説明

(Z)−1−(3−メチルブテ−2−エニルオキシ)ヘクス−3−エンの使用

本発明は、(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンまたは(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンを含む混合物の、新鮮な香を放つ、(a) 毛髪または(b) 紡織繊維を提供するための薬剤としての使用に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エン(cis-3-ヘキセニルプレニルエーテル)およびこの化合物を含む混合物の、新規な利用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
Pishchevaya Promyshlennost (ソビエト連邦、モスクワ), 1990, 1:62-63には、様々な(Z)-ヘクス-3-エニルエーテルが、(Z)-ヘクス-3-エン-1-オール(青葉アルコール)から製造され、また嗅覚的な観点から説明されている。これらは、若々しい特徴を持つ、花-果実様の香りを示すものとして説明される、(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンを含む。また、この開示された(Z)-ヘクス-3-エニルエーテルが、香水製造において使用できることを述べている。
我々独自の実験において、(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンは、非常に強力な、極めて自然、かつモダンな若々しい香りを、花-果実様の特色と共に示した。その若々しい香りは、エンドウ豆、青エンドウ、および葉を偲ばせ、果実様の特色は、リンゴと確かめられ、また花-様の特色は、バイオレット(すみれ)と確かめられ、更に薬草的な特徴も確認されている。総合的には、(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンの嗅覚上の特徴は、市販品として入手できる芳香剤、(Z)-1-(1-エトキシエトキシ)ヘクス-3-エン(CAS No. 28069-74-1; 葉アセタール;IFF社の製品名)および4-メチル-3-デセン-5-オール(CAS No. 81782-77-6;ウンデカベルトール(undecavertol);ジボダン(Givaudan)社の製品名)の嗅覚上の特徴と類似している。
【0003】
米国特許第6,340,66号は、嗅覚的な観点から、3-ヘキセニル2-メチルアリルエーテルを、新鮮な特徴、例えば青葉状、マッシュルーム様、新たに刈取った草、フルーティーな(ダイオウ)およびバイオレット(すみれ)様の特徴を持つ化合物として、記載している。詳しい理由付けなしに、該(Z)-異性体が、より魅力的な嗅覚特性を持つことが論じられている。同様に、この化合物が、上質な香水(fine perfumery)ばかりでなく、例えば石鹸の香り付け、清浄化剤、および洗剤または織物の柔軟剤においても使用することができることも述べられている。
特に新緑青葉のようなトップノートを持ち、同時に顕著な花のような香(blooming)(水性界面活性剤溶液からの香気)を持つ、芳香剤混合物は、特に界面活性剤を含有する処方物、例えばシャンプー、洗剤または織物の柔軟剤の香付けのために、しばしば探し求められている。界面活性剤を含有する製品に対する、芳香剤混合物の、もう一つの重要な応用技術的要件は、これら混合物の、基質、特に毛髪または紡織繊維上での永続性または保留性である。該用語、永続性および保留性の意味は、EP 1,201,738A1(第[0004]-[0005]を参照のこと)に詳しく説明されている。従って、一般に、高い永続性および/または保留性を持つ芳香剤も、探し求められている。
【発明の開示】
【0004】
上記の一般的な目的と、密接に関連する、本発明の第一の特徴は、(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エン、または(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンを含む混合物の、 (a) 毛髪または(b) 紡織繊維に新緑青葉(fresh-green)の香気を与えるための、薬剤としての使用に関する。
Pishchevaya Promyshlennost (ソビエト連邦、モスクワ), 1990, 1:62-3には、(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンの、特に高い永続性、保留性および固定化作用について何ら記載されておらず、このことは、構造上関連する物質との比較において驚嘆すべきものであり、また本発明による使用が顕著な結果をもたらすことの証拠である。事実、(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンで処理された、毛髪および紡織繊維は、新鮮で、若々しい、花-果実様の香気を有し、該香気はかなり長期間に渡り持続し、また特に洗浄作用(水による)に対して抵抗性である。
【0005】
これらの発見によれば、本発明の更なる特徴は、(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンの、(毛髪または紡織繊維のためのまたはその上の)芳香剤混合物の永続性および/または保留性を高めるための薬剤としての使用に関する。低い永続性および/または保留性を示すに過ぎない、所定の芳香剤混合物に、(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンを添加することにより、これらの諸特性が、特定の有利な方法で改善される。従って、例えば、新鮮な香気を放つが含まれる該香料の不十分な永続性のために、織物(紡織繊維)または毛髪に対して新鮮な香気を移す(あるいは与える)のに適さない水性洗浄溶液(または対応する洗剤またはシャンプー等)を、(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンを添加することによって、処理した基質(毛髪または紡織繊維)上で長期間にわたり持続する新鮮な香気を移す(与える)点で優れた溶液に転化することができる。
新鮮な香気を持つ、(a) 毛髪または(b) 紡織繊維を得るための、本発明による対応する方法は、以下の諸工程:
・(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンを含有する、混合物を製造する工程;および
・該混合物を、該毛髪または紡織繊維に適用する工程を含む。
【0006】
本発明による使用または該対応する方法にとって、特に適している混合物は、(a) 水;(b) (Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エン;および(c) 1またはそれ以上の界面活性剤を含む溶液であって、ここで、該溶液中の該(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンの濃度は、10-7〜10-1質量%なる範囲内にある。他の香料および/またはその他の公知の添加剤も、存在し得る。
既に述べたPishchevaya Promyshlennost (ソビエト連邦、モスクワ), 1990, 1:62-3においては、界面活性剤を含有する水性製品の内容物における、(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンの、特別な嗅覚的作用について、何ら言及されていない。
驚いたことに、本発明による上記の使用、方法、溶液並びに混合物において、(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンの使用は、自然で、モダンな、極めて強力な若々しいトップノート(興味深いバイオレットおよびリンゴの特徴を含む)を、高い永続性/保留性ばかりか、驚くべき花のような香(即ち、界面活性剤含有水性溶液上で知覚される香気)をも伴って達成する。この探し求めている特性の組合せは、公知文献においては、見出すことができなかった。
【0007】
以下の実施例において、詳細に説明されるように、(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンと、嗅覚的状態において極めて類似する、化合物:(Z)-1-(1-エトキシエトキシ)ヘクス-3-エン(葉アセタール;IFF社の製品名)は、この幸運な特性の組合せを示さない。
従って、本発明の更なる特徴は、界面活性剤を含む水性溶液(例えば、洗浄液)上で、知覚される他の芳香の臭気を高めるための、即ち花のような香(ブルーミング)を高めるための、(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンの利用に係る。
顕著なブルーミングおよび界面活性剤を含む水性用途に対して高い永続性を伴う、該所定の新鮮なトップノートが、得られる香料組成物において、極低用量の(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンの使用によって、一般的に達成できる。
【0008】
(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンは、多数の製品中で使用することができる。本発明に従って使用すべき該エーテルを含有する水性処方物のpHは、(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンが、酸性および塩基性媒体両者において極めて安定(この点については、実施例1-3を参照のこと)であることから、臨界的なものではない。しかし、本発明に従って使用すべき該エーテルは、塩基性pHの用途/処方物において、特に顕著なブルーミングを示し、かつ発揮することが分かっているので、該pHは、好ましくは8〜13なる範囲内にある。本発明による溶液のpHは、好ましくは、この範囲内で調整される。
(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンと組合わせることが有利な、芳香剤の例は、例えばS. Arctander, 香料および香味物質(Perfume and Flavor Materials), Vol. IおよびII, N.J.州、モンクレール(Montclair), 1969, Selbstverlag, またはK. Bauer, D. Garbe & H. Surburg, 一般的な芳香剤および香味物質 (Common Fragrance and Flavor Materials), 第4版, ウイリー-VCH, Weinheim 2001に見出すことができる。
【0009】
具体的には、以下のものを列挙することができる:
天然原料物質の抽出物、例えばエーテル性オイル、固形(concrete)オイル、絶対精油、樹脂、レジノイド、バルサム、チンキ等;例えば
アンバーグリスチンキ、アミリス(amyris)オイル、アンジェリカシード油、アンジェリカルート油、アニス油、バルドリアン(baldrian)油、バジル油、ツリーモス(tree moss)絶対精油、ベイ油、ヨモギ油、ベンゾイン樹脂、ベルガモット油、蜜蝋絶対精油、カンバタール油、アーモンド油、キダチハッカ油、ベツリナ葉精油、カブルーバ(cabreuva)油、杜松油、カルムス(calmus)油、カンファー油、カナンガ油、カルダモン油、カスカリラ油、カッシア油、カッシア絶対精油、カストリウム絶対精油、シダー葉精油、シダーウッド油、シトラス油、シトロネラ油、レモン油、コパイババルサム、コパイババルサム油、コエンドロ油、木香油、ヒメウイキョウ油、サイプレス油、ダバナ(davana)油、イノンド油、イノンドシード油、オデュブルーツ(eau de brouts)絶対精油、ツノマタゴケ絶対精油、エレミ油、タラゴン油、ユーカリシトリオドラ(eucalyptus citriodora)油、ユーカリ油、ウイキョウ油、松葉油、ガルバヌム油、ガルバヌム樹脂、ゼラニウム油、グレープフルーツ油、ユソウボクウッド油、ガージャンバルサム、ガージャンバルサム油、ヘリクリサム(helichrysum)絶対精油、ヘリクリサム油、ジンジャーオイル、アイリス根絶対精油、アイリス根油、ジャスミン絶対精油、ショーブ油、ブルーカミルレ油、ロマンカミルレ油、キャロットシード油、カスカリラ油、スコッチファー(欧州産松)油、スペアミント油、キャラウェー油、ラブダナム油、ラブダナム絶対精油、ラブダナム樹脂、ラバンジン(lavandin)絶対精油、ラバンジン油、ラベンダー絶対精油、ラベンダー油、レモングラス油、ラビッジ(lovage)油、蒸留ライム油、圧搾ライム油、リナロア(linaloa)油、リトシーキュベバ(litsea cubeba)油、ローレル葉油、メース油、マヨラナ油、マンダリン油、マッソイ皮(massoi bark)油、ミモザ絶対精油、アムブレット油、ジャコウチンキ、マスカテルセージ油、ナツメグ油、ミルラ絶対精油、ミルラ油、ギンバイカ油、クローブ葉油、クローブブロッサム油、ネロリ油、ニューコウ絶対精油、ニューコウ油、オポパナックス油、オレンジブロッサム絶対精油、オレンジ油、ハナハッカ油、パルマローザ(palmarosa)油、パチョリ油、エノ油、ペルーバルサム油、パセリ葉油、パセリシード油、プチグレン油、ペパーミント油、ペッパー油、ピメント油、ピヌスピネア(Pinus pinea)油、欧州産ペニロイヤルハッカ油、ローズ絶対精油、ローズウッド油、ローズ油、ローズマリー油、ダルメシアンセージ油、スペイン産セージ油、ビャクダン油、セロリーシード油、ラベンダースパイク油、日本産アニス油、エゴノキ油、センジュギク油、モミの葉油、茶油、テレビン油、タイミアン(thymian)油、トルーバルサム、トンカ豆絶対精油、バニラ抽出液、バイオレット葉絶対精油、クマツヅラ油、ベチベル油、セイヨウビャクシン(杜松)油、ワイン酵母油、ニガヨモギ油、ウインターグリーン油、イランイラン油、ヒソップ油、シベット油、シナモン葉油、シナモン皮油、およびこれらの留分またはこれらから単離された成分。
【0010】
以下の群から選択される個々の芳香剤:
炭化水素類、例えば3-カレン、α-ピネン、β-ピネン、α-テルピネン、γ-テルピネン、p-シメン、ビサボレン、カンフェン、カリオフィレン、セドレン、フェルネセン、リモネン、ロンギホレン、ミルセン、オシメン、バレンセン(valencene)、(E,Z)-1,3,5-ウンデカトリエン、スチレン、ジフェニルメタン;
脂肪族アルコール、例えばヘキサノール、オクタノール、3-オクタノール、2,6-ジメチルヘプタノール、2-メチル-2-ヘプタノール、2-メチル-2-オクタノール、(E)-2-ヘキセノール、(E)-および(Z)-3-ヘキセノール、1-オクテン-3-オール、3,4,5,6,6-ペンタメチル-3/4-ヘプテン-2-オールと3,5,6,6-テトラメチル-4-メチレンヘプタン-2-オールとの混合物、(E,Z)-2,6-ノナジエノール、3,7-ジメチル-7-メトキシオクタン-2-オール、9-デセノール、10-ウンデセノール、4-メチル-3-デセン-5-オール;
脂肪族アルデヒドと、そのアセタール、例えばヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、ドデカナール、トリデカナール、2-メチルオクタナール、2-メチルノナナール、(E)-2-ヘキセナール、(Z)-4-ヘプテナール、2,6-ジメチル-5-ヘプテナール、10-ウンデセナール、(E)-4-デセナール、2-ドデセナール、2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエナール、ヘプタナールジエチルアセタール、1,1-ジメトキシ-2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン、シトロネリルオキシアセトアルデヒド;
【0011】
脂肪族ケトンと、そのオキシム、例えば2-ヘプタノン、2-オクタノン、3-オクタノン、2-ノナノン、5-メチル-3-ヘプタノン、5-メチル-3-ヘプタノンオキシム、2,4,4,7-テトラメチル-6-オクテン-3-オン、6-メチル-5-ヘプテン-2-オン;
脂肪族硫黄原子-含有化合物、例えば3-メチルチオヘキサノール、3-メチルチオヘキシルアセテート、3-メルカプトヘキサノール、3-メルカプトヘキシルアセテート、3-メルカプトヘキシルブチレート、3-アセチルチオヘキシルアセテート、1-メンテン-8-チオール;
脂肪族ニトリル、例えば2-ノネン酸ニトリル、2-トリデセン酸ニトリル、2,12-トリデカジエン酸ニトリル、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン酸ニトリル、3,7-ジメチル-6-オクテン酸ニトリル;
脂肪族カルボン酸およびそのエステル、例えば(E)-および(Z)-3-ヘキセニルホルメート、エチルアセトアセテート、イソアミルアセテート、ヘキシルアセテート、3,5,5-トリメチルヘキシルアセテート、3-メチル-2-ブテニルアセテート、(E)-2-ヘキセニルアセテート、(E)-および(Z)-3-ヘキセニルアセテート、オクチルアセテート、3-オクチルアセテート、1-オクテン-3-イルアセテート、エチルブチレート、ブチルブチレート、イソアミルブチレート、ヘキシルブチレート、(E)-および(Z)-3-ヘキセニルイソブチレート、ヘキシルクロトネート、エチルイソバレレート、エチル2-メチルペンタノエート、エチルヘキサノエート、アリルヘキサノエート、エチルヘプタノエート、アリルヘプタノエート、エチルオクタノエート、エチル(E,Z)-2,4-デカジエノエート、メチル2-オクチネート、メチル2-ノニネート、アリル2-イソアミルオキシアセテート、メチル3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノエート;
【0012】
非-環式テルペンアルコール、例えばシトロネロール、ゲラニオール、ネロール、リナロオール、ラバンズロール(lavadulol)、ネロリドール、ファルネソール、テトラヒドロリナロオール、テトラヒドロゲラニオール、2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール、2,6-ジメチルオクタン-2-オール、2-メチル-6-メチレン-7-オクテン-2-オール、2,6-ジメチル-5,7-オクタジエン-2-オール、2,6-ジメチル-3,5-オクタジエン-2-オール、3,7-ジメチル-4,6-オクタジエン-3-オール、3,7-ジメチル-1,5,7-オクタトリエン-3-オール、2,6-ジメチル-2,5,7-オクタトリエン-1-オール、およびこれらのホルメート、アセテート、プロピオネート、イソブチレート、ブチレート、イソバレレート、ペンタノエート、ヘキサノエート、クロトネート、チグレート、3-メチル-2-ブテノエート;
非-環式テルペンアルデヒドおよびケトン、例えばゲラニアール、ネラール、シトロネラール、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタナール、2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール、ゲラニルアセトン、およびゲラニアール、ネラール、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナールのジメチルおよびジエチルアセタール;
【0013】
環式テルペンアルコール、例えばメントール、イソプレゴール、α-テルピネオール、テルピネン-4-オール、メンタン-8-オール、メンタン-1-オール、メンタン-7-オール、ボルネオール、イソボルネオール、リナロオールオキシド、ノポール、セドロール、アンブリノール、ベチベロール、グアイオール、およびこれらのホルメート、アセテート、プロピオネート、イソブチレート、ブチレート、イソバレレート、ペンタノエート、ヘキサノエート、クロトネート、チグレート、3-メチル-2-ブテノエート;
環式テルペンアルデヒドおよびケトン、例えばメントン、イソメントン、8-メルカプトメンタン-3-オン、カルボン、カンファー、フェンコン、α-イオノン、β-イオノン、α-n-メチルイオノン、β-n-メチルイオノン、α-イソメチルイオノン、β-イソメチルイオノン、α-イロン、α-ダマスコン、β-ダマスコン、β-ダマセノン、δ-ダマスコン、γ-ダマスコン、1-(2,4,4-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル-)-2-ブテン-1-オン、1,3,4,6,7,8a-ヘキサヒドロ-1,1,5,5-テトラメチル-2H-2,4a-メタノナフタレン-8(5H)-オン、ノオトカトン、ジヒドロノオトカトン、α-シネンサール、β-シネンサール、アセチル化シダーウッド油(メチルセドリルケトン);
【0014】
環状アルコール、例えば4-t-ブチルシクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、3-イソカンフィルシクロヘキサノール、2,6,9-トリメチル-Z2,Z5,E9-シクロドデカトリエン-1-オール、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール
環式脂肪族アルコール、例えばα-3,3-トリメチルシクロヘキシルメタノール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)ブタノール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-2-ブテン-1-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-2-ブテン-1-オール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)ペンタン-2-オール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ペンタン-3-オール、1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-オール;
環式および脂環式エーテル、例えばシネオール、セドリルメチルエーテル、シクロドデシルメチルエーテル、(エトキシメトキシ)シクロドデカン、α-セドレンエポキシド、3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、1,5,9-トリメチル-13-オキサビシクロ[10.1.0]トリデカ-4,8-ジエン、ローズオキシド、2-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-5-メチル-5-(1-メチルプロピル)-1,3-ジオキサン;
【0015】
環式およびマクロ環式ケトン、例えば4-t-ブチルシクロヘキサノン、2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン、2-ヘプチルシクロペンタノン、2-ペンチルシクロペンタノン、2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテン-1-オン、3-メチル-cis-2-ペンテン-1-イル-2-シクロペンテン-1-オン、3-メチル-2-ペンチル-2-シクロペンテン-1-オン、3-メチル-4-シクロペンタデセノン、3-メチル-5-シクロペンタデセノン、3-メチルシクロペンタデカノン、4-(1-エトキシビニル)-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサノン、4-t-ペンチルシクロヘキサノン、5-シクロヘキサデセン-1-オン、6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン、8-シクロヘキサデセン-1-オン、9-シクロヘプタデセン-1-オン、シクロペンタデカノン、シクロヘキサデカノン;
脂環式アルデヒド、例えば2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド、2-メチル-4-(2,2,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール、4-(4-ヒドロキシ-4-メチル-ペンチル)-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド、4-(4-メチル-3-ペンテン-1-イル-)-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド;
【0016】
1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)-4-ペンテン-1-オン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル-)-4-ペンテン-1-オン、2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-2-ナフタレニルメチルケトン、メチル2,6,10-トリメチル-2,5,9-シクロドデカトリエニルケトン、t-ブチル-2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル-ケトン等の、脂環式ケトン;
環式アルコールのエステル、例えば2-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、4-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、2-t-ペンチルシクロヘキシルアセテート、4-t-ペンチルシクロヘキシルアセテート、デカヒドロ-2-ナフチルアセテート、3-ペンチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルアセテート、デカヒドロ-2,5,5,8a-テトラメチル-2-ナフチルアセテート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-または6-インデニルアセテート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-または6-インデニルプロピオネート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-または6-インデニルイソブチレート、4,7-メタノオクタヒドロ-5-または6-インデニルアセテート;
脂環式カルボン酸のエステル、例えばアリル3-シクロヘキシルプロピオネート、アリルシクロヘキシルオキシアセテート、cis-およびtrans-メチルジヒドロジャスモネート、cis-およびtrans-メチルジャスモネート、メチル2-ヘキシル-3-オキソシクロペンタンカルボキシレート、エチル2-エチル-6,6-ジメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート、エチル2,3,6,6-テトラメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート、エチル2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-アセテート;
【0017】
アルアリファチックアルコール、例えばベンジルアルコール、1-フェニルエチルアルコール、2-フェニルエチルアルコール、3-フェニルプロパノール、2-フェニルプロパノール、2-フェノキシエタノール、2,2-ジメチル-3-フェニルプロパノール、2,2-ジメチル-3-(3-メチルフェニル)プロパノール、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアルコール、1,1-ジメチル-3-フェニルプロパノール、1-エチル-1-メチル-3-フェニルプロパノール、2-メチル-5-フェニルペンタノール、3-メチル-5-フェニルペンタノール、3-フェニル-2-プロペン-1-オール、4-メトキシベンジルアルコール、1-(4-イソプロピルフェニル)エタノール;
アルアリファチックアルコールと、脂肪族カルボン酸とのエステル、例えばベンジルアセテート、ベンジルプロピオネート、ベンジルイソブチレート、ベンジルイソバレレート、2-フェニルエチルアセテート、2-フェニルエチルプロピオネート、2-フェニルエチルイソブチレート、2-フェニルエチルイソバレレート、1-フェニルエチルアセテート、α-トリクロロメチルベンジルアセテート、α,α-ジメチルフェニルエチルアセテート、α,α-ジメチルフェニルエチルブチレート、シンナミルアセテート、2-フェノキシエチルイソブチレート、4-メトキシベンジルアセテート;
【0018】
アルアリファチックエーテル、例えば2-フェニルエチルメチルエーテル、2-フェニルエチルイソアミルエーテル、2-フェニルエチル1-エトキシエチルエーテル、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール、ヒドロアトロパアルデヒドジメチルアセタール、フェニルアセタルデヒドグリセリルアセタール、2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン、4,4a,5,9b-テトラヒドロインデノ[1,2-d]-m-ジオキシン、4,4a,5,9b-テトラヒドロ-2,4-ジメチルインデノ[1,2-d]-m-ジオキシン;
芳香族およびアルアリファチックアルデヒド、例えばベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、3-フェニルプロパナール、ヒドロアトロパアルデヒド、4-メチルベンズアルデヒド、4-メチルフェニルアセトアルデヒド、3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール、2-メチル-3-(4-イソプロピルフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(4-t-ブチルフェニル)プロパナール、3-(4-t-ブチルフェニル)プロパナール、シンナムアルデヒド、α-ブチルシンナムアルデヒド、α-アミルシンナムアルデヒド、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、3-メチル-5-フェニルペンタナール、4-メトキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド、3,4-メチレンジオキシベンズアルデヒド、3,4-ジメトキシベンズアルデヒド、2-メチル-3-(4-メトキシフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(4-メチレンジオキシフェニル)プロパナール;
【0019】
芳香族およびアルアリファチックケトン、例えばアセトフェノン、4-メチルアセトフェノン、4-メトキシアセトフェノン、4-t-ブチル-2,6-ジメチルアセトフェノン、4-フェニル-2-ブタノン、4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、1-(2-ナフタレニル)エタノン、ベンゾフェノン、1,1,2,3,3,6-ヘキサメチル-5-インダニルメチルケトン、6-t-ブチル-1,1-ジメチル-4-インダニルメチルケトン、1-[2,3-ジヒドロ-1,1,2,6-テトラメチル-3-(1-メチルエチル)-1H-5-インデニル]エタノン、5',6',7',8'-テトラヒドロ-3',5',5',6',8',8'-ヘキサメチル-2-アセトナフトン;
芳香族およびアルアリファチックカルボン酸およびそのエステル、例えば安息香酸、フェニル酢酸、メチルベンゾエート、エチルベンゾエート、ヘキシルベンゾエート、ベンジルベンゾエート、メチルフェニルアセテート、エチルフェニルアセテート、ゲラニルフェニルアセテート、フェニルエチルフェニルアセテート、メチルシンナメート、エチルシンナメート、ベンジルシンナメート、フェニルエチルシンナメート、シンナミルシンナメート、アリルフェノキシアセテート、メチルサリチレート、イソアミルサリチレート、ヘキシルサリチレート、シクロヘキシルサリチレート、cis-3-ヘキセニルサリチレート、ベンジルサリチレート、フェニルエチルサリチレート、メチル2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート、エチル3-フェニルグリシデート、エチル3-メチル-3-フェニルグリシデート;
【0020】
芳香族窒素原子-含有化合物、例えば2,4,6-トリニトロ-1,3-ジメチル-5-t-ブチルベンゼン、3,5-ジニトロ-2,6-ジメチル-4-t-ブチルアセトフェノン、桂皮酸ニトリル、5-フェニル-3-メチル-2-ペンテン酸ニトリル、5-フェニル-3-メチルペンタン酸ニトリル、メチルアントラニレート、メチルN-メチルアントラニレート、メチルアントラニレートと、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、2-メチル-3-(4-t-ブチルフェニル)プロパナールまたは2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボアルデヒドとのシッフ塩基、6-イソプロピル-キノリン、6-イソブチル-キノリン、6-sec-ブチル-キノリン、インドール、スカトール、2-メトキシ-3-イソプロピルピラジン、2-イソブチル-3-メトキシピラジン;
フェノール、フェニルエーテルおよびフェニルエステル、例えばエストラゴール、アネトール、オイゲノール、オイゲニルメチルエーテル、イソオイゲノール、イソオイゲニルメチルエーテル、チモール、カルバクロール、ジフェニルエーテル、β-ナフチルメチルエーテル、β-ナフチルエチルエーテル、β-ナフチルイソブチルエーテル、1,4-ジメトキシベンゼン、オイゲニルアセテート、2-メトキシ-4-メチルフェノール、2-エトキシ-5-(1-プロペニル)フェノール、p-クレジルフェニルアセテート;
【0021】
ヘテロ環式化合物、例えば2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-2H-フラン-3-オン、2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-2H-フラン-3-オン、3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン、2-エチル-3-ヒドロキシ-4H-ピラン-4-オン;
ラクトン、例えば1,4-オクタノリド、3-メチル-1,4-オクタノリド、1,4-ノナノリド、1,4-デカノリド、8-デセン-1,4-オリド、1,4-ウンデカノリド、1,4-ドデカノリド、1,5-デカノリド、1,5-ドデカノリド、1,15-ペンタデカノリド、cis-およびtrans-11-ペンタデセン-1,15オリド、cis-およびtrans-12-ペンタデセン-1,15-オリド、1,16-ヘキサデカノリド、9-ヘキサデセン-1,16-オリド、10-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、11-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、12-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、エチレン1,12-ドデカンジオエート、エチレン1,13-トリデカンジオエート、クマリン、2,3-ジヒドロクマリン、オクタヒドロクマリン。
【0022】
香料組成物は、好ましくはマクロ環式ムスク芳香剤、例えば1,15-ペンタデカノリド、cis-およびtrans-11-ペンタデセン-1,15オリド、cis-およびtrans-12-ペンタデセン-1,15-オリド、1,16-ヘキサデカノリド、9-ヘキサデセン-1,16-オリド、10-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、11-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、12-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、エチレン1,12-ドデカンジオエートおよびエチレン1,13-トリデカンジオエートとの組合せを使用して調製される。
香料組成物において使用する、(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンの量は、該香料組成物の全質量を基準として、0.05〜50質量%なる範囲、好ましくは0.5〜20質量%なる範囲にある。
【0023】
(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンを含有する香味油は、濃縮形状、溶液、または例えば酸性、アルカリ性、中性洗浄剤等の、香付けのために以下に説明されるような、改良された形状、例えばカーペット清浄化粉末またはフォーム、液状洗浄剤、粉末洗浄剤、漂白剤、浸透剤および染抜き剤等の織物の予備的状態調節剤、織物柔軟剤、洗濯用石鹸、洗浄用錠剤、ボディーケア製品、例えば固形または液状石鹸、シャワーゲル、シャンプー、水中油型、油中水型または水中油中水型の化粧料エマルション、およびヘアケア製品、例えばヘアスプレー、ヘアゲル、強化ヘアローション、ヘアリンス、永続的および半-永続的染髪剤、コールドウエービングおよびストレート化製品等のヘアスタイリング製品、ヘアトニック、ヘアクリームおよびヘアローションとして使用することができる。
本発明に従って使用すべき、該エーテルを含有する香味油は、溶媒で希釈された、または希釈されていない、液体形状にある香味付けされた製品として使用することができる。この目的にとって適した溶媒の例は、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール、プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチルフタレート、トリエチルシトレート、イソプロピルミリステート等である。
【0024】
本発明に従って使用すべき、該エーテルを含有する香味油は、また該製品内に該芳香剤を精密に分配させ、かつ適用した場合に、制御された放出を保証するように、担体に吸着させることも可能である。このような担体は、多孔質の無機材料、例えば軽質硫酸塩、シリカゲル、ゼオライト、石膏、クレー、クレー粒子、ガスコンクリート(gas concrete)等、または有機材料、例えば木材、およびセルロースを主成分とする物質であり得る。
本発明に従って使用すべき、該エーテルを含有する香味油は、またマイクロカプセル化し、または噴霧乾燥し、あるいは包接複合体または押出し生成物の形状であり得、また香付けすべき製品に、このような形状で添加することができる。
場合により、このようにして改良した該香味油の諸特性は、適当な材料で被覆することにより、より特別な香料放出性を与えるという意味で、最適化することができ、この目的のために、ワックス上のプラスチック、例えばポリビニルアルコールを使用することが好ましい。
【0025】
該香味油のマイクロカプセル化は、例えば、ポリウレタン様の物質または軟質ゼラチン等で作られた、カプセル材料によって、所謂コアセルベーション法によって、実施することができる。噴霧乾燥された香味油は、例えば該香味油を含有するエマルションまたは分散液を噴霧乾燥することによって製造することができ、担体としては、変性デンプン、タンパク質、デキストリン、および食用ガムを使用することができる。包接複合体は、例えば適当な溶媒、例えば水中に、該香味油とシクロデキストリンまたはウレア誘導体の分散物を導入することにより、製造できる。押出し製品は、該香味油を、適当なワックス状物質と共に溶融し、場合によっては適当な溶媒、例えばイソプロパノール中で、押出し、引続き固化させることによって製造できる。
本発明の範囲内で使用することのできる好ましい製品は、(a) 界面活性剤を含む処方物、例えば清浄化剤、洗浄剤、織物柔軟剤、およびボディーケア製品用の香味油混合物および(b) 界面活性剤を含む、対応する処方物自体である。
【0026】
本発明の範囲内で使用することのできる界面活性剤を含む処方物は、一般にアニオン性界面活性剤、例えばカルボキシレート、サルフェート、スルホネート、およびホスフェート;カチオン性界面活性剤、例えば四級アンモニウム塩;両性界面活性剤、例えばベタイン;およびノニオン性界面活性剤、例えばエトキシレートおよびプロポキシレートを含む。
好ましいアニオン性界面活性剤は、サルフェートおよびスルホネートである。好ましいサルフェートは、12〜18個の炭素原子を有し、かつ1〜高くても5なるエトキシル化度を持つものである。ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、好ましくは2〜4なる平均のエトキシル化度を持つものが、特に好ましい。
特に好ましいスルホネートは、アルキル鎖中に平均約12個の炭素原子を含み、該アルキル鎖が、10〜14個の炭素原子を持つ均一な基からなる、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ドデシルベンゼンスルホネート)である。
【0027】
ノニオン性界面活性剤群からの好ましい化合物は、12〜18個の炭素原子を有するアルコールのエトキシル化によって得られる、エトキシル化脂肪アルコール(炭素原子数12〜18の脂肪アルコールエトキシレート)である。ここで、エトキシル化度は、広い範囲内で変えることができるが、特に好ましい生成物は、5〜10なる範囲の平均エトキシル化度を持つ、または特に脂肪アルコール1モル当たり、7モルの付加エチレンオキシドを含むものであり得る。
特に好ましいベタインは、以下の式で表される、酸アミド型のものである:
【0028】
【化1】

【0029】
好ましい基:RC=Oは、ラウリル酸が、45-50%にて、主構成成分となっている、ヤシ油脂肪酸である。
驚いたことに、選択された界面活性剤と組合せることにより、(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンの好ましい特性は、一層顕著となる。本発明による対応する界面活性剤の処方(本発明による混合物)は、(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンおよび1種またはそれ以上の、以下に列挙するものから選択される界面活性剤を含む:
・直鎖アルキルベンゼンスルホネート(特に、上述のもの、例えば直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム);
・炭素原子数12〜18の脂肪アルコールエトキシレート(特に、上述のもの、例えば好ましいものとして上記したエトキシル化度をもつもの);
・ラウリルエーテルサルフェート(特に、上述のもの、例えば上記したラウリルエーテル硫酸ナトリウム);および
・ベタイン(特に、上述のもの、例えば上記した構造を持つ、酸アミド型のベタイン)。
【0030】
好ましくは、直鎖アルキルベンゼンスルホネートおよび炭素原子数12〜18の脂肪アルコールエトキシレートが、特に重質の洗浄剤粉末において、相互に組合わせて、一緒に使用される。
同様に、好ましくは、ラウリルエーテルサルフェート(特に、上述のラウリルエーテル硫酸ナトリウム)およびベタイン(特に、上記した構造を持つ、酸アミド型のベタイン)が、軽質の洗浄剤、シャンプーおよびシャワーゲルにおいて、相互に組合わせて、一緒に使用される。
本発明による界面活性剤処方物における界面活性物質の濃度は、通常は臨界的なものではない。好ましい濃度は、界面活性剤の型および特定の用途に依存する。例えば、該濃度は、特定の漂白製品においては、1質量%未満であるが、石鹸または洗い粉においては、99質量%を越えるものであり得る。
【0031】
特定の組合せおよび濃度が、特定の応用分野における、本発明による界面活性剤処方物において好ましい。従って、本発明による好ましい混合物(洗剤処方物)は、各場合において、該混合物の全質量を基準として、直鎖アルキルベンゼンスルホネートの割合が、7〜10質量%なる範囲にあり、および/または炭素原子数12〜18の脂肪アルコールエトキシレートの割合が、3〜6質量%なる範囲内にあるものである。他の好ましい本発明による混合物(軽質の洗浄剤、シャンプーおよびシャワーゲル用の処方物)は、各場合において、該混合物の全質量を基準として、ラウリルエーテル硫酸ナトリウムの割合が、7〜13質量%なる範囲にあり、および/またはベタイン(特に、上記した構造を持つ、酸アミド型のベタイン)の割合が、1〜3質量%なる範囲内にあるものである。
【0032】
本発明による界面活性剤処方物を適用する場合、毛髪および紡織繊維上での該(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンの永続性は、極めて顕著であり、初めに存在する界面活性剤が、該(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンを、水性相に持ち込むが、この化合物は、該毛髪および紡織繊維の存在下で、該水性層から、該毛髪または紡織繊維上に押出される様な印象を与える。しかし、この観測に対する科学的な説明は、いまだ存在しない。
(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンを含有する該混合物は、毛髪、ウール、コットンおよび他の紡織繊維に対して、またはその上で、驚くほど高い永続性または保留性を示す。
【実施例】
【0033】
以下の実施例は、本発明を例示するのに役立つ。
予備的な所見:
以下の実施例において、「永続性」および「ブルーミング」なる特性は、専門的なパネラー(8-12名)によって、評価された。
永続性を評価するために、香付けされていない織物柔軟剤、シャンプーまたは洗浄用粉末を、従来と同様の濃度の、(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンまたは(Z)-1-(1-エトキシエトキシ)ヘクス-3-エン(比較用に用いた物質)で、香付けした。嗅覚的評価は、0(臭いナシ)から6(極めて強い臭気)までの7段階評価を利用して行った。
ブルーミングを評価するために、低濃度の界面活性剤を含む水性溶液を、0.1%の(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンまたは(Z)-1-(1-エトキシエトキシ)ヘクス-3-エン(比較用に用いた物質)で処理した。嗅覚的評価は、0(臭いナシ)から6(極めて強い臭気)までの7段階評価を利用して行った。
「安定性」特性は、以下の実施例の各使用可能状態にある処方物(即ち、該適当な基本成分に、各芳香剤を配合した後の処方物)として、40℃なる一定温度にて、1ヶ月(1M)または2ヶ月(2M)間に渡る保存期間経過後の、該テスト芳香剤の残留量(%表示)を基にして決定した。
【0034】
永続性(実施例1-3)および安定性(実施例1および3)の測定
実施例1:シャンプー
該評価すべき物質を、50質量%のジエチルフタレート溶液として、用量0.6質量%にて、以下の組成を持つシャンプー基本成分に配合した:
【0035】
【表1】

【0036】
このシャンプーの基本成分のpHは、約6であった。これを、100mLの20質量%水性シャンプー溶液(本発明の溶液の例として)を製造するのに使用する。毛髪の2つの小束を、このシャンプー溶液中で一緒に、2分間洗浄し、次いで生温い流水下で、20秒間濯ぐ。該小束の一方を、アルミニウム内に湿潤状態にて包装し、かつ他方の小束を、ヘアドライヤで乾燥させる。これら両小束を、その嗅覚上の諸特性について、パネラーにより評価してもらう。
【0037】
【表2】

【0038】
実施例2:織物柔軟剤
該評価すべき物質を、50質量%のジエチルフタレート溶液として、用量0.5質量%にて、以下の組成を持つ織物柔軟剤の基本成分に配合した:
【0039】
【表3】

【0040】
この織物柔軟剤の基本成分のpHは、2〜3なる範囲内にあった。2枚の布を、20℃にて30分間、織物柔軟剤適用プログラムに従って稼動している、ラインテスト(Linetest)装置内で、370gの、1%濃度の水性織物柔軟剤溶液(本発明による溶液の例)によって濯ぐ。該布を絞り、次いで20秒間旋回させる。該布の一方を、湿潤状態にて封止し、かつ他方の布を、吊下げて乾燥させる。次に、これら両者の布を、その嗅覚上の諸特性について、パネラーにより評価してもらう。
【0041】
【表4】

【0042】
実施例3:洗い粉
該評価すべき物質を、50質量%なる濃度のジエチルフタレート溶液として、用量0.4質量%にて、以下の組成を持つ洗い粉の基本成分に配合した:
【0043】
【表5】

【0044】
2枚の布を、60℃にて45分間、主洗浄サイクルにて稼動している、ラインテスト装置内で、370gの、1%濃度の洗い粉液(本発明による溶液の1例;該洗い粉液のpHは、十分な塩基性範囲内にある)によって洗浄する。該布を、先ず冷水で5分間濯ぎ、絞り、次いで20秒間旋回させる。該布の一方を、湿潤状態にて封止し、かつ他方の布を、吊下げて乾燥させる。次に、これら両者の布を、その嗅覚上の諸特性について、パネラーにより評価してもらう。
【0045】
【表6】

【0046】
ブルーミングの測定(実施例4)
実施例4
実施例1のシャンプー溶液、実施例2の織物柔軟剤用液および実施例3の洗い粉液のブルーミングを、各場合において、250mLの開放ガラスビーカーからのブルーミングとして、0-6の段階にて、パネラーに評価してもらった。
【0047】
【表7】

【0048】
【表8】

【0049】
【表9】

【0050】
芳香剤組成物
実施例5
シャンプーで使用するのに、特に適した芳香剤組成物は、以下の成分からなる:
【0051】
【表10】



【0052】
使用した略号:DPG:ジプロピレングリコール;TEC:トリエチルシトレート
シャンプーに香付けするために、芳香剤混合物Iまたは芳香剤混合物IIを用いて、実施例1に記載したように、毛髪洗浄テストを行った。
【0053】
【表11】

【0054】
改善された永続性とは別に、芳香剤混合物II(本発明による、即ち(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンを含むもの)によって洗浄した、毛髪の小束は、著しく新鮮な、モダンな若々しいトップノートを呈し、またバイオレット、谷間のユリ、ジャスミンおよびリンゴ様の様相によっても特徴付けられていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)毛髪または(b)紡織繊維に新緑青葉の香気を与えるための薬剤としての、(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エン、または(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンを含む混合物の使用。
【請求項2】
芳香性混合物の永続性および/または保留性を高めるための薬剤としての、(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンの使用。
【請求項3】
(a)毛髪または(b)紡織繊維に新緑青葉の香気を与える方法であって、以下の諸工程:
・(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンを含有する混合物を製造する工程と、
・該混合物を、該毛髪または紡織繊維に適用する工程、
を含むことを特徴とする、上記方法。
【請求項4】
水;(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エン;および1またはそれ以上の界面活性剤を含み、溶液中の該(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンの濃度が10-7〜10-1質量%の範囲内にある、ことを特徴とする溶液。
【請求項5】
該溶液のpHが8〜13の範囲内にある、請求項4記載の溶液。
【請求項6】
該(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンを含む混合物が、請求項4または5記載の溶液である、請求項1記載の使用または請求項3記載の方法。
【請求項7】
界面活性剤を含む水性溶液上で知覚される他の芳香の臭気を高めるための、(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンの使用。
【請求項8】
(Z)-1-(3-メチルブテ-2-エニルオキシ)ヘクス-3-エンと、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、12〜18個の炭素原子を含む脂肪アルコールのエトキシレート、ラウリルエーテルサルフェートおよびベタインからなる群から選択される、1種またはそれ以上の界面活性剤とを含むことを特徴とする、混合物。
【請求項9】
該混合物の全質量を基準として、該直鎖アルキルベンゼンスルホネートの割合が7〜10質量%の範囲、および/または該12〜18個の炭素原子を含む脂肪アルコールエトキシレートの割合が3〜6質量%の範囲内にある、請求項8記載の混合物。
【請求項10】
該混合物の全質量を基準として、ラウリル硫酸ナトリウムの割合が7〜13質量%の範囲、および/または該該ベタインの割合が1〜3質量%の範囲内にある、請求項8記載の混合物。

【公表番号】特表2009−508974(P2009−508974A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525558(P2008−525558)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【国際出願番号】PCT/EP2006/065088
【国際公開番号】WO2007/017478
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(503236223)シムライズ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンジツト・ゲゼルシヤフト (51)
【Fターム(参考)】