説明

(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体及びその製造方法

【課題】本発明は、医農薬およびそれらの合成中間体として有用な、新規な(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体及び(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体の簡便でかつ効率の良い製造方法を提供することにある。
【解決手段】下記一般式(1a)(式中、Arは、オキサゾール−5−イル基、2,4−ジフェニルオキサゾール−5−イル基、チアゾール−5−イル基、2−アセチルアミノチアゾール−5−イル基または2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−5−イル基を示す。Rは、炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で表される(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体は、医農薬およびそれらの合成中間体として重要である。例えば、ジフルオロ(チオフェン−2−イル)酢酸エチルが、抗真菌物質の合成中間体として開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、(2−アミノフェニル)ジフルオロ酢酸エステル誘導体が、抗炎症薬、抗リウマチ薬の製造中間体として有用であることが開示されている(例えば、特許文献2参照)。これらの化合物を合成法として、ブロモジフルオロ酢酸エチルとジフェニルジセレニドの反応でα,α−ジフルオロ−α−フェニルセレノ酢酸エチルを得て、得られたα,α−ジフルオロ−α−フェニルセレノ酢酸エチルとアリール類とを光照射下で反応させる方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。一方、スルホキシド類、過酸化物、鉄化合物および場合によっては酸の存在下で、ヨウ化トリフルオロメチルとアリール類から、(トリフルオロメチル)アリール誘導体を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献4〜7参照)。
【0003】
しかし、スルホキシド類、鉄化合物、過酸化物および場合によっては酸の存在下で、アリール類とジフルオロ酢酸エステル類からの一段階の反応で(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体を製造する方法はこれまでに報告が無い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−344744号公報
【特許文献2】特開平9−323962号公報
【特許文献3】特開2005−145913号公報
【特許文献4】特開2008−115105号公報
【特許文献5】特開2008−137992号公報
【特許文献6】特開2008−231039号公報
【特許文献7】特開2008−239572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、医農薬およびそれらの合成中間体として有用な、新規な(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体及び(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体の簡便かつ効率の良い製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、スルホキシド類、鉄化合物、過酸化物および場合によっては酸の存在下、アリール類とジフルオロ酢酸エステル類とを反応させる一段階の反応で、新規な(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体が得られ、(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体を簡便かつ効率良く製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、一般式(1a)
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、Arは、オキサゾール−5−イル基、2,4−ジフェニルオキサゾール−5−イル基、チアゾール−5−イル基、2−アセチルアミノチアゾール−5−イル基または2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−5−イル基を示す。Rは、炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で表される(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体に関するものである。
また、本発明は、一般式(2)
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、Arは、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、(炭素数1〜4のアルキル)カルボニル基、(炭素数1〜4のアルコキシ)カルボニル基、シアノ基、炭素数1〜4のアルキル基もしくは(炭素数1〜4のアルキル)カルボニル基で置換されていてもよいアミノ基、またはフェニル基で、置換されていてもよいアリール基を示す。)で表されるアリール類と
一般式(3)
【0011】
【化3】

【0012】
(式中、Xは臭素原子またはヨウ素原子を示す。Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で表されるジフルオロ酢酸エステル類を、
一般式(4)
【0013】
【化4】

【0014】
(式中、R3aおよびR3bは、各々、独立して、炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基を示す。)で表されるスルホキシド類、鉄化合物、過酸化物および場合によっては酸の存在下に反応させることを特徴とする、一般式(1)
【0015】
【化5】

【0016】
(式中、ArおよびRは前記と同じ内容を示す。)で表される(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体の製造方法に関するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、医農薬およびそれらの合成中間体として有用な、新規な(アリール)ジフルオロ酢酸エステル類が得られ、また(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体を簡便でかつ効率良く製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明をさらに詳細に説明する。はじめに本発明の(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体(1a)について説明する。
【0019】
Arは、オキサゾール−5−イル基、2,4−ジフェニルオキサゾール−5−イル基、チアゾール−5−イル基、2−アセチルアミノチアゾール−5−イル基または2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−5−イル基を示す。
Arは、Arに全て包含される。従って、一般式(1a)で表される(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体は、一般式(1)で表される(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体に全て包含される。
【0020】
で示される炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖状または分岐状のいずれでもよく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が例示できる。
【0021】
次に、(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体(1a)の製造方法について説明する。(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体(1a)は、アリール類(2a)とジフルオロ酢酸エステル類(3)を、スルホキシド類(4)、鉄化合物、過酸化物および場合によっては酸の存在下に反応させることにより製造することができる(工程1a)。
【0022】
【化6】

【0023】
(式中、Ar、XおよびRは、前記と同じ内容を示す。)
アリール類(2a)は、全てアリール類(2)に包含される。
ジフルオロ酢酸エステル類(3)、スルホキシド類(4)、鉄化合物、過酸化物、酸や反応条件などは、全て後述する(アリール)ジフルオロ酢酸エステル類(1)の製造方法の場合と同様である。
【0024】
次に、(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体(1)の製造方法について説明する。
(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体(1)は、アリール類(2)とジフルオロ酢酸エステル類(3)を、スルホキシド類(4)、鉄化合物、過酸化物および場合によっては酸の存在下に反応させることにより製造することができる(工程1)。
(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体(1a)は、ArがArであることを除けば、工程1の同様の方法により製造することができる(工程1a)。
【0025】
【化7】

【0026】
(式中、Ar、RおよびXは、前記と同じ内容を示す。)
【0027】
〔アリール類(2)について〕
製造方法の原料であるアリール類(2)に特に制限はなく、市販品さらには既知の方法で製造することができる化合物を使用することができる。
Arは、下記(i)〜(vii)で置換されていてもよいアリール基である。
(i)ハロゲン原子
(ii)炭素数1〜4のアルキル基
(iii)(炭素数1〜4のアルキル)カルボニル基
(iv)(炭素数1〜4のアルコキシ)カルボニル基
(v)シアノ基
(vi)炭素数1〜4のアルキル基もしくは(炭素数1〜4のアルキル)カルボニル基で置換されていてもよいアミノ基
(vii)フェニル基
【0028】
アリール類(2)のArで表されるアリール基としては、フェニル基、ナフタレン−1−イル基、ナフタレン−2−イル基、アントラセン−1−イル基、アントラセン−2−イル基、アントラセン−9−イル基、フェナントレン−1−イル基、フェナントレン−2−イル基、フェナントレン−3−イル基、フェナントレン−4−イル基、フェナントレン−9−イル基等の炭化水素のアリール基、フラン−2−イル基、フラン−3−イル基、ベンゾ[b]フラン−2−イル基、ベンゾ[b]フラン−3−イル基、チオフェン−2−イル基、チオフェン−3−イル基、ベンゾ[b]チオフェン−2−イル基、ベンゾ[b]チオフェン−3−イル基、ピロール−2−イル基、ピロール−3−イル基、インドール−2−イル基、インドール−3−イル基、オキサゾール−2−イル基、オキサゾール−4−イル基、オキサゾール−5−イル基、イソキサゾール−3−イル基、イソキサゾール−4−イル基、イソキサゾール−5−イル基、チアゾール−2−イル基、チアゾール−4−イル基、チアゾール−5−イル基、イミダゾール−2−イル基、イミダゾール−4−イル基、イミダゾール−5−イル基、ピラゾール−3−イル基、ピラゾール−4−イル基、ピラゾール−5−イル基、1,2,5−オキサジアゾール−3−イル基、1,2,3−チアジアゾール−4−イル基、1,2,3−チアジアゾール−5−イル基、1,2,4−チアジアゾール−3−イル基、1,2,4−チアジアゾール−5−イル基、1,3,4−チアジアゾール−5−イル基、1,2,3−トリアゾール−4−イル基、1,2,4−トリアゾール−3−イル基、テトラゾール−5−イル基、ピリジン−2−イル基、ピリジン−3−イル基、ピリジン−4−イル基、キノリン−5−イル基、キノリン−6−イル基、キノリン−7−イル基、キノリン−8−イル基、ピリダジン−3−イル基、ピリダジン−4−イル基、ピリミジン−4−イル基、ピリミジン−2−イル基、ピリミジン−5−イル基、プリン−8−イル基、ピラジン−2−イル基等のヘテロアリール基が例示できる。
その中でも、ピロール−2−イル基、インドール−2−イル基、オキサゾール−5−イル基、ピラゾール−5−イル基、イミダゾール−5−イル基、チアゾール−5−イル基、1,3,4−チアジアゾール−2−イル基、チオフェン−2−イル基またはフェニル基であることが好ましい。
【0029】
これらのアリール基は、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子(i)、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基(ii)、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、sec−ブチルカルボニル基、ピバロイル基等の(炭素数1〜4のアルキル)カルボニル基(iii)、ビニル基、1−メチルビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、3−ブテニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−エチルビニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタンジエニル基等の炭素数2〜4のアルケニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等の(炭素数1〜4のアルコキシ)カルボニル基(iv)で置換されていてもよい。
【0030】
また、シアノ基(v)やアミノ基、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ブチリルアミノ基、イソブチリルアミノ基、バレリルアミノ基、イソバレリルアミノ基、sec−ブチルカルボニルアミノ基、ピバロイルアミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソプロピルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基等の炭素数1〜4のアルキル基もしくは(炭素数1〜4のアルキル)カルボニル基で置換されていてもよいアミノ基(vi)で、置換されていてもよい。また、フェニル基(vii)で、置換されていてもよい。
【0031】
オキサゾール−5−イル基、2,4−ジフェニルオキサゾール−5−イル基、チアゾール−5−イル基、2−アセチルアミノチアゾール−5−イル基または2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−5−イル基を示すArは、全て上記Arに包含されている。
【0032】
このようなアリール類(2)としては、さらに具体的には、ベンゼン、ビフェニル、トルエン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、フルオロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、1,2−ジブロモベンゼン、1,3−ジブロモベンゼン、1,4−ジブロモベンゼン、1,2−ジフルオロベンゼン、1,3−ジフルオロベンゼン、1,4−ジフルオロベンゼン、安息香酸エチル、アセトフェノン、ナフタレン、アントラセン、フェナントロリン、フラン、2−フリルメチルケトン、2−フリロニトリル、2−メチルフラン、2−エチルフラン、2−メチル−5−プロピルフラン、2−tert−ブチルフラン、2−チオフェンカルボニトリル、3−チオフェンカルボニトリル、5−クロロ−2−チオフェンカルボニトリル、ピロール−2−カルボニトリル、4−チアゾールカルボン酸エチル、ベンゾ[b]フラン、ベンゾ[b]チオフェン、オキサゾール、2,4−ジフェニルオキサゾール、ピロール、イソキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、4−アミノ−3−フルオロピリジン、4−アミノ−3−ブロモピリジン、2−アミノ−5−クロロピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、3−アミノ−2−クロロピリジン、2−アセチルピリジン、3−アセチルピリジン、4−アセチルピリジン、2−アミノ−5−フルオロピリジン、2−フルオロピリジン、3−フルオロピリジン、2−ブロモ−5−フルオロピリジン、2−クロロ−3−フルオロピリジン、2−クロロ−5−フルオロピリジン、2−シアノ−5−フルオロピリジン、キノリン、ピリダジン、ピリミジン、プリン、ピラジン、1−フェニルピロール、1−メチルピロール、インドール、1−フェニルインドール、1−メチルインドール、2−アセチル−1−メチルピロール、4−メチルピラゾール、4−フェニルイミダゾール、2−アセチルアミノチアゾール、2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール、チオフェン、2−ブロモチオフェン、アニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−ブチルアニリン、N−sec−ブチルアニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、N−メチル−o−トルイジン、N−メチル−m−トルイジン、N−メチル−p−トルイジン、2−エチルアニリン、3−エチルアニリン、4−エチルアニリン、2−プロピルアニリン、4−プロピルアニリン、2−tert−ブチルアニリン、4−ブチルアニリン、4−tert−ブチルアニリン、2,5−ジ−tert−ブチルアニリン、3,5−ジ−tert−ブチルアニリン、2−クロロアニリン、3−クロロアニリン、4−クロロアニリン、2−ブロモアニリン、3−ブロモアニリン、4−ブロモアニリン、2−フルオロアニリン、3−フルオロアニリン、4−フルオロアニリン、2−ブロモ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−2−クロロアニリン、4−ブロモ−3−クロロアニリン、2,4−ジクロロアニリン、2−ブロモ−4−フルオロアニリン、2−ブロモ−5−フルオロアニリン、4−ブロモ−2−フルオロアニリン、4−ブロモ−3−フルオロアニリン、2−ブロモ−4−フルオロアニリン、3−クロロ−2−フルオロアニリン、3−クロロ−4−フルオロアニリン、4−クロロ−2−フルオロアニリン、5−クロロ−2−フルオロアニリン、3−クロロ−2−メチルアニリン、4−クロロ−2−メチルアニリン、4−クロロ−3−メチルアニリン、5−クロロ−2−メチルアニリン、2−ブロモ−4−メチルアニリン、4−ブロモ−2−エチルアニリン、2−アミノベンゾニトリル、3−アミノベンゾニトリル、4−アミノベンゾニトリル、5−アミノ−2−フルオロベンゾニトリル、o−アミノ安息香酸エチル、m−アミノ安息香酸エチル、p−アミノ安息香酸エチル、2−アミノ−5−クロロ安息香酸エチル、4−アミノ−2−クロロ安息香酸エチル、4−(N−メチル)アミノ安息香酸エチル、o−アミノアセトフェノン、m−アミノアセトフェノン、p−アミノアセトフェノン、4−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、4−ブロモアセトアニリド、4−クロロアセトアニリド等が例示できる。
【0033】
〔ジフルオロ酢酸エステル類(3)について〕
ジフルオロ酢酸エステル類(3)のRで示される炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖状または分岐状のいずれでもよく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が例示できる。収率が良く入手容易な点で、メチル基またはエチル基が好ましく、エチル基がさらに好ましい。
【0034】
Xは臭素原子またはヨウ素原子を示す。Xは、入手容易な点および収率が良い点で、臭素原子が好ましい。
【0035】
ジフルオロ酢酸エステル類(3)としては、具体的には、ブロモジフルオロ酢酸エチル、ジフルオロヨード酢酸エチルなどが挙げられる。
【0036】
ジフルオロ酢酸エステル類(3)の使用量は特に制限はなく、化学量論量以上用いることにより、収率良く目的物を得ることができる。
【0037】
〔(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体(1)について〕
(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体(1)としては、具体的には、ジフルオロ(1−フェニルピロール−2−イル)酢酸エチル、ジフルオロ(インドール−2−イル)酢酸エチル、(5−アセチル−1−メチルピロール−2−イル)ジフルオロ酢酸エチル、ジフルオロ(オキサゾール−5−イル)酢酸エチル、ジフルオロ(チアゾール−5−イル)酢酸エチル、ジフルオロ(4−フェニルイミダゾール−5−イル)酢酸エチル、ジフルオロ(2,4−ジフェニルオキサゾール−5−イル)酢酸エチル、(2−アセチルアミノチアゾール−5−イル)ジフルオロ酢酸エチル、(5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)ジフルオロ酢酸エチル、ジフルオロ(チオフェン−2−イル)酢酸エチル、(5−ブロモチオフェン−2−イル)ジフルオロ酢酸エチル、(4−ブロモ−2−ジメチルアミノフェニル)ジフルオロ酢酸エチル、(2−アセチルアミノ−4−ブロモフェニル)ジフルオロ酢酸エチル、(2−アミノ−3,5−ジクロロフェニル)ジフルオロ酢酸エチル、(2−アミノ−3−ブロモ−5−メチルフェニル)ジフルオロ酢酸エチル、(2−アミノ−4−エトキシカルボニルフェニル)ジフルオロ酢酸エチル、(4−アセチル−2−アミノフェニル)ジフルオロ酢酸エチル、(2−アミノ−4−シアノフェニル)ジフルオロ酢酸エチル、(2−アセチルアミノ−4−クロロフェニル)ジフルオロ酢酸エチルなどが挙げられる。
【0038】
〔スルホキシド類(4)について〕
工程1(及び工程1a)は、スルホキシド類(4)の存在下に反応を行うことが必須である。R3aおよびR3bは、各々、独立して、炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基を示す。スルホキシド類(4)のR3aおよびR3bで示される炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖状または分岐状のいずれでもよく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が例示できる。その中でも、メチル基、ブチル基またはフェニル基であることが好ましい。
【0039】
このようなスルホキシド類(4)としては、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジプロピルスルホキシド、ジイソプロピルスルホキシド、ジブチルスルホキシド、ジ−sec−ブチルスルホキシド、ジ−tert−ブチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド、メチルフェニルスルホキシド等が例示できる。その中でも、収率が良い点で、ジメチルスルホキシド、ジブチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシドが好ましく、ジメチルスルホキシドがさらに好ましい。スルホキシド類(4)の使用量は特に制限はなく、アリール類(2)に対して1等量以上用いることにより、収率良く目的物を得ることができる。
【0040】
〔鉄化合物について〕
工程1(及び工程1a)は、鉄化合物の存在下に反応を行うことが必須である。用いることができる鉄化合物としては、収率が良い点で鉄(II)塩が好ましく、例えば、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(II)アンモニウム、テトラフルオロホウ酸鉄(II)、塩化鉄(II)、臭化鉄(II)、ヨウ化鉄(II)等の無機酸塩や、酢酸鉄(II)、シュウ酸鉄(II)、ビス(アセチルアセトナト)鉄(II)、フェロセン、ビス(η−ペンタメチルシクロペンタジエニル)鉄(II)等の有機金属化合物を例示することができ、これらを適宜組み合わせて用いても良い。また、工程1は過酸化物の存在下で行うため、鉄粉末、鉄(0)塩または鉄(I)塩を用いても、系内で鉄(II)塩が発生し、これを用いることもできる。その中でも、収率が良い点で、硫酸鉄(II)、塩化鉄(II)、臭化鉄(II)、鉄粉、ビス(アセチルアセトナト)鉄(II)またはフェロセンを用いることが好ましい。鉄化合物の使用量に特に制限はなく、アリール類(2)に対していわゆる触媒量でも良く、好ましくは、アリール類(2)に対して0.05〜1等量添加することにより、収率良く目的物を得ることができる。
【0041】
〔過酸化物について〕
工程1(及び工程1a)は、過酸化物の存在下に反応を行うことが必須である。本発明で用いることができる過酸化物としては、具体的には、過酸化水素、過酸化水素−尿素複合体、tert−ブチルペルオキシド、過酢酸等を例示することができ、これらを必要に応じて組み合わせて用いても良い。その中でも、収率が良い点で、過酸化水素または過酸化水素−尿素複合体、tert−ブチルペルオキシドを用いるのが好ましく、過酸化水素がさらに好ましい。
【0042】
過酸化水素は、水で希釈して用いても良い。その際の濃度は、3〜70重量%であれば良いが、市販の30重量%をそのまま用いても良い。その中でも、収率が良くかつ安全な点で、水で希釈して10〜35重量%とすることが好ましい。
【0043】
過酸化物の使用量に特に制限はなく、アリール類(2)に対していわゆる触媒量でも良く、好ましくは、アリール類(2)に対して0.1〜5等量添加することにより、収率よく目的物を得ることができる。
【0044】
〔酸について〕
工程1(及び工程1a)は、さらに酸を添加することにより目的物の収率を向上させることができる場合がある。用いることのできる酸としては、硫酸、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素、硝酸、リン酸、ヘキサフルオロリン酸、テトラフルオロホウ酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸を例示することができ、適宜これらを組み合わせて用いても良い。その中でも、収率が良い点で、硫酸または酢酸を用いることが好ましい。酸の使用量に特に制限はなく、アリール類(2)に対していわゆる触媒量でも良く、好ましくは、アリール類(2)に対して0.05〜2等量添加することにより、収率良く目的物を得ることができる。
よって、本発明に係る製造方法(工程1及び工程1a)では、アリール類(2)とジフルオロ酢酸エステル類(3)を、スルホキシド類(4)、鉄化合物、過酸化物の存在下で反応させることを必須とするが、さらに酸を存在させることができる。
【0045】
〔反応条件などについて〕
工程1(及び工程1a)の反応溶媒は、反応に害を及ぼさない溶媒であれば、特に規定はない。具体的には、水、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、酢酸、トリフルオロ酢酸、tert−ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノール、トリフルオロエタノール、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、N,N’−ジメチルプロピレン尿素等を例示することができ、適宜これらを組み合わせて用いても良い。工程1(及び工程1a)は、有機溶媒中で行うことができる。スルホキシド類(4)をそのまま溶媒として用いても良い。その中でも、収率が良い点で、スルホキシド類(4)または、スルホキシド類(4)とアセトニトリル、エタノールまたはアセトンの混合溶媒を用いることが好ましい。溶媒の使用量は特に制限はない。
【0046】
反応温度は、特に制限はないが、0℃〜100℃の範囲から適宜選ばれた温度で行うことができる。その中でも、収率が良い点で、20℃〜60℃が好ましい。反応時間は特に制限はない。
【0047】
工程1(及び工程1a)の反応は、密封系で行うことができる。反応を密閉系で行う場合、大気圧(0.1MPa)から1.0MPaの範囲から適宜選ばれた圧力で行うことができるが、大気圧でも反応は充分に進行する。また、反応の際の雰囲気は、アルゴン、窒素等の不活性ガスでも良いが、空気中でも充分に進行する。
【0048】
反応後の溶液から目的物を単離する方法に特に限定はないが、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー、再結晶、蒸留または昇華等の汎用的な方法で目的物を得ることができる。
【実施例】
【0049】
次に本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0050】
実施例−1
【0051】
【化8】

【0052】
アルゴン雰囲気下で、1−フェニルピロール(2)(143mg、1.00mmol)、フェロセン(鉄化合物)(19mg、0.10mmol)、ジメチルスルホキシド(4)(5.0mL)およびブロモジフルオロ酢酸エチル(3)(385μL、3.00mmol)を混合した後、混合物に30%過酸化水素水(過酸化物)(0.2mL)を加えた。室温で12時間撹拌後、生成物を酢酸エチルに抽出した。有機層(酢酸エチル層)を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、褐色油状のジフルオロ(1−フェニルピロール−2−イル)酢酸エチル(1)を得た(212mg、収率80%)。
【0053】
ジフルオロ(1−フェニルピロール−2−イル)酢酸エチルの分析結果を以下に示す。
H−NMR(重クロロホルム):δ1.21(3H,t,J=7.1Hz),4.14(2H,q,J=7.1Hz),6.26−6.29(1H,m),6.61−6.64(1H,m),6.85−6.88(1H,m),7.34−7.45(5H,m).
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−90.9.
MS(m/z):265[M]
【0054】
実施例−2
【0055】
【化9】

【0056】
1−フェニルピロールをインドール(2)(117mg、1.00mmol)に換えた以外は実施例−1と同じ操作を行い、褐色油状のジフルオロ(インドール−2−イル)酢酸エチル(1)を得た(67mg、収率28%)。
【0057】
ジフルオロ(インドール−2−イル)酢酸エチルの分析結果を以下に示す。
H−NMR(重クロロホルム):δ1.37(3H,t,J=7.1Hz),4.38(2H,q,J=7.1Hz),6.86−6.89(1H,m),7.14−7.19(1H,m),7.27−7.32(1H,m),7.40−7.44(1H,m),7.64−7.68(1H,m),8.56(1H,brs).
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−97.8.
MS(m/z):239[M]
【0058】
実施例−3
【0059】
【化10】

【0060】
1−フェニルピロールを2−アセチル−1−メチルピロール(2)(117μL、1.00mmol)に換えた以外は実施例−1と同じ操作を行い、無色油状の(5−アセチル−1−メチルピロール−2−イル)ジフルオロ酢酸エチル(1)を得た(211mg、収率86%)。
【0061】
(5−アセチル−1−メチルピロール−2−イル)ジフルオロ酢酸エチルの分析結果を以下に示す。
H−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ1.26(3H,t,J=7.1Hz),2.43(3H,s),3.89(3H,s),4.39(2H,q,J=7.1Hz),6.51(1H,d,J=4.3Hz),7.12(1H,d,J=4.3Hz).
13C−NMR(重クロロホルム):δ13.8,27.8,34.7(t,JCF=3.0Hz),63.6,110.5(t,JCF=249.3Hz),110.6(t,JCF=5.5Hz),117.9,130.4(t,JCF=29.4Hz),133.7,162.7(t,JCF=34.2Hz),189.6.
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−97.7.
MS(m/z):245[M]
【0062】
実施例−4
【0063】
【化11】

【0064】
1−フェニルピロールをオキサゾール(2)(63μL、1.0mmol)に換えた以外は実施例−1と同じ操作を行い、褐色油状のジフルオロ(オキサゾール−5−イル)酢酸エチル(1)を得た(10mg、収率5%)。
【0065】
ジフルオロ(オキサゾール−5−イル)酢酸エチルの分析結果を以下に示す。
H−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ1.28(3H,t,J=7.1Hz),4.40(2H,q,J=7.1Hz),7.83(3H,t,JHF=2.2Hz),8.69(1H,s).
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−101.3.
MS(m/z):191[M]
【0066】
実施例−5
【0067】
【化12】

【0068】
1−フェニルピロールをチアゾール(2)(71μL、1.0mmol)に換えた以外は実施例−1と同じ操作を行い、褐色油状のジフルオロ(チアゾール−5−イル)酢酸エチル(1)を得た(9mg、収率4%)。
【0069】
ジフルオロ(チアゾール−5−イル)酢酸エチルの分析結果を以下に示す。
H−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ1.27(3H,t,J=7.1Hz),4.38(2H,q,J=7.1Hz),8.32(1H,s),9.391H,s).
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−90.5.
MS(m/z):207[M]
【0070】
実施例−6
アルゴン雰囲気下で、2−アセチル−1−メチルピロール(2)(59μL、0.50mmol)、硫酸鉄(II)水溶液(鉄化合物)(1.0mol/L、0.15mL)、ジメチルスルホキシド(4)(2.5mL)およびブロモジフルオロ酢酸エチル(3)(128μL、1.00mmol)を混合した後、混合物に30%過酸化水素水(過酸化物)(0.1mL)を加えた。室温で1時間撹拌後、19F−NMRにより(5−アセチル−1−メチルピロール−2−イル)ジフルオロ酢酸エチル(1)の生成を確認した(NMR収率48%)。
【0071】
実施例−7
アルゴン雰囲気下で、2−アセチル−1−メチルピロール(2)(59μL、0.50mmol)、硫酸鉄(II)水溶液(鉄化合物)(1.0mol/L、0.15mL)、ジメチルスルホキシド(4)(2.0mL)、硫酸(酸)のジメチルスルホキシド溶液(4)(1.0mol/L、0.5mL)およびブロモジフルオロ酢酸エチル(3)(128μL、1.00mmol)を混合した後、混合物に30%過酸化水素水(過酸化物)(0.1mL)を加えた。室温で1時間撹拌後、19F−NMRにより(5−アセチル−1−メチルピロール−2−イル)ジフルオロ酢酸エチル(1)の生成を確認した(NMR収率52%)。
【0072】
実施例−8
ブロモジフルオロ酢酸エチルをジフルオロヨード酢酸エチル(3)(147μL、1.00mmol)に換えた以外は実施例−6と同じ操作を行い、19F−NMRにより(5−アセチル−1−メチルピロール−2−イル)ジフルオロ酢酸エチル(1)の生成を確認した(NMR収率60%)。
【0073】
実施例−9
ブロモジフルオロ酢酸エチルをジフルオロヨード酢酸エチル(3)(147μL、1.00mmol)に換えた以外は実施例−7と同じ操作を行い、19F−NMRにより(5−アセチル−1−メチルピロール−2−イル)ジフルオロ酢酸エチル(1)の生成を確認した(NMR収率74%)。
【0074】
実施例−10
硫酸鉄(II)水溶液を塩化鉄(II)水溶液(鉄化合物)(1.0mol/L、0.15mL)に換えた以外は実施例−6と同じ操作を行い、19F−NMRにより(5−アセチル−1−メチルピロール−2−イル)ジフルオロ酢酸エチル(1)の生成を確認した(NMR収率45%)。
【0075】
実施例−11
硫酸鉄(II)水溶液を臭化鉄(II)水溶液(鉄化合物)(1.0mol/L、0.15mL)に換えた以外は実施例−6と同じ操作を行い、19F−NMRにより(5−アセチル−1−メチルピロール−2−イル)ジフルオロ酢酸エチル(1)の生成を確認した(NMR収率27%)。
【0076】
実施例−12
アルゴン雰囲気下で、2−アセチル−1−メチルピロール(2)(59μL、0.50mmol)、鉄粉末(鉄化合物)(8mg、0.15mmol)、ジメチルスルホキシド(4)(2.0mL)、硫酸(酸)のジメチルスルホキシド溶液(4)(1.0mol/L、0.5mL)およびブロモジフルオロ酢酸エチル(3)(128μL、1.00mmol)を混合した後、混合物に30%過酸化水素水(過酸化物)(0.1mL)を加えた。室温で12時間撹拌後、19F−NMRにより(5−アセチル−1−メチルピロール−2−イル)ジフルオロ酢酸エチル(1)の生成を確認した(NMR収率19%)。
【0077】
実施例−13
アルゴン雰囲気下で、2−アセチル−1−メチルピロール(2)(59μL、0.50mmol)、ビス(アセチルアセトナト)鉄(II)(鉄化合物)(38mg、0.15mmol)、ジメチルスルホキシド(4)(2.0mL)およびブロモジフルオロ酢酸エチル(3)(128μL、1.0mmol)を混合した後、混合物に30%過酸化水素水(過酸化物)(0.1mL)を加えた。室温で12時間撹拌後、19F−NMRにより(5−アセチル−1−メチルピロール−2−イル)ジフルオロ酢酸エチル(1)の生成を確認した(NMR収率25%)。
【0078】
実施例−14
空気中で、2−アセチル−1−メチルピロール(2)(59μL、0.50mmol)、フェロセン(鉄化合物)(28mg、0.15mmol)、ジメチルスルホキシド(4)(2.5mL)およびブロモジフルオロ酢酸エチル(3)(128μL、1.00mmol)を混合した後、混合物に30%過酸化水素水(過酸化物)(0.1mL)を加えた。室温で12時間撹拌後、19F−NMRにより(5−アセチル−1−メチルピロール−2−イル)ジフルオロ酢酸エチル(1)の生成を確認した(NMR収率57%)。
【0079】
実施例−15
アルゴン雰囲気下で、2−アセチル−1−メチルピロール(2)(59μL、0.50mmol)、フェロセン(鉄化合物)(28mg、0.15mmol)、ジメチルスルホキシド(4)(2.0mL)、酢酸(酸)のジメチルスルホキシド溶液(4)(1.0mol/L、0.5mL)およびブロモジフルオロ酢酸エチル(3)(128μL、1.00mmol)を混合した後、混合物に30%過酸化水素水(過酸化物)(0.1mL)を加えた。室温で12時間撹拌後、19F−NMRにより(5−アセチル−1−メチルピロール−2−イル)ジフルオロ酢酸エチル(1)の生成を確認した(NMR収率53%)。
【0080】
実施例−16
ブロモジフルオロ酢酸エチル(256μL、2.00mmol)をジフルオロヨード酢酸エチル(3)(147μL、1.00mmol)に換えた以外は実施例−13と同じ操作を行い、19F−NMRにより(5−アセチル−1−メチルピロール−2−イル)ジフルオロ酢酸エチル(1)の生成を確認した(NMR収率83%)。
【0081】
実施例−17
アルゴン雰囲気下で、2−アセチル−1−メチルピロール(2)(59μL、0.50mmol)、フェロセン(鉄化合物)(9mg、0.05mmol)、ジメチルスルホキシド(4)(2.5mL)およびブロモジフルオロ酢酸エチル(3)(192μL、1.50mmol)を混合した後、混合物に過酸化水素−尿素複合体(過酸化物)(94mg、1.0mmol)を加えた。室温で12時間撹拌後、19F−NMRにより(5−アセチル−1−メチルピロール−2−イル)ジフルオロ酢酸エチル(1)の生成を確認した(NMR収率77%)。
【0082】
実施例−18
過酸化水素−尿素複合体を70%tert−ブチルペルオキシド水溶液(過酸化物)(0.14mL)に換えた以外は実施例−17と同じ操作を行い、19F−NMRにより(5−アセチル−1−メチルピロール−2−イル)ジフルオロ酢酸エチル(1)の生成を確認した(NMR収率11%)。
【0083】
実施例−19
過酸化水素−尿素複合体を30%過酸化水素水(過酸化物)(0.1mL)に換え、ジメチルスルホキシド(4)の量を25mLに換えた以外は実施例−17と同じ操作を行い、19F−NMRにより(5−アセチル−1−メチルピロール−2−イル)ジフルオロ酢酸エチル(1)の生成を確認した(NMR収率84%)。
【0084】
実施例−20
過酸化水素−尿素複合体を30%過酸化水素水(過酸化物)(0.1mL)に換え、ジメチルスルホキシドをジメチルスルホキシド(4)(1.5mL)とアセトニトリル(1.0mL)の混合溶媒に換えた以外は実施例−17と同じ操作を行い、19F−NMRにより(5−アセチル−1−メチルピロール−2−イル)ジフルオロ酢酸エチル(1)の生成を確認した(NMR収率64%)。
【0085】
実施例−21
過酸化水素−尿素複合体を30%過酸化水素水(過酸化物)(0.1mL)に換え、ジメチルスルホキシドをジメチルスルホキシド(4)(2.0mL)とエタノール(0.5mL)の混合溶媒に換えた以外は実施例−17と同じ操作を行い、19F−NMRにより(5−アセチル−1−メチルピロール−2−イル)ジフルオロ酢酸エチル(1)の生成を確認した(NMR収率57%)。
【0086】
実施例−22
アルゴン雰囲気下で、2−アセチル−1−メチルピロール(2)(59μL、0.50mmol)、フェロセン(鉄化合物)(9mg、0.05mmol)、アセトン(5.0mL)、ジフェニルスルホキシド(4)(1.01g、5.0mmol)およびブロモジフルオロ酢酸エチル(3)(192μL、1.50mmol)を混合した後、混合物に30%過酸化水素水(過酸化物)(0.1mL)を加えた。室温で12時間撹拌後、19F−NMRにより(5−アセチル−1−メチルピロール−2−イル)ジフルオロ酢酸エチル(1)の生成を確認した(NMR収率10%)。
【0087】
実施例−23
アセトンをN,N−ジメチルホルムアミド(5.0mL)に換え、ジフェニルスルホキシドをジブチルスルホキシド(4)(811mg、5.00mmol)に換えた以外は実施例−22と同じ操作を行い、19F−NMRにより(5−アセチル−1−メチルピロール−2−イル)ジフルオロ酢酸エチル(1)の生成を確認した(NMR収率13%)。
【0088】
実施例−24
【0089】
【化13】

【0090】
アルゴン雰囲気下で、4−メチルピラゾール(2)(80μL、1.0mmol)、フェロセン(鉄化合物)(19mg、0.10mmol)、ジメチルスルホキシド(4)(5.0mL)およびブロモジフルオロ酢酸エチル(3)(385μL、3.00mmol)を混合した後、混合物に30%過酸化水素水(過酸化物)(0.2mL)を加えた。室温で12時間撹拌後、生成物を酢酸エチルに抽出した。有機層(酢酸エチル層)を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、淡黄色油状のジフルオロ(4−メチルピラゾール−5−イル)酢酸エチル(1)を得た(55mg、収率27%)。
【0091】
ジフルオロ(4−メチルピラゾール−5−イル)酢酸エチルの分析結果を以下に示す。
H−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ1.25(3H,t,J=7.1Hz),2.10(3H,s),4.33(2H,q,J=7.1Hz),7.67(1H,s),13.06(1H,brs).
13C−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ8.1,13.9,63.2,112.9(t,JCF=243.3Hz),114.0,130.0,141.9(t,JCF=26.4Hz),163.3(t,JCF=32.6Hz).
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−98.7.
MS(m/z):204[M]
【0092】
実施例−25
【0093】
【化14】

【0094】
4−メチルピラゾールを4−フェニルイミダゾール(2)(144mg、1.00mmol)に換えた以外は実施例−24と同じ操作を行い、無色固体のジフルオロ(4−フェニルイミダゾール−5−イル)酢酸エチル(1)を得た(37mg、収率14%)。
【0095】
ジフルオロ(4−フェニルイミダゾール−5−イル)酢酸エチルの分析結果を以下に示す。
H−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ1.18(3H,t,J=7.1Hz),4.23(2H,q,J=7.1Hz),7.38−7.43(1H,m),7.44−7.50(2H,m),7.51−7.56(2H,m),7.81(1H,s),13.00(1H,brs).
13C−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ13.9,63.0,113.2(t,JCF=243.3Hz),128.4,128.6,128.7,128.8,129.1,131.1,136.1,163.4(t,JCF=32.9Hz).
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−94.9.
MS(m/z):266[M]
【0096】
実施例−26
【0097】
【化15】

【0098】
4−メチルピラゾールを2,4−ジフェニルオキサゾール(2)(221mg、1.00mmol)に換えた以外は実施例−24と同じ操作を行い、無色固体のジフルオロ(2,4−ジフェニルオキサゾール−5−イル)酢酸エチル(1)を得た(189mg、収率55%)。
【0099】
ジフルオロ(2,4−ジフェニルオキサゾール−5−イル)酢酸エチルの分析結果を以下に示す。
H−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ1.16(3H,t,J=7.1Hz),4.29(2H,q,J=7.1Hz),7.50−7.56(3H,m),7.58−7.64(3H,m),7.68−7.72(2H,m),8.03−8.07(2H,m).
13C−NMR(重クロロホルム):δ13.6,63.7,109.1(t,JCF=248.8Hz),126.2,126.9,128.4,128.6,128.8,129.3,129.9,131.3,136.1(t,JCF=34.1Hz),142.6(t,JCF=2.5Hz),161.6,161.8(t,JCF=33.4Hz).
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−99.1.
MS(m/z):343[M]
【0100】
実施例−27
【0101】
【化16】

【0102】
4−メチルピラゾールを2−アセチルアミノチアゾール(2)(142mg、1.00mmol)に換えた以外は実施例−24と同じ操作を行い、無色固体の(2−アセチルアミノチアゾール−5−イル)ジフルオロ酢酸エチル(1)を得た(161mg、収率61%)。
【0103】
(2−アセチルアミノチアゾール−5−イル)ジフルオロ酢酸エチルの分析結果を以下に示す。
H−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ1.27(3H,t,J=7.1Hz),2.17(3H,s),4.37(2H,q,J=7.1Hz),7.83(1H,s),12.54(1H,brs).
13C−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ13.8,22.5,64.1,111.8(t,JCF=248.1Hz),120.7(t,JCF=29.1Hz),139.9(t,JCF=6.6Hz),161.1,162.4(t,JCF=34.4Hz),169.5.
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−90.6.
MS(m/z):264[M]
【0104】
実施例−28
【0105】
【化17】

【0106】
4−メチルピラゾールを2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール(2)(101mg、1.00mmol)に換えた以外は実施例−24と同じ操作を行い、黄色固体の(5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)ジフルオロ酢酸エチル(1)を得た(76mg、収率34%)。
【0107】
(5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)ジフルオロ酢酸エチルの分析結果を以下に示す。
H−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ1.27(3H,t,J=7.1Hz),4.38(2H,q,J=7.1Hz),7.91(2H,brs).
13C−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ13.8,64.2,110.2(t,JCF=248.2Hz),148.2(t,JCF=31.0Hz),161.2(t,JCF=31.7Hz),171.6.
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−94.9.
MS(m/z):223[M]
【0108】
実施例−29
【0109】
【化18】

【0110】
4−メチルピラゾールをチオフェン(2)(79μL、1.0mmol)に換えた以外は実施例−24と同じ操作を行い、無色油状のジフルオロ(チオフェン−2−イル)酢酸エチル(1)を得た(113mg、収率55%)。
【0111】
ジフルオロ(チオフェン−2−イル)酢酸エチルの分析結果を以下に示す。
H−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ1.26(3H,t,J=7.1Hz),4.36(2H,q,J=7.1Hz),7.16−7.20(1H,m),7.48−7.51(1H,m),7.88−7.91(1H,m).
13C−NMR(重クロロホルム):δ13.8,63.4,111.7(t,JCF=250.4Hz),127.1,128.4(t,JCF=5.6Hz),129.0(t,JCF=1.5Hz),134.0(t,JCF=30.1Hz),163.3(t,JCF=35.1Hz).
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−90.8.
MS(m/z):206[M]
【0112】
実施例−30
【0113】
【化19】

【0114】
4−メチルピラゾールを2−ブロモチオフェン(2)(96μL、1.0mmol)に換えた以外は実施例−24と同じ操作を行い、無色油状の(5−ブロモチオフェン−2−イル)ジフルオロ酢酸エチル(1)を得た(180mg、収率63%)。
【0115】
(5−ブロモチオフェン−2−イル)ジフルオロ酢酸エチルの分析結果を以下に示す。
H−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ1.27(3H,t,J=7.1Hz),4.37(2H,q,J=7.1Hz),7.32−7.35(1H,m),7.36−7.39(1H,m).
13C−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ13.7,64.2,110.9(t,JCF=249.6Hz),116.8,130.5(t,JCF=5.9Hz),131.3,134.0(t,JCF=30.2Hz),162.0(t,JCF=34.2Hz).
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−91.6.
MS(m/z):284[M]
【0116】
実施例−31
【0117】
【化20】

【0118】
アルゴン雰囲気下で、4−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン(2)(200mg、1.00mmol)、フェロセン(鉄化合物)(19mg、0.1mmol)、ジメチルスルホキシド(4)(5.0mL)およびブロモジフルオロ酢酸エチル(3)(385μL、3.00mmol)を混合した後、混合物に30%過酸化水素水(過酸化物)(0.2mL)を加えた。室温で12時間撹拌後、生成物を酢酸エチルに抽出した。有機層(酢酸エチル層)を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、無色油状の(4−ブロモ−2−ジメチルアミノフェニル)ジフルオロ酢酸エチル(1)を得た(229mg、収率71%)。
【0119】
(4−ブロモ−2−ジメチルアミノフェニル)ジフルオロ酢酸エチルの分析結果を以下に示す。
H−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ1.21(3H,t,J=7.1Hz),2.47(6H,s),4.25(2H,q,J=7.1Hz),7.49−7.53(1H,m),7.76−7.80(2H,m).
13C−NMR(重クロロホルム):δ14.0,45.2,62.3,111.6(t,JCF=247.5Hz),118.4,124.5,129.4(t,JCF=6.4Hz),132.9(t,JCF=24.0Hz),134.9,151.5(t,JCF=4.9Hz),163.4(t,JCF=32.5Hz).
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−97.7.
MS(m/z):321[M]
【0120】
実施例−32
ブロモジフルオロ酢酸エチルをジフルオロヨード酢酸エチル(2)(294μL、2.00mmol)に換えた以外は実施例−31と同じ操作を行い、19F−NMRにより(4−ブロモ−2−ジメチルアミノフェニル)ジフルオロ酢酸エチル(1)の生成を確認した(NMR収率33%)。
【0121】
実施例−33
フェロセンを硫酸鉄(II)水溶液(鉄化合物)(1.0mol/L、0.3mL)に換えた以外は実施例−31と同じ操作を行い、19F−NMRにより(4−ブロモ−2−ジメチルアミノフェニル)ジフルオロ酢酸エチル(1)の生成を確認した(NMR収率55%)。
【0122】
実施例−34
フェロセンを塩化鉄(II)水溶液(鉄化合物)(1.0mol/L、0.3mL)に換えた以外は実施例−31と同じ操作を行い、19F−NMRにより(4−ブロモ−2−ジメチルアミノフェニル)ジフルオロ酢酸エチル(1)の生成を確認した(NMR収率35%)。
【0123】
実施例−35
30%過酸化水素水溶液を過酸化水素−尿素複合体(過酸化物)(188mg、2.00mmol)に換えた以外は実施例−31と同じ操作を行い、19F−NMRにより(4−ブロモ−2−ジメチルアミノフェニル)ジフルオロ酢酸エチル(1)の生成を確認した(NMR収率55%)。
【0124】
実施例−36
30%過酸化水素水溶液を70%tert−ブチルヒドロペルオキシド水溶液(過酸化物)(0.28mL)に換えた以外は実施例−31と同じ操作を行い、19F−NMRにより(4−ブロモ−2−ジメチルアミノフェニル)ジフルオロ酢酸エチル(1)の生成を確認した(NMR収率10%)。
【0125】
実施例−37
ジメチルスルホキシドをジメチルスルホキシド(2)(4.0mL)とN,N−ジメチルホルムアミド(4.0mL)の混合溶媒に換えた以外は実施例−31と同じ操作を行い、19F−NMRにより(4−ブロモ−2−ジメチルアミノフェニル)ジフルオロ酢酸エチル(1)の生成を確認した(NMR収率46%)。
【0126】
実施例−38
アルゴン雰囲気下で、4−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン(2)(200mg、1.00mmol)、硫酸(酸)のジメチルスルホキシド溶液(4)(1.0mol/L、1.0mL)、硫酸鉄(II)水溶液(鉄化合物)(1.0mol/L、0.3mL)、ジメチルスルホキシド(4)(5.0mL)およびブロモジフルオロ酢酸エチル(3)(385μL、3.00mmol)を混合した後、混合物に30%過酸化水素水(0.2mL)を加えた。室温で12時間撹拌後、19F−NMRにより(4−ブロモ−2−ジメチルアミノフェニル)ジフルオロ酢酸エチル(1)の生成を確認した(NMR収率59%)。
【0127】
実施例−39
【0128】
【化21】

【0129】
4−ブロモ−N,N−ジメチルアニリンを4−ブロモアセトアニリド(2)(214mg、1.00mmol)に換えた以外は実施例−31と同じ操作を行い、淡黄色固体の(2−アセチルアミノ−4−ブロモフェニル)ジフルオロ酢酸エチル(1)を得た(118mg、収率35%)。
【0130】
(2−アセチルアミノ−4−ブロモフェニル)ジフルオロ酢酸エチルの分析結果を以下に示す。
H−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ1.16(3H,t,J=7.1Hz),1.96(3H,s),4.21(2H,q,J=7.1Hz),7.28−7.33(1H,m),7.76−7.81(2H,m),9.49(1H,brs).
13C−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ13.7,22.9,63.6,112.0(t,JCF=250.1Hz),119.0,128.7(t,JCF=8.4Hz),130.6(t,JCF=23.5Hz),131.7,134.9,135.1,162.5(t,JCF=33.8Hz),169.4.
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−99.5.
MS(m/z):335[M]
【0131】
実施例−40
【0132】
【化22】

【0133】
4−ブロモ−N,N−ジメチルアニリンを2,4−ジクロロアニリン(2)(162mg、1.00mmol)に換え、反応時間を3時間とした以外は実施例−31と同じ操作を行い、淡黄色油状の(2−アミノ−3,5−ジクロロフェニル)ジフルオロ酢酸エチル(1)を得た(125mg、収率44%)。
【0134】
(2−アミノ−3,5−ジクロロフェニル)ジフルオロ酢酸エチルの分析結果を以下に示す。
H−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ1.22(3H,t,J=7.1Hz),4.33(2H,q,J=7.1Hz),5.43(2H,brs),7.28−7.31(1H,m),7.63−7.66(1H,m).
13C−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ13.7,64.0,113.0(t,JCF=251.8Hz),117.0(t,JCF=24.3Hz),119.7,120.7,124.8(t,JCF=8.8Hz),131.8,141.1(t,JCF=2.9Hz),162.6(t,JCF=34.5Hz).
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−103.1.
MS(m/z):283[M]
【0135】
実施例−41
【0136】
【化23】

【0137】
4−ブロモ−N,N−ジメチルアニリンを2−ブロモ−4−メチルアニリン(2)(125μL、1.00mmol)に換え、反応時間を3時間とした以外は実施例−31と同じ操作を行い、淡黄色油状の(2−アミノ−3−ブロモ−5−メチルフェニル)ジフルオロ酢酸エチル(1)を得た(123mg、収率40%)。
【0138】
(2−アミノ−3−ブロモ−5−メチルフェニル)ジフルオロ酢酸エチルの分析結果を以下に示す。
H−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ1.21(3H,t,J=7.1Hz),2.20(3H,s),4.31(2H,q,J=7.1Hz),4.96(2H,brs),7.13−7.16(1H,m),7.46−7.49(1H,m).
13C−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ13.8,19.5,63.7,110.6,113.8(t,JCF=250.6Hz),116.4(t,JCF=23.5Hz),126.1(t,JCF=8.1Hz),127.1,136.0,140.3(t,JCF=2.9Hz),163.2(t,JCF=34.8Hz).
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−102.6.
MS(m/z):307[M]
【0139】
実施例−42
【0140】
【化24】

【0141】
4−ブロモ−N,N−ジメチルアニリンをp−アミノ安息香酸エチル(2)(165mg、1.00mmol)に換え、反応時間を3時間とした以外は実施例−31と同じ操作を行い、淡黄色固体の(2−アミノ−4−エトキシカルボニルフェニル)ジフルオロ酢酸エチル(1)を得た(110mg、収率38%)。
【0142】
(2−アミノ−4−エトキシカルボニルフェニル)ジフルオロ酢酸エチルの分析結果を以下に示す。
H−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ1.23(3H,t,J=7.1Hz),1.27(3H,t,J=7.1Hz),4.23(2H,q,J=7.1Hz),4.33(2H,q,J=7.1Hz),6.08(2H,brs),6.81−6.85(1H,m),7.74−7.81(2H,m).
13C−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ13.8,14.4,60.3,63.7,112.9(t,JCF=24.1Hz),114.3(t,JCF=250.3Hz),116.5,116.7,128.4(t,JCF=8.2Hz),133.2,150.4,163.2(t,JCF=35.0Hz),165.2.
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−103.0.
MS(m/z):287[M]
【0143】
実施例−43
【0144】
【化25】

【0145】
4−ブロモ−N,N−ジメチルアニリンをp−アミノアセトフェノン(2)(135mg、1.00mmol)に換え、反応時間を3時間とした以外は実施例−31と同じ操作を行い、淡黄色固体の(4−アセチル−2−アミノフェニル)ジフルオロ酢酸エチル(1)を得た(80mg、収率31%)。
【0146】
(4−アセチル−2−アミノフェニル)ジフルオロ酢酸エチルの分析結果を以下に示す。
H−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ1.23(3H,t,J=7.1Hz),2.43(3H,s),4.32(2H,q,J=7.1Hz),6.11(2H,brs),6.80−6.85(1H,m),7.77−7.84(2H,m).
13C−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ13.8,26.0,63.7,112.9(t,JCF=24.1Hz),114.3(t,JCF=250.3Hz),116.2,125.0,127.6(t,JCF=8.0Hz),132.8,150.5,163.3(t,JCF=35.1Hz),195.0.
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−102.8.
MS(m/z):257[M]
【0147】
実施例−44
【0148】
【化26】

【0149】
4−ブロモ−N,N−ジメチルアニリンを4−アミノベンゾニトリル(2)(118mg、1.00mmol)に換え、反応時間を3時間とした以外は実施例−31と同じ操作を行い、淡黄色油状の(2−アミノ−4−シアノフェニル)ジフルオロ酢酸エチル(1)を得た(65mg、収率27%)。
【0150】
(2−アミノ−4−シアノフェニル)ジフルオロ酢酸エチルの分析結果を以下に示す。
H−NMR(重ジメチルスルホキシド,TMS):δ1.22(3H,t,J=7.1Hz),4.32(2H,q,J=7.1Hz),6.24(2H,brs),6.84−6.89(1H,m),7.55−7.62(2H,m).
13C−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ13.8,63.9,96.8,113.6(t,JCF=250.9Hz),113.7(t,JCF=24.4Hz),117.2,119.5,131.3(t,JCF=8.4Hz),135.5,150.162.8(t,JCF=34.8Hz).
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−103.1.
MS(m/z):240[M]
【0151】
実施例−45
【0152】
【化27】

【0153】
4−ブロモ−N,N−ジメチルアニリンを4−クロロアセトアニリド(2)(170mg、1.00mmol)に換えた以外は実施例−31と同じ操作を行い、淡黄色固体の(2−アセチルアミノ−4−クロロフェニル)ジフルオロ酢酸エチル(1)を得た(97mg、収率33%)。
【0154】
(2−アセチルアミノ−4−クロロフェニル)ジフルオロ酢酸エチルの分析結果を以下に示す。
H−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ1.16(3H,t,J=7.1Hz),1.96(3H,s),4.21(2H,q,J=7.1Hz),7.34−7.39(1H,m),7.63−7.68(2H,m),9.50(1H,brs).
13C−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ13.7,22.9,63.6,112.0(t,JCF=250.1Hz),125.9(t,JCF=8.4Hz),130.4(t,JCF=23.4Hz),131.0,131.5,131.9,134.6,162.5(t,JCF=33.8Hz),169.4.
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−99.6.
MS(m/z):291[M]
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明の(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体は、医農薬およびそれらの合成中間体として利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1a)
【化1】

(式中、Arは、オキサゾール−5−イル基、2,4−ジフェニルオキサゾール−5−イル基、チアゾール−5−イル基、2−アセチルアミノチアゾール−5−イル基または2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−5−イル基を示す。Rは、炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で表される(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体。
【請求項2】
一般式(2)
【化2】

(式中、Arは、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、(炭素数1〜4のアルキル)カルボニル基、(炭素数1〜4のアルコキシ)カルボニル基、シアノ基、炭素数1〜4のアルキル基もしくは(炭素数1〜4のアルキル)カルボニル基で置換されていてもよいアミノ基、またはフェニル基で、置換されていてもよいアリール基を示す。)で表されるアリール類と
一般式(3)
【化3】

(式中、Xは臭素原子またはヨウ素原子を示す。Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で表されるジフルオロ酢酸エステル類を、
一般式(4)
【化4】

(式中、R3aおよびR3bは、各々、独立して、炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基を示す。)で表されるスルホキシド類、鉄化合物、過酸化物および場合によっては酸の存在下に反応させることを特徴とする、
一般式(1)
【化5】

(式中、ArおよびRは前記と同じ内容を示す。)で表される(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体の製造方法。
【請求項3】
Arが、ピロール−2−イル基、インドール−2−イル基、オキサゾール−5−イル基、ピラゾール−5−イル基、イミダゾール−5−イル基、チアゾール−5−イル基、1,3,4−チアジアゾール−2−イル基、チオフェン−2−イル基またはフェニル基である請求項2に記載の(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体の製造方法。
【請求項4】
3aおよびR3bが、メチル基、ブチル基またはフェニル基である請求項2または3に記載の(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体の製造方法。
【請求項5】
鉄化合物が、硫酸鉄(II)、塩化鉄(II)、臭化鉄(II)、鉄粉、ビス(アセチルアセトナト)鉄(II)またはフェロセンである請求項2から4のいずれかに記載の(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体の製造方法。
【請求項6】
過酸化物が、過酸化水素である請求項2から5のいずれかに記載の(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体の製造方法。
【請求項7】
酸が、硫酸または酢酸である請求項2から6のいずれかに記載の(アリール)ジフルオロ酢酸エステル誘導体の製造方法。

【公開番号】特開2011−207768(P2011−207768A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74026(P2010−74026)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000173762)公益財団法人相模中央化学研究所 (151)
【出願人】(591180358)東ソ−・エフテック株式会社 (91)
【Fターム(参考)】