説明

1−リン酸化糖誘導体のアノマーの選択的な製造法並びにヌクレオシドの製造法

【課題】フラノースやピラノースといった糖の骨格の違い、デオキシ糖といった置換基の有無、あるいは天然型や非天然型といった糖の種類に影響されることの無い、汎用性の高い、アノマー選択的な1−リン酸化糖誘導体ならびにヌクレオシドの製造方法を得ること。
【解決手段】1−リン酸化糖誘導体のアノマー混合物を加リン酸分解および異性化し、一方を結晶化することで平衡を傾け、選択的に望む異性体のみを製造する。さらに、ヌクレオシドホスホリラーゼの作用により、得られた1−リン酸化糖誘導体と塩基より、高い立体選択性と収率でヌクレオシドを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1−リン酸化糖誘導体の製造法に関する。1−リン酸化糖誘導体は、広く生物界に存在し、様々な酵素類の反応基質となって、医薬品や栄養食品などの有用な物質の製造原料となる。また、非天然型の1−リン酸化糖誘導体は、抗ウイルス剤や酵素阻害剤の製造原料としての利用が期待されている。
【0002】
さらに、本発明は、抗ウイルス医薬品、抗ガン医薬品やアンチセンス医薬品などの原料または原体として使用されるヌクレオシド化合物の製造法に関する。
【背景技術】
【0003】
1−リン酸化糖誘導体の製造法としては、
1)1−臭素化糖とリン酸銀塩とを縮合する方法(J.Biol.Chem.,Vol.121,P465(1937)、J.Am.Chem.Soc.,Vol.78,P811(1956)、J.Am.Chem.Soc.,Vol.79,P5057(1957))、
2)1−ハロゲン化糖とジベンジルリン酸のトリエチルアミン塩とを縮合する方法(J.Am.Chem.Soc.,Vol.77,P3423(1955)、J.Am.Chem.Soc.,Vol.80,P1994(1958)、J.Am.Chem.Soc.,Vol.106,P7851(1984)、J.Org.Chem.,Vol.59,P690(1994))、
3)1−アセチル化糖を正リン酸と加熱縮合する方法(J.Org.Chem.,Vol.27,P1107(1962)、Carbohydrate Res.,Vol.3,P117(1966)、Carbohydrate Res.,Vol.3,P463(1967)、Can.J.Biochem.,Vol.50,P574(1972))、
4)1位をイミデート化して活性化した後にジベンジルリン酸と縮合する方法(Carbohydrate Res.,Vol.61,P181(1978)、Tetrahedron Lett.,Vol.23,P405(1982))、
5)1位をタリウムやリチウムアルコラートとして活性化した後にジベンジルリン酸クロリドで処理する方法(Carbohydrate Res.,Vol.94,P165(1981)、Chem.Lett.,Vol.23,P405(1982))、
6)ヌクレオシドホスホリラーゼの作用によりヌクレオシドの加リン酸分解反応を行って、1−リン酸化糖誘導体を製造する方法(J.Biol.Chem.,Vol.184、P437、1950)、
等が知られている。
【0004】
しかしながら、これらの方法には各々以下の点で問題がある。
【0005】
1)〜5)の化学的な製造法について共通する問題点としては、1位に隣接する官能基に影響されてα体/β体のアノマー選択性が変化し、望む異性体を選択性良く得るための一般的な合成法を考えることが難しい点があげられる。選択性と高収率を実現するためには、2位アセトキシ基あるいは2位アセトアミノ基などの存在が欠かせず、加えて、2位デオキシ糖が不安定なこともあり、これら合成法の適用範囲は狭い。そのため、2位デオキシピラノースの1−リン酸化体合成については、アノマー選択性の制御が難しいことから、カラムクロマト精製を必要とし、収率の低い結果しか得られていない[Chem.Zvesti ,Vol.28(1),P115(1974)、Izv.Akad.Nauk SSSR,Ser.Khim.,Vol.8,P1843(1975)]。
【0006】
従って、2位デオキシピラノースの1−リン酸化体以上に不安定で選択性の制御が困難な2位デオキシフラノース類の1−リン酸化体に至っては、これまで化学的な製造例は報告されていない。
【0007】
6)に関しては、イノシンなどごく限られたリボヌクレオシド以外については、ヌクレオシドの供給そのものが困難であり、リボース−1−リン酸などの限られた1−リン酸化糖誘導体しか製造することができない。また、原料となるヌクレオシド自体が高価であるために、コスト的にも満足のゆくものではない。
【0008】
以上のように、1−リン酸化糖誘導体の工業的な製造方法に関しては、未確立であった。
【0009】
一方、ヌクレオシドホスホリラーゼはリン酸存在下でヌクレオシドのN−グリコシド結合を加リン酸分解できる酵素の総称であり、次式で表される反応を触媒する。
ヌクレオシド+リン酸(塩) → 塩基 + 1−リン酸化糖誘導体
プリンヌクレオシドホスホリラーゼとピリミジンホスホリラーゼに大別される該酵素は、広く生物界に分布し、哺乳類、鳥類、魚類などの組織、酵母、細菌に存在する。この酵素反応は可逆的であり、逆反応を利用した各種ヌクレオシドの合成が以前より知られている。例えば、2´−デオキシリボース1−リン酸と核酸塩基(チミン、アデニンまたはグアニン)からチミジン(特開平01−104190号公報)、2´−デオキシアデノシン(特開平11−137290号公報)または2´−デオキシグアノシン(特開平11−137290号公報)を製造する方法が開示されている。
【0010】
更に、Agric.Biol.Chem.,Vol.50(1),PP.121〜126,(1986)では、イノシンをリン酸存在下で、Enterobacter aerogenes由来のプリンヌクレオシドホスホリラーゼを用いた反応により、リボース1−リン酸とヒポキサンチンに分解した後、イオン交換樹脂で単離したリボース1−リン酸と1,2,4−トリアゾール−3−カルボキサミドより、同じくEnterobacter aerogenes由来のプリンヌクレオシドホスホリラーゼにより、抗ウイルス剤であるリバビリンを製造する技術が報告されている。
【0011】
しかしながら、前述の理由のように、1−リン酸化糖誘導体の工業的な製造方法が未確立であるため、ヌクレオシドホスホリラーゼの逆反応を利用した汎用性の高いヌクレオシドの工業的な製造方法についても、未確立であった。
【0012】
また、該酵素の逆反応を利用して、1−リン酸化糖誘導体と塩基よりヌクレオシドを生成させる反応は平衡反応であるため、転化率が向上しないという技術的欠点も存在していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平01−104190号公報
【特許文献2】特開平11−137290号公報
【特許文献3】特開平11−137290号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】J.Biol.Chem.,Vol.121,P465(1937)、J.Am.Chem.Soc.,Vol.78,P811(1956)
【非特許文献2】J.Am.Chem.Soc.,Vol.79,P5057(1957)
【非特許文献3】J.Am.Chem.Soc.,Vol.77,P3423(1955)
【非特許文献4】J.Am.Chem.Soc.,Vol.80,P1994(1958)
【非特許文献5】J.Am.Chem.Soc.,Vol.106,P7851(1984)
【非特許文献6】J.Org.Chem.,Vol.59,P690(1994)
【非特許文献7】J.Org.Chem.,Vol.27,P1107(1962)
【非特許文献8】Carbohydrate Res.,Vol.3,P117(1966)
【非特許文献9】Carbohydrate Res.,Vol.3,P463(1967)、Can.J.Biochem.,Vol.50,P574(1972)
【非特許文献10】Carbohydrate Res.,Vol.61,P181(1978)、Tetrahedron Lett.,Vol.23,P405(1982)
【非特許文献11】Carbohydrate Res.,Vol.94,P165(1981)
【非特許文献12】Chem.Lett.,Vol.23,P405(1982)
【非特許文献13】J.Biol.Chem.,Vol.184、P437、1950)
【非特許文献14】Chem.Zvesti ,Vol.28(1),P115(1974)、Izv.Akad.Nauk SSSR,Ser.Khim.,Vol.8,P1843(1975)
【非特許文献15】Agric.Biol.Chem.,Vol.50(1),PP.121〜126,(1986)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の第一の課題は、フラノースやピラノースといった糖の骨格の違い、デオキシ糖といった置換基の有無、あるいは天然型や非天然型といった糖の種類に影響されることのない、汎用性の高い、アノマー選択的な1−リン酸化糖誘導体の製造法を提供することである。
【0016】
本発明の第二の課題は、1−リン酸化糖誘導体と核酸塩基からヌクレオシドホスホリラーゼの作用により汎用性の高いヌクレオシドの製造方法を提供することであり、さらに、同反応におけるヌクレオシドの転化率の向上方法を提供することである。
【0017】
すなわち、本発明の課題は、これら第一および第二の課題を解決することにより、低コストで高純度のヌクレオシドの製造法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、上記第一の課題を達成するべく鋭意検討を行い、1−リン酸化糖誘導体が一定の条件下にアノマー異性体および1−リン酸化糖誘導体のダイマーとの平衡状態で存在することを発見し、さらにこの平衡条件を操作することで、望むアノマー異性体のみが結晶として析出し、その結果、平衡が次々と傾くことにより、望むアノマー異性体のみを高い選択性と高収率で得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0019】
すなわち、本発明は、以下の各態様を含む。
(1)1−リン酸化糖誘導体のアノマー混合物を加リン酸分解および異性化し、生成する1−リン酸化糖誘導体モノマーα体またはβ体の一方を選択的に晶析することによりアノマー混合物間の平衡を傾け、1−リン酸化糖誘導体モノマーのα体またはβ体の一方を選択的に製造する方法。
(2)下記式(1)
【0020】
【化1】

【0021】
〔式中、R1およびR2は、独立してそれぞれ水素原子、メチル基、保護されたヒドロキシメチル基または保護されたカルボキシル基を表し、R3はアシル基を表し、R4は水酸基の保護基を表し、Xはハロゲン原子、アルコキシ基またはアルキルチオ基を表し、Wは酸素原子またはイオウ原子を表し、Zは酸素原子、イオウ原子または置換されてよい炭素原子を表し、mは1から3の整数を表し、nは0または1を表し、pおよびqは0から4の整数を表し、rは0または1を表す。(ただし、p、q、r、nは、Zが酸素原子、イオウ原子の場合には、p+r≦n+1、q≦2×(n+1)−2×(p+r)を、Zが炭素原子の場合はp+r≦n+2、q≦2×(n+2)−2×(p+r)を満たす。)〕で示される1−リン酸化糖誘導体のアノマー混合物を加リン酸分解および異性化し、生成する1−リン酸化糖誘導体モノマーのα体またはβ体の一方を選択的に晶析することによりアノマー混合物間の平衡を傾け、1−リン酸化糖誘導体モノマーのα体またはβ体の一方を選択的に製造する方法。
(3)上記式(1)で示される1−リン酸化糖誘導体のアノマー混合物を加リン酸分解および異性化し、生成する1−リン酸化糖誘導体モノマーのα体またはβ体の一方を選択的に晶析することによりアノマー混合物間の平衡を傾け、1−リン酸化糖誘導体モノマーのα体またはβ体の一方を選択的に製造し、ついでR4で表わされる保護基の脱離反応を行って、下記式(3)
【0022】
【化2】

【0023】
(式中、R1およびR2は、独立してそれぞれ水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基またはカルボキシル基を表し、R3は水素原子またはアシル基を表し、X、W、Z、n、p、q、rは式(1)におけるのと同義である。)で示される1−リン酸化糖誘導体モノマーを製造する方法。
(4)下記式(4)
【0024】
【化3】

【0025】
(式中、R1およびR2は、独立してそれぞれ水素原子、メチル基、置換されたベンゾイルで保護されたヒドロキシメチル基、または保護されたカルボキシル基を表し、R4は水素原子または水酸基の保護基を表し、R3、X、W、Z、m、n、p、q、rは、式(1)におけるのと同義である。)で示される1−リン酸化糖誘導体トリマー、ダイマー、モノマーまたはそれらの塩。
(5)下記式(5)
【0026】
【化4】

【0027】
〔式中、pおよびqは0から3の整数を表し、rは0または1を表し、R1、R2、R3、R4、X、W、Zは、式(1)におけるのと同義である。(ただし、p、q、rは、Zが酸素原子、イオウ原子の場合には、p+q+r≦3を、Zが炭素原子の場合はp+q+r≦5を満たす。)〕で示される1−リン酸化糖誘導体モノマーまたはその塩。
(6)下記式(6)
【0028】
【化5】

【0029】
(式中、R1およびR2は、独立してそれぞれ水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、またはカルボキシル基を表し、R3、X、W、Z、n、p、q、rは、式(1)におけるのと同義である。)で示される1−リン酸化糖誘導体モノマーまたはその塩。
(7)下記式(7)
【0030】
【化6】

【0031】
〔式中、pおよびqは0から3の整数を表し、rは0または1を表し、R1、R2、R3、R4、X、W、Zは、式(1)におけるのと同義である。(ただし、p、q、rは、Zが酸素原子、イオウ原子の場合には、p+r≦1、q≦2−2×(p+r)を、Zが炭素原子の場合はp+r≦2、q≦4−2×(p+r)を満たす。)〕で示される1−リン酸化糖誘導体モノマーまたはその塩。
(8)下記式(18):
【0032】
【化7】

【0033】
(式中、R11は保護されたヒドロキシメチル基を表し、R14は水酸基の保護基を表す。)で示される化合物を、塩基の存在下にリン酸で処理して、下記式(19):
【0034】
【化8】

【0035】
(式中、R11およびR14は、前記と同義であり、mは請求項2と同義である。)で示される1−リン酸化糖誘導体のアノマー混合物とした後、加リン酸分解および異性化し、生成するα体を選択的に晶析させることによるアノマー混合物間の平衡を傾け、下記式(20):
【0036】
【化9】

【0037】
(式中、R11およびR14は前記と同義である。)で示される1−リン酸化糖を製造する方法。
(9) 下記式(18):
【0038】
【化10】

【0039】
(式中、R11は保護されたヒドロキシメチル基を表し、R14は水酸基の保護基を表す。)で示される化合物を、塩基の存在下にリン酸で処理して、下記式(19):
【0040】
【化11】

【0041】
(式中、R11およびR14は、前記と同義であり、mは請求項2と同義である。)で示される1−リン酸化糖誘導体のアノマー混合物とした後、加リン酸分解および異性化し、生成するα体を選択的に晶析させることによるアノマー混合物間の平衡を傾け、α体を選択的に製造し、ついで保護基の脱離を行って、2−デオキシ−α−D−リボース−1−リン酸を製造する方法。
【0042】
さらに、本発明者らは、上記第二の課題を達成するべく鋭意検討を行い、広く生物界に分布するヌクレオシドホスホリラーゼの逆反応を利用し、かつ、前記1−リン酸化糖誘導体の合成方法と組み合わせることで汎用性の高いヌクレオシドの合成法を確立した。さらに、反応液にリン酸イオンと難水溶性の塩を形成しうる金属カチオンを存在させることにより、反応の副生成物であるリン酸イオンが難水溶性の塩として沈殿し、反応の平衡がヌクレオシド合成方向へ移動するために反応収率が向上することも見出した。これにより、低コストで高純度のヌクレオシドの製造法を提供する本発明を完成させるに至った。
【0043】
すなわち、かかる知見に基づいてなされた本発明は以下の態様を含む。
【0044】
(10)1−リン酸化糖誘導体のアノマー混合物を加リン酸分解および異性化し、生成する1−リン酸化糖誘導体モノマーのα体またはβ体の一方を選択的に晶析することによりアノマー混合物間の平衡を傾け、1−リン酸化糖誘導体モノマーのα体またはβ体の一方を選択的に製造し、ついでR4で表わされる保護基の脱離反応を行って1−リン酸化糖誘導体モノマーを製造する上記(3)の態様における第一の工程と、ヌクレオシドホスホリラーゼにより第一の工程で得られた1−リン酸化糖誘導体のリン酸基と塩基との交換反応を行う第二の工程により、下記式(8)
【0045】
【化12】

【0046】
(式中、Bは、独立してそれぞれピリミジン、プリン、アザプリンおよびデアザプリンからなる群から選択された塩基を示し、それらはハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、ハロアルケニル基、アルキニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、水酸基、ヒドロキシアミノ基、アミノキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、アルキルメルカプト基、アリール基、アリールオキシ基またはシアノ基によって置換されていてもよい。また、R1、R2、R3、X、W、Z、n、p、q、rは式(1)におけるのと同義である。)で示されるヌクレオシドを製造する方法。
(11)ヌクレオシドホスホリラーゼを用いて、上記(6)の態様における1−リン酸化糖誘導体モノマーのリン酸基と塩基との交換反応により、下記式(9)
【0047】
【化13】

【0048】
(式中、Bは式(8)におけるのと同義であり、R1、R2、R3、R4、X、W、Z、n、p、q、rは式(1)におけるのと同義である。)で示されるヌクレオシド化合物を製造する方法。
(12)ヌクレオシドホスホリラーゼを用いて、上記(7)の態様における1−リン酸化糖誘導体モノマーのリン酸基と塩基との交換反応により、下記式(10)
【0049】
【化14】

【0050】
(式中、Bは式(8)におけるのと同義であり、R1、R2、R3、R4、X、W、Z、p、q、rは式(1)におけるのと同義である。)で示されるヌクレオシドを製造する方法。
【0051】
(13) 上記(12)の態様(但し、R1がヒドロキシメチル基、R2が水素原子、pおよびrが0、Xがフッ素原子である。)における2−デオキシ−α−D−リボース−1−リン酸を製造する第一の工程と、該第一の工程で得られた1−リン酸化糖誘導体のリン酸基と塩基との交換反応をヌクレオシドホスホリラーゼにより行う第二の工程による、下記式(21)
【0052】
【化15】

【0053】
(式中、Bは請求項11の式(8)と同義である。)で示されるヌクレオシドの製造方法。
【0054】
なお、上記(10)〜(13)の態様では、ヌクレオシドホスホリラーゼとして、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(EC2.4.2.1)、グアノシンホスホリラーゼ(EC2.4.2.15)、ピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼ(EC2.4.2.2)、ウリジンホスホリラーゼ(EC2.4.2.3)、チミジンホスホリラーゼ(EC2.4.2.4)、デオキシウリジンホスホリラーゼ(EC2.4.2.23)からなる群から選択される少なくとも1種を用いることができる。
【0055】
更に、このヌクレオシドホスホリラーゼ活性としては、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(EC2.4.2.1)、グアノシンホスホリラーゼ(EC2.4.2.15)、ピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼ(EC2.4.2.2)、ウリジンホスホリラーゼ(EC2.4.2.3)、チミジンホスホリラーゼ(EC2.4.2.4)、デオキシウリジンホスホリラーゼ(EC2.4.2.23)からなる群から選択される一種類以上のヌクレオシドホスホリラーゼを発現している微生物を用いることができる。
【0056】
更に、上記(10)〜(13)の態様においては、ヌクレオシドホスホリラーゼにより、1−リン酸化糖誘導体モノマーのリン酸基と塩基との交換反応を行う際に、リン酸イオンと難水溶性の塩を形成しうる金属カチオンを反応液中に存在させることができる。
【0057】
また、上記(10)〜(13)の態様におけるリン酸と難水溶性の塩を形成しうる金属カチオンとしては、カルシウムイオン、バリウムイオン、アルミニウムイオン及びマグネシウムイオンの中から選ばれる1種類以上の金属カチオンを用いることができる。
【0058】
更に、本発明には、以下の式(11)〜(13)、及び(20)のいずれかにより表される化合物が含まれる。
【0059】
【化16】

【0060】
(式中、B、R1、R2、R3、R4、X、W、Z、n、p、q、rは式(1)及び式(8)におけるのと同義である。)で示される非天然ヌクレオシドまたはその塩(但し、トリフルオロチミジン、リバビリン、オロチジン、ウラシルアラビノシド、アデニンアラビノシド、2−メチル−アデニンアラビノシド、2−クロル−ヒポキサンチンアラビノシド、チオグアニンアラビノシド、2,6−ジアミノプリンアラビノシド、シトシンアラビノシド、グアニンアラビノシド、チミンアラビノシド、エノシタビン、ジェムシタビン、アジドチミジン、イドクスウリジン、ジデオキシアデノシン、ジデオキシイノシン、ジデオキシシチジン、ジデヒドロデオキシチミジン、チアジデオキシシチジン、ソリブジン、5−メチルウリジン、ビラゾール、チオイノシン、テガフール、ドキシフルリジン、ブレディニン、ネブラリン、アロプリノールウラシル、5−フルオロウラシル、2'−アミノウリジン、2'−アミノアデノシン、2'−アミノグアノシン、2−クロル−2'−アミノイノシン、DMDC、FMDCは除く)。
【0061】
【化17】

【0062】
(式中、B、R1、R2、R3、R4、X、W、Z、n、p、q、rは式(1)及び(8)におけるのと同義である。)で示される非天然ヌクレオシドまたはその塩(但し、トリフルオロチミジン、リバビリン、オロチジン、ウラシルアラビノシド、アデニンアラビノシド、2−メチル−アデニンアラビノシド、2−クロル−ヒポキサンチンアラビノシド、チオグアニンアラビノシド、2,6−ジアミノプリンアラビノシド、シトシンアラビノシド、グアニンアラビノシド、チミンアラビノシド、エノシタビン、ジェムシタビン、アジドチミジン、イドクスウリジン、ジデオキシアデノシン、ジデオキシイノシン、ジデオキシシチジン、ジデヒドロデオキシチミジン、チアジデオキシシチジン、ソリブジン、5−メチルウリジン、ビラゾール、チオイノシン、テガフール、ドキシフルリジン、ブレディニン、ネブラリン、アロプリノールウラシル、5−フルオロウラシル、2'−アミノウリジン、2'−アミノアデノシン、2'−アミノグアノシン、2−クロル−2'−アミノイノシン、DMDC、FMDCは除く)。
【0063】
【化18】

【0064】
(式中、B、R1、R2、R3、R4、X、W、Z、p、q、rは式(1)及び(8)におけるのと同義である。)で示されるヌクレオシドまたはその塩(但し、トリフルオロチミジン、リバビリン、オロチジン、ウラシルアラビノシド、アデニンアラビノシド、2−メチル−アデニンアラビノシド、2−クロル−ヒポキサンチンアラビノシド、チオグアニンアラビノシド、2,6−ジアミノプリンアラビノシド、シトシンアラビノシド、グアニンアラビノシド、チミンアラビノシド、エノシタビン、ジェムシタビン、アジドチミジン、イドクスウリジン、ジデオキシアデノシン、ジデオキシイノシン、ジデオキシシチジン、ジデヒドロデオキシチミジン、チアジデオキシシチジン、ソリブジン、5−メチルウリジン、ビラゾール、チオイノシン、テガフール、ドキシフルリジン、ブレディニン、ネブラリン、アロプリノールウラシル、5−フルオロウラシル、2'−アミノウリジン、2'−アミノアデノシン、2'−アミノグアノシン、2−クロル−2'−アミノイノシン、DMDC、FMDCは除く)。
下記式(20):
【0065】
【化19】

【0066】
(式中、R11及びR14は式(18)と同義である。)で示される1−リン酸化糖またはその塩も本発明に含まれる。
【発明の効果】
【0067】
本発明は、アノマー選択的な1−リン酸化糖誘導体ならびにヌクレオシドの製造法として有用性が高く、広範な利用が期待される。
【発明を実施するための形態】
【0068】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0069】
本発明で用いられる糖類としては、好ましくはフコース、ラムノース、ジギトキソース、オレアンドロース、キノボースのような6−デオキシ糖類、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロースのようなヘキソース類、リボース、アラビノース、キシロース、リキソースのようなペントース類、エリトロース、トレオースのようなテトロース類、グルコサミン、ダウノサミンのようなアミノ糖類、グルクロン酸、ガラクツロン酸のようなウロン酸類、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース、ペンツロースのようなケトース類、2−デオキシリボースのようなデオキシ糖類といったD系列もしくはL系列よりなる天然型単糖由来の残基、ピラノース型あるいはフラノース型の非天然糖由来の残基、並びにそれらが有する水酸基および/またはアミノ基が保護もしくはアシル化された糖残基誘導体、またはそれらが有する水酸基がフッ素などのハロゲン原子で置換されたハロゲン化糖残基を有する糖類を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0070】
本発明において、1−リン酸化糖誘導体とは、天然型単糖由来もしくは非天然糖由来の残基のうち、1位水酸基がリン酸化された糖の誘導体を示し、特に指定しない限り、モノマー、ダイマーおよびトリマーをも包含し、あるいはそれらからなる混合物であってもよく、その比率は特に限定されない。
【0071】
1又はR2で表される保護されたヒドロキシメチル基および水酸基の保護基における保護基とは、加水素分解、加水分解、光分解のような化学的方法によって除去される保護基を指す。そのような基としては、ホルミル基、アシル基、シリル基、アルキル基、アラルキル基、カルボニル基があり、中でも好ましくは、ホルミル基、脂肪族アシル基、芳香族アシル基、シリル基、アルコキシアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アラルキル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基が挙げられる。
【0072】
脂肪族アシル基としては、アルキルカルボニル基またはハロゲン置換された低級アルキルカルボニル基が挙げられる。
【0073】
上記のアルキルカルボニル基の具体例として、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ペンタノイル基、ピバロイル基、バレリル基、イソバレリル基、オクタノイル基、ノニルカルボニル基、デシルカルボニル基、3−メチルノニルカルボニル基、8−メチルノニルカルボニル基、3−エチルオクチルカルボニル基、3,7−ジメチルオクチルカルボニル基、ウンデシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、トリデシルカルボニル基、テトラデシルカルボニル基、ペンタデシルカルボニル基、ヘキサデシルカルボニル基、1−メチルペンタデシルカルボニル基、14−メチルペンタデシルカルボニル基、13,13−ジメチルテトラデシルカルボニル基、ヘプタデシルカルボニル基、15−メチルヘキサデシルカルボニル基、オクタデシルカルボニル基などを例示することができる。
【0074】
また、ハロゲン置換された低級アルキルカルボニル基の具体例として、クロロアセチル基、ジクロロアセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基などを例示することができる。
【0075】
芳香族アシル基としては、アリールカルボニル基、ハロゲン置換されたアリールカルボニル基、低級アルキル化アリールカルボニル基、低級アルコキシアリールカルボニル基、ニトロ化アリールカルボニル基、低級アルコキシカルボニル化アリールカルボニル基、アリール化アリールカルボニル基を挙げることができる。
【0076】
上記のアリールカルボニル基の具体例として、ベンゾイル基、α−ナフトイル基、β−ナフトイル基などを例示することができる。
【0077】
また、ハロゲン置換されたアリールカルボニル基の具体例として、2−フルオロベンゾイル基、3−フルオロベンゾイル基、4−フルオロベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、4−クロロベンゾイル基、2−ブロモベンゾイル基、3−ブロモベンゾイル基、4−ブロモベンゾイル基、2,4−ジクロロベンゾイル基、2,6−ジクロロベンゾイル基、3,4−ジクロロベンゾイル基、3,5−ジクロロベンゾイル基などを例示することができる。
【0078】
また、低級アルキル化アリールカルボニル基の具体例として、2−トルオイル基、3−トルオイル基、4−トルオイル基、2,4,6−トリメチルベンゾイル基などを例示することができる。
【0079】
さらに、低級アルコキシアリールカルボニル基の具体例として、2−アニソイル基、3−アニソイル基、4−アニソイル基などを例示することができる。
【0080】
ニトロ化アリールカルボニル基の具体例として、2−ニトロベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、4−ニトロベンゾイル基、3,5−ジニトロベンゾイル基などを例示することができる。
【0081】
さらに、低級アルコキシカルボニル化アリールカルボニル基の具体例として、2−(メトキシカルボニル)ベンゾイル基などを、アリール化アリールカルボニル基の具体例として、4−フェニルベンゾイル基などを例示することができる。
【0082】
シリル基としては、低級アルキルシリル基、アリール基で置換された低級アルキルシリル基を挙げることができる。
【0083】
低級アルキルシリル基の具体例として、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、メチルジイソプロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基を例示することができる。
【0084】
アリール基で置換された低級アルキルシリル基の具体例として、ジフェニルメチルシリル基、ジフェニルイソプロピルシリル基、フェニルジイソプロピルシリル基などを例示することができる。
【0085】
アラルキル基としては、ベンジル基、低級アルキル基で置換されたアラルキル基、低級アルコキシ基で置換されたアラルキル基、ニトロ基で置換されたアラルキル基、ハロゲン置換されたアラルキル基、シアノ基で置換されたアラルキル基を挙げることができる。
【0086】
これらの具体的な基を例示すると、2−メチルベンジル基、3−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基、2,4,6−トリメチルベンジル基、2−メトキシベンジル基、3−メトキシベンジル基、4−メトキシベンジル基、2−ニトロベンジル基、3−ニトロベンジル基、4−ニトロベンジル基、2−クロロベンジル基、3−クロロベンジル基、4−クロロベンジル基、2−ブロモベンジル基、3−ブロモベンジル基、4−ブロモベンジル基、2−シアノベンジル基、3−シアノベンジル基、4−シアノベンジル基などが挙げられる。
【0087】
アラルキルオキシカルボニル基としては、低級アルキル基で置換されたアラルキルオキシカルボニル基、低級アルコキシ基で置換されたアラルキルオキシカルボニル基、ニトロ基で置換されたアラルキルオキシカルボニル基、ハロゲン置換されたアラルキルオキシカルボニル基、シアノ基で置換されたアラルキルオキシカルボニル基を挙げることができる。
【0088】
これらの具体例として、2−メチルベンジルオキシカルボニル基、3−メチルベンジルオキシカルボニル基、4−メチルベンジルオキシカルボニル基、2,4,6−トリメチルベンジルオキシカルボニル基、2−メトキシベンジルオキシカルボニル基、3−メトキシベンジルオキシカルボニル基、4−メトキシベンジルオキシカルボニル基、2−ニトロベンジルオキシカルボニル基、3−ニトロベンジルオキシカルボニル基、4−ニトロベンジルオキシカルボニル基、2−クロロベンジルオキシカルボニル基、3−クロロベンジルオキシカルボニル基、4−クロロベンジルオキシカルボニル基、2−ブロモベンジルオキシカルボニル基、3−ブロモベンジルオキシカルボニル基、4−ブロモベンジルオキシカルボニル基、2−シアノベンジルオキシカルボニル基、3−シアノベンジルオキシカルボニル基、4−シアノベンジルオキシカルボニル基などを挙げることができる。
【0089】
アルコキシカルボニル基としては、低級アルコキシカルボニル基、ハロゲン置換されたアルコキシカルボニル化合物、アルキルシリル基で置換されたアルコキシカルボニル基を挙げることができる。
【0090】
低級アルコキシカルボニル基の具体例として、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基などを例示することができる。
【0091】
ハロゲン置換されたアルコキシカルボニル基の具体例として、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基を、低級アルキルシリル基で置換されたアルコキシカルボニル基の具体例として、2−トリメチルシリルエトキシカルボニル基などを例示することができる。
【0092】
アルキル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−メトキシエトキシメチル基のようなアルコキシアルキル基、2,2,2−トリクロロエチル基のようなハロゲン化アルキル基、ベンジル基、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基のようなアリール基で置換された低級アルキル基が挙げられる。
【0093】
これらの中で、好ましくは、脂肪族アシル基、芳香族アシル基、アラルキル基であり、さらに好ましくは、4−トルオイル基、4−クロロベンゾイル基、またはベンジル基である。
【0094】
1およびR2でいう保護されたカルボキシル基における保護基とは、加水素分解、加水分解、光分解のような化学的方法によって除去される保護基を指す。そのような基としては、好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基のような低級アルキル基、2−(トリメチルシリル)エチル基、2−(トリエチルシリル)エチル基のようなシリル化された低級アルキル基あるいは前述のアラルキル基、アルコキシアルキル基などを挙げることができる。さらに好ましくは、メチル基、tert−ブチル基、またはベンジル基である。
【0095】
Xで示すハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。
【0096】
Xでいうアルコキシ基、アルキルチオ基としては、例えば、前述の低級アルキル基、アラルキル基、アルコキシアルキル基を有するアルコキシ基、アルキルチオ基を挙げることができる。さらに好ましくは、メトキシ基、メトキシエトキシ基、メチルチオ基である。
【0097】
Zが示す置換されてよい炭素原子とは、式で表した置換基(Xq及びNHR3)のいずれかが1つないし2つ置換した炭素原子を表し、置換していない場合には、水素原子で置換されている炭素原子を指す。
【0098】
3でいうアシル基としては、例えば、前述の脂肪族アシル基、芳香族アシル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、さらに、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基のような低級アルカンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基のようなアリールスルホニル基を挙げることができる。好ましくは、脂肪族アシル基、芳香族アシル基、低級アルカンスルホニル基であり、具体的には、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基、メタンスルホニル基である。また、NHR3の複数が置換基として用いられる場合には、各NHR3におけるR3はそれぞれ独立して上記の基を表す。
【0099】
また、R4、R11及びR14でいう保護されたヒドロキシメチル基や水酸基の保護基における保護基としては、R1及びR2に関して既に説明した水酸基の保護基が利用できる。
【0100】
式(1)〜(17)を有する糖残基としては、好ましくは前述の天然型単糖由来の残基、非天然糖由来の残基、糖残基誘導体、ハロゲン化糖残基を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0101】
本発明の式(4)〜(7)で表される化合物の塩とは、化合物が分子内に有するリン酸基が形成する塩を示す。塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウムのようなアルカリ金属の塩、マグネシウム、カルシウム、バリウムのようなアルカリ土類金属の塩、アルミニウム、鉄のような金属の塩、アンモニウム塩、1級、2級、3級のアルキルアミンの塩が挙げられる。
【0102】
上記において、1級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミンのようなアルキルアミン類、シクロヘキシルアミンのようなシクロアルキルアミン類、ベンジルアミンのようなものを挙げることができる。
【0103】
また、2級アミンとしては、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミンのようなジアルキルアミン類、ジシクロヘキシルアミンのようなジシクロアルキルアミン類、ピペリジン、モルフォリン、N−メチルピペラジンのような環状アミンを例示できる。
【0104】
3級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、N−エチルジイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、N−エチルジシクロヘキシルアミン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルフォリン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミンのような3級のアルキルアミン、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジブチルアニリン、N,N−ジオクチルアニリンのようなアニリン類、ピリジン、2,6−ジメチルピリジン、2,4,6−ルチジン、ニコチンアミドのようなピリジン類の塩、グリシン、アラニン、プロリン、リジン、アルギニン、グルタミンのようなアミノ酸類、シンコニジン、1−(1−ナフチル)エチルアミン、1−フェニルエチルアミンのような光学活性アミンを挙げることができ、何れも1価あるいは2価の塩を包含する。
【0105】
さらに、本発明の式(4)〜(7)で表される化合物は、大気中に放置することにより水分を吸収し、吸着水が付いたり、水和物となる場合があるが、そのような塩も本発明に包含される。
【0106】
本発明における1−リン酸化糖誘導体のアノマー混合物は、下記反応式(I)
【0107】
【化20】

【0108】
によって製造することができるが、これに限定されるものではない。
【0109】
上記式において、R1、R2、R3、R4、X、W、Z、m、n、p、qおよびrは、前述の式(1)と同義であり、Yは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。mが1の場合はリン酸トリエステルを、mが2の場合はリン酸ジエステルを、mが3の場合はリン酸モノエステルを意味し、それぞれ1−リン酸化糖誘導体トリマー、1−リン酸化糖誘導体ダイマー、1−リン酸化糖誘導体モノマーと称する。また、1−リン酸化糖誘導体トリマー、1−リン酸化糖誘導体ダイマー、1−リン酸化糖誘導体モノマーを総称して、1−リン酸化糖誘導体と称し、それらの混合比については、特に限定されない。
【0110】
リン酸としては、正リン酸のように水分量の少ないものが好ましいが、特に限定されない。
【0111】
塩基としては、反応を阻害せず、脱酸剤として機能すれば特に限定はないが、好ましくは、無機塩基としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属の炭酸塩、水酸化物などが、有機塩基としては、3級のアルキルアミン類、アニリン類、ピリジン類、光学活性アミンを挙げることができる。
【0112】
脱水剤は、溶媒や添加剤から混入する水分が、反応に悪影響を与える場合に使うことができる。脱水剤としては、水分の吸着性あるいは水分との反応性があれば特に限定されないが、好ましくはモルキュラーシーブスあるいは五酸化リンを挙げることができる。
【0113】
反応は、通常、溶媒の存在下に行われる。使用される溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、例えば、ヘキサン、ヘプタンのような脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、アニソールのような芳香族炭化水素類、メチレンクロリド、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸n−ブチル、炭酸ジエチルエステルのようなエステル類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジグリムのようなエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリル、イソブチロニトリルのようなニトリル類、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルピロリジノン、N,N−ジメチル−2−イミダゾリジノンのようなアミド類、アセトン、2−ブタノン、メチル イソプロピルケトン、メチル イソブチルケトンのようなケトン類またはそれらから選択される2種ないし3種からなる混合溶媒を挙げることができる。
【0114】
反応温度は、特に限定はなく、通常、−80℃から60℃、好適には−10℃から25℃の範囲で行われる。
【0115】
反応時間は、出発原料、試薬および溶媒の種類、反応温度によって異なるが、通常、1分間から24時間、好適には10分間から2時間で達成される。
【0116】
尚、本反応における糖誘導体(14)とリン酸の比率は、特に限定はなく、通常、化合物(14):リン酸=1:10〜3:1で反応を行うことができる。その場合、化合物(14)とリン酸の比率に応じて、生成物(1)は、通常、リン酸に結合する糖残基の数(即ちm)が、1,2または3である化合物が様々に混じった混合物となる。
【0117】
さらに、α体またはβ体の一方を有する1−リン酸化糖誘導体(16a)または(16b)は、下記反応式(II)
【0118】
【化21】

【0119】
によって製造することができる。
【0120】
上記式において、R1、R2、R3、R4、X、W、Z、m、n、p、qおよびrは、前述の式(1)と同義である。
【0121】
本製造法によれば、化合物(15)で示される1−リン酸化糖誘導体は、モノマー、ダイマーあるいはトリマーの混合物であっても、反応系内で、化合物(16)で示される1−リン酸化糖誘導体モノマーへと変換可能であるため、それらの混合比については特に限定されない。
【0122】
リン酸としては、正リン酸のように水分量の少ないものが好ましいが、特に限定されない。
【0123】
塩基は、化合物(16)が分子内に有するリン酸基と塩を形成し、α体またはβ体の一方、(16a)または(16b)、を、選択的に晶析するために重要である。通常、反応に使用する溶媒との組み合わせで、最適な塩基を選ぶことができるが、好ましくは、前述の無機塩基類、3級のアルキルアミン類、アニリン類、ピリジン類、アミノ酸類、光学活性アミンを挙げることができ、形成する塩としては、何れも1価あるいは2価の塩を包含する。
【0124】
脱水剤は、溶媒や添加剤から混入する水分が、反応に悪影響を与える場合に使うことができる。脱水剤としては、水分の吸着性あるいは水分との反応性があれば特に限定されないが、好ましくはモルキュラーシーブスあるいは五酸化リンを挙げることができる。
【0125】
反応は、通常、溶媒の存在下に行われる。使用される溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解し、化合物(16)が分子内に有するリン酸基と塩を形成して生成する、α体またはβ体の一方、(16a)または(16b)、が、選択的に晶析してくるのを助長するならば特に限定はなく、例えば、前述の脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、アミド類、ケトン類またはそれらから選択される2種ないし3種からなる混合溶媒を挙げることができる。
【0126】
反応温度は、化合物(15)と(16)との平衡反応を促し、化合物(16)が分子内に有するリン酸基と塩を形成して生成する、α体またはβ体の一方、すなわち、(16a)または(16b)、が、選択的に晶析してくるのを助長するならば特に限定はなく、通常、−80℃から60℃、好適には−10℃から25℃の範囲で行われる。
【0127】
反応時間は、出発原料、試薬および溶媒の種類、反応温度によって異なるが、通常、3時間から1週間、好適には6時間から24時間で達成される。
【0128】
尚、本反応における糖誘導体(1)とリン酸の比率は、特に限定はなく、通常、化合物(1):リン酸=1:10〜3:1の範囲で反応を行うことができる。その際、反応系内のpHは、通常1から7、好適には1から4の酸性側で行うことが望ましい。
【0129】
さらに、α体またはβ体の一方を有する1−リン酸化糖誘導体(16a)または(16b)は、塩の交換反応を行って、精製し、反応系内で使用した塩基とは異なった塩基のリン酸塩として取り出すことができる。
【0130】
ここで使用される塩基としては、前述の無機塩基類、1級のアルキルアミン、2級のアルキルアミン、3級のアルキルアミン、アニリン類、ピリジン類、アミノ酸類、光学活性アミンを挙げることができ、形成する塩としては、何れも1価あるいは2価の塩を包含する。
【0131】
さらに、保護基の脱離反応を下記反応式(III)
【0132】
【化22】

【0133】
によって行い、1−リン酸化糖誘導体(17a)または(17b)を製造することができる。
【0134】
上記式において、R1、R2、R3、R4、X、W、Z、n、p、qおよびrは、前述の式(1)と同義であり、R1'およびR2'は、独立してそれぞれ水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基またはカルボキシル基を表し、R3'は水素原子またはアシル基を表す。
【0135】
化合物(16a)または(16b)におけるR1およびR2のヒドロキシメチル基あるいはR4の水酸基の保護基として、前述の脂肪族アシル基、芳香族アシル基、アルコキシカルボニル基、またはR1およびR2のカルボキシル基の保護基として、前述の低級アルキル基を使用した場合には、例えば、水溶性溶媒中にて塩基で処理することにより除去することができる。塩基としては、好ましくは、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのようなアルカリ金属炭酸塩、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物、アンモニア水、テトラn−ブチルアンモニウム ヒドロキシドのような水酸化アンモニウム類、前述の無機塩基、1級のアルキルアミン、2級のアルキルアミン、3級のアルキルアミンなどを用いて行うことができる。
【0136】
使用される溶媒としては、通常の加水分解反応に使用されるものであれば特に限定はないが、好ましくは、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールのようなアルコール類、前述のエーテル類を用いることができる。反応温度および反応時間は出発物質や用いる塩基などによって異なり、特に限定はないが、通常は−10℃から100℃で、1時間から5日間で終了する。この際、反応温度、反応時間あるいは試薬の当量数を調節することにより、R3の保護基を所望により残すこともできるし、同時に除去することもできる。
【0137】
化合物(16a)または(16b)におけるR1およびR2のヒドロキシメチル基あるいはR4の水酸基の保護基として、前述のアラルキル基、アラルキルオキシカルボニル基またはR1およびR2のカルボキシル基の保護基として、前述のアラルキル基を使用した場合には、例えば、金属触媒を使用して、接触還元を行って除去することができる。
【0138】
触媒としては、好ましくは、パラジウム炭素、ラネーニッケル、酸化白金、白金黒、ロジウム−酸化アルミニウム、トリフェニルホスフィン−塩化ロジウム、パラジウム−硫酸バリウムなどを用いて行うことができる。圧力は特に限定はないが、通常使用される溶媒としては、通常の加水分解反応に使用されるものであれば特に限定はないが、好ましくは、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールのようなアルコール類、前述のエーテル類、エステル類を用いることができる。反応温度および反応時間は出発物質や用いる塩基などによって異なり、特に限定はないが、通常は−10℃から100℃で、1時間から5日間で終了する。この場合、R3の保護基は、通常除去されずに残すことができる。
【0139】
化合物(16a)または(16b)におけるR1およびR2のヒドロキシメチル基あるいはR4の水酸基の保護基として、前述のシリル基、またはR1およびR2のカルボキシル基の保護基として、前述のシリル化された低級アルキル基を使用した場合には、例えば、フッ化テトラn−ブチルアンモニウムのようなフッ素アニオンを生成するような化合物を使用して、除去することができる。
【0140】
反応溶媒は反応を阻害しないものであれば特に限定はないが、前述のエーテル類を用いることができる。反応温度および反応時間は特に限定はないが、通常は−10℃から50℃で、10分間から10時間で終了する。この場合、R3の保護基は、通常除去されずに残すことができる。
【0141】
何れの保護基を除去する場合においても、生成物が分子内に有するリン酸基は、反応系内に存在する塩基の塩として得られてくるが、所望により他の塩基の塩に変更して取り出すこともできる。その際に使用する塩基としては、例えば、前述の無機塩基類、1級のアルキルアミン類、2級のアルキルアミン類、3級のアルキルアミン類、アニリン類、ピリジン類、アミノ酸類、光学活性アミンを挙げることができ、形成する塩としては、何れも1価あるいは2価の塩を包含する。
【0142】
本発明における1−リン酸化糖誘導体とは、糖類およびその誘導体の1位にリン酸がエステル結合したもののことである。
【0143】
具体的には、下記式(6)
【0144】
【化23】

【0145】
(式中、R1およびR2は、独立してそれぞれ水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、またはカルボキシル基を表し、R3、X、W、Z、n、p、q、rは、式(4)におけるのと同義である。)で示すことができる。
【0146】
その代表例を挙げると、例えばリボース−1−リン酸、2−デオキシリボース−1−リン酸、2,3−ジデオキシリボース−1−リン酸、アラビノース−1−リン酸などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、前述の汎用性の高い、アノマー選択的な製造法により得られるものであれば、特に区別されるものではない。
【0147】
尚、1−リン酸化糖誘導体を構成する天然物由来の糖類としては、D−アラビノース、L−アラビノース、D−キシロース、L−リキソース、D−リボースのようなアルドペントース、D−キシロース、L−キシロース、D−リブロースのようなケトペントース、D−ガラクトース、L−ガラクトース、D−グルコース、D−タロース、D−マンノースのようなアルドヘキソース、D−タガトース、L−ソルボース、D−プシコース、D−フルクトースのようなケトヘキソース、D−2−デオキシリボース、D−2,3−ジデオキシリボース、D−フコース、L−フコース、D−ラムノース、L−ラムノース、D−フコピラノース、L−フコピラノース、D−ラムノフラノース、L−ラムノフラノース、D−アロメチロース、D−キノボース、D−アンチアロース、D−タロメチロース、L−タロメチロース、D−ジキタロース、D−ジギトキソース、D−シマロース、チベロース、アベコース、パラトース、コリトース、アスカリロースのようなデオキシ糖類、グルコサミン、ダウノサミンのようなアミノ糖類、グルクロン酸、ガラクツロン酸のようなウロン酸類を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0148】
次に、本発明にかかるヌクレオシドの製造方法について述べる。この方法に用いられる塩基は、ピリミジン、プリン、アザプリンおよびデアザプリンからなる群から選択された天然または非天然型の塩基を示し、それらはハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、ハロアルケニル基、アルキニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、水酸基、ヒドロキシアミノ基、アミノキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、アルキルメルカプト基、アリール基、アリールオキシ基またはシアノ基によって置換されていてもよい。
【0149】
置換基としてのハロゲン原子としては、塩素、フッ素、ヨウ素、臭素が例示される。アルキル基としては、メチル、エチル、プロピルなどの炭素数1〜7の低級アルキル基が例示される。ハロアルキル基としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ブロモメチル、ブロモエチルなどの炭素数1〜7のアルキルを有するハロアルキル基が例示される。アルケニル基としては、ビニル、アリルなどの炭素数2〜7のアルケニル基が例示される。ハロアルケニル基としては、ブロモビニル、クロロビニルなどの炭素数2〜7のアルケニルを有するハロアルケニル基が例示される。アルキニル基としては、エチニル、プロピニルなどの炭素数2〜7のアルキニル基が例示される。アルキルアミノ基としては、メチルアミノ、エチルアミノなどの炭素数1〜7のアルキルを有するアルキルアミノ基が例示される。アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシなどの炭素数1〜7のアルコキシ基が例示される。アルキルメルカプト基としては、メチルメルカプト、エチルメルカプトなどの炭素数1〜7のアルキルを有するアルキルメルカプト基が例示される。アリール基としては、フェニル基;メチルフェニル、エチルフェニルなどの炭素数1〜5のアルキルを有するアルキルフェニル基;メトキシフェニル、エトキシフェニルなどの炭素数1〜5のアルコキシを有するアルコキシフェニル基;ジメチルアミノフェニル、ジエチルアミノフェニルなどの炭素数1〜5のアルキルアミノを有するアルキルアミノフェニル基;クロロフェニル、ブロモフェニルなどのハロゲノフェニル基などが例示される。
【0150】
ピリミジン塩基を具体的に例示すれば、シトシン、ウラシル、5−フルオロシトシン、5−フルオロウラシル、5−クロロシトシン、5−クロロウラシル、5−ブロモシトシン、5−ブロモウラシル、5−ヨ−ドシトシン、5−ヨ−ドウラシル、5−メチルシトシン、5−メチルウラシル(チミン)、5−エチルシトシン、5−エチルウラシル、5−フルオロメチルシトシン、5−フルオロウラシル、5−トリフルオロシトシン、5−トリフルオロウラシル、5−ビニルウラシル、5−ブロモビニルウラシル、5−クロロビニルウラシル、5−エチニルシトシン、5−エチニルウラシル、5−プロピニルウラシル、ピリミジン−2−オン、4−ヒドロキシアミノピリミジン−2−オン、4−アミノオキシピリミジン−2−オン、4−メトキシピリミジン−2−オン、4−アセトキシピリミジン−2−オン、4−フルオロピリミジン−2−オン、5−フルオロピリミジン−2−オンなどが挙げられる。
【0151】
プリン塩基を具体的に例示すれば、プリン、6−アミノプリン(アデニン)、6−ヒドロキシプリン、6−フルオロプリン、6−クロロプリン、6−メチルアミノプリン、6−ジメチルアミノプリン、6−トリフルオロメチルアミノプリン、6−ベンゾイルアミノプリン、6−アセチルアミノプリン、6−ヒドロキシアミノプリン、6−アミノオキシプリン、6−メトキシプリン、6−アセトキシプリン、6−ベンゾイルオキシプリン、6−メチルプリン、6−エチルプリン、6−トリフルオロメチルプリン、6−フェニルプリン、6−メルカプトプリン、6−メチルメルカプトプリン、6−アミノプリン−1−オキシド、6−ヒドロキシプリン−1−オキシド、2−アミノ−6−ヒドロキシプリン(グアニン)、2,6−ジアミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、2−アミノ−6−ヨ−ドプリン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−メルカプトプリン、2−アミノ−6−メチルメルカプトプリン、2−アミノ−6−ヒドロキシアミノプリン、2−アミノ−6−メトキシプリン、2−アミノ−6−ベンゾイルオキシプリン、2−アミノ−6−アセトキシプリン、2−アミノ−6−メチルプリン、2−アミノ−6−サイクロプロピルアミノメチルプリン、2−アミノ−6−フェニルプリン、2−アミノ−8−ブロモプリン、6−シアノプリン、6−アミノ−2−クロロプリン(2−クロロアデニン)、6−アミノ−2−フルオロプリン(2−フルオロアデニン)などが挙げられる。
【0152】
アザプリン塩基およびデアザプリン塩基を具体的に例示すれば、6−アミノ−3−デアザプリン、6−アミノ−8−アザプリン、2−アミノ−6−ヒドロキシ−8−アザプリン、6−アミノ−7−デアザプリン、6−アミノ−1−デアザプリン、6−アミノ−2−アザプリンなどが挙げられる。
【0153】
本発明におけるヌクレオシドホスホリラーゼとは、リン酸存在下でヌクレオシドのN−グリコシド結合を分解する酵素の総称であり、本発明においては逆反応を利用することができる。反応に使用する酵素は、相当する1−リン酸化糖誘導体と塩基から目的とするヌクレオシドを生成しうる活性を有していればいかなる種類及び起源のものでもかまわない。該酵素はプリン型とピリミジン型に大別され、例えば、プリン型としてプリンヌクレオシドホスホリラーゼ(EC2.4.2.1)、グアノシンホスホリラーゼ(EC2.4.2.15)、ピリミジン型としてピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼ(EC2.4.2.2)、ウリジンホスホリラーゼ(EC2.4.2.3)、チミジンホスホリラーゼ(EC2.4.2.4)、デオキシウリジンホスホリラーゼ(EC2.4.2.23)などが挙げられる。
【0154】
本発明におけるヌクレオシドホスホリラーゼを発現している微生物とは、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(EC2.4.2.1)、グアノシンホスホリラーゼ(EC2.4.2.15)、ピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼ(EC2.4.2.2)、ウリジンホスホリラーゼ(EC2.4.2.3)、チミジンホスホリラーゼ(EC2.4.2.4)、デオキシウリジンホスホリラーゼ(EC2.4.2.23)からなる群から選択される一種類以上のヌクレオシドホスホリラーゼを発現している微生物であれば特に限定はされない。
【0155】
このような微生物の具体例としては、ノカルディア(Nocardia)属、ミクロバクテリウム(Microbacterium)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ブレビバクテリウム属(Brevibacterium)属、セルロモナス(Cellulomonas)属、フラボバクテリウム(Flabobacterium)属、クルイヘラ(Kluyvere)属、ミコバクテリウム(Micobacterium)属、ヘモフィラス(Haemophilus)属、ミコプラナ(Micoplana)属、プロタミノバクター(Protaminobacter)属、キャンディダ(Candida)属、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、バチルス(Bacillus)属、好熱性のバチルス属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ミクロコッカス(Micrococcus)属、ハフニア(Hafnia)属、プロテウス(Proteus)属、ビブリオ(Vibrio)属、スタフィロコッカス(Staphyrococcus)属、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)属、ザルチナ(Sartina)属、プラノコッカス(Planococcus)属、エシェリシア(Escherichia)属、クルチア(Kurthia)属、ロドコッッカス(Rhodococcus)属、アシネトバクター(Acinetobacter)属、キサントバクター(Xanthobacter)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、リゾビウム(Rhizobium)属、サルモネラ(Salmonella)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、エンテロバクター(Enterobacter)属、エルウィニア(Erwinia)属、エアロモナス(Aeromonas)属、シトロバクター(Citrobacter)属、アクロモバクター(Achromobacter)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、アースロバクター属(Arthrobacter)属またはシュードノカルディア(Pseudonocardia)属に含まれる微生物株を好適な例として挙げることができる。
【0156】
近年の分子生物学および遺伝子工学の進歩により、上述の微生物株のヌクレオシドホスホリラーゼの分子生物学的な性質やアミノ酸配列等を解析することにより、該蛋白質の遺伝子を該微生物株より取得し、該遺伝子および発現に必要な制御領域が挿入された組換えプラスミドを構築し、これを任意の宿主に導入し、該蛋白質を発現させた遺伝子組換え菌を作出することが可能となり、かつ、比較的容易にもなった。かかる技術水準に鑑み、このようなヌクレオシドホスホリラーゼの遺伝子を任意の宿主に導入した遺伝子組換え菌も本発明のヌクレオシドホスホリラーゼを発現している微生物に包含されるものとする。
【0157】
ここでいう発現に必要な制御領域とは、プロモーター配列(転写を制御するオペレーター配列を含む)・リボゾーム結合配列(SD配列)・転写終結配列等を示している。プロモーター配列の具体例としては、大腸菌由来のトリプトファンオペロンのtrpプロモーター・ラクトースオペロンのlacプロモーター・ラムダファージ由来のPLプロモーター及びPRプロモーターや、枯草菌由来のグルコン酸合成酵素プロモーター(gnt)・アルカリプロテアーゼプロモーター(apr)・中性プロテアーゼプロモーター(npr)・α−アミラーゼプロモーター(amy)等が挙げられる。また、tacプロモーターのように独自に改変・設計された配列も利用できる。リボゾーム結合配列としては、大腸菌由来または枯草菌由来の配列が挙げられるが、大腸菌や枯草菌等の所望の宿主内で機能する配列であれば特に限定されるものではない。たとえば、16SリボゾームRNAの3'末端領域に相補的な配列が4塩基以上連続したコンセンサス配列をDNA合成により作成してこれを利用してもよい。転写終結配列は必ずしも必要ではないが、ρ因子非依存性のもの、例えばリポプロテインターミネーター・trpオペロンターミネーター等が利用できる。これら制御領域の組換えプラスミド上での配列順序は、5'末端側上流からプロモーター配列、リボゾーム結合配列、ヌクレオシドホスホリラーゼをコードする遺伝子、転写終結配列の順に並ぶことが望ましい。
【0158】
ここでいうプラスミドの具体例としては、大腸菌中での自律複製可能な領域を有しているpBR322、pUC18、Bluescript II SK(+)、pKK223−3、pSC101や、枯草菌中での自律複製可能な領域を有しているpUB110、pTZ4、pC194、ρ11、φ1、φ105等をベクターとして利用することができる。また、2種類以上の宿主内での自律複製が可能なプラスミドの例として、pHV14、TRp7、YEp7及びpBS7をベクターとして利用することができる。
【0159】
ここでいう任意の宿主には、後述の実施例のように大腸菌(Escherichia coli)が代表例として挙げられるが、とくに大腸菌に限定されるのものではなく枯草菌(Bacillus subtilis)等のバチルス属菌、酵母や放線菌等の他の微生物菌株も含まれる。
【0160】
また、本発明におけるヌクレオシドホスホリラーゼ活性とは、上述の該酵素活性を有する微生物菌体のみならず、該酵素活性を有する微生物菌体の菌体処理物またはそれらの固定化物なども使用できる。菌体処理物とは、例えばアセトン乾燥菌体や機械的破壊、超音波破砕、凍結融解処理、加圧減圧処理、浸透圧処理、自己消化、細胞壁分解処理、界面活性剤処理などにより調製した菌体破砕物などであり、また、必要に応じて硫安沈殿やアセトン沈殿、カラムクロマトグラフィーにより精製を重ねたものを用いても良い。
【0161】
本発明において、リン酸イオンと難水溶性の塩を形成しうる金属カチオンとは、反応において副生したリン酸イオンと難水溶性の塩を形成し、反応液中に沈殿しうるものであれば限定されない。そのようなものとして、カルシウム、マグネシウム、バリウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀、モリブデン、鉛、亜鉛、リチウムなどの金属カチオンが挙げられる。それらのうち工業的に汎用性や安全性が高く、反応に影響を与えない金属塩が特に好ましく、そのようなものの例としてカルシウムイオン、バリウムイオン、アルミニウムイオン及びマグネシウムイオンが挙げられる。
【0162】
本発明におけるリン酸イオンと難水溶性の塩を形成しうる金属カチオンとは、リン酸と難水溶性の塩を形成しうる金属カチオンを、塩素イオン、硝酸イオン、炭酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオンまたは水酸イオンの中から選ばれる1種類以上のアニオンとの金属塩として反応液中に添加すればよい。具体的には、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸カルシウム、塩化バリウム、硝酸バリウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、酢酸バリウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウムなどが例示される。
【0163】
また、該金属カチオンは、ペントース−1−リン酸の塩として反応液中に存在させてもよい。一例を挙げると、リボース−1−リン酸・カルシウム塩、2−デオキシリボース−1−リン酸・カルシウム塩、2,3−ジデオキシリボース−1−リン酸・カルシウム塩、アラビノース−1−リン酸・カルシム塩、リボース−1−リン酸・バリウム塩、2−デオキシリボース−1−リン酸・バリウム塩、2,3−ジデオキシリボース−1−リン酸・バリウム塩、アラビノース−1−リン酸・バリウム塩、リボース−1−リン酸・アルミニウム塩、2−デオキシリボース−1−リン酸・アルミニウム塩、2,3−ジデオキシリボース−1−リン酸・アルミニウム塩、アラビノース−1−リン酸・アルミニウム塩、などが挙げられる。
【0164】
本発明におけるヌクレオシド化合物の合成反応は、目的とするヌクレオシド、基質である1−リン酸化糖誘導体と塩基、反応触媒であるヌクレオシドホスホリラーゼ又は該酵素活性を有する微生物、そしてリン酸を反応系より除外させるために添加する金属塩の種類とその特性により、適切なpHや温度などの反応条件ならびに管理幅を選べばよいが、通常はpH5〜10、温度10〜60℃の範囲で行うことができる。pHに関して、その管理幅を外れた場合、目的物や基質の安定性、酵素活性の低下、リン酸との難水溶性塩の未形成などが原因で反応転化率の低下を招く可能性がある。反応途中、pHの変化が生じるようであれば必要に応じて塩酸、硫酸などの酸や水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリを適時添加すればよい。反応に使用する1−リン酸化糖誘導体と塩基の濃度は0.1〜1000mM程度が適当であり、両者のモル比は添加する塩基の比率を1−リン酸化糖誘導体又はその塩に対して0.1〜10倍モル量で行える。反応転化率を考えれば0.95倍モル量以下が好ましい。
【0165】
また、添加するリン酸と難水溶性の塩を形成しうる金属塩は、反応に使用する1−リン酸化糖誘導体に対して0.1〜10倍モル量、より好ましくは0.5〜5倍モル量添加するのが良い。その添加方法について制限は無く、一括添加や反応中に逐次添加しても良い。また、本反応は基本的に水を溶媒としているが、必要に応じ反応系にアルコールやジメチルスルホキシドなど通常の酵素反応に用いられる有機溶媒を適量添加しても良い。なお、高濃度の反応においては、基質の塩基や生成物のヌクレオシド化合物が溶解しきれずに反応液中に存在する場合もあるが、このような場合にも本発明を適用することができる。
【0166】
このようにして製造したヌクレオシド化合物は、濃縮、晶析、溶解、電気透析処理、イオン交換樹脂や活性炭による吸脱着処理どの常法を適用することにより単離することができる。
【実施例】
【0167】
以下に実施例により、本発明を更に詳細に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0168】
実施例1
3,5−O−ビス(4−クロロベンゾイル)−2−デオキシ−D−リボース−1−リン酸(18)およびビス〔3,5−O−ビス(4−クロロベンゾイル)−2−デオキシ−D−リボース−1−イル〕リン酸(19)のアノマー混合物の合成
正リン酸 1.18gとアセトニトリル 51mLの混合物にトリn−ブチルアミン 2.3gとモルキュラーシーブス4A 5.07gを加え、攪拌しながら5℃に冷却した。1時間後、3,5−O−ビス(4−クロロベンゾイル)−2−デオキシ−α−D−リボシル クロリド(純度85%) 5.07gを加えて1時間攪拌し、表記化合物(18)と(19)の混合物〔(18):(19)=3:5、(18)のα体:β体=5:2〕のアセトニトリル溶液を得た。
【0169】
分析用サンプルを得るため、シクロヘキシルアミン塩とし、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、メタノール−酢酸エチル(1:10)流分より、表記化合物(19)の2種のアノマー異性体(19a)および(19b)を得た。
(19a):低極性流分
1H NMR (CDCl3, 270 MHz) d 8.0-7.8 (m, 8 H), 7.4-7.2 (m, 8 H), 6.06 (m,1.2 H), 5.98 (m, 0.8 H), 5.56 (m, 1.2 H), 5.41 (m, 0.8 H), 4.7-4.3 (m,6 H), 2.6-2.4 (m, 1 H), 2.75-2.6 (m, 2 H), 2.5-2.3 (m, 2 H), 2.2-1.9 (m,2 H), 1.8-1.6 (m, 2 H), 1.6-0.9 (m, 8 H)、 MS (APCI) m/z 883 (M-H)
(19b):高極性流分
1H NMR (CDCl3, 270 MHz) d 8.0-7.8 (m, 8 H), 7.4-7.2 (m, 8 H), 6.1-5.9(m, 2 H), 5.55 (m, 0.67 H), 5.39 (m, 1.33 H), 4.7-4.3 (m, 6 H), 3.1-2.85(m, 1 H), 2.75-2.4 (m, 2 H), 2.32 (m, 2 H), 2.2-1.9 (m, 2 H), 1.8-1.6 (m, 2 H), 1.6-0.9 (m, 8 H)、 MS (APCI) m/z 883 (M-H)。
【0170】
実施例2
3,5−O−ビス(4−クロロベンゾイル)−2−デオキシ−D−リボース−1−リン酸およびビス〔3,5−O−ビス(4−クロロベンゾイル)−2−デオキシ−D−リボース−1−イル〕リン酸のアノマー混合物の合成
正リン酸 1.11gと2−ブタノン 49mLの混合物にトリn−ブチルアミン 2.11gとモルキュラーシーブス4A 4.9gを加え、攪拌しながら5℃に冷却した。さらに、3,5−O−ビス(4−クロロベンゾイル)−2−デオキシ−α−D−リボシル クロリド(純度85%) 4.9gを加えて10分間攪拌し、表記化合物(18)と(19)の混合物〔(18):(19)=1:4、(18)のα体:β体=7:10〕の2−ブタノン溶液を得た。
【0171】
実施例3
3,5−O−ビス(4−クロロベンゾイル)−2−デオキシ−D−リボース−1−リン酸およびビス〔3,5−O−ビス(4−クロロベンゾイル)−2−デオキシ−D−リボース−1−イル〕リン酸のアノマー混合物の合成
正リン酸 136.8gと2−ブタノン 2Lの混合物にトリn−ブチルアミン 90.6gとモルキュラーシーブス4A 200gを加え、攪拌しながら5℃に冷却した。1時間攪拌後、3,5−O−ビス(4−クロロベンゾイル)−2−デオキシ−α−D−リボシル クロリド(純度85%) 200gを加えて2時間攪拌し、表記化合物(18)と(19)の混合物〔(18):(19)=5:4、(18)のα体:β体=5:2〕の2−ブタノン溶液を得た。
【0172】
実施例4
3,5−O−ビス(4−クロロベンゾイル)−2−デオキシ−α−D−リボース−1−リン酸(18a)の合成
実施例1で得たアセトニトリル溶液を攪拌しながら5℃に冷却し、正リン酸2.29gを加えた。3時間攪拌後、結晶が析出しはじめ、濃厚な懸濁液となった。5時間後、反応懸濁液中の表記化合物(18a)のα体/β体比は10:1であった。結晶をモルキュラーシーブスとの混合物として濾取し、メタノール100mLに溶解後、再び濾過してモルキュラーシーブスを除いた。HPLC定量した結果、得られたメタノール溶液中に、表記化合物(18a)は、3.68g含まれた。収率74.6%(原料純度換算済み:HPLC上、β体は検出されない)。
【0173】
実施例5
3,5−O−ビス(4−クロロベンゾイル)−2−デオキシ−α−D−リボース−1−リン酸(18a)の合成
実施例2で得た2−ブタノン溶液を攪拌しながら5℃に冷却し、正リン酸 2.2gを加えた。1時間攪拌後、結晶が析出しはじめ、濃厚な懸濁液となった。20時間後、反応懸濁液中の表記化合物(18a)のα体/β体比は8:1であった。トリn−ブチルアミン 6.33gを加えて析出晶を溶解し、モルキュラーシーブスを濾去した。濾液にトルエン 250mLを加え、水 55mLで洗浄した。有機層を氷冷し、シクロヘキシルアミン 2.32gを加えて、攪拌晶析した。1時間後、析出晶を濾取し、室温で減圧乾燥し、表記化合物(16a)のジシクロヘキシルアミン塩 3.19gを無色粉末として得た。収率64.7%(原料純度換算済み:α体:β体=97.5:2.5)
1H NMR (DMSO-d6, 270 MHz) d 8.00 (d, J = 8.6 Hz, 2 H), 7.96 (d, J = 8.6 Hz, 2 H), 7.58 (d, J = 8.6 Hz, 2 H), 7.58 (d, J = 8.6 Hz, 2 H), 5.82 (dd, J = 5.3, 5.3 Hz, 1 H), 5.36 (d, J = 8.6 Hz, 1 H), 4.6-4.3 (m, 3 H),4.7-3.5 (br, 6 H), 2.7-2.6 (m, 2 H), 2.55-2.4 (m, 1 H), 2.25 (d, J = 4.2Hz, 1 H), 1.85-1.75 (m, 4 H), 1.7-1.6 (m, 4 H), 1.55-1.45 (m, 2 H), 1.25-0.9 (m, 10 H)、 MS (APCI) m/z 590 (M+C6H14N)。
【0174】
実施例6
3,5−O−ビス(4−クロロベンゾイル)−2−デオキシ−α−D−リボース−1−リン酸(18a)の合成
実施例3で得た2−ブタノン溶液を5℃に冷却し、攪拌した。1時間攪拌後、結晶が析出しはじめ、濃厚な懸濁液となった。23時間後、反応懸濁液中の表記化合物(18a)のα体/β体比は7:1であった。トリn−ブチルアミン 259gを加えて析出晶を溶解し、モルキュラーシーブスを濾去した。濾液を水2.2Lで洗浄し、さらに水層をトルエン 1Lで抽出した。有機層を集め、氷冷し、シクロヘキシルアミン 87.5gを加えて、攪拌晶析した。1時間後、析出晶を濾取し、室温で減圧乾燥し、表記化合物(16a)のジシクロヘキシルアミン塩 213gを無色粉末として得た。収率78.1%(原料純度換算済み:α体:β体=96.9:3.1)。
【0175】
実施例7
2−デオキシ−α−D−リボース−1−リン酸(20)の合成
実施例4で得たメタノール溶液にアンモニア水 20mLを加え、室温で攪拌した。28時間攪拌後、析出晶を濾取し、室温で減圧乾燥して表記化合物(20)のアンモニウム塩 589mgを無色粉末として得た。収率21.1%(HPLC上、β体は検出されない)。
【0176】
実施例8
2−デオキシ−α−D−リボース−1−リン酸(20)の合成
実施例6で得た化合物(18a)をメタノール 2.3Lとアンモニア水 450mLの混合溶液に懸濁し、室温で攪拌した。28時間攪拌後、析出晶を濾取し、室温で減圧乾燥して表記化合物(20)のアンモニウム塩 62.0gを無色粉末として得た。収率81.0%(HPLC上、β体は検出されない。)
1H NMR (D2O, 270 MHz) d 5.56 (s, 1 H), 4.03 (m, 2 H), 3.52 (dd, J = 3.3,12.2 Hz, 1 H), 3.41 (dd, J = 5.3, 12.2 Hz, 1 H), 2.17 (m, 1 H) , 1.87 (d, J = 13.9 Hz, 1 H)、 MS (APCI) m/z 213 (M-H)。
【0177】
実施例9
2,3,5−O−トリス(4−クロロベンゾイル)−α−D−リボース−1−リン酸(21)
正リン酸 3.32gとメチルイソブチルケトン 67mLの混合物にトリn−ブチルアミン 2.11gとモルキュラーシーブス4A 6.6gを加え、攪拌しながら5℃に冷却した。さらに、2,3,5−O−トリス(4−クロロベンゾイル)−α−D−リボシル クロリド 6.66gを加えて1時間攪拌後、結晶が析出しはじめ、濃厚な懸濁液となった。10時間後、反応懸濁液中の表記化合物(19)のα体/β体比は10:1であった。トリn−ブチルアミン 6.33gを加えて析出晶を溶解し、モルキュラーシーブスを濾去した後、濾液を水55mLで洗浄した。有機層を氷冷し、シクロヘキシルアミン 2.4gを加えて、攪拌晶析した。1時間後、析出晶を濾取し、室温で減圧乾燥し、表記化合物(21)のジシクロヘキシルアミン塩 7.02gを無色粉末として得た。収率73.0%(α体:β体=99:1)
1H NMR (DMSO-d6, 270 MHz) d 8.2-7.8 (m, 6 H), d 7.6-7.4 (m, 6 H), 5.9-5.7 (m, 1 H), 5.6-5.4 (m, 3 H), 4.6-4.3 (m, 1 H), 4.7-3.5 (br, 6 H), 2.7-2.6 (m, 2 H), 1.9-1.7 (m, 4 H), 1.7-1.6 (m, 4 H), 1.55-1.4 (m, 2 H), 1.3-0.9 (m, 10 H)、 MS (APCI) m/z 745 (M+C6H14N)。
【0178】
実施例10
α−D−リボース−1−リン酸(22)の合成
実施例9で得た化合物(21)をメタノール 105mLとアンモニア水 21mLの混合溶液に懸濁し、室温で攪拌した。32時間攪拌後、析出晶を濾取し、室温で減圧乾燥して表記化合物(22)のアンモニウム塩 1.90gを無色粉末として得た。収率86.0%(HPLC上、β体は検出されない。)
1H NMR (D2O, 270 MHz) d 5.6 (m, 1 H), 4.2 (m, 1 H), 4.1-4.0 (m, 2 H), 3.75 (m, 1 H) , 3.7 (m, 1 H)、 MS (APCI) m/z 229 (M-H)。
【0179】
実施例11
5−O−(4−クロロベンゾイル)−2,3−ジデオキシ−α−D−リボース−1−リン酸(23)
正リン酸 3.5gとアセトニトリル 33mLの混合物にトリn−ブチルアミン 2.2gとモルキュラーシーブス4A 3.3gを加え、攪拌しながら5℃に冷却した。さらに、5−O−(4−クロロベンゾイル)−2,3−ジデオキシ−α−D−リボシル クロリド 3.28gを加えて1時間攪拌後、結晶が析出しはじめ、濃厚な懸濁液となった。20時間後、反応懸濁液中の表記化合物(23)のα体/β体比は10:1であった。トリn−ブチルアミン 6.5gを加えて析出晶を溶解し、モルキュラーシーブスを濾去した後、濾液をトルエン70mLで希釈し、水 55mLで洗浄した。有機層を氷冷し、シクロヘキシルアミン 2.5gを加えて、攪拌晶析した。1時間後、析出晶を濾取し、室温で減圧乾燥し、表記化合物(23)のジシクロヘキシルアミン塩 4.56gを無色粉末として得た。収率71.5%(α体:β体=97:3)
1H NMR (DMSO-d6, 270 MHz) d 8.2-7.8 (m, 2 H), d 7.6-7.4 (m, 2 H), 5.9-5.7 (m, 1 H), 5.6-5.4 (m, 1 H), 4.6-4.3 (m, 1 H), 4.7-3.5 (br, 6 H), 2.7-2.6 (m, 2 H), 1.9-1.7 (m, 8 H), 1.7-1.6 (m, 4 H), 1.55-1.4 (m, 2 H), 1.3-0.9 (m, 10 H)、 MS (APCI) m/z 374 (M+C6H14N)。
【0180】
実施例12
2,3−ジデオキシ−α−D−リボース−1−リン酸(24)の合成
実施例11で得た化合物(23)をメタノール 46mLとアンモニア水 10mLの混合溶液に懸濁し、室温で攪拌した。30時間攪拌後、析出晶を濾取し、室温で減圧乾燥して表記化合物(24)のアンモニウム塩 1.68gを無色粉末として得た。収率85.0%(HPLC上、β体は検出されない。)
1H NMR (D2O, 270 MHz) d 5.2 (m, 1 H), 4.1-3.9 (m, 1 H), 3.6-3.3 (m, 2 H),2.1-2.3 (m, 2 H), 1.9-1.7 (m, 2 H)、 MS (APCI) m/z 197 (M-H)。
【0181】
実施例13
2,3,5−O−トリス(4−クロロベンゾイル)−α−D−アラビノフラノシル−1−リン酸(25)
正リン酸 3.3gとメチルイソブチルケトン 67mLの混合物にトリn−ブチルアミン 2.1gとモルキュラーシーブス4A 6.6gを加え、攪拌しながら5℃に冷却した。さらに、2,3,5−O−トリス(4−クロロベンゾイル)−α−D−アラビノフラノシル クロリド 6.6gを加えて1時間攪拌後、結晶が析出しはじめ、濃厚な懸濁液となった。8時間後、反応懸濁液中の表記化合物(25)のα体/β体比は10:1であった。トリn−ブチルアミン 6.3gを加えて析出晶を溶解し、モルキュラーシーブスを濾去した後、濾液を水55mLで洗浄した。有機層を氷冷し、シクロヘキシルアミン 2.4gを加えて、攪拌晶析した。1時間後、析出晶を濾取し、室温で減圧乾燥し、表記化合物(25)のジシクロヘキシルアミン塩 6.72gを無色粉末として得た。収率70.5%(α体:β体=99:1)
MS (APCI) m/z 745 (M+C6H14N)。
【0182】
実施例14
α−D−アラビノフラノシル−1−リン酸(26)の合成
実施例13で得た化合物(25)をメタノール 94mLとアンモニア水 18mLの混合溶液に懸濁し、室温で攪拌した。48時間攪拌後、析出晶を濾取し、室温で減圧乾燥して表記化合物(26)のアンモニウム塩 1.72gを無色粉末として得た。収率82.0%(HPLC上、β体は検出されない。)
1H NMR (D2O, 270 MHz) d 5.3 (m, 1 H), 3.95-3.3 (m, 5 H)、 MS (APCI) m/z229 (M-H)。
【0183】
実施例15
(2R)−2−ベンジルオキシメチル−1,3−ジオキソラン−4−リン酸(27)の合成
(2R)−2−ベンジルオキシメチル−4−(R,S)−アセトキシ−1,3−ジオキソラン 1.06gのエーテル12ml溶液に、氷冷下、4N塩酸−ジオキサン4mlを加え、3.5時間攪拌後、室温まで昇温した。溶媒を濃縮後、さらにトルエンにて共沸し、(2R)−2−ベンジルオキシメチル−1,3−ジオキソラニル−4−クロリド500mgを無色透明の油状物として得た。アセトニトリル1.1mlに、オルトリン酸0.27g、トリn−ブチルアミン0.66ml、モルキュラーシーブス4A 0.23gを順次加え、1.5時間攪拌した。この懸濁液中に、氷冷下、先に得た油状物0.27gを加え、氷冷下、5.5時間攪拌した。トリn−ブチルアミン0.6mlを加えて30分攪拌後、トルエンで希釈して水抽出を行った。水層をn−ブタノールで抽出し、濃縮した。濃縮物をトルエンに溶解後、シクロヘキシルアミンを加えて濃縮し、表記化合物(27)のシクロヘキシルアミン塩を白色固体として得た。
1H-NMR(D2O) δ 0.98-1.10(2H, m), 1.14-1.23(6H,m), 1.47-1.51(2H,m), 1.61-1.64(4H,m), 1.78-1.83(4H,m), 2.94-3.00(2H,m), 3.46-3.60(2H,m), 3.72-3.79(1H,m), 3.92-4.00(1H,m), 4.41-4.51(2H,m), 5.01-5.03 and 5.22-5.24(total 1H, m), 5.64-5.72(total 1H,m), 7.24-7.30(5H,m) 、 MS (APCI) m/z 390 (M+C6H14N)+
【0184】
実施例16
(2R)−2−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−4−リン酸(28)の合成
実施例15で得た化合物(27)0.2gをメタノール10mlに溶解し、10%Pd/C 0.11gを触媒として常圧水素添加を行った。触媒をろ過後、ろ液を濃縮し表記化合物(28)のシクロヘキシルアミン塩を得た。
1H-NMR(D2O) δ 0.99-1.06(2H,m), 1.10-1.24(6H,m), 1.47-1.50(2H,m), 1.62-1.66(4H,m), 1.80-1.85(4H,m), 1.96-3.02(2H,m), 3.51-3.57(2H,m), 3.72-3.79(1H,m), 3.93-4.00(1H,m), 4.99-5.01 and 5.13-5.15(total 1H, m), 5.64-5.67 and 5.70-5.73(total 1H,m) 、 MS (APCI) m/z 199 (M-H)-
【0185】
実施例17
2,3−ジデオキシ−3−フルオロ−5−O−(4−フェニルベンゾイル)−α−D−エリスロペントフラノース−1−リン酸(29)の合成
オルトリン酸 62mg、トリn−ブチルアミン 52μL、アセトニトリル0.7mLを室温で攪拌し、モレキュラシーブス4A 70mgを加えて氷浴下で攪拌した。これに2,3−ジデオキシ−3−フルオロ−5−O−(4−フェニルベンゾイル)−D−エリスロペントフラノシルクロリド70mgを加えて、同温で1日反応した。その後、トリn−ブチルアミン 156μL、続いて脱イオン水を加えて、トルエンで3回抽出した。抽出した有機層にシクロヘキシルアミン48μLを加えて30分間攪拌した後に、減圧下で濃縮し、アセトンを加えて析出物を濾取した。得られた残査をクロロホルムで洗浄し、減圧下室温で乾燥した。表記化合物(29)のジシクロヘキシルアミン塩を白色固体として得た。
1H-NMR(CD3OD)δ1.1‐1.4(10H、m)、1.65(2H、m)、1.89(4H、m)、1.96(4H、m)、2.3−2.5(2H、m)、2.91(2H、m)、4.5(2H、m)、4.6−4.8(1H、m)、5.1−5.3(1H、m)、5.97(1H、m)、7.41(1H、m)、7.47(2H、m)、7.68(2H、m)、7.75(2H、m)、8.08(2H、m)、 MS (APCI) m/z 496 (M+C6H14N)+
【0186】
実施例18
2,3−ジデオキシ−3−フルオロ−α−D−エリスロペントフラノース−1−リン酸(30)の合成
実施例17で得た化合物(29)21mgのメタノール1mL溶液にシクロヘキシルアミン 20μLを加え、2週間反応した。その後、減圧下で濃縮し、ジエチルエーテルを加えた。これを濾過した後、減圧下で乾燥して、表記化合物のジシクロヘキシルアミン塩12mgを白色固体として得た。
1H-NMR(CD3OD)δ 1.1‐1.4(10H、m)、1.66(2H、m)、1.79(4H、m)、1.94(4H、m)、2.3−2.4(2H、m)、2.88(2H、m)、3.59(2H、m)、4.3−4.4(1H、m)、5.11(0.5H、m、もう一方の0.5H分は、水のピークに隠れて判別不能)、5.89(1H、m)、 MS (APCI) m/z 215 (M-H)-
【0187】
実施例19
2,3−ジデオキシ−3−フルオロ−5−O−(4−フェニルベンゾイル)−D−エリスロペントフラノース−1−リン酸(31)の合成
オルトリン酸 759mg、トリn−ブチルアミン 646μL、アセトニトリル8.6mLを室温で攪拌し、モルキュラシーブス4A 0.86gを加えて氷浴下で攪拌した。これに2,3−ジデオキシ−3−フルオロ−5−O−(4−フェニルベンゾイル)−D−エリスロペントフラノシルクロリド864mgを加えて、同温で1日反応した。その後、トリn−ブチルアミン1.94mL、続いて脱イオン水を加えて、トルエンで3回抽出し、さらに純水で5回洗浄した。有機層を分離して、シクロヘキシルアミン 590μLを加えて30分間攪拌した。減圧下で濃縮し、これにアセトンを加えて攪拌した後に、濾取した。さらに、得られた残査をイソプロピルエーテルで洗浄し、減圧下室温で乾燥し、表記化合物(31)を白色固体として得た。α体:β体=66:34。
1H-NMR(CD3OD)δ1.1‐1.4ppm(10H、m)、1.66(2H、m)、1.78(4H、m)、1.98(4H、m)、2.3-2.6(2H、m)、2.89(2H、m)、4.44 & 4.46 (α & β、2H)、4.6−4.8(1H、m)、5.1−5.3 & 5.3-5.4 (α & β、1H、m)、5.97 & 6.00(α & β、1H、m)、7.40(1H、m)、7.47(2H、m)、7.68(2H、m)、7.75(2H、m)、8.07(1H、m)、8.13(1H、m)。
【0188】
実施例20
2,3−ジデオキシ−3−フルオロ−D−エリスロペントフラノース−1−リン酸(32)の合成
実施例19で得た化合物(31)0.29gのメタノール15mL溶液にシクロヘキシルアミン279μLを加え、1週間反応した。その後、減圧下で濃縮し、ジエチルエーテルを加えて攪拌した。これを濾過した後、減圧下で乾燥して、表記化合物(32)のジシクロヘキシルアミン塩185mgを白色固体として得た。α体:β体=66:34。
1H-NMR(CD3OD)δ1.1‐1.4ppm(10H、m)、1.67(2H、m)、1.79(4H、m)、2.2-2.4(2H、m)、2.94(2H、m)、3.59 & 3.62(α & β、2H、m)、3.3-3.4 (2H、m)、5.10 & 5.1-5.24(α & β、0.5H & 1H、m、αの0.5H分は水に隠れて判別不能)、5.88 & 5.93 (α & β、1H、m)。
【0189】
実施例21
3,5−O−ジベンゾイル−2−O−メチルリボース−1−リン酸(33)の合成
1,3,5−O−トリベンゾイル−2−O−メチル−α−D−リボース2.84gに4N塩酸−ジオキサン14.5mLを加えて氷冷下攪拌した。2.5時間後、4N塩酸−ジオキサン10mLを加え、さらに1時間攪拌した。溶媒を留去した後、ジオキサン10mLで2回共沸濃縮し、3,5−O−ジベンゾイル−2−O−メチルリボシル−1−クロリドを得た。98%リン酸2.98gを4−メチル−2−ペンタノン15mLに溶解し、モルキュラーシーブス4A 2.8gを加えて30分攪拌した。トリn−ブチルアミン1.42mLを加え、次いで先に得た3,5−O−ジベンゾイル−2−O−メチルリボシル−1−クロリドを4−メチル−2−ペンタノン10mLに溶解した溶液を加えた。室温で20時間反応させ、トリn−ブチルアミン7.1mLで中和した。モルキュラーシーブスを濾去し、濾液を水20mLで3回洗浄した。有機層を溶媒留去し、シリカゲルカラムにより精製し、表記化合物(33)950mgを得た。
MS (APCI) m/z 451(M-H)-、IR(KBr) cm-1 3448, 2963, 1721, 1453, 1278, 1111, 976, 711, 558。
【0190】
実施例22
2−O−メチルリボース−1−β−リン酸(34)の合成
実施例21で得た化合物(33)850mgに14%アンモニア−メタノール20mLを加え、室温で20時間反応させた。溶媒を留去し、ジイソプロピルエーテルでスラッジした後、結晶性の粉末を濾過した。この粉末をメタノールに溶解し、シクロヘキシルアミンを加えて攪拌した。メタノールを留去し、残渣にジイソプロピルエーテルを加えてスラッジした。結晶性の粉末を濾過し、ジイソプロピルエーテルで洗浄した。目的物を水により抽出し、4−メチル−2−ペンタノンにより2回洗浄した。水層を濃縮し、ジイソプロピルエーテルでスラッジした。結晶を濾取、ジイソプロピルエーテルで洗浄し、表記化合物(34)のジシクロヘキシルアミン塩120mgを得た。
1H-NMR(D2O)δ3.37(s,3H), 3.49(dd,1H,J=4.9Hz,12.7Hz), 3.62(d,1H,J=4.9Hz), 3.69(dd,1H,J=2.7Hz,12.7Hz), 3.74-3.78(m,1H), 4.28(dd,1H,J=4.6Hz,7.8Hz), 5.39(d,1H,J=5.9Hz)、 MS (APCI) m/z 243(M-H)-
【0191】
実施例23
3,5−O−ビス(4−クロロベンゾイル)−2−デオキシ−α−D−リボース−1−リン酸(18a)の合成
正リン酸6.92gとアセトニトリル80mLの混合物にトリn−ブチルアミン5.51mLとモルキュラーシーブス4A 10gを加え、室温で5時間攪拌した後、一晩静置した。−7℃に冷却した後、3,5−O−ビス(4−クロロベンゾイル)−2−デオキシ−α−D−リボシル クロリド(純度85%) 10gを加えて9時間攪拌し、−15℃で一晩静置した。トリn−ブチルアミン 16.5mLを加えた後、モルキュラーシーブスを濾去した。濾液を濃縮し、残さを4−メチル−2−ペンタノンに溶解し、水で洗浄した。有機層を氷冷し、シクロヘキシルアミン5.66mLを加えて、攪拌晶析した。1.5時間後、析出晶を濾取し、室温で減圧乾燥し、表記化合物(18a)のジシクロヘキシルアミン塩13.5gを無色粉末として得た。(α体:β体=98.8:1.2)。
【0192】
実施例24
2−デオキシ−α−D−リボース−1−リン酸(20)の合成
実施例23で得た化合物7.05gのメタノール溶液に、シクロヘキシルアミン2.92mLを加え、室温で攪拌した。72時間攪拌後、濃縮し、エタノールを加えて懸濁攪拌した。析出晶を濾取し、室温で減圧乾燥して表記化合物(20)のジシクロヘキシルアミン塩3.87gを無色粉末として得た。(NMR上、β体は検出されない。)
1H NMR (D2O) d 5.57 (dd, J = 5.1, 6.1 Hz, 1 H), 4.03 (m, 2 H), 3.54 (ddd, J = 1.2, 2.2, 12.2 Hz, 1 H), 3.42 (ddd, J = 1.2, 5.1, 12.2 Hz, 1 H), 3.18-2.94 (m, 2 H), 2.17 (m, 1 H), 1.90 (d, J = 1.2, 12.8 Hz, 1 H), 1.8-1.45(m, 10 H), 1.25-0.9 (m, 12 H)
Anal.
Calcd. for C5H9O7P・C12H28N2,C: 49.50 %; H: 9.04 %; N: 6.79 %; P:7.51 %,
Found C: 49.26 %; H: 8.81 %; N: 6.64 %; P: 7.29 %。
【0193】
実施例25
2'−デオキシアデノシンの合成(1)
エシェリヒア・コリK−12/XL−10株(Stratagene社)を50mlのLB培地に接種し、37℃で一夜培養した後集菌し、リゾチーム1mg/mlを含む溶菌液で溶菌した。溶菌液をフェノール処理した後、通常の方法によりエタノール沈殿によりDNAを沈殿させた。生じたDNAの沈殿は、ガラス棒に巻き付けて回収した後、洗浄し、大腸菌染色体DNAを調製した。
【0194】
PCR用のプライマーには、エシェリヒア・コリの既知のdeoD遺伝子の塩基配列(GenBank accession No. AE000508(コード領域は塩基番号11531-12250)に基づいて設計した配列番号:1及び2に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用いた。これらのプライマーの5'末端付近及び3'末端付近には、それぞれEcoRI及びHindIIIの制限酵素認識配列を有する。
配列番号:1;GTGAATTCAC AAAAAGGATA AAACAATGGC
配列番号:2;TCGAAGCTTG CGAAACACAA TTACTCTTT
制限酵素HindIIIで完全に消化した前記大腸菌染色体DNA6ng/μl及びプライマー各3μMを含む0.1mlのPCR反応液を用いて、変性:96℃、1分、アニーリング:55℃、1分、伸長反応:74℃、1分からなる反応サイクルを、30サイクルの条件でPCRを行なった。
【0195】
上記反応産物及びプラスミドpUC18(宝酒造(株))を、EcoRI及びHindIII消化し、ライゲーション・ハイ(東洋紡(株))を用いて連結した後、得られた組換えプラスミドを用いて、エシェリヒア・コリDH5αを形質転換した。形質転換株を、アンピシリン(Am)50μg/ml及びX−Gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド)を含むLB寒天培地で培養し、Am耐性で且つ白色コロニーとなった形質転換株を得た。このようにして得られた形質転換株よりプラスミドを抽出し、目的のDNA断片が挿入されたプラスミドを、pUC−PNP73と命名した。こうして得られた形質転換体を、エシェリヒア・コリ MT−10905と名づけた。
【0196】
エシェリヒア・コリ MT−10905株をAm50μg/mlを含むLB培地100mLで37℃・1晩振とう培養した。得られた培養液を13000rpmで10min遠心分離し、菌体を集めた。菌体を10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)10mLに懸濁し、超音波により破砕したものを酵素源として用いた。
【0197】
実施例8で得られた2.5mMの2−デオキシ−α−D−リボース−1−リン酸 ジアンモニウム塩、2.5mMのアデニン(和光純薬製、特級)、上記のように調整した0.1mlのプリンヌクレオシドホスホリラーゼ生産菌の超音波破砕酵素液、10mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4)に種々の濃度の塩化カルシウム(和光純薬、特級)を添加した反応液1mlを30℃、24時間反応させた。反応終了後、白色の沈殿物が生成していた。
【0198】
反応終了液を以下に示すHPLC分析にて分析した結果、和光純薬製の2'−デオキシアデノシン(特級)のピークと完全に一致するピークが、すべての反応終了液中に確認された。
【0199】
HPLC分析条件
・カラム;YMC−Pack ODS−A312 150×6.0mmI.D.
・カラム温度;40℃
・ポンプ流速;0.75ml/min
・検出;UV260nm
・溶離液;10mMリン酸:アセトニトリル=95:5(V/V)
また、反応終了液の2'−デオキシアデノシンの濃度を定量し、反応転化率を計算した結果を表−1に示した。
【0200】
【表1】

【0201】
実施例26
2'−デオキシアデノシンの合成(2)
塩化カルシウムの代わりに塩化アルミニウムを添加する以外はすべて実施例25と同じ手順と条件で反応を行った。反応終了後、白色の沈殿物が生成していた。反応終了液を実施例25と同じHPLC分析にて分析した結果、和光純薬製の2'−デオキシアデノシン(特級)のピークと完全に一致するピークが、すべての反応終了液中に確認された。また、反応終了液の2'−デオキシアデノシンの濃度を定量し、反応転化率を計算した結果を表−2に示した。
【0202】
【表2】

【0203】
実施例27
2'−デオキシアデノシンの合成(3)
塩化カルシウムの代わりに10mMの塩化バリウムを添加する以外はすべて実施例25と同じ手順と条件で反応を行った。反応終了後、白色の沈殿物が生成していた。反応終了液を実施例25と同じHPLC分析にて分析した結果、和光純薬製の2'−デオキシアデノシン(特級)のピークと完全に一致するピークが、反応終了液中に確認された。また、反応終了液の2'−デオキシアデノシンの濃度を定量し、反応転化率を計算した結果、反応転化率は92.4%であった。
【0204】
実施例28
チミジンの合成
実施例8で調製した2.5mMの2−デオキシ−α−D−リボース−1−リン酸 ジアンモニウム塩、2.5mMのチミン(和光純薬製、特級)、12units/mlのチミジンホスホリラーゼ(SIGMA製)、0mMまたは10mMの硝酸カルシウム(和光純薬、特級)、10mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4)から成る反応液1mlを30℃、24時間反応させた。反応終了後、白色の沈殿物が生成していた。反応終了液を実施例25と同じHPLC分析にて分析した結果、和光純薬製のチミジン(特級)のピークと完全に一致するピークが、反応終了液中に確認された。また、反応終了液のチミジンの濃度を定量し、反応転化率を計算した結果を表−3に示した。
【0205】
【表3】

【0206】
実施例29
2'−デオキシアデノシンの合成(4)
実施例8で調製した100mMの2−デオキシ−α−D−リボース−1−リン酸 ジアンモニウム塩、100mMのアデニン(和光純薬製、特級)、実施例25で調製した0.1mlのプリンヌクレオシドホスホリラーゼ生産菌の超音波破砕酵素液、0〜150mMの塩化カルシウム(和光純薬、特級)、100mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)から成る反応液1mlを50℃、24時間反応させた。反応終了後、白色の沈殿物が生成していた。反応終了液を実施例25と同じHPLC分析にて分析した結果、和光純薬製の2−デオキシアデノシン(特級)のピークと完全に一致するピークが、反応終了液中に確認された。また、反応終了液の2'−デオキシアデノシンの濃度を定量した結果を表−4に示した。
【0207】
【表4】

【0208】
実施例30
2'−デオキシグアノシンの合成
実施例8で調製した100mMの2−デオキシ−α−D−リボース−1−リン酸 ジアンモニウム塩、100mMのグアニン(和光純薬製、特級)、実施例25で調製した0.1mlのプリンヌクレオシドホスホリラーゼ生産菌の超音波破砕酵素液、0mMまたは150mMの塩化カルシウム(和光純薬、特級)、100mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)から成る反応液1mlを50℃、24時間反応させた。反応終了後、白色の沈殿物が生成していた。反応終了液を実施例25と同じHPLC分析にて分析した結果、和光純薬製の2−デオキシグアノシン(特級)のピークと完全に一致するピークが、反応終了液中に確認された。また、反応終了液の2'−デオキシグアノシンの濃度を定量した結果を表−5に示した。
【0209】
【表5】

【0210】
実施例31
アデノシンの合成
実施例10で調製した100mMのα−D−リボース−1−リン酸 ジアンモニウム塩、100mMのアデニン(和光純薬製、特級)、実施例25で調製した0.1mlのプリンヌクレオシドホスホリラーゼ生産菌の超音波破砕酵素液、0mMまたは150mMの塩化カルシウム(和光純薬、特級)、100mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)から成る反応液1mlを50℃、24時間反応させた。反応終了後、白色の沈殿物が生成していた。反応終了液を実施例25と同じHPLC分析にて分析した結果、和光純薬製のアデノシン(特級)のピークと完全に一致するピークが、反応終了液中に確認された。また、反応終了液のアデノシンの濃度を定量した結果を表−6に示した。
【0211】
【表6】

【0212】
実施例32
2',3'−ジデオキシアデノシンの合成
実施例12で調製した100mMの2,3−ジデオキシ−α−D−リボース−1−リン酸 ジアンモニウム塩、100mMのアデニン(和光純薬製、特級)、実施例25で調製した0.1mlのプリンヌクレオシドホスホリラーゼ生産菌の超音波破砕酵素液、0mMまたは150mMの塩化カルシウム(和光純薬、特級)、100mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)から成る反応液1mlを50℃、24時間反応させた。反応終了後、白色の沈殿物が生成していた。反応終了液を実施例25と同じHPLC分析にて分析した結果、シグマ社製の2',3'−ジデオキシアデノシン(特級)のピークと完全に一致するピークが、反応終了液中に確認された。また、反応終了液の2',3'−ジデオキシアデノシンの濃度を定量した結果を表−7に示した。
【0213】
【表7】

【0214】
実施例33
アデニン−9−β−D−アラビノシドの合成
実施例14で調製した100mMのα−D−アラビノフラノシル−1−リン酸ジアンモニウム塩、100mMのアデニン(和光純薬製、特級)、実施例25で調製した0.1mlのプリンヌクレオシドホスホリラーゼ生産菌の超音波破砕酵素液、0mMまたは150mMの塩化カルシウム(和光純薬、特級)、100mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)から成る反応液1mlを50℃、24時間反応させた。反応終了後、白色の沈殿物が生成していた。反応終了液を実施例25と同じHPLC分析にて分析した結果、シグマ社製のアデニンアラビノシド(特級)のピークと完全に一致するピークが、反応終了液中に確認された。また、反応終了液のアデニン−9−β−D−アラビノシドの濃度を定量した結果を表−8に示した。
【0215】
【表8】

【0216】
実施例34
2−アミノ−6−クロロプリン−2'−デオキシ−β−D−リボシドの合成
実施例8で得られた10mMの2−デオキシ−α−D−リボース−1−リン酸ジアンモニウム塩、10mMの2−アミノ−6−クロロプリン(東京化成)、100mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)に、実施例25で調整した50μlのプリンヌクレオシドホスホリラーゼ生産菌の超音波破砕酵素液を添加した反応液1mlを50℃、4時間反応させた。反応終了液を以下に示すHPLC分析にて分析した結果、2−アミノ−6−クロロプリン−2'−デオキシ−β−D−リボシドのピークが確認された。また、反応終了液の2−アミノ−6−クロロプリン−2'−デオキシ−β−D−リボシドの濃度を定量し、反応転化率を計算したところ、20.9%であった。
【0217】
HPLC分析条件
・カラム;Develosil ODS−MG−5 250×4.6mmI.D.
・カラム温度;40℃
・ポンプ流速;1.0ml/min
・検出;UV254nm・
・溶離液;25mMリン酸二水素一カリウム:メタノール=875:125(V/V)。
【0218】
実施例35
2,6−ジアミノプリン−2'−デオキシ−β−D−リボシドの合成
2−アミノ−6−クロロプリンの代わりに2,6−ジアミノプリン(東京化成)を添加する以外はすべて実施例34と同じ手順と条件で反応を行った。反応終了液を実施例34と同じHPLC分析にて分析した結果、2,6−ジアミノプリン−2'−デオキシ−β−D−リボシドのピークが確認された。また、反応終了液の2,6−ジアミノプリン−2'−デオキシ−β−D−リボシドの濃度を定量し、反応転化率を計算したところ、75.5%であった。
【0219】
実施例36
6−メルカプトプリン−2'−デオキシ−β−D−リボシドの合成
2−アミノ−6−クロロプリンの代わりに6−メルカプトプリン(KOUJIN)を添加する以外はすべて実施例34と同じ手順と条件で反応を行った。反応終了液を実施例34と同じHPLC分析にて分析した結果、6−メルカプトプリン−2'−デオキシ−β−D−リボシドのピークが確認された。また、反応終了液の6−メルカプトプリン−2'−デオキシ−β−D−リボシドの濃度を定量し、反応転化率を計算したところ、57.2%であった。
【0220】
実施例37
2−アミノ−6−ヨードプリン−2'−デオキシ−β−D−リボシドの合成
2−アミノ−6−クロロプリンの代わりに2−アミノ−6−ヨードプリンを添加する以外はすべて実施例34と同じ手順と条件で反応を行った。反応終了液を実施例34と同じHPLC分析にて分析した結果、2−アミノ−6−ヨードプリン−2'−デオキシ−β−D−リボシドのピークが確認された。また、反応終了液の2−アミノ−6−ヨードプリン−2'−デオキシ−β−D−リボシドの濃度を定量し、反応転化率を計算したところ、69.2%であった。
【0221】
実施例38
2−アセチルアミノ−6−ヒドロキシプリン−2'−デオキシ−β−D−リボシドの合成
2−アミノ−6−クロロプリンの代わりに2−アセチルアミノ−6−ヒドロキシプリン(東京化成)を添加する以外はすべて実施例34と同じ手順と条件で反応を行った。反応終了液を以下に示すHPLC分析にて分析した結果、2−アセチルアミノ−6−ヒドロキシプリン−2'−デオキシ−β−D−リボシドのピークが確認された。また、反応終了液の2−アセチルアミノ−6−ヒドロキシプリン−2'−デオキシ−β−D−リボシドの濃度を定量し、反応転化率を計算したところ、48.7%であった。
【0222】
HPLC分析条件
・カラム;Develosil ODS−MG−5 250×4.6mmI.D.
・カラム温度;40℃
・ポンプ流速;1.0ml/min
・検出;UV254nm
・溶離液;25mMリン酸二水素一カリウム:メタノール=75:25(V/V)。
【0223】
実施例39
2−アミノ−6−シクロプロピルアミノプリン−2'−デオキシ−β−D−リボシドの合成
2−アミノ−6−クロロプリンの代わりに2−アミノ−6−シクロプロピルアミノプリンを添加する以外はすべて実施例34と同じ手順と条件で反応を行った。反応終了液を実施例38と同じHPLC分析にて分析した結果、2−アミノ−6−シクロプロピルアミノプリン−2'−デオキシ−β−D−リボシドのピークが確認された。また、反応終了液の2−アミノ−6−シクロプロピルアミノプリン−2'−デオキシ−β−D−リボシドの濃度を定量し、反応転化率を計算したところ、87.6%であった。
【0224】
実施例40
2',3'−ジデオキシ−3'−フルオロ−D−グアノシンの合成
実施例18で得られた7.0mMの2,3−ジデオキシ−3−フルオロ−D−エリスロペントフラノース−1−リン酸、10mMのグアニン(東京化成)、100mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)に、実施例25のように調整した0.1mlのプリンヌクレオシドホスホリラーゼ生産菌の超音波破砕酵素液を添加した反応液1mlを50℃、114時間反応させた。反応終了液を実施例34と同じHPLC分析にて分析した結果、2',3'−ジデオキシ−3'−フルオロ−D−グアノシンのピークが確認された。また、反応終了液の2',3'−ジデオキシ−3'−フルオロ−D−グアノシンの濃度を定量し、反応転化率を計算したところ、47.7%であった。
【0225】
実施例41
2',3'−ジデオキシ−3'−フルオロ−D−グアノシンの合成
実施例18で得られた7.0mMの2,3−ジデオキシ−3−フルオロ−D−エリスロペントフラノース−1−リン酸、10mMのグアニン(東京化成)、100mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)に、実施例25のように調整した0.1mlのプリンヌクレオシドホスホリラーゼ生産菌の超音波破砕酵素液を添加した反応液1mlを50℃、47時間反応させた後、終濃度20mMの塩化カルシウムを添加してさらに50℃、67時間反応させた。反応終了液を実施例34と同じHPLC分析にて分析した結果、2',3'−ジデオキシ−3'−フルオロ−D−グアノシンのピークが確認された。また、反応終了液の2',3'−ジデオキシ−3'−フルオロ−D−グアノシンの濃度を定量し、反応転化率を計算したところ、84.4%であった。
【0226】
実施例42
6−クロロ−9−(β−D−リボフラノース−1−イル)プリンの合成
10mMの6−クロロプリン(Aldrich)、実施例10で得た50mMのD−リボース−1−リン酸(22)、実施例25で得た0.1mlのプリンヌクレオシドホスホリラーゼ生産菌の超音波破砕酵素液、100mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)からなる反応液1mlを50℃、20時間反応させた。反応終了後、反応液を以下に示すHPLC分析にて分析した結果、表題化合物のピークが確認された。また、反応終了液の6−クロロ−9−(β−D−リボフラノース−1−イル)プリンの濃度を定量し、反応転化率を計算したところ、62.4%であった。
【0227】
HPLC分析条件
・カラム:Develosil ODS−MG−5 250×4.6mm I.D.
・カラム温度:40℃
・ポンプ流速:1.0ml/min
・検出:UV254nm
・溶離液:25mMリン酸二水素一カリウム:メタノール=75:25(V/V)。
【0228】
実施例43
1−(2−デオキシ−β−D−リボフラノース−1−イル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジンおよび3−(2−デオキシ−β−D−リボフラノース−1−イル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジンの合成
実施例8で得た10mMの2−デオキシ−α−D−リボース−1−リン酸アンモニウム塩、10mMの4−アザベンスイミダゾール(Aldrich)、100mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)に、実施例25で調製した50μlのプリンヌクレオシドホスホリラーゼ生産菌の超音波破砕酵素液を添加した反応液1mlを50℃、17時間反応させた。反応終了液を以下に示すHPLC分析にて分析した結果、表題化合物のピークが2本観察された。また、反応終了液の生成物の濃度を定量し、反応転化率を計算したところ、3%および7.2%であった。
【0229】
HPLC分析
・カラム:Develosil ODS−MG−5 250×4.6mmI.D.
・カラム温度:40℃
・ポンプ流速:1.0ml/min
・検出:UV254nm
・溶離液:25mMリン酸二水素一カリウム:メタノール=50:50(V/V)
LC−MS 分析データ:MS(APCI)m/z236(MH)+
【0230】
実施例44
8−アザ−2'−デオキシアデノシンの合成
4−アザベンズイミダゾールの代わりに8−アザアデニン(Aldrich)を用いて、実施例43と同様の条件で反応を行った。反応終了液を以下に示すHPLC分析にて分析した結果、8−アザ−2'−デオキシアデノシンのピークが確認された。また、反応終了液の8−アザ−2'−デオキシアデノシンの濃度を定量し、反応転化率を計算したところ、4.8%であった。
HPLC分析
・カラム:Develosil ODS−MG−5 250×4.6mmI.D.
・カラム温度:40℃
・ポンプ流速:1.0ml/min
・検出:UV254nm
・溶離液:25mMリン酸二水素一カリウム:メタノール=875:125(V/V)
・LC−MS 分析データ:MS(APCI)m/z253(MH)+
【0231】
実施例45
8−アザ−2'−デオキシグアノシンの合成
4−アザベンズイミダゾールの代わりに8−アザグアニン(東京化成)を用いて、実施例43と同様の条件で反応を行った。反応終了液を実施例44と同じHPLC分析にて分析した結果、8−アザ−2'−デオキシグアノシンのピークが確認された。また、反応終了液の8−アザ−2'−デオキシグアノシンの濃度を定量し、反応転化率を計算したところ、36.1%であった。
【0232】
実施例46
2−クロロ−2'−デオキシアデノシン(クラドリビン)の合成
4−アザベンズイミダゾールの代わりに2−クロロ−4−アミノプリンを用いて、実施例43と同様の条件で反応を行った。反応終了液を以下に示すHPLC分析にて分析した結果、表題化合物のピークが確認された。また、反応終了液の2−クロロ−2'−デオキシアデノシンの濃度を定量し、反応転化率を計算したところ、96%であった。
HPLC分析
・カラム:Develosil ODS−MG−5 250×4.6mmI.D.
・カラム温度:40℃
・ポンプ流速:1.0ml/min
・検出:UV254nm
・溶離液:25mMリン酸二水素一カリウム:メタノール=875:125(V/V)。
【0233】
実施例47
1−(β−D−リボフラノース−1−イル)−1,3,4−トリアゾール−3−カルボキジアミド(リバビリン)の合成
4−アザベンズイミダゾールの代わりに、1,2,4−トシアゾール−3−カルボキシアミドを用いて、実施例43と同様の条件で反応を行った。反応終了液を以下に示すHPLC分析にて分析した結果、表題化合物のピークが確認された。また、反応終了液の1−(β−D−リボフラノース−1−イル)−1,3,4−トリアゾール−3−カルボキジアミドの濃度を定量し、反応転化率を計算したところ、69%であった。
HPLC分析
・カラム:Develosil ODS−MG−5 250×4.6mmI.D.
・カラム温度:40℃
・ポンプ流速:1.0ml/min
・検出:UV210nm
・溶離液:25mMリン酸二水素一カリウム。
【0234】
実施例48
1−(β−D−リボフラノース−1−イル)−5−アミノイミダゾール−4−カルボキサミド(アカデシン)の合成
4−アザベンズイミダゾールの代わりに5−アミノイミダゾール−4−カルボキサミドを用いて、実施例43と同様の条件で反応を行った。反応終了液を以下に示すHPLC分析にて分析した結果、表題化合物のピークが確認された。また、反応終了液の1−(β−D−リボフラノース−1−イル)−5−アミノイミダゾール−4−カルボキサミドの濃度を定量し、反応転化率を計算したところ、46%であった。
HPLC分析
・カラム:Develosil ODS−MG−5 250×4.6mmI.D.
・カラム温度:40℃
・ポンプ流速:1.0ml/min
・検出:UV254nm
・溶離液:25mMリン酸二水素一カリウム:メタノール=93:7(V/V)。
【0235】
実施例49
2'−デオキシグアノシンの合成
20gの純水に、実施例24で得た3.22g(7.72mmol)の2−デオキシリボース1−リン酸ジ(モノシクロヘキシルアンモニウム)塩、1.11g(7.34mmol)のグアニンと0.67g(11.48mmol)の水酸化マグネシウムを加えた。得られた反応生成物のpHを20%水酸化ナトリウム水溶液にて9に調整後、0.1mlの前述の酵素液(0.1ml)を加え、50℃、8時間攪拌下で反応させた。8時間後の反応生成物をHPLCで分析したところ、所望の2'−デオキシグアノシンを反応収率99%で得た。
【0236】
実施例50
2'−デオキシアデノシンの合成
20gの純水に、実施例24で得た3.22g(7.72mmol)の2−デオキシリボース1−リン酸ジ(モノシクロヘキシルアンモニウム)塩、1.01g(7.47mmol)アデニンと0.67g(11.48mmol)の水酸化マグネシウムを加えた。得られた反応生成物のpHを20%水酸化ナトリウム水溶液にて8.6に調整後、0.1mlの前述の酵素液(0.1ml)を加え、50℃、3時間攪拌下で反応させた。3時間後の反応生成物をHPLCで分析したところ、所望の2'−デオキシアデノシンを反応収率99%で得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1−リン酸化糖誘導体のアノマー混合物を加リン酸分解および異性化し、生成する1−リン酸化糖誘導体モノマーのα体またはβ体の一方を選択的に晶析することによりアノマー混合物間の平衡を傾け、1−リン酸化糖誘導体モノマーのα体またはβ体の一方を選択的に製造する方法。
【請求項2】
下記式(1)
【化1】

〔式中、R1およびR2は、独立してそれぞれ水素原子、メチル基、保護されたヒドロキシメチル基または保護されたカルボキシル基を表し、R3はアシル基を表し、R4は水酸基の保護基を表し、Xはハロゲン原子、アルコキシ基またはアルキルチオ基を表し、Wは酸素原子またはイオウ原子を表し、Zは酸素原子、イオウ原子または置換されてもよい炭素原子を表し、mは1から3の整数を表し、nは0または1を表し、pおよびqは0から4の整数を表し、rは0または1を表す。(ただし、p、q、r、nは、Zが酸素原子、イオウ原子の場合には、p+r≦n+1、q≦2×(n+1)−2×(p+r)を、Zが炭素原子の場合はp+r≦n+2、q≦2×(n+2)−2×(p+r)を満たす。)〕で示される1−リン酸化糖誘導体のアノマー混合物を加リン酸分解および異性化し、生成する1−リン酸化糖誘導体モノマーのα体またはβ体の一方を選択的に晶析することによりアノマー混合物間の平衡を傾け、1−リン酸化糖誘導体モノマーのα体またはβ体の一方を選択的に製造する方法。
【請求項3】
下記式(1)
【化2】

(式中、R1、R2、R3、R4、X、W、Z、m、n、p、q、rは請求項2と同義である。)で示される1−リン酸化糖誘導体のアノマー混合物を加リン酸分解および異性化し、生成する1−リン酸化糖誘導体モノマーα体またはβ体の一方を選択的に晶析することによりアノマー混合物間の平衡を傾け、1−リン酸化糖誘導体モノマーのα体またはβ体の一方を選択的に製造し、ついでR4で表される保護基の脱離反応を行って、下記式(3)
【化3】

(式中、R1およびR2は、独立してそれぞれ水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基またはカルボキシル基を表し、R3は水素原子またはアシル基を表し、X、W、Z、n、p、q、rは前記と同義である。)で示される1−リン酸化糖誘導体モノマーを製造する方法。
【請求項4】
下記式(4)
【化4】

(式中、R1およびR2は、独立してそれぞれ水素原子、メチル基、置換されたベンゾイル基で保護されたヒドロキシメチル基、または保護されたカルボキシル基を表し、R4は水素原子または水酸基の保護基を表し、R3、X、W、Z、m、R3、p、q、rは、請求項2と同義である。)で示される1−リン酸化糖誘導体のトリマー、ダイマーもしくはモノマー、またはそれらの塩。
【請求項5】
下記式(5)
【化5】

〔式中、pおよびqは0から3の整数を表し、rは0または1を表し、R1、R2、R3、R4、X、W、Zは、請求項2と同義である。(ただし、p、q、rは、Zが酸素原子、イオウ原子の場合には、p+r≦1、q≦2−2×(p+r)を、Zが炭素原子の場合はp+r≦2、q≦4−2×(p+r)を満たす。)〕で示される1−リン酸化糖誘導体モノマーまたはその塩。
【請求項6】
下記式(6)
【化6】

(式中、R1およびR2は、独立してそれぞれ水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、またはカルボキシル基を表し、R3、X、W、Z、n、p、q、rは、請求項2と同義である。)で示される1−リン酸化糖誘導体モノマーまたはその塩(但し、天然に存在するものを除く)。
【請求項7】
前記式(6)において、n=1である請求項6記載の1−リン酸化糖誘導体モノマーまたはその塩。
【請求項8】
1がヒドロキシメチル基、R2が水素原子、pおよびrが0、Xがフッ素原子である請求項7記載の1−リン酸化糖誘導体モノマーまたはその塩。
【請求項9】
下記式(18):
【化7】

(式中、R11は保護されたヒドロキシメチル基を表し、R14は水酸基の保護基を表す。)で示される化合物を、塩基の存在下にリン酸で処理して、下記式(19):
【化8】

(式中、R11およびR14は、前記と同義であり、mは請求項2と同義である。)で示される1−リン酸化糖誘導体のアノマー混合物とした後、加リン酸分解および異性化し、生成するα体を選択的に晶析させることによるアノマー混合物間の平衡を傾け、下記式(20):
【化9】

(式中、R11およびR14は前記と同義である。)で示される1−リン酸化糖を製造する方法。
【請求項10】
下記式(18):
【化10】

(式中、R11は保護されたヒドロキシメチル基を表し、R14は水酸基の保護基を表す。)で示される化合物を、塩基の存在下にリン酸で処理して、下記式(19):
【化11】

(式中、R11およびR14は、前記と同義であり、mは請求項2と同義である。)で示される1−リン酸化糖誘導体のアノマー混合物とした後、加リン酸分解および異性化し、生成するα体を選択的に晶析させることによるアノマー混合物間の平衡を傾け、α体を選択的に製造し、ついで保護基の脱離を行って、2−デオキシ−α−D−リボース−1−リン酸を製造する方法。
【請求項11】
請求項3記載の1−リン酸化糖誘導体モノマーを製造する第一の工程と、該第一の工程で得られた1−リン酸化糖誘導体のリン酸基と塩基との交換反応をヌクレオシドホスホリラーゼにより行う第二の工程により、下記式(8)
【化12】

(式中、Bは、独立してそれぞれピリミジン、プリン、アザプリンおよびデアザプリンからなる群から選択された塩基を示し、それらはハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、ハロアルケニル基、アルキニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、水酸基、ヒドロキシアミノ基、アミノキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、アルキルメルカプト基、アリール基、アリールオキシ基またはシアノ基によって置換されていてもよい。また、R1、R2、R3、X、W、Z、m、n、p、q、rは請求項3記載の式(3)と同義である。)で示されるヌクレオシドの製造方法。
【請求項12】
ヌクレオシドホスホリラーゼを用いて、請求項6記載の1−リン酸化糖誘導体モノマーのリン酸基と塩基との交換反応により、下記式(8)
【化13】

(式中、Bは請求項11記載の式(8)と同義であり、R1、R2、R3、R4、X、W、Z、p、q、rは請求項6記載の式(6)と同義である。)で示されるヌクレオシドの製造方法。
【請求項13】
ヌクレオシドホスホリラーゼを用いて、請求項7記載の1−リン酸化糖誘導体モノマーのリン酸基と塩基との交換反応により、式(10)
【化14】

(式中、Bは請求項11記載の式(8)と同義であり、R1、R2、R3、R4、X、W、Z、p、q、rは請求項7記載の式(7)と同義である。)で示されるヌクレオシドの製造方法。
【請求項14】
1がヒドロキシメチル基、R2が水素原子、pおよびrが0、Xがフッ素原子である請求項13記載のヌクレオシドの製造方法。
【請求項15】
請求項14記載の2−デオキシ−α−D−リボース−1−リン酸を製造する第一の工程と、該第一の工程で得られた1−リン酸化糖誘導体のリン酸基と塩基との交換反応をヌクレオシドホスホリラーゼにより行う第二の工程による、下記式(21)
【化15】

(式中、Bは請求項11の式(8)と同義である。)で示されるヌクレオシドの製造方法。
【請求項16】
ヌクレオシドホスホリラーゼが、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(EC2.4.2.1)、グアノシンホスホリラーゼ(EC2.4.2.15)、ピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼ(EC2.4.2.2)、ウリジンホスホリラーゼ(EC2.4.2.3)、チミジンホスホリラーゼ(EC2.4.2.4)、デオキシウリジンホスホリラーゼ(EC2.4.2.23)からなる群から選択される1種又は2種以上の酵素であることを特徴とする請求項11から請求項15のいずれか一項に記載のヌクレオシドの製造方法。
【請求項17】
ヌクレオシドホスホリラーゼ活性に代えて、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(EC2.4.2.1)、グアノシンホスホリラーゼ(EC2.4.2.15)、ピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼ(EC2.4.2.2)、ウリジンホスホリラーゼ(EC2.4.2.3)、チミジンホスホリラーゼ(EC2.4.2.4)、デオキシウリジンホスホリラーゼ(EC2.4.2.23)からなる群から選択される1種又は2種以上のヌクレオシドホスホリラーゼを発現している微生物を用いることを特徴とする請求項11から請求項15記載のヌクレオシドの製造方法。
【請求項18】
ヌクレオシドホスホリラーゼにより、1−リン酸化糖誘導体モノマーのリン酸基と塩基との交換反応を行う際に、リン酸イオンと難水溶性の塩を形成しうる金属カチオンを反応液中に存在させることを特徴とする請求項11から請求項15記載の製造方法。
【請求項19】
リン酸と難水溶性の塩を形成しうる金属カチオンがカルシウムイオン、バリウムイオン、アルミニウムイオン及びマグネシウムイオンの中から選ばれる1種類以上の金属カチオンである請求項18記載の製造方法。
【請求項20】
ヌクレオシドが天然ヌクレオシドである請求項8記載のヌクレオシドの製造方法。
【請求項21】
下記式(11)
【化16】

(式中、B、R1、R2、R3、R4、X、W、Z、p、q、rは請求項11記載の式(8)と同義である。)で示される非天然型ヌクレオシドまたはその塩(但し、トリフルオロチミジン、リバビリン、オロチジン、ウラシルアラビノシド、アデニンアラビノシド、2−メチル−アデニンアラビノシド、2−クロル−ヒポキサンチンアラビノシド、チオグアニンアラビノシド、2,6−ジアミノプリンアラビノシド、シトシンアラビノシド、グアニンアラビノシド、チミンアラビノシド、エノシタビン、ジェムシタビン、アジドチミジン、イドクスウリジン、ジデオキシアデノシン、ジデオキシイノシン、ジデオキシシチジン、ジデヒドロデオキシチミジン、チアジデオキシシチジン、ソリブジン、5−メチルウリジン、ビラゾール、チオイノシン、テガフール、ドキシフルリジン、ブレディニン、ネブラリン、アロプリノールウラシル、5−フルオロウラシル、2'−アミノウリジン、2'−アミノアデノシン、2'−アミノグアノシン、2−クロル−2'−アミノイノシン、DMDC、FMDCは除く)。
【請求項22】
下記式(12)
【化17】

(式中、B、R1、R2、R3、R4、X、W、Z、p、q、rは請求項11記載の式(8)と同義である。)で示される非天然ヌクレオシドまたはその塩(但し、トリフルオロチミジン、リバビリン、オロチジン、ウラシルアラビノシド、アデニンアラビノシド、2−メチル−アデニンアラビノシド、2−クロル−ヒポキサンチンアラビノシド、チオグアニンアラビノシド、2,6−ジアミノプリンアラビノシド、シトシンアラビノシド、グアニンアラビノシド、チミンアラビノシド、エノシタビン、ジェムシタビン、アジドチミジン、イドクスウリジン、ジデオキシアデノシン、ジデオキシイノシン、ジデオキシシチジン、ジデヒドロデオキシチミジン、チアジデオキシシチジン、ソリブジン、5−メチルウリジン、ビラゾール、チオイノシン、テガフール、ドキシフルリジン、ブレディニン、ネブラリン、アロプリノールウラシル、5−フルオロウラシル、2'−アミノウリジン、2'−アミノアデノシン、2'−アミノグアノシン、2−クロル−2'−アミノイノシン、DMDC、FMDCは除く)。
【請求項23】
下記式(13)
【化18】

(式中、B、R1、R2、R3、R4、X、W、Z、p、q、rは請求項11記載の式(8)と同義である。)で示されるヌクレオシドまたはその塩(但し、トリフルオロチミジン、リバビリン、オロチジン、ウラシルアラビノシド、アデニンアラビノシド、2−メチル−アデニンアラビノシド、2−クロル−ヒポキサンチンアラビノシド、チオグアニンアラビノシド、2,6−ジアミノプリンアラビノシド、シトシンアラビノシド、グアニンアラビノシド、チミンアラビノシド、エノシタビン、ジェムシタビン、アジドチミジン、イドクスウリジン、ジデオキシアデノシン、ジデオキシイノシン、ジデオキシシチジン、ジデヒドロデオキシチミジン、チアジデオキシシチジン、ソリブジン、5−メチルウリジン、ビラゾール、チオイノシン、テガフール、ドキシフルリジン、ブレディニン、ネブラリン、アロプリノールウラシル、5−フルオロウラシル、2'−アミノウリジン、2'−アミノアデノシン、2'−アミノグアノシン、2−クロル−2'−アミノイノシン、DMDC、FMDCは除く)。
【請求項24】
下記式(20):
【化19】

(式中、R11は保護されたヒドロキシメチル基を、R14は水酸基の保護基を表す。)で示される1−リン酸化誘導体またはその塩。

【公開番号】特開2010−31037(P2010−31037A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252470(P2009−252470)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【分割の表示】特願2001−35749(P2001−35749)の分割
【原出願日】平成13年2月13日(2001.2.13)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】