(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの薬学的に許容される塩および治療におけるその使用
本発明は、(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの塩、それらを含む医薬組成物および治療におけるそれらの使用を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、8−オキソアデニン誘導体の塩、それらを含む医薬組成物および治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルは、公開国際特許出願WO2005/092893の実施例2−37に、トール様受容体7(TLR7)を介して作用する免疫調節性化合物として記載されている。
【0003】
医薬原体の製剤において、医薬原体(活性化合物)が、簡便に取り扱いおよび加工できる形であるのが重要である。これは、医薬原体自体の商業的に価値ある製造方法を得る観点からだけではなく、その後の該活性化合物および適当な賦形剤を含む医薬製剤の観点からも重要である。これに関連して、活性化合物の化学的安定性および物理的安定性は重要な因子である。活性化合物、およびそれを含む製剤は、活性化合物の物理化学的特性(例えば化学的組成、密度、吸湿性および溶解性)に何等顕著な変化を示すことなく、相当な期間にわたり有効に貯蔵できなければならない。
【0004】
さらに、活性化合物が、例えば、Turbuhaler(登録商標)デバイスのような乾燥粉末吸入器を介して肺投与用製剤に包含されるならば、活性化合物を容易に微粉化して、良好な流動特性を有する粉末を得ることができること、および、高い微粒子画分(すなわち活性化合物粒子が、10μm(マイクロメーター)以下の質量中央直径(MMD)を有する画分)を含むことが望まれる。かかる画分は、活性化合物の速く、増加した吸収をもたらす肺深部に運搬され得る。
【0005】
当業者は、典型的に、医薬原体が、安定な結晶形のような安定な形で容易に得ることができるならば、取り扱いの容易さ、適当な医薬製剤の製造の容易さおよび長い貯蔵寿命、およびより信頼できる溶解性プロファイルの観点から、利益を受け得ることを認識するであろう。
【発明の概要】
【0006】
驚くべきことに、本発明により、肺投与用乾燥粉末製剤に製剤できる、遊離塩基化合物と比較して改善された物理化学的特性を有する、(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルのある種の塩を製造できることが判明した。
【0007】
(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの構造を下に示す:
【化1】
【0008】
故に、本発明によって、(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの塩酸塩、臭化水素酸塩またはマレイン酸塩(以後“本塩酸塩、臭化水素酸塩またはマレイン酸塩”と呼ぶ)が提供される。
【0009】
他の局面において、本発明は、各々表A、BまたはC(後記実施例4参照)に示す、特徴的X線粉末回折ピーク(2θ度で示す)を示す、(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの塩酸塩、臭化水素酸塩またはマレイン酸塩を提供する。
【0010】
本発明はまた、本塩酸塩、臭化水素酸塩またはマレイン酸塩の溶媒和物(水和物を含む)も提供する。しかしながら、本塩酸塩、臭化水素酸塩またはマレイン酸塩は、好ましくは無水であり、好ましくは溶媒和されていない形である。
【0011】
本発明の一態様において、本塩酸塩、臭化水素酸塩またはマレイン酸塩またはその溶媒和物は、結晶特性を有し、好ましくは少なくとも50%結晶性、より好ましくは少なくとも60%結晶性、なお好ましくは少なくとも70%結晶性および最も好ましくは少なくとも80%結晶性である。結晶化度は慣用のX線回折技術により概算できる。
【0012】
本発明の他の態様において、本塩酸塩、臭化水素酸塩またはマレイン酸塩またはその溶媒和物は、50%、60%、70%、80%または90%〜95%、96%、97%、98%、99%または100%結晶性である。
【0013】
(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの製造は、公開国際特許出願WO2005/092893に記載されている。この化合物の塩酸塩、臭化水素酸塩およびマレイン酸塩(溶媒和された形態を含む)は、既知技術に従い製造できる。しかしながら、当業者には、この化合物およびその塩を製造することが可能な他の経路が存在することは明らかであろう。
【0014】
本発明の塩(溶媒和された形を含む)は、TLR7活性のモジュレーターとして有用であり、故に、ヒトを含む哺乳動物に、次の状態または疾患の処置のために投与し得る:
1. 呼吸器:次のものを含む気道の閉塞性疾患:気管支、アレルギー性、内因性、外因性、運動誘発性、薬剤誘発性(アスピリンおよびNSAID誘発性を含む)および粉塵誘発性喘息を含み、間欠性および永続性両方の、および全ての重症度の、および気道過敏反応性の他の原因の喘息;慢性閉塞性肺疾患(COPD);感染性および好酸球性気管支炎を含む、気管支炎;気腫;気管支拡張症;嚢胞性線維症;サルコイドーシス;農夫肺および関連疾患;過敏性肺炎;原因不明線維化肺胞炎、特発性間質性肺炎、抗新生物治療および結核およびアスペルギルス症および他の真菌感染を含む慢性感染に合併する線維症を含む、肺線維症;肺移植の合併症;肺脈管構造の血管炎性および血栓性障害、および肺高血圧;気道の炎症性および分泌状態と関連する慢性咳、および医原性咳の治療を含む、鎮咳活性;薬物性鼻炎、および血管運動性鼻炎を含む、急性および慢性鼻炎;神経性鼻炎(枯草熱)を含む、通年性および季節性アレルギー性鼻炎;鼻のポリープ症;一般的な風邪、および呼吸器多核体ウイルス、インフルエンザ、コロナウイルス(SARSを含む)およびアデノウイルスによる感染を含む、急性ウイルス感染;
【0015】
2. 皮膚:乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎または他の湿疹性皮膚炎、および遅延型過敏症反応;植物および光皮膚炎;脂漏性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、扁平苔癬、硬化性萎縮性苔癬、壊疽性膿皮症、皮膚サルコイド、円板状エリテマトーデス、天疱瘡、類天疱瘡、表皮水疱症、蕁麻疹、血管浮腫、脈管炎、毒性紅斑、皮膚好酸球増加症、円形脱毛症、男性型禿頭、スウィート症候群、ウェーバー・クリスチャン症候群、多形性紅斑;感染性および非感染性両方の蜂巣炎;脂肪織炎;皮膚リンパ腫、非黒色腫皮膚癌および他の形成異常病巣;固定薬疹を含む薬剤誘発性障害;
【0016】
3. 眼:眼瞼炎;通年性および春季アレルギー性結膜炎を含む、結膜炎;虹彩炎;前部および後部ブドウ膜炎;脈絡膜炎;網膜に影響する自己免疫性、変性または炎症性障害;交感神経性眼炎を含む眼炎;サルコイドーシス;ウイルス、真菌、および細菌を含む、感染;
【0017】
4. 尿生殖器:間質性および糸球体腎炎を含む、腎炎;ネフローゼ症候群;急性および慢性(間質性)膀胱炎およびハンナー潰瘍を含む、膀胱炎;急性および慢性尿道炎、前立腺炎、精巣上体炎、卵巣炎および卵管炎;外陰部腟炎;ペイロニー病;勃起不全(男女両方);
【0018】
5. 同種移植片拒絶反応:例えば、腎臓、心臓、肝臓、肺、骨髄、皮膚または角膜移植後または輸血後の急性および慢性のもの;または慢性移植片対宿主病;
【0019】
6. リウマチ性関節炎、過敏性腸症候群、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、橋本甲状腺炎、グレーブス病、アジソン病、真性糖尿病、特発性血小板減少性紫斑病、好酸球性筋膜炎、高IgE症候群、抗リン脂質抗体症候群およびセザリー(Sazary)症候群を含む、他の自己免疫およびアレルギー性障害;
【0020】
7. 腫瘍学:前立腺、乳房、肺、卵巣、膵臓、腸および結腸、胃、皮膚および脳の腫瘍および骨髄(白血病を含む)およびリンパ増殖系に影響する悪性腫瘍、例えばホジキンおよび非ホジキンリンパ腫を含む、一般的な癌の処置;転移疾患および腫瘍再発、および新生物随伴症候群の予防および処置を含む;および
【0021】
8. 感染症:ウイルス性疾患、例えば性器疣贅、一般的疣贅、足底疣贅、B型肝炎、C型肝炎、単純ヘルペスウイルス、伝染性軟属腫、天然痘、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、ライノウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、インフルエンザ、パラインフルエンザ;細菌疾患、例えば結核およびトリ型結核菌、ハンセン病;他の感染症、例えば真菌疾患、クラミジア、カンジダ、アスペルギルス、クリプトコッカス髄膜炎、ニューモシスティス・カリニ、クリプトスポリジウム症、ヒストプラスマ症、トキソプラズマ症、トリパノソーマ感染およびリーシュマニア症。
【0022】
故に、本発明は、治療に使用するための、(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはマレイン酸塩または当該塩の溶媒和物を提供する。
【0023】
さらなる局面において、本発明は、治療に使用するための医薬の製造における、(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはマレイン酸塩または当該塩の溶媒和物の使用を提供する。
【0024】
本明細書の文脈で、用語“治療”は、これに反する具体的指示がない限り“予防”も含む。用語“治療的”および“治療的に”は、これに従い解釈すべきである。
【0025】
予防は、該疾患または状態の前のエピソードに罹患しているか、または、これとは別にリスクが増加していると考えられるヒトの処置に特に適切であると予測される。特定の疾患または状態を発症するリスクのあるヒトは、一般に該疾患または状態の家族歴を有するヒト、または遺伝子試験またはスクリーニングにより該疾患または状態に特に感受性であることが同定されているヒトを含む。
【0026】
特に、本発明の塩(溶媒和された形を含む)は、喘息、COPD、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、癌、B型肝炎、C型肝炎、HIV、HPV、細菌感染および皮膚病の処置に使用し得る。
【0027】
本発明は、炎症性疾患を有する、またはリスクのある患者における該疾患の処置方法であって、該患者に治療的有効量の(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはマレイン酸塩または当該塩の溶媒和物を投与することを含む、方法も提供する。
【0028】
本発明はまた、気道疾患、例えば可逆性閉塞性気道疾、例えば喘息を有する、またはリスクのある患者における該疾患の処置方法であって、該患者に治療的有効量の(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはマレイン酸塩または当該塩の溶媒和物を投与することを含む、方法も提供する。
【0029】
本発明は、なお更に異常な細胞増殖(例えば癌)を含む、またはそれに起因する疾患または状態を処置する、またはリスクを減らす方法であって、それを必要とする患者に、治療的有効量の(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはマレイン酸塩または当該塩の溶媒和物を投与することを含む、方法を提供する。
【0030】
上記治療的使用について、投与する投与量は、当然、用いる塩、投与方式、望む処置および適応される障害によって変わる。例えば、(溶媒和された)本塩酸塩、臭化水素酸塩またはマレイン酸塩の1日投与量は、吸入であるならば、0.05マイクログラム/キログラム体重(μg/kg)から100マイクログラム/キログラム体重(μg/kg)の範囲であり得る。あるいは、(溶媒和された)本塩酸塩、臭化水素酸塩またはマレイン酸塩を経口で投与するならば、1日量は0.01マイクログラム/キログラム体重(μg/kg)から100ミリグラム/キログラム体重(mg/kg)の範囲であり得る。
【0031】
本発明の塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはマレイン酸塩または当該塩の溶媒和物はそれ自体で投与してよいが、一般に本塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはマレイン酸塩または当該溶媒和物(活性成分)が薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と混合された、医薬組成物の形で投与する。適当な医薬製剤の選択および製造のための慣用法は、例えば、“Pharmaceuticals - The Science of Dosage Form Designs”, M. E. Aulton, Churchill Livingstone, 1988に記載されている。
【0032】
投与方式によって、医薬組成物は、0.05〜99%w(重量パーセント)、より好ましくは0.05〜80%w、なお好ましくは0.10〜70%w、およびさらに好ましくは0.10〜50%wの活性成分を含み、全ての重量パーセントは総組成物に基づく。
【0033】
本発明はまた、(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはマレイン酸塩または当該塩の溶媒和物を薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と共に含む、医薬組成物も提供する。
【0034】
本発明は、さらに、(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはマレイン酸塩または当該塩の溶媒和物と薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体を混合することを含む、本発明の医薬組成物の製造方法を提供する。
【0035】
医薬組成物は、局所的に(例えば皮膚または肺および/または気道に)、例えば、クリーム、溶液、懸濁液、ヘプタフルオロアルカン(HFA)エアロゾルおよび乾燥粉末製剤の形で、例えば、Turbuhaler(登録商標)として既知の吸入デバイス中の製剤で;または全身的に、例えば錠剤、カプセル剤、シロップ剤、散剤または顆粒剤の形での経口投与により;または溶液または懸濁液の形での非経腸投与により;または皮下投与により;または坐薬の形での直腸投与により;または経皮的に投与してよい。
【0036】
本発明の一態様において、医薬組成物を吸入(経口または経鼻)により投与する。
さらなる態様において、医薬組成物を乾燥粉末吸入器(DPI)の手段により投与する。
【0037】
DPIは、“受動的”または呼吸作動型、または、粉末が患者の吸入以外のある機構により、例えば、圧縮空気の内部供給により分散される“能動的”であり得る。現時点で、3タイプの受動的乾燥粉末吸入器が利用可能である:単回投与、多単位投与または多回投与(貯蔵部)吸入器。単回投与デバイスにおいて、個々の投与量は、通常、ゼラチンカプセルに提供され、使用前に吸入器に充填しなければならず、その例はSpinhaler(登録商標)(Aventis)、Rotahaler(登録商標)(GlaxoSmithKline)、AeroliserTM(Novartis)、Inhalator(登録商標)(Boehringer)およびEclipse(Aventis)デバイスを含む。多単位投与吸入器は、多数の個別包装された投与量を、多ゼラチンカプセルとしてまたはブリスターに含み、その例は、Diskhaler(登録商標)(GlaxoSmithKline)、Diskus(登録商標)(GlaxoSmithKline)およびAerohaler(登録商標)(Boehringer)デバイスを含む。多回投与デバイスにおいて、薬物は、バルク粉末貯蔵部に貯蔵され、そこから個々の投与量が定量され、その例はTurbuhaler(登録商標)(AstraZeneca)、Easyhaler(登録商標)(Orion)、Novolizer(登録商標)(ASTA Medica)、Clickhaler(登録商標)(Innovata Biomed)およびPulvinal(登録商標)(Chiesi)デバイスを含む。
【0038】
DPIで使用するための吸入可能医薬組成物または乾燥粉末製剤は、微粉砕した活性成分(一般に10μm以下、好ましくは5μm以下の質量中央直径を有する)を、担体物質、例えば、モノ−、ジ−またはポリサッカライド、糖アルコール、または他のポリオールと混合することにより製造できる。適当な担体は、糖類、例えば、ラクトース、グルコース、ラフィノース、メレジトース、ラクチトール、マルチトール、トレハロース、スクロース、マンニトール;およびデンプンである。次いで、粉末混合物を、必要に応じて、硬ゼラチンカプセルに分配してよく、このカプセルは各々所望量の活性成分を含む。
【0039】
あるいは、吸入可能医薬組成物を、微粉砕した粉末(例えば微粉砕した活性成分および微粉砕した担体粒子から成る)を、吸入工程中に破壊される球体に加工することにより製造してよい。この球形化粉末を、例えば、Turbuhaler(登録商標)として知られているような多回投与吸入器の貯蔵部に入れ、そこで、投薬ユニットが所望量を量り、続いて患者により吸入される。
【0040】
従って、本発明はまた、吸入可能本発明の医薬組成物を含む乾燥粉末吸入器、特に多単位投与乾燥粉末吸入器を提供する。
【0041】
本発明の塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはマレイン酸塩または当該塩の溶媒和物を、上記状態の処置に有用な他の化合物と組み合わせて投与してもよい。
【0042】
それ故に、本発明は、本発明の塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはマレイン酸塩または当該塩の溶媒和物、または本発明の塩酸塩、臭化水素酸塩またはマレイン酸塩またはその溶媒和物を含む医薬組成物を、列記した1種以上の状態の処置のための他の1種または多種の治療剤と同時にまたは連続的に、または組み合わせ製剤として投与する、組み合わせ治療に関する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル一塩酸塩のX線粉末回折パターンを示す。
【図2】(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル一臭化水素酸塩のX線粉末回折パターンを示す。
【図3】(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル二マレイン酸塩のX線粉末回折パターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明を、ここで、次の説明的実施例を参照してさらに説明する。
【0045】
一般法
1H NMRスペクトルを、298KでVarian Unity Inova 400MHz(ソフトウェア:VNMR 6.1CおよびVNMRJ 1.1D;プローブ:Nalorac 5mm DG400-5AT)またはVarian Mercury-VX 300MHz(ソフトウェア:VNMR 6.1C;プローブ:Varian 5mm AutoSW PFG)装置で記録した。アセトン−d6またはジメチルスルホキシド(DMSO)−d6の中央ピークを内部参照として使用した。
【0046】
次の方法をLC/MS分析に使用した:
MS装置:APCIインターフェースを備えたAgilent 1100シリーズ
LC装置:UVディテクターVWD、オートサンプラーALS、バイナリー・ポンプおよびデガッサー(degasser)を備えたAgilent 1100シリーズ
LC−カラム:Chromolith Speed ROD, RP-C18、φ4.6×50mm
溶離剤:溶媒A:水+0.1%トリフルオロ酢酸(TFA);溶媒B:アセトニトリル+0.1%TFA
条件 LC:流速2.5ml/分;5〜95%Bの勾配;ランタイム3.6分;UV 220nm
MS:陽検出;キャピラリー電圧3kV
【実施例】
【0047】
実施例1
(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの塩酸塩(1:1塩)の製造
(a) (3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル(40mg、0.07mmol)を酢酸エチル(5mL)に溶解し、3.28M HCl/エタノール溶液(21μL、0.07mmol)を添加した。溶媒を蒸発により除去し、残留物を真空で乾燥させて、(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル一塩酸塩を最終生成物として得た。
【0048】
(b) メタノール中塩酸の80mM溶液(65.0μl、5.2μmol)を、メタノール(1.5ml)に溶解した(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル(3.0mg、5.3μmol)の溶液に室温で添加した。溶液を60℃で1時間振盪し、次いで5℃に冷却した。30分後、溶媒を5℃でゆっくり蒸発させて、(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル一塩酸塩を最終生成物として得た。
【0049】
さらなる量の一塩酸塩を次の方法により製造した:
(c) 化学量論量の塩酸のメタノール溶液(2.4重量比、WR)を、メタノール(4.0WR)中(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの懸濁液に5℃で添加した。10分間撹拌後、白色懸濁液が溶解して、透明溶液となった。tert−ブチルメチルエーテル(5.1WR)をこの溶液に滴下し、続いて上記(a)の通り製造した(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル一塩酸塩の種晶を添加し、白色沈殿が形成した。5分間撹拌後、tert−ブチルメチルエーテル(11.2WR)を添加し、懸濁液を1時間、5℃で撹拌した。沈殿を濾過し、tert−ブチルメチルエーテル(3.7WR)で洗浄して、(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル一塩酸塩を固体として得た(収率90%)。
【0050】
【表1】
1:1の化学量論的、塩基対酸がNMRにより確認された。
【0051】
実施例2
(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの臭化水素酸塩(1:1塩)の製造
(a) エタノール中臭化水素酸の1.55M溶液(34μl、53μmol)を、メタノール(0.3ml)中(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル(30mg、0.053mmol)の溶液に添加した。溶液をtert−ブチルメチルエーテル(0.9ml)に室温で滴下した。透明溶液を−10℃で1週間静置し、その後結晶性物質が沈殿した。結晶性物質、(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル一臭化水素酸塩を濾過し、乾燥させた。
【0052】
追加量の一臭化水素酸塩を次の方法により製造した:
(b) 化学量論量のメタノール(0.8WR)中の臭化水素酸溶液(水性、48%)を、メタノール(11.9WR)中(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの懸濁液に室温で添加した。10分間撹拌後、白色懸濁液が溶解して、透明溶液となった。上記(a)の通りに製造した(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル一臭化水素酸塩の種晶を添加した。次いで、tert−ブチルメチルエーテル(11.3WR)をこの溶液に滴下し、白色沈殿を得た。懸濁液を3℃に冷却し、1時間撹拌した。沈殿を濾過し、tert−ブチルメチルエーテル(3.7WR)で洗浄して、(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル一臭化水素酸塩を固体として得た(収率87.7−89.4%)。
1:1の化学量論的、塩基対酸がNMRにより確認された。
【0053】
実施例3
(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルのマレイン酸塩(1:2塩)の製造
(a) 1,4−ジオキサン中マレイン酸の27mM溶液(0.5ml、13.5μmol)を、1,4−ジオキサン(0.75ml)中の(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル(4mg、7μmol)の溶液に室温で添加し、混合物を一夜静置した。翌日、溶液を40℃に加熱し、1時間振盪し、その後室温に冷却した。溶媒を室温で蒸発させて、(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル二マレイン酸塩を最終生成物として得た。
【0054】
追加量の二マレイン酸塩を次の方法により製造した:
(b) マレイン酸(0.9g、7.8mmol)を、メタノール(20ml)およびイソプロピルアルコール(20ml)中の(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル(2.2g、3.9mmol)の混合物に添加し、混合物を、透明溶液が得られるまで50℃で加熱した。溶液を室温に冷却し、次いで、上記(a)の通りに製造した(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル二マレイン酸塩の種晶を添加した。16時間後、固体を濾過し、50℃で高真空下72時間乾燥させた。収量2.96g、95%。
【0055】
1H NMR(DMSO-d6);δ9.88(s, 1H), 7.32-7.22(m, 4H), 6.43(s, 2H), 6.11(s, 4H), 4.12(t, 2H), 3.95(s, 2H), 3.71(brs, 6H), 3.68(s, 2H), 3.60(s, 3H), 2.94-2.75(m, 10H), 1.99-1.94(m, 2H), 1.90-1.80(m, 2H), 1.65-1.58(m, 2H), 1.41-1.32(m, 2H), 0.90(t, 3H)。
LC−MS m/z 570 APCI+ve
【表2】
1:2の化学量論的、塩基対酸がNMRにより確認された。
【0056】
実施例4
X線粉末回折分析
一般法
X線粉末回折(XRPD)分析を、標準法により調製したサンプルで行い得る(例えばGiacovazzo et al., eds., Fundamentals of Crystallography, Oxford University Press (1992); Jenkins & Snyder, eds., Introduction to X-Ray Powder Diffractometry, John Wiley & Sons, New York (1996); Bunn, ed., Chemical Crystallography, Clarendon Press, London (1948); およびKlug & Alexander eds., X-ray Diffraction Procedures, John Wiley & Sons, New York (1974)参照)。
【0057】
上記実施例1〜3に記載の塩(無水形で)のX線粉末回折パターンを下記の通り得た:
単色CuKα照射(45kVおよび40mA)を使用したBragg-Brentanoパラフォーカシング(parafocusing)粉末X線回折計を分析に使用した。一次光学は、ソーラースリットおよび自動発散スリットを含んだ。平らなサンプルを、測定中回転するゼロバックグラウンドプレート上に調製した。二次光学は、ソーラースリット、自動散乱線除去スリット、受信用スリットおよび単色光分光器を含んだ。回折シグナルを比例するキセノン充填検出器で則的した。回折パターンを2°≦2θ(シータ)≦40°で、4°2θ/分の割合の0.016° 2θのステップサイズで、連続スキャンモードで集めた。生データを電子的に貯蔵した。評価を生のまたは平滑化した回折パターンで行った。
【0058】
反射型のPanalytical X'pert PRO MPD θ−θ回折計を上記測定に使用した。当業者は、示すデータと同等な回折データを集めることができるように、粉末X線回折計について機械的パラメータを設定できる。得られた結果を図1、図2および図3に示す。下記表A、BおよびCは、図1、2および3の各々のX線回折パターンに示されるピークの2θ(2シータ)値(精度:±0.1° 2φ)、d間隔および相対強度を各々示す。
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
【表5】
【0062】
実施例5
示差走査熱量測定(DSC)
標準法、例えばHoehne, G. W. H. et al (1996), Differential Scanning Calorimetry, Springer, Berlinに記載の方法を使用して、温度上昇に対する試験サンプルの熱量測定応答を、40秒の間隔および5℃/分のランプ速度で±0.50℃のモジュレーションを使用した、TA Instruments Q1000 Modulated Temperature Differential Scanning Calorimeter(MTDSC)を使用して試験した。約1〜5mgの試験サンプルを蓋付き(しわ無し)アルミニウムカップに、窒素雰囲気下入れた。
【0063】
DSC開始およびピーク温度はサンプル純度および装置のパラメータ、特に温度走査速度により変わり得ることは知られている。当業者は、ここに示すデータと同等なデータを集めることができるように、示差走査熱量計についての機械的パラメータを設定するための日常的な最適化/較正を使用できる。
【0064】
実施例1(c)で得た無水一塩酸塩の典型的サンプルの融点は、144℃±3℃(開始)であることが判明した。
実施例2(b)で得た無水一臭化水素酸塩の典型的サンプルの融点は、150℃±3℃(開始)であることが判明した。
実施例3(b)で得た無水二マレイン酸塩の典型的サンプルの融点は、150℃±3℃(開始)であることが判明した。
【0065】
実施例6
粒子径縮小
2" Spiral Jet Mill(SJM)を使用した粒子径縮小を、次の3個の試験物質で行った:実施例1の一塩酸塩(本発明の塩)、実施例3の二マレイン酸塩(本発明の塩)および遊離塩基化合物、(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル(比較化合物)。
【0066】
篩った試験物質のバッチを、ベンチュリ管供給システムを介し、振動フィーダーをによりジェット・ミル・チャンバーに供給した。微粉化を、ジェット・ミル・チャンバー内の角のあるノズルを通して出される圧縮ガス(窒素)によりもたらされる粒子衝突により達成した。種々のサイズの粒子を種々の速度および推進力により発生させ、粒子径が小さくなると粒子はジェット・ミルの中央で螺旋運動し、排出口を通って回収容器に排出される。微粉化する化合物の固有の特性に加えて、粒子径を制御する工程パラメータは、供給速度、粉砕圧およびベンチュリ管圧であり、これらを下記表Iに要約する。
【0067】
【表6】
【0068】
排出口での比較化合物の蓄積のため、ミルは詰まり始めた。粉砕/ベンチュリ管圧を2/5barから1/4barに下げても、この点では何等顕著な有益な効果は得られなかった。故に、比較化合物の粒子径縮小を、意図していた7g中わずか1.7gを充填した後に中止した。
それに反して、一塩酸塩および二マレイン酸塩は容易に微粉化され、処理中、顕著な蓄積またはミルの詰まりはなかった。
【0069】
実施例7
細粒分(FPF)の測定
方法
FPFの測定は、受け取ったままの物質から出発して、次の一連の工程により行った:
1.受け取った物質の粒子径縮小(微粉化)。
2.レーザー回折装置を使用した粒子径測定(粒子径縮小後)。
3.手動サンプル充填。
4.粉末の脱凝集およびカスケード・インパクターへの回収。
5.高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用した定量およびFPFの計算。
【0070】
3種の物質を試験した:実施例1の一塩酸塩(本発明の塩)、実施例2の一臭化水素酸塩(本発明の塩)および遊離塩基化合物、(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル(比較化合物)。
【0071】
粒子径縮小
粒子径縮小(微粉化)を、粒子径縮小を行うために、高速で物質粒子を衝突されるために加圧ガスを使用した、ジェット・ミルで行った。
【0072】
粒子径測定
粒子径測定を、Malvern Scirocco装置を使用したレーザー回折で行った。得られた結果を下記表1に示す。
【0073】
【表7】
【0074】
サンプル充填
1−2mgの用量を手動で計り(削り取ることなく)、基本型の吸入器(下記参照)の空洞に入れた。各試験物質について2回の実験を行い、各実験について2回の用量を使用し、故に、各試験物質について合計4個の用量を本実験に使用した。サンプルを、実験開始前、窒素ガス雰囲気下で一夜乾燥させた。
【0075】
実験設定および粉末の脱凝集
The Next Generation Impactor, NGIを、微粒子評価に使用した。このカスケード・インパクターは、USP(general chapter <601> AERSOLS, NASAL SPRAYS, METERED-DOSE INHALERS, AND DRY POWDER INHALERS, apparatus 5)および欧州薬局方(5.8 section 2.9.18 PREPARATIONS FOR INHALATION: AERODYNAMIC ASSESSMENT OF FINE PARTICLES, apparatus E)のような薬局方に記載され、そこに、種々の流速で使用するために、そのインパクターをどのように設定し、操作し、較正するかが詳述されている。2台のNGIインパクターを、1実験当たり1台で、使用した。
【0076】
垂直方向成分および水平方向成分を含む、L字型円筒状溝から成る、単純な基本型の吸入器を試験に使用した。基本型の吸入器を、USP入口を介して、NGIインパクターにはめ込んだ。微粉化粉末を、垂直的経路を通して基本型の吸入器の屈曲部(すなわちL字型溝の屈曲部)に移した。
【0077】
粉末の1−2mgの各用量を、60リットル/分の気流で2秒間引き寄せ(導入口の入口で測定)、屈曲部に位置する粉末を浮遊させて運び、その後エアロゾルが溝の水平方向成分を通して、螺旋系マウスピースを通して、NGIインパクター内に移動する。薬物粉末を導入口および8個のカップに集めた(上記の引用文献参照)。
【0078】
薬物粉末の除去および回収を、2%以下の相対湿度レベルのアイソレーター(グローブ)ボックスで行った。
【0079】
HPLC分析
次いで、導入口および8個のカップの薬物粉含量を、表2に記載する通り、高速液体クロマトグラフィー法を使用して定量した。
【表8】
【0080】
計算
HPLC分析から得たFPFの計算に使用される重要なデータを表3に示す。上記薬局方引用文献に定義されたFPFを、計算した。
【表9】
【技術分野】
【0001】
本発明は、8−オキソアデニン誘導体の塩、それらを含む医薬組成物および治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルは、公開国際特許出願WO2005/092893の実施例2−37に、トール様受容体7(TLR7)を介して作用する免疫調節性化合物として記載されている。
【0003】
医薬原体の製剤において、医薬原体(活性化合物)が、簡便に取り扱いおよび加工できる形であるのが重要である。これは、医薬原体自体の商業的に価値ある製造方法を得る観点からだけではなく、その後の該活性化合物および適当な賦形剤を含む医薬製剤の観点からも重要である。これに関連して、活性化合物の化学的安定性および物理的安定性は重要な因子である。活性化合物、およびそれを含む製剤は、活性化合物の物理化学的特性(例えば化学的組成、密度、吸湿性および溶解性)に何等顕著な変化を示すことなく、相当な期間にわたり有効に貯蔵できなければならない。
【0004】
さらに、活性化合物が、例えば、Turbuhaler(登録商標)デバイスのような乾燥粉末吸入器を介して肺投与用製剤に包含されるならば、活性化合物を容易に微粉化して、良好な流動特性を有する粉末を得ることができること、および、高い微粒子画分(すなわち活性化合物粒子が、10μm(マイクロメーター)以下の質量中央直径(MMD)を有する画分)を含むことが望まれる。かかる画分は、活性化合物の速く、増加した吸収をもたらす肺深部に運搬され得る。
【0005】
当業者は、典型的に、医薬原体が、安定な結晶形のような安定な形で容易に得ることができるならば、取り扱いの容易さ、適当な医薬製剤の製造の容易さおよび長い貯蔵寿命、およびより信頼できる溶解性プロファイルの観点から、利益を受け得ることを認識するであろう。
【発明の概要】
【0006】
驚くべきことに、本発明により、肺投与用乾燥粉末製剤に製剤できる、遊離塩基化合物と比較して改善された物理化学的特性を有する、(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルのある種の塩を製造できることが判明した。
【0007】
(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの構造を下に示す:
【化1】
【0008】
故に、本発明によって、(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの塩酸塩、臭化水素酸塩またはマレイン酸塩(以後“本塩酸塩、臭化水素酸塩またはマレイン酸塩”と呼ぶ)が提供される。
【0009】
他の局面において、本発明は、各々表A、BまたはC(後記実施例4参照)に示す、特徴的X線粉末回折ピーク(2θ度で示す)を示す、(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの塩酸塩、臭化水素酸塩またはマレイン酸塩を提供する。
【0010】
本発明はまた、本塩酸塩、臭化水素酸塩またはマレイン酸塩の溶媒和物(水和物を含む)も提供する。しかしながら、本塩酸塩、臭化水素酸塩またはマレイン酸塩は、好ましくは無水であり、好ましくは溶媒和されていない形である。
【0011】
本発明の一態様において、本塩酸塩、臭化水素酸塩またはマレイン酸塩またはその溶媒和物は、結晶特性を有し、好ましくは少なくとも50%結晶性、より好ましくは少なくとも60%結晶性、なお好ましくは少なくとも70%結晶性および最も好ましくは少なくとも80%結晶性である。結晶化度は慣用のX線回折技術により概算できる。
【0012】
本発明の他の態様において、本塩酸塩、臭化水素酸塩またはマレイン酸塩またはその溶媒和物は、50%、60%、70%、80%または90%〜95%、96%、97%、98%、99%または100%結晶性である。
【0013】
(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの製造は、公開国際特許出願WO2005/092893に記載されている。この化合物の塩酸塩、臭化水素酸塩およびマレイン酸塩(溶媒和された形態を含む)は、既知技術に従い製造できる。しかしながら、当業者には、この化合物およびその塩を製造することが可能な他の経路が存在することは明らかであろう。
【0014】
本発明の塩(溶媒和された形を含む)は、TLR7活性のモジュレーターとして有用であり、故に、ヒトを含む哺乳動物に、次の状態または疾患の処置のために投与し得る:
1. 呼吸器:次のものを含む気道の閉塞性疾患:気管支、アレルギー性、内因性、外因性、運動誘発性、薬剤誘発性(アスピリンおよびNSAID誘発性を含む)および粉塵誘発性喘息を含み、間欠性および永続性両方の、および全ての重症度の、および気道過敏反応性の他の原因の喘息;慢性閉塞性肺疾患(COPD);感染性および好酸球性気管支炎を含む、気管支炎;気腫;気管支拡張症;嚢胞性線維症;サルコイドーシス;農夫肺および関連疾患;過敏性肺炎;原因不明線維化肺胞炎、特発性間質性肺炎、抗新生物治療および結核およびアスペルギルス症および他の真菌感染を含む慢性感染に合併する線維症を含む、肺線維症;肺移植の合併症;肺脈管構造の血管炎性および血栓性障害、および肺高血圧;気道の炎症性および分泌状態と関連する慢性咳、および医原性咳の治療を含む、鎮咳活性;薬物性鼻炎、および血管運動性鼻炎を含む、急性および慢性鼻炎;神経性鼻炎(枯草熱)を含む、通年性および季節性アレルギー性鼻炎;鼻のポリープ症;一般的な風邪、および呼吸器多核体ウイルス、インフルエンザ、コロナウイルス(SARSを含む)およびアデノウイルスによる感染を含む、急性ウイルス感染;
【0015】
2. 皮膚:乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎または他の湿疹性皮膚炎、および遅延型過敏症反応;植物および光皮膚炎;脂漏性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、扁平苔癬、硬化性萎縮性苔癬、壊疽性膿皮症、皮膚サルコイド、円板状エリテマトーデス、天疱瘡、類天疱瘡、表皮水疱症、蕁麻疹、血管浮腫、脈管炎、毒性紅斑、皮膚好酸球増加症、円形脱毛症、男性型禿頭、スウィート症候群、ウェーバー・クリスチャン症候群、多形性紅斑;感染性および非感染性両方の蜂巣炎;脂肪織炎;皮膚リンパ腫、非黒色腫皮膚癌および他の形成異常病巣;固定薬疹を含む薬剤誘発性障害;
【0016】
3. 眼:眼瞼炎;通年性および春季アレルギー性結膜炎を含む、結膜炎;虹彩炎;前部および後部ブドウ膜炎;脈絡膜炎;網膜に影響する自己免疫性、変性または炎症性障害;交感神経性眼炎を含む眼炎;サルコイドーシス;ウイルス、真菌、および細菌を含む、感染;
【0017】
4. 尿生殖器:間質性および糸球体腎炎を含む、腎炎;ネフローゼ症候群;急性および慢性(間質性)膀胱炎およびハンナー潰瘍を含む、膀胱炎;急性および慢性尿道炎、前立腺炎、精巣上体炎、卵巣炎および卵管炎;外陰部腟炎;ペイロニー病;勃起不全(男女両方);
【0018】
5. 同種移植片拒絶反応:例えば、腎臓、心臓、肝臓、肺、骨髄、皮膚または角膜移植後または輸血後の急性および慢性のもの;または慢性移植片対宿主病;
【0019】
6. リウマチ性関節炎、過敏性腸症候群、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、橋本甲状腺炎、グレーブス病、アジソン病、真性糖尿病、特発性血小板減少性紫斑病、好酸球性筋膜炎、高IgE症候群、抗リン脂質抗体症候群およびセザリー(Sazary)症候群を含む、他の自己免疫およびアレルギー性障害;
【0020】
7. 腫瘍学:前立腺、乳房、肺、卵巣、膵臓、腸および結腸、胃、皮膚および脳の腫瘍および骨髄(白血病を含む)およびリンパ増殖系に影響する悪性腫瘍、例えばホジキンおよび非ホジキンリンパ腫を含む、一般的な癌の処置;転移疾患および腫瘍再発、および新生物随伴症候群の予防および処置を含む;および
【0021】
8. 感染症:ウイルス性疾患、例えば性器疣贅、一般的疣贅、足底疣贅、B型肝炎、C型肝炎、単純ヘルペスウイルス、伝染性軟属腫、天然痘、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、ライノウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、インフルエンザ、パラインフルエンザ;細菌疾患、例えば結核およびトリ型結核菌、ハンセン病;他の感染症、例えば真菌疾患、クラミジア、カンジダ、アスペルギルス、クリプトコッカス髄膜炎、ニューモシスティス・カリニ、クリプトスポリジウム症、ヒストプラスマ症、トキソプラズマ症、トリパノソーマ感染およびリーシュマニア症。
【0022】
故に、本発明は、治療に使用するための、(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはマレイン酸塩または当該塩の溶媒和物を提供する。
【0023】
さらなる局面において、本発明は、治療に使用するための医薬の製造における、(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはマレイン酸塩または当該塩の溶媒和物の使用を提供する。
【0024】
本明細書の文脈で、用語“治療”は、これに反する具体的指示がない限り“予防”も含む。用語“治療的”および“治療的に”は、これに従い解釈すべきである。
【0025】
予防は、該疾患または状態の前のエピソードに罹患しているか、または、これとは別にリスクが増加していると考えられるヒトの処置に特に適切であると予測される。特定の疾患または状態を発症するリスクのあるヒトは、一般に該疾患または状態の家族歴を有するヒト、または遺伝子試験またはスクリーニングにより該疾患または状態に特に感受性であることが同定されているヒトを含む。
【0026】
特に、本発明の塩(溶媒和された形を含む)は、喘息、COPD、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、癌、B型肝炎、C型肝炎、HIV、HPV、細菌感染および皮膚病の処置に使用し得る。
【0027】
本発明は、炎症性疾患を有する、またはリスクのある患者における該疾患の処置方法であって、該患者に治療的有効量の(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはマレイン酸塩または当該塩の溶媒和物を投与することを含む、方法も提供する。
【0028】
本発明はまた、気道疾患、例えば可逆性閉塞性気道疾、例えば喘息を有する、またはリスクのある患者における該疾患の処置方法であって、該患者に治療的有効量の(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはマレイン酸塩または当該塩の溶媒和物を投与することを含む、方法も提供する。
【0029】
本発明は、なお更に異常な細胞増殖(例えば癌)を含む、またはそれに起因する疾患または状態を処置する、またはリスクを減らす方法であって、それを必要とする患者に、治療的有効量の(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはマレイン酸塩または当該塩の溶媒和物を投与することを含む、方法を提供する。
【0030】
上記治療的使用について、投与する投与量は、当然、用いる塩、投与方式、望む処置および適応される障害によって変わる。例えば、(溶媒和された)本塩酸塩、臭化水素酸塩またはマレイン酸塩の1日投与量は、吸入であるならば、0.05マイクログラム/キログラム体重(μg/kg)から100マイクログラム/キログラム体重(μg/kg)の範囲であり得る。あるいは、(溶媒和された)本塩酸塩、臭化水素酸塩またはマレイン酸塩を経口で投与するならば、1日量は0.01マイクログラム/キログラム体重(μg/kg)から100ミリグラム/キログラム体重(mg/kg)の範囲であり得る。
【0031】
本発明の塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはマレイン酸塩または当該塩の溶媒和物はそれ自体で投与してよいが、一般に本塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはマレイン酸塩または当該溶媒和物(活性成分)が薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と混合された、医薬組成物の形で投与する。適当な医薬製剤の選択および製造のための慣用法は、例えば、“Pharmaceuticals - The Science of Dosage Form Designs”, M. E. Aulton, Churchill Livingstone, 1988に記載されている。
【0032】
投与方式によって、医薬組成物は、0.05〜99%w(重量パーセント)、より好ましくは0.05〜80%w、なお好ましくは0.10〜70%w、およびさらに好ましくは0.10〜50%wの活性成分を含み、全ての重量パーセントは総組成物に基づく。
【0033】
本発明はまた、(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはマレイン酸塩または当該塩の溶媒和物を薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と共に含む、医薬組成物も提供する。
【0034】
本発明は、さらに、(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはマレイン酸塩または当該塩の溶媒和物と薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体を混合することを含む、本発明の医薬組成物の製造方法を提供する。
【0035】
医薬組成物は、局所的に(例えば皮膚または肺および/または気道に)、例えば、クリーム、溶液、懸濁液、ヘプタフルオロアルカン(HFA)エアロゾルおよび乾燥粉末製剤の形で、例えば、Turbuhaler(登録商標)として既知の吸入デバイス中の製剤で;または全身的に、例えば錠剤、カプセル剤、シロップ剤、散剤または顆粒剤の形での経口投与により;または溶液または懸濁液の形での非経腸投与により;または皮下投与により;または坐薬の形での直腸投与により;または経皮的に投与してよい。
【0036】
本発明の一態様において、医薬組成物を吸入(経口または経鼻)により投与する。
さらなる態様において、医薬組成物を乾燥粉末吸入器(DPI)の手段により投与する。
【0037】
DPIは、“受動的”または呼吸作動型、または、粉末が患者の吸入以外のある機構により、例えば、圧縮空気の内部供給により分散される“能動的”であり得る。現時点で、3タイプの受動的乾燥粉末吸入器が利用可能である:単回投与、多単位投与または多回投与(貯蔵部)吸入器。単回投与デバイスにおいて、個々の投与量は、通常、ゼラチンカプセルに提供され、使用前に吸入器に充填しなければならず、その例はSpinhaler(登録商標)(Aventis)、Rotahaler(登録商標)(GlaxoSmithKline)、AeroliserTM(Novartis)、Inhalator(登録商標)(Boehringer)およびEclipse(Aventis)デバイスを含む。多単位投与吸入器は、多数の個別包装された投与量を、多ゼラチンカプセルとしてまたはブリスターに含み、その例は、Diskhaler(登録商標)(GlaxoSmithKline)、Diskus(登録商標)(GlaxoSmithKline)およびAerohaler(登録商標)(Boehringer)デバイスを含む。多回投与デバイスにおいて、薬物は、バルク粉末貯蔵部に貯蔵され、そこから個々の投与量が定量され、その例はTurbuhaler(登録商標)(AstraZeneca)、Easyhaler(登録商標)(Orion)、Novolizer(登録商標)(ASTA Medica)、Clickhaler(登録商標)(Innovata Biomed)およびPulvinal(登録商標)(Chiesi)デバイスを含む。
【0038】
DPIで使用するための吸入可能医薬組成物または乾燥粉末製剤は、微粉砕した活性成分(一般に10μm以下、好ましくは5μm以下の質量中央直径を有する)を、担体物質、例えば、モノ−、ジ−またはポリサッカライド、糖アルコール、または他のポリオールと混合することにより製造できる。適当な担体は、糖類、例えば、ラクトース、グルコース、ラフィノース、メレジトース、ラクチトール、マルチトール、トレハロース、スクロース、マンニトール;およびデンプンである。次いで、粉末混合物を、必要に応じて、硬ゼラチンカプセルに分配してよく、このカプセルは各々所望量の活性成分を含む。
【0039】
あるいは、吸入可能医薬組成物を、微粉砕した粉末(例えば微粉砕した活性成分および微粉砕した担体粒子から成る)を、吸入工程中に破壊される球体に加工することにより製造してよい。この球形化粉末を、例えば、Turbuhaler(登録商標)として知られているような多回投与吸入器の貯蔵部に入れ、そこで、投薬ユニットが所望量を量り、続いて患者により吸入される。
【0040】
従って、本発明はまた、吸入可能本発明の医薬組成物を含む乾燥粉末吸入器、特に多単位投与乾燥粉末吸入器を提供する。
【0041】
本発明の塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはマレイン酸塩または当該塩の溶媒和物を、上記状態の処置に有用な他の化合物と組み合わせて投与してもよい。
【0042】
それ故に、本発明は、本発明の塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはマレイン酸塩または当該塩の溶媒和物、または本発明の塩酸塩、臭化水素酸塩またはマレイン酸塩またはその溶媒和物を含む医薬組成物を、列記した1種以上の状態の処置のための他の1種または多種の治療剤と同時にまたは連続的に、または組み合わせ製剤として投与する、組み合わせ治療に関する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル一塩酸塩のX線粉末回折パターンを示す。
【図2】(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル一臭化水素酸塩のX線粉末回折パターンを示す。
【図3】(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル二マレイン酸塩のX線粉末回折パターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明を、ここで、次の説明的実施例を参照してさらに説明する。
【0045】
一般法
1H NMRスペクトルを、298KでVarian Unity Inova 400MHz(ソフトウェア:VNMR 6.1CおよびVNMRJ 1.1D;プローブ:Nalorac 5mm DG400-5AT)またはVarian Mercury-VX 300MHz(ソフトウェア:VNMR 6.1C;プローブ:Varian 5mm AutoSW PFG)装置で記録した。アセトン−d6またはジメチルスルホキシド(DMSO)−d6の中央ピークを内部参照として使用した。
【0046】
次の方法をLC/MS分析に使用した:
MS装置:APCIインターフェースを備えたAgilent 1100シリーズ
LC装置:UVディテクターVWD、オートサンプラーALS、バイナリー・ポンプおよびデガッサー(degasser)を備えたAgilent 1100シリーズ
LC−カラム:Chromolith Speed ROD, RP-C18、φ4.6×50mm
溶離剤:溶媒A:水+0.1%トリフルオロ酢酸(TFA);溶媒B:アセトニトリル+0.1%TFA
条件 LC:流速2.5ml/分;5〜95%Bの勾配;ランタイム3.6分;UV 220nm
MS:陽検出;キャピラリー電圧3kV
【実施例】
【0047】
実施例1
(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの塩酸塩(1:1塩)の製造
(a) (3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル(40mg、0.07mmol)を酢酸エチル(5mL)に溶解し、3.28M HCl/エタノール溶液(21μL、0.07mmol)を添加した。溶媒を蒸発により除去し、残留物を真空で乾燥させて、(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル一塩酸塩を最終生成物として得た。
【0048】
(b) メタノール中塩酸の80mM溶液(65.0μl、5.2μmol)を、メタノール(1.5ml)に溶解した(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル(3.0mg、5.3μmol)の溶液に室温で添加した。溶液を60℃で1時間振盪し、次いで5℃に冷却した。30分後、溶媒を5℃でゆっくり蒸発させて、(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル一塩酸塩を最終生成物として得た。
【0049】
さらなる量の一塩酸塩を次の方法により製造した:
(c) 化学量論量の塩酸のメタノール溶液(2.4重量比、WR)を、メタノール(4.0WR)中(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの懸濁液に5℃で添加した。10分間撹拌後、白色懸濁液が溶解して、透明溶液となった。tert−ブチルメチルエーテル(5.1WR)をこの溶液に滴下し、続いて上記(a)の通り製造した(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル一塩酸塩の種晶を添加し、白色沈殿が形成した。5分間撹拌後、tert−ブチルメチルエーテル(11.2WR)を添加し、懸濁液を1時間、5℃で撹拌した。沈殿を濾過し、tert−ブチルメチルエーテル(3.7WR)で洗浄して、(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル一塩酸塩を固体として得た(収率90%)。
【0050】
【表1】
1:1の化学量論的、塩基対酸がNMRにより確認された。
【0051】
実施例2
(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの臭化水素酸塩(1:1塩)の製造
(a) エタノール中臭化水素酸の1.55M溶液(34μl、53μmol)を、メタノール(0.3ml)中(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル(30mg、0.053mmol)の溶液に添加した。溶液をtert−ブチルメチルエーテル(0.9ml)に室温で滴下した。透明溶液を−10℃で1週間静置し、その後結晶性物質が沈殿した。結晶性物質、(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル一臭化水素酸塩を濾過し、乾燥させた。
【0052】
追加量の一臭化水素酸塩を次の方法により製造した:
(b) 化学量論量のメタノール(0.8WR)中の臭化水素酸溶液(水性、48%)を、メタノール(11.9WR)中(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの懸濁液に室温で添加した。10分間撹拌後、白色懸濁液が溶解して、透明溶液となった。上記(a)の通りに製造した(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル一臭化水素酸塩の種晶を添加した。次いで、tert−ブチルメチルエーテル(11.3WR)をこの溶液に滴下し、白色沈殿を得た。懸濁液を3℃に冷却し、1時間撹拌した。沈殿を濾過し、tert−ブチルメチルエーテル(3.7WR)で洗浄して、(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル一臭化水素酸塩を固体として得た(収率87.7−89.4%)。
1:1の化学量論的、塩基対酸がNMRにより確認された。
【0053】
実施例3
(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルのマレイン酸塩(1:2塩)の製造
(a) 1,4−ジオキサン中マレイン酸の27mM溶液(0.5ml、13.5μmol)を、1,4−ジオキサン(0.75ml)中の(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル(4mg、7μmol)の溶液に室温で添加し、混合物を一夜静置した。翌日、溶液を40℃に加熱し、1時間振盪し、その後室温に冷却した。溶媒を室温で蒸発させて、(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル二マレイン酸塩を最終生成物として得た。
【0054】
追加量の二マレイン酸塩を次の方法により製造した:
(b) マレイン酸(0.9g、7.8mmol)を、メタノール(20ml)およびイソプロピルアルコール(20ml)中の(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル(2.2g、3.9mmol)の混合物に添加し、混合物を、透明溶液が得られるまで50℃で加熱した。溶液を室温に冷却し、次いで、上記(a)の通りに製造した(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル二マレイン酸塩の種晶を添加した。16時間後、固体を濾過し、50℃で高真空下72時間乾燥させた。収量2.96g、95%。
【0055】
1H NMR(DMSO-d6);δ9.88(s, 1H), 7.32-7.22(m, 4H), 6.43(s, 2H), 6.11(s, 4H), 4.12(t, 2H), 3.95(s, 2H), 3.71(brs, 6H), 3.68(s, 2H), 3.60(s, 3H), 2.94-2.75(m, 10H), 1.99-1.94(m, 2H), 1.90-1.80(m, 2H), 1.65-1.58(m, 2H), 1.41-1.32(m, 2H), 0.90(t, 3H)。
LC−MS m/z 570 APCI+ve
【表2】
1:2の化学量論的、塩基対酸がNMRにより確認された。
【0056】
実施例4
X線粉末回折分析
一般法
X線粉末回折(XRPD)分析を、標準法により調製したサンプルで行い得る(例えばGiacovazzo et al., eds., Fundamentals of Crystallography, Oxford University Press (1992); Jenkins & Snyder, eds., Introduction to X-Ray Powder Diffractometry, John Wiley & Sons, New York (1996); Bunn, ed., Chemical Crystallography, Clarendon Press, London (1948); およびKlug & Alexander eds., X-ray Diffraction Procedures, John Wiley & Sons, New York (1974)参照)。
【0057】
上記実施例1〜3に記載の塩(無水形で)のX線粉末回折パターンを下記の通り得た:
単色CuKα照射(45kVおよび40mA)を使用したBragg-Brentanoパラフォーカシング(parafocusing)粉末X線回折計を分析に使用した。一次光学は、ソーラースリットおよび自動発散スリットを含んだ。平らなサンプルを、測定中回転するゼロバックグラウンドプレート上に調製した。二次光学は、ソーラースリット、自動散乱線除去スリット、受信用スリットおよび単色光分光器を含んだ。回折シグナルを比例するキセノン充填検出器で則的した。回折パターンを2°≦2θ(シータ)≦40°で、4°2θ/分の割合の0.016° 2θのステップサイズで、連続スキャンモードで集めた。生データを電子的に貯蔵した。評価を生のまたは平滑化した回折パターンで行った。
【0058】
反射型のPanalytical X'pert PRO MPD θ−θ回折計を上記測定に使用した。当業者は、示すデータと同等な回折データを集めることができるように、粉末X線回折計について機械的パラメータを設定できる。得られた結果を図1、図2および図3に示す。下記表A、BおよびCは、図1、2および3の各々のX線回折パターンに示されるピークの2θ(2シータ)値(精度:±0.1° 2φ)、d間隔および相対強度を各々示す。
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
【表5】
【0062】
実施例5
示差走査熱量測定(DSC)
標準法、例えばHoehne, G. W. H. et al (1996), Differential Scanning Calorimetry, Springer, Berlinに記載の方法を使用して、温度上昇に対する試験サンプルの熱量測定応答を、40秒の間隔および5℃/分のランプ速度で±0.50℃のモジュレーションを使用した、TA Instruments Q1000 Modulated Temperature Differential Scanning Calorimeter(MTDSC)を使用して試験した。約1〜5mgの試験サンプルを蓋付き(しわ無し)アルミニウムカップに、窒素雰囲気下入れた。
【0063】
DSC開始およびピーク温度はサンプル純度および装置のパラメータ、特に温度走査速度により変わり得ることは知られている。当業者は、ここに示すデータと同等なデータを集めることができるように、示差走査熱量計についての機械的パラメータを設定するための日常的な最適化/較正を使用できる。
【0064】
実施例1(c)で得た無水一塩酸塩の典型的サンプルの融点は、144℃±3℃(開始)であることが判明した。
実施例2(b)で得た無水一臭化水素酸塩の典型的サンプルの融点は、150℃±3℃(開始)であることが判明した。
実施例3(b)で得た無水二マレイン酸塩の典型的サンプルの融点は、150℃±3℃(開始)であることが判明した。
【0065】
実施例6
粒子径縮小
2" Spiral Jet Mill(SJM)を使用した粒子径縮小を、次の3個の試験物質で行った:実施例1の一塩酸塩(本発明の塩)、実施例3の二マレイン酸塩(本発明の塩)および遊離塩基化合物、(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル(比較化合物)。
【0066】
篩った試験物質のバッチを、ベンチュリ管供給システムを介し、振動フィーダーをによりジェット・ミル・チャンバーに供給した。微粉化を、ジェット・ミル・チャンバー内の角のあるノズルを通して出される圧縮ガス(窒素)によりもたらされる粒子衝突により達成した。種々のサイズの粒子を種々の速度および推進力により発生させ、粒子径が小さくなると粒子はジェット・ミルの中央で螺旋運動し、排出口を通って回収容器に排出される。微粉化する化合物の固有の特性に加えて、粒子径を制御する工程パラメータは、供給速度、粉砕圧およびベンチュリ管圧であり、これらを下記表Iに要約する。
【0067】
【表6】
【0068】
排出口での比較化合物の蓄積のため、ミルは詰まり始めた。粉砕/ベンチュリ管圧を2/5barから1/4barに下げても、この点では何等顕著な有益な効果は得られなかった。故に、比較化合物の粒子径縮小を、意図していた7g中わずか1.7gを充填した後に中止した。
それに反して、一塩酸塩および二マレイン酸塩は容易に微粉化され、処理中、顕著な蓄積またはミルの詰まりはなかった。
【0069】
実施例7
細粒分(FPF)の測定
方法
FPFの測定は、受け取ったままの物質から出発して、次の一連の工程により行った:
1.受け取った物質の粒子径縮小(微粉化)。
2.レーザー回折装置を使用した粒子径測定(粒子径縮小後)。
3.手動サンプル充填。
4.粉末の脱凝集およびカスケード・インパクターへの回収。
5.高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用した定量およびFPFの計算。
【0070】
3種の物質を試験した:実施例1の一塩酸塩(本発明の塩)、実施例2の一臭化水素酸塩(本発明の塩)および遊離塩基化合物、(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル(比較化合物)。
【0071】
粒子径縮小
粒子径縮小(微粉化)を、粒子径縮小を行うために、高速で物質粒子を衝突されるために加圧ガスを使用した、ジェット・ミルで行った。
【0072】
粒子径測定
粒子径測定を、Malvern Scirocco装置を使用したレーザー回折で行った。得られた結果を下記表1に示す。
【0073】
【表7】
【0074】
サンプル充填
1−2mgの用量を手動で計り(削り取ることなく)、基本型の吸入器(下記参照)の空洞に入れた。各試験物質について2回の実験を行い、各実験について2回の用量を使用し、故に、各試験物質について合計4個の用量を本実験に使用した。サンプルを、実験開始前、窒素ガス雰囲気下で一夜乾燥させた。
【0075】
実験設定および粉末の脱凝集
The Next Generation Impactor, NGIを、微粒子評価に使用した。このカスケード・インパクターは、USP(general chapter <601> AERSOLS, NASAL SPRAYS, METERED-DOSE INHALERS, AND DRY POWDER INHALERS, apparatus 5)および欧州薬局方(5.8 section 2.9.18 PREPARATIONS FOR INHALATION: AERODYNAMIC ASSESSMENT OF FINE PARTICLES, apparatus E)のような薬局方に記載され、そこに、種々の流速で使用するために、そのインパクターをどのように設定し、操作し、較正するかが詳述されている。2台のNGIインパクターを、1実験当たり1台で、使用した。
【0076】
垂直方向成分および水平方向成分を含む、L字型円筒状溝から成る、単純な基本型の吸入器を試験に使用した。基本型の吸入器を、USP入口を介して、NGIインパクターにはめ込んだ。微粉化粉末を、垂直的経路を通して基本型の吸入器の屈曲部(すなわちL字型溝の屈曲部)に移した。
【0077】
粉末の1−2mgの各用量を、60リットル/分の気流で2秒間引き寄せ(導入口の入口で測定)、屈曲部に位置する粉末を浮遊させて運び、その後エアロゾルが溝の水平方向成分を通して、螺旋系マウスピースを通して、NGIインパクター内に移動する。薬物粉末を導入口および8個のカップに集めた(上記の引用文献参照)。
【0078】
薬物粉末の除去および回収を、2%以下の相対湿度レベルのアイソレーター(グローブ)ボックスで行った。
【0079】
HPLC分析
次いで、導入口および8個のカップの薬物粉含量を、表2に記載する通り、高速液体クロマトグラフィー法を使用して定量した。
【表8】
【0080】
計算
HPLC分析から得たFPFの計算に使用される重要なデータを表3に示す。上記薬局方引用文献に定義されたFPFを、計算した。
【表9】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはマレイン酸塩または当該塩の溶媒和物。
【請求項2】
(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル一塩酸塩。
【請求項3】
(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル一臭化水素酸塩。
【請求項4】
(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル二マレイン酸塩。
【請求項5】
(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはマレイン酸塩または当該塩の溶媒和物を薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と共に含む、医薬組成物。
【請求項6】
吸入治療に使用するための乾燥粉末製剤の形である、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の医薬組成物を含む、乾燥粉末吸入器。
【請求項8】
(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはマレイン酸塩または当該塩の溶媒和物と薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体を混合することを含む、請求項5に記載の医薬組成物の製造方法。
【請求項9】
治療において使用するための、請求項1〜4のいずれかに記載の塩または請求項5または6に記載の医薬組成物。
【請求項10】
喘息、COPD、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、癌、B型肝炎、C型肝炎、HIV、HPV、細菌感染または皮膚病の処置陽医薬の製造における、請求項1〜4のいずれかに記載の塩または請求項5または6に記載の医薬組成物の使用。
【請求項11】
可逆性閉塞性気道疾患に罹患している、またはリスクのある患者における該疾患を処置する方法であって、該患者に治療的有効量の(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはマレイン酸塩または当該塩の溶媒和物を投与することを含む、方法。
【請求項1】
(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはマレイン酸塩または当該塩の溶媒和物。
【請求項2】
(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル一塩酸塩。
【請求項3】
(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル一臭化水素酸塩。
【請求項4】
(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチル二マレイン酸塩。
【請求項5】
(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはマレイン酸塩または当該塩の溶媒和物を薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と共に含む、医薬組成物。
【請求項6】
吸入治療に使用するための乾燥粉末製剤の形である、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の医薬組成物を含む、乾燥粉末吸入器。
【請求項8】
(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはマレイン酸塩または当該塩の溶媒和物と薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体を混合することを含む、請求項5に記載の医薬組成物の製造方法。
【請求項9】
治療において使用するための、請求項1〜4のいずれかに記載の塩または請求項5または6に記載の医薬組成物。
【請求項10】
喘息、COPD、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、癌、B型肝炎、C型肝炎、HIV、HPV、細菌感染または皮膚病の処置陽医薬の製造における、請求項1〜4のいずれかに記載の塩または請求項5または6に記載の医薬組成物の使用。
【請求項11】
可逆性閉塞性気道疾患に罹患している、またはリスクのある患者における該疾患を処置する方法であって、該患者に治療的有効量の(3−{[[3−(6−アミノ−2−ブトキシ−8−オキソ−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)プロピル](3−モルホリン−4−イルプロピル)アミノ]メチル}フェニル)酢酸メチルの塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはマレイン酸塩または当該塩の溶媒和物を投与することを含む、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公表番号】特表2011−506598(P2011−506598A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539378(P2010−539378)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【国際出願番号】PCT/SE2008/051465
【国際公開番号】WO2009/078798
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【国際出願番号】PCT/SE2008/051465
【国際公開番号】WO2009/078798
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】
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