説明

(メタ)アクリル系硬化性組成物、(メタ)アクリル系複合シート、ならびに(メタ)アクリル系硬化物およびその製造方法

【課題】450nm以下の紫外線領域においても優れた透明性を示し且つ紫外線や青色光に対する耐光性に優れた(メタ)アクリル系硬化物。
【解決手段】(メタ)アクリル系モノマーまたは(メタ)アクリル系オリゴマーと、リン系触媒またはリン系硬化剤とを含有する(メタ)アクリル系硬化性組成物を硬化させてなるものであることを特徴とする(メタ)アクリル系硬化物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(メタ)アクリル系硬化性組成物、それを硬化させてなる(メタ)アクリル系硬化物およびその製造方法、ならびにこの(メタ)アクリル系硬化物を含有する(メタ)アクリル系複合シートに関する。
【背景技術】
【0002】
アクリル樹脂は透明性および耐光性に優れた樹脂であることが知られており、従来から、発光ダイオード(LED)の封止材、太陽電池用透明シートなどの各種光学材料への適用が検討されている。
【0003】
例えば、特開2008−120980号公報(特許文献1)には、高屈折率(メタ)アクリル系モノマーを含有する封止樹脂組成物およびその硬化物、ならびにそれにより封止された発光素子が開示されている。また、特開2004−231934号公報(特許文献2)には、(メタ)アクリル系硬化物とガラスフィラーとを含有する透明複合体が開示されている。
【0004】
しかしながら、従来の(メタ)アクリル系硬化物は、可視光線領域などの長波長側の透明性は優れているものの、紫外線領域における透明性が可視光線領域などに比べて十分なものではなかった。このため、紫外線領域においてもより高い透明性を有する(メタ)アクリル系硬化物が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−120980号公報
【特許文献1】特開2004−231934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、450nm以下の紫外線領域においても優れた透明性を示し且つ紫外線や青色光に対する耐光性に優れた(メタ)アクリル系硬化物、およびそれを含有する(メタ)アクリル系複合シートを提供することを目的とする。また、本発明はこのような(メタ)アクリル系硬化物および(メタ)アクリル系複合シートを得ることができる(メタ)アクリル系硬化性組成物を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、従来の(メタ)アクリル系硬化物において紫外線領域における透明性が低下する原因が、硬化反応に使用する重合開始剤にあることを見出した。また、本発明者らは、従来は(メタ)アクリル系モノマーまたは(メタ)アクリル系オリゴマーの硬化触媒や硬化剤としては使用されていなかったリン系触媒またはリン系硬化剤によって(メタ)アクリル系モノマーまたは(メタ)アクリル系オリゴマーが硬化することを初めて見出した。さらに、驚くべきことに、リン系触媒またはリン系硬化剤によって硬化させた(メタ)アクリル系硬化物は、可視光線領域だけでなく紫外線領域においても透明性に優れ、また、紫外線や青色光に対する耐光性にも優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の(メタ)アクリル系硬化性組成物は、(メタ)アクリル系モノマーまたは(メタ)アクリル系オリゴマーと、リン系触媒またはリン系硬化剤とを含有することを特徴とするものである。
【0009】
本発明の(メタ)アクリル系硬化性組成物においては、前記リン系触媒または前記リン系硬化剤としてはトリフェニルホスフィンが好ましい。また、前記(メタ)アクリル系モノマーまたは前記(メタ)アクリル系オリゴマーとしては、構造が異なる2種以上の(メタ)アクリル系モノマーまたは(メタ)アクリル系オリゴマーを含むものが好ましい。
【0010】
また、前記(メタ)アクリル系モノマーまたは前記(メタ)アクリル系オリゴマーは、ジシクロペンタジエン骨格を有するもの、フルオレン骨格を有するもののうちの少なくとも1種であることが好ましい。
【0011】
本発明の(メタ)アクリル系硬化物は、前記本発明の(メタ)アクリル系硬化性組成物を硬化させてなるものである。また、本発明の(メタ)アクリル系複合シートは、このような(メタ)アクリル系硬化物と、ガラス繊維またはガラスフィラーとを含有することを特徴とするものである。
【0012】
本発明の(メタ)アクリル系硬化物の製造方法は、前記本発明の(メタ)アクリル系硬化性組成物を調製する工程と、前記(メタ)アクリル系硬化性組成物を硬化させる工程と、を含むことを特徴とする方法である。この製造方法においては、前記(メタ)アクリル系硬化性組成物を紫外線照射により硬化させることが好ましい。
【0013】
また、前記(メタ)アクリル系硬化性組成物を調製する工程においては、構造が異なる2種以上の(メタ)アクリル系モノマーまたは(メタ)アクリル系オリゴマーを併用し、その混合比を調整することが好ましい。これにより、前記(メタ)アクリル系硬化物の屈折率を制御することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、従来は(メタ)アクリル系モノマーまたは(メタ)アクリル系オリゴマーの硬化触媒や硬化剤としては使用されていなかったリン系触媒またはリン系硬化剤によって(メタ)アクリル系モノマーまたは(メタ)アクリル系オリゴマーを硬化させることが可能となる。また、リン系触媒またはリン系硬化剤を用いて(メタ)アクリル系モノマーまたは(メタ)アクリル系オリゴマーを硬化させることによって、450nm以下の紫外線領域においても優れた透明性を示し且つ紫外線や青色光に対する耐光性に優れた(メタ)アクリル系硬化物、およびそれを含有する(メタ)アクリル系複合シートを得ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0016】
<(メタ)アクリル系硬化性組成物>
先ず、本発明の(メタ)アクリル系硬化性組成物について説明する。本発明の(メタ)アクリル系硬化性組成物は、(メタ)アクリル系モノマーまたは(メタ)アクリル系オリゴマーと、リン系触媒またはリン系硬化剤とを含有するものである。このようなリン系触媒およびリン系硬化剤は、従来は(メタ)アクリル系モノマーまたは(メタ)アクリル系オリゴマーの触媒や硬化剤として使用されるものではなかったが、本発明の(メタ)アクリル系硬化性組成物に加熱処理や活性エネルギー線照射などの処理を施すことによって(メタ)アクリル系モノマーまたは(メタ)アクリル系オリゴマーが硬化する。また、このような(メタ)アクリル系硬化性組成物を硬化させると450nm以下の紫外線領域においても優れた透明性を示し且つ紫外線や青色光に対する耐光性に優れた(メタ)アクリル系硬化物を得ることができる。
【0017】
本発明の(メタ)アクリル系硬化性組成物に用いられる(メタ)アクリル系モノマーおよび(メタ)アクリル系オリゴマー(以下、これらをまとめて「(メタ)アクリル系原料」という)としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する公知の多官能の(メタ)アクリレートおよびその部分重合体が挙げられる。本発明においては、このようなメタ)アクリル系原料を使用することによって紫外線や青色光に対して優れた耐光性を有する(メタ)アクリル系硬化物を得ることが可能となる。なお、本発明においてアクリル系オリゴマーとは、(メタ)アクリル系モノマーの部分重合体であり、硬化反応に必要な量の重合性官能基((メタ)アクリロイル基)が残存しているものをいう。
【0018】
本発明においては、(メタ)アクリル系原料は1種を単独で用いても、構造が異なる2種以上のものを併用してもよい。すなわち、(メタ)アクリル系原料として、(メタ)アクリル系モノマー1種類を単独で用いても、構造が異なる2種以上のものを併用してもよいし、(メタ)アクリル系オリゴマー1種類を単独で用いても、構造が異なる2種以上のものを併用してもよい。また、少なくとも1種の(メタ)アクリル系モノマーと少なくとも1種の(メタ)アクリル系オリゴマーを併用してもよい。特に、構造が異なる2種以上の(メタ)アクリル系原料を併用し、その混合比を調整することによって(メタ)アクリル系硬化物の屈折率を制御することが可能となる。
【0019】
このような(メタ)アクリル系原料のうち、芳香族環を有する(メタ)アクリレートまたはその部分重合体を用いると透明性および耐光性に加えて波長589nmにおける屈折率が1.55以上の高屈折性を有する(メタ)アクリル系硬化物を得ることができる。このような芳香族(メタ)アクリレートとしては、芳香族環と2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートであれば特に制限はないが、屈折率がより高くなるという観点から硫黄原子を含有する芳香族(メタ)アクリレートおよびフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレートが好ましく、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0020】
前記硫黄原子を含有する芳香族(メタ)アクリレートとしては、硫黄原子と2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する芳香族(メタ)アクリレートであれば特に制限はないが、透明性および耐熱性が向上するという観点から、下記式(1):
【0021】
【化1】

【0022】
で表される芳香族(メタ)アクリレートが好ましい。このような硫黄原子を含有する芳香族(メタ)アクリレートは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0023】
前記式(1)において、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、Yは酸素原子または硫黄原子を表し、Zは硫黄原子またはスルホニル基を表し、mおよびnはそれぞれ独立に0〜2の整数である。このような硫黄原子を含有する芳香族(メタ)アクリレートのうち、硬化性および耐熱性が向上し、取扱い易いという観点から、前記式(1)中のR〜Rが水素原子であり、Yが酸素原子であり、Zが硫黄原子であり、m=1、n=1であるビス[4−(アクリロイロキシエトキシ)フェニル]スルフィド(硬化物の屈折率:1.606(波長589nm))が特に好ましい。
【0024】
また、前記フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレートとしては、フルオレン骨格と2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートであれば特に制限はないが、透明性および耐熱性が向上するという観点から、下記式(2):
【0025】
【化2】

【0026】
で表されるフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート、および下記式(3):
【0027】
【化3】

【0028】
で表されるフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレートが好ましい。このようなフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレートは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0029】
前記式(2)において、R〜R12はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、pおよびqはそれぞれ独立に0〜2の整数である。また、前記式(3)において、R13〜R15はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す。このようなフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレートのうち、透明性および耐熱性がより向上するという観点から、前記式(2)中のR〜R12水素原子であり、pおよびqが1であるビス[4−(アクリロイロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(硬化物の屈折率:1.624(波長589nm))が特に好ましい。
【0030】
一方、本発明において、芳香族環を含有しない(メタ)アクリレートまたはその部分重合体を用いると波長589nmにおける屈折率が1.55未満の低屈折性を有する(メタ)アクリル系硬化物を得ることができる。このような芳香族環を含有しない(メタ)アクリレートとしては、芳香族環を含有せずに2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートであれば特に制限はないが、架橋多環構造を有する(メタ)アクリレートまたはその部分重合体を用いると透明性および耐光性に加えて波長589nmにおける屈折率が1.51以上1.55未満の(メタ)アクリル系硬化物を得ることができる。また、このような(メタ)アクリル系硬化物は耐熱性にも優れている。
【0031】
このような架橋多環構造を有する(メタ)アクリレートとしては、架橋多環構造と2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートであれば特に制限はないが、透明性および耐熱性が向上するという観点から下記式(4):
【0032】
【化4】

【0033】
で表される(メタ)アクリレート、および下記式(5):
【0034】
【化5】

【0035】
で表される(メタ)アクリレートが好ましい。このような架橋多環構造を有する(メタ)アクリレートは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0036】
前記式(4)において、R16およびR17はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、aは1または2であり、bは0または1である。また、前記式(5)において、R18およびR19はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子、メチル基、メチロール基、アミノ基、または(メタ)アクリロイルオキシメチル基を表し、cは0または1である。
【0037】
このような架橋多環構造を有する(メタ)アクリレートのうち、硬化性および耐熱性が向上するという観点から、前記式(4)中のaが1、bが0であるジシクロペンタジエン骨格を有する(メタ)アクリレート、前記式(5)中のcが1であるパーヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン骨格を有する(メタ)アクリレート、前記式(5)中のcが0であるノルボルナン骨格を有する(メタ)アクリレートがより好ましく、前記式(4)中のR16およびR17が水素原子であり、a=1、b=0であるジシクロペンタジエニルジアクリレート〔トリシクロデカンジメタノールジアクリレート〕(硬化物の屈折率:1.527(波長589nm))、前記式(5)中のXがアクリロイルオキシメチル基であり、R18およびR19が水素原子であり、cが1であるパーヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2,3,7−トリメチロールトリアクリレート、前記式(5)中のX、R18およびR19が水素原子であり、cが0であるノルボルナンジメチロールジアクリレート(硬化物の屈折率:1.520(波長589nm))、前記式(5)中のX、R18およびR19が水素原子であり、cが1であるパーヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2,3−ジメチロールジアクリレートが特に好ましく、良好な粘性が得られるという観点からジシクロペンタジエニルジアクリレートおよびノルボルナンジメチロールジアクリレートが最も好ましい。なお、このような架橋多環構造を有する(メタ)アクリレートは特開平5−70523号公報に記載の方法により調製することができる。
【0038】
また、本発明において、芳香族環および架橋多環構造をともに含有しない(メタ)アクリレートまたはその部分重合体を用いると波長589nmにおける屈折率が1.51未満のより低屈折性を有する(メタ)アクリル系硬化物を得ることができる。このような芳香族環および架橋多環構造を含有しない(メタ)アクリレートとしては、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート(硬化物の屈折率:1.496(波長589nm))、エチレンオキサイド変性水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。中でも、耐熱性が向上するという観点から、下記式(6):
【0039】
【化6】

【0040】
で表されるヒドロキシピバルアルデヒド変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレートなどの環状エーテル型ジ(メタ)アクリレートが好ましい。前記式(6)において、R20およびR21はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す。
【0041】
本発明においては、このような構造が異なる2種以上の(メタ)アクリル系原料を併用し、その混合比を調整することによって(メタ)アクリル系硬化物の屈折率を制御することができる。例えば、前記フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート(F)とジシクロペンタジエン骨格を有する(メタ)アクリレート(D)を併用し、これらの混合比を調整することによって(メタ)アクリル系硬化物の屈折率を調整することができ、混合比(質量比)をF/D=0/100〜100/0の範囲で調整することによって(メタ)アクリル系硬化物の屈折率を、例えば、波長589nmにおいては約1.527〜約1.624の範囲で制御することが可能となる。また、スルフィド結合を含有する芳香族(メタ)アクリレート(S)とジシクロペンタジエン骨格を有する(メタ)アクリレート(D)を併用し、これらの混合比を調整することによって(メタ)アクリル系硬化物の屈折率を調整することができ、混合比(質量比)をS/D=0/100〜100/0の範囲で調整することによって(メタ)アクリル系硬化物の屈折率を、例えば、波長589nmにおいては約1.527〜約1.606の範囲で制御することが可能となる。また、ノルボルナン骨格を有する(メタ)アクリレート(N)と環状エーテル型ジ(メタ)アクリレート(E)とを併用し、これらの混合比を調整することによって(メタ)アクリル系硬化物の屈折率を調整することができ、混合比(質量比)をN/E=0/100〜100/0の範囲で調整することによって(メタ)アクリル系硬化物の屈折率を、例えば、波長589nmにおいては約1.496〜約1.520の範囲で制御することが可能となる。なお、(メタ)アクリル系硬化物の屈折率には(メタ)アクリル系原料の混合比に基づいて加成性が成立し、(メタ)アクリル系原料の混合比を適宜調整することによって容易に所望の屈折率を有する(メタ)アクリル系硬化物を得ることができる。例えば、[4−(アクリロイロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(硬化物の屈折率:1.624(波長589nm))とジシクロペンタジエニルジアクリレート〔トリシクロデカンジメタノールジアクリレート〕(硬化物の屈折率:1.527(波長589nm))とを質量比40/60で混合するとアクリル系硬化物の屈折率は1.566(波長589nm)となり、質量比60/40で混合するとアクリル系硬化物の屈折率は1.585(波長589nm)となる。
【0042】
また、本発明においては、このような多官能の(メタ)アクリレートまたはその部分重合体に加えて、(メタ)アクリル酸などの単官能のアクリル系化合物を(メタ)アクリル系原料として併用することもできる。これにより、(メタ)アクリル系硬化物に柔軟性を付与することができる。
【0043】
次に、本発明の(メタ)アクリル系硬化性組成物に含まれるリン系触媒またはリン系硬化剤について説明する。本発明に用いられるリン系触媒またはリン系硬化剤は、前記(メタ)アクリル系原料を硬化させる際に、触媒または硬化剤として作用するものである。このようなリン系触媒またはリン系硬化剤、特にトリフェニルホスフィン(TPP)は、従来、(メタ)アクリル系原料の触媒または硬化剤としては使用されていなかったが、このようなリン系触媒またはリン系硬化剤、特にTPPを用いることによって、本発明にかかる(メタ)アクリル系原料を硬化させることが可能となる。さらに、このように(メタ)アクリル系原料を硬化させることによって、450nm以下の紫外線領域においても優れた透明性を示す(メタ)アクリル系硬化物を得ることができる。
【0044】
本発明の(メタ)アクリル系硬化性組成物において、前記リン系触媒またはリン系硬化剤の含有量としては、前記(メタ)アクリル系原料100質量部に対して0.5〜10質量部が好ましく、1〜5質量部がより好ましい。前記リン系触媒またはリン系硬化剤の含有量が前記下限未満になると硬化反応が十分に進行せず、(メタ)アクリル系硬化物の離型性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると硬化反応が急激に進行し、(メタ)アクリル系硬化物が脆くなる傾向にある。
【0045】
また、本発明の(メタ)アクリル系硬化性組成物においては、透明性および耐光性を損なわない範囲で、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、無機充填剤を添加してもよい。
【0046】
<(メタ)アクリル系硬化物>
次に、本発明の(メタ)アクリル系硬化物について説明する。本発明の(メタ)アクリル系硬化物は、前記本発明の(メタ)アクリル系硬化性組成物を硬化させてなるものである。また、本発明の(メタ)アクリル系硬化物の製造方法は、前記本発明の(メタ)アクリル系硬化性組成物を調製する工程と、この(メタ)アクリル系硬化性組成物を硬化させる工程とを含む方法である。
【0047】
本発明の(メタ)アクリル系硬化物の製造方法において、(メタ)アクリル系硬化性組成物を硬化させる方法としては、紫外線などの活性エネルギー線を照射する方法、加熱処理を施して熱重合させる方法などが挙げられる。また、これらの方法を併用することも可能である。特に、活性エネルギー線を照射した後、加熱による焼成処理を施すことが好ましく、これにより十分に硬化した(メタ)アクリル系硬化物を得ることができる。
【0048】
活性エネルギー線として紫外線を使用する場合、その光源としては、メタルハライドランプ、高圧水銀灯などの公知の光源を使用することができる。また、焼成処理としては、窒素雰囲気下または真空状態において250〜300℃で1〜24時間加熱することが好ましい。
【0049】
このようにして得られた(メタ)アクリル系硬化物は、450nm以下の紫外線領域においても優れた透明性を示し且つ紫外線や青色光に対する耐光性に優れたものである。また、上述したように、特定の構造の(メタ)アクリル原料を選択することによって耐熱性に優れた(メタ)アクリル系硬化物を得ることができ、また、2種以上の(メタ)アクリル原料を併用してこれらの混合比を調整することによって所望の屈折率を有する(メタ)アクリル系硬化物を得ることも可能である。
【0050】
<(メタ)アクリル系複合シート>
次に、本発明の(メタ)アクリル系複合シートについて説明する。本発明の(メタ)アクリル系複合シートは、前記本発明の(メタ)アクリル系硬化物とガラス繊維またはガラスフィラーとを含有するものである。このような(メタ)アクリル系複合シートにおいて、前記ガラス繊維および前記ガラスフィラーは、いずれか一方が含まれていてもよいし、両方が含まれていてもよい。前記ガラス繊維は、ガラスクロス、ガラス不織布などのガラス繊維布として含まれていてもよい。また、前記ガラスフィラーとしては、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスパウダー、ミドルガラスなどが挙げられる。このようなガラス繊維およびガラスフィラーは、(メタ)アクリル系複合シートの用途に応じて適宜選択される。
【0051】
本発明の(メタ)アクリル系複合シートに用いられるガラス繊維およびガラスフィラーの屈折率としては特に制限はないが、波長589nmにおいて1.45〜1.56が好ましい。屈折率が1.45未満のガラスは組成が特殊であり、コストの面で好ましくない傾向にあり、他方、ガラス繊維またはガラスフィラーの屈折率が1.56を超えると(メタ)アクリル系硬化物との屈折率差を小さくすることが困難となり、(メタ)アクリル系複合シートの透明性が低下する傾向にある。また、比較的容易に入手できるという観点から波長589nmにおける屈折率が1.50〜1.56のガラス繊維またはガラスフィラーを使用することが好ましい。
【0052】
このような屈折率を有するガラス繊維およびガラスフィラーの種類としては特に制限はないが、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、石英ガラスなどが挙げられる。中でも、入手が容易であるという観点からNEガラス、Tガラス、Sガラス、Eガラスが好ましく、本発明の(メタ)アクリル系硬化物との屈折率差(アッベ数差)を小さくしやすいという観点からはNEガラス、Tガラス、Sガラスがより好ましく、経済的な観点からはEガラスがより好ましい。
【0053】
このようなガラス繊維またはガラスフィラーの含有量としては、(メタ)アクリル系複合シート全体に対して1〜90質量%が好ましく、10〜80質量%がより好ましく、30〜70質量%が特に好ましい。ガラス繊維またはガラスフィラーの含有量が前記下限未満になると(メタ)アクリル系複合シートの寸法変化が大きくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると成形しにくく、(メタ)アクリル系複合シートが得られない傾向にある。
【0054】
また、このようなガラス繊維またはガラスフィラーを本発明の(メタ)アクリル系複合シートに使用する場合、ガラス繊維またはガラスフィラーの表面をシランカップリング剤などの公知の表面処理剤で処理することが好ましい。これにより、ガラス繊維またはガラスフィラーと(メタ)アクリル系硬化物との密着性が向上し、(メタ)アクリル系複合シートの透明性が高まる傾向にある。前記シランカップリング剤としてはアクリルシランが好ましい。
【0055】
本発明の(メタ)アクリル系複合シートにおいては、前記(メタ)アクリル系硬化物と前記ガラス繊維または前記ガラスフィラーの所定の波長における屈折率差が−0.01〜+0.01であることが好ましく、−0.005〜+0.005であることがより好ましい。所定の波長における屈折率差が前記範囲内にあると、その波長において透明性に優れた(メタ)アクリル系複合シートを得ることができる。
【0056】
本発明の(メタ)アクリル系複合シートは、例えば、以下の方法により製造することができる。すなわち、本発明の(メタ)アクリル系硬化性組成物にガラス繊維またはガラスフィラーを混合し、これを所望の形状の型に注型した後、硬化させる方法、ガラス繊維布に本発明の(メタ)アクリル系硬化性組成物を塗布した後、硬化させる方法、ガラス繊維布に本発明の(メタ)アクリル系硬化性組成物を含浸させた後、硬化させる方法などが挙げられる。なお、(メタ)アクリル系硬化性組成物を硬化させる方法としては、本発明の(メタ)アクリル系硬化物の製造方法における硬化方法を採用することができる。
【0057】
また、(メタ)アクリル系硬化物とガラス繊維またはガラスフィラーの屈折率差が所定の波長において所望の値となるように(メタ)アクリル系複合シートを製造する場合、その方法は特に限定されないが、屈折率差を容易に調整できるという観点から、以下のようにして調製した(メタ)アクリル系硬化性組成物を使用する方法が好ましい。すなわち、使用するガラス繊維またはガラスフィラーの屈折率に比べて、硬化物の屈折率が高くなる少なくとも1種の(メタ)アクリル系原料と、硬化物の屈折率が低くなる少なくとも1種の(メタ)アクリル系原料とを、所望の混合比で混合して前記(メタ)アクリル系硬化性組成物を調製する。
【0058】
このとき、先ず、(メタ)アクリル系硬化物とガラス繊維またはガラスフィラーの屈折率差が所定の波長において所望の値となるように(メタ)アクリル系硬化物の当該波長における屈折率を決定する。そして、前述したように、(メタ)アクリル系硬化物の屈折率には(メタ)アクリル系原料の混合比に基づいて加成性が成立することから、(メタ)アクリル系硬化物の当該波長における屈折率が所定の値となるように、(メタ)アクリル系原料の混合比を決定し、(メタ)アクリル系硬化性組成物を調製する。この方法によれば、混合比を調整することによって、所定の波長において(メタ)アクリル系硬化物の屈折率をガラス繊維またはガラスフィラーの屈折率に容易に近づけることが可能となり、所定の波長において透明性に優れた(メタ)アクリル系硬化物を得ることができる。
【0059】
例えば、ガラス繊維またはガラスフィラーとしてEガラス系のものを使用し、(メタ)アクリル系原料として前記フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート(F)とジシクロペンタジエン骨格を有する(メタ)アクリレート(D)を併用して波長400〜600nmにおいて透明性に優れた(メタ)アクリル系複合シートを製造する場合においては、(メタ)アクリル系原料の混合比(質量比)をF/D=20/80〜60/40とすることが好ましく、F/D=30/70〜50/50とすることがより好ましく、F/D=35/65〜45/55に設定することが特に好ましい。
【0060】
本発明の(メタ)アクリル系複合シートは、本発明の(メタ)アクリル系硬化物を含有するものであることから、透明性、特に450nm以下の紫外線領域における透明性に優れ且つ紫外線や青色光に対する耐光性に優れている。したがって、本発明の(メタ)アクリル系複合シートは、太陽電池などの屋外設備の材料として使用することができる。
【実施例】
【0061】
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0062】
(実施例1)
下記式(7):
【0063】
【化7】

【0064】
で表されるトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(ダイセル・サイテック(株)製「IRR214−K」、硬化物の屈折率:1.527(波長589nm))100質量部にトリフェニルホスフィン(TPP)2質量部を添加し、アクリル系硬化性組成物を調製した。スペーサー(厚さ300μm)を使用してこのアクリル系硬化性組成物を2枚のガラス板(厚さ3mm)に挟んで注型した後、80Wで30秒間紫外線照射を行なって前記アクリル系硬化性組成物を硬化させた。得られた板状のアクリル系硬化物を取り出し、窒素雰囲気下、250℃で2時間焼成した。焼成後のアクリル系硬化物の平行光線透過率を分光光度計((株)島津製作所製「UV−2400PC」)を用いて測定した。また、前記アクリル系硬化物の屈折率を、屈折率計((株)アタゴ製「DR−M2」)を用いて測定した。これらの結果を表1に示す。
【0065】
(比較例1)
トリフェニルホスフィンの代わりに光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバ・ジャパン(株)製「IRGACURE184」)2質量部を用いた以外は実施例1と同様にして板状のアクリル系硬化物を作製し、その平行光線透過率および屈折率を測定した。その結果を表1に示す。
【0066】
(比較例2)
トリフェニルホスフィンの代わりに光重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(チバ・ジャパン(株)製「DAROCUR1173」)2質量部を用いた以外は実施例1と同様にして板状のアクリル系硬化物を作製し、その平行光線透過率および屈折率を測定した。その結果を表1に示す。
【0067】
(実施例2)
トリシクロデカンジメタノールジアクリレートの代わりにトリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成(株)製「アロニックスM−309」、硬化物の屈折率:1.512(波長589nm))100質量部を用いた以外は実施例1と同様にして板状のアクリル系硬化物を作製し、その平行光線透過率および屈折率を測定した。その結果を表1に示す。
【0068】
(比較例3)
トリフェニルホスフィンの代わりに2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(チバ・ジャパン(株)製「DAROCUR1173」)2質量部を用いた以外は実施例2と同様にして板状のアクリル系硬化物を作製し、その平行光線透過率および屈折率を測定した。その結果を表1に示す。
【0069】
【表1】

【0070】
表1に示した結果から明らかなように、触媒または硬化剤としてリン系化合物を使用した場合(実施例1〜2)には、アルキルフェノン系化合物を使用した場合(比較例1〜3)に比べて、波長350nm以下の平行光線透過率が非常に高くなることが確認された。
【0071】
(実施例3)
前記式(7)で表されるトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(ダイセル・サイテック(株)製「IRR214−K」、硬化物の屈折率:1.527(波長589nm))60質量部と、下記式(8):
【0072】
【化8】

【0073】
で表されるフルオレン骨格を有するアクリレート(大阪ガスケミカル(株)製「オグソールEA−0200」、硬化物の屈折率:1.624(波長589nm))40質量部と、トリフェニルホスフィン(TPP)2質量部とを混合して樹脂ワニス(アクリル系硬化性組成物を調製した。この樹脂ワニスから実施例1と同様にしてアクリル系硬化物を作製し、その屈折率(波長589nm)を測定したところ、1.566であった。
【0074】
(実施例4)
トリシクロデカンジメタノールジアクリレートの量を70質量部、フルオレン骨格を有するアクリレートの量を30質量部に変更した以外は実施例3と同様にして樹脂ワニスを調製し、アクリル系硬化物を作製した。このアクリル系硬化物の屈折率(波長589nm)は1.556であった。
【0075】
(実施例5)
トリシクロデカンジメタノールジアクリレートの量を80質量部、フルオレン骨格を有するアクリレートの量を20質量部に変更した以外は実施例3と同様にして樹脂ワニスを調製し、アクリル系硬化物を作製した。このアクリル系硬化物の屈折率(波長589nm)は1.546であった。
【0076】
(実施例6)
実施例3で調製した樹脂ワニスをEガラス系ガラスクロス(日東紡(株)製「WEA116E」、屈折率:1.548(波長589nm))に含浸させた後、離型処理した2枚のPETフィルムで挟み、80Wで30秒間紫外線照射を行なって前記樹脂ワニスを硬化させた。その後、前記PETフィルムを剥離し、窒素雰囲気下、250℃で2時間焼成してアクリル系複合シートを得た。このアクリル系複合シートの全光線透過率を、分光光度計((株)島津製作所製「UV−2400PC」)を用いて測定した。その結果を表2に示す。
【0077】
次に、このアクリル系複合シートについて、超促進耐候試験機(岩崎電気(株)製「アイスーパーUVテスター」)を使用して下記の条件で耐光性試験を行い、試験後のアクリル系複合シートの全光線透過率を、前記分光光度計を用いて測定した。その結果を表2に示す。
【0078】
<耐光性試験条件>
照射強度:100mW/cm
照射時間:48時間
ブラックパネル温度:63℃
湿度:50%RH
なお、この試験条件は0.83年分の太陽光暴露条件に相当するものである。
【0079】
(比較例4)
前記2種類のアクリレートモノマーの代わりに、下記式(9):
【0080】
【化9】

【0081】
で表される3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(ダイセル化学工業(株)製「セロキサイド2021P」)55質量部とビスフェノールS型エポキシ樹脂(DIC(株)製「エピクロンEXA1514」)45質量部を用い、トリフェニルホスフィンの代わりにカチオン重合開始剤として芳香族スルホニウム塩(三新化学工業(株)「サンエイドSI−100L」)1質量部とスルホニウム塩系重合開始剤((株)ADEKA製「アデカオプトマーSP−170」)3質量部を用いた以外は実施例6と同様にしてエポキシ系複合シートを作製し、その全光線透過率を測定した。その結果を表2に示す。
【0082】
次に、このエポキシ系複合シートについて実施例6と同様にして耐光性試験を行い、試験後のエポキシ系複合シートの全光線透過率を測定した。その結果を表2に示す。
【0083】
【表2】

【0084】
表2に示した結果から明らかなように、実施例6のアクリル系複合シートは、比較例4のエポキシ系複合シートに比べて、太陽光照射による劣化が抑制されることが確認された。
【0085】
なお、実施例3で調製した樹脂ワニスにおいては、その硬化物と前記Eガラス系ガラスクロスとの波長589nmにおける屈折率差は+0.018であったが、実施例6のアクリル系複合シートの全光線透過率(波長400〜600nm)については、実施例3〜5で調製した樹脂ワニスの中でも最も優れたものであった。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上説明したように、本発明によれば、450nm以下の紫外線領域においても優れた透明性を示し且つ紫外線や青色光に対する耐光性に優れた(メタ)アクリル系硬化物を得ることが可能となる。
【0087】
したがって、本発明の(メタ)アクリル系硬化物は透明性に優れるため、LED用封止材などとして有用であり、LEDの輝度を向上させることが可能となる。また、本発明の(メタ)アクリル系硬化物は紫外線や青色光に対する耐光性にも優れるため、青色LED用封止材として特に有用であり、青色LEDの寿命を長くすることが可能となる。
【0088】
また、本発明の(メタ)アクリル系複合シートは透明性に優れたものであるため、太陽電池、表示装置、照明などに用いられる透明シート、透明電極などとして有用であり、また、(メタ)アクリル系硬化物が耐光性にも優れるため、太陽電池などの屋外設備に用いられる透明シートや透明基板として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル系モノマーまたは(メタ)アクリル系オリゴマーと、リン系触媒またはリン系硬化剤とを含有することを特徴とする(メタ)アクリル系硬化性組成物。
【請求項2】
前記リン系触媒または前記リン系硬化剤がトリフェニルホスフィンであることを特徴とする請求項1に記載の(メタ)アクリル系硬化性組成物。
【請求項3】
前記(メタ)アクリル系モノマーまたは前記(メタ)アクリル系オリゴマーが、構造が異なる2種以上の(メタ)アクリル系モノマーまたは(メタ)アクリル系オリゴマーを含むものであることを特徴とする請求項1または2に記載の(メタ)アクリル系硬化性組成物。
【請求項4】
前記(メタ)アクリル系モノマーまたは前記(メタ)アクリル系オリゴマーがジシクロペンタジエン骨格を有するものであることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系硬化性組成物。
【請求項5】
前記(メタ)アクリル系モノマーまたは前記(メタ)アクリル系オリゴマーがフルオレン骨格を有するものであることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系硬化性組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系硬化性組成物を硬化させてなるものであることを特徴とする(メタ)アクリル系硬化物。
【請求項7】
請求項6に記載の(メタ)アクリル系硬化物と、ガラス繊維またはガラスフィラーとを含有することを特徴とする(メタ)アクリル系複合シート。
【請求項8】
請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系硬化性組成物を調製する工程と、
前記(メタ)アクリル系硬化性組成物を硬化させる工程と、
を含むことを特徴とする(メタ)アクリル系硬化物の製造方法。
【請求項9】
前記(メタ)アクリル系硬化性組成物を紫外線照射により硬化させることを特徴とする請求項8に記載の(メタ)アクリル系硬化物の製造方法。
【請求項10】
前記(メタ)アクリル系硬化性組成物を調製する工程において、構造が異なる2種以上の(メタ)アクリル系モノマーまたは(メタ)アクリル系オリゴマーを併用し、その混合比を調整することによって、前記(メタ)アクリル系硬化物の屈折率を制御することを特徴とする請求項8または9に記載の(メタ)アクリル系硬化物の製造方法。

【公開番号】特開2011−105804(P2011−105804A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259961(P2009−259961)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】