説明

(パーフルオロアルキル)フルオロリン酸水素アニオンを有する化合物

本発明は、(パーフルオロアルキル)フルオロリン酸水素アニオンを含む化合物の製造方法、ならびに(パーフルオロアルキル)フルオロリン酸水素アニオンを有する化合物およびその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(パーフルオロアルキル)フルオロリン酸水素((perfluoroalkyl)fluorohydrogenphosphate)アニオンを有する化合物の製造方法、ならびに(パーフルオロアルキル)フルオロリン酸水素アニオンを有する化合物およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
パーフルオロアルキルフルオロリン酸アニオン(FAPアニオン)を有するオニウム塩は、イオン性液体および導電性塩として使用される[EP 0929558 B1、WO 02/085919 A1、EP 1162204 A1]。
イオン性液体は、一般的に有機カチオンおよび無機アニオンからなる塩を意味するものと解釈される。それらは中性分子を含まず、通常373Kより低い融点を有する[Wasserscheid P, Keim W, 2000, Angew. Chem. 112: 3926]。
【0003】
有機カチオンおよびパーフルオロアルキルフルオロリン酸アニオン(FAPアニオン)を有するオニウム塩は、通常、水溶性オニウム塩の、例えば塩化物、臭化物、テトラフルオロホウ酸またはトリフラートアニオンおよびパーフルオロアルキルフルオロリン酸(HFAP)またはそのアルカリ金属塩との、水中での交換反応によって製造される[N. V. Ignatyev, U. Welz-Biermann, A. Kucheryna, G. Bissky, H. Willner, 2005, J. Fluorine Chem. 126: 1150-1159]。HFAP[WO 03/002579]およびその金属塩を、トリス(パーフルオロアルキル)ジフルオロホスホランから製造することができ、それを、トリアルキルホスフィンの電気化学的フッ素化(シモンズ法)によって得ることができる[N. V. Ignatyev, P. Sartori, 2000, J. Fluorine Chem. 103: 57-61;WO 00/21969]。FAPアニオンを有する有機塩は通常、限定された水溶性を有し、水溶液中に残留する副産物から容易に分離することができる。
【0004】
FAPアニオンを有するイオン性液体は、高い電気化学的および熱安定性ならびに低い粘性を有する。これらのイオン性液体の適用の領域は、有機化学(溶媒、抽出媒体など)および材料科学(熱交換媒体、潤滑剤、導電性塩など)において見出される。FAPアニオンを有するイオン性液体は、例えばPFアニオンを有するイオン性液体よりもはるかに良好な加水分解安定性を有する不活性物質である。しかし、いくつかの場合において、それぞれのプロセスの後に再び容易に分解することができる媒体が所望される。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明の目的は、第1に(パーフルオロアルキル)フルオロリン酸水素アニオンを含む化合物を製造する新規な方法を提供することにあった。本発明の他の目的は、(パーフルオロアルキル)フルオロリン酸水素アニオンを含む新規な化合物を提供することにあった。
【0006】
WO 03/087113には、(パーフルオロアルキル)フルオロホスホランの還元を促進する方法が開示されている。驚くべきことに、(パーフルオロアルキル)フルオロホスホランの水素化物イオン供与体との反応の間、水素化物イオンの基質への付加を促進し、(パーフルオロアルキル)フルオロリン酸水素アニオンを得る方法が、ここで見出された。
【0007】
したがって、本発明は、第1に式(1)
[Kt]x+[(C2n+1PF5−zH] (1)
式中、[Kt]x+は、無機または有機カチオンである、
で表される化合物の製造方法であって、
1つのステップにおいて、式(2)
(C2n+1PF5−z (2)
で表される化合物を、水素化物イオン供与体と反応させ、
【0008】
またここで、[Kt]x+が有機カチオンである場合には、第1のステップからの生成物を、式(3)
[Kt]x+[X] (3)、
式中、[Kt]x+は有機カチオンを表し、[X]は親水性アニオンを表し、
ここでn=1〜8、x=1〜4およびz=1〜4である、
で表される化合物と反応させる第2のステップを任意に行うことができる、前記方法に関する。
【0009】
文献において、Kカチオンおよび[MeNHカチオンを有するビス(トリフルオロメチル)ジフルオロリン酸水素([(CFPFH])およびトリフルオロメチルトリフルオロリン酸水素([CFPFH])塩が、記載されている[J.F. Nixon, J.R. Swain, 1968, Chem. Comm.: 997-998;J.F. Nixon, J.R. Swain, 1970, J. Chem. Soc. A: Inorg. Phys. Theor.: 2075-2080;R.G. Cavell, J.F. Nixon, 1964, Proc. Chem. Soc.: 229]。K[(CFPFH]およびK[CFPFH]塩は、ビス(トリフルオロメチル)フルオロホスフィン((CFPF)またはトリフルオロメチルジフルオロホスフィン(CFPF)のフッ化水素カリウムとの、密封した試験管中での60〜100℃における反応、またはアセトニトリル溶液中での室温での反応において、in situで製造される。[MeNHカチオンを有する対応する塩は、CFPFまたは(CFPFのMeNHとの反応によって得られる。
【0010】
これらの塩は、単に反応混合物における19F−NMRおよびH−NMR分光計測の補助によって調べられたに過ぎない。[(CFPFH]および[CFPFH]塩のJ.F. NixonおよびJ.R. Swainの方法による合成のために、室温でガス状態にあり、高度に空気に感受性である2種の出発原料、すなわちビス(トリフルオロメチル)フルオロホスフィン(CFPFおよびトリフルオロメチルジフルオロホスフィンCFPFが、必要である。これらを、複合多段階の合成方法において製造することができる。
【0011】
本発明において、水素化物イオン供与体は、1個または2個以上の水素化物イオン(H)を放出することができる化合物である。本発明の方法において、水素化物イオン供与体は、好ましくは金属水素化物、ホウ化水素、ヒドリドボレート(hydridoborate)およびヒドリドアルミネート(hydridoaluminate)を含み、第三および第二アミンをも含む群から選択される。
【0012】
特に好ましい態様において、金属水素化物を使用する;これらは、極めて特に好ましくはLiAlHである。
【0013】
他の特に好ましい態様において、式(11):
14N−CH15 (11)
で表される第三または第二アミンを使用し、
式中、
各出現におけるR14およびR15は、互いに独立して、
・H(ここで最大1つの置換基R14は、Hであり得る)
・1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
・2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
・2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
・3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基によって置換されてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル
を示し、
【0014】
ここで、R15はまたClまたはFであり得、
ここで、R15は、フッ素によって完全に置換されてもよく、および/または1つもしくは2つ以上のR14および/またはR15は、ハロゲンによって部分的に置換されているか、または−OR1*、−NR1*、−CN、−C(O)NR1*もしくは−SONR1*によって部分的に置換されてもよく、
またここで、ラジカルR14および/またはR15のα位にない1個または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−N1*−、−C(O)NR1*−、−SONR1*−または−P(O)R1*−の群から選択された原子および/または原子団によって置き換えられていてもよく;
ここで、R1*は、フッ素化されていないかまたは部分的にフッ素化されたC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、非置換または置換フェニルを表す。
【0015】
本発明の方法の後に使用する水素化物イオン供与体を、各場合において使用する(パーフルオロアルキル)フルオロホスホランの量を基準として過剰で、または等モル量で使用することができる。水素化物イオン供与体を、好ましくは等モル量で使用する。
【0016】
式(2)で表される(パーフルオロアルキル)フルオロホスホランを、当業者に知られている従来の方法によって製造することができる。これらの化合物を、好ましくは好適な出発化合物の電気化学的フッ素化によって製造する[V.Y. Semenii et al.,1985, Zh. Obshch. Khim. 55 (12): 2716-2720;N. V. Ignatyev, P. Sartori, 2000, J. Fluorine Chem. 103: 57-61;WO 00/21969]。
【0017】
式(2)で表される化合物において、zは、好ましくは2または3を表す;これは、式(2)が好ましくは(C2n+1PFおよび(C2n+1PFを含む群から選択されることを意味する。zは、特に好ましくは=3である。
式(2)で表される化合物において、nは同様に、好ましくは2、3または4、特に好ましくは2または4を表す。nは、極めて特に好ましくは2を表し、これは、式(2)で表される化合物が極めて特に好ましくは(CPF5−zであることを意味する。
【0018】
式(2)で表される化合物は、したがって極めて特に好ましくは(CPFである。
本発明の方法の式(1)におけるカチオン[Kt]x+は、無機カチオンまたは有機カチオンのいずれかであり得る。
無機カチオンが存在する場合には、これは、好ましくは金属カチオンである。金属カチオンは、特に好ましくはアルカリ金属カチオン、好ましくはリチウム、ナトリウムまたはカリウムカチオンである。
【0019】
式(1)における[Kt]x+が有機カチオンである場合には、これは、好ましくは、正確に式(3)における[Kt]x+と同様に、以下に定義するように、アンモニウム、ホスホニウム、ウロニウム、チオウロニウム、スルホニウム、オキソニウム、グアニジニウムのカチオン、複素環式カチオンおよびイミニウムカチオンを含む群から選択される:
【0020】
アンモニウムカチオンは、一般式(4)
[NR (4)
によって示され、
式中、
Rは、各場合において互いに独立して、
・H、
・1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
・2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
・2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
・3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基によって置換されてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル
を示し、
【0021】
ここで、1つのRは、フッ素によって完全に置換されてもよく、および/または1つまたは2つ以上のRは、ハロゲン、特に−Fおよび/またはClによって部分的に置換されているか、または−OR、−NR1*、−CN、−C(O)NRもしくは−SONRによって部分的に置換されてもよく、
またここで、ラジカルRのα位にない1個または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−N−、−C(O)NR−、−SONR−または−P(O)R−の群から選択された原子および/または原子団によって置き換えられていてもよい。
【0022】
ホスホニウムカチオンは、一般式(5)
[PR (5)
によって示され、
式中、
は、各場合において互いに独立して、
・H(ここで、すべての置換基Rは、同時にはH、NRにならない)、
・1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
・2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
・2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
・3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基によって置換されてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル
を示し、
【0023】
ここで、1つのRは、フッ素によって完全に置換されてもよく、および/または1つまたは2つ以上のRは、ハロゲン、特に−Fおよび/または−Clによって部分的に置換されているか、または−OR、−CN、−C(O)NRもしくは−SONRによって部分的に置換されてもよく、
またここで、−Rのα位にない1個または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−N−、−C(O)NR−、−SONR−または−P(O)R−の群から選択された原子および/または原子団によって置き換えられていてもよい。
【0024】
したがって、すべての4つまたは3つの置換基RおよびRがハロゲンによって完全に置換されている、式(4)および(5)で表されるカチオン、例えばトリス(トリフルオロメチル)メチルアンモニウムカチオン、テトラ(トリフルオロメチル)アンモニウムカチオンまたはテトラ(ノナフルオロブチル)アンモニウムカチオンは、除外される。
【0025】
ウロニウムカチオンは、一般式(6)
[C(NR)(OR)(NR)] (6)
によって示され、
好適なチオウロニウムカチオンは、式(7)
[C(NR)(SR)(NR)] (7)
によって示され、
式中
〜Rは、各々、互いに独立して、
・H、NR1*
・1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
・2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
・2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
・3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基によって置換されてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル
を示し、
【0026】
ここで、置換基R〜Rの1つまたは2つ以上は、ハロゲン、特に−Fによって、または−OH、−OR、−CN、−C(O)NRもしくは−SONRによって部分的に置換されてもよく、
またここで、R〜Rのα位にない1個または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−N−、−C(O)NR−、−SONR−または−P(O)R−の群から選択された原子および/または原子団によって置き換えられていてもよい。
【0027】
スルホニウムカチオンは、一般式(12)
[(RS] (12)
によって示され、
式中、
は、
・NR’’’
・1〜8個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
・3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基によって置換されてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル
を表し、
ここで、置換基Rの1つまたは2つ以上は、ハロゲン、特に−Fによって、または−OR’’’、−CNもしくは−N(R’’’)によって部分的に置換されてもよい。
【0028】
オキソニウムカチオンは、一般式(13)
[(R0*O] (13)
によって示され、
式中、
0*は、
・1〜8個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
・3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基によって置換されてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル
を表し、
ここで、置換基R0*の1つまたは2つ以上は、ハロゲン、特に−Fによって、または−OR’’’、−CNもしくは−N(R’’’)によって部分的に置換されてもよく、ここでR’’’は、互いに独立して直鎖状または分枝状C〜Cアルキルを表す。
【0029】
およびR0*は、ここで好ましくは1〜8個のC原子を有する直鎖状アルキル、非置換フェニル、またはC〜Cアルキル、OR’’’、N(R’’’)、CNもしくはFによって置換されているフェニルを表す。
R’’’は、好ましくは1〜8個のC原子を有する直鎖状アルキル、特にメチルまたはエチルを表す。
【0030】
グアニジニウムカチオンは、一般式(8)
[C(NR)(NR1011)(NR1213)] (8)
によって示され、
式中、
〜R13は、各々、互いに独立して、
・H、NR1*
・1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
・2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
・2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
・3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基によって置換されてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル
を示し、
【0031】
ここで、置換基R〜R13の1つまたは2つ以上は、ハロゲン、特に−Fによって、または−OR、−CN、−C(O)NRもしくは−SONRによって部分的に置換されてもよく、
またここで、R〜R13のα位にない1個または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−N−、−C(O)NR−、−SONR−または−P(O)R−の群から選択された原子および/または原子団によって置き換えられていてもよい。
【0032】
複素環式カチオンは、一般式(9)
[HetN] (9)
によって示され、
式中、[HetN]は、以下のもの
【化1】

【化2】

を含む群から選択された複素環式カチオンであり、
【0033】
ここで、置換基R1’〜R4’は、各々、互いに独立して、
・H、
・1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
・2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
・2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
・3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基によって置換されてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル、
・飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のヘテロアリール、ヘテロアリール−C〜Cアルキルまたはアリール−C〜Cアルキル
を示し、
【0034】
ここで、置換基R1’、R2’、R3’および/またはR4’は、共に環系を形成してもよく、
ここで、1つまたは2つ以上の置換基R1’〜R4’は、ハロゲン、特に−Fおよび/または−Clによって部分的に、もしくは完全に置換されているか、または−OR、−CN、−C(O)NRもしくは−SONRによって部分的に置換されてもよいが、ここでR1’およびR4’は、同時にはハロゲンによって完全に置換され得ず、またここで、置換基R1’〜R4’のヘテロ原子に結合していない1個または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−N−、−C(O)NR−、−SONR−または−P(O)R−の群から選択された原子および/または原子団によって置き換えられていてもよい。
【0035】
イミニウムカチオンは、一般式(10)
[R14N=CHR15 (10)
によって示され、
式中、
各出現におけるR14およびR15は、互いに独立して、
・H(ここで最大1つの置換基R14は、Hであり得る)、
・1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
・2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
・2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
・3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基によって置換されてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル
を示し、
【0036】
ここでR15はまた、ClまたはFを表してもよく、
ここでR15は、フッ素によって完全に置換されてもよく、および/または1つまたは2つ以上のR14および/またはR15は、ハロゲンによって部分的に置換されているか、または−OR1*、−NR1*、−CN、−C(O)NR1*もしくは−SONR1*によって部分的に置換されてもよく、
またここで、ラジカルR14および/またはR15のα位にない1個または2個の隣接していない炭素原子は、−O、−S−、−S(O)−、−SO−、−N1*−、−C(O)NR1*−、−SONR1*−または−P(O)R1*−の群から選択された原子および/または原子団によって置き換えられていてもよく;
【0037】
前述の定義すべてにおけるRは、H、フッ素化されていないかまたは部分的にフッ素化されたC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、非置換または置換フェニルを表し、R1*は、フッ素化されていないかまたは部分的にフッ素化されたC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、非置換または置換フェニルを表す。
【0038】
本発明の意味における、完全に不飽和のシクロアルキル置換基はまた、芳香族置換基を意味するものと解釈される。
【0039】
本発明において、式(4)〜(8)で表される化合物の好適な置換基RおよびR〜R13は、H以外には、好ましくは以下のものである:C〜C20、特にC〜C14アルキル基、および飽和の、または不飽和の、すなわちまたフェニル、C〜Cシクロアルキル基、それは、C〜Cアルキル、特にフェニルによって置換されてもよい。
【0040】
式(4)または(5)で表される化合物における置換基RおよびRは、同一であっても異なっていてもよい。式(4)で表される化合物において、3つまたは4つの置換基Rは、好ましくは同一である。式(5)で表される化合物において、置換基Rは、好ましくは異なっている。
【0041】
置換基RおよびRは、特に好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシルまたはテトラデシルである。
グアニジニウムカチオン[C(NR)(NR1011)(NR1213)]の4つまでの置換基はまた、単環式、二環式または多環式分子が形成するようにして対に結合していてもよい。
【0042】
一般性を限定せずに、かかるグアニジニウムカチオンの例は、以下のものであり:
【化3】

式中、置換基R〜R10およびR13は、前述のまたは特に好ましい意味を有し得る。
【0043】
前述のグアニジニウムカチオンの炭素環または複素環は、任意にまたC〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、CN、NR、F、Cl、Br、I、C〜Cアルコキシ、SCF、SOCFまたはSONRによって置換されてもよく、ここでRは、前述の意味、置換もしくは非置換フェニルまたは非置換もしくは置換複素環を有する。
【0044】
チオウロニウムカチオン[C(NR)(SR)(NR)]の4つまでの置換基はまた、単環式、二環式または多環式分子が形成するようにして対に結合していてもよい。
【0045】
一般性を限定せずに、かかるチオウロニウムカチオンの例を、以下に示し:
【化4】

式中、Y=Sであり、
またここで、置換基R、RおよびRは、前述のまたは特に好ましい意味を有し得る。
【0046】
前述の分子の炭素環または複素環は、任意にまたC〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、CN、NR、F、Cl、Br、I、C〜Cアルコキシ、SCF、SOCFもしくはSONR、または置換もしくは非置換フェニルまたは非置換もしくは置換複素環によって置換されてもよく、ここでRは、前述の意味を有する。
【0047】
置換基R〜R13は、各々、互いに独立して、好ましくは1〜10個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル基である。式(7)および(8)で表される化合物中の置換基RおよびR、RおよびR、RおよびR、R10およびR11ならびにR12およびR13は、同一であっても異なっていてもよい。R〜R13は、特に好ましくは、各々、互いに独立してメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、フェニルまたはシクロヘキシル、極めて特に好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルまたはn−ブチルである。
【0048】
本発明において、式(9)で表される化合物の好適な置換基R1’〜R4’は、H以外には、好ましくは以下のもの:C〜C20、特にC〜C12アルキル基、および飽和の、または不飽和の、すなわち芳香族でもある、C〜Cシクロアルキル基であり、それはC〜Cアルキル基、特にフェニルによって置換されてもよい。
【0049】
置換基R1’およびR4’は、各々、互いに独立して、特に好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、シクロヘキシル、フェニルまたはベンジルである。それらは、極めて特に好ましくはメチル、エチル、n−ブチルまたはヘキシルである。ピロリジン、ピペリジン、インドリン、ピロリジニウム、ピペリジニウムまたはインドリニウム化合物において、2つの置換基R1’およびR4’は、好ましくは異なっている。
【0050】
置換基R2’またはR3’は、各場合において互いに独立して、特にH、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロヘキシル、フェニルまたはベンジルである。R2’は、特に好ましくはH、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチルまたはsec−ブチルである。R2’およびR3’は、極めて特に好ましくはHである。
【0051】
〜C12アルキル基は、例えばメチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル、さらにまたペンチル、1−、2−または3−メチルブチル、1,1−、1,2−または2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルまたはドデシルである。任意にジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピルまたはノナフルオロブチルである。
【0052】
本発明において、式(10)および(11)で表される化合物の好適な置換基R14およびR15は、H以外には、好ましくは以下のもの:C〜C20、特に好ましくはC〜C14アルキル基および極めて特に好ましくはC〜Cアルキル基であり、それは、各場合において非分枝状または分枝状であり得、またここで1つまたは2つ以上のラジカルR14は、−NR1*によって置換されてもよい。
【0053】
ここでの置換基−R14および−CH−R15は、同一であっても異なっていてもよい。好ましい態様において、すべての3つの置換基−R14および−CH−R15は、同一である。他の好ましい態様において、置換基−R14および−CH−R15の2つは、同一である。
【0054】
置換基R14は、特に好ましくはH、メチル、エチル、イソプロピルまたはジメチルアミノメチルである。
置換基R15は、特に好ましくはHまたはメチルである。
式(11)で表される化合物は、好ましくは式N(CH、N(C、HN(C、(CHN−CH−N(CHまたはCHN((CH(CHで表される化合物から選択される。
【0055】
2〜20個のC原子を有し、ここでさらに複数の二重結合が存在し得る直鎖状または分枝状アルケニルは、例えばアリル、2−または3−ブテニル、イソブテニル、sec−ブテニル、さらに4−ペンテニル、イソペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、−C17、−C1019〜−C2039;好ましくはアリル、2−または3−ブテニル、イソブテニル、sec−ブテニルであり、好ましいのは、さらに4−ペンテニル、イソペンテニルまたはヘキセニルである。
【0056】
2〜20個のC原子を有し、ここでさらに複数の三重結合が存在し得る直鎖状または分枝状アルキニルは、例えばエチニル、1−または2−プロピニル、2−または3−ブチニル、さらに4−ペンチニル、3−ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、−C15、−C1017〜−C2037、好ましくはエチニル、1−もしくは2−プロピニル、2−もしくは3−ブチニル、4−ペンチニル、3−ペンチニルまたはヘキシニルである。
【0057】
アリール−C〜Cアルキルは、例えばベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、フェニルペンチルまたはフェニルヘキシルを示し、ここでフェニル環およびまたアルキレン鎖の両方は、上記に記載したようにハロゲン、特に−Fおよび/または−Clによって部分的にもしくは完全に置換されているか、または−OR、−NR、−CN、−C(O)NR、−SONRによって部分的に置換されてもよい。
【0058】
したがって、3〜7個のC原子を有する非置換の飽和の、または部分的にもしくは完全に不飽和のシクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、フェニル、シクロヘプテニルであり、その各々は、C〜Cアルキル基によって置換されてもよく、ここでシクロアルキル基またはC〜Cアルキル基によって置換されたシクロアルキル基は、次にまたハロゲン原子、例えばF、Cl、BrもしくはI、特にFもしくはClによって、または−OR、−CN、−C(O)NR、−SONRによって置換されてもよい。
【0059】
置換基R、R〜R13またはR1’〜R4’において、ヘテロ原子に対してα位において結合していない1個または2個の隣接していない炭素原子はまた、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−N−、−C(O)NR−、−SONR−または−P(O)R−の群から選択された原子および/または原子団によって置き換えられていてもよく、ここでR=フッ素化されていない、部分的にフッ素化されたまたは全フッ素置換されたC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、非置換または置換フェニルである。
【0060】
一般性を限定せずに、このようにして修飾された置換基R、R〜R13およびR1’〜R4’の例は、以下のものである:
−OCH、−OCH(CH、−CHOCH、−CH−CH−O−CH、−COCH(CH、−CSC、−CSCH(CH、−S(O)CH、−SOCH、−SO、−SO、−SOCH(CH、−SOCHCF、−CHSOCH、−O−C−O−C、−CF、−C、−C、−C、−C(CF、−CFSOCF、−CN(C)C、−CHF、−CHCF、−C、−CFH、−CH、−C(CFH、−CHまたはP(O)(C
【0061】
において、C〜Cシクロアルキルは、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルである。
【0062】
において、置換フェニルは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、CN、NR、F、Cl、Br、I、C〜Cアルコキシ、SCF、SOCFまたはSONRによって置換されたフェニルを意味し、ここでRは、Rについて定義したように、フッ素化されていない、部分的にフッ素化されたまたは全フッ素置換されたC〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキル、例えばo−、m−またはp−メチルフェニル、o−、m−またはp−エチルフェニル、o−、m−またはp−プロピルフェニル、o−、m−またはp−イソプロピルフェニル、o−、m−またはp−tert−ブチルフェニル、o−、m−またはp−メトキシフェニル、o−、m−またはp−エトキシフェニル、o−、m−、p−(トリフルオロメチル)フェニル、o−、m−、p−(トリフルオロメトキシ)フェニル、o−、m−、p−(トリフルオロメチルスルホニル)フェニル、o−、m−またはp−フルオロフェニル、o−、m−またはp−クロロフェニル、o−、m−またはp−ブロモフェニル、o−、m−またはp−ヨードフェニル、さらに好ましくは2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジメチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジヒドロキシフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジクロロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジブロモフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジメトキシフェニル、5−フルオロ−2−メチルフェニル、3,4,5−トリメトキシフェニルまたは2,4,5−トリメチルフェニルを示す。
【0063】
1’〜R4’において、ヘテロアリールは、5〜13個の環員子を有する飽和の、または不飽和の単環式または二環式の複素環式ラジカルを意味するものと解釈され、ここで1、2もしくは3個のNおよび/または1もしくは2個のSもしくはO原子が存在してもよく、また複素環式ラジカルは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、CN、NR、F、Cl、Br、I、C〜Cアルコキシ、SCF、SOCFまたはSONRによって単置換または多置換されてもよく、ここでRは、上記に示した意味を有する。
【0064】
複素環式ラジカルは、好ましくは置換または非置換2−または3−フリル、2−または3−チエニル、1−、2−または3−ピロリル、1−、2−、4−または5−イミダゾリル、3−、4−または5−ピラゾリル、2−、4−または5−オキサゾリル、3−、4−または5−イソキサゾリル、2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、2−、3−または4−ピリジル、2−、4−、5−または6−ピリミジニル、
【0065】
さらに好ましくは1,2,3−トリアゾール−1−、−4−もしくは−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−4−もしくは−5−イル、1−もしくは5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−もしくは−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−もしくは−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−もしくは−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−もしくは−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−もしくは−5−イル、2−、3−、4−、5−もしくは6−2H−チオピラニル、2−、3−もしくは4−4H−チオピラニル、3−もしくは4−ピリダジニル、ピラジニル、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾフリル、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾチエニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−1H−インドリル、1−、2−、4−もしくは5−ベンズイミダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾキサゾリル、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンズイソキサゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンズイソチアゾリル、4−、5−、6−もしくは7−ベンズ−2,1,3−オキサジアゾリル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−キノリニル、1−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−イソキノリニル、1−、2−、3−、4−もしくは9−カルバゾリル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−もしくは9−アクリジニル、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−シンノリニル、2−、4−、5−、6−、7−もしくは8−キナゾリニルまたは1−、2−もしくは3−ピロリジニルである。
【0066】
ヘテロアリール−C〜Cアルキルは、アリール−C〜Cアルキルと同様に、ここで例えばピリジニルメチル、ピリジニルエチル、ピリジニルプロピル、ピリジニルブチル、ピリジニルペンチル、ピリジニルヘキシルを意味するものと解釈され、ここでさらに、上記で記載した複素環は、このようにしてアルキレン鎖に結合していてもよい。
【0067】
HetNは、好ましくは
【化5】

であり、
ここで置換基R1’〜R4’は、各々、互いに独立して上記で記載した意味を有する。
【0068】
有機カチオン[Kt]x+は、上記で定義したように、特に好ましくはイミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、アンモニウム、ホスホニウムまたはイミニウムカチオンを含む群から選択される。
【0069】
特に好適なイミダゾリウム、ピロリジニウムおよびアンモニウムカチオンは、テトラアルキルアンモニウム、1,1−ジアルキルピロリジニウム、1−アルキル−1−アルコキシアルキルピロリジニウムまたは1,3−ジアルキルイミダゾリウムの群から選択され、ここでアルコキシアルキル基中のアルキル基またはアルコキシ基は、各々、互いに独立して1〜10個のC原子を有していてもよい。極めて特に好ましくは、アルキル基は1〜6個のC原子を有し、アルコキシ基は1〜3個のC原子を有する。
【0070】
したがって、テトラアルキルアンモニウムにおけるアルキル基は、同一であっても異なっていてもよい。好ましくは、3つのアルキル基が同一であり、1つのアルキル基が異なっているか、または2つのアルキル基が同一であり、他の2つが異なっている。好ましいテトラアルキルアンモニウムカチオンは、例えばトリメチル(エチル)アンモニウム、トリエチル(メチル)アンモニウム、トリプロピル(メチル)アンモニウム、トリブチル(メチル)アンモニウム、トリペンチル(メチル)アンモニウム、トリヘキシル(メチル)アンモニウム、トリヘプチル(メチル)アンモニウム、トリオクチル(メチル)アンモニウム、トリノニル(メチル)アンモニウム、トリデシル(メチル)アンモニウム、トリヘキシル(エチル)アンモニウム、エチル(トリオクチル)アンモニウム、プロピル(ジメチル)エチルアンモニウム、ブチル(ジメチル)エチルアンモニウム、メトキシエチル(ジメチル)エチルアンモニウム、メトキシエチル(ジエチル)メチルアンモニウム、メトキシエチル(ジメチル)プロピルアンモニウム、エトキシエチル(ジメチル)エチルアンモニウムである。特に好ましい第四アンモニウムカチオンは、プロピル(ジメチル)エチルアンモニウムおよび/またはメトキシエチル(ジメチル)エチルアンモニウムである。
【0071】
好ましい1,1−ジアルキルピロリジニウムカチオンは、例えば1,1−ジメチルピロリジニウム、1−メチル−1−エチルピロリジニウム、1−メチル−1−プロピルピロリジニウム、1−メチル−1−ブチルピロリジニウム、1−メチル−1−ペンチルピロリジニウム、1−メチル−1−ヘキシルピロリジニウム、1−メチル−1−ヘプチルピロリジニウム、1−メチル−1−オクチルピロリジニウム、1−メチル−1−ノニルピロリジニウム、1−メチル−1−デシルピロリジニウム、1,1−ジエチルピロリジニウム、1−エチル−1−プロピルピロリジニウム、1−エチル−1−ブチルピロリジニウム、1−エチル−1−ペンチルピロリジニウム、1−エチル−1−ヘキシルピロリジニウム、1−エチル−1−ヘプチルピロリジニウム、1−エチル−1−オクチルピロリジニウム、1−エチル−1−ノニルピロリジニウム、1−エチル−1−デシルピロリジニウム、
【0072】
1,1−ジプロピルピロリジニウム、1−プロピル−1−メチルピロリジニウム、1−プロピル−1−ブチルピロリジニウム、1−プロピル−1−ペンチルピロリジニウム、1−プロピル−1−ヘキシルピロリジニウム、1−プロピル−1−ヘプチルピロリジニウム、1−プロピル−1−オクチルピロリジニウム、1−プロピル−1−ノニルピロリジニウム、1−プロピル−1−デシルピロリジニウム、1,1−ジブチルピロリジニウム、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム、1−ブチル−1−ペンチルピロリジニウム、1−ブチル−1−ヘキシルピロリジニウム、1−ブチル−1−ヘプチルピロリジニウム、1−ブチル−1−オクチルピロリジニウム、1−ブチル−1−ノニルピロリジニウム、1−ブチル−1−デシルピロリジニウム、1,1−ジペンチルピロリジニウム、1−ペンチル−1−ヘキシルピロリジニウム、1−ペンチル−1−ヘプチルピロリジニウム、1−ペンチル−1−オクチルピロリジニウム、1−ペンチル−1−ノニルピロリジニウム、1−ペンチル−1−デシルピロリジニウム、
【0073】
1,1−ジヘキシルピロリジニウム、1−ヘキシル−1−ヘプチルピロリジニウム、1−ヘキシル−1−オクチルピロリジニウム、1−ヘキシル−1−ノニルピロリジニウム、1−ヘキシル−1−デシルピロリジニウム、1,1−ジヘキシルピロリジニウム、1−ヘキシル−1−ヘプチルピロリジニウム、1−ヘキシル−1−オクチルピロリジニウム、1−ヘキシル−1−ノニルピロリジニウム、1−ヘキシル−1−デシルピロリジニウム、1,1−ジヘプチルピロリジニウム、1−ヘプチル−1−オクチルピロリジニウム、1−ヘプチル−1−ノニルピロリジニウム、1−ヘプチル−1−デシルピロリジニウム、1,1−ジオクチルピロリジニウム、1−オクチル−1−ノニルピロリジニウム、1−オクチル−1−デシルピロリジニウム、1,1−ジノニルピロリジニウム、1−ノニル−1−デシルピロリジニウムまたは1,1−ジデシルピロリジニウムである。
【0074】
極めて特に好ましいものは、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムまたは1−プロピル−1−メチルピロリジニウムである。
【0075】
好ましい1−アルキル−1−アルコキシアルキルピロリジニウムカチオンは、例えば1−メトキシエチル−1−メチルピロリジニウム、1−メトキシエチル−1−エチルピロリジニウム、1−メトキシエチル−1−プロピルピロリジニウム、1−メトキシエチル−1−ブチルピロリジニウム、1−エトキシエチル−1−メチルピロリジニウム、1−エトキシメチル−1−メチルピロリジニウムである。極めて特に好ましいも
のは、1−メトキシエチル−1−メチルピロリジニウムである。
【0076】
好ましい1,3−ジアルキルイミダゾリウムカチオンは、例えば1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウム、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウム、1−エチル−3−ペンチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−プロピルイミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1,3−ジプロピルイミダゾリウム、1,3−ジブチルイミダゾリウム、1,3−ジペンチルイミダゾリウム、1,3−ジヘキシルイミダゾリウム、1,3−ジヘプチルイミダゾリウム、1,3−ジオクチルイミダゾリウム、1,3−ジノニルイミダゾリウム、1,3−ジデシルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘプチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウム、1−メチル−3−ノニルイミダゾリウム、1−デシル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−3−ヘキシルイミダゾリウム、1−エチル−3−ヘプチルイミダゾリウム、1−エチル−3−オクチルイミダゾリウム、1−エチル−3−ノニルイミダゾリウムまたは1−デシル−3−エチルイミダゾリウムである。特に好ましいカチオンは、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムまたは1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムである。
【0077】
有機カチオン[Kt]x+は、極めて特に好ましくは1−エチル−3−メチルイミダゾリウムおよび1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムを含む群から選択されたカチオンである。
本発明の方法の式(3)において、[X]は、親水性アニオンを表す。これは、好ましくはCl、Br、I、硫酸、スルホン酸、酢酸およびBFを含む群から選択されたアニオンである。
【0078】
本発明の他の極めて特に好ましい態様は、上記で定義した式(1)で表され、式中[Kt]x+がイミニウムカチオンである化合物の製造方法であって、上記で定義した式(2)で表される化合物を、上記で定義した式(11)で表される第三または第二アミンと反応させる、前記方法である。この態様は、有機イミニウムカチオンを含む式(1)で表される化合物を、第2のステップにおけるその後のメタセシス反応を必要とせずに1つのステップにおいて直接製造することができるという利点を有する。以下の反応スキームは、この反応を例によって例示する:
【化6】

ここで生成したイミニウム塩は、極めて反応性の化合物である。
【0079】
例えば、これらの化合物は、Vilsmeier-Haack反応、Ugi反応、Houben-Hoesch反応、Duff反応およびStephenアルデヒド合成における中間体である。イミニウム塩は、さらに、β−オキソカルボン酸エステルおよびβ−ジケトンの合成のための[Organikum [Practical Organic Chemistry], WILEY-VCH, 2001, p. 617]、またはCope転位および分子内Mannich反応によるピロリジニウム誘導体の合成のための[L.E. Overmann, Acc. Chem. Res., 25 (1992), p.352-359]有用な出発化合物である。イミニウム塩は、アルコール(アルコラート)、アミン、グリニヤール試薬、アルキルおよびアリールリチウム化合物、活性メチル(CH)基を含む化合物、ジアゾアルカン(例えばCH)または1,3−ジエンと反応する。
【0080】
イミニウム塩は、しばしばアミノ化合物、第四アンモニウム塩、アルデヒド、ケトン、複素環式化合物またはステロイドの合成において使用される[Chemical Encyclopaedia (Russ.) Vol 2, p.418-419, Moscow, 1990]。
【0081】
より最近の刊行物[T. Yamaguchi, et al., Chem and Ind., 1972, p.380;J.of the Am. Chem. Soc., 126 (2004), p. 5968;J. of the Am. Chem. Soc., 128 (2006), p. 5648;J. of the Am. Chem. Soc.,129 (2007), p. 780;J. of the Am. Chem. Soc., 130 (2008), p. 11005;Tetrahedron, 62 (2006), p. 6312;Org. Letters, 6 (2006), p. 4093;Org. Letters, 10 (2008), p. 1417;Acc. Chem. Res., 42 (2009), p.335;Angew. Chem. Int. Ed., 49 (2010), p. 3037]には、イミニウム塩の広範囲の適用が示されている。したがって、これらの塩の第三または第二アミンからの直接的な合成によって、非常に多くの化合物の製造の改善および単純化がさらに可能になる。
【0082】
したがって、例えば、本発明の方法において得られる式(1)で表されるイミニウム塩であって、式中[Kt]x+がイミニウムカチオンであるイミニウム塩から出発して、分子間転位が起こり得る。あるいはまた、イミニウム塩はまた、求核試薬とさらに自発的に反応することができ、それを、以下の反応スキームにおいて例によって示す:
【化7】

【0083】
本発明において、本発明の方法の第1のステップにおける反応を、−80〜50℃で行うことができる。第1のステップにおける反応を、好ましくは−20〜25℃で行う。0℃の温度が特に好ましい。
【0084】
反応に適する温度の選択は、ここでは、WO 03/087113において開示した反応とは対照的に、基質の還元が発生せず、代わりに水素化物イオンの付加が起こるために、特に重要である。
本発明の方法の第2のステップにおける反応を、好ましくは室温で行う。
【0085】
本発明の方法の第1のステップにおける反応を、好ましくは、非プロトン性溶媒、例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、ジクロロメタンまたはジクロロエタン中で行う。環状または直鎖状エーテル、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテルまたはメチルtert−ブチルエーテルを、特に好ましくは使用する。溶媒は、極めて特に好ましくはテトラヒドロフランである。
【0086】
本発明の方法の第2のステップにおける反応を、好ましくは水または水と有機溶媒との混合物中で行う。
【0087】
本発明の方法の補助により、(パーフルオロアルキル)フルオロリン酸水素アニオンを有する様々な塩を、単純であり容易に可能な方式において製造することができる。以下の反応スキームは、(パーフルオロアルキル)フルオロホスホランの、例えば水素化物イオン供与体としてのLiAlHとの反応に関しての本発明の方法の第1のステップを例示する:
【化8】

【0088】
このようにして得られたリチウム塩、すなわち(パーフルオロアルキル)フルオロリン酸水素リチウム(Li[(C2n+1PF5−zH])は、導電性塩としての(例えばLiイオン電池における、または超コンデンサ(supercapacitor)における)使用における関心の対象であるのみならず、また有機カチオンを有する様々な塩(イオン性液体)の合成のための出発物質として使用することができる。この反応は、本発明の方法の第2のステップを表し、以下に例によって例示する:
【化9】

【0089】
したがって、本発明は同様に、[Kt]が無機カチオンである式(1)で表される化合物の、[Kt]が有機カチオンである式(1)で表される化合物の製造のための使用に関する。
例えば、イオン性液体を、このようにして製造することができる。
【0090】
本発明の方法の補助によって製造された、[Kt]が有機カチオンである式(1)で表される化合物は、非常に多くの用途を有する:
【0091】
したがって、溶媒または溶媒添加剤としてのそれらの純度、欠如した蒸気圧および高い安定性のために、それらは化学反応において好適である。溶媒添加剤としての使用を、他の溶媒との組み合わせにおいて行う。さらに、本発明のイオン性液体を、相間移動触媒、熱交換媒体として、界面活性物質、可塑剤、防炎剤として、または導電性塩として使用することができる。さらに、本発明のイオン性液体は、物質分離プロセスにおける抽出剤として好適である。
【0092】
それらの電気化学的特性のために、本発明のイオン性液体を、特に電気化学的用途において、例えば電池、センサー、アキュムレータ、コンデンサ(capacitor)中の電解質として、または太陽電池の構成要素(溶媒および/または電解質)、好ましくは色素太陽電池またはセンサーとして使用することができる。
【0093】
本発明の方法の補助によって製造されたイオン性液体は、既知のイオン性液体と比較して改変した特性、例えば改変した安定性を有する。
【0094】
これらの疎水性イオン性液体を、ビス(パーフルオロアルキル)ホスフィネート((C2n+1P(O)O)またはパーフルオロアルキルホスホネートアニオン((C2n+1)P(O)O−2)を有する親水性イオン性液体に、水または腐食性の苛性アルカリ溶液を使用して、(任意に加熱によって)変換することができる:
【化10】

【0095】
本発明の化合物のこれらの並外れた特性のために、特定の特性を有する様々な化合物を、例えば抽出方法における使用のために、要求に応じて製造することができる。疎水性イオン性液体の親水性イオン性液体へのin situ変換によって、(パーフルオロアルキル)フルオロリン酸水素アニオンを有する疎水性イオン性液体における合成に続く水不溶性生成物の単純な単離方法の開発が可能になる。
【0096】
(パーフルオロアルキル)フルオロリン酸水素アニオンを有するイオン性液体の他のイオン性液体とのさらなる差異は、それらの低減された安定性である。これを、(パーフルオロアルキル)フルオロリン酸水素アニオンの対称性が、FAPアニオンと比較して増大するという事実に帰することができる。
加水分解に際して、ビス(パーフルオロアルキル)ホスフィネートまたはパーフルオロアルキルホスホネートは、スキーム3の参照とともに既に示したように生成する。継続した加水分解に際して、ホスホネートは、以下に示すように生成する:
【化11】

【0097】
ホスフェート(リン酸カルシウムが、通常環境においては生成される)の形態にある天然の生成物は、このようにして最終的に得られる。
【0098】
本発明はさらに、式(1)
[Kt]x+[(C2n+1PF5−zH] (1)
式中、[Kt]x+は、無機または有機カチオンであり、
ここでn=1〜8、x=1〜4およびz=1〜4であり、
ここで化合物[(CFPFH]、[(CFPFH][(CHNH、[(CF)PFH]および[(CF)PFH][(CHNHは除外される、
で表される化合物に関する。
【0099】
本発明の式(1)で表される化合物のカチオン[Kt]x+は、有機または無機カチオンを表すことができる。
無機カチオンの場合において、これは好ましくは金属カチオンである。特に好ましいのは、アルカリ金属カチオン、好ましくはリチウム、カリウムまたはナトリウムカチオンである。
【0100】
無機カチオンを有する本発明の化合物は、上記で記載した有機カチオンを有する本発明の化合物、いわゆるイオン性液体の合成のための出発物質として特に好適である。
【0101】
したがって、特に好ましいのは、[Kt]x+が有機カチオンである、式(1)で表される化合物である。
有機カチオンは、好ましくはアンモニウム、ホスホニウム、ウロニウム、チオウロニウム、スルホニウム、オキソニウム、グアニジニウムカチオン、複素環式カチオンおよびイミニウムカチオンを含む群から選択され、それらは上記で記載したように定義されている。
【0102】
本発明の式(1)で表される化合物の[Kt]x+は、特に好ましくは、上記で定義したようにイミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、アンモニウム、ホスホニウム、スルホニウムおよびイミニウムカチオンを含む群から選択された有機カチオンである。
【0103】
有機カチオン[Kt]x+は、極めて特に好ましくはフェニルホスホニウム、1−エチル−3−メチル−イミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、N−ヘキシルピリジニウムおよび1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムを含む群から選択されたカチオンである。
【0104】
本発明の式(1)で表される化合物におけるzは、好ましくは2または3を表す;zは、特に好ましくは=3である。
さらに、式(1)におけるnは、好ましくは2、3または4、特に好ましくは2または4を表す。nは、極めて特に好ましくは2を表す。
【0105】
式(1)で表される化合物は、特に好ましくは[Kt]x+[(CPFH]または[Kt]x+[(CPFH]から選択され、ここで[Kt]x+は、上記で定義したようにアンモニウム、ホスホニウム、ウロニウム、チオウロニウム、スルホニウム、オキソニウム、グアニジニウムカチオンおよび複素環式カチオンを含む群から選択された有機カチオンを表す;当該化合物は、好ましくはテトラフェニルホスホニウムジフルオロヒドリドトリス(ペンタフルオロエチル)ホスフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジフルオロヒドリドトリス(ペンタフルオロエチル)ホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムジフルオロヒドリドトリス(ペンタフルオロエチル)ホスフェート、N−ヘキシルピリジニウムジフルオロヒドリドトリス(ペンタフルオロエチル)ホスフェート、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムジフルオロヒドリドトリス(ペンタフルオロエチル)ホスフェートおよび1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムジフルオロヒドリドトリス(ペンタフルオロエチル)ホスフェートから選択される。
【0106】
上記で記載したように、本発明の化合物は、様々な適用領域におけるそれらの使用を促進する多くの様々な特性を有する。
【0107】
以下の実施例は、本発明を、それを限定せずに説明することを意図する。本発明を、クレームした範囲全体にわたって相応して行うことができる。可能な変法をまた、例から開始して誘導することができる。特に、例中に記載した反応の特徴および条件をまた、詳細に示していないが特許請求の範囲の保護の範囲内にある他の反応に適用することができる。
【0108】
例:
例1:テトラフェニルホスホニウムジフルオロヒドリドトリス(ペンタフルオロエチル)ホスフェート
【化12】

2.38g(5.4mmol)の(CPFを、0℃で5.6mlの1モル濃度のLiAlH/THF溶液(5.6mmol)にゆっくり加え、混合物を20分間撹拌する。溶液を、水を使用して0℃で加水分解し、無色沈殿物(水酸化アルミニウム)を得、5mlのクロロホルム中の1.89g(5.1mmol)の[PPh4]Clを加える。沈殿物を濾別し、クロロホルムで洗浄する。水相を分離し、クロロホルム相を真空において乾燥すると、無色沈殿物が残留する。
収量([PPh]Clを基準として):3.18g(78%)
融点:114〜116℃
【0109】
【表1】

【0110】
【表2】

【0111】
【表3】

【0112】
【表4】

【0113】
【表5】

【0114】
【表6】

【0115】
例2:1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジフルオロヒドリドトリス−(ペンタフルオロエチル)ホスフェート、[EMIM][P(CH]
【化13】

8.1g(19mmol)の(CPFを、0℃で20mlの1モルのLiAlH/THF溶液(20mmol)にゆっくり加え、混合物を30分間撹拌する。溶液を、水を使用して0℃で加水分解し、無色沈殿物(水酸化アルミニウム)を得、2mlの水に溶解した2.8g(19mmol)の1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリドを加える。30分間撹拌した後、沈殿物を濾別する。第2の相を沈殿させ、それを分離して水で2回抽出する。その後、それを真空において乾燥すると、無色液体が残留する。
収量(1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリドを基準として):3.4g(33%)
【0116】
【表7】

【0117】
【表8】

【0118】
【表9】

【0119】
【表10】

【0120】
【表11】

【0121】
例3:1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムジフルオロヒドリドトリス(ペンタフルオロエチル)ホスフェート、[BMIM][P(CH]
【化14】

12.1g(28.5mmol)の(CPFを、30mlの1モル濃度のLiAlH/THF溶液(30mmol)に、0℃でゆっくり加え、混合物を30分間撹拌する。溶液を、水を使用して0℃で加水分解し、無色沈殿物(水酸化アルミニウム)を得、水中の4.9g(28.5mmol)の1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリドを加える。20分間撹拌した後に、沈殿物を濾別する。第2の相を沈殿させ、それを分離して水で2回抽出する。その後、それを真空において乾燥すると、無色粘性液体が残留する。
収量(1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリドを基準として):10.2g(64%)
【0122】
【表12】

【0123】
【表13】

【0124】
【表14】

【0125】
【表15】

【0126】
【表16】

【0127】
【表17】

【0128】
例4:N−ヘキシルピリジニウムジフルオロヒドリドトリス(ペンタフルオロエチル)ホスフェート、[HPy][P(CH]
【化15】

12.14g(28.5mmol)の(CPFを、30mlの1モル濃度のLiAlH/THF溶液(30mmol)に、0℃でゆっくり加え、混合物を30分間撹拌する。溶液を、水を使用して0℃で加水分解し、無色沈殿物(水酸化アルミニウム)を得、10mlの水に溶解した5.67g(28.5mmol)のN−ヘキシルピリジニウムクロリドを加える。30分間撹拌した後に、沈殿物を濾別する。得られたエマルジョンを真空において乾燥する。濁った、粘性の残留物を水で3回抽出して再び真空において乾燥し、無色液体が残留する。
収量(N−ヘキシルピリジニウムクロリドを基準として):9.98g(59%)
【0129】
【表18】

【0130】
【表19】

【0131】
【表20】

【0132】
【表21】

【0133】
【表22】

【0134】
例5:1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムジフルオロヒドリドトリス(ペンタフルオロエチル)ホスフェート、[BMMIM][P(CH]
【化16】

12.1g(28.5mmol)の(CPFを、30mlの1モル濃度のLiAlH/THF溶液(30mmol)に、0℃でゆっくり加え、混合物を30分間撹拌する。溶液を、水を使用して0℃で加水分解し、無色沈殿物(水酸化アルミニウム)を得、2mlの水に溶解した5.4g(28.5mmol)の1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロリドを加える。20分間撹拌した後に、沈殿物を濾別する。第2の相を沈殿させ、分離して水で2回抽出する。その後、それを真空において乾燥すると、無色液体が残留する。
収量(1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロリドを基準として):9.1g(55%)
【0135】
【表23】

【0136】
【表24】

【0137】
【表25】

【0138】
【表26】

【0139】
【表27】

【0140】
例6:[EMIm][P(CH]の加水分解
【化17】

0.72gの[EMIm][P(CPFH]を、110℃で8時間、10mlのHO中で撹拌する。揮発性成分を、その後真空において除去し、残留物をNMR分光法によって調べる。
【0141】
【表28】

【0142】
例7:[MeNCHNMe][P(CH]の合成
【化18】

0.43g(7.3mmol)のトリメチルアミンNMeを、5.14g(12.1mmol)のトリス(ペンタフルオロエチル)ジフルオロホスホラン、(CPF中に凝縮する。混合物を室温とすると、直ちに2つの相を観察することができる。混合物を、その後室温で24時間撹拌する。数時間後、無色固体が生成する。1日後、揮発性物質を真空において除去すると、無色固体が残留する。粗生成物の収量(NMeを基準として)は、事実上定量的である(1.99g)。
【0143】
【表29】

【0144】
【表30】

【0145】
【表31】

【0146】
【表32】

【0147】
例8:N(Cの(CPFとの反応
【化19】

0.92g(9.07mmol)のトリエチルアミンNEtを、3.77g(8.85mmol)のトリス(ペンタフルオロエチル)ジフルオロホスホラン、(CPFに加える。混合物を室温で24時間撹拌する。その間それは濃い茶色となり、固体成分を有して油状となる。揮発性成分を真空において除去する。粗収量:3.94g。
粗生成物をCHClに溶解し、生成物[(CNH][P(CH]を、−28℃で結晶化させる。
IR(ATR):ν(NH)3203cm−1
【0148】
【表33】

【0149】
【表34】

【0150】
【表35】

【0151】
【表36】

【0152】
例9:HN(Cの(CPFとの反応
【化20】

0.60g(8.25mmol)のジエチルアミンHNEtを、3.44g(8.08mmol)のトリス(ペンタフルオロエチル)ジフルオロホスホラン、(CPFに加える。混合物を室温で24時間撹拌する。その間それは濃い茶色となる。揮発性成分を真空において除去する。粗収量:3.18g。
粗生成物をCHClに溶解し、生成物[(CNH][P(CH]を、−28℃で結晶化させる。
【0153】
【表37】

【0154】
【表38】

【0155】
【表39】

【0156】
【表40】

【0157】
例10:MeNCHNMeの(CPFとの反応
【化21】

4.5g(10.6mmol)のトリス(ペンタフルオロエチル)ジフルオロホスホラン、(CPFを、室温で0.88g(8.6mmol)のMeNCHNMeに加える。2つの相を観察することができる。混合物を24時間撹拌する間、黄色のエマルジョンが生成する。過剰の(CPFを真空において除去し、残留物を、NMR分光法によって調べる。
IR(ATR):ν(NH)3202cm−1
【0158】
【表41】

【0159】
【表42】

【0160】
例11:i−(CNCHの(CPFとの反応
【化22】

0.82g(7.12mmol)のN,N−ジイソプロピルメチルアミンを、50mlのジエチルエーテルに溶解し、3.03g(7.0mmol)のトリス(ペンタフルオロエチル)ジフルオロホスホラン(CPFを、室温で加える。混合物を4日間撹拌し、その後真空において揮発性物質を取り除く。茶色の固体が残留し、それを−28℃で、CHClからの再結晶によって精製し、無色固体が残留する。収量:2.61g。
【0161】
【表43】

【0162】
【表44】

【0163】
【表45】

【0164】
【表46】

【0165】
例12:[MeNCHNMe][P(CH]の(PhO)P(O)Hとの反応
【化23】

[MeNCHNMe][P(CH]をCHClに溶解し、過剰の(PhO)PHOを加える。溶液を、NMR分光法によって調べる。
【0166】
【表47】

【0167】
【表48】

【0168】
例13:[MeNCHNMe][P(CH]のP(CHとの反応
【化24】

[(CHNCHP(CH][P(CH]をCHClに溶解し、過剰のP(CHを凝縮させる。溶液を、NMR分光法によって調べる。
【0169】
【表49】

【0170】
【表50】

【0171】
【表51】

【0172】
【表52】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
[Kt]x+[(C2n+1PF5−zH] (1)
式中、[Kt]x+は、無機または有機カチオンである、
で表される化合物の製造方法であって、
1つのステップにおいて、式(2)
(C2n+1PF5−z (2)
で表される化合物を、水素化物イオン供与体と反応させ、
ここで、[Kt]x+が有機カチオンである場合には、第1のステップからの生成物を、式(3)
[Kt]x+[X] (3)、
式中、[Kt]x+は有機カチオンを表し、[X]は親水性アニオンを表し、
ここでn=1〜8、x=1〜4およびz=1〜4である、
で表される化合物と反応させる第2のステップを任意に行うことができる、前記方法。
【請求項2】
水素化物イオン供与体が、金属水素化物、ホウ化水素、ヒドリドボレート、ヒドリドアルミネートならびに第三および第二アミンを含む群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
水素化物イオン供与体がLiAlHであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
水素化物イオン供与体が、式(11)
14N−CH15 (11)
で表される第三または第二アミンであり、
式中、
各出現におけるR14およびR15は、互いに独立して、
・H(ここで最大1つの置換基R14は、Hであり得る)
・1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
・2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
・2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
・3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基によって置換されてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル
を示し、
ここで、R15はまたClまたはFであり得、
ここで、R15は、フッ素によって完全に置換されてもよく、および/または1つもしくは2つ以上のR14および/またはR15は、ハロゲンによって部分的に置換されているか、または−OR1*、−NR1*、−CN、−C(O)NR1*もしくは−SONR1*によって部分的に置換されてもよく、
ここで、ラジカルR14および/またはR15のα位にない1個または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−N1*−、−C(O)NR1*−、−SONR1*−または−P(O)R1*−の群から選択された原子および/または原子団によって置き換えられていてもよく;
ここで、R1*は、フッ素化されていないかまたは部分的にフッ素化されたC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、非置換または置換フェニルを表す
ことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
zが2または3を表すことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
[Kt]x+が金属カチオンであることを特徴とする、請求項1〜3および5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
[Kt]x+が有機カチオンであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
カチオン[Kt]x+が、アンモニウム、ホスホニウム、ウロニウム、チオウロニウム、スルホニウム、オキソニウム、グアニジニウムカチオン、複素環式カチオンおよびイミニウムカチオンを含む群から選択され、
ここでアンモニウムカチオンが、一般式(4)
[NR (4)
によって示され、
式中、
Rが、各場合において互いに独立して、
・H、
・1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
・2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
・2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
・3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基によって置換されてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル
を示し、
ここで、1つのRが、フッ素によって完全に置換されてもよく、および/または1つまたは2つ以上のRが、ハロゲンによって部分的に置換されているか、または−OR、−NR1*、−CN、−C(O)NRもしくは−SONRによって部分的に置換されてもよく、
ここで、ラジカルRのα位にない1個または2個の隣接していない炭素原子が、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−N−、−C(O)NR−、−SONR−または−P(O)R−の群から選択された原子および/または原子団によって置き換えられていてもよく;
ここで、ホスホニウムカチオンが、一般式(5)
[PR (5)
によって示され、
式中、
が、各場合において互いに独立して、
・H(ここで、すべての置換基Rは、同時にはH、NRにならない)、
・1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
・2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
・2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
・3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基によって置換されてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル
を示し、
ここで、1つのRが、フッ素によって完全に置換されてもよく、および/または1つまたは2つ以上のRが、ハロゲンによって部分的に置換されているか、または−OR、−CN、−C(O)NR、−SONRによって部分的に置換されてもよく、
ここで、−Rのα位にない1個または2個の隣接していない炭素原子が、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−N−、−C(O)NR−、−SONR−または−P(O)R−の群から選択された原子および/または原子団によって置き換えられていてもよく;
ここで、ウロニウムカチオンが、一般式(6)
[C(NR)(OR)(NR)] (6)
によって示され、
ここで、チオウロニウムカチオンが、一般式(7)
[C(NR)(SR)(NR)] (7)
によって示され、
式中
〜Rが、各々、互いに独立して、
・H、NR1*
・1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
・2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
・2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
・3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基によって置換されてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル
を示し、
ここで、置換基R〜Rの1つまたは2つ以上が、ハロゲンによって、または−OH、−OR、−CN、−C(O)NR、−SONRによって部分的に置換されてもよく、
またここで、R〜Rのα位にない1個または2個の隣接していない炭素原子が、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−N−、−C(O)NR−、−SONR−または−P(O)R−の群から選択された原子および/または原子団によって置き換えられていてもよく;
ここで、スルホニウムカチオンが、一般式(12)
[(RS] (12)
によって示され、
式中、
が、
・NR’’’
・1〜8個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
・3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基によって置換されてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル
を表し、
ここで、置換基Rの1つまたは2つ以上が、ハロゲンによって、または−OR’’’、−CNもしくは−N(R’’’)によって部分的に置換されてもよく;
ここで、オキソニウムカチオンが、一般式(13)
[(R0*O] (13)
によって示され、
式中、
0*が、
・1〜8個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
・3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基によって置換されてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル
を表し、
ここで、置換基R0*の1つまたは2つ以上が、ハロゲンによって、または−OR’’’、−CNもしくは−N(R’’’)によって部分的に置換されてもよく;
ここで、グアニジニウムカチオンが、一般式(8)
[C(NR)(NR1011)(NR1213)] (8)
によって示され、
式中、
〜R13が、各々、互いに独立して、
・H、NR1*
・1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
・2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
・2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
・3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基によって置換されてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル
を示し、
ここで、置換基R〜R13の1つまたは2つ以上が、ハロゲンによって、または−OR、−CN、−C(O)NR、−SONRによって部分的に置換されてもよく、
ここで、R〜R13のα位にない1個または2個の隣接していない炭素原子が、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−N−、−C(O)NR−、−SONR−または−P(O)R−の群から選択された原子および/または原子団によって置き換えられていてもよく;
ここで、複素環式カチオンが、一般式(9)
[HetN] (9)
によって示され、
式中、[HetN]が、以下のもの
【化1】

【化2】

を含む群から選択された複素環式カチオンであり、
ここで、置換基R1’〜R4’が、各々、互いに独立して、
・H、
・1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
・2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
・2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
・3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基によって置換されてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル、
・飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のヘテロアリール、ヘテロアリール−C〜Cアルキルまたはアリール−C〜Cアルキル
を示し、
ここで、置換基R1’、R2’、R3’および/またはR4’が、一緒に環系を形成してもよく、
ここで、1つまたは2つ以上の置換基R1’〜R4’が、ハロゲンによって部分的に、もしくは完全に置換されているか、または−OR、−CN、−C(O)NR、−SONRによって部分的に置換されてもよいが、ここでR1’およびR4’が、同時にはハロゲンによって完全に置換され得ず、またここで、置換基R1’〜R4’のヘテロ原子に結合していない1個または2個の隣接していない炭素原子が、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−N−、−C(O)NR−、−SONR−または−P(O)R−の群から選択された原子および/または原子団によって置き換えられていてもよく;
ここで、イミニウムカチオンが、一般式(10)
[R14N=CHR15 (10)
によって示され、
式中、
各出現におけるR14およびR15が、互いに独立して、
・H(ここで最大1つの置換基R14は、Hであり得る)、
・1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
・2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
・2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
・3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基によって置換されてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル
を示し、
ここでR15がまた、ClまたはFを表してもよく、
ここでR15が、フッ素によって完全に置換されてもよく、および/または1つまたは2つ以上のR14および/またはR15が、ハロゲンによって部分的に置換されているか、または−OR1*、−NR1*、−CN、−C(O)NR1*もしくは−SONR1*によって部分的に置換されてもよく、
またここで、ラジカルR14および/またはR15のα位にない1個または2個の隣接していない炭素原子が、−O、−S−、−S(O)−、−SO−、−N1*−、−C(O)NR1*−、−SONR1*−または−P(O)R1*−の群から選択された原子および/または原子団によって置き換えられていてもよく;
ここでRが、H、フッ素化されていないかまたは部分的にフッ素化されたC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、非置換または置換フェニルを表し、R1*が、フッ素化されていないかまたは部分的にフッ素化されたC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、非置換または置換フェニルを表し、またR’’’が、直鎖状または分枝状C〜Cアルキルを表す
ことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第1のステップにおける反応を−80〜50℃で行うことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
[Kt]x+が、請求項1に記載の式(1)で表され、式中[Kt]x+が有機カチオンである化合物の製造のための無機カチオンである、請求項1に記載の式(1)で表される化合物の使用。
【請求項11】
[Kt]x+が、溶媒または溶媒添加剤としての、相間移動触媒としての、熱交換媒体としての、界面活性物質としての、可塑剤としての、防炎剤としての、導電性塩としての、または物質分離プロセスにおける抽出剤としての有機カチオンである、請求項1に記載の式(1)で表される化合物の使用。
【請求項12】
[Kt]x+が、電気化学的用途、電池、センサー、コンデンサ、太陽電池および色素太陽電池における有機カチオンである、請求項1に記載の式(1)で表される化合物の使用。
【請求項13】
式(1)
[Kt]x+[(C2n+1PF5−zH] (1)
式中、[Kt]x+は、無機または有機カチオンであり、
ここでn=1〜8、x=1〜4およびz=1〜4であり、
ここで、化合物[(CFPFH]、[(CFPFH][(CHNH、[(CF)PFH]および[(CF)PFH][(CHNHは除外される、
で表される化合物。
【請求項14】
[Kt]x+が金属カチオンであることを特徴とする、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
[Kt]x+が有機カチオンであることを特徴とする、請求項13に記載の化合物。
【請求項16】
疎水性化合物を単離する方法であって、請求項1に記載の式(1)で表され、式中[Kt]x+が有機カチオンを表す化合物を、[(C2n+1P(O)O]または[(C2n+1)P(O)O−2アニオンを含む化合物に、加水分解によって変換することを特徴とする、前記方法。

【公表番号】特表2013−514288(P2013−514288A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543509(P2012−543509)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/007397
【国際公開番号】WO2011/072810
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】