説明

黒大豆種皮抽出物の骨関節炎の予防及び治療用製品の製造における応用

本発明は黒大豆種皮抽出物が食品、健康食品、及び薬品の製造における応用に関する。黒大豆種皮抽出物を食品又は飲み物に加えることもできるし、漢方薬を製造する従来方法により、黒大豆種皮抽出物を各種の経口摂取に適する健康食品及び薬品に製造することもできる。前記製品は、骨関節炎の症状を顕著に改善し、骨関節炎の軟骨の分解を安定させ、さらには生成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品由来の抽出物の応用に関し、特に、黒大豆種皮抽出物が骨関節炎を予防及び治療する食品、健康食品及び薬品における応用に関する。
【背景技術】
【0002】
黒大豆は、ラテン名がGlycine max(L.)Merrであり、中国語における別名が黒大豆、櫓豆、料豆、REIUTOU(零烏豆)、冬豆などがある。中国伝統医学によると、色の黒いものが腎に入る。黒大豆は甘温、毒性は無く、腎臓、脾臓、心臓に入り、補腎強身、除湿利水、アンチエイジングの効果がある。その高い栄養価値が多くの研究者によって発見されて、特に黒大豆種皮の薬理効能に対する研究が日増しに深まっている。黒大豆種皮は色が黒く、大豆衣、大豆皮、黒豆衣、黒豆衣、RYOTOUI(リョ豆衣)、RYOTOUHI(リョ豆皮)、UTOUI(烏豆衣)とも呼ばれる。
【0003】
黒大豆種皮抽出物はアントシアニン、ポリフェノールなどの有効成分を含有している。これらのアントシアニン成分は着色料としての用途だけでなく、黒大豆中の機能性を有する成分である。毛細血管の微小循環の改善、及び抗疲労においても顕著な効果がある。ポリフェノール系化合物は自然における重要な化合物で、酸化防止剤でもある。
【0004】
黒大豆種皮抽出物は、視力改善、利尿、抗壊血病、止血などの効果があり、毛細血管の保護、視紅細胞再生の促進、暗闇への適応能力の増強、眼精疲労の改善などができ、かすみ目、眼球腫れ、眼痛、羞明、ドライアイ、疲れ目などのような青少年の視覚疲労の緩和にも顕著な効能がある。また、黒大豆種皮抽出物は抗酸化やアンチェイジング、フリーラジカル除去の効果があり、高血圧、高コレステロール及び高血糖を患う患者に用いられ、その生活品質を改善することができる。日本の研究では、黒大豆種皮抽出物はチロシンキナーゼを抑制することにより、優れた美白効果有することから、理想的な抗酸化、アンチェイジング製品となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Lequesne MG(1991)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
今まで、黒大豆種皮抽出物の機能性及びその薬理効能に対する研究において、黒大豆種皮抽出物の骨関節炎の予防及び治療に関する報告はなかった。本発明者は黒大豆種皮抽出物製品を開発する際に、黒大豆種皮抽出物が骨関節炎を抑制し、骨関節炎の予防及び治療に利用できること発見した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
骨関節炎(osteoarthritis)は、関節軟骨の変性による疾患で、関節のエッジに骨棘が形成され、変形性関節症とも呼ばれる。主な症状は、手足の硬直や痛み、腫れ、関節摩擦音である。骨関節炎は高齢者によく見られ、人類の平均寿命が延びているに伴って骨関節炎の発病率も引き続き上昇し、仕事に支障をきたすため、心臓病に次いで五十歳以上の労働能力喪失の二番目の原因となる。欧米諸国の骨関節炎罹患率が特に高く、統計によると、それは通院患者の2.3%を占めている。骨関節炎の病理学的構造変化は、膝関節包の滑膜炎症による増生癒着、関節軟骨の破損、膝関節周辺の軟部組織及び靭帯の退行性変化である。発病機序は、内分泌の変化、体重の増加、膝関節にかかる負荷の増大による関節周囲組織の供血不足、神経栄養不良等によるものである。骨関節炎は、プライマリーとセカンダリーとがある。プライマリーは原因が不明で、セカンダリーは元の病気から骨関節炎に発展されたものである。先天性関節発育異常、児童期の関節病理変化、外傷、及び様々な代謝性疾患と軟骨崩壊を引き起こした関節内炎症などを含む病気はいずれも骨関節炎である。
【0008】
臨床に用いる骨関節炎の治療薬品は、アセトアミノフェン(即ちパラセタモール)などのような鎮痛剤、副腎皮質ホルモン、関節腔内又は病理変化局部に注射するベタメタゾン、リメタゾン(LIMETHASON)などの非ステロイド性抗炎症薬、及びボルタレン、Difene、英太青(ジクロフェナクナトリウム徐放カプセル)、ジクロフェナク、レルパックスを含むジクロフェナクナトリウムと、スリンダク、アセメタシン、オキサプロジン、セレブレックス、バイオックスなどが挙げられる。上記一部の薬品は症状を迅速に解消できるが、それに伴う消化管、心血管及び腎臓の合併症などの副作用が大きく、関節炎を逆転させる役割が果たされない。さらに、関節軟骨に対するさらなる損傷をもたらす薬品もある。
【0009】
従って、本発明の一つの目的は、黒大豆種皮抽出物が骨関節炎を予防する健康食品の製造における応用である。
【0010】
また、医薬品の製造における応用も目的のひとつである。
【0011】
さらに、食品の製造における応用も目的のひとつである。
【0012】
本発明の一つの特徴として骨関節炎予防用の健康食品が黒大豆種皮抽出物を含有することである。
【0013】
本発明のもう一つの特徴として骨関節炎予防用の医薬品が黒大豆種皮抽出物を含有することである。
【0014】
本発明のまた一つの特徴として骨関節炎予防用の食品が黒大豆種皮抽出物を含有することである。
【0015】
骨関節炎を予防するために、毎日服用する食品薬品、医薬品および健康食品に含有する黒大豆種皮抽出物の量は100〜800mgである。
【0016】
上記食品は、従来の方法により一般の食品を製造して、黒大豆種皮抽出物を添加することができる。
【0017】
上記健康食品、薬品は、漢方薬を製造する時の従来の方法により、必要に応じて、粉末、煎じ薬、錠剤、カプセル、顆粒剤及び丸剤の少なくとも一種に製造することができる。
【0018】
本発明に係わる黒大豆種皮抽出物は、有効成分で計算された1日分の用量は100〜800ミリグラムで、4週間を1つの治療期間として、3つの治療期間継続して服用することになっているが、個々人の状況や治療目的によって適切に服用することもできる。1日分の用量は100〜200mg、200〜300mg、300〜400mg、400〜500mg、500〜600mg、600〜700mg、700〜800mgであり、さらに好ましくは400〜800mgである。
【0019】
本発明に係わる黒大豆種皮抽出物には、ポリフェノール系化合物が含有されている。本発明において、ポリフェノール系化合物の含有量、及び抽出方法について特に限定されない。抽出物の含有量が抽出方法によって一定の差があるが、黒大豆種皮抽出物におけるポリフェノール系化合物には、通常、総ポリフェノールが50〜95重量%含有され、その中、アントシアニンが5〜30重量%含有されている。
【0020】
骨関節炎の種類が様々であり、原因も複雑的である。本発明はいずれの種類の骨関節炎にも機能性があり、特に、変形性骨関節による骨損傷又は関節老化による摩耗に適用できる。本発明の実施例に記載されているように、軽度、中等度の骨関節炎患者に黒大豆種皮抽出物を服用させ、VASスコア指標とLequesne指標によって骨関節炎の重症度を評価した結果、服用前後の痛み指標の比較により、黒大豆種皮抽出物が骨関節炎患者の痛み症状を顕著に改善したことが示されている。また、黒大豆種皮抽出物を服用する患者の血圧や心拍数について安全性試験を行ったところ、黒大豆種皮抽出物を服用する前と変わりがないことから、黒大豆種皮抽出物が骨関節炎患者に対して安全的であり、信頼できる食品、健康食品、薬品であることが分かる。
【0021】
前記の健康食品は、黒大豆種皮抽出物を含有する飲み物や食品を含む各種の経口製品など様々な種類がある。
【0022】
本発明は、さらに、黒大豆種皮抽出物を含有する骨関節炎治療用の新しい薬品を提供する。その中でも、黒大豆種皮抽出物におけるポリフェノール系化合物は有効成分として役割を果たしている。
【0023】
本発明は、さらに、黒大豆種皮抽出物を含有する薬品組成物を提供する。当該薬品組成物は黒大豆種皮抽出物に含有するポリフェノール系化合物を有効成分として補助材料を添加して製造される。
【0024】
上記薬品組成物において、総ポリフェノールが50〜95重量%含有され、その中、アントシアニンが5〜30重量%含有されている。
【0025】
上記薬品組成物に含有する黒大豆種皮抽出物の量は100〜800mgであり、100〜200mg、200〜300mg、300〜400mg、400〜500mg、500〜600mg、600〜700mg、700〜800mgであってもよい。さらに好ましくは400〜800mgである。
【0026】
上記薬品組成物は漢方薬製剤を製造する従来の方法により、臨床の需要に応じて、粉末、煎じ薬、錠剤、カプセル、顆粒剤及び丸剤の少なくとも一種に製造することができる。
【0027】
本発明に係わる黒大豆種皮抽出物は、有効成分で計算された1日分の用量は100〜800ミリグラムで、4週間を1つの治療期間として、3つの治療期間継続して服用することになっているが、個々人の状況や治療目的によって適切に服用することもできる。
【0028】
本発明は黒大豆種皮抽出物の新しい用途を提供する。黒大豆種皮抽出物を含有する健康食品、薬品及び食品は、プライマー及びセカンダリーの骨関節炎の予防及び治療に用いられる。有効成分を薬品製剤に用いるだけではなく、飲み物や食品に添加することも可能で、骨関節炎の予防お及び機能性を容易に実現させている。その利点は、使い方に汎用性があり、副作用がなく、骨関節炎の痛みを顕著に改善できるのみならず、病状を実質的に改善でき、骨関節炎軟骨の分解を遅延し、安定させ、さらには逆転することさえできることにある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】1日に800mg摂取する場合、VASにより評価された本発明に係わる黒大豆種皮抽出物の膝骨関節炎に対する治療効果。
【図2】1日に800mg摂取される場合、Lequesne指標により評価された本発明に係わる黒大豆種皮抽出物の膝骨関節炎に対する治療効果。
【図3】1日に400mg摂取される場合、VASにより評価された本発明に係わる黒大豆種皮抽出物の膝骨関節炎に対する治療効果。
【図4】1日に800mg摂取される場合、Lequesne指標により評価された本発明に係わる黒大豆種皮抽出物の膝骨関節炎に対する治療効果。
【図5】1日に100mg摂取される場合、VASにより評価された本発明に係わる黒大豆種皮抽出物の膝骨関節炎に対する治療効果。
【図6】1日に100mg摂取される場合、Lequesne指標により評価された本発明に係わる黒大豆種皮抽出物の膝骨関節炎に対する治療効果。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、臨床試験例及び製剤の製造例を通して、本発明に係わる骨関節炎を治療するための薬品組成物を説明する。
【0031】
一、臨床試験例1
本発明の実質がより良く理解されるように、以下は臨床試験と通して、骨関節炎の治療薬の製造における黒大豆種皮抽出物の新しい用途を説明する。
【0032】
WOMAC関節炎指標[0〜100mm視覚的アナログ尺度]とLequesne痛み機能指標の結果により分析する。
【0033】
WOMACスコアは骨関節炎(OA)文献における使用率が割に高く、内容については、このスコアは痛み、硬直及び関節機能の三つの方面から膝関節の構造と機能を評価し、骨関節炎の基本的な症状や徴候をすべてカバーしている。WOMACの有効性は、患者の治療に対する満足度などの治療前後の状況を正確に反映できることに現れる。よって、当該スコアは骨関節炎の評価において、高い信頼性がある。
【0034】
Lequesne指標はLequesne MG(1991)により初めて提出された国際骨関節炎の常用のスコア基準であり、股関節や膝関節炎の重症度を評価することに用いられる。当該基準は、ヨーロッパにおいて広く応用され、特に薬品治療の長期的効果指標として有益的である。評価項目は夜間の痛み、活動中の痛み、朝のこわばり又は起床後の痛み、歩行、日常活動(階段上り・下り、スクワット等)があり、上記各項目にはさらに点数が付いた若干の小項目がある。最後に、合計点数で患者の膝機能状態を評価する(指標が高いほど症状がひどい)。この評価は客観的で、包括的である。
【0035】
1、病例の選択:2008年1月から2008年9月までの整形外科に通う膝関節OAの通院患者から10名をランダム抽出し、その中、男性2名、女性8名で、年齢が41〜78(平均55)歳である。病歴が最短1年間から最長12年間、平均(6.3±2.8)年間である。すべての病例は米国リウマチ協会により制定した膝関節OAの診断基準に適合し、その膝関節OAのX線レベルがKellgren基準によりレベル1〜レベル3に分けられる。上記病例はいずれも薬品治療を受けたことがない、又は他の薬品を服用停止して2週間以上である。胃腸疾患や、腎臓、肝臓の疾患又は凝血機能障害及び炎症性関節炎、痛風、膝関節炎の急性外傷、及びNSAIDa又はサルファ剤にアレルギーがある患者は除外する。
【0036】
2、グループ:自己対照法を採用し、黒大豆種皮抽出物(総ポリフェノール95%、アントシアニン30%)を、朝晩1回ずつ、400mg/回、4週間を1つの治療期間として、3つの治療期間継続して服用させる。
【0037】
3、治療効果の評価
すべての病例に黒大豆種皮抽出物を服用させ、それに対して1年間追跡調査を行う。服用前、及び服用後4週、8週、12週にそれぞれ関節機能測定を行なう。WOMAC関節炎指標〔0〜100mm視覚的アナログ尺度(VAS)〕と、Lequesne痛み機能指標の結果で分析を行う。
【0038】
4、統計学的処理
すべてのデータは平均数±基準差で表し、資料に対してt検定し、P<0.05を有意差ありとする。
【0039】
5.実験結果
黒大豆種皮抽出物を服用した骨関節炎患者の治療前と治療後とを比較すると、関節痛が明らかに軽減し、VASスコアとLequesne指標がいずれも低下した。服前と服後にそれぞれ測定した数値をt検定した結果、いずれもP<0.05で、有意差がみられた。これは、黒大豆種皮抽出物は膝骨関節炎の治療に効果があることが示されている。詳しくは表3を参照。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
【表3】

【0043】
6.安全性結果
【0044】
【表4】

【0045】
本研究では、中高齢膝OA患者を10例選び、開放的臨床観察試験方法を採用し、黒大豆種皮抽出物が骨関節炎患者の治療における有効性及び安全性について研究をしていた。黒大豆種皮抽出物を1日に800ミリグラム、12週間継続して服用させた結果、良好的な治療効果があり、患者から高い総合的評価を得ていた。特に、選ばれた当初に疼痛程度が中等度から重度で、関節炎の症状がひどかった患者は、黒大豆種皮抽出物を服用してから、疼痛VASスコアが全体としてだんだん減少する傾向が見られ、服用してから疼痛VASの反発が見られなかった。Lequesne指標もだんだん減少する傾向が見られ、何らの反発が見られなかった。こういうことから、黒大豆種皮抽出物は効果の継続時間が長く、確実に痛みを緩和させる効能があることが示されている。
【0046】
二、臨床試験例2
1、病例の選択:2008年1月から2008年9月までの整形外科に通う膝関節OAの通院患者から10例をランダム抽出し、その中、男性1名、女性9名で、年齢が41〜78(平均55)歳である。病歴が最短1年間から最長12年間、平均(6.3±2.8)年間である。すべての病例は米国リウマチ協会により制定した膝関節OAの診断基準に適合し、その膝関節OAのX線レベルがKellgren基準によりレベル1〜レベル3に分けられる。上記病例はいずれも薬品治療を受けたことがない、又は他の薬品を服用停止して2週間以上である。胃腸疾患や、腎臓、肝臓の疾患、又は凝血機能障害及び炎症性関節炎、痛風、膝関節炎の急性外傷、及びNSAIDa又はサルファ剤にアレルギーがある患者が除外する。
【0047】
2、グループ:自己対照法を採用し、黒大豆種皮抽出物(総ポリフェノール75%、アントシアニン15%)を、朝晩1回ずつ、200mg/回、4週間を1つの治療期間として、3つの治療期間継続して服用させる。
【0048】
3、治療効果の評価
すべての病例に黒大豆種皮抽出物を服用させ、それに対して1年間追跡調査を行う。服用前、及び服用後4週、8週、12週でそれぞれ関節機能測定を行なう。WOMAC関節炎指標〔0〜100mm視覚的アナログ尺度(VAS)〕と、Lequesne痛み機能指標の結果で分析を行う。
【0049】
4、統計学的処理
すべてのデータは平均数±基準差で表し、資料に対してt検定し、P<0.05を有意差ありとする。
【0050】
5.実験結果
黒大豆種皮抽出物を服用した骨関節炎患者の治療前と治療後とを比較すると、関節痛が明らかに軽減し、VASスコアとLequesne指標がいずれも低下した。服用前と服用後にそれぞれ測定した数値をt検定した結果、いずれもP<0.05で、有意差がみられた。これは、黒大豆種皮抽出物は膝骨関節炎の治療に効果があることが示されている。詳しくは表7を参照。
【0051】
【表5】

【0052】
【表6】

【0053】
【表7】

【0054】
6.安全性結果
【0055】
【表8】

【0056】
本研究では、中高齢膝OA患者を10例選び、開放的臨床観察試験方法を採用し、骨関節炎患者の治療における黒大豆種皮抽出物の有効性及び安全性について研究をしていた。黒大豆種皮抽出物を1日に400ミリグラム、12週間継続して服用させた結果、良好的な治療効果があり、患者から高い総合的評価を得ていた。特に、選ばれた当初に疼痛程度が中等度から重度で、関節炎の症状がひどかった患者は、黒大豆種皮抽出物を服用してから、疼痛VASスコアが全体としてだんだん減少する傾向が見られ、服用してから疼痛VASの反発が見られなかった。Lequesne指標もだんだん減少する傾向が見られ、何らの反発が見られなかった。こういうことから、黒大豆種皮抽出物は効果の継続時間が長く、確実に痛みを緩和させる効能があることが示されている。
【0057】
三、臨床試験例3
1、病例の選択:2008年1月から2008年9月までの整形外科に通う膝関節OAの通院患者から10例をランダム抽出し、その中、男性2名、女性8名で、年齢が41〜78(平均55)歳である。病歴が最短1年間から最長12年間、平均(6.3±2.8)年間である。すべての病例は米国リウマチ協会により制定した膝関節OAの診断基準に適合し、その膝関節OAのX線レベルがKellgren基準によりレベル1〜レベル3に分けられる。上記病例はいずれも薬品治療を受けたことがない、又は他の薬品を服用停止して2週間以上である。アクティブな胃腸疾患や、腎臓、肝臓の疾患又は凝血機能障害及び炎症性関節炎、痛風、膝関節炎の急性外傷、及びNSAIDa又はサルファ剤にアレルギーがある患者は除外する。
【0058】
2、グループ:自己対照法を採用し、黒大豆種皮抽出物(総ポリフェノール50%、アントシアニン10%)を、朝晩1回ずつ、50mg/回、4週間を1つの治療期間として、3つの治療期間継続して服用させる。
【0059】
3、治療効果の評価
すべての病例に黒大豆種皮抽出物を服用させ、それに対して1年間追跡調査を行う。服用前、及び服用後4週、8週、12週にそれぞれ関節機能測定を行なう。WOMAC関節炎指標〔0〜100mm視覚的アナログ尺度(VAS)〕と、Lequesne痛み機能指標の結果で分析を行う。
【0060】
4、統計学的処理
すべてのデータは平均数±基準差で表し、資料に対してt検定し、P<0.05を有意差ありとする。
【0061】
5.実験結果
黒大豆種皮抽出物を服用した骨関節炎患者の治療前と治療後とを比較すると、関節痛が明らかに軽減し、VASスコアとLequesne指標がいずれも低下した。服用前と服用後にそれぞれ測定した数値をt検定した結果、いずれもP<0.05で、有意差がみられた。これは、黒大豆種皮抽出物は膝骨関節炎の治療に効果があることが示されている。詳しくは表11を参照。
【0062】
【表9】

【0063】
【表10】

【0064】
【表11】

【0065】
6.安全性結果
【0066】
【表12】

【0067】
本研究では、中高齢膝OA患者を10名選び、開放的臨床観察試験方法を採用し、黒大豆種皮抽出物が骨関節炎患者の治療における有効性及び安全性について研究をしていた。黒大豆種皮抽出物を1日に100ミリグラム、12週間継続して服用させた結果、良好的な治療効果があり、患者から高い総合的評価を得ていた。特に、選ばれた当初に疼痛程度が中等度から重度で、関節炎の症状がひどかった患者は、黒大豆種皮抽出物を服用してから、疼痛VASスコアが全体そしてだんだん減少する傾向が見られ、服用してから疼痛VASの反発が見られなかった。Lequesne指標もだんだん減少する傾向が見られ、何らの反発が見られなかった。こういうことから、黒大豆種皮抽出物は効果の継続時間が長く、確実に痛みを緩和させる効能があることが示されている。
【0068】
一、製剤例
以下は実施例を通して、黒大豆種皮抽出物が骨関節炎の治療に応用される際に使用する製品の製造方法について説明する。
【0069】
黒大豆種皮抽出物は本分野の従来の方法により抽出する、又は市販製品を採用することができる。本発明において、出願番号PCT/CN2006/003397で、公開番号US2008/0145482A1に開示さている方法により黒大豆種皮抽出物を製造する。
【0070】
実施例1 黒大豆種皮抽出物を含有する食品の製造例
フルーツサラダの作り方
[1]パイナップル50g、りんご50g、キウイ50g、及びバナナ50gをさいの目(角砂糖サイズ)に切り、2、3個のプチトマトを4等分に切る。
[2]黒大豆種皮抽出物500mgと少量の砂糖を添加し、1カップの赤ワインと混合させてから、冷蔵庫に入れて1時間漬ける。
[3]1時間後に冷蔵庫から取り出し、へたをとったサクランボを入れ完成。
一回又は継続的に摂取する。
【0071】
実施例2 本発明に係わる黒大豆種皮抽出物を含有する飲み物の製造
65%のシロップ6.2%、50%のクエン酸0.3%、25%安息香酸ナトリウム溶液0.06%、25%クエン酸ナトリウム溶液0.16%、アスパルテーム0.01%、ジャスミンフレーバー0.1%および、黒大豆種皮抽出物15%に水で100%量になるように調整し、キャラメルを適量加え完成。一日数回、継続して飲む。
【0072】
実施例3 本発明に係わる薬品のカプセル剤の製造
本分野の従来の方法により総ポリフェノールを75%、アントシアニンを15%含有する黒大豆種皮抽出物 200mgを抽出し、それを粉末に粉砕して、でん粉を200mg加え、ゼラチンカプセルに入れ、1日に1粒服用する。
【0073】
実施例4 本発明に係わる薬品の錠剤の製造
本分野の従来の方法により、総ポリフェノールを50%、アントシアニンを30%含有する黒大豆種皮有効成分 100mgを抽出し、それを粉末に粉砕してから、常用の補助材料を加え、錠剤に押し固める。1日に2回服用する。
【0074】
実施例5 本発明に係わる顆粒剤の製造
本分野の従来の方法により、総ポリフェノールを95%、アントシアニンを5%含有する黒大豆種皮有効成分を100mg抽出し、それを粉末に粉砕してから、顆粒剤に押し固める。1日に1回服用する。
【0075】
実施例6 本発明に係わる健康食品の製造
黒大豆種皮抽出物、コンドロイチン硫酸、グルコサミン、及びコエンザイムQ10に適量のでん粉を加え、それを均一にかき混ぜり、黒大豆種皮抽出物が200mg、コンドロイチン硫酸が40mg、グルコサミンが30mg、及びコエンザイムQ10が15mgを含有するカプセルに製造する。1日に1〜2回、1回に2粒を服用し、骨関節炎の治療に用いる。
【0076】
同様に、本分野の常用方法により、煎じ薬、粉末、丸剤又は他の製剤に製造することもできる。各種の製剤の食品、健康食品、薬品における黒大豆種皮抽出物の含有量が100〜800mgである。
【0077】
以上は本発明に係わる骨関節炎の予防及び治療における黒大豆種皮抽出物の新しい用途の詳しい説明である。具体的な実施形態に記述された内容は本発明をより良く実施するための好適な実施例である。本発明の保護範囲は特許請求の範囲に記述されている内容に準じ、上記実施形態に記述された技術案に限らない。本発明の特許請求の範囲の実質的な内容を逸脱しないいずれの工程上の変形は本発明の保護範囲に属する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒大豆種皮抽出物の骨関節炎を予防及び治療する製品への応用であって、前記製品は、食品、健康食品及び薬品を含むことを特徴とする黒大豆種皮抽出物の骨関節炎を予防及び治療する製品への応用。
【請求項2】
前記黒大豆種皮抽出物に、ポリフェノール系化合物が含有され、その中、総ポリフェノールが50〜95重量%で、アントシアニンが5〜30重量%であることを特徴とする請求項1に記載の黒大豆種皮抽出物の応用。
【請求項3】
前記骨関節炎は、変形性骨関節炎による骨損傷、又は関節老化による摩耗を含むことを特徴とする請求項1に記載の黒大豆種皮抽出物の応用。
【請求項4】
毎日摂取する前記製品に黒大豆種皮抽出物を100〜800mg含有することを特徴とする請求項1に記載の黒大豆種皮抽出物の応用。
【請求項5】
前記黒大豆種皮抽出物を含有する製品の剤形は、粉末、経口液剤、錠剤、カプセル剤、顆粒剤及び丸剤の少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の黒大豆種皮抽出物の応用。
【請求項6】
黒大豆種皮抽出物を含有することを特徴とする骨関節炎治療用の薬品である。
【請求項7】
前記黒大豆種皮抽出物に、ポリフェノール系化合物が含有され、その中、総ポリフェノールが50〜95重量%で、アントシアニンが5〜30重量%であることを特徴とする請求項6に記載の骨関節炎治療用の薬品。
【請求項8】
毎日摂取する前記薬品に黒大豆種皮抽出物を100〜800mg含有することを特徴とする請求項7に記載の骨関節炎治療用の薬品。
【請求項9】
前記薬品の剤形は、粉末、経口液剤、錠剤、カプセル剤、顆粒剤及び丸剤の少なくとも一種であることを特徴とする請求項6〜8に記載の骨関節炎治療用の薬品。
【請求項10】
前記骨関節炎は、変形性骨関節炎による骨損傷、又は関節老化による摩耗を含むことを特徴とする請求項6に記載の骨関節炎治療用の薬品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−518824(P2013−518824A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551467(P2012−551467)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際出願番号】PCT/CN2010/078627
【国際公開番号】WO2011/095021
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(512203023)北京▲緑▼色金可生物技▲術▼股▲フン▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】