説明

(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸の新規多形体

(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸の新規多形体1および2、そのような多形体を含んでなる医薬組成物、ならびにそのような多形体の医学における使用。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
技術分野
本発明は、新規医薬、前記医薬を調製する方法、および医学における前記医薬の使用に関する。
【0002】
背景技術
国際特許出願第EP2007/063796号(国際公開第2008/071736号)は、(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸を含む特定のベンズアミド誘導体をEP4受容体作動薬として開示している。
【発明の開示】
【0003】
(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸が、一連の新規多形体で存在することが発見された。
【0004】
この一連の新規多形体(以下で形態1および形態2と称する)は有用な薬剤性能を有し、特に以下で定義される疼痛および骨障害を含むがこれらに限定されない疾病および障害の治療および/または予防に有用であると示されている。
【0005】
したがって、本発明は、以下のピークを含んでなるX線粉末回折(XRPD)回折画像を与える(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸の多形体(形態1)を提供する。
【0006】
【表1】

【0007】
さらなる実施態様において、前記形態1の多形体は、以下のピークを含んでなるX線粉末回折(XRPD)回折画像を与える。
【0008】
【表2】

【0009】
さらなる実施態様において、前記形態1の多形体は、実質的に図1に示すX線粉末回折(XRPD)パターンを与える。
【0010】
本明細書における「実質的に」との表現が、実験の許容できる境界内にあるパターンを含むと理解すべきであることが認識されるであろう。
【0011】
他の実施態様において、前記形態1の多形体は、DSCにより測定したときに、典型的には164〜174℃の範囲の溶融開始温度を有する。
【0012】
より特別な態様において、前記形態1の多形体は、実質的に図2に示すDSC熱分析曲線を与える。
【0013】
本発明は、以下のピークを含んでなるX線粉末回折(XRPD)回折画像を与える(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸の多形体(形態2)を提供する。
【0014】
【表3】

【0015】
さらなる実施態様において、前記形態2の多形体は、以下のピークを含んでなるX線粉末回折(XRPD)回折画像を与える。
【0016】
【表4】

【0017】
より詳細には、前記形態2の多形体は、実質的に図3に示すX線粉末回折(XRPD)パターンを与える。
【0018】
他の実施態様において、前記形態2の多形体は、DSCにより測定したときに、典型的には154〜164℃の範囲の溶融開始温度を有する。
【0019】
より特別な態様において、前記形態2の多形体は、実質的に図4に示すDSC熱分析曲線を与える。
【0020】
上述のXRPDおよびDSC特性化データは、「特性化データ」というタイトルのセクションでより詳細に記載されるとおりに集められる。
【0021】
本発明は、純粋な形態で単離された多形体または(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸の例えば他の塩もしくは溶媒和物(それらの多形体を含む)もしくは他の任意の物質などの他の物質と混合した場合の多形体を含む。
【0022】
このように、一態様において、単離されたかまたは純粋な形態の多形体が提供される。「単離された」または「純粋な」形態は、サンプル中に存在するかもしれない他の化合物または(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸の多形体に対して、その多形体が75%を超える量で、特別には90%を超える量で、より特別には95%を超える量で、さらにより特別には99%を超える量で存在するサンプルを意味する。
【0023】
本発明は、(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸の飽和シクロヘキサノン溶液が数時間およそ3℃に冷却されることを特徴とする、多形体の調製方法も提供する。上述の方法において、前記溶液を利用して、さらに(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸の結晶化のシーディング(例えば、シアン化メチルの存在下で室温で攪拌)ができるが、これは必須ではない。
【0024】
(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸は、国際特許出願第EP2007/063796号(国際公開第2008/071736号)に開示されている方法などの公知の手順に従い調製できる。国際出願第EP2007/063796号の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0025】
上述のとおり、本発明の多形体は有用な治療特性を持つ。より詳細には、本発明の多形体は、EP4受容体作動薬が必要とされる疾病または障害の治療または予防に潜在的に役に立つと考えられており、前記疾病または障害には、疼痛、例えば疾患修飾および関節構造維持の性質を含む慢性関節痛(例えば、関節リウマチ、骨関節炎、リウマチ性脊椎炎、痛風関節炎、および若年性関節炎);筋骨格痛;腰痛および頸部痛;捻挫および筋違い;神経因性疼痛;交感神経依存性疼痛;筋炎;ガンおよび線維筋痛症に関連する疼痛;偏頭痛に関連する疼痛;インフルエンザまたは通常の風邪など他のウイルス感染症に関連する疼痛;リウマチ熱;非潰瘍性消化不良、非心臓性胸痛、および過敏性腸症候群などの機能性腸障害に関連する疼痛;心筋虚血に関連する疼痛;術後疼痛;頭痛;歯痛;および月経困難症などがある。
【0026】
前記多形体は、神経因性疼痛およびそれに関連した症状の治療に特に有用なことがある。神経因性疼痛症候群には、糖尿病性神経障害;座骨神経痛;非特異的腰痛;多発性硬化症痛;線維筋痛症;HIV関連神経障害;帯状疱疹後神経痛;三叉神経痛;および、物理的外傷、切断、ガン、毒素、または慢性炎症状態から生じる疼痛がある。神経因性疼痛の症状には、自発性電撃痛および乱切痛または継続する灼熱痛がある。さらに、「ピンと針」などの通常無痛の感覚に関連した疼痛(錯感覚および/または異常感覚)、接触への感受性増大(知覚過敏)、無害な刺激の後の痛みの感覚(動的、静的、または温感アロディニア)、有害な刺激への感受性増大(温、冷、機械的痛覚過敏)、刺激の除去後に持続する痛みの感覚(痛覚異常過敏)、または選択的な感覚経路の欠如もしくは欠損(痛覚鈍麻)が含まれる。
【0027】
前記多形体は炎症の治療にも有用なことがあり、例えば、皮膚の病態(例えば、日焼け、火傷、湿疹、皮膚炎、乾癬);眼病、例えば、緑内障、網膜炎、網膜症、ブドウ膜炎、眼組織への急性損傷(例えば結膜炎);肺疾患(例えば、喘息、気管支炎、肺気腫、アレルギー性鼻炎、呼吸窮迫症候群、鳩飼病、農夫肺、COPD;消化管疾患(例えば、アフタ性潰瘍、クローン病、アトピー性胃炎(atopic gastritis)、バリアロフォルメ胃炎(gastritis varialoforme)、潰瘍性大腸炎、セリアック病、限局性回腸炎、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、胃食道逆流症、下痢、便秘);臓器移植;炎症成分による他の病態、例えば、血管疾患、偏頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキン病、スクレロドーマ(sclerodoma)、重症筋無力症、多発性硬化症、ソルコイドーシス(sorcoidosis)、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多発性筋炎、歯肉炎、心筋虚血、発熱、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、腱炎、滑液包炎、及びシェーグレン症候群の治療に有用なことがある。
【0028】
前記多形体は、自己免疫疾患、免疫不全疾患、または臓器移植などの免疫疾患の治療にも有用なことがある。前記多形体は、HIV感染の潜伏期の延長にも有用なことがある。
【0029】
前記多形体は、間欠性跛行、不安定狭心症、脳卒中、および急性冠動脈症候群(例えば、血管閉塞性疾患)などの過度または望ましくない血小板活性化の疾患の治療にも有用なことがある。
【0030】
前記多形体は、利尿作用を持つ薬剤としても有用であり、過活動膀胱症候群の治療にも有用なことがある。
【0031】
前記多形体は、性的不能または勃起不全の治療にも有用なことがある。
【0032】
前記多形体は、骨折、骨損傷、または骨欠損の治療を含む、以下に定義される種々の骨障害の治療にも有用なことがある。
【0033】
例えば、前記多形体は、骨量、骨体積、骨芽細胞数、または骨芽細胞の生存の増加など、骨の形成の促進、すなわち骨形成に有用なことがある。
【0034】
したがって、前記多形体は、異常な骨代謝または吸収により特徴づけられる遺伝的障害を含む骨疾患の治療に有用なことがあるが、前記骨疾患には、例えば、骨粗鬆症(特に、閉経後骨粗鬆症、グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症、甲状腺機能亢進誘発性骨粗鬆症、不動性骨粗鬆症、ヘパリン誘発性骨粗鬆症、および免疫抑制誘発性骨粗鬆症ならびに骨粗鬆症の長期の合併症、例えば脊椎の湾曲、身長低減、および補綴手術)、異常に増加した骨代謝回転、高カルシウム血症(液性高カルシウム血症を含む)、副甲状腺機能亢進、骨パジェット病、骨溶解(プロテーゼ周囲骨溶解を含む)、骨転移を伴うまたは伴わない腫瘍随伴性高カルシウム血症、骨折治癒の高カルシウム血症、関節リウマチ、骨関節症(軟骨/骨の修復などの骨関節症の疾患修復を含む)、骨痛、骨減少症、結石症(calculosis)、結石症(lithiasis)(特に尿路結石症)、痛風および強直性脊椎炎、腱炎、滑液包炎、悪性骨腫瘍、例えば骨肉腫、骨形成不全、転移性骨疾患、歯槽骨喪失、骨髄炎後骨量減少および小児期特発性骨量減少などがある。
【0035】
前記多形体は、骨リモデリングおよび/または骨形成の促進および/または骨折治癒の促進にも有用なことがある。例えば、本発明の多形体は、骨折治癒、例えば長骨骨折および他の骨の骨折の治癒に有用なことがある。本発明の多形体は、例えば傷害により起こされた頭部、顔面、および頸部の骨折の治癒にも有用なことがある。本発明の多形体は、移植骨全置換手術(replacing bone graft surgery entirely)などの骨移植、骨移植の成功率向上、顔面再建後の骨治癒、上顎骨再建、下顎骨再建、例えば出生時の口腔顔面異常などの頭蓋顔面異常などの頭蓋顔面再建(口蓋裂などの口腔顔面裂を含む)、保綴内殖(prosthetic ingrowth)、脊椎骨癒合、長骨伸長、脊椎固定、および胸骨切開にも有用なことがある。本発明の多形体は、戦時中に起こる欠損を軸に展開するかもしれない骨の欠損の治療にも有用なことがある。
【0036】
前記多形体は、歯周病(歯肉炎)、歯牙欠損、および歯周増大術、例えば歯の補綴の調製など、歯周適応症にも有用なことがある。
【0037】
前記多形体は、関節癒合の促進、腱および靱帯の修復の促進、二次骨折の発生の低減、無血性壊死の治療、軟骨修復の促進、肢移植後の骨の治癒の促進、および転移性骨疾患により起こされる損傷の修復にも有用なことがある。
【0038】
前記多形体は、NSAIDおよびCOX−2阻害剤の血流動態副作用を和らげるのにも有用なことがある。
【0039】
前記多形体は、高血圧または心筋虚血などの心血管疾患;機能性または器質性静脈機能不全;静脈瘤療法;痔核;動脈圧の急降下に関連するショック(例えば、敗血症性ショック)の治療にも有用なことがある。
【0040】
前記多形体は、認知症、特に変性認知症(老年認知症、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン病、パーキンソン病およびクロイツフェルト・ヤコブ病、ALS、運動ニューロン疾患を含む)などの神経変性疾患および神経変性;脳血管性認知症(多発脳梗塞性認知症を含む);ならびに頭蓋内占拠性病変に関連する認知症;外傷;感染症および関連する病態(HIV感染を含む);代謝;毒素;酸素欠乏およびビタミン欠乏;および加齢に伴う軽度認知機能障害、特に加齢関連性記憶障害の治療にも有用なことがある。
【0041】
前記多形体は神経疾患の治療にも有用であり、神経保護薬としても有用なことがある。前記多形体は、脳卒中、心停止、肺バイパス、外傷性脳損傷、脊髄損傷などの後の神経変性の治療にも有用なことがある。
【0042】
前記多形体は、1型糖尿病の合併症(例えば、糖尿病性細小血管障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、黄斑変性症、緑内障)、ネフローゼ症候群、再生不良性貧血、ブドウ膜炎、川崎病、およびサルコイドーシスの治療にも有用なことがある。
【0043】
前記多形体は、腎機能障害(腎炎、特にメサンギウム増殖性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群)、肝機能障害(肝炎、肝硬変)、および消化管機能障害(下痢)の治療にも有用なことがある。
【0044】
本明細書における治療という用語が、確立された症状の治療と予防的治療の両方を含むことが理解できよう。
【0045】
本発明のさらなる実施態様によると、ヒトの医学または獣医学に使用するための、先に定義された(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸の多形体が提供される。
【0046】
本発明の他の実施態様によると、EP受容体でのPGEの作用または作用の喪失により媒介される病態の治療に使用するための、先に定義された(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸の多形体が提供される。本発明の他の実施態様によると、骨障害の治療に使用するための、先に定義された(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸の多形体が提供される。
【0047】
本発明のさらなる実施態様によると、EP受容体でのPGEの作用または作用の喪失により媒介される病態を患っているヒトまたは動物の被験体を治療する方法であって、前記被験体に、有効量の先に定義された(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸の多形体を投与する工程を含んでなる方法が提供される。本発明のさらなる実施態様によると、骨障害を患っているヒトまたは動物の被験体を治療する方法であって、前記被験体に、有効量の先に定義された(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸の多形体を投与する工程を含んでなる方法が提供される。
【0048】
本発明のさらなる実施態様によると、疼痛、または炎症性疾患、免疫異常、神経変性疾患、もしくは腎障害を患っているヒトまたは動物の被験体を治療する方法であって、前記被験体に、有効量の先に定義された(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸の多形体を投与する工程を含んでなる方法が提供される。
【0049】
本発明の他の実施態様によると、EP受容体でのPGEの作用または作用の喪失により媒介される病態の治療用の医薬を製造するための、先に定義された(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸の多形体の使用が提供される。本発明の他の実施態様によると、骨障害の治療用の医薬を製造するための、先に定義された(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸の多形体の使用が提供される。
【0050】
本発明の他の実施態様によると、疼痛、または炎症性疾患、免疫異常、神経変性疾患、もしくは腎障害などの病態の治療または予防のための医薬を製造するための、先に定義された(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸の多形体の使用が提供される。
【0051】
本発明の多形体は、医薬組成物の形態で投与されると便利である。そのような組成物は、好都合には、1種以上の生理学的に許容される担体または希釈剤と混合されて従来の方法での使用に供することができる。
【0052】
したがって、本発明の他の態様において、ヒトの医学または獣医学での使用に適合された、先に定義された(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸の多形体を含んでなる医薬組成物が提供される。
【0053】
前記多形体を未加工の化学物質として投与することが可能であるが、医薬製剤として供することが好ましい。本発明の製剤は、先に定義された(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸の多形体を、1種以上の許容される担体または希釈剤および任意に他の治療成分とともに含んでなる。担体(複数可)は、製剤の他の成分と反応せずその受容者に有害でないという点で「許容でき」なくてはならない。したがって、一つの実施態様において、本発明は、先に定義された(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸の多形体および医薬的に許容される担体または希釈剤を含んでなる医薬組成物を提供する。
【0054】
本発明の多形体の投与は、本発明の活性物を全身および/または局所に送達するどのような方法によってもよい。製剤には、経口、非経口(例えば注射またはデポによる皮下、皮内、髄腔内、嚢内、脊髄内、胸骨内、関節内、例えばデポによる筋肉内、静脈内および鼻腔内を含む)、直腸内および局所(真皮、頬側、および舌下を含む)投与に好適なものがあるが、最適な経路は、例えば受容者の病態および障害により決まるであろう。製剤は、単位剤形で呈されることが便利であり、製剤の分野に周知の方法のいずれによっても調製できる(例えば、Remington ? The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition, Lippincott, Williams & Wilkins, USA, 2005およびこの書籍内の参考文献に開示されている方法を参照されたい)。方法は全て、活性成分を、1種以上の副成分を構成する担体と混合させる工程を含む。一般的に、製剤の調製は、活性成分を液体担体または微粉砕された固体担体またはその両方と均一かつ完全に混合し、必要な場合生成物を所望の製剤に成形することによる。
【0055】
経口投与に好適な本発明の製剤は、それぞれ所定量の活性成分を含むカプセル、カシェ、または錠剤(例えば、特に小児への投与用のチュアブル錠剤)などの個別単位として;パウダーまたは顆粒として;水性液体または非水性液体の溶液または懸濁液として;水中油型液体エマルションまたは油中水型エマルションとして供することができる。活性成分は、丸薬としてでも、舐剤としてでも、ペーストとしてでも供することができる。
【0056】
錠剤は、任意に1種以上の副成分とともに圧縮または成形により作ることができる。打錠剤は、パウダーや顆粒など自由流動形態の活性成分を、任意に、結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、潤滑剤、界面活性剤、または分散剤と混合して好適な機械内で圧縮することにより調製される。湿製錠は、不活性な液体希釈剤で湿潤された粉末化化合物の混合物を好適な機械内で成形して作ることができる。錠剤は、任意にコーティングしても溝を付けてもよく、その中の活性成分の遅延放出または制御放出を与えるように製剤化することもできる。
【0057】
非経口投与用の製剤には、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、および意図される受容者の血液と製剤を等張にする溶質を含むことのある水性および非水性滅菌注射液;ならびに懸濁剤および増粘剤を含むことのある水性および非水性滅菌懸濁液がある。製剤は、例えば密封したアンプルおよびバイアルなどの最小投薬単位容器または多用量容器に供することができ、使用の直前に例えば注射用水などの滅菌液体担体を添加するだけでよいフリーズドライ(凍結乾燥)状態で貯蔵してもよい。即席の注射液および懸濁液を、滅菌パウダー、顆粒、および先に記載した種類の錠剤から調製できる。
【0058】
直腸投与用の製剤は、ココアバター、ハードファット、またはポリエチレングリコールなどの通常の担体を含む坐薬として供することができる。
【0059】
口内、例えば頬側または舌下の局所投与用の製剤には、ショ糖およびアラビアゴムまたはトラガカントなどの味付けされた基剤中に活性成分を含んでなるトローチ剤(lozenge)およびゼラチンおよびグリセリンまたはショ糖およびアラビアゴムなどの基剤中に活性成分を含んでなる香錠(pastille)がある。
【0060】
前記多形体はデポ製剤としても製剤できる。そのような持続性製剤は、埋込みによっても(例えば皮下または筋肉中)、注射によっても(例えば筋肉内または関節内注射)投与できる。したがって、例えば、多形体が、好適なポリマー性もしくは疎水性材料(例えば、許容される油中のエマルションとして)またはイオン交換樹脂とともに製剤されても、難溶性誘導体として、例えば難溶性塩として製剤されてもよい。
【0061】
局所投与(例えば骨折の部位、関節内への投与)の実施は、好適な溶媒中の多形体の注射によっても、開放手術の場合好適な担体中のそのような化合物の局所投与によってもよい。別法としては、局所投与は、好適な担体または希釈剤中の多形体の溶液または分散液を、整形外科手術に従来使用される固体または半固体インプラントの表面に塗布しても、前記溶液または分散液を前記インプラント中に混合してもよい。
【0062】
本発明は、生分解性の固体またはゲルのデポ、マトリックス、またはインプラントの形成により、注射の局所部位で持続放出を与える注射用流動性組成物を使用して投与することもできる。
【0063】
上述の成分に加え、前記製剤は、対象とする製剤の種類に関連して当分野に通常使用される他の薬剤を含んでよく、例えば経口投与に好適なものは香料を含んでよい。
【0064】
前記多形体は、他の治療薬と組み合わせて使用してもよく、そのような治療薬には、例えば、COX−2阻害剤、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、またはパレコキシブ;5−リポキシゲナーゼ阻害剤;パラセタモールなどの鎮痛剤;ジクロフェナック、インドメタシン、ナブメトン、ナプロキセン、またはイブプロフェンなどのNSAID;ロイコトリエン受容体拮抗薬;メトトレキセートなどのDMARD;ラモトリジンなどのナトリウムチャネル遮断剤;N型カルシウムチャネル拮抗薬;グリシン受容体拮抗薬などのNMDA受容体調節剤;ガバペンチン、プレガバリン、および関連化合物;アミトリプチリンなどの三環系抗うつ剤;ニューロン安定化抗てんかん剤;ベンラファキシンなどのモノアミン取り込み阻害剤;オピオイド鎮痛剤;局所麻酔剤;トリプタンなどの5HT作動薬、例えばスマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、フロバトリプタン、アルモトリプタン、またはリザトリプタン;EP受容体リガンド;EP受容体リガンド;EP受容体リガンド;EP拮抗薬;EP拮抗薬およびEP拮抗薬;カンナバノイド(cannabanoid)受容体作動薬;VR1拮抗薬がある。前記多形体が他の治療薬と組み合わせて使用される場合、多形体は、任意の経路により連続にも同時にも投与できる。
【0065】
本発明の多形体は、上述の骨障害を治療または予防するのに有用な公知の薬剤と組み合わせて使用してもよい。したがって、本発明は、本発明の多形体と以下を含む他の薬剤との組み合わせを含む:プロゲスチン(アルゲストンアセトフェニド、アルトレノゲスト、酢酸アマジノン、酢酸アナゲストン、酢酸クロルマジノン、シンゲストール、酢酸クロゲストン、酢酸クロメゲストン、酢酸デルマジノン、デソゲストレル、ジメチステロン、ジドロゲステロン、エチネロン、二酢酸エチノジオール、エトノゲストレル、酢酸フルロゲストン、ゲスタクロン、ゲストデン、カプロン酸ゲストノロン、ゲストリノン、ハロプロゲステロン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、レボノルゲストレル、リネストレノール、メドロゲストン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メレンゲストロール、二酢酸メチノジオール、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、ノルエチノドレル、ノルゲスチメート、ノルゲストメット、ノルゲストレル、フェンプロピオン酸オキソゲストン、プロゲステロン、酢酸キンゲスタノール、キンゲストロン、およびチゲストールなど)、ポリホスホナート(ジェミナルジホスホナート(ビスホスホナートとも称される)、チルドロン酸二ナトリウム、イバンドロン酸、アレンドロン酸塩、およびゾレドロン酸など)、ビスホスホナート(複数可)、エストロゲン作動薬/拮抗薬(ドロロキシフェン、タモキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、ラロキシフェン、トレミフェン、セントクロマン、レボルメロキシフェン、およびイドキシフェン)、エストロゲン、エストロゲン受容体調節剤、エストロゲン/プロゲスチン組み合わせ、アンドロゲン受容体調節剤、Premarin(登録商標)、エストロン、エストリオールまたは17α−もしくは17β−エチニルエストラジオール、他の抗骨吸収剤、骨量増大剤とも称される他の骨同化剤、プロスタグランジン、またはプロスタグランジン作動薬/拮抗薬、IGF−1、フッ化ナトリウム、上皮小体ホルモン(PTH)、上皮小体ホルモンの活性断片、成長ホルモンまたは成長ホルモン分泌促進物質、カテプシンK阻害剤、破骨細胞プロトンATPアーゼの阻害剤、HMG−CoA レユクターゼ(reuctase)の阻害剤、インテグリン受容体拮抗薬、PTHなどの骨芽細胞同化剤、カルシトニン、ビタミンDまたは合成ビタミンDアナログ、ならびに医薬的に許容されるその塩および混合物。
【0066】
したがって、本発明は、さらなる実施態様において、先に定義された(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸の多形体とさらなる治療薬または複数の治療薬とを含んでなる組み合わせを提供する。本発明のさらなる実施態様において、先に定義された(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸の多形体とパラセタモールとを含んでなる組み合わせが提供される。
【0067】
前記組み合わせは、便利なことに医薬製剤の形態で使用するために供することができ、そのため、先に定義された組み合わせを医薬的に許容される担体または希釈剤とともに含んでなる医薬製剤は本発明のさらなる態様を構成する。そのような組み合わせの個々の成分は、連続に投与しても、別な医薬製剤もしくは組み合わせた医薬製剤で同時に投与してもよい。
【0068】
本発明の多形体が、同じ疾病に対して活性のある第2の治療薬と組み合わせて使用される場合、各化合物の投与量は、化合物が単独で使用される場合とは異なるであろう。適切な投与量は当業者に容易に認識されるであろう。
【0069】
本発明の一つの実施態様において、EP受容体でのPGEの作用または作用の喪失により媒介される病態を患っているヒトまたは動物の被験体を治療する方法であって、前記被験体に、有効量の先に定義された(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸の多形体およびパラセタモールを投与する工程を含んでなる方法が提供される。本発明の一つの実施態様において、骨障害を患っているヒトまたは動物の被験体を治療する方法であって、前記被験体に、有効量の先に定義された(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸の多形体およびパラセタモールを投与する工程を含んでなる方法が提供される。
【0070】
ヒトの治療のために提案される多形体の1日量は、遊離の酸として計算して、1日あたり0.001から30mg/体重kg、より詳細には1日あたり0.1から3mg/体重kgであり、例えば1日1回から4回など、単一の投与量または分割された投与量として投与できる。成人のヒトの投与量範囲は、遊離の酸として計算して、一般的に0.1から1000mg/日、10から800mg/日など、好ましくは10から200mg/日である。
【0071】
パラセタモールの好適な1日量は1日あたり最大4000mgである。好適な投薬単位には、1日あたり1回、2回、3回、または4回で、200、400、500、および1000mgがある。
【0072】
宿主、特にヒトの患者に投与される多形体の正確な量は担当医の責任であろう。しかし、利用される用量は、患者の年齢および性別、治療される正確な病態およびその重度、投与経路、ならびに実施されるかもしれない併用療法を含むいくつかの因子によるであろう。
【0073】
以下の実施例は本発明を説明するが、どのようにも本発明を限定しない。
【実施例】
【0074】
分析手順
LC/MSデータには、特記されない限り5分法を用いる。
【0075】
LC/MS−5分法
ハードウェア
Agilent 1100 グラジエントポンプ
Agilent 1100 オートサンプラー
Agilent 1100 DAD検出器
Agilent 1100 脱気装置
Agilent 1100 オーブン
Agilent 1100 コントローラー
Waters ZQ質量分析計またはWaters ZMD質量分析計
Sedere セデックス75、Sedere セデックス85、またはPolymer Labs PL−ELS−2100
【0076】
ソフトウェア
Waters マスリンクスバージョン4.0 SP2
【0077】
カラム
使用したカラムは、Waters アトランティスであり、寸法は4.6mm×50mmである。固定相粒径は3μmである。
【0078】
溶媒
A:水性溶媒=水+0.05%ギ酸
B:有機溶媒=アセトニトリル+0.05%ギ酸
【0079】
方法
【0080】
【表5】

【0081】
上記の方法は、流速が3ml/分である。
一般的な方法の注入体積は5μlである。
カラム温度は30度である。
UV検出範囲は220から330nmである。
保持時間はすべて分で測定する。
【0082】
LC/MS−2分法
ハードウェア
Waters Acquity バイナリソルベントマネージャ
Waters Acquity サンプルマネージャ
Waters Acquity PDA
Waters ZQ質量分析計
Sedere セデックス75、Sedere セデックス85、またはPolymer Labs PL−ELS−2100
【0083】
ソフトウェア
Waters マスリンクスバージョン4.1
【0084】
カラム
Acquity UPLC BEH C18 1.7μm 2.1mm×50mm
カラムオーブン40℃に設定
【0085】
溶媒
A:水性溶媒=水0.1%ギ酸+10mM酢酸アンモニウム
B:有機溶媒=MeCN:水 95:5+0.05%ギ酸
弱洗浄液=MeOH:水 50:50
強洗浄液=MeOH
【0086】
装置の設定
注入体積 0.5μl
注入技術 パーシャルループオーバーフィル(partial loop overfill)
弱洗浄 500μl
強洗浄 500μl
UV検出 220から330nm
UVサンプリング速度 毎秒40ポイント
MSスキャン範囲 100から1000amu
MSスキャン速度 0.1秒のスキャン間遅延をいれ0.2秒のスキャン
MSスキャン機能 ポジティブネガティブ切替え付きエレクトロスプレー
サイクル時間 2分30秒
【0087】
グラジエント
【0088】
【表6】

【0089】
NMR
H−NMRスペクトルは、Bruker AVANCE 400 NMR分光計またはBruker DPX250 NMR分光計で記録した。ケミカルシフトはパーツパーミリオン(ppm、δ単位)で表す。カップリング定数(J)はヘルツ(Hz)単位で表す。分裂パターンは明らかな多重度を示し、s(シングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)、dd(ダブルダブレット)、dt(ダブルトリプレット)、m(マルチプレット)、br(ブロード)と記載する。
【0090】
精製技術
実施例の精製は、クロマトグラフィーおよび/または好適な溶媒を利用する再結晶などの従来の方法により実施できる。クロマトグラフ法には、カラムクロマトグラフィー、フラッシュクロマトグラフィー、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)、SFC(超臨界流体クロマトグラフィー)、SCX(強カチオン交換クロマトグラフィー)、およびMDAP(質量分析計直結自動分取)がある。
【0091】
本明細書での「Biotage」という用語は市販の充填済みシリカゲルカートリッジを意味する。
【0092】
質量分析計直結自動分取(MDAP)
カラム
Waters Atlantis:19mm×100mm(小規模);および30mm×100mm(大規模)
固定相粒径、5μm。
【0093】
溶媒
A:水性溶媒=水+0.1%ギ酸
B:有機溶媒=アセトニトリル+0.1%ギ酸
メイクアップ溶媒=メタノール:水 80:20
ニードルリンス溶媒=メタノール
【0094】
方法
対象とする化合物の分析保持時間によって5種の方法を利用した。
(1)大規模/小規模1.0−1.5=5〜30%B
(2)大規模/小規模1.5−2.2=15〜55%B
(3)大規模/小規模2.2−2.9=30〜85%B
(4)大規模/小規模2.9−3.6=50〜99%B
実行時間は13.5分であり、10分間のグラジエント、次いで3.5分間のカラムフラッシュおよび再平衡工程を含んでなる。
(5)大規模/小規模3.6−5.0=80〜99%B
実行時間は13.5分であり、6分間のグラジエント、次いで7.5分のカラムフラッシュ及び再平衡工程を含んでなる。
【0095】
流速
20ml/分(小規模)または40ml/分(大規模)。
【0096】
中間体1:
(3−クロロフェニル)メチル5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルベンゾアート(D1)
【化1】

【0097】
5−ヒドロキシ−2−メチル安息香酸(1.0g、6.6mmol)をDMF(50ml)に溶かした溶液に、炭酸カリウム(1.82g、13.14mmol、2.0当量)および3−クロロベンジルブロマイド(1.72g、13.14mmol、2.0当量)を加えた。混合物を70℃で2時間攪拌し、次いで室温で一晩攪拌した。温度を80℃に上げ、さらに6時間加熱を続けた。冷却後、混合物を酢酸エチル(200ml)で希釈し、水(2×200ml)で洗浄した。有機層を分離し、MgSOで乾燥し、濾過し、蒸発乾固すると、標題化合物2.67gを黄色の油として与えた(24%のモノアルキル化フェノ−ル不純物を含む)。さらに精製はしなかった。MS(ES−)m/z 399[M−H](C221835Cl)。H−NMR(400MHz,CDCl)δ 2.52(3H,s),5.04(2H,s),5.29(2H,s),7.02(1H,dd,J 8.4,J 2.8),7.16(1H,d,J 8.4),7.29−7.34(6H,m),7.43(2H,d,J 1.2),7.54(1H,d,J 2.8)。
【0098】
中間体2:
5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチル安息香酸(D2)
【化2】

【0099】
(3−クロロフェニル)メチル5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルベンゾアート(D1;2.67g、6.66mmol)を1,4−ジオキサン(20ml)および水(10ml)に溶かした溶液を、水酸化リチウム(419mg、9.99mmol、1.5当量)で処理した。得られた混合物をアルゴン下室温で一晩攪拌した。水酸化リチウム(419mg、9.99mmol、1.5当量)をさらに加え、室温で2時間攪拌を続けた。室温で一晩攪拌を続けた。次いで、溶媒を蒸発乾固し、2MのHCl(100ml)とジエチルエーテル(100ml)で分割した。有機層を分離し、疎水性のフリットを通して水を除去し、蒸発乾固すると、白色固体として標題化合物を与えた(1.98g)(12%の不純物を含む)。さらに精製はしなかった。MS(ES−)m/z 275[M−H](C151335ClO)。
【0100】
中間体3:
5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルベンゾイルクロライド(D3)
【化3】

【0101】
5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチル安息香酸(D2;200mg、0.72mmol)および塩化オキサリル(95μl、1.08mmol、1.5当量)をDCM(5ml)に懸濁させた懸濁液に、DMF(1滴)を加えた。得られた混合物を室温で1時間攪拌した。次いで、反応混合物を蒸発乾固し、トルエン(2×50ml)で共沸した。有機層を分離し、乾燥し、真空中で蒸発させると、黄色い固体として標題化合物213mgを与えた。さらに精製はしなかった。LCMSサンプルをメタノールに溶かした。MS(ES+)m/z 291[M+H](C161535ClO)、酸クロライドから生成するメチルエステルに相当する。
【0102】
中間体4:
エチル(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)アセタート(D4)
【化4】

【0103】
5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルベンゾイルクロライド(D3;105mg、0.36mmol)およびエチル(4−アミノ−3−メチルフェニル)アセタート(103mg、0.53mmol、1.5当量)をジクロロメタン(5ml)に懸濁させた懸濁液にトリエチルアミン(74μl、0.53mmol、1.5当量)を加えた。混合物を室温で一晩攪拌した。次いで、混合物をアセトニトリルで希釈し、アセトニトリルで溶離するSCXカートリッジ(5g)により精製した。生成物を含むフラクションを合わせ、蒸発させると、黄色のゴム質として標題化合物174mgを与えた。MS(ES+)m/z 452[M+H](C262635ClNO)。
【0104】
中間体5:
エチル5−ヒドロキシ−2−メチルベンゾア−ト(D5)
【化5】

【0105】
塩化アルミニウム(97g、731mmol)を、アルゴン下で攪拌している16℃のDCM(3L)に30秒かけて加えると、温度が20℃に上昇した。これが溶解し(およそ5分間)温度が18℃に下がった時、エチル2プロピナート(ethyl-2-propynate)(71.7g、731mmol)を加えた。2−メチルフラン(60g、731mmol)をDCM(600ml)に溶かした溶液を、攪拌している前記溶液に35分かけて加え、20.5℃の発熱を測定した。発熱はHuber冷却ユニットにより制御し、添加の間に観察された温度範囲は18℃〜20.5℃であった。添加が終了した後、茶色の反応混合物を20℃で攪拌した。20℃において全体で50分後に、反応混合物を攪拌しながら水(3L)および氷(1kg)に注ぐと、黄色の混合物を得た。これを分液漏斗に移し、激しく揺すった。層を分け、水層をさらにDCM(1L)で抽出した。合わせた有機抽出物を、水(1.5L)で再洗浄し、乾燥し(NaSO)、珪藻土で濾過した。濾液を真空中で濃縮すると、茶色/緑色の油となった。これを、トルエン中(700ml)で2つのBiotage75Lカラムのシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで精製し、溶液を2等分し、それぞれを75Lカラムに通し、400mlのフラクションを集め、以下の溶媒溶離剤系で溶離した。
【0106】
第1カラム:
トルエン(3L)
アセトン/トルエン(3:97)(2.5L)
アセトン/トルエン(6:94)(2.5L)
アセトン/トルエン(9:91)(2.5L)
中程度の分離が得られた。フラクション14を第2のカラム分離に再利用した。
フラクション15〜17を合わせたが、生成物を含んでいた。
【0107】
第2カラム:
トルエン(3L)
アセトン/トルエン(1:99)(2.5L)
アセトン/トルエン(3:97)(2.5L)
アセトン/トルエン(4:96)(2.5L)
アセトン/トルエン(5:95)(2.5L)
中程度の分離が得られた。フラクション17は混合物であり、第3のカラム分離に再利用した(17g)。
フラクション18〜23を合わせたが、生成物を含んでいた。
【0108】
第3カラム:
混合物をトルエン(50ml)に溶かした溶液としてBiotage 75Mカラムに加え、以下のとおり溶離して、200mlフラクションを集めた。
酢酸エチル/イソヘキサン(5:95)(1.5L)
酢酸エチル/イソヘキサン(1:9)(2.5L)
酢酸エチル/イソヘキサン(15:85)(.2L)
適度な分離が得られた。
フラクション19〜28を合わせたが、生成物を含んでいた。
【0109】
生成物フラクションのプール:
F15〜17(C1)
F18〜23(C2)
F19〜28(C3)
これらを合わせ、真空中で濃縮すると黄色い油となり、真空下室温で4時間乾燥すると凝固した:重量=41.7g、(0.231mol、32%)。MS(ES) [C1012−H] 179。H−NMR(400MHz)δ 1.38(3H,t,J 7.2),2.51(3H,s),4.35(2H,q,J 7.2),5.36(1H,s),6.91(1H,dd,J 8.4,2.8),7.10(1H,d,J 8.0),7.43(1H,d,J 2.8)。
【0110】
中間体6:
エチル5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルベンゾアート(D6)
【化6】

【0111】
エチル5−ヒドロキシ−2−メチルベンゾアート(D5;39.06g、217mmol)、3−クロロベンジルブロマイド(31.3ml、238mmol)、および炭酸カリウム(44.9g、325mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(1000ml)に懸濁させた懸濁液を室温で18時間攪拌した。次いで、反応を濾過し、酢酸エチル(2L)で希釈し、水(2L、次いで3×1L)および塩水(1L)で洗浄し、疎水性フリットで濾過し、濃縮すると、薄黒い黄色の油として標題化合物(68.61g)を与えたが、さらに精製せずに使用した。MS(ES)[C171735ClO +H] 305。H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ 1.31(3H,t,J 7.2),2.42(3H,s),4.28(2H,q,J 7.2),5.14(2H,2),7.13−7.16(1H,m),7.19−7.23(1H,m),7.33−7.45(4H,m),7.54−7.55(1H,m)。
【0112】
中間体7:
5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチル安息香酸(D7)
【化7】

【0113】
エチル5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルベンゾアート(D6;79g、259mmol)を1,4−ジオキサン(1L)および水(0.5L)に溶かした溶液に、水酸化リチウム(16.3g、389mmol)を加えた。反応混合物を65℃で5時間攪拌し、放冷し室温で14時間放置した。反応を濃縮して1,4−ジオキサンを除去し、得られた茶色の水溶液をジエチルエーテル(3×1L)で洗浄した。次いで、水層を2NのHCl(およそ200ml)で酸性化し、生じた沈殿物を濾過し水で洗浄すると、黄色い固体を与えた。これを真空オーブン中で40℃で一晩乾燥すると、黄色い固体として標題化合物(66.38g)を与えた。MS(ES)[C151335ClO−H] 275。H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ 2.43(3H,s),5.14(2H,s),7.10−7.13(1H,m),7.21−7.23(1H,m),7.38−7.47(4H,m),7.52(1H,s)。
【0114】
中間体8:
エチルフェニルメチル(3−メチル−4−ニトロフェニル)プロパンジオアート(D8)
【化8】

【0115】
水素化ナトリウム(19.09g、477mmol)を、エチルフェニルメチルプロパンジオアート(D8;115ml、477mmol)をDMF(500ml)に溶かした氷冷溶液に、30分かけて少量ずつ加えた。添加が終了すると、反応を室温に温めた。30分間攪拌した後、4−フルオロ−2−メチル−1−ニトロベンゼン(30ml、239mmol)をDMF(250ml)に溶かした溶液を加え、反応を100℃に加熱し、アルゴン雰囲気下でこの温度で16時間攪拌した。次いで、反応を室温で72時間静置した。攪拌および冷却(氷浴)しながら濃HCl(約100ml)で反応を停止し、酢酸エチル(2L)で希釈し、水(3×2L)、塩水(1L)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮すると、薄黒い黄色の油(約150g)を与えた。精製はシリカクロマトグラフィーにより、1500gカートリッジを使い、サンプルをトルエン溶液としてプレコンディションしたカラムに添加した。ペンタン中0から5%のアセトンのグラジエントにより、より速く流れる成分を溶離し、次いでイソヘキサン中5から15%アセトンのグラジエントが過剰のベンジルエチルマロナートおよび必要な生成物を溶離した。生成物を含有するフラクションを濃縮すると、薄い黄色の油として標題化合物を与えた(71.21g)。MS(ES)[C1919NO −H] 356。H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ 1.14(3H,t,J 7),2.50(3H,s),4.01−4.21(2H,m),5.14−5.25(2H,m),5.27(1H,s),7.28−7.49(7H,m),8.00(1H,d,J 8)。
【0116】
中間体9:
エチル(4−アミノ−3−メチルフェニル)アセタート(D9)
【化9】

【0117】
バッチ1:エチルフェニルメチル(3−メチル−4−ニトロフェニル)プロパンジオアート(35g、98mmol)をエタノール(500ml)に溶解させ、10%パラジウム/木炭(3.13g、2.94mmol)を使用して、大気圧で水素化を行った。18時間後、少量のサンプルを分析のために除いた。セライトを通す濾過により触媒を除き、新たな触媒パラジウム/木炭(3.13g、2.94mmol)を反応混合物に加えた。反応を再び3時間行った。水素化をさらに3時間続けた。水素化貯蔵器に補充し、反応を一晩続けた。セライトを通す濾過により触媒を除き、新たな触媒パラジウム/木炭(3.13g、2.94mmol)を反応混合物に加えた。反応を再び3時間行った。これらの条件下での週末の攪拌後に、反応混合物をバッチ2の同等な反応混合物に加えた。
【0118】
バッチ2:エチルフェニルメチル(3−メチル−4−ニトロフェニル)プロパンジオアート(35g、98mmol)をエタノール(500ml)に溶解し、10%パラジウム/木炭(3.13g、2.94mmol)を使用して大気圧で水素化を行った。2時間後、分析のためにサンプルを取った。貯蔵器に水素を補充し、反応を一晩続けた。セライトを通す濾過により触媒を除き、新たな触媒パラジウム/木炭(3.13g、2.94mmol)を反応混合物に加えた。反応を再び3時間行った。週末の間反応混合物をこれらの条件下で放置した後、バッチ1の反応混合物(同等な反応混合物)と合わせ、セライトを通す濾過をすると、無色の濾液を与えた。この溶液を濃縮すると、油状の固体となった(重量=31.9g)。この混合物に、トルエン(200ml)を加え、不溶性の白色ゴム質から混合物を濾過した(重量=0.65g)。濾液を、以下の酢酸エチル/イソヘキサングラジエント混合物で溶離し400mlのフラクションを集めるシリカゲルBiotage75Lクロマトグラフィーカラムに通した。
酢酸エチル/イソヘキサン
440ml:2500ml(15%)
833:2500ml(25%)
1000:1900ml(35%)
800:1250ml(40%)
【0119】
フラクション13〜19を合わせて濃縮すると、油として標題化合物を与えたが、真空下室温で2時間乾燥すると凝固した(重量=24.5g)。MS(ES)[C1115NO+H] 194。H−NMR(400MHz,d−CDCl)δ 1.25(3H,t,J 7),2.15(3H,s),3.48(s,2H),3.56(2H,br.s),4.13(2H,q,J 7),6.63(1H,d,J 8),6.93−6.97(2H,m)。
【0120】
中間体10:
エチル(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)アセタート(D10)
【化10】

【0121】
5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチル安息香酸(D7;31.8g、115mmol)をジクロロメタン(1.14L)に懸濁させたアルゴン下20℃で攪拌している懸濁液に、塩化オキサリル(15.1ml、173mmol)をおよそ1分かけて加えた。その後、N,Nジメチルホルムアミド(2ml、25.8mmol)を3分かけて加えると、気体の発生を伴ったが顕著な温度上昇はなかった。およそ15分以内に懸濁液は溶解し、より色の濃い茶色になった。混合物をアルゴン下20℃で、全部で75分間攪拌した。75分後に、反応混合物を真空中で蒸発させるとクリーム色の固体となり、真空下室温で1時間乾燥した。次いで固体をジクロロメタン(900ml)に再溶解させ、アルゴン下20℃で攪拌している溶液に、エチル(4−アミノ−3−メチルフェニル)アセタート(D9;24.4g、126mmol)をジクロロメタン(240ml)に溶かした溶液およびトリエチルアミン(24ml)を同時に10〜15分かけて加えた。この時間の間、反応の温度上昇は20℃から30℃であり、その後ゆっくりと室温まで下がった。茶色の溶液をアルゴン下室温で14時間攪拌した。14時間の攪拌後、茶色の溶液を水(2×1L)で洗浄した。合わせた水性洗浄液をジクロロメタン(500ml)で再抽出し、有機抽出物を全て合わせ、乾燥し(MgSO)、真空中で蒸発させると茶色の油状固体になり、これを真空下室温で0.5時間乾燥した(重量=51.7g)。この物質をジクロロメタン(200ml)に溶解させ、溶液を、以下のとおり酢酸エチル/イソヘキサングラジエント混合物で溶離し400mlのフラクションを集めるBiotage75Lシステムでカラムクロマトグラフにかけた。
酢酸エチル/イソヘキサン
440ml/2500ml(15%)
833ml/2500ml(25%)
2016ml/3750ml(35%)
【0122】
フラクション15〜20を合わせ濃縮して桃色の固体とし、真空下室温で2時間乾燥した(重量=43.2g)。この固体をジエチルエーテル(100ml)とともに室温で1時間攪拌し、上清中の色をほとんど除いた。灰色がかった白色の固体を濾過し、真空下40℃で4時間乾燥した。重量=40.8g。MS(ES)[C262635ClNO+H] 452。H−NMR(400MHz)δ 1.26(3H,t,J 7.2),2.26(3H,s),2.45(3H,s),3.57(2H,s),4.15(2H,q,J 7.2),5.06(2H,s),6.95−7.33(10H,m),7.94(1H,d,J 8)。
【0123】
実施例1:
(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸の調製
【化11】

【0124】
上述の中間体4の調製から得たエチル(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)アセタート(174mg、0.39mmol)を酢酸(10ml)および2MのHCl(10ml)に溶解させ、90℃に2時間加熱した。反応混合物を放冷し、室温で一晩攪拌を続けた。反応混合物を酢酸エチル(50ml)で抽出し、疎水性フリットを使用して乾燥し、次いで蒸発乾固すると、黄色の固体/ゴム質155mgを与えた。これをMDAPにより精製すると、白色の固体として標題化合物39mgを与えた。MS(ES+)m/z 424[M+H](C242235ClNO)。H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ 2.24(3H,s),2.34(3H,s),3.52(2H,s),5.17(2H,s),7.02−7.15(4H,m),7.22(1H,d,J 8.4),7.31(1H,d,J 8.0),7.39−7.44(3H,m),7.53(1H,s),9.71(1H,s),12.33(1H,bs)。
【0125】
実施例2:
(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸の大規模調製
【化12】

【0126】
エチル(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)アセタート(D10;39.8g、88mmol)を1,4−ジオキサン(700ml)に溶かしたアルゴン下室温で攪拌している溶液に、水酸化リチウム一水和物(5.5g、131mmol)を水(400ml)に溶かした溶液を加え、次いで攪拌している桃色の溶液を65℃のブロック温度に加熱した。反応中に、以下の内部温度を書き留めた。
t=0分 20℃
t=40分 47℃
t=60分 50℃
t=75分 50℃
【0127】
75分後、反応混合物を40℃に冷却し、真空中で濃縮し(浴の温度40℃)、650mlの溶媒を除いたが、その時点で反応混合物中に結晶化が起こり始めた。ここで、2Mの塩酸(150ml)を混合物に加えると、結晶化がさらに進み、色が桃色から黄色に変わった。上清を測定するとpH1であり、混合物をさらに濃縮して、さらに80mlの溶媒を除いた。次いで、攪拌している混合物を氷浴中で5℃に冷却し、0.5時間後濾過して除き、水で洗浄し(3×150ml)、吸引により乾燥し、次いで真空下40℃で20時間さらに乾燥した(重量=37.4g)。MS(ES)[C242235ClNO+H] 424。H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ 2.24(3H,s),2.35(3H,s),3.53(2H,s),5.17(2H,s),7.02−7.53(10H,m),9.72(1H,s),12.35(1H,br.s)。
【0128】
実施例3:
(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸−形態1シード物質の調製
部分的に結晶質のおよそ300mgの(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸を1mLのシクロヘキサノンに溶解させた。結晶化が起きるまで、溶液を約3℃の冷蔵庫内に数時間置いた。次いで、固体を真空下で濾過し、真空下40℃で一晩乾燥した。
【0129】
実施例4:
(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸−形態1の調製
部分的に結晶質の(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸をMeCNに加えた約50mg/mLのスラリーを準備した(例えば、4mL中200mg)。スラリーを室温で穏やかに攪拌した。およそ10mgの形態1シード物質(実施例3の手順から得られる)をスラリーに加え、室温で48時間攪拌を継続した。次いで、スラリーを真空下で濾過し、真空中40℃で一晩乾燥した。
【0130】
実施例5:
(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸−形態2の調製
部分的に結晶質の(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸をMeCNに加えた約50mg/mLのスラリーを準備した(例えば、4mL中200mg)。スラリーを、48時間連続して攪拌しながら、1時間ブロックで0〜40℃の温度サイクルにかけた。次いで、スラリーを真空下で濾過した。濾過された物質を真空中40℃で一晩乾燥した。
【0131】
特性化データ
選択された多形体のために、以下の特性化データを生成させた。
【0132】
1.X線粉末回折(XRPD)分析
XRPDデータは、X’celerator検出器を備えたPANalytical X’Pert Pro粉末回折計で得た。取得条件は以下のとおりだった:照射:CuKα、発生器電圧:40kV、発生器電流:45mA、開始角度:2.0°2θ、終了角度:40.0°2θ、ステップサイズ:0.0167°2θ。数ミリグラムのサンプルをSiウェハ(ゼロバックグラウンド)プレートに載せ、パウダーの薄膜を作ることにより、サンプルを調製した。
【0133】
形態1および2のX線粉末回折(XRPD)データをそれぞれ図1および3に示し、形態1および2の重ね書きしたXRPDパターンを図5に示す。
【0134】
2.熱分析
示差走査型熱量測定(DSC)データは、TA Instruments熱量計を利用して得た。サンプルをアルミニウムパンに秤量し、パンのフタを上にかぶせ、軽く圧着した。実験は毎分10℃の加熱速度で実施した。
【0135】
形態1および2の結果をそれぞれ図2および4に示す。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のピークを含んでなるX線粉末回折(XRPD)回折画像を与える、(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸の多形体(形態1)。
【表1】

【請求項2】
以下のピークを含んでなるX線粉末回折(XRPD)回折画像を与える、請求項1に記載の多形体。
【表2】

【請求項3】
実質的に図1に示すX線粉末回折(XRPD)パターンを与える、請求項1または2に記載の多形体。
【請求項4】
DSCにより測定したときに、典型的に164〜174℃の範囲の溶融開始温度を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多形体。
【請求項5】
実質的に図2に示すDSC熱分析曲線を与える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の多形体。
【請求項6】
以下のピークを含んでなるX線粉末回折(XRPD)回折画像を与える、(4−{[(5−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−2−メチルフェニル)カルボニル]アミノ}−3−メチルフェニル)酢酸の多形体(形態2)。
【表3】

【請求項7】
以下のピークを含んでなるX線粉末回折(XRPD)回折画像を与える、請求項6に記載の多形体。
【表4】

【請求項8】
実質的に図3に示すX線粉末回折(XRPD)パターンを与える、請求項6または7に記載の多形体。
【請求項9】
DSCにより測定したときに、典型的に154〜164℃の範囲の溶融開始温度を有する、請求項6〜8のいずれか一項に記載の多形体。
【請求項10】
実質的に図4に示すDSC熱分析曲線を与える、請求項6〜9のいずれか一項に記載の多形体。
【請求項11】
単離された形態の、請求項1〜10のいずれか一項に記載の多形体。
【請求項12】
純粋な形態の、請求項1〜10のいずれか一項に記載の多形体。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の多形体、および医薬的に許容される担体または希釈剤を含んでなる、医薬組成物。
【請求項14】
EP受容体でのPGEの作用または作用の喪失により媒介される病態の治療に使用するための、請求項1〜12のいずれか一項に記載の多形体。
【請求項15】
骨障害の治療に使用するための、請求項1〜12のいずれか一項に記載の多形体。
【請求項16】
EP受容体でのPGEの作用または作用の喪失により媒介される病態を患っているヒトまたは動物の被験体を治療する方法であって、前記被験体に、有効量の請求項1〜12のいずれか一項に記載の多形体を投与する工程を含んでなる、方法。
【請求項17】
骨障害を患っているヒトまたは動物の被験体を治療する方法であって、前記被験体に、有効量の請求項1〜12のいずれか一項に記載の多形体を投与する工程を含んでなる、方法。
【請求項18】
EP受容体でのPGEの作用または作用の喪失により媒介される病態の治療用の医薬を製造するための、請求項1〜12のいずれか一項に記載の多形体の使用。
【請求項19】
骨障害の治療用の医薬を製造するための、請求項1〜12のいずれか一項に記載の多形体の使用。
【請求項20】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の多形体、および医薬的に許容される担体または希釈剤を含んでなる、医薬組成物。
【請求項21】
1種以上の追加の治療薬を含んでなる、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記病態が疼痛である、請求項14に記載の多形体、または請求項16に記載の方法、または請求項18に記載の使用。
【請求項23】
前記疼痛病態が、慢性関節痛;筋骨格痛;腰痛および頸部痛;捻挫および筋違い;神経因性疼痛;交感神経依存性疼痛;筋炎;ガンおよび線維筋痛症に関連する疼痛;偏頭痛に関連する疼痛;インフルエンザまたは他のウイルス感染症に関連する疼痛;リウマチ熱;機能性腸障害に関連する疼痛;心筋虚血に関連する疼痛;術後疼痛;頭痛;歯痛;および月経困難症からなる群から選択される、請求項22に記載の多形体または方法または使用。
【請求項24】
前記骨障害が、骨折の治癒、骨の移植、歯周適応症、および悪性骨腫瘍、例えば骨肉腫からなる群から選択される、請求項15に記載の多形体、または請求項17に記載の方法、または請求項19に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−522857(P2011−522857A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512949(P2011−512949)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【国際出願番号】PCT/EP2009/057008
【国際公開番号】WO2009/150119
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】