説明

黄金月見植物及びその育種方法

本発明は月見植物の新品種である「黄金月見」植物に関し、「黄金月見」植物は、草丈が20〜40cmで、花は円錐花序形の単花で、幅が大きく、色は黄色で、昼に開花し、冬季に葉に紫紅色が付き、零下15度でも耐える新品種の月見植物である。
「黄金月見」植物は、環境の適応性がよく、花が大きくて、昼に開花し、開花期間が6月初〜7月末までと長くて鑑賞価値が高く、梅雨の時によく適応し、繁殖力が高く、病虫害に強くて、1回植栽で半永久的に鑑賞することができて費用が低減され、冬季にも葉が散らないで紅葉して四季造景用として用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は月見植物の新品種である「黄金月見」植物及びその育種方法に関する。
【背景技術】
【0002】
月見植物は、アカバナとアカバナ科(Onagraceae)植物で、原産地は南米チリであり、韓国の全域に帰化して育つ多年生草である。背は人の腰程度の高さ(約150cm)で、直立茎で、互生葉である。花は黄色で、葉腋に一輪ずつ付いており、夕方に咲いて、朝には少し赤い色を帯びて散る。花托は四枚で、二枚ずつ合わせられているが、花が咲くと後にそり返る。花びらは四枚で、真夏に花が咲き、ワイルドな環境でも育ちのよい特性を有する。
【0003】
しかし、従来の月見植物は、草丈が長くて、花が小さくて、夜に開花し、冬季には宿根で地上に見えないため、花卉及び造景用で用いるには適合しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の技術的課題は、花卉及び造景用として不適切な従来の月見植物を改良した新品種の「黄金月見」植物を提供することにある。
【0005】
本発明の他の技術的課題は、「黄金月見」植物の育種方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態による「黄金月見」植物は、草丈が20〜40cmで、花は円錐花序形の単花で、花幅が大きく、色は黄色で、昼に開花し、冬季には葉に紫紅色が付き、零下15度でも耐える新品種の月見植物である。
【0007】
本発明の他の一実施形態による「黄金月見」植物の育種方法は、
大輪月見の雌蕊と島月見の雄蕊を交雑した状態で育種して得たF1(種子)を播種した後、第1優良個体を選抜する段階と;第1優良個体の雌蕊と島月見の雄蕊を交雑した状態で育種して得たF2(種子)を播種した後、第2優良個体を選抜する段階と;第2優良個体を選抜する段階で生成された変異品種を分株して繁殖させる段階と;を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明は従来の月見植物と異なる特性の均一な新品種の「黄金月見」植物を提供する。「黄金月見」植物は環境の適応性がよく、花が大きくて、昼に開花し、開花期間が6月初から7月末までと長くて、鑑賞価値が高い。また、「黄金月見」植物は梅雨の時期によく適応し、繁殖力が高く、病虫害に強くて、1回植栽で半永久的に鑑賞することができて、費用が低減される。また、「黄金月見」植物は冬季にも葉が散らないで紅葉して四季造景用で用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態による「黄金月見」植物の育種過程を示す順序図。
【図2】本発明の一実施形態による「黄金月見」植物の写真。
【図3】本発明の一実施形態による「黄金月見」植物の冬季紅葉した写真。
【図4】本発明の一実施形態による「黄金月見」植物が大韓民国国立種子管理所により新品種として登録されたことを証明する登録通知書。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態による「黄金月見」植物は、交雑及び変異体選抜過程を通じて育成することができる。
【0011】
具体的な「黄金月見」植物の育種過程を図1に示した。
【0012】
図1によれば、大輪月見の雌蕊と島月見の雄蕊を交雑した状態で育種して得たF1(種子)を播種した後、第1優良個体を選抜する。第1優良個体の雌蕊と島月見の雄蕊と交雑した状態で育種してF2(種子)を得る。F2(種子)を播種した後、背の小さい個体を選別して第2優良個体を選抜して植栽する。植栽した第2優良個体の中で花びらが広くて繁殖力(地下平伏型)の強い変異品種を分株して増殖する。
【0013】
この場合、F2(種子)を零下5℃〜零下15度の温度で、約1週間ほど低温で処理すればより均一な特性を有する種子を得ることができる。
【0014】
「黄金月見」植物の種名及び学名はOenothera odorataで、品種名は黄金(hwang geum)である。
【0015】
図2は本発明の一実施形態による「黄金月見」植物の写真である。
【0016】
図2によれば、「黄金月見」植物は、草丈が短く、茎にはアントシアニン色素がなく、茎の色は緑色である。
【0017】
また、「黄金月見」植物の葉の配列は交互対生で、葉の色は単色で、葉の形は矢型で、葉先は中裂しており、葉縁は掌状裂で、葉の長さは3〜4cmで、葉の幅は中間程度で、葉脈は掌状脈で、葉の内部には斑点がない。
【0018】
「黄金月見」植物の花の形態は円錐花序で、花の形は単花で、花の色は黄色(単色)で、花の開花方向は上向きで、花の幅は中間程度で、花びらの数は4個で、花びらの内部に斑点はない。
【0019】
「黄金月見」植物の開花時期は6〜7月である。
【0020】
従来の月見植物は、背が150cm程度で大きいが、「黄金月見」植物は背が20〜40cmで、草丈が短くて、花卉及び造景用材料として利用する場合、效果が優れている。また、「黄金月見」植物は、月見植物より花が大きくて派手で鑑賞価値が高い。月見植物は夜に開花して造景用として適合しないが、一方、「黄金月見」植物は昼間に開花する。また、「黄金月見」植物は土壌の保湿力によって最大90日間開花して、開花期間が長く、湿地に強くて、土壌被服の效果が高い。
【0021】
図3は本発明の一実施形態による「黄金月見」植物の冬季紅葉した写真である。図3によれば、「黄金月見」植物は冬季にも葉が散らないで、紫紅色が付き、零下15℃以下でも耐えることができる。一方、従来の月見植物は冬季に葉が散って宿根で地上に何も見えない。
【0022】
ただ、従来の月見植物は野生で雑草とともに生育が可能であるが、「黄金月見」植物は草丈が短くて、野生で雑草より生育が落ちるので、除草管理をしてこそ生育が旺盛になる。また、「黄金月見」植物の種子結実は野生で採取しにくく、特別に管理をしてこそ可能であり、主に繁殖を地下茎にして他の作物に被害がほとんどない。
【0023】
「黄金月見」植物は、品種を分株繁殖の時に、土壌及び根が乾かないように充分に灌水しなければならない。「黄金月見」植物は通気性さえ良ければ、病虫害がほとんどなく、9月〜10月に天道虫などが葉をかじることがあるが、これは殺虫剤で防除すれば良い。また、「黄金月見」植物は保湿力のある土壌でよく育つので、一定の時間間隔を置いて撒水を持続的にしながら栽培すれば、良質の苗種を多量に生産することができる。
【0024】
図4は本発明の一実施形態による「黄金月見」植物を大韓民国国立種子管理所から新品種として登録されたことを証明する登録通知書である。
【0025】
図4によれば、「黄金月見」植物は、大韓民国国立種子管理所に新品種として登録されたことが分かる。
【0026】
本発明の一実施形態による「黄金月見」植物を育種した経過を説明すれば下記の通りである。
【0027】
1999年に大輪月見(♀)と島月見(♂)を交雑した状態で育種してF1(種子)を得た。2000年にF1(種子)を播種した後、第1優良個体を選抜し、第1優良個体(♀)を島月見(♂)と交雑してF2(種子)を得た。2001年にF2(種子)を播種した後、第2優良個体を選抜する過程で変異品種を見つけた。2003年及び2004年に変異品種を栄養繁殖させて新品種の月見植物を得て、これを「黄金月見」植物と名付けた。
(産業上の利用の可能性)
【0028】
本発明の一実施形態による「黄金月見」植物は、環境の適応性がよく、花が大きく、昼に開花し、開花期間が6月初〜7月末までと長くて、鑑賞価値が高い。
【0029】
また、「黄金月見」植物は、冬季にも葉が散らないで紅葉して、四季造景用として用いることができる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
草丈が20〜40cmで、
花は円錐花序形の単花で、幅が大きく、色は黄色で、昼に開花し、冬季には葉に紫紅色が付き、零下15度でも耐える新品種の月見植物である「黄金月見」植物。
【請求項2】
大輪月見の雌蕊と島月見の雄蕊を交雑した状態で育種して得たF1(種子)を播種した後、第1優良個体を選抜する段階と;
第1優良個体の雌蕊と島月見の雄蕊を交雑した状態で育種して得たF2(種子)を播種した後、第2優良個体を選抜する段階と;
第2優良個体を選抜する段階で生成された変異品種を分株して繁殖させる段階と;を含む「黄金月見」植物の育種方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−535027(P2010−535027A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519153(P2010−519153)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際出願番号】PCT/KR2008/004459
【国際公開番号】WO2009/017372
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(510029069)
【Fターム(参考)】