説明

1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾール及びその誘導体の製造方法並びに必要なマグネシウム中間体

本発明は、式(I)に従う1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールの製造方法に使用すべき式(II)に従う1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールの製造方法に関する。
特に本発明は、下記の式(I)に従う1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールの製造方法に使用すべき下記の式(II)に従う1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、鎮痛活性を有する下記の式(A)
【化1】

(式中のRとR’とは同一又は異なっていてもよく、HまたはC1−5アルキルであり、
R”はHまたはC1−4アルキルであり、
R”がHであるとき、薬学的に許容し得る有機または無機塩基との塩の形態である)のいくつかの1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾール誘導体が記載されている。
【0003】
一方特許文献2には、自己免疫疾患の治療において活性である医薬組成物の調製ための上記と同じ誘導体の使用が記載されている。
【0004】
これに加えて、特許文献3は、R=R’=CHおよびR”=Hである式(A)の化合物と、免疫抑制剤とを含む医薬組成物を開示する。
【0005】
特許文献4には、MCP−1の産生に由来した疾患の治療に活性である医薬組成物を製造するための上記と同じ誘導体の使用が記載されている。
【0006】
最後に、特許文献5には、トリグリセリド、コレステロール及びグルコースの血中濃度を低減するための式(A)の化合物の使用が記載されている。
【0007】
式(A)の化合物の種々の製造方法が上記特許文献1に記載されている。
【0008】
特許文献1に記載された方法は、その要点として1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールの調製を有し、これから式(A)の化合物を3つの異なる反応経路を経由して得ることができる。
【0009】
第一の反応経路は、1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールから対応するアルコラートへの変換を提供し、続いてX−CRR’−COOR”(式中のXはハロゲン、アリーレン−SO−O−又はアルキレン−SO−O−からなる群より選択される脱離基である)と反応させて式(A)の化合物を得る。
【0010】
第二の反応経路は、1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールから対応する3−ハロゲンメチル誘導体への変換を提供し、その後式MeO−CRR’−COOR”のアルコラート(ここでMeはアルカリ金属である)と反応させて式(A)の化合物を得る。
【0011】
第三の反応経路は、R”が水素である式(A)の化合物を得るために水酸化ナトリウムのようなアルカリ塩基の存在下での1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールとクロロホルムおよび式O=CRR’のケトンとの反応を提供する。
【0012】
特許文献1に記載された方法による重要な中間体1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールの調製は、対応する3−カルボン酸を例えば水素化アルミニウムリチウム(LiAlH)のような適当な還元剤で還元することにより行われる。
【発明の概要】
【0013】
出願人は、当業界で既知で、また上記特許文献1に記載された合成方法が多くの不利な点を有することに気付いた。
【0014】
まず、1−ベンジル−1(H)−インダゾール−3−カルボン酸は市場で容易に入手し得る製品でなく、その上かなり高価である。特に、供給業者が少なく、文献に記載された合成経路が対応する1(H)−インダゾール−3−カルボン酸のベンジル化を提供し、これもまた高価で、取得しにくい。次いで、1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールを得るための1−ベンジル−1(H)−インダゾール−3−カルボン酸の還元が高い希釈倍率で進行する。
【0015】
さらに第二の反応経路は、1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールを対応する3−クロロメチル誘導体に変換するために塩化チオニルの使用を提供する。大変な有毒物質である塩化チオニルの使用は、工業プロセスにおいて相当な安全及び管理の問題をもたらす。
【0016】
最後に、第三の反応経路(Bargellini反応)は、低い収率(50%未満)、一酸化炭素の生成、毒性で引火性のガス及び工業的に管理が困難である重大な発熱現象の発生といった工業上の欠点を示す(非特許文献1)。これとは別に、Bargellini反応は、フェノールからで、脂肪族アルコールからでないエーテルの合成により良い用途を見出す(特許文献6、非特許文献2)。
【0017】
したがって出願人は、上記の欠点を解決できるところの式(A)の化合物を得るための1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールの新規な製造方法の開発という課題を検討した。特に、出願人は、下記の式(I)を有する化合物を得るために、下記の式(II)を有する1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールの製造に課題を拡大した。ここで式中のRからR12の置換基は以下の詳細な記述と請求の範囲とに示した意味を有する。
【化2】

【化3】

【0018】
出願人は、式(I)の化合物を得るための式(II)の1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールの新しい製造方法を見出し、これは一方で従来既知の方法と比較して新規な方法の工業的な利用可能性、収量及びコストを著しく改善し、他方ではこれを使用して得た化合物の品質を著しく向上させる。
【0019】
出願人は驚くべきことに、後述する式(IV)を有するグリニャール試薬を例えばアルデヒド、ケトン又はアミドなどの適当な求電子化合物と反応させ、その後必要に応じて中間体のカルボニル化合物の還元を行うことにより式(II)の1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾール又はその誘導体を容易に得ることができることを見出した。
【0020】
特に、出願人は驚くべきことに、式(IV)のグリニャール試薬が後述する式(III)の1−ベンジル−3−ハロゲノ−1H−インダゾールまたはその誘導体から低温下でハロゲン化アルキルマグネシウム型のグリニャール試薬とのハロゲン/マグネシウム交換反応により容易に得られることを見出した。
【0021】
出願人はまた、式(IV)のグリニャール試薬が当業界で既知でないと考えている。
【0022】
実際に、当業界で既知の3位に金属を有する唯一のインダゾール有機金属誘導体は、亜鉛(非特許文献3)又は銅(非特許文献4及び5)のような金属を有するものであり、一方対応する3−有機リチウム化合物(非特許文献6)及び3−有機ナトリウム誘導体(非特許文献7)を調製する試みにおいてインダゾール環を分解する反応が既知である。
【0023】
文献で広く知られた式(III)の1−ベンジル−3−ハロゲノ−1H−インダゾール誘導体は、1H−インダゾールの3位におけるハロゲン化、そして続く1位におけるベンジル化により容易に得ることができる(非特許文献8および9)。
【0024】
出願人はまた、驚くべきことに、式(II)の1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールまたはその誘導体を単なるハロゲン化水素酸での処理により対応する3−ハロゲノメチル誘導体へ、そして、式(VI)の適当なヒドロキシカルボン酸又はエステルでのエーテル化により式(I)の化合物に容易に変換し得ることを見出した。
【0025】
或いはまた、出願人は、驚くべきことに、式(II)の1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールまたはその誘導体を後述する式(VII)の適当なα−ハロゲノカルボン酸又はエステルでのエーテル化により式(I)の化合物へ容易に変換し得ることを見出した。
【0026】
従って、本発明の第一の態様は、下記の式(II)
【化4】

(式中のRからRまでの置換基は、以下の詳細な記述と請求の範囲とに示した意味を有する)で表される1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールまたはその誘導体の製造方法に関し、ここで
工程a) 式(III)
【化5】

(式中のXはヨウ素及び臭素から選択したハロゲン、好ましくはヨウ素である)の1−ベンジル−3−ハロゲノ−1H−インダゾールを、Rが1から6個の炭素原子を有するアルキル基であり、X’が臭素及び塩素から選択したハロゲン原子、好ましくは塩素である式RMgX’のハロゲン化アルキルマグネシウムと反応させて中間体化合物(IV)を形成し、
【化6】

工程b) 前記中間化合物(IV)を式R−CO−Rのカルボニル化合物と反応させて式(II)の化合物を形成するか、または
工程b’) 前記中間化合物(IV)をR’とR”とが同一又は異なっていてもよく、1から3個の炭素原子を有するアルキル基である式R’R”N−CO−Rのアミドと反応させて中間体化合物(VIII)を形成し、
【化7】

これをカルボニル基還元剤と反応させて式(II)の化合物を形成する。
【0027】
本発明の方法で得た式(II)の化合物は、下記の式(I)
【化8】

(式中のRからR12までの置換基は以下の詳細な記述と請求の範囲において示した意味を有する)で表される1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾール誘導体の製造方法に使用することができる。
【0028】
最後に、本発明の第二の態様は、以下の式(IV)
【化9】

(式中のX’は臭素及び塩素から選択したハロゲン原子、好ましくは塩素であり、RからRまでの置換基は、以下の詳細な記述と請求の範囲において示した意味を有する)で表される中間体化合物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の第一の態様は、以下の式(II)
【化10】

で表される1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールおよびその誘導体の製造方法に関し、ここで
及びRは同一又は異なっていてもよく、水素又は1から6個の炭素原子を有するアルキル基であり、
、R及びRは同一又は異なっていてもよく、水素、1から5個の炭素原子を有するアルキル基、1から3個の炭素原子を有するアルコキシ基及びハロゲン原子であり、
は水素、1から5個の炭素原子を有するアルキル基、1から3個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子であるか、又はRおよびRの一つと共に5若しくは6個の炭素原子を有する環を形成することができ、
及びRは同一又は異なっていてもよく、水素、1から5個の炭素原子を有するアルキル基、又はRおよびRの一つがRと共に5若しくは6個の炭素原子を有する環を形成することができる。
【0030】
本発明に係る上記式(II)で表される1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾール及びその誘導体の製造方法は、
工程a) 下記式(III)
【化11】

(式中のXがヨウ素及び臭素から選択したハロゲン、好ましくはヨウ素であり、R−Rは上述の意味を有する)の1−ベンジル−3−ハロゲノ−1H−インダゾールを、Rが1から6個の炭素原子を有するアルキル基であり、X’が臭素及び塩素から選択したハロゲン原子、好ましくは塩素である式RMgX’のハロゲン化アルキルマグネシウムと反応させて中間体化合物(IV)を形成し、
【化12】

工程b) 前記中間化合物(IV)を、R及びRが上述の意味を有する式R−CO−Rのカルボニル化合物と反応させて式(II)の化合物を形成するか、または工程b)の他に、
工程b’) 前記中間化合物(IV)を、R’及びR”が同一又は異なっていてもよく、1から3個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rが上述の意味である式R’R”N−CO−Rのアミドと反応させて中間体化合物(VIII)を形成し、
【化13】

これをカルボニル基還元剤と反応させて式(II)の化合物を形成する。
【0031】
工程a)は、例えばテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、t−ブチル−メチルエーテル、ジブチルエーテル、キシレン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、n−ヘキサン、n−ヘプタンおよびその混合物等、好ましくは2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン及びその混合物、さらに好ましくは2−メチルテトラヒドロフランのような適当な溶媒の存在下で行うのが有利である。
【0032】
工程a)で用いる式RMgX’のハロゲン化アルキルマグネシウムはメチルMgCl、エチルMgCl、n−プロピルMgCl、i−プロピルMgCl、n−ブチルMgCl、i−ブチルMgCl、sec−ブチルMgCl、t−ブチルMgCl、n−ペンチルMgCl、n−ヘキシルMgCl、アリルMgCl、シクロヘキシルMgCl、メチルMgBr、エチルMgBr、n−プロピルMgBr、i−プロピルMgBr、n−ブチルMgBr、i−ブチルMgBr、sec−ブチルMgBr、t−ブチルMgBr、n−ペンチルMgBr、n−ヘキシルMgBr、アリルMgBr、シクロヘキシルMgBrとすることができ、好ましくはi−プロピルMgClである。これら試薬は市販品を入手するか、または文献(非特許文献10)に広範囲に記載された方法に従って調製することができる。
【0033】
有利なことに、工程a)の交換反応を文献(非特許文献11)に記載されるように、リチウム塩、例えばLiClの添加によって触媒することができる。
【0034】
工程a)を−30℃と+30℃との間の温度、好ましくは−20℃と−10℃との間の温度で行うのが有利である。
【0035】
有利なことに、工程a)は、1〜4、好ましくは1.5〜4の式RMgX’のハロゲン化アルキルマグネシウムと式(III)の1−ベンジル−3−ハロゲノ−1H−インダゾールとのモル比を用いて行う。
【0036】
有利なことに、工程b)は、例えばテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、t−ブチル−メチルエーテル、ジブチルエーテル、キシレン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、n−ヘキサン、n−ヘプタンおよびそれらの混合物などの適当な溶媒、好ましくは2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン及びそれらの混合物、より好ましくは2−メチルテトラヒドロフランの存在下で行う。
【0037】
有利なことに、工程b)は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロパナール、ブタナール、ペンタナール、ヘキサナールなどのようなアルデヒド、及びアセトン、メチルエチルケトン、イソブチルメチルケトンなどのケトンの群より選択したカルボニル化合物を用いて行う。ホルムアルデヒドを用いるのが好ましく、特に適当に脱重合されたパラホルムアルデヒド又はトリオキサンのようなポリマーをホルムアルデヒドの発生源として使用する。
【0038】
有利なことに、工程b)は、1〜6の式(III)の1−ベンジル−3−ハロゲノ−1H−インダゾールと式R−CO−Rのカルボニル化合物とのモル比を用いて行う。
【0039】
有利なことに、工程b)は、−30℃と+30℃との間の温度、好ましくは−10℃と0℃との間の温度で行う。
【0040】
有利なことに、工程b’)は、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジ−n−プロピルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジ−n−プロピルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N,N−ジエチルプロピオンアミド、N,N−ジ−n−プロピルプロピオンアミドからなる群より選択したアルキルアミド、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミドを用いて行う。
【0041】
有利なことに、工程b’)は、−30℃と+30℃との間の温度、好ましくは−10℃と0℃との間の温度で行う。
【0042】
特に、工程b’)は、1〜4の式(III)の1−ベンジル−3−ハロゲノ−1H−インダゾールと式R’R”N−CO−Rのアミド化合物とのモル比を用いて行う。
【0043】
有利なことに、工程b’)で用いるカルボニル基還元剤は、例えばNaBH、KBH、LiBH、Zn(BH、Ca(BH、NaAlH、LiAlH、EtSiH、BuSnH、i−BuAlH、NaAlH(OCHCHOCHの70%トルエン溶液、及び誘導体などの水素化物からなる群より選択される。カルボニル基還元剤は、好ましくはNaAlH(OCHCHOCHの70%トルエン溶液である。カルボニル基還元剤は、文献に広く報告されている(非特許文献12及び13)。
【0044】
有利なことに、工程b’)の還元は、例えばテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、t−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、キシレン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、n−ヘキサン、n−ヘプタン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、ジグリム(ビス−(2−メトキシエチル)エーテル)、ピリジン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸、それらの混合物などのような適当な溶媒、好ましくはトルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、およびこれらの混合物の存在下で行う。
【0045】
有利なことに、工程b’)の還元は、10℃と100℃との間の温度、好ましくは20℃と60℃との間の温度で行う。
【0046】
特に、工程b’)のカルボニル基の還元は、1〜3、好ましくは2の水素化物の当量数を用いて行う。
【0047】
有利なことに、上記式(II)、(III)、(IV)及び(VIII)のR−R基は、以下の意味を有する。
【0048】
好ましくは、R及びRは同一又は異なっていてもよく、水素原子又は1から3個の炭素原子を有するアルキル基により表される。
【0049】
好ましくは、R、R及びRは同一又は異なっていてもよく、水素、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、塩素原子及びフッ素原子である。
【0050】
有利なことに、Rは水素、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、塩素原子及びフッ素原子であるか、又はRとRの一つと共に6個の炭素原子の環を形成することができる。
【0051】
好ましくは、R及びRは同一又は異なっていてもよく、水素、メチル基、エチル基であるか、又はRとRの一つがRと共に6個の炭素原子の環を形成することができる。
【0052】
有利なことに、本発明の方法で得た式(II)の化合物を以下の式(I)
【化14】

(式中のR−Rは、上記式(II)の意味を有し、
10及びR11は同一又は異なっていてもよく、水素又は1から5個の炭素原子を有するアルキル基であり、
12は水素又は1から4個の炭素原子を有するアルキル基である)により表される1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾール誘導体の製造方法に使用する。
【0053】
好ましくは、上記式(I)で示した1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾール誘導体の製造方法は、
工程a) 以下の式(II)
【化15】

(式中のR−Rが上記の意味を有する)で表される1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールまたはその誘導体を、X”が塩素、臭素及びヨウ素からなる群より選択したハロゲン原子、好ましくは塩素である式HX”のハロゲン化水素酸と反応させて下記の式(V)
【化16】

(式中のR−R及びX”は上記の意味を有する)で表される1−ベンジル−3−ハロゲノメチル−1H−インダゾール又はその誘導体を形成し、
工程b) 上記式(V)で表される1−ベンジル−3−ハロゲノメチル−1H−インダゾール又はその誘導体を次の式(VI)
【化17】

(式中のR10及びR11は同一又は異なっていてもよく、R12が上述の意味を有する)で表される化合物と強塩基の存在下で反応させて上記式(I)で表される1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾール誘導体を形成することを含む。
【0054】
或いはまた、上記式(I)で表わされる1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾール誘導体の製造方法は、
工程a’) 上記式(II)で表される1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾール又はその誘導体を次の式(VII)
【化18】

(ここで同一又は異なっていてもよいR10及びR11、R12が上述の意味を有し、X”が塩素、臭素及びヨウ素からなる群より選択したハロゲン原子、好ましくは臭素である)で表される化合物と強塩基の存在下で反応させて、上記式(I)で表される1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾール誘導体を形成することを含む。
【0055】
好ましくは、上述した式(I)で表される1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾール誘導体の製造方法は、薬学的に許容し得る有機又は無機塩基での処理による−COOR12で表されるカルボキシル基の塩の形成を備えることができる。この処理は、R12が水素である場合対応する酸に対し直接行うか、またはR12が1〜4個の炭素原子のアルキル基である場合エステルを加水分解する反応に続いて行うことができる。
【0056】
有利なことに、工程a)は水溶液中または有機溶媒中で行う。使用する式HX”のハロゲン化水素酸は、濃縮または希釈した塩酸、臭化水素酸またはヨウ化水素酸、好ましくは1〜20、好ましくは1〜5、より好ましくは3の酸と式(II)の化合物とのモル比を有するような濃度の塩酸である。
【0057】
有利なことに、工程a)は25℃から100℃の間の温度、好ましくは60℃から90℃の間の温度で行う。
【0058】
工程a)で用いる好適な有機溶剤は、トルエン、キシレン、酢酸、ジオキサン、ジブチルエーテル、2−メチル−テトラヒドロフランからなる群から選択される。
【0059】
有利なことに、工程b)は、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、アセトン、イソブチルメチルケトン、メチルエチルケトン又はそれらの混合物などの非プロトン性溶媒、好ましくはトルエンまたはN,N−ジメチルホルムアミドおよびそれらの混合物中で行う。
【0060】
工程b)で用いる強塩基は、水素化ナトリウム、金属ナトリウム、金属カリウム、ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムアミド、水素化カリウムからなる群から選択するのが好ましく、水素化ナトリウムが好ましい。
【0061】
有利なことに、工程b)は、ヒドロキシ酢酸、乳酸、α−ヒドロキシイソ酪酸、α−ヒドロキシ酪酸、2−エチル−2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ吉草酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸からなる群から選択したα―ヒドロキシ酸、好ましくはα-ヒドロキシイソ酪酸を使用して行う。
【0062】
有利なことに、工程b)は、グリコール酸メチル、グリコール酸エチル、グリコール酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸t−ブチル、乳酸イソプロピル、乳酸イソブチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、2−ヒドロキシ吉草酸エチル、2−ヒドロキシ酪酸t−ブチルからなる群より選択したα−ヒドロキシエステル、好ましくは2−ヒドロキシイソ酪酸エチルを使用して行う。
【0063】
好ましくは、式(V)の1−ベンジル−3−ハロメチル−1H−インダゾールと式(VI)のα−ヒドロキシ酸又はエステルとのモル比は1〜2、好ましくは約1.2である。
【0064】
特に、式(VI)のα−ヒドロキシ酸と強塩基とのモル比は、1と3の間、好ましくは約2である。同様に、式(VI)のα−ヒドロキシエステルと強塩基とのモル比は、1と1.5の間、好ましくは約1である。
【0065】
有利なことに、工程a’)で用いる式(VII)で表される化合物は、ブロモ酢酸、2−ブロモプロピオン酸、2−ブロモ酪酸、2−ブロモイソ酪酸、2−ブロモ−2−ブチルプロピオン酸、2−ブロモ吉草酸、α―ブロモイソ吉草酸からなる群より選択したα−ハロゲン酸、好ましくは2−ブロモイソ酪酸である。
【0066】
好ましくは、工程a’)は1〜3、有利には約3の式(II)の1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールと式(VII)のα−ハロゲノ又はエステルとのモル比で行う。
【0067】
有利なことに、工程a’)は、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、アセトン、イソブチルメチルケトン、メチルエチルケトン又はそれらの混合物などの非プロトン性溶媒、好ましくはメチルエチルケトン中で行う。
【0068】
工程a’)で用いる強塩基は、好ましくは水素化ナトリウム、金属ナトリウム、金属カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムからなる群より選択され、より好ましくは水酸化ナトリウムである。
【0069】
式(II)の1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールと強塩基とのモル比は、1と15の間が好ましく、約9がさらに好ましい。
【0070】
有利なことに、工程a’)は、25℃と100℃との間の温度、好ましくは50℃と70℃との間の温度で行う。
【0071】
有利なことに、上記式(I)、(II)、(V)、(VI)及び(VII)のR−R12基は下記の意味を有することができる。
【0072】
好ましくは、R及びRは同一又は異なっていてもよく、水素原子又は1から3個の炭素原子を有するアルキル基により表される。
【0073】
好ましくは、R、R及びRは同一又は異なっていてもよく、水素、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、塩素原子及びフッ素原子である。
【0074】
有利なことに、Rは水素、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、塩素原子及びフッ素原子であるか、又はRとRの一つと共に6個の炭素原子の環を形成することができる。
【0075】
好ましくは、R及びRは同一又は異なっていてもよく、水素、メチル基、エチル基であるか、又はRとRの一つがRと共に6個の炭素原子の環を形成することができる。
【0076】
好ましくは、R10及びR11は同一又は異なっていてもよく、水素又は1から3個の炭素原子を有するアルキル基であり、R12は水素又は1から3個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0077】
以下の実施例は、本発明を説明することを意図しており、しかしどのような方法によってもそれを制限しない。
【実施例】
【0078】
3−ヨード−1H−インダゾール及び1−ベンジル−3−ヨード−1H−インダゾールの化合物は、Collorらにより報告された手順に従い調製された(Tetrahedron,55,6917,1999)。3−ブロモ−1H−インダゾールの化合物は、Collorらにより報告された手順を用いて調製された(Aust.J.Chem.1974,27,2343)。
【0079】
実施例1
1−ベンジル−3−ブロモインダゾールの調製
3−ブロモ−1H−インダゾール(90.4g、0.459モル、1.0当量)及びトルエン(450ml)を窒素雰囲気下攪拌機を備えた1リットルのフラスコに入れた。その後、カリウムt−ブトキシド(t−BuOK、54.2g、0.483モル、1.05当量)を室温で約30分かけて加え、臭化ベンジル(86.3g、0.505モル、1.1当量)を約1.5時間かけて添加した。反応が完了する(TLCで確認、約3時間)まで、混合物を同じ温度で攪拌放置した。その後、0.1MのHCl(45ml)と水(90ml)を加え、得られた相を分離した。有機相を水洗し、そして赤色油状残留物を得るために、溶媒を減圧下で蒸発させた。次いで、生成物をn−ヘプタンの添加により沈殿させ、ろ過し、室温で真空乾燥した。収量:ベージュ色の固体65.9g(収率50%)。
【0080】
H NMR(300MHz、DMSO−d)δ(ppm)5.67(s、2H)、7.29(m、6H)、7.50(ddd、1H、J=8.6Hz、6.9Hz、1.0Hz)、7.60(dd、1H、J=8.2Hz、0.7Hz)、7.80(dd、1H、J=8.6Hz、0.7Hz)。
13C NMR(300MHz、DMSO−d)δ(ppm)52.2、110.4、119.5、121.7、122.9、127.4、127.4、127.6、127.7、128.6、128.6、129.6、136.9、140.5。
【0081】
実施例2
1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールの調製
塩化i−プロピルマグネシウム(i−PrMgCl)の2−メチルテトラヒドロフラン(Me−THF)溶液を、窒素雰囲気下に維持した適切に十分に乾燥されたフラスコ内でヨウ素結晶で活性化されたマグネシウム金属(マグネシウム、10.91g、0.4489モル、1.5当量)と塩化イソプロピル(i−PrCl、41.0ml、0.4489モル、1.5当量)の無水Me−THF(185ml)溶液とから調製した。約−10℃に冷却した後、1−ベンジル−3−ヨード−1H−インダゾール(100g、0.2993モル、1.0当量)の無水Me−THF(120ml)溶液を、温度を一定に保ちながら1時間かけて添加した。反応混合物をさらに1時間攪拌し続けてハロゲン/マグネシウム交換を完了し、そして黄色の懸濁液を得た。ガス状のホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒド54gのキシレン150mlの懸濁液を約115℃で加熱することによって発生)を0℃以下の温度で約2時間懸濁液に通した。反応が終了したとき、希釈HPOを添加し、再重合化パラホルムアルデヒドの過剰物を濾過により除去した。相を分離し、有機相をNaHCOの希釈溶液で洗浄し、濃縮した。n−ヘキサンの添加により沈澱した生成物を、ろ過により回収し、乾燥した。収量:白色固体56.8g(収率79.6%)。
【0082】
融点:85〜86℃
H NMR(300MHz、DMSO−d)δ(ppm)4.79(d、2H、J=5.8Hz)、5.27(t、1H、J=5.8Hz)、5.6(s、2H)、7.12(t、1H、J=7.5Hz)、7.28(m、5H)、7.36(t、1H、J=7.2Hz)、7.64(d、1H、J=8.5Hz)、7.86(d、1H、J=8.2Hz)。
13C NMR(300MHz、DMSO−d)δ(ppm)51.6、56.6、109.6、120.0、120.9、122.2、126.2、127.3、127.3、127.4、128.5、128.5、137.7、140.3、145.2。
【0083】
実施例3
1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールの調製
2Mのi−PrMgCIのTHF溶液(69ml、138ミリモル、4.0当量)を、窒素雰囲気下に維持した適切に十分に乾燥されたフラスコに加えた。溶液を約−10℃に冷却した。1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾール(10g、34.8ミリモル、1.0当量)の無水THF(40ml)溶液を、温度を一定に保ちながら約1時間かけて添加した。反応混合物を少なくとも6時間撹拌保持し、そして黄色の懸濁液を得た。ガス状のホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒド16.7gのキシレン60mlの懸濁液を約115℃で加熱することによって発生)を0℃以下の温度で約2時間懸濁液に通した。反応が終了したとき、希釈HPOを添加し、再重合化パラホルムアルデヒドの過剰物を濾過により除去した。Me−THF(60ml)を混合物に添加し、相を分離した。有機相をNaHCOの希釈溶液で洗浄した。有機相を濃縮した後、生成物を含有する油状残渣を得た。その後のシリカゲルクロマトグラフィーによる粗生成物の精製により、白色固体2.8g(収率34%)を得た。
【0084】
融点:85〜86℃
H NMR(300MHz、DMSO−d)δ(ppm)4.79(d、2H、J=5.8Hz)、5.27(t、1H、J=5.8Hz)、5.6(s、2H)、7.12(t、1H、J=7.5Hz)、7.28(m、5H)、7.36(t、1H、J=7.2Hz),7.64(d、1H、J=8.5Hz)、7.86(d、1H、J=8.2Hz)。
13C NMR(300MHz、DMSO−d)δ(ppm)51.6、56.6、109.6、120.0、120.9、122.2、126.2、127.3、127.3、127.4、128.5、128.5、137.7、140.3、145.2。
【0085】
実施例4
1−ベンジル−3−クロロメチル−1H−インダゾールの調製
1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾール(400g、1.7モル、1当量)、トルエン(1.6L)および濃HCl(422ml、5.1モル、3.0当量)を、撹拌機および還流冷却器を備えた三口フラスコに添加した。
【0086】
反応混合物を約90℃に加熱し、反応が終了する(TLCで確認、約2時間)まで撹拌し続けた。室温に冷却した後、NaCl(約10g)を加え、相を分離し、そして水相を排出した。有機相をNaHCO(約100ml)の飽和溶液で洗浄し、濃縮した。n−ヘキサン(約500mL)の添加により沈澱した生成物を、ろ過し、乾燥した。収量:白色固体398.2g(収率91%)。
【0087】
融点:89〜91℃
H NMR(300MHz、DMSO−d)δ(ppm)5.14(s、2H)、5.65(s、2H)、7.27(m、6H)、7.43(m、1H)、7.12(d、1H、J=8.5Hz)、7.88(d、1H、J=8.2Hz)。
13C NMR(300MHz、DMSO−d)δ(ppm)38.2、51.8、110.2、120.1、120.9、121.7、126.7、127.3、127.3、127.5、128.5、128.5、137.2、140.4、140.6。
【0088】
実施例5
2−[(1−ベンジル−1H−インダゾール−3−イル)メトキシ]−2−メチルプロパン酸の調製
2−ヒドロキシイソ酪酸エチル(18.5g、140ミリモル、1.2当量)、トルエン(100mL)およびDMF(20mL)を、不活性雰囲気下撹拌機および還流冷却器を備えた三口フラスコに入れた。60%NaH(5.6g、140ミリモル、1.2当量)の分散液をいくつかに分けて約1.5時間かけて混合物に添加した。その後、1−ベンジル−3−クロロシメチル−1H−インダゾール(30g、117ミリモル、1当量)のトルエン(90mL)およびDMF(60mL)溶液を滴下した。反応混合物を約90℃に加熱し、反応が終了する(TLCで確認、約10時間)まで同じ温度に保持した。室温に冷却後、混合物を酸性水及び水で洗浄した。有機相を減圧下で濃縮し、得られた油状の残渣を10M水酸化ナトリウム(36ml)で少なくとも3時間還流温度で処理した。濃HClの添加により析出した生成物を、濾過し、乾燥した。収率:白色固体32.3g(85%)。
【0089】
融点:133〜134℃
元素分析:
計算値:C(70.35)、H(6.21)、N(8.64)
実測値:C(70.15)、H(6.17)、N(8.63)
H NMR(300MHz、DMSO−d)δ(ppm)1.44(s、6H)、4.76(s、2H)、5.60(s、2H)、7.14(t、1H、J=7.6Hz)、7.20−7.34(m、5H)、7.37(ddd、1H、J=8.3Hz、7.0Hz、1.1Hz)、7.66(d、1H、J=8.4Hz)、7.94(d、1H、J=8.1Hz)、12.77(s、1H)。
13C NMR(300MHz、DMSO−d)δ(ppm)24.48、24.48、51.63、59.65、76.93、109.69、120.22、121.06、122.62、126.28、127.36、127.36、127.44、128.46、128.46、137.49、140.31、141.97、175.46。
【0090】
実施例6
1−ベンジル−1H−インダゾール−3−カルバルデヒドの調製
i−PrMgClのTHF溶液を、ヨウ素結晶で活性化したマグネシウム金属(マグネシウム、164mg、6.75ミリモル、1.5当量)とi−PrCl(0.62ml、6.75ミリモル、1.5当量)の無水THF(2.8ml)溶液とから窒素雰囲気下に維持した適切に十分に乾燥されたフラスコ内で調製した。
【0091】
約−10℃に冷却した後、1−ベンジル−3−ヨード−1H−インダゾール(1.5g、4.5ミリモル、1.0当量)の無水THF(2.8ml)溶液を反応混合物に温度を一定に維持して1時間かけて添加した。反応混合物をハロゲン/マグネシウム交換を終了させるためにさらに1時間攪拌保持し、黄色の懸濁液を得た。撹拌しながら、ジメチルホルムアミド(DMF)(1.4ml、18ミリモル、4当量)を懸濁液に0℃以下の温度で1時間かけて添加し、反応が終了する(TLCで確認)まで、反応混合物を同温度で撹拌保持した。
【0092】
希釈HPO及びトルエンを反応混合物に添加し、相を分離した。有機相をNaHCOの希釈溶液で洗浄した。有機相を濃縮させた後、n−ヘキサンの添加により析出した生成物を、濾過し、乾燥した。収量:黄色固体1.0g(収率94%)。
【0093】
H NMR(300MHz、DMSO−d)δ(ppm)5.84(s、2H)、7.32(m、5H)、7.39(ddd、1H、J=8.1Hz、7.0Hz、1.0Hz)、7.53(ddd、1H、J=8.4Hz、7.0Hz、1.2Hz)、7.90(dt、1H、J=8.5Hz、1.0Hz)、8.16(dt、1H、J=8.1Hz、1.2Hz)、10.19(s、1H)。
13C NMR(300MHz、DMSO−d)δ(ppm)52.9、111.0、121.0、121.2、124.2、127.5、127.6、127.6、127.9、128.6、128.6、136.2、140.7、142.4、186.8。
【0094】
実施例7
1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールの調製
1−ベンジル−1H−インダゾール−3−カルバルデヒド(2.36g、10ミリモル、1当量)及びトルエン(12ml)を、マグネチック攪拌機を備え、窒素で不活性化した十分に乾燥した100mlのフラスコに入れた。その後、ナトリウムジヒドロ−ビス(2−メトキシエトキシ)アルミネートの70%トルエン溶液(2.8ml、10ミリモル、2当量)をゆっくり室温で溶液に添加した。一旦反応が終了(約15分後に)すると、2MのHCI(10ml)、HO(10ml)およびトルエン(15ml)を添加した。相を分離し、水性相をトルエンで2回抽出した。プールされた有機相を水で洗浄し、濃縮した。その後、生成物をn−ヘキサンを加えて沈殿させ、濾過し、乾燥した。収率:白色固体1.95g(82.0%)。
【0095】
融点:85〜86℃
H NMR(300MHz、DMSO−d)δ(ppm)4.79(d、2H、J=5.8Hz)、5.27(t、1H、J=5.8Hz)、5.6(s、2H)、7.12(t、1H、J=7.5Hz)、7.28(m、5H)、7.36(t、1H、J=7.2Hz)、7.64(d、1H、J=8.5Hz)、7.86(d、1H、J=8.2Hz)。
13C NMR(300MHz、DMSO−d)δ(ppm)51.6、56.6、109.6、120.0、120.9、122.2、126.2、127.3、127.3、127.4、128.5、128.5、137.7、140.3、145.2。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0096】
【特許文献1】欧州特許第382276号明細書
【特許文献2】欧州特許第510748号明細書
【特許文献3】欧州特許第858337号明細書
【特許文献4】欧州特許第1005332号明細書
【特許文献5】国際公開第2008/061671号
【特許文献6】米国特許第3262850号明細書
【非特許文献】
【0097】
【非特許文献1】Davis et al.Synthesis,12,(2004),1959−1962
【非特許文献2】Cvetovich et al.,J.Org.Chem.,(2005),70,8560−8563
【非特許文献3】Knochel et al.,Synlett 2005,267
【非特許文献4】Knochel et al.,Synthesis 2006,15,2618
【非特許文献5】Knochel et al.,Synlett 2004,13,2303−2306
【非特許文献6】Welch et al., Synthesis,1992,937
【非特許文献7】Tertov et al., Zhurnal Organicheskoi Khimii 1970,6;2140
【非特許文献8】Collot et al.,Tetrahedron,1999,55,6917
【非特許文献9】Coller et al.,Aust.J.Chem.1974,27,2343
【非特許文献10】Silvermanら著,Handbook of Grignard reagents,第2章,CRC Press社出版
【非特許文献11】Knochel et al.,Chem.Commun.,2005,543
【非特許文献12】Smith著,March著,March’s Advanced Organic Chemistry,第5版,第1197−1205頁,John Wiley & Sons社出版
【非特許文献13】Carey著,Sundberg著,Advanced Organic Chemistry,第4版,第262−290頁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(II)
【化1】

(式中のR及びRは同一又は異なっていてもよく、水素又は1から6個の炭素原子を有するアルキル基であり、
、R及びRは同一又は異なっていてもよく、水素、1から5個の炭素原子を有するアルキル基、1から3個の炭素原子を有するアルコキシ基及びハロゲン原子であり、
は水素、1から5個の炭素原子を有するアルキル基、1から3個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子であるか、又はRとRの一つと共に5若しくは6個の炭素原子の環を形成し、
及びRは同一又は異なっていてもよく、水素、1から5個の炭素原子を有するアルキル基であるか、又はRとRの一つがRと共に5若しくは6個の炭素原子の環を形成する)で表される1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールまたはその誘導体を製造するに当たり、
工程a) 下記の式(III)
【化2】

(式中のXがヨウ素及び臭素から選択したハロゲン原子、好ましくはヨウ素である)の1−ベンジル−3−ハロゲノ−1H−インダゾールを、Rが1から6個の炭素原子を有するアルキル基であり、X’が臭素及び塩素から選択されるハロゲン原子、好ましくは塩素である式RMgX’のハロゲン化アルキルマグネシウムと反応させて、中間体化合物(IV)
【化3】

を形成し、
工程b) 前記中間体化合物(IV)を式R−CO−Rのカルボニル化合物と反応させて式(II)の化合物を形成するか、或いはまた
工程b’) 前記中間化合物(IV)を、R’及びR”が同一又は異なっていてもよく、1から3個の炭素原子を有するアルキル基である式R’R”N−CO−Rのアミドと反応させて中間体化合物(VIII)
【化4】

を形成し、カルボニル基還元剤と反応させて式(II)の化合物を形成する
ことを備える式(II)の1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールまたはその誘導体の製造方法。
【請求項2】
前記工程a)とb)とをテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、t−ブチル−メチルエーテル、ジブチルエーテル、キシレン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、n−ヘキサン、n−ヘプタンおよびそれらの混合物からなる群より選択した溶媒の存在下で行い、前記工程b’)をテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、t−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、キシレン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、n−ヘキサン、n−ヘプタン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、ジグリム、ピリジン、DMSO、酢酸及びそれらの混合物からなる群より選択した溶媒の存在下で行う請求項1に記載の式(II)で表される1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールの製造方法。
【請求項3】
前記式RMgX’のハロゲン化アルキルマグネシウムを、メチルMgCl、エチルMgCl、n−プロピルMgCl、i−プロピルMgCl、n−ブチルMgCl、i−ブチルMgCl、sec−ブチルMgCl、t−ブチルMgCl、n−ペンチルMgCl、n−ヘキシルMgCl、アリルMgCl、シクロヘキシルMgCl、メチルMgBr、エチルMgBr、n−プロピルMgBr、i−プロピルMgBr、n−ブチルMgBr、i−ブチルMgBr、sec−ブチルMgBr、t−ブチルMgBr、n−ペンチルMgBr、n−ヘキシルMgBr、アリルMgBr及びシクロヘキシルMgBrからなる群より選択し、好ましくはi−プロピルMgClである請求項1に記載の式(II)で表される1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールの製造方法。
【請求項4】
前記工程a)を、1〜4、好ましくは1.5〜4の式RMgX’のハロゲン化アルキルマグネシウムと式(III)の1−ベンジル−3−ハロゲノ−1H−インダゾールとのモル比を用いて行う請求項1に記載の式(II)で表される1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールの製造方法。
【請求項5】
前記式R−CO−Rのカルボニル化合物をアルデヒド類及びケトン類からなる群より選択する請求項1に記載の式(II)で表される1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールの製造方法。
【請求項6】
前記式R−CO−Rのカルボニル化合物が、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロパナール、ブタナール、ペンタナール、ヘキサナール、アセトン、メチルエチルケトン及びイソブチルメチルケトンからなる群より選択され、好ましくはホルムアルデヒドである請求項1に記載の式(II)で表される1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールの製造方法。
【請求項7】
前記工程b)が、1〜6の式(III)の1−ベンジル−3−ハロゲノ−1H−インダゾールと式R−CO−Rのカルボニル化合物とのモル比を用いて行う請求項1に記載の式(II)で表される1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールの製造方法。
【請求項8】
前記式R’R”N−CO−Rのアミドが、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジ−n−プロピルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジ−n−プロピルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N,N−ジエチルプロピオンアミド及びN,N−ジ−n−プロピルプロピオンアミドからなる群より選択され、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミドである請求項1に記載の式(II)で表される1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールの製造方法。
【請求項9】
前記工程b’)が、1〜4の式(III)の1−ベンジル−3−ハロゲノ−1H−インダゾールと式R’R”N−CO−Rのアミドとのモル比を用いて行う請求項1に記載の式(II)で表される1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールの製造方法。
【請求項10】
前記工程b’)で用いるカルボニル基還元剤が、NaBH、KBH、LiBH、Zn(BH、Ca(BH、NaAlH、LiAlH、EtSiH、BuSnH、i−BuAlH、及びNaAlH(OCHCHOCHの70%トルエン溶液からなる群より選択され、好ましくはNaAlH(OCHCHOCHの70%トルエン溶液である請求項1に記載の式(II)で表される1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールの製造方法。
【請求項11】
前記式(II)、(III)、(IV)及び(VIII)のR−R基が下記の意味を有し、
及びRが同一又は異なっていてもよく、水素原子又は1から3個の炭素原子を有するアルキル基により表され、
、R及びRが同一又は異なっていてもよく、水素、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、塩素原子及びフッ素原子であり、
が水素、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、塩素原子及びフッ素原子であるか、又はRとRの一つと共に6個の炭素原子の環を形成し、
及びRは同一又は異なっていてもよく、水素、メチル基、エチル基であるか、又はRとRの一つがRと共に6個の炭素原子の環を形成する請求項1に記載の式(II)で表される1−ベンジル−3−ヒドロキシメチル−1H−インダゾールの製造方法。
【請求項12】
下記の式(IV)
【化5】

(ここで、X’が臭素及び塩素から選択されるハロゲン原子、R、R及びRが同一又は異なっていてもよく、水素、1から5個の炭素原子を有するアルキル基、1から3個の炭素原子を有するアルコキシ基及びハロゲン原子であり、
が水素、1から5個の炭素原子を有するアルキル基、1から3個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子であるか、又はRとRの一つと共に5若しくは6個の炭素原子の環を形成し、
及びRが同一又は異なっていてもよく、水素、1から5個の炭素原子を有するアルキル基であるか、又はRとRの一つがRと共に5若しくは6個の炭素原子の環を形成する)で表される中間体化合物。
【請求項13】
前記X’が塩素原子であり、
、R及びRは同一又は異なっていてもよく、水素、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、塩素原子及びフッ素原子であり、
は水素、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、塩素原子及びフッ素原子であるか、又はRとRの一つと共に6個の炭素原子の環を形成し、
及びRは同一又は異なっていてもよく、水素、メチル基、エチル基であるか、又はRとRの一つがRと共に6個の炭素原子の環を形成する請求項12に記載の式(IV)で表される中間体化合物。
:

【公表番号】特表2013−501019(P2013−501019A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523288(P2012−523288)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060937
【国際公開番号】WO2011/015501
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(592160973)アジェンデ・キミケ・リウニテ・アンジェリニ・フランチェスコ・ア・チ・エレ・ア・エフェ・ソシエタ・ペル・アチオニ (36)
【氏名又は名称原語表記】AZIENDE CHIMICHE RIUNITE ANGELINI FRANCESCO A.C.R.A.F.SOCIETA PER AZIONI