説明

鼻用装置

接着性鼻用装置を記載する。特に、本明細書に記載される接着性鼻呼吸装置は、患者の鼻腔と連通して着用されるように構成されており、枠体を通る通路を有する枠体と、枠体の通路と連通する空気流抵抗器と、枠体の周縁から外向きに延びる可撓性の接着性固着部層とを備えることができる。枠体区域は、多数の部品(たとえば第1のおよび第2の枠体区域など)で形成することができ、枠体を形成する部品の間に、空気流抵抗器を固定することができる。これらの接着性鼻用装置の、製造方法および組立て方法もまた記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年3月7日出願の(「Nasal Devices」という名称の)米国仮特許出願第60/905,850号、2006年11月16日出願の(「Nasal Devices」という名称の)同第60/859,715号、2006年6月7日出願の(「RESPIRATORY DEVCESという名称の」)同第第60/811,814号の優先権を主張する。これらの仮特許出願はそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本明細書に記載される装置、方法、およびキットは、一般に鼻用装置に関する。これらの鼻用装置は、特に心臓血管医学、睡眠医学、呼吸器学、胃腸病学、および内科学の分野における医学的障害を治療するために、治療的に使用することができる。
【0003】
鼻呼吸装置は、それぞれその全体が本明細書に組み込まれる以下の米国特許出願、すなわち2005年12月8日出願の(「NASAL RESPIRATORY DEVICES」という名称の)米国特許出願第11/298,640号、2005年12月8日出願の(「RESPIRATORY DEVICES」という名称の)米国特許出願第11/298,339号、および2005年12月8日出願の(「METHODS OF TREATING RESPIRATORY DISORDERS」という名称の)米国特許出願第11/298,362号において、よく説明されている。これらの特許出願は、鼻呼吸装置、およびそのような装置の使用により様々な医学的疾患を治療するための方法を、一般的に説明する。これらの特許出願は、鼻呼吸装置の変形形態を一般的に説明しているが、鼻呼吸装置のいくつかの具体的な変形形態は、以前に説明されておらず、使用および製造の両方におけるさらなる特性を提供することができる。以下で、新規の鼻用装置、鼻用装置のための付属品、鼻用装置の使用方法および製造方法、ならびに鼻用装置を備えるキットについて説明する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願第11/298,640号
【特許文献2】米国特許出願第11/298,339号
【特許文献3】米国特許出願第11/298,362号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、接着性鼻用装置の具体的な変形形態、接着性鼻用装置のための付属品、接着性鼻用装置の製造方法、接着性鼻用装置の使用方法、および接着性鼻用装置を備えるキットについて説明する。接着性鼻用装置は、一方または(より典型的には)両方の鼻孔を通る空気流を調整するために、患者が着用することができる。以下でより詳細に説明するように、接着性鼻用装置は、鼻孔を通る空気流が主に(または専ら)鼻用装置を通過するように、患者の(一方または両方の)鼻孔上またはその内部に少なくとも部分的に固定することができる。一般に、接着性鼻用装置は、接着剤によって患者の鼻孔上に取外し可能に固定される。
【0006】
本明細書で使用する「接着性鼻用装置」という用語は、患者の鼻孔の一方または両方を覆うための装置を指すことができる。すなわち、本明細書中の説明は全体的に、患者の両方の鼻孔上に嵌るようになされた鼻呼吸装置に当てはめることができる。
【0007】
本明細書に記載する接着性鼻用装置は、枠体を備えることができ、枠体は、それを貫通して形成された1つまたは複数の通路を有する。空気流抵抗器(たとえば弁)は、接着性鼻用装置の枠体を通る通路と連通させて固定することができる。空気流抵抗器は、鼻孔に出入りし装置を通る空気流を、調節することができる。特に、空気流抵抗器は、吸息よりも呼息を多く妨げることができる。いくつかの変形形態では、接着性鼻用装置は、2つの空気流抵抗器を備え、これらの空気流抵抗器は、空気流抵抗器と各鼻孔が流体連通するように構成される。いくつかの変形形態では、接着性鼻用装置は、各鼻孔と連通させて着用される(すなわち患者は、2つのそのような装置を着用することができる)。さらに、接着性鼻用装置は、接着性固着部(または固着部区域)を備え、接着性固着部は、接着性鼻用装置を患者の鼻(1つはまた複数の)通路と連通させて固定するように構成される。
【0008】
患者の鼻腔と連通して固定される(たとえば取外し可能に固定される)ようになされた接着性鼻用装置を、本明細書に記載する。装置は、枠体を通る通路を有する枠体と、枠体の通路と連通する空気流抵抗器と、枠体の周縁から外向きに延び接着基材および生体適合性接着剤を備える、薄く可撓性を有する接着性固着部層と、生体適合性接着剤の少なくとも一部を露出させるように、接着性固着部から取り外されるように構成された保護カバーとを備えることができる。空気流抵抗器は、吸息中の空気流よりも呼息中の空気流を多く妨げるように構成することができる。
【0009】
枠体は、堅く、または剛性を有する枠体とすることができ、あるいはいくつかの例では、可撓性を有しまたはより小さい剛性を有することができる。いくつかの変形形態では、接着性固着部層は、薄い層であり、この層は、2つの面上の実質的に平坦な表面と、2つの面の間の比較的薄い縁部とを有する。これら2つの面の一方は、皮膚接触(接着)面として構成することができる。いくつかの変形形態では、剛性の枠体は、内側枠体に固定された外側枠体を備える。本明細書に記載する、「外側枠体」という用語は、装置が患者によって着用されるときに患者から最も遠くに延びる枠体の部分を指すことができ、「内側枠体」という用語は、装置が患者によって着用されるときに最も患者の付近にある部分を指すことができる。いくつかの変形形態では、枠体は、外側および内側枠体区域に相当する、第1のおよび第2の枠体区域によって構成される。別の変形形態では、第1および第2の枠体区域は、側方および中間枠体区域(たとえば隣り合う側方および中間枠体区域)に相当する。
【0010】
空気流抵抗器は、剛性枠体内を含めた任意の区域にて、通路と連通させて固定することができる。たとえば空気流抵抗器は、第1の枠体区域と第2の枠体区域との間に固定することができる。
【0011】
いくつかの変形形態では、接着性鼻用装置は、第2の枠体を通る第2の空気流通路を有する第2の枠体と、第2の空気流通路と連通して固定される第2の空気流抵抗器とを備える。すなわち接着性鼻用装置は、2つの通路を有することができ、各通路は、患者の一方の鼻通路または鼻孔と連通させて構成することができる。接着性固着部は、第1の枠体と第2の枠体とを連結するブリッジを含むことができる。接着性鼻用装置はまた、装置の付着または取外しを行う患者によって把持されるように構成された、つまみまたは取手を備えることもできる。たとえば固着部区域は、つまみまたは取手を備えることができる。
【0012】
空気流抵抗器は、任意の適当な空気流抵抗器とすることができる。たとえば空気流抵抗器は、フラップ弁を備えることができる。装置の様々な区域および構成要素は、任意の適当な材料で製作することができるが、装置は患者によって着用されるので、特に生体適合性材料で製作することができる。たとえば枠体は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、およびポリエーテルエーテルケトンからなる群から選択される医療グレードのプラスチックを含めた、医療グレードのプラスチックで製作することができる。
【0013】
患者の鼻腔と連通して固定されるようになされた接着性鼻用装置も、本明細書に記載される。これらの装置は、第1の枠体と、第2の枠体(第1の枠体が第2の枠体に取り付けられ、組み合わされた第1および第2の枠体は、それらを通る空気流通路を備える)と、空気流通路と連通する空気流抵抗器と、組み合わされた第1および第2の枠体に固定された接着性固着部とを備えることができ、接着性固着部は、鼻用装置を患者の鼻の穴と位置合せして固定するように構成された、生体適合性接着剤を備える。
【0014】
上記で説明したように、空気流抵抗器は、吸息中の空気流よりも呼息中の空気流を多く妨げるように構成することができる。たとえば空気流抵抗器は、第1の枠体と第2の枠体との間に固定することができ、フラップ弁として構成することができる。第1の枠体は、任意の固定手段によって、第2の枠体に取り付けることができる。たとえば、第1および第2の枠体区域は、スナップ嵌めまたは締り嵌めによって、溶接(たとえば超音波溶接)によって、糊またはエポキシなどによって、互いに取り付けることができる。これらの装置は、第4の枠体に取り付けられた第3の枠体を備えることができ、組み合わされた第3および第4の枠体は、それらを通る第2の空気流通路を備え、第2の空気流抵抗器は、第2の空気流通路と連通して固定され、接着性固着部は、組み合わされた第1および第2の枠体と組み合わされた第3および第4の枠体との間の、ブリッジを備えることができる。
【0015】
第1の枠体(および存在する場合は第3の枠体)は、フランジ付きの枠を備えることができる。接着性固着部は、可撓性接着基材を備えることができる。接着性固着部は、接着基材の接着性区域からカバーを取り外すことによって取り外されるように構成された、保護カバーを備えることができる。すなわち保護カバーは、固着部のこの区域が患者に接着剤で固定されるまで、接着剤を保護する。接着性固着部は、環状区域内に開口部を備えることができ、そこを通って、組み合わされた第1および第2の枠体区域が延びる。すなわち、いくつかの変形形態では、接着性固着部は、組み立てられた枠体の外側周囲に沿って延びる。
【0016】
上述のように、接着性固着区域は、装置の付着または取外しを行う患者によって把持されるように構成された、つまみを備えることができる。さらに、枠体(たとえば、第1および第2の枠体)は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、およびポリエーテルエーテルケトンなど、医療グレードのプラスチックで製作することができる。空気流抵抗器は、フラップ弁とすることができ、フラップは、シリコーンまたは熱可塑性ウレタンで製作することができる。接着性固着部は、シリコーン、ポリウレタン、またはポリエチレンで製作された、接着基材を備えることができる。生体適合性接着剤は、親水コロイドまたはアクリル材料とすることができる。
【0017】
患者の一方または両方の鼻腔と連通して固定される(たとえば取外し可能に固定される)ようになされた、接着性鼻用装置も記載され、この接着性鼻用装置は、内側枠体を通る少なくとも1つの空気流通路を有する内側枠体と、外側枠体を通る少なくとも1つの空気流通路を有する外側枠体と(外側枠体は、内側枠体の空気流通路が外側枠体の空気流通路と連続するように内側枠体に取り付けられる)、内側枠体区域と外側枠体区域との間で空気流通路内に固定された空気流抵抗器と、外側枠体と内側枠体との間に固定された接着性固着部とを備える。
【0018】
本明細書には、接着性鼻用装置の接着性固着区域から保護カバーを取り外すステップと(接着性鼻用装置は、枠体を通る通路を有する枠体と、枠体の通路と連通する空気流抵抗器と、枠体の周縁から外向きに延びる可撓性の接着性固着部層とを備える)、接着性鼻用装置を患者の鼻腔(または両方の鼻腔)に取り付けるステップとを含む、患者を治療する方法も記載される。本明細書に記載されるいずれの変形形態においても、接着性固着部は、生体適合性接着剤を含む接着基材層を備えることができる。この接着性固着部は、接着性固着部の皮膚接触表面が枠体を通る通路の軸から、実質的に垂直になるように延びることができる。いくつかの変形形態では、皮膚接触表面(たとえば、装置を接着剤により使用者に固定するように構成された表面)は、枠体を通る空気流通路の軸から外れる。
【0019】
第1の枠体と第2の枠体の間に空気流抵抗器を配置するステップと、接着性固着部を第1の枠体と第2の枠体の間に配置するステップと、空気流抵抗器および接着性固着部を第1の枠体と第2の枠体の間に固定するように、第1の枠体を第2の枠体に固定するステップとを含む、接着性鼻用装置の製作方法も記載される。
【0020】
第1の枠体と第2の枠体を互いに固定することによって、枠体を通る通路を有する枠体を形成するステップと、空気流抵抗器を空気流通路内に固定するステップと、接着性固着部を枠体に固定するステップとを含む、接着性鼻用装置の製作方法も記載される。
【0021】
この明細書で述べるすべての出版物、特許、および特許出願は、個々の出版物または特許出願がそれぞれ、その全体が参照により組み込まれると具体的かつ個別に指示される場合と同じ程度に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0022】
本発明の特徴および利点は、本発明の原理を利用する例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明、および添付の図面を参照することによって、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1A】図1Aは、本明細書に記載するような接着性鼻用装置の一変形形態を示す底部斜視図である。
【図1B】図1Bは、本明細書に記載するような接着性鼻用装置の一変形形態を示す頂部斜視図である。
【図2】図1の接着性鼻用装置を示す分解図である。
【図3】接着性鼻用装置の別の変形形態を通る断面図である。
【図4A】図4Aは、本明細書に記載するような枠体の一変形形態を示す断面図である。
【図4B】図4Bは、本明細書に記載するような枠体の一変形形態を示す断面図である。
【図5A】図5Aは、図4に示す変形形態と同様の内側枠体区域を示す頂部斜視図である。
【図5B】図5Bは、図4に示す変形形態と同様の内側枠体区域を示す底部斜視図である。
【図6A】図6Aは、本明細書に記載するような外側枠体の一変形形態を示す頂部斜視図である。
【図6B】図6Bは、本明細書に記載するような外側枠体の一変形形態を示す底部斜視図である。
【図7A】図7Aは、接着性鼻用装置の変形形態を示す図である。
【図7B】図7Bは、接着性鼻用装置の変形形態を示す図である。
【図7C】図7Cは、接着性鼻用装置の変形形態を示す図である。
【図8A】図8Aは、本明細書で説明するようなフラップ弁装置のためのフラップを示す斜視図である。
【図8B】図8Bは、本明細書で説明するようなフラップ弁装置のためのフラップを示す斜視図である。
【図8C】図8Cは、本明細書で説明するようなフラップ弁装置のためのフラップを示す斜視図である。
【図8D】図8Dは、本明細書で説明するようなフラップ弁装置のためのフラップを示す斜視図である。
【図8E】図8Eは、本明細書で説明するようなフラップ弁装置のためのフラップを示す斜視図である。
【図8F】図8Fは、本明細書で説明するようなフラップ弁装置のためのフラップを示す斜視図である。
【図9】本明細書に示すような接着性鼻用装置の一部に固定されたフラップ弁を示す図である。
【図10A】図10Aは、接着性鼻用装置の接着性固着区域を示す図である。
【図10B】図10Bは、接着性鼻用装置の接着性固着区域を示す図である。
【図10C】図10Cは、接着性鼻用装置の接着性固着区域を示す図である。
【図11A】図11Aは、接着性固着区域の全体的な形状の一変形形態を示す図である。
【図11B】図11Bは、接着性固着区域の全体的な形状の別の変形形態を示す図である。
【図11C】図11Cは、接着性固着区域の全体的な形状の別の変形形態を示す図である。
【図11D】図11Dは、接着性固着区域の全体的な形状の別の変形形態を示す図である。
【図11E】図11Eは、接着性固着区域の全体的な形状の別の変形形態を示す図である。
【図12A】図12Aは、接着性固着部のさらなる変形形態を示す図である。
【図12B】図12Bは、接着性固着部のさらなる変形形態を示す図である。
【図12C】図12Cは、接着性固着部のさらなる変形形態を示す図である。
【図13A】図13Aは、さらなる接着性固着区域を示す図である。
【図13B】図13Bは、さらなる接着性固着区域を示す図である。
【図13C】図13Cは、さらなる接着性固着区域を示す図である。
【図14A】図14Aは、接着性固着部の変形形態を示す図である。
【図14B】図14Bは、接着性固着部の変形形態を示す図である。
【図15】接着性固着部の別の変形形態を示す図である。
【図16A】図16Aは、接着性固着区域の代替変形形態を示す図である。
【図16B】図16Bは、接着性固着区域の別の代替変形形態を示す図である。
【図16C】図16Cは、接着性固着区域の別の代替変形形態を示す図である。
【図17A】図17Aは、接着性固着区域の代替変形形態を示す図である。
【図17B】図17Bは、接着性固着区域の別の代替変形形態を示す図である。
【図17C】図17Cは、接着性固着区域の別の代替変形形態を示す図である。
【図17D】図17Dは、接着性固着区域の別の代替変形形態を示す図である。
【図17E】図17Eは、接着性固着区域の別の代替変形形態を示す図である。
【図18A】図18Aは、接着性鼻用装置の接着性固着区域の変形形態を示す図である。
【図18B】図18Bは、接着性鼻用装置の接着性固着区域の変形形態を示す図である。
【図18C】図18Cは、接着性鼻用装置の接着性固着区域の変形形態を示す図である。
【図19A】接着性鼻用装置の一変形形態を示す図である。
【図19B】患者の鼻腔に付着させられた図19Aの装置を示す図である。
【図20】患者の鼻腔に付着させられた接着性鼻用装置を示す底面図である。
【図21】接着性鼻用装置の一変形形態のアセンブリを示す図である。
【図22A】接着性鼻用装置のアセンブリの別の例を示す図である。
【図22B】接着性鼻用装置の2つの区域の間の連結を示す図である。
【図23A】図23Aは、固着部を鼻用装置に固定する一方法を示す図である。
【図23B】図23Bは、図23Aに示すような装置を示す頂面図である。
【図24A】接着性鼻用装置のアセンブリの別の例を示す図である。
【図24B】接着性鼻用装置の一変形形態を、どのように患者の鼻孔内に挿入し定位置に固定することができるかを示す図である。
【図25A】図25Aは、接着性鼻用装置を形成する、枠体区域および接着性固着区域の1つの設計の変形形態を示す図である。
【図25B】図25Bは、接着性鼻用装置を形成する、枠体区域および接着性固着区域の別の設計の変形形態を示す図である。
【図25C】図25Cは、接着性鼻用装置を形成する、枠体区域および接着性固着区域の別の設計の変形形態を示す図である。
【図25D】図25Dは、接着性鼻用装置を形成する、枠体区域および接着性固着区域の別の設計の変形形態を示す図である。
【図25E】図25Eは、接着性鼻用装置を形成する、枠体区域および接着性固着区域の別の設計の変形形態を示す図である。
【図26A】図26Aは、組み立てられた接着性鼻用装置を通る断面を示す図である。
【図26B】図26Bは、組み立てられた接着性鼻用装置を通る断面を示す図である。
【図26C】図26Cは、組み立てられた接着性鼻用装置を通る断面を示す図である。
【図27A】図27Aは、接着性固着区域の一構成を示す図である。
【図27B】図27Bは、患者による着用時の図27Aの変形形態を示す図である。
【図27C】図27Cは、接着性固着区域の別の構成を示す図である。
【図27D】図27Dは、患者による着用時の図27Cの変形形態を示す図である。
【図28A】図28Aは、フィッティングアダプタを示す図である。
【図28B】図28Bは、フィッティングアダプタを示す図である。
【図29A】図29Aは、鼻カニューレアダプタに適合する接着性鼻用装置の一変形形態を示す底面図である。
【図29B】図29Bは、鼻カニューレアダプタに適合する接着性鼻用装置の別の変形形態を示す底面図である。
【図30A】図30Aは、カニューレアダプタを示す図である。
【図30B】図30Bは、カニューレアダプタを示す図である。
【図31】接着性鼻用装置に係合させられたカニューレアダプタの断面を示す図である。
【図32A】図32Aは、カニューレアダプタの別の変形形態を示す図である。
【図32B】図32Bは、カニューレアダプタの別の変形形態を示す図である。
【図33】1対のカニューレアダプタへの鼻カニューレの連結を示す図である。
【図34】接着性鼻用装置の別の変形形態を示す図である。
【図35】接着性鼻用装置の別の変形形態を示す図である。
【図36A】枠体区域の一変形形態を示す図である。
【図36B】図36Bは、枠体区域の別の変形形態を示す側方斜視図である。
【図36C】図36Cは、枠体区域の別の変形形態を示す端面図である。
【図37A】図37Aは、第1の枠体区域を示す側方斜視図である。
【図37B】図37Bは、第2の枠体区域を示す側方斜視図である。
【図38A】図38Aは、本明細書に示すいかなる装置とともに使用することもできるフラップ弁の一変形形態を示す図である。
【図38B】図38Bは、本明細書に示すいかなる装置とともに使用することもできるフラップ弁の別の変形形態を示す図である。
【図39A】図39Aは、接着性鼻用装置の一部の一変形形態を示す側方斜視図である。
【図39B】図39Bは、図39Aの装置を通る断面を示す図である。
【図39C】図39Cは、接着性鼻用装置の一部の別の変形形態を示す側方斜視図である。
【図39D】図39Dは、図39Cの装置を通る断面を示す図である。
【図40A】図40Aは、外側枠体の一変形形態を示す斜視図である。
【図40B】図40Bは、内側枠体の一変形形態を示す斜視図である。
【図41A】図41Aは、接着性鼻用装置のための枠体の一変形形態を示す斜視図である。
【図41B】図41Bは、図41Aの枠体を示す、例示的な寸法(ミリメートル(インチ))を含む斜視図である。
【図41C】図41Cは、図41Aの枠体を示す、例示的な寸法(ミリメートル(インチ))を含む斜視図である。
【図41D】図41Dは、図41Aの枠体を示す、例示的な寸法(ミリメートル(インチ))を含む斜視図である。
【図42A】図42Aは、本明細書に記載される接着性鼻用装置の1つの使用方法を示す図である。
【図42B】図42Bは、本明細書に記載される接着性鼻用装置の1つの使用方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
接着性鼻呼吸装置は、一般的な鼻呼吸装置の1つの変形形態であり、この装置では、装置を患者の鼻孔の一方または両方と流体連通させて固定するために、接着性固着区域が使用される。接着性呼吸装置を含めた鼻呼吸装置は、装置を着用する患者内に、呼吸中に呼気終末陽圧(「PEEP」)または呼気気道陽圧(「EPAP」)を生み出すために使用することができる。本明細書で説明される接着性呼吸装置および方法は、様々な医学的疾患状態を治療するために有用となることがあり、また、非治療目的で有用となることもある。本明細書で説明される装置および方法は、説明される特定の実施形態に限定されない。説明される特定の実施形態の変形形態を製作することができ、それは依然本開示の範囲内に含まれる。説明される実施例および特定の実施形態は、限定を意図するものではないことも理解されたい。
【0025】
本明細書で使用されるように、接着性鼻用装置は、単一の鼻孔の内部に、少なくとも部分的に単一の鼻孔の内部に、単一の鼻孔上に、少なくとも部分的に単一の鼻孔上に、および/または単一の鼻孔の周りに嵌るように構成することができ(たとえば「単一鼻孔用鼻用装置」)、あるいは、両方の鼻孔の内部に、少なくとも部分的に両方の鼻孔の内部に、両方の鼻孔上に、少なくとも部分的に両方の鼻孔上に、および/または両方の鼻孔の周りに嵌るように構成することができる(「鼻全体用鼻用装置」)。単一鼻孔用鼻用装置および鼻全体用鼻用装置の両方を、本明細書では「接着性鼻用装置」と呼ぶことができ、文脈によりそうではないことが指示されない限り、単一鼻孔用鼻用装置に関して説明されるいかなる特徴も、鼻全体用鼻用装置で使用することができ、またその逆も可能である。いくつかの変形形態では、接着性鼻用装置は、2つの単一鼻孔用鼻用装置から形成され、それらの装置は、患者の鼻腔に付着させることができる一体の接着性鼻用装置を形成するように連結される。単一鼻孔用鼻用装置は、ブリッジ(または連結具と呼ぶこともできるブリッジ区域)によって、連結することができる。ブリッジは、(たとえば可撓性など)可動式とすることができ、それにより接着性鼻用装置を、様々な相貌に適合するように調整することができる。ブリッジは、鼻用装置と一体化することができる。ブリッジ区域の例を、以下でより詳細に説明する。いくつかの変形形態では、ブリッジによって連結されないが接着性区域をそれぞれ備え、それにより(使用者が着用するときに)接着性固着区域が患者の鼻の上で重なってブリッジを形成することができる、単一鼻孔用鼻用装置が使用され、このブリッジは、取外しを容易にする。
【0026】
この明細書で使用する単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈がそうではないことを明言しない限り、複数形の指示対象を含む。以下の説明は、様々な設計パラメータまたは目的、ならびに設計パラメータまたは目的に適合する方法および装置を含む。本明細書で説明される(かつ、いずれかの請求項によって説明される)装置および方法は、動作のいかなる特定の理論にも限定されないことが理解されるべきである。
【0027】
一般に、接着性鼻用装置は、1つまたは複数の通路を有し空気がそこを通過して鼻孔に出入りする枠体と、装置を患者の鼻孔、鼻孔上、および/または鼻孔内に固定するための接着性固着部と、(1つまたは複数の)通路内の空気の通過を調節するための空気流抵抗器(たとえば1つまたは複数の弁)とを備える。図から明らかになるように、これらの装置の多くは、特別なツールを用いずに使用者によって取外し可能および挿入可能とすることができる。
【0028】
動作に際しては、接着性鼻用装置は、患者の1つまたは複数の鼻腔を通る空気流を調整するために、患者の鼻孔の一方または両方と連通して配置される。すなわち、本明細書で説明される呼吸装置は、鼻を通る空気流を少なくとも一方向で調整するための、1つまたは複数の空気流抵抗器を備える。本明細書で説明する装置のほとんどの変形形態において、空気流抵抗器は、通路を通る空気流を、反対方向で遮るよりも多く、一方向で遮るように構成される。たとえば空気流抵抗器は、吸息中よりも呼息中に、空気流を多く遮ることができる。空気流抵抗器の例を以下で説明するが、空気流抵抗器は、弁型空気流抵抗器(たとえばフラップ弁、無蝶板弁、バルーン弁、ステッパ弁、ボール弁)などを含むことができる。
【0029】
本明細書で説明する多くの接着性鼻用装置を使用するために、患者はまず、装置の外部接着性区域(固着部)から保護被覆材料を取り外し、装置を鼻孔の周りに接着させるように緩やかな圧力を加えることによって、接着性呼吸装置を自分の鼻腔(または複数の鼻腔)上に付着させる。このようにして装置は、鼻の穴の周りに着座させることができ(かつ少なくとも部分的に鼻孔内に貫入させることができ)、鼻孔と装置の間に少なくとも部分的な封止を形成することができ、それにより、鼻孔に出入する流れの大部分が、鼻用装置の通路を通過する。装置を患者の鼻に付着させると、鼻孔を通る呼吸を調節することができる。いくつかの変形形態では、接着性鼻用装置は、吸息中の鼻用装置を通る抵抗がわずかにしか存在しないが、呼息中の空気流への抵抗が増大するように構成される。そのような装置を着用する患者内での吸息中に、患者は鼻を通して(したがって鼻用装置を通して)呼吸することができる。呼息中に、接着性鼻用装置は、装置を通る空気流に対してより大きい抵抗をもたらす。すなわち、患者は依然、主に鼻(および鼻用装置)を通して呼吸することができるが、少なくとも部分的に口で呼吸することもできる。
【0030】
患者が鼻呼吸装置を、(たとえば睡眠時間中など)長時間にわたり着用することが有利となることもある。着用、および患者の鼻または鼻道の内部またはその上への固定が快適な、接着性鼻用装置の変形形態を以下で説明する。いくつかの変形形態では、患者の鼻孔、鼻、または顔への装置の固定を助けるために、把持部(たとえばつまみ、取手、ストラップ、またはその他の追加中間区域)を備えることができ、把持部はさらに、またはあるいは、特に装置を付着させるときの、装置の位置決めまたは操作(たとえば把持)に役立つことがある。この追加中間区域は、接着性固着区域と同じ材料で形成することができ、または以下でより詳細に説明するように、別の区域とすることができる。
【0031】
装置のいくつかの変形では、(標準的なPAP管機構に連結するための追加のアダプタを用いてまたは用いずに)枠体と組み合わせた接着性固着部を、気道内陽圧機械(たとえばCPAP、VPAP、BiPAPなど)および当業者によく知られた関連する管機構とともに使用することができる。患者の頭部または顔面への管機構の取付けを補助するために、ヘッドギアおよび/またはストラップが依然必要となることがある。
【0032】
図1Aおよび図1Bは、本明細書で説明するような接着性鼻用装置の、1つの例示的な変形形態の斜視図を示し、図2は、同じ変形形態の分解図を示し、図3は、この変形形態を通る断面を示す。図1Aは、着用時に患者の鼻に直面しない面となるように構成された装置の「外」面を見せる、接着性鼻用装置の斜視図を示す。図1Aに示す装置は、2つの単一鼻孔枠体101、および単一の接着性固着部104を備える。固着部104(この変形形態では患者に固定される)は、裏打ちまたは接着基材105を備える層構造として示されている。この裏打ちは、接着材料用の基材として作用することができ、またはそれ自体を接着性とすることができる。固着部104は、枠体101を取り囲む2つの鼻周囲区域を含む、様々な区域を有することができる。各枠体は、空気流を通すための少なくとも1つの通路108を有する。接着性固着部はまた、装置の把持、付着、および取外しを容易にすることができる、2つのつまみまたは把持部区域110を備える。ブリッジ区域112も示されている。この例では、ブリッジ区域は、接着性固着部の一部であり(たとえば接着性固着部と同じ基材で形成され)、鼻周囲区域を連結する。つまみおよびブリッジ区域は、固着部材料の一部として(固着部材料と一体に)形成されるものとして示すが、これらの区域は、別々に形成することもでき、異なる材料で製作することができる。
【0033】
図1Aの例示的な装置内に示す枠体区域101は、それぞれ通路108を包囲する外側枠体区域に相当する。以下で説明するように、これら第1の(たとえば外側)枠体区域は、第2の(たとえば内側)枠体区域と対合して、通路108を備える装置の(1つまたは複数の)枠体区域を形成することができる。この例におけるこれらの通路は、空気流制限器の運動を部分的に支援または制限することができる、交差支持部材114(たとえば十字ビームまたは十字ストラットなど)によって分断される。さらに、各枠体区域101は、2つの漏れ通路116を備えており、装置を通る通路が空気流抵抗器によって別のやり方で遮断されるときでも、漏れ通路116を通して空気を通過させることができる。漏れ通路116はここでは、楕円形外側枠体区域の狭い端部にある小さい開口部として示される。枠体区域は、装置の「枠」または「骨格」区域と呼ばれることもある。
【0034】
図1Bは、図1Aに示す接着性鼻用装置の反対の面、すなわち装置の「内面」の斜視図を示す。装置の内面は、患者に直面し、装置のこの面の一部が、患者に接触することがある。装置のこの面、特に装置の接着性固着部は、固着部104の一部を形成する(保護カバー107によって被覆することができる)接着剤を備える。いくつかの変形形態では、固着部104の皮膚に対面する面の全体が、表面上に接着剤を備えるが、いくつかの変形形態では、この区域の一部のみが接着剤を備える。接着剤は、固着部の個別の層とすることができ(たとえば接着基材の頂部に重ねることができ)、または固着部の一体部分とすることができる(たとえば接着基材を接着材料で製作することができる)。いくつかの変形形態では、接着剤は、装置(たとえば固着部区域)に使用前に別個に加えることができる。接着材料は、裏張りが取り外されるまで接着剤が表面に貼り付くことを防止するために、取外し可能な保護カバーまたは裏張り107によって被覆することができる。図1Bでは、保護カバー107は、固着部の皮膚対面表面全体を被覆する。装置は、まず裏張りを取り外すことによって付着させることができる。たとえば、裏張りを剥がして接着剤を露出させることができる。いくつかの変形形態では、接着剤を保護する裏張りを、部分的に取り外すことができる。たとえば、装置のつまみ区域121は、その他の裏張り区域が取り外されるときつまみ区域を覆ったままとなる、別個の(または追加の)裏張りを備えることができる。これにより、つまみ区域を皮膚に接着させずに、つまみ区域によって装置を保持することを可能にすることができる。カバーまたはカバーの一部を取り外した後に、枠体を通る通路が患者の鼻腔の開口部と位置合せされるように、装置を患者の鼻腔の周りの皮膚に位置決めし、接着させることができる。いくつかの変形形態では、追加の接着性カバー区域(たとえばつまみ121を覆う保護カバー区域など)を次に取り外して、装置を患者の鼻の残りの部分に固定することができる。接着性カバーは、接着剤からの保護カバーの取外しを補助する折目(またはしわ、ひだ、リップなど)を備えることができる。
【0035】
図1Bの例示的な装置内に示す第2のまたは内側枠体区域103は、内側へと先細になる縁部を備えて形成され、そのため、患者が装置を着用するとき、患者の鼻孔の開口部内に少なくともわずかに適合することができる。内側枠体は、図1Aに示す通路108に相当する1つまたは複数の通路108を備える。同様に、漏れ通路は、枠体(内側および外側枠体の両方)を、完全に貫通する。図1Bに示す(1つまたは複数の)内側枠体区域の先細外壁は、平滑なものとして示されており、それらを患者の鼻孔内に固定するための、または損傷または不快感を防ぐためにそれらを緩衝するための、(たとえば補助固着部材料など)追加の材料を備えることもできる。これらの表面はまた、接着性鼻用装置が患者の鼻内に着用されるときの快適さを高めるために、より大きくまたはより小さく角度付けすることができる。十字バー(蝶板区域115)もまた、内側枠体の一部として設けることができる。内側枠体103は、図1Bに示すように、固着部の鼻周囲環状区域より上に、いくらかの距離だけ延ばすことができる。この距離は、体組織に接触する可能性がある空気流抵抗器のなんらかの部分(たとえばフラップ弁のフラップ部分など)が、装置外および鼻腔内に延びることを妨げるのに十分な距離とすることができる。
【0036】
図2は、図1Aおよび図1Bに示す接着性鼻用装置の、(図1Bに示す視点と同様の)装置の内面の視点からの分解図を示す。この分解図は、装置の5つの構成要素、すなわち、第1のおよび第3の(たとえば内側)枠体区域、103、103’、第2および第4の(たとえば外側)枠体区域、101、101’、空気流抵抗器(この例ではフラップ弁201)、(接着剤を備える)接着基材105、ならびに接着剤層上に適合する保護カバー107を示す。分解図に示すように、層状固着部(接着基材105および接着剤を含む)および空気流抵抗器201を2つの枠体部片101、103間に固定するために、第1枠体区域103と第2の枠体区域101とを互いに締付けることができる。これは、図3に示す断面図に詳細に示される。
【0037】
図3は、図1A、図1B、および図2に示す2つの区域のうちの一方を通る断面を示す。この断面は、2つの枠体のうちの一方の中心を通り(楕円形枠体の短軸を通り)、蝶板区域115(図1B参照)を真っ直ぐ通る。この例示的な装置内の空気流抵抗器は、フラップ弁タイプの空気流抵抗器であり、図3に示すような、内側枠体区域103と外側枠体区域101の間に固定された可撓性フラップ弁201を有する。フラップ弁201は、第1の枠体区域103および第2の枠体区域101の圧迫、ならびにフラップ弁201内の開口部を通過する2つのポスト301の、両方によって固定される。図3において、ポスト301は外側枠体区域101から上向きに突出する。外側枠体区域101と内側枠体区域103は、309の矢印で指示される摩擦嵌め(たとえばスナップ嵌めなど締り嵌め)によって、互いに固定することができる。すなわち、内側および外側枠体区域は互いに対合して、枠体を形成することができる。
【0038】
図3において、固着部区域(接着剤および接着基材105を含む)は、図示のように、第1の(内側)枠体区域103と第2の(外側)枠体区域101との間に固定され、それら2つの間の定位置で保持される。この例では、内側枠体区域は、縁部または環状区域305を備え、区域305は、固着部(たとえば接着基材105)内に押し下げられ、固着部を上方枠体区域103に接触させて固定する。いくつかの変形形態では、枠体区域は、内側枠体区域と外側枠体区域の間に固着部を固定する、ポスト、把持部、または対合区域を備えることができる。保護カバー107は、基材105の接着面を被覆して、カバーが取り外され装置が患者に付着させられるまで接着剤を保護する。
【0039】
この例では、接着性固着部は、基材層と、接着剤被膜と、接着剤被膜を保護するための保護カバーとを含む、層構造である。すなわち、接着性固着部は、比較的平坦な構造であり、枠体を取り囲み、枠体を通る空気流のための(1つまたは複数の)通路からほぼ垂直に枠体から突出する。
【0040】
図1Aから図3に示す接着性鼻用装置は、枠体区域が鼻孔を覆うように、固着部の接着表面を患者の鼻に接触させて(たとえば鼻の穴の開口部の周りおよび/または鼻の穴の開口部の内部の皮膚などに)固定することにより、患者の鼻を覆って着用することができる。装置は、鼻に出入りする空気流が接着性鼻用装置を通過するように、完全または部分的な封止部を患者の鼻開口部の周りに効果的に形成することができる。特に、装置を通る空気流は、空気流抵抗器によって調節される空気流通路および(たとえば空気流抵抗器によって調節されない)任意の漏れ通路を含む、鼻用装置の通路を通過する。
【0041】
図1〜図3は、本発明の一実施形態を示す。接着性鼻用装置の一部として備えることができる様々な構成要素を参照しながら、さらなる実施形態を以下で説明する。以下の説明は、節に分けられるが、節は、説明の整理に役立てることのみが意図され、接着性鼻用装置の機構を必ずしも指示しない。本明細書に記載する本発明の範囲に包含される接着性鼻呼吸装置は、さらなる特徴を備えることがあり、あるいはいくつかの特徴を備えないことがあり、あるいはいくつかまたはすべての特徴の代替実施形態を備えることがあることを理解されたい。
枠体
接着性鼻呼吸装置の枠体区域は通常、空気流通路、および固着部への取付け区域を備える。枠体は、それを通る1つまたは複数の通路のための支持体をもたらす、比較的剛性の、またはより可撓性が高い材料で形成することができる。枠体は、2つ以上の相互係止部品で形成することができるが、いくつかの変形形態では、枠体区域は、単一構成要素で製作することができる。たとえば枠体は、上記で説明したように、第1の枠体と第2の枠体を接合することによって形成することができる。枠体区域の形状は、通路を支持するように、かつ患者の鼻に快適に嵌るように、適合させることができる。さらに枠体区域は、固着部および/または空気流抵抗器、ならびに/あるいは1つの呼吸装置を別の呼吸装置に連結するブリッジまたはその他の手段など、装置のその他の構成要素を保持または固定するように構成することができる。
【0042】
枠体はまた、2つ以上の部品または区間で形成される枠体を示す、モジュール枠体と呼ばれることもある。いくつかの変形形態では、モジュール枠体は、互いに(直接的または間接的に)係合して組立式モジュール枠体を形成する、枠体区域で形成される。たとえば、第1の枠体区域は、第2の枠体区域に係合して、固着部および/または空気流抵抗器を、第1の枠体区域と第2の枠体区域との間に固定することができる。こうして、鼻用装置の追加構成要素を、モジュール枠体区域に固定することができる(枠体または(1つまたは複数の)内部通路の一部を形成しない構成要素を含む)。
【0043】
接着性鼻呼吸装置は、単一鼻孔装置として構成された単一の枠体(それによって様々な部品を形成することができる)を有することができ、あるいは、それぞれ使用者の鼻孔のうちの一方を覆いまたは少なくともその内部で使用されるように構成される、2つの枠体区域を有することができる。いくつかの変形形態では、単一の枠体区域は、両方の鼻孔をまたぐように、または両方の鼻孔と連通して連結されるように構成される。
【0044】
接着性鼻用装置の枠体(または枠体区域)は、一般に、患者の鼻腔上、鼻腔内、または部分的に鼻腔内に嵌るように、あるいは、患者の鼻腔と非常に近接して位置決めされるように構成される。たとえば枠体は、広範囲の鼻腔サイズ内に快適に嵌るように、十分に小さくすることができる。枠体は、鼻腔に出入りする空気流の方向と整列する中心軸を有する。この中心軸に対して垂直な枠体の外周は、中心軸に沿った様々な地点で、ほぼ円形、楕円形、または小葉形の部分断面とすることができる。
【0045】
上述のように、枠体は、組み合わさって枠体全体を形成する2つ以上の部品で形成することができる。たとえば枠体は、相互係止しまたは互いに対合して枠体を形成する、内側および外側枠体区域を備えることができる。図4は、枠体の一変形形態の断面図を示しており、枠体は、2つの相互係止する副部品と、内側(または第1の)枠体区域401および外側(または第2の)枠体区域402とを有する。内側枠体区域401(または第1の枠体区域)は、患者の鼻孔内に少なくとも部分的に嵌るように構成することができる。たとえば内側枠体区域の外周は、平滑にすることができ、かつ、患者の鼻孔通路の側部と(接触する場合)最低限にのみ接触する状態で、鼻通路内に嵌るように形状付けすることができる。いくつかの変形形態では、外周の曲率は、患者の内側鼻孔通路の曲率と少なくとも部分的に一致する。たとえば、内側枠体区域の片面は、もう一方の面(たとえば、装置が着用されるとき患者の中隔に対面する面)よりも湾曲を小さくすることができる。この例では、「面」とは、中心軸に対してほぼ垂直な内側枠体区域の外部表面を指す。この第1の枠体区域を、「内側」枠体区域と呼ぶが、この枠体のいくつかの変形形態は、鼻通路内に突出するように構成されず、使用者によって着用されるとき、完全に鼻の外側になることがあり、または実質的に鼻通路内に突出しないことがあることが、明らかになるべきである。
【0046】
図5Aおよび図5Bは、図4に示す変形形態と同様の内側枠体区域の、頂部および底部斜視図を示す。内側枠体区域は、十字バー520によって分割される通路510を備える。以下でより詳細に説明するように、この十字バーは、通路内の空気流抵抗器(たとえばフラップ弁)を、支持または固定することができる。さらに、十字バーは、枠体用のさらなる構造支持体をもたらすことができる。たとえば、十字バーは、フラップ弁が(たとえば呼息中に)望ましくない方向に開くことを防止するための、フラップ弁リミッタとして作用することができる。一般に、別個または追加のフラップ弁リミッタ(たとえばメッシュ、バーなど)を、フラップ弁を備える装置内の空気流抵抗器の一部としてとして使用することができる。
【0047】
図5Bに示される内側枠体の底部斜視図は、外側枠体(図6Aおよび図6Bに示す)の環状縁部と対合するように構成された、内側枠体507の環状縁部を示す。この環状縁部区域は、6つの突起505を備え、突起505は、外側枠体内の凹状区域と対合することができ、内側枠体と外側枠体との間の固着部区域の固定を助けることもできる。すなわちこれらの突起は、鋭くても鈍くてもよく、固着部を穿刺することも、単に圧迫することもできる。
【0048】
外側枠体区域402は、患者の鼻孔の外側に実質的に嵌るように構成することができる。いくつかの変形形態では、外側枠体区域は、患者の鼻孔内に嵌るように構成することができる。図4では、外側枠体区域は、(内側枠体区域より大きい直径を有する)フランジ状の外縁を有する。このフランジ状縁部は、リップまたは枠を形成し、これらは両方とも、装置が鼻通路に入ることを防止するのに役立てることができ、かつ/または、固着部を支持することができる表面をもたらすことができる。
【0049】
図6Aおよび図6Bは、図5Aおよび図5Bに示すのと同様の内側枠体と対合するように構成された、外側枠体601の一変形形態の頂部および底部斜視図を示す。外側枠体は、通路610を備え、通路610は、空気流抵抗器(たとえばフラップ弁)の一部を支持するために使用することができる支持ビーム605、607によって、4つの区間に分割されている。この変形形態では、外側枠体はまた、2つのポスト612も備え、ポスト612は、以下でさらに詳細に示すように、フラップ弁のフラップ区域を固定および位置決めするために使用することもできる。外側枠体の環帯上の凹状区域614は、上記のように、内側枠体内の突起と対合することができる。図6Bはまた、漏れ通路651、652を示す。接着性鼻用装置は、漏れ通路を備えるように構成することができ、漏れ通路は、空気流抵抗器が別のやり方で空気の通過を妨げるときでも、基礎レベルの空気流が漏れ通路を通ることを可能にする。たとえばフラップ弁は、内側枠体と外側枠体の間に固定され閉じられるときに、フラップ弁により2つの漏れ通路601、602が覆われないように形状付けすることができる。いくつかの変形形態では、フラップは、漏れ通路を部分的または完全に覆うことができる。いくつかの変形形態では、漏れ通路が含まれない。いくつかの変形形態では、(たとえばフラップ弁を通る1つまたは複数の穴として)空気流抵抗器を貫通する、漏れ通路が備えられる。
【0050】
外側(または第2の)枠体区域402は、図4に示すように、第1の枠体区域と連結されて枠体区域全体を形成することができる。外側および内側枠体区域は、摩擦嵌め、相互係止、結合(たとえば溶接)、糊付けなど、またはそれらの組合せによって連結することができる。たとえば図4では、内側枠体401は、外側枠体402と締り嵌めされる。この変形形態では、内側枠体401は、外側枠体上の環状突出区域406および環状凹状区域と対合することができる、環状凹状区域404および環状突出区域を備える。いくつかの変形形態では、内側枠体区域と外側枠体区域は、接着剤によって、あるいは内側および外側枠体区域の接合区域内の2つの区域への溶接または別の結合によって、互いに固定することができる。いくつかの変形形態では、外側および内側枠体区域は、ポストまたは留金など係合区域を備えることができる。
【0051】
枠体は、金属、プラスチック、ゴム、セラミック、木材、クロム、またはそれらの組合せを含むがそれらに限定されない、任意の適当な材料で製作することができる。その他の材料として、アクリル、ラテックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、スチレンブタジエンコポリマー、塩素化ポリエチレン、フッ化ポリビニリデン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル−アクリレートコポリマー、エチレン−酢酸ビニルアクリレートコポリマー、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニルコポリマー、ナイロン、アクリロニトリルブタジエンコポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリクロロプレン、ポリブタジエン、熱可塑性ポリイミド、ポリアセタール、ポリフェニレンサルフィド、ポリカーボネート、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、天然ゴム、合成ゴム(クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム、およびエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーコポリマー、シリコーンゴム、フッ素ゴム、およびアクリルゴムなど)、エラストマー(軟質ウレタン、水発泡性(water blown)ポリウレタンなど)、ならびに熱硬化性樹脂(硬質ウレタン、フェノール樹脂、およびメラミン樹脂など)を挙げることができる。
【0052】
特に、枠体を含め、使用者に接触することがある装置の部分に、生体適合性材料を使用することができる。上記で説明したいくつかの材料に加えて、生体適合性材料はまた、生体適合性ポリマーおよび/またはエラストマーを含むことができる。適当な生体適合性ポリマーは、酢酸ビニルのホモポリマーおよびコポリマー(エチレン酢酸ビニルコポリマーおよびポリ塩化ビニルコポリマーなど)、アクリレートのホモポリマーおよびコポリマー(ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリメタクリレート、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸エチレン、およびヒドロキシメチルメタクリレートなど)、ポリビニルピロリドン、2−ピロリドン、ポリアクリロニトリルブタジエン、ポリアミド、フッ素ポリマー(ポリ四フッ化エチレンおよびポリフッ化ビニルなど)、スチレンアクリロニトリルのホモポリマーおよびコポリマー、酢酸セルロース、アクリロニトリルブタジエンスチレンのホモポリマーおよびコポリマー、ポリメチルペンテン、ポリスルホン、ポリイミド、ポリイソブチレン、ポリメチルスチレン、および当業者に知られたその他同様の化合物などの材料を含むことができる。テフロン(登録商標)、マイラー、PFA、LDPE、ハイトレル、HDPEおよびポリエステルもまた、装置の任意の構成要素において使用されることがある。
【0053】
比較的堅い材料が、特に有用となることがある。さらに、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ラテックス、ポリプロピレン、ポリカーボネート、およびポリエーテルエーテルケトンなど、医療グレードのプラスチックなどの、生体適合性および/または滅菌可能性を有する材料もまた好ましいことがある。上記材料は、例示のみを意図するものである。
【0054】
上述のように、接着性鼻用装置(特に枠体区域)は、使用者によって快適に着用されるように構成することができる。たとえば、装置は、着用されるときに、患者の鼻の中隔区域(またはその他の区域)に枠体が大きな圧力をかけないように構成することができる。図7Bは、鼻用装置が患者の鼻の中隔区域にぶつかる、接着性鼻用装置の一変形形態を示す。図7Aは、患者の鼻を通る断面および接着性鼻用装置の一変形形態701を示す。鼻用装置は、2つの枠体704、704’を備える。鼻用装置701のこの変形形態では、枠体は、それら枠体が実質的に鼻通路内に延びるように、接着性固着部705に取り付けられる。装置は、固着部区域が鼻通路を横断する装置を固定し、鼻孔の縁部の周りを封止するように、鼻に付着される。この装置701が着用されるとき、枠体の遠位部分が、図示のように中隔710に接触することがある。実際この接触は、特に枠体704、704’が剛性材料製であるか尖っている場合、ひりひりすることがある。図7Cは、枠体704、704’が鼻通路内に大きく突出せず、したがって中隔に接触しにくい、接着性鼻用装置の別の変形形態を示す。たとえば枠体は、第1の(内側)枠体および第2の(外側)枠体で製作することができ、そこで内側枠体は、比較的短く(したがって鼻内に大きく突出せず)、または図7A、722に示すように、中隔を回避するように形状付けされる。
【0055】
図7Aは、枠体が鼻の中隔区域に接触しにくいように構成される、別の可能な変形形態を示す。図7Aは、接着性鼻用装置を通る2つの断面プロファイルを重ねたものを示す。第1の装置720は、枠体区域が中心軸について比較的対称であるプロファイルを有する。第2の装置722の断面は、着用時に装置が鼻の中隔区域に接触しにくくなるように、中隔区域に最も近い接着性鼻用装置の部分(すなわち装置の中心区域)が角度付けされる、断面プロファイルを有する。
【0056】
上記で説明したように、枠体は、空気を流すことができる1つまたは複数の通路を形成することができる。これらの通路は、任意の適当なサイズとすることができる。たとえば、いくつかの変形形態では、装置を通る通路は、十分な断面積(または装置を通るすべての通路の合計断面積)を有し、そのため、呼吸サイクルの少なくとも一部の間(たとえば吸息中)に、装置が存在しない状態で鼻孔を通って流れる空気の速度および/または量と比べて同等量の空気が、通路を通って流れることができる。すなわちいくつかの変形形態では、装置を通る通路は、遮断されない鼻通路の断面積の約半分より大きい断面積を有することができる。
【0057】
ここで説明する装置は、内側枠体および外側枠体から形成される枠体に加えて、図37Aおよび図37Bに示すように、通路の軸に沿って向けられる2つ以上の部片で形成することができる。図37Aは、完全な枠体を形成するように組み合わせることができる、第1の(たとえば側方)枠体区域および第2の(たとえば中間)枠体区域を示す。空気流抵抗器および固着部は同様に、上記のように枠体に固定することができる。この例では、空気流抵抗器は、第1の枠体区域および第2の枠体区域が互いに固定される前に、第1および第2の枠体によって形成される通路内に固定することができる。
【0058】
ここで説明する枠体はまた、1つまたは複数の空気流抵抗器のための(1つまたは複数の)取付け部位を備えることができる。
空気流抵抗器
空気流抵抗器は通常、接着性呼吸装置の少なくとも1つの空気流通路と連通して位置決めされ、それにより、通路を通る空気の少なくともいくらかが、空気流抵抗器を通過することができる。すなわち空気流抵抗器は、抵抗の大きさ、空気流の程度、あるいは、装置の両端間または装置内の通路を通る圧力差を調整し、変更し、変化させ、または一定に保つ。任意の適当な空気流抵抗器を、本明細書に記載する接着性鼻用装置の一部として使用することができる。一般に、本明細書に記載する空気流抵抗器は、通路を通る空気流を一方向で、反対方向で遮るよりも多く遮る。たとえば空気流抵抗器は、吸息中よりも呼息中に、空気流を多く遮ることができる。空気流抵抗器の例を以下で説明する。さらに、空気流抵抗器の例は、上記でその全体を参照により組み込んだ「NASAL RESPIRATORY DEVICES」という名称の米国特許出願公開第11/298,640号(2005年12月8日出願)に見出すことができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、呼息中に空気流抵抗器によって生み出される圧力は、流量100ml/秒の測定で0.01cmHOから100cmHOの間であり、より好ましくは、流量100ml/秒の測定で0.5cmHOから25cmHOの間である。
【0060】
弁タイプの空気流抵抗器が、特に適している。空気流抵抗器として使用することができる弁の例は、フラップ弁(1つまたは複数のフラップを有する)、無蝶板弁、ストッパタイプの弁、薄膜タイプの弁、ボール弁、バルーンタイプの弁などを含む。この一覧は、包括的であることを意図するものではなく、その他のタイプの選択的な空気流抵抗器を使用することができる。さらに、異なるタイプの空気流抵抗器の組合せを含むことができる、多数の空気流抵抗器を使用することもできる。フラップ弁は、特に重要である。フラップ弁として構成される空気流抵抗器は通常、蝶板付けされまたは可撓性を有する(1つまたは複数の)フラップを備え、フラップは、空気が一方向に流入するときにフラップが開くことができ、空気が反対方向に流入するときまたは空気が流れていないときにフラップが閉じることができるように、運動可能に固定される。フラップの開閉は、空気が弁を横断して流れることを可能にし、それにより、内部にフラップ弁が位置決めされた通路内の空気流を調節する。動作に際しては、フラップ弁のフラップ部分は、空気流を一方向で選択的に、他の方向よりも多く遮ることができる。
【0061】
PEEP(呼気終末陽圧)用に構成された弁もまた、本明細書に記載する任意の装置とともに使用することができる。たとえば弁は、呼息中に開くための、非ゼロの閾値圧力を有するように構成することができ、そのため、弁の両端間の圧力が、呼息中に開くための閾値圧力より低い場合、弁は呼息中に閉じられるが、弁が呼息中に開くための閾値圧力を超える場合、弁は呼息中に開く。
【0062】
いくつかの変形形態では、接着性呼吸装置内で使用するためのフラップ弁は、フラップと、弁の向きの固定を助けその定位置への固定を助けることができる、1つまたは複数の弁位置合せ装置(たとえばポスト)と、空気が通路を通って一方向に流れるときに弁がつぶれるか開くことを防止する、1つまたは複数の弁支持体(たとえば十字バー)または弁リミッタと、弁が閉じられるときにフラップを接触させて着座または当接させることができる弁封止区域(たとえば枠またはリッジ)とを備える。
【0063】
上述のように、1つまたは複数の漏れ通路を、接着性呼吸装置の一部として含むことができる。漏れ通路は通常、空気流抵抗器が閉じられるときでも、空気が通路を流れることを可能にする。すなわち、空気流抵抗器の状態とは無関係に、最低限の基礎レベルの空気流が通路を通ることを可能にすることができる。いくつかの変形形態では、漏れ通路は、完全なまたは遮られない通路である。漏れ通路は、鼻呼吸装置の任意の区域の一部とすることができる。たとえば漏れ通路は、空気流抵抗器の一部、枠の一部、固着部区域の一部、または鼻呼吸装置本体の一部(またはそれらの組合せ)とすることができる。いくつかの実施形態では、漏れ通路は、装置の様々な構成要素(たとえば固着部と弁体の間、またはフラップ弁と弁位置合せ装置の間など)の完璧な封止または当接を、意図的に欠如させることにより存在させることができる。鼻呼吸装置は、多数の漏れ通路を有するように構成することができる。
【0064】
いくつかの変形形態では、空気流抵抗器は、フラップ弁を備える。フラップ弁のフラップは、可撓性材料または蝶板付けされた堅い材料で、製作することができる。いくつかの変形形態では、フラップは、可撓性材料の薄いシートを備え、このシートは、フラップが弁封止区域に接触して着座するときに、通路内に嵌り、通路を通る空気流を少なくとも部分的に遮るように形状付けされる。フラップはまた、1つまたは複数の漏れ通路を通る空気流を遮らないように、形状付けすることができる。図8A〜図8Fは、フラップ弁の様々な変形形態を示す。図8A〜図8Fに示すすべてのフラップ弁は、同様に形状付けされ、2つのアクセス区域801、801’を備えており、そこを通って2つの弁位置合せ装置(たとえばポスト)が突出し、弁を位置合せすることができる。
【0065】
図8Aは、フラップ弁用のフラップの斜視図を示す。フラップ800は、図8Bに示す頂面図によりよく見られるように、大まかな楕円形である。図8Bに示すフラップの頂部および底部区域は、平坦にされ、または切り取られている。同様のフラップ弁が使用されるいくつかの他の図から明らかになるように、この切り取られた区域は、フラップが弁封止区域に接触して着座させられるとき(たとえば呼息中など)に、漏れ通路がフラップによって遮られないように位置決めすることができる。フラップの楕円形は、鼻呼吸装置を通る楕円形通路にほぼ対応する。いくつかの変形形態では、漏れ通路(たとえば穴、スリットなど)が、フラップ弁のフラップ内に存在することがある。
【0066】
図8Aおよび図8Bのアクセス区域801、801’は、円形の切抜きであり、それらをポストが通過して、その他の図(たとえば図2および図3)に明らかであるように、フラップを位置合せし、定位置に固定することを助けることができる。いくつかの変形形態では、穴以外の形状をアクセス区域に用いることが有利なことがある。たとえば、切込(L字形、I字形、C字形、およびX字形など)を用いることができる。切込で形成されるアクセス区域は、空気流抵抗器から除去しなければならない材料の「穿孔くず」を生み出さないので、フラップを貫通して形成される穴より有利となることがある。そのような穿孔くずは、製造中にフラップから完全に分離されないことがあるので、潜在的に問題となることがある。図8Cおよび図8Dは、フラップの例を示しており、これらのフラップでは、アクセス区域803、803’は、ポストを挿入することができる弁を貫通するX字形の切込によって形成される。同様に、図8Eおよび図8Fは、アクセス区域が様々な形状の切込であるフラップを示しており、ポストは、図8Eに示すように、フラップの一部を押しのけることによってアクセス区域を貫通することができる。
【0067】
図38Aおよび図38Bは、2つのアクセス区域3801、3801’、3803、3803’をそれぞれ有する、フラップの2つの変形形態を示しており、ここで一方のアクセス区域は、もう一方よりも大きい(かつフラップを固定するために、ポストの直径よりも大きい)。これらの変形形態は、フラップを鼻呼吸装置の一部として製造しまたは組み立てる際の、サイズ交差の改善を可能にすることができる。
【0068】
本明細書に記載する、接着性鼻用装置の一部として(たとえば図1〜図4などに)示す空気流抵抗器の多くの例において、フラップは、図3に示すように、第1の枠体区域と第2の枠体区域との間に固定され、2つのポスト301によって位置合せされる。この変形形態では、フラップは吸息中に、内向きに撓み、通路を空気流が通ることを可能にすることができ、かつ、フラップは呼息中に、外側区域内の弁封止区域(弁支持体を含む)605に接触して着座させることができる。いくつかの変形形態では、フラップは、杭打ち、ピン止め、糊付けなどによって、通路内に固定することができる。たとえば、図9では、鼻空気流抵抗器の通路内の基部にフラップを固定するために、加熱杭が使用される。
【0069】
フラップは、上述した材料を含めた任意の適当な材料を含むことができる。たとえばフラップは、ポリマー材料、ゴム(天然および合成)、紙、織物などを含むことができる。たとえば、使用することができる材料は、ラテックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、スチレンブタジエンコポリマー、塩素化ポリエチレン、フッ化ポリビニリデン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル−アクリレートコポリマー、エチレン−酢酸ビニル−アクリレートコポリマー、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニルコポリマー、ナイロン、アクリロニトリル−ブタジエンコポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリクロロプレン、ポリブタジエン、熱可塑性ポリイミド、ポリアセタール、ポリフェニレンサルフィド、ポリカーボネート、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、天然ゴム、合成ゴム(クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム、およびエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーコポリマー、シリコーンゴム、フッ素ゴム、およびアクリルゴムなど)、エラストマー(軟質ウレタン、水発泡性ポリウレタンなど)、ならびに熱硬化性樹脂(硬質ウレタン、フェノール樹脂、およびメラミン樹脂など)、ならびに、ポリエーテルブロックアミド(たとえばPEBAX(登録商標))など射出成形可能な材料などを含む。
【0070】
いくつかの変形形態では、フラップは、シリコーンまたは熱可塑性ウレタンで製作される。たとえば、フラップは、薄く可撓性を有するシリコーンの部片とすることができる。このフラップは、それが(たとえば開位置および閉位置から動くために)可撓性を有することを可能にする、任意の適当な厚さとすることができる。たとえばフラップは、厚さ0.00254mmから2.54mm(0.0001インチから0.1インチ)の間のシリコーンを含むことができる。いくつかの実施形態では、シリコーンは、厚さ約0.0508mm(約0.002インチ)である。
【0071】
いくつかの変形形態では、フラップは、材料(たとえばポリウレタン膜などの薄いフィルム)の層から形成され、これと同じ層が、接着性固着部の接着基材を形成する。すなわち、同じ層を切り取って、フラップ弁の小葉を形成することができる。この材料の層は、枠体を形成する2つ以上の区域の間に固定することができ、それにより層の外側区域が、弁体から延び、接着剤で被覆され、接着性固着部を形成する。
接着性固着部
本明細書に記載する接着性鼻用装置は、装置を鼻腔と連通させて解放可能に固定するための、接着性固着部をさらに備えることができる。接着性固着部は、患者の身体(たとえば皮膚および/または鼻腔)に接触させて使用するのに適当な、1つまたは複数の接着表面を備えることができる。すなわち、接着性固着部は、生体適合性接着剤を備えることができる。接着性固着部は、鼻孔上、部分的に鼻孔上、部分的に鼻孔内、または鼻孔内(たとえば実質的に鼻孔内)など、患者の鼻に対する所望の位置に、装置を位置決めおよび固定することを促進することができる。接着性固着部は、鼻孔、複数の鼻孔(nare)または鼻腔(nasal chamber)、鼻限、前庭、大鼻翼軟骨、尾翼繊維脂肪組織、外側鼻軟骨、鼻堤、鼻腔床部、鼻介骨、鼻洞(前頭骨、篩骨、ちょう形骨、および上顎骨)、ならびに鼻中隔を含む、患者の鼻または鼻通路の任意の適当な区域に装置を固定するように構成することができる。「鼻腔」という用語は、鼻腔(Nasal Fossa)の任意の下位区域(たとえば単一の鼻孔、複数の鼻孔(nare)、または鼻腔(nasal chamber)など)を指すことができる。
【0072】
一般に、接着性固着部は、主に鼻の外側(たとえば鼻開口部を取り囲む皮膚など)に付着されるように構成することができる。いくつかの変形では、固着部はまた、患者の外側と鼻孔との間で交換される空気の少なくともいくらかが呼吸装置を通過しなければならないように、呼吸装置と鼻の間に封止部を固定することができる。いくつかの変形では、固着部は、(一方または両方の)鼻孔を通るすべての空気が装置を通って交換されなければならないように、装置を鼻と完全に連通させて封止する。いくつかの変形では、固着部の封止部は、患者と外部環境との間で交換される空気のいくらかだけが装置を通過するように、不完全である。本明細書で用いられる「空気」とは、患者の外部の環境からの空気とすることができ、または、任意の呼吸ガス(たとえば純粋なまたは混合された酸素、CO、ヘリオックス(heliox)、あるいは使用者に提供されるその他の気体混合物など)とすることができる。
【0073】
接着性固着部は、比較的不規則な形状を有することがあり毛髪などを含むことがある患者の皮膚の表面と一致するように、可撓性を有することができる。いくつかの変形形態では、接着性固着部は、水蒸気、液体水、汗、および/または油脂の通過を可能にする多孔質材料で製作され、快適性を高めることができる。接着性固着部はまた、患者の鼻区域への結合を高めるための、きめまたはパターンを有する起伏表面を含むことができる。
【0074】
接着性固着部は、層で形成することができる。たとえば接着性固着部は、生体適合性接着剤を適用する基材層を備えることができる。基材は通常、可撓性を有する平坦な(主に2面を有する)材料である。基材の少なくとも片面上に接着剤を有し、基材が患者の鼻区域に接着されることを可能にすることができる。いくつかの変形形態では、基材層自体が接着剤であり、追加の接着剤を必要としない。接着剤層の接着剤に、追加の保護カバーを取外し可能に取り付けることもできる。保護カバーは、装置を指またはその他の身体部分に不用意に貼り付けずに、装置(および特に接着性固着部)を操作することを可能にすることができ、かつ、接着剤の汚染を防止することもできる。保護カバーは、接着剤を露出させるために剥がし、またはその他の方法で取り外すことができる、取外し可能な紙またはその他のフィルムとすることができる。いくつかの変形形態では、接着性固着部の接着剤は、活性化可能である。たとえば接着剤は、活性化因子(たとえば水、空気、光など)に露出された後にのみ「粘着性」となる。
【0075】
図10Aは、層を有する接着性固着部を通る断面を概略的に示す。図10Aでは、接着性固着部は、可撓性基材層1010を備え、そこに接着剤1020が適用される。接着剤を保護するために、取外し可能な保護カバー層1040が接着剤1020上に配置される。この断面に示すように、保護カバー層1030の別個の部片が、左右の縁部に配置されており、それにより、取外し可能な裏張りのより大きい区間が、これらの縁部部片1040と重なる。図10Bに見られるように、これらの縁部部片は、保護カバーの取外しを助けることができ、かつ、裏張りのより大きい部片1030が取り外された後に、接着剤が指に貼り付かないように装置の把持を助けることもできる。装置が位置決めされた後に、保護カバーのこれらのより小さいつまみ1040も、同様に剥がすことができる。すなわちそれらは、折曲げておくことができ、または、それらの把持および取外しを簡便にする方法を備えることができる。
【0076】
いくつかの変形形態では、保護カバーは使用されない。既に述べたように、いくつかの変形形態では、基材および接着剤は単一の層であり、そのため基材は、接着材料、または接着剤となるように活性化することができる材料を備える。
【0077】
接着性固着部は、任意の適当な材料を含むことができる。たとえば接着基材は、シリコーン、ポリエチレン、またはポリエチレン発泡体など、生体適合性材料とすることができる。その他の適当な生体適合性材料は、生体適合性ポリマーおよび/またはエラストマーなど、上記で説明した材料のいくつかを含むことができる。適当な生体適合性ポリマーは、酢酸ビニルのホモポリマーおよびコポリマー(エチレン酢酸ビニルコポリマーおよびポリ塩化ビニルコポリマーなど)、アクリレートのホモポリマーおよびコポリマー(ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリメタクリレート、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸エチレン、およびヒドロキシメチルメタクリレートなど)、ポリビニルピロリドン、2−ピロリドン、ポリアクリロニトリルブタジエン、ポリアミド、フッ素ポリマー(ポリ四フッ化エチレンおよびポリフッ化ビニルなど)、スチレンアクリロニトリルのホモポリマーおよびコポリマー、酢酸セルロース、アクリロニトリルブタジエンスチレンのホモポリマーおよびコポリマー、ポリメチルペンテン、ポリスルホン、ポリイミド、ポリイソブチレン、ポリメチルスチレン、ならびに当業者に知られた同様の化合物などの、材料を含むことができる。構造的には、基材は、フィルム材料、箔材料、織物材料、不織材料、発泡材料、または組織材料(たとえばポリオレフィンの不織材料、ポリウレタンの織物材料、ポリエチレン発泡体、ポリウレタン発泡体、ポリウレタン膜など)とすることができる。
【0078】
基材に接着剤が適用される変形形態では、接着剤は、親水コロイドまたはアクリルなど、医療グレードの接着剤を含むことができる。医療グレードの接着剤は、発泡接着剤、アクリルコポリマー接着剤、多孔質アクリル、合成ゴムベースの接着剤、シリコーン接着剤調合物(たとえばシリコーンゲル接着剤)、ならびに吸収性親水コロイドおよびヒドロゲルを含むことができる。
【0079】
取外し可能な保護カバー層は、接着剤から解放することができる任意の適当な物質で製作することができる。たとえば保護被覆材料は、クラフト紙を含むことができる。いくつかの変形形態では、保護カバーは、蝋または疎水性被膜を片面または両面(特に接着剤に接触する面)上に有する材料を含む。たとえば保護被覆材料は、ポリエチレンフィルム、またはポリエチレンで被覆された紙(たとえばクラフト紙)を含むことができる。保護カバーは、本明細書に記載する任意のその他の材料とすることができる。絆創膏(特にBand−Aid(商標)など使い捨て絆創膏)、オストミーキット、および創傷ケア製品の製造に一般に使用される、任意の材料を、本明細書に記載する装置の任意のまたはすべての構成要素に使用することができる。
【0080】
一般に、接着性固着部は、任意の適当な形状を含むことができ、その形状は、鼻通路を通るいくらか(またはほとんど)の空気流が接着性鼻用装置を通過しなければならないように、空気流通路および空気流抵抗器を一方または両方の鼻通路に対して位置決めすることを可能にする。いくつかの変形形態では、接着性固着部は、鼻(または鼻通路)に取り付けられ、それらとの部分的または完全な封止部を形成し、それにより、装置を通って鼻通路に出入りする空気流を導き、また装置を定位置に固定する。すなわち、これらの基準を達成する多くの設計があり、それらの多くを以下で説明する。
【0081】
たとえば、図10Bは、接着性鼻用装置の接着性固着区域の一変形形態を示す。この変形形態は、それぞれ一方の患者の鼻通路とともに動作するように構成された、2つの枠体区域を有する装置とともに使用することが意図されている。上記で説明したように、内側および外側枠体区域(通路および空気流抵抗器を備える)は、接着性固着区域に示す開口部1050、1050’に固定することができる。これらの開口部1050、1050’は、患者の鼻通路とほぼ位置合せされるようにように構成される。すなわち、この変形形態における接着性固着区域1001は、ブリッジ区域1080によって接合された2つの環状区域を備え、2つの環状区域は、患者の鼻孔(nare)の開口部の周りに接着させることができる。さらに、図10Aおよび図10Bに示す固着部1001は、取手または把持部として作用することができる、2つの追加のつまみ1090、1090’を備える。これらの区域もまた、患者の鼻に接着することができ、かつ、鼻孔(nare)区域の周りおよび鼻の側部上に巻き付けることができる。これによってまた、装置を定位置にさらに固定することができる。
【0082】
上述のように、開口部1050、1050’は、患者の鼻通路とほぼ位置合せされるようにように構成される。実際、鼻孔開口部の配置構成は、個人個人の間で大幅に変わることがある。図10Cは、接着性固着部の構成によって対応することができる、変形形態の2つのパラメータを反映している。図10Cでは、矢印が、鼻孔開口部の分離度1018、および鼻孔開口部の長軸を通る想像線に対する鼻孔開口部の傾斜または角度1095の、両方を示す。接着性固着部は、ブリッジ区域1080の修正を可能にすることにより、これらのパラメータのいずれかまたは両方の変化を可能にするように構成することができる。たとえば図10Bおよび図10Cでは、ブリッジ区域1080は、両端部にスリット1082、1082’を形成することにより、直径が縮小されている。ブリッジ区域1080を狭めることによって、ブリッジ区域1080を撓ませまたは屈曲させること(鼻孔開口部の角度1095を変化させること)を可能にすることができる。
【0083】
接着性固着区域の全体的な形状のその他の変形形態を、図11A〜図11Eに示す。これらの変形形態もまた、つまみまたは把持部区域を備える。図11Aおよび図11Bでは、接着性固着部のブリッジ区域1180は、患者の鼻孔を取り囲むように構成された2つの固着部環状区域の間の区域において、異なる幅および長さを有する。図11Aに示すより細いブリッジ区域1180は、図11Bの変形形態のより幅広のブリッジ区域1180よりも、容易に屈曲させることができる。さらに、十分に調整可能な装置を実現するために、2つの環状区域の間のブリッジ区域の位置を変えることもできる。たとえば、図11Cのブリッジ区域1180は、環状区域の間でいくらか中央に配置されるが、図11Eのブリッジ区域1180は、「頂部」のより近くに(たとえば、この接着性固着部を備える装置が患者によって着用されるときに鼻の前方に向かって)配置される。この位置決めにより、装置は、それらが互いから離れて屈曲するとき環状区域をさらに分離させることが可能になる。これらすべての変形形態において、接着性固着部は、可撓性のまたは柔軟な材料で構成され、その材料により固着部は、鼻の外面とより容易に一致することが可能になる。図11Cから図11Eはまた、固着部の周縁区域に、切込または切欠1110を備える。これらの切欠は、特に、互いに異なる角度にある患者の鼻および顔面の区域に固着部を接着しなければならない場合に、接着性固着部が患者の顔面の形状(たとえば鼻および/または唇区域)と一致する能力を、高めることができる。たとえば図11Cから図11Eに示す切欠は、鼻の外縁部ならびに隣接する上唇区域と、鼻孔の外部湾曲との両方に、固着部区域を取り付けるのに役立つことがある。
【0084】
図12A〜図12Cは、2つの枠体を有する装置用の接着性固着部の他の変形形態を示しており、固着部環状区域の下方(たとえば着用時に内側に向く)領域および/または上方(たとえば着用時に外側に向く)領域に、切欠が入れられている。さらに図12Cは、ブリッジ区域1280が穴1285を備えており、それにより、かなりの構造的強度を維持し(2つの平行なブリッジを効果的に作り出し)ながら、ブリッジを形成する材料を減少させる、一変形形態を示す。これにより、接着性固着区域の2つの半分が、より大きい分断されないブリッジ区域よりも容易に屈曲することを、可能にすることができる。
【0085】
図13A〜図13Cは、拡張および屈曲することができるブリッジ区域を有する、接着性固着区域を示す。たとえば、接着基材は、可撓性または伸縮性材料を含むことができる。いくつかの変形形態では、この材料は弾性を有するが、ブリッジ材料は、患者の鼻に付着させられた後に非伸縮形状に戻ろうとする力を加えないように、比較的弾性をもたない材料を含むことが好ましいことがある。図13Aは、第1の(非伸縮)位置にある、接着性固着部の一変形形態を示す。枠体区域がそこを通って固定される、開口部は、距離xだけ分離されている。図13Bでは、同じ接着性固着部が、ブリッジ区域が引き延ばされるように伸展させられており、装置の枠体区域用開口部は、ここでは距離yだけ分離されており、y>xとなる。同様に、図13Cに示す接着性固着部は、ブリッジ区域1380を備え、ブリッジ区域1380は、蛇行し、またはアコーディオン状に開くことができるように形状付けられており、様々な鼻サイズへのより容易な調整を可能にする。
【0086】
上記で説明した接着性固着区域は、2つの枠体を有し、患者の両方の鼻孔と連通するように構成された、接着性鼻用装置を示す。すなわち、2つの環状固着部区域(各枠体をそれぞれ一方が取り囲む)を備える接着性固着部が、ブリッジ区域によって連結される。しかし、接着性鼻呼吸装置は、単一の鼻孔と連通するように構成することができる。すなわち、2つの連結されない鼻呼吸装置(各装置が単一の環状接着性固着区域を含む)を、各鼻孔に連結させることができる。図14Aおよび図14Bは、そのような装置のための接着性固着部の変形形態を示す。上記で説明した接着性固着部と比較すると、図14Aの固着部は、特に患者の内側鼻孔領域付近に着用される装置の区域1041において、わずかに拡張された環状区域を有する。動作に際しては、固着部のこの部分は、もう一方の鼻孔内/鼻孔周囲に着用される接着性鼻用装置からの、別の接着性固着部重ねること(および重なる部分に接着させること)ができる。いくつかの実施形態では、固着部形状は、図14Bに示す固着部形状と完全に対称である。すなわち、右または左の鼻孔のいずれにも、同じ装置を使用することができる。いくつかの変形形態において、装置は、一緒に着用することができる「左鼻孔」装置および「右鼻孔」装置として構成することができる。
【0087】
接着性固着区域全体が接着剤を備える必要はないが、前出の図に示された実質的に平坦な固着部区域の多くが、皮膚接触表面のかなりの部分上に、生体適合性接着剤を有することができ、それを、後に少なくとも部分的に取り外すことができる保護層によって被覆することができる。いくつかの変形形態では、固着部区域の一部(外側層を含む)のみが接着剤を備える。たとえば、枠体に隣接する区域が接着剤を備えないことがあり、または、つまみの下の区域または把持部が接着剤を備えないことがある。
【0088】
接着性固着部いくつかの変形形態は、装置を患者の鼻に固定することを助けるための、1つまたは複数の追加構成要素を備える。たとえば、上記のつまみまたは把持部区域はまた、装置を患者の鼻に固定することを助ける(または鼻から装置を取り外すことを助ける)ことができる。いくつかの変形形態では、接着性鼻用装置はまた、図15に示すような鼻を越えるブリッジを備える。鼻を越える部分1501は、接着性固着部の一区域を含むことができ、患者の鼻のブリッジ区域を覆って嵌り、装置を患者の鼻上の定位置に固定することを助ける。特に、鼻を越える部分1501は、力を上向き方向にかけることにより、装置と鼻/鼻孔との間に、封止部を作り出すことを助けることができる。ブリッジ区域に加えて、1つまたは複数のつまみ(または1対のつまみ)を使用することもできる。鼻を越えるブリッジ部分1501を示す接着性固着区域のその他の例を、図16A、図16B、および図17B〜図17Dに見ることができる。図17A〜図17Eは、接着性固着区域の様々な変形形態を示す。たとえば図17Aは、非常に狭い接着性固着区域(たとえば環状区域)しかもたないが、つまみを備える装置を示す。図17Bおよび図17Cは、鼻を越えるブリッジ区域1706とつまみまたは把持部1704とを有し、把持部が様々な方向に向けられる装置を示す。図16Bに示す変形形態では、2対のつまみまたは把持部1601、1603が含まれる。
【0089】
いくつかの変形形態では、本明細書に記載する接着性鼻用装置は、多様なサイズおよび形状を有する様々な使用者、特に使用者の鼻の形状およびサイズに適合するようになされる。既に説明したように、特に接着性固着区域を備える装置は、様々な鼻形状に適合可能となるように構成することができる。図27Aおよび図27Cは、接着性固着区域の様々な構成を例示する。図27Bは、図27Aに示すような固着部設計を有する装置を、使用者がどのように着用することができるかを示す。この例では、スリットまたは切込区域2701、2701’は、図27Bに示すように患者の鼻によりよく一致するように分離している。図27Cは、スリットが含まれない別の変形形態を示す。図27Dは、装置を着用する患者を示す。
【0090】
いくつかの変形形態では、固着部区域は、鼻通路の外面の周りに接着されるだけではなく、鼻孔内へと延びることができる。たとえば接着性固着部は、図18A〜図18Cに示すように、鼻孔内に突出し、鼻孔の壁部に接触させて固定することができる、(1つまたは複数の)枠体に隣接する区域を含むことができる。図18Aでは、接着性固着部は、患者の鼻孔の外縁部に接着させることができる層状(たとえば実質的に平坦な)区域と、患者の鼻内に嵌る、内側に突出する双区域1801、1801’の両方を備える。いくつかの変形形態では、これらの内側突出区域は、接着性外面を有さず、または、(たとえば固着部の平坦な部分付近など)それらの外面の限定された部分上にのみ接着剤を備える。いくつかの変形形態では、内側突出区域は、圧縮可能材料(たとえば発泡体など)を含むことができ、そのため、内側突出区域を鼻通路内に固定することができ、かつ/あるいは、内側突出区域が、患者の鼻孔内に突出する内側枠体基部区域(または接着性鼻用装置のその他任意の部分)を緩衝することができる。すなわち、いくつかの変形形態では、固着部の内側突出部分は、鼻開口部より小さく、患者の鼻通路の側部に必ずしも接触しない。鼻孔内、または鼻孔開口部のごく付近の内部への、円錐形または円柱形突起が使用されることもある。
【0091】
図18Bは、内側突出固着部区域の別の変形形態を示し、この変形形態は、内側突出固着部区域が先細または湾曲外縁部1810を有する以外は、上記で説明した内側突出固着部区域と同様である。図18Bでは、外縁部はほとんど凹状であり、すなわち、内側枠体を緩衝することにより患者への刺激を防止するのに有用となることがある形状であるが、内側突出区域が鼻通路に接触する可能性を最低限に抑える。図18Cは、わずかに湾曲が小さい外壁(たとえば、壁部断面が凸状ではないが、一定の傾斜を有することができ、またはわずかに凹状となることができる)を有する、別の変形形態を示す。鼻孔の内側または外側との凸状の界面が使用されることもある。
【0092】
いくつかの変形形態では、内側突出区域は、鼻開口部内に挿入され可撓性接着性固着部によって鼻開口部に接触して保持される、栓として構成される。すなわち栓は、鼻開口部との封止部を形成することができる。いくつかの変形形態では、固着部は(一般に可撓性材料で製作されるが)、支持力を加えるために使用することができる1つまたは複数の剛性または半剛性区域を備える。たとえば図19Aは、固着部区域を有する接着性鼻用装置の一変形形態1900を示し、固着部区域は、患者の鼻開口部内に少なくとも部分的に挿入される栓1903と、栓を支持するための剛性の支持用裏打ち1905と、図19Bに示すように装置を患者の鼻の外側区域に固定するための、可撓性接着性区域(2組のつまみを含む)とを備える。この例では、固着部1903の栓区域の外面は、ヒドロゲル材料1907を備え、ヒドロゲル材料1907は、封止部を形成する能力を高めることができ、装置が着用されるときの快適性を増すこともできる。
【0093】
上記で議論した例示的な固着部区域から明らかとなるように、固着部区域は、患者の鼻通路に対する枠体(したがって通路および空気流抵抗器)の位置決めを助けることができる。枠体が固着部内の開口を通って固定される変形形態では、開口部は、患者の鼻の上に着用されるときに枠体が鼻通路に対してどこにあるべきかを、決定することができる。いくつかの変形形態では、枠体2001は、図20に示すように鼻通路の特定の片側に偏倚させられる。別の変形形態では、枠体を、鼻通路のほぼ中央に位置決めすることができる。
接着性鼻用装置の製造
本明細書に記載する接着性鼻用装置は通常、患者の呼吸孔を覆って着用されるときに故障または破断の危険性を伴わずに着用することができるよう、十分な耐久性を有する装置をもたらすように組み立てられる。第1および第2の枠体部分を備える、上記で説明したモジュール(たとえば2つ以上の部品で形成される)枠体を使用して、固着部区域および空気流抵抗器を含む装置のその他の構成要素を、内側枠体と外側枠体との間にそれらの区域を固定することと、枠体部分を互いに固定することとにより、固定することができる。
【0094】
図21は、接着性鼻用装置の一変形形態のアセンブリを示す。図21において、接着性固着部2105は、中央切抜区域2103を備え、その中に外側枠体2110の一部が嵌る。枠体は、空気流通路を取り囲み、空気流通路は、上記で説明したように、漏れ通路と空気流抵抗器によって調節される通路とを備える。図21の空気流抵抗器は、フラップ弁として構成され、フラップ2109は、外側枠体2110から突出する(内側枠体から突出することもある)ポスト上に嵌る。内側枠体2101は次いで、外側枠体2110と対合し、フラップ2109および接着性固着部2105をそれらの間に固定することができ、次いで、外側枠体区域2110および内側枠体区域2101を、互いに固定することができる。たとえば、外側枠体区域2110と内側枠体区域2101を、溶接(たとえば超音波溶接)により、または締り嵌めにより、互いに固定することができる。
【0095】
図21で固着部区域は、枠体区域の形状ならびに枠体区域間の圧迫によって、内側枠体区域と外側枠体区域の間に保持される。さらに、枠体への固着部区域の固定を助けるために、接着性固着部の接着剤層を使用することもできる。この接着剤はまた、接着性固着部と枠体の間の封止部の形成を助けることができ、装置を患者が着用するときに、装置の空気流通路を通して空気流を送ることも助ける。すなわち図21において、接着性固着部2105は、中央環状区域2107を有し、その中で、(たとえばこの区域内の保護カバーを取り外すことにより)接着剤が露出される。図22Aは、図21に示すアセンブリと同様の、接着性鼻用装置のアセンブリの別の例を示す。
【0096】
図22Aでは、内側枠体2201は、ポストを備え、ポストは、枠体を貫通して形成された通路内の、フラップ2209と位置合せされ、それを固定する。この例はまた、空気流抵抗器のフラップ弁2209によって覆われない、2つの漏れ通路2215を備える。図22Bは、図22Aに示す、組み立てられた装置を通る断面を示す。図22Bでは、内側枠体区域2201と外側枠体区域2210を、それらが互いに対合する2223および2223’において合せて溶接し、フラップ弁および接着性固着部層を、第1の枠体区域と第2の枠体区域の間に固定することができる。
【0097】
上述のように、接着性固着部は、第1の枠体と第2の枠体の間に圧力によって(かつ/または接着剤によって)固定することができる。たとえば第1の枠体の一部は、接着性固着部を第2の枠体に押し付けることができる(その逆も可)。いくつかの変形形態では、第1の枠体の環状縁部は、固着部を第2の枠体に対して圧迫する。いくつかの変形形態では、第1のまたは第2の枠体区域は、1つまたは複数の対合区域を備えることができ、その対合区域は、接着性固着部を第1の枠体区域と第2の枠体区域の間に保持する。図23Aは、第1の枠体の縁部が、尖ったまたは鋭い部分2301を備え、その部分2301が、接着性固着部を対向する第2の枠体に対してピンで留める、一変形形態を示す。いくつかの変形形態では、そのようなポストまたは突起は、第1の枠体と第2の枠体の間に接着性固着部を固定することを助けることができる。図23Bは、内側枠体2302の周縁の周りに配列された4つのそのような突起を有する、装置の頂面図を示す。
【0098】
上述のように、いくつかの変形形態では、枠体は、2つの構成要素を互いに固定するために固着部区域を閉鎖することによって組み立てられない。たとえばいくつかの変形形態では、固着部区域は、枠体の周りに形成される。図24Aは、固着部区域が、予め形成された枠体区域にかぶせられる、別の例を示す。図24Aでは、2つの枠体2402、2402’が(たとえば、それらを定位置に保持するための図示のような案内部2405を用いて)位置合せされ、接着性固着部2409が枠体にかぶせられる。この例では、接着性固着部2409は、可撓性を有し(さらにいくらか弾性を有することができ)、そのため開口部2411、2411’は、枠体(内側枠体区域に相当する)のより大きい直径部分に固着部がかぶされるとき、拡張することができる。枠体は、リップまたはチャネル2415を備え、その中に開口部2411、2411’の縁部が、枠体にかぶせられた後に着座することができる。リップまたはチャネルはまた、接着性固着部が枠体から滑り抜けることを防止するために、逆棘として構成することもできる。組み立てられた枠体に接着性固着部がかぶせられる変形形態は、再利用可能な(または部分的に再利用可能な)装置にとって、特に有用となることがある。たとえば、枠体から古い接着性固着部を引き抜くことにより、枠体を新しい接着性固着区域とともに再使用することができる。一般に、本明細書に記載する接着性鼻用装置は、使い捨て可能とすることができ、または、単一使用用に構成することができる。図24Bは、図24Aに示す実施形態と同様の一実施形態を、どのように患者の鼻孔内に挿入し、定位置に固定することができるかを示す。この変形形態では、枠体は、軟質の外側部分2435および剛性の内側部分2437を備え、内側部分2437は、空気流抵抗器および通路(および任意の漏れ通路)を備える。接着性固着部は、枠体に取り付けられた接着剤層2439を備える。
【0099】
図25A〜図25Eは、枠体と接着性固着区域2525の間の関係を示す、いくつかの異なる設計の変形形態を示す。たとえば図25Aでは、内側枠体2505は、尖った(または鋭い)縁部区域を備え、縁部区域は、固着部区域をつまみ(またさらには穿刺し)、図23Aおよび図23Bに関して上記で説明した設計と同様に、それを外側枠体2507に対して固定する。図25Bは、接着性固着部2525が、内側枠体部分と外側枠体部分の間に閉鎖することによって枠体に固定されない、別の変形形態を示す。その代わり、接着性固着部2525を、枠体2501上に滑り込ませ、その他の手段(接着剤、溶剤、タッキングなど)によって枠体に接触させて保持することができる。この例では、内側枠体2515を依然、外側枠体2517内に(たとえば空気流抵抗器をその中に固定するために)嵌めることができる。
【0100】
図25Cおよび図25Dは、接着性固着部を定位置に固定するように閉じる、内側枠体区域2505と外側枠体区域2507を有する、枠体の異なる変形形態を示す。図25Eは、図25Dに示す装置の部分分解斜視図を示し、この装置では、内側枠体2505が、外側枠体2507内の穴または受容器内に嵌る相互係止区間を備える。この変形形態では、接着性固着部2525は、穴を備え、それらを通ってこれらの相互係止つまみが嵌る。別の変形形態では、接着性固着部は単に、内側枠体と外側枠体の間で圧迫される。
【0101】
2つ以上の枠体部分が接合されて枠体を形成する変形形態では、個々の枠体部分を、任意の適当な方法で接合することができる。たとえば図26Bに示すように、内側枠体部分と外側枠体部分を係合するために、スナップ嵌めを使用することができる。図26Aは、枠体および接着性固着部を備える、組み立てられた装置を通る断面を示す。円で囲まれた区域2600は、図26Bおよび図26Cに異なる代替形態として示される、組み立てられた枠体の部分断面区域を指示する。図26Bでは、内側枠体2605と外側枠体2607は、互いに「スナップ嵌め」されるように相互係止されている。内側枠体2605に(部分的に接着性固着部上の接着剤により)取り付けたられた、接着性固着部2617の一部も示されている。図26Cでは、内側枠体2605と外側枠体2607は、2620で指示される区域内で互いに溶接(たとえば超音波溶接)される。
【0102】
動作に際して使用者は、鼻を通る空気流の大半が空気流抵抗器を通過するように、接着性固着区域を鼻に付着させて封止部を形成することによって装置を使用者の鼻に固定し、それによって、鼻を通る呼吸を調節する。たとえば空気流抵抗器は、呼息に対する抵抗が吸息に対する抵抗よりも大きくなるように、構成することができる。
【0103】
上記で説明した構成要素に加えて、接着性鼻用装置は、フィッティングアダプタおよびカニューレアダプタ(または鼻カニューレ連結具)を含めた、追加の構成要素を使用することができる。フィッティングアダプタは、接着性鼻用装置の取付け用の追加基材として作用するように、患者の鼻の中、鼻の周り、または鼻に取り付けられる、追加の(たとえば別個の)部片とすることができる。たとえば、標準サイズの接着性鼻用装置を快適に嵌め(かつ封止する)には小さすぎる鼻を有する患者において、接着性鼻用装置をより良好に固定するために、フィッティングアダプタを使用することができる。
【0104】
フィッティングアダプタ(装置の接着性固着部と同じ基本的な材料で製作することができる)をまず、患者の鼻に付着させ、次いで接着性鼻用装置を、フィッティングアダプタを覆い鼻上に付着させることができる。たとえばフィッティングアダプタは、鼻の外部中隔区域(たとえば2つの鼻孔開口部の間の組織)に付着させることができ、かつ、接着性鼻用装置を接触させて嵌めることができる均一でできるだけ大きい表面をもたらすことができる。図28Aおよび図28Bは、患者の外側中隔区域に付着させられた、フィッティングアダプタ2805を示す。図28Bでは、フィッティングアダプタ上に、接着性鼻アダプタが付着させられている。図示のフィッティングアダプタは、外部中隔フィッティングアダプタであるが、フィッティングアダプタは、鼻全体または鼻の下位部分を含めた、鼻の任意の区域に設けることができる。
【0105】
また、本明細書に記載するいずれの装置も、カニューレとともに使用することができるように、カニューレアダプタとともに使用することができる。すなわちカニューレを、接着性鼻用装置によって、患者の鼻の穴付近に固定することができる。たとえば、カニューレを使用して、鼻通路を通る空気流(または空気圧)を測定することができる。いくつかの変形形態では、カニューレは、別個の(または取外し可能な)アダプタを必要とせずに、接着性鼻用装置に直接取り付けられる。一般にカニューレ開口部は、漏れ通路など、接着性鼻用装置を通る開口部と位置合せされる。いくつかの変形形態では、カニューレ(または追加カニューレ)開口部を、空気流抵抗器によって調節される通路開口部と位置合せすることができる。図29Aは、空気流抵抗器(フラップ弁2906)を通る4つの漏れ通路2903を有する、接着性鼻用装置2900の一部を示す底面図である。接着性鼻用装置が着用されるときの鼻通路内の流れを測定するために、カニューレ開口部2910は、指示されるように漏れ通路2903と位置合せされるべきである。図29Bは、弁付き空気流通路2906’を取り囲む漏れ通路開口部2903’を有する、接着性鼻用装置2900’の同様の図を示す。
【0106】
カニューレアダプタは、カニューレ開口部が漏れ通路と位置合せされるように、接着性鼻用装置の底部(たとえば外側枠体)にしっかりと取り付けられるように構成することができる。図30Aは、接着性鼻用装置に取り付けられた、カニューレアダプタ3010を示す。この例では、カニューレアダプタ3010は、カニューレ開口部3020が(図29Aに関して上記で議論した構成と同様の)フラップを通る漏れ通路と対向して位置決めされるように、枠体に取り付けられる。カニューレアダプタは、カニューレ固定内腔(その中にカニューレ3020を取り付けることができる)と、接着性鼻用装置の枠体に取り付けられる支持フレーム3015とを備える。カニューレアダプタは、接着剤を含む任意の適当な方法によって(たとえば糊の使用によって)、または機械的な係合によって、またはいくつかの組合せによって、取り付けることができる。いくつかの変形形態では、カニューレアダプタは、接着性鼻用装置に取外し可能に取り付けられる。その他の変形形態では、カニューレアダプタは、接着性鼻用装置に恒久的に取り付けられる。図31は、接着性鼻用装置に係合させられた、カニューレアダプタの断面を示す。
【0107】
図31に示すカニューレアダプタは、カニューレ開口部が接着性鼻用装置上の漏れ通路3111の開口部と実質的に連続するように、外側枠体基部3107に連結される。この構成は、空気流抵抗器(フラップ3109)が開から閉に変わるときでも、装置着用時の鼻通路内の背圧を決定することを可能にすることができる。いくつかの変形形態では、カニューレまたは管は、呼吸サイクルの一部または全体の間の鼻内圧力を捉えるために、空気流抵抗器の水平面を越えて(鼻腔のさらに内側に)延びることができる。いくつかの変形形態では、カニューレアダプタは、両方の鼻通路から読取りを行うように構成することができる。たとえば図32Aおよび図32Bは、カニューレアダプタの変形形態を示し、この変形形態は、両方の鼻孔を覆って嵌るように構成された接着性鼻用装置内の、両方の枠体に取り付けるように構成される。このアダプタは、蝶板状のブリッジ区域3202を備え、ブリッジ区域3202はここでは、アダプタが様々な鼻孔間隔を有する患者に適合することを可能にする、リビングヒンジとして示される。カニューレアダプタは、接着性鼻用装置の漏れ通路と位置合せされる開口部を備え、また、カニューレ管機構を取り付けることができる雄ルアーフィッティング3205を備える。図32Bは、カニューレアダプタのこの変形形態の側面図を示す。
【0108】
接着性鼻呼吸装置用のカニューレアダプタは、二股カニューレを含めた一般的な(または市販の)鼻カニューレとともに使用することができる。図33は、1対のカニューレアダプタ3305への、典型的な鼻カニューレ3301の連結を示す。図33に示すカニューレアダプタ3305は、枠体基部上にスナップ嵌めされるスナップ嵌め具3310によって、接着性鼻用装置3300の枠体基部区域3307に取り付けられるように構成される。
【0109】
図34および図35は、接着性鼻用装置の2つのさらなる変形形態を示す。図34では、接着性鼻用装置は、自己拡張式枠体を備える。すなわち枠体は、第2の(外側)部分内で摺動可能な第1の(内側)部分を有する。一方の部分をもう一方の部分に対して動かすことによって、外側部分が拡張または収縮させられる。これは図34では、内側部分が一方向に動かされるとき外側部分の壁部を押し離す、楔形(または角度付けされた)内側部分の作用によって生じる。そのような自己拡張式鼻用装置は、さらなる接着剤を必要とせずに、装置を患者の鼻孔内に固定するために使用することができるが、接着剤とともに使用することもできる。いくつかの変形形態では、装置は、係止区域(たとえば「リブ」)を備え、係止区域は、内側部分が内側に動かされることによって拡張された後に、内側部分が容易に戻り出ることを防止する。
【0110】
図35は、両方の鼻孔を覆うために単一の空気流抵抗器が使用される、接着性鼻用装置を示す。この変形形態では、接着性固着部は、両鼻孔が共通のチャンバまたは内腔内へと開かれるように、水平方向に細長い部分を両鼻孔と反対側で固定する。この共通の空間は、内部に空気流抵抗器(および場合によっては漏れ通路も)を有する通路と連続している。
【0111】
図36Aから図36Cは、説明したような接着性鼻要装置の枠体区域の様々な変形形態を示す。図36Aでは、枠体区域は、実質的に平坦な上方縁部を(たとえば第1の枠体区域の頂部に沿って)有する。一方図36Bは、弧状または湾曲プロファイルを有する枠体区域の斜視図を示す。この湾曲プロファイルは、運動するフラップ区域の保護を助けることができ、また製造を容易にすることができる。図36Cは、図36Bに示す枠体の端面図を示す。
【0112】
本明細書に記載する接着性鼻用装置のいくつかの変形形態では、装置の1つまたは複数の構成要素が、使用中に吸入することができる1つまたは複数の化合物を、含浸し、含有し、あるいはそれによって被覆される。空気流、熱、またはその他の状態の存在により、吸入される空気または周囲組織内への化合物の放出を、促進することができる。化合物は、薬草的(メントールまたはラベンダーなど)、化学的、または医薬的(抗ヒスタミン剤または抗喘息薬など)な性質を有することができる。化合物によっては、使用者は、心地よい芳香(睡眠または活動を鎮静化あるいは促進することができる)、鼻充血除去または喘息緩和など医療上の利益を経験することがある。化合物は、使用者が装置を着用する時間の、すべてまたは少なくとも一部の間に吸入することができる。化合物は、睡眠時無呼吸、いびき、または呼吸用装置の一部として使用することができ、あるいは、その他の医学的条件に関するその他の実施形態において使用されることがある。
【0113】
本明細書に記載する鼻呼吸装置はいずれも、睡眠時無呼吸(閉塞性睡眠時無呼吸またはOSAを含む)、いびき、あるいは本明細書で挙げられるその他なんらかの疾患を治療するために、実施することができる。
【0114】
接着性鼻用装置は、吸息時の外気からの粒状物質を除去する、フィルタを備えることができる。除去することができる粒状物質は、粉塵およびアレルゲンを含むことができる。フィルタは、アレルゲン、花粉、鱗屑、スモッグなどのためのフィルタとして作用することができる材料で製作することができる。装置内にフィルタを設けることによって、副鼻腔炎、睡眠時無呼吸、いびき、花粉症、アレルギー性鼻炎、およびその他のアレルギー性呼吸疾患を、低減または防止することができる。このフィルタは実際、空気流抵抗器の一部とすることができ、または、装置の個別構成要素とすることができる。当業者に知られた任意の適当なフィルタを、本明細書に記載する呼吸装置とともに使用することができる。そのような材料は、活性炭フィルタ、中空繊維フィルタなどを含むが、それらに限定されない。フィルタは、空気流に対する抵抗を、いずれの方向でも大きく変えることはなく、または、両方向(吸息および呼息)で実質的に同程度まで空気流を変えることがある。いくつかの変形では、フィルタは、空気流が大幅に妨げられないように、大きい粒子サイズを有する材料を含む。
【0115】
いくつかの変形では、装置は、活性物質とともに使用される。いくつかの変形では、活性物質は、薬剤を含む。活性物質(たとえば医薬品)またはその他の化合物は、口、舌、硬口蓋および軟口蓋、鼻洞、鼻、鼻腔、咽頭、声帯、喉頭、気道、肺、気管、気管支、細気管支、肺胞、気嚢、あるいは吸気または呼気流に露出される任意の組織に活性物質を送達するために、装置内または装置上に配置することができる。いくつかの例では、活性物質は、装置または装置の構成要素に埋込み、または含浸させることができる。いくつかの例では、活性物質は、被膜である。活性物質は、患者にとってある程度有用な、または望ましい、任意の化合物を含むことができる。たとえば活性物質は、メントール、フェノール、ユーカリ、または吸入される空気に香りを提供する任意の物質を含めた、任意の着臭剤とすることができる。あるいは活性物質は、血管系への有利な効果など、有利な効果を有する薬剤を含むことができる。たとえば活性物質は、血管(オキシメタゾリンまたは他の任意の血管作用性化合物)、鼻咽頭、気道、または肺(アルブテロール、ステロイド、あるいはその他の気管支収縮または気管支拡張化合物)に有効な、薬剤を含むことができる。活性物質は、たとえば抗生剤またはステロイドを含むことがある。上記の活性物質の一覧は、限定を意図するものではない。
【0116】
活性物質は、装置の任意の部分内または部分上に配置することができる。さらに、呼吸装置内の活性物質の配置によって、活性物質の送達を具体的に導くことができる。たとえば、少なくとも部分的に呼吸腔の内側に配置されるように構成された呼吸装置の変形では、固着部が活性物質(たとえば被覆された、埋め込まれた、またはそうではなく固着部の一部である)を備える場合、呼吸腔の粘膜を通して薬物を送達することができる。別の例では、活性物質は、エアゾール化して呼吸系内に送達することができる、粉体または放出可能な被膜として含むことができる。すなわち活性物質は、装置(たとえば通路、固着部、または空気流抵抗器)の表面上に存在することができ、または装置の任意の表面内に埋め込むことができる。また、別個の薬剤含有区域を装置に含むこともできる。活性物質の添加は、アレルギーおよび副鼻腔炎の治療において特に有益となることがある。したがって、呼吸装置(空気流抵抗器を備える、または備えない)は、メントールまたはその他の芳香性化合物など、活性物質を含むことができる。
【実施例】
【0117】
図42Aおよび図42Bは、接着性単一鼻孔用鼻用装置を、どのように使用者に取り付け、使用者が着用することができるかを示す。図42Aでは、使用者はまず、保護カバーのすべてまたは一部を剥がし、接着性固着区域を露出させる。使用者は次いで、装置を通る通路が鼻開口部と位置合せされるように、一方の鼻孔を覆って装置を配置する。枠体(たとえば内側枠体)は、使用者が鼻開口部と装置の中央通路とを位置合せすることを、助けることができる。接着性装置は、定位置に固定するために鼻孔に付着させることができる。使用者はまず、接着性装置が付着させられる領域を洗浄して、接着性装置と鼻孔および/または鼻との間の接着(および/または封止)を妨げるおそれがある材料(たとえば汚れ、油脂など)を、除去することができる。
【0118】
単一鼻孔装置が(図42Bに示すように)一方の鼻孔を覆って付着させられた後、第2の装置をもう一方の鼻孔に付着させることができる。2つの装置の接着性固着区域は、重ねることができる。装置を取り外すために、使用者は単に、接着性装置を剥がすことができる。いくつかの例では、かつて個別であった2つの装置を互いに接着させることができるので、一方の装置が取り外されるとき、それによって第2の装置の取外しが促進される。
【0119】
図39Aから図41Dは、接着性鼻用装置の別の変形形態を示す。図39Aは、接着性鼻用装置の枠体部分の側部斜視図を示す。図39Bは、線B−B’(図39Aに示す)を通る、枠体を通る断面である。この変形形態では、枠体は、内側(または上方)枠体3907および外側(または下方)枠体3905備え、これらの枠体は、互いに嵌り合い、堅固な枠体区域を形成する。この変形形態では、内側枠体は、内側枠体区域と外側枠体区域との間の封止表面3909にて外側枠体と対合する。この封止表面は、さらなる漏れ通路が内側枠体と外側枠体との間に形成されないように、十分にぴったりしたものとすることができる。
【0120】
図39A〜図39Dに示す実施例では、内側および外側枠体は、図39Dに見られる2つのスナップ(またはスナップ嵌め具)3911、3911’によって互いに接合されている。図39Dは、図39Cの線D−D’を通る断面を示す。図39Aの3913、3913’によって示すように、スナップ3911、3911’は、枠体の長軸端部の内側部分に配置されている。これらのスナップ3911、3911’は、内側枠体と外側枠体を互いに固定することを可能にする。接着性固着部は、図39A〜図39Dには示されないが、チャネル区域3915が、枠体内に含まれている(枠体を作り出す内側枠体と外側枠体との界面の間に形成されている)。接着性固着部は、このチャネル3915内に固定することができる。この例示的な装置内のチャネル3915は、固着部を枠体に固定するために上記で説明したチャネルとは異なる構成である(たとえば、図3)。たとえばチャネル3915は、図39Bおよび図39Dに見られるように、外側枠体内に形成された凹部内へと下向きに延びる。この構成は、このチャネルが内側枠体と外側枠体の間に水平に、または内側枠体に向かって上向きに突出する構成よりも、小型のプロファイルを装置が有することを可能にすることができる。
【0121】
2つのスナップ嵌め区域3911、3911’を、図40Aおよび図40Bにより明確に示す。図40Aおよび図40Bは、それぞれ外側および内側枠体構成要素の斜視図である。この例では、外側枠体は、2つの突出するスナップ3911、3911’を備えており、これらのスナップは、内側枠体4011内の開口部(それらの一方を図40Bに示す)と対合して、2つの構成要素を互いに固定することができる。上記で説明したように、いくつかの変形形態では、この実施形態で示す2つのスナップ嵌め具だけではなく、内側および外側枠体の主空気流通路の円周全体が、互いに相互係止し、または互いにスナップ嵌めされる。ただしスナップ嵌め具を、枠体の1つのみまたは複数の区域(たとえば好ましくは2つ以上の対向区域)内に備えることが、有利となることがある。たとえば枠体(内側および外側枠体の両方)は、射出成形によって製造することができる。アンダーカットスナップ嵌め部分の製造は、設計にパスコア(pass core)を含むことによって単純化することができる。パスコアとは、型枠のアンダーカット部分付近の区域であり、コア要素が嵌るための通路を備え、それによってアンダーカット区域の形成を助ける。2つのパスコア区域4015、4015’が、図40Aに見られる。
【0122】
上述のように、本明細書に記載される接着性鼻用装置は、任意の適当な寸法または形状を有することができる。図41Aから図41Dは、枠体の一変形形態を示し、これらの図では、例示的な寸法がミリメートル(インチ)で指示される。単純化のために、装置の接着性固着区域はこれらの図には含まれないが、実際の装置の部分として含まれる。図41Aは、枠体区域の斜視図を示す。図41Bは、図41Aに示す枠体実施例の、(装置の長軸に沿った)側面図を示す。この内側枠体の最大直径は、14.2mm(0.56インチ)(内側枠体の主軸の長さとして示す)であるが、外側枠体の最大直径は、ほぼ16.8mm(0.66インチ)(図41Dに外側枠体の主軸の長さとして示す)である。この枠体の高さは、6.1mm(0.24インチ)であり、内側枠体の最大直径は、図41Cに示すように9.4mm(0.37インチ)である。この実施例の外側枠体の最大直径は、11.9mm(0.47インチ)である。
【0123】
上記で与えられた寸法は、大まかなものであり、変えることができる。一般に枠体は、接着性鼻用装置を患者が快適に着用することができるように、任意の適当なサイズとすることができる。たとえば枠体は、より大きくまたはより小さくすることができ、枠体のほぼ楕円形の開口部は、より狭くまたはより幅広にすることができる。いくつかの変形形態では、いかなるサイズの鼻開口部を有する患者が装置を着用することもできるように、サイズおよび寸法を調整することができる。
【0124】
接着性鼻用装置の配置は、鏡の前で行うことができ、または鏡を見ずに行うこともできる。接着性鼻用装置の配置後に、使用者は、接着性固着部と、鼻孔内、鼻孔上、鼻孔を覆う、または鼻孔の周りの区域との間に、適切な封止部が作り出されたか、またはそれが維持されたかを、様々な方法によってテストすることができる。いくつかの例では、使用者は、外側枠体と使用者の指/親指との間に封止部を生み出そうとする試みにおいて、外側枠体上に使用者の指または親指を載せることができる。呼息時にはたとえば、呼息がより困難になるので、装置と使用者の鼻腔との間に良好な封止部が生み出されたかどうかが使用者に明らかとなる。装置のいくつかの実施形態では、外側枠体によって画成される通路を通る空気流を妨げるように働くステッカまたは同様の接着手段を、外側枠体に貼り付けることができる。したがって、使用者は呼息中に、接着性固着部と、鼻孔内、鼻孔上、鼻孔を覆う、または鼻孔の周りの区域との間に、適切な封止部が存在するかどうかを判断することができる。封止部が存在しない場合、使用者は、適切な封止を保証するように、調節を行うことができる。封止が確認されると、使用者は次いで、ステッカまたはその他の接着手段を外側枠体から取り外し、装置の使用を開始することができる。
【0125】
方法および装置を、本明細書においていくらか詳細に例示および実施例として説明してきたが、そのような例示および実施例は、理解を明確にするためのものに過ぎない。本明細書における教示に照らせば、本発明の精神および範囲から逸脱することなくいくつかの変更または修正を行うことができることが、当業者には容易に明らかになるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の鼻腔と連通して固定されるようになされた鼻用装置であって、
枠体を通過する通路を有する枠体と、
前記枠体の前記通路と連通する空気流抵抗器と、
前記枠体の周縁から外向きに延び、生体適合性接着剤を含む、可撓性の接着性固着部と、
前記生体適合性接着剤の少なくとも一部を露出させるように、前記接着性固着部から取り外されるように構成された保護カバーとを備える装置。
【請求項2】
前記空気流抵抗器が、空気流を呼息中に、吸息中より多く妨げるように構成される、請求項1に記載の接着性鼻用装置。
【請求項3】
前記枠体が、内側枠体に固定された外側枠体を備える、請求項1に記載の接着性鼻用装置。
【請求項4】
前記空気流抵抗器が、少なくとも部分的に前記枠体内に固定される、請求項1に記載の接着性鼻用装置。
【請求項5】
第2の枠体と、第2の空気流抵抗器とをさらに備え、前記第2の枠体は、該第2の枠体を通る第2の空気流通路を有し、前記第2の空気流抵抗器は、前記第2の空気流通路と連通して固定される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記接着性固着部が、第1の枠体と第2の枠体との間のブリッジを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記空気流抵抗器がフラップ弁を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記装置を付着させる患者によって把持されるように構成されたつまみをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記枠体が、医療グレードのプラスチックで製作される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記医療グレードのプラスチックが、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、およびポリエーテルエーテルケトンからなる群から選択される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
患者の鼻腔と連通して固定されるようになされた鼻用装置において、
第1の枠体と、
第2の枠体であって、前記第1の枠体が前記第2の枠体に取り付けられ、前記組み合わされた第1および第2の枠体がそれらを通る空気流通路を備える、第2の枠体と、
前記空気流通路と連通する空気流抵抗器と、
前記組み合わされた第1および第2の枠体に固定された接着性固着部とを備え、
前記接着性固着部が、前記鼻用装置を前記患者の鼻腔と連通させて固定するように構成された生体適合性接着剤を備える装置。
【請求項12】
前記空気流抵抗器が、吸息中の空気流よりも呼息中の空気流を多く妨げるように構成される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記空気流抵抗器が、前記第1の枠体と前記第2の枠体との間に固定される、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記第1の枠体が、前記第2の枠体に締り嵌めによって取り付けられる、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記第1の枠体が、前記第2の枠体に溶接によって取り付けられる、請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記溶接が、超音波溶接である、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
第4の枠体に取り付けられた第3の枠体をさらに備え、前記組み合わされた第3および第4の枠体が、それらを通る第2の空気流通路と、前記第2の空気流通路と連通して固定された第2の空気流抵抗器とを備える、請求項11に記載の装置。
【請求項18】
前記接着性固着部が、前記組み合わされた第1および第2の枠体と前記組み合わされた第3および第4の枠体との間のブリッジを含む、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記第1の枠体が、フランジ状の枠を有する、請求項11に記載の装置。
【請求項20】
前記空気流抵抗器が、フラップ弁を備える、請求項11に記載の装置。
【請求項21】
前記接着性固着部が、可撓性接着基材を備える、請求項11に記載の装置。
【請求項22】
前記生体適合性接着剤の少なくとも一部を露出させるように、前記接着基材から取り外されるように構成された保護カバーをさらに備える、請求項11に記載の装置。
【請求項23】
前記接着性固着部が、開口部を有する環状区域を備え、前記開口部を通って、前記組み合わされた第1のおよび第2の枠体区域が延びる、請求項11に記載の装置。
【請求項24】
前記接着性固着区域が、前記装置を付着させる患者によって把持されるように構成されたつまみを備える、請求項11に記載の装置。
【請求項25】
前記第1のおよび第2の枠体が、医療グレードのプラスチックで製作される、請求項11に記載の装置。
【請求項26】
前記医療グレードのプラスチックが、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、およびポリエーテルエーテルケトンからなる群から選択される、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記空気流抵抗器が、フラップ弁を備え、前記フラップが、シリコーンまたは熱可塑性ウレタンで製作される、請求項11に記載の装置。
【請求項28】
前記接着性固着部が、シリコーン、ポリウレタン、またはポリエチレンで製作された接着基材を備える、請求項11に記載の装置。
【請求項29】
前記生体適合性接着剤が、親水コロイドまたはアクリルである、請求項11に記載の装置。
【請求項30】
患者の鼻腔と連通して固定されるようになされた接着性鼻用装置において、
内側枠体を通る少なくとも1つの空気流通路を有する内側枠体と、
外側枠体を通る少なくとも1つの空気流通路を有する外側枠体であって、前記内側枠体の前記空気流通路が前記外側枠体の前記空気流通路と連続するように、前記内側枠体に取り付けられる外側枠体と、
前記内側枠体と前記外側枠体との間に固定された空気流抵抗器と、
前記外側枠体と前記内側枠体との間に固定された接着性固着部とを備える装置。
【請求項31】
患者を治療する方法であって、
鼻用装置の接着性固着区域から保護カバーを取り外すステップを含み、前記鼻用装置が、
枠体を通る通路を有する枠体と、
前記枠体の前記通路と連通する空気流抵抗器と、
前記枠体の周縁から外向きに延びる可撓性の接着性固着部とを備え、前記方法がさらに、
前記接着性鼻用装置を患者の鼻腔または両方の鼻腔に付着させるステップを含む方法。
【請求項32】
接着性鼻用装置の製作方法であって、
第1の枠体と第2の枠体との間に空気流抵抗器を配置するステップと、
前記第1の枠体と前記第2の枠体との間に接着性固着部を配置するステップと、
前記空気流抵抗器および前記接着性固着部を、前記第1の枠体と前記第2の枠体の間に固定するように、前記第1の枠体を前記第2の枠体に固定するステップとを含む方法。
【請求項33】
接着性鼻用装置の製作方法であって、
第1の枠体区域と第2の枠体区域を互いに固定することによって、モジュール枠体を通る通路を有するモジュール枠体を形成するステップと、
空気流抵抗器を前記空気流通路内に固定するステップと、
接着性固着部を前記モジュール枠体に固定するステップとを含む方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C−17E】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20】
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【図21】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23A】
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【図23B】
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【図24A】
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【図24B】
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【図25A】
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【図25B】
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【図25C】
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【図25D】
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【図25E】
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【図26A】
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【図26B】
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【図26C】
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【図27A】
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【図27B】
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【図27C】
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【図27D】
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【図28A】
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【図28B】
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【図29A】
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【図29B】
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【図30A】
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【図30B】
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【図30C】
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【図31】
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【図32A】
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【図32B】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36A】
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【図36B】
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【図36C】
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【図37A】
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【図37B】
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【図38A】
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【図38B】
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【図39A】
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【図39B】
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【図39C】
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【図39D】
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【図40A】
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【図40B】
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【図41A】
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【図41B】
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【図41C】
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【図41D】
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【図42A】
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【図42B】
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【公表番号】特表2009−539484(P2009−539484A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514418(P2009−514418)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際出願番号】PCT/US2007/013651
【国際公開番号】WO2007/146207
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(507189769)ヴェンタス・メディカル・インコーポレーテッド (5)