説明

黒液濃縮エバポレータのスケール洗浄方法

【課題】 パルプ製造工場のアルカリ回収において、高温、高アルカリ性条件下の黒液濃縮エバポレータに付着したスケールの除去に優れた効果を有するスケール洗浄方法、および黒液濃縮エバポレータの運転を維持しながら、エバポレータに付着したスケールを除去するスケール洗浄方法を提供する。
【解決手段】 高温、高アルカリ性条件下の黒液濃縮工程のエバポレータに付着するスケールの洗浄において、アルカリ性条件下の水系で多塩基酸型アミノカルボン酸化合物を用いた黒液濃縮エバポレータに付着したスケールのスケール洗浄方法であり、更には黒液濃縮工程のエバポレータの運転を維持しながら、エバポレータに付着したスケールを除去する黒液濃縮エバポレータのスケール洗浄方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルプ製造工場のアルカリ回収における黒液濃縮工程のエバポレータに生じるスケールの洗浄において、エバポレータの運転を停止させることなく、当該エバポレータに付着したスケールを除去し、エバポレータの長期間の連続運転を維持するエバポレータの洗浄方法を提供することにある。
【背景技術】
【0002】
紙の原料であるパルプは、木材チップに苛性ソーダを含む蒸解液を加えて蒸解して製造される。パルプ製造では、多量の苛性ソーダと水を使用するためにアルカリ回収工程によって苛性ソーダの回収を行っている。アルカリ回収(工程)は、木材チップを蒸解してパルプ化する蒸解工程後にパルプを洗浄してパルプから黒液を除去し、回収した黒液を濃縮する黒液濃縮工程、濃縮した黒液を回収ボイラーで燃焼させる燃焼工程、黒液燃焼熔融物(スメルト)を水に溶解させて緑液を調製する緑液生成工程、緑液から白液を調製する苛性化工程、白液中の炭酸カルシウムを除去する白液清澄化工程、除去された炭酸カルシウムをロータリーキルンで焼成して生石灰を得る焼成工程等の各工程からなっている。
【0003】
黒液濃縮工程の水は高pH、高温であり、さらに木材由来のカルシウムイオン及び炭酸イオンを含み、炭酸カルシウムが高度に過飽和状態になっている。そのために黒液濃縮装置や配管内壁には炭酸カルシウムを主成分とするスケールの付着が恒常的に起こっている。黒液濃縮装置や配管内壁にスケールが付着すると、黒液流量の低下や配管の閉塞を起こし、生産性が低下するばかりでなく、多大なトラブルを引き起こす。濃縮された黒液は、次工程の黒液燃焼工程で燃焼させることで、発電とスチーム発生等のエネルギー供給源になり、その割合は製紙工場(およびパルプ製造工場)でのエネルギー供給量の数%〜十数%に達する。そのために黒液濃縮工程の操業停止はエネルギー供給の面でも重大な影響を及ぼす。
【0004】
そこで、種々の黒液濃縮装置に生じるスケールの除去に関する方法が提案されてきた。例えば、黒液濃縮装置や配管内壁にスケールが付着した場合のスケールを除去する方法として、高圧水を吹き付けたり、ハンマーで叩き落としたり、手作業でスケールの除去を行う方法があるが、黒液濃縮装置の操業を一時停止して作業を行う上に多大の労力と時間が必要とし、しかも付着スケールを叩き落とす際にスケールの破片が飛び散るため、安全性の点でも問題がある。また、化学的にスケールを除去する方法として、スケールの主体となる炭酸カルシウムを塩酸やスルファミン酸などの鉱酸で洗浄する方法があるが、黒液濃縮装置の操業を一時停止して作業を行うことが必要であり、しかもスケールの主成分である炭酸カルシウムが鉱酸により発泡し、使用した鉱酸が周辺に飛散したり、スケール中に取り込まれているイオウ成分と反応して硫化水素が発生する場合があり、作業安全上の問題となる。その他、マレイン酸や(メタ)アクリル酸を含む共重合体、ヘキサメタリン酸やホスホン酸などのリン系スケール防止剤を用いる方法(例えば特許文献1参照)が提案されたが、炭酸カルシウムが高度に過飽和であるために必要な添加量が非常に多く、経済的な量ではほとんどスケール防止効果を示さない。その他、アニオン性ポリマーとカチオン性ポリマーを特定比率で混合して黒液濃縮装置のエバポレータでのスケール生成を抑制する方法(例えば、特許文献1参照)、プレート式エバポレータにおいて、プレート式エバポレータの細孔径よりも大きい多数の動転体を入れ、被濃縮循環液の動圧により動転体が転動することで熱交換素子表面に付着したスケールの成長を阻止し、剥離させるエバポレータのクリーニング方法(例えば、特許文献2参照)、プレート式エバポレータにおいて、エバポレータの運転の有無にかかわらず、ミストセパレータの上方部と下方部の洗浄液噴射ノズルから洗浄液をエレメントの表面に噴射させてエレメントにこびりついたスケールを除去するミストセパレータの目詰防止装置(例えば、特許文献3参照)、プレート式エバポレータの中空プレート状熱交換素子内に加熱蒸気と一緒に洗浄液を散布し、中空プレート状熱交換素子の内壁を高温状態で洗浄することにより洗浄効果を上げるとともにエバポレータの運転効率を向上させる洗浄方法(例えば、特許文献4参照)等が開示されている。しかし、これらの方法でも、依然、黒液濃縮装置の運転を停止することなく、満足しうる充分なスケールの洗浄・除去する方法は未だに得られていない。
【0005】
【特許文献1】特開平5−228494号公報
【特許文献2】特開2002−4601号公報
【特許文献3】特開2002−181492号公報
【特許文献4】特開2002−188896号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、上記問題点に鑑み、パルプ製造工場のアルカリ回収において、高温、高アルカリ性条件下の黒液濃縮エバポレータに付着したスケールの除去に優れた効果を有するスケール洗浄方法、および黒液濃縮エバポレータの運転を維持しながら、エバポレータに付着したスケールを除去するスケール洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明者らはパルプ製造において、高温、高アルカリ性条件下での黒液濃縮エバポレータの付着スケールの除去について、鋭意検討を重ねた結果、アルカリ性条件下での特定の多塩基酸型アミノカルボン酸化合物がエバポレータの付着スケールの溶解除去に有効であることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
即ち、請求項1に係る発明は、パルプ製造工場のアルカリ回収における黒液濃縮工程のエバポレータのスケール洗浄において、アルカリ性条件下の水系で多塩基酸型アミノカルボン酸化合物を用いることを特徴とする黒液濃縮エバポレータのスケール洗浄方法である。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の黒液濃縮エバポレータのスケール洗浄方法であり、エバポレータが複数の独立して運転可能な蒸発缶を有し、その中から少なくとも1基のスケール洗浄を行う蒸発缶を選択して当該蒸発缶の黒液濃縮運転を停止させてスケール洗浄を行いながら、同時に他の蒸発缶で黒液濃縮運転を行なうことを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の黒液濃縮エバポレータのスケール洗浄方法であり、エバポレータが複数の独立して運転可能な蒸発缶を有し、その中から少なくとも1基のスケール洗浄を行う蒸発缶を選択して当該蒸発缶の黒液濃縮運転を停止させてスケール洗浄を行いながら、同時に他の蒸発缶で黒液濃縮運転を行い、順次、スケール洗浄を行う蒸発缶を切り換えて、蒸発缶のスケール洗浄と他の蒸発缶での黒液濃縮運転を同時に行なうことを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか記載の黒液濃縮エバポレータのスケール洗浄方法であり、多塩基酸型アミノカルボン酸化合物がエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩から選ばれた1種あるいは2種以上を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のスケール洗浄方法により、エバポレータの運転を維持しながら、当該エバポレータに付着したスケールを溶解除去することができる。その結果、パルプ製造に支障を来すことなく、その生産性の維持と安定操業に大きく寄与した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、パルプ製造におけるアルカリ回収工程の一部を成し、高温、高アルカリ性条件下で回収黒液を濃縮する黒液濃縮工程のエバポレータに付着するスケールの洗浄において、アルカリ性条件下の水系で多塩基酸型アミノカルボン酸化合物を用いた黒液濃縮エバポレータに付着したスケール洗浄方法であり、更には黒液濃縮工程でエバポレータの黒液濃縮運転を維持しながら、同時にエバポレータに付着したスケールの除去を行うスケール洗浄方法である。
【0014】
本発明におけるパルプ製造方法は、アルカリ性蒸解液によるバッチ式あるいは連続式のパルプ製造法であり、具体的にはクラフトパルプ(KP)法、ソーダパルプ(AP)法によるパルプ製造方法である。
【0015】
本発明における回収黒液は、前述のアルカリ性蒸解液によるパルプ蒸解後のパルプ洗浄工程で回収された希黒液及びパルプ蒸解後に酸素漂白を行った後のパルプ洗浄工程で回収された希黒液、並びにダイジェスターの洗浄ラインで回収される黒液である。その希黒液のpHや固形分濃度は特に限定されるものではないが、通常、pHは10以上、固形分濃度は約8重量%〜約18重量%である。
【0016】
本発明の対象となる黒液濃縮工程は、上記の回収黒液の濃縮工程であり、後段の黒液燃焼工程、苛性化工程へと続く一連のアルカリ回収(工程)の一部である。黒液の濃縮方法は、特に限定されるものはないが、通常、多重効用エバポレータが多用されている。多重効用エバポレータは、一般にエバポレータを5〜7基連結させ、黒液加熱用の蒸気と被濃縮黒液を向流させながら、各エバポレータで連続的な減圧下での黒液濃縮(黒液の水分除去)を行なうことで、濃縮効率が高めている。多重効用エバポレータでは、回収希黒液を最終的に固形分濃度が約60重量%〜約75重量%のペースト状の粘凋物までに濃縮し、次段の黒液燃焼工程に送られる。
【0017】
各段のエバポレータの構成は、特に限定されるものはないが、一般に蒸発缶と被濃縮黒液の移送設備、黒液加熱用の加圧加熱蒸気設備及びこれらの付帯設備からなる。蒸発缶には、長管薄膜蒸発缶(長管薄膜型エバポレータ;正循環型、逆循環型を含む)やプレート型蒸発缶があり、いずれも加圧加熱蒸気により黒液を加熱して蒸発、濃縮させる加熱管や加熱用プレートを持っている。例えば、プレート型蒸発缶(図1参照)は、一般に被濃縮黒液の導入管2、循環ポンプ3、蒸発缶5、加圧加熱蒸気導入管15、(黒液濃縮による)蒸気排出管13、濃縮黒液の排出管8からなる。蒸発缶5の構成は、移送配管4、被濃縮黒液を分配するディストリビュータ4、加圧加熱蒸気により被濃縮黒液を加熱する加熱細管7、加熱された被濃縮黒液から生じた蒸気を集める蒸気捕集部のワイヤメッシュデミスタ11、集めた蒸気を後段の黒液加熱用に送る蒸気排出管13からなっている。
【0018】
多重効用エバポレータにおけるNo.1エバポレータ及びNo.2エバポレータでは、黒液固形分濃度は通常、40〜50重量%を超えるために濃縮黒液の流動性が低く、さらに多くの有機物や無機物が濃縮黒液に含まれるために加熱管や加熱プレートに汚れが付着して、濃黒液の流動性が低くなる。そのためにNo.1エバポレータ及びNo.2エバポレータは、複数の独立して運転可能な蒸発缶(例えばプレート型蒸発缶)を並列に組み合わせた構成とし、常時、複数の蒸発缶の内、少なくとも1基の黒液濃縮運転を停止して2〜6時間かけて希黒液による蒸発缶の汚れの洗浄を行ない、同時に他の蒸発缶で黒液濃縮運転を行なっている。順次、洗浄を行う蒸発缶を切り換えて、エバポレータ内にある複数の蒸発缶の全ての洗浄を行っている。
【0019】
本発明において対象となるエバポレータのスケール(以下「スケール」とする)は、炭酸カルシウムを含むスケールであり、その他に炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫化鉄等の硫化物塩等の無機塩が含まれていてもよい。スケールの付着は、エバポレータ内の加熱管表面や装置内壁、濃縮黒液の移送配管や移送ポンプ、循環ポンプ、希黒液貯留タンクおよび濃黒液貯留タンク等に生じる。特に多重効用エバポレータのNo.1エバポレータやNo.2エバポレータの中の蒸発缶の被濃縮黒液のディストリビュータ、加圧加熱蒸気により被濃縮黒液を加熱する加熱管(加熱細管)、蒸発缶内壁、濃縮黒液の移送配管や移送ポンプ、循環ポンプ等にスケールが付着しやすい。
【0020】
本発明のスケール洗浄に用いる多塩基酸型アミノカルボン酸化合物は、2基以上のカルボキシル基を有する多塩基酸型アミノカルボン酸及び/又はその塩である。具体的に多塩基酸型アミノカルボン酸としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)があり、好ましくはエチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸である。また、多塩基酸型アミノカルボン酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩があり、その完全中和塩、部分中和塩、複合完全中和塩、複合部分中和塩がある。これらの1種あるいは2種以上を用いることができる。
【0021】
本発明のスケール洗浄方法(以下「スケール洗浄方法」とする)は、アルカリ性条件下の水系で多塩基酸型アミノカルボン酸化合物の1種あるいは2種以上を組み合わせて用いて、黒液濃縮エバポレータに付着したスケールと接触させて、これを溶解、除去するスケール洗浄方法であり、多塩基酸型アミノカルボン酸化合物を含むアルカリ性液を循環して使用することによりスケール洗浄はより効率的になる。具体的には、濃縮工程で多用されている多重効用エバポレータにおいて、スケールが付着したエバポレータの黒液濃縮運転を停止して、黒液を排出して清水を導入し、アルカリ剤を添加してアルカリ性液として多塩基酸型アミノカルボン酸化合物を添加、循環してスケールを除去するスケール洗浄方法、あるいは黒液の一部を排出して清水を追加したアルカリ性液に多塩基酸型アミノカルボン酸化合物を添加、循環してスケールを除去するスケール洗浄方法である。特に、濃縮工程で多用されている多重効用エバポレータにおいて、スケール付着が多発する1段目エバポレータ〜2段目エバポレータのスケール洗浄は、当該エバポレータ内にある複数の独立して運転可能な蒸発缶の内から少なくとも1基の蒸発缶の黒液濃縮運転を停止させ(場合によっては濃縮黒液を排出して)、多塩基酸型アミノカルボン酸化合物を含むアルカリ性液を導入し、選択した蒸発缶内を循環させてスケール洗浄を行いながら、同時に他の蒸発缶で黒液濃縮運転を行なうことにより、スケール洗浄と黒液濃縮が同時に行われ、好ましい。さらに、エバポレータ内の複数の独立して運転可能な蒸発缶の中から少なくとも1基のスケール洗浄を行う蒸発缶を選択して当該蒸発缶の黒液濃縮運転を停止させてスケール洗浄を行いながら、同時に他の蒸発缶での黒液濃縮運転を行い、順次、スケール洗浄を行う蒸発缶を切り換えて、蒸発缶のスケール洗浄と他の蒸発缶での黒液濃縮運転を同時に行なうスケール洗浄方法がより好ましい。この方法により、エバポレータ内の複数の独立して運転可能な蒸発缶の全てのスケール洗浄を行いながら、同時に他の蒸発缶での黒液濃縮運転を行なうことを繰り返すことにより、エバポレータの運転を停止することなく、エバポレータ内の全蒸発缶のスケール洗浄と黒液の濃縮を同時に行うことができ、黒液濃縮エバポレータの長期連続運転ができる。
【0022】
アルカリ性条件下の水系は、多塩基酸型アミノカルボン酸化合物のスケール洗浄効果を状を発揮させるために必要とされ、中性あるいは酸性条件下では、十分な効果が得られない。アルカリ性条件下の水系の調製方法は、清水や工水に水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩等を添加してアルカリ性水系とする方法、エバポレータ内の被濃縮回収希黒液をそのまま用いる方法、エバポレータ内の濃縮黒液をそのまま用いる方法あるいはこれに清水を入れて希釈する方法、エバポレータの洗浄用回収黒液を用いる方法あるいはこれに清水を入れて希釈する方法等があり、いずれを用いても良い。
【0023】
スケール洗浄方法での要求されるアルカリ性の程度は、対象とするエバポレータの付着スケールの内容と要求されるスケールの洗浄の程度および用いる多塩基酸型アミノカルボン酸化合物の種類を考慮して適宜決定されるものであり一律に決定されるのもではないが、通常、pHが7を超えるアルカリ性であり、好ましくはpHが8.5〜13.5,より好ましくはpHが10.5〜12.5である。スケール洗浄液のpHが7未満では多塩基酸型アミノカルボン酸化合物によるスケール洗浄効果が十分でなく、場合によってはスケールから発泡やガスの発生により操業上の支障を来す場合がある。
【0024】
スケール洗浄方法において、多塩基酸型アミノカルボン酸化合物の使用方法には、多塩基酸型アミノカルボン酸化合物をそのまま用いる方法、あるいは溶剤に溶解して多塩基酸型アミノカルボン酸化合物溶液として用いる方法があり、いずれを用いても良い。多塩基酸型アミノカルボン酸化合物の溶剤としては、付着スケールの環境を考慮して適宜選択すれば良く、例えば水、メタノールやエタノール等の水溶性低級アルコール、ジオキサン、エチレングリコール、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブなどがあり、これらの1種あるいは2種以上を用いた混合溶剤を用いても良い。この場合の多塩基酸型アミノカルボン酸化合物の濃度は一律に決められないが、要求される取扱性を考慮して、通常1重量%〜60重量%濃度である。
【0025】
スケール洗浄方法における多塩基酸型アミノカルボン酸化合物の添加箇所は、多塩基酸型アミノカルボン酸化合物の特徴や対象とするスケールの溶解・除去の必要の程度に応じて適宜選択されれば良いが、スケールが付着している箇所やスケールが生じる箇所に添加する方法、あるいはその上流に添加する方法があり、いずれの方法でも良い。通常、スケールが付着したエバポレータ内に多塩基酸型アミノカルボン酸化合物を添加して循環させ、スケールにより多く接触させて、スケールを溶解、除去するスケール洗浄方法が用いられる。
【0026】
スケール洗浄方法における多塩基酸型アミノカルボン酸化合物の添加量は、対象とするスケールの溶解・除去の必要の程度に応じて適宜選択されれば良いが、通常、対象とする付着スケールに接するスケール洗浄液に対して、多塩基酸型アミノカルボン酸化合物が0.05〜10重量%であり、好ましくは0.1〜5重量%である。多塩基酸型アミノカルボン酸化合物の添加量が0.05重量%未満であると、十分なスケール洗浄効果が得られない場合があり、多塩基酸型アミノカルボン酸化合物の添加量が10重量%を超えると、スケール洗浄効果は向上するが、多塩基酸型アミノカルボン酸化合物の増加に見合うだけのスケール洗浄効果の向上がなく、経済的なメリットが得られない場合がある。
【0027】
多塩基酸型アミノカルボン酸化合物の添加方法は、特に限定されるものではなく、通常の薬液注入ポンプを用いて、連続添加方法あるいは間歇添加方法のいずれを用いても良い。
【0028】
本発明のスケール洗浄方法を多重効用エバポレータ(図2参照)による黒液濃縮およびプレート型蒸発缶(図1参照)の例を用いて説明する。黒液濃縮での多重効用エバポレータでは、No.1エバポレータ4に最初の高圧加熱蒸気3を送り、No.1エバポレータ4の黒液濃縮で発生した蒸気を次のNo.2エバポレータ5の黒液加熱に用いるようにし、順次黒液の濃縮で得られた蒸気を低濃度黒液の濃縮に用いられる。クラフトパルプ蒸解後に回収された希黒液(固形分濃度13重量%)1は希黒液貯蔵タンク2に集められ、No.4エバポレータ7及びNo.5エバポレータ8に送られる。No.5エバポレータ8の黒液は、No.4エバポレータ7より送られてきた蒸気で加熱、濃縮され、No.4エバポレータ7の黒液は、No.3エバポレータ6より送られてきた蒸気で加熱、濃縮される。No.4エバポレータ7の濃縮された黒液はNo.3エバポレータ6に送られ、再び、加熱、濃縮される。その後、更にNo.3エバポレータ6、No.2エバポレータ5、No.1エバポレータ4へと順次送られて濃縮され、濃黒液となって濃黒液タンク18に貯留される。また、No.5エバポレータ8の濃縮された黒液はNo.6エバポレータ9に送られて加熱、濃縮され、再びNo.5エバポレータ8に戻る。エバポレータのスケール付着問題は、通常、黒液固形分濃度が高くなるNo.1エバポレータ4やNo.2エバポレータ5で生じる。No.1エバポレータ4でのスケール付着の場合、エバポレータ内の独立に運転可能な複数のプレート型蒸発缶(図1参照)の加熱細管7の表面、内壁面および移送ポンプ3の周辺にスケールが付着する。スケール洗浄の前にNo.1エバポレータ内の独立に運転可能な複数のプレート型蒸発缶の内の1基の黒液濃縮を停止して蒸発缶5の黒液を排出し、次いで当該プレート型蒸発缶の被濃縮黒液導入管2と濃縮黒液排出管8をつなぎ、循環ラインを作る。エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩(EDTA・4Na塩)20重量%水溶液と清水(例えば工業用水など)を混合して、約0.5〜2重量%濃度のエチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩(EDTA・4Na塩)水溶液を調製してスケール洗浄液とし、これを被濃縮黒液導入管2から圧入する。エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩(EDTA・4Na塩)を含むスケール洗浄液は循環ポンプ3、移送配管4を通り、蒸発缶5に入り、ディストリビュータ6により分配されて加熱細管7にそって流下していく。その間に加熱細管7表面のスケールと接触してスケール洗浄を行う。加圧加熱蒸気導入口15から加圧加熱蒸気を入れることにより、スケール洗浄効率を高めることができる。スケールを溶解したスケール洗浄液は、循環用配管10を通り、図1の点線で示した循環ラインを通り、再び、循環ポンプ3を経てスケールの洗浄に用いられる。一方、一部は濃縮黒液排出管8から排出される。エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩(EDTA・4Na塩)を含むスケール洗浄液を数時間循環することにより、加熱細管7の表面、内壁面および循環ポンプ3の周辺に付着したスケールは徐々に溶解、剥離して除去される。その結果、エバポレータの付着スケールはほとんど除去され、濃縮黒液の固形分の増加、ワイヤメッシュデミスタ11を通り蒸気排出管13に流れる蒸気(被濃縮黒液から発生した蒸気)12が増加し、後段エバポレータの加熱に使用される後段黒液加熱用蒸気14の増加及び全蒸気発生量の増加となる。また、複数の蒸発缶を持つエバポレータでは、その蒸発缶の洗浄に用いられているアルカリ性の回収希黒液を利用して、これに多塩基酸型アミノカルボン酸化合物を添加してスケール洗浄を行えば、従来の作業手順の僅かな変更で、容易にスケール洗浄を行うことができ、非常に作業効率の改善に有効である。
【0029】
更に多重効用エバポレータのスケール付着が多い1段目エバポレータ〜2段目エバポレータが一般に複数の独立して運転可能な蒸発缶を持つ構成になっているため、例えば1段目エバポレータが3基の独立して運転可能な蒸発缶を有していれば、少なくとも1基の運転を停止させて(場合によっては濃縮黒液を排出して)、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩(EDTA・4Na塩)を含むアルカリ性の洗浄液を導入し循環させてスケール洗浄を行いながら、他の2基の蒸発缶で黒液濃縮を行なうことにより、スケール洗浄と黒液濃縮が同時に行われる。さらにスケール洗浄を行った蒸発缶に代えて、他の2基の蒸発缶からスケール洗浄を行う蒸発缶を選択してスケール洗浄を行い、同時にスケール洗浄済みの蒸発缶と残る1基の未洗浄の蒸発缶で黒液濃縮を行うことを繰り返すことにより、当該エバポレータ内の複数の独立して運転可能な蒸発缶の全てをスケール洗浄することができる。その結果、エバポレータの運転を停止することなく、エバポレータ内の全蒸発缶のスケール洗浄と黒液の濃縮を同時に行うことができ、黒液濃縮エバポレータの長期連続運転ができる。
【0030】
本発明のスケール洗浄方法は、従来の酸洗によるスケールの除去法に比べて、本発明のスケール洗浄方法では高いスケール洗浄効果を有するばかりか、エバポレータの操業を停止することなくスケールの除去を行うことができるために黒液濃縮工程の運転を続けることができ、パルプ化工程、特にパルプ蒸解工程の運転に支障を与えることない。しかも酸洗廃液処理が不要になるためにその処理コストが大きく低減される利点がある。
【0031】
本発明の効果を妨げない範囲において、従来使用されてきたスケール洗浄剤、スケール防止剤、分散剤、スライムコントロール剤、消泡剤等の公知の化合物を併用しても良い。具体的には、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体、アクリル酸と2−ヒドロキシ−3−アリロキシプロパンスルホン酸の共重合体などの有機ポリマー、ニトリロトリメチレンホスホン酸、ヒドロキシエチリデンホスホン酸、ホスホノブタントリカルボン酸、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどのリン系化合物などを挙げることができる。
【実施例】
【0032】
以下に本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0033】
(アミノカルボン酸)
EDTA:エチレンジアミン四酢酸
EDTA・2Na:エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム塩
EDTA・4Na:エチレンジアミン四酢酸4ナトリウム塩
NTA・3Na:ニトリロ三酢酸3ナトリウム塩
HEDTA・3Na:ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸3ナトリウム塩
DTPA・5Na:ジエチレントリアミン五酢酸5ナトリウム塩
TTHA・6Na:トリエチレンテトラアミン六酢酸6ナトリウム塩
HIDA・2Na:ヒドロキシエチルイミノ二酢酸2ナトリウム塩
DHEG:ジヒドロキシエチルグリシン
【0034】
(その他)
PANa:ポリアクリル酸ナトリウム(分子量50万)
PMNa:ポリマレイン酸ナトリウム(分子量5万)
PA−AMPSNa:アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体のナトリウム塩(1:1共重合体、分子量50万)
HEDP・3Na:ヒドロキシエチリデンホスホン酸3ナトリウム
PBTC:ホスホノブタントリカルボン酸
【0035】
〔エバポレータ洗浄試験〕
クラフトパルプ製造工場では、6重効用エバポレータを用いて黒液の濃縮を行っていた。6重効用エバポレータの内、No.1エバポレータは3基の小型プレート式蒸発缶(図1参照)を並列に並べた構造で、エバポレータ運転中には2基の小型プレート式蒸発缶で黒液濃縮を行ない、他の1基の小型プレート式蒸発缶に回収希黒液を流入させて約5時間の汚れ洗浄を行なっていた。1基の小型プレート式蒸発缶の汚れ洗浄後、黒液濃縮を行っていた他の2基の小型プレート式蒸発缶も順次、汚れ洗浄を行っていた。しかし、通常、30日のエバポレータ運転に対して、シャットダウン(SD)後の立ち上げ時より、約19日目でNo.1エバポレータにスケールが付着してエバポレータの安定操業ができない状況となるために、酸洗浄が必要となっていた。スケールの酸洗は12〜15時間かけて、運転停止−スルファミン酸(あるいは塩酸と腐食インヒビター使用)を使用して3〜5時間連続洗浄−水洗−運転立ち上げ、の洗浄を行っていた。No.1エバポレータのスケールは、炭酸カルシウムを主体とし、他にケイ酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫化物を含むスケールであった。エバポレータのスケール酸洗浄により、エバポレータの操業停止に伴うパルプ生産の停止、黒液燃焼によるエネルギー供給がなくなるための代替重油費用、酸洗除去の人夫代、酸洗浄薬品代が高額になるために問題となっていた。
【0036】
(加熱プレート付着スケールの洗浄試験)
No.1エバポレータの3基の蒸発缶内の加熱プレート付着スケールを各々採取し、小片に砕いて等量ずつ混合してスケール洗浄試験用試料(以下「試料」とする)とした。試料組成は、固形分:64.8重量%で、その内訳は炭酸カルシウム:26.0重量%、珪酸ナトリウム:12.6重量%、硫酸カルシウム:10.3重量%、硫酸ナトリウム:9.7重量%、その他に硫化鉄などの無機物が6.2重量%あった。エチレンジアミン四酢酸4ナトリウム塩(EDTA・4Na)の1重量%水溶液100mLを作り、水酸化ナトリウムでpHを8.5以上としてスケール洗浄液を調製した。調製したスケール洗浄液を300mLオートクレーブに入れ、これに試料0.5gを入れて密封し、オイルバスにて110℃、3時間、撹拌し保持した。その後、オートクレーブを冷却し、開封して60メッシュのステンレス製金網で濾過し、水で洗浄して残留物重量(g)を測定した。洗浄率(%)を次式で求めた。洗浄率が高いほど、好ましい。
洗浄率(%)=〔0.5(g)−残留物重量(g)〕×100/0.5(g)
EDTA・4Naに代えて種々の多塩基酸型アミノカルボン酸化合物を用いて同様の試験を行った。また、比較例として、ポリアクリル酸ナトリウム(PANa)、ポリマレイン酸ナトリウム(PMNa)、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体ナトリウム塩(PA−AMPSNa)、ヒドロキシエチリデンホスホン酸3ナトリウム(HEDP・3Na)、ホスホノブタントリカルボン酸(PBTC)を用いてスケール洗浄試験を行った。その結果を表1にまとめた。
【0037】
【表1】

本発明の多塩基酸型アミノカルボン酸化合物は、従来のポリアクリル酸ナトリウム、ポリマレイン酸ナトリウムおよびそれらの共重合体に比べて、黒液濃縮工程でのスケールの洗浄率が高く、優れた効果を持つことが分かる。
【0038】
(エバポレータ洗浄試験2)
前記クラフトパルプ製造工場の黒液〔L材希黒液(固形分濃度16重量%)〕濃縮工程において、シャットダウン(SD)後、8時間に1回、No.1エバポレータの3基の小型プレート式蒸発缶(図1参照)の内、2基の小型プレート式蒸発缶を運転して黒液濃縮を行いながら、他の1基の小型プレート式蒸発缶に回収黒液(希黒液:pH=11.5〜13.5、固形分濃度は11.5〜18重量%)とEDTA・4Na塩水溶液を添加してスケール洗浄を行った。スケール洗浄の前に入口1と出口8を連結(図1の入口1と出口8を結ぶ鎖線)させて回収黒液(希黒液)の循環ラインを作り、20重量%濃度のEDTA・4Na塩水溶液を回収黒液(希黒液)に添加し、5重量%濃度のEDTA・4Na塩を含む回収黒液(希黒液)をスケール洗浄液(6m)として調製し、入口1から導入管2に流入させた。スケール洗浄液は循環ポンプ3でディストリビュータ4に送られ、加熱蒸気10により加熱されたヒーティングエレメント7に接して、ヒーティングエレメント7上のスケールを溶解除去し、出口8に達し、その後、入り口1に戻して再度、循環させた。2時間循環をしてスケール洗浄を行った。洗浄の間、洗浄液の蒸発により失われた水分は温水を加えて補給した。この循環洗浄後、同様にして他の2基の小型プレート式蒸発缶にも実施した。EDTA・4Na塩に代えて、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体ナトリウム塩(PA−AMPSNa)にて同様に試験を行った。スケール洗浄の評価は、30日のSDまでの運転の有無(○:運転できた、×:運転できず)と連続運転日数、30日のSD直前あるいは運転停止直前の濃縮黒液固形分(%)、30日のSD直前あるいは運転停止直前の蒸気発生量(%)で評価した。連続運転日数が長いほど、良く、濃縮黒液固形分(%)、蒸気発生量(%)が大きいほどスケール付着量が少ないことを示し好ましい。その結果を表2にまとめた。
【0039】
【表2】

本発明の多塩基酸型アミノカルボン酸化合物を用いたスケールの洗浄方法は、SDの30日間のエバポレータ連続運転を行うことができ、しかも従来のスルファミン酸による酸洗浄に比べて、洗浄前後の濃縮黒液固形分の増加率(%)、洗浄前後の黒液流量の増大率(%)、洗浄前後の蒸気発生量の増加率(%)が高く、黒液濃縮工程でのスケールの洗浄に有効で、優れた効果を持つことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】プレート型エバポレータの概要図である。
【図2】多重効用蒸発缶の概要図である。
【符号の説明】
【0041】
1:被濃縮黒液
2:被濃縮黒液導入管
3:循環ポンプ
4:移送配管
5:蒸発缶
6:ディストリビュータ
7:加熱細管
8:濃縮黒液排出管
9:濃縮黒液
10:循環用配管
11:ワイヤメッシュデミスタ
12:蒸気(被濃縮黒液から発生した蒸気)
13:蒸気排出管
14:後段黒液加熱用蒸気
15:加圧加熱蒸気導入口
16:排出蒸気
17:蒸気ドレン口
18:濃縮黒液タンク
19:濃縮黒液(黒液燃焼工程(回収ボイラー)へ)
20:フラッシュタンク
21:回収黒液(希黒液)
22:回収黒液(希黒液)タンク
23:加圧加熱蒸気
24:No.1エバポレータ
25:No.2エバポレータ
26:No.3エバポレータ
27:No.4エバポレータ
28:No.5エバポレータ
29:No.6エバポレータ
30:バロメトリックコンデンサー
31:凝縮水・回収水ピット
32:ソープタンク
33:加熱器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプ製造工場のアルカリ回収における黒液濃縮工程のエバポレータのスケール洗浄において、アルカリ性条件下の水系で多塩基酸型アミノカルボン酸化合物を用いることを特徴とする黒液濃縮エバポレータのスケール洗浄方法。
【請求項2】
エバポレータが複数の独立して運転可能な蒸発缶を有し、その中から少なくとも1基のスケール洗浄を行う蒸発缶を選択して当該蒸発缶の黒液濃縮運転を停止させてスケール洗浄を行いながら、同時に他の蒸発缶で黒液濃縮運転を行なうことを特徴とする請求項1記載の黒液濃縮エバポレータのスケール洗浄方法。
【請求項3】
エバポレータが複数の独立して運転可能な蒸発缶を有し、その中から少なくとも1基のスケール洗浄を行う蒸発缶を選択して当該蒸発缶の黒液濃縮運転を停止させてスケール洗浄を行いながら、同時に他の蒸発缶での黒液濃縮運転を行い、順次、スケール洗浄を行う蒸発缶を切り換えて、蒸発缶のスケール洗浄と他の蒸発缶での黒液濃縮運転を同時に行なうことを特徴とする請求項1又は2記載の黒液濃縮エバポレータのスケール洗浄方法。
【請求項4】
多塩基酸型アミノカルボン酸化合物が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩から選ばれた1種あるいは2種以上を含む請求項1乃至3のいずれか記載の黒液濃縮エバポレータのスケール洗浄方法。




【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−63696(P2007−63696A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−249862(P2005−249862)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【出願人】(000234166)伯東株式会社 (135)
【Fターム(参考)】