説明

(E)−7−(3−(2−アミノ−1−フルオロエチリデン)ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸のプロドラッグ

本発明は、(E)−7−(3−(2−アミノ−1−フルオロエチリデン)ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸のプロドラッグ、これらを含有する医薬組成物、並びに、病原性微生物に対する、特に耐性菌に対する、抗菌剤としての上記プロドラッグ及び医薬組成物の使用を目的とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2010年1月11日出願の米国特許仮出願第61/293,870号の利益を主張する。前述の関連特許出願の開示全体は、全ての目的のために参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、(E)−7−(3−(2−アミノ−1−フルオロエチリデン)ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸のプロドラッグ、これらを含有する医薬組成物、並びに、病原性微生物に対する、特に耐性菌に対する、抗菌剤としての上記プロドラッグ及び医薬組成物の使用を目的とする。
【背景技術】
【0003】
Grant III,E.B.らは、米国特許第7,179,805(B2)号(2007年2月20日発行)において、抗菌剤として有用な7−アミノアルキリデニル−複素環式キノリン及びナフチリドンを開示している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、式(I)の化合物:
【0005】
【化1】

式中、
1は、
【0006】
【化2】

及び−P(O)(OR72からなる群から選択され、
3は、水素、低級アルキル、ベンジル、−CH2CO2H、−(CH24NH2及び−CH2N(CH32からなる群から選択され、
4は水素及び低級アルキルからなる群から選択され、
5は、水素、
【0007】
【化3】

及び−C(O)−(CH22−C(O)−mPEG(2000)からなる群から選択され、
6は、低級アルキル及び−(CH24−NH2からなる群から選択され、
各R7は、独立して、低級アルキルから選択される、及びこれらの製薬学的に許容可能な塩を目的とする。
【0008】
本発明は、式(II)の化合物:
【0009】
【化4】

式中、R2は、低級アルキルである、及びこれらの製薬学的に許容可能な塩を更に目的とする。
【0010】
本発明は更に、式(I)の化合物を調製するためのプロセスを更に目的とする。本発明は、式(II)の化合物を調製するためのプロセスを更に目的とする。本発明は、本明細書に記載のプロセスに従って製造される生成物を更に目的とする。
【0011】
本発明の実例は、本明細書に記載のような製薬学的に許容可能な担体と、式(I)の化合物又は式(II)の化合物と、を含む医薬組成物である。本発明の実例は、本明細書に記載のような式(I)の化合物又は式(II)の化合物と、製薬学的に許容可能な担体と、を混合することにより作製される医薬組成物である。本発明の実例は、本明細書に記載のような式(I)の化合物又は式(II)の化合物と、製薬学的に許容可能な担体と、を混合することを含む、医薬組成物の作製プロセスである。
【0012】
本発明の化合物及び上記化合物を含有する組成物は、哺乳類に投与された場合に、これらが広範囲の病原性微生物に対して活性を有する作用剤へと変換されることにより有効な抗菌剤であり、耐性菌に対し活性であるという利点を有することが判明している。更に、本発明の化合物は、製薬学的に許容可能なpHでの静脈内投与に適切な水溶解度などの好適な製薬学的特性を有する。したがって、本発明は、治療的に有効な量の本明細書に記載の式(I)の化合物又は式(II)の化合物を上記哺乳類に投与することを含む、細菌感染により生じる又は細菌感染が一因となる状態を有する患者の処置方法を更に目的とする。
【0013】
本発明は、治療的に有効な投与量の式(I)の化合物又は式(II)の化合物の医薬組成物を、細菌感染により生じる又は細菌感染が一因となる状態を処置する必要のある患者に投与することを含む、患者が、細菌感染により生じる又は細菌感染が一因となる状態に罹患することを予防する方法を更に目的とする。
【0014】
本発明は、細菌感染細菌感染により生じる又は細菌感染が一因となる状態を処置及び/又は予防するための医薬品を調製するために、細菌感染により生じる又は細菌感染が一因となる状態を処置する必要のある患者に式(I)の化合物又は式(II)の化合物を使用することを更に目的とする。一実施形態では、本発明は、薬剤耐性菌と関連する細菌感染により生じる又は細菌感染が一因となる状態を処置及び/又は予防するための医薬品を調製するために、細菌感染により生じる又は細菌感染が一因となる状態を処置する必要のある患者に、式(I)の化合物又は式(II)の化合物を使用することを目的とする。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、式(I)の化合物:
【0016】
【化5】

式中、R1は、本明細書に定義されている通りである、及びこれらの製薬学的に許容可能な塩を目的とする。本発明は、式(II)の化合物:
【0017】
【化6】

式中、R2は、本明細書に定義されている通りである、及びこれらの製薬学的に許容可能な塩を更に目的とする。式(I)の化合物及び式(II)の化合物はプロドラッグであり、哺乳類に投与されると、式(M)の化合物に変換される。
【0018】
【化7】

式(M)の化合物は、(E)−7−(3−(2−アミノ−1−フルオロエチリデン)ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸としても知られている。したがって、式(I)の化合物及び式(II)の化合物は、病原性微生物、好ましくは耐性菌、により生じる感染症又は伝染病の処置に有用である。
【0019】
本発明の一実施形態では、R1は、
【0020】
【化8】

である。本発明の一実施形態では、R1は、
【0021】
【化9】

であり、その立体中心は、好ましくは、約75% ee以上の(S)立体配置のエナンチオマー過剰率で、好ましくは約85% ee以上の(S)立体配置のエナンチオマー過剰率で、より好ましくは約95% ee以上の(S)立体配置のエナンチオマー過剰率で、更により好ましくは約99% ee以上の(S)立体配置のエナンチオマー過剰率で、存在する。
【0022】
本発明の一実施形態では、R3は、水素、メチル、イソプロピル、イソブチル、ベンジル、−CH2CO2H、−(CH24NH2及び−CH2N(CH32からなる群から選択される。
【0023】
本発明の一実施形態では、R4は、水素、メチル及びエチルからなる群から選択される。本発明の別の実施形態では、R4は、水素及びメチルからなる群から選択される。本発明の別の実施形態では、R4は水素である。
【0024】
本発明の一実施形態では、R5は、水素、
【0025】
【化10】

及び−C(O)−(CH22−C(O)−mPEG(2000)からなる群から選択される。本発明の別の実施形態では、R5は、水素、
【0026】
【化11】

からなる群から選択される。
【0027】
本発明の一実施形態では、R5は、
【0028】
【化12】

であり、その立体中心は、約75% ee以上の(S)立体配置のエナンチオマー過剰率で、好ましくは約85% ee以上の(S)立体配置のエナンチオマー過剰率で、より好ましくは約95% ee以上の(S)立体配置のエナンチオマー過剰率で、更により好ましくは約99% ee以上の(S)立体配置のエナンチオマー過剰率で、存在する。
【0029】
本発明の別の実施形態では、R5は、
【0030】
【化13】

であり、その立体中心は、約75% ee以上の(S)立体配置のエナンチオマー過剰率で、好ましくは約85% ee以上の(S)立体配置のエナンチオマー過剰率で、より好ましくは約95% ee以上の(S)立体配置のエナンチオマー過剰率で、更により好ましくは約99% ee以上の(S)立体配置のエナンチオマー過剰率で、存在する。
【0031】
本発明の一実施形態では、R1は、
【0032】
【化14】

である。本発明の一実施形態では、R1は、
【0033】
【化15】

である。本発明の一実施形態では、R6は、メチル、イソプロピル及び−(CH24NH2からなる群から選択される。本発明の別の実施形態では、R1は、
【0034】
【化16】

である。本発明の一実施形態では、R1は、
【0035】
【化17】

である。本発明の別の実施形態では、R1は、
【0036】
【化18】

である。
【0037】
本発明の一実施形態では、R1は、
【0038】
【化19】

からなる群から選択される。
【0039】
本発明の別の実施形態では、R1は、
【0040】
【化20】

からなる群から選択される。本発明の別の実施形態では、R1は、
【0041】
【化21】

からなる群から選択される。本発明の別の実施形態では、R1は、
【0042】
【化22】

からなる群から選択される。
【0043】
本発明の一実施形態では、R1は、−PO(OR72からなる群から選択され、式中、各R7は独立して低級アルキルから選択される。本発明の別の実施形態では、各R7は、メチル、エチル、イソプロピル及びt−ブチルからなる群から選択される。本発明の別の実施形態では、R7基はどちらも同一であり、低級アルキルから選択される。本発明の別の実施形態では、R7基はどちらも同一であり、メチル、エチル、イソプロピル及びt−ブチルからなる群から選択される。本発明の別の実施形態では、R7基はどちらも同一であり、エチルである。
【0044】
本発明の一実施形態では、R2は、メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル及びt−ブチルからなる群から選択される。本発明の別の実施形態では、R2は、エチル及びイソプロピルからなる群から選択される。
【0045】
本発明の更なる実施形態としては、本明細書に定義されている可変因子(すなわち、R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7)の1つ以上について選択される置換基が、本明細書に定義されている通りの完全なリストから選択される任意の個々の置換基又は任意の置換基のサブセットであるように、独立して選択されるものが挙げられる。本発明の代表的な化合物は以下の表1〜2に列挙されているようなものである。本発明の別の実施形態は、以下の表1〜2に列挙されている代表的な化合物から選択される任意の単一の化合物又は化合物のサブセットである。
【0046】
【表1−1】

【0047】
【表1−2】

【0048】
【表1−3】

【0049】
【表2】

【0050】
更なる実施形態では、本発明は、以下からなる群から選択される1つ以上の式(I)の化合物を目的とする:
7−{3−[2−((2S)−2−アミノ−3−メチル−ブチリルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩(化合物1)、
7−(3−{2−[(2S)−2−((2S)−2−アミノ−プロピオニルアミノ)−プロピオニルアミノ]−1−フルオロ−エチリデン}−ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩(化合物2)、
7−{3−[2−((2S)−2−アミノ−3−フェニル−プロピオニルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩(化合物3)、
7−{3−[2−((2S)−2−アミノ−プロピオニルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩(化合物4)、
7−{3−[2−((2S)−2−アミノ−3−カルボキシ−プロピオニルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩(化合物5)、
7−{3−[2−(2−アミノ−アセチルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩(化合物6)、
1−シクロプロピル−6−フルオロ−7−{3−[1−フルオロ−2−((2S)−2−メチルアミノ−プロピオニルアミノ)−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩(化合物7)、
1−シクロプロピル−6−フルオロ−7−{3−[1−フルオロ−2−(5−メチル−2−オキソ−[1,3]ジオキソール−4−イルメトキシカルボニルアミノ)−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(化合物8)、
1−シクロプロピル−7−{3−[2−((2S)−2,6−ジアミノ−ヘキサノイルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸二塩酸塩(化合物9)、
7−(3−{2−[(2S)−2−((2S)−2−アミノ−プロピオニルアミノ)−4−メチル−ペンタノイルアミノ]−1−フルオロ−エチリデン}−ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩(化合物10)、
1−シクロプロピル−7−{3−[2−(ジエトキシ−ホスホリルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸ナトリウム塩(化合物13)、
7−{3−[2−((2S)−2−アミノ−3−ジメチルアミノ−プロピオニルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸二塩酸塩(化合物14)、
1−シクロプロピル−7−[3−(2−{[(2S)−1−((2S)−2,6−ジアミノ−ヘキサノイル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸二塩酸塩(化合物15)、
7−(3−{2−[2−((2S)−2−アミノ−4−カルボキシ−ブチリルアミノ)−アセチルアミノ]−1−フルオロ−エチリデン}−ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩(化合物16)、及び
【0051】
【化23】

(化合物17)。
【0052】
別の実施形態では、本発明は、1−シクロプロピル−7−[3−(2−{[(2S)−1−((2S)−2,6−ジアミノ−ヘキサノイル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(化合物15)及びその製薬学的に許容可能な塩、例えば、対応する二塩酸塩、からなる群から選択される化合物を目的とする。
【0053】
別の実施形態では、本発明は、以下からなる群から選択される1つ以上の式(II)の化合物及びこれらの製薬学的に許容可能な塩を目的とする:
7−[3−(2−アミノ−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸エチルエステル塩酸塩(化合物11)、及び
7−[3−(2−アミノ−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸イソプロピルエステル塩酸塩(化合物12)。
【0054】
本明細書で使用するとき、用語「アルキル」は単独でも置換基の一部として使用する場合でも、直鎖及び分枝鎖を含む。例えば、アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル及びこれらに類するを含む。特に断りがない限り、「低級」は、アルキルと共に使用される場合、炭素原子が1〜4個の炭素鎖組成を意味する。したがって、低級アルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、及びt−ブチルを包含するものとする。
【0055】
特定の基が「置換された」(例えば、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、など)場合、その基は、置換基のリストから独立して選択される1個又はそれ以上の置換基、好ましくは1〜5個の置換基、より好ましくは1〜3個の置換基、最も好ましくは1〜2個の置換基を有してもよい。
【0056】
置換基に関連して、用語「独立して」は、そのような置換基が1つ以上存在し得る場合に、同一でも、又は互いに異なっていてもよいことを意味する。
【0057】
本明細書で使用するとき、表記「*」は、立体中心の存在を示すものとする。本発明による化合物が少なくとも1つのキラル中心を有する場合、したがってこの化合物はエナンチオマーとして存在し得る。化合物が2つ以上のキラル中心を持つ場合、この化合物はジアステレオマーとして存在し得る。このような異性体全て及びこれらの混合物が本発明の範囲内に包括されることが理解されるであろう。好ましくは、化合物がエナンチオマーとして存在する場合、エナンチオマーは、約80%以上のエナンチオマー過剰率、より好ましくは、約90%以上のエナンチオマー過剰率、更に好ましくは、約95%以上のエナンチオマー過剰率、更により好ましくは約98%以上のエナンチオマー過剰率、最も好ましくは、約99%以上のエナンチオマー過剰率で存在する。同様に、化合物がジアステレオマーとして存在する場合、ジアステレオマーは、約80%以上のジアステレオマー過剰率で、より好ましくは約90%以上のジアステレオマー過剰率で、更により好ましくは約95%以上のジアステレオマー過剰率で、更により好ましくは約98%以上のジアステレオマー過剰率で、最も好ましくは約99%以上のジアステレオマー過剰率で存在する。
【0058】
更に、本発明の化合物のいくつかの結晶形態は多型として存在することができ、そのようなものは、本発明に含まれることが意図される。加えて、本発明のいくつかの化合物は、水との溶媒和物(すなわち、水和物)又は一般的な有機溶媒との溶媒和物を形成することができ、そのような溶媒和物も、本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0059】
明細書、特にスキーム及び実施例で使用される略語は、以下の通りである。
【0060】
【表3】

【0061】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「単離された形態」は、化合物が、別の化合物(一種又は複数)との任意の固体混合物、溶媒系又は生物学的環境から分離された形態で存在することを意味するものとする。本発明の一実施形態では、式(I)の化合物は単離形態として存在し及び/又は調製される。本発明の別の実施形態では、式(II)の化合物は単離形態として存在し及び/又は調製される。
【0062】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「実質的に純粋な化合物」は、単離された化合物中の不純物のモルパーセントが、約5モルパーセント未満、好ましくは約2モルパーセント未満、より好ましくは約0.5モルパーセント未満、最も好ましくは約0.1モルパーセント未満であることを意味するものとする。本発明の一実施形態では、式(I)の化合物は、実質的に純粋な化合物として存在し及び/又は調製される。本発明の別の実施形態では、式(II)の化合物は、実質的に純粋な化合物として存在し及び/又は調製される。
【0063】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「対応する塩形態を実質的に含まない」は、式(I)の化合物又は式(II)の化合物を説明するために用いるとき、単離した式(I)又は式(II)の化合物の塩基中の対応する塩形態のモルパーセントが、約5モルパーセント未満、好ましくは約2モルパーセント未満、より好ましくは約0.5モルパーセント未満、最も好ましくは約0.1モルパーセント未満であることを意味するものとする。本発明の一実施形態では、式(I)の化合物は、対応する塩形態を実質的に含まない化合物として存在し及び/又は調製される。本発明の別の実施形態では、式(II)の化合物は、対応する塩形態を実質的に含まない化合物として存在し及び/又は調製される。
【0064】
本明細書で使用するとき、用語「予防的に有効な量」は、細菌感染と関連する状態、症状又はこれらの発現を予防する活性化合物又は薬剤の量を意味する。したがって、この量は、研究者、獣医、医師又は他の臨床医により求められている、処置されている疾病又は疾患の症状の緩和を含む組織系、動物又はヒト内で生体応答又は薬物反応を引き出す。
【0065】
用語「薬物耐性」又は「薬物抵抗力」は、抗生物質などの現在入手可能な抗菌剤がその日常的な有効濃度で存在している中でも生存するという病原菌の特性を指す。
【0066】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、「処置する」、「処置」などの用語は、疾患、病状、又は障害への対処を目的とする、患者又は罹病者(好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト)の管理及びケアを包含し、並びに症状若しくは合併症の発現の予防、症状若しくは合併症の緩和、又は疾患、病状、若しくは障害の除去のための、本発明の化合物の投与を包含するものとする。
【0067】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「予防」は、(a)1つ以上の症状の頻度の低減、(b)1つ以上の症状の重篤度の軽減、(c)更なる症状の発現の遅延化若しくは回避、並びに/又は、(d)疾患若しくは状態の発現の遅延化若しくは回避、を含むものとする。
【0068】
本発明が予防方法を目的とする場合、この方法を必要とする患者(すなわち、予防を必要とする患者)が、予防されるべき障害、疾患、若しくは病状のうち少なくとも1つの症状を経験又は示しているいずれの患者あるいは罹病者(好ましくは哺乳類、より好ましくはヒト)をも包含することを、当業者は理解するであろう。加えて、この方法を必要とする患者は更に、予防されるべき障害、疾患又は病状のいずれの症状も示していないが、それらの障害、疾患又は病状の発現のリスクがあると医師、臨床医又は他の医療専門家によって見なされている患者(好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト)であってもよい。例えば、限定されるものではないが、家族暦、個体素因、合併(併発)障害又は合併(併発)症状、遺伝子検査などを含めた、患者の診療歴の結果として、患者は、障害、疾患、又は病状の発現のリスクがあると(及びそれゆえ、予防又は予防処置の必要があると)見なされる場合がある。
【0069】
用語「患者」は、本明細書で使用するとき、処置、観察又は実験の対象である動物、好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトを指す。好ましくは、患者は、処置及び/又は予防すべき疾病又は疾患の少なくとも1つの症状を経験し及び/又は示している。
【0070】
本明細書で使用するとき、用語「治療的に有効な量」は、研究者、獣医、医師又は他の臨床医により求められている、処置されている疾病又は疾患の症状の緩和を含む生体学的反応又は医薬反応を組織系、動物又はヒトにおいて引き出す活性化合物又は薬剤の量を意味する。
【0071】
本明細書で使用するとき、用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含む製品、及び特定の成分の特定の量での組み合わせから直接的又は間接的に生じる任意の製品を包含することを意図する。
【0072】
本明細書に記載の説明においてより広範に提供されるように、「反応する」及び「反応した」などの用語は、本明細書では、以下のいずれか1つである化学物質を参照して使用される:(a)化学物質が取る実際に引用される形態、及び(b)当該化合物を命名する時にそれが存在すると考えられる媒体中で化学物質が取る任意の形態。
【0073】
当業者は、特に指示がない限り、反応工程(1又は複数)が、公知の方法に従って適切な条件下で行われて、所望の生成物を提供することを認識するであろう。当業者は、更に、本明細書に提示された明細書及び特許請求の範囲において、試薬又は試薬のクラス/種類(例えば、塩基、溶媒など)が方法の1を超える工程に引用されている場合、個々の試薬は、各反応工程に関して独立して選択され、かつ同一であっても又は互いに異なっていてもよいことを認識するであろう。例えば、方法の2つの工程が、試薬として有機又は無機塩基を挙げている場合、第一工程に関して選択される有機又は無機塩基は、第二工程の有機又は無機塩基と同一でも又は異なっていてもよい。更に、当業者は、本発明の反応工程を、様々な溶媒又は溶媒系中で行うことができ、上記反応工程はまた、適切な溶媒又は溶媒系の混合物中でも行うことができることを認識するであろう。
【0074】
より簡潔な説明を提供するために、本明細書に記載する量的表現の一部は、用語「約」で修飾しない。用語「約」が明確に用いられていようといまいと、本明細書に記載する全ての量はその実際値を指すことを意味し、またこのような値の実験及び/又は測定条件による近似値を含む、当該技術分野における通常の技量に基づいて合理的に推測されるこのような値の近似値を指すことも意味することが理解される。
【0075】
より簡潔な説明を提供するために、本明細書の量的表現のいくつかは、約量X〜約量Yの範囲として列挙される。範囲が記載されている場合、その範囲は、記載された上限及び下限に限定されるものではなく、約量X〜約量Yの全範囲、又はその中の任意の範囲の量を含むものと理解される。
【0076】
好適な溶媒、塩基、反応温度、並びに他の反応パラメータ及び成分の例は、本明細書で以下に詳細に説明される。当業者は、上記例の列挙が、以後の特許請求の範囲に記載される発明を決して限定する意図はなく、そのように解釈すべきではないことを認識する。
【0077】
本発明の化合物の任意の調製方法中、関与する任意の分子の感受性又は反応性基を保護することが必要かつ/又は望ましいと思われる。これは、Protective Groups in Organic Chemistry(J.F.W.McOmie編、Plenum Press,1973)、及びProtective Groups in Organic Synthesis(T.W.Greene & P.G.M.Wuts、John Wiley & Sons,1991)に記載されるような、従来の保護基による手法で実施することができる。保護基は、続く都合のよい段階で、当該技術分野にて公知の方法を用いて除去され得る。
【0078】
本明細書で使用されるとき、特に断りがない限り、用語「窒素保護基」は、窒素原子に結合してその窒素原子が反応に参加することから保護することができ、また反応後に容易に除去できる基を意味するものとする。好適な窒素保護基としては、式−C(O)O−R(式中、Rは、例えば、メチル、エチル、t−ブチル、ベンジル、フェニルエチル、CH2=CH−CH2−及びこれらに類するものである)のカルバメート基、式−C(O)−R’(式中、R’は、例えば、メチル、フェニル、トリフルオロメチル及びこれらに類するものである)のアミド基、式−SO2−R”(式中、R”は、例えば、トリル、フェニル、トリフルオロメチル、2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−イル−、2,3,6−トリメチル−4−メトキシベンゼン及びこれらに類するものである)のN−スルホニル誘導体基が挙げられるが、これらに限定されない。他の好適な窒素保護基は、T.W.Greene & P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,1991などの文献に見出され得る。
【0079】
本発明による化合物の調製方法が、立体異性体の混合物を生じる場合、これらの異性体は、例えば分取クロマトグラフィーなどの従来の技術により分離することができる。ラセミ形、又は個々の鏡像異性体で調製され得る化合物は、エナンチオ特異的合成又は分割のいずれかにより調製されてよい。化合物は、例えば、(−)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸及び/又は(+)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸等の光学活性酸を用いて塩を形成させた後に、分別結晶化を行い、遊離塩基を再生させることによりジアステレオマー対を形成させる等の標準的技術により、それら化合物の成分である鏡像異性体に分割することもできる。化合物はまた、ジアステレオマーエステル又はアミドを形成させた後に、クロマトグラフィー分離を行い、キラル補助基を除去することによっても分割されてよい。代替的に、化合物は、キラルHPLCカラムを使用して分割されてもよい。
【0080】
更に、標準物質に対するキラルHPLCを用いて、エナンチオマー過剰率(% ee)を決定することができる。エナンチオマー過剰率は、以下のように算出することができる:
[(Rモル−Sモル)/(Rモル+Sモル)]×100%
式中、Rモル及びSモルは、Rモル+Sモル=1となるような、混合物中のR及びSモル分率である。あるいは、エナンチオマー過剰率は、以下のように、所望のエナンチオマー及び調製された混合物の比旋光度から算出することもできる:
ee=([α−obs]/[α−max])×100。
【0081】
薬剤での使用に際し、本発明の化合物の塩は非毒性の「製薬学的に許容可能な塩」を指す。しかし他の塩も本発明による化合物又はそれらの製薬学的に許容可能な塩の調製に有用となり得る。化合物の好適な製薬学的に許容可能な塩には、例えば、化合物の溶液を、製薬学的に許容可能な酸、例えば塩酸、硫酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、炭酸又はリン酸の溶液と共に混合することで形成され得る酸付加塩が挙げられる。更に、本発明の化合物が酸性部分を担持する場合、これらの好適な製薬学的に許容可能な塩としては、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム又はカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム又はマグネシウム塩)、及び好適な有機配位子で形成される塩(例えば、四級アンモニウム塩)を挙げてもよい。したがって、例示的な製薬学的に許容可能な塩としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物塩、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストル酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレソルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル臭化物、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムコ酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート、トシル酸塩、トリエチオジド及び吉草酸塩。
【0082】
製薬学的に許容可能な塩の調製に用いることができる例示的な酸としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アシル化アミノ酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、(+)−カンファー酸、カンファースルホン酸、(+)−(1S)−カンファー−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシルスルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、D−グルクロン酸、L−グルタミン酸、α−オキソ−グルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミトリン酸、パモ酸、リン酸、L−ピログルタミン酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバイン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸及びウンデシレン酸などの酸。
【0083】
製薬学的に許容可能な塩の調製に用いることができる例示的な塩基としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アンモニア、L−アルギニン、ベネタミン、ベンザチン、水酸化カルシウム、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−(ジエチルアミノ)−エタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−グルカミン、ヒドラバミン、1H−イミダゾール、L−リシン、水酸化マグネシウム、4−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン、ピペラジン、水酸化カリウム、1−(2−ヒドロキシエチル)−ピロリジン、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、トロメタミン及び水酸化亜鉛などの塩基。
【0084】
式(II)の化合物は、スキーム1に概説されるプロセスに従って調製することができる。
【0085】
【化24】

【0086】
これによると、既知の化合物であり、(E)−7−(3−(2−アミノ−1−フルオロエチリデン)ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸としても知られる式(V)の化合物は、既知の方法に従って保護されることで、対応する式(VI)の化合物を生じる(式中、PG1は、対応する窒素保護基である)。例えば、式(V)の化合物は、TEA、DIPEA及びこれらに類するものなどの有機塩基の存在下、THF、DCM及びこれらに類するものなどの好適に選択された有機溶媒中で、BOC無水物と反応して、対応する式(VI)の化合物(式中、PG1は、BOCである)を生じ得る。
【0087】
式(VI)の化合物は、Cs2CO3、K2CO3、DBU及びこれらに類するものなどの好適に選択された有機又は無機塩基の存在下、アセトニトリル、NMP及びこれらに類するものなどの好適に選択された有機溶媒中で、既知の化合物又は既知の方法により調製された化合物である好適に置換された式(VII)の化合物と反応して、対応する式(VIII)の化合物を生じる。
【0088】
式(VIII)の化合物は、既知の方法に従って脱保護されて、対応する式(II)の化合物を生じる。例えば、PG1がBOCである場合、式(VIII)の化合物は、DCM、1,4−ジオキサン及びこれらに類するものなどの好適に選択された有機溶媒中で又は1,4−ジオキサンとDCMの混合物などの上記溶媒の混合物中で、HCl、TFA及びこれらに類するものなどの好適に選択された酸と反応させることにより、脱保護することができる。
【0089】
1が−P(O)(OR72である式(I)の化合物は、下記のスキーム2に概説されるプロセスに従って調製することができる。
【0090】
【化25】

【0091】
これによると、既知の化合物である式(V)の化合物は、TEA、DIPEA及びこれらに類するものなどの好適に選択された有機塩基の存在下、THF、塩化メチレン、1,4−ジオキサン及びこれらに類するものなどの好適に選択された有機溶媒中で、既知の化合物又は既知の方法により調製された化合物である好適に置換された式(IX)の化合物と反応して、対応する式(Ia)の化合物を生じる。
【0092】
1
【0093】
【化26】

である式(I)の化合物は、スキーム3に概説されるプロセスに従って調製することができる。
【0094】
【化27】

【0095】
これによると、既知の化合物である式(V)の化合物は、TEA、DIPEA及びこれらに類するものなどの好適に選択された有機塩基の存在下、THF、塩化メチレン、DMF及びこれらに類するものなどの好適に選択された有機溶媒中で、既知の化合物又は既知の方法により調製された化合物である炭酸5−メチル−2−オキソ−[1,3]ジオキソール−4−イルメチルエステル4−ニトロ−フェニルエステルとしても知られる式(X)の化合物と反応して、対応する式(Ib)の化合物を生じる。
【0096】
1
【0097】
【化28】

である式(I)の化合物は、下記のスキーム4に概説されたプロセスに従って調製することができる。
【0098】
【化29】

【0099】
これによると、既知の化合物である式(V)の化合物は、HATU、BOP、PyBrOP及びこれらに類するものなどの好適に選択されたカップリング剤の存在下、TEA、DIPEA、ピリジン及びこれらに類するものなどの有機塩基の存在下、THF、塩化メチレン、DMF及びこれらに類するものなどの好適に選択された有機溶媒中で、既知の化合物又は既知の方法により調製された化合物である、PG3がBOC及びこれに類するものなどの好適に選択された窒素保護基である式(XI)の化合物と反応して、対応する式(XII)の化合物を生じる。
【0100】
式(XII)の化合物は既知の方法に従って脱保護されて、対応する式(Ic)の化合物を生じる。例えば、PG3がBOCである式(XII)の化合物の場合、この化合物は、1,4−ジオキサン、DCM及びこれらに類するものなどの好適に選択された有機溶媒中で、HCl、TFA及びこれらに類するものなどの好適に選択された酸と反応させることにより、脱保護することができる。
【0101】
式(Ic)の化合物は、HATU、BOP、PyBrOP及びこれらに類するものなどの好適に選択されたカップリング剤の存在下、TEA、DIPEA、ピリジン及びこれらに類するものなどの有機塩基の存在下、THF、塩化メチレン、DMF及びこれらに類するものなどの好適に選択された有機溶媒中で、PG4がBOC及びこれに類するものなどの好適に選択された窒素保護基である好適に置換された式(XIII)の化合物と更に反応して、対応する式(XIV)の化合物を生じ得る。
【0102】
式(XIV)の化合物は既知の方法に従って脱保護されて、対応する式(Id)の化合物を生じる。
【0103】
当業者であれば、R6基が反応性基(例えば、アミノ基)を含有する式(XIV)の化合物の場合、上記反応性基は、好ましくは、式(Ic)の化合物と式(XIV)の化合物を反応させる前に、保護されることを認識するであろう。次に、上記保護基は、直交反応条件下で、PG4保護基の除去と同時か又は別個の反応工程かのいずれかで、既知の方法に従って除去される。
【0104】
1が−C(O)−CH(R3)−NR45(式中、R3、R4は本明細書で定義されている通りであり、R5は、水素、−C(O)−CH(CH3)−NH2、−C(O)−CH[(CH24NH2]−NH2及び−C(O)−CH[(CH22CO2H]−NH2からなる群から選択される)である式(I)の化合物は、下記のスキーム5に概説されるプロセスに従って調製することができる。
【0105】
【化30】

【0106】
これによると、既知の化合物である式(V)の化合物は、HATU、BOP、PyBrOP及びこれらに類するものなどの好適に選択されたカップリング剤の存在下、TEA、DIPEA、ピリジン及びこれらに類するものなどの有機塩基の存在下、THF、塩化メチレン、DMF及びこれらに類するものなどの好適に選択された有機溶媒中で、PG5がBOC及びこれに類するものなどの好適に選択された窒素保護基である好適に置換された式(XV)の化合物と反応して、対応する式(XVI)の化合物を生じる。
【0107】
あるいは、既知の化合物である式(V)の化合物は、式Cl−C(O)−O−(低級アルキル)の好適に選択されたクロロホルメートの存在下、TEA、DIPEA、ピリジン及びこれらに類するものなどの有機塩基の存在下、PG5がBOC及びこれに類するものなどの好適に選択された窒素保護基である式(XV)の好適に置換された化合物と反応して、対応する式(XVI)の化合物を生じる。
【0108】
式(XVI)の化合物は、既知の方法に従って脱保護されて、対応する式(Ie)の化合物を生じる。例えば、PG5がBOCである式(XVI)の化合物の場合、この化合物は、1,4−ジオキサン、DCM及びこれらに類するものなどの好適に選択された有機溶媒中で、HCl、TFA及びこれらに類するものなどの好適に選択された酸と反応させることにより、脱保護することができる。
【0109】
当業者であれば、R3基が反応性基(例えば、アミノ基)を含有する式(XV)の化合物の場合、上記反応性基は、好ましくは、式(V)の化合物と式(XV)の化合物が反応する前に、保護されることを認識するであろう。次に、上記保護基は、直交反応条件下で、PG5保護基の除去と同時か又は1つ以上の別個の反応工程かのいずれかで、既知の方法に従って除去される。
【0110】
式(Ie)の化合物は、HATU、BOP、PyBrOP及びこれらに類するものなどの好適に選択されたカップリング剤の存在下、TEA、DIPEA、ピリジン及びこれらに類するものなどの好適に選択された有機塩基の存在下、THF、塩化メチレン、DMF及びこれらに類するものなどの好適に選択された有機溶媒中で、R8が、−CH3、−(CH24NH−PG7及び−(CH22CO2−PG8からなる群から選択され、ここで、PG6及びPG7はそれぞれBOC及びこれに類するものなどの好適にかつ独立して選択された窒素保護基であり、並びに、PG8が、既知の化合物又は既知の方法により調製された化合物であるtert−ブチル及びこれに類するものなどの好適に選択されたカルボン酸保護基である、好適に置換された式(XVII)の化合物と、場合により更に反応して、対応する式(XVIII)の化合物を生じる。
【0111】
あるいは、式(Ie)の化合物は、式Cl−C(O)−O−(低級アルキル)(式中、低級アルキルは好ましくはエチル又はイソブチルである)の好適に選択されたクロロホルメートの存在下、TEA、DIPEA、ピリジン及びこれらに類するものなどの好適に選択された有機塩基の存在下、R8が、−CH3、−(CH24NH−PG7及び−(CH22CO2−PG8からなる群から選択され、ここで、PG6及びPG7はそれぞれBOC及びこれに類するものなどの好適にかつ独立して選択された窒素保護基であり、並びに、PG8が、既知の化合物又は既知の方法により調製された化合物であるtert−ブチル及びこれに類するものなどの好適に選択されたカルボン酸保護基である、好適に置換された式(XVII)の化合物と反応して、対応する式(XVIII)の化合物を生じる。
【0112】
次に、式(XVIII)の化合物は、例えば、先行する脱保護工程について上述したような既知の方法に従って脱保護されて、対応する式(If)の化合物を生じる。
【0113】
当業者であれば、PG6、PG7及びPG8保護基は、直交反応条件下で、同時か又は1つ以上の別個の反応工程かのいずれかで、既知の方法に従って除去されるように選択することができることを認識するであろう。
【0114】
あるいは、R1が−C(O)−CH(R3)−NR45(式中、R3及びR4は本明細書で定義されている通りであり、R5は、水素、−C(O)−CH(CH3)−NH2、−C(O)−CH[(CH24NH2]−NH2及び−C(O)−CH[(CH22CO2H]−NH2からなる群から選択される)である式(I)の化合物は、下記のスキーム6に概説されるプロセスに従って調製することができる。
【0115】
【化31】

【0116】
これによると、既知の化合物である好適に置換された式(V)の化合物は、HATU、BOP、PyBrOP及びこれらに類するものなどの好適に選択されたカップリング剤の存在下、TEA、DIPEA、ピリジン及びこれらに類するものなどの有機塩基の存在下、THF、塩化メチレン、DMF及びこれらに類するものなどの好適に選択された有機溶媒中で、既知の化合物又は既知の方法により調製された化合物である好適に置換された式(XIX)の化合物と反応して、対応する式(Ig)の化合物を生じる。
【0117】
当業者であれば、R3基及び/又はR5基が反応性基(例えば、アミノ基)を含有する式(XVII)の化合物の場合、上記反応性基は、好ましくは、式(V)の化合物と式(XIX)の化合物が反応する前に、保護されることを認識するであろう。次に、上記保護基は、直交反応条件下で、同時か又は1つ以上の別個の反応工程かのいずれかで、既知の方法に従って除去される。
【0118】
1が−C(O)−CH2−NH−C(O)−(CH22−C(O)−mPEG(2000)である式(I)の化合物は、下記のスキーム7に概説されるプロセスに従って調製することができる。
【0119】
【化32】

【0120】
これによると、本明細書に記載のように調製されたR1が−C(O)−CH2−NH2である式(I)の化合物である式(Ih)の化合物は、TEA、DIPEA、ピリジン及びこれらに類するものなどの好適に選択された有機塩基の存在下、DMF、THF、塩化メチレン及びこれらに類するものなどの好適に選択された有機溶媒中で、既知の化合物又は既知の方法により調製された化合物である好適に置換された式(XX)の化合物と反応して、対応する式(Ij)の化合物を生じる。
【0121】
本発明は、1つ以上の式(I)の化合物及び/又は1つ以上の式(II)の化合物と、製薬学的に許容可能な担体と、を含有する、医薬組成物を更に含む。本明細書に記載した本発明の化合物のうち1つ以上を活性成分として含有する医薬組成物は、従来の製薬学的配合技術に従って、化合物又は医薬担体を伴う化合物をしっかりと混合することによって調製することができる。担体は、所望の投与経路(例えば、経口、非経口)に応じて様々な形態をとることができる。それゆえに、懸濁液、エリキシル剤及び溶液などの経口液体製剤の場合、好適な担体及び添加剤としては、水、グリコール、油、アルコール、着香剤、防腐剤、安定剤、着色剤及びこれらに類するものが挙げられる。散剤、カプセル剤及び錠剤などの固体経口製剤の場合、好適な担体及び添加剤としては、デンプン、糖類、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤及びこれらに類するものが挙げられる。固体経口製剤は、例えば糖などの物質でコーティングされてもよく、又は主要な吸収部位に関し調整するために腸溶コーティングされてもよい。非経口投与のための担体は通常無菌水からなり、また他の成分を加えて溶解度又は保存性を向上させてもよい。注射用の懸濁液又は溶液は、水性担体を適切な添加剤と共に用いて調製されてもよい。
【0122】
本発明の医薬組成物を調製するために、活性成分としての1つ以上の本発明の化合物を、従来の医薬品配合技術に従って、医薬担体と共にしっかりと混合するが、このキャリアは、例えば経口又は筋肉内などの非経口投与に望ましい調製の形態に応じて様々な形態をとることができる。経口剤形における組成物の調製には、任意の通常の製薬学的媒体を用いることができる。それゆえに、例えば、懸濁液、エリキシル剤及び溶液などの経口液体製剤の場合、好適な担体及び添加剤としては、水、グリコール、油、アルコール、着香剤、防腐剤、着色剤及びこれらに類するものが挙げられる。散剤、カプセル剤、カプレット、ゲルキャップ及び錠剤などの経口固形製剤の場合、好適な担体及び添加剤としては、デンプン、糖類、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤及びこれらに類するものが挙げられる。投与が容易であることから、錠剤及びカプセル剤は最も有利な経口用量単位形態であり、この場合、固形の医薬担体が明らかに使用される。必要に応じて、錠剤は、標準的技術により、糖コーティング又は腸溶コーティングされてもよい。非経口の場合、担体は、通常、滅菌水を含むが、例えば、溶解性を助けるなどの目的のため、又は保存のために他の成分を含んでよい。注射用の懸濁液も調製することができ、その場合、適切な液体担体、懸濁化剤及びこれらに類するものを使用することができる。本明細書の医薬組成物は、単位用量、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、注射液、茶さじ一杯及びこれらに類するもの当たり、上述した有効用量を送達するのに必要な活性成分の量を含むであろう。本明細書では、医薬組成物は、投与単位(例えば錠剤、カプセル剤、散剤、注射、坐剤、茶さじなど)当たり約0.01〜約1000mg又はこの中の任意の量若しくは範囲を含有し、約0.01〜約100mg/kg/日の投与量又はこの中の任意の量若しくは範囲、好ましくは約0.1〜約50mg/kg/日の投与量又はこの中の任意の量若しくは範囲、より好ましくは約0.5〜約25mg/kg/日の投与量又はこの中の任意の量若しくは範囲、より好ましくは約1.0〜約10.0mg/kg/日の投与量又はこの中の任意の量若しくは範囲で与えられてもよい。しかしながら、投与量は、罹病者に必要とされる量、処置されている病状の重症度、及び使用される化合物に応じて変動し得る。連日投与又は断続的(post-periodic)投与の使用のいずれかを用いることができる。
【0123】
好ましくは、これらの組成物は、経口、非経口、鼻腔内、舌下若しくは直腸投与、又は吸入若しくは吹送による投与のための、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、無菌非経口溶液又は懸濁液、定量エアゾール又は液体噴霧剤、ドロップ、アンプル、自動注入装置又は坐薬などの単位剤形である。あるいは、本組成物は、例えば、デカン酸塩などの活性化合物の不溶性塩といった、週一回又は月一回の投与に好適な形態で提供され得、筋肉注射用デポ製剤を提供するよう構成することもできる。錠剤などの固形組成物の調製に関しては、主要活性成分を、医薬担体、例えば従来の打錠調製成分、例えばトウモロコシデンプン、乳糖、ショ糖、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、又はゴム及び他の医薬希釈剤、例えば水と混合して、本発明の化合物又はその製薬学的に許容可能な塩の均質混合物を含む固形予備配合組成物を形成する。これらの予備配合組成物を均質と称する場合、これは、活性成分が組成物全体にむらなく分散し、それゆえに、この組成物を、同等に効果的な、錠剤、丸剤及びカプセル剤などの剤形に容易に分割できることを意味する。この固形予備処方組成物は、次に0.01〜約1,000mg(又はその中の任意の量若しくは範囲)の本発明の活性成分を含有する、上述したタイプの単位剤形に再分割される。新規組成物の錠剤又は丸剤は、長期間作用するという利点を生じる剤形を提供するためにコーティングすることができ、又は別の方法で配合することができる。例えば、錠剤又は丸剤には、内側投与成分及び外側投与成分を含ませることができ、外側投与成分は内側投与成分の外皮の形態である。2つの成分は、胃での崩壊を阻止し、また内側成分を無傷で十二指腸内まで通過させ、又は放出を遅延させることができる腸溶性の層により分離されていてもよい。このような腸溶性層又はコーティングには様々な材料を使用することができ、そのような材料としては、セラック、セチルアルコール及び酢酸セルロースのような材料を伴う多数のポリマー酸が挙げられる。
【0124】
経口投与又は注入投与用に本発明の新規の組成物を組み込むことのできる液体形態としては、水性液剤、好適に香味付けされたシロップ剤、水性又は油性懸濁剤、及び綿実油、ゴマ油、ヤシ油又はピーナッツ油などの食用油を伴う香味付けされた乳剤、並びにエリキシル剤及び同様の薬学的ビヒクルが挙げられる。水性懸濁剤に好適な分散剤又は懸濁化剤としては、合成及び天然ゴム、例えばトラガカント、アカシア、アルギン酸塩、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニル−ピロリドン又はゼラチンが挙げられる。
【0125】
本発明に記載される方法は、また、本明細書に定義される任意の化合物及び製薬上許容し得る担体を含む医薬組成物を用いて実施してもよい。医薬組成物は、約0.01mg〜約1,000mgの又はこの中の任意の量若しくは範囲の化合物、好ましくは約10〜500mgの又はこの中の任意の量若しくは範囲の化合物を含有してもよく、選択される投与様式に好適な任意の形態に構成することができる。担体は、結合剤、懸濁化剤、滑沢剤、着香剤、甘味剤、保存剤、染料、及びコーティングが挙げられるがこれらに限定されない必要かつ不活性な薬学的賦形剤を含む。経口投与用に好適な組成物は、丸剤、錠剤、カプレット、カプセル剤(それぞれ、速放型、時限放出型及び持続放出型製剤を含む)、顆粒、及び散剤などの固形形態、並びに液剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤、及び懸濁剤などの液体形態を含む。非経口投与用に有用な形態は、無菌溶液、乳液及び懸濁液を含む。
【0126】
有利なことに、本発明の化合物は、単一の一日用量で投与されてもよく、又は全一日用量を一日2回、3回又は4回に分割して投与されてもよい。更に、本発明の化合物は、当業者に周知の、適切な鼻内賦形剤の局所的使用を介する、又は経皮的な皮膚パッチを介する経鼻形態で投与することができる。経皮送達システム形態で投与する場合には、用量の投与は、勿論、投与計画全体において断続的なものではなく連続的であろう。
【0127】
例えば、錠剤又はカプセル剤の形態での経口投与のために、活性薬物成分をエタノール、グリセロール、水及びこれらに類するものなどの無毒な、製薬学的に許容可能な経口不活性担体と組み合わせることができる。更に、所望又は必要であれば、好適な結合剤、滑沢剤、崩壊剤及び着色剤を混合物中に組み込むこともできる。好適な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、ブドウ糖又はβ−乳糖などの天然糖、トウモロコシ甘味剤、アカシア、トラガカントなどの天然及び合成ゴム、又はオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム及びこれらに類するものが挙げられるが、これらに限定されない。崩壊剤としては、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガム及びこれらに類するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0128】
液体は、合成及び天然ゴム、例えば、トラガカント、アカシア、メチル−セルロースなどのような好適に香味付けされた懸濁化剤又は分散剤を含んでもよい。非経口投与のためには、無菌懸濁液及び溶液が望まれる。静脈内投与が所望される場合、一般に好適な保存剤を含む等張の製剤が用いられる。
【0129】
本発明の化合物は、小ユニラメラ小胞(small unilamellar vesicles)、大ユニラメラ小胞(large unilamellar vesicles)、及びマルチラメラ小胞(multilamellar vesicles)などのリポソーム送達システムの形態でも投与することができる。リポソームは、例えば、コレステロール、ステアリルアミン、又はホスファチジルコリンなどの様々なリン脂質から形成することができる。
【0130】
本発明の化合物は、化合物分子が結合する個々の担体としてのモノクローナル抗体を使用して送達することもできる。本発明の化合物は、目標を定めることができる薬物担体としての可溶性ポリマーに結合させることもできる。そのようなポリマーには、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシ−エチルアスパルトアミドフェノール、又はパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリシンを挙げることができる。更に、本発明の化合物は、薬物の制御放出を達成するのに有用な生分解性ポリマーのクラス、例えば、ポリ乳酸、ポリεカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、及び架橋された又は両親媒性のヒドロゲルブロックコポリマーに結合させることができる。
【0131】
本発明の医薬組成物を調製するには、活性成分としての式(I)の化合物又は式(II)の化合物を、従来の製薬学的配合技術に従って、医薬担体と共にしっかりと混合するのだが、その担体は、投与(例えば、経口又非経口)に所望される製剤の形態に応じて、非常に様々な形態をとることができる。製薬学的に許容可能な好適な担体は、当技術分野にて周知である。これらの製薬学的に許容可能な担体のいくつかの説明は、The Handbook of Pharmaceutical Excipients(the American Pharmaceutical Association及びthe Pharmaceutical Society of Great Britainにより出版)に見出すことができる。
【0132】
医薬組成物の配合方法は、Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Second Edition,Revised and Expanded,Volumes 1〜3,Liebermanらにより編集;Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications,Volumes 1〜2,Avisらにより編集;及びPharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems,Volumes 1〜2,Liebermanらにより編集;Marcel Dekker,Inc.より出版などの多数の文献に記載されている。
【0133】
本発明の化合物は、抗菌剤での処置が必要な際にはいつでも、任意の前述の組成物で、当該技術分野で確立された投与レジメンに従って投与することができる。
【0134】
製品の1日投薬量は、ヒト成人1日当たり0.01〜10,000mgの幅広い範囲、又はこの中の任意の量若しくは範囲で変動し得る。経口投与用に、組成物は、処置されるべき罹病者への投薬量の対症的調整のために、好ましくは約0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、150、200、250、500、750及び1000ミリグラムの活性成分を含有する錠剤形態で好ましく提供される。薬物の有効量は、通常、1日当たり約0.01mg/kg体重〜約100mg/kg体重、又はこの中の任意の量若しくは範囲の投薬量で供給される。好ましくは、この範囲は、1日当たり約0.1〜約50mg/kg体重、又はこの中の任意の量若しくは範囲である。より好ましくは、1日当たり約0.5〜約25mg/kg体重、又はこの中の任意の量若しくは範囲である。より好ましくは、1日当たり約1.0〜約10mg/kg体重、又はこの中の任意の量若しくは範囲である。化合物は、1日当たり1〜4回の投薬計画で投与されてもよい。
【0135】
投与するべき最適用量は、当業者により容易に決定することができ、また使用される特定の化合物、製剤の強度、投与モード、及び疾病状態の進行により変動するであろう。加えて、罹病者の年齢、体重、食事及び投与時間などの、処置されている特定の罹病者に関連した因子も、用量の調整に必要となるであろう。
【0136】
当業者は、公知の及び一般に認められた好適な細胞及び/又は動物モデルを使用したインビボ及びインビトロの両方での試験により、所定の疾患を処置又は予防する試験化合物の能力を予測できることを認識するであろう。当業者であれば、健康な受診者及び/又は上記障害に罹患している患者を対象としたヒト初回投与(first-in-human)の範囲内の投与量及び効力試験を含むヒトの臨床試験を、臨床及び医学分野で周知な方法に従い行うことができることを認識している。
【0137】
以下の実施例は、本発明の理解を補助するよう示され、その後に続く特許請求の範囲に示される本発明を如何様にも限定するよう意図されるものではなく、また限定するよう解釈されるべきではない。
【0138】
以下の実施例では、一部の合成生成物は、「残留物」として単離されているものとして列挙される。当業者であれば、用語「残留物」が、生成物が単離された物理的状態に限定するものではなく、例えば、個体、油、泡状体、ゴム、シロップ、及びこれらに類するものを含み得ることを理解するであろう。
【実施例】
【0139】
実施例1:化合物#2
7−(3−{2−[(2S)−2−((2S)−2−アミノ−プロピオニルアミノ)−プロピオニルアミノ]−1−フルオロ−エチリデン}−ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩
工程A:7−(3−{2−[(2S)−2−((2S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオニルアミノ)−プロピオニルアミノ]−1−フルオロ−エチリデン}−ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸
【0140】
【化33】

【0141】
未希釈のClCO2CH2CH3(1.77mL、18.5mmol)をBoc−L−Ala−L−Ala(5.0g、19.4mmol)とi−Pr2NEt(9.2mL、52.8mmol)のTHF溶液(200mL)に添加した。1時間後、固体7−[3−(2−アミノ−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(8.0g、17.6mmol)を混濁混合物に添加した。16時間後、得られた均質溶液をEtOAcで希釈し、水及び食塩水で洗浄し、次に、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮し、カラムクロマトグラフィーを介して精製したところ、黄色のゴム状物質を生じた。
【0142】
1H NMR(DMF−d7,300MHz):δ=9.12(s,1H),8.92〜9.07(m,1H),8.79〜8.92(m,1H),8.16(dd,J=12.1,2.3Hz,1H),4.65〜4.78(m,1H),4.53〜4.64(m,1H),4.50(br.s.,1H),4.31〜4.46(m,3H),4.17〜4.28(m,2H),4.08〜4.17(m,4H),3.83(br.s.,2H),2.79(br.s.,2H),2.13(br.s.,2H),1.71(dd,J=17.0,7.2Hz,3H),1.50〜1.63(m,5H),1.45ppm(d,J=6.0Hz,9H)。
【0143】
工程B:7−(3−{2−[(2S)−2−((2S)−2−アミノ−プロピオニルアミノ)−プロピオニルアミノ]−1−フルオロ−エチリデン}−ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩
【0144】
【化34】

【0145】
4MのHClのジオキサン(70mL、278.4mmol)溶液を7−(3−{2−[2−((2S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオニルアミノ)−プロピオニルアミノ]−1−フルオロ−エチリデン}−ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(9.2g、13.9mmol)のCH2Cl2溶液(70mL)に添加した。2時間後、この液体の上澄みを移し、フラスコの底に残留物を得た。この残留物をCH2Cl2で洗浄し(3回)、次に減圧下で乾燥させたところ、黄色固体として表題化合物が生じた。
【0146】
1H NMR(DMSO−d6,300MHz):δ=14.96(s,1H),8.71(s,1H),8.65(d,J=7.5Hz,1H),8.38〜8.51(m,1H),8.15(br.s.,3H),7.76(dd,J=12.4,1.9Hz,1H),4.23〜4.40(m,1H),4.18(br.s.,1H),3.92〜4.10(m,4H),3.83(br.s.,1H),3.74(d,J=2.3Hz,3H),3.38〜3.48(m,2H),2.30〜2.44(m,2H),1.73(br.s.,2H),1.29(dd,J=15.6,7.0Hz,3H),1.09〜1.22(m,4H),0.96〜1.09ppm(m,3H);MS m/z 562(M+H)。
【0147】
実施例2:化合物#6
7−{3−[2−(2−アミノ−アセチルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩
工程A:7−{3−[2−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−アセチルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸
【0148】
【化35】

【0149】
未希釈のClCO2CH2CH3(1.77mL、18.5mmol)をBoc−Gly(3.4g、19.3mmol)とi−Pr2NEt(9.2mL、52.8mmol)のTHF溶液(200mL)に添加した。1時間後、固体7−[3−(2−アミノ−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(8.0g、17.6mmol)を混濁混合物に添加した。16時間後、得られた均質溶液をEtOAcで希釈し、水及び食塩水で洗浄し、次に、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮し、カラムクロマトグラフィーを介して精製したところ、黄色のゴム状物質を生じた。
【0150】
1H NMR(クロロホルム−d,300MHz):δ=14.87(s,1H),8.78(s,1H),7.76(d,J=12.4Hz,1H),6.91(br.s.,1H),5.31〜5.39(m,1H),4.13〜4.27(m,2H),4.08(tt,J=7.3,3.7Hz,1H),4.00(s,2H),3.79(s,3H),3.76〜3.83(m,2H),3.47(br.s.,2H),2.45(t,J=5.3Hz,2H),1.80(br.s.,2H),1.43(s,9H),1.23〜1.33(m,2H),0.98〜1.10ppm(m,2H)
【0151】
工程B:7−{3−[2−(2−アミノ−アセチルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩
【0152】
【化36】

【0153】
4 MのHClのジオキサン(63mL、253.5mmol)溶液を7−{3−[2−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−アセチルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(7.3g、12.7mmol)のCH2Cl2溶液(63mL)に添加した。2時間後、この液体の上澄みを移し、フラスコの底に残留物を得た。この残留物をCH2Cl2で洗浄し(3回)、次に減圧下で乾燥させたところ、黄色固体として表題化合物が生じた。
【0154】
1H NMR(DMSO−d6,300MHz):δ=14.95(br.s.,1H),8.87(t,J=5.1Hz,1H),8.71(s,1H),8.14(br.s.,3H),7.76(d,J=12.1Hz,1H),4.13〜4.27(m,2H),4.08(d,J=5.3Hz,1H),3.97(s,2H),3.75(s,3H),3.49〜3.56(m,1H),3.43(br.s.,2H),3.32〜3.40(m,1H),2.39(br.s.,2H),1.73(br.s.,2H),1.09〜1.21(m,2H),0.98〜1.09ppm(m,2H);MS m/z 477(M+H)。
【0155】
実施例3:化合物#9
1−シクロプロピル−7−{3−[2−((2S)−2,6−ジアミノ−ヘキサノイルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸二塩酸塩
工程A:7−{3−[2−((2S)−2,6−ビス−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ヘキサノイルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸
【0156】
【化37】

【0157】
未希釈のClCO2i−Bu(2.4mL、18.4mmol)を(S)−2,6−ビス−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ヘキサン酸(3.4g、19.3mmol)とi−Pr2NEt(9.1mL、52.6mmol)のTHF溶液(200mL)に添加した。1時間後、固体7−[3−(2−アミノ−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(8.0g、17.6mmol)を混濁混合物に添加した。16時間後、得られた均質溶液をEtOAcで希釈し、水及び食塩水で洗浄し、次に、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮し、カラムクロマトグラフィーを介して精製したところ、黄色のゴム状物質が生じた。
【0158】
MS m/z 734(M+H)。
【0159】
工程B:1−シクロプロピル−7−{3−[2−((2S)−2,6−ジアミノ−ヘキサノイルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸ジヒドロクロリド
【0160】
【化38】

【0161】
4 MのHClのジオキサン(31mL、123mmol)溶液を7−{3−[2−((2S)−2,6−ビス−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ヘキサノイルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(9.0g、12.3mmol)のCH2Cl2溶液(100mL)に添加した。2時間後、この液体の上澄みを移し、フラスコの底に残留物を得た。この残留物をCH2Cl2で洗浄し(3回)、次に減圧下で乾燥させたところ、黄色固体として表題化合物が生じた。
【0162】
1H NMR(300MHz,クロロホルム−d)δ 14.93(s,1H),8.82(s,1H),7.86(d,J=12.06Hz,1H),6.58(br.s.,1H),5.07(br.s.,1H),4.62(br.s.,1H),4.19(d,J=5.65Hz,1H),4.03〜4.15(m,2H),3.98(s,3H),3.42〜3.52(m,2H),3.19(qd,J=4.52,7.41Hz,2H),3.02〜3.14(m,2H),2.45(br.s.,2H),1.73〜1.87(m,2H),1.68(s,4H),1.33〜1.56(m,4H),1.21〜1.30(m,2H),0.96〜1.07(m,2H);MS m/z 548(M+H)。
【0163】
実施例4:化合物#1
7−{3−[2−((2S)−2−アミノ−3−メチル−ブチリルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩
工程A:7−{3−[2−((2S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−ブチリルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸
【0164】
【化39】

【0165】
未希釈のClCO2CH2CH3(1.8mL、18.4mmol)を(S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−酪酸(4.6g、21.1mmol)とi−Pr2NEt(9.1mL、52.6mmol)のTHF溶液(200mL)に添加した。1時間後、固体7−[3−(2−アミノ−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(8.0g、17.6mmol)を混濁混合物に添加した。16時間後、得られた均質溶液をEtOAcで希釈し、水及び食塩水で洗浄し、次に、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮し、カラムクロマトグラフィーを介して精製したところ、黄色のゴム状物質が生じた。
【0166】
MS m/z 619(M+H)。
【0167】
工程B:7−{3−[2−((2S)−2−アミノ−3−メチル−ブチリルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩
【0168】
【化40】

【0169】
4 MのHClのジオキサン(38mL、152mmol)溶液を7−{3−[2−((2S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−ブチリルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(9.5g、15.4mmol)のCH2Cl2溶液(100mL)に添加した。2時間後、この液体の上澄みを移し、フラスコの底に残留物を得た。この残留物をCH2Cl2で洗浄し(3回)、次に減圧下で乾燥させたところ、黄色固体として表題化合物が生じた。
【0170】
1H NMR(300MHz,クロロホルム−d)δ 14.79(s,1H),8.82(s,1H),7.79〜7.98(m,1H),6.26(br.s.,1H),4.92(br.s.,1H),4.20(dd,J=6.03,9.80Hz,1H),4.09〜4.17(m,2H),4.01〜4.09(m,2H),3.95〜4.01(m,2H),3.85(dd,J=6.22,8.48Hz,1H),3.73〜3.78(m,3H),3.40〜3.52(m,2H),2.46(br.s.,2H),1.74〜1.86(m,2H),1.34〜1.49(m,3H),1.17〜1.30(m,3H),0.97〜1.08(m,4H);MS m/z 519(M+H)。
【0171】
実施例5:化合物#3
7−{3−[2−((2S)−2−アミノ−3−フェニル−プロピオニルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩
工程A:7−{3−[2−((2S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−フェニル−プロピオニルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸
【0172】
【化41】

【0173】
未希釈のClCO2CH2CH3(1.8mL、18.4mmol)を(S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−フェニル−プロピオン酸(4.7g、17.5mmol)とi−Pr2NEt(9.1mL、52.6mmol)のTHF溶液(200mL)に添加した。1時間後、固体7−[3−(2−アミノ−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(8.0g、17.6mmol)を混濁混合物に添加した。16時間後、得られた均質溶液をEtOAcで希釈し、水及び食塩水で洗浄し、次に、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮し、カラムクロマトグラフィーを介して精製したところ、黄色のゴム状物質が生じた。
【0174】
MS m/z 667(M+H)。
【0175】
工程B:7−{3−[2−((2S)−2−アミノ−3−フェニル−プロピオニルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩
【0176】
【化42】

【0177】
4 MのHClのジオキサン(30mL、120mmol)溶液を7−{3−[2−((2S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−フェニル−プロピオニルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(8.0g、12.0mmol)のCH2Cl2溶液(100mL)に添加した。2時間後、この液体の上澄みを移し、フラスコの底に残留物を得た。この残留物をCH2Cl2で洗浄し(3回)、次に減圧下で乾燥させたところ、黄色固体として表題化合物が生じた。
【0178】
1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ 14.96(br.s.,1H),8.90(s,1H),8.67〜8.75(m,1H),8.17〜8.34(m,3H),7.71〜7.83(m,1H),7.28〜7.33(m,1H),7.15〜7.25(m,2H),4.11〜4.27(m,2H),4.02〜4.09(m,3H),3.83〜4.02(m,2H),3.73(s,3H),3.44(q,J=6.78Hz,4H),2.98(d,J=6.78Hz,2H),2.39(br.s.,2H),1.73(br.s.,2H),0.98〜1.24(m,2H);MS m/z 567(M+H)。
【0179】
実施例6:化合物#15
1−シクロプロピル−7−[3−(2−{[(2S)−1−((2S)−2,6−ジアミノ−ヘキサノイル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸二塩酸塩
工程A:7−(3−{2−[((2S)−1−tert−ブトキシカルボニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−1−フルオロ−エチリデン}−ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸
【0180】
【化43】

【0181】
固体HATU(6.7g、17.5mmol)を7−[3−(2−アミノ−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩(8.0g、17.5mmol)と(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル(3.8g、17.5mmol)とi−Pr2NEt(9.7mL、55.5mmol)のTHF溶液(200mL)に添加し、得られた混合物を40℃に加温した。16時間後、40℃にて、得られた混合物をEtOAcで希釈し、水及び食塩水で洗浄し、次に、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮し、カラムクロマトグラフィーを介して精製したところ、黄色のゴム状物質が生じた。
【0182】
MS m/z 617(M+H)。
【0183】
工程B:1−シクロプロピル−6−フルオロ−7−(3−{1−フルオロ−2−[((2S)−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−エチリデン}−ピペリジン−1−イル)−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩
【0184】
【化44】

【0185】
4 MのHClのジオキサン(32mL、128mmol)溶液を7−(3−{2−[((2S)−1−tert−ブトキシカルボニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−1−フルオロ−エチリデン}−ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(8.0g、13.0mmol)のCH2Cl2溶液(100mL)に添加した。2時間後、この液体の上澄みを移し、フラスコの底に残留物を得た。この残留物をCH2Cl2で洗浄し(3回)、次に減圧下で乾燥させたところ、黄色固体として表題化合物が生じた。
【0186】
MS m/z 517(M+H)。
【0187】
工程C:7−[3−(2−{[(2S)−1−((2S)−2,6−ビス−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ヘキサノイル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸
【0188】
【化45】

【0189】
固体HATU(4.5g、11.9mmol)を1−シクロプロピル−6−フルオロ−7−(3−{1−フルオロ−2−[((2S)−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−エチリデン}−ピペリジン−1−イル)−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩(7.0g、11.9mmol)と(S)−2,6−ビス−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ヘキサン酸(4.9g、14.3mmol)とi−Pr2NEt(6.1mL、35.6mmol)のTHF溶液(200mL)に添加し、得られた混合物を40℃に加温した。16時間後、40℃にて、得られた混合物をEtOAcで希釈し、水及び食塩水で洗浄し、次に、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮し、カラムクロマトグラフィーを介して精製したところ、黄色のゴム状物質として表題化合物が生じた。
【0190】
MS m/z 845(M+H)。
【0191】
工程D:1−シクロプロピル−7−[3−(2−{[(2S)−1−((2S)−2,6−ジアミノ−ヘキサノイル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸二塩酸塩
【0192】
【化46】

【0193】
4 MのHClのジオキサン(49mL、196mmol)溶液を7−[3−(2−{[(2S)−1−((2S)−2,6−ビス−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ヘキサノイル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(8.2g、9.7mmol)のCH2Cl2溶液(100mL)に添加した。2時間後、この液体の上澄みを移し、フラスコの底に残留物を得た。この残留物をCH2Cl2で洗浄し(3回)、次に減圧下で乾燥させたところ、黄色固体として表題化合物が生じた。
【0194】
1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ 14.96(br.s.,1H),8.71(s,1H),7.74(d,J=11.98Hz,1H),5.68(s,1H),4.31(br.s.,1H),4.07(br.s.,3H),3.91(br.s.,2H),3.55(s,2H),3.40(br.s.,3H),2.70〜2.80(m,3H),2.68(s,3H),2.37(br.s.,2H),2.07(br.s.,1H),1.70(br.s.,4H),1.57(br.s.,1H),1.52(br.s.,2H),1.39(br.s.,2H),1.20〜1.29(m,4H),1.13(br.s.,3H),1.00(br.s.,2H);MS m/z 645(M+H)。
【0195】
実施例7:化合物#10
7−(3−{2−[(2S)−2−((2S)−2−アミノ−プロピオニルアミノ)−4−メチル−ペンタノイルアミノ]−1−フルオロ−エチリデン}−ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩
工程A:(2S)−2−((2S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオニルアミノ)−4−メチル−ペンタン酸
【0196】
【化47】

【0197】
固体(Boc)2Oを(S,S)2−(2−アミノ−プロピオニルアミノ)−4−メチル−ペンタン酸(5.0g、24.7mmol)のTHF/水溶液(100mL/20mL)に添加した。3時間後、得られた混合物をEtOAcで希釈し、水及び食塩水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮し、得られた残留物を更に精製することなく次工程において使用した。
【0198】
工程B:7−(3−{2−[(2S)−2−((2S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオニルアミノ)−4−メチル−ペンタノイルアミノ]−1−フルオロ−エチリデン}−ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸
【0199】
【化48】

【0200】
固体HATU(7.0g、18.5mmol)を7−[3−(2−アミノ−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩(8.4g、18.5mmol)と(S,S)−2−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオニルアミノ)−4−メチル−ペンタン酸(5.6g、18.5mmol)とi−Pr2NEt(9.7mL、55.5mmol)のTHF溶液(200mL)に添加し、得られた混合物を40℃に加温した。16時間後、40℃にて、得られた混合物をEtOAcで希釈し、水及び食塩水で洗浄し、次に、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮し、カラムクロマトグラフィーを介して精製したところ、黄色のゴム状物質として表題化合物が生じた。
【0201】
1H NMR(クロロホルム−d,300MHz):δ=14.88(br.s.,1H),8.80(s,1H),7.67〜7.97(m,1H),6.53〜6.70(m,1H),5.31(s,1H),5.01〜5.19(m,1H),4.35〜4.50(m,1H),4.16(br.s.,1H),4.02〜4.13(m,3H),3.99(s,2H),3.77(s,3H),3.43〜3.50(m,2H),2.40〜2.50(m,2H),1.73〜1.86(m,2H),1.48〜1.72(m,3H),1.43(d,J=2.3Hz,9H),1.35(d,J=7.2Hz,3H),1.21〜1.31(m,2H),0.99〜1.08(m,2H),0.87(d,J=6.0Hz,3H),0.90ppm(d,J=6.4Hz,3H)。
【0202】
工程C:7−(3−{2−[(2S)−2−((2S)−2−アミノ−プロピオニルアミノ)−4−メチル−ペンタノイルアミノ]−1−フルオロ−エチリデン}−ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩
【0203】
【化49】

【0204】
4 MのHClのジオキサン(70mL、278.4mmol)溶液を7−(3−{2−[(2S)−2−((2S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオニルアミノ)−4−メチル−ペンタノイルアミノ]−1−フルオロ−エチリデン}−ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(10.0g、14.2mmol)のCH2Cl2溶液(70mL)に添加した。2時間後、この液体の上澄みを移し、フラスコの底に残留物を得た。この残留物をCH2Cl2で洗浄し(3回)、次に減圧下で乾燥させたところ、黄色固体として表題化合物が生じた。
【0205】
1H NMR(DMSO−d6,300MHz):δ=8.71(s,1H),8.38〜8.58(m,2H),8.04〜8.26(m,3H),7.75(d,J=12.4Hz,1H),4.31(td,J=8.8,5.5Hz,1H),4.13〜4.23(m,1H),4.01(d,J=5.3Hz,1H),3.96(br.s.,2H),3.81(d,J=11.3Hz,1H),3.74(s,3H),3.32〜3.47(m,3H),2.51(d,J=1.5Hz,2H),2.38(br.s.,2H),1.65〜1.81(m,2H),1.49〜1.64(m,1H),1.30〜1.48(m,2H),1.27(d,J=6.8Hz,3H),0.97〜1.19(m,2H),0.76〜0.91ppm(m,6 H);MS m/z 604(M+H)。
【0206】
実施例8:化合物#16
7−(3−{2−[2−((2S)−2−アミノ−4−カルボキシ−ブチリルアミノ)−アセチルアミノ]−1−フルオロ−エチリデン}−ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩
工程A:7−(3−{2−[2−((2S)−4−tert−ブトキシカルボニル−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ブチリルアミノ)−アセチルアミノ]−1−フルオロ−エチリデン}−ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸
【0207】
【化50】

【0208】
固体HATU(5.4g、14.3mmol)を7−{3−[2−(2−アミノ−アセチルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩(7.0g、13.6mmol)(上記実施例2に記載の手順に従って調製)と(S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ペンタン二酸5−tert−ブチルエステル(4.3g、14.3mmol)とi−Pr2NEt(11.9mL、68.2mmol)のTHF溶液(130mL)に添加し、得られた混合物を40℃に加温した。16時間後、40℃にて、得られた混合物をEtOAcで希釈し、水及び食塩水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮し、カラムクロマトグラフィーを介して精製したところ、黄色のゴム状物質が生じた。
【0209】
1H NMR(クロロホルム−d,400MHz):δ=14.85(s,1H),8.82(s,1H),7.86(d,J=12.2Hz,1H),6.95〜7.13(m,1H),6.70〜6.87(m,1H),5.52(br.s.,1H),4.21(br.s.,1H),4.16〜4.26(m,1H),3.85〜4.09(m,6H),3.77(s,3H),3.46(br.s.,2H),2.39〜2.49(m,3H),2.28〜2.38(m,1H),2.01〜2.11(m,1H),1.87〜2.00(m,1H),1.79(br.s.,2H),1.45(s,9H),1.43(s,9H),1.23〜1.30(m,2H),0.98〜1.08ppm(m,2H)。
【0210】
工程B:7−(3−{2−[2−((2S)−2−アミノ−4−カルボキシ−ブチリルアミノ)−アセチルアミノ]−1−フルオロ−エチリデン}−ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩
【0211】
【化51】

【0212】
4 MのHClのジオキサン(59mL、236.3mmol)溶液を7−(3−{2−[2−((2S)−4−tert−ブトキシカルボニル−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ブチリルアミノ)−アセチルアミノ]−1−フルオロ−エチリデン}−ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(9.0g、11.8mmol)のCH2Cl2溶液(60mL)に添加した。2時間後、この液体の上澄みを移し、フラスコの底に残留物を得た。この残留物をCH2Cl2で洗浄し(3回)、次に減圧下で乾燥させたところ、黄色固体として表題化合物が生じた。
【0213】
1H NMR(DMSO−d6,400MHz):δ=8.84(t,J=5.9Hz,1H),8.70(s,1H),8.48(t,J=5.4Hz,1H),8.41(br.s.,3H),7.76(d,J=12.2Hz,1H),4.13〜4.23(m,1H),3.90〜4.13(m,4H),3.79〜3.88(m,1H),3.75〜3.78(m,1H),3.74(s,3H),3.42(br.s.,2H),2.32〜2.41(m,4H),1.85〜2.03(m,2H),1.67〜1.77(m,2H),1.60(s,1H),1.14(d,J=6.8Hz,2H),0.99〜1.06ppm(m,2H);MS m/z 606(M+H)。
【0214】
実施例9:化合物#14
7−{3−[2−((2S)−2−アミノ−3−ジメチルアミノ−プロピオニルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸二塩酸塩
工程A:7−{3−[2−((2S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−ジメチルアミノ−プロピオニルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸
【0215】
【化52】

【0216】
固体HATU(7.9g、20.7mmol)を7−[3−(2−アミノ−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(9.0g、19.7mmol)と(S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−ジメチルアミノ−プロピオン酸(4.8g、20.7mmol)とi−Pr2NEt(10.3mL、59.2mmol)のTHF溶液(200mL)に添加し、得られた混合物を45℃に加温した。16時間後、45℃にて、得られた混合物をEtOAcで希釈し、水及び食塩水で洗浄し、次に、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮し、カラムクロマトグラフィーを介して精製したところ、黄色のゴム状物質が生じた。
【0217】
1H NMR(クロロホルム−d,400MHz):δ=8.75〜8.86(m,1H),8.45(br.s.,1H),7.85(d,J=12.2Hz,1H),5.51(br.s.,1H),4.13〜4.30(m,1H),4.03〜4.12(m,3H),4.00(br.s.,2H),3.77(s,3H),3.68〜3.75(m,1H),3.41〜3.51(m,2H),3.21(q,J=7.3Hz,1H),2.81(s,6H),2.62〜2.73(m,1H),2.57(d,J=10.3Hz,1H),1.73〜1.88(m,2H),1.43(s,9H),1.22〜1.33(m,2H),0.95〜1.09ppm(m,2H);MS m/z 634(M+H)。
【0218】
工程B:7−{3−[2−((2S)−2−アミノ−3−ジメチルアミノ−プロピオニルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸二塩酸塩
【0219】
【化53】

【0220】
4 MのHClのジオキサン(67mL、268.3mmol)溶液を7−{3−[2−((2S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−ジメチルアミノ−プロピオニルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(8.5g、13.4mmol)のCH2Cl2溶液(64mL)に添加した。2時間後、この液体の上澄みを移し、フラスコの底に残留物を得た。この残留物をCH2Cl2で洗浄し(3回)、次に減圧下で乾燥させたところ、黄色固体として表題化合物が生じた。
【0221】
1H NMR(DMSO−d6,400MHz):δ=10.97(br.s.,1H),9.50(t,J=5.4Hz,1H),8.80(br.s.,3H),8.71(s,1H),7.77(d,J=12.2Hz,1H),4.50(br.s.,1H),4.04〜4.27(m,3H),3.89〜4.04(m,2H),3.75(s,3H),3.38〜3.52(m,4H),2.87(br.s.,6H),2.40(dt,J=12.3,6.4Hz,2H),1.74(br.s.,2H),1.28(dd,J=13.2,6.6Hz,1H),1.10〜1.20(m,2H),0.99〜1.09ppm(m,2H);MS m/z 534(M+H)。
【0222】
実施例10:化合物#4
7−{3−[2−((2S)−2−アミノ−プロピオニルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩
工程A:7−{3−[2−((2S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオニルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸
【0223】
【化54】

【0224】
固体HATU(7.3g、19.3mmol)を7−[3−(2−アミノ−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(8.0g、17.5mmol)とL−Boc−アラニン(3.7g、19.3mmol)とEt3N(6.1mL、43.7mmol)のTHF溶液(200mL)に添加した。4時間後、室温にて、得られた混合物をEtOAcで希釈し、NaHCO3飽和水溶液及び食塩水で洗浄し、次に乾燥させ(Na2SO4)、濃縮し、カラムクロマトグラフィーを介して精製したところ、白色固体が生じた。
【0225】
MS m/z 591(M+H)。
【0226】
工程B:7−{3−[2−((2S)−2−アミノ−プロピオニルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩
【0227】
【化55】

【0228】
4 MのHClのジオキサン(60mL、240.0mmol)溶液を7−{3−[2−((2S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオニルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(6.6g、17.5mmol)のCH2Cl2溶液(60mL)に添加した。2時間後、この液体の上澄みを移し、フラスコの底に残留物を得た。この残留物をCH2Cl2で洗浄し(3回)、次に減圧下で乾燥させたところ、黄色固体として表題化合物が生じた。
【0229】
1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ 8.85(t,J=5.50Hz,1H),8.71(s,1H),8.16(bs,3H),7.77(d,J=11.98Hz,1H),4.03〜4.22(m,3H),3.90〜4.03(m,2H),3.65〜3.87(m,4H),3.43(br.s.,1H),2.69(s,1H),1.73(br.s.,2H),2.55〜2.30(m,2H),1.31(d,J=7.09Hz,3H),1.09〜1.19(m,2H),0.99〜1.09ppm(m,2H);MS m/z 491(M+H)。
【0230】
実施例11:化合物#5
7−{3−[2−((2S)−2−アミノ−3−カルボキシ−プロピオニルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩
工程A:7−{3−[2−((2S)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオニルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸
【0231】
【化56】

【0232】
固体HATU(7.3g、19.3mmol)を7−[3−(2−アミノ−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(8.0g、17.5mmol)と(S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−コハク酸4−tert−ブチルエステル(5.6g、19.3mmol)とEt3N(6.1mL、43.7mmol)のTHF溶液(200mL)に添加した。4時間後、室温にて、得られた混合物をEtOAcで希釈し、NaHCO3飽和水溶液及び食塩水で洗浄し、次に乾燥させ(Na2SO4)、濃縮し、カラムクロマトグラフィーを介して精製したところ、白色固体が生じた。
【0233】
MS m/z 691(M+H)。
【0234】
工程B:7−{3−[2−((2S)−2−アミノ−3−カルボキシ−プロピオニルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩
【0235】
【化57】

【0236】
未希釈のTFA(120mL、1.6mol)を7−{3−[2−((2S)−3−tert−ブトキシカルボニル−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオニルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(11.0g、15.9mmol)のCH2Cl2溶液(120mL)に添加した。4時間後、得られた混合物を濃縮し、THFに溶解させ、1 NのHClのエチルエーテル(50mL)溶液を添加した。得られた沈殿を濾過し、減圧下で乾燥させた。F19NMRは、TFA塩が完全にはHClに変換されなかったことを示した。この固体をジクロロメタン(100mL)及び1NのHCl/エチルエーテル(50mL)の中に懸濁し、室温にて3時間にわたって撹拌した。得られた固体を濾過し、減圧下で乾燥させたところ、黄色固体として表題化合物が生じた。
【0237】
1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ 8.88(t,J=5.26Hz,1H),8.71(s,1H),8.23(br.s.,3H),7.77(d,J=12.23Hz,1H),3.90〜4.22(m,5H),3.74(s,3H),3.45(br.s.,2H),2.72〜2.89(m,2H),2.69(s,1H),2.30〜2.45(m,2H),1.68〜1.77(m,2H),1.09〜1.18(m,2H),1.00〜1.09ppm(m,2H);MS m/z 535(M+H)。
【0238】
実施例12:化合物#7
1−シクロプロピル−6−フルオロ−7−{3−[1−フルオロ−2−((2S)−2−メチルアミノ−プロピオニルアミノ)−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩
工程A:7−(3−{2−[(2S)−2−(tert−ブトキシカルボニル−メチル−アミノ)−プロピオニルアミノ]−1−フルオロ−エチリデン}−ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸
【0239】
【化58】

【0240】
固体HATU(7.3g、19.3mmol)を7−[3−(2−アミノ−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(8.0g、17.5mmol)と(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル−メチル−アミノ)−プロピオン酸(3.9g、19.3mmol)とEt3N(6.1mL、43.7mmol)のTHF溶液(200mL)に添加した。4時間後、室温にて、得られた混合物をEtOAcで希釈し、NaHCO3飽和水溶液及び食塩水で洗浄し、次に乾燥させ(Na2SO4)、濃縮し、カラムクロマトグラフィーを介して精製したところ、白色固体が生じた。
【0241】
MS m/z 605(M+H)。
【0242】
工程B:1−シクロプロピル−6−フルオロ−7−{3−[1−フルオロ−2−((2S)−2−メチルアミノ−プロピオニルアミノ)−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩
【0243】
【化59】

【0244】
未希釈のTFA(80mL、1.1mol)を7−(3−{2−[(2S)−2−(tert−ブトキシカルボニル−メチル−アミノ)−プロピオニルアミノ]−1−フルオロ−エチリデン}−ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(10.0g、16.5mmol)のCH2Cl2溶液(100mL)に添加した。4時間後、得られた混合物を濃縮し、CH2Cl2に溶解し、1 NのHClのエチルエーテル(50mL)溶液を添加し、得られた混合物を濃縮した。この手順を二回以上繰り返し、得られた固体を減圧下で乾燥させたところ、白色固体として表題化合物が生じた。
【0245】
1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ 9.20(br.s.,1H),8.99(t,J=5.50Hz,1H),8.80(br.s.,1H),8.71(s,1H),7.77(d,J=11.98Hz,1H),4.07〜4.21(m,3H),3.97(s,2H),3.71〜3.79(m,4H),3.39〜3.46(m,2H),2.32〜2.45(m,5H),1.73(br.s.,2H),1.34(d,J=6.85Hz,3H),1.02〜1.18ppm(m,4H);MS m/z 505(M+H+)。
【0246】
実施例13:化合物#8
1−シクロプロピル−6−フルオロ−7−{3−[1−フルオロ−2−(5−メチル−2−オキソ−[1,3]ジオキソール−4−イルメトキシカルボニルアミノ)−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸
【0247】
【化60】

【0248】
固体カルボン酸5−メチル−2−オキソ−[1,3]ジオキソール−4−イルメチルエステル4−ニトロ−フェニルエステル(5.4g、18.5mmol)を7−[3−(2−アミノ−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(8.0g、17.6mmol)とi−Pr2NEt(6.1mL、35.2mmol)のTHF溶液(160mL)に添加した。6時間後、得られた混合物をEtOAcで希釈し、水及び食塩水で洗浄し、次に、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮し、カラムクロマトグラフィーを介して精製したところ、黄色固体として表題化合物が生じた。
【0249】
1H NMR(クロロホルム−d,300MHz):δ=14.77(s,1H),8.81(s,1H),7.85(d,J=12.1Hz,1H),5.26(t,J=5.7Hz,1H),4.77(s,2H),4.01〜4.20(m,1H),3.97(s,2H),3.78(s,3H),3.37〜3.56(m,2H),2.47(t,J=5.5Hz,2H),2.13(s,3H),1.72〜1.91(m,2H),1.64(s,2H),1.16〜1.36(m,2H),0.92〜1.11ppm(m,2H);MS m/z 576(M+H)。
【0250】
実施例14:化合物#13
1−シクロプロピル−7−{3−[2−(ジエトキシ−ホスホリルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸ナトリウム塩
工程A:1−シクロプロピル−7−{3−[2−(ジエトキシ−ホスホリルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸
【0251】
【化61】

【0252】
未希釈の(CH3CH2O)2POCl(3.5mL、24.2mmol)を7−[3−(2−アミノ−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(10.0g、22.0mmol)とi−Pr2NEt(11.5mL、66.0mmol)のTHF溶液(300mL)に添加した。4時間後、得られた混合物をEtOAcで希釈し、水及び食塩水で洗浄し、次に、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮し、カラムクロマトグラフィーを介して精製したところ、黄色固体が生じた。
【0253】
1H NMR(クロロホルム−d,300MHz):δ=14.74(s,1H),8.82(s,1H),7.88(d,J=12.1Hz,1H),3.96〜4.16(m,4H),3.91(s,2H),3.83(dd,J=10.5,6.8Hz,1H),3.78(s,3H),3.74(d,J=7.2Hz,1H),3.40〜3.51(m,2H),2.87〜3.03(m,1H),2.47(t,J=5.7Hz,2H),1.73〜1.86(m,2H),1.20〜1.34(m,6H),0.96〜1.07ppm(m,2H);MS m/z 556(M+H)。
【0254】
工程B:1−シクロプロピル−7−{3−[2−(ジエトキシ−ホスホリルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸ナトリウム塩
【0255】
【化62】

【0256】
1 MのNaOH水溶液(17.1mL、17.1mmol)を1−シクロプロピル−7−{3−[2−(ジエトキシ−ホスホリルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(9.5g、17.1mmol)のCH3CN溶液に添加した。1時間後、得られた混合物を減圧下で濃縮し、水で洗浄し(2回)、減圧下で乾燥させたところ、黄色固体として表題化合物が生じた。
【0257】
1H NMR(DMSO−d6,300MHz):δ=8.57(s,1H),7.64(d,J=12.8Hz,1H),5.27〜5.39(m,1H),3.98(dt,J=7.0,3.3Hz,1H),3.83(quin,J=7.3Hz,6H),3.71(s,3H),3.51〜3.69(m,2H),2.36(br.s.,2H),1.70(br.s.,2H),1.15(t,J=7.2Hz,6H),1.03〜1.11(m,1H),0.86ppm(br.s.,2H);MS m/z 556(M+H)。
【0258】
実施例15:化合物#11
7−[3−(2−アミノ−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸エチルエステル塩酸塩
工程A:7−[3−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸
【0259】
【化63】

【0260】
固体Boc2O(4g、18.4mmol)を7−[3−(2−アミノ−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(8.0g、17.5mmol)とEt3N(6.1mL、43.7mmol)のCH2Cl2溶液(300mL)に添加した。得られた混合物を室温にて6時間にわたって撹拌し、濃縮した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製したところ、白色固体が生じた。
【0261】
MS m/z 520(M+H)。
【0262】
工程B:7−[3−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸エチルエステル
【0263】
【化64】

【0264】
未希釈のCH3CH2I(3.6g、23.1mmol)を7−[3−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(10g、19.3mmol)とCs2CO3(12.6g、38.6mmol)のMeCN溶液(300mL)に添加し、得られた混合物を85℃に加熱した。4時間後、得られた混合物を冷却し、次に濃縮した。得られた残留物をジクロロメタン(200mL)で処理し、濾過した。この濾液を濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製したところ、白色固体が生じた。
【0265】
MS m/z 548(M+H)。
【0266】
工程C:7−[3−(2−アミノ−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸エチルエステル塩酸塩
【0267】
【化65】

【0268】
4 MのHClのジオキサン(80mL、320mmol)溶液を7−[3−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸エチルエステル(7.6g、13.9mmol)のCH2Cl2溶液(80mL)に添加した。2時間後、この液体の上澄みを移し、フラスコの底に残留物を得た。この残留物をCH2Cl2で洗浄し(3回)、次に減圧下で乾燥させたところ、黄色固体として表題化合物が生じた。
【0269】
1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ 8.48(s,1H),8.37(br.s.,3H),7.62(d,J=12.23Hz,1H),4.21(q,J=7.09Hz,2H),4.02(dt,J=3.33,7.27Hz,1H),3.78〜3.95(m,4H),3.73(s,3H),3.37(br.s.,2H),2.43(br.s.,2H),1.73(br.s.,2H),1.27(t,J=7.09Hz,3H),1.03〜1.18(m,2H),0.91〜1.03(m,2H);MS(ES)m/z:448(M+H+)。
【0270】
実施例16:化合物#12
7−[3−(2−アミノ−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸イソプロピルエステル塩酸塩
工程A:7−[3−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸イソプロピルエステル
【0271】
【化66】

【0272】
未希釈のi−PrI(2.8mL、28.1mmol)を7−[3−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(11.2g、21.6mmol)(上記実施例15に記載のように調製)とCs2CO3(7.7g、23.8mmol)のNMP溶液(100mL)に添加し、得られた混合物を80℃に加温した。5時間後、得られた混合物を冷却し、EtOAcで希釈し、水及び食塩水で洗浄し、次に、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮し、カラムクロマトグラフィーを介して精製したところ、黄色のゴム状物質が生じた。
【0273】
1H NMR(クロロホルム−d,300MHz):δ=8.54(s,1H),7.88(d,J=12.4Hz,1H),5.24(quin,J=6.2Hz,1H),4.90(br.s.,1H),3.97〜4.10(m,2H),3.83〜3.96(m,2H),3.75(s,3H),3.35〜3.47(m,2H),2.43(t,J=5.5Hz,2H),1.40(s,9H),1.39(s,3H),1.37(s,3H),1.19(q,J=7.0Hz,2H),0.92〜0.98ppm(m,2H)。
【0274】
工程B:7−[3−(2−アミノ−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸イソプロピルエステル塩酸塩
【0275】
【化67】

【0276】
4 MのHClのジオキサン(60mL、235.3mmol)溶液を7−[3−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸イソプロピルエステル(6.6g、11.8mmol)のCH2Cl2溶液(60mL)に添加した。2時間後、この液体の上澄みを移し、フラスコの底に残留物を得た。この残留物をCH2Cl2で洗浄し(3回)、次に減圧下で乾燥させたところ、黄色固体として表題化合物が生じた。
【0277】
1H NMR(DMSO−d6,300MHz):δ=8.47(br.s.,1H),8.45(s,1H),7.62(d,J=12.4Hz,1H),6.52(br.s.,2H),5.04(quin,J=6.3Hz,1H),3.96〜4.10(m,1H),3.87(br.s.,3H),3.76〜3.83(m,1H),3.73(s,3H),3.37(br.s.,2H),2.42(br.s.,2H),1.73(br.s.,2H),1.27(d,J=6.0Hz,6H),1.06〜1.16(m,2H),0.89〜1.00ppm(m,2H);MS m/z 462(M+H)。
【0278】
実施例17:化合物#17
【0279】
【化68】

【0280】
固体mPEG−スクシニル−NHS(34.9g、15.0mmol、NOF Corporation(One North Broadway,Suite 1012,White Plains,NY 10601)から購入)を7−{3−[2−(2−アミノ−アセチルアミノ)−1−フルオロ−エチリデン]−ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩(7.0g、13.6mmol)(上記実施例2に記載の手順に従って調製)とi−Pr2NEt(11.9mL、68.2mmol)のDMF溶液(60mL)に添加した。16時間後、得られた混合物を濃縮し、HPLCを介して精製したところ、黄色固体として表題化合物が生じた。
【0281】
1H NMR(メタノール−d4,400MHz):δ=8.90(s,1H),7.84(d,J=12.5Hz,1H),4.18〜4.31(m,4H),4.15(s,1H),4.09(s,2H),3.81〜3.84(m,3H),3.50〜3.72(m,232H),3.47(dd,J=5.5,3.8Hz,2H),3.26〜3.35(m,2H),2.65〜2.71(m,2H),2.54(t,J=6.6Hz,2H),2.50(d,J=5.4Hz,2H),1.83(br.s.,2H),1.28(d,J=6.8Hz,2H),1.04〜1.13ppm(m,2H)
【0282】
生物学的実施例
実施例18:水溶解度
双性イオンの調製:
式(I)の化合物又は式(II)の化合物のH2O溶液(50mg/mL)を0.1MのNaOHで、pHが5.7〜6.1に到達するまで滴定した。沈殿したあらゆる固体を濾過した。残っている溶液又は相分離した油/H2O混合物をフリーズドライしたところ、綿毛状固体として双性イオンが生じた。
【0283】
双性イオンを特性評価するために使用されるクロマトグラフィー条件:
【0284】
【表4】

【0285】
【表5】

【0286】
3.3mg/mL(活性形態力価と等価)の試験化合物溶液の透明度を判定するための手順:
3.3mg/mL(活性形態等価物)の本発明の代表的な化合物の溶液をpH 4(50mMクエンサン塩)及びpH 7(50mMリン酸塩)にて調製した。これらの溶液を暗所にて保管し、下記の表3に列挙しているように、24時間後にこれらの視覚的透明度を判定した。記述「はい」は、この化合物が、24時間後に指定pHにて3.3mg/mLで可溶性であったことを示す。一方、記述「いいえ」は、この化合物が、24時間後に指定pHにて3.3mg/mLで可溶性でなかったことを示す。
【0287】
修正された手順により、化合物#14、#15及び#16の水溶解度を判定した。これらの事例では、試料はpH 4及び7において対象にし、100mLのリン酸塩緩衝液のみを用いて測定した。どちらのpHについても、測定した試料は、まず約3mg/mL及び約10mg/mLの濃度にて調製し、素早く溶解した試料については、追加の化合物を、飽和溶液が得られるまで、溶液に添加した。別個の値として報告された濃度は、RP−HPLCにより測定され、これらも下記の表3に示されている。
【0288】
親化合物((E)−7−(3−(2−アミノ−1−フルオロエチリデン)ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸としても知られる、式(M)の化合物)の溶解度を、別個の実験において判定し、この実験において、様々なpHにて50mMクエン酸塩緩衝液を含有する溶液を様々な標的濃度にて固体化合物に添加した。これらの試料を一晩混合し、pHをBeckman φ 360pH/Temp/mV Meterで測定した。次に、これらの試料を、ナイロン遠心分離フィルターを用いて、濾過した。上清を希釈し、濃度をHPLCで測定した。親化合物((E)−7−(3−(2−アミノ−1−フルオロエチリデン)ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸)の溶解度は、pH 4.11では0.14mg/mL、並びに、pH 6.75では0.04mg/mLと測定された。
【0289】
【表6】

a試験せず
【0290】
実施例19:インビトロ安定性調査
プロドラッグ化合物の親ドラッグへのバイオ変換
化合物#1、#4、#6、#15及び#16、並びに、親ドラッグ[(E)−7−(3−(2−アミノ−1−フルオロエチリデン)ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸](式(M)の化合物)を新鮮で冷却した(4℃)ヒト又はマウスの、全血若しくは血漿又は腎臓及び肝臓抽出物(それぞれ下記に記載のように新鮮なマウス臓器から調製)中に1mg/mLで溶解させ、20μg/mLに希釈した。化合物濃度を、相対分子量の比率を乗算することにより、親ドラッグに対して正規化した。すぐに等体積のアセトニトリルで希釈し、ボルテックスにかけ、試料を氷に移すことにより、時間0(分)試料を調製した。追加時点については、試料を、指定された時間にわたって37℃にて恒温器(表4及び5)又は加熱ブロック(表6〜12)内に定置し、次に等体積のアセトニトリルと共にボルテックスにかけ、氷上に置いた。試料を遠心分離にかけ、更に等体積の水で希釈してアセトニトリルの最終濃度を25%にしてから、HPLCにより分析した。希釈した試料を冷却した(4℃)HPLC試料注入チャンバに保持し、注入を保留した。
【0291】
本発明の代表的化合物及び親化合物を、Agilent 1100システムを用いて逆相HPLCにより分析した。試料をガードカートリッジを有するZorbax SB−C18カラム(3.5μM、4.6×150mm)上に注入し、10分にわたって0.1%のトリフルオロ酢酸中15%の水性アセトニトリルから0.1%トリフルオロ酢酸中85%の水性アセトニトリルへの勾配で展開した、この溶媒流速は1mL/分でありカラム温度は40℃であった。化合物及び親ピークの同定は、ダイオードアレイ検出法により行い、300nmでモニターした。化合物(プロドラッグ)から親ドラッグへの変換は、それぞれの作用剤のピーク領域(A300 nm、mAU)により推測した。
【0292】
マウス全血及び血漿をSwiss Websterマウスから採取し、使用まで4℃にて保存した(48時間以内)。下記の表4、5、6及び7は、記載のようにマウス全血及び血漿で測定された化合物#1、#6、#15及び#16についての結果を列挙する。
【0293】
表4及び5は、新鮮なマウス全肝又は全腎についての結果を示す。これらの実験のために、新鮮なマウス全肝又は全腎を1mLの滅菌生理食塩水中でおよそ30秒にわたってホモジナイズし(Omni−Tip(商標)使い切りホモジナイザーチップ)、すぐに氷上に保管した。粗抽出物(遠心分離にかけず)を試験化合物又は親化合物(20μg/mL)と共にインキュベートし、上記のように処理した。
【0294】
【表7】

【0295】
【表8】

【0296】
【表9】

【0297】
【表10】

【0298】
化合物#1、#4及び#6(結果は表8、9及び10に列挙されている)についての調査のために、新鮮なヒト全血及び血漿試料を、BioChemed Servicesから購入した。このヒト全血及び血漿試料は冷凍冷却パックで維持されたスタイロフォームクーラーで輸送されたものであり、受け取りから48時間以内に使用した。化合物#15及び#16(結果は表11及び12に列挙されている)についての調査のために、ボランティアから採血し、全血試料及び単離血漿を調製し、すぐに氷上に置いた。全血及び血漿試料を4℃に維持し、約30時間以内に使用した。
【0299】
【表11】

【0300】
【表12】

【0301】
【表13】

【0302】
【表14】

【0303】
【表15】

【0304】
上記表4〜12に列挙されている結果は、化合物#1、#4及び#6が、全血(ヒト又はマウス)、肝臓/腎臓抽出物(マウス)及び血漿(ヒト又はマウス)において、親化合物([(E)−7−(3−(2−アミノ−1−フルオロエチリデン)ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸])に変換されることを示す。化合物#15は、全血(ヒト又はマウス)及び血漿(ヒト又はマウス)において親に変換される。化合物#16は、マウス全血において未知の代謝産物の仲介を経て親化合物に変換される。一方、マウス血漿においては、化合物#16は未知の代謝産物には変換されるが、親ドラッグには実質的に変換されない。更に、ヒト全血及び血漿では、化合物#16は、親ドラッグへの変換が測定されなかった。
【0305】
(実施例20)
マウス全身感染モデルにおけるインビボ有効性
体重20〜25gのメスのSwiss Websterマウスに、7%ムチン中約5×105コロニー形成単位(CFU)の黄色ブドウ球菌(OC8525)(メチシリン耐性菌)に腹腔内投与で感染させた。一時間後、動物に静脈内投与で又は口腔経路で0.2mLの投与量で試験化合物を与えた。各動物試験群は、8匹の動物からなる。5%のデキストロース水溶液(D5W)で投与する直前に、この試験化合物を調製し、静脈内投与又は腹腔内投与のためにD5Wで更に希釈した。マウスを三日間にわたって観察し、得られた%生存曲線からED50値を計算した(下記の表13を参照されたい)。測定されたED50値を(E)−7−(3−(2−アミノ−1−フルオロエチリデン)ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸の量に対して正規化した。一部の化合物については、単回投与濃度のみで8匹のマウス群を試験することにより、インビボ有効性を判定した。これらの事例では、下記の表13に示されているデータは、指定の投与量での生存パーセントとして報告される。
【0306】
比較のために親、すなわち、(E)−7−(3−(2−アミノ−1−フルオロエチリデン)ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸のED50値を、静脈内投与時及び腹腔内投与時にそれぞれ0.71及び10.6mg/kg/日で測定した。
【0307】
【表16】

a試験せず
【0308】
実施例21:ラット薬物動態
オスのSprague−Dawleyラット(n=4)を一晩絶食させ、その後、2mg/kgで20%ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン中の本発明の化合物(プロドラッグ)又は親(式(M)の化合物)の1mg/mL溶液を静脈内投与(IV)した。投与後24時間以内に、血液試料を凝固防止剤を含有する試験管の中に回収した。細胞除去のために血液試料を遠心分離にかけ、100μLの血漿をきれいなバイアル瓶に移し、氷上に配置し、分析前に−70℃の冷凍庫で保存した。
【0309】
血漿試料を以下のように調製した。ギ酸及び内部標準を含有する2倍量のアセトニトリルを1倍量の血漿に添加して、タンパク質を沈殿させた。試料を遠心分離にかけ(3000gで5分)、上清をLC−MS−MSによる分析のために取り出した。適量の原液を血漿に直接添加することにより較正標準を調製し、同じように処理して、血漿試料を回収した。試験化合物(プロドラッグ)、親(式(M)の化合物)及び内部標準について特徴的なイオンを検出するための複数の反応モニタリングを用いて、LC−MS−MS分析を行った。
【0310】
上記のように血漿濃度を測定して、濃度vs時間プロファイルを判定した。血漿濃度vs時間曲線(AUC)下の面積を、線形台形法を用いて計算した。非区画分析を用いて、薬物動態パラメーターを得るためのデータの調整を行った。結果は下記の表14に列挙されている。用語「NA」は、データが入手できなかったことを意味する。
【0311】
【表17】

a(E)−7−(3−(2−アミノ−1−フルオロエチリデン)ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸
【0312】
上記の表14に列挙されている結果は、化合物#15及び#16が、静脈内投与されると迅速に親ドラッグに変換されることを示す。親の正規化等価投与量と比較して、化合物#15については66.4%で、化合物#16については52.8%で、活性成分の曝露が測定された。
【0313】
実施例22:予想される実施例、経口固形剤形
経口組成物の特定の実施形態として、実施例6で調製した化合物100mgを、十分な微粉乳糖と共に配合して、総量580〜590mgをサイズOの硬質ゲルカプセル剤に充填する。
【0314】
実施例23:予想される実施例、経口剤形
経口投与組成物の特定の実施形態として、150mLの5%デキストロース水溶液(pH4)中に、実施例6で調製した化合物#15を750mg配合する。
【0315】
例証する目的のために提供される実施例と共に、前述の説明は本発明の原理を教示するものであるが、本発明の実施は、以下の「特許請求の範囲」及びその等価物の範囲内にあるとき、使用可能な変形例、適応例、及び/又は変更例の全てを包含すると理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】

式中、
1が、
【化2】

及び−P(O)(OR72からなる群から選択され、
3が、水素、低級アルキル、ベンジル、−CH2CO2H、−(CH24NH2及び−CH2N(CH32からなる群から選択され、
4が、水素及び低級アルキルからなる群から選択され、
5が、水素、
【化3】

及び−C(O)−(CH22−C(O)−mPEG(2000)からなる群から選択され、
6が、低級アルキル及び−(CH24−NH2からなる群から選択され、
各R7が、独立して、低級アルキルから選択される、
及びこれらの製薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
1が、
【化4】

及び−P(O)(OR72からなる群から選択され、
3が、水素、低級アルキル、ベンジル、−CH2CO2H、−(CH24NH2及び−CH2N(CH32からなる群から選択され、
4が水素及び低級アルキルからなる群から選択され、
5が、水素、
【化5】

及び−C(O)−(CH22−C(O)−mPEG(2000)からなる群から選択され、
6が、低級アルキル及び−(CH24−NH2からなる群から選択され、
各R7が低級アルキルからなる群から選択される、
請求項1に記載の化合物又はこれらの製薬学的に許容可能な塩。
【請求項3】
1が、
【化6】

及び−P(O)(OR72からなる群から選択され、
3が、水素、メチル、イソプロピル、イソブチル、ベンジル、−CH2CO2H、−(CH24NH2及び−CH2N(CH32からなる群から選択され、
4が、水素及びメチルからなる群から選択され、
5が、水素、
【化7】

及び−C(O)−(CH22−C(O)−mPEG(2000)からなる群から選択され、
6が、メチル、イソプロピル及び−(CH24−NH2からなる群から選択され、
各R7が低級アルキルからなる群から選択される、
請求項2に記載の化合物又はこれらの製薬学的に許容可能な塩。
【請求項4】
1が、
【化8】

からなる群から選択される、
請求項3に記載の化合物又はこれらの製薬学的に許容可能な塩。
【請求項5】
1が、
【化9】

からなる群から選択される、
請求項4に記載の化合物又はこれらの製薬学的に許容可能な塩。
【請求項6】
1−シクロプロピル−7−[3−(2−{[(2S)−1−((2S)−2,6−ジアミノ−ヘキサノイル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸、及び
7−(3−{2−[2−((2S)−2−アミノ−4−カルボキシ−ブチリルアミノ)−アセチルアミノ]−1−フルオロ−エチリデン}−ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸
からなる群から選択される、請求項4に記載の化合物及びこれらの製薬学的に許容可能な塩。
【請求項7】
1−シクロプロピル−7−[3−(2−{[(2S)−1−((2S)−2,6−ジアミノ−ヘキサノイル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸二塩酸塩、及び
7−(3−{2−[2−((2S)−2−アミノ−4−カルボキシ−ブチリルアミノ)−アセチルアミノ]−1−フルオロ−エチリデン}−ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸塩酸塩からなる群から選択される、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
1−シクロプロピル−7−[3−(2−{[(2S)−1−((2S)−2,6−ジアミノ−ヘキサノイル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸
からなる群から選択される化合物及びこれらの製薬学的に許容可能な塩。
【請求項9】
製薬学的に許容可能な担体と、請求項1に記載の化合物と、を含む医薬組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の化合物と、製薬学的に許容可能な担体と、を混合することにより製造される医薬組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の化合物と、製薬学的に許容可能な担体と、を混合することを含む、医薬組成物を製造するプロセス。
【請求項12】
治療的に有効な量の請求項1に記載の化合物を、細菌感染により生じる又は細菌感染が一因となる状態を処置する必要のある患者に投与することを含む、細菌感染により生じる又は細菌感染が一因となる状態を有する患者の処置方法。
【請求項13】
治療的に有効な量の請求項1に記載の化合物を、細菌感染により生じる又は細菌感染が一因となる状態に罹患することを予防する必要のある患者に投与することを含む、患者が、細菌感染により生じる又は細菌感染が一因となる状態に罹患することを予防する方法。
【請求項14】
細菌感染により生じる又は細菌感染が一因となる状態を処置又は予防する必要のある患者の状態を、処置又は予防する医薬品を調製する際の、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項15】
式(II)の化合物
【化10】

式中、
2が低級アルキルである、
又はこれらの製薬学的に許容可能な塩。
【請求項16】
2が、メチル及びイソプロピルからなる群から選択される、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
製薬学的に許容可能な担体と、請求項15に記載の化合物と、を含む、医薬組成物。
【請求項18】
請求項15に記載の化合物と、製薬学的に許容可能な担体と、を混合することにより製造される、医薬組成物。
【請求項19】
請求項15に記載の化合物と、製薬学的に許容可能な担体と、を混合することを含む、医薬組成物を製造するプロセス。
【請求項20】
治療有効量の請求項15に記載の化合物を、細菌感染により生じる又は細菌感染が一因となる状態を処置する必要のある患者に投与することを含む、細菌感染により生じる又は細菌感染が一因となる状態を有する患者の処置方法。
【請求項21】
治療有効量の請求項15に記載の化合物を、細菌感染により生じる又は細菌感染が一因となる状態に罹患することを予防する必要のある患者に投与することを含む、患者が、細菌感染により生じる又は細菌感染が一因となる状態に罹患することを予防する方法。
【請求項22】
細菌感染により生じる又は細菌感染が一因となる状態を処置又は予防する必要のある患者の状態を、処置又は予防する医薬品を調製する際の、請求項15に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2013−516468(P2013−516468A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548065(P2012−548065)
【出願日】平成23年1月3日(2011.1.3)
【国際出願番号】PCT/US2011/020040
【国際公開番号】WO2011/084922
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(397060175)ヤンセン ファーマシューティカ エヌ.ベー. (28)
【Fターム(参考)】