説明

鼻腔投与容器

【課題】薬液を左右の鼻腔に簡単に投与することができる鼻腔投与容器を得る。
【解決手段】鼻腔投与容器100においては、第1投与のためにプランジャー20が押し込まれるにつれて、第1突出部21aは第1延在部31aに摺接し、第1突出部21aとの摺接によって第1延在部31aは後退移動するとともに第2延在部32aは前進移動し、第2突出部22aは、第2延在部32aの前進移動によって第2突出部22aの進行方向前方に移動した第2延在部32aに当接し、当該当接によって、プランジャー20の移動が停止するとともに第1投与が完了する。第1延在部31aが前進移動するとともに第2延在部32aが後退移動し、第2延在部32aの後退移動によって第2突出部22aと第2延在部32aとの相互の当接状態が解除された状態で、第2投与のためにプランジャー20はバレル10の内部に向かってさらに押し込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液を鼻腔に投与するための鼻腔投与容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2001−137344号公報(特許文献1)に開示されるように、鼻腔投与容器は、左右の鼻腔に薬液を投与するために使用される。鼻腔投与容器が使用される際には、まず、鼻腔投与容器が一方の鼻腔に挿入される。この状態で、一方の鼻腔に所定の量の薬液が投与される。次に、鼻腔投与容器が他方の鼻腔に挿入される。この状態で、他方の鼻腔に残りの薬液が投与される。
【0003】
鼻腔投与容器としては、薬液を左右の鼻腔に投与する場合に、簡単且つ適切に所定の量(たとえば半分ずつ)の薬液を各鼻腔に投与することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−137344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、より簡単且つ適切に、薬液を左右の鼻腔に投与することができる鼻腔投与容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づく鼻腔投与容器は、先端側に噴霧ノズルが設けられるとともに、基端側に開口部が設けられるバレルと、上記開口部を通して上記バレルの内部に一端側から差し込まれ、上記バレルの内部において移動可能なプランジャーと、上記バレルに取り付けられ、上記バレルに対して上記プランジャーの移動方向における移動が規制されたストッパー部材と、を備え、上記ストッパー部材は、上記プランジャーの移動方向に対して交差する方向において上記プランジャーに向かって延在する第1延在部と、上記プランジャーの移動方向に対して交差する方向において上記プランジャーを挟んで上記第1延在部の反対側から上記プランジャーに向かって延在する第2延在部と、を含み、上記第1延在部および上記第2延在部は、上記第1延在部および上記第2延在部の間に上記プランジャーを配置した状態で、上記プランジャーの移動方向に対して交差する方向に一体的に進退移動可能に構成され、上記プランジャーは、上記プランジャーの一端と上記プランジャーの他端との間に設けられた、第1突出部および第2突出部を含み、第1投与のために上記プランジャーが上記バレルの内部に向かって押し込まれるにつれて、上記第1突出部は上記第1延在部に摺接し、上記第1突出部との摺接によって上記第1延在部は後退移動し、上記第1延在部の後退移動によって上記第2延在部は前進移動し、上記第2突出部は、上記第2延在部の前進移動によって上記第2突出部の進行方向前方に移動した上記第2延在部に当接し、上記第2突出部が上記第2延在部に当接することによって、上記プランジャーの移動が停止するとともに上記第1投与が完了し、上記第1延在部が前進移動するとともに上記第2延在部が後退移動し、上記第2延在部の後退移動によって上記第2突出部と上記第2延在部との相互の当接状態が解除された状態で、第2投与のために上記プランジャーは上記バレルの内部に向かってさらに押し込まれる。
【0007】
好ましくは、上記プランジャーは、上記プランジャーの一端と上記プランジャーの他端との間において上記第2突出部よりも上記プランジャーの一端側に設けられた第3突出部をさらに含み、上記第1投与の前のプライミング動作のために上記プランジャーが上記バレルの内部に向かって押し込まれることによって、上記第3突出部は上記第2延在部に当接し、上記第3突出部が上記第2延在部に当接することによって、上記プランジャーの移動が停止するとともに上記プライミング動作が完了する。
【0008】
好ましくは、上記プランジャーは、上記プランジャーの一端と上記プランジャーの他端との間において上記第1突出部よりも上記プランジャーの一端側に設けられた第4突出部をさらに含み、上記第1投与の前の上記プライミング動作のために上記プランジャーが上記バレルの内部に向かって押し込まれるにつれて、上記第4突出部は上記第1延在部に摺接し、上記第4突出部との摺接によって上記第1延在部は後退移動し、上記第1延在部の後退移動によって上記第2延在部は前進移動し、上記第3突出部は、上記第2延在部の前進移動によって上記第3突出部の進行方向前方に移動した上記第2延在部に当接する。
【0009】
好ましくは、上記第1延在部の一部は、上記プランジャーが上記バレルに対して引き抜かれる際、上記第1突出部に押圧されることによって弾性変形する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、より簡単且つ適切に、薬液を左右の鼻腔に投与することができる鼻腔投与容器を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態における鼻腔投与容器を示す斜視図である。
【図2】実施の形態における鼻腔投与容器を示す断面図である。
【図3】図2中におけるIII−III線に沿った矢視断面図である。
【図4】実施の形態における鼻腔投与容器の分解した状態を示す断面図である。
【図5】実施の形態における鼻腔投与容器に用いられるバレルの基端側およびストッパー部材を示す斜視図である。
【図6】実施の形態における鼻腔投与容器に用いられるバレルの基端側およびストッパー部材を示す底面図である。
【図7】実施の形態における鼻腔投与容器に用いられるプランジャー(リブ片)を示す斜視図である。
【図8】実施の形態における鼻腔投与容器の第1状態を示す断面図である。
【図9】実施の形態における鼻腔投与容器の第2状態を示す断面図である。
【図10】実施の形態における鼻腔投与容器の第3状態を示す断面図である。
【図11】実施の形態における鼻腔投与容器の第4状態を示す断面図である。
【図12】実施の形態における鼻腔投与容器の第5状態を示す断面図である。
【図13】実施の形態における鼻腔投与容器の第6状態を示す断面図である。
【図14】実施の形態における鼻腔投与容器の第7状態を示す断面図である。
【図15】実施の形態における鼻腔投与容器の第8状態を示す断面図である。
【図16】実施の形態における鼻腔投与容器の第9状態を示す断面図である。
【図17】実施の形態における鼻腔投与容器の第10状態を示す断面図である。
【図18】実施の形態における鼻腔投与容器の第11状態を示す断面図である。
【図19】実施の形態における鼻腔投与容器の第12状態を示す断面図である。
【図20】実施の形態における鼻腔投与容器の第13状態を示す断面図である。
【図21】実施の形態における鼻腔投与容器の第14状態を示す断面図である。
【図22】実施の形態における鼻腔投与容器の第15状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に基づいた実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。実施の形態の説明において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。実施の形態の説明において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0013】
図1〜図4を参照して、実施の形態における鼻腔投与容器100について説明する。図1は、実施の形態における鼻腔投与容器100を示す斜視図である。図2は、鼻腔投与容器100を示す断面図である。図3は、図2中におけるIII−III線に沿った矢視断面図である。図4は、鼻腔投与容器100の分解した状態を示す断面図である。
【0014】
図1〜図4に示すように、鼻腔投与容器100は、バレル10、プランジャー20、およびストッパー部材30を備える。
【0015】
(バレル10)
図1〜図4に示すように、バレル10は、略筒状に形成される。バレル10は、先端10aおよび基端10b(図4参照)を有する。先端10a側には、開口部11が設けられる。基端10b側には、開口部12が設けられる。開口部11および開口部12は、バレル10の内部10sを通して互いに連通している。
【0016】
バレル10の内部10sに、薬液が貯留される。バレル10の先端10a側には、噴出口19を有する噴霧ノズル18(図1参照)が設けられる(矢印DR18参照)。便宜上、噴霧ノズル18は、図1にのみ記載される。
【0017】
図5は、バレル10の基端10b側およびストッパー部材30を示す斜視図である。図5においては、ストッパー部材30がバレル10から取り外されている。
【0018】
図5に示すように、バレル10の基端10b側には、フランジ部15が設けられる。フランジ部15の下面(基端10b)側には、垂下部16および垂下部17が設けられる。垂下部16は、フランジ部15の下面からL字状に垂れ下がっている。垂下部17も、フランジ部15の下面からL字状に垂れ下がっている。垂下部16および垂下部17は、間隔を空けて互いに向かい合っている。
【0019】
垂下部16の下面および垂下部17の下面が、バレル10の基端10bを構成している。垂下部16の内側に、収容ガイド部16sが形成される。垂下部17の内側に、収容ガイド部17sが形成される。
【0020】
(ストッパー部材30)
ストッパー部材30は、バレル10に対して取り付けられる。具体的には、ストッパー部材30は、接続部39a,39b、板状部39c,39d、第1延在部31a,31b、および、第2延在部32a,32bを含む。
【0021】
板状部39cおよび板状部39dは、間隔を空けて互いに対向するように配置される。接続部39aおよび接続部39bも、間隔を空けて互いに対向するように配置される。接続部39a、接続部39b、板状部39c、および板状部39dは、全体として四角形状に配置されている。接続部39aは、板状部39cおよび板状部39d同士を接続している。接続部39bも、板状部39cおよび板状部39d同士を接続している。
【0022】
第1延在部31aは、後述するプランジャー20の移動方向(図1中の矢印AR方向)に対して交差する方向において、プランジャー20に向かって延在するように設けられる。本実施の形態の場合、プランジャー20の移動方向に対して交差する方向とは、プランジャー20の移動方向に対して直交する方向である。
【0023】
第1延在部31aは、略L字状に形成される下延在部33aと、板状に形成される上延在部35aとを含む。下延在部33aおよび上延在部35aは、互いに間隔を空けて配置される。下延在部33aおよび上延在部35aは、板状部39cに対して垂直な方向に延在している(図4も参照)。
【0024】
下延在部33aの延在方向における先端には、当接面37aが形成される。当接面37aは、バレル10から遠ざかるにつれて、板状部39cに徐々に近づくように傾斜している。下延在部33aは、片持ち梁状に形成される。下延在部33aにおいては、板状部39cが固定端を構成する。下延在部33aにおいては、当接面37aが自由端を構成する。
【0025】
第1延在部31bは、第1延在部31aに対して平行に並んで配置される。第1延在部31bは、第1延在部31aと略同様に形成される。
【0026】
第1延在部31bは、略L字状に形成される下延在部33bと、板状に形成される上延在部35bとを含む。下延在部33bおよび上延在部35bは、互いに間隔を空けて配置される。下延在部33bおよび上延在部35bは、板状部39cに対して垂直な方向に延在している。
【0027】
下延在部33bの延在方向における先端には、当接面37bが形成される。当接面37bは、バレル10から遠ざかるにつれて、板状部39cに徐々に近づくように傾斜している。下延在部33bは、片持ち梁状に形成される。下延在部33bにおいては、板状部39cが固定端を構成する。下延在部33bにおいては、当接面37bが自由端を構成する。
【0028】
第2延在部32aは、後述するプランジャー20の移動方向(図1中の矢印AR方向)に対して交差する方向において、プランジャー20を挟んで第1延在部31aの反対側からプランジャー20に向かって延在するように設けられる。本実施の形態の場合、プランジャー20の移動方向に対して交差する方向とは、プランジャー20の移動方向に対して直交する方向である。
【0029】
第2延在部32aは、略L字状に形成される下延在部34aと、板状に形成される上延在部36aとを含む。下延在部34aおよび上延在部36aは、互いに間隔を空けて配置される。下延在部34aおよび上延在部36aは、板状部39dに対して垂直な方向に延在している(図4も参照)。
【0030】
下延在部34aの延在方向における先端には、当接面38aが形成される。当接面38aは、バレル10から遠ざかるにつれて、板状部39dから徐々に遠ざかるように傾斜している。下延在部34aは、片持ち梁状に形成される。下延在部34aにおいては、板状部39dが固定端を構成する。下延在部34aにおいては、当接面38aが自由端を構成する。
【0031】
第2延在部32bは、第2延在部32aに対して平行に並んで配置される。第2延在部32bは、第2延在部32aと略同様に形成される。
【0032】
第2延在部32bは、略L字状に形成される下延在部34bと、板状に形成される上延在部36bとを含む。下延在部34bおよび上延在部36bは、互いに間隔を空けて配置される。下延在部34bおよび上延在部36bは、板状部39dに対して垂直な方向に延在している。
【0033】
下延在部34bの延在方向における先端には、当接面38bが形成される。当接面38bは、バレル10から遠ざかるにつれて、板状部39dから徐々に遠ざかるように傾斜している。下延在部34bは、片持ち梁状に形成される。下延在部34bにおいては、板状部39dが固定端を構成する。下延在部34bにおいては、当接面38bが自由端を構成する。
【0034】
図6は、バレル10の基端10b側およびストッパー部材30を示す底面図である。図6においては、ストッパー部材30がバレル10から取り外されている。
【0035】
図5および図6に示すように、ストッパー部材30はバレル10に対して取り付けられる。具体的には、ストッパー部材30の接続部39aが、垂下部16の収容ガイド部16s内に嵌め込まれる(矢印DR16参照)。ストッパー部材30の接続部39bが、垂下部17の収容ガイド部17s内に嵌め込まれる(矢印DR17参照)。ストッパー部材30がバレル10に取り付けられる際には、垂下部16,17の弾性変形および接続部39a,39bの弾性変形が利用されるとよい。
【0036】
図1〜図3を再び参照して、ストッパー部材30が、バレル10に対して取り付けられる。プランジャー20の移動方向(図1中の矢印AR方向)において、ストッパー部材30のバレル10に対する移動は規制されている。
【0037】
プランジャー20の移動方向(図1中の矢印AR方向)に対して交差する方向(矢印DR方向)において、ストッパー部材30はバレル10に対して進退移動することができる。ストッパー部材30の第1延在部31a,31bおよびストッパー部材30の第2延在部32a,32bは、第1延在部31a,31bおよび第2延在部32a,32bの間に次述するプランジャー20を配置した状態で、矢印DR方向に一体的に進退移動することができる。
【0038】
(プランジャー20)
図1,図2および図4を参照して、プランジャー20は、一端20aおよび他端20bを有する。プランジャー20は、一端20a側から他端20b側に向かって略棒状に形成される。プランジャー20の一端20aには、ガスケット27が取り付けられる。プランジャー20の他端20bには、円板状の押圧部26が設けられる。
【0039】
プランジャー20は、ガスケット27とともに、一端20a側からバレル10の内部10sに差し込まれる。プランジャー20は、バレル10の内部10sにおいて、矢印AR方向(図1参照)に往復移動することができる。
【0040】
図7は、プランジャー20を示す斜視図である。図7に示すように、プランジャー20は、板状のリブ片25a〜25dを有する。リブ片25a〜25dは、プランジャー20の一端20a側から押圧部26に向かって延在する。リブ片25a〜25dは、90°の間隔を空けて並んでいる。
【0041】
図4および図7に示すように、リブ片25aとリブ片25dとの間には、突起部21a(第1突起部)および突起部24a(第4突起部)が設けられる。突起部21aおよび突起部24aは、それぞれ略錐状に形成される。本実施の形態の場合、突起部21aおよび突起部24aは、扇形状の底面を有する錐状に形成される。突起部21aおよび突起部24aは、三角形状の底面を有する三角錐状に形成されていてもよい。
【0042】
突起部21aおよび突起部24aは、プランジャー20の一端20a(図4参照)とプランジャー20の他端20b(図4参照)との間に位置する。突起部24aは、プランジャー20の一端20aとプランジャー20の他端20bとの間において、突起部21aよりもプランジャー20の一端20a側に位置する。突起部21aおよび突起部24aは、他端20b側から一端20a側に向かうにつれて、徐々に細くなるようにテーパー状に形成される。
【0043】
リブ片25dを挟んで突起部21aの反対側には、突起部21bが設けられる。リブ片25dを挟んで突起部24aの反対側には、突起部24bが設けられる。突起部21bおよび突起部24bは、リブ片25dとリブ片25cとの間に位置している。突起部21bおよび突起部24bも、それぞれ略錐状に形成される。突起部21bおよび突起部24bも、他端20b側から一端20a側に向かうにつれて、徐々に細くなるようにテーパー状に形成される。
【0044】
リブ片25aとリブ片25bとの間には、突起部22a(第2突起部)および突起部23a(第3突起部)が設けられる。突起部22aおよび突起部23aも、それぞれ略錐状に形成される。
【0045】
突起部22aおよび突起部23aも、プランジャー20の一端20aとプランジャー20の他端20bとの間に位置する。突起部23aは、プランジャー20の一端20aとプランジャー20の他端20bとの間において、突起部22aよりもプランジャー20の一端20a側に位置する。突起部22aおよび突起部23aは、一端20a側から他端20b側に向かうにつれて、徐々に細くなるようにテーパー状に形成される。突起部21aおよび突起部23aは、リブ片25aを挟んで略対向している。
【0046】
リブ片25bを挟んで突起部22aの反対側には、突起部22bが設けられる。リブ片25bを挟んで突起部23aの反対側には、突起部23bが設けられる。突起部22bおよび突起部23bは、リブ片25bとリブ片25cとの間に位置している。突起部22bおよび突起部23bも、それぞれ略錐状に形成される。突起部22bおよび突起部23bも、一端20a側から他端20b側に向かうにつれて、徐々に細くなるようにテーパー状に形成される。突起部21bおよび突起部23bは、リブ片25cを挟んで略対向している。
【0047】
図3および図4を再び参照して、鼻腔投与容器100が組み立てられる際には、まず、ストッパー部材30がバレル10に対して取り付けられる。次に、プランジャー20がバレル10の内部10sの内部に差し込まれる。図3に示すように、第1延在部31aおよび第1延在部31bの間に、プランジャー20のリブ片25dが配置される。第2延在部32aおよび第2延在部32bの間に、プランジャー20のリブ片25bが配置される。
【0048】
上述のとおり、第1延在部31a,31bおよび第2延在部32a,32bは、第1延在部31a,31bおよび第2延在部32a,32bの間にプランジャー20を配置した状態で、矢印DR方向(図1〜図3参照)に一体的に進退移動することができる。プランジャー20の移動方向(図1中の矢印AR方向)において、ストッパー部材30のバレル10に対する移動は規制されている。鼻腔投与容器100は、以上のように構成される。
【0049】
(鼻腔投与容器100の動作)
図8〜図22を参照して、鼻腔投与容器100の動作について説明する。鼻腔投与容器100の動作については、突起部21a〜24a、第1延在部31aおよび第2延在部32aの各動作に基づき説明する。突起部21b〜24b、第1延在部31bおよび第2延在部32bは、突起部21a〜24a、第1延在部31aおよび第2延在部32aとそれぞれ同様に動作する。
【0050】
(第1状態S1:初期状態)
図8に示すように、鼻腔投与容器100が組み立てられることによって、鼻腔投与容器100の第1状態S1(初期状態)が得られる。第1状態S1においては、プランジャー20はバレル10に対して深く差し込まれている。バレル10の先端10aには、薬液を貯留した容器(図示せず)が嵌め込まれる。
【0051】
鼻腔投与容器100の内部10sに薬液(図9における薬液LQを参照)を入れるために、プランジャー20は、バレル10に対して矢印AR1方向に引き抜かれる。プランジャー20の動作に合わせて、ガスケット27も矢印AR1方向に移動する。プランジャー20の突起部22aは、ストッパー部材30の第2延在部32aに徐々に接近する。
【0052】
(第2状態S2)
図9を参照して、プランジャー20は、バレル10に対して矢印AR2方向にさらに引き抜かれる。薬液LQは、開口部11を通して、バレル10の内部10sに向かって吸引される。突起部22aは、第2延在部32aの当接面38aに当接する(図9に示す状態)。
【0053】
(第3状態S3)
図10を参照して、プランジャー20は、バレル10に対して矢印AR3a方向にさらに引き抜かれる。薬液LQは、バレル10の内部10sに向かって引続き吸引される。突起部22aの表面と第2延在部32aの当接面38aとは、互いに摺接する。第2延在部32aは、突起部22aによって(図10紙面下方に向かって)押圧される。第2延在部32aは、突起部22aとの摺接によって後退移動する。
【0054】
第2延在部32aの後退移動にあわせて、ストッパー部材30の全体が、矢印AR3b方向に移動する。第1延在部31aは、同方向に前進移動する。第1延在部31aは、突起部21aの進行方向前方に移動する。その後、突起部21aは、第1延在部31aの下延在部33aに当接する(図10に示す状態)。
【0055】
(第4状態S4)
図11を参照して、プランジャー20は、バレル10に対して矢印AR4a方向にさらに引き抜かれる。薬液LQは、バレル10の内部10sに向かって引続き吸引される。第1延在部31aの下延在部33aは、突起部21aによって矢印AR4b方向に押圧される。第1延在部31aの下延在部33a(第1延在部31aの一部)は、同方向に弾性変形する(図11に示す状態)。
【0056】
突起部21aが下延在部33aを通過することによって、下延在部33aは突起部21aの押圧から開放される。下延在部33aは、元の状態にまで復帰する。
【0057】
(第5状態S5)
図12を参照して、プランジャー20は、バレル10に対して矢印AR5a方向にさらに引き抜かれる。薬液LQは、バレル10の内部10sに向かって引続き吸引される。プランジャー20の動作に合わせて、プランジャー20の突起部24aは、第1延在部31aの下延在部33aに徐々に接近する。その後、第1延在部31aの下延在部33aは、突起部24aによって矢印AR5b方向に押圧される。第1延在部31aの下延在部33a(第1延在部31aの一部)は、同方向に弾性変形する(図12に示す状態)。
【0058】
突起部24aが下延在部33aを通過することによって、下延在部33aは突起部24aの押圧から開放される。下延在部33aは、元の状態にまで復帰する。
【0059】
(第6状態S6)
図13を参照して、プランジャー20は、バレル10に対して矢印AR6方向にさらに引き抜かれる。バレル10の内部10sには、所定の量の薬液LQが入り込む。その後、薬液LQの吸引が完了する。ここで、薬液LQがバレル10の内部10sに吸引される際、バレル10の内部10sには、空気AAも入り込むことがある(図12に示す状態)。
【0060】
(第7状態S7:プライミング動作)
図14を参照して、鼻腔に投与されるべき薬液LQの量を所定の値に規定することと、(必要に応じて)バレル10の内部10sに入り込んだ空気AAを抜くこととを目的として、プライミングという動作(プライミング動作)が実施される。
【0061】
具体的には、プランジャー20がバレル10の内部に押し込まれる(矢印AR7参照)。プランジャー20の動作に合わせて、ガスケット27も矢印AR7方向に移動する。空気AAは、バレル10の内部10sから徐々に排出される。プランジャー20の突起部24aは、第1延在部31aの下延在部33aに徐々に接近する。
【0062】
(第8状態S8)
図15を参照して、プランジャー20は、バレル10の内部にさらに押し込まれる(矢印AR8参照)。空気AAは、バレル10の内部10sから引続き排出される。突起部24aは、第1延在部31aの当接面37aに当接する(図15に示す状態)。
【0063】
(第9状態S9)
図16を参照して、プランジャー20は、バレル10の内部にさらに押し込まれる(矢印AR9a参照)。空気AAは、バレル10の内部10sから引続き排出される。突起部24aの表面と第1延在部31aの当接面37aとは、互いに摺接する。第1延在部31aは、突起部24aによって(図16紙面上方に向かって)押圧される。第1延在部31aは、突起部24aとの摺接によって後退移動する。
【0064】
第1延在部31aの後退移動に合わせて、ストッパー部材30の全体が、矢印AR9b方向に移動する。第2延在部32aは、同方向に前進移動する。第2延在部32aは、突起部23aの進行方向前方に移動する。
【0065】
(第10状態S10)
図17を参照して、プランジャー20は、バレル10の内部にさらに押し込まれる(矢印AR10a参照)。空気AAは、バレル10の内部10sから排出される。第2延在部32aは、矢印AR10b方向にさらに前進移動する。その後、突起部23aは、第2延在部32aの下延在部34aに当接する(図17に示す状態)。
【0066】
突起部23aが第2延在部32aの下延在部34aに当接することによって、プランジャー20の移動は停止する。プライミング動作が完了する。バレル10の内部10sに混入していた空気は、バレル10の外部に排出される。鼻腔に投与されるべき薬液LQの量は、所定の値に規定される。
【0067】
(第11状態S11)
図18を参照して、鼻腔に投与されるべき薬液LQの量が所定の値に規定された後、ストッパー部材30は、鼻腔投与容器100の使用者等によって矢印AR11方向に移動される。第1延在部31aは、前進移動する。第2延在部32aは、後退移動する。第2延在部32aが後退移動することによって、第2延在部32aと突起部23aとの相互の当接状態は解除される(図18に示す状態)。
【0068】
(第12状態S12:第1投与)
図19を参照して、第2延在部32aと突起部23aとの相互の当接状態が解除された後、バレル10の先端10aに設けられた噴霧ノズル18(図1参照)が一方の鼻腔の中に配置される。この状態で、押圧部26を利用して、プランジャー20はバレル10の内部に強く押し込まれる(矢印AR12a参照)。プランジャー20の動作に合わせて、ガスケット27は、バレル10の内部に入り込む。薬液LQは、噴霧ノズル18から噴出された後、鼻腔の中に投与される。
【0069】
プランジャー20がバレル10の内部に押し込まれる際、突起部21aの表面と第1延在部31aの当接面37aとは、互いに摺接する。第1延在部31aは、突起部21aによって(図19紙面上方向に向かって)押圧される。第1延在部31aは、突起部21aとの摺接によって後退移動する。
【0070】
第1延在部31aの後退移動に合わせて、ストッパー部材30の全体が、矢印AR12b方向に移動する。第2延在部32aは、同方向に前進移動する。第2延在部32aは、突起部22aの進行方向前方に移動する。
【0071】
(第13状態S13)
図20を参照して、プランジャー20は、バレル10の内部にさらに押し込まれる(矢印AR13a参照)。薬液LQは、引続き鼻腔の中に投与される。第2延在部32aは、矢印AR13b方向にさらに前進移動する。その後、突起部22aは、第2延在部32aの下延在部34aに当接する(図20に示す状態)。
【0072】
突起部22aが第2延在部32aの下延在部34aに当接することによって、プランジャー20の移動は停止する。第1投与が完了する。プランジャー20のバレル10に対するストローク量が、第1回目の薬液LQの投与量を規定している。
【0073】
(第14状態S14)
図21を参照して、第1投与の完了後、ストッパー部材30は、鼻腔投与容器100の使用者等によって矢印AR14方向に移動される。第1延在部31aは、前進移動する。第2延在部32aは、後退移動する。第2延在部32aが後退移動することによって、第2延在部32aと突起部22aとの相互の当接状態は解除される(図21に示す状態)。
【0074】
(第15状態S15:第2投与)
図22を参照して、第2延在部32aと突起部22aとの相互の当接状態が解除された後、バレル10の先端10aに設けられた噴霧ノズル18(図1参照)が他方の鼻腔の中に配置される。この状態で、押圧部26を利用して、プランジャー20はバレル10の内部に強く押し込まれる(矢印AR15参照)。プランジャー20の動作に合わせて、ガスケット27は、バレル10の内部に入り込む。薬液LQは、噴霧ノズル18から噴出された後、鼻腔の中に投与される。
【0075】
ガスケット27がバレル10の内周面に当接することによって、プランジャー20の移動は停止する。第2投与が完了する。プランジャー20は、押圧部26がフランジ部15の下端等に当接するまで前進するように構成されてもよい。プランジャー20のバレル10に対するストローク量が、第2回目の薬液LQの投与量を規定している。鼻腔投与容器100は以上のように動作するとともに、鼻腔投与容器100による薬液LQの投与は以上のように実施される。
【0076】
(作用・効果)
鼻腔投与容器100においては、上述のとおり、ストッパー部材30に第1延在部31aおよび第2延在部32aが設けられる。プランジャー20に突起部21aおよび突起部22aが設けられる。第1投与の際には、これらの動作によってプランジャー20が停止する。鼻腔投与容器100によれば、簡単且つ適切に、薬液を一方の鼻腔に投与することができる。
【0077】
鼻腔投与容器100においては、上述のとおり、プランジャー20に突起部23aが設けられる。プライミング動作の際には、突起部23aによってプランジャー20が停止する。鼻腔投与容器100によれば、簡単且つ適切に、薬液を一方の鼻腔に投与するための準備をすることができる。
【0078】
鼻腔投与容器100においては、上述のとおり、プランジャー20に突起部24aが設けられる。プライミング動作の際には、突起部24aによって動作される突起部23aによりプランジャー20が停止する。鼻腔投与容器100によれば、簡単且つ適切に、薬液を一方の鼻腔に投与するための準備をすることができる。
【0079】
以上の実施の形態において、突起部23a,23bは、必要に応じて設けられるとよい。突起部24a,24bも、必要に応じて設けられるとよい。ストッパー部材30における第1延在部31bも、必要に応じて設けられるとよい。ストッパー部材30における第2延在部32bも、必要に応じて設けられるとよい。突起部21b〜24bについても同様である。
【0080】
以上、本発明に基づいた実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0081】
10 バレル、10a 先端、10b 基端、10s 内部、11,12 開口部、15 フランジ部、16,17 垂下部、16s,17s 収容ガイド部、18 噴霧ノズル、19 噴出口、20 プランジャー、20a 一端、20b 他端、21a,21b,22a,22b,23a,23b,24a,24b 突起部、25a,25b,25c,25d リブ片、26 押圧部、27 ガスケット、30 ストッパー部材、31a,31b 第1延在部、32a,32b 第2延在部、33a,33b,34a,34b 下延在部、35a,35b,36a,36b 上延在部、37a,37b,38a,38b 当接面、39a,39b 接続部、39c,39d 板状部、100 鼻腔投与容器、AA 空気、AR7,AR8,AR9a,AR10a,AR12a,AR13a,AR15,DR16,DR17,DR18 矢印、LQ 薬液、S1 第1状態、S2 第2状態、S3 第3状態、S4 第4状態、S5 第5状態、S6 第6状態、S7 第7状態、S8 第8状態、S9 第9状態、S10 第10状態、S11 第11状態、S12 第12状態、S13 第13状態、S14 第14状態、S15 第15状態。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側に噴霧ノズルが設けられるとともに、基端側に開口部が設けられるバレルと、
前記開口部を通して前記バレルの内部に一端側から差し込まれ、前記バレルの内部において移動可能なプランジャーと、
前記バレルに取り付けられ、前記バレルに対して前記プランジャーの移動方向における移動が規制されたストッパー部材と、を備え、
前記ストッパー部材は、
前記プランジャーの移動方向に対して交差する方向において前記プランジャーに向かって延在する第1延在部と、
前記プランジャーの移動方向に対して交差する方向において前記プランジャーを挟んで前記第1延在部の反対側から前記プランジャーに向かって延在する第2延在部と、を含み、
前記第1延在部および前記第2延在部は、前記第1延在部および前記第2延在部の間に前記プランジャーを配置した状態で、前記プランジャーの移動方向に対して交差する方向に一体的に進退移動可能に構成され、
前記プランジャーは、前記プランジャーの一端と前記プランジャーの他端との間に設けられた、第1突出部および第2突出部を含み、
第1投与のために前記プランジャーが前記バレルの内部に向かって押し込まれるにつれて、前記第1突出部は前記第1延在部に摺接し、前記第1突出部との摺接によって前記第1延在部は後退移動し、前記第1延在部の後退移動によって前記第2延在部は前進移動し、前記第2突出部は、前記第2延在部の前進移動によって前記第2突出部の進行方向前方に移動した前記第2延在部に当接し、前記第2突出部が前記第2延在部に当接することによって、前記プランジャーの移動が停止するとともに前記第1投与が完了し、
前記第1延在部が前進移動するとともに前記第2延在部が後退移動し、前記第2延在部の後退移動によって前記第2突出部と前記第2延在部との相互の当接状態が解除された状態で、第2投与のために前記プランジャーは前記バレルの内部に向かってさらに押し込まれる、
鼻腔投与容器。
【請求項2】
前記プランジャーは、前記プランジャーの一端と前記プランジャーの他端との間において前記第2突出部よりも前記プランジャーの一端側に設けられた第3突出部をさらに含み、
前記第1投与の前のプライミング動作のために前記プランジャーが前記バレルの内部に向かって押し込まれることによって、前記第3突出部は前記第2延在部に当接し、前記第3突出部が前記第2延在部に当接することによって、前記プランジャーの移動が停止するとともに前記プライミング動作が完了する、
請求項1に記載の鼻腔投与容器。
【請求項3】
前記プランジャーは、前記プランジャーの一端と前記プランジャーの他端との間において前記第1突出部よりも前記プランジャーの一端側に設けられた第4突出部をさらに含み、
前記第1投与の前の前記プライミング動作のために前記プランジャーが前記バレルの内部に向かって押し込まれるにつれて、前記第4突出部は前記第1延在部に摺接し、前記第4突出部との摺接によって前記第1延在部は後退移動し、前記第1延在部の後退移動によって前記第2延在部は前進移動し、前記第3突出部は、前記第2延在部の前進移動によって前記第3突出部の進行方向前方に移動した前記第2延在部に当接する、
請求項2に記載の鼻腔投与容器。
【請求項4】
前記第1延在部の一部は、前記プランジャーが前記バレルに対して引き抜かれる際、前記第1突出部に押圧されることによって弾性変形する、
請求項1から3のいずれかに記載の鼻腔投与容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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