説明

(メタ)アクリル酸系含水ゲル体の製造方法および(メタ)アクリル酸系含水ゲル

【課題】経皮吸収製剤や化粧料または冷却シートなどに用いられる、(メタ)アクリル酸系重合体を用いた含水ゲル体の製造時において、架橋速度を任意に調整する方法を提供する。
【解決手段】(メタ)アクリル酸系重合体(成分A)に、アルミニウム含有化合物(成分B)および水(成分C)を混合して、(メタ)アクリル酸系重合体を架橋する際に、1価または2価の金属イオンを含有する金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属塩(成分D)を添加して(メタ)アクリル酸系重合体の架橋速度を調整することを特徴とする(メタ)アクリル酸含水ゲル体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経皮吸収製剤や化粧料または冷却シートなどに用いられる、(メタ)アクリル酸系重合体を用いた含水ゲル体の製造時において、原料組成物に金属塩を加えることにより架橋速度が変化することを利用した架橋速度の調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、医療用としての経皮吸収製剤、冷却シートまたは化粧料等において、アクリル酸系重合体を用いた含水ゲル体が多く用いられている。この含水ゲル体を製造する方法として、一般にポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリル酸ナトリウム共重合体やポリアクリル酸架橋物などのポリマーを、アルミニウム化合物を用いてイオン架橋させることで成形させている(特開平8−104631号公報、特開2002-
275056号公報)。
【0003】
アルミニウム化合物は一般に水に対して難溶性のものが用いられている。これは水に易溶性のものを用いると、ゲルの架橋が一気に進行し、架橋が不均一になってしまうためである。また、架橋速度が速すぎて製造上の不都合が生じる場合もある。このため水に対して難溶性のアルミニウム化合物を、酸を用いて徐々に溶解せしめて架橋させる方法が一般的である。酸としては有機酸、中でも乳酸や酒石酸といった分子内に水酸基とカルボキシル基を両方含むオキシカルボン酸類が用いられている(特開昭60−226808号公報)。
【特許文献1】特開平8−104631号公報
【特許文献2】特開2002-275056号公報
【特許文献3】特開昭60−226808号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
しかしながら、実際には、上記特許文献に開示された条件にて製造しても架橋速度の調整は困難であり、架橋が速すぎたり、遅すぎたりするケースがほとんどである。架橋が速い場合、急激にゲルが硬くなり塗工や成形が困難となる。一方で遅すぎる場合、例えば支持体である不織布などに塗工すると不織布からしみ出したり、また硬化に時間がかかるので生産性が低下する。
【0005】
これらの課題を解決するものとして、架橋を遅くするために、例えばエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムやエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム二水塩などのキレート剤を添加し、アルミニウムを一時的に補足して架橋の進行を遅らせる手法がとられていた。しかしながらこの方法だと極端に架橋が遅くなってしまい、さらには他の原料への影響や人体に適用する際は毒性の問題があり、かつ架橋を早めることはできないなどの多くの制約があった。
【0006】
この他、含水ゲルを製造する(=練合する)際に低温下にて行い、アルミニウムイオンの溶解を遅延させる方法もあるが、同じく架橋速度が極端に遅くなり、また生産コストが高くなるといった問題点があった。一方で架橋を速くする方法として、成形後に加熱するというものがあった。しかしながら、この方法では生産性が悪化し、また熱に不安定な化合物を混入することが困難となったり、水分の揮発に伴ってゲルが不均一化したりするなどの課題があった。
【0007】
かかる実情から、上述の従来技術の課題を解決し、極めて単純な組成で、毒性の問題もなく、しかも従来と同じ製造プロセスに適用が可能な(メタ)アクリル酸系重合体の架橋速度の調整方法を提供することが求められていた。
【0008】
本発明者らは、この様な実情に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、アルミニウム含有化合物を用いてアクリル酸塩系重合体を架橋させることによってゲル体の処方検討を行う中で、1価または2価の金属イオンを含有する金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属塩を添加することで、ゲル体の架橋速度を任意に調整できることを突き詰め、種々の金属塩を用いて、それらの架橋速度に対する影響を追究することによって、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、(メタ)アクリル酸系重合体(成分A)、アルミニウム含有化合物(成分B)および水(成分C)を含む混合物に、少なくとも1種の1価または2価の金属イオンを含有する金属塩(成分D)を添加することで、(メタ)アクリル酸系重合体の架橋速度を任意に調整できることを見出した。
【0010】
本発明の構成要件は以下の[1]〜[16]に示される。
[1](メタ)アクリル酸系重合体(成分A)に、アルミニウム含有化合物(成分B)および水(成分C)を混合して、(メタ)アクリル酸系重合体を架橋する際に、1価または2価の金属イオンを含有する金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属塩(成分D)を添加して(メタ)アクリル酸系重合体の架橋速度を調整することを特徴とする(メタ)アクリル酸系含水ゲル体の製造方法。
[2]金属塩(成分D)をあらかじめ水へ溶解させて添加する前記[1]に記載の(メタ)アクリル酸系含水ゲル体の製造方法。
[3]前記金属塩(成分D)を0〜40℃の温度範囲において添加する前記[1]または[2]に記載の(メタ)アクリル酸系含水ゲル体の製造方法。
[4]前記(メタ)アクリル酸系重合体が、一般式(1)、(2)および(3)で表される繰り返し単位を含み、
−CH2C(R1)(COOM)− (1)
−CH2C(R2)(COOH)− (2)
−X− (3)
(式中、R1、R2はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、MはNH4+またはアルカリ金属を、Xは不飽和単量体由来の2価の有機基を表す。)
(1)/(2)=100/0〜0/100(モル比)、かつ(1)および(2)の総量/(3)=100/0〜10/90(モル比)である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸系含水ゲル体の製造方法。
[5]前記(メタ)アクリル酸系重合体(成分A)が、アクリル酸ナトリウム−N−ビニルアセトアミド共重合体である前記[4]に記載の(メタ)アクリル酸系含水ゲル体の製造方法。
[6]前記Mがナトリウムであり、かつ前記繰り返し単位(1)および(2)が、(1)/(2)=0/100〜100/0(モル比)の範囲であり、前記繰り返し単位(3)を含まない前記[4]に記載の(メタ)アクリル酸系含水ゲル体の製造方法。
[7]前記(メタ)アクリル酸系重合体(成分A)の平均粒径(d50)が30〜250μmの範囲である前記[1]〜[6]のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸系含水ゲル体の製造方法。
[8]前記金属塩(成分D)が塩化ナトリウムである前記[1]〜[7]のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸系含水ゲル体の製造方法。
[9]前記金属塩(成分D)が塩化マグネシウムである前記[1]〜[7]のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸系含水ゲル体の製造方法。
[10]さらに多価アルコール(成分E)を含む前記[1]〜[9]のいずれかに記載の(
メタ)アクリル酸系含水ゲル体の製造方法。
[11]前記金属塩(成分D)をあらかじめ多価アルコール(成分E)へ分散させて添加する前記[10]に記載の(メタ)アクリル酸系含水ゲル体の製造方法。
[12]前記[1]〜[11]のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸系含水ゲル体の製造方法で得られてなることを特徴とする(メタ)アクリル酸系含水ゲル体。
[13]前記含水ゲル体に含まれる水の含有量が5〜98質量%である[12]に記載の含水ゲル体。
[14]前記[12]または[13]に記載の含水ゲル体を用いた経皮吸収製剤。
[15]前記[12]または[13]に記載の含水ゲル体を用いた冷却シート。
[16]前記[12]または[13]に記載の含水ゲル体を用いた化粧料。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、任意に架橋速度の調整が可能となり、目的に応じて所望のゲルを調製できる。
さらに、極めて単純な組成で、毒性の問題もなく、しかも従来と同じ製造プロセスに適用が可能である。
【0012】
そして、得られたゲルは、被着体への粘着性に優れ、使用感が良好で、皮膚への刺激性が少なくしかも離しょう液が生じることが無いという優れた特性を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明では、含水ゲル体を製造する際に(メタ)アクリル酸系重合体の架橋速度を、
(メタ)アクリル酸系重合体(成分A)に、アルミニウム含有化合物(成分B)および水(成分C)を混合して、(メタ)アクリル酸系重合体を架橋する際に、1価または2価の金属イオンを含有する金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属塩(成分D)を添加して調整することを特徴とする。
【0014】
このように、成分Dを添加することで、架橋速度を任意に調整することが可能となる。
その理由について、明確ではないものの、金属塩の添加による架橋速度調整のメカニズムについて、以下のように本発明者らは想定している。
【0015】
架橋が速まる場合においては、金属イオンの存在に伴ってカルボキシレートの濃度が上昇し、その結果としてアルミニウムイオンと(メタ)アクリル酸系重合体中とのイオン結合形成が促進されるため、と考えられる。ここで、架橋速度を速める傾向を示すのは1価の金属を含む金属塩、中でもナトリウム塩においてその傾向が強い。
【0016】
一方、架橋が遅くなる場合は、アルミニウムイオンより先に(メタ)アクリル酸系重合体中のカルボキシル基と添加の金属塩中の金属イオンがイオン結合し、アルミニウムイオンと(メタ)アクリル酸系重合体中のカルボキシル基とのイオン結合の形成を妨げるためで、その後、金属イオンとアルミニウムイオンが置換してアルミニウムイオンと重合体との架橋が進行するため、と考えられる。この時、金属がアルミニウムよりイオン化傾向が大きければイオンの置換がよりスムーズになされるものと考えられる。ここで、架橋速度を遅くする傾向を示すのは、2価の金属を含む金属塩、中でもカルシウム塩であり、これはアルミニウムよりも先にカルシウムイオンが(メタ)アクリル酸系重合体中のカルボキシル基とイオン結合を形成するためであると考えられ、その結果としてポリマー分子が凝集してゲル強度が小さくなるため、と考えられる。
【0017】
(成分D)
成分Dとしては、1価または2価の金属イオンを含有する金属塩が挙げられる。
1価の金属塩として、リチウムを含有するものは、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、硝
酸リチウム、硫化リチウム、硫酸リチウム、塩化リチウム、炭酸リチウム、フッ化リチウム、ニオブ酸リチウム、過酸化リチウム、水酸化リチウム、モリブデン酸リチウム、過塩素酸リチウム、酢酸リチウム、ギ酸リチウム、タングステン酸リチウム、次亜塩素酸リチウム、無水酢酸リチウム二水和物、ヨウ化リチウム二水和物、硫酸水素リチウム、酢酸リチウム二水和物、臭化リチウム一水和物、硫酸リチウム一水和物、炭酸ジリチウム、炭酸二リチウム、シュウ酸ジリチウム、硫酸ジリチウム、硫酸二リチウム、クロム酸リチウム二水和物、コバルト酸リチウム、クロム酸リチウム二水和物、水酸化リチウム一水和物、クエン酸リチウム四水和物、クエン酸リチウム四水和物、水酸化リチウム一水和物、過塩素酸リチウム三水和物、六フッ化リン酸リチウム、過塩素酸リチウム三水和物などが挙げられる。ナトリウムを含有する化合物として、アジ化ナトリウム、酢酸ナトリウム、ナトリウムアセチリド、臭化ナトリウム、ギ酸ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、乳酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫化ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、臭素酸ナトリウム、塩化ナトリウム、水素化ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、エカベトナトリウム、酪酸ナトリウム、ヘパリンナトリウム、塩素酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、シアン酸ナトリウム、シアン化ナトリウム、フッ化ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、過酸化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、スズ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、スラミンナトリウム、安息香酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、クロム酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、セレン酸ナトリウム、セレン化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、IMPジナトリウム、アルギン酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過硫酸ナトリウム、亜リ
ン酸ナトリウム、ロダン化ナトリウム、ヒ酸二ナトリウム、亜セレン酸ナトリウム、アンフェナクナトリウム、トルメチンナトリウム、ピルビン酸ナトリウム、サッカリンナトリウム、アルミン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、多硫化ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、バルプロ酸ナトリウム、イオポダートナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸二ナトリウム、過ヨウ素酸ナトリウム、レビパリンナトリウム、ポルフィマーナトリウム、カルモナムナトリウム、セフミノクスナトリウム、フロモキセフナトリウム、セファロチンナトリウム、セファゾリンナトリウム、ラタモキセフナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、チアミラールナトリウム、トリクロホスナトリウム、炭酸水素ナトリウム、重クロム酸ナトリウム、二クロム酸ナトリウム、ホウフッ化ナトリウム、酸性硫化ナトリウムリン酸二ナトリウム、ベラプロストナトリウム、セフォテタンナトリウム、セフテゾールナトリウム、ファロペネムナトリウム、クエン酸三ナトリウム、セファピリンナトリウム、アンピシリンナトリウム、セフォキシチンナトリウム、セフスロジンナトリウム、セフロキシムナトリウム、ダントロレンナトリウム、アンチモン酸ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、タングステン酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、三リン酸ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム、ダルテパリンナトリウム、パルナパリンナトリウム、ダナパロイドナトリウム、セフォジジムナトリウム、カルメロースナトリウム、イオタラム酸ナトリウム、ホスカルネットナトリウム、メタ亜硫酸ナトリウム、セフォタキシムナトリウム、セフピラミドナトリウム、シクラム酸ナトリウム、ジクロフェナクナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、チオペンタールナトリウム、チカルシリンナトリウム、ホスホマイシンナトリウム、ヒ酸ナトリウム、ホスフィン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、イミトロダストナトリウム、ブクラデシンナトリウム、水酸化ホウ素ナトリウム、グルクロン酸ナトリウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、セフメタゾールナトリウム、セフチゾキシムナトリウム、クロキサシリンナトリウム、シクラミン酸ナトリウム、フルオレセインナトリウム、リオチロニンナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム、ピペラシリンナトリウム、ヒドロ亜硫酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、ナフチオン酸ナトリウム、過マンガン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、フルバスタチンナトリウム、プラバスタチンナトリウム、ラベプラゾールナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アモバルビタールナトリウム、セファマンドールナトリウム、セフォペラゾンナトリウム、フ
ェロシアン化ナトリウム、硫化水素ナトリウム、メタバナジン酸ナトリウム、ケイフッ化ナトリウム、キサントゲン酸ナトリウム、フルオロ酢酸ナトリウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム、クロモグリク酸ナトリウム、ピコスルファートナトリウム、フルオロ酢酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、セリバスタチンナトリウム、酢酸ナトリウム三水和物、セフトリアキソンナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カルベニシリンナトリウム、セフブペラゾンナトリウム、フマル酸一ナトリウム、レボチロキシンナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、スルベニシリンナトリウム、ホウ酸ナトリウム十水和物、メタバナジウム酸ナトリウム、メタ過ヨウ素酸ナトリウム、コール酸ナトリウム水和物、硫酸ナトリウム十水和物、ドデシル硫酸ナトリウム、セコバルビタールナトリウム、ロベンザリット二ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、ニトロプルシドナトリウム、炭酸二ナトリウム、ジクロキサシリンナトリウム、フタロシアニンナトリウム、チオグリコール酸ナトリウム、硫酸ジナトリウム、金チオリンゴ酸ナトリウム、2−ビフェニロールナトリウム、コール酸ナトリウムn水和物、スズ酸ナトリウム三水和物、硫化ナトリウム九水和物、エデト酸二ナトリウムカルシウム、エポプロステノールナトリウム、クエン酸第一鉄ナトリウム、無水炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム七水和物、ケイアルミン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウムカフェイン、ヒ酸水素二ナトリウム、サッカリンナトリウム二水和物、二塩基性リン酸ナトリウム、トリクロロ酢酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ブロムフェナクナトリウム水和物、モリブデン酸ナトリウム二水和物、塩基性リン酸ナトリウム、三塩基性リン酸ナトリウム、トリフルオロ酢酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、クロム酸ナトリウム四水和物、コハク酸ナトリウム六水和物、クエン酸二水素ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、酒石酸アンチモンナトリウム、シアノボロ水素化ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、プラステロン硫酸ナトリウム、亜セレン酸ナトリウム五水塩、ジピクリルアミンナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム四水和物、テトラヒドロホウ酸ナトリウム、アシルβ−アラニンナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、過塩素酸ナトリウム一水和物、(+)−パントテン酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム(無水)、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、スルファニル酸ナトリウム二水和物、セルロース硫酸ナトリウム、パントプラゾールナトリウム水和物、コンドロイチン硫酸ナトリウム、メチルアルソン酸ジナトリウム、メチルアルソン酸二ナトリウム、ヘキサフルオロケイ酸ナトリウム、リン酸リボフラビンナトリウム、スルファニル酸ナトリウム二水和物、デキストラン硫酸ナトリウムイオウ、リン酸三ナトリウム十二水和物、5'−グアニル酸ジナトリウム、5'−イノシン酸ジナトリウム、デキストラン硫酸ナトリウムイオウ18、スルホブロモフタレインナトリウム、リン酸三ナトリウム十二水和物、5'−シチジル酸ジナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウム塩、リン酸ベタメタゾンナ
トリウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、リン酸プレドニゾロンナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム塩、ジクロロイソシアヌル酸、ナトリウム塩、リン酸デキサメタゾンナトリウム、リン酸エストラムスチンナトリウム、コハク酸プレドニゾロンナトリウム、フマル酸水素1−ナトリウム、ヘキサシアノ鉄(II)酸ナトリウム、1-ドデカンスルホン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム二水和物、カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、2−ヒドロキシプロパン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム十水和物、ピロリン酸二水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム二水和物、ピロリン酸二水素二ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム十二水和物、コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、コハク酸クロラムフェニコールナトリウム、2−ヒドロキシプロピオン酸ナトリウム、2−ヒドロキシコハク酸ジナトリウム、(Z)−9−オクタデセン酸ナトリウム、2−ヒドロキシコハク酸二ナトリウム、シクロヘキシルスルファミン酸ナトリウム、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、ウリジン−5'−二リン酸二ナトリウム、ジフェニルアミン−4−ス
ルホン酸ナトリウム、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、イノシン5'−モノホ
スファートナトリウム塩、イノシン−5'−リン酸ジナトリウム、シチジン−5'−リン酸
ジナトリウム、N−シクロヘキシルスルファミン酸ナトリウム、シチジン5'−[リン酸二ナトリウム]、グアノシン−5'−リン酸ジナトリウム、(E)−2−ブテン二酸水素1-ナトリウム、メタスルホ安息香酸デキサメタゾンナトリウム、ジフェニルアミン-4-スルホ
ン酸ナトリウム、2、4−ジクロロフェノキシ酢酸ナトリウム塩、(2、4−ジクロロフェノキシ)酢酸ナトリウム、1、5−ナフタレンジスルホン酸二ナトリウム、ペンタクロロフェノール、ナトリウム塩(工業用)、(2、4−ジクロロフェノキシ)酢酸ナトリウム、ナトリウム4−(2,4−ジクロロ−m−トルオイル)−1、3−ジメチルピラゾール−5−オラート、2−メチル−4−クロロフェノキシ酢酸ナトリウム、(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)酢酸ナトリウム、[(4−クロロ−2−メチルフェニル)オキシ]酢酸ナトリウム、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム、ナトリウム5−エチル−5、8−ジヒドロ−8−オキソフロ[3、2−b][1、8]ナフチリジン−7−カルボキシラート、2−ヒドロキシ−1、2、3−プロパントリカルボン酸三ナトリウム、2−ヒドロキシ−1、2、3−プロパントリカルボン酸トリナトリウム、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸三ナトリウム、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸トリナトリウム、1−フェニルアゾ−2−ナフトール−4',6−ジスルホン
酸ジナトリウム、1−(p−ソジオスルホフェニルアゾ)−2−ヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、6−ヒドロキシ−5−[(4−スルホフェニル)アゾ]−2−ナフタレンスルホン酸ジナトリウム、2−ヒドロキシ(1,1'−アゾビスナフタレン
)−3,4',6−トリスルホン酸トリナトリウム、(+)−N−[(R)−2,4−ジ
ヒドロキシ−3,3−ジメチルブチリル]−β−アラニンナトリウム、4−[(2,4−ジメチルフェニル)アゾ]−3−ヒドロキシ−2,7−ナフタレンジスルホン酸ジナトリウム、(+)−3−[[(R)−2,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルブチリル]アミノ]プロピオン酸ナトリウム、[メチル(2,3−ジヒドロ−1,5−ジメチル−3−オキソ−2−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)アミノ]メタンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0018】
カリウムを含有する金属塩として、カリウムミョウバン、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウム、硫化カリウム、酢酸カリウム、臭素酸カリウム、塩化カリウム、亜硝酸カリウム、亜硫酸カリウム、ヒ酸カリウム、ヨウ素酸カリウム、カリウムt-ブトキシド、炭酸カリウム、塩素酸カリウム、シアン酸カリウム、シアン化カリウム、フッ化カリウム、シュウ酸カリウム、ケイ酸カリウム、亜ヒ酸カリウム、スズ酸カリウム、クロム酸カリウム、水酸化カリウム、リン酸カリウム、ソルビン酸カリウム、重硫酸カリウム、セレン酸カリウム、過硫酸カリウム、ロダン化カリウム、ロサルタンカリウム、亜セレン酸カリウム、亜テルル酸カリウム、ワルファリンカリウム、過ヨウ素酸カリウム、グルコン酸カリウム、カンレノ酸カリウム、過塩素酸カリウム、チオ硫酸カリウム、重クロム酸カリウム、ホウフッ化カリウム、二クロム酸カリウム、モリブデン酸カリウム、ピロ亜硫酸カリウム、アスパラギン酸カリウム、ペミロラストカリウム、次亜塩素酸カリウム、チオシアン酸カリウム、クラブラン酸カリウム、硫酸カリウムアルミニウム、硫シアン化カリウム、水酸化ホウ素カリウム、次亜リン酸カリウム、メタリン酸カリウム、過マンガン酸カリウム、ピロリン酸カリウム、フェリシアン化カリウム、フェロシアン化カリウム、ケイフッ化カリウム、硫酸水素カリウム、メタバナジン酸カリウム、キサントゲン酸カリウム、蓚酸水素カリウム、クロラゼプ酸二カリウム、セレノシアン酸カリウム、シュウ酸ジカリウム、シュウ酸二カリウム、フルオロケイ酸カリウム、炭酸水素カリウム、スズ酸カリウム三水和物、ペルオキソ二硫酸カリウム、過塩素酸カリウム、硫酸アルミニウムカリウム、ピロリン酸四カリウム、ベンジルペニシリンカリウム、カリウム(メ
チルスルフィニル)メタニド、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水
素二カリウム、リン酸二水素カリウム、グリチルリチン酸二カリウム、テトラフルオロホウ酸カリウム、グアヤコールスルホン酸カリウム、ヘキサフルオロケイ酸カリウム、硫酸カリウムアルミニウム十二水和物、ジチオ炭酸o−エチルカリウム、ヘキサシアノ鉄(III)カリウム、フェノキシメチルペニシリンカリウム、(2E,4E)−2,4−ヘキ
サジエン酸カリウム、(2E,4E)−2,4−ヘキサジエン酸カリウムなどが挙げられる。
【0019】
ルビジウムを含有する化合物として、臭化ルビジウム、ヨウ化ルビジウム、硫酸ルビジウム、塩化ルビジウム、フッ化ルビジウム、酢酸ルビジウム、硫酸水素ルビジウム、炭酸ジルビジウムなどが挙げられ、セシウムを含有する化合物として、セシウムシアニド、臭化セシウム、ヨウ化セシウム、硝酸セシウム、硫酸セシウム、塩化セシウム、炭酸セシウム、フッ化セシウム、炭酸ジセシウム、シュウ酸ジセシウム、硫酸ジセシウム、硫酸二セシウム、L−酒石酸ジセシウム、水酸化セシウム一水和物、トリフルオロ酢酸セシウム、2,3−ジヒドロキシブタン二酸1−セシウム、2,3−ジヒドロキシブタン二酸水素1−セシウムなどが挙げられるが、これらに限ったものではない。
【0020】
また2価の金属イオンを含有する金属塩として、以下のものが挙げられる。
ベリリウムを含有する金属塩としては、臭化ベリリウム、ヨウ化ベリリウム、硝酸ベリリウム、硫化ベリリウム、塩化ベリリウム、フッ化ベリリウム、ケイ酸ベリリウム、ジステアリン酸ベリリウム、硫酸ベリリウム四水塩、アセチルアセトンベリリウム塩などが挙げられ、マグネシウムを含有する金属塩として、マグネシウムオロテート、酢酸マグネシウム、ホウ化マグネシウム、臭化マグネシウム、炭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫化マグネシウム、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、塩素酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、フッ化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ化マグネシウム、水酸化マグネシウム、リン化マグネシウム、オロチン酸マグネシウム、硝酸マグネシウム(II)、ステアリン酸マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ケイフッ化マグネシウム、フルオロケイ酸マグネシウム、臭化フェニルマグネシウム、硝酸マグネシウム六水和物、フタロシアニンマグネシウム、酢酸マグネシウム四水和物、安息香酸マグネシウム三水和物、炭酸カルシウムマグネシウム、クロム酸マグネシウム五水和物、ヘキサフルオロケイ酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウムビスマス、水酸化アルミニウムマグネシウム炭酸塩水和物などが挙げられる。またカルシウムを含有する金属塩として、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、乳酸カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫化カルシウム、炭化カルシウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、ヒ酸カルシウム、水素化カルシウム、砒酸カルシウム、ヨウ素酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩素酸カルシウム、フッ化カルシウム、シュウ酸カルシウム、過酸化カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ化カルシウム、シアン化カルシウム、亜ヒ酸カルシウム、ヘパリンカルシウム、亜塩素酸カルシウム、クロム酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン化カルシウム、ホリナートカルシウム、グルコン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、アスパラギン酸カルシウム、次亜塩素酸カルシウム、ホスホマイシンカルシウム、メタケイ酸カルシウム、チオシアン酸カルシウム、次亜リン酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、過マンガン酸カルシウム、フェノプロフェンカルシウム、塩化カルシウム二水和物、炭酸カルシウムマグネシウム、ポリカルボフィルカルシウム、ムピロシンカルシウム水和物、リン酸水素カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、ジヨードステアリン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、アトルバスタチンカルシウム水和物、(+)−パントテン酸カルシウム、パラアミノサリチル酸カルシウム、コハク酸トコフェロールカルシウム、ポリスチレンスルホン酸カルシウム、(+)−パントテン酸カルシウム塩(2:1)、アルミノパラアミノサリチル酸カルシウム、3−ヒドロキシ−4−[(4−メチル−2−スルフォフェニル)アゾ]−2−ナフタレンカルボン酸カルシウム塩などが挙げられ、バリウムを含有する化合物とし、アジ化バリウム、酢酸バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、硝酸バリウム、硫酸バリウム、ギ酸バリウム、乳酸バリウム、塩化バリウム、亜硫酸バリウム、炭酸バリウム、塩素酸バリウム、フッ化バリウム、過酸化バリウム、シアン化バリウム、クロム酸バリウム、水酸化バリウム、チタン酸バリウム、セレン酸バリウム、リン酸バリウ
ム、硝酸バリウム(II)、亜セレン酸バリウム、マンガン酸バリウム、シュウ酸バリウム、ステアリン酸バリウム、過塩素酸バリウム、チオ硫酸バリウム、次亜塩素酸バリウム、過マンガン酸バリウム、クロラニル酸バリウム、塩化バリウム二水和物、二酢酸バリウム、臭化バリウム二水和物、ジプロピオン酸バリウム、塩素酸バリウム一水和物、水酸化バリウム八水和物、チオシアン酸バリウムニ水和物、チオ硫酸バリウム一水和物、アセチルアセトンバリウム二水和物、などが挙げられるが、これらに限ったものではない。上記、1価または2価の金属イオンを含有する金属塩の内、アルミニウムよりもイオン化傾向の大きい金属イオンを含むものが好ましく、より好ましくはナトリウム、カリウム、マグネシウムあるいはマグネシウムの各金属を含有するものである。さらに安全上および金属塩の安定性の観点から塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムおよび塩化マグネシウム、中でも塩化ナトリウムと塩化マグネシウムが好ましい。
【0021】
成分Dの添加量としては、成分A〜Dの合計組成物に対して、0.01〜15質量%、好ましくは0.1〜10質量%の範囲で含まれていることが望ましい。
特に、後述する、成分Aが[COOM]を含み、COOMのモル数に対して、金属塩の量を調整すると、より効率的に架橋速度を調整することができる。
【0022】
1価の金属塩を添加する場合、その添加量としては、(メタ)アクリル酸系重合体中に含まれるCOOMのモル数に対し、1価の金属イオンのモル数の比が、[COOM]/[1
価の金属イオン]=0.01〜60.0となるのが好ましく、より好ましくは[COOM]
/[1価の金属イオン]=0.1〜40.0である。この比が60.0よりも大きいと金属イオン添加の効果がほとんど得られない場合があるのに対し、0.01よりも小さいと架橋後に離しょう液が生じ易くなったり、ゲル体のpHが変化、また粘着性が低下するなど所望の物性が得られない場合がある。
【0023】
2価の金属塩を添加する場合、(メタ)アクリル酸系重合体中のCOOMのモル数に対し、2価の金属イオンのモル数の比が[COOM]/[2価の金属イオン]=0.01〜50.0となるのが好ましく、より好ましくは[COOM]/[2価の金属イオン]=0.1〜30.0である。ここで、1価の金属塩を2種以上、または2価の金属塩を2種以上併用する場合においては上記内容を超えない範囲とすれば良い。さらに、1価と2価の金属塩を併用する場合においては、2価の金属イオンにおける範囲と同様[COOM]/[1価と2
価の金属イオンの和]=0.01〜50.0とすればよい。
【0024】
架橋速度を調整する場合、1価の金属イオンを用いて架橋を早める場合、添加量を多く
すれば、それだけ早くすることができる。また、2価の金属イオンを用いる場合、添加量を多くすれば、それだけ遅くすることができる。
【0025】
このように、目的とする架橋速度に応じて、金属塩の価数を変えたり、添加量を調節すればよい。
なお、組成物中の(メタ)アクリル酸系重合体(成分A)の添加量については、後述する範囲内におけるものとする。
(成分A)
本発明で使用される(メタ)アクリル酸系重合体(成分A)としては、一般式(1)、(2)および(3)で表される繰り返し単位を含み、
−CH2C(R1)(COOM)− (1)
−CH2C(R2)(COOH)− (2)
−X− (3)
(式中、R1、R2はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、MはNH4+またはアルカリ金属を、Xは不飽和単量体を表す。)
(1)/(2)=100/0〜0/100(モル比)、かつ(1)および(2)の総量
/(3)=100/0〜10/90(モル比)であるものが好ましい。
【0026】
前記成分(A)は、具体的には、アクリル酸またはメタクリル酸のナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩、アンモニウム塩等の単独重合体、アクリル酸またはメタクリル酸のナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩、アンモニウム塩等とアクリル酸との共重合体、アクリル酸またはメタクリル酸のナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩、アンモニウム塩等とメタアクリル酸との共重合体等を挙げることができる。
【0027】
本発明の前記成分(A)に用いられる全不飽和単量体のうち、90モル%までの範囲であればアクリル酸系以外の不飽和単量体を用いてもよい。アクリル酸系以外の不飽和単量体としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタコン酸、ビニルスルフォン酸、スチレンスルフォン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルフォン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルフォン酸などの酸基含有の親水性不飽和単量体およびその塩;N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジンなどのノニオン性の親水性不飽和単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドおよびその四級塩などのカチオン性の親水性不飽和単量体、スチレン、塩化ビニル、ブタジエン、イソブテン、エチレン、プロピレン、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらの群から選ばれる1種あるいは2種以上を使用できる。また、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニルなどのように、官能基の加水分解によって親水性樹脂を形成する不飽和単量体を用いてもよい。
【0028】
これらの中でも、特にN−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリルアミドが好ましい。
【0029】
前記成分(A)に用いられる不飽和単量体の本発明で用いられる重合方法としては、例えば、(a)ラジカル重合開始剤による方法、(b)放射線による方法、(c)電子線による方法、(d)光増感剤による紫外線重合などの公知の手法を挙げることができるが、中でも(a)ラジカル重合開始剤による重合が好ましい。
【0030】
かかる重合法(a)としては、例えば、型枠内重合、含水ゲル状重合体の細分化によるもの、加圧条件下での重合などの各種水溶液重合、逆相懸濁重合、逆相乳化重合、沈澱重合、バルク重合などの公知の重合方法が例示できるが、逆相懸濁重合または水溶液重合が特に好ましい。なお、重合の際に、連続、半回分式、回分式の区別や減圧、加圧、常圧の区別はとく特に制限しない。
【0031】
重合に際して、バルク重合や沈澱重合でもよいが、性能面や重合の制御の容易さから、溶液として重合を行うことが好ましい。重合系溶媒としては、不飽和単量体が溶解する液体ならば特に制限はなく、例えば、水、メタノール、エタノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられるが、水または水性溶媒が特に好ましい
。また、不飽和単量体を溶液として重合する際の濃度は特に制限はなく飽和濃度を越えてもかまわないが、諸物性や残存モノマー低減の面から、通常、20質量%〜飽和濃度、好ましくは25〜50質量%の範囲である。また、重合に際して、不飽和単量体に、連鎖移動剤や、澱粉、セルロースやそれらの誘導体、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルアセトアミド架橋体などの親水性高分子を添加してもよい。それらの使用量は通常、前者は5質量部以内、後者は50質量部以内である。なお連鎖移動剤は、次亜燐酸、次亜燐酸ナトリウム等の次亜燐酸類、チオ酢酸、チオグリコール酸、メルカプトエタノール等の含硫黄化合物、ジスルフィド類、四塩化炭素なでのハロゲン化物、亜燐酸、亜燐酸ナトリウムなどの亜燐酸類などが挙げられる。
【0032】
かかる重合に用いられるラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;過酸化水素;2,2'−アゾビス(2
−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ化合物;その他、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、第二セリウム塩、過マンガン酸塩など公知の重合開始剤が挙げられるが、これらの中でも、過硫酸塩、過酸化水素、アゾ化合物よりなる群から選ばれる1種あるいは2種以上が好ましい。また、酸化性ラジカル重合開始剤を用いる場合、亜硫酸(水素)塩や、鉄、L−アスコルビン酸などの還元剤を併用してもよいし、アゾ系重合開始剤などを用いる場合は紫外線を併用してよい。尚、これらラジカル重合開始剤などは重合系に一括添加してもよいし、逐次添加してもよいが、その使用量は不飽和単量体に対して、通常0.001〜2モル%、好ましくは0.01〜1モル%である。金属塩添加による架橋速度の調整の精度を高めるため、(メタ)アクリル酸系重合体の平均粒径d50は、30〜250μmが好ましく、より好ましくは50〜150μmである。平均粒径が30μm以下であると水への溶解が早すぎて金属イオンと重合体との反応が不均一となり、一方、250μm以上であると水への溶解に時間がかかり過ぎ、結果として(メタ)アクリル酸系重合体の架橋速度を制御するのが困難となる。
【0033】
本発明では、(メタ)アクリル酸塩系重合体(成分A)は、成分A〜成分Dを含む組成物の全量に対して0.5〜30%の範囲で使用することが好ましく、さらに好ましくは2%〜20%の範囲がよい。0.5%未満の場合には、架橋後のゲル体の強度が著しく小さくなり、結果支持体からのしみだしやゲルの皮膚残りなどが発生することがある。30%を超えると成形時のゾルの粘度が上昇して、成形や塗工、他の成分の混合などが困難となる。
(成分B)
架橋剤としてのアルミニウム化合物(成分B)としては塩化アルミニウム、カリ明バン、アンモニウム明バン、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、EDTA−アルミニウム、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈物(例えば協和化学工業(株)の「クムライト」など)、合成ケイ酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、アルミニウムアラントイネート、合成ハイドロタルサイト(例えば協和化学工業(株)の「アルカマック」「アルカマイザー」「キョーワード」など))、水酸化アルミナ・マグネシウム(例えば協和化学工業(株)の「サナルミン」など)、水酸化アルミニウム(例えば協和化学工業(株)の「乾燥水酸化アルミニウムゲル S−100、低含水タイプ」など)、酢酸アルミニウム、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート(例えば協和化学工業(株)の「グリシナールSG、PGまたはSA」など)、カオリン、合成ヒドロタルサイト、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(例えば富山化学の「ノイシリン」など)、ケイ酸アルミン酸マグネシウムなどを包含する。これらのアルミニウム化合物は、水溶性のものであっても、また難溶性のものであってもかまわない。なおこれらのアルミニウム化合物は1種または2種以上用いることができる。
【0034】
アルミニウム化合物は成分(A)〜(D)の組成物全量に対して0.01〜20質量%
の範囲で添加され、さらに好ましくは0.1〜10質量%の範囲がよい。添加量が前記下限未満の場合には架橋が不十分となって基剤に糸曳きが生じ、前記上限を超えるとゲル強度が不安定になったり、ゲル体に濁りが生じ透明感が乏しくなってしまう。
【0035】
また、アルミニウム化合物とともに、その他の架橋剤も添加可能で、それらとしては、カルシウム、錫、鉄、マグネシウム、マンガン、亜鉛、バリウム等の無機酸塩(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、鉄明バン、硫酸第2鉄、硫酸マグネシウム、EDTA−カルシウム、EDTA−マグネシウム、塩化第1錫、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム)、水酸化物(例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム(例えば協和化学工業(株)の「キスマ」等)、水酸化第2鉄、水酸化第1錫など)、酸化物(例えば、酸化マグネシウム(例えば協和化学工業(株)の「キョーワマグ」「マグサラット」等))、ホルムアルデヒド、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物等を挙げることができ、これらの架橋剤を1種または2種以上用いることができる。
【0036】
これらのアルミニウム化合物以外の架橋剤を使用する場合、組成物全量に対して、10質量%以下、さらには5質量%以下の範囲で添加されることが望ましい。
(成分C)
水(成分C)は(メタ)アクリル酸系重合体の溶解性を高めて増粘性をだすため、アルミニウムと(メタ)アクリル酸系重合体との架橋反応を進行させるため、さらにはあらかじめ金属塩(成分D)を分散、溶解せしめるために添加される。成分Cの添加量は、組成物全量に対して、5〜98質量%、好ましくは、8〜95質量%の範囲にあることが望ましい。水の含有量が前記下限未満であると(メタ)アクリル酸系重合体の溶解性が悪化し、増粘効果や生成するアルミニウムイオンが少なくなるがために、該重合体が剥離紙上や適用皮膚面上に残存するいわゆる「糊残り」現象や、ゲル体が支持体を抜け出てしまう、いわゆる「裏抜け」現象などが生じることがある。一方、前記上限より多いとゲル体の強度が著しく小さくなり、その結果、保型性が低減し、支持体からのしみだしやゲルの皮膚残りなどが発生することがある。
(成分E)
本発明で使用される(メタ)アクリル酸系重合体混合物中には、必要に応じて多価アルコール(成分E)を含むことが望ましい。多価アルコールは(メタ)アクリル酸系重合体混合物を架橋して得られる含水ゲル体の保湿性を高め、それを貼付剤用粘着剤として用いたときに薬物の溶解性および活量を高め、皮膚への移行性を向上させるなどの目的で配合する。さらに、金属塩(成分D)をあらかじめ多価アルコール中に分散させて添加することも可能である。多価アルコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ブチレングリコール(2価アルコール)、グリセリン、トリオキシイソブタン(3価アルコール)、エリトリット、ペンタエリトリット(4価アルコール)、キシリット、アドニット(5価アルコール)、アロズルシット、ソルビトール、ソルビット液、マンニトール(6価アルコール)、ポリグリセリン、ジプロピレングリコール等があげられるがこの限りではない。これらの中でも特にグリセリンがその安全性や(メタ)アクリル酸系重合体との親和性の面から好ましい。多価アルコールは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0037】
多価アルコールは組成物全量に対して90質量%までの範囲で添加され、さらに好ましくは60質量%までの範囲がよい。添加量が90質量%を超えると(メタ)アクリル酸系重合体による増粘効果が発現しにくくなり、充分な保型性が得にくくなることがある。
【0038】
また本発明では、(メタ)アクリル酸系重合体混合物に多価アルコール類以外の溶剤も添加でき、それらの溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ヘキシルアルコール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、オクチルアルコール、ブタノール、ペンタノール等の1価アルコール、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、セロソルブ、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドのごとき水と混和しうる有機溶剤のほかに酢酸エチル、クロタミトン等の水と混和しない有機溶剤が挙げられる。
【0039】
さらに架橋反応の速度調製剤として酒石酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸、サリチル酸、フマール酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、酢酸、EDTA−2ナトリウム、尿素、トリエチルアミン、アンモニア等の金属イオンに対してキレートもしくは配位能をもつ有機酸、有機酸塩、有機塩基などの他に塩酸、リン酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸などの無機酸等を併用できる。
【0040】
本発明では、(メタ)アクリル酸系重合体混合物に保形性や粘着性向上などを目的として他の高分子を添加することができる。これらの高分子としては、ポリビニルピロリドン、架橋型ポリアクリル酸であるカルボキシビニルポリマー、ビニルピロリドン−アクリル酸エチル共重合体、N−ビニルアセトアミド−アクリル酸ナトリウム共重合体のごときN−ビニルアセトアミド系共重合体、N−ビニルアセトアミド単独重合体、ポリビニルスルホン酸、N−ビニルアセトアミド架橋物、ポリイタコン酸、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどが挙げられる。このなかで皮膚への密着性向上の面から、N−ビニルアセトアミド−アクリル酸ナトリウム共重合体が特に好ましい。なお、N−ビニルアセトアミド−アクリル酸ナトリウム共重合体においてN−ビニルアセトアミドとアクリル酸ナトリウムとのモル比は99.9:0.1〜50:50の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは95.0:5〜50:50の範囲がよい。
【0041】
これらの高分子は(メタ)アクリル酸系重合体混合物全量に対して20質量%までの範囲で添加され、さらに好ましくは10質量%までの範囲がよい。添加量が20質量%を超えるとゲル体が硬くなりすぎ、皮膚との密着感が悪化してくることがある。
(調整方法)
本発明では(メタ)アクリル酸系重合体の架橋速度を調整する際は、前記した(メタ)アクリル酸系重合体(成分A)、アルミニウム含有化合物(成分B)、水(成分C)および多価アルコールなどの任意成分を含む混合物に、少なくとも1種の1価または2価の金属イオンを含有する金属塩(成分D)を添加する。
【0042】
金属塩(成分D)はあらかじめ水へ溶解させておくことが望ましい。また、組成物が、多価アルコールを含む場合、あらかじめ多価アルコール(成分E)に金属塩を分散させて添加してもよい。
【0043】
金属塩(成分D)を添加する際に、必要に応じて攪拌しながら、0〜40℃、好ましくは5〜40℃の温度範囲において添加することが望ましい。この範囲であれば、架橋速度の調整が容易となる。
【0044】
こうして得られた含水ゲル体に含まれる水の含有量は、5〜98質量%、好ましくは10〜95質量%の範囲にあるものが望ましく、このような水含有量の範囲にあるものは、保型性が高く、ゲル強度も高いので、経皮吸収製剤、冷却シート、化粧料などの用途に好適である。
【0045】
具体的には、以下のような用途に応用することができる。
(I)医薬品:例えば経皮吸収製剤、経粘膜吸収製剤など。
(II)医療用具:例えば発熱時の患部の冷却剤、創傷治癒剤、治療用パット、手術用吸液剤、ドレッシングテープ、やけど治癒剤など。
(III)化粧品、医薬部外品:例えばパック剤、サンタン用品、ニキビ用品など。
【0046】
本発明のゲル体を用いて投与することの出来る薬剤は多数あり、例えば、
(a)コルチコステロイド類:例えばハイドロコーチゾン、プレドニゾン、ベクロメタゾンピロピオネート、フルメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニドアセテート、プロピオン酸クロベタゾールなど。
(b)消炎鎮痛剤:例えばサリチル酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸メチル、1−メントール、カンファー、スリンダック、トリメチンナトリウム、ナプロキセン、フェンブフェン、ピロキシカム、トリアムシノロン、酢酸ヒドロコルチゾン、インドメタシン、ケトプロフェン、アセトアミノフェン、メフェナム酸、フルフェナム酸、イブフェナック、ロキソプロフェン、チアプロフェン、プラノプロフェン、フェンプフェン、ジクロフェナック、ジクロフェナクナトリウム、アルクロフェナック、ロルノキシカム、メプラノプロフェン、オキシフェンブタゾン、イブプロフェン、フェルピナク、ケトロナック、ベルモプロフェン、ナプメトン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フルオシノニド、プロピオン酸クロベタゾール、COX−2阻害剤(セレコキシブ、ロフェコキシブ、バレコキシブ、パレコキシブ、モービック、バイオックス、セレブレックス、ベクストラ、オステラック、ハイペン、バレデコキシブ、エトドラッグ、ニメスライド、メロキシカムなど)など。
(c)抗真菌剤:例えばクロトリマゾール、トルナフテート、硝酸エコナゾール、硝酸オモコナゾール、硝酸チオコナゾール、硝酸ケトコナゾール、硝酸ミコナゾール、硝酸イソコナゾール、トルナフテート、硝酸チオコナゾール、硝酸スルコナゾール、ピロールニトリン、ビマフシン、ウンデシレン酸、サリチル酸、シッカニン、ナイスタチン、ノルナフテート、エキサラミド、フェニルヨードウンデシノエーハ、チアントール、シクロピロクスオラミン、ハロプロジン、トリコマイシン、バリオチン、ペンタマイシン、アムホテリシンBなど。
(d)抗ヒスタミン剤:例えば塩酸テトラサイクリン、塩酸ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、ジフェニルイミダゾール、クロラムフェニコール等の抗生物質、ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミンなど。
(e)催眠鎮静剤:例えばフェノバルビタール、アモバルビタール、シクロバルビタール、ロラゼパム、ハロペリドールなど。
(f)精神安定剤:例えばフルフェナジン、テオリダジン、ジアゼパム、フルニトアゼパム、クロルプロマジンなど。
(g)抗高血圧剤:例えばクロニジン、塩酸クリニジン、ピンドロール、プロプラノール、塩酸プロプラノール、ブフラノール、インデノロール、ブクモロール、ニフェジピンなど。
(h)降圧利尿剤:例えばハイドロサイアザイド、ベンドロフルサイアザイド、シクロペンチアザイドなど。
(i)抗生物質:例えばペニシリン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、硫酸フラジオマイシン、エリスロマイシン、クロラムフェニコールなど。
(j)麻酔剤:例えばリドカイン、ベンゾカイン、アミノ安息香酸エチル、ジブカインなど。
(k)抗菌性物質:例えば塩化ベンザルコニウム、ニトロフラゾン、ナイスタチン、アセトスルフアミン、クロトリマゾールなど。
(l)ビタミン剤:例えばビタミンA、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、オクトチアシン、リボフラビン酪酸エステルなど。
(m)抗てんかん剤:例えばニトロゼパム、メプロパメート、クロナゼパムなど。
(n)冠血管拡張剤:例えばニトログリセリン、ニトログリコール、イソソルビジナイトレート、エリスルトールテトラナイトレート、ペンタエリスリトールテトラナイトレート、プロパチルナイトレートなど。
(o)抗ヒスタミン剤:例えば塩酸ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、ジフェニルイミダゾールなど。
(p)鎮咳剤:例えばデキストロメトルファン、テルブタミン、エフェドリン、
塩酸エフェドリンなど。
(q)性ホルモン:例えばプロゲステロン、エストラジオール、テストステロンなど。
(r)抗うつ剤:例えばドキセピンなど。
(s)狭心症治療剤:ジエチルアミド、カンフル等の制汗剤、ニトログリセリン、硝酸イソソルビドなど。
(t)麻薬性鎮痛剤:塩酸モルヒネ、塩酸エチルモルヒネ、硫酸モルヒネ、塩酸コカイン、ブプレノルフィン、塩酸ペチジン、リン酸コデイン、リン酸ジヒドロコデイン、クエン酸フェンタニール、スフェンタニール、塩酸メペリジンなど。
(u)生薬:オウバク、オイヒ、オンジ、ガジュツ、カミツレ、カロニン、カンゾウ、キキョウ、キョウニン、ゴオウ、ゴミシ、サイカチ、サイコ、サイシン、シヤゼンシ、ショウマ、セネガ、ソウジュツ、ソウハクヒ、チョウジ、チンピ、トコン、ナンテンジツ、バイモ、バクモンドウ、ハンゲ、ビヤクジュツ、ヒヨス、ボウホウ、キサントフモール、マオウなど。
(v)その他:5−フルオロウラシル、エチニルエストラジオール、ノーレルゲトロミン、ジヒドロエルゴタミン、オキシブチニン、ミノキシジル、フェンタニール、デスモプレシン、ジゴキシン、メトクロプラシド、ドンペリド、スコポラミン、臭化水素酸スコポラミンなどのほかに動物用医薬品、睡眠薬、循環器系治療薬、脳代謝賦活薬、殺菌剤、酵素製剤、酵素阻害剤、生体医薬(ポリペプチド)、角化症治療剤、麻薬、抗悪性腫瘍剤、全身麻酔剤、抗不安剤、喘息・鼻アレルギー剤、抗パーキンソン剤、化学療法剤、駆虫剤、抗原虫剤、止血剤、強心剤、興奮剤・覚醒剤、習慣性中毒用剤、漢方剤、放射性医薬品、泌尿生殖器および肛門用剤、血糖降下剤、抗潰瘍剤、頭髪用剤、金属イオン封鎖剤、発汗防止剤、トランキライザー、抗擬血剤、抗リュウマチ、ベントロール、トリメゲストン、メトホルミン、ダントロレンナトリウム、ケトロラック、ブチロフェノン、ベンズアゼピンバソプレシン拮抗剤、フクダイン、米の粉砕物、米の抽出物、麹、米の酵素処理物、ε−ポリリジン(アトピー用抗炎症作用)、エンドセリン拮抗剤、レボシメンダン、ユッカ抽出物、バルデナフィル(糖尿病)、オンダンセトロン、ジソピラミド又はその塩(神経因性疼痛)、アントラニル酸アミド(抗不整脈)、ヒカゲノカズラ科ヒカゲノカズラ属に属する植物の抽出物、トルペリゾン、アスタキサンチン、レボドパ、トリカブトの根エチキスより抽出されるアコチン型アルカロイド、シソ科ロスマリヌス属抽出物、アセチル化ヒアルロン酸、エルカンプル抽出物、マツエキス、ベルベリン、Co-Q10、α−リポ
酸、カルニチン、銀杏葉抽出エキス、ノレルゲストロミン、ヤワー・ピリーピリの抽出物、エチニルエストラジオール(もしかしたら既にある)、メシル酸ベタヒスチン、プロポフォール(鎮静剤、麻酔)、アスチルビン、ヨモギ抽出物、γ−アミノ酪酸、ベンゾカイン(消炎)、エペリゾン、トルペリゾン、アキセサゼイン、抗痛風剤及び抗凝固薬等を挙げることができるが、これらに限定されることではない。また、これらの薬物は必要に応じて2種類以上併用することができ、薬物の配合割合は上記貼付剤用粘着剤の全重量に対して0.01〜30質量%、好ましくは2〜20質量%に調整するのが好ましい。
【0047】
薬剤は溶液段階(またはゲル懸濁段階)あるいは架橋反応のための熟成後、内含させることができる。好適な方法は、その薬剤の物性、投与部位及び放出速度に対する初期の目的により左右される。
【0048】
また、これら薬剤の吸収を促進する補助剤を添加することができ、例えばエチルアルコ
ール、イソプロピルアルコール、ブタノール、1,3ブタンジオール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール#400、グリセリン、クロタミトン、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、炭酸プロピレン、ヘキシルドデカノール、プロパノール、サリチル酸、アラントイン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジイソプロピルアジペート、ジエチルセバケート、エチルラウレート、ラノリン、エイゾン、1−ゲラニルアザシルクロヘプタン−2−オン(GACH)、脂肪酸ジアルキロールアミド、サリチル酸、サリチル酸誘導体、尿素、イオウ等の角質軟化剤、ピロリドンカルボン酸等の保湿剤、プロピレングリコールモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノステアレート、グリセリンモノステアレート等の界面活性剤、ミリスチン酸イソプロピル、セバシン酸ジエチル等のエステル類、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール等の高級アルコール類、ステアリン酸、ヘキサン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オレイン酸、リノール酸等の脂肪酸、メントール、メントン、リモネン、ピネン、ピペリトン、テルピネン、テルピノレン、テルピノロール、カルペオールなどのテルペン系化合物および界面活性剤、アラントイン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジイソプロピルアジペート、ジエチルセバケート、エチルラウレート、ラノリン、エイゾン等の助剤、またその他必要に応じてメントール、カンフル等の清涼化剤、アーモンド油、オリーブ油、ツバキ油、パーシック油、ハッカ油、ゴマ油、ダイズ油、ミンク油、綿実油、トウモロコシ油、サフラワー油、ヤシ油、ユーカリ油、ヒマシ油、流動パラフィン、ワセリン、スクワレン、スクワラン、ラノリン等の油成分、カルボキシビニルポリマー等のゲル化剤、ジイソプロパノールアミン等の中和剤などを1種類以上配合することができるが、皮膚刺激性等を考慮すると、配合量は薬剤100質量部に対して0.1〜5質量部であることが望ましい。
【0049】
本発明で用いられている(メタ)アクリル酸系重合体混合物には、その特性をより多く発現させるため、あるいは加工・成形性及び品質の向上、ゲル体中の薬剤の分散性と安定性の向上などの目的で、ゲルの性能を損なわない程度に目的に応じて選択した添加剤をさらに任意に配合することができる。
【0050】
当該添加剤には、以下のものが挙げられる。
(1)湿潤剤:例えばグリセリン、プロピレングリコール、ソルビット、1,3−ブチレングリコール、dl−ピロリドンカルボン酸、乳酸ナトリウムなど。
(2)収れん剤:例えばクエン酸、酒石酸、乳酸、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインジヒドロキシアルミニウム、アルミニウムフェノールスルホン酸、パラフェノールスルホン酸亜鉛、硫酸亜鉛、アルミニウムクロロヒドロオキシドなど。
(3)保湿剤:例えばグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類、乳酸ナトリウム等のNMF成分、ヒアルロン酸、コラーゲン、ムコ多糖類、コンドロイチン硫酸等の水溶性高分子など。
(4)増粘剤:例えばアラビアガム、トラガントガム、ローカストビーンガム、グアーガム、エコーガム、カラヤガム、寒天、デンプン、カラゲナン、アルギン酸、アルギン酸塩(例えばアルギン酸ナトリウム)、アルギン酸プロピレングリコール、デキストラン、デキストリン、アミロース、ゼラチン、コラーゲン、プルラン、ペクチン、アミロペクチン、スターチ、アミロペクチンセミグリコール酸ナトリウム、キチン、アルブミン、カゼインなどの天然の高分子、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボシキメチルスターチ、アルカリ金属カルボキシメチルセルロース、アルカリ金属セルロース硫酸塩、セルロースグラフト重合体、架橋ゼラチン、セルロースアセテートフタレート
、デンプン−アクリル酸グラフト重合、無水フタル酸変性ゼラチン、コハク酸変性ゼラチンなどの半合成の高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、ビニルピロリドン−アクリル酸エチル共重合体、ビニルピロリドン−スチレン共重合体、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ビニルアセテート−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリビニルアセテート−クロトン酸共重合体、N−ビニルアセトアミド−アクリル酸ナトリウム共重合体のごときN−ビニルアセトアミド系共重合体、ポリビニルスルホン酸、N−ビニルアセトアミド架橋物、ポリイタコン酸、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリアクリルアミド、スチレン−マレイン酸無水物共重合体、アクリルアミド−アクリル酸共重合体などの合成の高分子等。
(5)粘着付与物質:例えばシリコーンゴム、ポリイソブレンゴン、スチレン−ブロック共重合体ゴム、アクリルゴム、天然ゴム等の各粘着性物質など。
(6)止痒剤:例えばカンフル、チモール、メントール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、抗ヒスタミン剤、アミノ安息香酸エチルなど。
(7)角質軟化剥離剤:例えばイオウ、チオキソロン、硫化セレン、サリチル酸、レゾルシンなど。
(8)誤食防止物質:例えば唐辛子粉、トウガラシエッセンスなど。
(9)粉体原料:例えばモンモリロラート、無水ケイ酸、石コウ、カーボンブラック、珪藻土、ベンガラ、炭酸カルシウム、ヒドロタルサイト、タルク、ガラス、カオリン、ベントナイト、金属石鹸、エーロジル、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等、亜鉛華、二酸化チタンなど。
(10)油性原料:例えばアーモンド油、オリーブ油、硬化油、つばき油、ヒマシ油、モクロウ油、ヤシ油、ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナバロウ、キャンデリラロウ、流動パラフィン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、スクワレン、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール、コレステロール、ヘキシルデカノール、ワイトステロール、乳酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデカノール、ステアリン酸ブチル、カカオ油、木ロウ、ホホバ油、グレープシード油、アボカド油、ミンク油、卵黄油、蜜ロウ、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、流動パラフィン、セレシンワックス、パラフィンワックス、ベヘニン酸、アジピン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、コレステロールオレエートなど。
(11)界面活性剤:例えばラウリル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸、N−アシルアミノ酸塩、ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、セチル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、パルミチン酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルリン酸ナトリウム、アシルグルタミン酸ナトリウム、サーファクチン等のアニオン界面活性剤、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム等のカチオン界面活性剤、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、レシチン等の両性界面活性剤、ポリオール脂肪酸エステル、モノステアリン酸グリセリン、親油型モノオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、N−アシルアミノ酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、ポリオキシエチレン化ステロール、ポリオキシエチレン化ラノリン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の非イオン性界面活性剤など。
(12)着色剤:例えば黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、群青、カーボンブラック、水酸化クロム、酸化クロム、タール色素、レーキ、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色201号、黄色4号、黄色5号、青色1号、青色2号など。
(13)香料:例えば芥子油、オレンジ油、胡椒油、ジャスミン油、杉油、ショウブ油、テルピン油、橙花油、バラ油、ユーカリ油、ライム油、レモン油、和種ハッカ油、ローズマリー油等の植物性香料、ムスク、レイビョウコウ、カイリコウ、リュウゼンコウ等の動物性香料、ブロモスチロール、ピネン、リモネンなどの炭化水素系香料、ベンジルアルコール、l−メントールなどのアルコール系香料、酢酸エチル、サリチル酸メチル等のエステル類系香料、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド類系香料、カンファー、ムスコン、ムスクケトン、l−メントン等のケトン類系香料、サフロール等のエーテル類系香料、チモール等のフェノール類系香料、ラクトン類系香料、フェニル酢酸等の酸系香料、インドール等の窒素化合物系香料など。
(14)紫外線遮断剤:例えばASL−24、Cyasorb UV−9、Uvinul M−40等のベンゾフェノン系、Salol等の安息香酸系、Tinuvin P等のアゾ
ール系、Uvinul N−35等のニトリル系、Ancour UA等の尿素系、Neo
Heliopan Give tan F、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチルパラアミノベンゾエート、エチルヘキシルパラメトキシサイナメート等のパラアミノ酸系、サリチル酸系、ベンゾフラン系、クマリン系、アゾール系など。
(15)防腐殺菌剤:例えば安息香酸、サリチル酸、デヒドロ酢酸、ソルビン酸、ホウ酸等の酸類およびその塩類、フェノール、クロロクレゾール、クロルキシレノール、イソプロピルメチルフェノール、レゾルシン、オルトフェニルフェノール、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、チモール、ヒノキチオール、チオキソロンなどのフェノール類、ヘキサクロロフェン、2,4,4'−トリクロロ−2'−ヒドロキシジフェニルエーテル等のハロゲン化ビスフェノール類、トリクロロカルバニリド、ハロカルバン、ウデシレン酸モノエタノールアミド等のアミド化合物類、塩化ベンザルコニウム、臭化アルキルイソキノリニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム等の4級アンモニム化合物類、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン等の両性界面活性剤、2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛塩、グルコン酸、クロルヘキシジン、チラム、N−トリクロロメチルチオ−4−シクロヘキセン−1.2−ジカルボキシイミド、クロロブタノールなど。(16)酸化防止剤:例えばノルジヒドログアヤレチン酸、グアヤク脂、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、トコフェロール(ビタミンE)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチル)フェノール
など。
(17)キレート剤:例えばエデト酸塩、ピロリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、クエン酸、酒石酸、グルコン酸など。
(18)紫外線散乱剤:例えば酸化チタン、カオリン、タルクなど。
(19)pH調製剤:例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、アンモア、アンモニア水、トリエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロパノールアミン、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ポリエタノールアミンなどのアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、第1級、第2級もしくは第3級のアルキルアミン、または第1級、第2級もしくは第3級のアルカノールアミンなどのアルカリ、さらにクエン酸、酒石酸、乳酸、グリコール酸、塩酸、硝酸、リンゴ酸、リン酸などの酸の他、酸性またはアルカリ性を示す高分子も用いられ、例えばアルギン酸、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、デンプン−アクリル酸グラフト重合体、ポリアクリル酸、ポリビニルアセテート−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、ポリビニルスルホン酸、ポリイタコン酸、スチレン−マレイン酸無水物共重合体、アクリルアミド−アクリル酸共重合体などが挙げられる。ただし、これらに限ったことではない。
【0051】
この他に安定剤、充填剤、保存剤、可塑剤、軟化剤、劣化防止剤等も添加でき、これら添加剤は得られる含水ゲル体の特性に影響を与えない範囲で任意に加えられる。
本発明の製造方法によって得られる含水ゲル体は直接、各種原料を混合後、ゾル状態で適当な型に流し込み、そこで架橋させて成形するか、架橋後のゲルを直接適当な成形機、打錠機等を用いて各種成形物に調製される。原料の混合は、例えばニーダー、コニーダー、ニーダールーダー、アジホモミキサー、プラネタリーミキサー、ダブルプラネタリーミキサー等を適宜に選択使用することにより行うことができる。尚、含水ゲルの練合にあたり、含水ゲル中に気泡が発生することがある。これを抑制するための工夫は幾つか考えられ、以下にその例を挙げる。
【0052】
まず、練合するための容器(A)に水および酒石酸などの混合液を入れ、真空引きを行う。次に容器(A)に直結され、パッキン付きの蓋などで区切られた容器(B)にアルミニウム含有化合物、多価アルコールおよび(メタ)アクリル酸系共重合体などのポリマーなどを分散させ、同じくこの容器(B)を真空引きする。ここで、金属塩をどちらの容器に投入するかは適宜判断すればよい。その後、2つの容器が十分に減圧されたところで容器(A)の液を攪拌した状態で容器(A)と(B)を区切る蓋を開放して、多価アルコール、アルミニウム含有化合物および(メタ)アクリル酸系共重合体などのポリマーなどの分散物を容器(A)に投入する。この方法により、容器中の気体を極力排除した状態で練合が行われるため、含水ゲル中に気泡が発生することを抑制できる。
【0053】
含水ゲル体をシート化するには、紙、木材、金属、ガラス繊維、布(ネル、織布、不織布等)、合成樹脂(ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート)、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリアミド(例えばナイロン6、ナイロン66など)、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等、アルミニウムなどの金属箔、ゴムまたはセルロース誘導体およびこれらとプラスチックフィルムとの積層フィルムなどの成形品、シート(箔)またはテープのごとき支持体の1面あるいは両面に含水ゲル体を適量塗布すればよい。得られたシート状の含水ゲル体の保存を容易にするには、含水ゲル体を塗布した面に、シリコンまたはその他の適当な方法で処理した剥離シートを貼着しておくか、あるいは含水ゲル体を塗布していない面をシリコンまたはその他の適当な方法で処理して剥離面とし、ゲルが塗布されていない面と重なるように巻くか重ねておくことが望ましい。なお剥離シートとしてはポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、剥離紙、セロハン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル等が用いられる。
【0054】
実施例
次に実施例を挙げて本発明の有用性を説明するが、本発明がこれによって限定されるものではない。なお、特にことわりがない場合、部は質量部を示す。
[架橋速度の測定方法]
架橋速度はゲル強度をパラメーターとして測定した。ゲル強度はデジタルフォースゲージ(日本電産シンポ(株) DFG-0.2K)およびその専用スタンドを用い、カードテンショ
ンメーターの原理で測定した。
【0055】
官能軸(アルミニウム製)は直径10mm、高さ12mmの円柱とし、移動距離は30mm、移動速度は5mm/secとした。またゲルは樹脂製サンプル瓶にゾル状態の時に流し込み、測定はn
=3で実施した。
【0056】
なお、本測定法の測定値と、触指による感応テストとの相関は、表1に示される。
【0057】
【表1】

【0058】
[実施例1〜3、比較例1、2]:塩化ナトリウムによる架橋速度の調整
(配合)
表2に示す配合で組成物を調製した。
【0059】
【表2】

【0060】
(処方)
前記表2となるように、酒石酸および塩化ナトリウムの混合水溶液に、ポリマー、水酸化アルミニウムおよびグリセリンの分散液を徐々に加え、均一になるまで練合した。
(結果)
結果を表3に示した。
【0061】
【表3】

【0062】
表中ゲル化速度は1日あたりのゲル強度の増加分(gf/日)、すなわち1日目のゲル強度−0日目のゲル強度である。表中より塩化ナトリウムを添加したものの方が明らかにゲル化速度が速いことがわかる。
[実施例4〜6、比較例3]:塩化カリウムによる架橋速度の調整
(配合)
配合を表4に示した。なお、比較例1は上記比較例1と同じものである。
【0063】
【表4】

【0064】
(処方)
酒石酸および塩化カリウムの混合水溶液に、ポリマー、水酸化アルミニウムおよびグリセリン/1,3−ブタンジオールの分散液を徐々に加え、均一になるまで練合した。
(結果)
結果を表5に示した。塩化カリウムを添加したものの方がゲル化速度が速いことがわかる。
【0065】
【表5】

【0066】
[実施例7〜9、比較例4]:塩化カルシウムによる架橋速度の調整
(配合)
配合を表6に示した。なお、比較例1は上記比較例1と同じものである。
【0067】
【表6】

【0068】
(処方)
表6の組成となるように、酒石酸および塩化カルシウムの混合水溶液に、ポリマー、水酸化アルミニウムもしくはグリシナールおよびグリセリン/プロピレングリコールの分散液を徐々に加え、均一になるまで練合した。
(結果)
結果を表7に示した。塩化カルシウムを添加したものは初期のゲル化速度が非常に遅く(即ち成形しやすく)、その後ゲル化が進行することがわかる。
【0069】
【表7】

【0070】
[実施例10〜12、比較例5]:塩化マグネシウムによる架橋速度の調整
(配合)
配合を表8に示した。なお、比較例1は上記比較例1と同じものである。
【0071】
【表8】

【0072】
(処方)
表8の組成となるように、酒石酸および塩化カルシウムの混合水溶液に、ポリマー、水酸化アルミニウムもしくはグリシナールおよびグリセリンの分散液を徐々に加え、均一になるまで練合した。
(結果)
結果を表9に示した。塩化マグネシウムを添加したものは初期のゲル化速度が非常に遅く(即ち成形しやすく)、その後ゲル化が進行することが分かる。
【0073】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸系重合体(成分A)に、アルミニウム含有化合物(成分B)および水(成分C)を混合して、(メタ)アクリル酸系重合体を架橋する際に、1価または2価の金属イオンを含有する金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属塩(成分D)を添加して(メタ)アクリル酸系重合体の架橋速度を調整することを特徴とする(メタ)アクリル酸系含水ゲル体の製造方法。
【請求項2】
金属塩(成分D)をあらかじめ水へ溶解させて添加する請求項1に記載の(メタ)アクリル酸系含水ゲル体の製造方法。
【請求項3】
前記金属塩(成分D)を0〜40℃の温度範囲において添加する請求項1または2に記載の(メタ)アクリル酸系含水ゲル体の製造方法。
【請求項4】
前記(メタ)アクリル酸系重合体が、一般式(1)、(2)および(3)で表される繰り返し単位を含み、
−CH2C(R1)(COOM)− (1)
−CH2C(R2)(COOH)− (2)
−X− (3)
(式中、R1、R2はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、MはNH4+またはアルカリ金属を、Xは不飽和単量体由来の2価の有機基を表す。)
(1)/(2)=100/0〜0/100(モル比)、かつ(1)および(2)の総量/(3)=100/0〜10/90(モル比)である請求項1〜3のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸系含水ゲル体の製造方法。
【請求項5】
前記(メタ)アクリル酸系重合体(成分A)が、アクリル酸ナトリウム−N−ビニルアセトアミド共重合体である請求項4に記載の(メタ)アクリル酸系含水ゲル体の製造方法。
【請求項6】
前記Mがナトリウムであり、かつ前記繰り返し単位(1)および(2)が、(1)/(2)=0/100〜100/0(モル比)の範囲であり、前記繰り返し単位(3)を含まない請求項4に記載の(メタ)アクリル酸系含水ゲル体の製造方法。
【請求項7】
前記(メタ)アクリル酸系重合体(成分A)の平均粒径(d50)が30〜250μmの範囲である請求項1〜6のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸系含水ゲル体の製造方法。
【請求項8】
前記金属塩(成分D)が塩化ナトリウムである請求項1〜7のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸系含水ゲル体の製造方法。
【請求項9】
前記金属塩(成分D)が塩化マグネシウムである請求項1〜7のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸系含水ゲル体の製造方法。
【請求項10】
さらに多価アルコール(成分E)を含む請求項1〜9のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸系含水ゲル体の製造方法。
【請求項11】
前記金属塩(成分D)をあらかじめ多価アルコール(成分E)へ分散させて添加する請求項10に記載の(メタ)アクリル酸系含水ゲル体の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸系含水ゲル体の製造方法で得ら
れてなることを特徴とする(メタ)アクリル酸系含水ゲル体。
【請求項13】
前記含水ゲル体に含まれる水の含有量が5〜98質量%である請求項12に記載の含水ゲル体。
【請求項14】
請求項12または13に記載の含水ゲル体を用いた経皮吸収製剤。
【請求項15】
請求項12または13に記載の含水ゲル体を用いた冷却シート。
【請求項16】
請求項12または13に記載の含水ゲル体を用いた化粧料。


【公開番号】特開2007−119552(P2007−119552A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−311494(P2005−311494)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】