(−)−エピガロカテキンガレートの新規な使用
動物(ヒトを含む)、特に哺乳動物の、運動する、実行する、および/または走る、特に持久力運動を行い、さらにトレーニングの成功を加速させようとすることに対する欲求、意欲、および/またはモチベーションを増大させるための(−)−エピガロカテキンガレート、および/またはその誘導体の1種以上の使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、(−)−エピガロカテキンガレート(EGCG)の新規な使用、並びに(−)−エピガロカテキンガレートを含有する栄養補助食品、ニュートラシューティカル組成物、食品、飼料および飲料に関する。
【0002】
本発明の組成物は、動物(ヒトを含む)、特に哺乳動物の、運動する、実行する、および/または走る、特に、持久力運動を行い、さらにトレーニングの成功を加速させようとすることに対する欲求、意欲、および/またはモチベーションを増大させることを特に意図したものである。
【0003】
用語「EGCG]は、本明細書で使用されるとき、(−)−エピガロカテキンガレートおよび/またはその誘導体の1種以上(例えば、エステル化形態、グリコシド、硫酸塩)を意味する。特に好ましくは、(−)−エピガロカテキンガレートそれ自体である。
【0004】
「(−)−エピガロカテキンガレート」および「EGCG」という用語は、ここでは、EGCGを含有する天然源(1種もしくはそれ以上の成分)、例えば、緑茶、および/または、EGCGを含有する水性緑茶抽出物などの緑茶抽出物を包含するものとする。本発明においては、合成されたEGCGを使用することもまた有利である。
【0005】
本発明の好ましい実施形態において使用されるEGCGは、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より一層好ましくは少なくとも92%、特に好ましくは少なくとも94%の高純度を有する。その全量を基準にして少なくとも80%(好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より一層好ましくは少なくとも92%、特に好ましくは少なくとも94%)の量のEGCGを含有する水性緑茶抽出物が、特に好ましい。
【0006】
「ニュートラシューティカル」という用語は、ここでは、栄養および医薬品の両分野の用途に有用であることを意味する。したがって、本発明の「ニュートラシューティカル組成物」は、食品、飼料および飲料への補助物、栄養補助食品に、また、カプセルもしくは錠剤などの固形の、または、溶液もしくは懸濁液などの液体といった医薬品製剤になり得る。以上のことから、「ニュートラシューティカル組成物」という用語が、EGCGを含有する食品、飼料および飲料をも含むことは明らかである。
【0007】
特に、本発明は、動物、好ましくは哺乳動物の
・運動することに対する欲求;
・走る、および/または実行することに対する意欲;
・動くことに対するモチベーション、並びに/あるいは
・探索行動
を増大させるためのEGCGの使用に言及する。
【0008】
さらに、本発明は、動物、好ましくは哺乳動物の
・トレーニングの成功を加速する;
・トレーニングの成功をより速くもたらす;
ためのEGCGの使用に言及する。
【0009】
「運動することに対する欲求」、「走る、および/または実行することに対する意欲」および「動くことに対するモチベーション」という用語は、ここでは、運動することに対するモチベーション、(運動することに対する)自己のモチベーション、持久力運動を行うことに対する意欲、および動くことに対する衝動を含む。
【0010】
本発明においては、動物は、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはヒトおよびペット(特に、馬、犬、猫、並びに/あるいは小動物、例えばハムスター、および/またはテンジクネズミ)からなる群より選択される哺乳動物である。特に好ましくはヒトである。
【0011】
EGCG−好ましくは上記したような高純度のEGCG−は、(強化)食品もしくは(強化)飼料、栄養補助食品、飲料、錠剤、顆粒、カプセル、ペースト、ゲル、粉末、食品添加物、飼料添加物、または発泡性製剤の形態で投与される。さらに他の例として、EGCGを含有するシリアル、シリアルバー、乳製品(例えば、ミルク、バターミルク、サワーミルク、ヨーグルト(ドリンク)、カード、クォークデザートなど)およびパスタ(特に、トマト)ソースが挙げられる。
【0012】
本発明の好ましい実施態様においては、EGCGは、定期的に(好ましくは毎日)、かつ/または運動の開始前もしくは競技会、試合、トーナメントなどの前の然るべき時(例えば数週間前)に投与される。
【0013】
上記のように使用する好ましい実施態様では、EGCGの1日の投与量は、1日当たり、体重1kgにつき、0.1〜30mgの間、好ましくは1日当たり、体重1kgにつき、1.4〜8.5mgの間、より好ましくは1日当たり、体重1kgにつき、2〜4.5mgの間、特に好ましくは1日当たり、体重1kgにつき、4.0〜4.5mgの間で変化する。
【0014】
したがって、体重70kgのヒトでは、EGCGの1日の投与量は、7〜2100mg、好ましくは100〜600mg、より好ましくは140〜300mgで変化し、特に好ましくは1日当たり約300mgである。
【0015】
骨格筋は、ATPを産生するメカニズムが異なる2つの主要なタイプの繊維を含んでおり、各タイプの繊維の量は、筋によっても人によっても異なる。
【0016】
赤(「遅」)筋繊維は、ミトコンドリアの量が多く、ミオグロビンに酸素を貯蔵し、好気的代謝に依存し、体積に対する毛細血管比が大きく、かつ持久力に関連している。これらはATPをゆっくりと産生する。マラソン選手は、一般に遺伝およびトレーニングにより赤筋繊維をより多く有する傾向がある。「遅」筋繊維はI型筋繊維と呼ばれる(下表参照)。したがって、個体がI型筋繊維を多く有していればいるほど、その骨格筋の持久力活動はより良好となり、疲労に対する抵抗力はより大きくなる。
【0017】
白(「速」)筋繊維は、ミトコンドリアの量が少なく、力強い(しかし、短時間の)収縮が可能であり、ATPを迅速に代謝し、体積に対する毛細血管比が小さく、乳酸を蓄積しやすい。重量挙げ選手や短距離走選手は、白筋繊維をより多く有する傾向がある。3つの主要な繊維のタイプが、「速」筋繊維として定義されており、これらはIIa型筋繊維、IId/x型筋繊維およびタイプIIb型筋繊維である(表)。これらの筋繊維のうち、IIa型筋繊維は主に好気的代謝を行い、したがって、持久力活動を支えるために使用される。他方、IIb型筋繊維は、主に解糖代謝を行い、短時間で疲労するため長時間の持久力活動には適していない。したがって、個体がIIa型筋繊維を多く有していればいるほど、その骨格筋の持久力活動を行う能力はより高くなり、一方、個体がIIb型筋繊維をより多く有していれば、持久力活動においてより短時間に疲労しやすい。
【0018】
【表1】
【0019】
したがって、本発明の他の目的は、動物の
・酸化型(「遅」)筋繊維の数;
・持久力運動の実施を助ける好気的骨格筋繊維の数、および/または
・筋繊維型の好気的骨格筋繊維への移行
を増大させるためのEGCGの使用にある。
【0020】
本発明においては、動物は、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはヒトおよびペット(特に、馬、犬、猫、並びに/あるいは小動物、例えばハムスター、および/またはテンジクネズミ)からなる群より選択される哺乳動物である。特に好ましくはヒトである。
【0021】
EGCGを使用すると、(持久力)運動を全く行わなくとも、骨格筋の繊維の型の組成に、持久力運動を定期的に行った場合と同様の変化をもたらすことは、当業者には予見できなかった。酸化型筋繊維の数が、身体運動と無関係に、すなわち、運動していない個体とトレーニングしている個体とで同様に増加したことは特に驚くべきことであった。
【0022】
EGCGの純度、その投与形態および1日投与量に関する上記の好ましい点は、ここでもまた適用される。
【0023】
本発明の他の目的は、動物、好ましくは哺乳動物の
・運動することに対する欲求;
・走る、および/または実行することに対する意欲;
・動くことに対するモチベーション、並びに/あるいは
・探索行動
を増大させる方法であって、前記方法が、前記動物に有効量のEGCGを投与する工程を含み、EGCGの有効量が、1日当たり、体重1kgにつき、0.1〜30mgの間、好ましくは1.4〜8.5mgの間、より好ましくは2〜4.5mgの間、特に好ましくは4.0〜4.5mgの間で変化する方法にある。
【0024】
本発明の他の目的は、動物、好ましくは哺乳動物の
・酸化型(「遅」)筋肉繊維の数;
・持久力運動の実施を助ける好気的骨格筋繊維の数、および/または
・筋繊維型の好気的骨格筋繊維への移行
を増大させる方法であって、前記方法が、前記動物に有効量のEGCGを投与する工程を含み、EGCGの有効量が、1日当たり、体重1kgにつき、0.1〜30mgの間、好ましくは1.4〜8.5mgの間、より好ましくは2〜4.5mgの間、特に好ましくは4.0〜4.5mgの間で変化する方法にある。
【0025】
本発明の他の目的は、動物、好ましくは哺乳動物の
・トレーニングの成功を加速する;
・トレーニングの成功をより速くもたらす;
方法であって、前記方法が、前記哺乳動物に有効量のEGCGを投与する工程を含み、EGCGの有効量が、1日当たり、体重1kgにつき、0.14〜30mgの間、好ましくは1.4〜8.5mgの間、より好ましくは2〜4.5mgの間、特に好ましくは4.0〜4.5mgの間で変化する方法にある。
【0026】
上記の好ましい点および説明は、ここでもまた適用される。
【0027】
本発明の他の目的は、動物、好ましくは哺乳動物の
・運動することに対する欲求;
・走る、および/または実行することに対する意欲;
・動くことに対するモチベーション、並びに/あるいは
・探索行動
を向上させる組成物を製造するためのEGCGの使用にある。
【0028】
本発明の他の目的は、動物、好ましくは哺乳動物の
・酸化型(「遅」)筋繊維の数;
・持久力運動の実施を助ける好気的骨格筋繊維の数、および/または
・筋繊維型の好気的骨格筋繊維への移行
を向上させる組成物を製造するためのEGCGの使用にある。
【0029】
本発明の他の目的は、動物、好ましくは哺乳動物の
・トレーニングの成功を加速する;
・トレーニングの成功をより速くもたらす;
組成物を製造するためのEGCGの使用にある。
【0030】
上記の好ましい点および説明は、ここでもまた適用される。
【0031】
組成物を経口投与用に錠剤、カプセル、顆粒または粉末の形態で調製する場合、担体としてラクトース、サッカロース、塩化ナトリウム、グルコース、尿素、デンプン、デキストリンおよび/またはマルトデキストリン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムおよび/またはリン酸水素カルシウム、カオリン、結晶性および/または微結晶性セルロース、並びに/あるいはケイ酸などの賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、グルコース溶液、デンプンおよび/または加水分解デンプン溶液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルデンプン、セラック、メチルセルロース、エチルセルロース、リン酸カルシウムおよび/またはポリビニルピロリドンなどのバインダー;乾燥デンプン、クロスカルメロース、クロスポビドン、アルギン酸ナトリウム、寒天末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプンおよび/またはラクトースなどの分解剤;ステアリン酸、カカオバターおよび/または水素化オイルなどの分解防止剤;4級アンモニウム塩基および/またはラウリル硫酸ナトリウムなどの吸収剤;グリセロールおよび/またはデンプンなどの保湿剤;デンプン、ラクトース、カオリン、ベントナイトおよび/またはコロイダルシリカなどの吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末および/またはポリエチレングリコールなどの潤滑剤;サッカロース、オレンジの皮、クエン酸および/またはコハク酸などを使用することができる。
【0032】
組成物を錠剤の形態で調製する場合、これらは通常のコーティング材で被包した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチンコーティング錠、腸溶性コーティング錠、フィルムコーティング錠、二重コーティング錠、多層コーティング錠などとして提供することができる。カプセルは、本発明の化合物を上で例示した各種担体またはこの分野の最先端の技術によるものと混合し、その混合物を硬質ゼラチンカプセル、軟質カプセルなどに充填することによって調製される。
【0033】
本発明の組成物には、例えば、バランスのとれた良好な栄養を維持するため、あるいは、ある食物では欠乏する必須栄養素を十分な量で得るために、マルチビタミンおよびミネラルの補給剤を加えることができる。マルチビタミンおよびミネラルの補給剤は、病気の予防や、生活パターンおよび糖尿病で往々にしてよく見られる不適切な食生活から来る栄養の損失および欠乏を防ぐためにも有用である。
【0034】
本発明の組成物は、食物または飲料物の組成物とすることができる。飲料物としては、例えば、スポーツドリンク、エネルギードリンクもしくは他のソフトドリンク、または他の任意の適切な飲料調製品(例えば、ヨーグルト飲料、熱い飲み物、またはスープ)が挙げられる。
【0035】
本発明の好ましい実施態様では、飲料は、「インスタント飲料」、すなわち、−通常、消費者自身が−粉末を液体、通常、ミルクまたは水に入れてかき混ぜることによって作られる飲料である。
【0036】
「スポーツドリンク」は、主に、水分の(再)補給や、電解質、糖分および他の栄養素の(再)貯蔵のために、身体運動の前、途中および/または後で消費される飲料をいう。スポーツドリンクは、通常、等張性であり、これは、それらが栄養素を人体と同じ割合で含んでいることを意味する。
【0037】
エネルギードリンクは、(合法の)興奮剤、ビタミン(特にビタミンB)および/またはミネラルを含有し、飲んだ人に爆発的な活力を与えることを意図した飲料である。よく使用される成分としては、カフェイン、ガラナ(ガラナ植物から得られるカフェイン)および/またはタウリン、各種形態の朝鮮人参、マルトデキストリン、イノシトール、カルニチン、クレアチン、グルクロノラクトン、コエンザイムQ10および/またはイチョウ葉エキスが挙げられる。糖、またはグルコースを高濃度で含有するものがあり、一方では糖アルコールおよび/またはシクラミン酸Caまたはアスパルテームなどの人工甘味料で全体的にまたは部分的に甘味を付けたものもある。そのような飲料の多くは、風味および/または色が付けられている。
【0038】
ソフトドリンクは、アルコールを含まない飲み物である。この用語は一般に冷飲料に対してのみ使用される。ホットチョコレート、茶およびコーヒーはソフトドリンクとはみなされない。この用語には、炭酸飲料や、非炭酸ドリンク、例えば、ミネラルウォーター、またはいわゆる「ニアウォーター飲料」、すなわち、追加の有用成分(例えば、特別なフレーバおよび/または他の(機能性)成分)を含む水をベースとする飲料が含まれる。「ニアウォーター飲料」の1つの単純な例は、水とほんの僅かの果汁との混合物である。
【0039】
組成物が次の食品の1つの形態で調製される場合、組成物中のEGCG量は次表に示す範囲から選択されると、本発明においては有利である。
【0040】
【表2】
【0041】
組成物が錠剤またはカプセルの形態で調製される場合、EGCG量が次表に示す範囲から選択されると、本発明においては有利である。
【0042】
【表3】
【0043】
以下の実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
【0044】
[実施例]
[実施例1]
Charles River(ズルツフェルト(Sulzfeld)、ドイツ(Germany))より、オスのマウスC57BL/6J(5週齢)を購入した。全てのマウスに、最初、3ヶ月間、高脂肪食(Kliba#2154、Provimi Kliba AG、カイザーアウグスト(Kaiseraugst)、スイス(Switzerland))を与えた。その後、マウスをランダムに5つのグループに分けた。
−グループ1:低脂肪食、ケージ内通常運動に限定(低脂肪 低運動、n=11)
−グループ2:高脂肪食、ケージ内通常運動に限定(高脂肪 低運動、n=11)
−グループ3:0.5重量%EGCG含有高脂肪食、ケージ内の通常の運動(高脂肪+EGCG低運動、n=10)
−グループ4:高脂肪食、ランニングホイールへ自由にアクセス(高脂肪 運動、n=10)
−グループ5:0.5重量%EGCG含有高脂肪食、ランニングホイールへ自由にアクセス(高脂肪+EGCG 運動、n=10)
【0045】
処理期間は2か月とした。この期間中、すべてのマウスに食物と水を不断に与えた。グループ4および5のマウスにはランニングホイール(Technical & Scientific Equipment GmbH、バートホンブルク(Bad Homburg)、ドイツ)へのアクセスを制限しなかった。毎日の自発的ランニングホイール運動を観察した。処理期間の終わりに、齧歯動物用トレッドミル(Technical & Scientific Equipment GmbH、バートホンブルク、ドイツ)上の最大ランニング能力を測定した。腓腹筋を切除し、液体窒素中で凍結させ、後の繊維の型の定量のために−80℃で保管した。繊維特異性抗体を使用する免疫組織化学およびシトクロムオキシダーゼ染色を使用する組織化学により、内側腓腹筋の骨格筋繊維をI型、IIA型、D/X型、IIB型として定量した。
【0046】
EGCG含有高脂肪食を与えられたマウスの自発的ランニングホイール運動は、高脂肪食のみを与えられたマウスと比較して顕著に増加した。EGCG含有高脂肪食を摂ったマウスは、平均して1日に3140.3±43.3mを走ったが、高脂肪食マウスは1日に1579.8±59.0mを走っただけであった(P<0.004)。
【0047】
EGCGを補給した高脂肪食は、高脂肪食のみを与えられた低運動マウスに比べて、低運動マウスおよび運動マウスの内側腓腹筋中のI型およびIIa型の繊維の割合を増加させた(表1)。高脂肪食中のEGCGを与えられたマウスの、内側腓腹筋におけるIId/x型およびIIb型の繊維の拡がりは、高脂肪食のみを与えられたマウスに比べて少なかった(表1)。両EGCGグループで観察された繊維型の移行は、高脂肪運動グループで観察された繊維型の移行より顕著であった(表1)。運動のみでは、IIa型繊維の割合が増加した(表1)。
【0048】
【表4】
【0049】
[実施例2:医薬品組成物]
[ソフトゼラチンカプセル]
下記の成分を使用し、従来の製剤法によりソフトゼラチンカプセルを調製する。
活性成分:EGCG150mgおよびビタミンE50mg
他の成分:グリセロール、水、ゼラチン、植物油
【0050】
[ハードゼラチンカプセル]
下記の成分を使用し、従来の製剤法によりハードゼラチンカプセルを調製する。
活性成分:EGCG300mg
他の成分:
フィラー:ラクトース、セルロースおよび/またはセルロース誘導体
潤滑剤:必要に応じてステアリン酸マグネシウム(0.5重量%)
【0051】
[錠剤]
下記の成分を使用し、従来の製剤法により錠剤を調製する。
活性成分:EGCG300mgおよびビタミンE20mg
他の成分:微結晶セルロース、二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、クロスカルメロースナトリウム
【0052】
[実施例3:食品]
[インスタントドリンク]
[組成]
【0053】
【表5】
【0054】
[調製]
全ての成分を500μmの篩で篩う。粉末を適当な容器に入れタンブラーブレンダーで少なくとも20分間混合する。35gの粉末を使用し、水を加えて1リットルの飲料とする。
【0055】
1回分の即席ドリンク240m当たり50mgのEGCGおよび5mgのリコペンを、インスタントドリンクは含んでいる。
【0056】
大量のまたは日光浴の途中およびその後で、1日3回までの摂取が推奨される。
【0057】
[ミント]
[組成]
【0058】
【表6】
【0059】
[調製]
TEAVIGOTMTG、redivivoTM10%CWS/S−TG、アスコルビン酸微細顆粒、ソルビトール、芳香剤、甘味料およびPEG6000をドラムに仕込み、タンブラーミキサーで10分間混合する。ソルビトールおよび二酸化ケイ素を1mmの篩に通して別のドラムに入れ、10分間混合する。2つの粉末混合物を合わせ、再び10分間混合する。ステアリン酸マグネシウムを1mmの篩を通して加え、この組成物を再び2分間混合した。
【0060】
この粉末を、Korsch XP1タブレットプレス(パンチサイズ8mmの円形)により錠剤に圧縮した。
【0061】
1日に5個までのミントが推奨される。
【0062】
[ソフトドリンク(ニアウォーター)]
標準的1回分量:250ml
活性成分:EGCG:5〜500mg/1回分
【0063】
TEAVIGO(商標)、TEAVIGO(商標)TG:DSM Nutritional Productsの商品
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、(−)−エピガロカテキンガレート(EGCG)の新規な使用、並びに(−)−エピガロカテキンガレートを含有する栄養補助食品、ニュートラシューティカル組成物、食品、飼料および飲料に関する。
【0002】
本発明の組成物は、動物(ヒトを含む)、特に哺乳動物の、運動する、実行する、および/または走る、特に、持久力運動を行い、さらにトレーニングの成功を加速させようとすることに対する欲求、意欲、および/またはモチベーションを増大させることを特に意図したものである。
【0003】
用語「EGCG]は、本明細書で使用されるとき、(−)−エピガロカテキンガレートおよび/またはその誘導体の1種以上(例えば、エステル化形態、グリコシド、硫酸塩)を意味する。特に好ましくは、(−)−エピガロカテキンガレートそれ自体である。
【0004】
「(−)−エピガロカテキンガレート」および「EGCG」という用語は、ここでは、EGCGを含有する天然源(1種もしくはそれ以上の成分)、例えば、緑茶、および/または、EGCGを含有する水性緑茶抽出物などの緑茶抽出物を包含するものとする。本発明においては、合成されたEGCGを使用することもまた有利である。
【0005】
本発明の好ましい実施形態において使用されるEGCGは、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より一層好ましくは少なくとも92%、特に好ましくは少なくとも94%の高純度を有する。その全量を基準にして少なくとも80%(好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より一層好ましくは少なくとも92%、特に好ましくは少なくとも94%)の量のEGCGを含有する水性緑茶抽出物が、特に好ましい。
【0006】
「ニュートラシューティカル」という用語は、ここでは、栄養および医薬品の両分野の用途に有用であることを意味する。したがって、本発明の「ニュートラシューティカル組成物」は、食品、飼料および飲料への補助物、栄養補助食品に、また、カプセルもしくは錠剤などの固形の、または、溶液もしくは懸濁液などの液体といった医薬品製剤になり得る。以上のことから、「ニュートラシューティカル組成物」という用語が、EGCGを含有する食品、飼料および飲料をも含むことは明らかである。
【0007】
特に、本発明は、動物、好ましくは哺乳動物の
・運動することに対する欲求;
・走る、および/または実行することに対する意欲;
・動くことに対するモチベーション、並びに/あるいは
・探索行動
を増大させるためのEGCGの使用に言及する。
【0008】
さらに、本発明は、動物、好ましくは哺乳動物の
・トレーニングの成功を加速する;
・トレーニングの成功をより速くもたらす;
ためのEGCGの使用に言及する。
【0009】
「運動することに対する欲求」、「走る、および/または実行することに対する意欲」および「動くことに対するモチベーション」という用語は、ここでは、運動することに対するモチベーション、(運動することに対する)自己のモチベーション、持久力運動を行うことに対する意欲、および動くことに対する衝動を含む。
【0010】
本発明においては、動物は、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはヒトおよびペット(特に、馬、犬、猫、並びに/あるいは小動物、例えばハムスター、および/またはテンジクネズミ)からなる群より選択される哺乳動物である。特に好ましくはヒトである。
【0011】
EGCG−好ましくは上記したような高純度のEGCG−は、(強化)食品もしくは(強化)飼料、栄養補助食品、飲料、錠剤、顆粒、カプセル、ペースト、ゲル、粉末、食品添加物、飼料添加物、または発泡性製剤の形態で投与される。さらに他の例として、EGCGを含有するシリアル、シリアルバー、乳製品(例えば、ミルク、バターミルク、サワーミルク、ヨーグルト(ドリンク)、カード、クォークデザートなど)およびパスタ(特に、トマト)ソースが挙げられる。
【0012】
本発明の好ましい実施態様においては、EGCGは、定期的に(好ましくは毎日)、かつ/または運動の開始前もしくは競技会、試合、トーナメントなどの前の然るべき時(例えば数週間前)に投与される。
【0013】
上記のように使用する好ましい実施態様では、EGCGの1日の投与量は、1日当たり、体重1kgにつき、0.1〜30mgの間、好ましくは1日当たり、体重1kgにつき、1.4〜8.5mgの間、より好ましくは1日当たり、体重1kgにつき、2〜4.5mgの間、特に好ましくは1日当たり、体重1kgにつき、4.0〜4.5mgの間で変化する。
【0014】
したがって、体重70kgのヒトでは、EGCGの1日の投与量は、7〜2100mg、好ましくは100〜600mg、より好ましくは140〜300mgで変化し、特に好ましくは1日当たり約300mgである。
【0015】
骨格筋は、ATPを産生するメカニズムが異なる2つの主要なタイプの繊維を含んでおり、各タイプの繊維の量は、筋によっても人によっても異なる。
【0016】
赤(「遅」)筋繊維は、ミトコンドリアの量が多く、ミオグロビンに酸素を貯蔵し、好気的代謝に依存し、体積に対する毛細血管比が大きく、かつ持久力に関連している。これらはATPをゆっくりと産生する。マラソン選手は、一般に遺伝およびトレーニングにより赤筋繊維をより多く有する傾向がある。「遅」筋繊維はI型筋繊維と呼ばれる(下表参照)。したがって、個体がI型筋繊維を多く有していればいるほど、その骨格筋の持久力活動はより良好となり、疲労に対する抵抗力はより大きくなる。
【0017】
白(「速」)筋繊維は、ミトコンドリアの量が少なく、力強い(しかし、短時間の)収縮が可能であり、ATPを迅速に代謝し、体積に対する毛細血管比が小さく、乳酸を蓄積しやすい。重量挙げ選手や短距離走選手は、白筋繊維をより多く有する傾向がある。3つの主要な繊維のタイプが、「速」筋繊維として定義されており、これらはIIa型筋繊維、IId/x型筋繊維およびタイプIIb型筋繊維である(表)。これらの筋繊維のうち、IIa型筋繊維は主に好気的代謝を行い、したがって、持久力活動を支えるために使用される。他方、IIb型筋繊維は、主に解糖代謝を行い、短時間で疲労するため長時間の持久力活動には適していない。したがって、個体がIIa型筋繊維を多く有していればいるほど、その骨格筋の持久力活動を行う能力はより高くなり、一方、個体がIIb型筋繊維をより多く有していれば、持久力活動においてより短時間に疲労しやすい。
【0018】
【表1】
【0019】
したがって、本発明の他の目的は、動物の
・酸化型(「遅」)筋繊維の数;
・持久力運動の実施を助ける好気的骨格筋繊維の数、および/または
・筋繊維型の好気的骨格筋繊維への移行
を増大させるためのEGCGの使用にある。
【0020】
本発明においては、動物は、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはヒトおよびペット(特に、馬、犬、猫、並びに/あるいは小動物、例えばハムスター、および/またはテンジクネズミ)からなる群より選択される哺乳動物である。特に好ましくはヒトである。
【0021】
EGCGを使用すると、(持久力)運動を全く行わなくとも、骨格筋の繊維の型の組成に、持久力運動を定期的に行った場合と同様の変化をもたらすことは、当業者には予見できなかった。酸化型筋繊維の数が、身体運動と無関係に、すなわち、運動していない個体とトレーニングしている個体とで同様に増加したことは特に驚くべきことであった。
【0022】
EGCGの純度、その投与形態および1日投与量に関する上記の好ましい点は、ここでもまた適用される。
【0023】
本発明の他の目的は、動物、好ましくは哺乳動物の
・運動することに対する欲求;
・走る、および/または実行することに対する意欲;
・動くことに対するモチベーション、並びに/あるいは
・探索行動
を増大させる方法であって、前記方法が、前記動物に有効量のEGCGを投与する工程を含み、EGCGの有効量が、1日当たり、体重1kgにつき、0.1〜30mgの間、好ましくは1.4〜8.5mgの間、より好ましくは2〜4.5mgの間、特に好ましくは4.0〜4.5mgの間で変化する方法にある。
【0024】
本発明の他の目的は、動物、好ましくは哺乳動物の
・酸化型(「遅」)筋肉繊維の数;
・持久力運動の実施を助ける好気的骨格筋繊維の数、および/または
・筋繊維型の好気的骨格筋繊維への移行
を増大させる方法であって、前記方法が、前記動物に有効量のEGCGを投与する工程を含み、EGCGの有効量が、1日当たり、体重1kgにつき、0.1〜30mgの間、好ましくは1.4〜8.5mgの間、より好ましくは2〜4.5mgの間、特に好ましくは4.0〜4.5mgの間で変化する方法にある。
【0025】
本発明の他の目的は、動物、好ましくは哺乳動物の
・トレーニングの成功を加速する;
・トレーニングの成功をより速くもたらす;
方法であって、前記方法が、前記哺乳動物に有効量のEGCGを投与する工程を含み、EGCGの有効量が、1日当たり、体重1kgにつき、0.14〜30mgの間、好ましくは1.4〜8.5mgの間、より好ましくは2〜4.5mgの間、特に好ましくは4.0〜4.5mgの間で変化する方法にある。
【0026】
上記の好ましい点および説明は、ここでもまた適用される。
【0027】
本発明の他の目的は、動物、好ましくは哺乳動物の
・運動することに対する欲求;
・走る、および/または実行することに対する意欲;
・動くことに対するモチベーション、並びに/あるいは
・探索行動
を向上させる組成物を製造するためのEGCGの使用にある。
【0028】
本発明の他の目的は、動物、好ましくは哺乳動物の
・酸化型(「遅」)筋繊維の数;
・持久力運動の実施を助ける好気的骨格筋繊維の数、および/または
・筋繊維型の好気的骨格筋繊維への移行
を向上させる組成物を製造するためのEGCGの使用にある。
【0029】
本発明の他の目的は、動物、好ましくは哺乳動物の
・トレーニングの成功を加速する;
・トレーニングの成功をより速くもたらす;
組成物を製造するためのEGCGの使用にある。
【0030】
上記の好ましい点および説明は、ここでもまた適用される。
【0031】
組成物を経口投与用に錠剤、カプセル、顆粒または粉末の形態で調製する場合、担体としてラクトース、サッカロース、塩化ナトリウム、グルコース、尿素、デンプン、デキストリンおよび/またはマルトデキストリン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムおよび/またはリン酸水素カルシウム、カオリン、結晶性および/または微結晶性セルロース、並びに/あるいはケイ酸などの賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、グルコース溶液、デンプンおよび/または加水分解デンプン溶液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルデンプン、セラック、メチルセルロース、エチルセルロース、リン酸カルシウムおよび/またはポリビニルピロリドンなどのバインダー;乾燥デンプン、クロスカルメロース、クロスポビドン、アルギン酸ナトリウム、寒天末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプンおよび/またはラクトースなどの分解剤;ステアリン酸、カカオバターおよび/または水素化オイルなどの分解防止剤;4級アンモニウム塩基および/またはラウリル硫酸ナトリウムなどの吸収剤;グリセロールおよび/またはデンプンなどの保湿剤;デンプン、ラクトース、カオリン、ベントナイトおよび/またはコロイダルシリカなどの吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末および/またはポリエチレングリコールなどの潤滑剤;サッカロース、オレンジの皮、クエン酸および/またはコハク酸などを使用することができる。
【0032】
組成物を錠剤の形態で調製する場合、これらは通常のコーティング材で被包した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチンコーティング錠、腸溶性コーティング錠、フィルムコーティング錠、二重コーティング錠、多層コーティング錠などとして提供することができる。カプセルは、本発明の化合物を上で例示した各種担体またはこの分野の最先端の技術によるものと混合し、その混合物を硬質ゼラチンカプセル、軟質カプセルなどに充填することによって調製される。
【0033】
本発明の組成物には、例えば、バランスのとれた良好な栄養を維持するため、あるいは、ある食物では欠乏する必須栄養素を十分な量で得るために、マルチビタミンおよびミネラルの補給剤を加えることができる。マルチビタミンおよびミネラルの補給剤は、病気の予防や、生活パターンおよび糖尿病で往々にしてよく見られる不適切な食生活から来る栄養の損失および欠乏を防ぐためにも有用である。
【0034】
本発明の組成物は、食物または飲料物の組成物とすることができる。飲料物としては、例えば、スポーツドリンク、エネルギードリンクもしくは他のソフトドリンク、または他の任意の適切な飲料調製品(例えば、ヨーグルト飲料、熱い飲み物、またはスープ)が挙げられる。
【0035】
本発明の好ましい実施態様では、飲料は、「インスタント飲料」、すなわち、−通常、消費者自身が−粉末を液体、通常、ミルクまたは水に入れてかき混ぜることによって作られる飲料である。
【0036】
「スポーツドリンク」は、主に、水分の(再)補給や、電解質、糖分および他の栄養素の(再)貯蔵のために、身体運動の前、途中および/または後で消費される飲料をいう。スポーツドリンクは、通常、等張性であり、これは、それらが栄養素を人体と同じ割合で含んでいることを意味する。
【0037】
エネルギードリンクは、(合法の)興奮剤、ビタミン(特にビタミンB)および/またはミネラルを含有し、飲んだ人に爆発的な活力を与えることを意図した飲料である。よく使用される成分としては、カフェイン、ガラナ(ガラナ植物から得られるカフェイン)および/またはタウリン、各種形態の朝鮮人参、マルトデキストリン、イノシトール、カルニチン、クレアチン、グルクロノラクトン、コエンザイムQ10および/またはイチョウ葉エキスが挙げられる。糖、またはグルコースを高濃度で含有するものがあり、一方では糖アルコールおよび/またはシクラミン酸Caまたはアスパルテームなどの人工甘味料で全体的にまたは部分的に甘味を付けたものもある。そのような飲料の多くは、風味および/または色が付けられている。
【0038】
ソフトドリンクは、アルコールを含まない飲み物である。この用語は一般に冷飲料に対してのみ使用される。ホットチョコレート、茶およびコーヒーはソフトドリンクとはみなされない。この用語には、炭酸飲料や、非炭酸ドリンク、例えば、ミネラルウォーター、またはいわゆる「ニアウォーター飲料」、すなわち、追加の有用成分(例えば、特別なフレーバおよび/または他の(機能性)成分)を含む水をベースとする飲料が含まれる。「ニアウォーター飲料」の1つの単純な例は、水とほんの僅かの果汁との混合物である。
【0039】
組成物が次の食品の1つの形態で調製される場合、組成物中のEGCG量は次表に示す範囲から選択されると、本発明においては有利である。
【0040】
【表2】
【0041】
組成物が錠剤またはカプセルの形態で調製される場合、EGCG量が次表に示す範囲から選択されると、本発明においては有利である。
【0042】
【表3】
【0043】
以下の実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
【0044】
[実施例]
[実施例1]
Charles River(ズルツフェルト(Sulzfeld)、ドイツ(Germany))より、オスのマウスC57BL/6J(5週齢)を購入した。全てのマウスに、最初、3ヶ月間、高脂肪食(Kliba#2154、Provimi Kliba AG、カイザーアウグスト(Kaiseraugst)、スイス(Switzerland))を与えた。その後、マウスをランダムに5つのグループに分けた。
−グループ1:低脂肪食、ケージ内通常運動に限定(低脂肪 低運動、n=11)
−グループ2:高脂肪食、ケージ内通常運動に限定(高脂肪 低運動、n=11)
−グループ3:0.5重量%EGCG含有高脂肪食、ケージ内の通常の運動(高脂肪+EGCG低運動、n=10)
−グループ4:高脂肪食、ランニングホイールへ自由にアクセス(高脂肪 運動、n=10)
−グループ5:0.5重量%EGCG含有高脂肪食、ランニングホイールへ自由にアクセス(高脂肪+EGCG 運動、n=10)
【0045】
処理期間は2か月とした。この期間中、すべてのマウスに食物と水を不断に与えた。グループ4および5のマウスにはランニングホイール(Technical & Scientific Equipment GmbH、バートホンブルク(Bad Homburg)、ドイツ)へのアクセスを制限しなかった。毎日の自発的ランニングホイール運動を観察した。処理期間の終わりに、齧歯動物用トレッドミル(Technical & Scientific Equipment GmbH、バートホンブルク、ドイツ)上の最大ランニング能力を測定した。腓腹筋を切除し、液体窒素中で凍結させ、後の繊維の型の定量のために−80℃で保管した。繊維特異性抗体を使用する免疫組織化学およびシトクロムオキシダーゼ染色を使用する組織化学により、内側腓腹筋の骨格筋繊維をI型、IIA型、D/X型、IIB型として定量した。
【0046】
EGCG含有高脂肪食を与えられたマウスの自発的ランニングホイール運動は、高脂肪食のみを与えられたマウスと比較して顕著に増加した。EGCG含有高脂肪食を摂ったマウスは、平均して1日に3140.3±43.3mを走ったが、高脂肪食マウスは1日に1579.8±59.0mを走っただけであった(P<0.004)。
【0047】
EGCGを補給した高脂肪食は、高脂肪食のみを与えられた低運動マウスに比べて、低運動マウスおよび運動マウスの内側腓腹筋中のI型およびIIa型の繊維の割合を増加させた(表1)。高脂肪食中のEGCGを与えられたマウスの、内側腓腹筋におけるIId/x型およびIIb型の繊維の拡がりは、高脂肪食のみを与えられたマウスに比べて少なかった(表1)。両EGCGグループで観察された繊維型の移行は、高脂肪運動グループで観察された繊維型の移行より顕著であった(表1)。運動のみでは、IIa型繊維の割合が増加した(表1)。
【0048】
【表4】
【0049】
[実施例2:医薬品組成物]
[ソフトゼラチンカプセル]
下記の成分を使用し、従来の製剤法によりソフトゼラチンカプセルを調製する。
活性成分:EGCG150mgおよびビタミンE50mg
他の成分:グリセロール、水、ゼラチン、植物油
【0050】
[ハードゼラチンカプセル]
下記の成分を使用し、従来の製剤法によりハードゼラチンカプセルを調製する。
活性成分:EGCG300mg
他の成分:
フィラー:ラクトース、セルロースおよび/またはセルロース誘導体
潤滑剤:必要に応じてステアリン酸マグネシウム(0.5重量%)
【0051】
[錠剤]
下記の成分を使用し、従来の製剤法により錠剤を調製する。
活性成分:EGCG300mgおよびビタミンE20mg
他の成分:微結晶セルロース、二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、クロスカルメロースナトリウム
【0052】
[実施例3:食品]
[インスタントドリンク]
[組成]
【0053】
【表5】
【0054】
[調製]
全ての成分を500μmの篩で篩う。粉末を適当な容器に入れタンブラーブレンダーで少なくとも20分間混合する。35gの粉末を使用し、水を加えて1リットルの飲料とする。
【0055】
1回分の即席ドリンク240m当たり50mgのEGCGおよび5mgのリコペンを、インスタントドリンクは含んでいる。
【0056】
大量のまたは日光浴の途中およびその後で、1日3回までの摂取が推奨される。
【0057】
[ミント]
[組成]
【0058】
【表6】
【0059】
[調製]
TEAVIGOTMTG、redivivoTM10%CWS/S−TG、アスコルビン酸微細顆粒、ソルビトール、芳香剤、甘味料およびPEG6000をドラムに仕込み、タンブラーミキサーで10分間混合する。ソルビトールおよび二酸化ケイ素を1mmの篩に通して別のドラムに入れ、10分間混合する。2つの粉末混合物を合わせ、再び10分間混合する。ステアリン酸マグネシウムを1mmの篩を通して加え、この組成物を再び2分間混合した。
【0060】
この粉末を、Korsch XP1タブレットプレス(パンチサイズ8mmの円形)により錠剤に圧縮した。
【0061】
1日に5個までのミントが推奨される。
【0062】
[ソフトドリンク(ニアウォーター)]
標準的1回分量:250ml
活性成分:EGCG:5〜500mg/1回分
【0063】
TEAVIGO(商標)、TEAVIGO(商標)TG:DSM Nutritional Productsの商品
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の
・運動することに対する欲求;
・走る、および/または実行することに対する意欲;
・動くことに対するモチベーション、並びに/あるいは
・探索行動
を増大させるための(−)−エピガロカテキンガレート、および/またはその誘導体の1種以上の使用。
【請求項2】
動物の
・酸化型(「遅」)筋繊維の数;
・持久力運動の実施を助ける好気的骨格筋繊維の数、および/または
・筋繊維型の好気的骨格筋繊維への移行
を増大させるための(−)−エピガロカテキンガレート、および/またはその誘導体の1種以上の使用。
【請求項3】
動物の
・トレーニングの成功を加速する;
・トレーニングの成功をより速くもたらす
ための(−)−エピガロカテキンガレート、および/またはその誘導体の1種以上の使用。
【請求項4】
動物の
・運動することに対する欲求;
・走る、および/または演技することに対する意欲;
・動くことに対するモチベーション、並びに/あるいは
・探索行動
を増大させる方法であって、前記方法が、前記動物に有効量のEGCGを投与する工程を含み、EGCGの有効量が、1日当たり、体重1kgにつき、0.1〜30mgの間で変化する方法。
【請求項5】
動物の
・酸化型(「遅」)筋肉繊維の数;
・持久力運動の実施を助ける好気的骨格筋繊維の数、および/または
・筋繊維型の好気的骨格筋繊維への移行
を増大させる方法であって、前記方法が、前記動物に有効量のEGCGを投与する工程を含み、EGCGの有効量が、1日当たり、体重1kgにつき、0.1〜30mgの間で変化する方法。
【請求項6】
動物、好ましくはヒトの
・トレーニングの成功を加速する;
・トレーニングの成功をより速くもたらす;
方法であって、前記方法が、前記動物に有効量のEGCGを投与する工程を含み、EGCGの有効量が、1日当たり、体重1kgにつき、0.14〜30mgの間で変化する方法。
【請求項7】
EGCGの有効量が、1日当たり、体重1kgにつき、2〜4.5mgの間で変化する請求項4〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
動物の
・運動することに対する欲求;
・走る、および/または実行することに対する意欲;
・動くことに対するモチベーション、並びに/あるいは
・探索行動
を増大させる組成物を製造するための(−)−エピガロカテキンガレート、および/またはその誘導体の1種以上の使用。
【請求項9】
動物の
・酸化型(「遅」)筋繊維の数;
・持久力運動の実施を助ける好気的骨格筋繊維の数、および/または
・筋繊維型の好気的骨格筋繊維への移行
を増大させる組成物を製造するための(−)−エピガロカテキンガレート、および/またはその誘導体の1種以上の使用。
【請求項10】
動物の
・トレーニングの成功を加速する;
・トレーニングの成功をより速くもたらす;
組成物を製造するための(−)−エピガロカテキンガレート、および/またはその誘導体の1種以上の使用。
【請求項11】
(−)−エピガロカテキンガレート自体が使用される請求項1〜10のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項12】
動物が哺乳動物である請求項1〜11のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項1】
動物の
・運動することに対する欲求;
・走る、および/または実行することに対する意欲;
・動くことに対するモチベーション、並びに/あるいは
・探索行動
を増大させるための(−)−エピガロカテキンガレート、および/またはその誘導体の1種以上の使用。
【請求項2】
動物の
・酸化型(「遅」)筋繊維の数;
・持久力運動の実施を助ける好気的骨格筋繊維の数、および/または
・筋繊維型の好気的骨格筋繊維への移行
を増大させるための(−)−エピガロカテキンガレート、および/またはその誘導体の1種以上の使用。
【請求項3】
動物の
・トレーニングの成功を加速する;
・トレーニングの成功をより速くもたらす
ための(−)−エピガロカテキンガレート、および/またはその誘導体の1種以上の使用。
【請求項4】
動物の
・運動することに対する欲求;
・走る、および/または演技することに対する意欲;
・動くことに対するモチベーション、並びに/あるいは
・探索行動
を増大させる方法であって、前記方法が、前記動物に有効量のEGCGを投与する工程を含み、EGCGの有効量が、1日当たり、体重1kgにつき、0.1〜30mgの間で変化する方法。
【請求項5】
動物の
・酸化型(「遅」)筋肉繊維の数;
・持久力運動の実施を助ける好気的骨格筋繊維の数、および/または
・筋繊維型の好気的骨格筋繊維への移行
を増大させる方法であって、前記方法が、前記動物に有効量のEGCGを投与する工程を含み、EGCGの有効量が、1日当たり、体重1kgにつき、0.1〜30mgの間で変化する方法。
【請求項6】
動物、好ましくはヒトの
・トレーニングの成功を加速する;
・トレーニングの成功をより速くもたらす;
方法であって、前記方法が、前記動物に有効量のEGCGを投与する工程を含み、EGCGの有効量が、1日当たり、体重1kgにつき、0.14〜30mgの間で変化する方法。
【請求項7】
EGCGの有効量が、1日当たり、体重1kgにつき、2〜4.5mgの間で変化する請求項4〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
動物の
・運動することに対する欲求;
・走る、および/または実行することに対する意欲;
・動くことに対するモチベーション、並びに/あるいは
・探索行動
を増大させる組成物を製造するための(−)−エピガロカテキンガレート、および/またはその誘導体の1種以上の使用。
【請求項9】
動物の
・酸化型(「遅」)筋繊維の数;
・持久力運動の実施を助ける好気的骨格筋繊維の数、および/または
・筋繊維型の好気的骨格筋繊維への移行
を増大させる組成物を製造するための(−)−エピガロカテキンガレート、および/またはその誘導体の1種以上の使用。
【請求項10】
動物の
・トレーニングの成功を加速する;
・トレーニングの成功をより速くもたらす;
組成物を製造するための(−)−エピガロカテキンガレート、および/またはその誘導体の1種以上の使用。
【請求項11】
(−)−エピガロカテキンガレート自体が使用される請求項1〜10のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項12】
動物が哺乳動物である請求項1〜11のいずれか一項に記載の使用または方法。
【公表番号】特表2010−517949(P2010−517949A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547570(P2009−547570)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際出願番号】PCT/EP2008/000337
【国際公開番号】WO2008/092573
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際出願番号】PCT/EP2008/000337
【国際公開番号】WO2008/092573
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】
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