(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの多形形態
本発明は、(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの多形形態、その方法、その薬学的組成物およびその使用に関する。(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルはIMPDH媒介疾患の処置に有用な強力なIMPDH阻害剤である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの多形形態、その方法、その薬学的組成物およびそれを用いる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
本発明は、以下の構造式を有する(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イル(以下「化合物1」とする)の多形形態に関する。
【0003】
【化1】
本発明は、化合物1の多形形態を調製する方法にも関する。
【0004】
化合物1は、IMPDH媒介疾患を処置するのに有用な強力なIMPDH阻害剤である。化合物1、その組成物およびそれを用いた方法は、特許文献1、特許文献2、特許文献3および特許文献4(以下「化合物1特許」とする)に開示されている。その開示全体を参照により本明細書に組み込む。
【特許文献1】米国特許第5,807,876号明細書
【特許文献2】米国特許第6,054,472号明細書
【特許文献3】米国特許第6,344,465号明細書
【特許文献4】米国特許第6,541,496号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、化合物1の5つの多形形態、すなわち形態A1、形態B2、形態C3、形態D4および形態E5を提供する。本発明は、それらの多形形態を作製するための方法にも関する。本発明は、治療方法におけるこれらの多形形態の使用、およびそうした多形形態を含む薬学的組成物の調製にも関する。本発明は、化合物1の非晶質形態、およびそうした非晶質形態を作製するための方法にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(発明の詳細な説明)
(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イル(化合物1)はIMPDH媒介疾患の処置に有用な強力なIMPDH阻害剤である。遊離塩基の化合物1の3つの多形形態(形態A1、形態B2および形態C3)が特定されている。化合物1のHCl塩の2つの多形形態(形態D4および形態E5)も特定されている。
【0007】
本発明の多形体は、ラセミ化合物、ラセミ混合物およびジアステレオマー混合物として存在することができ、可能性のあるそのすべての異性体および混合物が本発明に含まれる。
【0008】
一実施形態によれば、本発明は、本明細書の化合物1の構造で示す(S)立体配置を有する化合物1の多形形態A1、形態B2、形態C3、形態D4および形態E5を提供する。
【0009】
一実施形態によれば、本発明は、(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの多形形態A1を提供する。
【0010】
他の実施形態によれば、本発明は、約5重量%未満の非晶質形態を含む、(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの実質的に純粋な多形形態A1を提供する。
【0011】
他の実施形態によれば、本発明は、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約21.8度の2θでピーク位置を有する化合物1の多形形態A1を提供する。
【0012】
他の実施形態によれば、本発明は、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約11.8度、16.0度、18.5度、20.1度または23.6度の2θで少なくとも1つの追加のピーク位置を有する、化合物1の多形形態A1を提供する。
【0013】
他の実施形態によれば、本発明は、示差走査熱量計(DSC)で測定して約215℃で溶融/分解吸熱的事象を示す化合物1の多形形態A1を提供する。実施するDSC分析での加熱速度または走査速度、使用する較正基準、相対湿度および化学的純度に応じて、対応する形態A1、B2、C3、D4、E5および非晶質形態の吸熱は、各図に示した吸熱を約0.01〜100℃上回るかまたは下回って変わる可能性がある。任意の所与のサンプルについて、観察される吸熱も計器によって変わってよいが、計器が同じように校正されていれば、それは概ね本明細書で規定する範囲内となるであろう。
【0014】
他の実施形態によれば、形態A1は約215℃の溶融/分解温度を有する無水の結晶形態である。DSCは約215℃で単一の吸熱を示す。これは、熱重量分析(TGA)において有意の重量減少が開始される温度に対応する。この温度になるまでに、約0.4重量%の減少が観察された。形態A1は非吸湿性であり、25℃、90%相対湿度(RH)での水分の取り込みは0.5%未満である。形態A1の顕微分析によれば30〜75μmサイズの粒子を有しており、複屈折性であることが分かった。
【0015】
他の実施形態によれば、本発明は、本明細書で以下に例示する形態A1を調製するための方法を提供する。
【0016】
他の実施形態によれば、本発明は、化合物1の非晶質形態をその融点を超えて加熱して溶融物を生成させ、次いで前記溶融物を冷却し、前記溶融物を約120℃〜約160℃で再結晶化させて形態A1にすることによって、形態A1を調製するための方法を提供する。
【0017】
他の実施形態によれば、本発明は、手を加えていない(neat)形態B2または形態C3を、適切な時間、適切な高温に曝し、次いで冷却することによって形態A1にする、多形体形態B2または形態C3を形態A1に変換する方法を提供する。
【0018】
他の実施形態では、温度を上昇させると、形態B2または形態C3の形態A1への変換速度が加速される。他の実施形態では、変換速度は、約20℃〜約200℃の温度範囲で加速される。さらに他の実施形態では、その温度は約30℃〜約100℃の範囲である。
【0019】
他の実施形態によれば、本発明は、適切な溶媒または溶媒の混合物中の形態B2または形態C3の溶液またはスラリーを、適切な時間、適切な温度に曝し、次いでスラリーまたは溶液を冷却し、最終的に固体の形態A1を集めることによって、多形体形態B2または形態C3を形態A1に変換する方法を提供する。他の実施形態では、前記適切な溶媒または溶媒の混合物は本明細書の以下の表1に示す溶媒から選択される。
【0020】
他の実施形態によれば、本発明は、適切な溶媒または溶媒の混合物中で適切に攪拌しながら、適切な時間、適切な温度で加熱することによって、形態A1とB2、形態A1とC3、あるいは形態B2とC3の混合物を形態A1に変換する方法を提供する。一実施形態では、前記適切な溶媒は、酢酸エチル、10%水/ジオキサン、25%水/エタノールまたはテトラヒドロフランを含み、前記適切な時間は約24時間であり、前記適切な攪拌は振とうを含む。
【0021】
他の実施形態によれば、本発明は、形態A1および薬学的に受容可能なキャリアまたはアジュバントを含む薬学的組成物を提供する。
【0022】
他の実施形態によれば、本発明は、
(i)形態A1を非晶質形態に変換するステップと、
(ii)前記非晶質形態を1種または複数の適切な薬剤用のキャリアまたはアジュバントと合わせるステップと
を含む化合物1の非晶質形態を含む薬学的組成物を処方する方法を提供する。
【0023】
他の実施形態によれば、本発明は、患者のIMPDH媒介疾患を処置するための方法であって、前記患者に治療有効量の形態A1、または形態A1を含む薬学的組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0024】
他の実施形態によれば、本発明は、形態A1の多形体を調製するための方法であって、以下のステップ、すなわち、
a)適切に攪拌しながら、適切な温度で(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルを適切な溶媒中に溶解させて適切な溶液を得るステップ、
b)攪拌しながら、適切な温度で適切な容量の適切な溶媒を、適切な時間にわたって加えてスラリーを得るステップ、
c)前記スラリーを適切な温度に冷却するステップ、
d)ステップ(b)と同じ溶媒を適切な量スラリーに加えるステップ、
e)前記スラリーをほぼ室温に冷却するステップ、
f)前記スラリーをろ過するかまたは遠心分離にかけて多形体形態Aを得るステップ、
g)前記形態Aを、適切な溶媒で適切な回数濯ぐステップ、および
h)適切な減圧下、適切な温度で前記形態Aを、恒量になるまで適切な時間乾燥するステップ
の少なくとも1つを含む方法を提供する。
【0025】
他の実施形態によれば、本発明は、(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの多形形態B2を提供する。
【0026】
他の実施形態によれば、本発明は、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約20.9度の2θでピーク位置を有する多形形態B2を提供する。
【0027】
他の実施形態によれば、本発明は、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約5.3度、15.7度、18.4度または20.0度の2θで少なくとも1つの追加のピーク位置を有する多形形態B2を提供する。
【0028】
他の実施形態によれば、本発明は、示差走査熱量計で測定して約80℃〜約100℃で幅広い吸熱的事象を示す多形形態B2を提供する。
【0029】
他の実施形態によれば、本発明は、示差走査熱量計で測定して約146℃〜約150℃で溶融/再結晶化事象を示す多形形態B2を提供する。
【0030】
他の実施形態によれば、本発明は、示差走査熱量計で測定して約215℃で溶融/分解吸熱事象を示す多形形態B2を提供する。
【0031】
他の実施形態によれば、多形形態B2は様々な溶媒レベルを含む結晶形態である。DSC分析は3つの事象、すなわち、サンプルからの溶媒の減少または固相転移に一致する80℃〜100℃の幅広く弱い吸熱、約146℃〜約150℃での溶融/再結晶化事象、および約215℃で開始される最終溶融/分解吸熱を示す。形態B2の顕微分析では、これは、30〜75μmのサイズの粒子を含み、複屈折性であることが分かった。
【0032】
他の実施形態によれば、本発明は、本明細書で以下に例示する形態B2を調製するための方法を提供する。
【0033】
他の実施形態によれば、本発明は、形態B2および薬学的に受容可能なキャリアまたはアジュバントを含む薬学的組成物を提供する。
【0034】
他の実施形態によれば、本発明は、
(i)形態B2を非晶質形態に変換するステップと、
(ii)前記非晶質形態を1種または複数の適切な薬剤用のキャリアまたはアジュバントと合わせるステップと
を含む化合物1の非晶質形態を含む薬学的組成物を処方する方法を提供する。
【0035】
他の実施形態によれば、本発明は患者のIMPDH媒介疾患を処置するための方法であって、前記患者に治療有効量の形態B2、または形態B2を含む薬学的組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0036】
他の実施形態によれば、本発明は、(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの多形形態B2を提供する。
【0037】
他の実施形態によれば、本発明は、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約20.9度の2θでピーク位置を有する多形形態B2を提供する。
【0038】
他の実施形態によれば、本発明は、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約5.3度、15.7度、18.4度または20.0度の2θで少なくとも1つの追加のピーク位置を有する多形形態B2を提供する。
【0039】
他の実施形態によれば、本発明は、示差走査熱量計で測定して約80℃〜約100℃で幅広い吸熱的事象を示す多形形態B2を提供する。
【0040】
他の実施形態によれば、本発明は、示差走査熱量計で測定して約146℃〜約150℃で溶融/再結晶化事象を示す多形形態B2を提供する。
【0041】
他の実施形態によれば、本発明は、示差走査熱量計で測定して約215℃で溶融/分解吸熱的事象を示す多形形態B2を提供する。
【0042】
他の実施形態によれば、本発明は、(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの多形形態C3を提供する。
【0043】
他の実施形態によれば、本発明は、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約20.7度の2θでピーク位置を有する多形形態C3を提供する。
【0044】
他の実施形態によれば、本発明は、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約5.2度、15.5度、17.5度または22.5度、2θで少なくとも1つの追加のピーク位置を有する多形形態C3を提供する。
【0045】
他の実施形態によれば、本発明は、示差走査熱量計で測定して約145℃〜約160℃で溶融/再結晶化事象を示す多形形態C3を提供する。
【0046】
他の実施形態によれば、形態C3は化合物1の無水の結晶形態である。サンプルの熱分析は、約145℃〜160℃で溶融/再結晶化転移を受けていることを示している。温度可変XRPDによって、約140℃〜約160℃での形態C3から形態A1への転移が確認される。形態C3は吸湿性が中程度あり、25℃、90%相対湿度で3重量%の取り込みを示す。
【0047】
他の実施形態によれば、本発明は、本明細書で以下に例示する形態C3を調製するための方法を提供する。
【0048】
他の実施形態によれば、本発明は、形態C3および薬学的に受容可能なキャリアまたはアジュバントを含む薬学的組成物を提供する。
【0049】
他の実施形態によれば、本発明は、
(i)形態C3を非晶質形態に変換するステップと、
(ii)前記非晶質形態を1種または複数の適切な薬剤用のキャリアまたはアジュバントと合わせるステップと
を含む化合物1の非晶質形態を含む薬学的組成物を処方する方法を提供する。
【0050】
他の実施形態によれば、本発明は、患者のIMPDH媒介疾患を処置するための方法であって、前記患者に治療有効量の形態C3、または形態C3を含む薬学的組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0051】
他の実施形態によれば、本発明は、(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イル・HCl塩の多形形態D4を提供する。
【0052】
他の実施形態によれば、本発明は、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約24.94度の2θでピーク位置を有する多形形態D4を提供する。
【0053】
他の実施形態によれば、本発明は、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約11.1度、15.7度、16.9度、18.8度または27.4度の2θで少なくとも1つの追加のピーク位置を有する多形形態D4を提供する。
【0054】
他の実施形態によれば、本発明は、示差走査熱量計で測定して約100℃〜約170℃で幅広い吸熱的事象を示す多形形態D4を提供する。
【0055】
他の実施形態によれば、形態D4は化合物1の弱い結晶性のHCl塩の形態である。形態D4の顕微分析によれば、弱い結晶性のサンプルに典型的な複屈折をほとんど示さず、サンプルを加熱すると溶融/分解、それに続く材料の再結晶化が観察される。この変化は、温度可変XRPD分析によって確認される。それによれば140℃〜160℃で、遊離塩基の形態A1と類似したXRPDパターンへのパターンの変化が示される。これは塩からのHClの損失、および溶融物からの遊離塩基の再結晶化と一致する。塩の熱重量分析では170℃までに6.5%(理論では7.4%)の減少を示す。これは塩からのHClの損失に予想されるおおよその重量減少である。サンプルからのこのHClの損失はそれ自体、DSCにおける約100℃〜約170℃での幅広い吸熱を示している。
【0056】
他の実施形態によれば、本発明は、本明細書で以下に例示する形態D4を調製するための方法を提供する。
【0057】
他の実施形態によれば、本発明は、形態D4・HCl塩および薬学的に受容可能なキャリアまたはアジュバントを含む薬学的組成物を提供する。
【0058】
他の実施形態によれば、本発明は、
(i)形態D4を非晶質形態に変換するステップと、
(ii)前記非晶質形態を1種または複数の適切な薬剤用のキャリアまたはアジュバントと合わせるステップと
を含む化合物1のHCl塩の無定物を含む薬学的組成物を処方する方法を提供する。
【0059】
他の実施形態によれば、本発明は、患者のIMPDH媒介疾患を処置するための方法であって、前記患者に治療有効量の形態D4・HCl塩、または形態D4・HCl塩を含む薬学的組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0060】
他の実施形態によれば、本発明は、(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イル・HCl塩の多形形態E5を提供する。
【0061】
他の実施形態によれば、本発明は、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約14.8度の2θで少なくとも1つのピーク位置を有する多形形態E5を提供する。
【0062】
他の実施形態によれば、本発明は、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約19.4度、21.4度、22.5度または25.4度の2θで少なくとも1つの追加のピーク位置を有する多形形態E5を提供する。
【0063】
他の実施形態によれば、HCl塩としての多形形態E5は化合物1の弱い結晶性塩の形態である。形態E5の顕微分析によれば、弱い結晶性のサンプルに典型的な複屈折をほとんど示さず、サンプルを加熱すると溶融/分解それに続く材料の再結晶化が観察される。これは、約120℃〜約150℃でパターンの変化を示す温度可変XRPD分析によって確認される。これは塩からのHClの損失、および溶融物からの遊離塩基の再結晶化と一致する。形態E5・HCl塩は非常に吸湿性であり、90%相対湿度で22重量/重量%の取り込みを有する。サンプルのDSC分析は、サンプルからの水/溶媒の最初の損失、それに続く溶融およびHClの損失を示している。後者の2つの事象は、高温顕微鏡および熱重量/温度可変XRPDによって確認される。
【0064】
他の実施形態によれば、本発明は、本明細書で以下に例示する形態E5・HCl塩を調製するための方法を提供する。
【0065】
他の実施形態によれば、本発明は、形態E5・HCl塩および薬学的に受容可能なキャリアまたはアジュバントを含む薬学的組成物を提供する。
【0066】
他の実施形態によれば、本発明は、
(i)形態E5・HCl塩を非晶質形態に変換するステップと、
(ii)前記非晶質形態を1種または複数の適切な薬剤用のキャリアまたはアジュバントと合わせるステップと
を含む化合物1の非晶質形態を含む薬学的組成物を処方する方法を提供する。
【0067】
他の実施形態によれば、本発明は、患者のIMPDH媒介疾患を処置するための方法であって、前記患者に治療有効量の形態E5・HCl塩、または形態E5・HCl塩を含む薬学的組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0068】
他の実施形態によれば、本発明は、5重量%未満の形態A1を含む、(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの実質的に純粋な非晶質形態を提供する。
【0069】
他の実施形態によれば、本発明は、(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イル非晶質形態を提供する。
【0070】
他の実施形態によれば、本発明は、適切な溶媒または適切な溶媒の混合物中の多形形態B2または形態C3の溶液を蒸発させることによって、形態B2または形態C3から化合物1の非晶質形態を調製する方法を提供する。
【0071】
他の実施形態によれば、本発明は、適切な溶媒または適切な溶媒の混合物中の形態D4・HCl塩または形態E5・HCl塩の溶液を蒸発させることによって、形態D4・HCl塩または形態E5・HCl塩から化合物1の非晶質形態HCl塩を調製する方法を提供する。
【0072】
他の実施形態によれば、本発明は、2,2,2−トリフルオロエタノールまたはヘキサフルオロイソプロパノールまたはその混合物中の形態A1の溶液を蒸発させることによって、多形形態A1から化合物1の非晶質形態を調製する方法を提供する。
【0073】
他の実施形態によれば、本発明は、結晶形態の(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの結晶形態の溶融サンプルを冷却することによって、化合物1の非晶質形態を調製する方法を提供する。一実施形態によれば、化合物1の非晶質形態は、化合物1の結晶形態、例えば形態A1を化合物1の非晶質形態に変換することによって作製する。
【0074】
他の実施形態によれば、本発明は、本明細書の実施形態のいずれかによる非晶質形態を含む薬学的組成物であって、前記非晶質形態を1種または複数の適切な薬学的キャリアまたはアジュバントと合わせることによって作製される組成物を提供する。
【0075】
他の実施形態によれば、本発明は、化合物1の非晶質形態および薬学的に受容可能なアジュバントまたはキャリアを含む薬学的組成物を提供する。
【0076】
一実施形態によれば、本発明は、哺乳動物に、形態A1、形態B2、形態C3、形態D4、形態E5または非晶質形態を含む薬学的組成物を投与するステップを含む、前記哺乳動物のIMPDH媒介による疾患または病態を処置する方法を提供する。
【0077】
他の実施形態によれば、本発明は、哺乳動物に、形態A1、形態B2、形態C3、形態D4、形態E5または非晶質形態を含む薬学的組成物を投与するステップを含む、前記哺乳動物のIMPDH媒介による疾患または病態を処置する方法を提供する。
【0078】
他の実施形態によれば、本発明は、哺乳動物に、形態A1、形態B2、形態C3、形態D4、形態E5または非晶質形態を含む薬学的組成物を投与するステップを含む、前記哺乳動物におけるウイルス複製を阻害するための方法を提供する。
【0079】
他の実施形態によれば、本発明は、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、オルトミクソウイルス感染、パラミクソウイルス、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、フラビウイルス、ペスチウイルス、肝親和性ウイルス、ブンヤウイルス、ハンターンウイルス、カラパルウイルス(Caraparu virus)、ヒト乳頭腫ウイルス、脳炎ウイルス、アレナウイルス、レオウイルス、水疱性口内炎ウイルス、ライノウイルス、エンテロウイルス、ラッサ熱ウイルス、トガウイルス、ポックスウイルス、アデノウイルス、ルベオーラ(rubiola)または風疹から選択されるウイルスによって引き起こされるウイルス感染症に罹患している哺乳動物を処置するための方法を提供する。
【0080】
化合物1、形態A1、形態B2、形態C3および非晶質形態の塩の形態を作製するため、ならびに、形態D4およびE5のためのHCl塩以外の塩を作製するために有用な具体的な酸塩は、当業界で周知の酸から選択することができる。例えば、「Practical Process, Research & Development」、 Anderson, Neal G., Academic Press、2000年を参照されたい。その内容を参照により本明細書に組み込む。
【0081】
「適切な(suitable)」という用語は本明細書では、溶媒、温度、ろ液、攪拌、溶液、媒体、量、時間等について説明するのに用いる。そうした適切な溶媒、温度、ろ液、攪拌、溶液、媒体、量、時間等は当業者に容易に知られている。
【0082】
「薬学的に受容可能なキャリアまたはアジュバント」という用語は、それを用いて処方する化合物の薬理学的活性を損なわない非毒性キャリア、アジュバントまたは媒介物を指す。本発明の組成物に用いることができる薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたは媒介物には、これらに限定されないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、緩衝物質、例えばリン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、植物性飽和脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースをベースとした物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス類、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が含まれる。
【0083】
本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩には、薬学的に受容可能な無機および有機の酸および塩基から誘導されるものが含まれる。適切な酸塩の例には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルクロン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パモン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩およびウンデカン酸塩が含まれる。それ自体は薬学的に受容可能ではないが、シュウ酸などの他の酸を、本発明の化合物およびその薬学的に受容可能な酸付加塩を得るのに中間体として有用な塩の調製に用いることができる。
【0084】
適切な塩基から誘導される塩には、アルカリ金属(例えば、ナトリウムおよびカリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウムおよびN+(C1〜4アルキル)4塩が含まれる。本発明は、本明細書で開示する化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化も想定する。そうした四級化によって、水溶性もしくは油溶性、または分散性の生成物を得ることができる。
【0085】
本発明の組成物は、経口、非経口、吸入噴霧、局所、経直腸、経鼻、頬側、経膣でまたは埋め込み式リザーバーによって投与することができる。本明細書で用いる「非経口」という用語は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、肝臓内、病巣内および頭蓋内での注射または注入技術を含む。組成物は、経口、腹腔内または静脈内で投与することが好ましい。本発明の組成物の滅菌した注射投薬形態は水性懸濁剤であっても油性懸濁剤であってもよい。これらの懸濁剤は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて、当業界で周知の技術によって処方することができる。滅菌した注射可能な調製物は、非経口で受け入れられる非毒性の希釈剤または溶媒中の滅菌した注射可能な溶液または懸濁液、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液であってよい。用いられる許容媒介物および溶媒は水、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウム溶液である。さらに、溶媒または懸濁媒体として、滅菌した不揮発性油が通常用いられる。
【0086】
このためには、合成のモノ−もしくはジ−グリセリドを含む任意の無菌性の不揮発性油を用いることができる。注射剤の調製には、オレイン酸などの脂肪酸およびそのグリセリド誘導体が有用であり、また、オリーブ油またはヒマシ油などの薬学的に受容可能な天然の油類、特にそのポリオキシエチル化物も有用である。これらの油性の溶液または懸濁液は、乳剤および懸濁剤を含む薬学的に受容可能な投薬形態の処方に通常用いられるカルボキシメチルセルロースまたは同様の分散剤などの長鎖アルコールの希釈剤または分散剤も含むことができる。薬学的に受容可能な固形剤、液剤または他の投薬形態の製造に一般に用いられるTweens、Spansおよび他の乳化剤または生物学的利用能増進剤などの通常用いられる他の界面活性剤も、その処方のために用いることができる。
【0087】
本発明の薬学的組成物は、これらに限定されないが、カプセル剤、錠剤、水性の懸濁剤または液剤を含む経口で受け入れられる任意の投薬形態で、経口投与することができる。経口使用のための錠剤の場合、通常用いられるキャリアには、ラクトースやトウモロコシでんぷんが含まれる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑剤も一般に加えられる。カプセルの形態での経口投与のためには、有用な希釈剤にはラクトースおよび乾燥トウモロコシでんぷんが含まれる。経口使用のために水性の懸濁剤が必要とされる場合、活性成分は乳化剤や懸濁化剤と混合する。望むなら、特定の甘味剤、香味剤または着色剤を加えることもできる。
【0088】
あるいは、本発明の薬学的組成物は、直腸投与用の座薬の形態で投与することができる。これらは、室温で固体であるが直腸温度で液体であり、したがって直腸内で溶融して薬物を放出することになる、適切な非刺激性賦形剤と混合して調製することができる。そうした材料には、ココアバター、蜜ろうおよびポリエチレングリコールが含まれる。
【0089】
本発明の薬学的組成物は、特に処置の標的が目、皮膚または下部腸管の疾患を含む、局所施用によって容易に到達できる領域または器官を含む場合、局所で投与することもできる。これらの領域または器官のそれぞれについて、それに適した局所処方剤が容易に調製される。
【0090】
下部腸管のための局所施用は、肛門坐剤処方(上記参照)または適切な注腸処方で実施することができる。局所的な経皮貼布も用いることができる。
【0091】
局所施用のために、薬学的に受容可能な組成物は、1種または複数のキャリア中に懸濁または溶解された活性成分を含む適切な軟膏で処方することができる。本発明の化合物の局所投与のためのキャリアには、これらに限定されないが、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ろうおよび水が含まれる。あるいは、薬学的に受容可能な組成物は、1種または複数の薬学的に受容可能なキャリア中に懸濁または溶解された活性成分を含む適切なローションまたはクリームで処方することができる。適切なキャリアには、これらに限定されないが、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が含まれる。
【0092】
眼部での使用には、薬学的に受容可能な組成物は、ベンジルアルコニウムクロリドなどの保存剤を用いるかまたは用いないで、等張性のpH調整した滅菌生理食塩水中の微細化された懸濁液として、または、好ましくは等張性のpH調整した滅菌生理食塩水中の溶液として処方することができる。あるいは、眼部での使用には、薬学的に受容可能な組成物はワセリンなどの軟膏で処方することができる。
【0093】
本発明の薬学的に受容可能な組成物は、経鼻でのエアロゾルまたは吸入によって投与することもできる。そうした組成物は、製剤処方の技術分野でよく知られている技術によって調製され、ベンジルアルコールもしくは他の適切な保存剤、生物学的利用能を増進させるための吸収促進剤、フルオロカーボンおよび/または通常の他の可溶化剤または分散剤を用いて生理食塩水中の溶液として調製することができる。
【0094】
一実施形態では、本発明の薬学的に受容可能な組成物は経口投与用に処方される。
【0095】
単一の投薬形態の組成物を作製するのにキャリア材料と混合することができる本発明の化合物の量は、処置される宿主、具体的な投与の方式によって変わることになる。好ましくは、組成物は、0.01〜100mg/kg体重/日の化合物の投薬量を、これらの組成物を受け入れる患者に投与できるように処方すべきである。
【0096】
任意の特定の患者のための具体的な投薬量および処置レジメンは、用いる具体的な化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康、性別、食事、投与の時間、排出速度、薬物の併用ならびに処置する医師の判断および処置する具体的な疾患の重篤度を含む様々な因子によって変わることも理解すべきである。組成物中の本発明の化合物の量も組成物中の具体的な化合物によって変わることになる。
【0097】
処置されるかまたは予防される具体的な病態または疾患に応じて、その病態を処置または防止するために通常投与される他の治療薬が、本発明の組成物中に存在してもよい。本明細書で用いるように、特定の疾患または病態を処置または予防するために通常投与される他の治療薬は、「処置される疾患または病態に適している」ものとして知られているものである。
【0098】
本発明の組成物が、本発明のIMPDH阻害剤と本明細書で開示するものなどの1種または複数の追加の治療薬または予防薬の組合せを含む場合、IMPDH阻害剤と追加の薬剤の両方は、単剤治療レジメンで通常投与される投薬量の約10〜100%、より好ましくは約10〜80%の投薬量レベルで存在すべきである。追加の薬剤は、複数回投与レジメンの一部として、本発明の化合物とは別個に投与することができる。あるいは、これらの薬剤は、単一組成物中の本発明の化合物と一緒に混合された単一投薬形態の一部であってよい。
【0099】
本発明の組成物が、本発明のIMPDH阻害剤と、1種または複数の他の治療薬または予防薬の組合せを含む場合、化合物と他の薬剤の両方は約10〜100%の投薬量レベルで存在すべきであり、他の実施形態では、単剤治療レジメンで通常投与される投薬量の約10〜80%である。
【0100】
一実施形態によれば、本発明の薬学的組成物は他の免疫抑制剤を含む。他の免疫抑制剤の例には、これらに限定されないが、シクロスポリンA、FK506、ラパマイシン、レフルノミド、デオキシスペルグアリン、プレドニゾン、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、OKT3、ATAG、ミゾリビン、ならびにPEG−Intron(登録商標)およびPegasys(登録商標)などのα−インターフェロンを含むインターフェロンが含まれる。
【0101】
本明細書で用いる「インターフェロン」という用語は、インターフェロンα、インターフェロンβまたはインターフェロンγなどの、ウイルス複製および細胞増殖を阻害し、免疫応答を調節する高度に相同性の種特異性タンパクのファミリーのメンバーを意味する。The Merck Index, entry 5015、第12版。
【0102】
本発明の一実施形態によれば、インターフェロンはα−インターフェロンである。他の実施形態によれば、本発明の治療の組合せには天然のαインターフェロン2aを用いる。あるいは、本発明の治療組合せには天然のαインターフェロン2bを用いる。他の実施形態では、本発明の治療組合せには組み換えαインターフェロン2aまたは2bを用いる。さらに他の実施形態では、インターフェロンはペグ化されたαインターフェロン2aまたは2bである。本発明に適したインターフェロンには:
(a)Intron(インターフェロン−α 2B、Schering Plough)、
(b)Peg−Intron、
(c)Pegasys、
(d)Roferon、
(e)Berofor、
(f)Sumiferon、
(g)Wellferon、
(h)Amgen,Inc.,Newbury Park,CAから入手できるコンセンサスαインターフェロン、
(i)Alferon、
(j)Viraferon(登録商標)、および
(k)Infergen(登録商標)
が含まれる。
【0103】
別の実施形態によれば、本発明の薬学的組成物は抗癌剤をさらに含むことができる。抗癌剤の例には、これらに限定されないが、シスプラチン、アクチノマイシンD、ドキソルビシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド、アムサクリン、ミトキサントロン、テニポシド、タクソール、コルヒチン、シクロスポリンA、フェノチアジン、インターフェロンおよびチオキサンテレスが含まれる。
【0104】
他の実施形態では、本発明の組成物は抗HCV剤を含む他の抗ウイルス剤をさらに含む。そうした抗ウイルス剤には、これらに限定されないが、α−、β−およびγ−インターフェロン、ペグ化された誘導インターフェロン−α化合物ならびにチモシンなどの免疫調節剤;リバビリン(およびリバビリンとペグ化されたインターフェロン[Rebetrol(登録商標)]の併用療法)、d4T、ddl、AZT、アンプレナビル、ホス−アンプレナビル、アシクロビル、PCT出願番号WO02/018369に開示されているものなどのNS3−NS4Aプロテアーゼ阻害剤、アマンタジン、サイトベン、ガンシクロビル、リトニビル(ritonivir)、トリナトリウムホスホノギ酸およびテルビブジンなどの他の抗ウイルス剤;C型肝炎プロテアーゼの他の阻害剤(NS2−NS3阻害剤およびNS3−NS4A阻害剤);これらに限定されないが、ヘリカーゼおよびポリメラーゼ阻害剤を含むHCVライフサイクルにおける他の標的の阻害剤;内部リボソーム侵入の阻害剤;ならびにIMPDH阻害剤などの広範囲のウイルス阻害剤(例えば、米国特許第5,807,876号および同6,498,178号に開示のIMPDH阻害剤、ミコフェノール酸およびその誘導体)が含まれる。
【0105】
他の実施形態では、本発明の組成物は、α−インターフェロン、ペグ化されたα−インターフェロンまたはリバビリンから選択される他の抗ウイルス剤をさらに含む。
【0106】
一実施形態では、本発明の組成物はチトクロームP−450阻害剤を含む他の薬剤をさらに含む。そうしたチトクロームP−450阻害剤はこれらに限定されないが、リトナビルを含む。CYP阻害剤は、CYPによって阻害される化合物の肝臓中の濃度および/または血中濃度を増大させるのに有用である。
【0107】
本発明の実施形態でCYP阻害剤を用いる場合、IMPDH阻害剤の薬物動態を改善するそんなCYP阻害剤も本発明の方法において用いることができる。これらのCYP阻害剤には、これらに限定されないが、リトナビル(WO94/14436)、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポリン、クロメチアゾール、シメチジン、イトラコナゾール、フルコナゾール、ミコナゾール、フルボキサミン、フルオキセチン、ネファゾドン、セルトラリン、インディナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、ホスアンプレナビル、サクイナビル、ロピナビル、デラビルジン、エリスロマイシン、VX−944およびVX−497が含まれる。好ましいCYP阻害剤には、リトナビル、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポリンおよびクロメチアゾールが含まれる。リトナビルの好ましい投薬形態については、米国特許第6,037,157号およびそこに引用された文書、米国特許第5,484,801号、米国特許出願第08/402,690号ならびに国際特許出願WO95/07696およびWO95/09614)を参照されたい。
【0108】
化合物がチトクロームP450モノオキシゲナーゼ活性を阻害する能力の測定方法は周知である(米国特許第6,037,157号およびYunら、 Drug Metabolism & Disposition、21巻、403〜407頁(1993年)を参照されたい。
【0109】
さらに別の実施形態によれば、本発明の薬学的組成物は抗血管過剰増殖剤をさらに含むことができる。抗血管過剰増殖剤の例には、これらに限定されないが、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤、例えばロバスタチン、トロンボキサンA2シンテターゼ阻害剤、エイコサペンタン酸、シプロステン、トラピジル、ACE阻害剤、低分子量ヘパリン、ミコフェノール酸、ラパマイシンおよび5−(3’−ピリジニルメチル)ベンゾフラン−2−カルボキシレートが含まれる。
【0110】
患者の病態を改善させる際、望むなら、維持用量の本発明の化合物、組成物または組合せを投与することができる。したがって、投薬量もしくは投与の頻度またはその両方を、症状に応じて、症状が所望のレベルに緩和され、処置を中止するべき場合、改善された状態が維持されるレベルに落とすことができる。しかし、何らかの病徴の再発の際は、患者は長期的なベースで間欠的な処置を要求することができる
一実施形態によれば、本明細書で用いる「IMPDH媒介疾患」という用語には、免疫系関連疾患、例えば、移植拒絶反応(例えば、腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓(島細胞)、骨髄、角膜、小腸ならびに皮膚同種移植片および心臓弁異種移植片)、移植片対宿主拒絶反応、ならびに自己免疫疾患、例えば関節リウマチ、多発性硬化症、若年性糖尿病、ぜんそく、炎症性大腸炎(クローン病、潰瘍性大腸炎)、ループス、糖尿病、重症筋無力症(mellitus myasthenia gravis)、乾癬、皮膚炎、湿疹、脂漏症、肺炎症、目のブドウ膜炎、グレーブス病、橋本甲状腺炎、ベーチェット症候群またはシェーグレン症候群(ドライアイ/口)、悪性貧血または免疫性溶血性貧血、特発性副腎機能障害、多腺性自己免疫症候群、糸球体腎炎、強皮症、扁平苔癬、白斑(皮膚の脱色素)、自己免疫甲状腺炎および肺胞炎を含む。
【0111】
他の実施形態によれば、本明細書で用いる「IMPDH媒介疾患」という用語は、例えば、オルトミクソウイルス感染(インフルエンザウイルスのA型およびB型)、パラミクソウイルス(呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)ウイルス)はしか、およびパラインフルエンザ3型)、ヘルペスウイルス(HSV−1、HSV−2、HHV−6、HHV−7、HHV−8、エプスタインバーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(HCMV)および水疱瘡ウイルス(VZV))、レトロウイルス(HIV−1、HIV−2、HTLV−1、HTLV−2)、フラビウイルスおよびペスチウイルス(黄熱病ウイルス(YFV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、デング熱ウイルス、牛ウイルス性下痢症ウイルス(BVDV)、肝炎ウイルス(A型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、D型肝炎ウイルス(HDV)、E型肝炎ウイルス(HEV)、G型肝炎ウイルス(HGV)、クリミアコンゴ出血熱ウイルス(CCHF)、ブンヤウイルス(プンタトロウイルス(Punta Toro virus)、リフトバレー熱ウイルス(RVFV)、およびサシチョウバエ熱シシリアンウイルス)、ハンターンウイルス、カラパルウイルス)、ヒト乳頭腫ウイルス、脳炎ウイルス(ラクロスウイルス)、アレナウイルス(フニンウイルスおよびタカリベウイルス)、レオウイルス、水疱性口内炎ウイルス、ライノウイルス、エンテロウイルス(ポリオウイルス、コクサッキーウイルス、脳心筋炎ウイルス(EMC))、ラッサ熱ウイルスおよびトガウイルス(シンドビスウイルスおよびセムリキ森林熱ウイルス)およびポックスウイルス(ワクシニアウイルス)、アデノウイルス、ルベオーラならびに風疹による感染症によって引き起こされるDNAおよびRNAウイルス性疾患などのウイルス性疾患を含む。
【0112】
他の実施形態によれば、本明細書で用いる「IMPDH媒介疾患」という用語は、再狭窄、狭窄、アテローム性動脈硬化症および他の過剰増殖性血管疾患などの血管細胞の過剰増殖性疾患を含む。
【0113】
他の実施形態によれば、本明細書で用いる「IMPDH媒介疾患」という用語は、腫瘍およびリンパ腫などの悪性腫瘍、白血病ならびに乳癌、前立腺癌、結腸癌、膵臓癌などの他の形態の癌を含む。
【0114】
他の実施形態によれば、本明細書で用いる「IMPDH媒介疾患」という用語は、変形性関節症、急性膵炎、慢性膵炎、ぜんそくおよび成人呼吸窮迫症候群などの炎症性疾患を含む。
【0115】
本発明の多形形態などの結晶形態を、製剤に適した非晶質形態に変換するための適切な方法は当業界でよく知られている。例えば、「Remington: The Science & Practice of Pharmacy」、Alfonso R. Gennaro, Editor, Mack Publishing、1995年、第19版、第2巻を参照されたい。その開示全体を参照により本明細書に組み込む。
【0116】
本明細書で説明する本発明がより完全に理解されるように、以下の実験方法、アッセイおよび実施例を示す。以下の実験方法、アッセイおよび実施例は、限定的なものではなく説明のために示すものである。
【0117】
(実験方法)
(粉末X線回折(XRPD))
サンプルについての粉末X線回折パターンは、CuKa放射線(40kV、40mA)、θ−θ角度計、自動発散および受入スリット、グラファイト二次単色光分光器およびシンチレーションカウンタを用いて、Bruker AXS/Siemens D5000回折計で求めた。データは、0.02°2θのステップサイズと1秒のステップ時間を用いて、連続走査方式で2°〜42°2θの角度範囲にわたって収集した。周囲条件下で試験するサンプルは、粉砕することなく受け入れた粉末を用いて平板サンプル片として作製した。約25〜50mgのサンプルを、研磨したゼロバックグラウンド(510)シリコンウエハー中にカットした12mm径、0.5mm深さの空洞(The Gem Dugout,1652 Princeton Drive,Pennsylvania State College,PA16803,USA)の中に静かに充填した。分析の際、すべてのサンプル片は静止状態と、それ自体の面内で回転させる形の両方で試験した。ピーク位置のずれがあった場合の補正をするための内部標準としてシリコン粉末を用いて他のサンプル片を試験した。非周囲条件下で試験するサンプルは、温度監視用のPt100熱電対を備えたステンレス製の空洞サンプルホルダー中に充填した。低温データは、Bruker AXS/SiemensD5000回折計に取り付けたAnton Paar TTK450可変温度カメラを用いて記録した。低温スキャニングのための機器の条件は平板サンプルについて上記した条件と同様とした。すべてのXRPD分析はDiffrac Plus XRD Commanderソフトウェアv2.3.1を用いて実施した。回折データは、EVAを用いてKα1成分をストリップした後、Cu Kα1(λ=1.5406Å)を用いて記録し、粉末パターンはWIN−INDEXを用いてITO法で指標化し、生データの格子定数はWIN−METRICを用いて加工する。
【0118】
あるいは、サンプルについての粉末X線回折パターンは、CuKα放射線(40kV、40mA)、自動サンプル位置決めのための自動化XYZ段、レーザービデオ顕微鏡およびHiStar2−次元面積検出器を用いたBruker AXS C2 GADDS回折計で求めた。X線光学システムは0.3mmのピンホールコリメータを備えた単一のGobel多層膜鏡からなる。ビーム発散、すなわちサンプル上でのX線ビームの有効サイズは約4mmであった。θ−θ連続走査方式では、3.2〜29.8°の有効な2θ範囲をもたらすサンプルと検出器間の距離20cmを用いた。サンプルの典型的な曝露時間は120秒である。周囲条件下で試験するサンプルは、粉砕することなく受け入れた粉末を用いて平板サンプル片として作製した。約1〜2mgのサンプルをスライドガラス上に軽く押し付けて平らな表面にした。非周囲条件下で試験するサンプルを、熱伝導性化合物を有するシリコンウエハー上に搭載した。次いでサンプルを約20℃/分で適切な温度まで加熱し、続いて約1分間等温で保持し、次いでデータの収集を開始した。
【0119】
(示差走査熱量測定(DSC))
示差走査熱量測定データは、50の位置で自動サンプラーを備えたTA装置Q1000で収集した。エネルギーおよび温度較正基準はインジウムであった。サンプルを10〜230℃で10℃/分の速度で加熱した。サンプル上に30ml/分で窒素パージを維持した。別段の指定のない限り1〜3mgのサンプルを用い、すべてのサンプルを、密封したアルミニウム皿の中にクリンプした。
【0120】
(高温顕微鏡)
高温顕微鏡は、Mettler−Toledo MTFP82HT(高温型)を備えたLeica LM/DM偏光顕微鏡を用いて、10〜20℃/分の範囲の通常の加熱速度、25〜230℃の温度範囲で検討した。少量のサンプルを、個々の粒子をできるだけ分離させながらスライドガラス上に分散させた。サンプルを、x20対物レンズを用いて、通常光または交差偏光(λ疑似カラーフィルターに連結された)下で観察した。
【0121】
(熱重量分析(TGA))
TGAデータは、ニッケル/アルメルで較正したTA装置 Q500TGAを用いて、10℃/分の走査速度で収集した。サンプル上に60ml/分で窒素パージを維持した。典型的には、10〜20mgのサンプルを、風袋をとった白金るつぼ上に載せた。
【0122】
(FT−IR(IR)による赤外分光法)
サンプルを、Universal ATRサンプリング用付属品を備えたPerkin−Elmer Spectrum Oneで試験した。データを、Spectrum V5.0.1ソフトウェアを用いて収集し解析した。
【0123】
(急速蒸発(FE))
様々な溶媒中の溶液を調製し、溶解を助けるために分割量間で超音波処理した。目視で判断して混合物が完全に溶解したら、溶液を0.2μmのナイロンフィルターでろ過した。ろ液を開放バイアル中、周囲温度で蒸発させた。生成した固形物を単離し分析した。
【0124】
(緩速蒸発(SE))
様々な溶媒中の溶液を調製し、溶解を助けるために分割量間で超音波処理した。目視で判断して混合物が完全に溶解したら、溶液を0.2μmのナイロンフィルターでろ過した。ろ液を、ピンホールをあけたアルミホイルでカバーしたバイアル中、周囲温度で蒸発させた。生成した固形物を単離し分析した。
【0125】
(緩速冷却(SC))
様々な溶媒中に高温(約60℃)で飽和溶液を調製し、0.2μmナイロンフィルターでろ過して温かいまま開放バイアル中に入れた。バイアルにカバーをし、徐々に室温まで冷却した。固形分の有無を確認した。固形分が存在しないか、または固形分の量がXRPD分析には少な過ぎると判断された場合、バイアルを冷蔵庫の中に終夜置いた。固形分の有無を再度確認し、固形分が存在しなかった場合、バイアルを冷凍庫の中に終夜置いた。生成した固形分をろ別し、分析する前に乾燥した。
【0126】
(回転方式による蒸発)
様々な溶媒中に溶液を調製した。次いで溶液をろ過して丸底フラスコ中に入れ、溶媒を回転式蒸発で除去した。固形分を回収し分析した。
【0127】
(冷却沈澱)
様々な溶媒中に溶液を高温(約60℃)で調製し、0.2μmナイロンフィルターでろ過し、周囲温度より低い温度で(水を用いる場合、約0℃の氷水浴、他のすべての溶媒については約−78℃のドライアイス/アセトン浴で)、アンチソルベントに入れた。得られた固形分をろ過により単離し、分析する前に乾燥した。
【0128】
(スラリー実験(SE))
未溶解の固形分が存在するように、所与の溶媒に十分な固体を加えて溶液を調製した。次いで混合物を密封したバイアル中、所与の温度で攪拌した。所与の時間の後、吸引ろ過により固形分を単離し分析した。
【0129】
以下の実施例は、限定的なものではなく、本発明がより完全に理解されるように説明のために示すものである。
【0130】
(アッセイ)
(IMPDH活性阻害アッセイ)
IMPデヒドロゲナーゼ活性を、Magasanik. [B. Magasanikら、J. Biol. Chem.、226、339頁(1957年)(その開示を参照により本明細書に組み込む)によって最初に報告された方法を適用してアッセイした。酵素活性を、NADHの生成による340nmでの吸光度(λ340は6220M−1cm−1)の増大を監視することによって分光学的に測定した。反応混合物は、0.1Mりん酸カリウム8.0、0.5mM EDTA、2mM DTT、200μM IMPおよび15〜50nMの濃度の酵素(IMPDHヒトII型)を含有した。この溶液を37℃で10分間インキュベートする。200μMの最終濃度になるまでNADを加えて反応を開始させ、初速度を、340nmでの吸光度の線形増加にしたがって10分間測定する。標準的分光光度計(経路長さ1cm)での読み取りのためには容器中の最終容量は1.0mlである。このアッセイも96ウェルマイクロタイター平板方式に合わせた。この場合すべての試薬の濃度は同じ濃度に保持し、最終容積は200μlに減少させる。阻害剤の分析のために、当該化合物を20mMの最終濃度でDMSO中に溶解し、予備インキュベーションのための初期アッセイ混合物に、2〜5%(容積/容積)の最終容量で酵素を有するように加える。NADを加えて反応を開始させ、上記のようにして初速度を測定する。様々な量の阻害剤の存在下での初期速度を測定し、Hendersonの強束縛式(tight−binding equation)(Henderson, P. J. F.(1972年) Biochem. J.、第127巻、321頁)を用いてデータをフィッティングさせてKiを決定する。
【0131】
(細胞アッセイ)
A.末梢血単核細胞の単離(PBMC):抗凝血剤としてヘパリンを用いて、健常なボランティアからヒトの静脈血を抜き取った。PBMCは、標準的条件を用いて、フィコールペーク勾配Ficoll−paque gradientまたはCPTチューブ(Becton−Dickinson)で遠心分離にかけて血液から単離した。PBMCを収集して洗浄し、完全RPMIに再懸濁させ、カウントし、1×106細胞/mLに希釈した。
【0132】
B.PBMCおよび脾細胞増殖アッセイ:96ウェルの平板のウェル当たり、5×104細胞(ヒトPBMC T細胞用)または1×105細胞(ヒトPBMC B細胞用)を加えた。T細胞アッセイについては、フィトヘマアグルチニン(PHA)を、細胞がウェル当たり10〜20μg/mLの最終濃度になるように加えた。B細胞アッセイについては、ブドウ球菌タンパク質A(SPAS)を、ウェル当たり2μg/mLの最終濃度になるように加えた。完全RPMI媒体で阻害剤ストックの4倍段階希釈を行い、それを、化合物の最終濃度が20μM〜20nMの範囲になるように細胞に加え、同時に、DMSOを0.1%の最終濃度に保持した。次いで細胞を3日間インキュベートした。すべてのサンプルを三通りで試験した。トリチウム化したチミジン(0.4μCi/ウェル)をアッセイの最後の24時間で加えた。細胞をBetaplateフィルター上に収集し、シンチレーションカウンタでカウントした。細胞増殖を50%(IC50値)阻害するのに要する化合物の濃度を、SoftMax Pro(商標)(Molecular Devices)コンピュータソフトウェアパッケージを用いて算出した。
【0133】
(抗ウイルスアッセイ)
化合物の抗ウイルス効力は、種々のインビトロおよびインビボでのアッセイで評価することができる。例えば、インビトロでのウイルス複製アッセイで化合物を試験することができる。インビトロでのアッセイには、全細胞または単離した細胞成分を用いることができる。インビボでのアッセイはウイルス性疾患のための動物モデルを含む。そうした動物モデルの例には、これらに限定されないが、HBVまたはHCV感染症のためのげっ歯類モデル、HBV感染症のためのWoodchuckモデルおよびHCV感染症のためのチンパンジーモデルが含まれる。
【0134】
以下の実施例、および本明細書全般において用いる略語および用語は以下のものを含む。
EtOAc: 酢酸エチル
i−BuOAc: 酢酸イソブチル
i−PrOAc: 酢酸イソプロピル
MEK: メチルエチルケトン
MIBK: メチルイソブチルケトン
TBME: tert−ブチルメチルエーテル
MeOH: メタノール
EtOH: エチルアルコール
TFE: 2,2,2−トリフルオロエタノール
IPA: イソプロピルアルコール
HFIPA: ヘキサフルオロイソプロパノール
ACN: アセトニトリル
THF: テトラヒドロフラン
NMP: N−メチルピロリジノン
DMF: N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO: ジメチルスルホキシド
HCl: 塩酸
N2: 窒素ガス
L: リットル
ml: ミリリットル
Tmax: 最大温度
g: グラム
Kg: キログラム
mg: ミリグラム
M: モル
VT: 可変温度
PBMC: 末梢血単核細胞
PHA: フィトヘマアグルチニン
SPAS: ブドウ球菌タンパク質A
DTT: ジチオスレイトール
EDTA: エチレンジアミン四酢酸
NAD: ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
CPT: 細胞調製チューブ
RPMI: Roswell Park Memorial Institute
HBV: B型肝炎ウイルス
HCV: C型肝炎ウイルス
【実施例】
【0135】
(実施例1)
本発明の多形体の調製に用いる化合物1は、化合物1特許に記載の方法を用いて調製することができる。さらに、本発明の化合物1は、当業者に周知の方法の標準的な操作によって調製することができる。
【0136】
(実施例2)
形態A1の調製
50ml丸底フラスコ中で3.6mlのN−メチルピロリジノン中の1.8gの化合物1を60℃に加熱した。4容積部の(7.2ml)のメタノールを加えると、すぐに60℃で結晶化するのが認められた。懸濁液を50℃に冷却し、追加のメタノール(14.4ml)を加え、最後に混合物を室温に冷却しろ過した。ろ液をメタノールで2回(各3.6ml)洗浄し、次いで真空下で乾燥して1.65gの形態A1(92%収率)を得た。
【0137】
(実施例3)
形態A1の熟成検討
約10mgの形態A1を500μlの溶媒(以下の表1参照)中でスラリー化し、25〜30℃で24時間振とうさせた。過剰の固形物をろ別し、XRPDで分析した。24時間後でのXRPD分析の結果を以下の表に示す。表1でスクリーニングした31のすべての溶媒から、観察されたXRPDパターンは形態A1のパターンと一致した。
【0138】
【表1】
(実施例4)
化合物を用いた結晶化実験1
以下の表2に、本明細書で述べた種々の溶媒と条件を用いて化合物1について実施した結晶化実験のまとめを示す。得られた形態A1または非晶質形態を真空下で乾燥し次いでXRPDにより分析した。
【0139】
【表2】
a.FE=急速蒸発;SE=緩速蒸発;SC=緩速冷却、rotovap=ロータリーエバポレーション
b.LC=低結晶化度。
【0140】
(実施例5)
冷却沈澱による形態B2の調製
溶媒としてDMF、アンチソルベントとしてトルエンまたは酢酸エチルを用いて、形態B2を冷却沈澱実験により得た。ここで、DMF中の化合物1の約60℃の溶液を0.2μmナイロンフィルターでろ過して約−78℃でトルエン中にとった。得られた固形物をろ過により単離し、乾燥して形態B2を得た。XRPD分析は形態B2と一致した。
【0141】
(実施例6)
冷却沈澱による形態B2の調製
500mgの形態A1を周囲温度でDMF(3.5ml)中に溶解して透明な溶液を得た。透明溶液をろ過して未溶解の形態A1をすべて除去した。透明溶液を−78℃で酢酸エチル(150ml)に加えた。得られた混合物を−20℃で5日間置いた。沈澱した固形物を真空下でろ別し、真空下40℃で乾燥して形態B2を白色固形物として得た。XRPD分析は形態B2と一致した。
【0142】
(実施例7)
加熱による形態C3の調製
多形体形態B2のサンプルを100℃で1時間加熱すると形態C3のサンプルが生成した。XRPD分析は形態C3と一致した。
【0143】
(実施例8)
形態D4・HCl塩の調製
30mgの化合物1を、イソプロピルアルコール中の5M HClと酢酸中の1M HClの2mlの50:50混合物中に室温で溶解させた。少量の残留固形物をろ過により除去した。t−ブチルメチルエーテル(3ml)を透明溶液に加え、サンプルを−20℃で終夜置いた。得られた白色固形物をろ取し、次いで室温で真空乾燥して形態D4をHCl塩として得た。XRPD分析は形態D4・HCl塩と一致した。
【0144】
(実施例9)
形態D4・HCl塩の調製
30mgの化合物1を、イソプロピルアルコール中の5M HClと酢酸中の1M HClの2mlの50:50混合物中に室温で溶解させた。少量の残留固形物をろ過により除去した。t−ブチルメチルエーテル(3ml)を透明溶液に加え、サンプルを−20℃で終夜置いた。得られた白色固形物をろ取し、次いで室温で真空乾燥して形態D4をHCl塩として得た。XRPD分析は形態D4・HCl塩と一致した。
【0145】
(実施例10)
形態E5・HCl塩の調製
200mgの化合物1を10mlの37.5重量%HCl溶液中に溶解した。水(10ml)を加えると、すぐに白色沈殿物が生成した。スラリーを0〜5℃で置き、1時間攪拌した。沈殿した固形物をろ取し、真空下で2時間空気乾燥し、真空下、40℃で3日間真空下で乾燥して形態E5をHCl塩として得た。XRPD分析は形態E5・HCl塩と一致した。
【0146】
(実施例11)
形態A1からの非晶質形態材料の調製
130mgの化合物1(形態A1)を、室温で2,2,2−トリフルオロエタノール(6ml)中に溶解して透明溶液を得た。トルエンを加え(1部)、溶液をロータリーエバポレーターで濃縮して乾燥し、非結晶固体を得た。サンプルを真空下40℃で24時間乾燥した。オーブン乾燥した後、サンプルを乳鉢で粉砕し、すりつぶして非結晶度を増進させた。XRPD分析は非結晶形態と一致した。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】図1は(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの形態A1の粉末X線回折パターン(XRPD)を示す図である。
【図2】図2は(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの形態B2のXRPDを示す図である。
【図3】図3は(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの形態C3のXRPDを示す図である。
【図4】図4は(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イル・HCl塩の形態D4のXRPDを示す図である。
【図5】図5は(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イル・HCl塩の形態E5のXRPDを示す図である。
【図6】図6は(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イル・HCl塩の形態D4の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムと熱重量分析(TGA)の組合せを示す図である。
【図7】図7は(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イル・HCl塩の形態E5のDSCサーモグラムを示す図である。
【図8】図8は(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの形態A1のDSCサーモグラムを示す図である。
【図9】図9は(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの形態B2のDSCサーモグラムを示す図である。
【図10】図10は(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの形態C3のDSCサーモグラムを示す図である。
【図11】図11は(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの非晶質形態のXRPDを示す図である。
【図12】図12は(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの非晶質形態のDSCサーモグラムを示す図である。
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの多形形態、その方法、その薬学的組成物およびそれを用いる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
本発明は、以下の構造式を有する(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イル(以下「化合物1」とする)の多形形態に関する。
【0003】
【化1】
本発明は、化合物1の多形形態を調製する方法にも関する。
【0004】
化合物1は、IMPDH媒介疾患を処置するのに有用な強力なIMPDH阻害剤である。化合物1、その組成物およびそれを用いた方法は、特許文献1、特許文献2、特許文献3および特許文献4(以下「化合物1特許」とする)に開示されている。その開示全体を参照により本明細書に組み込む。
【特許文献1】米国特許第5,807,876号明細書
【特許文献2】米国特許第6,054,472号明細書
【特許文献3】米国特許第6,344,465号明細書
【特許文献4】米国特許第6,541,496号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、化合物1の5つの多形形態、すなわち形態A1、形態B2、形態C3、形態D4および形態E5を提供する。本発明は、それらの多形形態を作製するための方法にも関する。本発明は、治療方法におけるこれらの多形形態の使用、およびそうした多形形態を含む薬学的組成物の調製にも関する。本発明は、化合物1の非晶質形態、およびそうした非晶質形態を作製するための方法にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(発明の詳細な説明)
(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イル(化合物1)はIMPDH媒介疾患の処置に有用な強力なIMPDH阻害剤である。遊離塩基の化合物1の3つの多形形態(形態A1、形態B2および形態C3)が特定されている。化合物1のHCl塩の2つの多形形態(形態D4および形態E5)も特定されている。
【0007】
本発明の多形体は、ラセミ化合物、ラセミ混合物およびジアステレオマー混合物として存在することができ、可能性のあるそのすべての異性体および混合物が本発明に含まれる。
【0008】
一実施形態によれば、本発明は、本明細書の化合物1の構造で示す(S)立体配置を有する化合物1の多形形態A1、形態B2、形態C3、形態D4および形態E5を提供する。
【0009】
一実施形態によれば、本発明は、(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの多形形態A1を提供する。
【0010】
他の実施形態によれば、本発明は、約5重量%未満の非晶質形態を含む、(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの実質的に純粋な多形形態A1を提供する。
【0011】
他の実施形態によれば、本発明は、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約21.8度の2θでピーク位置を有する化合物1の多形形態A1を提供する。
【0012】
他の実施形態によれば、本発明は、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約11.8度、16.0度、18.5度、20.1度または23.6度の2θで少なくとも1つの追加のピーク位置を有する、化合物1の多形形態A1を提供する。
【0013】
他の実施形態によれば、本発明は、示差走査熱量計(DSC)で測定して約215℃で溶融/分解吸熱的事象を示す化合物1の多形形態A1を提供する。実施するDSC分析での加熱速度または走査速度、使用する較正基準、相対湿度および化学的純度に応じて、対応する形態A1、B2、C3、D4、E5および非晶質形態の吸熱は、各図に示した吸熱を約0.01〜100℃上回るかまたは下回って変わる可能性がある。任意の所与のサンプルについて、観察される吸熱も計器によって変わってよいが、計器が同じように校正されていれば、それは概ね本明細書で規定する範囲内となるであろう。
【0014】
他の実施形態によれば、形態A1は約215℃の溶融/分解温度を有する無水の結晶形態である。DSCは約215℃で単一の吸熱を示す。これは、熱重量分析(TGA)において有意の重量減少が開始される温度に対応する。この温度になるまでに、約0.4重量%の減少が観察された。形態A1は非吸湿性であり、25℃、90%相対湿度(RH)での水分の取り込みは0.5%未満である。形態A1の顕微分析によれば30〜75μmサイズの粒子を有しており、複屈折性であることが分かった。
【0015】
他の実施形態によれば、本発明は、本明細書で以下に例示する形態A1を調製するための方法を提供する。
【0016】
他の実施形態によれば、本発明は、化合物1の非晶質形態をその融点を超えて加熱して溶融物を生成させ、次いで前記溶融物を冷却し、前記溶融物を約120℃〜約160℃で再結晶化させて形態A1にすることによって、形態A1を調製するための方法を提供する。
【0017】
他の実施形態によれば、本発明は、手を加えていない(neat)形態B2または形態C3を、適切な時間、適切な高温に曝し、次いで冷却することによって形態A1にする、多形体形態B2または形態C3を形態A1に変換する方法を提供する。
【0018】
他の実施形態では、温度を上昇させると、形態B2または形態C3の形態A1への変換速度が加速される。他の実施形態では、変換速度は、約20℃〜約200℃の温度範囲で加速される。さらに他の実施形態では、その温度は約30℃〜約100℃の範囲である。
【0019】
他の実施形態によれば、本発明は、適切な溶媒または溶媒の混合物中の形態B2または形態C3の溶液またはスラリーを、適切な時間、適切な温度に曝し、次いでスラリーまたは溶液を冷却し、最終的に固体の形態A1を集めることによって、多形体形態B2または形態C3を形態A1に変換する方法を提供する。他の実施形態では、前記適切な溶媒または溶媒の混合物は本明細書の以下の表1に示す溶媒から選択される。
【0020】
他の実施形態によれば、本発明は、適切な溶媒または溶媒の混合物中で適切に攪拌しながら、適切な時間、適切な温度で加熱することによって、形態A1とB2、形態A1とC3、あるいは形態B2とC3の混合物を形態A1に変換する方法を提供する。一実施形態では、前記適切な溶媒は、酢酸エチル、10%水/ジオキサン、25%水/エタノールまたはテトラヒドロフランを含み、前記適切な時間は約24時間であり、前記適切な攪拌は振とうを含む。
【0021】
他の実施形態によれば、本発明は、形態A1および薬学的に受容可能なキャリアまたはアジュバントを含む薬学的組成物を提供する。
【0022】
他の実施形態によれば、本発明は、
(i)形態A1を非晶質形態に変換するステップと、
(ii)前記非晶質形態を1種または複数の適切な薬剤用のキャリアまたはアジュバントと合わせるステップと
を含む化合物1の非晶質形態を含む薬学的組成物を処方する方法を提供する。
【0023】
他の実施形態によれば、本発明は、患者のIMPDH媒介疾患を処置するための方法であって、前記患者に治療有効量の形態A1、または形態A1を含む薬学的組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0024】
他の実施形態によれば、本発明は、形態A1の多形体を調製するための方法であって、以下のステップ、すなわち、
a)適切に攪拌しながら、適切な温度で(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルを適切な溶媒中に溶解させて適切な溶液を得るステップ、
b)攪拌しながら、適切な温度で適切な容量の適切な溶媒を、適切な時間にわたって加えてスラリーを得るステップ、
c)前記スラリーを適切な温度に冷却するステップ、
d)ステップ(b)と同じ溶媒を適切な量スラリーに加えるステップ、
e)前記スラリーをほぼ室温に冷却するステップ、
f)前記スラリーをろ過するかまたは遠心分離にかけて多形体形態Aを得るステップ、
g)前記形態Aを、適切な溶媒で適切な回数濯ぐステップ、および
h)適切な減圧下、適切な温度で前記形態Aを、恒量になるまで適切な時間乾燥するステップ
の少なくとも1つを含む方法を提供する。
【0025】
他の実施形態によれば、本発明は、(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの多形形態B2を提供する。
【0026】
他の実施形態によれば、本発明は、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約20.9度の2θでピーク位置を有する多形形態B2を提供する。
【0027】
他の実施形態によれば、本発明は、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約5.3度、15.7度、18.4度または20.0度の2θで少なくとも1つの追加のピーク位置を有する多形形態B2を提供する。
【0028】
他の実施形態によれば、本発明は、示差走査熱量計で測定して約80℃〜約100℃で幅広い吸熱的事象を示す多形形態B2を提供する。
【0029】
他の実施形態によれば、本発明は、示差走査熱量計で測定して約146℃〜約150℃で溶融/再結晶化事象を示す多形形態B2を提供する。
【0030】
他の実施形態によれば、本発明は、示差走査熱量計で測定して約215℃で溶融/分解吸熱事象を示す多形形態B2を提供する。
【0031】
他の実施形態によれば、多形形態B2は様々な溶媒レベルを含む結晶形態である。DSC分析は3つの事象、すなわち、サンプルからの溶媒の減少または固相転移に一致する80℃〜100℃の幅広く弱い吸熱、約146℃〜約150℃での溶融/再結晶化事象、および約215℃で開始される最終溶融/分解吸熱を示す。形態B2の顕微分析では、これは、30〜75μmのサイズの粒子を含み、複屈折性であることが分かった。
【0032】
他の実施形態によれば、本発明は、本明細書で以下に例示する形態B2を調製するための方法を提供する。
【0033】
他の実施形態によれば、本発明は、形態B2および薬学的に受容可能なキャリアまたはアジュバントを含む薬学的組成物を提供する。
【0034】
他の実施形態によれば、本発明は、
(i)形態B2を非晶質形態に変換するステップと、
(ii)前記非晶質形態を1種または複数の適切な薬剤用のキャリアまたはアジュバントと合わせるステップと
を含む化合物1の非晶質形態を含む薬学的組成物を処方する方法を提供する。
【0035】
他の実施形態によれば、本発明は患者のIMPDH媒介疾患を処置するための方法であって、前記患者に治療有効量の形態B2、または形態B2を含む薬学的組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0036】
他の実施形態によれば、本発明は、(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの多形形態B2を提供する。
【0037】
他の実施形態によれば、本発明は、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約20.9度の2θでピーク位置を有する多形形態B2を提供する。
【0038】
他の実施形態によれば、本発明は、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約5.3度、15.7度、18.4度または20.0度の2θで少なくとも1つの追加のピーク位置を有する多形形態B2を提供する。
【0039】
他の実施形態によれば、本発明は、示差走査熱量計で測定して約80℃〜約100℃で幅広い吸熱的事象を示す多形形態B2を提供する。
【0040】
他の実施形態によれば、本発明は、示差走査熱量計で測定して約146℃〜約150℃で溶融/再結晶化事象を示す多形形態B2を提供する。
【0041】
他の実施形態によれば、本発明は、示差走査熱量計で測定して約215℃で溶融/分解吸熱的事象を示す多形形態B2を提供する。
【0042】
他の実施形態によれば、本発明は、(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの多形形態C3を提供する。
【0043】
他の実施形態によれば、本発明は、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約20.7度の2θでピーク位置を有する多形形態C3を提供する。
【0044】
他の実施形態によれば、本発明は、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約5.2度、15.5度、17.5度または22.5度、2θで少なくとも1つの追加のピーク位置を有する多形形態C3を提供する。
【0045】
他の実施形態によれば、本発明は、示差走査熱量計で測定して約145℃〜約160℃で溶融/再結晶化事象を示す多形形態C3を提供する。
【0046】
他の実施形態によれば、形態C3は化合物1の無水の結晶形態である。サンプルの熱分析は、約145℃〜160℃で溶融/再結晶化転移を受けていることを示している。温度可変XRPDによって、約140℃〜約160℃での形態C3から形態A1への転移が確認される。形態C3は吸湿性が中程度あり、25℃、90%相対湿度で3重量%の取り込みを示す。
【0047】
他の実施形態によれば、本発明は、本明細書で以下に例示する形態C3を調製するための方法を提供する。
【0048】
他の実施形態によれば、本発明は、形態C3および薬学的に受容可能なキャリアまたはアジュバントを含む薬学的組成物を提供する。
【0049】
他の実施形態によれば、本発明は、
(i)形態C3を非晶質形態に変換するステップと、
(ii)前記非晶質形態を1種または複数の適切な薬剤用のキャリアまたはアジュバントと合わせるステップと
を含む化合物1の非晶質形態を含む薬学的組成物を処方する方法を提供する。
【0050】
他の実施形態によれば、本発明は、患者のIMPDH媒介疾患を処置するための方法であって、前記患者に治療有効量の形態C3、または形態C3を含む薬学的組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0051】
他の実施形態によれば、本発明は、(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イル・HCl塩の多形形態D4を提供する。
【0052】
他の実施形態によれば、本発明は、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約24.94度の2θでピーク位置を有する多形形態D4を提供する。
【0053】
他の実施形態によれば、本発明は、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約11.1度、15.7度、16.9度、18.8度または27.4度の2θで少なくとも1つの追加のピーク位置を有する多形形態D4を提供する。
【0054】
他の実施形態によれば、本発明は、示差走査熱量計で測定して約100℃〜約170℃で幅広い吸熱的事象を示す多形形態D4を提供する。
【0055】
他の実施形態によれば、形態D4は化合物1の弱い結晶性のHCl塩の形態である。形態D4の顕微分析によれば、弱い結晶性のサンプルに典型的な複屈折をほとんど示さず、サンプルを加熱すると溶融/分解、それに続く材料の再結晶化が観察される。この変化は、温度可変XRPD分析によって確認される。それによれば140℃〜160℃で、遊離塩基の形態A1と類似したXRPDパターンへのパターンの変化が示される。これは塩からのHClの損失、および溶融物からの遊離塩基の再結晶化と一致する。塩の熱重量分析では170℃までに6.5%(理論では7.4%)の減少を示す。これは塩からのHClの損失に予想されるおおよその重量減少である。サンプルからのこのHClの損失はそれ自体、DSCにおける約100℃〜約170℃での幅広い吸熱を示している。
【0056】
他の実施形態によれば、本発明は、本明細書で以下に例示する形態D4を調製するための方法を提供する。
【0057】
他の実施形態によれば、本発明は、形態D4・HCl塩および薬学的に受容可能なキャリアまたはアジュバントを含む薬学的組成物を提供する。
【0058】
他の実施形態によれば、本発明は、
(i)形態D4を非晶質形態に変換するステップと、
(ii)前記非晶質形態を1種または複数の適切な薬剤用のキャリアまたはアジュバントと合わせるステップと
を含む化合物1のHCl塩の無定物を含む薬学的組成物を処方する方法を提供する。
【0059】
他の実施形態によれば、本発明は、患者のIMPDH媒介疾患を処置するための方法であって、前記患者に治療有効量の形態D4・HCl塩、または形態D4・HCl塩を含む薬学的組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0060】
他の実施形態によれば、本発明は、(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イル・HCl塩の多形形態E5を提供する。
【0061】
他の実施形態によれば、本発明は、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約14.8度の2θで少なくとも1つのピーク位置を有する多形形態E5を提供する。
【0062】
他の実施形態によれば、本発明は、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約19.4度、21.4度、22.5度または25.4度の2θで少なくとも1つの追加のピーク位置を有する多形形態E5を提供する。
【0063】
他の実施形態によれば、HCl塩としての多形形態E5は化合物1の弱い結晶性塩の形態である。形態E5の顕微分析によれば、弱い結晶性のサンプルに典型的な複屈折をほとんど示さず、サンプルを加熱すると溶融/分解それに続く材料の再結晶化が観察される。これは、約120℃〜約150℃でパターンの変化を示す温度可変XRPD分析によって確認される。これは塩からのHClの損失、および溶融物からの遊離塩基の再結晶化と一致する。形態E5・HCl塩は非常に吸湿性であり、90%相対湿度で22重量/重量%の取り込みを有する。サンプルのDSC分析は、サンプルからの水/溶媒の最初の損失、それに続く溶融およびHClの損失を示している。後者の2つの事象は、高温顕微鏡および熱重量/温度可変XRPDによって確認される。
【0064】
他の実施形態によれば、本発明は、本明細書で以下に例示する形態E5・HCl塩を調製するための方法を提供する。
【0065】
他の実施形態によれば、本発明は、形態E5・HCl塩および薬学的に受容可能なキャリアまたはアジュバントを含む薬学的組成物を提供する。
【0066】
他の実施形態によれば、本発明は、
(i)形態E5・HCl塩を非晶質形態に変換するステップと、
(ii)前記非晶質形態を1種または複数の適切な薬剤用のキャリアまたはアジュバントと合わせるステップと
を含む化合物1の非晶質形態を含む薬学的組成物を処方する方法を提供する。
【0067】
他の実施形態によれば、本発明は、患者のIMPDH媒介疾患を処置するための方法であって、前記患者に治療有効量の形態E5・HCl塩、または形態E5・HCl塩を含む薬学的組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0068】
他の実施形態によれば、本発明は、5重量%未満の形態A1を含む、(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの実質的に純粋な非晶質形態を提供する。
【0069】
他の実施形態によれば、本発明は、(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イル非晶質形態を提供する。
【0070】
他の実施形態によれば、本発明は、適切な溶媒または適切な溶媒の混合物中の多形形態B2または形態C3の溶液を蒸発させることによって、形態B2または形態C3から化合物1の非晶質形態を調製する方法を提供する。
【0071】
他の実施形態によれば、本発明は、適切な溶媒または適切な溶媒の混合物中の形態D4・HCl塩または形態E5・HCl塩の溶液を蒸発させることによって、形態D4・HCl塩または形態E5・HCl塩から化合物1の非晶質形態HCl塩を調製する方法を提供する。
【0072】
他の実施形態によれば、本発明は、2,2,2−トリフルオロエタノールまたはヘキサフルオロイソプロパノールまたはその混合物中の形態A1の溶液を蒸発させることによって、多形形態A1から化合物1の非晶質形態を調製する方法を提供する。
【0073】
他の実施形態によれば、本発明は、結晶形態の(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの結晶形態の溶融サンプルを冷却することによって、化合物1の非晶質形態を調製する方法を提供する。一実施形態によれば、化合物1の非晶質形態は、化合物1の結晶形態、例えば形態A1を化合物1の非晶質形態に変換することによって作製する。
【0074】
他の実施形態によれば、本発明は、本明細書の実施形態のいずれかによる非晶質形態を含む薬学的組成物であって、前記非晶質形態を1種または複数の適切な薬学的キャリアまたはアジュバントと合わせることによって作製される組成物を提供する。
【0075】
他の実施形態によれば、本発明は、化合物1の非晶質形態および薬学的に受容可能なアジュバントまたはキャリアを含む薬学的組成物を提供する。
【0076】
一実施形態によれば、本発明は、哺乳動物に、形態A1、形態B2、形態C3、形態D4、形態E5または非晶質形態を含む薬学的組成物を投与するステップを含む、前記哺乳動物のIMPDH媒介による疾患または病態を処置する方法を提供する。
【0077】
他の実施形態によれば、本発明は、哺乳動物に、形態A1、形態B2、形態C3、形態D4、形態E5または非晶質形態を含む薬学的組成物を投与するステップを含む、前記哺乳動物のIMPDH媒介による疾患または病態を処置する方法を提供する。
【0078】
他の実施形態によれば、本発明は、哺乳動物に、形態A1、形態B2、形態C3、形態D4、形態E5または非晶質形態を含む薬学的組成物を投与するステップを含む、前記哺乳動物におけるウイルス複製を阻害するための方法を提供する。
【0079】
他の実施形態によれば、本発明は、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、オルトミクソウイルス感染、パラミクソウイルス、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、フラビウイルス、ペスチウイルス、肝親和性ウイルス、ブンヤウイルス、ハンターンウイルス、カラパルウイルス(Caraparu virus)、ヒト乳頭腫ウイルス、脳炎ウイルス、アレナウイルス、レオウイルス、水疱性口内炎ウイルス、ライノウイルス、エンテロウイルス、ラッサ熱ウイルス、トガウイルス、ポックスウイルス、アデノウイルス、ルベオーラ(rubiola)または風疹から選択されるウイルスによって引き起こされるウイルス感染症に罹患している哺乳動物を処置するための方法を提供する。
【0080】
化合物1、形態A1、形態B2、形態C3および非晶質形態の塩の形態を作製するため、ならびに、形態D4およびE5のためのHCl塩以外の塩を作製するために有用な具体的な酸塩は、当業界で周知の酸から選択することができる。例えば、「Practical Process, Research & Development」、 Anderson, Neal G., Academic Press、2000年を参照されたい。その内容を参照により本明細書に組み込む。
【0081】
「適切な(suitable)」という用語は本明細書では、溶媒、温度、ろ液、攪拌、溶液、媒体、量、時間等について説明するのに用いる。そうした適切な溶媒、温度、ろ液、攪拌、溶液、媒体、量、時間等は当業者に容易に知られている。
【0082】
「薬学的に受容可能なキャリアまたはアジュバント」という用語は、それを用いて処方する化合物の薬理学的活性を損なわない非毒性キャリア、アジュバントまたは媒介物を指す。本発明の組成物に用いることができる薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたは媒介物には、これらに限定されないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、緩衝物質、例えばリン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、植物性飽和脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースをベースとした物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス類、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が含まれる。
【0083】
本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩には、薬学的に受容可能な無機および有機の酸および塩基から誘導されるものが含まれる。適切な酸塩の例には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルクロン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パモン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩およびウンデカン酸塩が含まれる。それ自体は薬学的に受容可能ではないが、シュウ酸などの他の酸を、本発明の化合物およびその薬学的に受容可能な酸付加塩を得るのに中間体として有用な塩の調製に用いることができる。
【0084】
適切な塩基から誘導される塩には、アルカリ金属(例えば、ナトリウムおよびカリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウムおよびN+(C1〜4アルキル)4塩が含まれる。本発明は、本明細書で開示する化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化も想定する。そうした四級化によって、水溶性もしくは油溶性、または分散性の生成物を得ることができる。
【0085】
本発明の組成物は、経口、非経口、吸入噴霧、局所、経直腸、経鼻、頬側、経膣でまたは埋め込み式リザーバーによって投与することができる。本明細書で用いる「非経口」という用語は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、肝臓内、病巣内および頭蓋内での注射または注入技術を含む。組成物は、経口、腹腔内または静脈内で投与することが好ましい。本発明の組成物の滅菌した注射投薬形態は水性懸濁剤であっても油性懸濁剤であってもよい。これらの懸濁剤は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて、当業界で周知の技術によって処方することができる。滅菌した注射可能な調製物は、非経口で受け入れられる非毒性の希釈剤または溶媒中の滅菌した注射可能な溶液または懸濁液、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液であってよい。用いられる許容媒介物および溶媒は水、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウム溶液である。さらに、溶媒または懸濁媒体として、滅菌した不揮発性油が通常用いられる。
【0086】
このためには、合成のモノ−もしくはジ−グリセリドを含む任意の無菌性の不揮発性油を用いることができる。注射剤の調製には、オレイン酸などの脂肪酸およびそのグリセリド誘導体が有用であり、また、オリーブ油またはヒマシ油などの薬学的に受容可能な天然の油類、特にそのポリオキシエチル化物も有用である。これらの油性の溶液または懸濁液は、乳剤および懸濁剤を含む薬学的に受容可能な投薬形態の処方に通常用いられるカルボキシメチルセルロースまたは同様の分散剤などの長鎖アルコールの希釈剤または分散剤も含むことができる。薬学的に受容可能な固形剤、液剤または他の投薬形態の製造に一般に用いられるTweens、Spansおよび他の乳化剤または生物学的利用能増進剤などの通常用いられる他の界面活性剤も、その処方のために用いることができる。
【0087】
本発明の薬学的組成物は、これらに限定されないが、カプセル剤、錠剤、水性の懸濁剤または液剤を含む経口で受け入れられる任意の投薬形態で、経口投与することができる。経口使用のための錠剤の場合、通常用いられるキャリアには、ラクトースやトウモロコシでんぷんが含まれる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑剤も一般に加えられる。カプセルの形態での経口投与のためには、有用な希釈剤にはラクトースおよび乾燥トウモロコシでんぷんが含まれる。経口使用のために水性の懸濁剤が必要とされる場合、活性成分は乳化剤や懸濁化剤と混合する。望むなら、特定の甘味剤、香味剤または着色剤を加えることもできる。
【0088】
あるいは、本発明の薬学的組成物は、直腸投与用の座薬の形態で投与することができる。これらは、室温で固体であるが直腸温度で液体であり、したがって直腸内で溶融して薬物を放出することになる、適切な非刺激性賦形剤と混合して調製することができる。そうした材料には、ココアバター、蜜ろうおよびポリエチレングリコールが含まれる。
【0089】
本発明の薬学的組成物は、特に処置の標的が目、皮膚または下部腸管の疾患を含む、局所施用によって容易に到達できる領域または器官を含む場合、局所で投与することもできる。これらの領域または器官のそれぞれについて、それに適した局所処方剤が容易に調製される。
【0090】
下部腸管のための局所施用は、肛門坐剤処方(上記参照)または適切な注腸処方で実施することができる。局所的な経皮貼布も用いることができる。
【0091】
局所施用のために、薬学的に受容可能な組成物は、1種または複数のキャリア中に懸濁または溶解された活性成分を含む適切な軟膏で処方することができる。本発明の化合物の局所投与のためのキャリアには、これらに限定されないが、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ろうおよび水が含まれる。あるいは、薬学的に受容可能な組成物は、1種または複数の薬学的に受容可能なキャリア中に懸濁または溶解された活性成分を含む適切なローションまたはクリームで処方することができる。適切なキャリアには、これらに限定されないが、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が含まれる。
【0092】
眼部での使用には、薬学的に受容可能な組成物は、ベンジルアルコニウムクロリドなどの保存剤を用いるかまたは用いないで、等張性のpH調整した滅菌生理食塩水中の微細化された懸濁液として、または、好ましくは等張性のpH調整した滅菌生理食塩水中の溶液として処方することができる。あるいは、眼部での使用には、薬学的に受容可能な組成物はワセリンなどの軟膏で処方することができる。
【0093】
本発明の薬学的に受容可能な組成物は、経鼻でのエアロゾルまたは吸入によって投与することもできる。そうした組成物は、製剤処方の技術分野でよく知られている技術によって調製され、ベンジルアルコールもしくは他の適切な保存剤、生物学的利用能を増進させるための吸収促進剤、フルオロカーボンおよび/または通常の他の可溶化剤または分散剤を用いて生理食塩水中の溶液として調製することができる。
【0094】
一実施形態では、本発明の薬学的に受容可能な組成物は経口投与用に処方される。
【0095】
単一の投薬形態の組成物を作製するのにキャリア材料と混合することができる本発明の化合物の量は、処置される宿主、具体的な投与の方式によって変わることになる。好ましくは、組成物は、0.01〜100mg/kg体重/日の化合物の投薬量を、これらの組成物を受け入れる患者に投与できるように処方すべきである。
【0096】
任意の特定の患者のための具体的な投薬量および処置レジメンは、用いる具体的な化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康、性別、食事、投与の時間、排出速度、薬物の併用ならびに処置する医師の判断および処置する具体的な疾患の重篤度を含む様々な因子によって変わることも理解すべきである。組成物中の本発明の化合物の量も組成物中の具体的な化合物によって変わることになる。
【0097】
処置されるかまたは予防される具体的な病態または疾患に応じて、その病態を処置または防止するために通常投与される他の治療薬が、本発明の組成物中に存在してもよい。本明細書で用いるように、特定の疾患または病態を処置または予防するために通常投与される他の治療薬は、「処置される疾患または病態に適している」ものとして知られているものである。
【0098】
本発明の組成物が、本発明のIMPDH阻害剤と本明細書で開示するものなどの1種または複数の追加の治療薬または予防薬の組合せを含む場合、IMPDH阻害剤と追加の薬剤の両方は、単剤治療レジメンで通常投与される投薬量の約10〜100%、より好ましくは約10〜80%の投薬量レベルで存在すべきである。追加の薬剤は、複数回投与レジメンの一部として、本発明の化合物とは別個に投与することができる。あるいは、これらの薬剤は、単一組成物中の本発明の化合物と一緒に混合された単一投薬形態の一部であってよい。
【0099】
本発明の組成物が、本発明のIMPDH阻害剤と、1種または複数の他の治療薬または予防薬の組合せを含む場合、化合物と他の薬剤の両方は約10〜100%の投薬量レベルで存在すべきであり、他の実施形態では、単剤治療レジメンで通常投与される投薬量の約10〜80%である。
【0100】
一実施形態によれば、本発明の薬学的組成物は他の免疫抑制剤を含む。他の免疫抑制剤の例には、これらに限定されないが、シクロスポリンA、FK506、ラパマイシン、レフルノミド、デオキシスペルグアリン、プレドニゾン、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、OKT3、ATAG、ミゾリビン、ならびにPEG−Intron(登録商標)およびPegasys(登録商標)などのα−インターフェロンを含むインターフェロンが含まれる。
【0101】
本明細書で用いる「インターフェロン」という用語は、インターフェロンα、インターフェロンβまたはインターフェロンγなどの、ウイルス複製および細胞増殖を阻害し、免疫応答を調節する高度に相同性の種特異性タンパクのファミリーのメンバーを意味する。The Merck Index, entry 5015、第12版。
【0102】
本発明の一実施形態によれば、インターフェロンはα−インターフェロンである。他の実施形態によれば、本発明の治療の組合せには天然のαインターフェロン2aを用いる。あるいは、本発明の治療組合せには天然のαインターフェロン2bを用いる。他の実施形態では、本発明の治療組合せには組み換えαインターフェロン2aまたは2bを用いる。さらに他の実施形態では、インターフェロンはペグ化されたαインターフェロン2aまたは2bである。本発明に適したインターフェロンには:
(a)Intron(インターフェロン−α 2B、Schering Plough)、
(b)Peg−Intron、
(c)Pegasys、
(d)Roferon、
(e)Berofor、
(f)Sumiferon、
(g)Wellferon、
(h)Amgen,Inc.,Newbury Park,CAから入手できるコンセンサスαインターフェロン、
(i)Alferon、
(j)Viraferon(登録商標)、および
(k)Infergen(登録商標)
が含まれる。
【0103】
別の実施形態によれば、本発明の薬学的組成物は抗癌剤をさらに含むことができる。抗癌剤の例には、これらに限定されないが、シスプラチン、アクチノマイシンD、ドキソルビシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド、アムサクリン、ミトキサントロン、テニポシド、タクソール、コルヒチン、シクロスポリンA、フェノチアジン、インターフェロンおよびチオキサンテレスが含まれる。
【0104】
他の実施形態では、本発明の組成物は抗HCV剤を含む他の抗ウイルス剤をさらに含む。そうした抗ウイルス剤には、これらに限定されないが、α−、β−およびγ−インターフェロン、ペグ化された誘導インターフェロン−α化合物ならびにチモシンなどの免疫調節剤;リバビリン(およびリバビリンとペグ化されたインターフェロン[Rebetrol(登録商標)]の併用療法)、d4T、ddl、AZT、アンプレナビル、ホス−アンプレナビル、アシクロビル、PCT出願番号WO02/018369に開示されているものなどのNS3−NS4Aプロテアーゼ阻害剤、アマンタジン、サイトベン、ガンシクロビル、リトニビル(ritonivir)、トリナトリウムホスホノギ酸およびテルビブジンなどの他の抗ウイルス剤;C型肝炎プロテアーゼの他の阻害剤(NS2−NS3阻害剤およびNS3−NS4A阻害剤);これらに限定されないが、ヘリカーゼおよびポリメラーゼ阻害剤を含むHCVライフサイクルにおける他の標的の阻害剤;内部リボソーム侵入の阻害剤;ならびにIMPDH阻害剤などの広範囲のウイルス阻害剤(例えば、米国特許第5,807,876号および同6,498,178号に開示のIMPDH阻害剤、ミコフェノール酸およびその誘導体)が含まれる。
【0105】
他の実施形態では、本発明の組成物は、α−インターフェロン、ペグ化されたα−インターフェロンまたはリバビリンから選択される他の抗ウイルス剤をさらに含む。
【0106】
一実施形態では、本発明の組成物はチトクロームP−450阻害剤を含む他の薬剤をさらに含む。そうしたチトクロームP−450阻害剤はこれらに限定されないが、リトナビルを含む。CYP阻害剤は、CYPによって阻害される化合物の肝臓中の濃度および/または血中濃度を増大させるのに有用である。
【0107】
本発明の実施形態でCYP阻害剤を用いる場合、IMPDH阻害剤の薬物動態を改善するそんなCYP阻害剤も本発明の方法において用いることができる。これらのCYP阻害剤には、これらに限定されないが、リトナビル(WO94/14436)、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポリン、クロメチアゾール、シメチジン、イトラコナゾール、フルコナゾール、ミコナゾール、フルボキサミン、フルオキセチン、ネファゾドン、セルトラリン、インディナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、ホスアンプレナビル、サクイナビル、ロピナビル、デラビルジン、エリスロマイシン、VX−944およびVX−497が含まれる。好ましいCYP阻害剤には、リトナビル、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポリンおよびクロメチアゾールが含まれる。リトナビルの好ましい投薬形態については、米国特許第6,037,157号およびそこに引用された文書、米国特許第5,484,801号、米国特許出願第08/402,690号ならびに国際特許出願WO95/07696およびWO95/09614)を参照されたい。
【0108】
化合物がチトクロームP450モノオキシゲナーゼ活性を阻害する能力の測定方法は周知である(米国特許第6,037,157号およびYunら、 Drug Metabolism & Disposition、21巻、403〜407頁(1993年)を参照されたい。
【0109】
さらに別の実施形態によれば、本発明の薬学的組成物は抗血管過剰増殖剤をさらに含むことができる。抗血管過剰増殖剤の例には、これらに限定されないが、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤、例えばロバスタチン、トロンボキサンA2シンテターゼ阻害剤、エイコサペンタン酸、シプロステン、トラピジル、ACE阻害剤、低分子量ヘパリン、ミコフェノール酸、ラパマイシンおよび5−(3’−ピリジニルメチル)ベンゾフラン−2−カルボキシレートが含まれる。
【0110】
患者の病態を改善させる際、望むなら、維持用量の本発明の化合物、組成物または組合せを投与することができる。したがって、投薬量もしくは投与の頻度またはその両方を、症状に応じて、症状が所望のレベルに緩和され、処置を中止するべき場合、改善された状態が維持されるレベルに落とすことができる。しかし、何らかの病徴の再発の際は、患者は長期的なベースで間欠的な処置を要求することができる
一実施形態によれば、本明細書で用いる「IMPDH媒介疾患」という用語には、免疫系関連疾患、例えば、移植拒絶反応(例えば、腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓(島細胞)、骨髄、角膜、小腸ならびに皮膚同種移植片および心臓弁異種移植片)、移植片対宿主拒絶反応、ならびに自己免疫疾患、例えば関節リウマチ、多発性硬化症、若年性糖尿病、ぜんそく、炎症性大腸炎(クローン病、潰瘍性大腸炎)、ループス、糖尿病、重症筋無力症(mellitus myasthenia gravis)、乾癬、皮膚炎、湿疹、脂漏症、肺炎症、目のブドウ膜炎、グレーブス病、橋本甲状腺炎、ベーチェット症候群またはシェーグレン症候群(ドライアイ/口)、悪性貧血または免疫性溶血性貧血、特発性副腎機能障害、多腺性自己免疫症候群、糸球体腎炎、強皮症、扁平苔癬、白斑(皮膚の脱色素)、自己免疫甲状腺炎および肺胞炎を含む。
【0111】
他の実施形態によれば、本明細書で用いる「IMPDH媒介疾患」という用語は、例えば、オルトミクソウイルス感染(インフルエンザウイルスのA型およびB型)、パラミクソウイルス(呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)ウイルス)はしか、およびパラインフルエンザ3型)、ヘルペスウイルス(HSV−1、HSV−2、HHV−6、HHV−7、HHV−8、エプスタインバーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(HCMV)および水疱瘡ウイルス(VZV))、レトロウイルス(HIV−1、HIV−2、HTLV−1、HTLV−2)、フラビウイルスおよびペスチウイルス(黄熱病ウイルス(YFV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、デング熱ウイルス、牛ウイルス性下痢症ウイルス(BVDV)、肝炎ウイルス(A型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、D型肝炎ウイルス(HDV)、E型肝炎ウイルス(HEV)、G型肝炎ウイルス(HGV)、クリミアコンゴ出血熱ウイルス(CCHF)、ブンヤウイルス(プンタトロウイルス(Punta Toro virus)、リフトバレー熱ウイルス(RVFV)、およびサシチョウバエ熱シシリアンウイルス)、ハンターンウイルス、カラパルウイルス)、ヒト乳頭腫ウイルス、脳炎ウイルス(ラクロスウイルス)、アレナウイルス(フニンウイルスおよびタカリベウイルス)、レオウイルス、水疱性口内炎ウイルス、ライノウイルス、エンテロウイルス(ポリオウイルス、コクサッキーウイルス、脳心筋炎ウイルス(EMC))、ラッサ熱ウイルスおよびトガウイルス(シンドビスウイルスおよびセムリキ森林熱ウイルス)およびポックスウイルス(ワクシニアウイルス)、アデノウイルス、ルベオーラならびに風疹による感染症によって引き起こされるDNAおよびRNAウイルス性疾患などのウイルス性疾患を含む。
【0112】
他の実施形態によれば、本明細書で用いる「IMPDH媒介疾患」という用語は、再狭窄、狭窄、アテローム性動脈硬化症および他の過剰増殖性血管疾患などの血管細胞の過剰増殖性疾患を含む。
【0113】
他の実施形態によれば、本明細書で用いる「IMPDH媒介疾患」という用語は、腫瘍およびリンパ腫などの悪性腫瘍、白血病ならびに乳癌、前立腺癌、結腸癌、膵臓癌などの他の形態の癌を含む。
【0114】
他の実施形態によれば、本明細書で用いる「IMPDH媒介疾患」という用語は、変形性関節症、急性膵炎、慢性膵炎、ぜんそくおよび成人呼吸窮迫症候群などの炎症性疾患を含む。
【0115】
本発明の多形形態などの結晶形態を、製剤に適した非晶質形態に変換するための適切な方法は当業界でよく知られている。例えば、「Remington: The Science & Practice of Pharmacy」、Alfonso R. Gennaro, Editor, Mack Publishing、1995年、第19版、第2巻を参照されたい。その開示全体を参照により本明細書に組み込む。
【0116】
本明細書で説明する本発明がより完全に理解されるように、以下の実験方法、アッセイおよび実施例を示す。以下の実験方法、アッセイおよび実施例は、限定的なものではなく説明のために示すものである。
【0117】
(実験方法)
(粉末X線回折(XRPD))
サンプルについての粉末X線回折パターンは、CuKa放射線(40kV、40mA)、θ−θ角度計、自動発散および受入スリット、グラファイト二次単色光分光器およびシンチレーションカウンタを用いて、Bruker AXS/Siemens D5000回折計で求めた。データは、0.02°2θのステップサイズと1秒のステップ時間を用いて、連続走査方式で2°〜42°2θの角度範囲にわたって収集した。周囲条件下で試験するサンプルは、粉砕することなく受け入れた粉末を用いて平板サンプル片として作製した。約25〜50mgのサンプルを、研磨したゼロバックグラウンド(510)シリコンウエハー中にカットした12mm径、0.5mm深さの空洞(The Gem Dugout,1652 Princeton Drive,Pennsylvania State College,PA16803,USA)の中に静かに充填した。分析の際、すべてのサンプル片は静止状態と、それ自体の面内で回転させる形の両方で試験した。ピーク位置のずれがあった場合の補正をするための内部標準としてシリコン粉末を用いて他のサンプル片を試験した。非周囲条件下で試験するサンプルは、温度監視用のPt100熱電対を備えたステンレス製の空洞サンプルホルダー中に充填した。低温データは、Bruker AXS/SiemensD5000回折計に取り付けたAnton Paar TTK450可変温度カメラを用いて記録した。低温スキャニングのための機器の条件は平板サンプルについて上記した条件と同様とした。すべてのXRPD分析はDiffrac Plus XRD Commanderソフトウェアv2.3.1を用いて実施した。回折データは、EVAを用いてKα1成分をストリップした後、Cu Kα1(λ=1.5406Å)を用いて記録し、粉末パターンはWIN−INDEXを用いてITO法で指標化し、生データの格子定数はWIN−METRICを用いて加工する。
【0118】
あるいは、サンプルについての粉末X線回折パターンは、CuKα放射線(40kV、40mA)、自動サンプル位置決めのための自動化XYZ段、レーザービデオ顕微鏡およびHiStar2−次元面積検出器を用いたBruker AXS C2 GADDS回折計で求めた。X線光学システムは0.3mmのピンホールコリメータを備えた単一のGobel多層膜鏡からなる。ビーム発散、すなわちサンプル上でのX線ビームの有効サイズは約4mmであった。θ−θ連続走査方式では、3.2〜29.8°の有効な2θ範囲をもたらすサンプルと検出器間の距離20cmを用いた。サンプルの典型的な曝露時間は120秒である。周囲条件下で試験するサンプルは、粉砕することなく受け入れた粉末を用いて平板サンプル片として作製した。約1〜2mgのサンプルをスライドガラス上に軽く押し付けて平らな表面にした。非周囲条件下で試験するサンプルを、熱伝導性化合物を有するシリコンウエハー上に搭載した。次いでサンプルを約20℃/分で適切な温度まで加熱し、続いて約1分間等温で保持し、次いでデータの収集を開始した。
【0119】
(示差走査熱量測定(DSC))
示差走査熱量測定データは、50の位置で自動サンプラーを備えたTA装置Q1000で収集した。エネルギーおよび温度較正基準はインジウムであった。サンプルを10〜230℃で10℃/分の速度で加熱した。サンプル上に30ml/分で窒素パージを維持した。別段の指定のない限り1〜3mgのサンプルを用い、すべてのサンプルを、密封したアルミニウム皿の中にクリンプした。
【0120】
(高温顕微鏡)
高温顕微鏡は、Mettler−Toledo MTFP82HT(高温型)を備えたLeica LM/DM偏光顕微鏡を用いて、10〜20℃/分の範囲の通常の加熱速度、25〜230℃の温度範囲で検討した。少量のサンプルを、個々の粒子をできるだけ分離させながらスライドガラス上に分散させた。サンプルを、x20対物レンズを用いて、通常光または交差偏光(λ疑似カラーフィルターに連結された)下で観察した。
【0121】
(熱重量分析(TGA))
TGAデータは、ニッケル/アルメルで較正したTA装置 Q500TGAを用いて、10℃/分の走査速度で収集した。サンプル上に60ml/分で窒素パージを維持した。典型的には、10〜20mgのサンプルを、風袋をとった白金るつぼ上に載せた。
【0122】
(FT−IR(IR)による赤外分光法)
サンプルを、Universal ATRサンプリング用付属品を備えたPerkin−Elmer Spectrum Oneで試験した。データを、Spectrum V5.0.1ソフトウェアを用いて収集し解析した。
【0123】
(急速蒸発(FE))
様々な溶媒中の溶液を調製し、溶解を助けるために分割量間で超音波処理した。目視で判断して混合物が完全に溶解したら、溶液を0.2μmのナイロンフィルターでろ過した。ろ液を開放バイアル中、周囲温度で蒸発させた。生成した固形物を単離し分析した。
【0124】
(緩速蒸発(SE))
様々な溶媒中の溶液を調製し、溶解を助けるために分割量間で超音波処理した。目視で判断して混合物が完全に溶解したら、溶液を0.2μmのナイロンフィルターでろ過した。ろ液を、ピンホールをあけたアルミホイルでカバーしたバイアル中、周囲温度で蒸発させた。生成した固形物を単離し分析した。
【0125】
(緩速冷却(SC))
様々な溶媒中に高温(約60℃)で飽和溶液を調製し、0.2μmナイロンフィルターでろ過して温かいまま開放バイアル中に入れた。バイアルにカバーをし、徐々に室温まで冷却した。固形分の有無を確認した。固形分が存在しないか、または固形分の量がXRPD分析には少な過ぎると判断された場合、バイアルを冷蔵庫の中に終夜置いた。固形分の有無を再度確認し、固形分が存在しなかった場合、バイアルを冷凍庫の中に終夜置いた。生成した固形分をろ別し、分析する前に乾燥した。
【0126】
(回転方式による蒸発)
様々な溶媒中に溶液を調製した。次いで溶液をろ過して丸底フラスコ中に入れ、溶媒を回転式蒸発で除去した。固形分を回収し分析した。
【0127】
(冷却沈澱)
様々な溶媒中に溶液を高温(約60℃)で調製し、0.2μmナイロンフィルターでろ過し、周囲温度より低い温度で(水を用いる場合、約0℃の氷水浴、他のすべての溶媒については約−78℃のドライアイス/アセトン浴で)、アンチソルベントに入れた。得られた固形分をろ過により単離し、分析する前に乾燥した。
【0128】
(スラリー実験(SE))
未溶解の固形分が存在するように、所与の溶媒に十分な固体を加えて溶液を調製した。次いで混合物を密封したバイアル中、所与の温度で攪拌した。所与の時間の後、吸引ろ過により固形分を単離し分析した。
【0129】
以下の実施例は、限定的なものではなく、本発明がより完全に理解されるように説明のために示すものである。
【0130】
(アッセイ)
(IMPDH活性阻害アッセイ)
IMPデヒドロゲナーゼ活性を、Magasanik. [B. Magasanikら、J. Biol. Chem.、226、339頁(1957年)(その開示を参照により本明細書に組み込む)によって最初に報告された方法を適用してアッセイした。酵素活性を、NADHの生成による340nmでの吸光度(λ340は6220M−1cm−1)の増大を監視することによって分光学的に測定した。反応混合物は、0.1Mりん酸カリウム8.0、0.5mM EDTA、2mM DTT、200μM IMPおよび15〜50nMの濃度の酵素(IMPDHヒトII型)を含有した。この溶液を37℃で10分間インキュベートする。200μMの最終濃度になるまでNADを加えて反応を開始させ、初速度を、340nmでの吸光度の線形増加にしたがって10分間測定する。標準的分光光度計(経路長さ1cm)での読み取りのためには容器中の最終容量は1.0mlである。このアッセイも96ウェルマイクロタイター平板方式に合わせた。この場合すべての試薬の濃度は同じ濃度に保持し、最終容積は200μlに減少させる。阻害剤の分析のために、当該化合物を20mMの最終濃度でDMSO中に溶解し、予備インキュベーションのための初期アッセイ混合物に、2〜5%(容積/容積)の最終容量で酵素を有するように加える。NADを加えて反応を開始させ、上記のようにして初速度を測定する。様々な量の阻害剤の存在下での初期速度を測定し、Hendersonの強束縛式(tight−binding equation)(Henderson, P. J. F.(1972年) Biochem. J.、第127巻、321頁)を用いてデータをフィッティングさせてKiを決定する。
【0131】
(細胞アッセイ)
A.末梢血単核細胞の単離(PBMC):抗凝血剤としてヘパリンを用いて、健常なボランティアからヒトの静脈血を抜き取った。PBMCは、標準的条件を用いて、フィコールペーク勾配Ficoll−paque gradientまたはCPTチューブ(Becton−Dickinson)で遠心分離にかけて血液から単離した。PBMCを収集して洗浄し、完全RPMIに再懸濁させ、カウントし、1×106細胞/mLに希釈した。
【0132】
B.PBMCおよび脾細胞増殖アッセイ:96ウェルの平板のウェル当たり、5×104細胞(ヒトPBMC T細胞用)または1×105細胞(ヒトPBMC B細胞用)を加えた。T細胞アッセイについては、フィトヘマアグルチニン(PHA)を、細胞がウェル当たり10〜20μg/mLの最終濃度になるように加えた。B細胞アッセイについては、ブドウ球菌タンパク質A(SPAS)を、ウェル当たり2μg/mLの最終濃度になるように加えた。完全RPMI媒体で阻害剤ストックの4倍段階希釈を行い、それを、化合物の最終濃度が20μM〜20nMの範囲になるように細胞に加え、同時に、DMSOを0.1%の最終濃度に保持した。次いで細胞を3日間インキュベートした。すべてのサンプルを三通りで試験した。トリチウム化したチミジン(0.4μCi/ウェル)をアッセイの最後の24時間で加えた。細胞をBetaplateフィルター上に収集し、シンチレーションカウンタでカウントした。細胞増殖を50%(IC50値)阻害するのに要する化合物の濃度を、SoftMax Pro(商標)(Molecular Devices)コンピュータソフトウェアパッケージを用いて算出した。
【0133】
(抗ウイルスアッセイ)
化合物の抗ウイルス効力は、種々のインビトロおよびインビボでのアッセイで評価することができる。例えば、インビトロでのウイルス複製アッセイで化合物を試験することができる。インビトロでのアッセイには、全細胞または単離した細胞成分を用いることができる。インビボでのアッセイはウイルス性疾患のための動物モデルを含む。そうした動物モデルの例には、これらに限定されないが、HBVまたはHCV感染症のためのげっ歯類モデル、HBV感染症のためのWoodchuckモデルおよびHCV感染症のためのチンパンジーモデルが含まれる。
【0134】
以下の実施例、および本明細書全般において用いる略語および用語は以下のものを含む。
EtOAc: 酢酸エチル
i−BuOAc: 酢酸イソブチル
i−PrOAc: 酢酸イソプロピル
MEK: メチルエチルケトン
MIBK: メチルイソブチルケトン
TBME: tert−ブチルメチルエーテル
MeOH: メタノール
EtOH: エチルアルコール
TFE: 2,2,2−トリフルオロエタノール
IPA: イソプロピルアルコール
HFIPA: ヘキサフルオロイソプロパノール
ACN: アセトニトリル
THF: テトラヒドロフラン
NMP: N−メチルピロリジノン
DMF: N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO: ジメチルスルホキシド
HCl: 塩酸
N2: 窒素ガス
L: リットル
ml: ミリリットル
Tmax: 最大温度
g: グラム
Kg: キログラム
mg: ミリグラム
M: モル
VT: 可変温度
PBMC: 末梢血単核細胞
PHA: フィトヘマアグルチニン
SPAS: ブドウ球菌タンパク質A
DTT: ジチオスレイトール
EDTA: エチレンジアミン四酢酸
NAD: ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
CPT: 細胞調製チューブ
RPMI: Roswell Park Memorial Institute
HBV: B型肝炎ウイルス
HCV: C型肝炎ウイルス
【実施例】
【0135】
(実施例1)
本発明の多形体の調製に用いる化合物1は、化合物1特許に記載の方法を用いて調製することができる。さらに、本発明の化合物1は、当業者に周知の方法の標準的な操作によって調製することができる。
【0136】
(実施例2)
形態A1の調製
50ml丸底フラスコ中で3.6mlのN−メチルピロリジノン中の1.8gの化合物1を60℃に加熱した。4容積部の(7.2ml)のメタノールを加えると、すぐに60℃で結晶化するのが認められた。懸濁液を50℃に冷却し、追加のメタノール(14.4ml)を加え、最後に混合物を室温に冷却しろ過した。ろ液をメタノールで2回(各3.6ml)洗浄し、次いで真空下で乾燥して1.65gの形態A1(92%収率)を得た。
【0137】
(実施例3)
形態A1の熟成検討
約10mgの形態A1を500μlの溶媒(以下の表1参照)中でスラリー化し、25〜30℃で24時間振とうさせた。過剰の固形物をろ別し、XRPDで分析した。24時間後でのXRPD分析の結果を以下の表に示す。表1でスクリーニングした31のすべての溶媒から、観察されたXRPDパターンは形態A1のパターンと一致した。
【0138】
【表1】
(実施例4)
化合物を用いた結晶化実験1
以下の表2に、本明細書で述べた種々の溶媒と条件を用いて化合物1について実施した結晶化実験のまとめを示す。得られた形態A1または非晶質形態を真空下で乾燥し次いでXRPDにより分析した。
【0139】
【表2】
a.FE=急速蒸発;SE=緩速蒸発;SC=緩速冷却、rotovap=ロータリーエバポレーション
b.LC=低結晶化度。
【0140】
(実施例5)
冷却沈澱による形態B2の調製
溶媒としてDMF、アンチソルベントとしてトルエンまたは酢酸エチルを用いて、形態B2を冷却沈澱実験により得た。ここで、DMF中の化合物1の約60℃の溶液を0.2μmナイロンフィルターでろ過して約−78℃でトルエン中にとった。得られた固形物をろ過により単離し、乾燥して形態B2を得た。XRPD分析は形態B2と一致した。
【0141】
(実施例6)
冷却沈澱による形態B2の調製
500mgの形態A1を周囲温度でDMF(3.5ml)中に溶解して透明な溶液を得た。透明溶液をろ過して未溶解の形態A1をすべて除去した。透明溶液を−78℃で酢酸エチル(150ml)に加えた。得られた混合物を−20℃で5日間置いた。沈澱した固形物を真空下でろ別し、真空下40℃で乾燥して形態B2を白色固形物として得た。XRPD分析は形態B2と一致した。
【0142】
(実施例7)
加熱による形態C3の調製
多形体形態B2のサンプルを100℃で1時間加熱すると形態C3のサンプルが生成した。XRPD分析は形態C3と一致した。
【0143】
(実施例8)
形態D4・HCl塩の調製
30mgの化合物1を、イソプロピルアルコール中の5M HClと酢酸中の1M HClの2mlの50:50混合物中に室温で溶解させた。少量の残留固形物をろ過により除去した。t−ブチルメチルエーテル(3ml)を透明溶液に加え、サンプルを−20℃で終夜置いた。得られた白色固形物をろ取し、次いで室温で真空乾燥して形態D4をHCl塩として得た。XRPD分析は形態D4・HCl塩と一致した。
【0144】
(実施例9)
形態D4・HCl塩の調製
30mgの化合物1を、イソプロピルアルコール中の5M HClと酢酸中の1M HClの2mlの50:50混合物中に室温で溶解させた。少量の残留固形物をろ過により除去した。t−ブチルメチルエーテル(3ml)を透明溶液に加え、サンプルを−20℃で終夜置いた。得られた白色固形物をろ取し、次いで室温で真空乾燥して形態D4をHCl塩として得た。XRPD分析は形態D4・HCl塩と一致した。
【0145】
(実施例10)
形態E5・HCl塩の調製
200mgの化合物1を10mlの37.5重量%HCl溶液中に溶解した。水(10ml)を加えると、すぐに白色沈殿物が生成した。スラリーを0〜5℃で置き、1時間攪拌した。沈殿した固形物をろ取し、真空下で2時間空気乾燥し、真空下、40℃で3日間真空下で乾燥して形態E5をHCl塩として得た。XRPD分析は形態E5・HCl塩と一致した。
【0146】
(実施例11)
形態A1からの非晶質形態材料の調製
130mgの化合物1(形態A1)を、室温で2,2,2−トリフルオロエタノール(6ml)中に溶解して透明溶液を得た。トルエンを加え(1部)、溶液をロータリーエバポレーターで濃縮して乾燥し、非結晶固体を得た。サンプルを真空下40℃で24時間乾燥した。オーブン乾燥した後、サンプルを乳鉢で粉砕し、すりつぶして非結晶度を増進させた。XRPD分析は非結晶形態と一致した。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】図1は(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの形態A1の粉末X線回折パターン(XRPD)を示す図である。
【図2】図2は(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの形態B2のXRPDを示す図である。
【図3】図3は(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの形態C3のXRPDを示す図である。
【図4】図4は(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イル・HCl塩の形態D4のXRPDを示す図である。
【図5】図5は(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イル・HCl塩の形態E5のXRPDを示す図である。
【図6】図6は(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イル・HCl塩の形態D4の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムと熱重量分析(TGA)の組合せを示す図である。
【図7】図7は(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イル・HCl塩の形態E5のDSCサーモグラムを示す図である。
【図8】図8は(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの形態A1のDSCサーモグラムを示す図である。
【図9】図9は(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの形態B2のDSCサーモグラムを示す図である。
【図10】図10は(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの形態C3のDSCサーモグラムを示す図である。
【図11】図11は(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの非晶質形態のXRPDを示す図である。
【図12】図12は(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの非晶質形態のDSCサーモグラムを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約5重量%未満の非晶質形態を含む(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの実質的に純粋な多形形態A1。
【請求項2】
前記多形が、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約21.8度の2θでピーク位置を有する、請求項1に記載の多形形態A1。
【請求項3】
前記多形が、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約11.8度、16.0度、18.5度、20.1度または23.6度の2θで少なくとも1つの追加のピーク位置を有する、請求項2に記載の多形形態A1。
【請求項4】
前記多形が、示差走査熱量計で測定して約215℃で溶融/分解吸熱的事象を示す、請求項1に記載の多形形態A1。
【請求項5】
(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの多形形態B2。
【請求項6】
前記多形が、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約20.9度の2θでピーク位置を有する、請求項5に記載の多形形態B2。
【請求項7】
前記多形が、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約5.3度、15.7度、18.4度または20.0度の2θで少なくとも1つの追加のピーク位置を有する、請求項6に記載の多形形態B2。
【請求項8】
前記多形が、示差走査熱量計で測定して約80℃〜約100℃で幅広い吸熱的事象を示す、請求項5に記載の多形形態B2。
【請求項9】
前記多形が、示差走査熱量計で測定して約146℃〜約150℃で溶融/再結晶化事象を示す、請求項5に記載の多形形態B2。
【請求項10】
前記多形が、示差走査熱量計で測定して約215℃で溶融/分解吸熱的事象を示す、請求項5に記載の多形形態B2。
【請求項11】
(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの多形形態C3。
【請求項12】
前記多形が、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約20.67度の2θでピーク位置を有する、請求項11に記載の多形形態C3。
【請求項13】
前記多形が、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約5.2度、15.5度、17.5度または22.5度の2θで少なくとも1つの追加のピーク位置を有する、請求項12に記載の多形形態C3。
【請求項14】
前記多形が、示差走査熱量計で測定して約145℃〜約160℃で溶融/再結晶化事象を示す、請求項11に記載の多形形態C3。
【請求項15】
(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イル・HCl塩の多形形態D4。
【請求項16】
前記多形が、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約25.0度の2θでピーク位置を有する、請求項15に記載の多形形態D4・HCl塩。
【請求項17】
前記多形が、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約11.1度、15.7度、16.9度、18.8度または27.4度の2θで少なくとも1つの追加のピーク位置を有する、請求項15に記載の多形形態D4・HCl塩。
【請求項18】
前記多形が、示差走査熱量計で測定して約100℃〜約170℃で幅広い吸熱的事象を示す、請求項15に記載の多形形態D4・HCl塩。
【請求項19】
(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イル・HCl塩の多形形態E5。
【請求項20】
前記多形が、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約14.79度の2θで少なくとも1つのピーク位置を有する、請求項19に記載の多形形態E5・HCl塩。
【請求項21】
前記多形が、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約19.4度、21.4度、22.5度または25.4度の2θで少なくとも1つの追加のピーク位置を有する、請求項20に記載の多形形態E5・HCl塩。
【請求項22】
(a)請求項1から21のいずれか一項に記載の多形形態と、
(b)薬学的に受容可能なキャリアまたはアジュバント
を含む薬学的組成物。
【請求項23】
5重量%未満の形態A1を含む(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの実質的に純粋な非晶質形態。
【請求項24】
2,2,2−トリフルオロエタノールもしくはヘキサフルオロイソプロパノールまたはその混合物中の多形形態A1の溶液を蒸発させることによって得られる(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの非晶質形態。
【請求項25】
(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの結晶形態の溶融サンプルを冷却することによって得られる(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの非晶質形態。
【請求項26】
請求項23から25のいずれか一項に記載の非晶質形態を含む薬学的組成物であって、前記非晶質形態を1種または複数の適切な薬学的キャリアまたはアジュバントと合わせることによって得られる薬学的組成物。
【請求項27】
哺乳動物のIMPDH媒介による疾患または病態を処置するための方法であって、前記哺乳動物に請求項22または請求項26に記載の薬学的組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項28】
哺乳動物におけるウイルス複製を阻害するための方法であって、前記哺乳動物に、請求項22または請求項26に記載の薬学的組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項29】
前記哺乳動物が、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、オルトミクソウイルス、パラミクソウイルス、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、フラビウイルス、ペスチウイルス、肝親和性ウイルス、ブンヤウイルス、ハンターンウイルス、カラパルウイルス、ヒト乳頭腫ウイルス、脳炎ウイルス、アレナウイルス、レオウイルス、水疱性口内炎ウイルス、ライノウイルス、エンテロウイルス、ラッサ熱ウイルス、トガウイルス、ポックスウイルス、アデノウイルス、ルベオーラまたは風疹から選択されるウイルスによって引き起こされるウイルス感染症に罹患している、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記哺乳動物に、別個の投薬形態で、または前記組成物の一部として追加の抗ウイルス剤が投与される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記追加の抗ウイルス剤がα−インターフェロン、ペグ化されたα−インターフェロンまたはリバビリンから選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項1】
約5重量%未満の非晶質形態を含む(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの実質的に純粋な多形形態A1。
【請求項2】
前記多形が、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約21.8度の2θでピーク位置を有する、請求項1に記載の多形形態A1。
【請求項3】
前記多形が、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約11.8度、16.0度、18.5度、20.1度または23.6度の2θで少なくとも1つの追加のピーク位置を有する、請求項2に記載の多形形態A1。
【請求項4】
前記多形が、示差走査熱量計で測定して約215℃で溶融/分解吸熱的事象を示す、請求項1に記載の多形形態A1。
【請求項5】
(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの多形形態B2。
【請求項6】
前記多形が、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約20.9度の2θでピーク位置を有する、請求項5に記載の多形形態B2。
【請求項7】
前記多形が、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約5.3度、15.7度、18.4度または20.0度の2θで少なくとも1つの追加のピーク位置を有する、請求項6に記載の多形形態B2。
【請求項8】
前記多形が、示差走査熱量計で測定して約80℃〜約100℃で幅広い吸熱的事象を示す、請求項5に記載の多形形態B2。
【請求項9】
前記多形が、示差走査熱量計で測定して約146℃〜約150℃で溶融/再結晶化事象を示す、請求項5に記載の多形形態B2。
【請求項10】
前記多形が、示差走査熱量計で測定して約215℃で溶融/分解吸熱的事象を示す、請求項5に記載の多形形態B2。
【請求項11】
(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの多形形態C3。
【請求項12】
前記多形が、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約20.67度の2θでピーク位置を有する、請求項11に記載の多形形態C3。
【請求項13】
前記多形が、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約5.2度、15.5度、17.5度または22.5度の2θで少なくとも1つの追加のピーク位置を有する、請求項12に記載の多形形態C3。
【請求項14】
前記多形が、示差走査熱量計で測定して約145℃〜約160℃で溶融/再結晶化事象を示す、請求項11に記載の多形形態C3。
【請求項15】
(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イル・HCl塩の多形形態D4。
【請求項16】
前記多形が、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約25.0度の2θでピーク位置を有する、請求項15に記載の多形形態D4・HCl塩。
【請求項17】
前記多形が、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約11.1度、15.7度、16.9度、18.8度または27.4度の2θで少なくとも1つの追加のピーク位置を有する、請求項15に記載の多形形態D4・HCl塩。
【請求項18】
前記多形が、示差走査熱量計で測定して約100℃〜約170℃で幅広い吸熱的事象を示す、請求項15に記載の多形形態D4・HCl塩。
【請求項19】
(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イル・HCl塩の多形形態E5。
【請求項20】
前記多形が、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約14.79度の2θで少なくとも1つのピーク位置を有する、請求項19に記載の多形形態E5・HCl塩。
【請求項21】
前記多形が、CuKα線を用いて得られる粉末X線回折パターンにおいて、約19.4度、21.4度、22.5度または25.4度の2θで少なくとも1つの追加のピーク位置を有する、請求項20に記載の多形形態E5・HCl塩。
【請求項22】
(a)請求項1から21のいずれか一項に記載の多形形態と、
(b)薬学的に受容可能なキャリアまたはアジュバント
を含む薬学的組成物。
【請求項23】
5重量%未満の形態A1を含む(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの実質的に純粋な非晶質形態。
【請求項24】
2,2,2−トリフルオロエタノールもしくはヘキサフルオロイソプロパノールまたはその混合物中の多形形態A1の溶液を蒸発させることによって得られる(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの非晶質形態。
【請求項25】
(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの結晶形態の溶融サンプルを冷却することによって得られる(S)−3−(3−(3−メトキシ−4−(オキサゾール−5−イル)フェニル)ウレイド)ベンジルカルバミン酸テトラヒドロフラン−3−イルの非晶質形態。
【請求項26】
請求項23から25のいずれか一項に記載の非晶質形態を含む薬学的組成物であって、前記非晶質形態を1種または複数の適切な薬学的キャリアまたはアジュバントと合わせることによって得られる薬学的組成物。
【請求項27】
哺乳動物のIMPDH媒介による疾患または病態を処置するための方法であって、前記哺乳動物に請求項22または請求項26に記載の薬学的組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項28】
哺乳動物におけるウイルス複製を阻害するための方法であって、前記哺乳動物に、請求項22または請求項26に記載の薬学的組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項29】
前記哺乳動物が、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、オルトミクソウイルス、パラミクソウイルス、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、フラビウイルス、ペスチウイルス、肝親和性ウイルス、ブンヤウイルス、ハンターンウイルス、カラパルウイルス、ヒト乳頭腫ウイルス、脳炎ウイルス、アレナウイルス、レオウイルス、水疱性口内炎ウイルス、ライノウイルス、エンテロウイルス、ラッサ熱ウイルス、トガウイルス、ポックスウイルス、アデノウイルス、ルベオーラまたは風疹から選択されるウイルスによって引き起こされるウイルス感染症に罹患している、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記哺乳動物に、別個の投薬形態で、または前記組成物の一部として追加の抗ウイルス剤が投与される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記追加の抗ウイルス剤がα−インターフェロン、ペグ化されたα−インターフェロンまたはリバビリンから選択される、請求項30に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2008−540538(P2008−540538A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511227(P2008−511227)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/017693
【国際公開番号】WO2006/122012
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/017693
【国際公開番号】WO2006/122012
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】
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