(2E,4S)−4−[(N−{[(2R)−1−イソプロピルピペリジン−2−イル]−カルボニル}−3−メチル−L−バリル)(メチル)アミノ]−2,5−ジメチルヘキサ−2−エン酸の非溶媒和およびホストゲスト溶媒和結晶フォーム、およびそれらの医薬的使用
本発明は、(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸(E7974)の非溶媒和およびホストゲスト溶媒和結晶フォーム、およびそれらの治療的使用に関する。E7974の結晶フォームおよび医薬的に許容される担体を含む医薬組成物は、本発明の1つの態様を示す。本発明は、また、治療上有効量の結晶E7974を、その必要がある患者に投与する工程を含む、癌、炎症性疾患、自己免疫疾患、または増殖性疾患、ならびに血管の再狭窄を治療するための方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の属する技術分野
【0002】
本発明は、(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)-アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸(E7974)の、非溶媒和およびホストゲスト溶媒和結晶フォームに関する。E7974は、様々な癌、炎症性疾患、自己免疫疾患、および増殖性疾患の治療に対して、ならびに血管の再狭窄の治療および予防に対して、治療効果を有する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
【0004】
ヘミアステリン(Hemiasterlin)(1)は、南アフリカ、ソドワナベイで採取された、海綿ヘミアステレラ・マイナー(Hemiasterella minor)(綱、Demospongiae; 目、Hadromedidia; 科、Hemiasterellidae)から初めて単離された(参照、Kashman et al. U.S.特許番号第 5,661,175号)。ヘミアステリンは、ヒト肺癌、ヒト結腸癌およびヒトメラノーマを含む、いくつかの細胞株に対して、抗腫瘍活性を示す。
【化1】
【0005】
この化合物が初めて単離され報告された後、更なるヘミアステリンが単離され、いくつかのヘミアステリン誘導体が合成され、それらの生物活性もまた調査された。続いて、ヘミアステリンおよびその特定の類似体は抗有糸分裂活性を示し、それ故、特定の癌の治療に有用であることが報告された(参照、U.S.特許第6,153,590号およびPCT出願WO 99/32509)。
【0006】
U.S.公開特許出願、U.S.20040229819 A1、(参照してここに引用する)は、多くのヘミアステリン類似体およびその使用を開示する。該類似体の1つ、(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸、E7974は、様々な癌、リンパ腫、白血病および多発性骨髄腫の治療において、ならびに血管の再狭窄の治療および予防において、治療活性を有する。E7974の合成は、U.S.20040229819-A1の実施例14に記載され、該化合物は、E807974と特定されている。実施例14により、結晶のE7974でなく、高粘度油状物の遊離塩基化合物としてのER-807974の調製が、報告されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
治療効果は、E7974のような治療薬の一番の関心であるが、薬剤候補の塩および結晶フォームは、その開発に不可欠でありうる。薬剤候補の各塩または各結晶フォーム(多形体)は、異なる固体(物理的および化学的)性質、例えば、溶解性、安定性、または再生能を有しうる。これらの性質は、有効医薬成分(API)としての化合物の選定、最終の医薬投与剤型、製造方法の最適化、および体内への吸収に影響しうる。さらに、更なる薬剤開発に最適なフォームを発見することは、その開発の時間とコストを削減しうる。
【0008】
純粋な結晶フォームを得ることは、薬剤開発に非常に有用である。それは、薬剤候補の化学的および物理的性質の、より良い特性をもたらす。結晶フォームは、しばしば、非結晶よりも、より良い化学的および物理的性質を有する。該結晶フォームは、非晶フォームよりも、より好ましい薬理を有することができ、または加工しやすく、さらに、より良好な保存安定性を有することができる。
【0009】
処理可能性に影響しうる物理的性質の1つは、製粉前後の該固体の流動性である。流動性は、医薬組成物への加工の間の、該物質の扱い易さに影響する。粉末化した化合物の粒子が互いに容易に流れない場合、製剤化の専門家は、タブレットまたはカプセル製剤の開発において、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、スターチまたは第三リン酸カルシウムなどの流動促進剤の使用を必要としうることを考慮しなければならない。別の重要な医薬化合物の固体の性質は、水溶液中でのその溶解速度である。患者の胃液中での有効成分の溶解速度は、経口投与された有効成分が、患者の血流に達する速度に影響するため、治療において重要である。
【0010】
これらの特定の物理的性質は、化合物の固体の構造(例えば、結晶性化合物の単位格子における分子の立体構造および配向)、または分子が溶媒和物を形成する溶媒分子を伴うかどうかに影響される。結晶格子において、異なる分子の立体構造および/または配列を取り得る分子の能力を、多形性と呼ぶ。該結晶(または多形)フォームまたは溶媒和物は、しばしば、非晶質物質、他の多形体、または溶媒和物とは異なる熱挙動を有する。熱挙動を、実験室で、キャピラリー融点測定、熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(DSC)のような技術により測定し、ある多形体を他と区別するのに使用しても良い。結晶フォームまたは特定の多形体は、通常、他の技術の中で、粉末X線回折(PXRD)、単結晶X線結晶学、固体NMR分光法、例えば、13C CP/MAS NMR、赤外分光光度法により検出可能な、明確な結晶学的および分光学的特性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の概要
【0012】
本発明は、(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸(E7974)の結晶フォームに関する。E7974は、2つの非溶媒和結晶フォームM1およびO1を有する。これらの結晶フォームは、別のフォームM2に加え、さらに、結晶ホストゲスト溶媒和物(該溶媒は、該結晶格子内の空洞、チャネル、または他の空きスペースに存在する)を形成することができる。本明細書において、語句、空洞および/または空きスペースはまた、チャネルをいう。
【0013】
本発明はまた、E7974の結晶フォームの治療的使用に関する。従って、E7974の結晶フォーム、および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物は、本発明の1つの態様を示す。本発明はさらに、治療上有効量のE7974の結晶フォームを、その必要がある患者に投与する工程を含む、癌、炎症性疾患、自己免疫疾患、または増殖性疾患の治療方法に関する。該E7974の結晶フォームは、単独または本発明の医薬組成物として、投与されうる。
【0014】
本発明の詳細な説明
【0015】
(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸(IUPAC命名法)(E7974)は、以下の化学式(2)を有する。
【化2】
E7974のCAS化学名は、2-ヘキセン酸,4-[[(2S)-3,3-ジメチル-2-[[[(2R)-1-(1-メチルエチル)-2-ピペリジニル]カルボニル]アミノ]-1-オキソブチル]メチルアミノ]-2,5-ジメチル 2E,4S)である。そのCAS登録番号は、610787-07-0である。E7974は、該化合物の双性イオン型である。
【0016】
E7974は、様々な癌、炎症性疾患、自己免疫疾患、および増殖性疾患の治療のための治療薬として有用である。より具体的には、E7974は、それらに限定されないが、前立腺癌、乳癌、結腸癌、膀胱癌、子宮頚癌、皮膚癌、精巣癌、腎臓癌、卵巣癌、胃癌、脳腫瘍、肝臓癌、膵癌、食道癌、リンパ腫、白血病および多発性骨髄腫を含む、疾病および疾患の治療のために使用されうる。E7974の化学的合成および抗腫瘍活性は、the 96th Annual Meeting of the American Association for Cancer Research (AACR), April 16-20, 2005, Anaheim, CA: 1)Tubulin-based Antimitotic Mechanism of Novel Hemiasterlin Analog E7974, G. Kuznetsov et al., Abstract No. 3436; 2)Synthetic Analogs of the Natural Marine Product Hemiasterlin: Optimization and Discovery of E7974, a Novel and Potent Anti-tumor Agent, J. Kowalczyk et al., Abstract No. 1212; and 3)In vitro and in vivo antitumor activities of novel hemiasterlin analog E7974, G. Kuznetsov et al., Abstract No. 3432.に示される、3つのポスターの対象である。E7974はまた、血管形成術およびステント術のような外傷を受けた血管の再狭窄の治療および予防のために使用されうる。
【0017】
1.E7974の結晶フォーム
【0018】
本発明は、E7974の結晶フォーム、それらの結晶フォームの非溶媒和結晶フォームおよびホストゲスト溶媒和物に関する。特定のフォームの指定がない限り、語句“結晶E7974”は、本明細書において、E7974の全ての結晶フォームをいう。2つの単斜晶フォームM1およびM2、および1つの斜方晶フォーム、O1がある。M1およびO1結晶フォームは、非溶媒和結晶フォームとして存在する。これらの各々について、下記に説明する。該空間群の指定、単斜および斜方は、概して、ホスト結晶の空間群をいう。溶液では、ホストゲスト溶媒和物の特定の基は幾分変化するが、該ホストのそれと実質的に同一である。
【0019】
M1、M2およびO1結晶フォームは、結晶化度を失うことなく、溶媒分子をそれらの結晶格子に取り込む能力を有する。これらの溶媒和物は、“ホストゲスト”であり、該溶媒は、結晶E7974格子の空洞(または空きスペースまたはチャネルと呼ばれる)に、組み込まれる。
【0020】
2. 結晶E7974-フォームM1_非溶媒和
【0021】
結晶E7974-フォームM1は、未精製E7974をアセトニトリル中で加熱還流しその後ゆっくりと冷却し結晶形成させる結晶化により、調製される。好ましい方法において、未精製E7974をまず、室温、好ましくは25℃でアセトニトリルから結晶化し、その後、アセトニトリル中で加熱還流してゆっくりと冷却して再結晶化させる。更に結晶フォームM1の溶媒和フォームを乾燥して、非溶媒和結晶フォームM1を得る。
【0022】
結晶E7974-フォームM1は、優れた加工性、(再結晶化による)精製コントロール性、および固体安定性を有する。下記の実施例に記載され、および図面に示されるように、結晶E7974-フォームM1を、X線粉末回折(XRD)、単結晶X線回折、赤外分光法、固体13C NMR、熱分析および吸湿性測定により、特性化した。
【0023】
3. 結晶E7974-フォームO1_非溶媒和
【0024】
結晶E7974-フォームO1は、E7974の2番目の非溶媒和結晶フォームである。下記のように、フォームO1は、E7974を様々な溶媒に溶かし、その後生じた結晶性固体を該溶媒を除去して乾燥し、非溶媒和フォームO1を得ることで、調製される。下記の実施例および図面は、X線粉末回折(XRD)、単結晶X線回折、赤外分光法、固体13C NMR分光法、熱分析および吸湿性測定を用いて、フォームO1を特性化する。該空洞のおおよその大きさを、仮想の無溶媒構造(該結晶構造からニトロベンゼン分子を除き、単位格子パラメーターを修正しないことによる結晶E7974-O1-ニトロベンゼン)を用いて、算出した。全潜在的溶媒エリアの体積は、単位格子体積の3260.3Å3に対し、936.2Å3であり、O1フォーム疑似無溶媒構造の単位格子体積の28.7%が、溶媒分子に利用可能であることを意味する。
【0025】
4. 結晶E7974-フォームM1_溶媒、M2_溶媒、およびO1_溶媒のホストゲスト溶媒和物
【0026】
本発明のE7974の結晶フォームは、結晶構造中に空洞、チャネルまたは空きスペース(本明細書において、これらの全てを、空洞という)を有し、“ホストゲスト溶媒和物”として、溶媒和結晶フォームを形成し、その溶媒分子は、該空洞内に存在する。これらのE7974の結晶フォームは、有機溶媒と共に、ホストゲスト溶媒和物を形成する。該溶媒は、化学量論的量または非化学量論的量で存在しうる。“非化学量論的溶媒和物”は、該物質の異なる調製方法または処理が、該結晶中のE7974分子に対して、溶媒化学量論に非離散的な(または連続的な)変化をもたらすものである。本発明のいくつかの結晶フォームは、有機溶媒分子を含む空洞を有する。両フォームM1およびO1は、ホストゲスト溶媒和物を形成する。さらに、別の単斜晶フォーム、M2は、ホストゲスト溶媒和フォームとして存在する。
【0027】
該ホストゲスト溶媒和物が結晶性固体である以外、結晶E7974の空洞内で溶媒和となりうる有機溶媒に特に限定は無い。該有機溶媒は、単一溶媒、有機溶媒の混合液、または有機溶媒を含む水性混合液でありうる。該溶媒は、概して、結晶E7974またはE7974を含む医薬組成物を製造するのに使用される溶媒である。従って、ホストゲスト溶媒和物を形成する有機溶媒は、しばしば、E7974の合成または精製に使用されるものであり、該過程にとって有利でありうる。該ホストゲスト溶媒和物の乾燥により、非溶媒和フォームが得られ、または、溶媒和フォームM2の場合、非溶媒和フォームM1が得られる。本発明の結晶ホストゲスト溶媒和物は、溶媒和および非溶媒和フォームの混合を含む、フォームの混合として、存在しうる。
【0028】
ホストゲスト溶媒和物を形成するために使用する適当な溶媒には、それらに限定されないが、1,4-ジオキサン; 1-ブロモプロパン; 1-ニトロプロパン; 酢酸2-ブトキシエチル; アセトン、アセトニトリル; アミルエーテル; クロロベンゼン; クロロホルム、シクロヘキサノン; ジクロロメタン(DCM); ジイソブチルケトン; ジイソプロピルエーテル; N1N-ジメチルアセトアミド(DMA); ジメチルホルムアミド(DMF); 酢酸エチル/n-ヘプタン(50:50); 酢酸エチル; イソホロン; メチルイソブチルケトン(MIBK); 酢酸n-ブチル; ニトロベンゼン; ニトロメタン; t-ブチルメチルエーテル(TBME); 2,2,2-トリフルオロエタノール(TFE); テトラヒドロフラン(THF); トルエン; トリクロロエチレン; トリフルオメタントルエン; 水/2-プロパノール(10:90); 水/2-プロパノール(20:80); 水/アセトン(10:90); 水/アセトン(20:80); 水/アセトニトリル(10:90); 水/エタノール(10:90);および水/エタノール(20:80)が含まれる。該有機溶媒は医薬的に許容される溶媒であることが、一般的に好ましい。結晶E7974-フォームM1のホストゲスト溶媒和物のための好ましい有機溶媒は、アセトンおよびアセトニトリル溶媒和物である。結晶E7974-フォームM2のホストゲスト溶媒和物のために、以下の溶媒が好ましい: 1,4-ジオキサン、酢酸エチル/n-ヘプタン(50:50)、アセトン、およびニトロメタン。結晶E7974-フォームO1のホストゲスト溶媒和物のための好ましい溶媒は、トルエン、水/エタノール(10:90)、TBME、およびニトロベンゼンである。
【0029】
5. 医薬組成物
【0030】
本発明は、治療上有効量のE7974の結晶フォーム、および医薬的に許容される担体を含む、医薬組成物に関する。上記のように、E7974は、それを、癌、炎症性、自己免疫性、および/または増殖性の疾病および疾患の治療、ならびに血管の再狭窄の治療および予防に有用であるとする、生物学的特性を有する。それらの疾病および疾患の治療のための医薬組成物は、該特定の疾病または疾患を有する患者の治療に適する、治療上有効量のE7974の結晶フォームを含む。
【0031】
本発明の結晶フォームのE7974の“治療上有効量” (ここでの医薬組成物に関して、および下記の本発明にかかる治療方法に関して記載される)とは、炎症性または自己免疫性の反応または疾患の影響を減らすのに十分な量; 腫瘍細胞の増殖またはその速度を防ぎ、殺し、または阻害するのに十分な量; または、血管の再狭窄を治療しまたは予防するのに十分な量をいう。特定の患者の治療に要する実際の量は、治療される疾患およびその重症度; 使用される特定の医薬組成物; 患者の年齢、体重、全体的な健康、性およびダイエット; 投与方法; 投与時間; 投与ルート; およびE7974の排出速度; 治療期間; 使用する該特定の化合物と、併用または同時使用される薬剤; および医薬技術分野において知られる他の因子を含む、様々な因子に依存する。これらの因子は、GoodmanおよびGilmanの“The Pharmacological Basis of Therapeutics”, Tenth Edition, A. Gilman, J. Hardman and L. Limbird, eds., McGraw-Hill Press, 155-173, 2001に記載され、これを参照してここに引用する。
【0032】
本発明の医薬組成物は、E7974の結晶フォームの1つを含むいずれかの医薬製剤型である。該医薬組成物は、固体製剤型、液体懸濁液、注射用組成物、局所製剤型、または経皮製剤型でありうる。これらの医薬製剤型は、U.S.20040229819 A1に開示され、これを参照してここに引用する。
【0033】
医薬組成物のタイプに依存して、医薬的に許容される担体は、当該技術分野で知られた担体の1つまたは組み合わせから選ばれる。医薬的に許容される担体の選択は、医薬製剤型および用いられる所望の投与方法に依存する。E7974の結晶フォームを有する、本発明の固体医薬組成物において、担体は、使用する特定のE7974の結晶フォームを維持するものを選ぶべきである。言い換えれば、固体医薬組成物において、該担体は、E7974の結晶フォームを、実質的に変えるべきでない。該担体は、望ましくない生物学影響、または医薬組成物の他の成分との有害な様式での他の相互作用が生じるような、他の点でもE7974と相性が悪いものであってはならない。
【0034】
本発明の医薬組成物は、好ましくは、投与のし易さおよび投与量の均一性のために、単位投与製剤型で処方される。“単位投与製剤型”とは、物理的に分かれた、治療される患者に適する治療薬の単位をいう。しかし、当然のことながら、本発明にかかるE7974およびその医薬組成物の1日の全投与量は、適当な医学的判断の範囲内で、担当医により決定される。
【0035】
E7974の結晶フォームは、それらの調製の間、より容易に維持されるため、固体投与製剤型は、本発明の医薬組成物の好ましい製剤型である。カプセル、タブレット、丸薬、粉末、および顆粒のような、経口投与ための固体投与製剤型が、特に好ましい。該固体投与製剤型において、該活性化合物は、クエン酸ナトリウムまたは第二リン酸カルシウムなどの、少なくとも1つの不活性で医薬的に許容される担体と混合される。該固体投与製剤型はまた、1以上の: a)スターチ、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸などの賦形剤または増量剤; b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアラビアゴム(acacia)などの結合剤; c)グリセロールなどの湿潤剤; d)寒天、炭酸カルシウム、ポテトまたはタピオカスターチ、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤; e)パラフィンなどの溶解遅延剤; f)第4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤; g)例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレートなどの湿潤剤; h)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤; およびi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどの滑沢剤を含みうる。該固体投与製剤型はさらに、緩衝剤を含む。それらはまた、適宜、乳白剤を含んでもよく、また、有効成分を、腸管の特定部分でのみ、または優先的にその部分で遅延して放出するようにした組成物であってもよい。Remington’s Pharmaceutical Sciences, Sixteenth Edition, E. W. Martin (Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1980)に、医薬組成物の処方に使用される様々な担体、およびその調製の既知の技術が開示される。本発明の医薬組成物の固体投与製剤型はまた、腸溶性コーティングおよび医薬製剤の技術分野において知られる他のコーティングなどの、コーティングおよび殻で調製されうる。
【0036】
結晶E7974は、固体マイクロカプセル製剤型に、上記の1以上の担体と共に含まれうる。E7974の結晶フォームのマイクロカプセル製剤型はまた、ラクトースまたは乳糖などの賦形剤、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどと共に、ソフトおよびハード充填ゼラチンカプセル中で用いられうる。
【0037】
経口投与のための液体投与製剤型には、それらに限定されないが、医薬的に許容される乳剤、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤が含まれる。該活性化合物に加え、該液体投与製剤型は、例えば、水または、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実、ラッカセイ、コーン、胚芽、オリーブ、キャスター、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、およびその混合などの他の溶媒、可溶化剤および乳化剤などの、当該技術分野で通常使用される不活性な希釈剤を含むことができる。不活性の希釈剤に加えて、経口組成物はさらに、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味料、香料、および芳香剤などの補助剤を含みうる。
【0038】
注射用製剤、例えば、滅菌した注射用水性または油性懸濁液は、適当な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して、当該技術分野の周知技術に従って、処方されうる。該滅菌注射用製剤はまた、無毒の非経口で許容される希釈剤または溶媒中の、滅菌した注射用溶液、懸濁液または乳液、例えば1,3-ブタンジオールの溶液でありうる。使用するのに許容される賦形剤および溶媒は、水、リンガー溶液、U.S.P.および等張食塩液である。さらに、滅菌した固定油は、通常、溶媒または懸濁化剤として使用される。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含め、無味の固定油が使用されうる。さらに、オレイン酸のような脂肪酸が、注射用製剤に使用される。
【0039】
該注射用組成物は、例えば、細菌保持フィルターによるろ過により、または使用前に、滅菌水または他の滅菌注射用溶媒に溶解または分散させることができる滅菌固体組成物の製剤型に、滅菌剤を組み込むことにより、滅菌することができる。
【0040】
薬物の効果を延ばすために、皮下または筋肉注射から、薬物の吸収の速度を落とすことが、しばしば望まれる。これは、液体懸濁液の使用、結晶フォームの使用、または水溶解性の乏しい非晶質物質の使用により、達成されうる。次に、該薬物の吸収速度は、順に結晶サイズおよび結晶フォームに依存しうる、その溶解速度に依存する。また、非経口投与の薬物製剤型の遅延吸収は、油性の賦形剤に該薬物を溶解または懸濁して、達成される。注射用持続性製剤型は、ポリラクチド-ポリグリコリドのような生分解性ポリマー中の、該薬物のマイクロカプセルマトリクスを形成することにより、調製される。薬物のポリマーに対する比、および使用する特定のポリマーの性質に依存して、薬物放出速度を、制御すろことができる。他の生分解性ポリマーの例には、(ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物))が含まれる。持続性注射用組成物はまた、体内組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルジョンに該薬物を封入することにより、調製される。
【0041】
直腸または膣投与のための組成物は、好ましくは坐薬である。これは、本発明の化合物を、環境温度で固体であるが、体温で液体であり、それ故、直腸または膣腔で溶解し、E7974を放出する、ココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐薬ワックスのような、適当な非刺激性賦形剤または担体と混合して調製することができる。
【0042】
本発明のE7974の結晶フォームはまた、加圧滅菌処理可能な液体組成物に、処方するために使用され、または処方されることができる。典型的な水性開発組成物(1mg/ml E7974)には、1)等張5%デキストロース、20mMクエン酸緩衝液、pH4.5; 2)非等張、20mMクエン酸緩衝液、pH4.5; および3)0.9%NaCl、20mMリン酸緩衝液、pH7が含まれる。3つのオートクレーブした組成物の全ては、良好な保存安定性を示す。
【0043】
6.E7974の結晶フォームを使用する治療方法
【0044】
本発明はまた、結晶E7974の増殖性疾患、炎症性疾患または自己免疫疾患の治療、ならびに血管の再狭窄の治療または予防における、使用およびその方法を提供する。増殖性疾患には、結腸直腸癌、多形神経膠芽腫(GBM)、乳癌、前立腺癌、非小細胞肺癌、食道/胃癌および肝細胞癌などの癌、または腫瘍が含まれる。いくつかの腫瘍は、多剤耐性またはタキサン耐性腫瘍のような、特定の薬物に耐性でありうる。本発明の結晶E7974およびそれを含む医薬組成物は、治療に有効な量、医薬組成物の剤型、および投与経路を用いて、投与することができる。適当な医薬的に許容される担体とともに所望の投与量に組成された後、本発明の該医薬組成物を、治療される症状の位置および重症度に依存して、経口、直腸、非経口、静脈内、嚢内、腟内、腹腔内、局所(粉剤、軟膏、またはドロップなどにて)、口腔内に、口腔または鼻腔用スプレーなどとして、ヒトおよび他の動物に投与されうる。特定の態様において、本発明のE7974の結晶フォームは、1日につき、約0.001mg/kgから約50mg/kg、約0.01mg/kgから約25mg/kg、または約0.1mg/kgから約10mg/kg(患者の体重)の投与量範囲で、1日1回以上、所望の治療効果を得るために投与されうる。また当然ながら、0.001mg/kgよりも少ない、または50mg/kg(例えば50-100mg/kg)よりも多い投与量を、対象に投与することができる。本発明の結晶フォームは、単独で、またはアントラサイクリン、ゲムシタビン、シスプラチン、カルボプラチン、ドセタキセル、または活性薬剤の組み合わせを含む、抗癌剤のような他の活性薬剤と組み合わせて、投与されうる。該組み合わせはまた、1、2またはそれ以上の更なる活性薬剤を含む、本発明の組成物の製剤型でありうる。また、更なる活性薬剤を、本発明の組成物の投与と別々に、前に、間に、または後に投与しうる。従って、本発明の様々な結晶フォームは、癌、炎症性疾患または自己免疫疾患を含む増殖性疾患、または再狭窄の治療のための、医薬の製造に使用されうる。
【実施例】
【0045】
7. 実施例
【0046】
実施例1: 結晶E7974-フォームM1_非溶媒和の調製
【化3】
【0047】
結晶E7974-フォームM1_非溶媒和を調製するために、未精製ER-807974-00、双性イオンを、81℃の還流条件下、アセトニトリル(ACN)に溶解し、0.5から1時間、該温度で維持した。該再結晶化を、溶液を65℃から55℃にゆっくりと冷却することで調整した。該混合物を、その温度範囲で、1時間攪拌した。最後に、該スラリーを、20℃で8時間攪拌し、E7974を、ろ過して集めた。該ろ過ケーキを、冷却したアセトニトリルで洗浄し、真空下、25℃で、乾燥するまで、乾燥した。これらの結晶化条件は、常に、再現可能な粉末X線回折(PXRD)パターンを有する結晶性固体フォームを生じた。下記実施例3を参照。
【0048】
実施例2: 吸湿性試験
【0049】
結晶E7974-フォームM1_非溶媒和は、高相対湿度(%RH)で潮解する、僅かに吸湿性の化合物であることが認められた (図1参照)。潮解を避け水の脱着を測定するために、70%RHまでの吸湿性を調べる別の実験を行った(図2参照)。1.9%の重量の増加が、70%RHで認められ、該化合物が非吸湿性であることを実証する。該定められた基準に従い(Tsunakawa et al., IYAKUHIN KENKYU, 22 (1), 173-176 (1991))、吸湿性物質は、75%相対湿度、1週間保存後の水分含量増加が、少なくとも3.0%を示す、と定義される。該水吸着は、70%RHまで可逆的であった。従って、脱着曲線にプラトーは認められなかった。
【0050】
実施例3: 粉末X線回折(PXRD)および赤外(IR)分光法による、非溶媒和結晶E7974-フォームM1の特性化
【0051】
結晶E7974-フォームM1を、粉末X線回折(PXRD)により特性化した。結晶E7974-フォームM1粉末を、X線粉末回折計(RINT-2000、Rigaku、Japan)の試料台に設置し、表1に示される条件下で分析した。図3は、結晶E7974-フォームM1の5ロット(A1-A5)のPXRDパターンを示す。全5ロットは、一致するPXRDパターンを示した。
【表1】
【0052】
図4はまた、非溶媒和結晶E7974-フォームM1のPXRDを示す。粉末X線回折(PXRD)データを、環境温度で、Scintag X2 θ/θ回折計(40000065)を銅放射、45kVおよび40mAで作動して、Thermo ARL Peltier-冷却固体検出器を用いて、収集した。2および4mmのソース(Source)スリット、および0.5および0.3mmの検出器(detector)スリットをデータ収集に用いた。該PXRD装置は、Scintag 6位置試料交換装置(オートサンプラー)、Windows NT 4.0オペレーティングシステムのPC、およびDMSNTソフトウェアバージョン1.36bを装備する。該PXRD装置を、National Bureau of Standards(現在NIST)シリコン粉末を標準として使用して、設定を調整した。その後アラインメントの結果を、PXRDキャリブレーションログブックに記録した。該PXRD装置のアラインメントは、年1回、次のいずれかの条件で再チェックする。:(1)新しい試料ステージを設置する;(2)Scintag X2を移動する。表2は、PXRDデータを収集するために使用した、追加のパラメーターを示す。
【表2】
【0053】
表3は、図4のPXRDパターンのピークを特定する。表4は、結晶E7974-フォームM1_非溶媒和の好ましい特徴的なピークのリストである。さらに好ましい態様において、該非溶媒和フォームM1は、その粉末X線回折パターン中、以下の2θ値からなる群から選ばれる、少なくとも4つのピークを有することを特徴とする: 8.2±0.2、10.0±0.2、10.9±0.2、13.0±0.2、14.3±0.2、16.3±0.2、および17.9±0.2。4つ以上のそれらは、十分に結晶E7974フォームM1_非溶媒和を同定する。
【表3】
【表4】
【0054】
図5は、結晶E7974-フォームM1_非溶媒和の赤外線スペクトルを示す。該スペクトルを、Bio Rad FTS-6000 FTIR 装置で測定した。該スペクトルを、Diffused Reflectanceを用いて収集した。バックグラウンドを、臭化カリウムを使用して、64の共スキャン(co-scans)および2cm-1の分解能で、収集した。該スペクトルを、16の共スキャンおよび2cm-1の分解能で収集した。
【0055】
実施例4: 示差走査熱量測定(DSC)による特性化
【0056】
結晶E7974-フォームM1_非溶媒和の固体特性を、示差走査熱量測定(DSC、キャピラリー法)により、測定した。表5は、用いた条件を示す。図6は、非溶媒和結晶E7974-フォームM1のサーモグラムを示す。これは、102.53℃にブロードな吸熱ピークを有し、102.5℃の融点を示す。E7974の分析試料は、窒素の存在下、110℃(開始温度)で、おおよそ合計+8.6cal/gの吸収である重複事象を伴って、溶解した。この試料のDSCデータを、該重複ピークが準安定フォームによるものではないことを実証するために、異なる加熱速度で収集した。該重複ピークは、速い加熱(25℃/分)を用いた場合には、観測されなかった。
【表5】
【0057】
実施例5: 結晶E7974-フォームM1_非溶媒和の13C CP/MAS NMRスペクトル
【0058】
13C CP/MAS NMRスペクトルを、100.6MHzで、13Cに対して、Varian 7mm CPMAS プローブを装備したVarian NMR 分光計を用いて取得した。全ての装置を、各試料の充填および取り除きの前に、十分に清掃した。結晶E7974-フォームM1_非溶媒和の試料を、ジルコニアローターに充填した。潜在的な多形変換を最小にするために、該ローターに試料を充填するために、過度の力(例えば、粉砕)は、用いなかった。該試料を、該マジック角、5.0kHzで回転した。スペクトルを、全サイドバンド抑制法(total side band suppression)(TOSS)、4sリサイクル遅延、および約60kHzのデカップリングフィールドで取得した。1H 90°パルスは〜4μs、接触時間は3msであった。スペクトルは、テトラメチルシランを外基準とし、ヘキサメチルベンゼン(17.35ppm)のメチルピークを用いた。
【0059】
図7は、得られた結晶E7974-フォームM1_非溶媒和の13C CP/MAS NMRスペクトルを示す。ピーク位置は、該スペクトル上に示される。結晶E7974-フォームM1-非溶媒和の同定のための、好ましい特徴的なピークは、約14-35ppmの範囲に認められる。結晶E7974-フォームM1_非溶媒和の特に好ましい特徴的なピークは、14.1; 15.3; 19.1、21.3、23.7、および27.2ppmに現れ、それらのいずれか3以上は、十分に結晶E7974フォームM1_非溶媒和を同定する。化学シフトは、±0.3ppm内であることが報告される。
【0060】
概して、これらの好ましいピークは、他のピークと有意な重なりの無い、無処理のタブレットの固体13C NMRスペクトル中に認められうる。該理由は、多くの一般的な賦形剤(該成分を医薬有効成分(API)に加え、医薬タブレット組成物を調製する)もまた、該固体13C NMR スペクトルに現れるからである。得られたそれらの化学的性質から、これらの賦形剤の共鳴は、通常、13CNMR スペクトルの50および110ppmの間に現れる。タブレット組成物の大半が賦形剤であれば、該賦形剤ピークは、APIのピークと比べ、著しく強くなりうる。従って、結晶E7974-フォームM1_非溶媒和のピークを同定し、および比較するのに好ましい固体13C NMRスペクトルの範囲は、50より下または120ppmより上である。
【0061】
実施例6: 固体安定性試験
【0062】
結晶E7974-フォームM1_非溶媒和の固体安定性を、21日間で評価した。遮光し、25および60℃で保存した試料の、不純物特性に有意な変化は認められなかった。25℃および可視光での21日間の後、2つの新しい不純物ピークが、0.05および0.09%のレベルで認められた。さらに、異なるピークが、40℃、75%相対湿度曝露で保存した試料に、0.12%レベルのみ現れた。結果は表6に示される。
【表6】
【0063】
実施例7: ホストゲスト溶媒和結晶フォームを調製するための、E7974の再結晶方法
【0064】
下記の方法は、溶媒和結晶フォームのE7974 M1、M2、およびO1を調製するために使用されうる。フォームM2_1,4-ジオキサン、M2_ニトロメタンおよびO1_トルエンを例示する。結晶E7974のホストゲスト溶媒和物の調製は、以下の工程を含む:
1)出発物質E7974(好ましくは、結晶E7974フォームM1_非溶媒和)を、反応器に入れる(表7参照):
2)適当な溶媒を反応器に入れる(表7参照)。
3)該混合物を室温で攪拌する。
4)該混合物を、速度5℃/分で、使用する溶媒の沸点まで、または近くまで加熱する。
5)該混合物を、指示された温度 (表7参照)で、30分間攪拌する。完全な溶解が、この時点で認められる。該混合物を、溶解しなかった物質を除去するために、ろ過してもよい。懸濁が認められる場合、すばやい熱ろ過を要しうる。
6)該溶液を、速度5℃/分で、結晶化温度まで(表7参照)冷却する。結晶化は、この時点で認められる。
7)該再結晶化生成物を、指示された温度で(表7参照)、適当な時間、エイジングする。
8)該結晶化物質を、適当なフィルター (フリットガラス(fritted glass)クラスDフィルターが推薦される)でろ過する。
9)“湿潤ケーキ”の試料を、PXRDで分析し、結晶フォーム(M1_溶媒、M2_溶媒またはO1_溶媒)を確認する。(表8参照)
10)該ろ過した固体を、窒素流入下、30から60分間、部分的に乾燥する。
【表7】
【0065】
結果: トルエン結晶化(エントリー3)の回収率は、92%であった。1,4-ジオキサンまたはニトロメタンの回収は、良くない〜悪い、であった。それを>100℃で15分間加熱したとき、溶液は黄色に変わり、分解の可能性を示した。
【表8】
【0066】
非溶媒和結晶E7974フォームM1およびO1は、ホストゲスト結晶性溶媒和物を乾燥することで、調製することができる。該溶媒和生成物を、高真空下、25℃で、恒量まで十分に乾燥する。試料の乾燥生成物をPXRDで分析して、結晶フォーム(M1_非溶媒和またはO1_非溶媒和)を確認する。結晶E7974M2_溶媒和フォームを乾燥して、結晶E7974M1_非溶媒和を得る。
【0067】
実施例8: E7974のハイスループット結晶化試験
【0068】
ハイスループット結晶化試験を、結晶E7974-フォームM1を出発物質に用いて行った。96ウェルプレートを2パーツに分け、各パートには、溶媒中、異なる濃度の出発物質が含まれる: 50mg/ml(カラムAからF)および100mg/ml(カラムGからL)(表9参照)。メタノール(100mg/ml)中のE7974の原液を、該ウェルプレートに出発物質を添加するのに使用した(低濃度ウェル5%w/vに対しては20μL、および高濃度ウェル10%w/vに対しては40μL)。該原液を含むプレートを、真空槽(1.3kPa)に、室温で48時間置いた。原液の溶媒を蒸散させた後、異なる溶媒を加え、各ウェルを、個々に密閉した。E7974および結晶化溶媒を含む該96ウェルプレートを、図8および表10に示される一連の温度プロファイルに置いた。該温度実験の後、室温、真空槽内で該溶媒を蒸発させて、該固体を得る。
【表9】
【表10】
【0069】
表11は、ハイスループット結晶化試験でE7974の結晶フォームを生じた溶媒を示す。該結晶フォームは、通常外観試験では認められるが、粉末X線回折(PXRD)により、測定した。また、PXRD分析により、いくつかのウェルで、非晶E7974が示された。該非晶フォームは、ここに報告されない。
【表11】
【0070】
結晶フォームのハイスループットPXRD分析
【0071】
結晶化試験および溶媒蒸発の後、該結晶生成物を集めた。PXRDパターンを、ハイスループットPXRD set-upを用いて取得した。該プレートを、Hi-Star 面積検出器を装備した、Bruker GADDS回折計に取り付けた。PXRDプラットフォームを、長d-スペーシングに対してベヘン酸銀、短d-スペーシングに対してコランダムを用いて、キャリブレーションする。データ収集を、室温で、単色CuKα放射を用い、1.5と41.5°との間の2θの範囲で行った。各ウェルの該回折パターンを、2つの2θ範囲(第1フレームに対して1.5≦2θ≦21.5°、および第2フレームに対して19.5≦2θ≦41.5°)で、各フレームの露光時間は90秒で収集した。大部分の試料のPXRD分析の間に使用した、キャリヤー物質は、X線を通し、バックグラウンドに対して、僅かにしか影響しなかった。バックグラウンドの減算または曲線補正は、該PXRDパターンに対して、行わなかった。
【0072】
図9-34は、ハイスループット結晶化試験で同定された、E7974の結晶フォームM1、M2、およびO1の、各種の代表的なホストゲスト溶媒和物のPXRDパターンおよびデジタル画像を示す。該図に示されるように、該結晶構造の空洞に位置する溶媒は、該ホストフォームの該PXRDパターンを、有意に変化しない。ホストゲスト溶媒和物の該PXRDパターンは、対応する非溶媒和ホストのそれらほど、シャープでない。該PXRDピークは、溶媒または濃度に依存して、ブロードにまたは強度が小さくなりうる。しかし、ホストゲスト溶媒和フォームの該PXRDパターンは、非溶媒和ホストの特徴的なピークの全てではないが、その大部分を示す。
【0073】
単結晶構造決定
【0074】
該ハイスループット試験から適当な単結晶を選び、ガラス繊維に接着し、 X線回折ゴニオメーターに取り付ける。取り付けた結晶のX線回折データを、温度233Kで、カッパCCDシステムおよびFR590X線ジェネレイター(Bruker Nonius、Delft、The Netherlands)により、発生させたMoKα放射を用いて、収集する。単位格子パラメーターおよび結晶構造を測定し、およびソフトウェアパッケージmaXus(Mackay et al., 1997)を用いて、精密化する。該結晶構造から、Windows バージョン2.3のPowderCell (Kraus et al., 1999)を用いて、理論X線粉末回折パターンを算出することができる。
【0075】
フォームM2_アミルエーテルの単結晶構造
【0076】
結晶フォームM2_アミルエーテルの結晶構造を、アミルエーテルでの結晶化試験(プレート002、低濃度、の方法に従って調製した、図M2_アミルエーテル参照)の後に得られた単結晶に基づいて、決定した。表12は、該結晶構造決定に由来する、結晶学的データの概要を示す。該単結晶の結果は、フォームM2_アミルエーテルは、アミルエーテルの溶媒和フォームであることを示す。
【0077】
図35は、実測PXRDパターンと、決定したフォームM2_アミルエーテルの結晶構造に基づく算出パターンとの、比較を示す。該2つのPXRDパターンは、選択配向効果が該バルク物質中に存在し、フォームM2_アミルエーテルは単一フォームでありうることを示す、差違を示す。これを確認するために、該選択配向(PO)を、該(020)結晶面をMarch DollaseモデルのPO面と仮定して、シミュレートした (留意 PO=1.0は、選択配向の無いことを示す)。該PO効果を考慮したフォームM2_アミルエーテルの該シミュレートPXRDパターンは、フォームM2_アミルエーテルの実測PXRDパターンと同様であり(図35参照、上から1番目と3番目のパターン)、実際にPO効果は該バルク物質中に存在し、フォームM2_アミルエーテルの該結晶構造は、該バルク物質に相当することを示す。図36は、c-軸を見下ろした、フォームM2_アミルエーテルの結晶充てんを示す。アミルエーテル分子は、該構造空洞に組み込まれる。
【表12】
【0078】
結晶E7974フォームO1_ニトロベンゼンの結晶構造
【0079】
結晶E7974フォームO1_ニトロベンゼンの結晶構造を、ニトロベンゼンでの結晶化試験 (プレート003、高濃度、結晶化温度 5℃に従って調製)の後に得られた該物質から収集した単結晶データから、決定した。該PXRD分析は、該物質は、フォームM2_ニトロベンゼンとフォームO1_ニトロベンゼンの混合であるが、フォームO1_ニトロベンゼンの適当な単結晶は、該混合物中に認められ、分析されたことを示した。表13は、該結晶構造決定に由来する結晶学的データの概要を示す。図37は、該構造空洞に組み込まれるニトロベンゼン分子を有するフォームO1_ニトロベンゼンの結晶充てんを示す。該単結晶結果は、該結晶は、ニトロベンゼンを有する溶媒和フォームであり、該ニトロベンゼン分子は、該結晶の構造空洞に組み込まれることを示した。
【0080】
図38は、実測PXRDパターンと、決定されたフォームO1_ニトロベンゼンの結晶構造に基づく算出パターンとの、比較を示す。該2つのPXRDパターンは、極めて類似し、フォームO1_ニトロベンゼンの結晶構造は、単結晶フォームとしての、該バルク物質の代表であることを示す。
【表13】
【0081】
また、結晶化温度25℃で、ニトロベンゼンから得られたO1フォーム、およびTBMEから得られたホストゲスト溶媒和フォームO1に対して、単結晶分析を行った。図39は、該決定された構造に基づいた算出パターンの比較を示す。異なる結晶化条件が、フォームO1_ニトロベンゼンの単位格子パラメーターにおける小さな違いをもたらすことが結論づけられる(図39参照、上からパターン2および3; 該ピーク位置に小さなシフトがある)。単位格子パラメーターにおけるこれらの違いは、結晶構造中にある乱れの程度の違いにより、説明されうる(より高い乱れの度合いは、5℃よりも、25℃で結晶化されたフォームO1_溶媒の場合に認められた)。他方、該結晶構造に組み込まれた溶媒の違いは、単位格子パラメーターにより有意な差を生じ、回折強度の更なる変化をもたらす(図39参照、最上のパターン1を他のパターンと比較して)。例えば、3番目のホストゲストフォームO1_溶媒和物は、トリフルオロメチルトルエンから得られた。
【0082】
実施例9: 粉末X線回折(PXRD)および赤外(IR)分光法による、結晶、ホストゲスト溶媒和物E7974-フォームM1_アセトニトリルの特性化。
【0083】
図40は、結晶、ホストゲスト溶媒和結晶E7974-フォームM1_アセトニトリルのIRスペクトルを示す。該IRスペクトルを、実施例3に記載の方法を用いて取得した。
【0084】
図41は、結晶E7974フォームM1_アセトニトリルの、密閉、回転キャピラリチューブの、PXRDパターンを示す。PXRDデータを、環境温度で、PANalytical X’Pert Pro θ/θ回折計(00008819)を、銅放射、45kV、40mAで作動し、X’Celerator検出器(00008823)を用いて、収集した。該PXRD装置は、キャピラリースピーナーステージおよびWindows XP登録商標オペレーティングシステムおよびPANalytical X’Pert Data Collector v 2.1aの標準的PCを装備する。各ステージを、NBSシリコン粉末を標準物質として使用して、設定を調整した。表14に、図41のPXRDパターンのピークを特定する。表15は、フォームM1_アセトニトリルのPXRDパターン中の、それらの3以上が結晶E7974フォームM1_アセトニトリルを十分に同定する、それらの4以上が結晶E7974フォームM1_アセトニトリルを十分に同定する、好ましい特徴的なピークを示す。
【表14】
【表15】
【0085】
実施例10: 粉末X線回折(PXRD)、赤外(IR)分光法、およびDSCによる、結晶、ホストゲスト溶媒和物E7974-フォームM2_1,4ジオキサンの特性化。
実施例9および3にそれぞれ記載される方法および装置を用いて、該PXRDパターンおよびIRスペクトルを取得した。実施例4に記載の方法を用い、試料2.15gとして、該DSCデータを取得した。
【0086】
図42は、結晶E7974-フォームM2_1,4ジオキサンホストゲスト溶媒和物のPXRDパターンを示す。表16に、図42の該PXRDパターンのピークを特定する。これと他のPXRDパターンにおいて、強度が低く報告されるいくつかのピークは、真のピークに対応しない。表17は、それらの3以上が十分に結晶E7974M2_1,4ジオキサンを特定する、結晶E7974フォームM2_1,4ジオキサンのいくつかの特徴的なピークを示す。
【表16】
【表17】
【0087】
結晶E7974-フォームM2_1,4ジオキサンの赤外線スペクトルは、図43に示される。図44は、結晶E7974-フォームM2_1,4-ジオキサンのDSCサーモグラムを示し、融点は141.68℃である。
【0088】
実施例11: 粉末X線回折(PXRD)、赤外(IR)分光法、DSC、および13C CP/MAS NMRによる、結晶E7974-フォームO1_非溶媒和の特性化。
【0089】
実施例9および3にそれぞれ記載される方法および装置を用いて、該PXRDパターン、およびIRスペクトルデータを取得した。13C CP/MAS NMRスペクトルを、実施例5に記載のように取得した。DSCデータを、実施例4に記載の方法で、試料1.79gを用いて、取得した。
【0090】
図45は、結晶E7974-フォームO1_非溶媒和のPXRDパターンを示す。表18に、図45の該PXRDパターンのピークを特定する。表19は、それらの3以上が十分に結晶E7974フォームO1_非溶媒和を同定する、結晶E7974フォームO1_非溶媒和のいくつかの好ましい特徴的なピークを示す。
【表18】
【表19】
【0091】
結晶E7974フォームO1_非溶媒和は、好ましくは、その粉末X線回折パターン中に、7.3±0.2θ、9.4±0.2θ、10.7±0.2θ、12.1±0.2θ、および15.2±0.2θからなる群から選ばれる、少なくとも3つのピークを有することを特徴とする。
結晶E7974-フォームO1_非溶媒和の赤外線スペクトルは、図46に示される。図48は、結晶E7974-フォームM2_O1_非溶媒和のDSCサーモグラムを示し、融点は133.31℃である。
【0092】
図47は、得られた結晶E7974-フォームO1_非溶媒和の13C CP/MAS NMRスペクトルを示す。このスペクトルの質は、結晶E7974-フォームM1_非溶媒和スペクトルほど、良好でない。該スペクトル質があまり高くない正確な理由は、不明であるが、粒子サイズの問題および/または特定の試料の結晶の質に関連しうる。化学シフトは、±0.3ppm内であることが、報告される。
【0093】
実施例12: 粉末X線回折(PXRD)、赤外(IR)分光法およびDSCによる、結晶、ホストゲスト溶媒和物E7974-フォームO1_トルエンの特性化。
【0094】
該PXRDパターンおよびIRスペクトルを、実施例3に記載の方法および装置を用いて取得した。該DSCデータを、実施例4に記載の方法で、試料3.75gを用いて、取得した。
【0095】
図49は、結晶E7974-フォームO1_トルエンホストゲスト溶媒和物のPXRDパターンを示す。 表20に、図49の該PXRDパターンのピークを特定する。表24は、結晶E7974フォームO1_トルエンの、それらの3以上は、十分に結晶E7974フォームO1_トルエンを同定する、いくつかの好ましい特徴的なピークを示す。
【表20】
【表21】
【0096】
結晶E7974-フォームO1_トルエンの赤外線スペクトルは、図50に示される。図51は、結晶E7974-フォームO1_トルエンのDSCサーモグラムを示し、融点は123.52℃である。
【0097】
図面の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】図1は、実施例2の結晶E7974-フォームM1_非溶媒和の蒸気吸着等温線を示す。
【0099】
【図2】図2は、実施例2の5%RHから70%RHの相対湿度(%RH)に応じての結晶E7974-フォームM1_非溶媒和の蒸気吸着等温線(25℃)を示す。
【0100】
【図3】図3は、実施例3の複数のロットの結晶E7974-フォームM1_非溶媒和の粉末X線回折(PXRD)パターンを示す。
【0101】
【図4】図4は、実施例3の結晶E7974-フォームM1_非溶媒和のPXRDパターンを示す。
【0102】
【図5】図5は、結晶E7974-フォームM1_非溶媒和の赤外線スペクトルを示す。
【0103】
【図6】図6は、実施例4の結晶E7974-フォームM1_非溶媒和の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す。
【0104】
【図7】図7は、結晶E7974-フォームM1_非溶媒和の13C CP/MAS NMRを示す。
【0105】
【図8】図8は、E7974のハイスループット結晶化の温度プロファイルの模式図を示す。
【0106】
【図9】図9は、結晶E7974-フォームM1_アセトン(プレート5: イニシャル濃度10%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0107】
【図10】図10は、結晶E7974-フォームM2_1,4-ジオキサン(プレート11、イニシャル濃度5%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0108】
【図11】図11は、結晶E7974-フォームM2_1,4-ジオキサン(プレート11、イニシャル濃度5%w/v)のデジタル画像を示す。
【0109】
【図12】図12は、結晶E7974-フォームM2_1,4-ジオキサン(プレート11、イニシャル濃度10%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0110】
【図13】図13は、結晶E7974-フォームM2_1,4-ジオキサン(プレート11、イニシャル濃度10%w/v)のデジタル画像を示す。
【0111】
【図14】図14は、結晶E7974-フォームM2_THF(プレート1、イニシャル濃度10%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0112】
【図15】図15は、結晶E7974-フォームM2_アセトン(プレート11、イニシャル濃度10%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0113】
【図16】図16は、結晶E7974-フォームM2_アセトン(プレート11、イニシャル濃度10%w/v)のデジタル画像を示す。
【0114】
【図17】図17は、結晶E7974-フォームM2_アセトン(プレート12、イニシャル濃度5%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0115】
【図18】図18は、結晶E7974-フォームM2_アセトン(プレート12、イニシャル濃度5%w/v)のデジタル画像を示す。
【0116】
【図19】図19は、結晶E7974-フォームM2_アミルエーテル(プレート2、イニシャル濃度5%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0117】
【図20】図20は、結晶E7974-フォームM2_ニトロメタン(プレート5、イニシャル濃度5%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0118】
【図21】図21は、結晶E7974-フォームM2_酢酸エチル/n-ヘプタン(50:50)(プレート7、イニシャル濃度5%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0119】
【図22】図22は、結晶E7974-フォームM2_酢酸エチル/n-ヘプタン(50:50)(プレート7、イニシャル濃度5%w/v)のデジタル画像を示す。
【0120】
【図23】図23は、結晶E7974-フォームM2_酢酸エチル/n-ヘプタン(50:50)(プレート7、イニシャル濃度10%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0121】
【図24】図24は、結晶E7974-フォームM2_酢酸エチル/n-ヘプタン(50:50)(プレート7、イニシャル濃度10%w/v)のデジタル画像を示す。
【0122】
【図25】図25は、結晶E7974-フォームO1_トルエン(プレート8、イニシャル濃度5%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0123】
【図26】図26は、結晶E7974-フォームO1_トルエン(プレート8、イニシャル濃度5%w/v)のデジタル画像を示す。
【0124】
【図27】図27は、結晶E7974-フォームO1_トルエン(プレート8、イニシャル濃度10%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0125】
【図28】図28は、結晶E7974-フォームO1_トルエン(プレート8、イニシャル濃度10%w/v)のデジタル画像を示す。
【0126】
【図29】図29は、結晶E7974-フォームO1_ニトロベンゼン(プレート4、イニシャル濃度10%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0127】
【図30】図30は、結晶E7974-フォームO1_ニトロベンゼン(プレート4、イニシャル濃度10%w/v)のデジタル画像を示す。
【0128】
【図31】図31は、結晶E7974-フォームO1_ニトロベンゼン(プレート9、イニシャル濃度10%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0129】
【図32】図32は、結晶E7974-フォームO1_ニトロベンゼン(プレート9、イニシャル濃度10%w/v)のデジタル画像を示す。
【0130】
【図33】図33は、結晶E7974-フォームO1_トリフルオロメチルトルエン(プレート6、イニシャル濃度10%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0131】
【図34】図34は、結晶E7974-フォームO1_水/エタノール(10:90)(プレート12、イニシャル濃度10%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0132】
【図35】図35は、結晶E7974-フォームM2_アミルエーテル(最上、プレート2、低濃度)の実測PXRDパターン、ならびに結晶E7974-フォームM2_アミルエーテル、および(020)結晶面を含む選択配向効果を考慮した結晶E7974-フォームM2_アミルエーテル(最下のパターン)の決定された構造に基づく、算出PXRDパターンを示す。
【0133】
【図36】図36は、c-軸を見下ろしたフォームJの結晶充てんを示す。アミルエーテル分子は、該構造空洞に組み込まれる。
【0134】
【図37】図37は、該構造空洞に組み込まれたニトロベンゼン分子を有する結晶E7974-フォームO1_ニトロベンゼンの結晶充てんを示す。
【0135】
【図38】図38は、結晶E7974-フォームO1_ニトロベンゼン(上から: プレート2、高濃度、プレート9 高濃度)および結晶E7974-フォームO1_ニトロベンゼン(プレート011 高濃度)のPXRDパターンを示す。最下のパターンは、結晶E7974-フォームO1_ニトロベンゼンの結晶構造に基づく算出パターンである。矢印は、該パターンにある付加的なピークを示す。
【0136】
【図39】図39は、(上から下へ): 結晶E7974-フォームO1_TBME、(プレート8、低濃度)、結晶E7974-フォームO1_ニトロベンゼン、(プレート9、低濃度、結晶化 T=25℃)および結晶E7974-フォームO1_ニトロベンゼン、(プレート3、高濃度、結晶化T=5℃)の、それぞれの決定された結晶構造からの算出PXRDパターンを示す。
【0137】
【図40】図40は、密閉、回転キャピラリチューブの結晶E7974-フォームM1_アセトニトリルのIRスペクトルを示す。
【0138】
【図41】図41は、密閉、回転キャピラリチューブの結晶E7974-フォームM1_アセトニトリルのPXRDパターンを示す。
【0139】
【図42】図42は、結晶E7974-フォームM2_1,4ジオキサンのPXRDパターンを示す。
【0140】
【図43】図43は、結晶E7974-フォームM2_1,4ジオキサンの赤外線スペクトルを示す。
【0141】
【図44】図44は、結晶E7974-フォームM2_1,4-ジオキサンのDSCサーモグラムを示す。
【0142】
【図45】図45は、結晶E7974-フォームO1_非溶媒和のPXRDパターンを示す。
【0143】
【図46】図46は、結晶E7974-フォームO1_非溶媒和の赤外線スペクトルを示す。
【0144】
【図47】図47は、結晶E7974-フォームO1_非溶媒和の13C CP/MAS NMRを示す。
【0145】
【図48】図48は、結晶E7974-フォームO1_非溶媒和のDSCサーモグラムを示す。
【0146】
【図49】図49は、結晶E7974-フォームO1_トルエンのPXRDパターンを示す。
【0147】
【図50】図50は、結晶E7974-フォームO1_トルエンの赤外線スペクトルを示す。
【0148】
【図51】図51は、結晶E7974-フォームO1_トルエンのDSCサーモグラムを示す。
【技術分野】
【0001】
発明の属する技術分野
【0002】
本発明は、(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)-アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸(E7974)の、非溶媒和およびホストゲスト溶媒和結晶フォームに関する。E7974は、様々な癌、炎症性疾患、自己免疫疾患、および増殖性疾患の治療に対して、ならびに血管の再狭窄の治療および予防に対して、治療効果を有する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
【0004】
ヘミアステリン(Hemiasterlin)(1)は、南アフリカ、ソドワナベイで採取された、海綿ヘミアステレラ・マイナー(Hemiasterella minor)(綱、Demospongiae; 目、Hadromedidia; 科、Hemiasterellidae)から初めて単離された(参照、Kashman et al. U.S.特許番号第 5,661,175号)。ヘミアステリンは、ヒト肺癌、ヒト結腸癌およびヒトメラノーマを含む、いくつかの細胞株に対して、抗腫瘍活性を示す。
【化1】
【0005】
この化合物が初めて単離され報告された後、更なるヘミアステリンが単離され、いくつかのヘミアステリン誘導体が合成され、それらの生物活性もまた調査された。続いて、ヘミアステリンおよびその特定の類似体は抗有糸分裂活性を示し、それ故、特定の癌の治療に有用であることが報告された(参照、U.S.特許第6,153,590号およびPCT出願WO 99/32509)。
【0006】
U.S.公開特許出願、U.S.20040229819 A1、(参照してここに引用する)は、多くのヘミアステリン類似体およびその使用を開示する。該類似体の1つ、(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸、E7974は、様々な癌、リンパ腫、白血病および多発性骨髄腫の治療において、ならびに血管の再狭窄の治療および予防において、治療活性を有する。E7974の合成は、U.S.20040229819-A1の実施例14に記載され、該化合物は、E807974と特定されている。実施例14により、結晶のE7974でなく、高粘度油状物の遊離塩基化合物としてのER-807974の調製が、報告されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
治療効果は、E7974のような治療薬の一番の関心であるが、薬剤候補の塩および結晶フォームは、その開発に不可欠でありうる。薬剤候補の各塩または各結晶フォーム(多形体)は、異なる固体(物理的および化学的)性質、例えば、溶解性、安定性、または再生能を有しうる。これらの性質は、有効医薬成分(API)としての化合物の選定、最終の医薬投与剤型、製造方法の最適化、および体内への吸収に影響しうる。さらに、更なる薬剤開発に最適なフォームを発見することは、その開発の時間とコストを削減しうる。
【0008】
純粋な結晶フォームを得ることは、薬剤開発に非常に有用である。それは、薬剤候補の化学的および物理的性質の、より良い特性をもたらす。結晶フォームは、しばしば、非結晶よりも、より良い化学的および物理的性質を有する。該結晶フォームは、非晶フォームよりも、より好ましい薬理を有することができ、または加工しやすく、さらに、より良好な保存安定性を有することができる。
【0009】
処理可能性に影響しうる物理的性質の1つは、製粉前後の該固体の流動性である。流動性は、医薬組成物への加工の間の、該物質の扱い易さに影響する。粉末化した化合物の粒子が互いに容易に流れない場合、製剤化の専門家は、タブレットまたはカプセル製剤の開発において、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、スターチまたは第三リン酸カルシウムなどの流動促進剤の使用を必要としうることを考慮しなければならない。別の重要な医薬化合物の固体の性質は、水溶液中でのその溶解速度である。患者の胃液中での有効成分の溶解速度は、経口投与された有効成分が、患者の血流に達する速度に影響するため、治療において重要である。
【0010】
これらの特定の物理的性質は、化合物の固体の構造(例えば、結晶性化合物の単位格子における分子の立体構造および配向)、または分子が溶媒和物を形成する溶媒分子を伴うかどうかに影響される。結晶格子において、異なる分子の立体構造および/または配列を取り得る分子の能力を、多形性と呼ぶ。該結晶(または多形)フォームまたは溶媒和物は、しばしば、非晶質物質、他の多形体、または溶媒和物とは異なる熱挙動を有する。熱挙動を、実験室で、キャピラリー融点測定、熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(DSC)のような技術により測定し、ある多形体を他と区別するのに使用しても良い。結晶フォームまたは特定の多形体は、通常、他の技術の中で、粉末X線回折(PXRD)、単結晶X線結晶学、固体NMR分光法、例えば、13C CP/MAS NMR、赤外分光光度法により検出可能な、明確な結晶学的および分光学的特性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の概要
【0012】
本発明は、(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸(E7974)の結晶フォームに関する。E7974は、2つの非溶媒和結晶フォームM1およびO1を有する。これらの結晶フォームは、別のフォームM2に加え、さらに、結晶ホストゲスト溶媒和物(該溶媒は、該結晶格子内の空洞、チャネル、または他の空きスペースに存在する)を形成することができる。本明細書において、語句、空洞および/または空きスペースはまた、チャネルをいう。
【0013】
本発明はまた、E7974の結晶フォームの治療的使用に関する。従って、E7974の結晶フォーム、および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物は、本発明の1つの態様を示す。本発明はさらに、治療上有効量のE7974の結晶フォームを、その必要がある患者に投与する工程を含む、癌、炎症性疾患、自己免疫疾患、または増殖性疾患の治療方法に関する。該E7974の結晶フォームは、単独または本発明の医薬組成物として、投与されうる。
【0014】
本発明の詳細な説明
【0015】
(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸(IUPAC命名法)(E7974)は、以下の化学式(2)を有する。
【化2】
E7974のCAS化学名は、2-ヘキセン酸,4-[[(2S)-3,3-ジメチル-2-[[[(2R)-1-(1-メチルエチル)-2-ピペリジニル]カルボニル]アミノ]-1-オキソブチル]メチルアミノ]-2,5-ジメチル 2E,4S)である。そのCAS登録番号は、610787-07-0である。E7974は、該化合物の双性イオン型である。
【0016】
E7974は、様々な癌、炎症性疾患、自己免疫疾患、および増殖性疾患の治療のための治療薬として有用である。より具体的には、E7974は、それらに限定されないが、前立腺癌、乳癌、結腸癌、膀胱癌、子宮頚癌、皮膚癌、精巣癌、腎臓癌、卵巣癌、胃癌、脳腫瘍、肝臓癌、膵癌、食道癌、リンパ腫、白血病および多発性骨髄腫を含む、疾病および疾患の治療のために使用されうる。E7974の化学的合成および抗腫瘍活性は、the 96th Annual Meeting of the American Association for Cancer Research (AACR), April 16-20, 2005, Anaheim, CA: 1)Tubulin-based Antimitotic Mechanism of Novel Hemiasterlin Analog E7974, G. Kuznetsov et al., Abstract No. 3436; 2)Synthetic Analogs of the Natural Marine Product Hemiasterlin: Optimization and Discovery of E7974, a Novel and Potent Anti-tumor Agent, J. Kowalczyk et al., Abstract No. 1212; and 3)In vitro and in vivo antitumor activities of novel hemiasterlin analog E7974, G. Kuznetsov et al., Abstract No. 3432.に示される、3つのポスターの対象である。E7974はまた、血管形成術およびステント術のような外傷を受けた血管の再狭窄の治療および予防のために使用されうる。
【0017】
1.E7974の結晶フォーム
【0018】
本発明は、E7974の結晶フォーム、それらの結晶フォームの非溶媒和結晶フォームおよびホストゲスト溶媒和物に関する。特定のフォームの指定がない限り、語句“結晶E7974”は、本明細書において、E7974の全ての結晶フォームをいう。2つの単斜晶フォームM1およびM2、および1つの斜方晶フォーム、O1がある。M1およびO1結晶フォームは、非溶媒和結晶フォームとして存在する。これらの各々について、下記に説明する。該空間群の指定、単斜および斜方は、概して、ホスト結晶の空間群をいう。溶液では、ホストゲスト溶媒和物の特定の基は幾分変化するが、該ホストのそれと実質的に同一である。
【0019】
M1、M2およびO1結晶フォームは、結晶化度を失うことなく、溶媒分子をそれらの結晶格子に取り込む能力を有する。これらの溶媒和物は、“ホストゲスト”であり、該溶媒は、結晶E7974格子の空洞(または空きスペースまたはチャネルと呼ばれる)に、組み込まれる。
【0020】
2. 結晶E7974-フォームM1_非溶媒和
【0021】
結晶E7974-フォームM1は、未精製E7974をアセトニトリル中で加熱還流しその後ゆっくりと冷却し結晶形成させる結晶化により、調製される。好ましい方法において、未精製E7974をまず、室温、好ましくは25℃でアセトニトリルから結晶化し、その後、アセトニトリル中で加熱還流してゆっくりと冷却して再結晶化させる。更に結晶フォームM1の溶媒和フォームを乾燥して、非溶媒和結晶フォームM1を得る。
【0022】
結晶E7974-フォームM1は、優れた加工性、(再結晶化による)精製コントロール性、および固体安定性を有する。下記の実施例に記載され、および図面に示されるように、結晶E7974-フォームM1を、X線粉末回折(XRD)、単結晶X線回折、赤外分光法、固体13C NMR、熱分析および吸湿性測定により、特性化した。
【0023】
3. 結晶E7974-フォームO1_非溶媒和
【0024】
結晶E7974-フォームO1は、E7974の2番目の非溶媒和結晶フォームである。下記のように、フォームO1は、E7974を様々な溶媒に溶かし、その後生じた結晶性固体を該溶媒を除去して乾燥し、非溶媒和フォームO1を得ることで、調製される。下記の実施例および図面は、X線粉末回折(XRD)、単結晶X線回折、赤外分光法、固体13C NMR分光法、熱分析および吸湿性測定を用いて、フォームO1を特性化する。該空洞のおおよその大きさを、仮想の無溶媒構造(該結晶構造からニトロベンゼン分子を除き、単位格子パラメーターを修正しないことによる結晶E7974-O1-ニトロベンゼン)を用いて、算出した。全潜在的溶媒エリアの体積は、単位格子体積の3260.3Å3に対し、936.2Å3であり、O1フォーム疑似無溶媒構造の単位格子体積の28.7%が、溶媒分子に利用可能であることを意味する。
【0025】
4. 結晶E7974-フォームM1_溶媒、M2_溶媒、およびO1_溶媒のホストゲスト溶媒和物
【0026】
本発明のE7974の結晶フォームは、結晶構造中に空洞、チャネルまたは空きスペース(本明細書において、これらの全てを、空洞という)を有し、“ホストゲスト溶媒和物”として、溶媒和結晶フォームを形成し、その溶媒分子は、該空洞内に存在する。これらのE7974の結晶フォームは、有機溶媒と共に、ホストゲスト溶媒和物を形成する。該溶媒は、化学量論的量または非化学量論的量で存在しうる。“非化学量論的溶媒和物”は、該物質の異なる調製方法または処理が、該結晶中のE7974分子に対して、溶媒化学量論に非離散的な(または連続的な)変化をもたらすものである。本発明のいくつかの結晶フォームは、有機溶媒分子を含む空洞を有する。両フォームM1およびO1は、ホストゲスト溶媒和物を形成する。さらに、別の単斜晶フォーム、M2は、ホストゲスト溶媒和フォームとして存在する。
【0027】
該ホストゲスト溶媒和物が結晶性固体である以外、結晶E7974の空洞内で溶媒和となりうる有機溶媒に特に限定は無い。該有機溶媒は、単一溶媒、有機溶媒の混合液、または有機溶媒を含む水性混合液でありうる。該溶媒は、概して、結晶E7974またはE7974を含む医薬組成物を製造するのに使用される溶媒である。従って、ホストゲスト溶媒和物を形成する有機溶媒は、しばしば、E7974の合成または精製に使用されるものであり、該過程にとって有利でありうる。該ホストゲスト溶媒和物の乾燥により、非溶媒和フォームが得られ、または、溶媒和フォームM2の場合、非溶媒和フォームM1が得られる。本発明の結晶ホストゲスト溶媒和物は、溶媒和および非溶媒和フォームの混合を含む、フォームの混合として、存在しうる。
【0028】
ホストゲスト溶媒和物を形成するために使用する適当な溶媒には、それらに限定されないが、1,4-ジオキサン; 1-ブロモプロパン; 1-ニトロプロパン; 酢酸2-ブトキシエチル; アセトン、アセトニトリル; アミルエーテル; クロロベンゼン; クロロホルム、シクロヘキサノン; ジクロロメタン(DCM); ジイソブチルケトン; ジイソプロピルエーテル; N1N-ジメチルアセトアミド(DMA); ジメチルホルムアミド(DMF); 酢酸エチル/n-ヘプタン(50:50); 酢酸エチル; イソホロン; メチルイソブチルケトン(MIBK); 酢酸n-ブチル; ニトロベンゼン; ニトロメタン; t-ブチルメチルエーテル(TBME); 2,2,2-トリフルオロエタノール(TFE); テトラヒドロフラン(THF); トルエン; トリクロロエチレン; トリフルオメタントルエン; 水/2-プロパノール(10:90); 水/2-プロパノール(20:80); 水/アセトン(10:90); 水/アセトン(20:80); 水/アセトニトリル(10:90); 水/エタノール(10:90);および水/エタノール(20:80)が含まれる。該有機溶媒は医薬的に許容される溶媒であることが、一般的に好ましい。結晶E7974-フォームM1のホストゲスト溶媒和物のための好ましい有機溶媒は、アセトンおよびアセトニトリル溶媒和物である。結晶E7974-フォームM2のホストゲスト溶媒和物のために、以下の溶媒が好ましい: 1,4-ジオキサン、酢酸エチル/n-ヘプタン(50:50)、アセトン、およびニトロメタン。結晶E7974-フォームO1のホストゲスト溶媒和物のための好ましい溶媒は、トルエン、水/エタノール(10:90)、TBME、およびニトロベンゼンである。
【0029】
5. 医薬組成物
【0030】
本発明は、治療上有効量のE7974の結晶フォーム、および医薬的に許容される担体を含む、医薬組成物に関する。上記のように、E7974は、それを、癌、炎症性、自己免疫性、および/または増殖性の疾病および疾患の治療、ならびに血管の再狭窄の治療および予防に有用であるとする、生物学的特性を有する。それらの疾病および疾患の治療のための医薬組成物は、該特定の疾病または疾患を有する患者の治療に適する、治療上有効量のE7974の結晶フォームを含む。
【0031】
本発明の結晶フォームのE7974の“治療上有効量” (ここでの医薬組成物に関して、および下記の本発明にかかる治療方法に関して記載される)とは、炎症性または自己免疫性の反応または疾患の影響を減らすのに十分な量; 腫瘍細胞の増殖またはその速度を防ぎ、殺し、または阻害するのに十分な量; または、血管の再狭窄を治療しまたは予防するのに十分な量をいう。特定の患者の治療に要する実際の量は、治療される疾患およびその重症度; 使用される特定の医薬組成物; 患者の年齢、体重、全体的な健康、性およびダイエット; 投与方法; 投与時間; 投与ルート; およびE7974の排出速度; 治療期間; 使用する該特定の化合物と、併用または同時使用される薬剤; および医薬技術分野において知られる他の因子を含む、様々な因子に依存する。これらの因子は、GoodmanおよびGilmanの“The Pharmacological Basis of Therapeutics”, Tenth Edition, A. Gilman, J. Hardman and L. Limbird, eds., McGraw-Hill Press, 155-173, 2001に記載され、これを参照してここに引用する。
【0032】
本発明の医薬組成物は、E7974の結晶フォームの1つを含むいずれかの医薬製剤型である。該医薬組成物は、固体製剤型、液体懸濁液、注射用組成物、局所製剤型、または経皮製剤型でありうる。これらの医薬製剤型は、U.S.20040229819 A1に開示され、これを参照してここに引用する。
【0033】
医薬組成物のタイプに依存して、医薬的に許容される担体は、当該技術分野で知られた担体の1つまたは組み合わせから選ばれる。医薬的に許容される担体の選択は、医薬製剤型および用いられる所望の投与方法に依存する。E7974の結晶フォームを有する、本発明の固体医薬組成物において、担体は、使用する特定のE7974の結晶フォームを維持するものを選ぶべきである。言い換えれば、固体医薬組成物において、該担体は、E7974の結晶フォームを、実質的に変えるべきでない。該担体は、望ましくない生物学影響、または医薬組成物の他の成分との有害な様式での他の相互作用が生じるような、他の点でもE7974と相性が悪いものであってはならない。
【0034】
本発明の医薬組成物は、好ましくは、投与のし易さおよび投与量の均一性のために、単位投与製剤型で処方される。“単位投与製剤型”とは、物理的に分かれた、治療される患者に適する治療薬の単位をいう。しかし、当然のことながら、本発明にかかるE7974およびその医薬組成物の1日の全投与量は、適当な医学的判断の範囲内で、担当医により決定される。
【0035】
E7974の結晶フォームは、それらの調製の間、より容易に維持されるため、固体投与製剤型は、本発明の医薬組成物の好ましい製剤型である。カプセル、タブレット、丸薬、粉末、および顆粒のような、経口投与ための固体投与製剤型が、特に好ましい。該固体投与製剤型において、該活性化合物は、クエン酸ナトリウムまたは第二リン酸カルシウムなどの、少なくとも1つの不活性で医薬的に許容される担体と混合される。該固体投与製剤型はまた、1以上の: a)スターチ、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸などの賦形剤または増量剤; b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアラビアゴム(acacia)などの結合剤; c)グリセロールなどの湿潤剤; d)寒天、炭酸カルシウム、ポテトまたはタピオカスターチ、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤; e)パラフィンなどの溶解遅延剤; f)第4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤; g)例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレートなどの湿潤剤; h)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤; およびi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどの滑沢剤を含みうる。該固体投与製剤型はさらに、緩衝剤を含む。それらはまた、適宜、乳白剤を含んでもよく、また、有効成分を、腸管の特定部分でのみ、または優先的にその部分で遅延して放出するようにした組成物であってもよい。Remington’s Pharmaceutical Sciences, Sixteenth Edition, E. W. Martin (Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1980)に、医薬組成物の処方に使用される様々な担体、およびその調製の既知の技術が開示される。本発明の医薬組成物の固体投与製剤型はまた、腸溶性コーティングおよび医薬製剤の技術分野において知られる他のコーティングなどの、コーティングおよび殻で調製されうる。
【0036】
結晶E7974は、固体マイクロカプセル製剤型に、上記の1以上の担体と共に含まれうる。E7974の結晶フォームのマイクロカプセル製剤型はまた、ラクトースまたは乳糖などの賦形剤、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどと共に、ソフトおよびハード充填ゼラチンカプセル中で用いられうる。
【0037】
経口投与のための液体投与製剤型には、それらに限定されないが、医薬的に許容される乳剤、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤が含まれる。該活性化合物に加え、該液体投与製剤型は、例えば、水または、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実、ラッカセイ、コーン、胚芽、オリーブ、キャスター、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、およびその混合などの他の溶媒、可溶化剤および乳化剤などの、当該技術分野で通常使用される不活性な希釈剤を含むことができる。不活性の希釈剤に加えて、経口組成物はさらに、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味料、香料、および芳香剤などの補助剤を含みうる。
【0038】
注射用製剤、例えば、滅菌した注射用水性または油性懸濁液は、適当な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して、当該技術分野の周知技術に従って、処方されうる。該滅菌注射用製剤はまた、無毒の非経口で許容される希釈剤または溶媒中の、滅菌した注射用溶液、懸濁液または乳液、例えば1,3-ブタンジオールの溶液でありうる。使用するのに許容される賦形剤および溶媒は、水、リンガー溶液、U.S.P.および等張食塩液である。さらに、滅菌した固定油は、通常、溶媒または懸濁化剤として使用される。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含め、無味の固定油が使用されうる。さらに、オレイン酸のような脂肪酸が、注射用製剤に使用される。
【0039】
該注射用組成物は、例えば、細菌保持フィルターによるろ過により、または使用前に、滅菌水または他の滅菌注射用溶媒に溶解または分散させることができる滅菌固体組成物の製剤型に、滅菌剤を組み込むことにより、滅菌することができる。
【0040】
薬物の効果を延ばすために、皮下または筋肉注射から、薬物の吸収の速度を落とすことが、しばしば望まれる。これは、液体懸濁液の使用、結晶フォームの使用、または水溶解性の乏しい非晶質物質の使用により、達成されうる。次に、該薬物の吸収速度は、順に結晶サイズおよび結晶フォームに依存しうる、その溶解速度に依存する。また、非経口投与の薬物製剤型の遅延吸収は、油性の賦形剤に該薬物を溶解または懸濁して、達成される。注射用持続性製剤型は、ポリラクチド-ポリグリコリドのような生分解性ポリマー中の、該薬物のマイクロカプセルマトリクスを形成することにより、調製される。薬物のポリマーに対する比、および使用する特定のポリマーの性質に依存して、薬物放出速度を、制御すろことができる。他の生分解性ポリマーの例には、(ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物))が含まれる。持続性注射用組成物はまた、体内組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルジョンに該薬物を封入することにより、調製される。
【0041】
直腸または膣投与のための組成物は、好ましくは坐薬である。これは、本発明の化合物を、環境温度で固体であるが、体温で液体であり、それ故、直腸または膣腔で溶解し、E7974を放出する、ココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐薬ワックスのような、適当な非刺激性賦形剤または担体と混合して調製することができる。
【0042】
本発明のE7974の結晶フォームはまた、加圧滅菌処理可能な液体組成物に、処方するために使用され、または処方されることができる。典型的な水性開発組成物(1mg/ml E7974)には、1)等張5%デキストロース、20mMクエン酸緩衝液、pH4.5; 2)非等張、20mMクエン酸緩衝液、pH4.5; および3)0.9%NaCl、20mMリン酸緩衝液、pH7が含まれる。3つのオートクレーブした組成物の全ては、良好な保存安定性を示す。
【0043】
6.E7974の結晶フォームを使用する治療方法
【0044】
本発明はまた、結晶E7974の増殖性疾患、炎症性疾患または自己免疫疾患の治療、ならびに血管の再狭窄の治療または予防における、使用およびその方法を提供する。増殖性疾患には、結腸直腸癌、多形神経膠芽腫(GBM)、乳癌、前立腺癌、非小細胞肺癌、食道/胃癌および肝細胞癌などの癌、または腫瘍が含まれる。いくつかの腫瘍は、多剤耐性またはタキサン耐性腫瘍のような、特定の薬物に耐性でありうる。本発明の結晶E7974およびそれを含む医薬組成物は、治療に有効な量、医薬組成物の剤型、および投与経路を用いて、投与することができる。適当な医薬的に許容される担体とともに所望の投与量に組成された後、本発明の該医薬組成物を、治療される症状の位置および重症度に依存して、経口、直腸、非経口、静脈内、嚢内、腟内、腹腔内、局所(粉剤、軟膏、またはドロップなどにて)、口腔内に、口腔または鼻腔用スプレーなどとして、ヒトおよび他の動物に投与されうる。特定の態様において、本発明のE7974の結晶フォームは、1日につき、約0.001mg/kgから約50mg/kg、約0.01mg/kgから約25mg/kg、または約0.1mg/kgから約10mg/kg(患者の体重)の投与量範囲で、1日1回以上、所望の治療効果を得るために投与されうる。また当然ながら、0.001mg/kgよりも少ない、または50mg/kg(例えば50-100mg/kg)よりも多い投与量を、対象に投与することができる。本発明の結晶フォームは、単独で、またはアントラサイクリン、ゲムシタビン、シスプラチン、カルボプラチン、ドセタキセル、または活性薬剤の組み合わせを含む、抗癌剤のような他の活性薬剤と組み合わせて、投与されうる。該組み合わせはまた、1、2またはそれ以上の更なる活性薬剤を含む、本発明の組成物の製剤型でありうる。また、更なる活性薬剤を、本発明の組成物の投与と別々に、前に、間に、または後に投与しうる。従って、本発明の様々な結晶フォームは、癌、炎症性疾患または自己免疫疾患を含む増殖性疾患、または再狭窄の治療のための、医薬の製造に使用されうる。
【実施例】
【0045】
7. 実施例
【0046】
実施例1: 結晶E7974-フォームM1_非溶媒和の調製
【化3】
【0047】
結晶E7974-フォームM1_非溶媒和を調製するために、未精製ER-807974-00、双性イオンを、81℃の還流条件下、アセトニトリル(ACN)に溶解し、0.5から1時間、該温度で維持した。該再結晶化を、溶液を65℃から55℃にゆっくりと冷却することで調整した。該混合物を、その温度範囲で、1時間攪拌した。最後に、該スラリーを、20℃で8時間攪拌し、E7974を、ろ過して集めた。該ろ過ケーキを、冷却したアセトニトリルで洗浄し、真空下、25℃で、乾燥するまで、乾燥した。これらの結晶化条件は、常に、再現可能な粉末X線回折(PXRD)パターンを有する結晶性固体フォームを生じた。下記実施例3を参照。
【0048】
実施例2: 吸湿性試験
【0049】
結晶E7974-フォームM1_非溶媒和は、高相対湿度(%RH)で潮解する、僅かに吸湿性の化合物であることが認められた (図1参照)。潮解を避け水の脱着を測定するために、70%RHまでの吸湿性を調べる別の実験を行った(図2参照)。1.9%の重量の増加が、70%RHで認められ、該化合物が非吸湿性であることを実証する。該定められた基準に従い(Tsunakawa et al., IYAKUHIN KENKYU, 22 (1), 173-176 (1991))、吸湿性物質は、75%相対湿度、1週間保存後の水分含量増加が、少なくとも3.0%を示す、と定義される。該水吸着は、70%RHまで可逆的であった。従って、脱着曲線にプラトーは認められなかった。
【0050】
実施例3: 粉末X線回折(PXRD)および赤外(IR)分光法による、非溶媒和結晶E7974-フォームM1の特性化
【0051】
結晶E7974-フォームM1を、粉末X線回折(PXRD)により特性化した。結晶E7974-フォームM1粉末を、X線粉末回折計(RINT-2000、Rigaku、Japan)の試料台に設置し、表1に示される条件下で分析した。図3は、結晶E7974-フォームM1の5ロット(A1-A5)のPXRDパターンを示す。全5ロットは、一致するPXRDパターンを示した。
【表1】
【0052】
図4はまた、非溶媒和結晶E7974-フォームM1のPXRDを示す。粉末X線回折(PXRD)データを、環境温度で、Scintag X2 θ/θ回折計(40000065)を銅放射、45kVおよび40mAで作動して、Thermo ARL Peltier-冷却固体検出器を用いて、収集した。2および4mmのソース(Source)スリット、および0.5および0.3mmの検出器(detector)スリットをデータ収集に用いた。該PXRD装置は、Scintag 6位置試料交換装置(オートサンプラー)、Windows NT 4.0オペレーティングシステムのPC、およびDMSNTソフトウェアバージョン1.36bを装備する。該PXRD装置を、National Bureau of Standards(現在NIST)シリコン粉末を標準として使用して、設定を調整した。その後アラインメントの結果を、PXRDキャリブレーションログブックに記録した。該PXRD装置のアラインメントは、年1回、次のいずれかの条件で再チェックする。:(1)新しい試料ステージを設置する;(2)Scintag X2を移動する。表2は、PXRDデータを収集するために使用した、追加のパラメーターを示す。
【表2】
【0053】
表3は、図4のPXRDパターンのピークを特定する。表4は、結晶E7974-フォームM1_非溶媒和の好ましい特徴的なピークのリストである。さらに好ましい態様において、該非溶媒和フォームM1は、その粉末X線回折パターン中、以下の2θ値からなる群から選ばれる、少なくとも4つのピークを有することを特徴とする: 8.2±0.2、10.0±0.2、10.9±0.2、13.0±0.2、14.3±0.2、16.3±0.2、および17.9±0.2。4つ以上のそれらは、十分に結晶E7974フォームM1_非溶媒和を同定する。
【表3】
【表4】
【0054】
図5は、結晶E7974-フォームM1_非溶媒和の赤外線スペクトルを示す。該スペクトルを、Bio Rad FTS-6000 FTIR 装置で測定した。該スペクトルを、Diffused Reflectanceを用いて収集した。バックグラウンドを、臭化カリウムを使用して、64の共スキャン(co-scans)および2cm-1の分解能で、収集した。該スペクトルを、16の共スキャンおよび2cm-1の分解能で収集した。
【0055】
実施例4: 示差走査熱量測定(DSC)による特性化
【0056】
結晶E7974-フォームM1_非溶媒和の固体特性を、示差走査熱量測定(DSC、キャピラリー法)により、測定した。表5は、用いた条件を示す。図6は、非溶媒和結晶E7974-フォームM1のサーモグラムを示す。これは、102.53℃にブロードな吸熱ピークを有し、102.5℃の融点を示す。E7974の分析試料は、窒素の存在下、110℃(開始温度)で、おおよそ合計+8.6cal/gの吸収である重複事象を伴って、溶解した。この試料のDSCデータを、該重複ピークが準安定フォームによるものではないことを実証するために、異なる加熱速度で収集した。該重複ピークは、速い加熱(25℃/分)を用いた場合には、観測されなかった。
【表5】
【0057】
実施例5: 結晶E7974-フォームM1_非溶媒和の13C CP/MAS NMRスペクトル
【0058】
13C CP/MAS NMRスペクトルを、100.6MHzで、13Cに対して、Varian 7mm CPMAS プローブを装備したVarian NMR 分光計を用いて取得した。全ての装置を、各試料の充填および取り除きの前に、十分に清掃した。結晶E7974-フォームM1_非溶媒和の試料を、ジルコニアローターに充填した。潜在的な多形変換を最小にするために、該ローターに試料を充填するために、過度の力(例えば、粉砕)は、用いなかった。該試料を、該マジック角、5.0kHzで回転した。スペクトルを、全サイドバンド抑制法(total side band suppression)(TOSS)、4sリサイクル遅延、および約60kHzのデカップリングフィールドで取得した。1H 90°パルスは〜4μs、接触時間は3msであった。スペクトルは、テトラメチルシランを外基準とし、ヘキサメチルベンゼン(17.35ppm)のメチルピークを用いた。
【0059】
図7は、得られた結晶E7974-フォームM1_非溶媒和の13C CP/MAS NMRスペクトルを示す。ピーク位置は、該スペクトル上に示される。結晶E7974-フォームM1-非溶媒和の同定のための、好ましい特徴的なピークは、約14-35ppmの範囲に認められる。結晶E7974-フォームM1_非溶媒和の特に好ましい特徴的なピークは、14.1; 15.3; 19.1、21.3、23.7、および27.2ppmに現れ、それらのいずれか3以上は、十分に結晶E7974フォームM1_非溶媒和を同定する。化学シフトは、±0.3ppm内であることが報告される。
【0060】
概して、これらの好ましいピークは、他のピークと有意な重なりの無い、無処理のタブレットの固体13C NMRスペクトル中に認められうる。該理由は、多くの一般的な賦形剤(該成分を医薬有効成分(API)に加え、医薬タブレット組成物を調製する)もまた、該固体13C NMR スペクトルに現れるからである。得られたそれらの化学的性質から、これらの賦形剤の共鳴は、通常、13CNMR スペクトルの50および110ppmの間に現れる。タブレット組成物の大半が賦形剤であれば、該賦形剤ピークは、APIのピークと比べ、著しく強くなりうる。従って、結晶E7974-フォームM1_非溶媒和のピークを同定し、および比較するのに好ましい固体13C NMRスペクトルの範囲は、50より下または120ppmより上である。
【0061】
実施例6: 固体安定性試験
【0062】
結晶E7974-フォームM1_非溶媒和の固体安定性を、21日間で評価した。遮光し、25および60℃で保存した試料の、不純物特性に有意な変化は認められなかった。25℃および可視光での21日間の後、2つの新しい不純物ピークが、0.05および0.09%のレベルで認められた。さらに、異なるピークが、40℃、75%相対湿度曝露で保存した試料に、0.12%レベルのみ現れた。結果は表6に示される。
【表6】
【0063】
実施例7: ホストゲスト溶媒和結晶フォームを調製するための、E7974の再結晶方法
【0064】
下記の方法は、溶媒和結晶フォームのE7974 M1、M2、およびO1を調製するために使用されうる。フォームM2_1,4-ジオキサン、M2_ニトロメタンおよびO1_トルエンを例示する。結晶E7974のホストゲスト溶媒和物の調製は、以下の工程を含む:
1)出発物質E7974(好ましくは、結晶E7974フォームM1_非溶媒和)を、反応器に入れる(表7参照):
2)適当な溶媒を反応器に入れる(表7参照)。
3)該混合物を室温で攪拌する。
4)該混合物を、速度5℃/分で、使用する溶媒の沸点まで、または近くまで加熱する。
5)該混合物を、指示された温度 (表7参照)で、30分間攪拌する。完全な溶解が、この時点で認められる。該混合物を、溶解しなかった物質を除去するために、ろ過してもよい。懸濁が認められる場合、すばやい熱ろ過を要しうる。
6)該溶液を、速度5℃/分で、結晶化温度まで(表7参照)冷却する。結晶化は、この時点で認められる。
7)該再結晶化生成物を、指示された温度で(表7参照)、適当な時間、エイジングする。
8)該結晶化物質を、適当なフィルター (フリットガラス(fritted glass)クラスDフィルターが推薦される)でろ過する。
9)“湿潤ケーキ”の試料を、PXRDで分析し、結晶フォーム(M1_溶媒、M2_溶媒またはO1_溶媒)を確認する。(表8参照)
10)該ろ過した固体を、窒素流入下、30から60分間、部分的に乾燥する。
【表7】
【0065】
結果: トルエン結晶化(エントリー3)の回収率は、92%であった。1,4-ジオキサンまたはニトロメタンの回収は、良くない〜悪い、であった。それを>100℃で15分間加熱したとき、溶液は黄色に変わり、分解の可能性を示した。
【表8】
【0066】
非溶媒和結晶E7974フォームM1およびO1は、ホストゲスト結晶性溶媒和物を乾燥することで、調製することができる。該溶媒和生成物を、高真空下、25℃で、恒量まで十分に乾燥する。試料の乾燥生成物をPXRDで分析して、結晶フォーム(M1_非溶媒和またはO1_非溶媒和)を確認する。結晶E7974M2_溶媒和フォームを乾燥して、結晶E7974M1_非溶媒和を得る。
【0067】
実施例8: E7974のハイスループット結晶化試験
【0068】
ハイスループット結晶化試験を、結晶E7974-フォームM1を出発物質に用いて行った。96ウェルプレートを2パーツに分け、各パートには、溶媒中、異なる濃度の出発物質が含まれる: 50mg/ml(カラムAからF)および100mg/ml(カラムGからL)(表9参照)。メタノール(100mg/ml)中のE7974の原液を、該ウェルプレートに出発物質を添加するのに使用した(低濃度ウェル5%w/vに対しては20μL、および高濃度ウェル10%w/vに対しては40μL)。該原液を含むプレートを、真空槽(1.3kPa)に、室温で48時間置いた。原液の溶媒を蒸散させた後、異なる溶媒を加え、各ウェルを、個々に密閉した。E7974および結晶化溶媒を含む該96ウェルプレートを、図8および表10に示される一連の温度プロファイルに置いた。該温度実験の後、室温、真空槽内で該溶媒を蒸発させて、該固体を得る。
【表9】
【表10】
【0069】
表11は、ハイスループット結晶化試験でE7974の結晶フォームを生じた溶媒を示す。該結晶フォームは、通常外観試験では認められるが、粉末X線回折(PXRD)により、測定した。また、PXRD分析により、いくつかのウェルで、非晶E7974が示された。該非晶フォームは、ここに報告されない。
【表11】
【0070】
結晶フォームのハイスループットPXRD分析
【0071】
結晶化試験および溶媒蒸発の後、該結晶生成物を集めた。PXRDパターンを、ハイスループットPXRD set-upを用いて取得した。該プレートを、Hi-Star 面積検出器を装備した、Bruker GADDS回折計に取り付けた。PXRDプラットフォームを、長d-スペーシングに対してベヘン酸銀、短d-スペーシングに対してコランダムを用いて、キャリブレーションする。データ収集を、室温で、単色CuKα放射を用い、1.5と41.5°との間の2θの範囲で行った。各ウェルの該回折パターンを、2つの2θ範囲(第1フレームに対して1.5≦2θ≦21.5°、および第2フレームに対して19.5≦2θ≦41.5°)で、各フレームの露光時間は90秒で収集した。大部分の試料のPXRD分析の間に使用した、キャリヤー物質は、X線を通し、バックグラウンドに対して、僅かにしか影響しなかった。バックグラウンドの減算または曲線補正は、該PXRDパターンに対して、行わなかった。
【0072】
図9-34は、ハイスループット結晶化試験で同定された、E7974の結晶フォームM1、M2、およびO1の、各種の代表的なホストゲスト溶媒和物のPXRDパターンおよびデジタル画像を示す。該図に示されるように、該結晶構造の空洞に位置する溶媒は、該ホストフォームの該PXRDパターンを、有意に変化しない。ホストゲスト溶媒和物の該PXRDパターンは、対応する非溶媒和ホストのそれらほど、シャープでない。該PXRDピークは、溶媒または濃度に依存して、ブロードにまたは強度が小さくなりうる。しかし、ホストゲスト溶媒和フォームの該PXRDパターンは、非溶媒和ホストの特徴的なピークの全てではないが、その大部分を示す。
【0073】
単結晶構造決定
【0074】
該ハイスループット試験から適当な単結晶を選び、ガラス繊維に接着し、 X線回折ゴニオメーターに取り付ける。取り付けた結晶のX線回折データを、温度233Kで、カッパCCDシステムおよびFR590X線ジェネレイター(Bruker Nonius、Delft、The Netherlands)により、発生させたMoKα放射を用いて、収集する。単位格子パラメーターおよび結晶構造を測定し、およびソフトウェアパッケージmaXus(Mackay et al., 1997)を用いて、精密化する。該結晶構造から、Windows バージョン2.3のPowderCell (Kraus et al., 1999)を用いて、理論X線粉末回折パターンを算出することができる。
【0075】
フォームM2_アミルエーテルの単結晶構造
【0076】
結晶フォームM2_アミルエーテルの結晶構造を、アミルエーテルでの結晶化試験(プレート002、低濃度、の方法に従って調製した、図M2_アミルエーテル参照)の後に得られた単結晶に基づいて、決定した。表12は、該結晶構造決定に由来する、結晶学的データの概要を示す。該単結晶の結果は、フォームM2_アミルエーテルは、アミルエーテルの溶媒和フォームであることを示す。
【0077】
図35は、実測PXRDパターンと、決定したフォームM2_アミルエーテルの結晶構造に基づく算出パターンとの、比較を示す。該2つのPXRDパターンは、選択配向効果が該バルク物質中に存在し、フォームM2_アミルエーテルは単一フォームでありうることを示す、差違を示す。これを確認するために、該選択配向(PO)を、該(020)結晶面をMarch DollaseモデルのPO面と仮定して、シミュレートした (留意 PO=1.0は、選択配向の無いことを示す)。該PO効果を考慮したフォームM2_アミルエーテルの該シミュレートPXRDパターンは、フォームM2_アミルエーテルの実測PXRDパターンと同様であり(図35参照、上から1番目と3番目のパターン)、実際にPO効果は該バルク物質中に存在し、フォームM2_アミルエーテルの該結晶構造は、該バルク物質に相当することを示す。図36は、c-軸を見下ろした、フォームM2_アミルエーテルの結晶充てんを示す。アミルエーテル分子は、該構造空洞に組み込まれる。
【表12】
【0078】
結晶E7974フォームO1_ニトロベンゼンの結晶構造
【0079】
結晶E7974フォームO1_ニトロベンゼンの結晶構造を、ニトロベンゼンでの結晶化試験 (プレート003、高濃度、結晶化温度 5℃に従って調製)の後に得られた該物質から収集した単結晶データから、決定した。該PXRD分析は、該物質は、フォームM2_ニトロベンゼンとフォームO1_ニトロベンゼンの混合であるが、フォームO1_ニトロベンゼンの適当な単結晶は、該混合物中に認められ、分析されたことを示した。表13は、該結晶構造決定に由来する結晶学的データの概要を示す。図37は、該構造空洞に組み込まれるニトロベンゼン分子を有するフォームO1_ニトロベンゼンの結晶充てんを示す。該単結晶結果は、該結晶は、ニトロベンゼンを有する溶媒和フォームであり、該ニトロベンゼン分子は、該結晶の構造空洞に組み込まれることを示した。
【0080】
図38は、実測PXRDパターンと、決定されたフォームO1_ニトロベンゼンの結晶構造に基づく算出パターンとの、比較を示す。該2つのPXRDパターンは、極めて類似し、フォームO1_ニトロベンゼンの結晶構造は、単結晶フォームとしての、該バルク物質の代表であることを示す。
【表13】
【0081】
また、結晶化温度25℃で、ニトロベンゼンから得られたO1フォーム、およびTBMEから得られたホストゲスト溶媒和フォームO1に対して、単結晶分析を行った。図39は、該決定された構造に基づいた算出パターンの比較を示す。異なる結晶化条件が、フォームO1_ニトロベンゼンの単位格子パラメーターにおける小さな違いをもたらすことが結論づけられる(図39参照、上からパターン2および3; 該ピーク位置に小さなシフトがある)。単位格子パラメーターにおけるこれらの違いは、結晶構造中にある乱れの程度の違いにより、説明されうる(より高い乱れの度合いは、5℃よりも、25℃で結晶化されたフォームO1_溶媒の場合に認められた)。他方、該結晶構造に組み込まれた溶媒の違いは、単位格子パラメーターにより有意な差を生じ、回折強度の更なる変化をもたらす(図39参照、最上のパターン1を他のパターンと比較して)。例えば、3番目のホストゲストフォームO1_溶媒和物は、トリフルオロメチルトルエンから得られた。
【0082】
実施例9: 粉末X線回折(PXRD)および赤外(IR)分光法による、結晶、ホストゲスト溶媒和物E7974-フォームM1_アセトニトリルの特性化。
【0083】
図40は、結晶、ホストゲスト溶媒和結晶E7974-フォームM1_アセトニトリルのIRスペクトルを示す。該IRスペクトルを、実施例3に記載の方法を用いて取得した。
【0084】
図41は、結晶E7974フォームM1_アセトニトリルの、密閉、回転キャピラリチューブの、PXRDパターンを示す。PXRDデータを、環境温度で、PANalytical X’Pert Pro θ/θ回折計(00008819)を、銅放射、45kV、40mAで作動し、X’Celerator検出器(00008823)を用いて、収集した。該PXRD装置は、キャピラリースピーナーステージおよびWindows XP登録商標オペレーティングシステムおよびPANalytical X’Pert Data Collector v 2.1aの標準的PCを装備する。各ステージを、NBSシリコン粉末を標準物質として使用して、設定を調整した。表14に、図41のPXRDパターンのピークを特定する。表15は、フォームM1_アセトニトリルのPXRDパターン中の、それらの3以上が結晶E7974フォームM1_アセトニトリルを十分に同定する、それらの4以上が結晶E7974フォームM1_アセトニトリルを十分に同定する、好ましい特徴的なピークを示す。
【表14】
【表15】
【0085】
実施例10: 粉末X線回折(PXRD)、赤外(IR)分光法、およびDSCによる、結晶、ホストゲスト溶媒和物E7974-フォームM2_1,4ジオキサンの特性化。
実施例9および3にそれぞれ記載される方法および装置を用いて、該PXRDパターンおよびIRスペクトルを取得した。実施例4に記載の方法を用い、試料2.15gとして、該DSCデータを取得した。
【0086】
図42は、結晶E7974-フォームM2_1,4ジオキサンホストゲスト溶媒和物のPXRDパターンを示す。表16に、図42の該PXRDパターンのピークを特定する。これと他のPXRDパターンにおいて、強度が低く報告されるいくつかのピークは、真のピークに対応しない。表17は、それらの3以上が十分に結晶E7974M2_1,4ジオキサンを特定する、結晶E7974フォームM2_1,4ジオキサンのいくつかの特徴的なピークを示す。
【表16】
【表17】
【0087】
結晶E7974-フォームM2_1,4ジオキサンの赤外線スペクトルは、図43に示される。図44は、結晶E7974-フォームM2_1,4-ジオキサンのDSCサーモグラムを示し、融点は141.68℃である。
【0088】
実施例11: 粉末X線回折(PXRD)、赤外(IR)分光法、DSC、および13C CP/MAS NMRによる、結晶E7974-フォームO1_非溶媒和の特性化。
【0089】
実施例9および3にそれぞれ記載される方法および装置を用いて、該PXRDパターン、およびIRスペクトルデータを取得した。13C CP/MAS NMRスペクトルを、実施例5に記載のように取得した。DSCデータを、実施例4に記載の方法で、試料1.79gを用いて、取得した。
【0090】
図45は、結晶E7974-フォームO1_非溶媒和のPXRDパターンを示す。表18に、図45の該PXRDパターンのピークを特定する。表19は、それらの3以上が十分に結晶E7974フォームO1_非溶媒和を同定する、結晶E7974フォームO1_非溶媒和のいくつかの好ましい特徴的なピークを示す。
【表18】
【表19】
【0091】
結晶E7974フォームO1_非溶媒和は、好ましくは、その粉末X線回折パターン中に、7.3±0.2θ、9.4±0.2θ、10.7±0.2θ、12.1±0.2θ、および15.2±0.2θからなる群から選ばれる、少なくとも3つのピークを有することを特徴とする。
結晶E7974-フォームO1_非溶媒和の赤外線スペクトルは、図46に示される。図48は、結晶E7974-フォームM2_O1_非溶媒和のDSCサーモグラムを示し、融点は133.31℃である。
【0092】
図47は、得られた結晶E7974-フォームO1_非溶媒和の13C CP/MAS NMRスペクトルを示す。このスペクトルの質は、結晶E7974-フォームM1_非溶媒和スペクトルほど、良好でない。該スペクトル質があまり高くない正確な理由は、不明であるが、粒子サイズの問題および/または特定の試料の結晶の質に関連しうる。化学シフトは、±0.3ppm内であることが、報告される。
【0093】
実施例12: 粉末X線回折(PXRD)、赤外(IR)分光法およびDSCによる、結晶、ホストゲスト溶媒和物E7974-フォームO1_トルエンの特性化。
【0094】
該PXRDパターンおよびIRスペクトルを、実施例3に記載の方法および装置を用いて取得した。該DSCデータを、実施例4に記載の方法で、試料3.75gを用いて、取得した。
【0095】
図49は、結晶E7974-フォームO1_トルエンホストゲスト溶媒和物のPXRDパターンを示す。 表20に、図49の該PXRDパターンのピークを特定する。表24は、結晶E7974フォームO1_トルエンの、それらの3以上は、十分に結晶E7974フォームO1_トルエンを同定する、いくつかの好ましい特徴的なピークを示す。
【表20】
【表21】
【0096】
結晶E7974-フォームO1_トルエンの赤外線スペクトルは、図50に示される。図51は、結晶E7974-フォームO1_トルエンのDSCサーモグラムを示し、融点は123.52℃である。
【0097】
図面の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】図1は、実施例2の結晶E7974-フォームM1_非溶媒和の蒸気吸着等温線を示す。
【0099】
【図2】図2は、実施例2の5%RHから70%RHの相対湿度(%RH)に応じての結晶E7974-フォームM1_非溶媒和の蒸気吸着等温線(25℃)を示す。
【0100】
【図3】図3は、実施例3の複数のロットの結晶E7974-フォームM1_非溶媒和の粉末X線回折(PXRD)パターンを示す。
【0101】
【図4】図4は、実施例3の結晶E7974-フォームM1_非溶媒和のPXRDパターンを示す。
【0102】
【図5】図5は、結晶E7974-フォームM1_非溶媒和の赤外線スペクトルを示す。
【0103】
【図6】図6は、実施例4の結晶E7974-フォームM1_非溶媒和の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す。
【0104】
【図7】図7は、結晶E7974-フォームM1_非溶媒和の13C CP/MAS NMRを示す。
【0105】
【図8】図8は、E7974のハイスループット結晶化の温度プロファイルの模式図を示す。
【0106】
【図9】図9は、結晶E7974-フォームM1_アセトン(プレート5: イニシャル濃度10%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0107】
【図10】図10は、結晶E7974-フォームM2_1,4-ジオキサン(プレート11、イニシャル濃度5%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0108】
【図11】図11は、結晶E7974-フォームM2_1,4-ジオキサン(プレート11、イニシャル濃度5%w/v)のデジタル画像を示す。
【0109】
【図12】図12は、結晶E7974-フォームM2_1,4-ジオキサン(プレート11、イニシャル濃度10%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0110】
【図13】図13は、結晶E7974-フォームM2_1,4-ジオキサン(プレート11、イニシャル濃度10%w/v)のデジタル画像を示す。
【0111】
【図14】図14は、結晶E7974-フォームM2_THF(プレート1、イニシャル濃度10%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0112】
【図15】図15は、結晶E7974-フォームM2_アセトン(プレート11、イニシャル濃度10%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0113】
【図16】図16は、結晶E7974-フォームM2_アセトン(プレート11、イニシャル濃度10%w/v)のデジタル画像を示す。
【0114】
【図17】図17は、結晶E7974-フォームM2_アセトン(プレート12、イニシャル濃度5%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0115】
【図18】図18は、結晶E7974-フォームM2_アセトン(プレート12、イニシャル濃度5%w/v)のデジタル画像を示す。
【0116】
【図19】図19は、結晶E7974-フォームM2_アミルエーテル(プレート2、イニシャル濃度5%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0117】
【図20】図20は、結晶E7974-フォームM2_ニトロメタン(プレート5、イニシャル濃度5%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0118】
【図21】図21は、結晶E7974-フォームM2_酢酸エチル/n-ヘプタン(50:50)(プレート7、イニシャル濃度5%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0119】
【図22】図22は、結晶E7974-フォームM2_酢酸エチル/n-ヘプタン(50:50)(プレート7、イニシャル濃度5%w/v)のデジタル画像を示す。
【0120】
【図23】図23は、結晶E7974-フォームM2_酢酸エチル/n-ヘプタン(50:50)(プレート7、イニシャル濃度10%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0121】
【図24】図24は、結晶E7974-フォームM2_酢酸エチル/n-ヘプタン(50:50)(プレート7、イニシャル濃度10%w/v)のデジタル画像を示す。
【0122】
【図25】図25は、結晶E7974-フォームO1_トルエン(プレート8、イニシャル濃度5%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0123】
【図26】図26は、結晶E7974-フォームO1_トルエン(プレート8、イニシャル濃度5%w/v)のデジタル画像を示す。
【0124】
【図27】図27は、結晶E7974-フォームO1_トルエン(プレート8、イニシャル濃度10%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0125】
【図28】図28は、結晶E7974-フォームO1_トルエン(プレート8、イニシャル濃度10%w/v)のデジタル画像を示す。
【0126】
【図29】図29は、結晶E7974-フォームO1_ニトロベンゼン(プレート4、イニシャル濃度10%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0127】
【図30】図30は、結晶E7974-フォームO1_ニトロベンゼン(プレート4、イニシャル濃度10%w/v)のデジタル画像を示す。
【0128】
【図31】図31は、結晶E7974-フォームO1_ニトロベンゼン(プレート9、イニシャル濃度10%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0129】
【図32】図32は、結晶E7974-フォームO1_ニトロベンゼン(プレート9、イニシャル濃度10%w/v)のデジタル画像を示す。
【0130】
【図33】図33は、結晶E7974-フォームO1_トリフルオロメチルトルエン(プレート6、イニシャル濃度10%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0131】
【図34】図34は、結晶E7974-フォームO1_水/エタノール(10:90)(プレート12、イニシャル濃度10%w/v)のPXRDパターンを示す。
【0132】
【図35】図35は、結晶E7974-フォームM2_アミルエーテル(最上、プレート2、低濃度)の実測PXRDパターン、ならびに結晶E7974-フォームM2_アミルエーテル、および(020)結晶面を含む選択配向効果を考慮した結晶E7974-フォームM2_アミルエーテル(最下のパターン)の決定された構造に基づく、算出PXRDパターンを示す。
【0133】
【図36】図36は、c-軸を見下ろしたフォームJの結晶充てんを示す。アミルエーテル分子は、該構造空洞に組み込まれる。
【0134】
【図37】図37は、該構造空洞に組み込まれたニトロベンゼン分子を有する結晶E7974-フォームO1_ニトロベンゼンの結晶充てんを示す。
【0135】
【図38】図38は、結晶E7974-フォームO1_ニトロベンゼン(上から: プレート2、高濃度、プレート9 高濃度)および結晶E7974-フォームO1_ニトロベンゼン(プレート011 高濃度)のPXRDパターンを示す。最下のパターンは、結晶E7974-フォームO1_ニトロベンゼンの結晶構造に基づく算出パターンである。矢印は、該パターンにある付加的なピークを示す。
【0136】
【図39】図39は、(上から下へ): 結晶E7974-フォームO1_TBME、(プレート8、低濃度)、結晶E7974-フォームO1_ニトロベンゼン、(プレート9、低濃度、結晶化 T=25℃)および結晶E7974-フォームO1_ニトロベンゼン、(プレート3、高濃度、結晶化T=5℃)の、それぞれの決定された結晶構造からの算出PXRDパターンを示す。
【0137】
【図40】図40は、密閉、回転キャピラリチューブの結晶E7974-フォームM1_アセトニトリルのIRスペクトルを示す。
【0138】
【図41】図41は、密閉、回転キャピラリチューブの結晶E7974-フォームM1_アセトニトリルのPXRDパターンを示す。
【0139】
【図42】図42は、結晶E7974-フォームM2_1,4ジオキサンのPXRDパターンを示す。
【0140】
【図43】図43は、結晶E7974-フォームM2_1,4ジオキサンの赤外線スペクトルを示す。
【0141】
【図44】図44は、結晶E7974-フォームM2_1,4-ジオキサンのDSCサーモグラムを示す。
【0142】
【図45】図45は、結晶E7974-フォームO1_非溶媒和のPXRDパターンを示す。
【0143】
【図46】図46は、結晶E7974-フォームO1_非溶媒和の赤外線スペクトルを示す。
【0144】
【図47】図47は、結晶E7974-フォームO1_非溶媒和の13C CP/MAS NMRを示す。
【0145】
【図48】図48は、結晶E7974-フォームO1_非溶媒和のDSCサーモグラムを示す。
【0146】
【図49】図49は、結晶E7974-フォームO1_トルエンのPXRDパターンを示す。
【0147】
【図50】図50は、結晶E7974-フォームO1_トルエンの赤外線スペクトルを示す。
【0148】
【図51】図51は、結晶E7974-フォームO1_トルエンのDSCサーモグラムを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸。
【請求項2】
結晶(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸、および医薬的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項3】
結晶(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸、および該結晶格子の空洞内にホストゲスト量の溶媒を含む、 (2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸の結晶フォーム。
【請求項4】
該溶媒が医薬的に許容される溶媒である、請求項3に記載の結晶(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸。
【請求項5】
その粉末X線回折パターン中に、8.2±0.2θ、10.0±0.2θ、10.9±0.2θ、13.0±0.2θ、14.3±0.2θ、16.3±0.2θ、および17.9±0.2θからなる群から選ばれる、少なくとも4つのピークを有することを特徴とする、(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸の単斜晶フォームM1。
【請求項6】
請求項5に記載の結晶(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸、および該結晶格子の空洞内にホストゲスト量の有機溶媒を含む、(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸の単斜ホストゲスト溶媒和結晶フォームM1。
【請求項7】
該有機溶媒がアセトンおよびアセトニトリルからなる群から選ばれる、請求項6に記載の単斜ホストゲスト結晶フォームM1。
【請求項8】
14.1±0.3ppm、15.3±0.3ppm、19.1±0.3ppm、21.3±0.3ppm、23.7±0.3ppm、および27.2±0.3ppmから選ばれる少なくとも3つのピークを有する13C CP/MASスペクトルを特徴とする、(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸の単斜晶フォームM1。
【請求項9】
請求項8に記載の結晶(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸、および該結晶格子の空洞内に有機溶媒を含む、(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸の単斜ホストゲスト結晶フォームM1。
【請求項10】
該有機溶媒がアセトンおよびアセトニトリルからなる群から選ばれる、請求項6に記載の単斜晶フォームM1。
【請求項11】
結晶(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸、および該結晶格子の空洞内にホストゲスト量の溶媒を含み、その粉末X線回折パターン中に9.2±0.2θ、10.8±0.2θ、15.2±0.2θ、16.9±0.2θ、および18.5±0.2θからなる群から選ばれる、少なくとも3つのピークを有することを特徴とする、(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸の溶媒和単斜晶フォームM2。
【請求項12】
該有機溶媒が、1,4-ジオキサン、酢酸エチル/n-ヘプタン(50:50)、アセトン、およびニトロメタンからなる群から選ばれる、請求項11に記載の溶媒和単斜晶フォームM2。
【請求項13】
その粉末X線回折パターン中に7.3±0.2θ、9.4±0.2θ、10.7±0.2θ、13.2±0.2θ、および15.2±0.2θからなる群から選ばれる少なくとも3つのピークを有することを特徴とする、(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸の斜方晶フォームO1。
【請求項14】
結晶(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸、および該結晶格子の空洞内にホストゲスト量の溶媒を含む、(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸の溶媒和斜方晶フォームO1。
【請求項15】
該有機溶媒が、トルエン、水/エタノール(10:90)、TBME、およびニトロベンゼンからなる群から選ばれる、請求項14に記載の溶媒和斜方晶フォームO1。
【請求項16】
請求項1、3、5、6、8、9、11、13、または14に記載の(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸の結晶フォーム、および医薬的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項17】
それを必要とする患者に、(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸の結晶フォームを含む組成物を投与する工程を含む、患者の増殖性疾患の治療方法。
【請求項18】
該結晶フォームが、請求項1、3、5、6、8、9、11、13、または14に記載の該フォームから選ばれる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
該増殖性疾患が、癌である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
該癌が、結腸直腸癌、多形神経膠芽腫、乳癌、前立腺癌、非小細胞肺癌、肝細胞、および食道/胃癌から選ばれる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
該癌がタキサン耐性腫瘍である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
その必要がある患者に、組成物を投与する工程を含む、患者の増殖性疾患を治療するための、(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸の使用。
【請求項23】
該結晶フォームが、請求項1、3、5、6、8、9、11、13、または14に記載の該フォームから選ばれる、請求項22に記載の使用。
【請求項1】
結晶(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸。
【請求項2】
結晶(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸、および医薬的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項3】
結晶(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸、および該結晶格子の空洞内にホストゲスト量の溶媒を含む、 (2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸の結晶フォーム。
【請求項4】
該溶媒が医薬的に許容される溶媒である、請求項3に記載の結晶(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸。
【請求項5】
その粉末X線回折パターン中に、8.2±0.2θ、10.0±0.2θ、10.9±0.2θ、13.0±0.2θ、14.3±0.2θ、16.3±0.2θ、および17.9±0.2θからなる群から選ばれる、少なくとも4つのピークを有することを特徴とする、(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸の単斜晶フォームM1。
【請求項6】
請求項5に記載の結晶(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸、および該結晶格子の空洞内にホストゲスト量の有機溶媒を含む、(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸の単斜ホストゲスト溶媒和結晶フォームM1。
【請求項7】
該有機溶媒がアセトンおよびアセトニトリルからなる群から選ばれる、請求項6に記載の単斜ホストゲスト結晶フォームM1。
【請求項8】
14.1±0.3ppm、15.3±0.3ppm、19.1±0.3ppm、21.3±0.3ppm、23.7±0.3ppm、および27.2±0.3ppmから選ばれる少なくとも3つのピークを有する13C CP/MASスペクトルを特徴とする、(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸の単斜晶フォームM1。
【請求項9】
請求項8に記載の結晶(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸、および該結晶格子の空洞内に有機溶媒を含む、(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸の単斜ホストゲスト結晶フォームM1。
【請求項10】
該有機溶媒がアセトンおよびアセトニトリルからなる群から選ばれる、請求項6に記載の単斜晶フォームM1。
【請求項11】
結晶(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸、および該結晶格子の空洞内にホストゲスト量の溶媒を含み、その粉末X線回折パターン中に9.2±0.2θ、10.8±0.2θ、15.2±0.2θ、16.9±0.2θ、および18.5±0.2θからなる群から選ばれる、少なくとも3つのピークを有することを特徴とする、(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸の溶媒和単斜晶フォームM2。
【請求項12】
該有機溶媒が、1,4-ジオキサン、酢酸エチル/n-ヘプタン(50:50)、アセトン、およびニトロメタンからなる群から選ばれる、請求項11に記載の溶媒和単斜晶フォームM2。
【請求項13】
その粉末X線回折パターン中に7.3±0.2θ、9.4±0.2θ、10.7±0.2θ、13.2±0.2θ、および15.2±0.2θからなる群から選ばれる少なくとも3つのピークを有することを特徴とする、(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸の斜方晶フォームO1。
【請求項14】
結晶(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸、および該結晶格子の空洞内にホストゲスト量の溶媒を含む、(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸の溶媒和斜方晶フォームO1。
【請求項15】
該有機溶媒が、トルエン、水/エタノール(10:90)、TBME、およびニトロベンゼンからなる群から選ばれる、請求項14に記載の溶媒和斜方晶フォームO1。
【請求項16】
請求項1、3、5、6、8、9、11、13、または14に記載の(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸の結晶フォーム、および医薬的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項17】
それを必要とする患者に、(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸の結晶フォームを含む組成物を投与する工程を含む、患者の増殖性疾患の治療方法。
【請求項18】
該結晶フォームが、請求項1、3、5、6、8、9、11、13、または14に記載の該フォームから選ばれる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
該増殖性疾患が、癌である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
該癌が、結腸直腸癌、多形神経膠芽腫、乳癌、前立腺癌、非小細胞肺癌、肝細胞、および食道/胃癌から選ばれる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
該癌がタキサン耐性腫瘍である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
その必要がある患者に、組成物を投与する工程を含む、患者の増殖性疾患を治療するための、(2E,4S)-4-[(N-{[(2R)-1-イソプロピルピペリジン-2-イル]-カルボニル}-3-メチル-L-バリル)(メチル)アミノ]-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸の使用。
【請求項23】
該結晶フォームが、請求項1、3、5、6、8、9、11、13、または14に記載の該フォームから選ばれる、請求項22に記載の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
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【図16】
【図17】
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【図26】
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【図28】
【図29】
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【図32】
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【図40】
【図41】
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【図43】
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【図49】
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【図51】
【図2】
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【図5】
【図6】
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【図8】
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【図11】
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【図24】
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【図28】
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【図36】
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【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【公表番号】特表2008−540449(P2008−540449A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510257(P2008−510257)
【出願日】平成18年5月5日(2006.5.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/017408
【国際公開番号】WO2006/121857
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(000000217)エーザイ株式会社 (102)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月5日(2006.5.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/017408
【国際公開番号】WO2006/121857
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(000000217)エーザイ株式会社 (102)
【Fターム(参考)】
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