説明

(メタ)アクリル酸エステル系重合体を含有する反応性組成物の製造方法

【課題】シロキサン結合を形成することによって架橋し得る珪素含有官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体であって、環境問題を引き起こす可能性がある芳香族化合物を溶剤として含まず、GEVの2001年2月14日版に記載の測定法においてのTVOC(全揮発性有機化合物)の放散量が1,500μg/m未満である重合体あるいはその組成物を提供する。
【解決手段】分子鎖として(メタ)アクリル酸エステル単量体単位からなり、シロキサン結合を形成することによって架橋しうる珪素含有官能基を有する重合体(A)成分の製造方法であって、(メタ)アクリル酸エステル単量体を重合する工程を含み、重合溶媒として芳香族系溶剤を含まない溶剤を用いることを特徴とする製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は芳香族化合物を溶媒として含有しない(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造方法、および該重合体の組成物に関する。特には(メタ)アクリル酸エステル単量体およびシロキサン結合を形成することによって架橋しうる珪素含有官能基を有する単量体を共重合して得られる重合体の上記製造方法に関する。なお、本発明において(メタ)アクリル酸エステルとはアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルをいう。
【背景技術】
【0002】
シロキサン結合を形成することによって架橋し得る珪素含有官能基を有し、分子鎖として(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を有する重合体(以下、重合体(A)成分ともいう)は特許文献1〜6等の各公報に記載され、シ−リング材や接着剤等に用いることができる。特に、シロキサン結合を形成することによって架橋し得る珪素含有官能基を有するオキシアルキレン重合体(以下、オキシアルキレン重合体(B)成分ともいう)との組成物として用いる場合に有用である。
【0003】
重合体(A)成分は、通常重合時に溶媒としてトルエン、キシレンなどの芳香族化合物が用いられる。これはこれらの溶媒が重合体を溶解する性質が大きく、安価であるためである。しかし、シックハウス問題、半導体用クリ−ンル−ム内部の環境負荷軽減等の環境問題から芳香族化合物にかわる溶媒を用いることが望ましい。
【特許文献1】特特開昭59−78223号公報
【特許文献2】特開昭59−168014号公報
【特許文献3】特開昭60−31556号公報
【特許文献4】特開昭60−228516号公報
【特許文献5】特開昭60−228517号公報
【特許文献6】特開昭63−112642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、芳香族化合物でなくても重合体(A)成分の重合に用いることができる溶媒を用いた製造方法および該方法により得られる重合体の組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は溶媒として非芳香族系溶剤、中でもアルコ−ル系溶剤およびカルボニル基含有溶剤から選ばれる1種以上、望ましくは炭素数3〜4のアルコ−ルおよびジアルキルカ−ボネ−トから選ばれる1種以上を用いると芳香族化合物と同様に重合反応を進行させることができ、生成重合体は析出せずに溶媒中に溶解しており、溶媒臭が少なく重合体(A)成分の製造に好適であることを見出した。また、上記溶剤とともに(A)成分の重合時に特定のアゾ系開始剤を使用した場合、配合物を塗布した際に該配合物から放散されるVOC(揮発性有機化合物)を抑制することができることも同時に見出した。さらに、上記製造方法により得られた該重合体(A)成分を使用することで、芳香族系溶剤を使用する従来品と比較して得られる(A)成分の分子量分布(Mw/Mn)が狭く、オキシアルキレン重合体(B)成分と混合した場合の相溶性が良好となり、耐候性を向上させることができることも見出した。更に、分子量分布を狭く制御できることで、得られた組成物の力学的物性、耐候性を低下させることなく、粘度を低く抑えることが可能となり、その結果、組成物を塗布する場合の作業性を改善できることを見出し、本発明に至った。即ち本発明は次の発明に関する。
【0006】
(1)分子鎖として(メタ)アクリル酸エステル単量体単位からなり、シロキサン結合を形成することによって架橋しうる珪素含有官能基を有する重合体(A)成分の製造方法であって、(メタ)アクリル酸エステル単量体を重合する工程を含み、重合溶媒として芳香族系溶剤を含まない溶剤を用いることを特徴とする製造方法。(請求項1)
【0007】
(2)分子鎖として(メタ)アクリル酸エステル単量体単位からなり、シロキサン結合を形成することによって架橋しうる珪素含有官能基を有する重合体(A)成分の製造方法であって、(メタ)アクリル酸エステル単量体を重合する工程を含み、重合溶媒としてアルコ−ル系溶剤およびカルボニル基含有溶剤から選ばれる1種以上を用いることを特徴とする(1)記載の製造方法。(請求項2)
【0008】
(3)分子鎖として(メタ)アクリル酸エステル単量体単位からなり、シロキサン結合を形成することによって架橋しうる珪素含有官能基を有する重合体(A)成分の製造方法であって、(メタ)アクリル酸エステル単量体を重合する工程を含み、重合溶媒として炭素数3〜4の脂肪族アルコ−ルおよびジアルキルカ−ボネ−トから選ばれる1種以上を用いることを特徴とする(1)〜(2)のいずれかに記載の製造方法。(請求項3)
【0009】
(4)(メタ)アクリル酸エステル単量体が(1)炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と(2)炭素数10以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体との混合物であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。(請求項4)
【0010】
(5)分子鎖として(メタ)アクリル酸エステル単量体単位からなり、シロキサン結合を形成することによって架橋しうる珪素含有官能基を有する重合体(A)成分の製造方法であって、重合溶媒として炭素数3〜4の脂肪族アルコ−ルおよびジアルキルカ−ボネ−トから選ばれる1種以上を含有しており、芳香族系化合物の含有量が該重合体に対し1,000ppm以下である製造方法。(請求項5)
【0011】
(6)(A)成分を製造するにあたり、重合溶剤が2−プロパノ−ルであることを特徴する(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法。(請求項6)
【0012】
(7)(A)成分を製造するにあたり、重合溶剤がジメチルカ−ボネ−トであることを特徴する(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法。(請求項7)
【0013】
(8)(A)成分を製造するにあたり、開始剤として2,2’−アゾビス(ジメチルバレロニトリル)を使用することを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の製造方法。(請求項8)
【0014】
(9)分子鎖として(メタ)アクリル酸エステル単量体単位からなり、シロキサン結合を形成することによって架橋しうる珪素含有官能基を有する重合体(A)成分およびシロキサン結合を形成することによって架橋しうる珪素含有官能基を有するオキシアルキレン重合体(B)成分を含有する反応性組成物(以下、反応性組成物(C)成分と称す)、並びに芳香族系溶剤以外の溶剤を含有しており、芳香族系溶剤の含有量が該(C)成分全体に対して1,000ppm以下である重合体組成物であって、(A)成分が(1)〜(8)のいずれかに記載の製造方法により得られる重合体組成物。(請求項9)
【0015】
(10)反応性組成物(C)成分が、該(C)成分からの空気中への有機化合物の放散量がGEV(ゲマインシャフト・エミッションコントリールテ・フェリーゲヴェルクシュトッフェ・エー・ヴェー)の定めるGEVスペシフィケーション・アンド・クラシフィケーション・クライテリア2001年2月14日版に記載の測定法において、1,500μg/m未満である(9)記載の組成物。(請求項10)
【0016】
(11)前記(C)成分からの空気中への有機化合物の放散量が、GEVの定めるGEVスペシフィケーション・アンド・クラシフィケーション・クライテリア2001年2月14日版に記載の測定法において、500μg/m未満であるところの(9)記載の組成物。(請求項11)
【0017】
(12)シロキサン結合を形成することによって架橋しうる珪素含有官能基を有するオキシアルキレン重合体(B)成分の原料であるオキシアルキレン重合体が、苛性アルカリを用いるアニオン重合法、オキシアルキレン重合体を原料とした鎖延長反応方法、複合金属シアン化物錯体を触媒とする重合法、セシウム金属を触媒とする重合法またはポリフォスファゼン塩を触媒とする重合法からなる群から選択される少なくとも1種の方法により得られたオキシアルキレン重合体であることを特徴とする(9)〜(11)のいずれかに記載の組成物。(請求項12)
【0018】
(13)(A)成分および(B)成分におけるシロキサン結合を形成することによって架橋しうる珪素含有官能基が、ジメチルモノメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、トリメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジイソプロペニルオキシシリル基およびトリイソプロペニルオキシシリル基からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする(9)〜(12)のいずれかに記載の組成物。(請求項13)
【0019】
(14)シロキサン結合を形成することによって架橋しうる珪素含有官能基を有するオキシアルキレン重合体(B)成分の原料であるオキシアルキレン重合体が複合金属シアン化物錯体を触媒とする重合法により得られたものであって、数平均分子量(Mn)が6,000以上かつ分子量分布(Mw/Mn)が1.6以下であることを特徴とする(9)〜(13)のいずれかに記載の組成物。(請求項14)
【0020】
(15)反応性組成物(C)成分を、常温で10日、続いて50℃で14日反応せしめた硬化物からの空気中への有機化合物の放散量が100μg/m未満であるところの(9)〜(14)のいずれかに記載の組成物。(請求項15)
【0021】
(16)反応性組成物(C)成分がトルエン、キシレン、スチレン、エチルベンゼン、パラジクロルベンゼン、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジ−n−ブチル、またはホルムアルデヒドのいずれも含有しないことを特徴とする(9)〜(15)のいずれかに記載の組成物。(請求項16)
【0022】
(17)反応性組成物(C)成分が、請求項10記載の方法での有機化合物の放散量が、トルエン、キシレン、スチレン、エチルベンゼン、パラジクロルベンゼン、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジ−n−ブチル、のいずれもが1μg/m未満であり、かつホルムアルデヒドが5μg/m未満であることを特徴とする(9)〜(15)のいずれかに記載の組成物。(請求項17)
【発明の効果】
【0023】
本発明の製造方法で得られた重合体や重合体組成物は芳香族化合物を含有する必要はなく、環境問題を引き起こすことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明に用いる(メタ)アクリル酸エステル単量体は一般式(1)で示される単量体が好ましい。
CH=C(R)COOR ・・・(1)
(式中、Rは水素原子またはメチル基、Rは置換または非置換の1価の炭化水素基を示す。)
前記一般式(1)中のRとしては、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基などの炭素数1〜8のアルキル基;ラウリル基、トリデジル基、セチル基、ステアリル基、炭素数22のアルキル基、ベヘニル基などの炭素数10以上のアルキル基;グリシジル基、アミノエチル基、ジエチルアミノエチル基などの置換炭化水素基をあげることができる。
【0025】
一般式(1)で示される化合物としてはこれらの基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体をあげることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。これらの中ではR2としてメチル基やn−ブチル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体が好ましい。重合体(A)成分中には(メタ)アクリル酸エステル単量体以外の単量体に起因する単位が含まれていてもよい。重合体(A)成分中の(メタ)アクリル酸エステル単量体に起因する単位の量は50重量%以上、さらには70重量%以上が好ましい。
【0026】
(メタ)アクリル酸エステル単量体以外の単量体としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸などのカルボン酸基、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロ−ルアクリルアミド、N−メチロ−ルメタクリルアミドなどのアミド基、グリシジルアクリレ−ト、グリシジルメタクリレ−トなどのエポキシ基、ジエチルアミノエチルアクリレ−ト、ジエチルアミノエチルメタクリレ−ト、アミノエチルビニルエ−テルなどのアミノ基を含む単量体;その他アクリロニトリル、イミノールメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、アルキルビニルエ−テル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレンなどの単量体があげられる。
【0027】
後記するように、重合体(A)成分とオキシアルキレン重合体(B)成分を併用して用いる場合には、(メタ)アクリル酸エステル単量体として一般式(2)に示す単量体と一般式(3)に示す単量体の混合物を用いることが望ましい。
CH=C(R)COOR ・・・(2)
(式中、Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素数1〜8のアルキル基を示す。)
CH=C(R)COOR ・・・(3)
(式中、Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素数10以上のアルキル基を示す。)
としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、さらには炭素数1〜2のアルキル基が好ましい。具体例としては上記のものがあげられる。Rとしては炭素数10〜30の長鎖アルキル基が好ましくは、さらには炭素数10〜20の長鎖アルキル基が好ましい。具体例としては上記のものがあげられる。重合体(A)成分中の一般式(2)に示す単量体と一般式(3)に示す単量体に起因する単量体単位の合計量は50重量%以上になるようにするのが好ましく、70重量%以上になるようにするのがさらに好ましい。また、重合体(A)成分中の式(2)に示す単量体単位と一般式(3)に示す単量体単位の存在比は重量比で95:5〜40:60が好ましく、90:10〜60:40がさらに好ましい。
【0028】
一般式(2)に示す単量体と一般式(3)に示す単量体以外の単量体としてはたとえばアクリル酸、メタクリル酸などのカルボン酸基、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロ−ルアクリルアミド、N−メチロ−ルメタクリルアミドなどのアミド基、グリシジルアクリレ−ト、グリシジルメタクリレ−トなどのエポキシ基、ジエチルアミノエチルアクリレ−ト、ジエチルアミノエチルメタクリレ−ト、アミノエチルビニルエ−テルなどのアミノ基を含む単量体;その他アクリロニトリル、イミノ−ルメタクリレ−ト、スチレン、α−メチルスチレン、アルキルビニルエ−テル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレンなどの単量体があげられる。
【0029】
重合体(A)成分は、数平均分子量で500〜100,000のものが取扱いの容易さの点から好ましい。
【0030】
本発明にいうシロキサン結合を形成することによって架橋しうる珪素含有官能基(以下、反応性シリコン官能基ともいう。)はよく知られた官能基であり、室温においても架橋し得るという特徴を有する。この反応性シリコン官能基の代表例は、一般式(4):
−(−Si(R)X2−a−O−)−Si(R)X3−b ・・・(4)
(式中、Rは炭素数1〜20の置換もしくは非置換の1価の有機基またはトリオルガノシロキシ基、Xは水酸基または異種もしくは同種の加水分解性基、aは0、1または2の整数、bは0、1、2または3の整数でa=2でかつb=3にならない、mは0〜18の整数)で表わされる。経済性などの点から好ましい反応性シリコン官能基は一般式(5):
−Si(R)X3−n ・・・(5)
(式中、R、Xは前記に同じ、nは0、1または2の整数)で表わされる基である。
【0031】
重合体(A)成分中の反応性シリコン官能基の個数は充分な硬化性を得る点から平均1個以上、更には1.1個以上、特には1.5個以上が好ましく、また見掛け上反応性シリコン官能基1個当りの数平均分子量が300〜4,000になるように存在することが好ましい。
【0032】
一般式(4)および(5)における加水分解性基の具体例としては、たとえばハロゲン原子、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメ−ト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基などがあげられる。これらのうちでも加水分解性のマイルドさの点からメトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基が好ましい。
【0033】
また一般式(4)および(5)におけるRの具体例としては、たとえばメチル基、エチル基などのアルキル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基などのアリ−ル基、ベンジル基などのアラルキル基などがあげられる。さらにRは一般式:(RSiO−(Rは前記に同じ)で示されるトリオルガノシロキシ基であってもよい。これらのうちではトリメチルシロキシ基が特に好ましい。
【0034】
重合体(A)成分に反応性シリコン官能基を導入する方法としては種々の方法があるが、たとえば(イ)重合性不飽和結合と反応性シリコン官能基を有する化合物(たとえばCH=CHSi(OCH)とを、一般式(1)で表わされる単量体に添加して共重合する方法、(ロ)重合性不飽和結合および反応性官能基(以下、Y基という)を有する化合物(たとえばアクリル酸)を一般式(1)で表わされる単量体に添加して共重合させ、そののち生成した共重合体を反応性シリコン官能基およびY基と反応しうる官能基(以下、Y′官能基という)を有する化合物(たとえばイソシアネ−ト基と−Si(OCH基を有する化合物)と反応させる方法などがあげられる。
【0035】
前記重合性不飽和結合と反応性シリコン官能基を有する化合物としては、一般式(6):
−(−Si(R)X2−a−O−)−Si(R)X3−b ・・・(6)
(式中、Rは重合性不飽和結合を有する有機残基、R、X、a、bおよびmは前記に同じ)で表わされる化合物が示される。一般式(6)で表わされる化合物のうちで好ましいものは、一般式(7):
CH=C(R)−Q−Si(CH3−n ・・・(7)
(式中、R、Xおよびnは前記に同じ、Qは−COOR−(Rは−CH−、−CHCH−などの炭素数1〜6の2価のアルキレン基)、−CHCHCH−、−CHOCOCCOO(CH−などの2価の有機基または直接結合)で表わされる化合物である。
【0036】
前記一般式(6)または(7)で示される化合物の具体例としては、たとえば次の化合物があげられる。CH=CHSi(CH)(OCH、CH=CHSi(CH)Cl、CH=CHSi(OCH、CH=CHSiCl、CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH、CH=CHCOO(CHSi(OCH、CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl、CH=CHCOO(CHSiCl、CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH、CH=C(CH)COO(CHSi(OCH、CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH、CH=C(CH)COO(CHSi(OCH、CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl、CH=C(CH)COO(CH2)SiCl、CH=CHCHOC(O)−Ph−COO(CHSi(CH)(OCH、CH=CHCHOC(O)−Ph−COO(CHSi(OCH、CH=CHCHOC(O)−Ph−COO(CHSi(CH)Cl、CH=CHCHOC(O)−Ph−COO(CHSiCl、が挙げられる。但し、Phはフェニル基を示す。
【0037】
これらのシラン化合物は種々の方法により合成されるが、たとえばアセチレン、アリルアクリレ−ト、アリルメタクリレ−ト、ジアリルフタレ−トなどとメチルジメトキシシラン、メチルジクロルシランなどとをVIII族遷移金属の触媒下で反応させることにより製造することができる。このような遷移金属錯体触媒としては、白金、ロジウム、コバルト、パラジウムおよびニッケルから選ばれたVIII族遷移金属錯体化合物が有効に使用される。とくに白金ブラック、塩化白金酸、白金アルコ−ル化合物、白金オレフィンコンプレックス、白金アルデヒドコンプレックス、白金ケトンコンプレックスなどの白金系化合物が有効である。
【0038】
前記(ロ)の方法について一例をあげて説明する。(ロ)の方法で用いる化合物中、Y基およびY′基の例としては種々の基の組合わせがあるが、一例としてY基としてビニル基、Y′としてヒドロシリコン基(H−Si)をあげることができる。Y基とY′基とはヒドロシリル化反応をおこし結合しうる。Y基としてビニル基をもち、さらに重合性不飽和結合を有する化合物としては、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ジアリルフタレ−ト、ネオペンチルグリコ−ルジアクリレ−ト、ネオペンチルグリコ−ルジメタクリレ−ト、1,5−ペンタンジオ−ルジアクリレ−ト、1,5−ペンタンジオ−ルジメタクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジアクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジメタクリレ−ト、ポリエチレングリコ−ルジアクリレ−ト、ポリエチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、ポリプロピレングリコ−ルジアクリレ−ト、ポリプロピレングリコ−ルジメタクリレ−ト、ジビニルベンゼン、ブタジエンなどをあげることができる。
【0039】
またY′基としてヒドロシリコン基をもち、さらに反応性シリコン官能基を有する化合物の代表例として、一般式(8):
H−(−Si(R)X2−a−O−)−Si(R)X3−b ・・・(8)
(式中、R、X、a、bおよびmは前記に同じ)で表わされるヒドロシラン化合物が示される。
【0040】
一般式(8)で示されるヒドロシラン化合物の具体例としては、トリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、トリメチルシロキシジクロロシランなどのハロゲン化シラン類;トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチル−1,1−ジメトキシテトラシロキサンなどのアルコキシシラン類;メチルジアセトキシシラン、トリメチルシロキシメチルアセトキシシランなどのアシロキシシラン類;ビス(ジメチルケトキシメ−ト)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルケトキシメ−ト)メチルシラン、ビス(ジエチルケトキシメ−ト)トリメチルシロキシシランなどのケトキシメ−トシラン類;ジメチルシラン、トリメチルシロキシメチルシラン、1,1−ジメチル−2,2−ジメチルジシロキサンなどのハイドロシラン類;メチルトリ(イソプロペニルオキシ)シランなどのアルケニルオキシシラン類などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
なお、ヒドロシラン化合物をC=C結合と反応させる際に用いるヒドロシラン化合物の量は、C=C結合に対して任意量使用すればよいが、0.5〜2倍モルの使用が好ましい。ただし、これ以上のシラン量の使用を妨げるものではなく、これ以上使用しても未反応のヒドロシランとして回収されるだけである。
【0042】
また、ヒドロシラン化合物をC=C結合に反応させる段階で前記VIII族遷移金属錯体の触媒を必要とする。このヒドロシリル化反応は50〜130℃の任意の温度で達成され、反応時間は1〜10時間程度である。
【0043】
本発明の重合体(A)成分は、ビニル重合、たとえばラジカル反応によるビニル重合により、一般式(1)で表される単量体を通常の溶液重合法により重合させることにより得られる。
【0044】
反応は前記単量体および要すればラジカル開始剤などを、好ましくは数平均分子量500〜100,000の重合体(A)成分を得るために必要に応じてn−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンのごとき連鎖移動剤を加えて50〜150℃で反応させる。本発明では重合溶媒として、トルエン、キシレン、スチレン、エチルベンゼン、パラジクロルベンゼン、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジ−n−ブチル等の芳香族化合物が何れもが1μg/m未満であり、かつホルムアルデヒド等が5μg/m未満である溶剤を用いるのが好ましい。また重合溶媒として、トルエン、キシレン、スチレン、エチルベンゼン、パラジクロルベンゼン、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジ−n−ブチル、ホルムアルデヒドのいずれも含有しない溶剤を用いるのが好ましい。
【0045】
芳香族系溶剤を含まない溶剤としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素系溶剤、酢酸ブチル、酢酸n−プロプル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶剤、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、ジメチルカ−ボネ−ト、ジエチルカ−ボネ−ト等のジアルキルカ−ボネ−ト、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール等のアルコール系溶剤など非反応性の溶剤を用いることができる。これらの中では、厚生労働省指針値策定物質外であること、および臭気、環境対応性の点から、ジアルキルカ−ボネ−ト系溶剤およびアルコール系溶剤から選ばれる1種以上が好ましく、さらには、沸点、GEV試験での組成物からの全揮発性有機化合物(以下、TVOCと略す。)放散性を抑制できる点から、ジメチルカ−ボネ−ト、プロパノ−ル、ブタノ−ルが好ましい。なお、プロパノ−ルとしては、ノルマルプロパノ−ル、2−プロパノ−ル、ブタノ−ルとしてはノルマルブタノ−ル、2−ブタノ−ル、イソブタノ−ル、タ−シャリィブタノ−ルを単独あるいは2種以上混合して用いることができる。これらの中では、第3級炭素に結合した水素原子を有し連鎖移動剤としての作用をするため連鎖移動剤の使用量を低減できる2−プロパノ−ル、イソブタノ−ルが特に好ましい。2−プロパノ−ル、イソブタノ−ルを溶媒として単独で用いることが望ましいが少量の他の溶媒を併用してもよい。
【0046】
溶媒は反応終了後、蒸発等により除去することが望ましい。炭化水素類として芳香族系化合物を併用した場合などには、残存する芳香族系化合物は重合体(A)成分に対し1,000ppm以下であることが望ましい。1,000ppm以下であれば、重合体組成物およびその硬化物から揮散する芳香族系化合物は極微量であるため人体・環境に対する影響が少なくなる。
【0047】
GEV試験によるTVOCの測定条件は、以下のようである。前記(C)成分または(C)成分を含む組成物を300g/mになるようにガラス板に塗布し、塗布物0.4mに対して空間容量が1mになるように、チャンバ−(ステンレス製)容量を設定し、23℃×50%R.Hで養生した。1時間毎にチャンバ−容量の1/2の空気を交換して、10日目のチャンバ−内の空気を吸収管(標準吸収管;Tenax TA)に捕集、脱着し、ガスクロマトグラフィ−によってVOC成分を測定した。GEV試験で測定されるTVOCの量は1,500μg/m未満が好ましく、500μg/m未満がさらに好ましい。
【0048】
上記GEVの試験条件で、23℃×50%R.H×10日養生した後、さらに50℃×14日養生したのち、同様にチャンバ−内の空気を吸収管に捕集、ガスクロマトグラフィ−によってVOC成分を測定した。この場合、得られた硬化物からのTVOC放散量がGEV試験の捕集、測定方法で100μg/m未満であることが好ましい。
【0049】
前記非芳香族系の溶剤を重合溶剤として使用することで、得られる重合体(A)成分の分子量分布(Mw/Mn)を、芳香族系溶剤を用いて重合した場合より、狭く制御することが可能である。分子量分布(Mw/Mn)としては、1.8〜3.0程度、好ましくは1.7〜2.5、さらに好ましくは1.5〜2.3である。
【0050】
(A)成分の分子量分布(Mw/Mn)を狭く制御できるということで、分岐部分が比較的少ない(A)成分が得られ、オキシアルキレン重合体(B)成分と混合した際の相溶性が向上する。それにより、組成物中に(A)成分が微視的により均一に分散することが可能となり、得られる硬化物の耐候性を向上させることができる。また、(A)成分を(B)成分に対してより均一にさせることで、得られた組成物の力学的物性、耐候性を低下させることなく、粘度を低く抑えることができる。その結果、組成物を塗布する場合の作業性を改善することができる。
【0051】
また、(A)成分を重合する際、重合開始剤として、例えば、ベンゾイルパ−オキサイド、ラウリルパ−オキサイド、クミルパ−オキシネオデカノエ−ト、t−ブチルパ−オキシネオデカノエ−ト等のパ−オキサイド系開始剤、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カ−ボニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネ−ト)等のアゾ系開始剤が使用可能である。これらの中でも、開始剤自体の保存条件の点および得られる重合体の分子量特性の点から、アゾ系開始剤が好ましい。中でも、GEVの試験でのTVOC放散性の点から、2,2’−アゾビス(ジメチルバレロニトリル)が特に好ましい。
【0052】
本発明において使用される分子中に反応性シリコン官能基を有するオキシアルキレン重合体(オキシアルキレン重合体(B)成分)は、特公昭45−36319、同46−12154、同49−32673、特開昭50−156599、同51−73561、同54−6096、同55−82123、同55−123620、同55−125121、同55−131022、同55−135135、同55−137129、特開平3−72527の各公報などに開示されている。
【0053】
オキシアルキレン重合体(B)成分の分子鎖は、本質的に一般式:−R−O−(式中、Rは2価の有機基であるが、その大部分が炭素数3または4の炭化水素基であるとき最も好ましい)で示される繰返し単位を有するものが好ましい。Rの具体例としては、−CHCH−、−CH(CH)CH−、−CH(C)CH−、−C(CHCH−、−CHCHCH−、−CHCHCHCH−などがあげられる。前記オキシアルキレン重合体の分子鎖は1種だけの繰返し単位からなっていてもよいし、2種以上の繰返し単位よりなっていてもよく、さらに主鎖中に分岐構造を有していても良い。Rとしては特に−CH(CH)CH−が好ましい。
【0054】
オキシアルキレン重合体(B)成分中の反応性シリコン官能基とは、前記と同じである。
【0055】
オキシアルキレン重合体の分子鎖を得るにはアルキレンオキシド類、具体的には、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、α−ブチレンオキシド、β−ブチレンオキシド、ヘキセンオキシド、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、α−メチルスチレンオキシド、およびアルキルまたはアリルまたはアリ−ルグリシジルエ−テル類、具体的にはメチルグリシジルエ−テル、エチルグリシジルエ−テル、イソプロピルグリシジルエ−テル、ブチルグリシジルエ−テル、アリルグリシジルエ−テル、フェニルグリシジルエ−テル等の2個から12個の炭素原子を有する置換若しくは非置換エポキシを用い、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ブタンジオ−ル、ヘキサメチレングリコ−ル、メタリルアルコ−ル、水素化ビスフェノ−ルA、ネオペンチルグリコ−ル、ポリブタジエンジオ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリプロピレントリオ−ル、ポリプロピレンテトラオ−ル、ジプロピレングリコ−ル、グリセリン、トリメチロ−ルメタン、トリメチロ−ルプロパン、ペンタエリスリト−ル等の2価アルコ−ル又は多価アルコ−ル及び水酸基を有する各種のオリゴマ−を開始剤として種々の触媒の存在下開環重合させることによって得られるポリエ−テルを使用することができる。この重合の触媒としてはKOH、NaOH等のアルカリ触媒、トリフルオロボラン−エ−テラ−ト等の酸性触媒、アルミノポルフィリン金属錯体やシアン化コバルト亜鉛−グライム錯体触媒等の複合金属シアン化物錯体触媒、非金属分子触媒のホスファゼン触媒(PZN)、セシウム触媒等の既に公知のものが用いられる。特に副反応が少ない複合金属シアン化物錯体触媒、非金属分子触媒のホスファゼン触媒(PZN)の使用が、高分子量の割に低粘度の重合体が得られるので好ましい。
【0056】
分子鎖がオキシアルキレン系重合体で末端に水酸基を有するものは、例えば特開昭46−27250、同50−149797、同61−197631、特公昭59−15336、特開平2−276821、同10−273512、同11−106500等に記載されているものが挙げられる。
【0057】
オキシアルキレン重合体(B)成分中の反応性シリコン官能基の個数は、充分な硬化性を得る点から平均で1個以上、さらには1.1個以上、とくには1.5個以上が好ましい。また反応性シリコン官能基は、硬化性および硬化物の伸びの点からオキシアルキレン重合体(B)成分の分子鎖末端に存在することが好ましい。
【0058】
オキシアルキレン重合体(B)成分の数平均分子量は、重合体組成物の取り扱いやすさ、硬化性、及び硬化物の伸びの点から500〜50,000のものが好ましく、3,000〜20,000のものがさらに好ましい。またゲルパ−ミュエ−ションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定した分子量分布(Mw/Mn)が2.0以下であることが好ましい。分子量分布が2.0以下であると、数平均分子量が大きくとも粘度が低いことより、よい作業性を示すため好ましい。オキシアルキレン重合体(B)成分は単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。また、より作業性が良好な重合体が得られる点から、複合金属シアン化物錯体触媒を使用して得られた数平均分子量(Mn)が6,000以上で分子量分布(Mw/Mn)が1.6以下である(B)成分を用いることがさらに好ましい。
【0059】
オキシアルキレン重合体(B)成分は、たとえば一般式(8)で表わされる水素化シリコン化合物と一般式(9):
CH=C(R)−R10−(O)− ・・・(9)
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜20の1価の有機基、R10は炭素数1〜20の2価の有機基、cは0または1の整数)で示されるオレフィン基を有するポリエ−テルとを前記白金化合物などVIII族遷移金属触媒を触媒として付加反応させることにより製造したものなどがあげられる。
【0060】
前記以外のオキシアルキレン重合体(B)成分を製造する方法としては、(イ)水酸基末端オキシアルキレン重合体にトルエンジイソシアネ−トのようなポリイソシアネ−ト化合物を反応させてイソシアネ−ト基末端オキシアルキレン重合体とし、そののち該イソシアネ−ト基に一般式(10):
W−R10−Si(R)X3−n ・・・(10)
(式中、Wは水酸基、カルボキシル基、メルカプト基およびアミノ基(1級または2級)から選ばれた活性水素含有基、n、R、R10およびXは前記に同じ)で示されるシリコン化合物のW基を反応させる方法、(ロ)一般式(9)で示されるオレフィン基を有するオキシアルキレン重合体のオレフィン基に、Wがメルカプト基である一般式(10)で示されるシリコン化合物のメルカプト基を付加反応させる方法、および(ハ)水酸基末端オキシアルキレン重合体の水酸基に、一般式(11):
OCN−R10−Si(R)X3−n ・・・(11)
(式中、R、R10、Xおよびnは前記に同じ)を反応させる方法などが具体的にあげられるが、本発明ではこれら上述の方法に限定されるものではない。
【0061】
一般式(9)で示されるオレフィン基を有するオキシアルキレン重合体の具体的製造法としては、特開昭54−6097公報や特開平3−72727公報において開示されている方法、あるいはエチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのエポキシ化合物を重合する際に、アリルグリシジルエ−テルなどのオレフィン基含有エポキシ化合物を添加して共重合することにより側鎖にオレフィン基を導入する方法などが例示され得る。
【0062】
本発明の組成物における重合体(A)成分とオキシアルキレン重合体(B)成分との比率は、オキシアルキレン重合体(B)成分100重量部に対して重合体(A)成分の量が5〜5,000重量部の範囲が、(A)成分、(B)成分の各重合体の特性改善の効果が顕著であるため好ましく、さらに好ましくは5〜2,000重量部の範囲であり、目的とする用途、性能に応じて選択するのが通常である。
【0063】
本発明の組成物は重合体(A)成分とオキシアルキレン重合体(B)成分をそれぞれ製造しその後混合することによって得られるが、オキシアルキレン重合体(B)成分の存在下に(メタ)アクリル酸エステル単量体を重合することによっても得ることができる。
【0064】
本発明の組成物には、さらに種々の硬化促進剤、充填剤、可塑剤、添加剤などを添加してもよい。
【0065】
硬化促進剤としては、たとえば有機スズ化合物、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルとアミンとの反応物、飽和または不飽和の多価カルボン酸またはその酸無水物、有機チタネ−ト化合物などがあげられる。
【0066】
前記有機スズ化合物の具体例としては、ジブチルスズジラウレ−ト、ジオクチルスズジマレ−ト、ジブチルスズフタレ−ト、オクチル酸スズ、ジブチルスズメトキシドなどがあげられる。前記酸性リン酸エステルは、特開昭63−112642公報に開示されている。有機チタネ−ト化合物としては、テトラブチルチタネ−ト、テトライソプロピルチタネ−ト、トリエタノ−ルアミンチタネ−トなどのチタン酸エステルがあげられる。
【0067】
重合体(A)成分とオキシアルキレン重合体(B)成分との合計量100重量部に対する硬化促進剤の量は、0.1〜20重量部が好ましく、さらに好ましくは0.5〜10重量部である。
【0068】
充填剤としては重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、シリカ、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、カ−ボンブラックなどが使用される。
【0069】
可塑剤としてはジオクチルフタレ−ト、ブチルベンジルフタレ−ト、塩素化パラフィン、エポキシ化大豆油、その他が用いられる。
【0070】
添加剤としては、水添ヒマシ油、有機ベントナイトなどのタレ防止剤、着色剤、老化防止剤などが用いられる。また、接着性、硬化性、貯蔵安定性の改良のために、種々のアルキルシラン、アミノシラン、エポキシシラン等のシリコン化合物を添加することができる。
【0071】
このようにして得られる組成物は、接着剤や粘着剤、塗料、塗膜防水材、密封材組成物、型取り用材料および注型ゴム材料、発泡材料などとして有用に使用することができる。特に建築用接着剤や密封材として、住宅内部に用いる場合に好適である。
【実施例】
【0072】
本発明をより一層明らかにするために、以下に具体的な実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0073】
(合成例1)
105℃に加熱したイソブタノ−ル43g中に、アクリル酸ブチル28g、メタクリル酸メチル46g、メタクリル酸ステアリル20g、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン4.4gおよびイソブタノ−ル23gからなる混合物に重合開始剤としてアゾビス−2−メチルブチロニトリル2.0gを溶かした溶液を4時間かけて滴下した後、2時間後重合を行ない、固形分濃度60%で、GPC(ポリスチレン換算)による数平均分子量(Mn)が8,700の共重合体を得た(ポリマ−A)。
【0074】
(比較合成例1)
105℃に加熱したトルエン43g中にアクリル酸ブチル28g、メタクリル酸メチル46g、メタクリル酸ステアリル20g、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン4.4gおよびトルエン23gからなる混合物に重合開始剤としてアゾビス−2−メチルブチロニトリル2.0gを溶かした溶液を4時間かけて滴下した後、2時間後重合を行ない、固形分濃度60%で、GPC(ポリスチレン換算)による数平均分子量(Mn)が9,100の共重合体を得た(ポリマ−B)。
【0075】
(合成例2)
105℃に加熱したイソブタノ−ル43g中にアクリル酸ブチル6.0g、メタクリル酸メチル66g、メタクリル酸ステアリル13g、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン5.4g、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン7.0gおよびイソブタノ−ル23gからなる混合物に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル2.6gを溶かした溶液を4時間かけて滴下した後、2時間後重合を行ない、固形分濃度60%で、GPC(ポリスチレン換算)による数平均分子量(Mn)が1,900の共重合体を得た(ポリマ−C)。
【0076】
(合成例3)
105℃に加熱したノルマルブタノ−ル43g中にアクリル酸ブチル6.0g、メタクリル酸メチル66g、メタクリル酸ステアリル13g、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン5.4g、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン7.0gおよびノルマルブタノ−ル23gからなる混合物に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル2.6gを溶かした溶液を4時間かけて滴下した後、2時間後重合を行ない、固形分濃度60%で、GPC(ポリスチレン換算)による数平均分子量(Mn)が2,000の共重合体を得た(ポリマ−D)。
【0077】
(合成例4)
100℃に加熱したt−アミルアルコール43g中にアクリル酸ブチル8.0g、メタクリル酸メチル64、メタクリル酸ステアリル13g、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン5.4g、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン7.0gおよびt−アミルアルコール23gからなる混合物に重合開始剤としてアゾビス−2−メチルブチロニトリル2.6gを溶かした溶液を4時間かけて滴下した後、2時間後重合を行ない、固形分濃度60%で、GPC(ポリスチレン換算)による数平均分子量(Mn)が2,000の共重合体を得た(ポリマ−E)。
【0078】
(合成例5)
115℃に加熱した酢酸ブチル43g中にアクリル酸ブチル6.0g、メタクリル酸メチル66g、メタクリル酸ステアリル13g、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン5.4g、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン7.0gおよび酢酸ブチル23gからなる混合物に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル2.6gを溶かした溶液を4時間かけて滴下した後、2時間後重合を行ない、固形分濃度60%で、GPC(ポリスチレン換算)による数平均分子量(Mn)が1,800の共重合体を得た(ポリマ−F)。
【0079】
(合成例6)
100℃に加熱した酢酸プロピル43g中にアクリル酸ブチル6.0g、メタクリル酸メチル66g、メタクリル酸ステアリル13g、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン5.4g、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン7.0gおよび酢酸プロピル23gからなる混合物に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル2.6gを溶かした溶液を4時間かけて滴下した後、2時間後重合を行ない、固形分濃度60%で、GPC(ポリスチレン換算)による数平均分子量(Mn)が2,100の共重合体を得た(ポリマ−G)。
【0080】
(合成例7)
100℃に加熱したメチルシクロヘキサン43g中にアクリル酸ブチル6.0g、メタクリル酸メチル66g、メタクリル酸ステアリル13g、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン5.4g、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン7.0gおよびメチルシクロヘキサン23gからなる混合物に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル2.6gを溶かした溶液を4時間かけて滴下した後、2時間後重合を行ない、固形分濃度60%で、GPC(ポリスチレン換算)による数平均分子量(Mn)が2,100の共重合体を得た(ポリマ−H)。
【0081】
(合成例8)
105℃に加熱したイソブタノ−ル43g中にアクリル酸ブチル19g、メタクリル酸メチル66g、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン5.4g、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン7.0gおよびイソブタノ−ル23gからなる混合物に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル2.6gを溶かした溶液を4時間かけて滴下した後、2時間後重合を行ない、固形分濃度60%で、GPC(ポリスチレン換算)による数平均分子量(Mn)が2,100の共重合体を得た(ポリマ−I)。
【0082】
(合成例9)
105℃に加熱したイソブタノ−ル60g中にグリシジルメタクリレート60g、アクリロニトリル30g、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10gおよびイソブタノ−ル40gからなる混合物に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1.0gを溶かした溶液を4時間かけて滴下した後、2時間後重合を行ない、固形分濃度50%で、GPC(ポリスチレン換算)による数平均分子量(Mn)が14,600の共重合体を得た(ポリマ−J)。
【0083】
(合成例10)
105℃に加熱したイソブタノ−ル33g中にアクリル酸ブチル98g、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン2.0gおよびイソブタノ−ル17gからなる混合物に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.6gを溶かした溶液を4時間かけて滴下した後、2時間後重合を行ない、固形分濃度60%で、GPC(ポリスチレン換算)による数平均分子量(Mn)が11,700の共重合体を得た(ポリマ−K)。
【0084】
(合成例11)
80℃に加熱した2−プロパノ−ル43g中にアクリル酸ブチル6.0g、メタクリル酸メチル66g、メタクリル酸ステアリル13g、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン5.4g、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン7.0gおよび2−プロパノ−ル23gからなる混合物に重合開始剤として2,2’−アゾ(2,4−ジメチルバレロニトリル)2.6gを溶かした溶液を4時間かけて滴下した後、2時間後重合を行ない、固形分濃度60%で、GPC(ポリスチレン換算)による数平均分子量(Mn)が1,900の共重合体を得た(ポリマ−L)。
【0085】
(合成例12)
90℃に加熱したジメチルカ−ボネ−ト43g中にアクリル酸ブチル19g、メタクリル酸メチル66g、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン5.4g、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン7.0gおよびジメチルカ−ボネ−ト23gからなる混合物に重合開始剤として2,2’−アゾ(2,4−ジメチルバレロニトリル)2.6gを溶かした溶液を4時間かけて滴下した後、2時間後重合を行ない、固形分濃度60%で、GPC(ポリスチレン換算)による数平均分子量(Mn)が2,100の共重合体を得た(ポリマ−M)。
【0086】
(比較合成例2)
105℃に加熱したトルエン43g中にアクリル酸ブチル6.0g、メタクリル酸メチル66g、メタクリル酸ステアリル13g、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン5.4g、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン7.0gおよびトルエン23gからなる混合物に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル2.6gを溶かした溶液を4時間かけて滴下した後、2時間後重合を行ない、固形分濃度60%で、GPC(ポリスチレン換算)による数平均分子量(Mn)が1,800の共重合体を得た(ポリマ−N)。
【0087】
(合成例13)
ポリプロピレングリコ−ルおよびポリプロピレントリオ−ルを開始剤とし亜鉛ヘキサシアノコバルテ−トグライム錯体触媒にてプロピレンオキシドの重合を行い、末端基分析による数平均分子量13,000のポリオキシプロピレングリコ−ルを得た。続いてこの水酸基末端ポリオキシプロピレングリコ−ルの水酸基に対して1.2倍当量のNaOCHのメタノ−ル溶液を添加してメタノ−ルを留去し、さらに3−クロロ−1−プロペンを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。次に得られたアリル基末端オキシプロピレン重合体500gに対しヘキサン10gを加えて90℃で共沸脱水を行い、ヘキサンを減圧下留去した後、窒素置換した。これに対して白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のキシレン溶液)30μlを加え、撹拌しながら、DMS(ジメトキシメチルシラン)7.0gをゆっくりと滴下した。その混合溶液を90℃で2時間反応させた後、未反応のDMSを減圧下留去し反応性シリコン官能基含有ポリオキシプロピレン重合体を得た。得られた重合体のH−NMR分析より、末端への反応性シリコン官能基導入率は75%であることを確認した(ポリマ−O)。得られた重合体の数平均分子量は約13,000であった。
【0088】
(実施例1)
合成例1で得られた共重合体(ポリマ−A)と合成例13で得られたオキシアルキレン重合体(ポリマ−O)とを固形分比(重量比)40/60でブレンドし、エバポレ−タ−を用い、減圧下、110℃加熱条件で脱揮を行ない、固形分濃度99%以上の本発明の組成物を得た。
【0089】
(実施例2〜12)
共重合体として合成例2〜12で得られた共重合体(ポリマ−C〜M)を使用する以外は、実施例1と同様にして本発明の組成物を得た。
【0090】
(比較例1,2)
共重合体として比較合成例1、2で得られた共重合体(ポリマ−B、N)を使用する以外は、実施例1と同様にして本発明の組成物を得た。
【0091】
上記により得た組成物中の残存溶剤量をガスクロマトグラフィ−(検出限界:50ppm)を用いて定量したところ、表1の結果を得た。
【0092】
【表1】

【0093】
<GEVの放散性試験>
実施例11、12、及び比較例1の組成物からの有機化合物の10日後の放散量(TVOC)をGEV法により求めた。(ただし、組成物塗布時、硬化触媒として錫硬化触媒(商品名U220、日東化成製)を重合体の合計量100重量部に対して2重量部配合した。)
実施例1、2及び比較例1のGEV法による有機化合物の放散量のデータを表2に示す。
【0094】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子鎖として(メタ)アクリル酸エステル単量体単位からなり、シロキサン結合を形成することによって架橋しうる珪素含有官能基を有する重合体(A)成分の製造方法であって、(メタ)アクリル酸エステル単量体を重合する工程を含み、重合溶媒として芳香族系溶剤を含まない溶剤を用いることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
分子鎖として(メタ)アクリル酸エステル単量体単位からなり、シロキサン結合を形成することによって架橋しうる珪素含有官能基を有する重合体(A)成分の製造方法であって、(メタ)アクリル酸エステル単量体を重合する工程を含み、重合溶媒としてアルコ−ル系溶剤およびカルボニル基含有溶剤から選ばれる1種以上を用いることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
分子鎖として(メタ)アクリル酸エステル単量体単位からなり、シロキサン結合を形成することによって架橋しうる珪素含有官能基を有する重合体(A)成分の製造方法であって、(メタ)アクリル酸エステル単量体を重合する工程を含み、重合溶媒として炭素数3〜4の脂肪族アルコ−ルおよびジアルキルカ−ボネ−トから選ばれる1種以上を用いることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の製造方法。
【請求項4】
(メタ)アクリル酸エステル単量体が(1)炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と(2)炭素数10以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体との混合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
分子鎖として(メタ)アクリル酸エステル単量体単位からなり、シロキサン結合を形成することによって架橋しうる珪素含有官能基を有する重合体(A)成分の製造方法であって、重合溶媒として炭素数3〜4の脂肪族アルコ−ルおよびジアルキルカ−ボネ−トから選ばれる1種以上を含有しており、芳香族系化合物の含有量が該重合体に対し1,000ppm以下である製造方法。
【請求項6】
(A)成分を製造するにあたり、重合溶剤が2−プロパノ−ルであることを特徴する請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
(A)成分を製造するにあたり、重合溶剤がジメチルカ−ボネ−トであることを特徴する請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
(A)成分を製造するにあたり、開始剤として2,2’−アゾビス(ジメチルバレロニトリル)を使用することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
分子鎖として(メタ)アクリル酸エステル単量体単位からなり、シロキサン結合を形成することによって架橋しうる珪素含有官能基を有する重合体(A)成分およびシロキサン結合を形成することによって架橋しうる珪素含有官能基を有するオキシアルキレン重合体(B)成分を含有する反応性組成物(以下、反応性組成物(C)成分と称す)、並びに芳香族系溶剤以外の溶剤を含有しており、芳香族系溶剤の含有量が該(C)成分全体に対して1,000ppm以下である重合体組成物であって、(A)成分が請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法により得られる重合体組成物。
【請求項10】
反応性組成物(C)成分が、該(C)成分からの空気中への有機化合物の放散量がGEV(ゲマインシャフト・エミッションコントリールテ・フェリーゲヴェルクシュトッフェ・エー・ヴェー)の定めるGEVスペシフィケーション・アンド・クラシフィケーション・クライテリア2001年2月14日版に記載の測定法において、1,500μg/m未満である請求項9記載の組成物。
【請求項11】
前記(C)成分からの空気中への有機化合物の放散量が、GEVの定めるGEVスペシフィケーション・アンド・クラシフィケーション・クライテリア2001年2月14日版に記載の測定法において、500μg/m未満であるところの請求項9記載の組成物。
【請求項12】
シロキサン結合を形成することによって架橋しうる珪素含有官能基を有するオキシアルキレン重合体(B)成分の原料であるオキシアルキレン重合体が、苛性アルカリを用いるアニオン重合法、オキシアルキレン重合体を原料とした鎖延長反応方法、複合金属シアン化物錯体を触媒とする重合法、セシウム金属を触媒とする重合法またはポリフォスファゼン塩を触媒とする重合法からなる群から選択される少なくとも1種の方法により得られたオキシアルキレン重合体であることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
(A)成分および(B)成分におけるシロキサン結合を形成することによって架橋しうる珪素含有官能基が、ジメチルモノメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、トリメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジイソプロペニルオキシシリル基およびトリイソプロペニルオキシシリル基からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
シロキサン結合を形成することによって架橋しうる珪素含有官能基を有するオキシアルキレン重合体(B)成分の原料であるオキシアルキレン重合体が複合金属シアン化物錯体を触媒とする重合法により得られたものであって、数平均分子量(Mn)が6,000以上かつ分子量分布(Mw/Mn)が1.6以下であることを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
反応性組成物(C)成分を、常温で10日、続いて50℃で14日反応せしめた硬化物からの空気中への有機化合物の放散量が100μg/m未満であるところの請求項9〜14のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
反応性組成物(C)成分がトルエン、キシレン、スチレン、エチルベンゼン、パラジクロルベンゼン、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジ−n−ブチル、またはホルムアルデヒドのいずれも含有しないことを特徴とする請求項9〜15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
反応性組成物(C)成分が、請求項10記載の方法での有機化合物の放散量が、トルエン、キシレン、スチレン、エチルベンゼン、パラジクロルベンゼン、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジ−n−ブチル、のいずれもが1μg/m未満であり、かつホルムアルデヒドが5μg/m未満であることを特徴とする請求項9〜15のいずれかに記載の組成物。

【公開番号】特開2008−88439(P2008−88439A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−332930(P2007−332930)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【分割の表示】特願2002−139033(P2002−139033)の分割
【原出願日】平成14年5月14日(2002.5.14)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】