説明

1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)エタノンを調製する方法

1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)エタノン及びその誘導体を調製する方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
本発明は、1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)エタノン及びその誘導体を合成する方法に関する。
【0002】
本願は、2009年10月26日に出願された米国仮出願第61/254,960号(その全体が参照により本明細書中に援用される)を基礎とする優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
2.背景
化合物1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)エタノン(THI)は、治療特性を有し得るCarmel Color IIIの微量成分である。例えば、特許文献1を参照されたい。THIは、関節リウマチ及び1型糖尿病等の疾患の治療において有用であると考えられる或る特定の化合物の合成における中間体でもある。例えば、特許文献2及び特許文献3を参照されたい。
【0004】
THIを調製する方法が報告されている。例えば非特許文献1、Kroeplien et al.に対する特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4を参照されたい。例えば、非特許文献4は、グルコサミン塩酸塩からTHIを調製する方法を記載しているが、僅か19%の収率しか得られていない(非特許文献4、1135頁)。結果として、より良いTHIの調製方法が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,567,194号
【特許文献2】米国特許出願公開第2007−0208063号
【特許文献3】米国特許出願公開第2008−0262241号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Kroeplien, U. and Rosdorfer, J., J. Org. Chem. 50:1131-1133 (1985)
【非特許文献2】Cliff, M.D. and Pyne, S.G., Tet. Lett. 36(33):5969-5972 (1995)
【非特許文献3】Cliff, M.D. and Pyne, S.G., J. Org. Chem. 62:1023-1032 (1997)
【非特許文献4】Halweg, K.M. and Buechi, G., J. Org. Chem. 50:1134-1136, 1135 (1985) ("Buechi")
【発明の概要】
【0007】
3.発明の概要
本発明は、1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)エタノン及びその塩を調製する方法を包含する。(E)−1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)−エタノンオキシム及びその塩を調製する方法も包含される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
4.詳細な説明
本発明は、化合物を良好な収率で得ることができ、その大規模(例えばキログラム規模)の製造によく適している、1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)エタノン(THI)を調製する方法の発見に一部基づく。
【0009】
4.1.定義
特に明示のない限り、「Xを超える」という語句(ここで、Xは数値である)は、「X、又はXを超える」と同じ意味を有する。同様に、「約Xを超える」という語句(ここで、Xは数値である)は、「約X、又は約Xを超える」と同じ意味を有する。
【0010】
特に明示のない限り、「X未満」という語句(ここで、Xは数値である)は、「X、又はX未満」と同じ意味を有する。同様に、「約X未満」という語句(ここで、Xは数値である)は、「約X、又は約X未満」と同じ意味を有する。
【0011】
特に明示のない限り、「挙げられる(含む)(include)」という用語は、「挙げられる(含む)」と同じ意味を有し、「挙げられる(含む)(includes)」という用語は、「挙げられるが(含むが)、これらに限定されない」と同じ意味を有する。同様に、「等(such as)」という用語は、「等(しかし、これらに限定されない)」という用語と同じ意味を有する。
【0012】
特に明示のない限り、一連の名詞の直前にくる1つ又は複数の形容詞は、それぞれの名詞にかかるものと解釈される。例えば、「必要に応じて置換されたアルキル(alkyl)、アリール又はヘテロアリール」という語句は、「必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリール、又は必要に応じて置換されたヘテロアリール」と同じ意味を有する。
【0013】
また、構造又は構造の一部分の立体化学が例えば太線又は破線で示されない場合、構造又は構造の一部分はその全ての立体異性体を包含すると解釈されることに留意すべきである。同様に、キラル中心の立体化学が特定されていない1つ又は複数のキラル中心を有する化合物の名称は、その純粋な立体異性体及びそれらの混合物を包含する。さらに、原子価が満たされていない図で示された任意の原子は、この原子価を満たすのに十分な水素原子と結合していると推測される。さらに、一本の破線に平行な一本の実線で示された化学結合は、原子価に応じて、単結合及び二重(例えば芳香族)結合の両方を包含する。本明細書中に記載される化合物の互変異性体は本発明に包含される。
【0014】
4.2.合成方法
本発明は、THI:
【0015】
【化1】

及び薬学的に許容されるその塩を、2−エトキシアクリロニトリル及びD−グルコサミンから調製する方法を包含する。特定の方法は、D−グルコサミンアセテート等のD−グルコサミンの弱酸塩を利用する。出願人らは、かかる弱酸の使用によって、文献に報告されている収率を超えるTHIの収率を得ることができることを発見した。例えば、非特許文献4の1135頁を参照されたい。
【0016】
一実施形態は、1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)エタノンを調製する方法であって、2−エトキシアクリルイミデートをD−グルコサミンの弱酸塩と接触させて、第1の混合物を得ることと、前記第1の混合物を塩基と接触させて、第2の混合物を得ることと、水性酸を前記第2の混合物に添加して、第3の混合物を得ることと、1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)エタノンを前記第3の混合物から単離することとを含む、1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)エタノンを調製する方法を包含する。D−グルコサミンの弱酸塩の例としては、D−グルコサミンアセテートが挙げられる。他の好適な弱酸としては、有機酸(例えば、ギ酸、トリクロロ酢酸(trichloroacetic acid)、プロピオン酸、安息香酸、クエン酸、コハク酸、乳酸)及び無機酸(例えば、炭酸、リン酸及びホスホン酸)が挙げられる。
【0017】
塩基の例としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコキシド、水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、トリアルキルアミンが挙げられる。具体的な塩基はメトキシドである。
【0018】
特定の方法では、前記第1の混合物を、約10℃、15℃又は20℃を超える温度で少なくとも約0.5時間、4時間又は8時間維持する。
【0019】
特定の方法では、前記第2の混合物を、約5℃、10℃又は20℃を超える温度で少なくとも約1時間、2時間又は3時間維持する。
【0020】
特定の方法では、前記第3の混合物を、約20℃、30℃又は50℃を超える温度で少なくとも約0.5時間、1時間又は3時間維持する。
【0021】
特定の方法では、前記水性酸のpKが約0〜約10、約0〜約8又は約0〜約6である。水性酸の例としては、ギ酸、酢酸、及びトリクロロ酢酸、塩酸、硫酸、及びリン酸が挙げられる。
【0022】
特定の方法では、前記1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)エタノンを、前記第3の混合物を濃縮し、冷却し、かつ/又は水で希釈することによって調製したスラリーを濾過することによって単離する。
【0023】
好ましい方法は、1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)エタノンを、約50パーセント、55パーセント、60パーセント又は65パーセントを超える収率で提供する。
【0024】
特定の方法では、前記2−エトキシアクリルイミデートを、2−エトキシアクリロニトリルをアルコール及びアルカリ金属アルコキシド又はアルカリ土類金属アルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド)と接触させて、第4の混合物を得る、2−エトキシアクリロニトリルをアルコール及びアルカリ金属アルコキシド又はアルカリ土類金属アルコキシドと接触させることによって調製する。一方法では、前記第4の混合物を、約0℃、5℃又は10℃を超える温度で少なくとも約2時間、6時間又は8時間維持する。
【0025】
本発明の一実施形態は、1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)エタノンを調製する方法であって、D−グルコサミン又はその塩、弱酸又はその金属塩、及びアルコール溶媒を含む初期混合物を、約0℃を超える温度で維持することと、2−エトキシアクリルイミデートを前記初期混合物と接触させて、第1の混合物を得ることと、前記第1の混合物を塩基と接触させて、第2の混合物を得ることと、前記第2の混合物を水性酸と接触させて、第3の混合物を得ることと、1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)エタノンを前記第3の混合物から単離することとを含む、1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)エタノンを調製する方法を包含する。
【0026】
本発明は、(E)−1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)−エタノンオキシムを調製する方法も包含する。一実施形態では、(E)−1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)−エタノンオキシムを、THI(本明細書中に記載されるように調製した)をヒドロキシルアミン又はその塩と、(E)−1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)−エタノンオキシムを形成するのに十分な条件下で接触させることによって調製する。特定の条件としては、溶媒(例えばメタノール、又はエタノールを含む混合物)の使用、ヒドロキシルアミン塩を使用する場合の塩基(例えば、酢酸ナトリウム、トリエチルアミン、炭酸ナトリウム、ナトリウムメトキシド)の存在、及び任意で(E)−1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)−エタノンオキシムを得るのに十分な時間(例えば、約1時間、2時間又は4時間を超える)の(例えば、約40℃、50℃又は60℃を超える温度での)加熱が挙げられる。
【実施例】
【0027】
5.実施例
本発明の態様は、本発明の範囲を限定するものではない以下の実施例から理解することができる。
【0028】
5.1.実施例1:1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)エタノンの調製
1000mL容の三つ口フラスコ(R1)に、40.0g(0.41mol)の2−エトキシアクリロニトリル及び400mLのMeOHを投入し、得られた混合物を約10℃〜20℃で10分間撹拌した。この混合物に、26.7g(0.12mol)の25.0%NaOMe/MeOHを20℃未満の温度でゆっくりと添加した。この混合物を常温で8時間撹拌した。2000mL容の三つ口フラスコ(R2)に、88.7g(0.41mol)のグルコサミンHCl塩、40.6g(0.49mol)のNaOAc及び400mLのMeOHを投入し、得られた混合物を15℃〜25℃で1時間撹拌した。R1内の混合物を滴下漏斗によってR2内にゆっくりと移した。この混合物を10℃〜25℃で36時間撹拌し、53.3g(0.36mol)の25.0%NaOMe/MeOHをゆっくりと添加した。得られた混合物を10℃〜25℃で36時間更に撹拌し、500mLの水及び62.4g(1.1mol)のHOAcを投入した。この混合物を50℃で3時間加熱し、約400mlまで濃縮し、0℃〜5℃に冷却し、この温度で2時間撹拌した。生成物を濾過及び真空乾燥によって単離した。最終生成物(THI)をオフホワイト色の固体として得た(69.6g、収率74%、HPLC面積による純度98%)。H NMR(DO)δ7.23(br s,1H)、4.90(br s,1H)、3.71(br m,2H)、3.63(m,1H)、2.48(s,3H)。
【0029】
5.2.実施例2:1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)エタノンの代替的調製
反応器に、2−エトキシアクリロニトリル(26.4kg、純度96.7%、263mol)及びMeOH(188kg)を室温で投入した。この溶液に、NaOMe/MeOH(25w%、18.8kg、87mol)を、温度を0℃〜10℃に維持しながらゆっくりと添加した。次いで、反応混合物を20℃〜25℃で8時間〜10時間撹拌し、2−エトキシアクリルイミデートを生成した。
【0030】
別の反応器に、D−グルコサミン塩酸塩(67.5kg、313mol)、NaOAc(26.8kg、327mol)及びMeOH(188kg)を投入した。上記のメチル2−エトキシアクリルイミデートのメタノール溶液を、温度を0℃〜10℃に維持しながらゆっくりと添加した。次いで、反応混合物を20℃〜25℃で8時間〜9時間撹拌した。撹拌した混合物を冷却して0℃〜10℃に戻し、NaOMe/MeOH(25w%、35.6kg、165mol)をこの温度で添加した。次いで、反応混合物を20℃〜25℃で4時間〜5時間撹拌し、エノールエーテル前駆体を得た。
【0031】
反応混合物に水(293kg)、続いてHOAc(35.0kg、583mol)を20℃〜30℃で添加した。得られた混合物を20℃〜30℃で30分間撹拌した後、55℃〜60℃で3時間〜3.5時間加熱した。
【0032】
1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)エタノンの種晶(0.39kg)を、反応混合物に55℃〜60℃で添加し、混合物をこの温度で1時間〜2時間撹拌した。反応混合物を40℃未満に冷却し、真空下で128L〜204Lまで濃縮し、水(26kg)で再希釈し、真空下で102L〜179Lまで更に濃縮した。次いで、混合物を0℃〜10℃に冷却し、この温度で2時間〜3時間撹拌した。このスラリーを濾過して、湿潤ケーキを冷水(26kg)で洗った。湿潤ケーキを45℃〜55℃で真空乾燥し、所望の生成物(THI、43.25kg、純度99.8A%及び98.0w%、収率70.0%)をオフホワイト色の固体として得た。
【0033】
5.3.実施例3:(E)−1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)エタノンオキシム二水和物の調製
メカニカルスターラー、温度調節器及び凝縮器を備えた3L容の三つ口丸底フラスコに、1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)エタノン(100.0g、434.4mmol)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(45.2g、1.5当量)、酢酸ナトリウム(53.4g、1.5当量)及びメタノール(HPLCグレード、1.0L、10倍量)を投入した。上記の溶液を65℃で2時間撹拌しながら加熱した。
【0034】
次いで、混合物に、HClのイソプロパノール溶液(92.7mlの塩化アセチルを200mlのイソプロパノールに0℃でゆっくりと添加することによって新たに調製した;3.0当量)を15分かけて添加し、得られた混合物を65℃で3時間撹拌した。混合物をMeOH(1.0L、10倍量)で希釈し、室温に冷却し、沈殿した塩化ナトリウムを濾過によって除去した。固体をMeOH(100ml、1倍量)で洗って、溶液を真空下、40℃で、固体が形成され始めるまで濃縮した(約200ml)。次いで、水(1.0L、10倍量)を添加し、残留有機溶媒を真空下、40℃で除去した。清澄濾過を行い、透明な黄色の溶液を得た。この溶液に、50%NaOH水溶液を、混合物の温度が40℃を超えないよう、pHが7.2(7.0〜7.5)に達するまで室温でゆっくりと添加した。次いで、得られた溶液を65℃に加熱して均一な溶液を形成し、真空下、65℃(60℃〜70℃)で、溶液の総容量が約500ml(5倍量)になるまで濃縮した。次いで、混合物を室温までゆっくりと冷却し、更に0℃に冷却し、0℃で1時間撹拌した。固体を濾過によって回収し、水(0℃、100ml、1倍量、2回)で洗って、白色の結晶性固体を得た。
【0035】
上記の湿潤固体に水(400ml)を添加し、得られた混合物を、全てが溶解するまで70℃〜80℃に加熱した。溶液を室温に冷却した後、0℃で1時間撹拌した。固体を濾過によって回収し、水(0℃、100ml、1倍量、2回)で洗った後、真空下、30℃で一晩乾燥させて、99.4gの表題の化合物を得た。NMR分析によって、この物質が約3%のZ異性体を含有することが示された。
【0036】
5.4.実施例4:(E)−1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)−エタノンオキシム二水和物の代替的調製
反応器に、THI(71.65kg、311mol、1倍量)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(17.0kg、245mol、0.24倍量)、酢酸ナトリウム(39.15kg、477mol、0.55倍量)及びメタノール(571kg、7.97倍量)を投入した。溶液を60℃〜65℃で3時間〜4時間撹拌しながら加熱した後、20℃〜30℃に冷却した。混合物にヒドロキシルアミン塩酸塩(17.0kg、245mol、0.24倍量)を投入した後、9時間〜10時間撹拌しながら60℃〜65℃に加熱し、その後25℃〜30℃に冷却した。
【0037】
次いで、混合物にHClガス(31.4kg、0.44倍量)を40℃未満の温度で表面下に添加し、得られた混合物を60℃〜65℃で3時間〜4時間撹拌しながら加熱した。溶液を25℃〜30℃に冷却し、真空下、50℃未満で約179L〜215L(2.5倍量〜3.0倍量)まで濃縮した。次いで、水(350kg、4.88倍量)を添加し、混合物を55℃〜60℃に加熱し、全ての固体を溶解させた。混合物を40℃未満に冷却し、10%NaOH溶液(286kg、4.0倍量)をゆっくりと添加して、pHを7.0〜8.0に調整した。この混合物に炭(2.0kg、0.028倍量)を添加した。得られた混合物を55℃〜65℃で50分間〜60分間加熱した後、濾過した。湿潤ケーキを熱水(46kg、0.6倍量)で洗った。濾液を真空下、55℃未満の温度で394L〜466L(5.5倍量〜6.5倍量)まで濃縮した。混合物を30℃〜40℃に1時間〜2時間かけて、20℃〜30℃に1時間〜2時間かけて、10℃〜20℃に1時間〜2時間かけて、次いで0℃〜5℃に2時間〜3時間かけて冷却した。得られた懸濁液を0℃〜5℃で2時間〜3時間撹拌し、濾過した。湿潤ケーキを冷水(56kg、0.78倍量)で洗った。
【0038】
湿潤ケーキに、精製水(649kg、9.05倍量)を添加し、混合物を55℃〜65℃に加熱し、全ての固体が溶解するまで撹拌した。この高温溶液を清澄濾過し、予熱した精製水(72kg、1.0倍量)ですすいだ。濾液を真空下、45℃〜55℃で394L〜466L(5.5倍量〜6.5倍量)まで濃縮した。混合物を30℃〜40℃に1時間〜2時間かけて、20℃〜30℃に1時間〜2時間かけて、10℃〜20℃に1時間〜2時間かけて、次いで0℃〜5℃に2時間〜3時間かけて冷却した。得られた懸濁液を0℃〜5℃で2時間〜3時間撹拌し、濾過した。湿潤ケーキを冷精製水(50kg、0.7倍量)で洗った。湿潤ケーキ(64.8kg)を回収し、真空下、30℃〜35℃でKFが12.9%となるまで乾燥させて、62.1kgの表題の化合物を白色の固体として得た(純度98.9A%及び99.5w%、単離収率70.6%)。H NMR(DO中、1滴のDClを有するDO)7.30(s,1H)、5.04(s,1H)、3.45〜3.75(m,4H)、2.13(s,3H);13C NMR(DO中、1滴のDClを有するDO)143.8、140.9、135.0、116.9、72.5、70.6、64.4、62.7、10.5;MH=246.1。
【0039】
5.5.実施例5:無水(E)−1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)−エタノンオキシムの調製
実施例3の固体を、EtOH(800ml、8倍量)を用いてスラリーにし、75℃で1時間加熱した。得られた混合物を0℃に冷却し、0℃で1時間撹拌した。白色の固体を濾過によって回収し、EtOH(0℃、100ml、1倍量、2回)で洗って、真空下、50℃で一定重量まで乾燥させて、表題の化合物を得た。NMR分析によって約2%のZ異性体が示された。H NMR(DO)7.05(s,1H)、4.83(d,J=3.6Hz,1H)、3.60〜3.80(m,3H)、3.50(dd,J=11.6,6.8Hz,1H)、2.11(d,J=4.0Hz,3H);H NMR(DO中、1滴のDClを有するDO)7.30(s,1H)、5.04(s,1H)、3.45〜3.75(m,4H)、2.13(s,3H);13C NMR(DO中、1滴のDClを有するDO)143.8、140.9、135.0、116.9、72.5、70.6、64.4、62.7、10.5;MH=246.1。
【0040】
引用した刊行物、特許及び特許出願はすべて、その全体が参照により本明細書中に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)エタノンを調製する方法であって、
2−エトキシアクリルイミデートをD−グルコサミンの弱酸塩と接触させて、第1の混合物を得ることと、
前記第1の混合物を塩基と接触させて、第2の混合物を得ることと、
水性酸を前記第2の混合物に添加して、第3の混合物を得ることと、
1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)エタノンを前記第3の混合物から単離することと
を含む、1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)エタノンを調製する方法。
【請求項2】
前記D−グルコサミンの弱酸塩がD−グルコサミンアセテートである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記塩基がアルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコキシド、水酸化物、炭酸塩、リン酸塩又はトリアルキルアミンである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記塩基がメトキシドである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の混合物を、10℃を超える温度で少なくとも0.5時間維持する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の混合物を、5℃を超える温度で少なくとも1時間維持する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第3の混合物を、20℃を超える温度で少なくとも0.5時間維持する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記水性酸のpKが0〜10である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記水性酸がギ酸、酢酸又はトリクロロ酢酸である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記水性酸が酢酸である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)エタノンを、前記第3の混合物を濃縮し、冷却し、かつ/又は水で希釈することによって調製したスラリーを濾過することによって単離する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)エタノンを、約50パーセントを超える収率で単離する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記2−エトキシアクリルイミデートを、2−エトキシアクリロニトリルをアルコール及びアルカリ金属アルコキシド又はアルカリ土類金属アルコキシドと接触させて調製し、第4の混合物を得る、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第4の混合物を、0℃を超える温度で少なくとも2時間維持する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)エタノンを調製する方法であって、
2−エトキシアクリルイミデートを、D−グルコサミン又はその塩、弱酸又はその金属塩、及びアルコールを含む初期混合物と0℃を超える温度で接触させて、第1の混合物を得ることと、
前記第1の混合物を塩基と接触させて、第2の混合物を得ることと、
前記第2の混合物を水性酸と接触させて、第3の混合物を得ることと、
1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)エタノンを前記第3の混合物から単離することと
を含む、1−(4−((1R,2S,3R)−1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)−1H−イミダゾール−2−イル)エタノンを調製する方法。

【公表番号】特表2013−508418(P2013−508418A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535442(P2012−535442)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/053923
【国際公開番号】WO2011/053546
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(508192566)レクシコン ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (38)