説明

(2−カルボキサミド)(3−アミノ)チオフェン化合物

式(I)で表される化合物又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシド(式中、R1は、式(II、III、IV、V又はVI)であり;R2は、式(VII、VIII、IX又はX)であり;R3は、C0−4アルキルである。)は、癌治療に有用である。
【化56】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2,3−置換チオフェンに向けられる。特に、本発明は、c−Kit 癌原遺伝子(Kit、CD−117、幹細胞因子受容体、肥満細胞増殖因子受容体としても知られている。)の阻害剤である(2−カルボキサミド)(3−アミノ)チオフェンに向けられる。
【背景技術】
【0002】
c−Kit癌原遺伝子は、胚形成、メラニン形成、造血及び肥満細胞症、消化管腫瘍及び他の固形癌、並びにAMLを含むある種の白血病の病因において重要であると考えられている。従って、c−Kit受容体の阻害剤である新規化合物の開発は望ましいことであろう。
【0003】
過剰増殖性疾患(癌)に対する現在の治療計画では、DNA合成を阻害する化合物を使用することが多い。このような化合物の作用機構とは、細胞、特に急激に分裂する腫瘍細胞に対する毒性を与えることである。つまり、広範囲に毒性をもたらすため、対象患者に対して問題が生じ得る。しかし、抗癌作用の選択肢を広げ、それにより悪影響を及ぼす副作用を低減させようと、DNA合成阻害によるもの以外の機構による、抗癌剤に関する他のアプローチが検討されてきた。
【0004】
DNAの一部が癌遺伝子へと形質転換することにより、細胞が癌化し得ることが知られている(つまり、遺伝子が活性化されると、悪性腫瘍細胞の形成を引き起こす。)。多くの癌遺伝子が、細胞の形質転換を引き起こし得る異常なタンパク質チロシンキナーゼであるタンパク質をコードする。別の経路により、正常な癌原性チロシンキナーゼの過剰発現からも、悪性の表現型を引き起こすことのある増殖性疾患が起こる可能性がある。あるいは、同じ細胞型内における受容体チロシンキナーゼとその同種のリガンドとの共発現によっても、悪性の形質転換が引き起こされ得る。
【0005】
受容体チロシンキナーゼは、細胞膜に拡がり、i)KITリガンド(幹細胞因子(SCF)、スチール因子(SLF)又は肥満細胞増殖因子(MGF)としても知られている。)ドメイン等の増殖因子に対する細胞外結合ドメイン、ii)膜貫通ドメイン及びiii)タンパク質中の特定のチロシン残基をリン酸化するキナーゼとして機能する細胞内部分、を有する大きな酵素である。KITリガンドのKITチロシンキナーゼとの結合により、受容体のホモ二量体化が起こり、KITチロシンキナーゼ活性が活性化され、それに続いて様々なタンパク質基質(その多くが細胞内シグナル伝達のエフェクターである。)のリン酸化が起こる。これらが起こることにより、細胞増殖が促進されるか又は細胞寿命が長くなる。ある受容体キナーゼにより、受容体のヘテロ二量体化も起こり得る。
【0006】
乳癌、頭部及び頸部癌、結腸癌、直腸癌又は胃癌等の消化管癌、白血病及び卵巣癌、気管支癌、肺癌又は膵臓癌など、一般的なヒトの癌において、このようなキナーゼは、しばしば異常に発現することが知られている。Kitキナーゼ発現は、肥満細胞症/肥満細胞白血病、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌(SCLC)、鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、睾丸癌(精上皮腫)、甲状腺癌、悪性黒色腫、卵巣癌、腺様嚢胞癌、急性骨髄性白血病(AML)、乳癌、小児T細胞急性リンパ芽球性白血病、血管肉腫、未分化大細胞リンパ腫、子宮内膜癌及び前立腺癌等の幅広い様々なヒト悪性腫瘍において報告されている。KITのキナーゼ活性は、これらのうちあるもの、及び他の腫瘍、乳癌、SCLC、GIST、胚細胞腫、肥満細胞白血病、神経芽細胞腫、AML、黒色腫及び卵巣癌等、の病態生理に関わるとされてきた。
【0007】
腫瘍細胞におけるKIT活性化のいくつかの機構が報告されてきたが、それには、突然変異の活性化、そのリガンドによる受容体キナーゼの自律及び他律活性化、タンパク質チロシンホスファターゼ活性の喪失及び他のキナーゼによる交差活性化が含まれる。突然変異活性化により開始される形質転換の機構には、二量体形成及びキナーゼドメインの固有活性の増強が含まれ、この両方が、構成的リガンド非依存的キナーゼ活性化をもたらし、おそらく、基質特異性を変化させると考えられている。30を超えるKitタンパク質の活性化突然変異が、悪性度の高いヒト腫瘍に関連している。
【0008】
従って、受容体チロシンキナーゼの阻害剤が、哺乳類癌細胞増殖の選択的阻害剤として有用であることが認識されている。例えば、GleevecTM(グリベック)(メシル酸イマチニブ又はSTI571としても知られている。)、すなわちBCR−ABL融合遺伝子産物のキナーゼ活性を阻害する2−フェニルピリミジンチロシンキナーゼ阻害剤が、最近、米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration)より、CMLの治療剤として認可された。BCR−ABLキナーゼの阻害に加えて、GleevecTMは、KITキナーゼ及びPDGF受容体キナーゼも阻害するが、KITキナーゼの突然変異アイソフォームに対しては全て効果がない。Kitリガンドにより刺激を受けた、MO7eヒト白血病細胞増殖は、GleevecTMにより阻害され、それにより、このような条件下でアポプトーシスも誘導される。一方、GM−CSFにより刺激を受けたMO7eヒト白血病細胞増殖は、GleevecTMより影響を受けない。さらに、GIST(KITキナーゼが細胞の形質転換に関与する疾患)患者の治療に対するGleevecTMを用いた近年の臨床研究において、多くの患者で目覚しい改善が見られた。
【0009】
これらの研究から、増殖がKITキナーゼ活性に依存する腫瘍に対して、KITキナーゼ阻害剤がどのように有効であるかということが明らかになっている。他のキナーゼ阻害剤は、キナーゼ選択性が非常に高い。例えば、4−アニリノキナゾリン化合物、TarcevaTM(タルセバ)の場合、おそらく、EGF以外の受容体がEGF受容体とヘテロ二量体を形成するということにより、他の受容体キナーゼのシグナル伝達を阻害することができるが、高い力価で阻害するのはEGF受容体キナーゼのみである。
【0010】
上述の化合物等の抗癌化合物はこの分野で顕著な貢献度を示しているが、抗癌医薬品の向上が引き続き必要とされており、選択性又は力価の面でさらに優れた、又は毒性若しくは副作用がより小さい新規化合物を開発することが望まれていると考えられる。
【0011】
国際特許公開WO第00/27820号において、N−アリール(チオ)アントラニル酸アミド誘導体について記載されている。国際特許公開WO第99/32477号及び米国特許第6,140,351号において、オルト−アントラニルイミド誘導体について記載されている。国際特許公開WO第00/27819号において、アントラニル酸アミドについて記載されている。国際特許公開WO第02/00651号及びWO第01/19798号において、ファクターXa阻害剤について記載されている。国際特許公開WO第01/07050号において、ノシセプチン受容体ORL−1アゴニストについて記載されている。米国特許第5,968,965号において、ファルネシル−タンパク質阻害剤について記載されている。国際特許公開WO第01/64642号及び米国特許第6,376,515号において、ベンズアミドが記載されている。国際特許公開WO第01/05763号及び米国特許第6,410,561号において、ムスカリン受容体活性化合物が記載されている。米国特許第6,410,561号において、アミド誘導体が記載されている。
【0012】
国際特許公開WO第02/066470号において、置換アルキルアミン誘導体が記載されている。国際特許公開WO第02/068406号において、置換アミン誘導体が記載されている。国際特許公開WO第02/055501号において、置換アリールアミン誘導体が記載されている。
【0013】
米国特許第6,207,693号及び第6,316,482号及び欧州特許EP第0832061号において、バソプレッシンアンタゴニスト活性を有するベンズアミド誘導体が記載されている。
【発明の開示】
【0014】
式(I):
【0015】
【化21】

で表される化合物、又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシド(式中、
R1は、
【0016】
【化22】

又は
【0017】
【化23】

であり、
R2は、
【0018】
【化24】

又は
【0019】
【化25】

であり、
R3は、C0−4アルキルである。)は、腫瘍の治療において有用である。
【0020】
本発明は、式(I);
【0021】
【化26】

で表される化合物(式中、
R1は、
【0022】
【化27】

又は
【0023】
【化28】

であり、
R2は、
【0024】
【化29】

又は
【0025】
【化30】

であり、
R3は、C0−4アルキルである。)、又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシドに向けられる。
【0026】
ある局面において、本発明は、式(I)で表される化合物又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシド(式中、R2は、
【0027】
【化31】

であり;他の可変要素は、式(I)について前述のとおりである。)に向けられる。
【0028】
このある局面のある実施形態において、本発明は、式(I)で表される化合物又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシド(式中、R2は、
【0029】
【化32】

であり;R3は、水素であり;他の可変要素は、式(I)について前述のとおりである。)に向けられる。
【0030】
第2の局面において、本発明は、式(I)で表される化合物又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシド(式中、R2は、
【0031】
【化33】

であり;R3は、C0−4アルキルであり;他の可変要素は、式(I)について前述のとおりである。)に向けられる。
【0032】
この第2の局面の実施形態において、本発明は、式(I)で表される化合物又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシド(式中、R2は、
【0033】
【化34】

であり;R3は、水素であり;他の可変要素は、式(I)について前述のとおりである。)に向けられる。
【0034】
第3の局面において、本発明は、式(I)で表される化合物又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシド(式中、R2は、
【0035】
【化35】

であり;R3は、C0−4アルキルであり;他の可変要素は、式(I)について前述のとおりである。)に向けられる。
【0036】
この第3の局面の実施形態において、本発明は、式(I)で表される化合物又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシド(式中、R2は、
【0037】
【化36】

であり;R3は、水素であり;他の可変要素は、式(I)について前述のとおりである。)に向けられる。
【0038】
第4の局面において、本発明は、式(I)で表される化合物又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシド(式中、R2は、
【0039】
【化37】

であり;R3は、C0−4アルキルであり;他の可変要素は、式(I)について前述のとおりである。)に向けられる。
【0040】
本発明はまた、式IIで表される化合物又は医薬として許容されるその塩の有効量を投与することによって、乳癌、頭部癌若しくは頸部癌、消化管癌、白血病、卵巣癌、気管支癌、肺癌若しくは膵臓癌、鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、睾丸癌(精上皮腫)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、血管肉腫、未分化大細胞リンパ腫、子宮内膜癌又は前立腺癌を含む過剰増殖性疾患を治療する方法に向けられる。
【0041】
【化38】

(式中、
R11は、1から6個の独立したハロゲン;ヒドロキシ;ニトロ;アミノ;アシル;置換アシル;アシルC1−6アルキルスルフィニル;アシルC1−6アルキルスルホニル;アシルオキシ;C1−6アルキルアミノC1−6アルキルカルバモイルオキシ;アリール;シアノ;複素環;アシル、置換アシル、アリール若しくはアシル置換アリールで必要に応じて置換されたC2−6アルケニル;アミノ、アシルアミノ若しくは置換アシルアミノで必要に応じて置換されたC2−6アルキニル;ハロゲン、アミノ、C1−6アルキルアミノ、アシルアミノ、置換アシルアミノ、ヒドロキシ、アシルオキシ、アシルC1−6アルカノイルオキシ、アシル、置換アシル、アシルC1−6アルコキシイミノ、アリール若しくはアシル置換アリールで必要に応じて置換されたC1−6アルキル;アシル若しくは置換アシルで必要に応じて置換されたC1−6アルキルチオ;アリール、置換アリール、ヒドロキシ、アシルオキシ、アミノ、低級アルキルアミノ、保護されたアミノ、複素環、アシル置換ピリジル、置換アシル置換ピリジル、ハロゲン、アシルC1−6アルキルアミノ、N−保護されたアシルC1−6アルキルアミノ、N−アシルC1−6アルキル−N−低級アルキルアミノ、アシル、置換アシル、アシルアミノ、置換アシルアミノ、C1−6アルキルヒドラジノカルボニルアミノ、ヒドロキシイミノ、アシルC1−6アルコキシイミノ、置換アシルC1−6アルコキシイミノ、アシルC1−6アルコキシ、グアニジノ若しくはN−保護されたグアニジノで必要に応じて置換されたアルコキシ;又はアシル若しくは置換アシル置換基で必要に応じて置換されたC2−6アルケニルオキシによって、それぞれが必要に応じて置換されたアリール、C3−6シクロアルキル又は複素環であり;
R21は、水素;ヒドロキシ、アリール若しくはアシルで必要に応じて置換された低級アルキル;又はシクロ(低級)アルキルであり;
R31は、水素;ハロゲン;ヒドロキシ;アシルオキシ;置換アシルオキシ;ヒドロキシ若しくはC1−6アルコキシで必要に応じて置換されたC1−6アルキル;アリール、アミノ、保護されたアミノ、アシル、ヒドロキシ、シアノ若しくはC1−6アルキルチオで必要に応じて置換されたC1−6アルコキシ;ニトロ;アミノ;アシル;置換アシル;又はC3−6アシクロアルキルオキシであり;
41は、ヒドロキシ;ハロゲン;ニトロ;アミノ;保護されたアミノ;C1−6アルキルアミノ;アシルオキシ;アミノC1−6アルキルアミノ;N−保護されたアミノC1−6アルキルアミノ;ヒドロキシ、アリール、置換アリール、アシル、置換アシル、アミノ、C1−6アルキルアミノ、アシルアミノ、置換アシルアミノ、保護されたアミノ、複素環若しくはグアニジノで必要に応じて置換されたC1−6アルコキシ;アシル、置換アシル、アミノ、C1−6アルキルアミノ、アシルアミノ、置換アシルアミノ、保護されたアミノ、複素環、ヒドロキシ、C1−6アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ、arC1−6アルコキシ若しくは置換arC1−6アルコキシで必要に応じて置換されたC1−6アルキルチオ;アシル、置換アシル、アミノ、低級アルキルアミノ、アシルアミノ、置換アシルアミノ、保護されたアミノ、複素環、ヒドロキシ、C1−6アルキルスルホニルオキシ若しくはアリールスルホニルオキシで置換されたC1−6アルキル;必要に応じてアシルで置換されたC2−6アルケニル;ヒドロキシ、アミノ、保護されたアミノ、C1−6アルキルスルホニルオキシ若しくはアリールスルホニルオキシで必要に応じて置換されたC2−6アルキニル;アミノC1−6アルキルスルホニル;N−保護されたアミノC1−6アルキルスルホニル;C1−6アルキルアミノスルホニル;複素環スルホニル;アミノC1−6アルキルスルフィニル;N−保護されたアミノC1−6アルキルスルフィニル;ピペリジルオキシ;又はN−保護ピペリジルオキシであり;
51は、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ又はハロゲンであり;
Aは、単結合、O又はNHであり;
Eは、C1−6アルキレン、C2−6アルケニレン、
【0042】
【化39】

であるか;
又は、Eは、式、−G−J−の基(式中、Gは、C1−6アルキレンであり、
Jは、O又は
【0043】
【化40】

である(式中、R61は、水素又はN−保護基である。)。)であり;
Xは、−CH=CH−、−C=N−又はSであり;
Yは、CH又はNである。)
式(II)の化合物は、米国特許第6,054,457号に記載されている。
【0044】
ある局面において、本発明は、式II(式中、Xは、Sであり;他の可変要素は、式(II)について前述のとおりである。)で表される化合物又は医薬として許容されるその塩の有効量を投与することによって、乳癌、頭部癌若しくは頸部癌、消化管癌、白血病、卵巣癌、気管支癌、肺癌若しくは膵臓癌、鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、睾丸癌(精上皮腫)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、血管肉腫、未分化大細胞リンパ腫、子宮内膜癌又は前立腺癌を含む過剰増殖性疾患を治療する方法に向けられる。
【0045】
この局面のある実施形態において、本発明は、式II(式中、Xは、Sであり;R11は、必要に応じて置換されているアリールであり;他の可変要素は、式(II)について前述のとおりである。)で表される化合物又は医薬として許容されるその塩の有効量を投与することによって、乳癌、頭部癌若しくは頸部癌、消化管癌、白血病、卵巣癌、気管支癌、肺癌若しくは膵臓癌、鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、睾丸癌(精上皮腫)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、血管肉腫、未分化大細胞リンパ腫、子宮内膜癌又は前立腺癌を含む過剰増殖性疾患を治療する方法に向けられる。
【0046】
この局面の別の実施形態において、本発明は、式II(式中、Xは、Sであり;R11は、場合によって置換されている複素環であり;他の可変要素は、式(II)について前述のとおりである。)で表される化合物又は医薬として許容されるその塩の有効量を投与することによって、乳癌、頭部癌若しくは頸部癌、消化管癌、白血病、卵巣癌、気管支癌、肺癌若しくは膵臓癌、鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、睾丸癌(精上皮腫)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、血管肉腫、未分化大細胞リンパ腫、子宮内膜癌又は前立腺癌を含む過剰増殖性疾患を治療する方法に向けられる。
【0047】
この局面のさらに別の実施形態において、本発明は、式II(式中、Xは、Sであり;Yは、Nであり;他の可変要素は、式(II)について前述のとおりである。)で表される化合物又は医薬として許容されるその塩の有効量を投与することによって、乳癌、頭部癌若しくは頸部癌、消化管癌、白血病、卵巣癌、気管支癌、肺癌若しくは膵臓癌、鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、睾丸癌(精上皮腫)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、血管肉腫、未分化大細胞リンパ腫、子宮内膜癌又は前立腺癌を含む過剰増殖性疾患を治療する方法に向けられる。
【0048】
本発明はまた、式III:
【0049】
【化41】

(式中、
R12は、1から6個の独立したハロゲン;ヒドロキシ;ニトロ;保護されたアミノ、アミノ;アシル;置換アシル;アシルC1−6アルキルスルフィニル;アシルC1−6アルキルスルホニル;アシルオキシ;C1−6アルキルアミノC1−6アルキルカルバモイルオキシ;アリール;シアノ;複素環;アシル、置換アシル、アリール若しくはアシル置換アリールで必要に応じて置換されたC2−6アルケニル;アミノ、アシルアミノ若しくは置換アシルアミノで必要に応じて置換されたC2−6アルキニル;ハロゲン、アミノ、C1−6アルキルアミノ、アシルアミノ、置換アシルアミノ、ヒドロキシ、アシルオキシ、アシルC1−6アルカノイルオキシ、アシル、置換アシル、アシルC1−6アルコキシイミノ、アリール若しくはアシル置換アリールで必要に応じて置換されたC1−6アルキル;アシル若しくは置換アシルで必要に応じて置換されたC1−6アルキルチオ;アリール、置換アリール、ヒドロキシ、アシルオキシ、アミノ、低級アルキルアミノ、保護されたアミノ、複素環、アシル置換ピリジル、置換アシル置換ピリジル、ハロゲン、アシルC1−6アルキルアミノ、N−保護されたアシルC1−6アルキルアミノ、N−アシルC1−6アルキル−N−低級アルキルアミノ、アシル、置換アシル、アシルアミノ、置換アシルアミノ、C1−6アルキルヒドラジノカルボニルアミノ、ヒドロキシイミノ、アシルC1−6アルコキシイミノ、置換アシルC1−6アルコキシイミノ、アシルC1−6アルコキシ、グアニジノ若しくはN−保護されたグアニジノで必要に応じて置換されたアルコキシ;又はアシル若しくは置換アシル置換基で必要に応じて置換されたC2−6アルケニルオキシによって、それぞれが必要に応じて置換されたアリール、C3−6シクロアルキル又は複素環であり;
R22は、水素;ヒドロキシ、アリール若しくはアシルで必要に応じて置換されたC1−6アルキル;又はC3−6シクロアルキルであり;
R32は、水素;ハロゲン;ヒドロキシ;アシルオキシ;置換アシルオキシ;ヒドロキシ若しくはC1−6アルコキシで必要に応じて置換されたC1−6アルキル;アリール、アミノ、保護されたアミノ、アシル、ヒドロキシ、シアノ若しくはC1−6アルキルチオで必要に応じて置換されたC1−6アルコキシ;ニトロ;アミノ;アシル;置換アシル;又はC3−6シクロアルキルオキシであり;
は、単結合、O又はNHであり;
は、C1−6アルキレン、C2−6アルケニレン、
【0050】
【化42】

であるか;
又は、Eは、式、−G1−J1−の基(式中、G1は、C1−6アルキレン又は、
【0051】
【化43】

であり、
J1は、O又は
【0052】
【化44】

である(式中、R62は、水素又はN−保護基である。)。)であり;
は、−CH=CH−、−C=N−又はSであり;
は、1から6個の独立したアシル、保護されたアミノC1−6アルカノイル、保護されたアミノ及びニトロ、アミノ及びニトロ若しくはジアミノ置換基で必要に応じて置換されたアリールであり;又は、Y1は、1から6個のハロゲン、アシル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、グアニジノ、メルカプト、アシルアミノ、アミノ、複素環、シアノアミノ、アミノC1−6アルキル(C1−6アルキル)アミノ、C1−6アルキルアミノ、C1−6アルキルアミノ(C1−6アルキルアミノ)、置換複素環、C1−6アルキルヒドラジノ、アリールオキシ、C1−6アルキルチオ、アリール、保護されたアミノ、N−保護されたC1−6アルキルアミノ(C1−6アルキル)アミノ、N−保護されたアミノC1−6アルキル(N’−C1−6アルキル)アミノ、アミノC1−6アルキル(N−C1−6アルキル)アミノ、C1−6アルキルアミノ(C1−6アルキル)(N−C1−6アルキル)アミノ、若しくはC1−6アルコキシ(C1−6アルキル)アミノ置換基、若しくはアリール、arC1−6アルコキシ、シアノ、ヒドロキシイミノ、メルカプト、C1−6アルキルアミノ、アシルオキシ、ハロゲン、C1−6アルコキシ、保護されたヒドロキシ、ヒドロキシ、C1−6アルコキシアリール、保護されたアミノ、アミノ、複素環若しくは置換された複素環式サブ置換基で必要に応じてさらに置換されたC1−6アルキル置換基で必要に応じて置換されている、縮合複素環であり;
但し、Yが、C1−6アルキル又はアシルで必要に応じて置換されたフェニルである場合、
は、単結合であり、
は、
【0053】
【化45】

である。)で表される化合物又は医薬として許容されるその塩の有効量を投与することによって、乳癌、頭部癌若しくは頸部癌、消化管癌、白血病、卵巣癌、気管支癌、肺癌若しくは膵臓癌、鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、睾丸癌(精上皮腫)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、血管肉腫、未分化大細胞リンパ腫、子宮内膜癌又は前立腺癌を含む過剰増殖性疾患を治療する方法にも向けられる。
【0054】
式(III)の化合物は、米国特許第6,316,482号に記載されている。
【0055】
ある局面において、本発明は、式IIIで表される化合物又は医薬として許容されるその塩(式中、Xは、Sであり;他の可変要素は、式(III)について前述のとおりである。)の有効量を投与することによって、乳癌、頭部癌若しくは頸部癌、消化管癌、白血病、卵巣癌、気管支癌、肺癌若しくは膵臓癌、鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、睾丸癌(精上皮腫)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、血管肉腫、未分化大細胞リンパ腫、子宮内膜癌又は前立腺癌を含む過剰増殖性疾患を治療する方法に向けられる。
【0056】
本明細書中で用いる場合、「C0−4アルキル」とは、0から4個の炭素、つまり直鎖構造又は分枝鎖構造の0、1、2、3又は4個の炭素を有するアルキルを意味する。アルキルが末端基である場合、炭素を持たないアルキルは、水素である。アルキルが架橋(連結)基である場合、炭素を持たないアルキルは、直接結合である。
【0057】
本明細書中で用いる場合、別段の定めがない限り、「アルキル」、「アルケニル」及び「アルキニル」は、直鎖構造又は分枝鎖構造を含む。低級アルキル、アルケニル及びアルキニルは、1から6個の炭素を有する。高級アルキル、アルケニル及びアルキニルは、6個を超える炭素を有する。
【0058】
本明細書中で用いる場合、別段の定めがない限り、「アリール」及び「ar」という用語は、化学者にとって周知であり、例えば、フェニル及びナフチル、ならびに1個又は複数の短いアルキル基を伴うフェニル(トリル、キシリル、メシチル、クメニル、ジ(t−ブチル)フェニル)を含む。フェニル、ナフチル、トリル及びキシリルが好ましい。「置換アリール」は、例えば、アシル、置換アシル、N−保護されたピペラジニルスルホニル、ピペラジニルスルホニル、N−C1−6アルキルピペラジニルスルホニル、ヒドロキシC1−6アルキル、複素環、ハロゲン、ニトロ、アミノ、C1−6アルキルアミノ、シアノ又はC1−6アルコキシ等の適切な置換基で置換されたアリールである。
【0059】
本明細書中で用いる場合、別段の定めがない限り、「複素環」は、化学者にとって周知であり、少なくとも1個のN、S又はOヘテロ環原子を含有し、例えば、ピロリル、ピロリニル、イミダゾイリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、イミダゾピリジル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、テトラゾロ−ピリダジニル、ピラニル、フリル、1H−テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、チエニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾイル、オキサゾリニル、モルホリニル、ベンゾフラニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾキサジアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリジニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾフラニル又はベンゾジオキシル等の、飽和、不飽和、部分飽和、モノ又はポリ環状複素環基が含まれる。このような複素環は、低級アルキル又はオキソ置換基により適切に置換される。
【0060】
本明細書中で用いる場合、別段の定めがない限り、「アシル」には、例えば、カルボキシ、エステル化カルボキシ、カルバモイル、低級アルキルカルバモイル、低級アルカノイル、アロイル、複素環カルボニル等が含まれる。エステル化カルボキシには、置換された又は置換されていない低級アルコキシカルボニル(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、2−ヨードエトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、ジメチルアミノプロポキシカルボニル、ジメチルアミノエトキシカルボニル等);置換された又は置換されていないアリールオキシカルボニル(フェノキシカルボニル、4−ニトロフェノキシカルボニル、2−ナフチルオキシカルボニル等);置換された又は置換されていないar(低級)アルコキシカルボニル(ベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル、4−ニトロベンジルカルボニル、3−メトキシ−4−ニトロベンジルオキシカルボニル等);及びN−含複素環オキシカルボニル(N−メチルピペリジルオキシカルボニル等)等が含まれる。
【0061】
本明細書中で用いる場合、別段の定めがない限り、「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素である。
【0062】
本明細書中で用いる場合、別段の定めがない限り、「C1−6アルキルヒドラジノ」とは、2−メチルヒドラジノ、2,2−ジメチルヒドラジノ、2−エチルヒドラジノ、2,2−ジエチルヒドラジノ等の2−モノ又は2,2−ジ(C1−6アルキル)ヒドラジノであり得る。
【0063】
本明細書中で用いる場合、別段の定めがない限り、「C1−6アルキルアミノC1−6アルキル」には、例えば、メチルアミノメチル、ジメチルアミノメチル、ジメチルアミノエチル等が含まれる。
【0064】
「C1−6アルカノイル」には、置換された又は置換されていないアルカノイル(ホルミル、アセチル、プロピオニロ、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、トリフルオロアセチル等)が含まれる。
【0065】
「アロイル」には、ベンゾイル、ナフトイル、トルオイル、ジ(t−ブチル)ベンゾイル等が含まれる。
【0066】
本明細書中で用いる場合、別段の定めがない限り、「保護されたアミノ」中の「N−保護基」には、置換された又は置換されていない低級アルカニル(例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、トリフルオロアセチル等)、フタロイル、低級アルコキシカルボニル(t−ブトキシカルボニル、t−アミルオキシカルボニル等)、置換された又は置換されていないアラルキルオキシカルボニル(ベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル等)、9−フルオレニルメトキシカルボニル、置換された又は置換されていないアレンスルホニル(ベンゼンスルホニル、トシル)が含まれる。フタロイル、t−ブトキシカルボニル又は9−フルオレニルメトキシカルボニルが好ましい。
【0067】
本明細書中で用いる場合、別段の定めがない限り、「保護されたグアニジノ」中の「N−保護基」には、低級アルコキシカルボニル(t−ブトキシカルボニル、t−アミルオキシカルボニル等)が含まれる。
【0068】
本明細書中で用いる場合、別段の定めがない限り、「ヒドロキシ保護基」には、置換された又は置換されていないアリールメチル(例えば、ベンジル、低級アルコキシベンジル)、アシル、又は、置換シリル(例えば、t−ブチルジフェニルシリル)が含まれる。
【0069】
上記の式I、II及びIIIは、ある位置における立体化学を明確にすることなしに示されている。本発明には、式I、II及びIIIの全ての立体異性体及び医薬として許容されるそれらの塩が含まれる。さらに、立体異性体の混合物ならびに単離した特定の立体異性体も含まれる。このような化合物の調製に用いる合成手段の過程中、又は当業者にとって公知のラセミ化又はエピマー化法を用いている場合、そのような手段の生成物は、立体異性体の混合物であり得る。
【0070】
本発明には、医薬として許容される担体と組み合わせて式Iの化合物を含有する医薬組成物も包含される。
【0071】
好ましくは、本組成物は、医薬として許容される担体及び非毒性の治療上有効量の上述式Iの化合物(又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシド)から成る。
【0072】
さらに、この好ましい実施形態の範囲内で、本発明は、野生型又は突然変異型のタンパク質であり得るc−Kitキナーゼを阻害することによる、疾患治療用の医薬組成物を包含し、この医薬組成物には、医薬として許容される担体及び非毒性の治療上有効量の上述式Iの化合物(又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシド)が含有される。
【0073】
本発明の化合物及び組成物は、例えば、ヒト等の哺乳類の治療に有効である。
【0074】
「医薬として許容される塩」という用語は、医薬として許容される非毒性塩基又は酸から調製される塩を意味する。本発明化合物が酸である場合、無機塩基及び有機塩基を含む医薬として許容される非毒性塩基から対応するその塩を都合よく調製することができる。このような無機塩基由来の塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅(第二銅及び第一銅)、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン(3価マンガン及び2価マンガン)、カリウム、ナトリウム、亜鉛等の塩が含まれる。特に好ましいのは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩である。医薬として許容される有機非毒性塩基由来の塩には、1級アミン、2級アミン及び3級アミンならびに環状アミン及び天然に存在する置換アミン及び合成の置換アミン等の置換アミンの塩が含まれる。塩を形成することができる、医薬として許容される他の有機非毒性塩基には、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N’,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等、イオン交換樹脂が含まれる。
【0075】
本発明の化合物が塩基性である場合、無機酸及び有機酸を含む医薬として許容される非毒性酸から対応するその塩を都合よく調製することができる。そのような酸には、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸等が含まれる。特に好ましいのは、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、メタンスルホン酸及び酒石酸である。
【0076】
本発明の医薬組成物又は本発明の方法で用いられる医薬組成物には、活性成分として式I、II又はIIIで表される化合物(又は医薬として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシド)、医薬として許容される担体及び必要に応じて他の治療成分又はアジュバントが含まれる。本組成物には、経口投与、直腸投与、局所性投与及び非経口投与(皮下、筋肉内及び静脈内投与を含む。)に適した組成物が含まれるが、どのようなケースにおいても最も適切な経路は、その特定のホスト、及び本活性成分を投与することになっている症状の性質及び重症度に依存することになろう。本医薬組成物は、都合よく、単位剤型で存在させることができ、医薬の分野で周知のあらゆる方法を用いて調製することができる。
【0077】
実施においては、本発明の式Iで表される化合物又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシドは、従来の医薬調合技術に従い、活性成分として、医薬担体と緊密に混合させることが出来る。この担体は、投与に望ましい製剤の形態に依存して、幅広く様々な形態を取り得る(例えば、経口又は非経口(静脈内を含む。))。従って、本発明の医薬組成物を、活性成分を予め決定した量、それぞれが含有するカプセル、カシェ剤又は錠剤等、経口投与に適した不連続単位で存在させることができる。さらに、本組成物は、粉末として、顆粒として、溶液として、水性液体中の懸濁液として、非水性の液体として、水中油型乳剤として、又は油中水型乳剤として、存在させ得る。上述の一般的な剤型に加えて、式Iで表される化合物、又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシドは、制御放出法及び/又は送達装置により投与することもできる。製薬学のあらゆる方法を用いて本組成物を調製し得る。一般に、このような方法には、1つ又は複数の必要な成分を構成する担体と本活性成分とを会合させる段階が含まれる。一般に、本組成物は、液体担体又は細かく粉砕した固形担体、又はその両方と、本活性成分とを均一かつ完全に混合することにより調製される。次に、その生成物を都合よく、所望する状態に成型することができる。
【0078】
従って、本発明の医薬組成物には、医薬として許容される担体と、式I、II又はIIIの化合物又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシドとが含まれ得る。式I、II若しくはIIIの化合物又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシドを、1つ又は複数の治療上有効な化合物と組み合わせて医薬組成物に含有させることもできる。
【0079】
本発明の医薬組成物には、式I、II若しくはIIIの化合物、又はその医薬として許容される塩若しくはN−オキシドを含有する医薬として許容されるリポソーム処方が含まれる。
【0080】
使用する医薬担体は、例えば、固体、液体又は気体であり得る。固体の担体の例には、ラクトース、石膏、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸が含まれる。液体担体の例には、シュガーシロップ、ピーナツ油、オリーブ油及び水が含まれる。気体担体の例には、二酸化炭素及び窒素が含まれる。
【0081】
経口剤型用の組成物の調製において、あらゆる都合のよい医薬溶媒を用い得る。懸濁液、エリキシル剤及び溶液等の経口用の液体調製物を形成するために、例えば、水、グリコール、油、アルコール、香味剤、保存剤、着色剤等を使用し得る。一方で、粉末、カプセル及び錠剤等の経口用固体調製物を形成するために、デンプン、糖類、微結晶性セルロース、希釈剤、顆粒化剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤等の担体を使用し得る。投与しやすいという点から、固体医薬担体を使用する錠剤及びカプセルが好ましい経口投薬単位である。必要に応じて、錠剤を標準的な水性又非水性の技術により被覆し得る。
【0082】
圧縮又は成型により、必要に応じて1つ又は複数の副成分若しくはアジュバントを用いて、本発明の組成物を含有する錠剤を調製し得る。必要に応じて結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、界面活性剤若しくは分散剤又は他のそのような補形剤と混合して、粉末又は顆粒等の自由流動性の活性成分を適切な機械で圧縮することによって、圧縮錠剤を調製し得る。これらの補形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム等の不活性希釈剤;例えば、コーンスターチ又はアルギン酸等の顆粒化剤及び崩壊剤;例えば、デンプン、ゼラチン又はアカシア等の結合剤;及び例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルク等の潤滑剤であり得る。錠剤は、被膜のないものであり得るか、又は消化管における崩壊及び吸収を遅らせて、それによってより長時間にわたり効果を持続させるために、公知の技術により被覆されていてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリン又はジステアリン酸グリセリン等の時間遅延物質を使用し得る。
【0083】
硬ゼラチンカプセルにおいて、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリン等の不活性の固体希釈剤と活性成分とを混合する。軟ゼラチンカプセルにおいて、例えば、水又はピーナツ油、液体パラフィン又はオリーブオイル等の油性溶媒と活性成分とを混合する。適切な装置を用いて、不活性液体希釈剤で湿気を与えた粉末化化合物の混合物を成型することにより、成型錠剤を製造することができる。各錠剤は、好ましくは、活性成分約0.05mgから約5gを含有し、各カシェ剤又はカプセルは、好ましくは活性成分約0.05mgから約5gを含有する。
【0084】
例えば、ヒトへの経口投与を意図した処方には、活性成分約0.5mgから約5gが含有され、適切かつ都合のよい量の担体物質と混合されるが、その担体量は、組成物全体の約5から約95%と様々であり得る。単位剤型には、一般に、活性成分約1mgから約2gが含有されるが、通常は、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mg又は1000mgである。
【0085】
水中の活性成分の溶液又は懸濁液として、非経口投与に適した本発明の医薬組成物を調製し得る。適切な界面活性剤には、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース等が含まれ得る。グリセロール、液体ポリエチレングリコール及び油中のそれらの混合物中で分散液を調製することもできる。さらに、微生物の有害な増殖を防ぐために保存剤を含有することができる。
【0086】
注射用に適した本発明の医薬組成物には、滅菌水溶液又は分散液が含まれる。さらに、本組成物は、このような滅菌注射剤溶液又は分散剤の即時調合用の滅菌粉末の形態でもあり得る。全てのケースにおいて、最終注射剤型は、滅菌状態でなければならず、シリンジに容易に入れることができるよう十分に流動性がなければならない。本医薬組成物は、製造及び保管の条件下で安定でなければならない。つまり、好ましくは、細菌及び真菌等の微生物汚染が起こらないよう保護されている必要がある。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール)、植物油及び適切なそれらの混合物を含む、溶剤又は分散媒であり得る。
【0087】
本発明の医薬組成物は、例えば、エアロゾル、クリーム、軟膏、ローション、散布剤等、局所使用に適切な形であり得る。さらに、本組成物は、経皮手段での使用に適切な形であり得る。従来の加工法により、本発明の式Iで表される化合物又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシドを利用して、これらの処方を調製し得る。例として、所望する濃度のクリーム又は軟膏を製造するために、本化合物 約5重量%から約10重量%とともに親水性物質及び水を混合して、クリーム又は軟膏を調製する。
【0088】
本発明の医薬組成物は、担体が固体である、直腸投与に適した形態であり得る。この混合物が最小投薬単位の浣腸剤を形成することが好ましい。適切な担体には、カカオバター及び本分野で一般に使用される他の物質が含まれる。浣腸剤は、都合よく、軟化させた又は融解させた担体と本組成物とを最初に混合して、その後、冷却して型で成型することにより形成することができる。
【0089】
上述の担体成分に加えて、上述の医薬処方には、必要に応じて、希釈剤、緩衝液、香味剤、結合剤、界面活性剤、濃厚剤、潤滑剤、保存剤(抗酸化剤を含む。)等の1つ又は複数のさらなる担体成分が含まれ得る。さらに、処方物を対象とするレシピエントの血液と等張にするために、他のアジュバントが含まれ得る。式Iで説明される化合物又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシドを含有する組成物を、粉末又は液体濃縮物の形態でも調製することができる。
【0090】
一般に、1日につき約0.01mg/kg(体重)から約150mg/kg(体重)という用量レベル、あるいは、患者1人あたり1日につき約0.5mgから約10gという用量レベルは、上記症状の治療に有用である。体重1kgあたり本化合物を1日に約0.01から100mg、又はあるいは、患者1人あたり、1日約0.5mgから約7gを投与することにより、例えば、乳癌、頭部癌及び頸部癌、及び結腸癌、直腸癌若しくは胃癌等の消化管癌を効果的に治療し得る。
【0091】
同様に、体重1kgあたり本化合物を1日約0.01から100mg、又はあるいは、患者1人あたり、1日約0.5mgから約7gを投与することにより、白血病、卵巣癌、気管支癌、肺癌及び膵臓癌を効果的に治療し得る。
【0092】
体重1kgあたり本化合物を1日約0.01から100mg、又はあるいは、患者1人あたり、1日約0.5mgから約7gを投与することにより、肥満細胞症/肥満細胞白血病、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌(SCLC)、鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、睾丸癌(精上皮腫)、甲状腺癌、悪性黒色腫、卵巣癌、腺様嚢胞癌、急性骨髄性白血病(AML)、乳癌、小児T細胞急性リンパ芽球白血病、血管肉腫、未分化大細胞リンパ腫、子宮内膜癌又は前立腺癌を効果的に治療し得る。
【0093】
しかし、いずれの特定の患者に対する個別の用量レベルも、年齢、体重、全身状態、性別、食餌、投与時期、投与経路、排出速度、併用薬物及び治療を行う特定の疾患の重症度を含む様々な因子に依存することを理解されたい。
【0094】
他の癌治療用化合物と併用して、本発明の化合物又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシドを効果的に投与することもできる。例えば、細胞毒性剤及び血管新生阻害剤は、本発明化合物との有利な併用薬剤であり得る。従って、本発明には、式Iで表される化合物又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシドと、細胞毒性剤若しくは血管新生阻害剤とを含有する組成物が含まれる。それぞれの量は、単独で治療上有効な量であり得、この場合、さらなる効果により、単剤療法での治療に耐性を示す癌を克服することができる。いずれの量も、特に敏感な患者において悪影響を最小限に抑えるために、治療量以下にすることができる。
【0095】
癌の治療は癌のタイプに依存することを理解されたい。例えば、肺癌は、一次治療として、結腸癌又は乳癌を治療する場合とは異なる方法で治療を行う。肺癌の中においても、例えば、一次治療は、二次治療とは異なり、同様に、二次治療は三次治療とは異なる。新たに診断された患者を、シスプラチンを取り入れた計画で治療することがある。それが奏功しない場合、タキサン等の二次治療に移る。最終的に、それが奏功しない場合、三次治療として、チロシンキナーゼEGFR阻害剤が採用されることがある。さらに、規制当局の認可は、国ごとに異なる。従って、一般に認められた治療計画は、国ごとに異なり得る。いずれにせよ、本発明の化合物又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシドを、そのような他の癌治療化合物と併せて、又は組み合わせて、効果的に併用投与することができる。そのような他の化合物には、例えば、様々な細胞毒性剤(アルキル化剤、DNAトポイソメラーゼ阻害剤、代謝拮抗剤、チューブリン結合物質);血管新生阻害剤;及びタルセバ等のキナーゼ阻害剤、モノクローナル抗体及び癌ワクチンを含む様々な他の形態の治療剤が含まれる。本発明化合物との併用投与に効果的な他のそのような化合物には、ドキソルビシン、ビンクリスチン、シスプラチン、カルボプラチン、ゲムシタビン及びタキサンが含まれる。従って、本発明化合物には、式Iによる化合物又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシド及び、抗新生物薬、抗腫瘍薬、血管新生阻害剤又は化学療法剤が含まれる。
【0096】
癌治療剤だけでなく、他の治療化合物と併用して、本発明の化合物又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシドを効果的に投与することもできる。例えば、不都合な副作用を改善するために有効な治療剤は、本発明化合物との有利な共投与剤であり得る。
【0097】
本発明の代表的実施例を以下の表1にまとめる。
【0098】
【表1】

【0099】
I.活性化c−Kitキナーゼの実験室アッセイ
KitチロシンキナーゼドメインをコードするcDNAを、K562細胞から単離し、昆虫細胞中でGST(グルタチオンS−トランスフェラーゼ)との融合タンパク質としてタンパク質発現を行わせるためにバキュロウイルス発現ベクターにクローニングした。精製後、その酵素をATPとインキュベーションし、チロシンリン酸化された、活性化型酵素を生成させ、Kitチロシンキナーゼドメインによる外来基質リン酸化に対する化合物の阻害能を調べるキナーゼアッセイにおいて、それを使用した。
【0100】
c−Kitタンパク質のリン酸化
使用する試薬は次のとおりであった。
【0101】
カラム緩衝液
50mM HEPES pH7.4125mM NaCl
10% グリセロール
1mg/ml BSA
2mM DTT
200μM NaVO
リン酸化緩衝液
50mM HEPES pH7.4
125mM NaCl
24mM MgCl
1mM MnCl
1% グリセロール
200μM NaVO
2mM DTT
2mM ATP
精製GST−Kitチロシンキナーゼタンパク質(約150μg)75μlを、リン酸化緩衝液225μlとともに、30℃にて1時間インキュベーションする。低温室にて、カラム緩衝液25mlを用いて脱塩カラム(例えば、ファルマシア PD−10カラム)を平衡化する。リン酸化タンパク質をそのカラムに添加し、続いて、総体積が2.5mlになるように十分なカラム緩衝液を添加する(今回の場合は、2.2ml)。次に、リン酸化Kitタンパク質を3.5mlのカラム緩衝液で抽出し、3.5mlグリセロールが入った試験管に回収する(最終濃度は、50%グリセロール)。混合した後、分注して−20℃又は−70℃にて保存する。
【0102】
c−Kitキナーゼ活性のアッセイ
ATP存在下で、チロシン残基における、外来基質(ポリGlu:Tyr)に対するKitのリン酸化能を測定するELISAを基にしたアッセイでキナーゼ活性を調べる。Kitとインキュベーションした後、その基質中のリン酸化されたチロシン残基のみを認識する抗体の結合の程度を定量することにより、基質リン酸化を測定する。使用抗体は、共有結合したレポーター酵素(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、HRP)を有しており、適切なHRP基質(例えば、ABTS)とインキュベーションすることにより、リン酸化基質への抗体結合を定量的に測定することができる。
【0103】
使用する保存試薬は次のとおりである。
【0104】
13.3μg/ml PGT 保存溶液:50ml PBSに、66.7μl 10mg/ml PGTを添加する。
【0105】
1x洗浄緩衝液:20x洗浄緩衝液(KPL#50−63−00)を、HOで1xに希釈する。
【0106】
アッセイ緩衝液:
50mM Hepes、pH7.4
125mM NaCl
24mM MgCl
1mM MnCl
1% グリセロール
200μM バナジウム酸塩 使用直前に添加する。
2mM DTT 使用直前に添加する。
【0107】
アッセイ緩衝液+ATP:アッセイ緩衝液12mlに、75mM ATP 5.8μlを添加する。
【0108】
活性化GST−c−kit(TK):アッセイ緩衝液中で1:500に希釈する。
【0109】
ブロック緩衝液:
0.5% Tween−20、3%BSAを含有するPBS
200μM バナジウム酸塩−使用直前に添加する。
【0110】
pY20−HRP:
ブロック緩衝液10mlに、pY20−HRPの100μg/ml保存溶液を6.2μl添加する。
【0111】
ABTS基質:KPL 3 50−66−06 定められたとおり使用する。
【0112】
アッセイプロトコール:
94ウェルイムロン−4マイクロタイタープレートの各ウェルを、13.3μg/ml PGT保存溶液75μlで被覆し、37℃にて一晩インキュベーションして、250μlの1x洗浄緩衝液で1回洗浄する。
【0113】
ネガティブコントロールのウェルに対して、アッセイ緩衝液(ATPなし)50μlを添加し、他の全てのウェルには、アッセイ緩衝液+ATP 50μlを添加する。ポジティブ及びネガティブコントロールのウェルに対して、5% DMSO 10μlを添加し、他のウェルに、5%DMSOに溶解させた試験化合物(最終濃度は、10nMから100μM)10μlを添加する。
【0114】
アッセイを開始するために活性化GST−c−kit 30μlを添加し、それを室温にて30分間インキュベーションし、次に、0.5M EDTAを50μl/ウェルずつ添加して、反応を停止させる。1x洗浄緩衝液で3回、そのプレートを洗浄し、次に、ブロック緩衝液中のホスホ−チロシン特異的抗体−HRP共役物(例えば、pY20−HRP、Calbiochem)75μlを添加する。そのプレートを室温にて2時間インキュベーションし、次に1x洗浄緩衝液で3回洗浄する。次に、ABTS基質 100μlを添加し、そのプレートを室温にて30分間インキュベーションして、その後1%SDS 100μlを添加して反応を停止させる。マイクロプレートリーダーで405/490nMのODを測定して、その反応を定量する。
【0115】
コントロールのシグナル(ATP存在下及び非存在下、化合物を添加しない。)と、化合物が存在する条件下で得られたアッセイのシグナルとを比較することにより、化合物濃度の範囲にわたり、キナーゼ活性阻害の程度を決定することができる。これらの阻害値を、シグモイドの用量反応曲線に当てはめ、IC50値(つまり、コントロール活性の50%までキナーゼ活性を低下させる化合物濃度)を決定する。
【0116】
本発明化合物は、上記アッセイにおいてKitのポリ(Glu:Tyr)リン酸化能を低下させ、従って、c−Kit受容体チロシンキナーゼ活性を直接阻害することが示された。このアッセイのIC50値は、9nMから338mMの間であった。
【0117】
本発明化合物は、驚くべきことに、また、思いがけず、上記アッセイにおいて、本分野で最も類似しているチオフェン化合物よりも高いc−Kit阻害能を示した(このアッセイにおける本発明化合物のIC50値は、このアッセイにおける既知の最も類似したチオフェン化合物のIC50値よりも小さかった。)。さらに、本発明化合物は、驚くべきことに、また、思いがけず、それらの個々の位置異性体の多くよりも、化学的により安定である。
【実施例】
【0118】
実験
本発明の実施例を次の手段により調製した。
【0119】
実施例1に対して下記で示すスキームを参考に、Weinrebのアミド化条件下で、化合物1などのエステルから、タイプ3のアニリドを直接調製し得るが、このような条件により、トルエン又はジクロロメタン等の中性溶媒中、トリメチルアルミニウム又はクロロジメチルアルミニウム(これらに限定されない。)等のアルキルアルミニウム試薬存在下で、前記エステルを、化合物2などのアニリンと反応させる(Synthetic Communications,(1982),12,989))。
【0120】
次に、還元条件下で、第1級アミノ官能基を有する3などの化合物をアルデヒドと反応させ、例えばトリエチルシラン及びトリフルオロ酢酸、又はシアン化水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム及び水素等(これらに限定されない。)の他の試薬との混合物存在下で、実施例1などの第2級アミンを得ることができる。
【0121】
(実施例1)
N−(4−トリフルオロメトキシフェニル)3−[(キノリン−4−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキサミド
【0122】
【化46】

【0123】
実施例1は、次の手段により調製した。
【0124】
【化47】

【0125】
パート1
N−(4−トリフルオロメトキシフェニル)3−アミノチオフェン−2−カルボキサミド:窒素下で、トルエン(50ml)中の4−トリフルオロメトキシアニリン(7.8g、44.5mmol)の撹拌溶液に、トリメチルアルミニウム(トルエン中2M、26.7ml、53.4mmol)を添加した。その混合物を、室温にて16時間撹拌した。メチル3−アミノ−2−チオフェンカルボン酸塩(7g、44.5mmol)を添加し、得られた溶液を、窒素下で24時間、還流温度(油浴温度:130℃)にて撹拌した。室温に冷却した後、重炭酸ナトリウム飽和溶液(100ml)を慎重に滴下添加し、その混合物を室温にて30分間撹拌した。その生成物をジクロロメタン(3x100ml)で抽出し、有機層をNaSOで乾燥させ、濃縮させて濃厚な油状物質を回収し、次にそれをヘキサン/酢酸エチルの混合物と摩砕し、褐色の固体としてN−(4−トリフルオロメトキシフェニル)3−アミノチオフェン−2−カルボキサミドを得た。H−NMR(400MHz/CDOD):δ=6.65(d,J=5.6Hz,1H),7.23(d,J=8.4Hz,2H),7.39(d,J=5.2Hz,1H),7.67(d,J=9.2Hz,2H)。MS(ES):303[MH]。
【0126】
パート2
N−(4−トリフルオロメトキシフェニル)3−[(キノリン−4−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキサミド:トリフルオロ酢酸:ジクロロメタン(1:1、30ml)中のN−(4−トリフルオロメトキシフェニル)3−アミノチオフェン−2−カルボキサミド(1g、3.31mmol)及びキノリン−4−カルボキシアルデヒド(347mg、2.21mmol)の溶液を、窒素下で、還流温度にて2時間加熱した。その反応物を室温に冷却し、トリエチルシラン(0.71ml、4.42mmol)を添加した。次に、得られた溶液を窒素下で還流温度にて16時間撹拌した。室温に冷却した後、その反応混合物を減圧下で蒸発させ、酢酸エチル(3x100ml)と重炭酸ナトリウム飽和溶液(50ml)との間で残渣を分配した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中20−30% 酢酸エチル)により残渣を精製し、淡黄色の固体として、実施例1、mp:168−170℃を得た。H−NMR(400MHz/CDCl):δ=5.01(d,J=6.2Hz,2H),6.56(d,J=5.4Hz,1H),7.12(s,1H),7.22(d,J=8.7Hz,2H),7.25(s,1H),7.44(d,J=4.3Hz,1H),7.58(d,J=9.0Hz,2H),7.62(t,J=8.2Hz,1H),7.76(t,J=8.3Hz,1H),8.02(d,J=7.5Hz,2H),8.17(d,J=8.3Hz,1H),8.86(d,J=4.5Hz,1H)。MS(ES):444[MH]。13C−NMR(400MHz/CDCl):δ=45.9,101.4,117.9,118.9,119.5,121.9,122.0、122.6,126.5,127.2,129.1,129.7,130.6,136.8,144.5,145.4,148.3,150.7,155.9、163.8。Anal Calcd for C2216S:C,59.59;H,3.64;N,9.48;F,12.85;S,7.23。Found:C,59.59:H,3.67;N,9.46;F,13.01;S,7.23。
【0127】
(実施例2)
N−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)3−[(キノリン−4−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキサミド
4−トリフルオロメトキシアニリンの代わりに、4−ブロモ−3−メチルアニリンを使用して、実施例1に対して上述した手段に従い、実施例2を調製した。MS(ES):452,454[MH]。
【0128】
(実施例3)
N−(2,2,3,3−テトラフルオロベンゾジオキサン−6−イル)3−[(キノリン−4−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキサミド
4−トリフルオロメトキシアニリンの代わりに、6−アミノ−2,2,3,3−テトラフルオロベンゾジオキサンを使用して、実施例1に対して上述した手段に従い、実施例3を調製した。MS(ES):490[MH]。
【0129】
(実施例4)
N−(4−クロロフェニル)3−[(キノリン−4−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキサミド
4−トリフルオロメトキシアニリンの代わりに、4−クロロアニリンを使用して、実施例1に対して上述した手段に従い、実施例4を調製した。MS(ES):394,396[MH]。
【0130】
(実施例5)
4−{[2−(4−ブロモ−3−メチルフェニルカルバモイル)チオフェン−3−イルアミノ]メチル}ピリジン−2−カルボン酸メチルアミド
0℃、開口フラスコ中、THF中のN−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)3−アミノチオフェン−2−カルボキサミド(1等量。4−トリフルオロメトキシアニリンの代わりに、4−ブロモ−3−メチルアニリンを使用して、実施例1、パート1に対して上述したようにして調製。)の撹拌溶液に、THF中の2−(N−メチルカルバモイル)ピリジン−4−カルボキシアルデヒド(国際特許公開WO第01/23375号に記載されているようにして調製)(1.1等量)及び4M HSO(0.1等量)を添加し、その混合物を0℃にて30分間撹拌した。水素化ホウ素ナトリウム(1等量)を滴下添加し、その混合物を室温に温め、2時間撹拌した。次に、水を添加し、2M 水酸化ナトリウム溶液でその混合物をpH12に塩基性化し、得られた生成物を酢酸エチルで抽出した。合わせた抽出物を水で洗浄し、次に食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)させ、濾過して真空中で濃縮し、黄色の半固体を得て、カラムクロマトグラフィーを用いて、ヘキサン:酢酸エチルの95:5混合液から50:50混合液まで、徐々に酢酸エチル濃度を増加させていきながら溶出を行い、それを精製した。MS(ES):459,461[MH]。
【0131】
(実施例6)
4−{[2−(2,2,3,3−テトラフルオロベンゾジオキサン−6−イルカルバモイル)チオフェン−3−イルアミノ]メチル}ピリジン−2−カルボン酸メチルアミド
N−(2,2,3,3−テトラフルオロベンゾジオキサン−6−イル)3−アミノチオフェン−2−カルボキサミド(実施例1、パート1に対して上述したようにして、4−トリフルオロメトキシアニリンの代わりに、6−アミノ−2,2,3,3−テトラフルオロベンゾジオキサンを使用して調製。)を使用して、実施例5に対して上述した手段に従い、実施例6を調製した。MS(ES):497[MH]。
【0132】
(実施例7)
4−{[2−(4−クロロフェニルカルバモイル)チオフェン−3−イルアミノ]メチル}ピリジン−2−カルボン酸メチルアミド
N−(4−クロロフェニル)3−アミノチオフェン−2−カルボキサミド(実施例1、パート1に対して上述したようにして、4−トリフルオロメトキシアニリンの代わりに、4−クロロアニリンを使用して調製。)を使用して、実施例5に対して上述した手段に従い、実施例7を調製した。MS(ES):401,403[MH]。
【0133】
(実施例8)
N−(4−クロロフェニル)3−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキサミド
パート1:
7−アザインドール−3−カルボキシアルデヒド:温度を10℃以下に維持しながら、DMF(40ml)の冷却溶液に、オキシ塩化リン(36.5ml)を滴下添加した。得られた溶液をさらに5℃に冷却し、温度を25℃以下に維持しながら、DMF(40ml)中の7−アザインドールの溶液をゆっくりと30から40分間にわたり添加した。その混合物を95℃にて48時間加熱し、次に35℃に冷却して、1時間にわたり撹拌しながら、冷却した重炭酸ナトリウム飽和水溶液(800ml)に慎重に添加した。その混合物を酢酸エチル(4x500ml)で抽出し、合わせた抽出物を水(500ml)及び食塩水(500ml)で洗浄し、乾燥(MgSO)させ、濾過して真空中で濃縮し、暗褐色の半固体を得た。カラムクロマトグラフィーを用いて、酢酸エチル:ヘキサンの50:50混合液から90:10混合液まで、徐々に酢酸エチル濃度を増加させていきながら抽出を行い、この未精製生成物を精製した。1H−NMR(400MHz/D−DMSO):δ=7.25(m,1H),8.38(m,2H),8.42(s,1H),9.92(s,1H),12.62(br.s,1H)。MS(ES):147[MH]。
【0134】
パート2:
N−(4−クロロフェニル)3−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキサミド:N−(4−クロロフェニル)3−アミノチオフェン−2−カルボキサミド(実施例1、パート1で述べたようにして、4−トリフルオロメトキシアニリンの代わりに、4−クロロアニリンを使用して調製。)及び、2−(N−メチルカルバモイル)ピリジン−4−カルボキシアルデヒドの代わりに7−アザインドール−3−カルボキシアルデヒド(実施例8、パート1)を使用して、実施例5で述べた手段に従い、調製した。MS(ES):383,385[MH]。
【0135】
(実施例9)
N−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)3−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキサミド
N−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)3−アミノチオフェン−2−カルボキサミド(実施例1、パート1で述べたようにして、4−トリフルオロメトキシアニリンの代わりに、4−ブロモ−3−メチルアニリンを使用して調製。)及び、2−(N−メチルカルバモイル)ピリジン−4−カルボキシアルデヒドの代わりに7−アザインドール−3−カルボキシアルデヒド(実施例8、パート1)を使用して、実施例5で述べた手段に従い、実施例9を調製した。MS(ES):441,443[MH]。
【0136】
(実施例10)
N−(2,2,3,3−テトラフルオロベンゾジオキサン−6−イル)3−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキサミド
N−(2,2,3,3−テトラフルオロベンゾジオキサン−6−イル)3−アミノチオフェン−2−カルボキサミド(実施例1、パート1において述べたようにして、4−トリフルオロメトキシアニリンの代わりに、6−アミノ−2,2,3,3−テトラフルオロベンゾジオキサンを使用して調製。)及び、2−(N−メチルカルバモイル)ピリジン−4−カルボキシアルデヒドの代わりに7−アザインドール−3−カルボキシアルデヒド(実施例8、パート1)を使用して、実施例5で述べた手段に従い、実施例10を調製した。MS(ES):479[MH]。
【0137】
(実施例11)
N−{[2−(4−トリフルオロメトキシフェニルカルバモイル)チオフェン−3−イルアミノ]メチル}ピリジン−2−カルボン酸メチルアミド
N−(4−トリフルオロメトキシフェニル)3−アミノチオフェン−2−カルボキサミド(実施例1に対して上述したようにして調製。)を使用して、実施例5に対して上述した手段に従い、実施例11を調製した。MS(ES):451[MH]。
【0138】
(実施例13)
N−(4−トリフルオロメトキシ)フェニル−3−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキサミド
【0139】
【化48】

【0140】
パート1
4−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン:200ml POClに、1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン7−オキシドをゆっくりと添加し、得られた混合物を80℃にて一晩撹拌した。次に、過剰なPOClを真空中で除去し、残渣を500ml HOで処理し、飽和KCO(aq)で塩基性化した後、EtOAc(2x300ml)で抽出した。合わせた抽出物を水及び食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮して、4−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(12.9g、76%)を得た。MS(ES+):153[MH]。
【0141】
パート2:
4−ヨード−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン:アセトニトリル(150ml)中の4−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(12.9g、84.3mmol)及びNaI(40g、168mmol)の溶液に、塩化アセチル(12.6ml、176mmol)をゆっくりと添加した。その混合物を80℃にて4日間撹拌し、次に、過剰なアセトニトリルを真空中で除去した。10% KCO(aq)300mlを残渣に添加し、その混合物をCHCl(3x100ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を10% 亜硫酸水素ナトリウム(aq)及び食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮し、未精製生成物(22.2g)を得た。THF(150ml)中のこの未精製生成物の溶液に、1M NaOH(100ml)を添加した。この混合物を室温にて2時間撹拌し、その後真空中で溶媒を蒸発させ、水で希釈して、CHClで抽出した。抽出物を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。シリカゲルを用いたクロマトグラフィーにより得られた褐色の固体を精製し、アセトニトリルから再結晶化させ、純粋な4−ヨード−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(9.75g、48%)を得た。MS(ES+):245[MH]。
【0142】
パート3:
1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−カルボニトリル:脱気したDMF(25ml)中の4−ヨード−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(4.7g、19.3mmol)の溶液に、Pd(dba)(10mg)、dppf(15mg)、脱気したHO(2ml)及びZn(CN)(1.4g、11.6mmol)を添加した。窒素下で、その混合物を90℃にて20時間撹拌し、70℃に冷却し、飽和NHCl:NHOH:HOの4:1:4の混合液75mlを添加した。その混合物を5℃にて20分間撹拌し、得られた沈殿物を濾取し、飽和NHCl:NHOH:HOの4:1:5の混合物75ml、500mlのHO及び100mlのトルエンで洗浄し、次に真空中で乾燥させ、1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−カルボニトリル 2.06g(74%)を得た。MS(ES+):143[MH]。H NMR(DMSO−d,400MHz):δ6.65(d,1H,J=3.2),7.56(d,1H,J=4.8Hz),7.84(d,1H,J=4.0Hz),8.40(d,1H,J=4.8Hz)。
【0143】
パート4
1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−カルボキシアルデヒド:窒素下、−78℃の、THF(7ml)中の1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−カルボニトリル(200mg、1.4mmol)の溶液に、Dibal−H(トルエン中、1.0M、3.07ml、3.07mmol)を添加した。反応混合物を−78℃にて1時間撹拌し、55℃に温め、さらに2時間撹拌した。DIBAL−Hをさらに1等量(1.4ml、1.4mmol)添加し、その混合物を55℃にて2時間撹拌した。その混合物を5℃に冷却し、2M HClで酸性化し、15分間撹拌した。次に、その混合物を飽和NaHCO(aq)で中性化し、CHCl(5x25ml)で抽出し、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮して、1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−カルボキシアルデヒド(107mg、52%)を得た。MS(ES+):146[MH]。H NMR(DMSO−d,400MHz):δ7.72(d,1H,J=3.6Hz),7.57(d,1H,J=4.8Hz),7.67(d,1H,J=2.4Hz),8.61(d,1H,J=5.2Hz),10.42(s,1H)。
【0144】
パート5
メチル3−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキシレート:TFA/CHCl(2ml/2ml)中の3−アミノチオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(110mg、0.701mmol)及び1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−カルボキシアルデヒド(107mg、0.736mmol)の溶液を、50℃にて3時間撹拌した。その溶液を0℃に冷却し、トリエチルシラン(0.224ml、1.40mmol)を滴下添加した。次に、その混合物を50℃にて4時間撹拌し、2N NaOH(aq)で(pH6まで)処理し、次に、飽和NaHCO(aq)(pH8まで)で処理した。有機層を分離し、水層をCHCl(3x10ml)で抽出した。有機抽出物を合わせ、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(20% EtOAc/ヘキサンから、70%EtOAc/ヘキサンの勾配)により精製し、メチル3−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキシレート(98mg、49%)を回収した。MS(ES+):287[MH]。H NMR(DMSO−d,400MHz):δ3.75(s,3H),4.84(d,2H,J=4.4Hz),6.74(dd,1H,J=2.8Hz&2.0Hz),6.70(d,1H,J=5.6Hz),7.01(d,1H,J=4.8Hz),7.51(t,1H,J=2.4Hz),7.61(d,1H,J=5.2Hz),8.18(d,1H,J=4.8Hz)。
【0145】
パート6
N−(4−トリフルオロメトキシ)フェニル−3−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキサミド:無水トルエン(5ml)中の4−トリフルオロメトキシアニリン(0.381ml、1.74mmol)の溶液に、AlMe(トルエン中2.0M、0.520ml、1.4mmol)を添加し、その溶液を室温にて一晩撹拌した。メチル3−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキシレート(100mg、0.348mmol)を添加し、その混合物を130℃にて一晩撹拌し、その後、室温に冷却して、飽和NaHCO(aq)15mlで処理した。1時間撹拌した後、その混合物を濾過し、濾過層を分離し、水層をCHCl(3x10ml)で抽出した。単離した固体を15ml CHClに溶解し、有機溶液全て(トルエン及びCHCl)を合わせ、食塩水で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(20% EtOAc/ヘキサンから、50%EtOAc/ヘキサンの勾配)により、残渣を精製し、N−(4−トリフルオロメトキシ)フェニル−3−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキサミド(93mg、62%)を回収した。MS(ES+):432[MH]。H NMR(DMSO−d,400MHz):δ4.81(d,2H,J=6.4Hz),6.62(dd,1H,J=3.6&1.6Hz),6.78(d,1H,J=5.6Hz),6.99(d,1H,J=4.8Hz),7.31(d,2H,J=8.8Hz),7.45(dd,1H,J=2.8&3.2Hz),7.59(d,1H,J=5.6Hz,1H),7.79(ddd,2H,J=8.8,3.2&2.0Hz),8.08(t,1H,J=6.4Hz),8.15(d,1H,J=4.8Hz),9.54(s,1H)。
【0146】
実施例13、パート6に対して上述した手段に従い、メチル3−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキシレート(実施例13、パート5)及び適切なアニリンを用いて、次の類似体を調製した。
【0147】
(実施例14)
N−(4−クロロフェニル)−3−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキサミド:(5.1mg、4%)。MS(ES+):383[MH]。
【0148】
【化49】

【0149】
(実施例15)
3−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イルメチル)アミノ]−N−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル)チオフェン−2−カルボキサミド:(19.4mg、16%)。MS(ES+):479[MH]。
【0150】
【化50】

【0151】
(実施例16)
4−メチル−N−(4−トリフルオロメトキシフェニル)フェニル−3−[(キノリン−4−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキサミド:
【0152】
【化51】

【0153】
メチル3−アミノ−4−メチルチオフェン−2−カルボキシレート、キノリン−4−カルボキシアルデヒド及び4−(トリフルオロメトキシ)アニリンを出発物質として用いて、実施例13、パート5及び6に対して述べた手段に従って調製した。MS(ES+):458[MH],459[MH2+]。H NMR(CDCl,400MHz):δ2.15(d,3H,J=1.2Hz),5.01(d,2H,J=7.2Hz),6.98(d,1H,J=1.2Hz),7.17−7.24(m,3H),7.51−7.54(m,3H),7.58(ddd,1H,J=8.0,6.4,1.2Hz),7.74(ddd,1H,J=8.0,6.8,1.2Hz),7.86(bs,1H),7.97(dd,1H,J=8.8,0.8Hz),8.16(d,1H,J=8.0Hz),8.89(d,1H,J=4.8Hz)。
【0154】
各ケースにおいて適切なアニリンを用いて、次の実施例を同様にして調製した。
【0155】
(実施例17)
N−(4−クロロフェニル)−4−メチル−3−[(キノリン−4−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキサミド:MS(ES+):408,410[MH]。
【0156】
【化52】

【0157】
(実施例18)
N−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−4−メチル−3−[(キノリン−4−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキサミド:MS(ES+):467,469[MH]。
【0158】
【化53】

【0159】
(実施例19)
4−メチル−3−[(キノリン−4−イルメチル)アミノ]−N−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル)チオフェン−2−カルボキサミド:MS(ES+):503[MH]。
【0160】
【化54】

【0161】
(実施例20)
3−{[(1−オキシドキノリン−4−イル)メチル]アミノ}−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]チオフェン−2−カルボキサミド
【0162】
【化55】

【0163】
パート1:
キノリン−4−イルメタノール
メタノール(5ml)に溶解したキノリン−4−カルボアルデヒド(0.50g、3.24mmol)の溶液を0℃に冷却した。次に、水素化ホウ素ナトリウム(0.11g、2.91mmol)を分割して添加した。0℃にて1時間撹拌した後、pHが約5になるまで、2M HCl(aq)を滴下添加した。次に、その中のメタノールを真空中で蒸発させ、NaHCO飽和水溶液を添加して、水相を中性化した。その水溶液をCHCl(x3)で抽出し、合わせた有機抽出物を飽和NaHCO(aq)及び食塩水で洗浄した。NaSOで有機溶液を乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、黄色の固体として、キノリン−4−イルメタノールを回収した。MS(ES+):160[MH]。H NMR(CDCl,400MHz):δ2.41(bs,1H),5.25(bs,2H),7.55(ddd,J=4.4,1.2,1.2Hz,1H),7.58(ddd,J=8.4,7.2,1.2Hz,1H),7.73(ddd,J=8.4,6.8,1.6Hz,1H),7.97(ddd,J=8.4,1.2,0.4Hz,1H),8.14(ddd,J=8.0,1.2,0.4Hz,1H),8.90(d,J=4.4Hz,1H)。
【0164】
パート2:
(1−オキシドキノリン−4−イル)メタノール
0℃に冷却した、CHCl(10ml)に溶解させたキノリン−4−イルメタノール(0.20g、1.26mmol)の溶液に、m−クロロ過安息香酸(HO中57%−86%W/W、0.5mg)を一度に添加した。撹拌しながら、その反応物を室温までゆっくりと温めた。17.5時間後、得られた固体を濾過し、CHClで洗浄して、白色の固体として、(1−オキシドキノリン−4−イル)メタノールを回収した。MS(ES+):176[MH]。
【0165】
パート3
キノリン−4−カルバルデヒド−1−オキシド
激しく撹拌している、アセトニトリル(10ml)中の(1−オキシドキノリン−4−イル)メタノール(0.10g、0.57mmol)の懸濁液に、Dess−Martinペルヨージナン(0.47g、0.63mmol)を添加した。1時間後、2M NaOH(aq、2ml)及び酢酸エチル(105ml)を添加し、その反応物を5分間撹拌した。次に、層を分離し、有機相を飽和NaHCO(aq)、食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、淡黄色の固体になるまで真空中で濃縮した。MS(ES+):174[MH]。
【0166】
(Heterocycles(2003),60(4),953で述べているようにして、この中間体を調製することもできる。)
【0167】
パート4:
3−{[(1−オキシドキノリン−4−イル)メチル]アミノ}−N[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]チオフェン−2−カルボキサミド
キノリン−4−カルボキシアルデヒド1−オキシド(0.12g、0.69mmol)、3−アミノ−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]チオフェン−2−カルボキサミド(0.21g、0.69mmol)、ジクロロメタン(2ml)及びトリフルオロ酢酸(2ml)の溶液を50℃にて2時間加熱し、その後、室温に冷却し、トリエチルシラン(0.22ml、1.38mmol)で処理し、50℃にてさらに2時間撹拌した。この後、その混合物を水(40ml)で希釈し、2M NaOH(aq)で塩基性化(pH9)し、酢酸エチル(3x20ml)で抽出した。その抽出物を水(30ml)及び食塩水(30ml)で洗浄し、次に乾燥(MgSO)させ、真空中で濃縮して未精製生成物を得た。この物質をシリカゲルを用いたクロマトグラフィーに供し、15% アセトニトリル/CHClで抽出し、単離した生成物をアセトニトリルから再結晶化させてさらに精製し、3−{[(1−オキシドキノリン−4−イル)メチル]アミノ}−N[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]チオフェン−2−カルボキサミドを得た。MS(ES+):460[MH]。H NMR(DMSO−d,400MHz):δ5.00(s,2H),6.87(d,J=5.6Hz,1H),7.25−7.40(m,3H),7.65(d,J=5.3Hz,1H),7.73−7.91(m,4H),8.04(t,J=6.4Hz,1H),8.30(d,J=7.1Hz,1H),8.56(d,J=6.3Hz,1H),8.61(d,J=8.3Hz,1H),9.60(s,1H)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

で表される化合物、又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシド(式中、
R1は、
【化2】

又は
【化3】

であり;
R2は、
【化4】

であり;
R3は、C0−4アルキルである。)。
【請求項2】
R2が
【化5】

である、請求項1に記載の化合物又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシド。
【請求項3】
R2が
【化6】

であり、R3が水素である、請求項1に記載の化合物又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシド。
【請求項4】
R2が
【化7】

である、請求項1に記載の化合物又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシド。
【請求項5】
R2が
【化8】

であり、R3が水素である、請求項1に記載の化合物又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシド。
【請求項6】
R2が
【化9】

である、請求項1に記載の化合物又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシド。
【請求項7】
R2が
【化10】

であり、R3がC0−4アルキルである、請求項1に記載の化合物又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシド。
【請求項8】
R2が
【化11】

であり、R3が水素である、請求項1に記載の化合物又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシド。
【請求項9】
R2が
【化12】

であり、R3がC0−4アルキルである、請求項1に記載の化合物又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシド。
【請求項10】
請求項1に記載の化合物又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシドと、医薬として許容される担体とを含む組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の化合物又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシドと、抗新生物薬、抗腫瘍薬、血管新生阻害剤又は化学療法剤とを含む組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の化合物又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシドと、細胞毒性のある癌治療剤とを含む組成物。
【請求項13】
請求項1に記載の化合物又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシドと、血管新生抑制性の癌治療剤とを含む組成物。
【請求項14】
N−(4−トリフルオロメトキシフェニル)3−[(キノリン−4−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキサミド;
N−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)3−[(キノリン−4−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキサミド;
N−(2,2,3,3−テトラフルオロベンゾジオキサン−6−イル)3−[(キノリン−4−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキサミド;
N−(4−クロロフェニル)3−[(キノリン−4−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキサミド;
4−{[2(4−ブロモ−3−メチルフェニルカルバモイル)チオフェン−3−イルアミノ]メチル}ピリジン−2−カルボン酸メチルアミド;
4−{[2−(2,2,3,3−テトラフルオロベンゾジオキサン−6−イルカルバモイル)チオフェン−3−イルアミノ]メチル}ピリジン−2−カルボン酸メチルアミド;
4−{[2−(4−クロロフェニルカルバモイル)チオフェン−3−イルアミノ]メチル}ピリジン−2−カルボン酸メチルアミド;
N−(4−クロロフェニル)3−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキサミド;
N−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)3−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキサミド;
N−(2,2,3,3−テトラフルオロベンゾジオキサン−6−イル)3−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキサミド;
N−{[2−(4−トリフルオロメトキシフェニルカルバモイル)チオフェン−3−イルアミノ]メチル}ピリジン−2−カルボン酸メチルアミド;
N−(4−トリフルオロメトキシ)フェニル−3−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキサミド;
N−(4−クロロフェニル)−3−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキサミド;
3−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イルメチル)アミノ]−N−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル)チオフェン−2−カルボキサミド;
4−メチル−N−(4−トリフルオロメトキシフェニル)フェニル−3−[(キノリン−4−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキサミド;
N−(4−クロロフェニル)−4−メチル−3−[(キノリン−4−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキサミド;
N−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−4−メチル−3−[(キノリン−4−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボキサミド;
4−メチル−3−[(キノリン−4−イルメチル)アミノ]−N−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル)チオフェン−2−カルボキサミド;
3−{[(1−オキシドキノリン−4−イル)メチル]アミノ}−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]チオフェン−2−カルボキサミド又は医薬として許容されるその塩若しくはN−オキシドから成る化合物。
【請求項15】
請求項1に記載の化合物の有効量を投与する段階を含む、過剰増殖性疾患の治療方法。
【請求項16】
抗新生物薬、抗腫瘍薬、血管新生阻害剤又は化学療法剤を投与する段階をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記過剰増殖性疾患が、乳癌、頭部癌又は頸部癌である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記過剰増殖性疾患が、消化管癌である、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記過剰増殖性疾患が、白血病である、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記過剰増殖性疾患が、卵巣癌、気管支癌、肺癌又は膵臓癌である、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記過剰増殖性疾患が、鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、睾丸癌(精上皮腫)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、血管肉腫、未分化大細胞リンパ腫、子宮内膜癌又は前立腺癌である、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
式IIで表される化合物又は医薬として許容されるその塩の有効量を投与する段階を含む、過剰増殖性疾患の治療方法。
【化13】

(式中、
R11は、1から6個の独立したハロゲン;ヒドロキシ;ニトロ;アミノ;アシル;置換アシル;アシルC1−6アルキルスルフィニル;アシルC1−6アルキルスルホニル;アシルオキシ;C1−6アルキルアミノC1−6アルキルカルバモイルオキシ;アリール;シアノ;複素環;アシル、置換アシル、アリール若しくはアシル置換アリールで必要に応じて置換されたC2−6アルケニル;アミノ、アシルアミノ若しくは置換アシルアミノで必要に応じて置換されたC2−6アルキニル;ハロゲン、アミノ、C1−6アルキルアミノ、アシルアミノ、置換アシルアミノ、ヒドロキシ、アシルオキシ、アシルC1−6アルカノイルオキシ、アシル、置換アシル、アシルC1−6アルコキシイミノ、アリール若しくはアシル置換アリールで必要に応じて置換されたC1−6アルキル;アシル若しくは置換アシルで必要に応じて置換されたC1−6アルキルチオ;アリール、置換アリール、ヒドロキシ、アシルオキシ、アミノ、低級アルキルアミノ、保護されたアミノ、複素環、アシル置換ピリジル、置換アシル置換ピリジル、ハロゲン、アシルC1−6アルキルアミノ、N−保護されたアシルC1−6アルキルアミノ、N−アシルC1−6アルキル−N−低級アルキルアミノ、アシル、置換アシル、アシルアミノ、置換アシルアミノ、C1−6アルキルヒドラジノカルボニルアミノ、ヒドロキシイミノ、アシルC1−6アルコキシイミノ、置換アシルC1−6アルコキシイミノ、アシルC1−6アルコキシ、グアニジノ若しくはN−保護されたグアニジノで必要に応じて置換されたアルコキシ;又はアシル若しくは置換アシル置換基で必要に応じて置換されたC2−6アルケニルオキシによって、それぞれが必要に応じて置換されたアリール、C3−6シクロアルキル又は複素環であり;
R21は、水素;ヒドロキシ、アリール若しくはアシルで必要に応じて置換された低級アルキル;又はシクロ(低級)アルキルであり;
R31は、水素;ハロゲン;ヒドロキシ;アシルオキシ;置換アシルオキシ;ヒドロキシ又はC1−6アルコキシで必要に応じて置換されたC1−6アルキル;アリール、アミノ、保護されたアミノ、アシル、ヒドロキシ、シアノ又はC1−6アルキルチオで必要に応じて置換されたC1−6アルコキシ;ニトロ;アミノ;アシル;置換アシル;又はC3−6アシクロアルキルオキシであり;
41は、ヒドロキシ;ハロゲン;ニトロ;アミノ;保護されたアミノ;C1−6アルキルアミノ;アシルオキシ;アミノC1−6アルキルアミノ;N−保護されたアミノC1−6アルキルアミノ;ヒドロキシ、アリール、置換アリール、アシル、置換アシル、アミノ、C1−6アルキルアミノ、アシルアミノ、置換アシルアミノ、保護されたアミノ、複素環若しくはグアニジノで必要に応じて置換されたC1−6アルコキシ;アシル、置換アシル、アミノ、C1−6アルキルアミノ、アシルアミノ、置換アシルアミノ、保護されたアミノ、複素環、ヒドロキシ、C1−6アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ、arC1−6アルコキシ若しくは置換arC1−6アルコキシで必要に応じて置換されたC1−6アルキルチオ;アシル、置換アシル、アミノ、低級アルキルアミノ、アシルアミノ、置換アシルアミノ、保護されたアミノ、複素環、ヒドロキシ、C1−6アルキルスルホニルオキシ若しくはアリールスルホニルオキシで置換されたC1−6アルキル;必要に応じてアシルで置換されたC2−6アルケニル;ヒドロキシ、アミノ、保護されたアミノ、C1−6アルキルスルホニルオキシ若しくはアリールスルホニルオキシで必要に応じて置換されたC2−6アルキニル;アミノC1−6アルキルスルホニル;N−保護されたアミノC1−6アルキルスルホニル;C1−6アルキルアミノスルホニル;複素環スルホニル;アミノC1−6アルキルスルフィニル;N−保護されたアミノC1−6アルキルスルフィニル;ピペリジルオキシ;又はN−保護ピペリジルオキシであり;
51は、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ又はハロゲンであり;
Aは、単結合、O又はNHであり;
Eは、C1−6アルキレン、C2−6アルケニレン、
【化14】

であるか;
又は、Eは、式、−G−J−の基
(式中、
Gは、C1−6アルキレンであり、
Jは、O又は
【化15】

である(式中、R61は、水素又はN−保護基である。)。)であり;
Xは、−CH=CH−、−C=N−又はSであり;
Yは、CH又はNである。)
【請求項23】
XがSである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
XがSであり、R11が、必要に応じて置換された複素環である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
XがSであり、YがNである、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
抗新生物薬、抗腫瘍薬、血管新生阻害剤又は化学療法剤を投与する段階をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記過剰増殖性疾患が、乳癌、頭部癌又は頸部癌である、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記過剰増殖性疾患が、消化管癌である、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記過剰増殖性疾患が、白血病である、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記過剰増殖性疾患が、卵巣癌、気管支癌、肺癌又は膵臓癌である、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
前記過剰増殖性疾患が、鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、睾丸癌(精上皮腫)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、血管肉腫、未分化大細胞リンパ腫、子宮内膜癌又は前立腺癌である、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
式III:
【化16】

(式中、
R12は、1から6個の独立したハロゲン;ヒドロキシ;ニトロ;保護されたアミノ;アミノ;アシル;置換アシル;アシルC1−6アルキルスルフィニル;アシルC1−6アルキルスルホニル;アシルオキシ;C1−6アルキルアミノC1−6アルキルカルバモイルオキシ;アリール;シアノ;複素環;アシル、置換アシル、アリール若しくはアシル置換アリールで必要に応じて置換されたC2−6アルケニル;アミノ、アシルアミノ若しくは置換アシルアミノで必要に応じて置換されたC2−6アルキニル;ハロゲン、アミノ、C1−6アルキルアミノ、アシルアミノ、置換アシルアミノ、ヒドロキシ、アシルオキシ、アシルC1−6アルカノイルオキシ、アシル、置換アシル、アシルC1−6アルコキシイミノ、アリール若しくはアシル置換アリールで必要に応じて置換されたC1−6アルキル;アシル若しくは置換アシルで必要に応じて置換されたC1−6アルキルチオ;アリール、置換アリール、ヒドロキシ、アシルオキシ、アミノ、低級アルキルアミノ、保護されたアミノ、複素環、アシル置換ピリジル、置換アシル置換ピリジル、ハロゲン、アシルC1−6アルキルアミノ、N−保護されたアシルC1−6アルキルアミノ、N−アシルC1−6アルキル−N−低級アルキルアミノ、アシル、置換アシル、アシルアミノ、置換アシルアミノ、C1−6アルキルヒドラジノカルボニルアミノ、ヒドロキシイミノ、アシルC1−6アルコキシイミノ、置換アシルC1−6アルコキシイミノ、アシルC1−6アルコキシ、グアニジノ若しくはN−保護されたグアニジノで必要に応じて置換されたアルコキシ;又はアシル若しくは置換アシル置換基で必要に応じて置換されたC2−6アルケニルオキシによって、それぞれが必要に応じて置換されたアリール、C3−6シクロアルキル又は複素環であり;
R22は、水素;ヒドロキシ、アリール若しくはアシルで必要に応じて置換されたC1−6アルキル;又はC3−6シクロアルキルであり;
R32は、水素;ハロゲン;ヒドロキシ;アシルオキシ;置換アシルオキシ;ヒドロキシ又はC1−6アルコキシで必要に応じて置換されたC1−6アルキル;アリール、アミノ、保護されたアミノ、アシル、ヒドロキシ、シアノ若しくはC1−6アルキルチオで必要に応じて置換されたC1−6アルコキシ;ニトロ;アミノ;アシル;置換アシル;又はC3−6シクロアルキルオキシであり;
は、単結合、O又はNHであり;
は、C1−6アルキレン、C2−6アルケニレン、
【化17】

であるか;
又は、Eは、式、−G1−J1−の基
(式中、
G1は、C1−6アルキレン又は、
【化18】

であり、
J1は、O又は
【化19】

である(式中、R62は、水素又はN−保護基である。)。)であり;
は、−CH=CH−、−C=N−又はSであり;
は、1から6個の独立したアシル、保護されたアミノC1−6アルカノイル、保護されたアミノ及びニトロ、アミノ及びニトロ若しくはジアミノ置換基で必要に応じて置換されたアリールであり;又は、Y1は、1から6個のハロゲン、アシル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、グアニジノ、メルカプト、アシルアミノ、アミノ、複素環、シアノアミノ、アミノC1−6アルキル(C1−6アルキル)アミノ、C1−6アルキルアミノ、C1−6アルキルアミノ(C1−6アルキルアミノ)、置換複素環、C1−6アルキルヒドラジノ、アリールオキシ、C1−6アルキルチオ、アリール、保護されたアミノ、N−保護されたC1−6アルキルアミノ(C1−6アルキル)アミノ、N−保護されたアミノC1−6アルキル(N’−C1−6アルキル)アミノ、アミノC1−6アルキル(N−C1−6アルキル)アミノ、C1−6アルキルアミノ(C1−6アルキル)(N−C1−6アルキル)アミノ、若しくはC1−6アルコキシ(C1−6アルキル)アミノ置換基、若しくはアリール、arC1−6アルコキシ、シアノ、ヒドロキシイミノ、メルカプト、C1−6アルキルアミノ、アシルオキシ、ハロゲン、C1−6アルコキシ、保護されたヒドロキシ、ヒドロキシ、C1−6アルコキシアリール、保護されたアミノ、アミノ、複素環若しくは置換された複素環式サブ置換基で必要に応じてさらに置換されたC1−6アルキル置換基で必要に応じて置換されている、縮合複素環であり;
但し、Yが、C1−6アルキル又はアシルで必要に応じて置換されたフェニルである場合、
は、単結合であり、
は、
【化20】

である。)で表される化合物の有効量を投与する段階を含む、過剰増殖性疾患の治療方法。
【請求項33】
がSである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
抗新生物薬、抗腫瘍薬、血管新生阻害剤又は化学療法剤を投与する段階をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記過剰増殖性疾患が、乳癌、頭部癌又は頸部癌である、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記過剰増殖性疾患が、消化管癌である、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記過剰増殖性疾患が、白血病である、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記過剰増殖性疾患が、卵巣癌、気管支癌、肺癌又は膵臓癌である、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記過剰増殖性疾患が、鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、睾丸癌(精上皮腫)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、血管肉腫、未分化大細胞リンパ腫、子宮内膜癌又は前立腺癌である、請求項32に記載の方法。

【公表番号】特表2007−524571(P2007−524571A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500994(P2006−500994)
【出願日】平成16年1月6日(2004.1.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/001188
【国際公開番号】WO2004/063330
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(500501513)オーエスアイ・ファーマスーティカルズ・インコーポレーテッド (5)
【Fターム(参考)】