
本発明の黄色顔料分散液において、キノフタロン顔料及びイソインドリン顔料を含む顔料全体の含有量は、特に限定されない。通常、顔料全体の含有量は、黄色顔料分散液の全量に対して5〜40質量%、更に7〜20質量%範囲内であることが好ましい。
【0046】
(キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体)
本発明において用いられる、キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体は、下記化学式(3−1)で示される構造を有する。
【0047】
【化6】

(化学式(3−1)中、A〜Aはそれぞれ独立に、水素原子、塩素原子又は臭素原子を表す。Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Xは、アリーレン基を表し、当該アリーレン基は、ハロゲン原子、アリールスルホニル基、アシル基、又は−(C=O)−C−(C=O)−により置換されていても良い。nはイミドアルキル基の置換数を示し、1〜5の整数を表す。)
【0048】
このような顔料誘導体は、顔料骨格に官能基を付与し、様々な機能を顔料に付加する役割を持つ化合物である。顔料分散時に顔料誘導体を顔料に添加すると、顔料誘導体の顔料類似骨格が顔料表面に吸着もしくは結合し、それにより顔料の表面がイミドアルキル基を有するようになることによって、顔料分散工程やカラーフィルタ製造工程の高温加熱工程における顔料同士の再結晶化を抑制することができると考えられる。
【0049】
化学式(3−1)中、A〜Aはそれぞれ独立に、水素原子、塩素原子又は臭素原子を表わし、特に限定されない。中でも前記キノフタロン顔料として用いられる顔料とA〜Aが同一であることが、高い耐熱性が得られる点から好ましい。
本発明において用いられる、キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体は、中でも、A〜Aが全てClである、C.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体であることが好ましい。
【0050】
化学式(3−1)中、Rの炭素数1〜6のアルキレン基としては、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキレン基が挙げられ、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、各種ブチレン基等が挙げられる。中でも、製造が容易な点から、アルキレン基としては、メチレン基であることが好ましい。
【0051】
化学式(3−1)中、Xは、アリーレンを表し、1,2−フェニレン、1,2−ナフチレン、2,3−ナフチレン、1,8−ナフチレン、及び2,2’−ビフェニレン等が挙げられる。化学式(1)中のXとしては、フタルイミドとなる1,2−フェニレン、及び、ナフタルイミドとなる1,8−ナフチレンが好ましい。
【0052】
化学式(3−1)中、Xのアリーレン基に置換されていても良いハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子が好ましい。
化学式(3−1)中、Xのアリーレン基に置換されていても良いアリールスルホニル基としては、フェニルスルホニル基、及び、置換されたフェニルスルホニル基、例えば、p−トリルスルホニル基、p−クロロフェニルスルホニル基、p−ブロモフェニルスルホニル基等を挙げることができる。
化学式(3−1)中、Xのアリーレン基に置換されていても良いアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンジル基等を挙げることができる。
【0053】
本発明において用いられるキノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体は、中でも、下記化学式(3−2)で表されるフタルイミドアルキル化誘導体であることが、効率的に顔料凝集体を抑制できる点から好ましく、中でもC.I.ピグメントイエロー138のフタルイミドアルキル化誘導体であることが特に好ましい。
【0054】
【化7】

(式(3−2)中、A〜Aはそれぞれ独立に、水素原子、塩素原子又は臭素原子を表す。Rは、アルキレン基を示し、nはフタルイミドアルキル基の置換数を示し、1〜5の整数を表す。)
【0055】
化学式(3−2)で表されるフタルイミドアルキル化誘導体において、アルキレン基Rは、上記化学式(3−1)と同様のものとすることができ、中でも、メチレン基が、効率的に顔料凝集体を抑制できる点から好ましい。
【0056】
また、上記特定のイミドアルキル基の置換数nは、1〜2であることが好ましく、中でも1であることが、効率的に顔料凝集体を抑制できる点から好ましい。
キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体の分子量が小さい方が、質量あたりの有効成分の割合が増えるため、効率的に顔料凝集体を抑制できる。
【0057】
キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体は、例えば、C.I.ピグメントイエロー138を、パラホルムアルデヒドとフタルイミド等の特定のイミドとを、三酸化硫黄や硫酸中で、反応させることにより製造することができる。なお、合成方法については、特表2004−501911号公報に詳細に記載され、これを参照することができる。キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体としては、1種単独で又は2種類以上混合して用いることができる。例えば、アルキレン基の種類、イミドアルキル基の種類、各種イミドアルキル基の置換位置又は置換数が異なるイミドアルキル化誘導体を2種以上混合して用いても良い。
【0058】
本発明において、キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体は、キノフタロン顔料100質量部に対して、0.1〜20質量部含有される。中でも、キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体は、キノフタロン顔料100質量部に対して、0.1〜10質量部、更に1〜5質量部含有されることが好ましい。このような含有量で用いられることにより、高輝度で且つ高コントラスト化の要求を達成しながら、カラーフィルタ製造工程における高温加熱工程後においても顔料凝集体が析出しない塗膜を作製可能になる。
【0059】
(顔料分散剤)
本発明において、顔料分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤の中でも、次に例示するような高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。また、溶媒に少量溶解するような顔料誘導体を顔料分散剤として用いてもよい。
【0060】
顔料分散剤は、使用される顔料を良好に分散させるために適宜選択して用いられる。具体例には、ノナンアミド、デカンアミド、ドデカンアミド、N−ドデシルヘキサデカンアミド、N−オクタデシルプロピオアミド、N,N−ジメチルドデカンアミド及びN,N−ジヘキシルアセトアミド等のアミド化合物、ジエチルアミン、ジヘプチルアミン、ジブチルヘキサデシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメタンアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン及びトリオクチルアミン等のアミン化合物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N,N’,N’−(テトラヒドロキシエチル)−1,2−ジアミノエタン、N,N,N’−トリ(ヒドロキシエチル)−1,2−ジアミノエタン、N,N,N’,N’−テトラ(ヒドロキシエチルポリオキシエチレン)−1、2−ジアミノエタン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン及び1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のヒドロキシ基を有するアミン等を例示することができ、その他にニペコタミド、イソニペコタミド、ニコチン酸アミド等の化合物を挙げることができる。
【0061】
さらに、ポリアクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体類;ポリアクリル酸等の不飽和カルボン酸の(共)重合体の(部分)アミン塩、(部分)アンモニウム塩や(部分)アルキルアミン塩類;水酸基含有ポリアクリル酸エステル等の水酸基含有不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体やそれらの変性物;ポリウレタン類;不飽和ポリアミド類;ポリシロキサン類;長鎖ポリアミノアミドリン酸塩類;ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離カルボキシル基含有ポリエステルとの反応により得られるアミドやそれらの塩類等を挙げることができる。
【0062】
本発明において用いられる顔料分散剤としては、分子内に顔料吸着部位と溶媒親和部位が機能分離されたブロック共重合体タイプもしくはグラフト共重合体(櫛型)タイプの高分子顔料分散剤が、C.I.ピグメントイエロー138の顔料分散性の点から好ましい。
【0063】
本発明において用いられる顔料分散剤としては、中でも、下記一般式(I)で表される繰り返し単位(1)と、下記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)とを有し、さらに前記繰り返し単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物及び/又はハロゲン化炭化水素とが塩を形成したブロック共重合体であることが好ましい。
【0064】
【化8】

[式(I)及び式(II)中、Rは、水素原子又はメチル基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Aは、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の基、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基である。上記アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ置換基を有していても良い。
xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。mは3〜200の整数、nは10〜200の整数を示す。]
【0065】
本発明において、キノフタロン顔料及びイソインドリン顔料を含む顔料に、特定量のキノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体と、顔料分散剤として上記特定の塩型ブロック共重合体からなる顔料分散剤とを組み合わせることにより、特にコントラストが向上し、高輝度で且つ高コントラスト化の要求を達成しながら、カラーフィルタ製造工程における高温加熱工程後においても顔料凝集体が析出しない塗膜を作製可能になる。
【0066】
このような特定の塩型ブロック共重合体からなる顔料分散剤は、上記一般式(I)で表される構成単位(1)と、上記一般式(II)で表される構成単位(2)とを有し、かつ上記構成単位(1)が有するアミノ基と有機酸化合物及び/又はハロゲン化炭化水素とが塩を形成した塩型ブロック共重合体であることにより、塩形成部位を形成する上記構成単位(1)はキノフタロン顔料及びイソインドリン顔料に対する吸着性が特に強く、一方で構成単位(2)は溶媒に対して溶解性を有する。このような顔料分散剤を用いると、溶媒中で分散時間を長くすることにより、上記特定の顔料を微細化しつつ、微細化されて露出された顔料表面に顔料分散剤が適切に吸着して溶媒中での顔料の安定化を図ることができ、上記特定の顔料をより均一に微細化することができると推定される。その結果、特にコントラストが向上した塗膜を得ることができる。
【0067】
そして、キノフタロン顔料に対して、微細化に適した塩型顔料分散剤と、当該塩型顔料分散剤と相互作用が強すぎない、弱い極性基のイミド部分を有するキノフタロン顔料の誘導体を組み合わせて分散させることにより、キノフタロン顔料を微細化しながら露出された顔料表面を安定化させ、高温時もキノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体が微細に分散された顔料表面を安定化させたまま維持可能であるため、高輝度で、特に高コントラスト化でありながら、カラーフィルタ製造工程における高温加熱工程後においても顔料凝集体が析出しない塗膜を作製可能になると推定される。
【0068】
<ブロック共重合体>
上記ブロック共重合体は、上記一般式(I)で表される繰り返し単位(1)と、上記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)とを有するものである。
上記一般式(I)において、Rは、水素原子又はメチル基を示し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。ここで、炭素数1〜8のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このようなアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などを挙げることができる。これらの中で、メチル基及びエチル基が好ましい。
本発明においては、上記R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
【0069】
Aは、炭素数1〜8のアルキレン基、*−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−**、又は、*−[(CH−O]−(CH−**で示される2価の基である。ここで、*は、エステル結合側の連結部位を表し、**は、アミノ基側の連結部位を表す。また、上記炭素数1〜8のアルキレン基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、各種ブチレン基、各種ペンチレン基、各種へキシレン基、各種オクチレン基などである。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
xは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数であり、yは1〜5の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは2又は3である。zは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数である。本発明においては、x、y、及びzが、上記の範囲内にあれば、本発明のカラーフィルタ用顔料分散液は、顔料の分散性に優れたものになる。
上記Aとしては、炭素数1〜8のアルキレン基が好ましく、メチレン基及びエチレン基がより好ましい。炭素数が1〜8の範囲内であれば、顔料の分散性を良好に保つことができる。
【0070】
上記一般式(II)において、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R又は−[(CH−O]−Rを示す。
上記炭素数1〜18のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、ボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基、低級アルキル基置換アダマンチル基などを挙げることができる。
上記炭素数2〜18のアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このようなアルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、プロペニル基、各種ブテニル基、各種ヘキセニル基、各種オクテニル基、各種デセニル基、各種ドデセニル基、各種テトラデセニル基、各種ヘキサデセニル基、各種オクタデセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基などを挙げることができる。アルケニル基の二重結合の位置には限定はないが、得られたポリマーの反応性の点からは、アルケニル基の末端に二重結合があることが好ましい。
【0071】
置換基を有していてもよいアリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。アリール基の炭素数は、6〜24が好ましく、更に6〜12が好ましい。
置換基を有していてもよいアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基等が挙げられる。アラルキル基の炭素数は、7〜20が好ましく、更に7〜14が好ましい。
アリール基やアラルキル基等の芳香環の置換基としては、炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基の他、アルケニル基、ニトロ基、ハロゲン原子などを挙げることができる。
なお、上記好ましい炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
【0072】
上記R及びRは、前記と同じであり、Rは水素原子、あるいは置換基を有してもよい、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜5の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基である。
上記Rで示される1価の基において、有してもよい置換基としては、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、F、Cl、Brなどのハロゲン原子などを挙げることができる。
上記Rのうちの炭素数1〜18のアルキル基、及び炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基は、前記Rで示したとおりである。
上記Rにおいて、x、y及びzは、前記Aで説明したとおりである。
また、上記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)中のRは、互いに同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
【0073】
本発明において、上記Rとしては、なかでも、後述する溶媒との溶解性に優れたものを用いることが好ましく、具体的には、上記ブロック共重合体を構成する繰り返し単位等によっても異なるが、上記溶媒が、カラーフィルタ用の溶媒として一般的に使用されているエーテルアルコールアセテート系、エーテル系、エステル系などの溶媒を用いる場合には、メチル基、エチル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ベンジル基等が好ましい。
ここで、上記Rをこのように設定する理由は、上記Rを含む繰り返し単位(2)が、上記溶媒に対する良好な溶解性を有し、上記繰り返し単位(1)のアミノ基と、後述する有機酸化合物及び/又はハロゲン化炭化水素とが形成する塩形成部位が顔料に対して高い吸着性を有するものであることにより、顔料の分散性及び安定性を特に優れたものとすることができるからである。
【0074】
さらに、上記Rは、上記ブロック共重合体の分散性能等を妨げない範囲で、アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、水素結合形成基等の置換基によって置換されたものとしてもよく、また、上記ブロック共重合体の合成後に、上記置換基を有する化合物と反応させて、上記置換基を付加させてもよい。また、これらの置換基を有するブロック共重合体を合成した後に、当該置換基と反応する官能基と重合性基とを有する化合物を反応させて、重合性基を付加したものとしてもよい。例えば、カルボキシル基を有するブロック共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを反応させたり、イソシアネート基を有するブロック共重合体にヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを反応させたりして、重合性基を付加することができる。
【0075】
本発明に用いられる構成単位(1)のユニット数m及び構成単位(2)のユニット数nの比率m/nとしては、0.01〜1の範囲内であることが好ましく、0.05〜0.5の範囲内であることがより好ましい。比率m/nが上記範囲内にあれば、顔料に対する吸着性が良好となり、上記構成単位(2)による上記溶媒との溶解性が低くなることがなく、顔料の分散性、及び安定性が低下することがない。
【0076】
本発明に用いられるブロック共重合体の分子サイズに関しては、上記繰り返し単位(1)の数mは、3〜200の整数、好ましくは3〜50の整数である。上記繰り返し単位(2)の数nは、10〜200の整数、好ましくは20〜100の整数、より好ましくは20〜70の整数である。本発明においては、m及びnが、それぞれ上記の範囲内にあることにより、溶媒可溶性部位と溶媒不溶性部位が効果的に作用し、本発明のカラーフィルタ用顔料分散液を顔料の分散性に優れたものとすることができる。
さらに、上記ブロック共重合体の質量平均分子量Mwは、500〜20000の範囲内であることが好ましく、1000〜15000の範囲内であることがより好ましく、3000〜12000の範囲内であることがさらに好ましい。上記範囲内であることにより、顔料を均一に分散させる分散初期の顔料に対する濡れ性と分散安定性を両立することが可能となる。
【0077】
なお、上記質量平均分子量Mwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定された値である。測定は、東ソー(株)製のHLC−8120GPCを用い、溶出溶媒を0.01モル/リットルの臭化リチウムを添加したN−メチルピロリドンとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw377400、210500、96000、50400、206500、10850、5460、2930、1300、580(以上、Polymer Laboratories社製 Easi PS−2シリーズ)及びMw1090000(東ソー(株)製)とし、測定カラムをTSK−GEL ALPHA−M×2本(東ソー(株)製)として行われたものである。
【0078】
本発明に用いられるブロック共重合体の結合順としては、上記繰り返し単位(1)及び上記繰り返し単位(2)を有し、顔料を安定に分散することができるものであればよく、特に限定されないが、上記繰り返し単位(1)が上記ブロック共重合体の一端のみに結合したものであることが好ましい。すなわち、上記繰り返し単位(1)と、上記繰り返し単位(2)とが、繰り返し単位(1)−繰り返し単位(2)の順で結合したものであってもよく、繰り返し単位(1)−繰り返し単位(2)−繰り返し単位(1)の順で結合したものであってもよく、繰り返し単位(1)−繰り返し単位(2)が繰り返し結合したものであってもよいが、本発明においては、なかでも繰り返し単位(1)−繰り返し単位(2)の順で結合したものが好ましい。その理由は、顔料に対する吸着性に優れ、さらにこのようなブロック共重合体を用いた顔料分散剤同士の凝集を効果的に抑えることができるからである。
【0079】
構成単位(1)や構成単位(2)が2種以上含まれる場合において、構成単位(1)−構成単位(2’)−構成単位(2”)の順で結合したブロック共重合体や、構成単位(1’)−構成単位(1”)−構成単位(2)の順で結合したブロック共重合体や、構成単位(1’)−構成単位(1”)−構成単位(2’)−構成単位(2”)の順で結合したブロック共重合体などであっても良い。
【0080】
<有機酸化合物>
前述した一般式(I)で表される構成単位(1)と、一般式(II)で表される構成単位(2)とを有するブロック共重合体の構成単位(1)が有するアミノ基と、塩を形成する有機酸化合物としては、下記一般式(III)で表される構造を有する有機リン酸化合物及び/又は上記一般式(IV)で表される構造を有する有機スルホン酸化合物が挙げられる。
【0081】
【化9】

[式(III)及び式(IV)中、R及びRa’はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基であり、R及びRa’のいずれかは炭素原子を含む。Ra’’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基である。Rb’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
、Ra’、及びRにおいて、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ、置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。]
【0082】
本発明においては、上記有機酸化合物及び/又は後述するハロゲン化炭化水素を用いることにより、当該顔料分散剤を、顔料の分散性及び安定性に優れたものとすることができる。さらに、有機酸化合物が用いられる場合には、塩形成部位が、フォトリソグラフィー法によるカラーフィルタ製造工程におけるアルカリ現像時のアルカリ水溶液に対して高い溶解性を有することから、アルカリ現像性に優れたものとすることができる。顔料の粒径の微小化に伴い、顔料分散剤が多量に必要になり、アルカリ現像性の低下や残渣の増加といった問題が生じるおそれがあるが、上記塩型顔料分散剤において有機酸化合物が用いられる場合には、このような問題が生じる恐れを低減できる。
【0083】
上記一般式(III)において、R及びRa’は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’を示し、R及びRa’のうちいずれかは炭素原子を含む。
【0084】
上記炭素数1〜18のアルキル基、上記炭素数2〜18のアルケニル基、アリール基、及びアラルキル基は、前記Rで示したとおりである。アルケニル基の二重結合の位置には限定はないが、反応性の点からは、アルケニル基の末端に二重結合があることが好ましい。
上記アルキル基やアルケニル基は置換基を有していても良く、当該置換基としては、F、Cl、Brなどのハロゲン原子、ニトロ基等が挙げられる。
また、上記アリール基やアラルキル基等の芳香環の置換基としては、炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基の他、アルケニル基、ニトロ基、ハロゲン原子などを挙げることができる。
【0085】
上記R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数が1〜5の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基である。
【0086】
上記Rで示される1価の基において、有してもよい置換基としては、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、F、Cl、Brなどのハロゲン原子などを挙げることができる。
上記Rのうちの炭素数1〜18のアルキル基は前記のRで示したとおりであり、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基は、前記のR及びRa’で示したとおりである。
【0087】
及び/又はRa’が、−O−Ra’’の場合、酸性リン酸エステルとなる。上記R’’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
上記炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基は、前記のR及びRa’で示したとおりである。尚、Ra’’が芳香環を有する場合、該芳香環上に適当な置換基、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基などを有していてもよい。
【0088】
、Ra’及びRa’’において、sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数である。sは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数であり、tは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは2又は3である。uは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数である。
【0089】
上記一般式(IV)において、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’を示す。
上記炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基は、前記のR及びRa’で示したとおりである。
【0090】
が、−O−R’の場合、酸性硫酸エステルとなる。上記R’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
、R’において、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ、置換基を有していても良い。
上記炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rは、前記R、R及びRa’’で示したとおりである。
また上記R、R及びRは、前記R、R及びRa’’で示したとおりである。
上記R及びR’において、sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数である。好ましいs、t、uは、上記R、Ra’及びRa’’と同様である。
【0091】
上記一般式(III)で表される有機酸化合物としては、前記一般式(III)におけるR及びRa’が、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−R、あるいは、−O−Ra’’で示される1価の基であり、R及びRa’のいずれかは炭素原子を含み、且つ、Ra’’が、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rであり、R及びRが、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rが−CO−CH=CH又は−CO−C(CH)=CHであるものが顔料分散性に優れたものとすることができる点から好ましい。
【0092】
また、一般式(IV)で表される有機酸化合物としては、一般式(IV)におけるRが、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−R、あるいは、−O−Rb’で示される1価の基であり、Rb’が、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rであり、R及びRが、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rが−CO−CH=CH又は−CO−C(CH)=CHであるものが顔料分散性に優れたものとすることができる点から好ましい。
【0093】
中でも、上記一般式(III)及び一般式(IV)で表される有機酸化合物は、R、Ra’及び/又はRa’’、並びに/或いは、R及び/又はRb’として、芳香環を有することが顔料分散性の点から好ましい。R、Ra’及びRa’’の少なくとも1つ、或いは、R又はRb’が、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、より具体的には、ベンジル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基であることが、顔料分散性の点から好ましい。前記一般式(III)においては、R及びRa’の一方が芳香環を有する場合には、R及びRa’の他方は、水素原子や水酸基であるものも好適に用いられる。
【0094】
また、耐熱性や耐薬品性、特に耐アルカリ性の点からは、上記一般式(III)及び一般式(IV)で表される有機酸化合物としては、リン(P)や硫黄(S)に炭素原子が直接結合した化合物であることが好ましく、R及びRa’が、それぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基であり、R及びRa’のいずれかは炭素原子を含むことが好ましい。また、Rが、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基であることが好ましい。
【0095】
また、上記一般式(III)及び一般式(IV)で表される有機酸化合物は、R、Ra’及び/又はRa’’、並びに/或いは、R及び/又はRb’としては、重合性基を有するもの、すなわち、ビニル基、アリル基あるいは−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rであり、且つ、Rが−CO−CH=CH又は−CO−C(CH)=CHであるものが好ましく、特に、R、Ra’及び/又はRa’’、並びに/或いは、R及び/又はRb’が、ビニル基、アリル基、2−メタクリロイルオキシエチル基、2−アクリロイルオキシエチル基であるものが好ましい。
このような場合には、本発明のカラーフィルタ用黄色樹脂組成物を用いて着色層を形成する際の露光時やポストベーク時に、上記重合性基同士及び/又は上記重合性基と、本発明のカラーフィルタ用黄色樹脂組成物に含まれる硬化性バインダ成分とを容易に重合することができ、カラーフィルタの着色層中において、上記顔料分散剤が、安定に存在することを可能とする。このようなカラーフィルタを用いて液晶表示装置を製造した際には、液晶層等へ上記顔料分散剤がブリードアウトすることを防止することができる。
【0096】
また、当該有機酸化合物が、重合性基を含むことにより、着色層形成に用いる前に、当該有機酸化合物が有する重合性基同士を重合させることができ、その結果顔料分散剤が高分子量化されるため、フォトリソグラフィー法によるカラーフィルタ製造工程の着色層形成のアルカリ現像時において、未露光箇所のカラーフィルタ用黄色樹脂組成物を、アルカリ現像性に特に優れるものとすることができる。
【0097】
尚、上記一般式(III)及び一般式(IV)で表される有機酸化合物は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0098】
<ハロゲン化炭化水素>
本発明で用いられるハロゲン化炭化水素は、前述した一般式(I)で表される繰り返し単位(1)と、一般式(II)で表される繰り返し単位(2)とを有するブロック共重合体の繰り返し単位(1)が有するアミノ基と塩を形成する。
本発明においては、上記ハロゲン化炭化水素を用いることにより、顔料分散剤の生成した塩形成部位が顔料への吸着性に優れているために高い分散性を発現することができると同時に、分散剤の耐熱性や耐アルカリ性を高くすることができる。
【0099】
上記ハロゲン化炭化水素としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のいずれかのハロゲン原子が、飽和又は不飽和の直鎖、分岐又は環状の炭化水素の水素原子と置換されているものが挙げられる。中でも、炭化水素の水素原子の1つがハロゲン原子に置換されたハロゲン化炭化水素であることが、顔料分散剤と塩を形成して、顔料分散性を高める点から好ましい。
また、上記ハロゲン化炭化水素としては、直鎖、分岐鎖又は環状であっても良い。また、炭素数は、1〜18であることが好ましく、更に1〜7であることが好ましい。
【0100】
上記ハロゲン化炭化水素のうち、ハロゲン化アルキルとしては、炭素数1〜18のものが挙げられるが特に限定されない。具体的には、例えば、塩化メチル、臭化メチル、塩化エチル、臭化エチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、塩化n−ブチル、塩化ヘキシル、塩化オクチル、塩化ドデシル、塩化テトラデシル、塩化ヘキサデシル等が挙げられる。また、ハロゲン化アリルとしては、例えば、塩化アリル、臭化アリル、ヨウ化アリルが挙げられる。また、上記ハロゲン化アラルキルのアラルキル基としては、炭素数7〜18のものが挙げられるが特に限定されない。具体的には、例えば、塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジル、塩化ナフチルメチル、塩化ピリジルメチル、臭化ナフチルメチル、臭化ピリジルメチル等が挙げられる。
【0101】
中でも、ハロゲン化ベンジル、ハロゲン化アリル、及びハロゲン化メチルよりなる群から選択される少なくとも1種であることが、塩形成反応のしやすさと、生成した塩形成部位が顔料への吸着性に優れている点から好ましい。
【0102】
本発明で用いられるブロック共重合体における該有機酸化合物及び/又はハロゲン化炭化水素の含有量は、良好な分散安定性が発揮されるのであればよく、特に制限はないが、一般に前記一般式(I)で表される3級アミノ基に対して、0.01〜2.0モル当量程度であり、より好ましくは0.1〜1.0モル当量である。このような場合、顔料分散性及び顔料分散安定性が優れたものになる。尚、上記該有機酸化合物及び/又はハロゲン化炭化水素を2種以上併用する場合、これらを合計した含有量が上記範囲内にあればよい。
【0103】
<塩型ブロック共重合体からなる顔料分散剤の製造>
上記顔料分散剤のブロック共重合体の製造方法としては、上記の繰り返し単位(1)と、繰り返し単位(2)とを有し、かつ上記繰り返し単位(1)が有するアミノ基と、上記の有機酸化合物及び/又はハロゲン化炭化水素とが塩を形成したものを製造することができる方法であればよく特に限定されない。本発明においては、例えば、上記の繰り返し単位(1)及び繰り返し単位(2)を公知の重合手段を用いて重合した後、後述する溶媒中に溶解又は分散し、次いで該溶媒中に上記有機酸化合物及び/又はハロゲン化炭化水素を添加し、(必要に応じて加熱)攪拌することにより顔料分散剤を製造することができる。
【0104】
上記重合手段としては、上記の繰り返し単位(1)及び繰り返し単位(2)を所望の数で重合し、所望の分子量とすることができる手段であればよく、特に限定されず、ビニル基を有する化合物の重合に一般的に用いられる方法を採用することができ、例えばアニオン重合やリビングラジカル重合等を用いることができる。本発明においては、なかでも、「J.Am.Chem.Soc.」105、5706(1983)に開示されているグループトランスファー重合(GTP)のようにリビング的に重合が進行する方法を用いることが好ましい。この方法によると、分子量、分子量分布等を所望の範囲とすることが容易であるので、該顔料分散剤の分散性を均一にすることができる。
【0105】
本発明の黄色顔料分散液において、顔料分散剤としては、1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その含有量としては、顔料を均一に分散することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、顔料100質量部に対して10〜150質量部用いることができる。更に、顔料100質量部に対して15〜45質量部の割合で配合するのが好ましく、特に15〜40質量部の割合で配合するのが好ましい。顔料分散剤の含有量が上記範囲内にあれば、顔料を均一に分散させることができる。なお本発明において、顔料誘導体以外の含有量を規定する際の、顔料には、特に断りがない限り、顔料の他、顔料誘導体が含まれ、例えば、キノフタロン顔料の他、キノフタロン顔料の誘導体も含まれる。
【0106】
(溶媒)
本発明に係る黄色顔料分散液には、顔料を分散させるために溶媒が含まれる。顔料分散液に用いる溶媒としては、該顔料分散液中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶媒であればよく、特に限定されない。
本発明の黄色顔料分散液に用いる溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、N−プロピルアルコール、i−プロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;メトキシアルコール、エトキシアルコールなどのセロソルブ系溶媒;メトキシエトキシエタノール、エトキシエトキシエタノールなどのカルビトール系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系溶媒;アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート系溶媒;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)などのカルビトールアセテート系溶媒;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性アミド溶媒;γ−ブチロラクトンなどのラクトン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどの不飽和炭化水素系溶媒;N−ヘプタン、N−ヘキサン、N−オクタンなどの飽和炭化水素系溶媒などの有機溶媒が挙げられる。これらの溶媒の中では、メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート系溶媒;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)などのカルビトールアセテート系溶媒;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶媒;メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系溶媒;シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒が好適に用いられる。中でも、本発明に用いる溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(CHOCHCH(CH)OCOCH)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート及びシクロヘキサノンよりなる群から選択される1種以上であることが、他の成分の溶解性や塗布適性の点から好ましい。
【0107】
本発明の黄色顔料分散液は、以上のような溶媒を、当該溶媒を含む黄色顔料分散液の全量に対して、通常は60〜90質量%の割合で用いて調製する。溶媒が少なすぎると、粘度が上昇し、顔料分散性が低下しやすい。また、溶媒が多すぎると、顔料濃度が低下し、樹脂組成物を調製後目標とする色度座標に達成することが困難な場合がある。
【0108】
(他の顔料誘導体)
本発明の効果が損なわれない限り、他の顔料誘導体を含んでいても良い。本発明の黄色顔料分散液において好適に用いられる他の顔料誘導体としては、下記のキノフタロン顔料のスルホン酸誘導体が挙げられる。
<キノフタロン顔料のスルホン酸誘導体>
本発明の黄色顔料分散液においては、キノフタロン顔料のスルホン酸誘導体を、更に併用することが好ましい。この場合には、キノフタロン顔料及びイソインドリン顔料をより微細化して分散することが可能になり、高輝度で且つ高コントラスト化の要求を達成しやすくなる。特に、顔料分散剤として、上記塩型ブロック共重合体からなる顔料分散剤と、キノフタロン顔料のスルホン酸誘導体と組み合わせると、特に高輝度で且つ高コントラスト化の要求を達成しやすくなる。
【0109】
キノフタロン顔料のスルホン酸誘導体は、少なくとも1つのスルホ基が、上記構造を有するキノフタロン顔料に結合した構造を有し、以下のように表される。
【0110】
【化10】

(式中、nはスルホ基の置換数を示し、1〜5の整数を表す。)
【0111】
スルホ基の置換数は、1〜2であることが好ましく、中でも1であることが、効率的に顔料分散性を向上できる点から好ましい。
【0112】
キノフタロン顔料のスルホン酸誘導体は、例えば、キノフタロン顔料を、濃硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸又はこれらの混合液などに投入してスルホン化反応を行うことにより製造することができる。キノフタロン顔料のスルホン酸誘導体としては、1種単独で又は2種類以上混合して用いることができる。例えば、スルホ基の置換位置又は置換数が異なるスルホン酸誘導体を2種以上混合して用いても良い。
【0113】
本発明において、キノフタロン顔料のスルホン酸誘導体は、前記顔料100質量部に対して、0.1〜20質量部含有されることが好ましい。中でも、キノフタロン顔料のスルホン酸誘導体は、前記顔料100質量部に対して、0.5〜15質量部、更に1〜10質量部含有されることが好ましい。このような含有量で用いられることにより、従来より分散を強化することによって顔料の1次粒径以下まで分散を進めた場合においても、顔料分散液の分散安定性を確保することが可能となり、カラーフィルタとして高輝度で且つ高コントラスト化の要求を達成することができる。
【0114】
他の顔料誘導体としては、スルホン酸の金属塩やアミン塩、スルホンアミド基を有する、キノフタロン顔料のスルホン化誘導体が、更に含まれていても良い。スルホン酸のアミン塩であるスルホンアミド基としては、−SONHR(ここで、Rは1価の有機基)で表されるものが好ましく、上記Rとしては、例えば、ジメチルアミノプロピル基、ジエチルアミノプロピル基、ジブチルアミノプロピル基、ベンジル基、フェニル基等を挙げることができる。
【0115】
(その他の成分)
本発明の顔料分散液には、さらに必要に応じて、顔料分散補助樹脂やその他の成分を配合しても良い。
顔料分散補助樹脂としては、例えば後述する樹脂組成物で例示されるアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂の立体障害によって顔料粒子同士が接触しにくくなり、分散安定化することやその分散安定化効果によって分散剤を減らす効果がある場合がある。
また、本発明の黄色顔料分散液には、本発明の効果が損なわれない限り、他の顔料を含んでいても良い。他の顔料としては、黄色顔料分散液を所望の色に調整するために用いられる他の黄色顔料等が挙げられる。
【0116】
その他の黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー150及びその誘導体顔料、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー60、C.I.ピグメントイエロー61、C.I.ピグメントイエロー65、C.I.ピグメントイエロー71、C.I.ピグメントイエロー73、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー81、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー98、C.I.ピグメントイエロー100、C.I.ピグメントイエロー101、C.I.ピグメントイエロー104、C.I.ピグメントイエロー106、C.I.ピグメントイエロー108、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー113、C.I.ピグメントイエロー114、C.I.ピグメントイエロー116、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー119、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー126、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー152、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー175等が挙げられる。
【0117】
ここで、C.I.ピグメントイエロー150の誘導体顔料としては、具体的には、少なくとも1種のゲスト化合物のホストとして働く下記化学式またはそれの互変異性構造の1つに従うアゾ化合物のモノ、ジ、トリおよびテトラアニオンと金属Li,Cs,Mg,Cd,Co,Al,Cr,Sn,Pb、特に好適にはNa,K,Ca,Sr,Ba,Zn,Fe,Ni,Cu,MnおよびLaに相当する金属錯体を挙げることができる。
【0118】
【化11】

[上記式中、RおよびR’は、独立して、OH、NH、NH−CN、アシルアミノまたはアリールアミノであり、そしてRおよびR’は、独立して、−OHまたは−NHである]
【0119】
これらの誘導体顔料は、特開2001−354869号公報、特開2005−325350号公報、特開2007−25687号公報、特開2007−23287号公報、特開2007−23288号公報、及び特開2008−24927号公報を参照することにより入手可能である。
【0120】
また、本発明の効果が損なわれない限り、他の顔料分散剤を含んでいても良い。
また、その他の成分としては、例えば、濡れ性向上のための界面活性剤、密着性向上のためのシランカップリング剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0121】
<黄色顔料分散液の製造方法>
本発明の黄色顔料分散液は、上記のキノフタロン顔料及びイソインドリン顔料を含む顔料と、キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体と、顔料分散剤を溶媒に混合し、公知の分散機を用いて分散させることによって調製することができる。
分散液を調製する際、各成分を混合する方法は特に限定されず、例えば、上記のキノフタロン顔料とイソインドリン顔料及びキノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体は共分散してもよく、それぞれ単独に分散した後、各分散液を混合してもよい。
分散処理を行うための分散機としては、2本ロール、3本ロール等のロールミル、ボールミル、振動ボールミル等のボールミル、ペイントコンディショナー、連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミルが挙げられる。ビーズミルの好ましい分散条件として、使用するビーズ径は0.03〜2.00mmが好ましく、より好ましくは0.05〜1.0mmである。
【0122】
具体的には、ビーズ径が比較的大きめな1〜2mmジルコニアビーズで予備分散を行い、更にビーズ径が比較的小さめな0.03〜0.1mmジルコニアビーズで本分散することが挙げられる。また、分散後、0.5〜0.1μmのメンブランフィルタで濾過することが好ましい。
【0123】
本発明においては、公知の分散機を用いて分散させる分散時間は、適宜調整され特に限定されないが、顔料の平均分散粒径が15〜50nm程度となるように、例えばペイントシェーカーを用いた場合には通常3〜10時間、特に高コントラスト化のために顔料の1次粒子径以下まで微細化する場合は、11〜50時間とすることが、顔料を微細化して高いコントラストを実現する点から好ましい。
なお、顔料の平均分散粒径は、分散液中の顔料自体の粒径とは異なる場合がある。特に顔料の1次粒径以下まで微細化した場合には、顔料が緩い凝集状態を形成し、分散粒径が増大することがある。このような場合であっても、顔料の粒径自体は微細化されているため、高いコントラストを実現することができる。
【0124】
このようにして、顔料粒子の分散性に優れた黄色顔料分散液が得られる。該黄色顔料分散液は、顔料分散性に優れたカラーフィルタ用黄色樹脂組成物を調製するための予備調製物として用いられる。
【0125】
2.カラーフィルタ用黄色樹脂組成物
本発明に係るカラーフィルタ用黄色樹脂組成物は、キノフタロン顔料及びイソインドリン顔料を含む顔料と、キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体と、顔料分散剤と、硬化性バインダ成分と、溶媒とを含有し、前記キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体を、前記キノフタロン顔料100質量部に対して、0.1〜20質量部含有することを特徴とする。
以下、このような本発明のカラーフィルタ用黄色樹脂組成物に用いられる成分を説明する。
なお、上記本発明に係る黄色顔料分散液に含まれ得る成分については、上記顔料分散液の箇所において説明したものと同様のものを用いることができるので、ここでの説明は省略する。
【0126】
(硬化性バインダ成分)
本発明に係るカラーフィルタ用黄色樹脂組成物は、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与し、塗膜に充分な硬度を付与するために、硬化性バインダ成分を含有する。硬化性バインダ成分としては、特に限定されず、従来公知のカラーフィルタの着色層を形成するのに用いられる硬化性バインダ成分を適宜用いることができる。
硬化性バインダ成分としては、例えば、可視光線、紫外線、電子線等により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含む光硬化性バインダ成分や、加熱により重合硬化させることができる熱硬化性樹脂を含む熱硬化性バインダ成分を含むものを用いることができる。
【0127】
本発明に係るカラーフィルタ用黄色樹脂組成物を、例えばインクジェット方式で用いる場合など、基板上にパターン状に選択的に付着させて着色層を形成可能な場合には、硬化性バインダ成分に現像性は必要がない。この場合、インクジェット方式等でカラーフィルタ着色層を形成する場合に用いられる、公知の熱硬化性バインダ成分や、光硬化性バインダ成分等を適宜用いることができる。
一方、着色層を形成する際にフォトリソグラフィー方式を用いる場合には、アルカリ現像性を有する感光性バインダ成分が好適に用いられる。
以下、感光性バインダ成分と、インクジェット方式に用いるのに適した熱硬化性バインダ成分について具体的に説明するが、硬化性バインダ成分はこれらに限定されるものではない。
【0128】
(1)感光性バインダ成分
感光性バインダ成分としては、ポジ型感光性バインダ成分とネガ型感光性バインダ成分が挙げられる。ポジ型感光性バインダ成分としては、例えば、アルカリ可溶性樹脂及び感光性付与成分としてo−キノンジアジド基含有化合物を含んだ系が挙げられ、アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、ポリイミド前駆体等が挙げられる。
【0129】
ネガ型感光性バインダ成分としては、アルカリ可溶性樹脂と、多官能性モノマーと、光開始剤を少なくとも含有する系が好適に用いられる。以後、アルカリ可溶性樹脂と、多官能性モノマーと、光開始剤について、具体的に説明する。
【0130】
<アルカリ可溶性樹脂>
アルカリ可溶性樹脂は側鎖にカルボキシル基を有するものであり、バインダ樹脂として作用し、かつパターン形成する際に用いられる現像液、特に好ましくはアルカリ現像液に可溶性である限り、適宜選択して使用することができる。
本発明における好ましいアルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基を有する樹脂であり、具体的には、カルボキシル基を有するアクリル系共重合体、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。これらの中で特に好ましいものは、側鎖にカルボキシル基を有するとともに、さらに側鎖にエチレン性不飽和基等の光重合性官能基を有するものである。光重合性官能基を含有することにより形成される硬化膜の膜強度が向上するからである。また、これらアクリル系共重合体、及びエポキシアクリレート樹脂は、2種以上混合して使用してもよい。
【0131】
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとエチレン性不飽和モノマーを共重合して得られる。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更に芳香族炭素環を有する構成単位を含有していてもよい。芳香族炭素環は感光性樹脂組成物に塗膜性を付与する成分として機能する。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更にエステル基を有する構成単位を含有していてもよい。エステル基を有する構成単位は、感光性樹脂組成物のアルカリ可溶性を抑制する成分として機能するだけでなく、溶剤に対する溶解性、さらには溶剤再溶解性を向上させる成分としても機能する。
【0132】
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2,2’−オキシビス(メチレン)ビス−2−プロペノエート、スチレン、γ−メチルスチレン、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどの中から選ばれる1種以上と、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、アクリル酸の二量体(例えば、東亞合成化学(株)製M−5600)、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの無水物の中から選ばれる1種以上とからなるコポリマーを例示できる。また、上記のコポリマーに、例えばグリシジル基、水酸基等の反応性官能基を有するエチレン性不飽和化合物を付加させるなどして、エチレン性不飽和結合を導入したポリマー等も例示できるが、これらに限定されるものではない。
これらの中で、コポリマーにグリシジル基又は水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加等することにより、エチレン性不飽和結合を導入したポリマー等は、露光時に、後述する多官能性モノマーと重合することが可能となり、着色層がより安定なものとなる点で、特に好適である。
【0133】
カルボキシル基含有共重合体におけるカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの共重合割合は、通常、5〜50質量%、好ましくは10〜40質量%である。この場合、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの共重合割合が5質量%未満では、得られる塗膜のアルカリ現像液に対する溶解性が低下し、パターン形成が困難になる。また、共重合割合が50質量%を超えると、アルカリ現像液による現像時に、形成されたパターンの基板からの脱落やパターン表面の膜荒れを来たしやすくなる傾向がある。
【0134】
カルボキシル基含有共重合体の好ましい分子量は、好ましくは1,000〜500,000の範囲であり、さらに好ましくは3,000〜200,000である。1,000未満では硬化後のバインダ機能が著しく低下し、500,000を超えるとアルカリ現像液による現像時に、パターン形成が困難となる場合がある。
【0135】
カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、特に限定されるものではないが、エポキシ化合物と不飽和基含有モノカルボン酸との反応物を酸無水物と反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート化合物が適している。
エポキシ化合物としては、特に限定されるものではないが、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、またはビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物などのエポキシ化合物が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0136】
不飽和基含有モノカルボン酸としては、例えば(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、β−フルフリルアクリル酸、β−スチリルアクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、α−シアノ桂皮酸等が挙げられる。これら不飽和基含有モノカルボン酸は、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0137】
酸無水物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等の二塩基性酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、エンドビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物のような多価カルボン酸無水物誘導体等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
このようにして得られるカルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート化合物の分子量は特に制限されないが、好ましくは1000〜40000、より好ましくは2000〜5000である。
【0138】
アルカリ可溶性樹脂は、1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、その含有量としては、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物に含まれる顔料100質量部に対して、通常、10〜1000質量部の範囲内、好ましくは20〜500質量部の範囲内である。アルカリ可溶性樹脂の含有量が少な過ぎると、充分なアルカリ現像性が得られない場合があり、また、アルカリ可溶性樹脂の含有量が多すぎると顔料の割合が相対的に低くなって、充分な着色濃度が得られない場合がある。
【0139】
<多官能性モノマー>
本発明のカラーフィルタ用黄色樹脂組成物において用いられる多官能性モノマーは、後述する光開始剤によって重合可能なものであればよく、特に限定されず、通常、エチレン性不飽和二重結合を2つ以上有する化合物が用いられ、特にアクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有する、多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0140】
このような多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、長鎖脂肪族ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、アクリル化イソシアヌレート、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、リン酸ジ(メタ)アクリレート、亜鉛ジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0141】
また、三官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、無水コハク酸変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、無水コハク酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ウレタントリ(メタ)アクリレート、エステルトリ(メタ)アクリレート、ウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、エステルヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0142】
これらの多官能(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明のカラーフィルタ用黄色樹脂組成物に優れた光硬化性(高感度)が要求される場合には、多官能性モノマーが、重合可能な二重結合を3つ(三官能)以上有するものであるものが好ましく、3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物が好ましく、具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのコハク酸変性物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートのコハク酸変性物、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましい。
上記多官能性モノマーの含有量は、特に制限はないが、上記アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、通常5〜500質量部程度、好ましくは20〜300質量部の範囲である。多官能性モノマーの含有量が上記範囲より少ないと十分に光硬化が進まず、露光部分が溶出する場合があり、また、多官能性モノマーの含有量が上記範囲より多いとアルカリ現像性が低下するおそれがある。
【0143】
<光開始剤>
本発明のカラーフィルタ用黄色樹脂組成物において用いられる光開始剤としては、特に制限はなく、従来知られている各種光開始剤の中から、適宜選択して用いることができる。例えばベンゾフェノン、ミヒラーケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、フェナントレン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル類、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メチルフェニル)イミダゾール2量体、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチルオキサジアゾール化合物、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)−S−トリアジン、2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン等のハロメチル−S−トリアジン系化合物、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン、1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ベンジル、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4´−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(o−アセチルオキシム)、4−ベンゾイル−メチルジフェニルサルファイド、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパノンなどが挙げられる。これらの光開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0144】
光開始剤の含有量は、上記多官能性モノマー100質量部に対して、通常0.01〜100質量部程度、好ましくは5〜60質量部である。この含有量が上記範囲より少ないと十分に重合反応を生じさせることができないため、着色層の硬度を十分なものとすることができない場合があり、一方上記範囲より多いと、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物の固形分中の顔料等の含有量が相対的に少なくなり、十分な着色濃度が得られない場合がある。
【0145】
(2)熱硬化性バインダ成分
熱硬化性バインダとしては、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物と硬化剤の組み合わせが通常用いられ、更に、熱硬化反応を促進できる触媒を添加しても良い。熱硬化性官能基としては、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基、エチレン性不飽和結合等が挙げられる。熱硬化性官能基としてはエポキシ基が好ましく用いられる。また、これらにそれ自体は重合反応性のない重合体を更に用いても良い。
【0146】
1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物として、1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ化合物が好適に用いられる。1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ化合物は、エポキシ基を2個以上、好ましくは2〜50個、より好ましくは2〜20個を1分子中に有するエポキシ化合物(エポキシ樹脂と称されるものを含む)である。エポキシ基は、オキシラン環構造を有する構造であればよく、例えば、グリシジル基、オキシエチレン基、エポキシシクロヘキシル基等を示すことができる。エポキシ化合物としては、カルボン酸により硬化しうる公知の多価エポキシ化合物を挙げることができ、このようなエポキシ化合物は、例えば、新保正樹編「エポキシ樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社刊(昭和62年)等に広く開示されており、これらを用いることが可能である。
【0147】
<1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物>
通常硬化性バインダ成分として用いられる比較的分子量の高い重合体であるエポキシ化合物(以下、「バインダ性エポキシ化合物」ということがある)としては、少なくとも下記式(V)で表される構成単位及び下記式(VI)で表される構成単位から構成され且つグリシジル基を2個以上有する重合体を用いることができる。
【0148】
【化12】

(式(V)中、R21は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、R22は炭素数1〜12の炭化水素基である。)
【0149】
【化13】

(式(VI)中、R23は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)
【0150】
式(V)で表される構成単位をバインダ性エポキシ化合物の構成単位として用いることにより、本発明の樹脂組成物から形成される硬化塗膜に充分な硬度および透明性を付与することができる。式(V)において、R21として好ましいのは水素またはメチル基である。R22は、炭素数1〜12の炭化水素基であり、直鎖脂肪族、脂環式、芳香族いずれの炭化水素基であってもよく、さらに付加的な構造、例えば二重結合、炭化水素基の側鎖、スピロ環の側鎖、環内架橋炭化水素基等を含んでいてもよい。
【0151】
上記式(V)で表される構成単位を誘導するモノマーとして具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、パラ−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等を例示することができる。
【0152】
式(VI)で表される構成単位は、重合体中にエポキシ基(エポキシの反応点)を導入するために用いられる。当該重合体を含有する樹脂組成物は保存安定性に優れており、保存中および吐出作業中に粘度上昇を生じ難いが、その理由の一つは式(VI)中のエポキシ基がグリシジル基だからであると推測される。
式(VI)において、R23として好ましいのは水素またはメチル基である。式(VI)で表される構成単位を誘導するモノマーとして、具体的にはグリシジル(メタ)アクリレートを例示することができ、特にグリシジルメタクリレート(GMA)が好ましい。
【0153】
上記重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。また、上記重合体は、カラーフィルタの各細部に必要とされる性能、例えば硬度や透明性等が確保できる限り、式(V)あるいは式(VI)以外の主鎖構成単位を含んでいてもよい。そのようなモノマーとして具体的には、アクリロニトリル、スチレン等を例示することができる。
【0154】
上記バインダ性エポキシ化合物中の式(V)の構成単位と式(VI)の構成単位の含有量は、10:90〜90:10の範囲にあるのが好ましい。式(V)の構成単位の量が上記の比90:10よりも過剰な場合には、硬化の反応点が少なくなって架橋密度が低くなるおそれがあり、一方、式(VI)の構成単位の量が上記の比10:90よりも過剰な場合には、嵩高い骨格が少なくなって硬化収縮が大きくなるおそれがある。
【0155】
また、上記バインダ性エポキシ化合物の質量平均分子量は、ポリスチレン換算質量平均分子量で表した時に3,000以上、特に4,000以上であることが好ましい。上記バインダ性エポキシ化合物の分子量が3,000よりも小さすぎるとカラーフィルタの細部としての硬化層に要求される強度、耐溶剤性等の物性が不足し易いからである。一方、上記バインダ性エポキシ化合物の質量平均分子量は、ポリスチレン換算質量平均分子量で表した時に20,000以下であることが好ましく、更に15,000以下であることが特に好ましい。当該分子量が20,000よりも大きすぎると粘度上昇が起こり易くなり、インクジェット方式で吐出ヘッドから吐出する時の吐出量の安定性や吐出方向の直進性が悪くなるおそれや、長期保存の安定性が悪くなるおそれがあるからである。なお上記バインダ性エポキシ化合物は、例えば特開2006−106503号公報の段落番号0148に記載されているような方法で合成することができる。
【0156】
熱硬化性バインダには、一分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(以下、「多官能エポキシ化合物」ということがある。)であって、上記バインダ性エポキシ化合物よりも分子量が小さいものを用いても良い。中でも、上述のように上記バインダ性エポキシ化合物と当該多官能エポキシ化合物を併用することが好ましい。この場合、多官能エポキシ化合物のポリスチレン換算の質量平均分子量は、これと組み合わせるバインダ性エポキシ化合物よりも小さいことを条件に、4,000以下が好ましく、3,000以下が特に好ましい。樹脂組成物に比較的分子量が小さい多官能エポキシ化合物を添加すると、樹脂組成物中にエポキシ基が補充されてエポキシの反応点濃度が増加し、架橋密度を高めることができる。
【0157】
多官能エポキシ化合物の中でも、酸−エポキシ反応の架橋密度を上げるためには、一分子中にエポキシ基を4個以上有するエポキシ化合物を用いるのが好ましい。特に、インクジェット方式の吐出ヘッドからの吐出性を向上させるために前記バインダ性エポキシ化合物の質量平均分子量を10,000以下とした場合には、硬化層の強度や硬度が低下し易いので、そのような4官能以上の多官能エポキシ化合物を樹脂組成物に配合して架橋密度を充分に上げるのが好ましい。
【0158】
多官能エポキシ化合物としては、一分子中にエポキシ基を2個以上含有するものであれば特に制限はなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA含核ポリオール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂などを使用できる。
【0159】
より具体的には、商品名エピコート828(ジャパンエポキシレジン社製)などのビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名YDF−175S(東都化成社製)などのビスフェノールF型エポキシ樹脂、商品名YDB−715(東都化成社製)などの臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名EPICLON EXA1514(大日本インキ化学工業社製)などのビスフェノールS型エポキシ樹脂、商品名YDC−1312(東都化成社製)などのハイドロキノン型エポキシ樹脂、商品名EPICLON EXA4032(大日本インキ化学工業社製)などのナフタレン型エポキシ樹脂、商品名エピコートYX4000H(ジャパンエポキシレジン社製)などのビフェニル型エポキシ樹脂、商品名エピコート157S70(ジャパンエポキシレジン社製)などのビスフェノールA型ノボラック系エポキシ樹脂、商品名エピコート154(ジャパンエポキシレジン社製)、商品名YDPN−638(東都化成社製)などのフェノールノボラック型エポキシ樹脂、商品名YDCN−701(東都化成社製)などのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、商品名EPICLON HP−7200(大日本インキ化学工業社製)などのジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、商品名エピコート1032H60(ジャパンエポキシレジン社製)などのトリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、商品名VG3101M80(三井化学社製)などの3官能型エポキシ樹脂、商品名エピコート1031S(ジャパンエポキシレジン社製)などのテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、商品名デナコールEX−411(ナガセ化成工業社製)などの4官能型エポキシ樹脂、商品名ST−3000(東都化成社製)などの水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名エピコート190P(ジャパンエポキシレジン社製)などのグリシジルエステル型エポキシ樹脂、商品名YH−434(東都化成社製)などのグリシジルアミン型エポキシ樹脂、商品名YDG−414(東都化成社製)などのグリオキザール型エポキシ樹脂、商品名エポリードGT−401(ダイセル化学社製)、商品名EHPE3150(ダイセル化学社製)などの脂環式多官能エポキシ化合物、トリグリシジルイソシアネート(TGIC)などの複素環型エポキシ樹脂などを例示することができる。また、必要であれば、エポキシ反応性希釈剤として、商品名ネオトートE(東都化成社製)などを混合することができる。
【0160】
上記バインダ性エポキシ化合物と、必要に応じて配合される多官能エポキシ化合物の配合割合は、質量比ではバインダ性エポキシ化合物を10〜80質量部と多官能エポキシ化合物を10〜60質量部の割合で配合するのが好ましく、バインダ性エポキシ化合物を20〜60質量部と多官能エポキシ化合物を20〜50質量部の割合で配合するのが更に好ましく、バインダ性エポキシ化合物を30〜40質量部と多官能エポキシ化合物を25〜35質量部の割合で配合するのが特に好ましい。
【0161】
<硬化剤>
本発明に用いられる熱硬化性バインダには、通常、硬化剤が組み合わせて配合される。硬化剤としては、例えば、多価カルボン酸無水物または多価カルボン酸を用いる。
多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸などの脂肪族または脂環族ジカルボン酸無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイトなどのエステル基含有酸無水物を挙げることができ、特に好ましくは、芳香族多価カルボン酸無水物を挙げることができる。また、市販のカルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。
また、本発明に用いられる多価カルボン酸の具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸などの脂肪族多価カルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸などの脂肪族多価カルボン酸、およびフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸を挙げることができ、好ましくは芳香族多価カルボン酸を挙げることができる。
【0162】
これら硬化剤は、1種単独でも2種以上の混合でも用いることができる。本発明に用いられる硬化剤の配合量は、エポキシ基を含有する成分(バインダ性エポキシ化合物と多官能エポキシ化合物の合計量)100質量部当たり、通常は1〜100質量部の範囲であり、好ましくは5〜50質量部である。硬化剤の配合量が1質量部未満であると、硬化が不充分となり、強靭な塗膜を形成することができないおそれがある。また、硬化剤の配合量が100質量部を超えると、塗膜の基板に対する密着性が劣るおそれがある。
【0163】
<触媒>
熱硬化性バインダには、硬化層の硬度および耐熱性を向上させるために、酸−エポキシ間の熱硬化反応を促進できる触媒を添加してもよい。そのような触媒としては、加熱硬化時に活性を示す熱潜在性触媒を用いることができる。
熱潜在性触媒は、加熱されたとき、触媒活性を発揮し、硬化反応を促進し、硬化物に良好な物性を与えるものであり、必要により加えられるものである。この熱潜在性触媒は、60℃以上の温度で酸触媒活性を示すものが好ましく、このようなものとしてプロトン酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、スルホン酸エステル類、オニウム化合物類等が挙げられ、前記特開平4−218561号公報に記載されているような各種の化合物を使用することができる。
熱潜在性触媒は、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物及び硬化剤の合計100質量部に対して、通常は0.01〜10.0質量部程度の割合で配合する。
【0164】
(溶媒)
本発明に係るカラーフィルタ用黄色樹脂組成物には、顔料を分散させるためや、硬化性バインダ成分を溶解させるために溶媒が含まれる。溶媒としては、該樹脂組成物中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶媒であればよく、特に限定されない。
本発明の樹脂組成物に用いる溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、N−プロピルアルコール、i−プロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;メトキシアルコール、エトキシアルコールなどのセロソルブ系溶媒;メトキシエトキシエタノール、エトキシエトキシエタノールなどのカルビトール系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系溶媒;アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート系溶媒;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)などのカルビトールアセテート系溶媒;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性アミド溶媒;γ−ブチロラクトンなどのラクトン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどの不飽和炭化水素系溶媒;N−ヘプタン、N−ヘキサン、N−オクタンなどの飽和炭化水素系溶媒などの有機溶媒が挙げられる。これらの溶媒の中では、メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート系溶媒;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)などのカルビトールアセテート系溶媒;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶媒;メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系溶媒;シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒が好適に用いられる。中でも、本発明に用いる溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(CHOCHCH(CH)OCOCH)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート及びシクロヘキサノンよりなる群から選択される1種以上であることが、他の成分の溶解性や塗布適性の点から好ましい。
【0165】
中でも、本発明の黄色樹脂組成物をインクジェットインクとして用いる場合には、インクの急激な粘度上昇や目詰まりが発生せず、吐出の直進性や安定性に悪影響を及ぼさないで吐出性を向上させるために、沸点が180℃〜260℃、特に210℃〜260℃で且つ常温(特に18℃〜25℃の範囲)での蒸気圧が0.5mmHg(66.7Pa)以下、特に0.1mmHg(13.3Pa)以下の溶剤成分を主溶剤として用いることが好ましい。例えば、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、及び、コハク酸ジエチルなどを例示することができる。なお、「主溶剤」とは、溶剤全量のうち50質量%以上を占める溶剤のことである。主溶剤は、できるだけ高い配合割合で用いるのが望ましく、具体的には70質量%以上、好ましくは90質量%以上である。
【0166】
これらの主溶剤は乾燥が遅いためインクジェットでの間欠吐出性に優れる一方、塗膜形成時に乾燥が遅いことから、生産効率に問題がある場合があるので、生産効率を向上させる目的で、主溶剤に、より低沸点溶剤を混合しても良い。主溶剤と組み合わせて用いることが好ましい他の副溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルのようなグリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールオリゴマーエーテル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールオリゴマーエーテルエステル類;酢酸エチル、安息香酸プロピルのような脂肪族又は芳香族エステル類;炭酸ジエチルのようなジカルボン酸ジエステル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチルのようなアルコキシカルボン酸エステル類;アセト酢酸エチルのようなケトカルボン酸エステル類;エタノール、イソプロパノール、フェノールのようなアルコール類又はフェノール類;ジエチルエーテル、アニソールのような脂肪族又は芳香族エーテル類;2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノールのようなアルコキシアルコール類;ジエチレングリコール、トリプロピレングリコールのようなグリコールオリゴマー類;2−エトキシエチルアセテートのようなアルコキシアルコールエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類等が挙げられる。
【0167】
(任意添加成分)
本発明のカラーフィルタ用黄色樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じ各種添加剤を含むものであってもよい。
例えば、本発明の効果が損なわれない限り、更に他の顔料誘導体を含んでいても良い。このような顔料誘導体は、顔料骨格に官能基を付与し、様々な機能を顔料に付加する役割を持つ化合物である。顔料分散時に顔料誘導体を顔料に添加すると、顔料誘導体の顔料類似骨格が顔料表面に吸着もしくは結合し、それにより顔料の表面が極性を有するようになることによって、分散剤と顔料間の親和性が向上し、分散性、分散安定性を確保できると考えられる。
【0168】
その他、添加剤としては、例えば重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、密着促進剤等などが挙げられる。
これらの中で、用いることができる界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類等を挙げることができる。また、その他にもフッ素系界面活性剤も用いることができる。
さらに、可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジル等が挙げられる。消泡剤、レベリング剤としては、例えばシリコン系、フッ素系、アクリル系の化合物等が挙げられる。
【0169】
(カラーフィルタ用黄色樹脂組成物における各成分の配合割合)
顔料と顔料誘導体の合計の含有量は、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物の固形分全量に対して、5〜65質量%、より好ましくは10〜50質量%の割合で配合することが好ましい。顔料が少なすぎると、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物を所定の膜厚(通常は1.0〜5.0μm)に塗布した際の透過濃度が十分でないおそれがあり、また顔料が多すぎると、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物を基板上へ塗布し硬化させた際の基板への密着性、硬化膜の表面荒れ、塗膜硬さ等の塗膜としての特性が不十分となるおそれがあり、またそのカラーフィルタ用黄色樹脂組成物中の顔料分散に使われる分散剤の量の比率も多くなるために現像性、耐熱性等の特性も不十分になるおそれがある。尚、本発明において固形分は、上述した溶媒以外のもの全てであり、溶媒中に溶解している多官能性モノマー等も含まれる。
また、顔料分散剤の含有量としては、顔料を均一に分散することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、顔料100質量部に対して10〜150質量部用いることができる。更に、顔料100質量部に対して15〜80質量部の割合で配合するのが好ましく、特に20〜50質量部の割合で配合するのが好ましい。顔料分散剤の合計の含有量は、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物の固形分全量に対して、1〜50質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも5〜40質量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物の固形分全量に対して、1質量%未満の場合には、顔料を均一に分散することが困難になる恐れがあり、50質量%を超える場合には、硬化性、現像性の低下を招く恐れがある。
硬化性バインダ成分は、これらの合計量が、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物の固形分全量に対して24〜94質量%、好ましくは40〜90質量%の割合で配合するのが好ましい。
また、溶媒の含有量としては、着色層を精度良く形成することができるものであれば特に限定されるものではない。該溶媒を含む上記カラーフィルタ用黄色樹脂組成物の全量に対して、通常、65〜95質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも75〜88質量%の範囲内であることが好ましい。上記溶媒の含有量が、上記範囲内であることにより、塗布性に優れたものとすることができる。
【0170】
(カラーフィルタ用黄色樹脂組成物の製造)
カラーフィルタ用黄色樹脂組成物の製造方法としては、前述したキノフタロン顔料及びイソインドリン顔料を含む顔料と、キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体と、顔料分散剤と、硬化性バインダ成分と、所望により用いられる各種添加成分とを、溶剤中に均一に溶解又は分散させ得る方法であればよく、特に制限はされず、公知の混合手段を用いて混合することにより、調製することができる。
当該樹脂組成物の調製方法としては、例えば(1)溶媒中に、上記の顔料分散剤、顔料及び顔料誘導体を添加し、分散機を用いて分散させることによって、上述の顔料分散液を作製した後、これに硬化性バインダ成分と、所望により用いられる各種添加成分とを添加し混合する方法、(2)溶媒中に、上記の顔料と、顔料誘導体と、顔料分散剤と、硬化性バインダ成分と、所望により用いられる各種添加成分とを同時に投入し、混合する方法、及び(3)溶媒中に、上記の顔料分散剤と、硬化性バインダ成分と、所望により用いられる各種添加成分とを添加し、混合したのち、これに顔料及び顔料誘導体を加えて混合する方法などを挙げることができる。
これらの方法の中で、上記(1)の方法が、顔料の凝集を効果的に防ぎ、均一に分散させ得る点から好ましい。
【0171】
上記(1)の方法における顔料分散液の調製において、顔料の分散処理を行うための分散機としては、2本ロール、3本ロール等のロールミル、ボールミル、振動ボールミル等のボールミル、ペイントシェーカー、連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミル等が挙げられる。ビーズミルの好ましい分散条件として、使用するビーズ径は0.03〜2mmが好ましく、より好ましくは0.05〜1mmである。具体的には、ビーズ径が比較的大きめな1〜2mmジルコニアビーズで予備分散を行い、更にビーズ径が比較的小さめな0.03〜0.1mmジルコニアビーズで本分散することが挙げられる。また、分散後、5.0〜0.2μm程度のメンブランフィルタで濾過することが好ましい。これにより、顔料の分散性に優れた顔料分散液が得られる。
【0172】
(カラーフィルタ用黄色樹脂組成物の色域)
以上のようにして得られる本発明のカラーフィルタ用黄色樹脂組成物は、C光源で測定したCIE色度座標(x、y)が、(0.400,0.475)、(0.440,0.475)、(0.500,0.500)、(0.445,0.520)で囲まれる四角形内の範囲にある硬化膜を形成可能であることが、カラーフィルタの色再現域を広くできる点から好ましい。
【0173】
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。
[カラーフィルタ]
本発明のカラーフィルタは、透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが前記本発明のカラーフィルタ用黄色樹脂組成物を硬化させて形成されてなる着色層であることを特徴とする。
このような本発明のカラーフィルタについて、図を参照しながら説明する。図1は、本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。図1によれば、本発明のカラーフィルタ10は、透明基板1と、遮光部2と、着色層3とを有している。
【0174】
(着色層)
本発明のカラーフィルタに用いられる着色層は、前述した本発明のカラーフィルタ用黄色樹脂組成物を用いて硬化させて形成された黄色着色層が含まれていれば、特に限定されないが、通常、後述する透明基板上の遮光部の開口部に形成され、3色以上の着色層を含む着色パターンから構成される。
また、当該着色層の配列としては、特に限定されず、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
当該着色層の厚みは、塗布方法、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物の固形分濃度や粘度等を調整することにより、適宜制御されるが、通常、1〜5μmの範囲であることが好ましい。
【0175】
当該着色層は、例えば感光性樹脂組成物である場合、下記の方法により形成することができる。
まず、前述した本発明のカラーフィルタ用黄色樹脂組成物を、スプレーコート法、ディップコート法、バーコート法、コールコート法、スピンコート法などの塗布手段を用いて後述する透明基板上に塗布して、ウェット塗膜を形成させる。
次いで、ホットプレートやオーブンなどを用いて、該ウェット塗膜を乾燥させたのち、これに、所定のパターンのマスクを介して露光し、アルカリ可溶性樹脂及び多官能性モノマー等を光重合反応させて、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物の塗膜とする。露光に使用される光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどの紫外線、電子線等が挙げられる。露光量は、使用する光源や塗膜の厚みなどによって適宜調整される。
また、露光後に重合反応を促進させるために、加熱処理を行ってもよい。加熱条件は、使用するカラーフィルタ用黄色樹脂組成物中の各成分の配合割合や、塗膜の厚み等によって適宜選択される。
【0176】
次に、現像液を用いて現像処理し、未露光部分を溶解、除去することにより、所望のパターンで塗膜が形成される。現像液としては、通常、水や水溶性溶媒にアルカリを溶解させた溶液が用いられる。このアルカリ溶液には、界面活性剤などを適量添加してもよい。また、現像方法は一般的な方法を採用することができる。
現像処理後は、通常、現像液の洗浄、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物の硬化塗膜の乾燥が行われ、着色層が形成される。なお、現像処理後に、塗膜を十分に硬化させるために加熱処理を行ってもよい。加熱条件としては特に限定はなく、塗膜の用途に応じて適宜選択される。
【0177】
また、当該着色層は、例えばインクジェット方式で形成する場合、下記の方法により形成することができる。
まず、前記本発明のカラーフィルタ用黄色樹脂組成物を含み、その他必要に応じて各色用の顔料がそれぞれ配合されたカラーフィルタ用樹脂組成物を用意する。そして、透明基板1の表面に、遮光部2のパターンにより画成された各色の着色層形成領域に、対応する色のカラーフィルタ用樹脂組成物をインクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する。このインクの吹き付け工程において、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物は、インクジェットヘッドの先端部で粘度増大を起こし難く、良好な吐出性を維持し続ける必要がある。各色のカラーフィルタ用樹脂組成物を、複数のヘッドを使って同時に基板上に吹き付けることもできるので、印刷等の方法で各色ごとに着色層を形成する場合と比べて作業効率を向上させることができる。
次に、各色のインク層を乾燥し必要に応じてプリベークした後、適宜加熱乃至露光することにより硬化させる。インク層を適宜加熱乃至露光すると、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物中に含まれる硬化性樹脂の架橋要素が架橋反応を起こし、インク層が硬化して着色層3が形成される。
【0178】
(遮光部)
本発明のカラーフィルタにおける遮光部は、後述する透明基板上にパターン状に形成されるものであって、一般的なカラーフィルタに遮光部として用いられるものと同様とすることができる。
当該遮光部のパターン形状としては、特に限定されず、例えば、ストライプ状、マトリクス状等の形状が挙げられる。この遮光部としては、例えば、黒色顔料をバインダ樹脂中に分散又は溶解させたものや、クロム、酸化クロム等の金属薄膜等が挙げられる。この金属薄膜は、CrO膜(xは任意の数)及びCr膜が2層積層されたものであってもよく、また、より反射率を低減させたCrO膜(xは任意の数)、CrN膜(yは任意の数)及びCr膜が3層積層されたものであってもよい。
当該遮光部が黒色着色剤をバインダ樹脂中に分散又は溶解させたものである場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であればよく、特に限定されず、例えば、遮光部用カラーフィルタ用黄色樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法等を挙げることができる。
【0179】
上記の場合であって、遮光部の形成方法として印刷法やインクジェット法を用いる場合、バインダ樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、カルボキシメチルセルロース樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
【0180】
また、上記の場合であって、遮光部の形成方法としてフォトリソグラフィー法を用いる場合、バインダ樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が用いられる。この場合、黒色着色剤及び感光性樹脂を含有する遮光部用カラーフィルタ用黄色樹脂組成物には、光重合開始剤を添加してもよく、さらには必要に応じて増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を添加してもよい。
【0181】
一方、遮光部が金属薄膜である場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であればよく、特に限定されず、例えば、フォトリソグラフィー法、マスクを用いた蒸着法、印刷法等を挙げることができる。
【0182】
遮光部の膜厚としては、金属薄膜の場合は0.2〜0.4μm程度で設定され、黒色着色剤をバインダ樹脂中に分散又は溶解させたものである場合は0.5〜3.0μm程度で設定される。
【0183】
(透明基板)
本発明のカラーフィルタにおける透明基板としては、可視光に対して透明な基材であればよく、特に限定されず、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板を使用することができる。具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材が挙げられる。
当該透明基板の厚みは、特に限定されるものではないが、本発明のカラーフィルタの用途に応じて、例えば100μm〜1mm程度のものを使用することができる。
なお、本発明のカラーフィルタは、上記透明基板、遮光部及び着色層以外にも、例えば、オーバーコート層や透明電極層、さらには配向膜や柱状スペーサ等が形成されたものであってもよい。
【0184】
次に、本発明の液晶表示装置について説明する。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、前述した本発明のカラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする。
このような本発明の液晶表示装置について、図を参照しながら説明する。図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。図2に例示するように本発明の液晶表示装置40は、カラーフィルタ10と、TFTアレイ基板等を有する対向基板20と、上記カラーフィルタ10と上記対向基板20との間に形成された液晶層30とを有している。
なお、本発明の液晶表示装置は、この図2に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた液晶表示装置として公知の構成とすることができる。
【0185】
本発明の液晶表示装置の駆動方式としては、特に限定はなく一般的に液晶表示装置に用いられている駆動方式を採用することができる。このような駆動方式としては、例えば、TN方式、IPS方式、OCB方式、及びMVA方式等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの方式であっても好適に用いることができる。
また、対向基板としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて適宜選択して用いることができる。
さらに、液晶層を構成する液晶としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて、誘電異方性の異なる各種液晶、及びこれらの混合物を用いることができる。
【0186】
液晶層の形成方法としては、一般に液晶セルの作製方法として用いられる方法を使用することができ、例えば、真空注入方式や液晶滴下方式等が挙げられる。
真空注入方式では、例えば、あらかじめカラーフィルタ及び対向基板を用いて液晶セルを作製し、液晶を加温することにより等方性液体とし、キャピラリー効果を利用して液晶セルに液晶を等方性液体の状態で注入し、接着剤で封鎖することにより液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
また液晶滴下方式では、例えば、カラーフィルタの周縁にシール剤を塗布し、このカラーフィルタを液晶が等方相になる温度まで加熱し、ディスペンサー等を用いて液晶を等方性液体の状態で滴下し、カラーフィルタ及び対向基板を減圧下で重ね合わせ、シール剤を介して接着させることにより、液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
【0187】
次に、本発明の有機発光表示装置について説明する。
[有機発光表示装置]
本発明の有機発光表示装置は、前述した本発明のカラーフィルタと、有機発光体とを有することを特徴とする。
このような本発明の有機発光表示装置について、図を参照しながら説明する。図3は、本発明の有機発光表示装置の一例を示す概略図である。図3に例示するように本発明の有機発光表示装置100は、カラーフィルタ10と、有機発光体80とを有している。
カラーフィルタ10と、有機発光体80との間に、有機保護層50や無機酸化膜60を有していても良い。
【0188】
有機発光体80の積層方法としては、例えば、カラーフィルタ上面へ透明陽極71、正孔注入層72、正孔輸送層73、発光層74、電子注入層75、および陰極76を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体80を無機酸化膜60上に貼り合わせる方法などが挙げられる。有機発光体80における、透明陽極71、正孔注入層72、正孔輸送層73、発光層74、電子注入層75、および陰極76、その他の構成は、公知のものを適宜用いることができる。このようにして作製された有機発光表示装置100は、例えば、パッシブ駆動方式の有機ELディスプレイにもアクティブ駆動方式の有機ELディスプレイにも適用可能である。
なお、本発明の有機発光表示装置は、この図3に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた有機発光表示装置として公知の構成とすることができる。
【実施例】
【0189】
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0190】
(製造例1 バインダ樹脂Aの合成)
重合槽に、溶媒としてジエチレングリコールエチルメチルエーテル(EMDG)130質量部を仕込み、窒素雰囲気下で110℃に昇温した後、メタクリル酸メチル(MMA)32質量部、メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)22質量部、メタクリル酸(MAA)24質量部、開始剤としてアゾイソブチロニトリル(AIBN)2質量部および連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン4.5質量部を含む混合物を、それぞれ1.5時間かけて連続的に滴下した。
その後、合成温度を保持して反応を続け、滴下終了から2時間後に重合禁止剤として、p−メトキシフェノール0.05質量部を添加した。
次に、空気を吹き込みながら、メタクリル酸グリシジル(GMA)22質量部を添加して、110℃に昇温した後、トリエチルアミン0.2質量部を添加して110℃で15時間付加反応させ、バインダ樹脂A(固形分44質量%)を得た。
得られたバインダ樹脂Aの質量平均分子量は8500、酸価は85mgKOH/gであった。なお、質量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質とし、THFを溶離液としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて算出し、酸価はJIS−K0070に従い測定した。
【0191】
(製造例2 PY138フタルイミドメチル誘導体の合成)
パラホルムアルデヒド5.14質量部とフタルイミド17.71質量部を3.6質量%の発煙硫酸338.67質量部に25℃で加えた後、50℃で30分撹拌した。次いでC.I.ピグメントイエロー138 69.40質量部を加え、100℃で3時間撹拌した。反応液を氷水2400質量部に加え、60℃で30分間攪拌した後、沈殿をろ過した。得られたウェットケーキを温水で3回洗浄し、真空乾燥、粉砕することでピグメントイエロー138にフタルイミドメチル基が1個置換した、下記式(n=1)で表されるPY138フタルイミドメチル誘導体を得た。MALDI−TOF−MSにより、目的物の分子量(Mw:853)を確認した。
【0192】
【化14】

【0193】
(製造例3 PY138ナフタルイミドメチル誘導体の合成)
パラホルムアルデヒド5.14gとナフタルイミド23.72gを3.6質量%の発煙硫酸338.67gに25℃で加えた後、50℃で30分撹拌した。次いでピグメントイエロー138 69.40gを加え、100℃で3時間撹拌した。反応液を氷水2400gに加え、60℃で30分間攪拌した後、沈殿をろ過した。得られたウェットケーキを60℃の温水1Lで3回洗浄し、真空乾燥、粉砕することでピグメントイエロー138にナフタルイミドメチル基が1個置換した、下記式(n=1)で表されるPY138ナフタルイミドメチル誘導体を得た。MALDI−TOF−MSにより、目的物の分子量(Mw:903)を確認した。
【0194】
【化15】

【0195】
(製造例4 PY138テトラクロロフタルイミドメチル誘導体の合成)
パラホルムアルデヒド5.14gと3,4,5,6−テトラクロロフタルイミド34.27gを3.6質量%の発煙硫酸338.67gに25℃で加えた後、50℃で30分撹拌した。次いでピグメントイエロー138 69.40gを加え、100℃で3時間撹拌した。反応液を氷水2400gに加え、60℃で30分間攪拌した後、沈殿をろ過した。得られたウェットケーキを60℃の温水1Lで3回洗浄し真空乾燥、粉砕することでピグメントイエロー138にテトラクロロナフタルイミドメチル基が1個置換した、下記式(n=1)で表されるPY138テトラクロロフタルイミドメチル誘導体を得た。MALDI−TOF−MSにより、目的物の分子量(Mw:991)を確認した。
【0196】
【化16】

【0197】
(製造例5 PY138スルホン酸誘導体の合成)
11質量%発煙硫酸374.76質量部を10℃に冷却しながら攪拌し、ピグメントイエロー138 74.96質量部を加えた。次いで、90℃で6時間攪拌した。
反応液を氷水1600質量部に加え、15分間攪拌した後、沈殿をろ過した。得られたウェットケーキを800質量部の水で3回洗浄した。ウェットケーキを80℃で真空乾燥し、粉砕することでピグメントイエロー138にスルホン酸基が1個置換した、下記式(n=1)で表されるPY138スルホン酸誘導体を得た。MALDI−TOF−MSにより、目的物の分子量(Mw:774)を確認した。
【0198】
【化17】

【0199】
(製造例6 分散剤溶液Aの調製)
500mL丸底フラスコ中に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)339.7質量部、3級アミノ基を含むブロック共重合体(上記一般式(I)で表される繰り返し単位(1)と、上記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)とを有するブロック共重合体、商品名:BYK−LPN6919、ビックケミー社製)(質量平均分子量7800、アミン価125、固形分60質量%)150.7質量部をそれぞれ溶解させ、フェニルホスホン酸(商品名:PPA、日産化学社製)9.6質量部(ブロック共重合体の3級アミノ基に対して0.3モル当量)を加え、室温で30分攪拌することで固形分20質量%の分散剤溶液Aを調製した。
このとき、ブロック共重合体(BYK−LPN6919)のアミノ基は、PPAのホスホン酸基との酸・塩基反応により塩変性されている。
【0200】
(製造例7 PY138顔料分散液Aの調製)
製造例6で調製した分散剤溶液A25.00質量部、製造例1のバインダ樹脂A6.82質量部、PGMEA58.18質量部、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー138顔料(商品名:クロモファインイエロー6203EC、大日精化工業社製)9.00質量部、製造例2のPY138フタルイミドメチル誘導体0.30質量部、及び製造例5のPY138スルホン酸誘導体0.70質量部を225mlマヨネーズ瓶中に仕込み、ペイントシェーカー(浅田鉄工社製)にて2mmジルコニアビーズで1時間プレ分散、さらに0.1mmジルコニアビーズで24時間本分散することで、PY138顔料分散液Aを得た。
【0201】
(製造例8 PY138顔料分散液Bの調製)
製造例7において、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー138顔料9.70質量部、及び製造例2のPY138フタルイミドメチル誘導体0.30質量部とした以外は、製造例7と同様にして、PY138顔料分散液Bを調製した。
【0202】
(製造例9 PY138顔料分散液Cの調製)
製造例7において、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー138顔料9.30質量部、及び製造例5のPY138スルホン酸誘導体0.70質量部とした以外は、製造例7と同様にして、PY138顔料分散液Cを調製した。
【0203】
(製造例10 PY138顔料分散液Dの調製)
製造例7において、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー138顔料9.00質量部、製造例2のPY138フタルイミドメチル誘導体0.30質量部、及び製造例5のPY138スルホン酸誘導体0.70質量部の代わりに、C.I.ピグメントイエロー138顔料10.00質量部とした以外は、製造例7と同様にして、PY138顔料分散液Dを調製した。
【0204】
(製造例11 PY138顔料分散液Eの調製)
製造例7において、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー138顔料9.00質量部、製造例2のPY138フタルイミドメチル誘導体0.30質量部、及び製造例5のPY138スルホン酸誘導体0.70質量部の代わりに、C.I.ピグメントイエロー138顔料10.00質量部とし、本分散時間を4時間とした以外は、製造例7と同様にして、PY138顔料分散液Eを調製した。
【0205】
(製造例12 PY138顔料分散液Fの調製)
製造例7において、製造例2のPY138フタルイミドメチル誘導体0.30質量部を製造例3のPY138ナフタルイミドメチル誘導体0.30質量部に変更した以外は、製造例7と同様にして、PY138顔料分散液Fを調製した。
【0206】
(製造例13 PY138顔料分散液Gの調製)
製造例7において、製造例2のPY138フタルイミドメチル誘導体0.30質量部を製造例4のPY138テトラクロロフタルイミドメチル誘導体0.30質量部に変更した以外は、製造例7と同様にして、PY138顔料分散液Gを調製した。
【0207】
(製造例14 PY139顔料分散液Aの調製)
製造例6で調製した分散剤溶液A20.00質量部、製造例1のバインダ樹脂A5.45質量部、PGMEA66.55質量部、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー139顔料(商品名:イルガフォアイエロー 2R−CF、BASF社製)7.60質量部、及び製造例5のPY138スルホン酸誘導体0.40質量部を225mlマヨネーズ瓶中に仕込み、ペイントシェーカー(浅田鉄工社製)にて2mmジルコニアビーズで1時間プレ分散、さらに0.1mmジルコニアビーズで48時間本分散することで、PY139顔料分散液Aを得た。
【0208】
(製造例15 PY139顔料分散液Bの調製)
製造例14において、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー139顔料7.60質量部、及び製造例5のPY138スルホン酸誘導体0.40質量部の代わりに、C.I.ピグメントイエロー139顔料8.00質量部とした以外は、製造例14と同様にして、PY139顔料分散液Bを調製した。
【0209】
(製造例16 PY139顔料分散液Cの調製)
製造例14において、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー139顔料7.60質量部、及び製造例5のPY138スルホン酸誘導体0.40質量部の代わりに、C.I.ピグメントイエロー139顔料8.00質量部とし、本分散時間を4時間とした以外は、製造例14と同様にして、PY139顔料分散液Cを調製した。
【0210】
(製造例17 PY150顔料分散液Aの調製)
製造例6で調製した分散剤溶液A25.00質量部、製造例1のバインダ樹脂A6.82質量部、PGMEA58.18質量部、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー150顔料(E−4GN、ランクセス社製)9.50質量部、及び製造例5のPY138スルホン酸誘導体0.50質量部を225mlマヨネーズ瓶中に仕込み、ペイントシェーカー(浅田鉄工社製)にて2mmジルコニアビーズで1時間プレ分散、さらに0.1mmジルコニアビーズで24時間本分散することで、PY150顔料分散液Aを得た。
【0211】
(製造例18 PY150顔料分散液Bの調製)
製造例17において、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー150顔料9.50質量部、及び製造例5のPY138スルホン酸誘導体0.50質量部の代わりに、C.I.ピグメントイエロー150顔料10.00質量部とした以外は、製造例17と同様にして、PY150顔料分散液Bを調製した。
【0212】
(製造例19 PY150顔料分散液Cの調製)
製造例17において、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー150顔料9.50質量部、及び製造例5のPY138スルホン酸誘導体0.50質量部の代わりに、C.I.ピグメントイエロー150顔料10.00質量部とし、本分散時間を4時間とした以外は、製造例17と同様にして、PY150顔料分散液Cを調製した。
【0213】
(製造例20 PY138フタルイミドメチル誘導体分散液Aの調製)
分散剤としてDisperbyk2000(ビックケミー社製、固形分40質量%)を6.00質量部、PGMEA72.08質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル18.92質量部、製造例2のPY138フタルイミドメチル誘導体3.00質量部を225mlマヨネーズ瓶中に仕込み、ペイントシェーカー(浅田鉄工社製)にて2mmジルコニアビーズで1時間プレ分散、さらに0.1mmジルコニアビーズで3時間本分散することで、PY138フタルイミドメチル誘導体分散液Aを得た。
【0214】
(実施例1−1 カラーフィルタ用黄色樹脂組成物A−1の調製)
製造例7のPY138顔料分散液A6.56質量部、製造例14のPY139顔料分散液A1.45質量部、下記バインダ組成物A4.37質量部、PGMEA2.63質量部を混合し、加圧濾過を行って、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物A−1(色材比率:PY138顔料/PY139顔料/PY138フタルイミドメチル誘導体/PY138スルホン酸誘導体=76.5/14.25/2.55/6.70、P/V比:0.40、固形分濃度:18質量%)を得た。
【0215】
<バインダ組成物A(固形分30質量%)>
・アルカリ可溶性樹脂(製造例1のバインダ樹脂A、固形分44質量%):17.39質量部
・3〜4官能アクリレートモノマー(商品名:アロニックスM305、東亞合成社製):17.85質量部
・光重合開始剤:2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(商品名:イルガキュア907、BASF社製)):2.35質量部
・光重合開始剤:2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール(商品名:ビイミダゾール、黒金化成社製)):1.18質量部
・光重合開始剤:2−メルカプトベンゾチアゾール(東京化成社製):0.58質量部
・光増感剤:2,4ジエチルチオキサントン(商品名:カヤキュアーDETX−S、日本化薬(株)製):0.39質量部
・溶剤:PGMEA:60.26質量部
【0216】
(実施例1−2 カラーフィルタ用黄色樹脂組成物A−2の調製)
製造例7のPY138顔料分散液A5.79質量部、製造例14のPY139顔料分散液A2.41質量部、バインダ組成物A4.37質量部、PGMEA2.43質量部を混合し、加圧濾過を行って、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物A−2(色材比率:PY138顔料/PY139顔料/PY138フタルイミドメチル誘導体/PY138スルホン酸誘導体=67.50/23.75/2.25/6.50、P/V比:0.40、固形分濃度:18質量%)を得た。
【0217】
(実施例1−3 カラーフィルタ用黄色樹脂組成物A−3の調製)
製造例7のPY138顔料分散液A3.50質量部、製造例14のPY139顔料分散液A4.38質量部、バインダ組成物A4.80質量部、PGMEA2.33質量部を混合し、加圧濾過を行って、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物A−3(色材比率:PY138顔料/PY139顔料/PY138フタルイミドメチル誘導体/PY138スルホン酸誘導体=45.00/47.50/1.50/6.00、P/V比:0.35、固形分濃度:18質量%)を得た。
【0218】
(実施例1−4 カラーフィルタ用黄色樹脂組成物A−4の調製)
製造例7のPY138顔料分散液A0.62質量部、製造例14のPY139顔料分散液A7.01質量部、バインダ組成物A5.26質量部、PGMEA2.11質量部を混合し、加圧濾過を行って、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物A−4(色材比率:PY138顔料/PY139顔料/PY138フタルイミドメチル誘導体/PY138スルホン酸誘導体=9.00/85.50/0.30/5.20、P/V比:0.30、固形分濃度:18質量%)を得た。
【0219】
(比較例1−1 カラーフィルタ用黄色樹脂組成物B−1の調製)
製造例19のPY150顔料分散液C6.94質量部、製造例16のPY139顔料分散液C0.96質量部、下記バインダ組成物A4.37質量部、PGMEA2.72質量部を混合し、加圧濾過を行って、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物B−1(色材比率:PY150顔料/PY139顔料=90/10、P/V比:0.40、固形分濃度:18質量%)を得た。
【0220】
(比較例1−2 カラーフィルタ用黄色樹脂組成物B−2の調製)
製造例19のPY150顔料分散液C6.17質量部、製造例16のPY139顔料分散液C1.93質量部、バインダ組成物A4.37質量部、PGMEA2.53質量部を混合し、加圧濾過を行って、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物B−2(色材比率:PY150顔料/PY139顔料=80/20、P/V比:0.40、固形分濃度:18質量%)を得た。
【0221】
(比較例1−3 カラーフィルタ用黄色樹脂組成物B−3の調製)
製造例19のPY150顔料分散液C3.50質量部、製造例16のPY139顔料分散液C4.38質量部、バインダ組成物A4.80質量部、PGMEA2.33質量部とを混合し、加圧濾過を行って、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物B−3(色材比率:PY150顔料/PY139顔料=50/50、P/V比:0.35、固形分濃度:18質量%)を得た。
【0222】
(比較例1−4 カラーフィルタ用黄色樹脂組成物B−4の調製)
製造例19のPY150顔料分散液C0.62質量部、製造例16のPY139顔料分散液C7.01質量部、バインダ組成物A5.26質量部、PGMEA2.11質量部とを混合し、加圧濾過を行って、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物B−4(色材比率:PY150顔料/PY139顔料=10/90、P/V比:0.30、固形分濃度:18質量%)を得た。
【0223】
(比較例2−1 カラーフィルタ用黄色樹脂組成物C−1の調製)
製造例11のPY138顔料分散液E6.56質量部、製造例16のPY139顔料分散液C1.45質量部、バインダ組成物A4.37質量部、PGMEA2.63質量部を混合し、加圧濾過を行って、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物C−1(色材比率:PY138顔料/PY139顔料=85/15、P/V比:0.40、固形分濃度:18質量%)を得た。
【0224】
(比較例2−2 カラーフィルタ用黄色樹脂組成物C−2の調製)
製造例11のPY138顔料分散液E5.79質量部、製造例16のPY139顔料分散液C2.41質量部、バインダ組成物A4.37質量部、PGMEA2.43質量部を混合し、加圧濾過を行って、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物C−2(色材比率:PY138顔料/PY139顔料=75/25、P/V比:0.40、固形分濃度:18質量%)を得た。
【0225】
(比較例2−3 カラーフィルタ用黄色樹脂組成物C−3の調製)
製造例11のPY138顔料分散液E3.50質量部、製造例16のPY139顔料分散液C4.38質量部、バインダ組成物A4.80質量部、PGMEA2.33質量部とを混合し、加圧濾過を行って、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物C−3(色材比率:PY138顔料/PY139顔料=50/50、P/V比:0.35、固形分濃度:18質量%)を得た。
【0226】
(比較例2−4 カラーフィルタ用黄色樹脂組成物C−4の調製)
製造例11のPY138顔料分散液E0.62質量部、製造例16のPY139顔料分散液C7.01質量部、バインダ組成物A5.26質量部、PGMEA2.11質量部とを混合し、加圧濾過を行って、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物C−4(色材比率:PY138顔料/PY139顔料=10/90、P/V比:0.30、固形分濃度:18質量%)を得た。
【0227】
(比較例3−1 カラーフィルタ用黄色樹脂組成物D−1の調製)
実施例1−1において、PY138顔料分散液Aを製造例9のPY138顔料分散液C6.56質量部に変更した以外は、実施例1−1と同様にして、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物D−1(色材比率:PY138顔料/PY139顔料/PY138スルホン酸誘導体=79.05/14.25/6.70、P/V比:0.40、固形分濃度:18質量%)を得た。
【0228】
(比較例3−2 カラーフィルタ用黄色樹脂組成物D−2の調製)
実施例1−2において、PY138顔料分散液Aを製造例9のPY138顔料分散液C5.79質量部に変更した以外は、実施例1−2と同様にして、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物D−2(色材比率:PY138顔料/PY139顔料/PY138スルホン酸誘導体=69.75/23.75/6.50、P/V比:0.40、固形分濃度:18質量%)を得た。
【0229】
(比較例3−3 カラーフィルタ用黄色樹脂組成物D−3の調製)
実施例1−3において、PY138顔料分散液Aを製造例9のPY138顔料分散液C3.50質量部に変更した以外は、実施例1−3と同様にして、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物D−3(色材比率:PY138顔料/PY139顔料/PY138スルホン酸誘導体=46.5/47.5/6.00、P/V比:0.35、固形分濃度:18質量%)を得た。
【0230】
(比較例3−4 カラーフィルタ用黄色樹脂組成物D−4の調製)
実施例1−4において、PY138顔料分散液Aを製造例9のPY138顔料分散液C0.62質量部に変更した以外は、実施例1−4と同様にして、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物D−4(色材比率:PY138顔料/PY139顔料/PY138スルホン酸誘導体=9.30/85.5/5.20、P/V比:0.30、固形分濃度:18質量%)を得た。
【0231】
(比較例4 カラーフィルタ用黄色樹脂組成物Eの調製)
実施例1−1において、PY138顔料分散液Aを製造例10のPY138顔料分散液D6.56重量部、PY139顔料分散液Aを製造例15のPY139顔料分散液B1.45重量部に変更した以外は、実施例1−1と同様にして、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物E(色材比率:PY138顔料/PY139顔料=85/15、P/V比:0.40、固形分濃度:18重量%)を得た。
【0232】
(実施例2 カラーフィルタ用黄色樹脂組成物Fの調製)
実施例1−1において、PY138顔料分散液Aを製造例8のPY138顔料分散液B6.56質量部、PY139顔料分散液Aを製造例15のPY139顔料分散液B1.45質量部に変更した以外は、実施例1−1と同様にして、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物F(色材比率:PY138顔料/PY139顔料/PY138フタルイミドメチル誘導体=82.45/15.00/2.55、P/V比:0.40、固形分濃度:18質量%)を得た。
【0233】
(実施例3 カラーフィルタ用黄色樹脂組成物Gの調製)
実施例1−1において、PY139顔料分散液Aを製造例15のPY139顔料分散液B1.45質量部に変更した以外は、実施例1−1と同様にして、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物G(色材比率:PY138顔料/PY139顔料/PY138フタルイミドメチル誘導体/PY138スルホン酸誘導体=76.50/15.00/2.55/5.95、P/V比:0.40、固形分濃度:18質量%)を得た。
【0234】
(実施例4 カラーフィルタ用黄色樹脂組成物Hの調製)
実施例1−1において、PY139顔料分散液Aを製造例16のPY139顔料分散液C1.45質量部に変更した以外は、実施例1−1と同様にして、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物H(色材比率:PY138顔料/PY139顔料/PY138フタルイミドメチル誘導体/PY138スルホン酸誘導体=76.50/15.00/2.55/5.95、P/V比:0.40、固形分濃度:18質量%)を得た。
【0235】
(実施例5 カラーフィルタ用黄色樹脂組成物Iの調製)
実施例1−1において、PY138顔料分散液Aを製造例12のPY138顔料分散液F6.56質量部に変更した以外は、実施例1−1と同様にして、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物I(色材比率:PY138顔料/PY139顔料/PY138ナフタルイミドメチル誘導体/PY138スルホン酸誘導体=76.5/14.25/2.55/6.70、P/V比:0.40、固形分濃度:18質量%)を得た。
【0236】
(実施例6 カラーフィルタ用黄色樹脂組成物Jの調製)
実施例1−1において、PY138顔料分散液Aを製造例13のPY138顔料分散液G6.56質量部に変更した以外は、実施例1−1と同様にして、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物J(色材比率:PY138顔料/PY139顔料/PY138テトラクロロフタルイミドメチル誘導体/PY138スルホン酸誘導体=76.5/14.25/2.55/6.70、P/V比:0.40、固形分濃度:18質量%)を得た。
【0237】
(実施例7 カラーフィルタ用黄色樹脂組成物Kの調製)
製造例9のPY138顔料分散液C6.36質量部、製造例14のPY139顔料分散液A1.45質量部、製造例20のPY138フタルイミドメチル誘導体分散液A0.66質量部、バインダ組成物A4.37質量部、PGMEA2.16質量部を混合し、加圧濾過を行って、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物K(色材比率:PY138顔料/PY139顔料/PY138フタルイミドメチル誘導体/PY138スルホン酸誘導体=76.68/14.25/2.55/6.52、P/V比:0.40、固形分濃度:18質量%)を得た。
実施例及び比較例の色材組成は、表2、4及び6に示す。
【0238】
[評価]
1.顔料分散性
各例で得られた顔料分散液の平均粒径及び粘度の測定を行った。平均粒径の測定には、日機装(株)製「マイクロトラック粒度分布計」を用い、粘度測定には、日本シイベルヘグナー(株)社製「MCR301」を用いて、せん断速度が60rpmのときのせん断粘度を測定した。
結果を表1に示す。
【0239】
【表1】

【0240】
2.光学性能評価
各実施例及び比較例から得られたカラーフィルタ用黄色樹脂組成物を、厚み0.7mmのガラス基板(日本電気硝子社製、「OA−10G」)上に、スピンコーターを用いて塗布し、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った。超高圧水銀灯を用いて60mJ/cmの紫外線を照射することによって硬化膜(黄色着色層)を得た。乾燥硬化後の膜厚は目標色度x=0.440〜0.490になるように調整した。各カラーフィルタ用黄色樹脂組成物につき、目標色度xの値が異なる3つの黄色着色層を作製した。
黄色着色層が形成されたガラス板を230℃のクリーンオーブンでポストベークし、得られた黄色着色基板のコントラスト、色度(x、y)及び輝度(Y)を測定した。コントラストは壺坂電気社製「コントラスト測定装置CT−1B」を用い、色度及び輝度はオリンパス社製「顕微分光測定装置OSP−SP200」を用いて測定した。
結果を表3、5及び7に示す。
【0241】
3.耐熱性評価
各実施例及び比較例から得られたカラーフィルタ用黄色樹脂組成物を、厚み0.7mmのガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布し、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った。この着色層にフォトマスクを介し、超高圧水銀灯を用いて60mJ/cmの紫外線を照射した。その後、上記着色層が形成されたガラス板を、アルカリ現像液として0.05質量%水酸化カリウム水溶液を用いてシャワー現像し、パターンの形成された黄色着色基板を得た。
パターンの形成された黄色着色基板を240℃のクリーンオーブンでポストベークし、パターン塗膜上に顔料凝集体の析出の有無を確認した。結果を表3、5及び7に示す。また、実施例1−1及び実施例2、比較例3−1及び比較例4のパターン塗膜の240℃での耐熱性評価結果の写真を、図4〜8にそれぞれ示す。
(耐熱性評価基準)
○:析出無し
×:析出有り
【0242】
【表2】

【0243】
【表3】

【0244】
【表4】

【0245】
【表5】

【0246】
【表6】

【0247】
【表7】

【0248】
表2中の実施例1−1、1−2、及び実施例2〜7、並びに、比較例1−1〜3−1、1−2〜3−2及び4は、色度xが0.440〜0.460となるようにPY139の含有量及び膜厚を調整した。
キノフタロン顔料とイソインドリン顔料と、キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体を含む、実施例1−1、1−2及び実施例2〜7の樹脂組成物を用いた塗膜は、高輝度で且つ高コントラストであり、耐熱性に優れていた。
一方、キノフタロン顔料の代りにPY150を用いた比較例1−1及び1−2は、輝度が低いものとなった。
比較例2−1及び2−2は、実施例1−1又は1−2と比較して本分散時間の短い顔料分散液を用いたため、コントラストが低いものとなった。但し、微細化が不十分であるため、キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体を含まなくても、顔料凝集体は析出しなかった。
比較例3−1及び3−2は、実施例1−1又は1−2と本分散時間が同じ顔料分散液を用いたため、分散時間の短い比較例2−1又は2−2と比較して、コントラストは高いものとなった。しかし、キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体を含まないため、耐熱性が悪かった。
また、比較例4も同様に、実施例1−1と本分散時間が同じ顔料分散液を用いているため、比較例2−1と比べ、コントラストは良好であるが、スルホン酸誘導体を含む比較例3−1と比べると、コントラストは低かった。また、キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体を含まないため、耐熱性が悪かった。
【0249】
表4中の実施例1−3及び比較例1−3〜3−3は、色度xが0.460〜0.480となるようにPY139の含有量を及び膜厚を調整した。
キノフタロン顔料とイソインドリン顔料と、キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体を含む、実施例1−3の樹脂組成物を用いた塗膜は、高輝度で且つ高コントラストであり、耐熱性に優れていた。
一方、キノフタロン顔料の代りにPY150を用いた比較例1−3は、輝度が低いものとなった。
比較例2−3は、実施例1−3と比較して本分散時間の短い顔料分散液を用いたため、コントラストが低いものとなった。但し、微細化が不十分であるため、キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体を含まなくても、顔料凝集体は析出しなかった。
比較例3−3は、実施例1−3と本分散時間が同じ顔料分散液を用いたため、分散時間の短い比較例2−3と比較して、コントラストは高いものとなった。しかし、キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体を含まないため、耐熱性が悪かった。
【0250】
表6中の実施例1−4及び比較例1−4〜3−4は、色度xが0.470〜0.490となるようにPY139の含有量を及び膜厚を調整した。
キノフタロン顔料とイソインドリン顔料と、キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体を含む、実施例1−4の樹脂組成物を用いた塗膜は、高輝度で且つ高コントラストであり、耐熱性に優れていた。
一方、キノフタロン顔料の代りにPY150を用いた比較例1−3は、輝度が低いものとなった。
比較例2−4は、実施例1−4と比較して本分散時間の短い顔料分散液を用いたため、コントラストが低いものとなった。但し、微細化が不十分であるため、キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体を含まなくても、顔料凝集体は析出しなかった。
比較例3−4は、実施例1−4と本分散時間が同じ顔料分散液を用いたため、分散時間の短い比較例2−4と比較して、コントラストは高いものとなった。しかし、キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体を含まないため、耐熱性が悪かった。
【符号の説明】
【0251】
1 透明基板
2 遮光部
3 着色層
10 カラーフィルタ
20 対向基板
30 液晶層
40 液晶表示装置
50 有機保護層
60 無機酸化膜
71 透明陽極
72 正孔注入層
73 正孔輸送層
74 発光層
75 電子注入層
76 陰極
80 有機発光体
100 有機発光表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キノフタロン顔料及びイソインドリン顔料を含む顔料と、キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体と、顔料分散剤と、溶媒とを含有し、前記キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体を、前記キノフタロン顔料100質量部に対して、0.1〜20質量部含有する黄色顔料分散液。
【請求項2】
更に、キノフタロン顔料のスルホン酸誘導体を、前記顔料100質量部に対して、0.1〜20質量部含有する請求項1に記載の黄色顔料分散液。
【請求項3】
前記キノフタロン顔料が、C.I.ピグメントイエロー138である、請求項1又は2に記載の黄色顔料分散液。
【請求項4】
前記イソインドリン顔料が、C.I.ピグメントイエロー139である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の黄色顔料分散液。
【請求項5】
前記キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体が、C.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の黄色顔料分散液。
【請求項6】
前記キノフタロン顔料のスルホン酸誘導体が、C.I.ピグメントイエロー138のスルホン酸誘導体である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の黄色顔料分散液。
【請求項7】
前記顔料分散剤が、下記一般式(I)で表される繰り返し単位(1)と、下記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)とを有し、さらに前記繰り返し単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と、有機酸化合物及び/又はハロゲン化炭化水素とが塩を形成したブロック共重合体である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の黄色顔料分散液。
【化1】

[式(I)及び式(II)中、Rは、水素原子又はメチル基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Aは、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の基、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基である。上記アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ置換基を有していても良い。
xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。mは3〜200の整数、nは10〜200の整数を示す。]
【請求項8】
前記顔料分散剤における前記有機酸化合物が、下記一般式(III)及び下記一般式(IV)で表される有機酸よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項7に記載の黄色顔料分散液。
【化2】

[式(III)及び式(IV)中、R及びRa’はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基であり、R及びRa’のいずれかは炭素原子を含む。Ra’’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基である。Rb’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
、Ra’、及びRにおいて、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ、置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。]
【請求項9】
キノフタロン顔料及びイソインドリン顔料を含む顔料と、キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体と、顔料分散剤と、硬化性バインダ成分と、溶媒とを含有し、前記キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体を、前記キノフタロン顔料100質量部に対して、0.1〜20質量部含有するカラーフィルタ用黄色樹脂組成物。
【請求項10】
更に、キノフタロン顔料のスルホン酸誘導体を、前記顔料100質量部に対して、0.1〜20質量部含有する請求項9に記載のカラーフィルタ用黄色樹脂組成物。
【請求項11】
前記キノフタロン顔料が、C.I.ピグメントイエロー138である、請求項9又は10に記載のカラーフィルタ用黄色樹脂組成物。
【請求項12】
前記イソインドリン顔料が、C.I.ピグメントイエロー139である、請求項9乃至11のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用黄色樹脂組成物。
【請求項13】
前記キノフタロン顔料のイミドアルキル化誘導体が、C.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体である、請求項9乃至12のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用黄色樹脂組成物。
【請求項14】
前記キノフタロン顔料のスルホン酸誘導体が、C.I.ピグメントイエロー138のスルホン酸誘導体である、請求項9乃至13のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用黄色樹脂組成物。
【請求項15】
前記顔料分散剤が、下記一般式(I)で表される繰り返し単位(1)と、下記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)とを有し、さらに前記繰り返し単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と、有機酸化合物及び/又はハロゲン化炭化水素とが塩を形成したブロック共重合体である、請求項9乃至14のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用黄色樹脂組成物。
【化3】

[式(I)及び式(II)中、Rは、水素原子又はメチル基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Aは、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の基、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基である。上記アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ置換基を有していても良い。
xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。mは3〜200の整数、nは10〜200の整数を示す。]
【請求項16】
前記顔料分散剤における前記有機酸化合物が、下記一般式(III)及び下記一般式(IV)で表される有機酸よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項15に記載のカラーフィルタ用黄色樹脂組成物。
【化4】

[式(III)及び式(IV)中、R及びRa’はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基であり、R及びRa’のいずれかは炭素原子を含む。Ra’’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基である。Rb’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
、Ra’、及びRにおいて、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ、置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。]
【請求項17】
C光源で測定したCIE色度座標(x、y)が、(0.400,0.475)、(0.440,0.475)、(0.500,0.500)、(0.445,0.520)で囲まれる四角形内の範囲にある硬化膜を形成可能な請求項9乃至16のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用黄色樹脂組成物。
【請求項18】
透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが請求項9乃至17のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用黄色樹脂組成物を硬化させて形成されてなる黄色着色層を有することを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項19】
前記請求項18に記載のカラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項20】
前記請求項18に記載のカラーフィルタと、有機発光体とを有することを特徴とする有機発光表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−211266(P2012−211266A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77871(P2011−77871)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】