説明

(トリフルオロビニル)ベンゼン類およびその製造方法

【課題】(トリフルオロビニル)ベンゼン類およびその製造方法を提供する。
【解決手段】フェニルホウ素化合物とトリフルオロハロエチレン類とを、フェニルホウ素化合物(1)に対して1〜100当量の水、二座ホスフィン配位子が配位したパラジウム錯体及びアルカリ金属塩の共存下で反応させ、一般式(3)


(式中、Rは、水素原子またはホルミル基を示す。RおよびRは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数2〜5のアシル基、(炭素数1〜4のアルコキシ)カルボニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、トリ(炭素数1〜4のアルキル)シリル基、炭素数2〜5のアシルアミノ基、シアノ基、フェニル基、塩素原子、フッ素原子またはニトロ基を示す。隣接するRおよびRは結合する炭素原子と一体となって環を形成しても良い。)で表される(トリフルオロビニル)ベンゼン類を製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(トリフルオロビニル)ベンゼン類およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(トリフルオロビニル)ベンゼン類は、燃料電池用電解質膜や化学増幅レジスト材料等の機能性材料、医農薬の製造中間体として工業的に有用な化合物である。(トリフルオロビニル)ベンゼン類を製造する方法として、トリフルオロハロエチレン類とフェニルホウ素化合物を、パラジウム触媒と塩基を用い、かつ水の共存下で反応を実施する方法は、これまでに報告されていない。
【0003】
類似の反応として、1,1−ジクロロ−2,2−ジフルオロエチレンとフェニルホウ素化合物をパラジウム触媒と塩基を用いる(1−クロロ−2,2−ジフルオロビニル)ベンゼン類の製造方法が開示されている(非特許文献1)。
【0004】
また、ホルミル基を有する(トリフルオロビニル)ベンゼン類は、これまでに報告が無い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Green Chemistry,12巻,636ページ,2010年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1に記載の方法は、パラジウム触媒として、テトラクロロパラジウム酸二ナトリウムと単座ホスフィン配位子である硫酸水素[ジシクロヘキシル[2−スルホ−9−[3−(4−スルホフェニル)プロピルフルオレン−9−イル]ホスホニウム]から合成したパラジウム錯体を用いている。このパラジウム触媒を用いて、3−ニトロフェニルボロン酸とクロロトリフルオロエチレンの反応を行ったところ、1−ニトロ−3−(トリフルオロビニル)ベンゼンの収率は39%に留まった(比較例1)。また、Palladium Reagents and Catalysts,Wiley社,2004年,289−313ページ等の成書に記載されているように、Suzuki−Miyauraカップリング反応を用いてボロン酸誘導体とハロゲン化ビニル化合物をカップリングさせる際に、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムやテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等の単座ホスフィン配位子が配位したパラジウム触媒が汎用的に用いられている。しかし、単座ホスフィン配位子が配位したジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムまたはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムをパラジウム触媒として用いて3−ニトロフェニルボロン酸とクロロトリフルオロエチレンの反応を行っても、1−ニトロ−3−(トリフルオロビニル)ベンゼンの収率はそれぞれ38%または3%と低いものであった(比較例2、3)。
【0007】
本発明の目的は、(トリフルオロビニル)ベンゼン類を、トリフルオロハロエチレン類とフェニルホウ素化合物から収率良く製造する方法及び新規な(トリフルオロビニル)ベンゼン類を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を鑑み、鋭意検討を重ねた結果、フェニルホウ素化合物とトリフルオロハロエチレン類とを、フェニルホウ素化合物に対して1〜100当量の水、二座ホスフィン配位子が配位したパラジウム錯体及びアルカリ金属塩の共存下で反応させることにより、目的物が収率良く得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、一般式(1)
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、Yは、ジヒドロキシボリル基、メチル基で置換されていてもよい1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル基またはメチル基で置換されていてもよい1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル基を示す。Rは、水素原子またはホルミル基を示す。RおよびRは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数2〜5のアシル基、(炭素数1〜4のアルコキシ)カルボニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、トリ(炭素数1〜4のアルキル)シリル基、炭素数2〜5のアシルアミノ基、シアノ基、フェニル基、塩素原子、フッ素原子またはニトロ基を示す。隣接するRおよびRは結合する炭素原子と一体となって環を形成しても良い。)で表されるフェニルホウ素化合物と一般式(2)
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、Xは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。)で表されるトリフルオロハロエチレン類とを、フェニルホウ素化合物(1)に対して1〜100当量の水、二座ホスフィン配位子が配位したパラジウム錯体及びアルカリ金属塩の共存下で反応させることを特徴とする、一般式(3)
【0014】
【化3】

【0015】
(式中、R、RおよびRは、前記と同じ内容を示す。)で表される(トリフルオロビニル)ベンゼン類の製造方法に関するものである。
【0016】
また本発明は、一般式(3a)
【0017】
【化4】

【0018】
(式中、R1aは、ホルミル基を示す。R2aおよびR3aは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはフッ素原子を示す。)で表される(トリフルオロビニル)ベンゼン類に関するものである。
【0019】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0020】
はじめに、フェニルホウ素化合物(1)、トリフルオロハロエチレン類(2)および(トリフルオロビニル)ベンゼン類(3)について説明する。
【0021】
およびRで表される炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖または分岐のいずれでも良く、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が例示できる。収率が良い点で、エチル基またはtert−ブチル基が好ましい。
【0022】
およびRで表される炭素数2〜4のアルケニル基は、直鎖または分岐のいずれでも良く、具体的には、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−ブテン−2−イル基等が例示できる。収率が良い点で、ビニル基が好ましい。
【0023】
およびRで表される炭素数2〜5のアシル基は、直鎖または分岐のいずれでも良く、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基等が例示できる。収率が良い点で、アセチル基が好ましい。
【0024】
およびRで表される(炭素数1〜4のアルコキシ)カルボニル基は、直鎖または分岐のいずれでも良く、具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等が例示できる。収率が良い点で、メトキシカルボニル基が好ましい。
【0025】
およびRで表される炭素数1〜4のアルコキシ基は、直鎖または分岐のいずれでも良く、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等が例示できる。収率が良い点で、メトキシ基またはイソプロポキシ基が好ましい。
【0026】
およびRで表されるトリ(炭素数1〜4のアルキル)シリル基としては、具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基等が例示できる。収率が良い点で、トリメチルシリル基が好ましい。
【0027】
およびRで表される炭素数2〜5のアシルアミノ基としては、具体的は、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ブチリルアミノ基、イソブチリルアミノ基、バレリルアミノ基、イソバレリアミノル基、ピバロイルアミノ基等が例示できる。収率が良い点で、アセチルアミノ基が好ましい。
【0028】
また、隣接するRおよびRは、結合する炭素と一体となってベンゼン環を形成しても良い。
【0029】
Yで表される、メチル基で置換されていてもよい1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル基としては、具体的には、1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル基、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル基等を例示することができる。
【0030】
一方、Yで表される、メチル基で置換されていてもよい1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル基としては、具体的には、1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル基、5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル基、4,4,6−トリメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル基等を例示することができる。 フェニルホウ素化合物(1)に特に限定はなく、市販品や、例えば、非特許文献2〜5に記載の方法を参考にして合成した化合物を用いることができる。
【非特許文献2】Tetrahedron Letters,38巻,3844ページ,1997年
【非特許文献3】The Journal of Organic Chemistry,62巻,6459ページ,1997年
【非特許文献4】The Chemistry of Metal−Carbon Bond,Wiley社,1987年,第4巻,307−499ページ。
【非特許文献5】Pure and Applied Chemistry,78巻,1369ページ,2006年
【0031】
具体的には、フェニルボロン酸、p−トリルボロン酸、m−トリルボロン酸、o−トリルボロン酸、2,6−ジメチルフェニルボロン酸、3,5−ジメチルフェニルボロン酸、メシチルボロン酸、2,4,5−トリメチルフェニルボロン酸、2−エチルフェニルボロン酸、3−エチルフェニルボロン酸、4−エチルフェニルボロン酸、2−プロピルフェニルボロン酸、3−プロピルフェニルボロン酸、4−プロピルフェニルボロン酸、2−イソプロピルフェニルボロン酸、3−イソプロピルフェニルボロン酸、4−イソプロピルフェニルボロン酸、2−ブチルフェニルボロン酸、3−ブチルフェニルボロン酸、4−ブチルフェニルボロン酸、2−sec−ブチルフェニルボロン酸、3−sec−ブチルフェニルボロン酸、4−sec−ブチルフェニルボロン酸、2−tert−ブチルフェニルボロン酸、3−tert−ブチルフェニルボロン酸、4−tert−ブチルフェニルボロン酸、3,5−ジ−tert−ブチルフェニルボロン酸、2−ビニルフェニルボロン酸、3−ビニルフェニルボロン酸、4−ビニルフェニルボロン酸、2−プロペニルフェニルボロン酸、3−プロペニルフェニルボロン酸、4−プロペニルフェニルボロン酸、2−イソプロペニルフェニルボロン酸、3−イソプロペニルフェニルボロン酸、4−イソプロペニルフェニルボロン酸、2−(1−ブテニル)フェニルボロン酸、3−(1−ブテニル)フェニルボロン酸、4−(1−ブテニル)フェニルボロン酸、2−(2−ブテニル)フェニルボロン酸、3−(2−ブテニル)フェニルボロン酸、4−(2−ブテニル)フェニルボロン酸、2−アセチルフェニルボロン酸、3−アセチルフェニルボロン酸、4−アセチルフェニルボロン酸、2−プロピオニルフェニルボロン酸、3−プロピオニルフェニルボロン酸、4−プロピオニルフェニルボロン酸、2−ブチリルフェニルボロン酸、3−ブチリルフェニルボロン酸、4−ブチリルフェニルボロン酸、2−イソブチリルフェニルボロン酸、3−イソブチリルフェニルボロン酸、4−イソブチリルフェニルボロン酸、2−バレリルフェニルボロン酸、3−バレリルフェニルボロン酸、4−バレリルフェニルボロン酸、2−イソバレリルフェニルボロン酸、3−イソバレリルフェニルボロン酸、4−イソバレリルフェニルボロン酸、2−ピバロイルフェニルボロン酸、3−ピバロイルフェニルボロン酸、4−ピバロイルフェニルボロン酸、2−ジヒドロキシボリル安息香酸メチル、3−ジヒドロキシボリル安息香酸メチル、4−ジヒドロキシボリル安息香酸メチル、2−ジヒドロキシボリル安息香酸エチル、3−ジヒドロキシボリル安息香酸エチル、4−ジヒドロキシボリル安息香酸エチル、2−ジヒドロキシボリル安息香酸プロピル、3−ジヒドロキシボリル安息香酸プロピル、4−ジヒドロキシボリル安息香酸プロピル、2−ジヒドロキシボリル安息香酸イソプロピル、3−ジヒドロキシボリル安息香酸イソプロピル、4−ジヒドロキシボリル安息香酸イソプロピル、2−ジヒドロキシボリル安息香酸ブチル、3−ジヒドロキシボリル安息香酸ブチル、4−ジヒドロキシボリル安息香酸ブチル、2−ジヒドロキシボリル安息香酸sec−ブチル、3−ジヒドロキシボリル安息香酸sec−ブチル、4−ジヒドロキシボリル安息香酸sec−ブチル、2−ジヒドロキシボリル安息香酸tert−ブチル、3−ジヒドロキシボリル安息香酸tert−ブチル、4−ジヒドロキシボリル安息香酸tert−ブチル、2−メトキシフェニルボロン酸、3−メトキシフェニルボロン酸、4−メトキシフェニルボロン酸、2−エトキシフェニルボロン酸、3−エトキシフェニルボロン酸、4−エトキシフェニルボロン酸、2−プロポキシフェニルボロン酸、3−プロポキシフェニルボロン酸、4−プロポキシフェニルボロン酸、2−プロポキシフェニルボロン酸、3−プロポキシフェニルボロン酸、4−プロポキシフェニルボロン酸、2−ブトキシフェニルボロン酸、3−ブトキシフェニルボロン酸、4−ブトキシフェニルボロン酸、2−sec−ブトキシフェニルボロン酸、3−sec−ブトキシフェニルボロン酸、4−sec−ブトキシフェニルボロン酸、2−tert−ブトキシフェニルボロン酸、3−tert−ブトキシフェニルボロン酸、4−tert−ブトキシフェニルボロン酸、2−(トリメチルシリル)フェニルボロン酸、3−(トリメチルシリル)フェニルボロン酸、4−(トリメチルシリル)フェニルボロン酸、2−(トリエチルシリル)フェニルボロン酸、3−(トリエチルシリル)フェニルボロン酸、4−(トリエチルシリル)フェニルボロン酸、2−(トリプロピルシリル)フェニルボロン酸、3−(トリプロピルシリル)フェニルボロン酸、4−(トリプロピルシリル)フェニルボロン酸、2−(トリイソプロピルシリル)フェニルボロン酸、3−(トリイソプロピルシリル)フェニルボロン酸、4−(トリイソプロピルシリル)フェニルボロン酸、2−(トリブチルシリルフェニル)ボロン酸、3−(トリブチルシリル)フェニルボロン酸、4−(トリブチルシリル)フェニルボロン酸、2−(トリ−sec−ブチルシリル)フェニルボロン酸、3−(トリ−sec−ブチル)シリルフェニルボロン酸、4−(トリ−sec−ブチル)シリルフェニルボロン酸、2−(トリ−tert−ブチルシリル)フェニルボロン酸、3−(トリ−tert−ブチルシリル)フェニルボロン酸、4−(トリ−tert−ブチルシリル)フェニルボロン酸、2−アセチルアミノフェニルボロン酸、3−アセチルアミノフェニルボロン酸、4−アセチルアミノフェニルボロン酸、2−プロピオニルアミノフェニルボロン酸、3−プロピオニルアミノフェニルボロン酸、4−プロピオニルアミノフェニルボロン酸、2−ブチリルアミノフェニルボロン酸、3−ブチリルアミノフェニルボロン酸、4−ブチリルアミノフェニルボロン酸、2−イソブチリルアミノフェニルボロン酸、3−イソブチリルアミノフェニルボロン酸、4−イソブチリルアミノフェニルボロン酸、2−バレリルアミノフェニルボロン酸、3−バレリルアミノフェニルボロン酸、4−バレリルアミノフェニルボロン酸、2−イソバレリルアミノフェニルボロン酸、3−イソバレリルアミノフェニルボロン酸、4−イソバレリルアミノフェニルボロン酸、2−ピバロイルアミノフェニルボロン酸、3−ピバロイルアミノフェニルボロン酸、4−ピバロイルアミノフェニルボロン酸、2−シアノフェニルボロン酸、3−シアノフェニルボロン酸、4−シアノフェニルボロン酸、4−ビフェニリルボロン酸、3−ビフェニリルボロン酸、2−クロロフェニルボロン酸、3−クロロフェニルボロン酸、4−クロロフェニルボロン酸、2−アミノフェニルボロン酸、3−アミノフェニルボロン酸、4−アミノフェニルボロン酸、2−ニトロフェニルボロン酸、3−ニトロフェニルボロン酸、4−ニトロフェニルボロン酸、2−ホルミルフェニルボロン酸、3−ホルミルフェニルボロン酸、4−ホルミルフェニルボロン酸、2,4−ジクロロフェニルボロン酸、3,4−ジクロロフェニルボロン酸、3,5−ジクロロフェニルボロン酸、2,3−ジクロロフェニルボロン酸、2,5−ジクロロフェニルボロン酸、2,6−ジクロロフェニルボロン酸、3−クロロ−4−メチルフェニルボロン酸、4−クロロ−3−メチルフェニルボロン酸、4−クロロ−2−メチルフェニルボロン酸、4−アセチル−2−クロロフェニルボロン酸、3−クロロ−4,5−ジメトキシフェニルボロン酸、2−クロロ−5−シアノフェニルボロン酸、3−クロロ−4−メトキシフェニルボロン酸、2,6−ジメトキシフェニルボロン酸、2,3−ジメトキシフェニルボロン酸、2,4−ジメトキシフェニルボロン酸、2,5−ジメトキシフェニルボロン酸、3,4−ジメトキシフェニルボロン酸、4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニルボロン酸、2−メトキシ−4−メチルフェニルボロン酸、4−メチル−3−メトキシフェニルボロン酸、4−アセチル−3−メトキシフェニルボロン酸、4−メトキシ−3−ニトロフェニルボロン酸、2−アミノ−5−クロロフェニルボロン酸、4−アミノ−3−メトキシフェニルボロン酸、2−アミノ−4−メチルフェニルボロン酸、4−アミノ−3−ニトロフェニルボロン酸、2−クロロ−4−ジヒドロキシボリル安息香酸メチル、3−ジヒドロキシボリル−2−ニトロ安息香酸メチル、3−ジヒドロキシボリル−5−ニトロ安息香酸メチル、4−ジヒドロキシボリル−3−ニトロ安息香酸メチル、4−ジヒドロキシボリル−2−メトキシ安息香酸メチル、4−エトキシ−2,3−ジフルオロフェニルボロン酸、2,3,4−トリメトキシフェニルボロン酸、3−ホルミル−5−メトキシフェニルボロン酸、5−エトキシ−3−ホルミルフェニルボロン酸、3−ホルミル−5−プロポキシフェニルボロン酸、3−ホルミル−5−イソプロポキシボロン酸、5−ブトキシ−3−ホルミルフェニルボロン酸、3−ホルミル−5−イソブトキシフェニルボロン酸、3−ホルミル−5−sec−ブトキシフェニルボロン酸、3−ホルミル−5−tert−ブトキシフェニルボロン酸、3−ホルミル−4−メトキシフェニルボロン酸、4−エトキシ−3−ホルミルフェニルボロン酸、3−ホルミル−4−プロポキシフェニルボロン酸、3−ホルミル−4−イソプロポキシボロン酸、4−ブトキシ−3−ホルミルフェニルボロン酸、3−ホルミル−4−イソブトキシフェニルボロン酸、3−ホルミル−4−sec−ブトキシフェニルボロン酸、3−ホルミル−4−tert−ブトキシフェニルボロン酸、2−ホルミル−4−メトキシフェニルボロン酸、4−エトキシ−2−ホルミルフェニルボロン酸、2−ホルミル−4−プロポキシフェニルボロン酸、2−ホルミル−4−イソプロポキシボロン酸、4−ブトキシ−2−ホルミルフェニルボロン酸、2−ホルミル−4−イソブトキシフェニルボロン酸、2−ホルミル−4−sec−ブトキシフェニルボロン酸、2−ホルミル−4−tert−ブトキシフェニルボロン酸、2−ホルミル−5−メトキシフェニルボロン酸、5−エトキシ−2−ホルミルフェニルボロン酸、2−ホルミル−5−プロポキシフェニルボロン酸、2−ホルミル−5−イソプロポキシボロン酸、5−ブトキシ−2−ホルミルフェニルボロン酸、2−ホルミル−5−イソブトキシフェニルボロン酸、2−ホルミル−5−sec−ブトキシフェニルボロン酸、2−ホルミル−5−tert−ブトキシフェニルボロン酸、3−ホルミル−5−メチルフェニルボロン酸、5−エチル−3−ホルミルフェニルボロン酸、3−ホルミル−5−プロピルフェニルボロン酸、3−ホルミル−5−イソプロピルボロン酸、5−ブチル−3−ホルミルフェニルボロン酸、3−ホルミル−5−イソブチルフェニルボロン酸、3−ホルミル−5−sec−ブチルフェニルボロン酸、3−ホルミル−5−tert−ブチルフェニルボロン酸、3−ホルミル−4−メチルフェニルボロン酸、4−エチル−3−ホルミルフェニルボロン酸、3−ホルミル−4−プロピルフェニルボロン酸、3−ホルミル−4−イソプロピルボロン酸、4−ブチル−3−ホルミルフェニルボロン酸、3−ホルミル−4−イソブチルフェニルボロン酸、3−ホルミル−4−sec−ブチルフェニルボロン酸、3−ホルミル−4−tert−ブチルフェニルボロン酸、2−ホルミル−4−メチルフェニルボロン酸、4−エチル−2−ホルミルフェニルボロン酸、2−ホルミル−4−プロピルフェニルボロン酸、2−ホルミル−4−イソプロピルボロン酸、4−ブチル−2−ホルミルフェニルボロン酸、2−ホルミル−4−イソブチルフェニルボロン酸、2−ホルミル−4−sec−ブチルフェニルボロン酸、2−ホルミル−4−tert−ブチルフェニルボロン酸、2−ホルミル−5−メチルフェニルボロン酸、5−エチル−2−ホルミルフェニルボロン酸、2−ホルミル−5−プロピルフェニルボロン酸、2−ホルミル−5−イソプロピルボロン酸、5−ブチル−2−ホルミルフェニルボロン酸、2−ホルミル−5−イソブチルフェニルボロン酸、2−ホルミル−5−sec−ブチルフェニルボロン酸、2−ホルミル−5−tert−ブチルフェニルボロン酸、2−フルオロ−3−ホルミルフェニルボロン酸、
2−フルオロ−4−ホルミルフェニルボロン酸、3−フルオロ−4−ホルミルフェニルボロン酸、5−フルオロ−3−ホルミルフェニルボロン酸、1−ナフチルボロン酸、2−ナフチルボロン酸等のボロン酸類を例示できる。
【0032】
また、これらのボロン酸類のジヒドロキシボリル基をエチレングリコール、ピナコール、プロピレングリコール、ネオペンチルアルコールまたは2−メチルペンタン−2,4−ジオールと脱水縮合させ、1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル基、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル基、1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル基、5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル基、4,4,6−トリメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル基としたボロン酸エステル類を例示することができる。
【0033】
トリフルオロハロエチレン類(2)のXは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のいずれでもよいが、収率が良い点および入手容易な点で、塩素原子、ヨウ素原子が好ましく、塩素原子がさらに好ましい。
【0034】
次に、(トリフルオロビニル)ベンゼン類(3a)について説明する。R2aおよびR3aで表される炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖または分岐のいずれでも良く、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が例示できる。収率が良い点で、エチル基が好ましい。
【0035】
2aおよびR3aで表される炭素数1〜4のアルコキシ基は、直鎖または分岐のいずれでも良く、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等が例示できる。収率が良い点で、メトキシ基またはイソプロポキシ基が好ましい。
【0036】
次に、本発明の製造方法について説明する。
【0037】
本発明の製造方法は、二座ホスフィン配位子が配位したパラジウム錯体を用いることが必須である。このパラジウム錯体は、本発明の反応において触媒として作用している。具体的には、ジクロロ[ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン]パラジウム、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン] パラジウム、ジクロロ[1,3−ビス( ジフェニルホスフィノ)プロパン]パラジウム、ジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム、ジクロロ[1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン]パラジウム、ジクロロ[1,1’−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)フェロセン]パラジウム、ジクロロ[1,1’−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセン]パラジウム等を例示することができる。収率が良い点で、ジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウムが好ましい。
【0038】
このような二座ホスフィン配位子が配位したパラジウム錯体は、π―アリルパラジウムクロリドダイマー、ビス(アセチルアセトナト)パラジウム、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム等のパラジウム化合物と、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス( ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン、1,1’−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)フェロセン、1,1’−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセン等の二座配位ホスフィン配位子とから合成して用いることもできる。収率が良い点で、パラジウム化合物としてビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、二座配位ホスフィン配位子として1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウムまたは1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンを用いることが好ましい。
【0039】
本錯体をパラジウム化合物と二座配位ホスフィン配位子から合成して用いる場合、二座配位ホスフィン配位子の使用量に特に制限はないが、収率が良い点で、パラジウム化合物に対して0.5当量以上用いることが好ましく、0.5〜1.5当量用いることがさらに好ましい。
【0040】
二座ホスフィン配位子が配位したパラジウム錯体の量に特に制限はないが、収率が良い点で、フェニルホウ素化合物(1)に対して0.0001〜0.5当量用いることが好ましく、0.005〜0.2当量用いることがさらに好ましい。
【0041】
本発明の製造方法は、アルカリ金属塩の存在下に実施することが必須である。用いることのできるアルカリ金属塩としては、具体的は、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等を例示することができる。収率が良い点で、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウムが好ましい。アルカリ金属塩の使用量に特に制限はなく、フェニルホウ素化合物(1)に対して1等量以上用いることにより、収率よく(トリフルオロビニル)ベンゼン類(3)を得ることができる。
【0042】
本発明の製造方法では、水の共存下に反応を実施することが必須である。水の使用量は、収率が良い点で、フェニルホウ素化合物(1)に対して1〜100当量用いることが好ましく、2〜50当量がさらに好ましい。
【0043】
本発明の製造方法は、有機溶媒中で実施することができ、反応に害を及ぼす恐れのない有機溶媒であればよい。用いることのできる有機溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,4−ジオキサン、メチル−tert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、ペンタン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒等を例示することができ、上記の有機溶媒のうち2種類以上を混合しても差し支えない。収率が良い点で、エーテル系溶媒または炭化水素系溶媒が好ましく、中でも1,4−ジオキサンまたはトルエンが好ましい。
【0044】
本発明の製造方法では、反応温度に特に制限はないが、0℃から200℃の温度から適宜選ばれた温度で実施することができる。収率が良い点で、20℃から150℃が好ましい。
【0045】
反応の雰囲気は、アルゴン、窒素ガス等の不活性ガスが(トリフルオロビニル)ベンゼン類(3)の収率が良い点で好ましいが、空気中でも反応は十分に進行する。
【0046】
(トリフルオロビニル)ベンゼン類(3)を精製する方法に特に限定はないが、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー、再結晶または昇華等の汎用的な方法によって精製することができる。また、これらの方法によって、必要に応じて単離することもできる。
【発明の効果】
【0047】
本発明は、燃料電池用電解質膜や化学増幅レジスト材料等の機能性材料、医農薬の製造中間体として工業的に有用な(トリフルオロビニル)ベンゼン類を製造する方法として有効である。
【実施例】
【0048】
次に本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例−1
【0049】
【化5】

【0050】
反応容器にジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウ
ム7.3mg(0.01mmol)、3−ニトロフェニルボロン酸167mg(1.0mmol)、及び炭酸ナトリウム212mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL、水0.3mL(16.7mmol)を加えた。この混合物を、−196℃に冷却しクロロトリフルオロエチレン466mg(4.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて密閉し、100℃に加熱し2時間攪拌した。反応後、ガスクロマトグラフィーにより1−ニトロ−3−(トリフルオロビニル)ベンゼンの生成を確認した(GC収率84%)。混合物をろ過し、ろ液を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、1−ニトロ−3−(トリフルオロビニル)ベンゼン162mgを得た(収率77%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ7.65(t,1H,J=8.1Hz),7.80(d,1H,J=8.1Hz),8.22(dd,1H,J=2.0Hz,J=8.1Hz),8.35(t,1H,J=2.0Hz).
19F−NMR(CDCl,376MHz)δ−177.3(dd,J=34.0Hz,110.2Hz,1F),−111.0(dd,J=62.8Hz,110.2Hz,1F),−95.7(dd,J=34.0Hz,62.8Hz,1F).
比較例−1
【0051】
反応容器にテトラクロロパラジウム酸二ナトリウム2.9mg(0.01mmol)、硫酸水素[ジシクロヘキシル[2−スルホ−9−[3−(4−スルホフェニル)プロピルフルオレン−9−イル]ホスホニウム]14.8mg(0.02mmol)、3−ニトロフェニルボロン酸167mg(1.0mmol)、及び炭酸ナトリウム212mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL、水0.3mL(16.7mmol)を加えた。この混合物を、−196℃に冷却しクロロトリフルオロエチレン466mg(4.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて密閉し、100℃に加熱し2時間攪拌した。反応後、混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、1−ニトロ−3−(トリフルオロビニル)ベンゼン79.5mgを得た(収率39%)。
比較例−2
【0052】
反応容器にジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム7.0mg(0.01mmol)、3−ニトロフェニルボロン酸167mg(1.0mmol)、及び炭酸ナトリウム212mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL、水0.3mL(16.7mmol)を加えた。この混合物を、−196℃に冷却しクロロトリフルオロエチレン466mg(4.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて密閉し、100℃に加熱し2時間攪拌した。反応後、混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、1−ニトロ−3−(トリフルオロビニル)ベンゼン77.2mgを得た(収率38%)。
比較例−3
【0053】
反応容器にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム11.6mg(0.01mmol)、3−ニトロフェニルボロン酸167mg(1.0mmol)、及び炭酸ナトリウム212mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL、水0.3mL(16.7mmol)を加えた。この混合物を、−196℃に冷却しクロロトリフルオロエチレン466mg(4.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて密閉し、100℃に加熱し2時間攪拌した。反応後、ガスクロマトグラフィーにより1−ニトロ−3−(トリフルオロビニル)ベンゼンの生成を確認した(GC収率3%)。
実施例−2
【0054】
炭酸ナトリウムに替えてフッ化カリウム116mg(2.0mmol)を用いた以外は全て実施例1と同じ操作を行い、ガスクロマトグラフィーにより3−(1,2,2−トリフルオロエテニル)ニトロベンゼンの生成を確認した(GC収率78%)。
実施例−3
【0055】
ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウムに替えてジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム6.0mg(0.01mmol)を用いた以外は全て実施例1と同じ操作を行い、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、1−ニトロ−3−(トリフルオロビニル)ベンゼン149mgを得た(収率73%)。
実施例−4
【0056】
【化6】

【0057】
反応容器にジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム6.0mg(0.01mmol)、4−ジヒドロキシボリル安息香酸メチル180mg(1.0mmol)及びフッ化セシウム304mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL、水0.1mL(5.6mmol)を加えた。この混合物を、−196℃に冷却しクロロトリフルオロエチレン466mg(4.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて密閉し、100℃に加熱し1時間攪拌した。反応後、混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、4−(トリフルオロビニル)安息香酸メチル152mgを得た(収率71%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ3.94(s,3H),7.54(d,J=8.4Hz,2H),8.09(d,J=8.4Hz,2H).
19F−NMR(CDCl,376MHz)δ−177.5(dd,J=33.0Hz,108.6Hz,1F),−111.3(dd,J=63.0Hz,108.6Hz,1F),−96.7(dd,J=33.0Hz,63.0Hz,1F).
実施例−5
【0058】
【化7】

【0059】
反応容器にジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム6.0mg(0.01mmol)、4−アセチルフェニルボロン酸164mg(1.0mmol)及びフッ化セシウム304mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL、水0.1mL(5.6mmol)を加えた。この混合物を、−196℃に冷却しクロロトリフルオロエチレン466mg(4.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて密閉し、100℃に加熱し1時間攪拌した。反応後、混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、1−[4−(トリフルオロビニル)フェニル)エタノン147mgを得た(収率73%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ2.62(s,3H),7.57(d,J=8.4Hz,2H),8.01(d,J=8.4Hz,2H).
19F−NMR(CDCl,376MHz)δ−177.5(dd,J=33.3Hz,108.2Hz,1F),−111.1(dd,J=62.0Hz,108.2Hz,1F),−96.3(dd,J=33.3Hz,62.0Hz,1F).
実施例−6
【0060】
【化8】

【0061】
反応容器にジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム12.0mg(0.02mmol)、4−シアノフェニルボロン酸164mg(1.0mmol)及びフッ化セシウム304mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL、水0.1mL(5.6mmol)を加えた。この混合物を、−196℃に冷却しクロロトリフルオロエチレン466mg(4.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて密閉し、100℃に加熱し1時間攪拌した。反応後、混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、4−(トリフルオロビニル)ベンゾニトリル128mgを得た(収率70%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ7.59(d,J=8.5Hz,2H),7.72(d,J=8.5Hz,2H).
19F−NMR(CDCl,376MHz)δ−178.0(dd,J=34.0Hz,108.8Hz,1F),−109.7(dd,J=59.7Hz,108.8Hz,1F),−96.3(dd,J=34.0Hz,59.7Hz,1F).
実施例−7
【0062】
反応容器にジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム14.6mg(0.02mmol)、4−シアノフェニルボロン酸164mg(1.0mmol)、及び炭酸ナトリウム212mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL、水0.3mL(16.7mmol)を加えた。この混合物を、−196℃に冷却しクロロトリフルオロエチレン466mg(4.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて密閉し、100℃に加熱し2時間攪拌した。反応後、混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、4−(1,2,2−トリフルオロエテニル)ベンゾニトリル141mgを得た(収率77%)。
実施例−8
【0063】
【化9】

【0064】
反応容器にジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム6.0mg(0.01mmol)、4−ビフェニリルボロン酸198mg(1.0mmol)及びフッ化セシウム304mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL、水0.1mL(5.6mmol)を加えた。この混合物を、−196℃に冷却しクロロトリフルオロエチレン466mg(4.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて密閉し、100℃に加熱し1時間攪拌した。反応後、混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、4−(トリフルオロビニル)ビフェニル185mgを得た(収率79%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ7.35(t,J=7.3Hz,1H),7.43(t,J=7.3Hz,2H),7.51(d,J=8.3Hz,2H),7.57(d,J=8.3Hz,2H),7.62(d,J=8.3Hz,2H).
19F−NMR(CDCl,376MHz)δ−176.8(dd,J=32.3Hz,108.9Hz,1F),−114.4(dd,J=70.7Hz,108.9Hz,1F),−99.5(dd,J=32.3Hz,70.7Hz,1F).
実施例−9
【0065】
反応容器にビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)5.8mg(0.01mmol)、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン4.3mg(0.01mmol)、4−ビフェニルボロン酸198mg(1.0mmol)、及び炭酸セシウム652mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、トルエン2mL、水0.05mL(2.8mmol)を加えた。この混合物を、−196℃に冷却しクロロトリフルオロエチレン466mg(4.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて密閉し、100℃に加熱し2時間攪拌した。反応後、混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、4−(1,2,2−トリフルオロエテニル)ビフェニル165mgを得た(収率70%)。
実施例−10
【0066】
反応容器にジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム7.3mg(0.01mmol)、4−ビフェニルボロン酸198mg(1.0mmol)、及び炭酸ナトリウム212mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL、水0.3mL(16.7mmol)を加えた。この混合物を、−196℃に冷却しクロロトリフルオロエチレン466mg(4.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて密閉し、100℃に加熱し2時間攪拌した。反応後、混合物をろ過し、ろ液を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、4−(1,2,2−トリフルオロエテニル)ビフェニル185mgを得た(収率79%)。
実施例−11
【0067】
【化10】

【0068】
反応容器にジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム6.0mg(0.01mmol)、4−tert−ブチルフェニルボロン酸178mg(1.0mmol)及びフッ化セシウム304mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL、水0.1mL(5.6mmol)を加えた。この混合物を、−196℃に冷却しクロロトリフルオロエチレン466mg(4.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて密閉し、100℃に加熱し1時間攪拌した。反応後、混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、1−tert−ブチル−4−(トリフルオロビニル)ベンゼン180mgを得た(収率84%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ1.33(s,9H),7.40(d,J=8.7Hz,2H),7.45(d,J=8.7Hz,2H).
19F−NMR(CDCl,376MHz)δ−176.7(dd,J=32.3Hz,109.7Hz,1F),−115.8(dd,J=73.5Hz,109.7Hz,1F),−100.8(dd,J=32.3Hz,73.5Hz,1F).
実施例−12
【0069】
【化11】

【0070】
反応容器にジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム12.0mg(0.02mmol)、3−ホルミル−5−イソプロポキシフェニルボロン酸208mg(1.0mmol)、及びフッ化セシウム304mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL、水0.1mL(5.6mmol)を加えた。この混合物を、−196℃に冷却しクロロトリフルオロエチレン466mg(4.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて密閉し、100℃に加熱し1時間攪拌した。反応後、混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、3−イソプロポキシ−5−(トリフルオロビニル)ベンズアルデヒド190mgを得た(収率78%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ1.38(d,J=6.0Hz,6H),4.66(sept,J=6.0Hz,1H),7.22(s,1H),7.36(s,1H),7.50(s,1H),9.96(s,1H).
19F−NMR(CDCl,376MHz)δ−176.8(dd,J=33.0Hz,109.6Hz,1F),−112.2(dd,J=66.4Hz,109.6Hz,1F),−97.5(dd,J=33.0Hz,66.4Hz,1F).
実施例−13
【0071】
反応容器にジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム14.6mg(0.02mmol)、3−ホルミル‐5−イソプロポキシフェニルボロン酸208mg(1.0mmol)、及び炭酸ナトリウム212mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL、水0.3mL(16.7mmol)を加えた。この混合物を、−196℃に冷却しクロロトリフルオロエチレン466mg(4.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて密閉し、100℃に加熱し2時間攪拌した。反応後、混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、3−(1,2,2−トリフルオロエテニル)−5−イソプロポキシベンズアルデヒド203mgを得た(収率86%)。
実施例−14
【0072】
【化12】

【0073】
反応容器にジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム6.0mg(0.01mmol)、4−クロロフェニルボロン酸156mg(1.0mmol)及びフッ化セシウム304mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL、水0.1mL(5.6mmol)を加えた。この混合物を、−196℃に冷却しクロロトリフルオロエチレン466mg(4.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて密閉し、100℃に加熱し1時間攪拌した。反応後、混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、1−クロロ−4−(トリフルオロビニル)ベンゼン122mgを得た(収率64%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ7.40(s,4H).
19F−NMR(CDCl,376MHz)δ−176.9(dd,J=32.7Hz,109.8Hz,1F),−113.7(dd,J=69.4Hz,109.8Hz,1F),−98.9(dd,J=32.7Hz,69.4Hz,1F).
実施例−15
【0074】
【化13】

【0075】
反応容器にジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム6.0mg(0.01mmol)、4−エチルフェニルボロン酸150mg(1.0mmol)及びフッ化セシウム304mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL、水0.1mL(5.6mmol)を加えた。この混合物を、−196℃に冷却しクロロトリフルオロエチレン466mg(4.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて密閉し、100℃に加熱し1時間攪拌した。反応後、混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、1−エチル−4−(トリフルオロビニル)ベンゼン153mgを得た(収率82%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ1.25(t,J=7.6Hz,3H),2.67(q,J=7.6Hz,2H),7.25(d,J=8.2Hz,2H),7.38(d,J=8.2Hz,2H).
19F−NMR(CDCl,376MHz)δ−176.4(dd,J=32.5Hz,109.1Hz,1F),−115.8(dd,J=73.8Hz,109.1Hz,1F),−100.9(dd,J=32.5Hz,73.8Hz,1F).
実施例−16
【0076】
【化14】

【0077】
反応容器にジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム6.0mg(0.01mmol)、4−ビニルフェニルボロン酸148mg(1.0mmol)及びフッ化セシウム304mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL、水0.1mL(5.6mmol)を加えた。この混合物を、−196℃に冷却しクロロトリフルオロエチレン466mg(4.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて密閉し、100℃に加熱し1時間攪拌した。反応後、混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、4−トリフルオロビニル−1−ビニル−ベンゼン116mgを得た(収率63%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ5.31(d,J=10.9Hz,1H),5.80(d,J=17.6Hz,1H),6.71(dd,J=10.9Hz,17.6Hz,1H),7.42(d,J=8.6Hz,2H),7.45(d,J=8.6Hz,2H).
19F−NMR(CDCl,376MHz)δ−177.0(dd,J=32.5Hz,108.8Hz,1F),−114.3(dd,J=70.4Hz,108.8Hz,1F),−99.6(dd,J=32.5Hz,70.4Hz,1F).
実施例−17
【0078】
【化15】

【0079】
反応容器にジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム6.0mg(0.01mmol)、3−メトキシフェニルボロン酸152mg(1.0mmol)及びフッ化セシウム304mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL、水0.1mL(5.6mmol)を加えた。この混合物を、−196℃に冷却しクロロトリフルオロエチレン466mg(4.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて密閉し、100℃に加熱し1時間攪拌した。反応後、混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、1−メトキシ−3−(トリフルオロビニル)ベンゼン160mgを得た(収率85%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ3.81(s,3H),6.89(dd,J=2.5Hz,8.3Hz,1H),7.00(t,J=2.1Hz,1H),7.05(dd,J=0.7Hz,7.8Hz,1H),7.32(t,J=8.0Hz,1H).
19F−NMR(CDCl,376MHz)δ−176.3(dd,J=32.6Hz,108.9Hz,1F),−113.9(dd,J=69.8Hz,108.9Hz,1F),−99.5(dd,J=32.6Hz,69.8Hz,1F).
実施例−18
【0080】
【化16】

【0081】
反応容器にジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム18.1mg(0.03mmol)、4−アセチルアミノフェニルボロン酸179mg(1.0mmol)及びフッ化セシウム304mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL、水0.1mL(5.6mmol)を加えた。この混合物を、−196℃に冷却しクロロトリフルオロエチレン466mg(4.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて密閉し、100℃に加熱し1時間攪拌した。反応後、混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、N−[4−(トリフルオロビニル)フェニル]アセトアミド120mgを得た(収率56%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ2.20(s,3H),7.19(s,1H),7.43(d,J=8.6Hz,2H),7.58(d,J=8.6Hz,2H),19F−NMR(CDCl,376MHz)δ−176.6(dd,J=32.3Hz,109.3Hz,1F),−115.5(dd,J=73.1Hz,109.3Hz,1F),−100.5(dd,J=32.3Hz,73.1Hz,1F).
実施例−19
【0082】
【化17】

【0083】
反応容器にジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム18.1mg(0.03mmol)、2−メトキシフェニルボロン酸152mg(1.0mmol)及び炭酸カリウム276mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL、水0.1mL(5.6mmol)を加えた。この混合物を、−196℃に冷却しクロロトリフルオロエチレン466mg(4.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて密閉し、120℃に加熱し1時間攪拌した。反応後、混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、1−メトキシ−2−(トリフルオロビニル)ベンゼン115mgを得た(収率61%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ3.86(s,3H),6.94−7.01(m,2H),7.32(d,J=7.6Hz,1H),7.41(ddt,J=1.4Hz,J=1.4Hz,J=7.9Hz,1H).
19F−NMR(CDCl,376MHz)δ−164.9(dd,J=29.6Hz,114.9Hz,1F),−116.4(dd,J=73.2Hz,114.9Hz,1F),−102.3(dd,J=29.6Hz,73.2Hz,1F).
実施例−20
【0084】
【化18】

【0085】
反応容器にジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム30.2mg(0.05mmol)、4−(トリメチルシリル)フェニルボロン酸194mg(1.0mmol)及びフッ化セシウム304mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL、水0.1mL(5.6mmol)を加えた。この混合物を、−196℃に冷却しクロロトリフルオロエチレン466mg(4.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて密閉し、100℃に加熱し2時間攪拌した。反応後、混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、1−トリフルオロビニル−4−(トリメチルシリル)ベンゼン201mgを得た(収率87%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ0.28(s,9H),7.44(d,J=8.0Hz,2H),7.57(d,J=8.0Hz,2H).
19F−NMR(CDCl,376MHz)δ−177.3(dd,J=32.3Hz,109.1Hz,1F),−114.3(dd,J=69.9Hz,109.1Hz,1F),−100.8(dd,J=32.3Hz,69.9Hz,1F).
実施例−21
【0086】
【化19】

【0087】
反応容器にジクロロ[1,1‘−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム7.3mg(0.01mmol)、3−ホルミル−4−メトキシフェニルボロン酸180mg(1.0mmol)及び炭酸ナトリウム212mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL、水0.3mL(16.7mmol)を加えた。この混合物を、−196℃に冷却しクロロトリフルオロエチレン466mg(4.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて密閉し、100℃に加熱し2時間攪拌した。反応後、混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2−メトキシ−5−(トリフルオロビニル)ベンズアルデヒド199mgを得た(収率92%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ7.94(d,J=2.4Hz,1H),7.65(dd,J=2.4Hz,8.8Hz,1H),7.07(d,J=8.8Hz,1H).
19F−NMR(CDCl,376MHz)δ−176.2(dd,J=32.6Hz,110.3Hz,1F),−115.5(dd,J=73.5Hz,110.3Hz,1F),−100.2(dd,J=32.6Hz,73.5Hz,1F).
実施例−22
【0088】
【化20】

【0089】
反応容器にジクロロ[1,1‘−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム7.3mg(0.01mmol)、3−フルオロ−4−ホルミルフェニルボロン酸168mg(1.0mmol)及び炭酸ナトリウム212mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL、水0.3mL(16.7mmol)を加えた。この混合物を、−196℃に冷却しクロロトリフルオロエチレン466mg(4.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて密閉し、100℃に加熱し2時間攪拌した。反応後、混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2−フルオロ−4−(トリフルオロビニル)ベンズアルデヒド138mgを得た(収率68%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ10.36(s,1H),7.94(dd,J=8.0Hz,1H),7.31(dd,J=1.5Hz,11.4Hz,1H),7.39(d,J=8.0Hz,1H).
19F−NMR(CDCl,376MHz)δ−177.2(ddd,J=3.8Hz,33.5Hz,108.4Hz,1F),−120.6(d,J=3.8Hz,1F),−108.1(dd,J=55.3Hz,108.4Hz,1F),−93.5(dd,J=33.5Hz,55.3Hz,1F).
実施例−23
【0090】
【化21】

【0091】
反応容器にジクロロ[1,1‘−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム7.3mg(0.01mmol)、3−エチル−4−ホルミルフェニルボロン酸178mg(1.0mmol)及び炭酸ナトリウム212mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL、水0.3mL(16.7mmol)を加えた。この混合物を、−196℃に冷却しクロロトリフルオロエチレン466mg(4.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて密閉し、100℃に加熱し2時間攪拌した。反応後、混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2−エチル−4−(トリフルオロビニル)ベンズアルデヒド146mgを得た(収率68%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ10.29(s,1H),7.88(d,J=8.2Hz,1H),7.47(d,J=8.2Hz,1H),7.41(s,1H),3.10(q,J=7.6Hz,2H),1.29(t,J=7.6Hz,3H).
19F−NMR(CDCl,376MHz)δ−177.5(dd,J=33.2Hz,108.2Hz,1F),−110.3(dd,J=60.6Hz,108.2Hz,1F),−95.7(dd,J=33.2Hz,60.6Hz,1F).
実施例−24
【0092】
【化22】

【0093】
反応容器にジクロロ[1,1‘−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム7.3mg(0.01mmol)、2−ナフチルボロン酸172mg(1.0mmol)、及び炭酸ナトリウム212mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL、水0.1mL(5.6mmol)を加えた。この混合物を、−196℃に冷却しクロロトリフルオロエチレン466mg(4.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて密閉し、100℃に加熱し2時間攪拌した。反応後、混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2−(1,2,2−トリフルオロエテニル)ナフタレンの無色液体177mgを得た(収率85%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ7.50−7.57(m,3H),7.81−7.88(m,3H),7.95(d,J=1.2Hz,1H),19F−NMR(CDCl,376MHz)δ−176.2(dd,J=32.0Hz,108.5Hz,1F),−114.3(dd,J=70.5Hz,108.5Hz,1F),−99.1(dd,J=32.0Hz,70.5Hz,1F).
実施例−25
【0094】
【化23】

【0095】
反応容器にジクロロ[1,1‘−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム7.3mg(0.01mmol)、1−ナフチルボロン酸172mg(1.0mmol)、及び炭酸ナトリウム212mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン2mL、水0.3mL(16.7mmol)を加えた。この混合物を、−196℃に冷却しクロロトリフルオロエチレン466mg(4.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて密閉し、100℃に加熱し2時間攪拌した。反応後、混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、1−(1,2,2−トリフルオロエテニル)ナフタレンの無色液体148mgを得た(収率71%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ7.47−7.60(m,4H),7.88−8.02(m,4H),19F−NMR(CDCl,376MHz)δ−159.9(dd,J=29.2Hz,117.5Hz,1F),−117.1(dd,J=73.9Hz,117.5Hz,1F),−101.5(dd,J=29.2Hz,73.9Hz,1F).
実施例−26
【0096】
【化24】

【0097】
反応容器にジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム21.9mg(0.03mmol)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ビフェニル280mg(1.0mmol)、及び炭酸ナトリウム212mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン1mL、水0.1mL(5.6mmol)を加えた。この混合物を、−196℃に冷却しクロロトリフルオロエチレン466mg(4.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて密閉し、100℃に加熱し2時間攪拌した。反応後、ガスクロマトグラフィーにより、4−(1,2,2−トリフルオロエテニル)ビフェニルの生成を確認した(GC収率74%)。
実施例−27
【0098】
【化25】

【0099】
反応容器にジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム21.9mg(0.03mmol)、4−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)ビフェニル266mg(1.0mmol)、及び炭酸ナトリウム212mg(2.0mmol)を加え、アルゴン置換した後、1,4−ジオキサン1mL、水0.1mL(5.6mmol)を加えた。この混合物を、−196℃に冷却しクロロトリフルオロエチレン466mg(4.0mmol)を加え、アルゴン気流下にて密閉し、100℃に加熱し2時間攪拌した。反応後、ガスクロマトグラフィーにより、4−(1,2,2−トリフルオロエテニル)ビフェニルの生成を確認した(GC収率78%)。反応後、混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、4−(1,2,2−トリフルオロエテニル)ビフェニルの白色固体147mgを得た(収率63%)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

(式中、Yは、ジヒドロキシボリル基、メチル基で置換されていてもよい−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル基またはメチル基で置換されていてもよい1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル基を示す。Rは、水素原子またはホルミル基を示す。RおよびRは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数2〜5のアシル基、(炭素数1〜4のアルコキシ)カルボニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、トリ(炭素数1〜4のアルキル)シリル基、炭素数2〜5のアシルアミノ基、シアノ基、フェニル基、塩素原子、フッ素原子またはニトロ基を示す。隣接するRおよびRは結合する炭素原子と一体となって環を形成しても良い。)で表されるフェニルホウ素化合物と一般式(2)
【化2】

(式中、Xは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。)で表されるトリフルオロハロエチレン類とを、フェニルホウ素化合物(1)に対して1〜100当量の水、二座ホスフィン配位子が配位したパラジウム錯体及びアルカリ金属塩の共存下で反応させることを特徴とする、一般式(3)
【化3】

(式中、R、RおよびRは、前記と同じ内容を示す。)で表される(トリフルオロビニル)ベンゼン類の製造方法。
【請求項2】
Xが、塩素原子である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
二座ホスフィン配位子が、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンまたは1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンである請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
二座ホスフィン配位子が配位したパラジウム錯体が、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム又はジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウムである請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項5】
二座ホスフィン配位子が配位したパラジウム錯体が、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン又は1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンと、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムとから合成したパラジウム錯体である請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項6】
アルカリ金属塩が、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、フッ化カリウムまたはフッ化セシウムである請求項1から5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
フェニルホウ素化合物(1)に対して2〜50当量の水の共存下で反応を実施する請求項1から6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
一般式(3a)
【化4】

(式中、R1aは、ホルミル基を示す。R2aおよびR3aは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはフッ素原子を示す。)で表される(トリフルオロビニル)ベンゼン類。

【公開番号】特開2012−102073(P2012−102073A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202530(P2011−202530)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000173762)公益財団法人相模中央化学研究所 (151)
【出願人】(591180358)東ソ−・エフテック株式会社 (91)
【Fターム(参考)】