説明

(メタ)アクリレートブロックコポリマー感圧接着剤

【課題】a)第1主要外面と、前記第1主要外面と向かい合う第2主要外面と、を有する光学フィルム;b)基材;c)光学フィルムの前記第1主要外面と基材との間に位置する光学的に透明な感圧接着剤層;を含む物品を提供する。
【解決手段】光学フィルムと、光学フィルムの少なくとも1つの外面上に光学的に透明な感圧接着剤層を適用する。さらに、ガス放出基材に付着された場合に、泡を形成しにくい感圧接着剤層であり、特殊構造の(メタ)アクリレートブロックコポリマーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(メタ)アクリレートブロックコポリマーを含有する感圧接着剤を含む物品に関する。
【背景技術】
【0002】
感圧接着剤は、重要な工業用途を有する。様々な感圧接着剤組成物が知られているが、かかる組成物のすべてが、光学的透明性が望まれる光学的用途での使用に適しているわけではない。かかる用途では、光学要素または製品の製造および寿命中に感圧接着剤が光学的に透明なままであることが望まれる場合が多い。
【0003】
公知のいくつかの感圧接着剤の安定性、透明性、接着強度、またはその組み合わせは、一部の光学フィルムまたは他の基材と組み合わせて使用した場合に悪影響を受け得る。例えば、ポリカーボネートまたはポリ(メチルメタクリレート)を含む基材は、特定の環境条件(例えば、高温または高湿度)下にてガスを放出し(つまり、気体物質を開放する)、その結果、接着剤層などの隣接層に泡が形成することが知られている。泡によって、ガス放出基材と、それがラミネートされる他の層との間の接着結合が弱くなる。光学要素または製品の接着剤層における層間剥離および泡立ちは通常、望ましくない。非光学用途でさえ、接着剤層における泡立ちおよび層間剥離は望ましくない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
光学フィルムと、光学フィルムの少なくとも1つの外面上の光学的に透明な感圧接着剤層と、を含む物品を提供する。さらに、ガス放出基材に付着される場合に、泡が形成しにくい感圧接着剤層を含む物品を提供する。種々の物品における感圧接着剤層は、(メタ)アクリレートブロックコポリマーを含む。
【0005】
一態様において、光学フィルムと、基材と、光学フィルムと基材の間に位置する光学的に透明な感圧接着剤層と、を含む物品を提供する。感圧接着剤層は、少なくとも2つのAブロックポリマー単位および少なくとも1つのBブロックポリマー単位の反応生成物を含む(メタ)アクリレートブロックコポリマーを含有する。各Aブロックは、アルキルメタクリレート、アラルキルメタクリレート、アリールメタクリレート、またはその組み合わせを含有する第1モノマー組成物の反応生成物である。Bブロックは、アルキル(メタ)アクリレート、ヘテロアルキル(メタ)アクリレート、ビニルエステル、またはその組み合わせを含有する第2モノマー組成物の反応生成物である。各Aブロックは、少なくとも50℃のTgを有し、Bブロックは、20℃以下のTgを有する。(メタ)アクリレートブロックコポリマーは、ブロックコポリマーの重量に対して、Aブロック20〜50重量%、Bブロック50〜80重量%を含有する。
【0006】
かかる物品は、光学フィルムまたは基材の少なくとも1つの外面に光学的に透明な感圧接着剤層を塗布し;光学的に透明な感圧接着剤層が光学フィルムと基材との間に位置するラミネートを形成する;ことによって製造することができる。
【0007】
さらに、光学フィルムと、光学的に透明な第1感圧接着剤層と、第2接着剤層と、を含む物品を提供する。光学フィルムは、第1主要外面と、第1主要外面に向かい合う第2主要外面と、を有する。光学的に透明な第1感圧接着剤層は、光学フィルムの第1主要外面に隣接し、第2接着剤層は、光学フィルムの第2主要外面に隣接する。光学的に透明な第1感圧接着剤層は、少なくとも2つのAブロックポリマー単位および少なくとも1つのBブロックポリマー単位の反応生成物を含む(メタ)アクリレートブロックコポリマーを含有する。各Aブロックは、アルキルメタクリレート、アラルキルメタクリレート、アリールメタクリレート、またはその組み合わせを含有する第1モノマー組成物の反応生成物である。Bブロックは、アルキル(メタ)アクリレート、ヘテロアルキル(メタ)アクリレート、ビニルエステル、またはその組み合わせを含有する第2モノマー組成物の反応生成物である。各Aブロックは、少なくとも50℃のTgを有し、Bブロックは、20℃以下のTgを有する。(メタ)アクリレートブロックコポリマーは、ブロックコポリマーの重量に対して、Aブロック20〜50重量%、Bブロック50〜80重量%を含有する。第2接着剤は、感圧接着剤、加熱活性化接着剤、構造用接着剤、または非粘着性接着剤であることができる。
【0008】
かかる物品は、第1主要外面および第2主要外面を有する光学フィルムを提供し;光学フィルムの第1主要外面に光学的に透明な第1感圧接着剤層を塗布し;光学フィルムの第2主要外面に第2接着剤層を塗布する;ことによって製造することができる。
【0009】
さらに他の態様において、第1基材と、第2基材と、第1基材と第2基材の間に位置する感圧接着剤層と、を含む物品が提供される。第1基材または第2基材のうちの少なくとも1つが、ガス放出基材である。感圧接着剤層は、少なくとも2つのAブロックポリマー単位および少なくとも1つのBブロックポリマー単位の反応生成物を含む(メタ)アクリレートブロックコポリマーを含有する。各Aブロックは、アルキルメタクリレート、アラルキルメタクリレート、アリールメタクリレート、またはその組み合わせを含有する第1モノマー組成物の反応生成物である。Bブロックは、アルキル(メタ)アクリレート、ヘテロアルキル(メタ)アクリレート、ビニルエステル、またはその組み合わせを含有する第2モノマー組成物の反応生成物である。各Aブロックは、少なくとも50℃のTgを有し、Bブロックは、20℃以下のTgを有する。ブロックコポリマーは、ブロックコポリマーの重量に対して、Aブロック20〜50重量%、Bブロック50〜80重量%を含有する。(メタ)アクリレートブロックコポリマーは、貯蔵弾性率G’(25℃にて5.1Pa<log(G’)、150℃にて4.4Pa<log(G’)である)を有する。本明細書で使用される際、「Pa」という用語は、パスカルを意味する。
【0010】
かかる物品は、第1基材と第2基材を提供し;感圧接着剤層が第1基材と第2基材の間に位置するラミネートを形成する;ことによって製造することができ、第1基材および第2基材のうちの少なくとも1つが、ガス放出基材である。
【0011】
本発明の上記の概要は、開示される本発明のそれぞれの実施形態またはすべての実施を説明することを意図するものではない。以下の詳細な説明によってさらに詳しく、これらの実施形態が例示される。
【0012】
上記の態様は、添付の図面と関連して種々の実施形態の以下の詳細な説明を考察すれば、さらに完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】例示的な(メタ)アクリレートブロックコポリマーのlog(G’)(G’は貯蔵弾性率である)対温度のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
光学フィルムと、光学フィルムの少なくとも1つの外面に隣接する光学的に透明な感圧接着剤層と、を含む物品を提供する。物品はさらに、例えば基材、もう1つの接着剤層、またはその組み合わせを含むことができる。
【0015】
さらに、2つの基材の間に位置する感圧接着剤層を含む物品が提供され、その基材のうちの少なくとも1つのがガス放出基材である。感圧接着剤層は、ガス放出基材に隣接する場合に泡を形成しにくい。
【0016】
種々の物品を製造する方法もまた提供される。
【0017】
感圧接着剤層
物品は、(メタ)アクリレートブロックコポリマーを含有する感圧接着剤層を含む。本明細書で使用される際、「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリレート、メタクリレート、またはその誘導体から製造されるポリマー材料を意味する。
【0018】
本明細書で使用される際、「ポリマー」という用語は、ホモポリマーまたはコポリマーであるポリマー材料を意味する。本明細書で使用される際、「ホモポリマー」という用語は、1種類のモノマーの反応生成物であるポリマー材料を意味する。本明細書で使用される際、「コポリマー」という用語は、少なくとも2種類の異なるモノマーの反応生成物であるポリマー材料を意味する。本明細書で使用される際、「ブロックコポリマー」という用語は、少なくとも2種類の異なるポリマーブロックを互いに共有結合することによって形成されるコポリマーを意味する。2種類の異なるポリマーブロックは、AブロックおよびBブロックと呼ばれる。
【0019】
本明細書で使用される際、「感圧接着剤」という用語は、以下の特性:(1)乾燥粘着性および永久粘着性;(2)指圧以下での接着;(3)被着体上に保持するのに十分な能力;(4)被着体からきれいに除去するのに十分な凝集強さ;を保持する接着剤を意味する。
【0020】
感圧接着剤層は、少なくとも2つのAブロックポリマー単位および少なくとも1つのBブロックポリマー単位の反応生成物を含むブロックコポリマー(つまり、少なくとも2つのAブロックポリマー単位は、少なくとも1つのBブロックポリマー単位に共有結合されている)を含有する。少なくとも50℃のTgを有する各Aブロックは、アルキルメタクリレート、アラルキルメタクリレート、アリールメタクリレート、またはその組み合わせを含有する第1モノマー組成物の反応生成物である。20℃以下のTgを有するBブロックは、アルキル(メタ)アクリレート、ヘテロアルキル(メタ)アクリレート、ビニルエステル、またはその組み合わせを含有する第2モノマー組成物の反応生成物である。ブロックコポリマーは、ブロックコポリマーの重量に対して、Aブロック20〜50重量%、Bブロック50〜80重量%を含有する。
【0021】
感圧接着剤層におけるブロックコポリマーは、トリブロックコポリマー(つまり、(A−B−A)構造)または星型ブロックコポリマー(つまり、(A−B)n−構造(nは少なくとも3の整数である)であることができる。種々の枝がそこから伸びている中心点を有する星型ブロックコポリマーは、放射状コポリマーとも呼ばれる。
【0022】
各Aブロックポリマー単位ならびに各Bブロックポリマー単位は、ホモポリマーまたはコポリマーであることができる。Aブロックは通常、末端ブロック(つまり、Aブロックが、コポリマー材料の末端を形成する)であり、Bブロックは通常、中間ブロック(つまり、Bブロックは、コポリマー材料の中間部分を形成する)である。Aブロックは一般に、熱可塑性材料である硬質ブロックであり、Bブロックは一般に、エラストマー材料である軟質ブロックである。
【0023】
Aブロックは、Bブロックよりも剛性が高い傾向がある(つまり、Aブロックは、Bブロックよりも高いガラス転移温度を有する)。本明細書で使用される際、「ガラス転移温度」または「Tg」という用語は、ポリマー材料がガラス状態(例えば、脆性、剛性、および硬さ)からゴム状態(例えば、可撓性およびゴム弾性)へと転移する温度を意味する。例えば示差走査熱量測定(DSC)または動的機械分析(DMA)などの技術を用いて、Tgを決定することができる。Aブロックは、少なくとも50℃のTgを有するのに対して、Bブロックは、20℃以下のTgを有する。Aブロックは、(メタ)アクリレートブロックコポリマーに構造強度および凝集強さを付与する傾向がある。
【0024】
ブロックコポリマーは通常、少なくとも範囲約25℃〜約150℃の温度で規則的な多相モフォロジーを有する。AブロックはBブロックと十分に異なる溶解パラメーターを有するため、Aブロック相とBブロック相は通常分離される。ブロックコポリマーは、より軟質のエラストマーBブロックのマトリックス中に強化Aブロックドメイン(例えば、ナノドメイン)の異なる領域を有することができる。つまり、ブロックコポリマーはしばしば、実質的に連続的なBブロック相において別々の不連続なAブロック相を有する。
【0025】
各Aブロックは、式I
【化1】

(式中、R1は、アルキル(つまり、式Iによるモノマーはアルキルメタクリレートであることができる)、アラルキル(つまり、式Iによるモノマーはアラルキルメタクリレートであることができる)、またはアリール基(つまり、式Iによるモノマーはアリールメタクリレートであることができる)である)の少なくとも1つのメタクリレートモノマーを含有する第1モノマー混合物の反応生成物である。適切なアルキル基は炭素原子1〜6個を有する場合が多い。アルキル基が2個を超える炭素原子を有する場合、アルキル基は、分岐状または環状である。適切なアラルキル基(つまり、アラルキルは、アリール基で置換されたアルキル基である)は、炭素原子7〜12個を有する場合が多いが、適切なアリール基は炭素原子6〜12個を有する場合が多い。
【0026】
式Iによる例示的なモノマーとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、およびベンジルメタクリレートが挙げられる。
【0027】
式Iのモノマーの他に、Aブロックは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、またはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどの極性モノマーを10重量%まで含有することができる。これらの極性モノマーは、例えば、AブロックのTgを調節し(つまり、Tgが少なくとも50℃を維持するように)、かつAブロックの凝集強さを調節するために使用される。さらに、これらの極性モノマーは、所望の場合には、化学またはイオン架橋のための反応部位として機能することができる。
【0028】
本明細書で使用される際、「(メタ)アクリル酸」という用語は、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を意味する。本明細書で使用される際、「(メタ)アクリルアミド」という用語は、アクリルアミドとメタクリルアミドの両方を意味する。(メタ)アクリルアミドは、N−アルキル(メタ)アクリルアミドまたはN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドであることができ、アルキル置換基は、炭素原子1〜10、1〜6、または1〜4個を有する。例示的な(メタ)アクリルアミドとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、およびN−オクチルアクリルアミドが挙げられる。
【0029】
本明細書で使用される際、「ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート」という用語は、ヒドロキシアルキルアクリレートまたはヒドロキシアルキルメタクリレートを意味し、そのヒドロキシ置換アルキル基は、炭素原子1〜10、1〜6、または1〜4個を有する。例示的なヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、および3−ヒドロキシプロピルメタクリレートが挙げられる。
【0030】
ブロックコポリマーにおけるAブロックは同一または異なる。一部のブロックコポリマーにおいて、各Aブロックは、ポリ(メチルメタクリレート)である。さらに具体的な実施例において、ブロックコポリマーは、トリブロックまたは星型ブロックコポリマーであり、各末端ブロックはポリ(メチルメタクリレート)である。
【0031】
各Aブロックの重量平均分子量(Mw)は通常、少なくとも約5,000g/モルである。一部のブロックコポリマーにおいて、Aブロックは、少なくとも約8,000g/モルまたは少なくとも約10,000g/モルの重量平均分子量を有する。Aブロックの重量平均分子量は通常、約30,000g/モル未満または約20,000g/モル未満である。Aブロックの重量平均分子量は、例えば、約5,000〜約30,000g/モル、約10,000〜約30,000g/モル、約5,000〜約20,000g/モル、または約10,000〜約20,000g/モルである。
【0032】
各Aブロックは、少なくとも50℃のTgを有する。一部の実施形態において、Aブロックは、少なくとも60℃、少なくとも80℃、少なくとも100℃、または少なくとも120℃のTgを有する。Tgは200℃以下、190℃以下、または180℃以下である場合が多い。例えば、AブロックのTgは、50℃〜200℃、60℃〜200℃、80℃〜200℃、100℃〜200℃、80℃〜180℃、または100℃〜180℃であることができる。
【0033】
Aブロックは熱可塑性であることができる。本明細書で使用される際、「熱可塑性」という用語は、加熱すると流動し、次いで室温に冷却するとその元の状態に戻るポリマー材料を意味する。しかしながら、受ける条件下にて(例えば、耐溶剤性またはより耐熱性の性能が望まれる用途)、熱可塑性ブロックコポリマーは共有結合で架橋することができる。架橋すると、材料はその熱可塑性特性を失い、熱硬化材料となる。本明細書で使用される際、「熱硬化」という用語は、加熱すると不融性および不溶性となり、冷却してもその元の化学的状態に戻らないポリマー材料を意味する。熱硬化材料は、不溶性であり、かつ流動抵抗性である傾向がある。一部の用途において、(メタ)アクリレートブロックコポリマーは、共有結合で架橋することができるブロックコポリマーを含有するコーティングを形成する間または形成した後に、熱硬化材料に変換される熱可塑性材料である。
【0034】
Bブロックは、アルキル(メタ)アクリレート、ヘテロアルキル(メタ)アクリレート、ビニルエステル、またはその組み合わせを含有する第2モノマー組成物の反応生成物である。本明細書で使用される際、「アルキル(メタ)アクリレート」という用語は、アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートを意味する。本明細書で使用される際、「ヘテロアルキル(メタ)アクリレート」という用語は、ヘテロアルキルアクリレートまたはヘテロアルキルメタクリレートを意味し、そのヘテロアルキルは、少なくとも2つの炭素原子および少なくとも1つの懸垂(caternary)ヘテロ原子(例えば、硫黄または酸素)を有する。
【0035】
例示的なビニルエステルとしては、限定されないが、酢酸ビニル、2−エチル−ヘキサン酸ビニル、およびネオデカン酸ビニルが挙げられる。
【0036】
例示的なアルキル(メタ)アクリレートおよびヘテロアルキル(メタ)アクリレートはしばしば、式II
【化2】

(式中、R2は、水素またはメチルであり;R3は、C3~18アルキルまたはC2~18ヘテロアルキルである)で示される。R2が水素である(つまり、式IIによるモノマーがアクリレートである)場合に、R3基は、直鎖状、分岐状、環状、またはその組み合わせである。R2がメチルであり(つまり、式IIによるモノマーがメタクリレートであり)、R3が炭素原子3個または4個を有する場合には、R3基は直鎖状である。R2がメチルであり、R3が少なくとも5個の炭素原子を有する場合には、R3基は、直鎖状、分岐状、環状、またはその組み合わせである。
【0037】
式IIによる適切なモノマーとしては、限定されないが、n−ブチルアクリレート、デシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、イソノニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸イソオクチル、イソトリデシルアクリレート、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、2−メトキシエチルアクリレート、2−メチルブチルアクリレート、4−メチル−2−ペンチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、およびn−オクチルメタクリレートが挙げられる。
【0038】
市販されていない、または直接重合することができない、式IIによるモノマーから製造される(メタ)アクリレートブロックを、エステル化またはエステル交換反応によって提供することができる。例えば、市販されている(メタ)アクリレートを加水分解し、次いでアルコールでエステル化して、対象の(メタ)アクリレートを提供することができる。このプロセスでは、Bブロックにいくらかの残留する酸が残される。代替方法としては、低級アルキル(メタ)アクリレートを高級アルキルアルコールと直接的にエステル交換反応させることによって、低級アルキル(メタ)アクリレートエステルから高級アルキル(メタ)アクリレートエステルを誘導することができる。
【0039】
Bブロックは、BブロックのTgが20℃以下である限り、極性モノマーを約30重量%まで含有する。極性モノマーとしては、限定されないが、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリルアミド、例えばN−アルキル(メタ)アクリルアミドおよびN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;およびN−ビニルラクタム、例えばN−ビニルピロリドンおよびN−ビニルカプロラクタムが挙げられる。極性モノマーは、BブロックのTgまたは凝集強さを調節するためにBブロック中に含有される。さらに、極性モノマーは、所望の場合には、化学またはイオン架橋のための反応部位として機能することができる。
【0040】
Bブロックは一般に、20℃以下のTgを有する。一部の実施形態において、Bブロックは、10℃以下、0℃以下、−5℃以下、または−10℃以下のTgを有する。Tgはしばしば、−80℃以上、−70℃以上、または−50℃以上である。例えば、BブロックのTgは、−70℃〜20℃、−60℃〜20℃、−70℃〜10℃、−60℃〜10℃、−70℃〜0℃、−60℃〜0℃、−70℃〜−10℃、または−60℃〜−10℃である。
【0041】
Bブロックは、エラストマーである傾向がある。本明細書で使用される際、「エラストマー」という用語は、その元の長さの少なくとも2倍に伸びることができ、放すと、ほぼ元の長さに収縮することができるポリマー材料を意味する。一部の感圧接着剤組成物において、他のエラストマー材料が添加される。この添加されるエラストマー材料は、感圧接着剤組成物の光学的透明性または接着性(例えば、貯蔵弾性率)に悪影響を及ぼしてはならない。Bブロックの化学的性質は、ブロックコポリマーの粘着性に影響を及ぼす(例えば、動的機械分析を使用して決定されるゴムプラトー(rubbery plateau)貯蔵弾性率が低いブロックコポリマーは、粘着性が高い傾向がある)。
【0042】
一部の実施形態において、式IIによるモノマーは、アルキル(メタ)アクリレートであり、そのアルキル基は炭素原子4〜18、4〜10、4〜6、または4個を有する。一部の実施例において、そのモノマーはアクリレートである。アクリレートモノマーは、そのメタクリレート相当物よりも剛性が低い傾向がある。例えば、Bブロックはポリ(n−ブチルアクリレート)である。
【0043】
Bブロックの重量平均分子量は通常、少なくとも約30,000g/モルである。一部のブロックコポリマーにおいて、Bブロックは、少なくとも約40,000g/モルまたは少なくとも約50,000g/モルの重量平均分子量を有する。その重量平均分子量は一般に、約200,000g/モル以下である。Bブロックは通常、重量平均分子量150,000g/モル以下、約100,000g/モル以下、または約80,000g/モル以下を有する。一部のブロックコポリマーにおいて、Bブロックは、重量平均分子量約30,000g/モル〜約200,000g/モル、約30,000g/モル〜約100,000g/モル、約30,000g/モル〜約80,000g/モル、約40,000g/モル〜約200,000g/モル、約40,000g/モル〜約100,000g/モル、または約40,000g/モル〜約80,000g/モルを有する。
【0044】
Bブロックは、約60,000g/モル以下の平均絡み合い分子量を有する。本明細書で使用される際、「平均絡み合い分子量」という用語は、ポリマー材料のランダムコイル中の絡み合い間の平均距離の指標であり、絡み合い間の平均分子量を意味する。Bブロックの重量平均分子量が、平均絡み合い分子量を超える場合、Bブロックポリマーは絡み合っている。一部のBブロックにおいて、平均絡み合い分子量は、約50,000g/モル以下または約40,000g/モル以下である。絡み合い分子量は、Bブロックを製造するために使用されるモノマーの選択によって変化させることができる。例えば、ポリ(n−ブチルアクリレート)は、ポリ(イソ−オクチルアクリレート)よりも低い絡み合い分子量を有する傾向がある。
【0045】
ブロックコポリマーは通常、ブロックコポリマーの重量に対して、Aブロック20〜50重量%およびBブロック50〜80重量%を含有する。例えば、そのコポリマーは、Aブロック20〜40重量%およびBブロック60〜80重量%、Aブロック25〜40重量%およびBブロック60〜75重量%、Aブロック30〜40重量%およびBブロック60〜70重量%、Aブロック20〜35重量%およびBブロック65〜80重量%、Aブロック25〜35重量%およびBブロック65〜75重量%、またはAブロック30〜35重量%およびBブロック65〜70重量%を含有することができる。Aブロックの量が多くなると、コポリマーの凝集強さが増加する傾向がある。Aブロックの量が多すぎると、ブロックコポリマーの粘着性が許容できないほど低くなる。さらに、Aブロックの量が多すぎる場合、ブロックコポリマーのモフォロジーが、Bブロックが連続相を形成する望ましい配置から、Aブロックが連続相を形成する配置へと逆になり、そのブロックコポリマーは、感圧接着剤材料の特性よりもむしろ、熱可塑性材料の特性を有する。
【0046】
ブロックコポリマーは、飽和ポリマー主鎖を有する。これらのポリマー材料はそれ自体が、天候により引き起こされる(例えば、紫外線および酸化により引き起こされる)劣化に対して耐性がある傾向がある。
【0047】
よく制御されたブロックおよびブロックコポリマーを製造するいずれかの技術を使用して、ブロックコポリマーを製造することができる。本明細書で使用される際、「よく制御された」という用語は、以下の特性:制御された分子量、低い多分散性、明確なブロック、または高純度を有するブロックのうちの少なくとも1つを有するブロックまたはブロックコポリマー構造を意味する。
【0048】
いくつかのブロックおよびブロックコポリマーは、よく制御された分子量を有する。つまり、AブロックおよびBブロックが合成された場合、理論分子量に近い分子量が得られる。本明細書で使用される際、「理論分子量」という用語は、各ブロックを形成するために必要なモノマーおよび開始剤のモル電荷に対する計算分子量を意味する。リビングポリマーに関して、「重合度」または「DP」という用語は、一般的なポリマー主鎖におけるモノマー反復単位の数を意味する。DPは、開始剤のモル数で割ったモノマーのモル数から計算することができる。理論分子量は、ブロックホモポリマーの製造に使用されるモノマー単位の式量を掛けたDPに等しい、またはブロックコポリマーの製造に使用されるモノマー単位の平均式量を掛けたDPに等しい。重量平均分子量(Mw)は、理論分子量の約0.8〜約1.2倍、または理論分子量の約0.9〜約1.1倍である場合が多い。選択された分子量を有するブロックおよびブロックコポリマー自体を製造することができる。
【0049】
ブロックおよびブロックコポリマーは通常、低い多分散性を有する。本明細書で使用される際、「多分散性」という用語は、分子量分布の程度であり、ポリマーの数平均分子量(Mn)で割られた重量平均分子量(Mw)を意味する。すべて同じ分子量の材料は多分散性1.0を有するが、1種類を超える分子量を有する材料は、1.0を超える多分散性を有する。例えば、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて、多分散性を決定することができる。一部のブロックおよびブロックコポリマーは、2.0以下、1.5以下、または1.2以下の多分散性を有する。
【0050】
一部のブロックコポリマーにおいて、Aブロックを含有するナノドメインと、Bブロックを含有する連続相との間の境界は明確である(つまり、境界は、テーパー(tapered)構造−AブロックとBブロックの両方に使用されるモノマーから誘導される構造を本質的に含有しない)。テーパー構造は、Aブロック相とBブロック相の混合を増加し、それによって、感圧接着剤の全体的な凝集強さが低下する。
【0051】
一部のAブロックおよびBブロックは高純度を有する。例えば、Aブロックは、Bブロックの製造中に使用されるモノマーから誘導されるセグメントを本質的に含有しない。同様に、Bブロックは、Aブロックの製造中に使用されるモノマーから誘導されるセグメントを本質的に含有しない。
【0052】
一般に、重合方法では、イニファタ(iniferter)を使用しない。イニファタは、特に光誘起重合反応において問題となり得る残基を残す。例えば、一般に使用されるイニファタであるチオカルバメートが存在すると、得られたブロックコポリマーが、天候により引き起こされる劣化を受けやすくなる。天候により引き起こされる劣化は、チオカルバメート残基における比較的弱い炭素−硫黄結合から生じると考えられる。チオカルバメートの存在は、例えば元素分析または質量分析を用いて検出することができる。
【0053】
よく制御されたブロックおよびブロックコポリマー構造を形成する傾向がある技術としては、リビングラジカル重合技術、リビングアニオン重合技術、および基移動重合技術が挙げられる。リビングラジカル重合技術反応の具体的な例としては、原子移動重合および可逆付加開裂型連鎖移動重合反応が挙げられる。
【0054】
本明細書で使用される際、「リビング重合」という用語は、成長種(propagating species)が停止または移動を受けない、重合技術、プロセス、または反応を意味する。転化率100%後に更なるモノマーが添加された場合、更なる重合が起こる。成長種の数が変化しないため、リビングポリマーの分子量は転化率の関数として直線的に増加する。かかる重合は、ブロックコポリマーを製造するために使用される場合が多い。
【0055】
リビング重合技術では一般に、非リビングまたは擬似リビング重合技術(例えば、イニファタを使用する重合反応)を用いて製造されたブロックよりも高い立体規則性のブロック構造が形成される。高度にシンジオタクチックの構造またはアイソタクチック構造によって明示される立体規則性は、よく制御されたブロック構造を生じる傾向があり、ブロックのガラス転移温度に影響する傾向がある。例えば、リビング重合を用いて合成されたシンジオタクチックポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)は、従来の(つまり、非リビング)重合技術を用いて合成された、匹敵するPMMAよりも約20〜約25℃高いガラス転移温度を有する。例えば、核磁気共鳴分光法を用いて、立体規則性を検出することができる。約75を超える立体規則性を有する構造が、リビング重合技術を用いて得られる場合が多い。
【0056】
リビング重合技術を用いてブロックを形成する場合、不活性希釈剤の存在下でモノマーを開始剤と接触させる。不活性希釈剤は、熱伝達を促進し、開始剤とモノマーとの混合を助ける。適切な不活性希釈剤が使用されるが、飽和炭化水素、芳香族炭化水素、エーテル、エステル、ケトン、またはその組み合わせが選択される場合が多い。例示的な希釈剤としては、限定されないが、飽和脂肪族および脂環式炭化水素、例えばヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等;トルエンなどの芳香族炭化水素;およびジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の脂肪族および環状エーテル;酢酸エチルおよび酢酸ブチルなどのエステル;およびアセトン、メチルエチルケトン等のケトンが挙げられる。
【0057】
ブロックコポリマーがリビングアニオン重合技術を用いて製造される場合、簡略化された構造A−Mは、リビングAブロックを表し、Mは、Li、Na、またはKなどの第I族金属から選択される開始剤断片である。Aブロックは、式Iによるメタクリレートモノマーを含む第1モノマー組成物の重合生成物である。Bブロックを形成するために使用されるモノマーを含む第2モノマー組成物(例えば、第2モノマー組成物は式IIによるモノマーを含み得る)をA−Mに添加し、リビングジブロック構造A−B−Mを形成することができる。式Iによるモノマーを含む第1モノマーの組成物をもう1電荷添加し、次にリビングアニオン部位を除去することによって、トリブロック構造A−B−Aを形成することができる。代替方法としては、二官能性または多官能性カップリング剤を使用して、リビングジブロックA−B−M構造をカップリングし、トリブロック構造A−B−Aコポリマーまたは(A−B)n−星型ブロックコポリマーを形成することができる。
【0058】
リビングアニオン重合反応のための当技術分野で公知の開始剤を使用することができる。一般的な開始剤としては、有機モノリチウム化合物などのアルカリ金属炭化水素(例えば、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、4−ブチルフェニルリチウム、4−フェニルブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム等)が挙げられる。かかる単官能性開始剤は、リビングAブロックまたはリビングBブロックの製造において有用である。(メタ)アクリレートのリビングアニオン重合については、アニオンの反応性は、塩化リチウム、クラウンエーテル、またはリチオエトキシレートなどの物質から選択される錯化配位子を添加することによって加減される。
【0059】
リビングアニオン重合反応の適切な二官能性開始剤としては、限定されないが、1,1,4,4−テトラフェニル−1,4−ジリチオブタン;1,1,4,4−テトラフェニル−1,4−ジリチオイソブタン;およびナフタレンリチウム、ナフタレンナトリウム、ナフタレンカリウム、およびその同族体が挙げられる。他の適切な二官能性開始剤としては、アルキルリチウムとジビニル化合物との付加反応によって製造される化合物などのジリチウム化合物が挙げられる。例えば、アルキルリチウムは、1,3−ビス(1−フェニルエテニル)ベンゼンまたはm−ジイソプロペニルベンゼンと反応させることができる。
【0060】
リビングラジカル重合技術を用いてブロックコポリマーを製造する場合には、他の開始剤または開始剤の組み合わせを使用することができる。リビングラジカル重合反応およびこれらの反応のための適切な開始剤の詳細については、国際公開第WO97/18247号パンフレット(Matyjaszewskiら)および国際公開第WO98/01478号パンフレット(リー(Le)ら)を参照されたい。
【0061】
リビングアニオン重合反応については、開始剤のアニオンと関連する特有の色の残存(persistence)が認められるまで、モノマーに開始剤を一滴ずつ添加することが通常望ましい。次いで、開始剤の計算量を添加して、所望の分子量のポリマーを製造することができる。事前に一滴ずつ添加することによって、開始剤と反応する混入物が分解され、重合反応のより良い制御が可能となる。
【0062】
使用される重合温度は、重合されるモノマーおよび使用される重合技術の種類に応じて異なる。一般に、反応は、温度約−100〜約100℃で行われる。リビングアニオン重合反応については、温度は、約−80〜約20℃である場合が多い。リビングラジカル重合反応については、温度は、約20〜約150℃である場合が多い。リビングラジカル重合反応は、リビングアニオン重合反応よりも温度の変化に対して影響を受けにくい傾向がある。
【0063】
一般に、重合反応は、開始剤またはリビングアニオンを破壊することができる物質を排除するために制御条件下で行われる。一般に、重合反応は、窒素、アルゴン、ヘリウム、またはその組み合わせなどの不活性雰囲気中で行われる。反応がリビングアニオン重合である場合、無水条件が必要である。
【0064】
複屈折およびコーティング欠陥を最小限にするために、感圧接着剤層は通常、ホットメルト組成物からではなく、溶媒を含有する感圧接着剤組成物から製造される。ブロックコポリマーのAブロックとBブロックの両方に対して良溶媒である溶媒が選択される。適切な溶媒の例としては、限定されないが、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、およびメチルエチルケトンが挙げられる。コーティングを塗布し、次いで乾燥させて、溶媒が除去される。溶媒が除去された後、ブロックコポリマーのAブロックおよびBブロックセグメントは分離して、規則的な、凝集力の強い、多相モフォロジーを形成する傾向がある。
【0065】
(メタ)アクリレートブロックコポリマーは、約150℃を超える温度で溶融流動することができる。ブロックコポリマーのメルトフロー温度は、ブロックコポリマーのAブロックとBブロックの相溶性(つまり、混和性)のレベルを調節することによって調整することができる。例えば、Aブロックの組成は、強度および所望のガラス転移温度を提供する第1モノマー単位およびブロックコポリマーのメルトフロー温度を変化させる第2モノマー単位を含有するように選択される。適切な第2モノマー単位としては、例えば、シクロヘキシルメタクリレートなどのシクロアルキルメタクリレートが挙げられる。有用な相対量の第1モノマーおよび第2モノマーが使用される。
【0066】
メルトフローは、AブロックおよびBブロックの量を変化させることによっても調節することができる。例えば、メルトフロー温度は、ブロックの重量を増加させることによって高めることができ、ブロックの重量を減少させることによって下げることができる。
【0067】
他の添加剤を感圧接着剤組成物に添加することができる。通常、添加剤は、ブロックコポリマーのAまたはBブロックと相溶性であるように選択される。添加剤がその相のガラス転移温度のシフトを生じる(添加剤および相が同じTgを持たないと想定して)場合、添加剤は相(例えば、AブロックまたはBブロック)において相溶性である。これらの種類の添加剤の例としては、可塑剤および粘着付与剤が挙げられる。
【0068】
感圧接着剤組成物に充填剤も添加することができる。充填剤は一般に、Tgを変化させないが、貯蔵弾性率を変化させる。光学的透明性が望まれる場合、これらの充填剤は、感圧接着剤組成物の光学的性質に悪影響を及ぼさない粒径を有するように選択される場合が多い。
【0069】
感圧接着剤層は光学的に透明であることができる。本明細書で使用される際、「光学的に透明」という用語は、波長範囲400〜700nmにおいて少なくとも約90%の視感透過率、約2%未満の曇り度、および約1%未満の不透明度を有する材料を意味する。視感透過率と曇り度はどちらも、例えば、ASTM−D 1003−95を用いて決定することができる。光学的に透明な接着剤層は、外観的に泡を含有しない傾向がある。
【0070】
光学的透明性は、Aブロックナノドメインのサイズに依存する。ナノドメインは、約150nm未満または約100ナノメートル未満の平均サイズを有する場合が多い。ナノドメインのサイズは、Aブロックの量を変えることによって、またはブロックコポリマーにおけるAブロックを形成するために使用されるモノマー組成を変えることによって、変更することができる。両方の相の屈折率が十分に合致しない限り、ドメインサイズが大きいほど光散乱を生じる傾向がある。
【0071】
感圧接着剤層は、それが使用される物品の寿命にわたって、光学的透明性、および間剥離に対する耐性を維持することが望ましい。接着剤がこれらの望ましい特性を有するかどうかを、促進老化試験を用いて、決定することができる。感圧接着剤層は、この試験のために2つの基材間に位置付けられる。次いで、得られたラミネートを高温に、任意に高湿度条件に長期間曝露する。
【0072】
例えば、感圧接着剤層はしばしば、湿度を制御することなく(つまり、オーブン内の相対湿度は通常、10%未満または20%未満である)、90℃で約500時間老化させた後にその光学的透明性を維持することができる。代替方法としては、感圧接着剤はしばしば、相対湿度約90%で80℃にて約500時間老化させた後にその光学的透明性を維持することができる。老化後、接着剤の視感透過率は少なくとも90%であり、曇り度は2%未満である。
【0073】
AブロックおよびBブロックは、異なる温度で互いに異なって相互作用し、有用な温度制御特性が提供される。低温では(例えば、Aブロックのガラス転移温度未満であるが、Bブロックのガラス転移温度を超える温度で)、異なるブロックが相分離する傾向がある。Aブロックナノドメインは、低モジュラス連続Bブロック相内で剛性および強度を提供する。図1で示されるように、貯蔵弾性率は、およそ室温(例えば、約22℃〜約25℃)〜約125℃または〜約150℃でかなり一定のままである。ブロックコポリマーは、この温度範囲でゴム状である傾向がある。コポリマーは、約125℃または約150℃を超える温度で流動し始め、著しく軟らかくなる(つまり、貯蔵弾性率の少なくとも20%の低下によって示されるように)。つまり、ブロックコポリマーは、温度範囲約25℃〜約150℃または範囲約25℃〜約125℃で著しく流動しない。
【0074】
感圧接着剤層は、基材から放出するガスの圧力に耐え得る流動学的特性を有する傾向がある。一部の実施形態において、感圧接着剤層の貯蔵弾性率は、25℃〜約200℃、25℃〜約175℃、25℃〜約150℃、または25℃〜約125℃の温度で比較的一定である(例えば、約20%未満の変化、約15%未満の変化、または約10%未満の変化)。この温度範囲で高いモジュラスを有する接着剤層ほど、基材からのガスの圧力に対して、耐性が高い傾向がある。
【0075】
物品
光学フィルムと、光学フィルムの少なくとも1つの主要面に隣接する光学的に透明な感圧接着剤層と、を含む物品が提供される。その物品はさらに、もう1つの基材(例えば、感圧接着剤層に永久的または一時的に取り付けられる)、もう1つの接着剤層、またはその組み合わせを含むことができる。本明細書で使用される際、「隣接」という用語を使用して、直接接触する2つの層、または1つまたは複数の相によって分離された2つの層を意味することができる。隣接層は直接接触している場合が多い。
【0076】
さらに、2つの基材の間に位置する感圧接着剤層を含む物品が提供され、その基材の少なくとも1つがガス放出基材である。感圧接着剤層は、ガス放出基材に隣接する場合に、泡を形成しにくい。
【0077】
一部の実施形態において、得られた物品は光学要素であるか、または得られた物品を使用して光学要素を製造することができる。本明細書で使用される際、「光学要素」という用語は、光学効果または光学用途を有する物品を意味する。光学要素は、例えば電子ディスプレイ、建築用途、運送用途、投影用途、フォトニクス用途、およびグラフィックス用途において使用することができる。適切な光学要素としては、限定されないが、ガラス(例えば、窓および風防ガラス)、スクリーンまたはディスプレイ、陰極線管、偏光子、反射体等が挙げられる。
【0078】
一態様において、光学フィルムと、基材と、光学フィルムと基材の間に位置する光学的に透明な感圧接着剤層と、を含む物品が提供される。感圧接着剤層は、上述のような(メタ)アクリレートブロックコポリマーを含有する。かかる物品は、例えば、光学フィルムまたは基材のうちの少なくとも1つの外面に光学的に透明な感圧接着剤層を適用し、次いで以下の構造:光学フィルム−光学的に透明な感圧接着剤層−基材を有するラミネートを形成することによって製造することができる。例えば、コーティングまたは押出し成形プロセスを用いて、感圧接着剤層を適用することができる。代替方法としては、感圧接着剤層を剥離ライナーなどの他の基材から、光学フィルムに、基材に、その組み合わせに移すことができる。
【0079】
物品においていずれかの適切な光学フィルムが使用される。本明細書で使用される際、「光学フィルム」という用語は、光学効果を生じさせるために使用することができるフィルムを意味する。光学フィルムは一般に、単一の層または複数の層であることができるポリマー含有フィルムである。光学フィルムは可撓性であり、かつ任意の適切な厚さであることができる。光学フィルムは、電磁スペクトルの一部の波長(例えば、電磁スペクトルの可視紫外領域または赤外領域の波長)に関して、少なくとも部分的に透過性、反射性、反射防止性、偏光性、工学的に透明、または拡散性である。例示的な光学フィルムとしては、限定されないが、可視ミラーフィルム、カラーミラーフィルム、太陽反射フィルム、赤外反射フィルム、紫外反射フィルム、反射偏光子フィルム、例えば輝度上昇フィルム、2重輝度上昇フィルム、吸収偏光子フィルム、光学的に透明なフィルム、薄い色の付いたフィルム、および反射防止フィルムが挙げられる。
【0080】
一部の光学フィルムは、ポリマー含有材料(例えば、染料を含有する、または含有しないポリマー)の多重層または金属含有材料およびポリマー材料の多重層などの多重層を有する。一部の光学フィルムは、異なる屈折率を有するポリマー材料の交互層を有する。他の光学フィルムは、交互にあるポリマー層および金属含有層を有する。例示的な光学フィルムは、以下の特許:米国特許第6,049,419号明細書(ホイートリー(Wheatley)ら);米国特許第5,223,465号明細書(ホイートリー(Wheatley)ら);米国特許第5,882,774号明細書(ジョンザ(Jonza)ら);米国特許第6,049,419号明細書(ホイートリー(Wheatley)ら);米国再発行特許第34,605号(シュレンク(Schrenk)ら);米国特許第5,579,162号明細書(ジョルナルド(Bjornard)ら)、米国特許第5,360,659号明細書(アレンズ(Arends)ら)に記載されている。
【0081】
様々な光学フィルムが市販されている。例えば、適切な光学フィルムは、3M社(3M Company)(ミネソタ州セントポール(St.Paul,MN))から商品名「ビキュイティ(VIKUITI)」として市販されている。例えば、ビキュイティ(登録商標)輝度上昇フィルム(Vikuiti(登録商標)Display Enhancement Film)は、液晶ディスプレイなどの様々な種類のディスプレイの性能および外観を向上させる。これらの光学フィルムは、光の出力角度を管理し(例えば、ビキュイティ(登録商標)輝度上昇フィルム)、偏光を管理し(例えば、ビキュイティ(登録商標)2重輝度上昇フィルム(Vikuiti(登録商標)Dual Brightness Enhancement Film))、バックライト効率を管理し(例えば、強化鏡面反射体フィルム(Enhanced Specular Reflector Film))または視野角を管理する、またはディスプレイから外部光をブロックすることができる(例えば、ビキュイティ(登録商標)光制御フィルム(Vikuiti−Light Control Film))。他の光学フィルムは、特定の面において光振動を選択的に吸収することができ(例えば、ビキュイティ(登録商標)直線偏光子(Vikuiti(登録商標)Linear Polarizer))、偏光式コンバーター(例えば、ビキュイティ(登録商標)リターダー(Vikuiti(登録商標)Retarder))として機能することができ、またはまぶしさを抑え、コントラストを高めるように機能することができる(例えば、直線偏光子をリターダーフィルムと組み合わせたビキュイティ(登録商標)環状偏光子(Vikuiti(登録商標)Circular Polarizer))。
【0082】
一部の光学フィルムは鏡として機能する。例えば、3M社から市販のビキュイティ(登録商標)高反射率可視ミラーフィルム(Vikuiti(登録商標)High Reflectivity Visible Mirror Film)は、光の可視波長を反射することができる。これらのミラーフィルムのいくつかは、可視スペクトルにおける特定の色を反射するように調整するこことができる。他の光学フィルムは、波長範囲約900〜約1200nmにおけるエネルギーを反射することによって赤外ミラーとして機能することができる。さらに他の光学フィルムは、可視光の1つの偏光を透過し、直交偏光を反射することができる(例えば、反射偏光子)。
【0083】
3M社から市販の他の光学フィルムとしては、商品名「スコッチティント(SCOTCHTINT)」、「スコッチシールド(SCOTCHSHIELD)」、「スコッチガード(SCOTCHGUARD)」、および「ファサラ(FASARA)」を有するフィルムが挙げられる。これらの光学フィルムはしばしば、窓を通して建物または乗り物に入る光または太陽エネルギーの量を調整するために、建築または運送用途において使用される。例えば、スコッチティント(Scotchtint)(登録商標)フィルムは、太陽の紫外線の99%を遮断し、まぶしさを低減し、日射熱取得を低減し、かつ窓の外観を変化させることができる。これらのフィルムは透明または色付きであり、時として熱線反射フィルム(Solar Reflecting Film)と呼ばれる。スコッチシールド(Scotchshield)(登録商標)は、破壊的な天候条件の間にわたって所定の場所に窓ガラスを保持するのを助ける。スコッチガード(Scotchgaurd)(登録商標)フィルムは、落書きまたは擦り傷に対して保護するために使用される。ファサラ(FASARA)(登録商標)フィルムは、ガラスエッチング加工された外観を形成するために使用することができる。
【0084】
物品に含まれる基材は、ポリマー材料、ガラス材料、セラミック材料、金属含有材料(例えば、金属または金属酸化物)、またはその組み合わせを含有することができる。基材は、支持層、プライマー層、ハードコート層、装飾デザイン等の材料の多重層を含むことができる。基材は、接着剤層に永久的または一時的に取り付けられる。例えば、剥離ライナーは一時的に取り付けられ、次いで、接着剤層を他の基材に付けるために取り外される。
【0085】
基材は、可撓性、剛性、強度または支持、反射能、反射防止能、偏光、または透過率(例えば、異なる波長に対して選択的な)を提供するなどの様々な機能を有することができる。つまり、基材は、可撓性または剛性;反射性または非反射性;可視的に透明、色付きであるが、透過性または不透明(例えば、透過性ではない);偏光性または非偏光性であることができる。
【0086】
例示的な基材としては、限定されないが、電子ディスプレイの外面、例えば液晶ディスプレイまたは陰極線管、窓または窓ガラスの外面、反射体、偏光子、回折格子、鏡、またはレンズなどの光学要素の外面、装飾フィルムまたは他の光学フィルムなどの他のフィルム等が挙げられる。
【0087】
ポリマー基材の代表的な例としては、ポリカーボネート、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレート)、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリレート(例えば、ポリメチルメタクリレート)、ポリビニルアルコール、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、三酢酸セルロース、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー等を含有する基材が挙げられる。
【0088】
一部のポリマー基材には、「ガス放出」または「ガス開放」と呼ばれる現象が起こる。例えば、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネート等の硬質層は、特にその層が比較的厚い(例えば、約1ミリメートル〜数センチメートルの範囲)場合、ガスを開放する傾向がある。ガス放出基材は、これらの基材に隣接する接着剤層の安定性、透明性、接着強さ、または他の望ましい性能特性に悪影響を及ぼす。ガス放出基材に不適合な接着剤層を適用すると、気泡などの欠陥が生じる。さらに、ガス放出基材に不適合な接着剤層を適用すると、ガス放出基材と光学フィルムなどの他の層との接着結合の部分的または完全な層間剥離も起こり得る。
【0089】
接着剤層によってガス放出基材に結合された他の層が低い水分透過率を示す場合、ガス放出は特に不利である。少なくとも一部の光学フィルムは、低い水分透過率を有する。低水分透過率層は、ガスの開放に対するバリアとして作用し、その結果、接着剤界面にて、または接着剤層内にガスが蓄積する。蓄積したガスは、泡立ち、層間剥離、接着強さの低下、透明性の減少、またはその組み合わせの原因となり得る。(メタ)アクリレートブロックコポリマーを含有する、上述の感圧接着剤層は、ガス放出基材を用いる用途において使用される場合が多い。
【0090】
他の実施形態において、基材は剥離ライナーである。いずれかの適切な剥離ライナーを使用することができる。例示的な剥離ライナーとしては、紙(例えば、クラフト紙)またはポリマー材料(例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレン酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル等)から製造されるライナーが挙げられる。少なくとも一部の剥離ライナーは、シリコーン含有材料またはフルオロカーボン含有材料などの剥離剤の層でコーティングされる。例示的な剥離ライナーとしては、限定されないが、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にシリコーン剥離コーティングを有する、商品名「T−30」および「T−10」でCPフィルム社(CP Film)(バージニア州マーティンズヴィル(Martinsville,VA))から市販されているライナーが挙げられる。
【0091】
剥離ライナーを除去して、光学フィルムを他の基材に付着させることができる(つまり、剥離ライナーを除去すると、後に他の基材面に接着される接着剤層の面が露出される)。しばしば、接着剤層は、この他の基材に永久的に接着される。
【0092】
物品は、以下の特性のうちの少なくとも1つを有する:感圧接着剤層は、物品の耐用寿命にわたって光透過率を有し、感圧接着剤は、物品の層の間に十分な接着強さを維持し、感圧接着剤は、層間剥離を受けにくい、または回避することができ、感圧接着剤は、耐用寿命にわたって接着剤層の泡立ちに対して耐性がある。泡の形成しにくさおよび光透過率の維持は、促進老化試験を用いて評価することができる。ラミネートは、任意に高湿度(例えば、相対湿度80〜90%)条件下での高温(例えば、60〜90℃)への長時間(例えば、1日から1ヶ月間)の曝露に耐えることができる場合が多い。
【0093】
本発明の物品における接着剤層の厚さは、少なくとも約5マイクロメートル、少なくとも10マイクロメートル、少なくとも15マイクロメートル、または少なくとも20マイクロメートルである傾向がある。その厚さは、約200マイクロメートル以下、約175マイクロメートル以下、約150マイクロメートル以下、または約125マイクロメートル以下である場合が多い。例えば、その厚さは、5〜200マイクロメートル、10〜100マイクロメートル、10〜50マイクロメートル、20〜50マイクロメートル、または20〜25マイクロメートルであることができる。
【0094】
さらに他の態様において、光学フィルムと、光学的に透明な第1感圧接着剤層と、第2接着剤層と、を含む物品が提供される。光学フィルムは、第1主要外面と、第1主要外面に向かい合う第2主要外面と、を有する。光学的に透明な第1感圧接着剤層は、光学フィルムの第1主要外面に隣接し、第2接着剤層は、光学フィルムの第2主要外面に隣接する。光学的に透明な第1感圧接着剤はさらに上述され、(メタ)アクリレートブロックコポリマーを含有する。
【0095】
第2接着剤は、感圧接着剤、構造用接着剤、加熱活性化接着剤、または非粘着性接着剤(つまり、低温シール接着剤)であることができる。非粘着性接着剤は、大部分の基材に対して、限定された、または低い粘着性を有するが、特定の対象基材と対にした場合、または非粘着性接着剤の2つの層が接触している場合には、許容可能な接着強度を有することができる。非粘着性接着剤は、親和力によって粘着する。非粘着性接着剤の例としては、米国特許第4,977,003号明細書(ブラウン(Brown)ら)および米国特許第6,004,670号明細書(コーベ(Kobe)ら)に開示されている接着剤が挙げられる。
【0096】
加熱活性化接着剤は室温では非粘着性であるが、高温では粘着性になり、基材に結合することができる。これらの接着剤は通常、室温を超えるTgまたは融点(Tm)を有する。温度がTgまたはTmを超えて高い場合、貯蔵弾性率は通常低下し、接着剤は粘着性となる。第2接着剤層で使用するのに適している加熱活性化接着剤の例としては、米国特許第4,248,748号明細書(マクグラ(McGrath)ら);米国特許第5,905,099号明細書(エヴェラーツ(Everaerts)ら);米国特許第6,012,818号明細書(アラキ(Araki))に開示される接着剤が挙げられる。
【0097】
構造用接着剤は、接着結合強度が6.0MPa(1000psi)を超えるように、他の高強度材料(例えば、木材、複合材、または金属)を結合することができる接着剤を意味する。第2接着剤層の例示的な構造用接着剤としては、米国特許第6,180,200号明細書(ハー(Ha)ら)、米国特許第5,897,727号明細書(スタラル(Staral)ら);米国特許出願公開番号2003/0192638−A1号明細書(ヤン(Yang)ら);および国際公開第WO03/040250号パンフレット(ヤン(Yang)ら)に開示されている接着剤が挙げられる。
【0098】
第2接着剤層の例示的な感圧接着剤としては、2002年12月30日出願の米国特許出願第10/331374号明細書および2003年4月11日出願の米国特許出願第10/411933号明細書に記載の接着剤が挙げられる。これらの感圧接着剤は光学的に透明である。
【0099】
例えば、光学フィルムの第1主要外面上に光学的に透明な第1感圧接着剤層を形成し、光学フィルムの第2主要外面上に第2接着剤層を形成することによって、2つの接着剤層を有する物品を製造することができる。各接着剤層をコーティングし、押出し成形し、または剥離ライナーから光学フィルムに移すことができる。一部の物品において、第2接着剤は光学的に透明であり、光学的に透明な第1感圧接着剤と実質的に同じである。
【0100】
この態様における物品はさらに、1つまたは複数の基材を含むことができる。一部の実施形態において、物品は以下の構造:
基材−第2接着剤層−光学フィルム−光学的に透明な第1感圧接着剤層;
第2接着剤層−光学フィルム−光学的に透明な第1感圧接着剤層−基材;および
第2基材−第2接着剤層−光学フィルム−光学的に透明な第1感圧接着剤層−第1基材;
のうちの1つを有する。
【0101】
複数の基材を有する物品において、複数の基材は同一または異なることができる。基材のうちのいくつかは、他の基材に付着させるために除去される剥離ライナーであることができる。
【0102】
さらに、第1基材と、第2基材と、第1基材と第2基材の間に位置する感圧接着剤層と、を含む物品が提供される。第1基材または第2基材のうちの少なくとも1つは、ガス放出基材である。感圧接着剤層は、少なくとも2つのAブロックポリマー単位および少なくとも1つのBブロックポリマー単位の反応生成物を含む(メタ)アクリレートブロックコポリマーを含有する。ブロックコポリマーは貯蔵弾性率G’(25℃にて5.1Pa<log(G’)、150℃にて4.4Pa<log(G’)である)を有する。動的機械分析を用いて、貯蔵弾性率を決定することができる。一部の実施形態において、泡の形成しにくい感圧接着剤層もまた、光学的に透明である。
【0103】
一部の例示的な物品において、第1基材は、ポリカーボネートまたはポリ(メチルメタクリレート)を含むガス放出基材である。第2基材は、いずれかの種類の基材であることができる。一部の実施例において、第2基材は、ポリマー、金属、またはその組み合わせであることができるフィルムである。適切なフィルムとしては、例えば、光学フィルムまたは装飾フィルムが挙げられる。他の例示的なフィルムとしては、剥離ライナーが挙げられる。
【0104】
本明細書で使用される際、「装飾フィルム」とは、装飾目的で使用されるいずれかの種類のフィルムを意味する。装飾フィルムは、透明、不透明、反射性、非反射性、色付き、またはその組み合わせである。装飾フィルムは、印刷メッセージ、印、デザインまたはパターンを含むことができる。装飾フィルムは1つまたは複数の層を含むことができる。例えば、装飾フィルムは、支持層、装飾層、および保護層を含む。適切な装飾フィルムとしては、限定されないが、米国特許出願公開第2004/0096630 A1号明細書(サクライ(Sakurai)ら)、同2003/0211337 A1号明細書(ムラオカ(Muraoka))、および同2004/0113899 A1号明細書(マカヤマ(Makayama));国際公開第WO03/037648 A2号パンフレット(ジョンソン(Johnson));米国特許第6,083,335号明細書(スカリン(Scullin)ら)および米国特許第6,071,621号明細書(ファラス(Falaas)ら)に記載のフィルムが挙げられる。
【0105】
感圧接着剤層に含有される(メタ)アクリレートブロックコポリマーは、温度の関数として変化する貯蔵弾性率G’を有する。LogG’は、実施例のセクションに記述されるように動的機械分析によって決定される。種々の適切な(メタ)アクリレートブロックコポリマーについてのlog(G’)対温度の代表的なプロットを図1に示す。比較的平坦なプラトー領域が、25℃〜125℃の温度範囲または25℃〜150℃の温度範囲で認められる。つまり、log(G’)は、これらの温度範囲において比較的一定である。log(G’)の値は、25℃〜125℃の温度範囲にわたって、または25℃〜150℃の温度範囲にわたって、約20%未満、約15%未満、または約10%未満変化する場合が多い。約125℃または約150℃を超えると、AブロックのTgが超えた時にG’が下がり始め、材料は流動し始める。
【0106】
25℃では、log(G’)は5.1Paを超える。一部の実施形態において、log(G’)は、25℃で5.6Pa以下または5.5Pa以下である。つまり、25℃では、5.1Pa<log(G’)≦5.6Paまたは5.1Pa<log(G’)≦5.5Paである。25℃で約5.1Pa未満のlog(G’)を有するブロックコポリマーは、高温および高湿度条件(例えば、80℃または90℃、相対湿度90%)に曝露された場合に、接着強度を弱める傾向がある。150℃では、log(G’)は4.4Paを超える。一部の実施形態において、log(G’)は、150℃で5.6Pa以下または5.5Pa以下である。つまり、150℃にて、4.4Pa<log(G’)≦5.6Paまたは4.4Pa<log(G’)≦5.5Paである。約5.5Paのlog(G’)は、ドルクエスト基準(Dahlquist Criteria)、材料が感圧接着剤であるかどうかを示すために使用される基準に一致する。
【0107】
範囲25℃〜約150℃または約125℃でのlog(G’)対温度のプロットにおけるプラトー領域は、Bブロックポリマー鎖の絡み合い、分子量、架橋ならびにAブロックポリマー鎖の相転移に起因する。プラトー領域は、温度を約125℃まで、または約150℃まで上げた場合に、材料が著しく軟化しないことを示す。かかる材料は一般に、加熱しても凝集強さを保持し、ガス放出基材に付着された場合に泡を形成しにくい傾向がある。対照的に、約125℃または約150℃に加熱すると、著しく軟化し、流動する材は、ガス放出基材に隣接している場合に、泡立ちやすい(例えば、かかる材料は、25℃から125℃で、または25℃から150℃で20%を超える貯蔵弾性率の変化を有する傾向がある)。したがって、適切なブロックコポリマーは、温度範囲25℃〜約150℃または25℃〜約125℃で溶融加工可能ではない。そのブロックコポリマーは、約150℃より高い温度で溶融加工することができる。
【0108】
感圧接着剤層がガス放出基材に隣接する(例えば、取り付けられている、または付着されている)場合、感圧接着剤層は視覚的に泡を含有しないままである場合が多い。一部の実施例において、感圧接着剤層は、視覚的に泡を含有せず、光学顕微鏡技術を用いて検出することができる泡を含有しない。他の実施例において、感圧接着剤層は、視覚的には泡を含有しないが、光学顕微鏡技術を用いて検出することができる泡を含有する。感圧接着剤層は、高湿度条件(例えば、相対湿度90%)と共に高温(例えば、80℃または90℃)での老化試験にかけた場合に、凝集強さを保つ。
【0109】
上述の物品のうちのいずれも、プライマー層、強化層、保護層等の他の層を含むことができる。
【実施例】
【0110】
これらの実施例は、単に例示的な目的のために示すものであり、添付の特許請求の範囲に制限するものではない。実施例におけるすべての部、パーセンテージ、比等および明細書の残り部分は、別段の指定がない限り重量による。使用される溶媒および他の試薬は、別段の指定がない限り、アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Company);ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee,Wisconsin)から入手した。
【0111】
試験方法
促進老化試験
コーティングされたラミネート構造の耐老化性を試験するために、いくつかの異なるプロトコルを使用した。90℃のオーブン内にラミネートを1週間入れることによって、1つのプロトコルを行い、それを「90℃での試験」と呼ぶ。80℃での制御湿度、相対湿度90%を有するオーブン内にラミネートを1週間入れることによって、他のプロトコルを行い、それを「80℃/RH90%での試験」と呼ぶ。これらの試験プロトコルの結果は、目視観測によって決定される。試料がその光学的透明性を保持している場合には、そのデータを「合格」と示し、泡が存在しているが、肉眼では見えない場合には「限界」、または泡(1つまたは複数)が接着結合ラインにおいて肉眼で見える場合には「泡(1つまたは複数)」と示す。
【0112】
動的機械分析
平行板レオメーター(RDA II,レオメトリクス社(Rheometrics,Inc);ニュージャージー州ピスカタウエイ(Piscataway,N.J.))において動的機械分析(DMA)によって、アクリルブロックコポリマーを試験した。速度2℃/分、周波数1ラジアン/秒、および最大歪み度10%で、試料を室温から200℃に加熱した。25℃および150℃でのlogG’値(パスカル)を報告した。
【0113】
【表1】

【0114】
合成の実施例
本発明の物品中に含まれる(メタ)アクリレートブロックコポリマー感圧接着剤(PSA)は、リビング重合、制御重合技術、原子移動重合(ATRP)を用いて製造した。形成されたポリマーを説明するために、以下の略記が使用される。例えば、理論分子量約10,000のAブロックおよび理論分子量約60,000のBブロックを有する、ポリメチルメタクリレートとポリブチルアクリレートとのABAトリブロックコポリマーは、pMMA−b−pBA−b−pMMA 10K−60K−10Kと示される。理論分子量は、開始剤に対するモノマーの量を制御することによって変化させた。実際の分子量は、ポリスチレン標準物質を使用してテトラヒドロフラン溶液中でのゲル浸透クロマトグラフィーによって決定される。一般に、理論値に対する実際の分子量を比較するために、重量平均分子量Mwが使用される。
【0115】
合成実施例1:pMMA−b−pBA−b−pMMA 10K−60K−10K
段階1:60K pBA中間ブロックマクロ開始剤の製造:
CuBr(0.00478g)、1,4−ジブロモアジペート(0.06g)、BA(10.0g)、アニソール(0.5g)、ヘキサデカン(0.5ml)、およびトリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミン(9.0マイクロリットル)の混合物をガラス反応容器に入れた。混合物を窒素雰囲気で覆い、電磁攪拌棒で攪拌し、60℃に20時間加熱した。モノマー転化率%(つまり、残っているBAの量が決定される)をガスクロマトグラフィーによって測定し、約100%であると判明した。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析によって、分子量約60,000ダルトンと確認された。
【0116】
段階2:10K pMMA硬質ブロックでの中間ブロックの末端キャッピング:
窒素雰囲気下にて、段階1において製造された中間ブロックマクロ開始剤をn−ブチルアセテート約10mLに溶解し、均一溶液を調製した。触媒(1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン108.8マイクロリットルによって錯化されたCuCl0.0396g)、メチルエチルケトン2mL、メチルメタクリレート4mLを含有する溶液を添加した。得られた混合物を一定の攪拌および不活性雰囲気下にて90℃で24時間加熱した。GPCを用いて、計算分子量を検証した。得られたポリマーをTHFでさらに、固形分約20%に稀釈し、アルミナを通して濾過して、残りの触媒の大部分を取り除いた。得られたPSA溶液を使用して、コーティングを製造した。この溶液の試料を剥離ライナー上にコーティングし、70℃のオーブン内で10分間乾燥させ、上記の動的機械分析試験法に従って試験した。その結果を表1に示す。
【0117】
合成実施例2:pMMA−b−pBA−b−pMMA 20K−120K−20K
段階1:120K pBA中間ブロックマクロ開始剤の製造:
マクロ開始剤の分子量が60,000ではなく120,000であることを除いては、合成実施例1の段階1に用いられた同じ手順に従った。
【0118】
段階2:20K pMMA末端ブロックでの中間ブロックの末端キャッピング:
末端ブロックの分子量が10,000ではなく20,000であることを除いては、合成実施例1の段階2に用いられた同じ手順に従った。この溶液の試料を剥離ライナー上にコーティングし、70℃のオーブン内で10分間乾燥させ、上記の動的機械分析試験法に従って試験した。その結果を表1に示す。
【0119】
合成実施例3:pMMA−b−pIOA−b−pMMA 14K−120K−14K
段階1:120K pIOA中間ブロックマクロ開始剤:の製造
BAの代わりにモノマーIOAが使用され、かつマクロ開始剤の分子量が60,000ではなく120,000であることを除いては、合成実施例1の段階1に用いられた同じ手順に従った。
【0120】
段階2:14K pMMA末端ブロックでの中間ブロックの末端キャッピング:
末端ブロックの分子量が10,000ではなく14,000であることを除いては、合成実施例1の段階2に用いられた同じ手順に従った。この溶液の試料を剥離ライナー上にコーティングし、70℃のオーブン内で10分間乾燥させ、上記の動的機械分析試験法に従って試験した。その結果を表1に示す。
【0121】
合成実施例4:pMMA−b−pBA−b−pMMA 14K−120K−14K
段階1:120K pBA中間ブロックマクロ開始剤の製造:
マクロ開始剤の分子量が60,000ではなく120,000であることを除いては、合成実施例1の段階1に用いられた同じ手順に従った。
【0122】
段階2:14K pMMA末端ブロックでの中間ブロックの末端キャッピング:
末端ブロックの分子量が10,000ではなく14,000であることを除いては、合成実施例1の段階2に用いられた同じ手順に従った。この溶液の試料を剥離ライナー上にコーティングし、70℃のオーブン内で10分間乾燥させ、上記の動的機械分析試験法に従って試験した。その結果を表1に示す。
【0123】
合成実施例5:pMMA−b−pBA−b−pMMA 12K−60K−12K:
段階1:60K pBA中間ブロックマクロ開始剤の製造:
合成実施例1の段階1に用いられた同じ手順に従った。
【0124】
段階2:12K pMMA末端ブロックでの中間ブロックの末端キャッピング:
末端ブロックの分子量が10,000ではなく12,000であることを除いては、合成実施例1の段階2に用いられた同じ手順に従った。
【0125】
合成実施例6:pMMA−b−pBA−b−pMMA 14K−60K−14K:
段階1:60KpBA中間ブロックマクロ開始剤の製造:
合成実施例1の段階1に用いられた同じ手順に従った。
【0126】
段階2:14K pMMA末端ブロックでの中間ブロックの末端キャッピング:
末端ブロックの分子量が10,000ではなく14,000であることを除いては、合成実施例1の段階2に用いられた同じ手順に従った。
【0127】
合成実施例7:pMMA−b−p(BA/MA)−b−pMMA 10K−60K−10K:
段階1:60K p(BA/MA)中間ブロックマクロ開始剤の製造:
BAおよびMAのモノマーの混合物(重量比BA90:MA10)をBAの代わりに使用したことを除いては、合成実施例1の段階1に用いられた同じ手順に従った。
【0128】
段階2:12K pMMA末端ブロックでの中間ブロックの末端キャッピング:
合成実施例1の段階2に用いられた同じ手順に従った。
【0129】
合成実施例8:pMMA−b−p(BA/MA)−b−pMMA 20K−120K−20K:
段階1:120K p(BA/MA)中間ブロックマクロ開始剤の製造:
BAおよびMAのモノマーの混合物(重量比BA80:MA20)をBAの代わりに使用し、かつ分子量が60,000ではなく120,000であることを除いては、合成実施例1の段階1に用いられた同じ手順に従った。
【0130】
段階2:20K pMMA末端ブロックでの中間ブロックの末端キャッピング:
末端ブロックの分子量が10,000ではなく20,000であることを除いては、合成実施例1の段階2に用いられた同じ手順に従った。
【0131】
合成実施例9:pMMA−b−pMBA−b−pMMA 10K−60K−10K:
段階1:60K pMBA中間ブロックマクロ開始剤の製造:
BAの代わりに、モノマーMBAを使用したことを除いては、合成実施例1の段階1に用いられた同じ手順に従った。
【0132】
段階2:10K pMMA末端ブロックでの中間ブロックの末端キャッピング:
合成実施例1の段階2に用いられた同じ手順に従った。
【0133】
合成実施例10:トリアーム(Tri−Arm)星型ブロック(pBA−b−pMMA)3(30K−10K)3
段階1:三官能性ATRP開始剤1,1,1−トリス[4−(2−ブロモプロピオニルオキシ)フェニル]エタンの合成:
撹拌子を含有するガラス反応器に、4−ジメチルアミノピリジン(0.8g)、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(4.0g)、THF(50mL)、および無水トリエチルアミン(6.6mL)を入れた。攪拌溶液を氷浴中で0℃に冷却し、2−ブロモプロピオニルブロミド(5.1mL)を一滴ずつ添加した。多量の白色沈殿物が急速に形成した。混合物を0℃で10分間攪拌し、室温に温め、さらに3時間攪拌した。混合物を酢酸エチルで稀釈し、濾過して、白色沈殿物を除去した。濾液をHCl水溶液(0.1N)、飽和Na2CO3水溶液、および飽和NaCl水溶液で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下にて濃縮して、黄色がかった固体を得た。メタノールを添加し、黄色い溶液を濾過して、白色の固体を得た。
【0134】
段階2:トリアーム星型30K pBA中間ブロックマクロ開始剤の製造:
段階1で製造された三官能性1,1,1−トリス[4−(2−ブロモプロピオニルオキシ)フェニル]エタン開始剤を二官能性開始剤1,4−ジブロモアジペートの代わりに使用したことを除いては、合成実施例1の段階1に用いられた同じ手順に従った。
【0135】
段階3:10K pMMA末端ブロックでのトリアーム星型ブロックの末端キャッピング:
合成実施例1の段階2に用いられた同じ手順に従った。
【0136】
実施例1
段階1:PSAコートフィルムの製造
合成実施例1で調製されたPSA溶液をSRFフィルムの試料上にコーティングし、70℃のオーブン内で10分間乾燥させ、PSA塗り厚25マイクロメートル(1ミル)を得た。このコーティングされ、乾燥されたブロックコポリマーPSAの試料を上記の動的機械分析試験法に従って試験した。この結果を表1に示す。PSAコーティングを剥離ライナーでラミネートし、保管中に埃および汚れが付かないように試料を清潔に保った。
【0137】
段階2:ラミネートの製造
段階1で製造されたPSAコートフィルムの剥離ライナーを取り除き、PSAコートフィルムをPC(実施例1A)またはPMMA(実施例1B)にホットラミネートした。老化試験にかける前にコンディショニングするため、恒温恒湿(CTH)室(22℃/RH50%)で試料を一晩静置しておいた。次いで、90℃および80℃/RH90%での老化試験を上記の試験法に記載のように行った。この結果を表1に示す。
【0138】
実施例2
段階1:PSAコートフィルムの製造
合成実施例2で調製されたPSA溶液をSRFフィルムの試料上にコーティングし、70℃のオーブン内で10分間乾燥させ、PSA塗り厚25マイクロメートル(1ミル)を得た。PSAコーティングを剥離ライナーでラミネートし、試料を清潔に保った。
【0139】
段階2:ラミネートの製造
段階1で製造されたPSAコートフィルムの剥離ライナーを取り除き、PSAコートフィルムをPC(実施例2A)またはPMMA(実施例2B)にホットラミネートした。老化試験にかける前にコンディショニングするため、恒温恒湿(CTH)室(22℃/RH50%)で試料を一晩静置しておいた。次いで、90℃および80℃/RH90%での老化試験を上記の試験法に記載のように行った。この結果を表1に示す。
【0140】
比較例C1
段階1:PSAコートフィルムの製造
合成実施例3で調製されたPSA溶液をSRFフィルムの試料上にコーティングし、70℃のオーブン内で10分間乾燥させ、PSA塗り厚25マイクロメートル(1ミル)を得た。PSAコーティングを剥離ライナーでラミネートし、試料を清潔に保った。
【0141】
段階2:ラミネートの製造
段階1で製造されたPSAコートフィルムの剥離ライナーを取り除き、PSAコートフィルムをPC(実施例C1A)またはPMMA(実施例C1B)にホットラミネートした。老化試験にかける前にコンディショニングするため、恒温恒湿(CTH)室(22℃/RH50%)で試料を一晩静置しておいた。次いで、90℃および80℃/RH90%での老化試験を上記の試験法に記載のように行った。この結果を表1に示す。
【0142】
比較例C2
段階1:PSAコートフィルムの製造
合成実施例4で調製されたPSA溶液をSRFフィルムの試料上にコーティングし、70℃のオーブン内で10分間乾燥させ、PSA塗り厚25マイクロメートル(1ミル)を得た。PSAコーティングを剥離ライナーでラミネートした。
【0143】
段階2:ラミネートの製造
段階1で製造されたPSAコートフィルムの剥離ライナーを取り除き、PSAコートフィルムをPC(実施例C2A)またはPMMA(実施例C2B)にホットラミネートした。老化試験にかける前にコンディショニングするため、恒温恒湿(CTH)室(22℃/RH50%)で試料を一晩静置しておいた。次いで、90℃および80℃/RH90%での老化試験を上記の試験法に記載のように行った。この結果を表1に示す。
【0144】
実施例3
段階1:PSAコートフィルムの製造
合成実施例5で調製されたPSA溶液をSRFフィルムの試料上にコーティングし、70℃のオーブン内で10分間乾燥させ、PSA塗り厚25マイクロメートル(1ミル)を得た。PSAコーティングを剥離ライナーでラミネートした。
【0145】
段階2:ラミネートの製造
段階1で製造されたPSAコートフィルムの剥離ライナーを取り除き、PSAコートフィルムをPC(実施例3A)またはPMMA(実施例3B)にホットラミネートした。老化試験にかける前にコンディショニングするため、恒温恒湿(CTH)室(22℃/RH50%)で試料を一晩静置しておいた。次いで、90℃および80℃/RH90%での老化試験を上記の試験法に記載のように行った。この結果を表1に示す。
【0146】
実施例4
段階1:PSAコートフィルムの製造
合成実施例6で調製されたPSA溶液をSRFフィルムの試料上にコーティングし、70℃のオーブン内で10分間乾燥させ、PSA塗り厚25マイクロメートル(1ミル)を得た。PSAコーティングを剥離ライナーでラミネートした。
【0147】
段階2:ラミネートの製造
段階1で製造されたPSAコートフィルムの剥離ライナーを取り除き、PSAコートフィルムをPC(実施例4A)またはPMMA(実施例4B)にホットラミネートした。老化試験にかける前にコンディショニングするため、恒温恒湿(CTH)室(22℃/RH50%)で試料を一晩静置しておいた。次いで、90℃および80℃/RH90%での老化試験を上記の試験法に記載のように行った。この結果を表1に示す。
【0148】
実施例5
段階1:PSAコートフィルムの製造
合成実施例7で調製されたPSA溶液をSRFフィルムの試料上にコーティングし、70℃のオーブン内で10分間乾燥させ、PSA塗り厚25マイクロメートル(1ミル)を得た。PSAコーティングを剥離ライナーでラミネートした。
【0149】
段階2:ラミネートの製造
段階1で製造されたPSAコートフィルムの剥離ライナーを取り除き、PSAコートフィルムをPC(実施例5A)またはPMMA(実施例5B)にホットラミネートした。老化試験にかける前にコンディショニングするため、恒温恒湿(CTH)室(22℃/RH50%)で試料を一晩静置しておいた。次いで、90℃および80℃/RH90%での老化試験を上記の試験法に記載のように行った。この結果を表1に示す。
【0150】
実施例6
段階1:PSAコートフィルムの製造
合成実施例8で調製されたPSA溶液をSRFフィルムの試料上にコーティングし、70℃のオーブン内で10分間乾燥させ、PSA塗り厚25マイクロメートル(1ミル)を得た。PSAコーティングを剥離ライナーでラミネートした。
【0151】
段階2:ラミネートの製造
段階1で製造されたPSAコートフィルムの剥離ライナーを取り除き、PSAコートフィルムをPC(実施例6A)またはPMMA(実施例6B)にホットラミネートした。老化試験にかける前にコンディショニングするため、恒温恒湿(CTH)室(22℃/RH50%)で試料を一晩静置しておいた。次いで、90℃および80℃/RH90%での老化試験を上記の試験法に記載のように行った。この結果を表1に示す。
【0152】
実施例7
段階1:PSAコートフィルムの製造
合成実施例9で調製されたPSA溶液をSRFフィルムの試料上にコーティングし、70℃のオーブン内で10分間乾燥させ、PSA塗り厚25マイクロメートル(1ミル)を得た。PSAコーティングを剥離ライナーでラミネートした。
【0153】
段階2:ラミネートの製造
段階1で製造されたPSAコートフィルムの剥離ライナーを取り除き、PSAコートフィルムをPC(実施例7A)またはPMMA(実施例7B)にホットラミネートした。老化試験にかける前にコンディショニングするため、恒温恒湿(CTH)室(22℃/RH50%)で試料を一晩静置しておいた。次いで、90℃および80℃/RH90%での老化試験を上記の試験法に記載のように行った。この結果を表1に示す。
【0154】
実施例8
段階1:PSAコートフィルムの製造
合成実施例10で調製されたPSA溶液をSRFフィルムの試料上にコーティングし、70℃のオーブン内で10分間乾燥させ、PSA塗り厚25マイクロメートル(1ミル)を得た。PSAコーティングを剥離ライナーでラミネートした。
【0155】
段階2:ラミネートの製造
段階1で製造されたPSAコートフィルムの剥離ライナーを取り除き、PSAコートフィルムをPC(実施例8A)またはPMMA(実施例8B)にホットラミネートした。老化試験にかける前にコンディショニングするため、恒温恒湿(CTH)室(22℃/RH50%)で試料を一晩静置しておいた。次いで、90℃および80℃/RH90%での老化試験を上記の試験法に記載のように行った。この結果を表1に示す。
【0156】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)第1主要外面と、前記第1主要外面と向かい合う第2主要外面と、を有する光学フィルム;
b)基材;
c)光学フィルムの前記第1主要外面と基材との間に位置する光学的に透明な感圧接着剤層;
を含む物品であって、前記感圧接着剤層が、
i.アルキルメタクリレート、アラルキルメタクリレート、アリールメタクリレート、またはその組み合わせを含む第1モノマー組成物の反応生成物である少なくとも2つのAブロックポリマー単位であって、各Aブロックが少なくとも50℃のTgを有し、(メタ)アクリレートブロックコポリマーがAブロックを20〜50重量%含む、少なくとも2つのAブロックポリマー単位;および
ii.アルキル(メタ)アクリレート、ヘテロアルキル(メタ)アクリレート、ビニルエステル、またはその組み合わせを含む第2モノマー組成物の反応生成物である少なくとも1つのBブロックポリマー単位であって、前記Bブロックが20℃以下のTgを有し、(メタ)アクリレートブロックコポリマーがBブロックを50〜80重量%含む、少なくとも1つのBブロックポリマー単位;
を含有する(メタ)アクリレートブロックコポリマーを含む、物品。
【請求項2】
前記第1モノマー組成物が、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、またはその組み合わせを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記Aブロックポリマー単位が、少なくとも100℃のTgを有し、かつ前記Bブロックポリマー単位が、0℃以下のTgを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記Aブロックが、ポリ(メチルメタクリレート)を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記第2モノマー組成物が、炭素原子4〜18個を有するアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
前記第2モノマー組成物が、n−ブチルアクリレートを含む、請求項5に記載の物品。
【請求項7】
前記Aブロックが少なくとも5,000g/モルの平均分子量を有し、かつ前記Bブロックが少なくとも30,000g/モルの平均分子量を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項8】
前記(メタ)アクリレートブロックコポリマーが、トリブロックコポリマーまたは星型ブロックコポリマーであり、前記Aブロックが末端ブロックである、請求項1に記載の物品。
【請求項9】
前記(メタ)アクリレートブロックコポリマーが、貯蔵弾性率G’(25℃で5.1Pa<log(G’)および150℃で4.4Pa<log(G’)である)を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項10】
前記基材が、ポリカーボネートまたはポリ(メタ)アクリレートから選択されるガス放出層を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項11】
前記基材が剥離ライナーである、請求項1に記載の物品。
【請求項12】
a)第1主要外面と、前記第1主要外面と向かい合う第2主要外面と、を有する光学フィルム;
b)前記光学フィルムの第1主要外面に隣接する、光学的に透明な第1感圧接着剤であって、
i.アルキルメタクリレート、アラルキルメタクリレート、アリールメタクリレート、またはその組み合わせを含む第1モノマー組成物の反応生成物である少なくとも2つのAブロックポリマー単位であって、各Aブロックが少なくとも50℃のTgを有し、(メタ)アクリレートブロックコポリマーがAブロックを20〜50重量%含む、少なくとも2つのAブロックポリマー単位;および
ii.アルキル(メタ)アクリレート、ヘテロアルキル(メタ)アクリレート、ビニルエステル、またはその組み合わせを含む第2モノマー組成物の反応生成物である少なくとも1つのBブロックポリマー単位であって、前記Bブロックが20℃以下のTgを有し、(メタ)アクリレートブロックコポリマーがBブロックを50〜80重量%含む、少なくとも1つのBブロックポリマー単位;
を含有する(メタ)アクリレートブロックコポリマーを含む、光学的に透明な第1感圧接着剤;
c)光学フィルムの第2主要外面に隣接する第2接着剤;
を含む物品。
【請求項13】
前記第2接着剤が光学的に透明な感圧接着剤である、請求項12に記載の物品。
【請求項14】
前記の光学的に透明な第1感圧接着剤または前記第2接着剤のうちの少なくとも1つの外面に取り付けられた基材をさらに含む、請求項12に記載の物品。
【請求項15】
前記基材が剥離ライナーである、請求項14に記載の物品。
【請求項16】
光学フィルムまたは基材のうちの少なくとも1つの外面に光学的に透明な感圧接着剤層を適用する段階であって、前記の光学的に透明な感圧接着剤層が、
i.アルキルメタクリレート、アラルキルメタクリレート、アリールメタクリレート、またはその組み合わせを含む第1モノマー組成物の反応生成物である少なくとも2つのAブロックポリマー単位であって、各Aブロックが少なくとも50℃のTgを有し、(メタ)アクリレートブロックコポリマーがAブロックを20〜50重量%含む、少なくとも2つのAブロックポリマー単位;
ii.アルキル(メタ)アクリレート、ヘテロアルキル(メタ)アクリレート、ビニルエステル、またはその組み合わせを含む第2モノマー組成物の反応生成物である少なくとも1つのBブロックポリマー単位であって、前記Bブロックが20℃以下のTgを有し、(メタ)アクリレートブロックコポリマーがBブロックを50〜80重量%含む、少なくとも1つのBブロックポリマー単位;
を含有する(メタ)アクリレートブロックコポリマーを含む、段階と、
前記の光学的に透明な感圧接着剤層が光学フィルムと基材との間に位置するラミネートを形成する段階と、
を含む、物品の製造方法。
【請求項17】
前記基材が剥離ライナーである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
剥離ライナーを取り外す段階と、露出した光学的に透明な感圧接着剤層を他の基材に付着させる段階と、をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
第1主要外面および第2主要外面を有する光学フィルムを提供する段階と、
光学的に透明な第1感圧接着剤層を光学フィルムの第1主要外面に適用する段階であって、前記の光学的に透明な第1感圧接着剤層が、
i.アルキルメタクリレート、アラルキルメタクリレート、アリールメタクリレート、またはその組み合わせを含む第1モノマー組成物の反応生成物である少なくとも2つのAブロックポリマー単位であって、各Aブロックが少なくとも50℃のTgを有し、(メタ)アクリレートブロックコポリマーがAブロックを20〜50重量%含む、少なくとも2つのAブロックポリマー単位;および
ii.アルキル(メタ)アクリレート、ヘテロアルキル(メタ)アクリレート、ビニルエステル、またはその組み合わせを含む第2モノマー組成物の反応生成物である少なくとも1つのBブロックポリマー単位であって、前記Bブロックが20℃以下のTgを有し、(メタ)アクリレートブロックコポリマーがBブロックを50〜80重量%含む、少なくとも1つのBブロックポリマー単位;
を含有する(メタ)アクリレートブロックコポリマーを含む、段階と、
第2接着剤層を光学フィルムの第2主要外面に適用する段階と、
を含む、物品の製造方法。
【請求項20】
基材または剥離ライナーが、光学的に透明な第1感圧接着剤または第2接着剤のうちの少なくとも1つの外面に隣接するラミネートを形成する段階をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
第1基材および第2基材のうちの少なくとも1つがガス放出基材である、第1基材および第2基材;および
前記第1基材と前記第2基材との間に位置する感圧接着剤層であって、
i.アルキルメタクリレート、アラルキルメタクリレート、アリールメタクリレート、またはその組み合わせを含む第1モノマー組成物の反応生成物である少なくとも2つのAブロックポリマー単位であって、各Aブロックが少なくとも50℃のTgを有し、(メタ)アクリレートブロックコポリマーがAブロックを20〜50重量%含む、少なくとも2つのAブロックポリマー単位;および
ii.アルキル(メタ)アクリレート、ヘテロアルキル(メタ)アクリレート、ビニルエステル、またはその組み合わせを含む第2モノマー組成物の反応生成物である少なくとも1つのBブロックポリマー単位であって、前記Bブロックが20℃以下のTgを有し、(メタ)アクリレートブロックコポリマーがBブロックを50〜80重量%含む、少なくとも1つのBブロックポリマー単位;
を含有する(メタ)アクリレートブロックコポリマーを含む、感圧接着剤層;
を含む物品であって、
前記ブロックコポリマーが、温度の関数として変化する貯蔵弾性率G’(25℃で5.1Pa<log(G’)および150℃で4.4Pa<log(G’))を有する、物品。
【請求項22】
前記第1基材が、ポリカーボネートまたはポリ(メチルメタクリレート)を含むガス放出基材である、請求項21に記載の物品。
【請求項23】
第1基材および第2基材のうちの少なくとも1つがガス放出基材である、第1基材および第2基材を提供する段階と、
感圧接着剤層が前記第1基材と前記第2基材との間に位置するラミネートを形成する段階であって、前記感圧接着剤層が、
i.アルキルメタクリレート、アラルキルメタクリレート、アリールメタクリレート、またはその組み合わせを含む第1モノマー組成物の反応生成物である少なくとも2つのAブロックポリマー単位であって、各Aブロックが少なくとも50℃のTgを有し、(メタ)アクリレートブロックコポリマーがAブロックを20〜50重量%含む、少なくとも2つのAブロックポリマー単位;および
ii.アルキル(メタ)アクリレート、ヘテロアルキル(メタ)アクリレート、ビニルエステル、またはその組み合わせを含む第2モノマー組成物の反応生成物である少なくとも1つのBブロックポリマー単位であって、前記Bブロックが20℃以下のTgを有し、(メタ)アクリレートブロックコポリマーがBブロックを50〜80重量%含む、少なくとも1つのBブロックポリマー単位;
を含有する(メタ)アクリレートブロックコポリマーを含む、段階と、
を含む、物品の製造方法であって、
前記ブロックコポリマーが、温度の関数として変化する貯蔵弾性率G’(25℃で5.1Pa<log(G’)および150℃で4.4Pa<log(G’))を有する、方法。
【請求項24】
前記第1基材が、ポリカーボネートまたはポリ(メチルメタクリレート)を含むガス放出基材である、請求項23に記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−117071(P2012−117071A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−4098(P2012−4098)
【出願日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【分割の表示】特願2007−523588(P2007−523588)の分割
【原出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】