説明

黒色の顔料混合物を含むメイクアップ組成物

【課題】新規の顔料混合物を含む、メイクアップを目的とする着色組成物の提供。
【解決手段】黒色顔料として、黒色混合物を含み、少なくとも1種の青の有機顔料を30〜55重量%、少なくとも1種の黄の有機顔料を35〜55重量%、及び少なくとも1種の赤の有機顔料を5〜20重量%からなる黒色減法混合物を含む化粧品組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の顔料混合物及びメイクアップを目的とする有色又は着色組成物におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
顔料(pigment)は、光の可視スペクトルの一部を吸収する化合物であり、可視スペクトルの波長は、およそ400〜700nmの間であり、目によって感知される非吸収性の波長(相補的スペクトル)を反射する。
【0003】
顔料は、顔料が付着されて留まる支持体に施用される、有色又は着色組成物(ペンキ、インク、メイクアップ製品)に組み込まれるために、基剤又は結合剤の中に分散された粉末状の形態で一般的に使用される。
【0004】
顔料は、化学的性質に応じて、特に酸化物の形態での金属イオンとの結合を含む「無機顔料」、又は炭化水素に基づいた、しばしば芳香族である、通例少なくとも1種の励起性発色団を有する化合物である「有機顔料」に分類される。
【0005】
新規顔料の開発は、色相又は色の彩度(intensity)に関して優れた視覚効果を生成する顔料を探求する多くの産業にとって、重要な問題である。
【0006】
化粧品産業は、皮膚、唇、爪又はケラチン繊維に施用されるメイクアップ組成物において使用できる新規の顔料を、より特に探求する。
【0007】
黒色は、マスカラ、マニキュア(nail varnish)、口紅又は皮膚装飾(skin decoratio)組成物などの化粧メイクアップ組成物において、特に使用される。
【0008】
黒色にすることが望まれる組成物を着色するために非常に一般的に使用される、例えば、処理された又は未処理の黒色酸化鉄、カーボンブラック、酸化チタンなどの多くの本質的に黒い無機顔料が知られている。
【0009】
しかし、顔料などの不透明体のために適用する「減法色合成(subtractive colour synthesis)」の原理を利用する、有色顔料の混合によって顔料の黒色を生成する別の可能性が理論上はある。
【0010】
減法モデルによれば、有色顔料は、だんだん多くの光を吸収しながら混合し、生成された混合物それ自体は、より濃い色になる。
【0011】
したがって、このモデルによれば、組み合わされると可視スペクトルの波長の全てを吸収する顔料を混合することによって、黒の色を得ることは、理論上可能である。
【0012】
もちろん、前に説明した通り、純粋で、無機起源で、及び本質的な黒色の多くの顔料が市場で入手できることから、この色を生成するために顔料混合物を今すぐ使用することは、経済的に有利でない。
【0013】
さらに、顔料混合物の調製は、まさに望まれる通りの色を得ることが求められる場合に再現が困難であること(黒の代わりに暗褐色を得ること)や混合によって生じる色の色相に悪影響を与えることがある不適合性及び/又は不安定性のリスクを有する。
【0014】
最後に、化粧品組成物においてカーボンブラックの代わりとなりうるように、少なくともカーボンブラックと同じ濃さ(intense)の黒色を生成する黒の顔料を有することは、特に有利であることがある。実際に、カーボンブラックは、皮膚のバリアを通過するリスクを呈することがあるナノスケ−ルの粒子の形態である。
【0015】
非常に濃い黒色を生成する顔料混合物を有することによって、皮膚、唇又はケラチン繊維をメイクアップ又はケアするための化粧品組成物の全ての中への、このナノスケールの顔料の代替を想定することが可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の一つの目的は、上述の技術的な問題の全てを解決することである。
【0017】
本発明は、有機顔料を混合することによって得られる新規の黒色混合物及びまたこの混合物を含む、有色又は着色化粧品組成物を提供することを特に目指す。
【0018】
本発明は、改良された視覚効果を有するメイクアップ組成物を提供することもまた目指す。
【0019】
本発明の一つの目的は、濃い、飽和した黒色を生成し、カーボンブラック又は酸化鉄などの先行技術の無機顔料を特に基準にして、「より深い」色が感じ取られる組成物を提供することである。
【0020】
この彩度は、CIELABシステムにおいて低い輝度値Lによって評価されてもよい。
【0021】
最後に、本発明の一つの目的は、まさに望まれる通りの色を得るために、並びに混合によって得られた色の色相又はその彩度に悪影響を与える可能性がある不適合性及び/又は不安定性のリスクを制限するために、有機顔料の再現可能な混合物を調製する方法を提供することである。
【0022】
本発明の別の目的は、特に化粧品において産業規模で使用できる、信頼がおけて再現可能な方法で、技術的な問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の発明者らはここで、有機顔料の混合物が、組成物、特に化粧品組成物を着色するために使用される純粋な無機顔料より濃く、より飽和した黒色を得ることを可能にすることを発見した。したがって、これはかかる混合物を市販するために特に重要な利点になる。有機顔料のこの混合物は、本発明の目的では「減法混合物又は減法混色(subtractive mixture)」と呼ばれる。したがって、以下の説明及び実施例において、かかる混合物は、「減法混合物」という総称によって定義される。
【0024】
減法混合物は有利には、皮膚又は唇をメイクアップすることを特に目的とする黒色の化粧品組成物の中のナノスケールのカーボンブラックと置換することを、特に可能にする。
【0025】
さらに、得られた黒色の彩度及び深さにより、減法混合物は、真珠層などの光学効果の粒子と組成物の中で組み合わされる場合、予期せぬ利点を有する。
【0026】
発明者らは、この効果が、同じ光学効果の粒子が、同じ組成物の中で、本質的に黒い無機顔料と組み合わされるときに生成される効果と比較される場合、有色又は着色組成物の中の減法混合物と光学効果の粒子との組合せが、前記光学効果の粒子によって生成される視覚効果を増強することを可能にすることを、したがって実証した。
【0027】
濃い黒色を生成するかかる減法混合物によって、より濃く、より深い黒の膜、及びまた、組成物が光学効果の粒子を追加的に含む場合、任意の改良された光学効果を生成する、皮膚、唇、爪又はケラチン繊維をメイクアップするための組成物を調製することが可能である。
【0028】
以下の説明及び実施例において、色の表現は、国際照明委員会(CIELAB1976システムともまた呼ばれる)によって採用された「1976CIE L」(CIELAB)モデルに基づく。
【0029】
このモデルにおいて、Lは、輝度(luminance)(又は明度(lightness))を表わし、0の値(黒)〜100の値(白)までの範囲のスケール上に「黒−白」の比色軸を作り上げる。また定義されるのは、構成要素aであり、緑(aのマイナスの値)から赤(aのプラスの値)まで伸びる軸の範囲を表わし、構成要素bは、青(bのマイナスの値)から黄(bのプラスの値)まで伸びる軸の範囲を表わす。
【0030】
CIELABシステムにおいて、黒色は、0に向かう傾向があるLの値及び−5〜+5までの範囲の区間内に通例ある構成要素a及びbの値によって表わされる。
【0031】
黒色の彩度又はその深さに作用することが求められる場合、輝度のパラメータLこそが、より特別に研究されるべきである。0に向かう傾向があるLの値(より濃い黒色)は、照射された材料による入射光の可視スペクトルの波長のより強い吸収をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施例2の輝度値Lの測定結果を示す図である。
【図2】実施例3の「ゴールドの」光沢を有する白い真珠層によって生成される真珠光沢効果の測定の測定結果を示す図である。
【図3】実施例3の白い光沢を有する白い真珠層によって生成される真珠光沢効果の測定の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、有利には、メイクアップ組成物の中で組み合わされてもよい顔料の光学効果が際立つことを可能にする程低い輝度を有する、少なくとも3種の有機顔料の混合物を含む黒色の減法混合物に、特に関する。表現「有機顔料」は、有機顔料が分散され、少なくとも1種の有機化合物を含む媒体の中で可溶性である着色剤を意味すると理解される。
【0034】
混合物は有利には、30未満の輝度値L(15°)を有する。L(15°)は、CIELAB1976システムにおける輝度Lの値を表わす。L(15°)は、水平面に対して45°の入射光を使用し、黒い背景に塗布された前記減法混合物を含む膜を照射する方法による反射光に対して、15°の角度で反射される光の強度の測定から算定される。
【0035】
「反射光」は、表面又は物体上の、入射光源の直接の反射によって生じる光の構成要素に相当する。本発明の場合、「反射光」は、入射光によって照射された膜によって反射される光の構成要素を表わす。
【0036】
有利には、上の方法による減法混合物について測定された輝度値L(15°)は、20未満又は20に等しい、より好ましくはさらに10未満又は10に等しい。
【0037】
有利には、前記減法混合物は、0を超える構成要素aの値、及び0を超える構成要素bの値を有する。好ましくは、構成要素aの値は、0〜3の間、最も好ましくは0〜1.5の間である。好ましくは、構成要素bの値は、0〜3の間、最も好ましくは0〜1.5の間である。
【0038】
有利には、減法混合物は、少なくとも1種の青の有機顔料、少なくとも1種の黄の有機顔料、及び少なくとも1種の赤の有機顔料を含む。
【0039】
本発明のために、青色は、0未満の構成要素bの値によって、CIELABシステムに従って定義される。赤色は、0を超える、好ましくは+10を超える構成要素aの値によって、CIELABシステムに従って定義される。黄色は、0を超える、好ましくは+5を超える構成要素bの値によって、CIELABシステムに従って定義される。
【0040】
典型的に、青の有機顔料は、波長490〜780nmの間で吸収極大を有する。黄の有機顔料は、波長400〜540nmの間で吸収極大を有する。赤の有機顔料は、波長400〜560nmの間で吸収極大を有する。
【0041】
前記混合物において使用される有機顔料は、入射光のわずかな波長のみを実際に吸収し、吸収されない波長は試料によって反射される。
【0042】
有機顔料の吸収プロファイルと異なり、減法混合物は、可視域(波長400nm〜700nmの間)におけるかかる吸収極大の不在によって特徴付けられる。この特別なプロファイルである、いずれの特徴的なピークもないということは、減法混合物の試料による、可視域における波長の全ての吸収から生じる。
【0043】
全ての吸収スペクトルは、可視域において吸収されない液体の中に分散される、純粋な状態の顔料の試料について実行される。
【0044】
その態様の一つによれば、本発明は、黒色顔料として、
混合物の重量に対して5〜20重量%の少なくとも1種の赤の有機顔料、
混合物の重量に対して30〜55重量%の少なくとも1種の青の有機顔料、及び
混合物の重量に対して35〜55重量%の少なくとも1種の黄の有機顔料
からなる黒色混合物を含む、化粧品組成物に関する。
【0045】
本発明の目的は、メイクアップ製品において使用される従来の黒の着色剤及び顔料を、より濃く、深い黒色をもたらす3種の有機顔料の混合物によって置換することである。本発明の化粧品組成物は、有利には、カーボンブラック又は黒色酸化鉄などの黒色の顔料をほとんど又は全く含まない。カーボンブラック及び黒色酸化鉄の含有量は、好ましくは組成物の0.1重量%未満、最も好ましくは組成物の0.05重量%未満である。
【0046】
一つの実施形態によれば、黒色減法混合物は、
30〜55重量%、例えば30〜35%又は50〜55重量%の少なくとも1種の青の有機顔料、
35〜55重量%、例えば35〜45%又は50〜55重量%の少なくとも1種の黄の有機顔料、
5〜20重量%、例えば5〜10重量%又は15〜20重量%の少なくとも1種の赤の有機顔料
からなる。
【0047】
有機顔料は、天然で不溶性であってもよく、又はさもなければ液体の媒体の中の透明な有機染料(dye)から得られ、次にレーキの形態で不溶性にされてもよく、レーキが、染料、支持体、及び沈殿剤(しばしばカチオン性)の3つの要素から形成されることが思い起こされる。
【0048】
したがって、有利には、「青の」顔料は、INCI名CI42090(CAS番号3844−45−9、エリオグラウシン二ナトリウム塩又はベンゼンメタンアミニウム、N−エチル−N−[4−[[4−[エチル[(3−スルホフェニル)メチル]−アミノ]−フェニル](2−スルホフェニル)メチレン]−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリジエン]−3−スルホ−、分子内塩、二ナトリウム塩)を有する染料のレーキであり、有利には、アルミニウムレーキである。青の顔料は、FD&C青色1号という名前の顔料であってもよい。
【0049】
「黄の」顔料は、
INCI名CI19140(CAS番号1934−21−0、5−ヒドロキシ−1−(4−スルホフェニル)−4−(4−スルホフェニルアゾ)−ピラゾール−3−カルボン酸三ナトリウム)を有する染料のレーキ、有利には、アルミニウムレーキ、
INCI名CI15985(CAS番号2783−94−0番、6−ヒドロキシ−5−[(Z)−(4−スルホナトフェニル)ジアゼニル]ナフタレン−2−スルホン酸二ナトリウム)を有する染料のレーキ、有利には、アルミニウムレーキ、及びその混合物
から有利に選択される。
【0050】
黄の顔料は、FD&C黄色5号又はFD&C黄色6号として知られる顔料に相当することがある。
【0051】
「赤の」顔料は、
INCI名CI15850(CAS番号5858−81−1、3−ヒドロキシ−4[(4−メチルフェニル)アゾ]−2−ナフタレンカルボキシル酸)を有する染料のレーキ、有利には、バリウムレーキ、
INCI名CI15850(CAS番号5281−04−9、(4E)−4−[(4−メチル−2−スルホナトフェニル)ヒドラゾノ]−3−オキソ−3,4−ジヒドロナフタレン−2−カルボン酸二ナトリウム)を有する染料のレーキ、有利には、カルシウムレーキ、
INCI名CI73360(CAS番号2379−74−0、6,6−ジクロロ−4,4−ジメチル−[2,2−ビベンゾ[b]チオフェン]−3,3−ジオン)を有する染料のレーキ、
INCI名CI15880(CAS番号6417−83−0、(4Z)−3−オキソ−4−[2−(1−スルホナトナフタレン−2−イル)ヒドラジニリジエン]−3,4−ジヒドロナフタレン−2−カルボン酸カルシウム)を有する染料のレーキ、有利には、カルシウムレーキ、及びその混合物
から有利に選択される。
【0052】
赤の顔料は、DC赤色6号、DC赤色7号、DC赤色30号、又はDC赤色34号として知られる顔料に相当することがある。
【0053】
一つの実施形態において、黒色混合物は、
5〜10重量%の、INCI名CI15850(CAS番号5281−04−9、(4E)−4−[(4−メチル−2−スルホナトフェニル)ヒドラゾノ]−3−オキソ−3,4−ジヒドロナフタレン−2−カルボン酸二ナトリウム)を有する染料の、DC赤色7号としてまた知られる、赤の有機顔料、好ましくはレーキ、有利には、カルシウムレーキ、
35〜45重量%の、INCI名CI19140(CAS番号1934−21−0、5−ヒドロキシ−1−(4−スルホフェニル)−4−(4−スルホフェニルアゾ)ピラゾール−3−カルボン酸三ナトリウム)を有する染料の、FD&C黄色5号としてまた知られる、黄の有機顔料、好ましくはレーキ、有利には、アルミニウムレーキ、
50〜55重量%の、INCI名CI42090(CAS番号3844−45−9、エリオグラウシン二ナトリウム塩又はベンゼンメタンアミニウム、N−エチル−N−[4−[[4−[エチル[(3−スルホフェニル)メチル]アミノ]フェニル](2−スルホフェニル)−メチレン]−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリジエン]−3−スルホ−、分子内塩、二ナトリウム塩)を有する染料の、FD&C青色1号としてまた知られる、青の有機顔料、好ましくはレーキ、有利には、アルミニウムレーキ
からなる。
【0054】
別の実施形態において、黒色混合物は、
15〜20重量%の、INCI名CI15850(CAS番号5281−04−9、(4E)−4−[(4−メチル−2−スルホナトフェニル)ヒドラゾノ]−3−オキソ−3,4−ジヒドロナフタレン−2−カルボン酸二ナトリウム)を有する染料の、DC赤色7号としてまた知られる、赤の有機顔料、好ましくはレーキ、有利には、カルシウムレーキ、
50〜55重量%の、INCI名CI19140(CAS番号1934−21−0、5−ヒドロキシ−1−(4−スルホフェニル)−4−(4−スルホフェニルアゾ)ピラゾール−3−カルボン酸三ナトリウム)を有する染料の、FD&C黄色5号としてまた知られる、黄の有機顔料、好ましくはレーキ、有利にはアルミニウムレーキ、
30〜35重量%の、INCI名CI42090(CAS番号3844−45−9、エリオグラウシン二ナトリウム塩又はベンゼンメタンアミニウム、N−エチル−N−[4−[[4−[エチル[(3−スルホフェニル)メチル]アミノ]フェニル](2−スルホフェニル)−メチレン]−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリジエン]−3−スルホ−、分子内塩、二ナトリウム塩)を有する染料の、FD&C青色1号としてまた知られる、青の有機顔料、好ましくはレーキ、有利には、アルミニウムレーキ
からなる。
【0055】
本発明の一つの特別な態様は、組成物の中へカーボンブラックを含むことのなく、「深い黒」と当業者によってまた呼ばれる濃い黒を生成することにある。一般的に、濃い黒又は深い黒の生成を可能にする組成物は、特にナノスケールの粒子の形態でのカーボンブラックの使用を含む。しかし、これらの粒子は、明らかに回避すべき皮膚浸透又はさらには肺浸透の問題を呈する。本発明は、カーボンブラックを使用せず、濃い又は深い黒の顔料を使用することにより、この技術的な問題を回避する。したがって、一つの好ましい変形形態によれば、本発明の組成物は、カーボンブラックを含まず、特にカーボンブラックのナノスケールの粒子を含まない。
【0056】
黒色の減法混合物は、有利には、支持媒体中に分散される。
【0057】
典型的には、本発明による化粧品組成物は、マスカラ、頬紅、マニキュア、口紅、グロス、アイライナー、ファンデーション、アイシャドー又は皮膚装飾組成物(特に無水組成物又は乳濁液)の形態である。有利には黒の減法混合物を含んでもよい組成物の中で、化粧品組成物について、より特には、マスカラなどのアイメイクアップ組成物について言及することができる。
【0058】
1種の有利な支持媒体は、特にマニキュア又は口紅について、半透明又は透明であってもよい。
【0059】
用語「半透明な」は、「物体を識別することを可能にせずに、光を通過させること」を意味する。
【0060】
用語「透明な」は、「光を通過させ、物体を識別することを可能にする」を意味する。
【0061】
有利には、組成物は、減法混合物が中に分散される、化粧品として許容できる媒体を含む、化粧品組成物である。
【0062】
一つの好ましい実施形態によれば、組成物は、減法混合物を1重量%〜80重量%含む。
【0063】
前記減法混合物が中に分散されてもよい媒体は、固体、及び特に粉末状、ペースト状、液体又は半流動体であってもよい。
【0064】
本発明による組成物それ自体は、含む化合物において、特に限定されない。
【0065】
組成物は、組み込まれる組成物の種類にとって許容できる場合、いずれの種類の化合物又は化合物の混合物を含んでもよい。これらの化合物は、組成物の所望の機能特性(例えば、粘性、触感)及び組成物について行われる使用にとって適切である。
【0066】
化粧品組成物の場合、これらの化合物が、化粧品として許容できること、すなわち、許容できる質的及び/又は量的忍容性を超える、毒性、不適合性、アレルギー反応などなしに、ヒトの皮膚、唇、爪又はケラチン繊維に接触させるのに適切であることが必要である。この接触は、直接的又は間接的に、一般的に単純な局所施用によって実行される。
【0067】
有利には、組成物は、前記組成物を着色するために減法混合物のみ含む。
【0068】
しかし、減法混合物は、組成物の中で少なくとも1種の「光学効果」(すなわち光学的に活性な)材料と組み合わされる場合、特に驚くべき視覚効果を得ることが可能である。
【0069】
実際、前に説明した通り、皮膚、唇、爪又はケラチン繊維に施用されると、その組合せを含む組成物は、光学的に活性な材料によって生成された効果が際立つことを可能にさせる程、濃い、飽和した黒色を生成する。
【0070】
したがって、本発明による組成物は有利には、反射粒子、真珠層若しくは真珠箔若しくは干渉顔料などの偏光性着色剤、及びそれらのいずれかの混合物から選択される、少なくとも1種の「光学効果」材料を含む。
【0071】
表現「反射粒子」は、反射粒子が、メイクアップされる表面に施用される場合、組成物の表面上に輝点を創造するのに十分な強度を持って、入射光を反射することを可能にする、サイズ、構造及び表面仕上げを有する粒子を意味する。
【0072】
反射粒子は、少なくとも1種の金属又は金属酸化物などの金属化合物を含む少なくとも1層によって、少なくとも部分的にコーティングされた天然又は合成の基質を有する粒子から選択してもよい。
【0073】
基質は、ガラス、セラミック、黒鉛、金属酸化物、アルミナ、シリカ、ケイ酸塩、特にアルミノケイ酸塩及びホウケイ酸塩、並びに合成雲母から選択してもよい。
【0074】
基質をコーティングする層は、有利にはAg、Au、Cu、Al、Ni、Sn、Mg、Cr、Mo、Ti、Pt、Va、Rb、W、Zn、Ge、Te、Se、及びそれらの合金から選択される金属を含んでもよい。Ag、Au、Al、Zn、Ni、Mo、Cr、Cu及びそれらの合金(例えば、青銅及び真鍮)、又は少なくとも1種の金属化合物、特に、例えば酸化チタン、特にTiO、酸化鉄、特にFe、酸化スズ、酸化クロムから選択される金属酸化物、硫酸バリウム、並びに以下の化合物:MgF、CrF、ZnS、ZnSe、SiO、Al、MgO、Y、SeO、SiO、HfO、ZrO、CeO、Nb、Ta、MoS及びそれらの混合物又は合金。
【0075】
一つの特別な実施形態によれば、本発明の組成物は、有利には、天然又は合成起源の少なくとも1種の真珠層及び/又は少なくとも1種の真珠箔若しくは干渉顔料を含み、真珠層及び/又は少なくとも1種の真珠箔若しくは干渉顔料は、特に観測角に応じて、色又は反射における多数の変形体を有することがある。
【0076】
天然の真珠層は、真珠貝などの淡水又は海水の貝の中の炭酸カルシウムの連続堆積から生じる。
【0077】
真珠箔は、有利には、
(支持体/コーティング)構造、
天然の雲母/酸化チタン(TiO
天然の雲母/TiO/酸化鉄若しくはカルミン
天然の雲母/TiO/有機顔料
天然の雲母/オキシ塩化ビスマス/酸化鉄
合成の雲母/TiO
合成の雲母/TiO/酸化鉄若しくはカルミン
合成の雲母/TiO/有機顔料
ホウケイ酸カルシウムナトリウム/酸化鉄
ホウケイ酸カルシウムナトリウム/TiO
ホウケイ酸カルシウムナトリウム/TiO/酸化鉄
ホウケイ酸カルシウムアルミニウム/TiO/酸化鉄
ガラスプレートレット/TiO/酸化スズ
ガラスプレートレット/TiO/酸化鉄若しくはカルミン
ガラスプレートレット/TiO/有機顔料
ガラスプレートレット/銀
アルミニウム/シリカ
アルミニウム/シリカ/銀/酸化スズ
シリカ/TiO
シリカ/酸化鉄
雲母/オキシ塩化ビスマス
などのコーティングの1つ若しくは複数の層によって覆われた支持体の形態、又はさもなければ液晶若しくは、例えば1つ若しくは複数のポリエチレンテレフタレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、及びアクリレートコポリマーを含む多層のポリマー膜の形態である。
【0078】
本発明を例証するための実施例によって、プレステージ(Prestige)(登録商標)の名前で、Eckart社から販売されている、又はさもなければクロイゾネ(Cloisonne)(登録商標)、ティミカ(Timica)又はフラメンコ(Flamenco)(登録商標)の名前でBASF社から販売されている、又はさもなければコロロナ(Colorona)(登録商標)の名前でMerck社から販売されている、金属(鉄、チタン、スズ等)酸化物をベースにした層によってコーティングされた雲母支持体からなる、真珠層、真珠箔若しくは干渉顔料、ミラージュ(Mirage)(登録商標)の名前でEckart社又はリフレックス(Reflecks)の名前でBASF社から販売されている、金属酸化物をベースにした連続層によってコーティングされたホウケイ酸カルシウムナトリウム支持体からなる、真珠層、真珠箔若しくは干渉顔料、又はロナスター(Ronastar)(登録商標)の名前でMerck社から販売されている金属酸化物をベースにした連続層によってコーティングされたホウケイ酸カルシウムアルミニウム支持体からなる真珠層、真珠箔若しくは干渉顔料について、特に言及することができる。
【0079】
これらの真珠層、真珠箔又は干渉顔料とって、層の数及び各層の組成物、特に金属酸化物に関しては、観測角に応じて、様々な色相及び色の反射を得るように開発される。
【0080】
有利には、「光学効果」材料を含む組成物は、前に言及したものなどの化粧メイクアップ組成物である。
【0081】
本発明の組成物は有利には、組成物の媒体の中での減法混合物の分散及び組成物を適用する支持体に付着させることを補助するために使用される結合剤、並びに場合により少なくとも1種の膜形成剤もまた含む。
【0082】
結合剤は、合成又は天然起源であってもよく、場合により膜を形成する能力があるポリマー若しくはコポリマー、オイル若しくはワックスなどの脂肪性物質、又はさもなければ固体の充填剤から、特に選択してもよい。
【0083】
ポリマー又はコポリマーは、当業者にとって入手可能なものから選択してもよい。
【0084】
ポリマー又はコポリマーは、例えば、アルキルセルロース、特にエチルセルロース又はプロピルセルロース、ビニルエステルコポリマー、ポリブテンなどのポリアルキレン、ビニルピロリドン(VP)のコポリマー、特に、VP/エイコセン、VP/ヘキサデセン、VP/トリアセトン、VP/スチレンなどのビニルピロリドンとアルケンのコポリマー、及びVP/アクリル酸/メタクリル酸ラウリルコポリマー、シリコン樹脂、並びにそれらの混合物などの、親油性ポリマー又はコポリマーから選択してもよい。
【0085】
ポリマー又はコポリマーは、例えばタンパク質、特に小麦若しくは大豆タンパク質などの植物起源のタンパク質、ケラチン、スルホン酸タンパク質などの動物起源のタンパク質、セルロースに由来するポリマー、特にヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリルポリマー若しくはコポリマー、特にポリアクリレート若しくはポリメタクリレート、ポリビニルピロリドンなどのビニルポリマー、ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー、ビニルピロリドンとカプロラクタムのコポリマー、ポリビニルアルコール、キチン若しくはキトサンポリマー、アラビアゴム、グアーゴム、キサンタン誘導体、カラヤゴム、アルギネート、カラギーナン、グリコアミノグリカン、ヒアルロン酸及びその誘導体、又はさもなければシェラック樹脂、並びにそれらの混合物などの、親水性ポリマー又はコポリマーからまた選択してもよい。
【0086】
これらのポリマー又はコポリマーの機能は、組成物の種類に応じて異なる。これらのポリマー又はコポリマーは、組成物の粘性、堅牢性若しくは触感を改変するために、例えば使用される、又はさもなければ皮膚、唇、爪若しくはケラチン繊維に施用される、例えば化粧品組成物の場合のように、組成物が支持体に塗布される時に膜を形成する能力のために選択される。
【0087】
したがって、本発明の組成物は有利には、合体剤又は可塑剤などのアジュバントと組み合わせて使用される、少なくとも1種の膜形成ポリマー又はコポリマーを含み、アジュバントの役割は、いったん支持体に適用され、乾燥させられると、膜の形成、可塑性及び強度を改良することである。
【0088】
本発明の組成物は、減法混合物を分散する又は組成物の堅牢性及び/若しくは触感を改良するのに特に役立つために、一般的な知識に基づき当業者によって選択される1種又は複数の脂肪性物質を、追加的に含んでもよい。
【0089】
これらの脂肪性物質は、動物、植物、無機又は合成起源であってもよい。
【0090】
これらの脂肪性物質は有利には、オイル、ワックス又はさもなければペースト状の脂肪性物質から特に選択される。
【0091】
本発明のために、用語「オイル」は、室温(25℃)及び大気圧(1,013.25hPa)で液体であり、水に不溶性であるか又は25℃で水中に導入されたオイルの重量に対して10重量%未満まで可溶性である、化合物を意味すると理解される。
【0092】
用語「ワックス」は、30℃より高く一般的に90℃より低い融点を有し、固体の状態で異方性結晶配置を有する、可逆的な液体−固体の状態変化を有する脂肪性物質を意味すると理解される。
【0093】
表現「ペースト状の脂肪性物質」は、固体の状態で異方性結晶配置を有し、23℃の温度で液体画分及び固体画分を含む、可逆的な固体/液体の状態変化を有する親油性の脂肪族の化合物を意味すると理解される。
【0094】
組成物は、固体の充填剤を構成することができる粉末もまた含んでもよい。
【0095】
組成物は、前記粉末を構成する粒子の形及び/若しくは表面仕上げを改変するために、並びに/又はそれら粒子の視覚及び/若しくは感覚特性を改変するために、並びに/又はそれら粒子が使用される化粧品組成物の、特に調製の間のそれら粒子の挙動を改変するために、前処理した粉末を特に含んでもよい。
【0096】
これらの粉末の処理は、アミノ酸、ジメチコーンなどのシリコン、金属塩又はコラーゲンなどの物質を使用する、粒子の部分的又は完全なコーティングからなってもよい。
【0097】
粒子は有利には、100nmを超え200μmまでの平均直径、より特に10〜100μmの間の直径を、有する。
【0098】
組成物は、有利には、固体の形態及び特に粉末状、ペースト状、液体又は半流動体の形態である。
【0099】
本発明による組成物は、有利には、化粧品組成物、より特に皮膚、唇、爪又はケラチン繊維をメイクアップ又はケアするための組成物である。
【0100】
本発明の化粧品組成物は、有利には、マスカラ、頬紅、マニキュア、口紅、グロス、アイライナー、ファンデーション、アイシャドー又は皮膚装飾組成物(無水組成物若しくは乳濁液)である。
【0101】
化粧品組成物は、有利には、黒色からなり、及び/又は皮膚、唇、爪若しくはケラチン繊維、特にまつ毛若しくは眉毛に施用された後で、かかる色を生成することを目的とする。
【0102】
かかる組成物は有利には、ナノスケールのカーボンブラックを含んでいない。
【0103】
化粧品組成物は、部分的にのみ、黒色の組成物からまたなってもよい、例えば、黒色が減法混合物を使用して得られる、ファンデーション又はアイシャドーなどの様々な色のプレストパウダー。
【0104】
メイクアップを目的とする化粧品組成物の中の減法混合物の総量は、組成物の種類及びその塗布に応じて異なる。
【0105】
マニキュアタイプの組成物は通例、顔料(複数可)を組成物の総重量に対し0.1〜6重量%含む。
【0106】
口紅タイプの組成物は通例、顔料(複数可)を組成物の総重量に対して0.1〜15重量%含む。
【0107】
グロスタイプの組成物は通例、顔料(複数可)を組成物の総重量に対して0.1〜8重量%含む。
【0108】
ルース又はプレストパウダー(アイシャドー)タイプの組成物は通例、顔料(複数可)を組成物の総重量に対して0.1〜30重量%含む。
【0109】
ファンデーションタイプの組成物は通例、顔料(複数可)を組成物の総重量に対して0.1〜15重量%通例含む。
【0110】
パーセンテージは、実施例によってここに示されるが、しかし、生成物の安定性又は外観に悪影響を及ぼすことなく、そのパーセンテージが、上に示されたものと異なることがある組成物を調製することが可能である。
【0111】
一つの特に好ましい実施形態によれば、減法混合物が中に分散される、化粧品として許容できる媒体は、半透明又は透明である。
【0112】
媒体を形成する添加剤は、減法混合物が中に分散される半透明又は透明な相を形成するために、溶媒の中で可溶化及び/又は分散される。前記相は、本発明において「化粧品基剤」とまた呼ばれる。
【0113】
したがって、本発明は、減法混合物が中に分散される半透明又は透明な化粧品基剤、及び場合により少なくとも1種の「光学効果」材料を含むメイクアップ組成物を、一つの特別な態様によって網羅する。
【0114】
かかる組成物は、例えばニトロセルロースなどの少なくとも1種の膜形成剤、少なくとも1種の可塑剤、及び少なくとも1種のレオロジー添加物を、それ自体が有利には含む半透明又は透明な基剤から形成される、特にマニキュアであって、これらの化合物は、例えば酢酸ブチル及び/若しくは酢酸エチルなどの溶媒又は溶媒混合物の中で、可溶化及び/又は分散される。
【0115】
本発明による化粧品組成物は、保湿剤若しくは保潤剤、抗加齢剤、抗菌剤、又はさもなければ紫外線放射から保護するスクリーニング剤から特に選択される、1種又は複数の化粧品活性剤もまた含んでもよい。
【0116】
これらの活性剤は、天然又は合成起源であってもよく、植物若しくは植物の一部の抽出物、前記抽出物の溶液、又はこれら抽出物の1つから、合成又は単離される分子の形態で、特にあってもよい。
【0117】
抽出物は、いずれかの化粧品として許容できる抽出方法から、及び水、1から6個の炭素原子を含むアルコール、又はさもなければグリコールから特に選択される極性溶媒又は極性溶媒の混合物を使用する方法を特に用いて、得られてもよい。
【0118】
本発明による化粧品組成物は、保存料、抗酸化剤、香料、界面活性剤、及びレオロジー添加物から選択される1種又は複数の添加剤を、最後に含んでもよい。
【0119】
本発明の別の主題は、前述の通り組成物を調製するための方法を対象としていて、前記方法は、支持媒体の中で減法混合物の分散物を調製するステップ、及び場合により製粉するステップを含む。
【0120】
1つの好ましい実施形態によれば、減法混合物の前記分散物は、前記媒体の中で各有機顔料を別々に前分散することによって調製され、次にこれらの分散物自体は比例に応じて(in proportion)混合される。
【0121】
適切な組成物を調製するために、減法混合物を形成し、必要であれば減法混合物を分散するために、有機顔料の単純な混合を実行することが可能である。
【0122】
有利には、前記媒体は、少なくとも1種の結合剤及び場合により少なくとも1種の膜形成剤を含む。
【0123】
したがって、方法は、有利には前記の半透明又は透明な媒体が、溶媒の中の溶液の中へ膜形成剤を特に入れることによって調製される、最初のステップを含んでもよい。
【0124】
方法は、少なくとも1種の「光学効果」材料を減法混合物の前記分散物の中へ混合するステップを追加的に含んでもよい。
【0125】
本発明の別の主題は、美容ケア(cosmetic care)又はメイクアップ方法を対象としていて、その方法は、皮膚、唇、爪又はケラチン繊維上でメイクアップ効果を得るため、前に定義された又は前述の方法によって調製された化粧品組成物の適用を含む。
【0126】
本発明のその他の目的、特徴及び利点は、例証を用いて示され、したがって本発明の範囲をいずれにも限定することができない説明及び実施例を読んだ後、当業者にとって明白になる。
【0127】
実施例において、全てのパーセンテージは、特段の指示がなければ、重量によって示され、温度は、特段の指示がなければ、摂氏度で表現され、圧力は、特段の指示がなければ、大気圧である。
【実施例】
【0128】
実施例1:減法混合物の分散
下の処方(最終混合物に対する重量%)による黒色の減法混合物を含む分散物を調製した:
黒1混合物
染料FD&C青色1号(CI42090)のアルミニウムレーキ、52%
染料FD&C黄色5号(CI19140)のアルミニウムレーキ、40%
染料DC赤色7号(CI15850)のカルシウムレーキ、8%
黒2混合物
染料FD&C青色1号(CI42090)のアルミニウムレーキ、31.2%
染料FD&C黄色5号(CI19140)のアルミニウムレーキ、52%
染料DC赤色7号(CI15850)のカルシウムレーキ、16.8%
【0129】
黒1又は黒2混合物を構成する各有機顔料を、溶媒又は溶媒の混合物(酢酸ブチル及び/若しくは酢酸エチル)の中で、ニトロセルロースなどの膜形成ポリマー、少なくとも1種の可塑剤、及び少なくとも1種のレオロジー添加物から本質的になる、透明なマニキュア基剤の4重量%まで分散した。
【0130】
最終混合物を、上に示された割合でこれらの3種の分散物を使用して調製した。組成物を、レイネリ(Rayneri)凝集防止装置を使用して均一化し、次に混合した。有機顔料(黒1又は黒2)、総重量による4%を含む黒色の分散物を、そのようにして得た。
【0131】
実施例2:輝度L(CIELAB)の算定
の測定のために、実施例1において調製された減法混合物の分散物を、使用した。
【0132】
実施例1におけるのと同じマニキュア基剤の中に分散された本質的に黒い顔料(黒色酸化鉄又はカーボンブラック)を4重量%含む対照組成物を、別に調製した。
【0133】
スプレッダーバーを使用して、上の組成物をコントラストカード上へ広げることによって、厚さ300μmを有する膜を形成した。
【0134】
比色の測定が、X Rite社のMA98分光比色計によって実行される前に、膜をコントラストカード上で乾燥させた。
【0135】
輝度値Lを、10°D65光源下で得た。ダイオードアレイは、反射光に対して測定された、5つの追加の角度(15°、25°、45°、75°、110°)での反射値を捕らえた。輝度値Lを、図1において報告し、図1は、反射の5つの角度のそれぞれに対するL軸を含んだ。
【0136】
測定されたLの値(15°)を、表1において示す。
【表1】

【0137】
黒1及び黒2における減法混合物について測定されたLの値(15°)は20未満で、純粋な無機顔料について得られた値よりはるかに低かった。減法混合物を含む組成物の黒色の彩度及び飽和度は、対照組成物について得られた彩度及び飽和度より、著しく優れていた。
【0138】
実施例3:真珠光沢効果(SRRグロス)の測定
3.1「ゴールドの」光沢を有する白い真珠層によって生成される真珠光沢効果
「光学効果」材料と本発明の黒色の減法混合物との、組成物の中での組合せによって、例外的に生成される視覚効果を実証した。
【0139】
含有量2重量%の「ゴールドの」光沢を有する白い真珠層(リフレックスディメンションスパークリングゴールド)(Reflecks Dimension Sparkling Gold、BASF)を、減法混合物黒1又は黒2を含む実施例1からの分散物、及びまた実施例2からの対照組成物に加えた。Lの値並びに構成要素a及びbの値(表2)を、先行の実施例におけるのと同じ方法によって、乾燥膜で測定した。
【表2】

【0140】
軸(X軸としてa及びy軸としてb)のシステム上で報告されたのは、5つの反射の角度(15°、25°、45°、75°、110°)で測定されたそれぞれの対の値(a;b)であった。ここで「カラートラベル」と呼ばれるものを構成する一連の線分を形成するために、角度値を増すことによって、各点をつないだ(図2)。
【0141】
各線分の長さを、線分の終端を形成する各点の座標(a、b)から算定した。Σ(15°〜110°)によって表わされる線分の長さの合計を算定した(表3)。
【表3】

【0142】
Σ(15°〜110°)の値は、「カラートラベル」を表わした。その値は、角度15°〜110°の間の色の連続的な変化を代表した。最高のΣ(15°〜110°)値は、CIELAB色空間における最長のトラベルに相当し、最も視覚的な光学効果を反映した。
【0143】
Σ(15°〜110°)値は、真珠層と組み合わされた黒1又は黒2減法混合物を含む膜の場合、はるかにより高かったことが観察された。真珠層によって生成された視覚効果(「カラートラベル」)は、本質的に黒い無機顔料(黒色酸化鉄、カーボンブラック)よりむしろ、黒1又は黒2減法混合物)との組合せの中へ真珠層を組み込む場合、したがってより大きかった。
【0144】
3.2白い光沢を有する白い真珠層によって生成される真珠光沢効果
実施例3.1において記載された黒い膜の調製を、分散物中で含有量2重量%の白い光沢を有する白い真珠層(リフレックスディメンションスパークリングホワイト)(Reflecks Dimension Sparkling White、BASF)を使用して、再現した。構成要素a及びbについて得られた値を、下の表4において、まとめた。
【表4】

【0145】
調製された黒い膜の「カラートラベル」を表わすために、点を軸システム(a;b)において報告した(参照、図3)。
【0146】
線分の長さを、表5において算定した。
【表5】

【0147】
「カラージャーニー」は、本質的に黒い無機顔料(黒色酸化鉄又はカーボンブラック)を含む膜について観察された「カラージャーニー」と比べて、黒1又は黒2減法混合物と組み合わされた真珠層を含む膜について、より大きかったことが観察された。減法混合物を含む黒い膜によって生成された真珠光沢効果は、視覚的により強かった。
【0148】
実施例によって調製された膜形成組成物は、マニキュアとして使用された。膜形成組成物の爪への施用は、濃い黒色、及びまた同じ真珠層と組み合わされた本質的に黒い無機顔料によってこれまで得られたより視覚的に華やかな真珠光沢効果を有する、黒い膜を生成した。
【0149】
実施例4:マスカラ
実施例1からの黒色減法混合物の1つを中に分散した透明な基剤の形態のマスカラを調製した。
マスカラは、以下の処方(重量%)を有した:
実施例1の減法混合物 12
1,3−ブチレングリコール 10
グリセロール 20.5
膜形成アクリルポリマー 12
フェノキシエタノール 0.5
雲母 9
水 36
【0150】
減法混合物を中に分散した透明な基剤によって形成されたマスカラの、まつ毛への膜としての施用は、特に色の彩度に起因する、強い視覚効果を生成した。
【0151】
実施例5:唇のための組成物
組成物は、口紅の形態であった、及び透明な基剤の中に分散された減法混合物(実施例1)の1つを含む。
【0152】
組成物は、以下の処方(重量%)を有した:
実施例1の減法混合物 5.5
ATPA型のポリマー 16.5
エチルヘキシルヒドロキシステアレート 12
水添ポリイソブテン 55
セチルアルコール 3.2
水添スチレン/メチルスチレン/インデンコポリマー 7
ジブチルラウロイルグルタミド 0.8
*INCI=ダイマージリノール酸ビスジオクタデシルアミド/エチレンジアミンコポリマー。
【0153】
組成物は、減法混合物を中に分散した無水の透明基剤から形成された。組成物は、濃い黒の効果を生成するために、唇へ膜として施用された。
【0154】
実施例6:マスカラ
下のマスカラは、水中で乳化された不透明の基剤から形成した。その処方は、以下の通りであった(重量%):
実施例1の減法混合物 15
パラフィン 17
ヒドロキシエチルセルロース 1.3
アラビアゴム 1.7
トリエタノールアミン 2.2
パルミチン酸 2.2
ステアリン酸 2.2
ビス−ジグリセリルポリアシルアジペート−2 2.3
C18〜36トリグリセリド 3.0
ワックス 4.5
保存料 2.0
精製水 qs100
qs100:100%に達するに十分な量
【0155】
マスカラは、いったん塗布器を使用して、まつ毛に膜として施用されると、濃い、被覆する黒の膜を形成した。
【0156】
実施例7:ボディーメイクアップのための組成物
組成物は、以下の処方(重量%)を有した
実施例1の減法混合物 11
ワックス 4
ビニルピロリドン/トリアコンテンコポリマー 4
ビニルピロリドン/エイコセンコポリマー 4
増粘剤 7
充填剤 1
揮発性炭化水素ベースのオイル qs100
【0157】
組成物は、ブラシ又は均一で的確な施用を可能にする相当のデバイスを使用して、皮膚に施用された。形成された黒い膜は、皮膚に対する布のこすれに耐え、濃い黒色を生成した。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒色顔料として、黒色混合物を含み、
前記黒色混合物は、
前記混合物の重量に対して5〜20重量%の少なくとも1種の赤の有機顔料、
前記混合物の重量に対して30〜55重量%の少なくとも1種の青の有機顔料、及び
前記混合物の重量に対して35〜55重量%の少なくとも1種の黄の有機顔料
からなる、
化粧品組成物。
【請求項2】
前記混合物が、半透明又は透明な液体の支持媒体の中に分散されている、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項3】
前記有機顔料が、有機染料のレーキである、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項4】
前記青の有機顔料が、染料FD&C青色1号のレーキであり、
前記黄の有機顔料が、染料FD&C黄色5号のレーキ、染料FD&C黄色6号のレーキ、及びそれらの混合物から選択され、
前記赤の有機顔料が、染料DC赤色6号のレーキ、染料DC赤色7号のレーキ、染料DC赤色30号のレーキ、DC赤色34号のレーキ、及びそれらの混合物から選択される、
請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項5】
前記黒色混合物が、
5〜10重量%のDC赤色7号のレーキ、
35〜45重量%のFD&C黄色5号のレーキ、
50〜55重量%のFD&C青色1号のレーキ
からなる、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項6】
前記黒色混合物が、
15〜20重量%のDC赤色7号のレーキ、
50〜55重量%のFD&C黄色5号のレーキ、
30〜35重量%のFD&C青色1号のレーキ
からなる、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項7】
前記媒体が、ポリマー若しくはコポリマー、オイル若しくはワックスなどの脂肪性物質、又はさもなければ固体の充填剤から選択される少なくとも1種の結合剤、及び場合により少なくとも1種の膜形成剤を含む、請求項2に記載の化粧品組成物。
【請求項8】
反射粒子、真珠層若しくは真珠箔若しくは干渉顔料などの偏光性着色剤、及びそれらのいずれかの混合物から選択される、少なくとも1種の光学効果材料を含む、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項9】
(支持体/コーティング)構造、
天然雲母/酸化チタン(TiO
天然雲母/TiO/酸化鉄若しくはカルミン
天然雲母/TiO/有機顔料
天然雲母/オキシ塩化ビスマス/酸化鉄
合成雲母/TiO
合成雲母/TiO/酸化鉄若しくはカルミン
合成雲母/TiO/有機顔料
ホウケイ酸カルシウムナトリウム/酸化鉄
ホウケイ酸カルシウムナトリウム/TiO
ホウケイ酸カルシウムナトリウム/TiO/酸化鉄
ホウケイ酸カルシウムアルミニウム/TiO/酸化鉄
ガラスプレートレット/TiO/酸化スズ
ガラスプレートレット/TiO/酸化鉄若しくはカルミン
ガラスプレートレット/TiO/有機顔料
ガラスプレートレット/銀
アルミニウム/シリカ
アルミニウム/シリカ/銀/酸化スズ
シリカ/TiO
シリカ/酸化鉄
雲母/オキシ塩化ビスマス
などの、1つ若しくは複数の層のコーティングによって覆われた支持体の形態、又はさもなければ液晶、若しくは、例えば1つ若しくは複数のポリエチレンテレフタレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、及びアクリレートコポリマーを含む多層のポリマー膜の形態の少なくとも1種の真珠箔を含む、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項10】
固体の形態、特に粉末状、ペースト状、液体又は半流動体の形態の請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項11】
皮膚、唇、爪又はケラチン繊維をメイクアップ又はケアするための請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項12】
マスカラ、頬紅、マニキュア、口紅、グロス、アイライナー、ファンデーション、アイシャドー又は皮膚装飾製品の形態の請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項13】
半透明又は透明な媒体が、ニトロセルロースなどの少なくとも1種の膜形成剤、少なくとも1種の可塑剤、及び少なくとも1種のレオロジー添加物を含み、これらの化合物が、酢酸ブチル及び/若しくは酢酸エチルなどの溶媒又は溶媒混合物の中で可溶化及び/又は分散されている、マニキュアの形態の請求項2に記載の化粧品組成物。
【請求項14】
保存剤、抗酸化剤、香料、界面活性剤、レオロジー添加物、及びそれらのいずれかの混合物、並びに場合により1種又は複数の化粧品活性剤から選択される、1種又は複数の添加剤を含む、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項15】
カーボンブラック及び黒色酸化鉄を含まない、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項16】
半透明又は透明な支持媒体の中で黒色混合物の分散物を調製するステップ、及び場合により製粉するステップを含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の化粧品組成物を調製するための方法。
【請求項17】
前記媒体の中に各有機顔料を別々に予分散することによって、黒色混合物の前記分散物を調製し、次にこれらの分散物自体を比例に応じて混合する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記媒体が、少なくとも1種の結合剤及び少なくとも1種の膜形成剤を含む、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
減法混合物の前記分散物に少なくとも1種の光学効果材料を混合するステップを含む、請求項16〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
皮膚及び/又はケラチン繊維に請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物を施用することを含む、美容ケアの方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−214472(P2012−214472A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−84262(P2012−84262)
【出願日】平成24年4月2日(2012.4.2)
【出願人】(502189579)エルブイエムエイチ レシェルシェ (68)
【Fターム(参考)】