説明

1−N−アリールピラゾール誘導体及びホルムアミジンを含む局所製剤

【課題】哺乳類又は鳥類への寄生虫侵襲を治療し、抑制し、又は予防するための局所製剤および方法の提供。
【解決手段】少なくとも1つの1−N−アリールピラゾール誘導体及びアミトラズなどのホルムアミジンを含み、さらにIGR化合物やアベルメクチン又はミルベマイシン誘導体などの別の外部寄生虫駆除剤、ピレスロイド殺虫剤、及び/又はベンズイミダゾールやイミダゾチアゾールなどの駆虫剤を含むことができる。より速い防除速度で、より長く続く寄生虫防除時間をもたらし、最初に施用してから3カ月まで、効果が持続する。本局所製剤にはスポットオン、ポアオン、又はスプレー製剤が含まれ、防除され、処理され、又は予防することができる外部寄生虫には、マダニ、ノミ、ダニ、疥癬、シラミ、蚊、ハエ、及びウシバエが含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により本明細書に組み込まれている、2003年12月17日に出願した米国仮出願第60/530525号及び2004年2月20日に出願した米国特許出願第10/783459号の優先権を、その内部で引用されている各文献と共に、主張するものである。節足動物媒介性及び蚊媒介性疾患の予防における1−N−アリールピラゾール誘導体という名称の、2003年2月26日に出願した米国特許出願第10/374627号も参照されたい。この出願及び全ての出願及びその内部に引用されている先行文献(文脈中又は手続き遂行中に引用された文献を含む)と、本明細書に引用されている全ての文献(「出願引用文献」)と、出願引用文献で引用され又は参照される全ての文献を、参照により特別に本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は、とりわけ、少なくとも1種の1−N−アリールピラゾール誘導体、及びアミトラズなどの少なくとも1種のホルムアミジンを含む、新規な局所製剤と、この本発明の製剤を哺乳類及び鳥類に局所施用することによって、前記哺乳類及び鳥類の寄生虫感染症を治療するための方法とを提供する。本発明の製剤は、フィプロニルなどの1−N−アリールピラゾール誘導体のみを含む製剤よりもはるかに優れた、ノミやマダニなどの外部寄生虫に対する活性を示し、それによって相乗効果が示される。この結果は、アミトラズがノミ製品として、当技術分野で認識されていないことを考えると、さらに驚くべきものである。
【背景技術】
【0003】
寄生虫症は、内部寄生虫又は外部寄生虫によって引き起こされる可能性がある。本明細書で使用される内部寄生虫とは、宿主の身体内、即ち器官(胃や肺、心臓、腸など)内又は単に皮下に棲息する寄生虫を指す。外部寄生虫は、宿主の外面に棲息しているが、それでも宿主から栄養素を引き込む寄生虫である。内部寄生虫症は、感染に関与する寄生虫の種類に基づいて、さらに細分することができる。例えば、一般に蠕虫症と呼ばれる内部寄生虫症は、蠕虫として知られる寄生虫に宿主が感染したことが原因である。蠕虫症は、ブタやヒツジ、ウマ、ウシ、ヤギ、イヌ、ネコ、家禽などの家畜化動物の感染に関わる、広く行き渡った深刻な世界規模の問題である。線虫と言われる虫の群によって引き起こされる、これらの感染の多くは、世界中の様々な種の動物に疾患を引き起こす。これらの疾患は、しばしば重篤であり、感染した動物に死をもたらす可能性がある。上述の動物に感染する最も一般的な線虫の属には、捻転胃虫属(Haemonchus)、毛様線虫属(Trichostrongylus)、オステルタジア属(Ostertagia)、線虫属(Nematodirus)、クーペリア属(Cooperia)、アスカリス属(Ascaris)、ブノストマム属(Bunostomum)、腸結節虫属(Oesophagostomum)、チャベルティア属(Chabertia)、鞭虫属(Trichuris)、円虫属(Strongylus)、トリコネマ属(Trichonema)、ディクチオカウルス属(Dictyocaulus)、毛細線虫属(Capillaria)、ヘテラキス属(Heterakis)、トキソカラ属(Toxocara)、アスカリディア属(Ascaridia)、ギョウ虫属(Oxyuris)、鉤虫属(Ancylostoma)、ウンシナリア属(Uncinaria)、イヌ回虫属(Toxascaris)、及びウマ回虫属(Parascaris)が含まれるが、これらに限定するものではない。多くの寄生虫は、特異的な(1種の宿主だけに感染する)種であり、またほとんどが、動物の内部に好ましい感染部位を有する。したがって、捻転胃虫属(Haemonchus)及びオステルタジア属(Ostertagia)が主に胃に感染するのに対し、線虫属(Nematodirus)及びクーペリア属(Cooperia)は、その大部分が腸を冒す。その他の内部寄生虫は、心臓、眼、肺、血管などに棲息するのに対し、さらに他の内部寄生虫は、皮下寄生虫である。蠕虫症は、衰弱、体重減少、貧血、腸損傷、栄養不良、及びその他の器官の損傷をもたらす可能性がある。これらの疾患を治療しないままでいると、動物が死に至る可能性がある。
【0004】
動物及び人間に感染する内部寄生虫の例には、鉤虫属(Ancylostoma)、アメリカ鉤虫属(Necator)、アスカリス属(Ascaris)、ストロンギロイデス属(Strongyloides)、旋毛虫属(Trichinella)、毛細線虫属(Capillaria)、鞭虫属(Trichuris)、ギョウ虫属(Enterobius)などの胃腸寄生虫が含まれるが、これらに限定するものではない。動物及び人間に感染するその他の内部寄生虫は、血液中又はその他の器官内に見られる。そのような寄生虫の例には、フィラリア虫であるブケレリア属(Wuchereria)、ブルギア属(Brugia)、オンコセルカ属(Onchocerca)など、並びに腸管外期の腸内寄生虫である円虫属(Strongylides)及び旋毛虫属(Trichinella)が含まれるが、これらに限定するものではない。人間及び家畜に感染する外部寄生虫には、マダニやノミ、ダニ、蚊、シラミなどの節足動物が含まれ、これらの寄生虫による感染は、重篤且つさらに致命的な疾患をもたらす可能性がある。
【0005】
マダニ、ダニ、シラミ、サシバエ(stable flies、hornflies)、クロバエ、イエバエ、ノミ、蚊などを含むがこれらに限定されない外部寄生性節足動物による侵襲も、深刻な問題である。これらの寄生虫による感染は、血液の損失及び皮膚の損傷をもたらすだけではなく、正常な食習慣も妨げ、したがって体重減少をもたらす可能性もある。外部寄生虫による宿主の侵襲は、脳炎、アナプラズマ症、バベシア症、ロッキー山斑点熱、ライム病、エーリキア症、西ナイルウイルス、豚痘、マラリア、黄熱などを含むがこれらに限定することのない重篤な疾患の伝染ももたらす可能性があり、その多くは、宿主に致命的になる可能性がある。動物は、1種の寄生虫による感染で衰弱し、第2の寄生虫による感染をより受け易くなるので、数種の寄生虫に同時に感染する可能性がある。
【0006】
本発明で使用される化合物の多くは、ゴキブリ、チャバネゴキブリ種(Blatella sp.)、イガ、コイガ種(Tineola sp.)、カツオブシムシ、ヒメカツオブシ種(Attagenus sp.)、及びイエバエ(Musca domestica)を含むがこれらに限定することのない家庭内害虫に対しても活性があり、ヒアリ(Solenopsis invicta)(移入したハリアリ)、シロアリなどに対しても活性がある。
【0007】
これらの化合物は、さらに、アブラムシ(Acyrthiosiphon sp.)やバッタ、ワタミハナゾウムシなどの農業害虫に対して、並びにコクヌストモドキ種(Tribolium sp.)など貯蔵穀類を冒す害虫に対して、且つ植物組織上に棲息する発達期の昆虫に対して有用である。駆虫化合物は、農業上重要と考えられる、土壌線虫を防除するための殺線虫薬としても有用である。
【0008】
抗寄生虫剤は、ウシやヒツジ、ウマ、イヌ、ネコ、ヤギ、ブタ、家禽など、家畜の蠕虫症の治療及び/又は予防にも有用である。この抗寄生虫剤は、マダニやダニ、シラミ、ノミ、蚊などの外部寄生虫によるこれら動物の寄生虫感染の予防及び治療にも有用である。この抗寄生虫剤は、人間の寄生虫感染の治療にも効果的である。
【0009】
抗寄生虫製剤を処方する様々な方法が、当技術分野では知られている。これらには、経口製剤、食餌、栄養補助食品、粉末、シャンプーなどが含まれる。抗寄生虫製剤を限局的に局所施用するための製剤も、当技術分野で知られている。例えば、フィプロニルなどの1−N−フェニルピラゾール誘導体を含むポアオン(pour-on)溶液が、当技術分野で知られており、この溶液は、例えば米国特許第6010710号、米国特許第6413542号、米国特許第6001384号、米国特許第6413542号、並びに2002年4月11日に出願した同時係属出願第10/120691号であって現在は許可されているものに記載されている。抗寄生虫剤を処方するその他の方法には、スポットオン(spot-on)製剤又はスプレーが含まれる。
【0010】
スポットオン製剤は、宿主の限定領域に抗寄生虫剤を局所的に送達するための、周知の技法である。例えば米国特許第5045536号は、外部寄生虫に対するそのような製剤について記述している。その他のスポットオン製剤には、米国特許第6426333号及び米国特許第6482425号と、米国特許出願第10/155397号であって現在では許可されており且つ米国公開特許第2003−0050327号として公開されているものが含まれる。米国特許公開第2003−166688号も参照されたい。WO01/957715号は、小げっ歯類の外部寄生虫を防除するための、並びに節足動物又は小げっ歯類によって引き起こされる疾患を妨げ又は予防するための方法について記述しており、この方法は、スポットオン組成物などの局所製剤を、げっ歯類の皮膚又は毛に施用するステップを含んでいる。
【0011】
ある種類の化学物質としての1−N−アリールピラゾールが、当技術分野では周知であり、それと同時に、家畜やコンパニオンアニマルなどの哺乳類又は鳥類の、ノミやマダニ、シラミ、蚊などの昆虫を含めた寄生虫を防除する際に、この化学物質を、単独で又は昆虫成長調節剤などのその他の殺虫剤と組み合わせて使用する方法が、当技術分野では周知である。例えば、EP−A−295217、EP295177、EP−A−840−686、EP−A−352944、WO00/35844、WO98/39972、米国特許第5122530号、第5236938号、第5232940号、第5576429号、第5814652号、第5567429号、第6090751号、及び6096329号、並びに米国特許公開第2002−90281号を参照されたい。米国同時係属出願第07/719942号、第08/933016号、第09/174598号、第08/863182号、及び第08/863692号も参照されたい。これらの特許で定義された系統の化合物は、極めて活性が高く、これらの化合物の1種、5−アミノ−3−シアノ−1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−4−トリフルオロメチルスルフィニルピラゾール、又はフィプロニルは、ノミ及びマダニに対して特に効果的であるが、これらに限ることなく効果的である。1−アリールピラゾールは、動物の皮脂腺内に分布されることによって、その活性を発揮する。
【0012】
WO−A−87/3781、EP−A−295117、及びEP−A−500209は、N−フェニル−ピラゾール誘導体である殺虫剤の種類について記述している。これらの化合物は、農業、公衆衛生、及び獣医学などの様々な分野で、昆虫及びダニを含む非常に大きな数の寄生虫に対して活性を有するものとして与えられる。これらの文書の概略的な教示は、これらの殺虫化合物を、種々の経路を介して、即ち経口、非経口、経皮、及び局所的経路を介して投与できることを示している。局所投与には、特に、皮膚溶液(ポアオン又はスポットオン)、スプレー、飲薬、浴用剤、シャワー、噴流、粉末、グリース、シャンプー、クリームなどが含まれる。ポアオン型の皮膚溶液は、経皮投与用に設計することができる。EP−A−295117の実施例9及びEP−A−500209の実施例29Iは、殺虫剤の経皮投与のための、15%の殺虫剤と85%のジメチルスルホキシドとを含有するポアオン型の皮膚溶液について記述している。1−N−アリールピラゾール誘導体は、ネコやイヌ、ウシなどの哺乳類の外部寄生虫感染を予防し、治療し、又は抑制することが、当技術分野で知られている。
【0013】
アミトラズは、殺虫剤として当技術分野で知られており、アカグモダニ(red spider mites)、ハダニ(leaf mites)、カイガラムシ、及びアブラムシを防除するのに使用される。動物では、アミトラズを、マダニ、ダニ、及びシラミを防除するのに使用する。Extoxnet http://ace.orst.edu/info/extonet/pips/amitraz.html。しかしアミトラズは、ノミを処理することが当技術分野で知られていない。アミトラズは、ホルムアジジンの化学群、即ち作物保護にいずれも有用なクロルジメホルム及びクロルメブホルムを含む群に属する。米国特許第3781355号及び第3864497号(これらの内容は、その全体が、参照により本明細書に組み込まれている)に記載されているアミトラズは、下記の構造を有する。
【0014】

【0015】
内部及び外部寄生虫による侵襲を呈し、治療し、又は抑制することが当技術分野で知られているその他の化合物には、ミルベマイシン又はアベルメクチン誘導体が含まれる。アベルメクチン及びミルベマイシン系列の化合物は、広範な内部及び外部寄生生物に対する強力な駆虫剤である。この系列に属する化合物は、天然の産物であり、又はその半合成誘導体である。これら2つの系列の化合物の構造は、密接に関連しており、それらは共に、錯体である16員大環状ラクトン環を共有するが、ミルベマイシンは、ラクトン環の13位にアグリコン置換基を含有していない。天然産物のアベルメクチンは、Albers-Schonberg他の米国特許第4310519号に開示されており、22,23−ジヒドロアベルメクチン化合物は、Chabala他の米国特許第4199569号に開示されている。アベルメクチンの、人間及び動物における使用の検討も含めた、アベルメクチンの総括的な検討に関しては、"Ivermectin and Abamectin," W.C.Campbell,ed., Springer-Verlag, New York(1989)を参照されたい。自然に生ずるミルベマイシンは、Aoki他の米国特許第3950360号に、並びに"The Merck Index" 12thed., S.Budavari,Ed., Merck&Co.,Inc. Whitehouse Station, New Jersey(1996)に引用されている様々な文献に記載されている。これらの種類の化合物の半合成誘導体は、当技術分野で周知であり、例えば、米国特許第5077308号、米国特許第4859657号、米国特許第4963582号、米国特許第4855317号、米国特許第4871719号、米国特許第4874749号、米国特許第4427663号、米国特許第4310519号、米国特許第4199569号、米国特許第5055596号、米国特許第4973711号、米国特許第4978677号、及び米国特許第4920148号に記載されている。
【0016】
アベルメクチン及びミルベマイシンは、同じ共通の16員大環状ラクトン環を共有するが、ミルベマイシンは、ラクトン環の13位に二糖置換基を持っていない。多くのアベルメクチン化合物が、当技術分野で知られているが、その種類の化合物の代表的な構造は下記の通りである。
【0017】


(式中、破線は、22,23位での単結合又は二重結合を示し;
は、破線が単結合を示す場合にのみRが存在するという条件で、水素又はヒドロキシであり;
は、1から6個の炭素原子を持つアルキル、又は3から6個の炭素原子を持つアルケニル、又は3から8個の炭素原子を持つシクロアルキルであり;
は、ヒドロキシ、メトキシ、又は=NORであって、Rが水素又は低級アルキルであるものであり;
は、水素、ヒドロキシ、又は
【0018】


であって、Rがヒドロキシ、アミノ、モノ又はジ−低級アルキルアミノ又は低級アルカノイルアミノであるものである。)
【0019】
好ましい化合物は、アベルメクチンB1a/B1b(アバメクチン)、22,23−ジヒドロアベルメクチンB1a/B1b(イベルメクチン)、及びアベルメクチンB1a/B1bの4″−アセチルアミノ−5−ケトキシイミノ誘導体である。アバメクチンとイベルメクチンは共に、広域抗寄生虫剤として認可されている。
【0020】
アバメクチン及びイベルメクチンの構造は、下記の通りである。
【0021】


(アバベクチンの場合、破線は二重結合を表し、Rは存在せず、イベルメクチンの場合、二重結合は単結合を表し、Rは水素であり;
は、イソプロピル又はs−ブチルである。)
【0022】
アベルメクチンB1a/B1bの4″−アセチルアミノ−5−ケトキシミノ誘導体は、下記の構造式を有する。
【0023】


(式中、Rはイソプロピル又はs−ブチルである。)
【0024】
アベルメクチン生成物は、一般に、Rがs−ブチルである上記化合物が、少なくとも80%、及びRがイソプロピルである上記化合物が、20%以下である混合物として調製される。
【0025】
その他の好ましいアベルメクチンには、エマメクチン、エプリノメクチン、及びドラメクチンが含まれる。ドラメクチンは、米国特許第5089490号及びEP214738に開示されている。この化合物は、下記の構造を有する。
【0026】

【0027】
本発明の製剤では、イベルメクチン及びエプリノメクチンが特に好ましい。
【0028】
ミルベマイシンの代表的な構造は、ミルベマイシンαの場合、下記の通りである。
【0029】

【0030】
特に好ましいアベルメクチンは、モキシデクチンであり、その構造は下記の通りである。
【0031】


この化合物は、米国特許第5089490号に開示されている。
【0032】
その他の種類の化合物は、内部及び外部寄生虫を処理することが知られている。これらの種類には、条虫、肺虫、及び回虫に対して効果的なベンズイミダゾールと、回虫、条虫、及び肺虫に対して効果的なイミダゾチアゾールと、ピレスロイドが含まれる。ベンズイミダゾールの例には、アルベンダゾール(米国特許第3915986号)、フェンベンザゾール(米国特許第3954791号)、メベンダゾール(米国特許第3657261号)、オキシベンザゾール(米国特許第3574845号)、及びトリクラベンザゾール(米国特許第4197307号)が含まれる。イミダゾチアゾールの例は、レバミゾール(米国特許第3529350号)である。
【0033】
ピレスロイドは、自然に生じ又は合成によって得られる殺虫剤である。合成ピレスロイドには、ピレスリンI及びピレスリンIIが含まれる。合成ピレスロイドには、ペルメトリン(米国特許第4113968号)、レスメトリン、及びスミトリン(米国特許第3934023号及び第2348930号)、デルタメトリン、及びフェンバレレートが含まれる。
【特許文献1】米国仮出願第60/530525号
【特許文献2】米国実用新案登録出願第10/783459号
【特許文献3】米国特許出願第10/374627号
【特許文献4】米国特許第6010710号
【特許文献5】米国特許第6413542号
【特許文献6】米国特許第6001384号
【特許文献7】同時係属出願第10/120691号
【特許文献8】米国特許第5045536号
【特許文献9】米国特許第6426333号
【特許文献10】米国特許第6482425号
【特許文献11】米国特許出願第10/155397号(米国公開特許第2003−0050327号)
【特許文献12】米国特許公開第2003−166688号
【特許文献13】WO01/957715号
【特許文献14】EP−A−295217
【特許文献15】EP295177
【特許文献16】EP−A−840−686
【特許文献17】EP−A−352944
【特許文献18】WO00/35844
【特許文献19】WO98/39972
【特許文献20】米国特許第5122530号
【特許文献21】米国特許第5236938号
【特許文献22】米国特許第5232940号
【特許文献23】米国特許第5576429号
【特許文献24】米国特許第5814652号
【特許文献25】米国特許第5567429号
【特許文献26】米国特許第6090751号
【特許文献27】米国特許第6096329号
【特許文献28】米国特許公開第2002−90381号
【特許文献29】米国同時係属出願第07/719942号
【特許文献30】米国同時係属出願第08/933016号
【特許文献31】米国同時係属出願第09/174598号
【特許文献32】米国同時係属出願第08/863182号
【特許文献33】米国同時係属出願第08/863692号
【特許文献34】WO−A−87/3781
【特許文献35】EP−A−295117
【特許文献36】EP−A−500209
【特許文献37】米国特許第3781355号
【特許文献38】米国特許第3864497号
【特許文献39】米国特許第4310519号
【特許文献40】米国特許第4199569号
【特許文献41】米国特許第3950360号
【特許文献42】米国特許第5077308号
【特許文献43】米国特許第4859657号
【特許文献44】米国特許第4963582号
【特許文献45】米国特許第4855317号
【特許文献46】米国特許第4871719号
【特許文献47】米国特許第4874749号
【特許文献48】米国特許第4427663号
【特許文献49】米国特許第5055596号
【特許文献50】米国特許第4973711号
【特許文献51】米国特許第4978677号
【特許文献52】米国特許第4920148号
【特許文献53】米国特許第5089490号
【特許文献54】EP214738
【特許文献55】米国特許第3915986号
【特許文献56】米国特許第3954791号
【特許文献57】米国特許第3657261号
【特許文献58】米国特許第3574845号
【特許文献59】米国特許第4197307号
【特許文献60】米国特許第3529350号
【特許文献61】米国特許第4113968号
【特許文献62】米国特許第3934023号
【特許文献63】米国特許第2348930号
【非特許文献1】Extoxnet http://ace.orst.edu/info/extonet/pips/amitraz.html
【非特許文献2】"Ivermectin and Abamectin," W.C.Campbell,ed., Springer-Verlag, New York(1989)
【非特許文献3】"The Merck Index" 12thed., S.Budavari,Ed., Merck&Co.,Inc. Whitehouse Station, New Jersey(1996)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
本発明は、とりわけ、アミトラズなどであるがこれに限定することのない、少なくとも1種の1−N−アリールピラゾール誘導体及びホルムアミジンを含んだ新規な局所製剤と、哺乳類又は鳥類の寄生虫感染症を治療し、抑制し、又は予防するための方法とを提供する。本発明の製剤には、スポットオン、ポアオン、又はスプレー製剤が含まれ、IGR化合物やアベルメクチン、ミルベマイシン誘導体などの別の外部寄生虫撲滅剤、又はピレスロイド殺虫剤と、ベンズイミダゾールやイミダゾチアゾールなどの駆虫剤を含めることができる。本発明の製剤は、より速い防除速度で、より長い持続時間の寄生虫防除を提供する。本発明の製剤は、最初に施用してから3カ月まで、効果があるままである。さらに、本発明の製剤は、動物へのマダニの取着を防止し、それによって、マダニ媒介性疾患の予防をもたらす。本発明によって防除し、処理し、予防することができる外部寄生虫には、マダニ、ノミ、ダニ、疥癬、シラミ、蚊、ハエ、及びウシバエが含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0035】
より具体的には、本発明は、とりわけ
a)1−N−アリールピラゾール誘導体、及びホルムアミジンを含む、有効量の外部寄生虫用(ectoparasitical)組合せと、
b)医薬品として又は獣医学上許容される、液体担体ビヒクルと、
c)任意選択で、結晶化阻害剤と
を含む、寄生虫スポットオン製剤を提供する。本発明はさらに、
a)1−N−アリールピラゾール誘導体、及びアミトラズを含む、有効量の外部寄生虫用組合せと、
b)医薬品として又は獣医学上許容される、液体担体ビヒクルと、
c)任意選択で、結晶化阻害剤と、
d)任意選択で、酸化防止剤と
を含む、寄生虫ポアオン製剤を提供する。また、本発明では、
a)1−N−アリールピラゾール誘導体、及びアミトラズを含む、有効量の外部寄生虫用組合せと、
b)医薬品として又は獣医学上許容される、液体担体ビヒクルと
を含む、寄生虫用スプレー製剤も提供する。
【0036】
本発明の別の実施形態は、少なくとも1種の追加の、IGR化合物やミルベマイシン、アベルメクチン誘導体などの抗殺寄生生物剤又は駆虫剤、ピレスロイド、アルベンダゾールやフェンベンザゾール、メベンダゾール、オキシベンダゾール、トリクロベンダゾールなどのベンズイミダゾール、又はレバミゾールなどのイミダゾチアゾールをさらに含む、スポットオン、ポアオン、又はスプレー製剤である。
【0037】
本発明はさらに、寄生虫を防ぎ、無くし、又は防除する必要がある哺乳動物又は鳥において、或いは寄生虫が棲息する環境において、寄生虫を防ぎ、無くし、又は防除するための方法を提供し、この方法は、有効量の本発明のスポットオン、ポアオン、又はスプレー製剤を、哺乳動物又は鳥に付着させるステップを含むものである。動物には、イヌやネコ、シマウマ、ウマなどの哺乳類と、ニワトリやシチメンチョウ、ウズラなどの鳥類が含まれる。環境には、イヌやネコ用の寝具、馬小屋、ニワトリの敷き藁など、動物の棲み家が含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明のその他の目的、特徴、及び態様は、以下の詳細な説明に開示されており、以下の詳細な説明から明らかである。当業者なら、本発明の考察は、単なる例示的な実施形態の説明であり、本発明のより広い態様を限定するものではなく、このより広い態様は、例示的な構造に具体化されていることを理解すべきである。確かに、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、様々な修正及び変更を本発明に加えることができることが、当業者に明らかにされよう。例えば、一実施形態の一部として例示され記述される特徴を、別の実施形態で使用して、さらに別の実施形態をもたらすことができる。本発明は、添付される特許請求の範囲及びその均等物の範囲内に含まれるような修正及び変更を、包含するものである。
【0039】
便宜のため、明細書、実施例、及び添付される特許請求の範囲で用いられるある特定の用語を、以下にまとめる。
【0040】
定義:本明細書で使用する「含む(comprising)」という用語は、この開示において、「含む(including)」を意味することができ、又は米国特許法において「含む(comprising)」という用語に一般に与えられる意味を有することができる。
【0041】
好ましい局所製剤は、1−アリールピラゾールが下記の式の化合物である製剤を、任意選択で医薬品として許容される担体又は賦形剤と共に含む。
【0042】


(式中、Rは、ハロゲン原子、CN、又はアルキルであり;
は、S(O)、又は4,5−ジシアノイミダゾール−2−イル、又はハロアルキルであり;
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、又はハロアルキルであり;
は、水素、ハロゲン、NR、S(O)、C(O)R、C(O)OR、アルキル、ハロアルキル、OR、又は−N=C(R)(R10)置換基であり;
及びRは、独立に、水素原子、アルキル、ハロアルキル、C(O)アルキル、S(O)CF、又はアルコキシカルボニルを表し、或いはR及びRは、一緒に化合して、5から7員環を形成することができ;
は、アルキル又はハロアルキル基を表し;
は、アルキル、ハロアルキル、又は水素を表し;
は、アルキル又は水素を表し;
10は、任意選択で置換されたアリール、又は任意選択で置換されたヘテロアリール基を表し;
11及びR12は、互いに独立に、水素、ハロゲン、CN、又はNOを表し;
13は、ハロゲン原子、或いはハロアルキル、ハロアルコキシ、S(O)CF、又はSF基を表し;
m、n、q、及びrは、互いに独立に、0、1、又は2に等しい整数を表し;
Xは、3価の窒素原子、又はC−R12を表し、炭素原子の他の3つの原子価は、芳香環の一部を形成する。)
【0043】
より好ましい製剤は、1−N−アリールピラゾールが下記の式の化合物であるものである。
【0044】


(式中、Rは、ハロゲン原子、CN、又はメチルであり;
は、S(O)、又は4,5−ジシアノイミダゾール−2−イル、又はハロアルキルであり;
は、アルキル、ハロアルキル、ハロアルケニル、又はハロアルキニルであり;
は、水素、又はハロゲン原子、又はNR、S(O)、C(O)R、又はC(O)OR、アルキル、ハロアルキル、又はOR、又は−N=C(R)(R10)基を表し;
及びRは、独立に、水素原子、又はアルキル、ハロアルキル、C(O)アルキル、S(O)CF、又はアルコキシカルボニル基を表し、或いはR及びRは、一緒になって、5から7員環を形成することができ;
は、アルキル又はハロアルキル置換基を表し;
は、アルキル、又はハロアルキル、又は水素を表し;
は、アルキル、又は水素原子を表し;
10は、任意選択で置換されたアリール、又は任意選択で置換されたヘテロアリール基を表し;
11及びR12は、互いに独立に、水素、ハロゲン、CN、又はNOを表し;
13は、ハロゲン原子、或いはハロアルキル、ハロアルコキシ、S(O)CF、又はSF基を表し;
m、n、q、及びrは、互いに独立に、0、1、又は2に等しい整数を表し;
Xは、3価の窒素原子、又はC−R12を表し、炭素原子の他の3つの原子価は、芳香環の一部を形成し;
但し、Rがメチルである場合、Rがハロアルキルであり、RがNHであり、R11がClであり、R13がCFであり、XがNであり、或いは、Rが4,5−ジシアノイミダゾール−2−イルであり、RがClであり、R11がClであり、R13がCFであり、XがC−Clである。)
【0045】
より好ましくは、本発明は、外部寄生虫用の組合せにおける1−N−アリールピラゾールが式(I)の化合物である、寄生虫用スポットオン製剤を提供し、この式(I)において、
は、ハロゲン原子、CN、又はメチルであり;
は、S(O)、又は4,5−ジシアノイミダゾール−2−イル、又はハロアルキルであり;
は、C−Cアルキル、又はC−Cハロアルキルであり;
は、水素、又はハロゲン原子、又はNR、S(O)、C(O)R、又はC(O)OR、アルキル、ハロアルキル、又はOR、又は−N=C(R)(R10)を表し;
及びRは、独立に、水素原子、又はC−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C(O)C−Cアルキル、S(O)CF、C−Cアシル、又はC−Cアルコキシカルボニルを表し;R及びRは、一緒に化合して、5から7員環を形成することができ、この環は、酸素又はイオウからなる群から選択された1個又は2個の2価のヘテロ原子を含むことができるものであり;
は、C−Cアルキル又はC−Cハロアルキルを表し;
は、C−Cアルキル、又はC−Cハロアルキル、又は水素原子を表し;
は、C−Cアルキル、又は水素原子を表し;
10は、任意選択で置換されたフェニル、又は任意選択で置換されたヘテロアリール基を表し、これらの置換基は、ハロゲン、OH、−O−C−Cアルキル、−S−C−Cアルキル、シアノ、又はC−Cアルキルからなる群から選択され;
11及びR12は、互いに独立に、水素、ハロゲン、CN、又はNOを表し;
13は、ハロゲン、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、S(O)Cl、又はSF基を表し;
m、n、q、及びrは、互いに独立に、0、1、又は2であり;
(b)液体担体ビヒクルは、溶媒及び共溶媒を含み、この溶媒は、アセトン、アセトニトリル、ベンジルアルコール、ブチルジグリコール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、モノメチルアセトアミド、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリオキシエチレングリコール、プロピレングリコール、2−ピロリドン、特にN−メチルピロリドン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール、ジエチルフタレート脂肪酸エステル、例えばジエチルエステルやアジピン酸ジイソブチルなど、及びこれら溶媒の少なくとも2種の混合物からなる群から選択され、共溶媒は、エタノール、イソプロパノール、又はメタノールからなる群から選択されるものであり;
(c)結晶化阻害剤は、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤、アミン塩、両性界面活性剤、又はポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルとビニルピロリドンとのコポリマー、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、マンニトール、グリセロール、ソルビトール、ポリオキシエチレン化ソルビタンエステル;レシチン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、及びアクリル誘導体、又はこれら結晶化阻害剤の混合物からなる群から選択される。
【0046】
スポットオン製剤として特に好ましいのは、外部寄生虫用の組合せにおける1−N−アリールピラゾール誘導体が、下記のような化合物であるもの、即ち、R及びRを表す2価のアルキレン置換基と、R及びRが結合する窒素原子によって形成された環が、5、6、又は7員を有する化合物、或いは、RがCNであり、RがC−Cハロアルキルであり、RがNHであり、R11及びR12が互いに独立に、水素又はハロゲンであり、R13がC−Cハロアルキルである化合物である。
【0047】
本発明のスポットオン及びポアオン製剤に使用される、特に最も好ましい1−N−アリールピラゾールは、
(A)5−アミノ−3−シアノ−1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−4−トリフルオロメチルスルフィニルピラゾール、又は
(B)下記の式の1−N−フェニルピラゾール誘導体である。
【0048】

【0049】
本発明の製剤に使用される、好ましいその他の1−N−アリールピラゾール誘導体は、下記の式(II)の化合物と、獣医学的に許容されるその塩である。
【0050】


(式中、R101は、シアノ、−C(O)アルキル、C(S)NH、アルキル、ハロアルキル、C(=NOH)NH、又はC(=NNH)NHであり;
102は、S(O)n′103、アルケニル、ハロアルケニル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、又はアルキニルであり;
103は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、又はハロアルキニルであり;
104は、−N=C(R105)−Z−R106、−N=C(R105)−N(R107)−R108、又は−N(R109)−C(R105)=NR106であり;
105は、水素、アルキル、或いは、水素、アルコキシ、ハロアルコキシ、又は−S(O)m′105により置換されたアルキルであり;
106及びR107は、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、又はアルキニル、或いは、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ、又は−S(O)m′115の1つ又は複数により置換されたアルキル、或いは、ハロゲン、ニトロ、及びアルキル基から選択された1つ又は複数の基でそれぞれ任意選択で置換された、フェニル又はピリジルによって置換されたアルキルを表し;又は
107及びR108は、それらが結合する窒素と一緒になって、酸素、窒素、又はイオウから選択された1個又は複数のヘテロ原子をさらに含有することができる3から7員環を形成することができ;
108は、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、−C(O)R114、又は−S(O)t′110であり;
109、R110、及びR114は、アルキル、又はハロアルキルであり;
111及びR112は、独立に、ハロゲン、水素、CN、及びNOから選択され;
113は、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−S(O)q′CF、−SFから選択され;
115は、アルキル、又はハロアルキルであり;
Xは、窒素、及びC−R112から選択され;
Zは、O、S(O)a′、又はNR107であり;
a′、m′、n′、及びq′は、独立に、0、1、及び2から選択され;且つ
t′は、0、1、又は2である。)
【0051】
本発明の製剤に含めることができる、その他の好ましい1−N−アリールピラゾール誘導体は、下記の式(III)の化合物と、獣医学的に許容されるその担体、賦形剤、及び塩である。
【0052】


(式中、R201は、シアノ、C(O)アルキル、C(S)NH、アルキル、C(=NOH)NH、又はC(=NNH)NHであり;
202は、S(O)203、アルケニル、ハロアルケニル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、又はアルキニルであり;
203は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、又はハロアルキニルであり;
204は、−N(R205)C(O)CR206207208、−N(R205)C(O)アリール、又は−N(R205)C(O)OR207であり;
205は、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロシクロアルキルアルキル、アルコキシアルキル、ハロアルコキシアルキル、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニルであり;
206は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルコキシアルキル、ハロアルコキシアルキル、ホルミルオキシ、アルキルカルボニルオキシ、ハロアルキルカルボニルオキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、アルキルスルフィニル、ハロアルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、ハロアルキルスルホニル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ハロアルキルアミノ、ジ(ハロアルキル)アミノ、シクロアルキルオキシ、ハロシクロアルキルオキシ、アルコキシアルコキシ、ハロアルコキシアルコキシ、アルコキシアルコキシアルコキシ、アリールオキシ、又はアリールアルコキシであり;
207及びR208は、独立に、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、又はハロシクロアルキルであり、或いはR207及びR208は、それらが結合する炭素と一緒になって、窒素、酸素、及びイオウから選択された1個又は複数のヘテロ原子をさらに含有することができる3から7員環を形成することができ;
は、窒素、及びC−R212から選択され;
211及びR212は、独立に、ハロゲン、水素、CN、及びNOから選択され;
213は、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−S(O)CF、及び−SFから選択され;
h及びkは、独立に、0、1、及び2から選択される。)
【0053】
本発明の製剤に使用される、式(II)の化合物の好ましい種類は、
101が、シアノ又はアルキルであり;
102が、S(O)n′103であり;
103が、アルキル又はハロアルキルであり;
104が、−N=C(R105)−Z−R106であり;
105が、水素、アルキル、又はハロアルキルであり;
Zが、O、S(O)a′、又はNR107であり;
106及びR107が、独立に、水素、及び非置換又は置換アルキルから選択され;或いは
106及びR107が、それらが結合する窒素と一緒になって、酸素、窒素、又はイオウから選択された1個又は複数のヘテロ原子をさらに含有することができる3から7員環を形成することができ;Xが、窒素及びC−R112から選択され;
111及びR112が、独立に、ハロゲン、水素、CN、及びNOから選択され;
113が、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−S(O)q′CF、−SFから選択され;
a′、n′、及びq′が、独立に、0、1、及び2から選択されるものである。
【0054】
106は、1つ又は複数のハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、硫化物、スルホキシド、スルホン、或いはフェニル又はピリジル部分であって、フェニル又はピリジル部分のそれぞれが、任意選択で、ハロ、ニトロ、及びアルキルから選択された1個又は複数の基で置換されているものによって、置換されたアルキルであることが好ましい。
【0055】
1−N−アリールピラゾールは、下記の特徴の1つ又は複数を有すること、即ち
101が、シアノであり;
104が、−N=C(R105)−Z−R106であり、且つZが−NR107であり;
Xが、C−R112であり、R111及びR112が、塩素原子を表し、R113が、CF、OCF、又は−SFであり;
112が、−S(O)n′CFであり、且つnが、0、1、又は2であることが好ましい。
【0056】
本発明の製剤又は手法に含めることができる、さらに好ましい種類の1−N−アリールピラゾールは、
101がシアノ又はアルキルであり;R104が−N=C(R105)−Z−R106であり、R105が水素又はC−Cアルキルである、
式IIの化合物である。
【0057】
式(II)の化合物は、下記の特徴の1つ又は複数を有すること、即ち
101が、シアノ又はメチルであり;
103が、ハロメチル(好ましくはCF)であり;
111及びR112が、それぞれ独立にハロゲン原子を表し;
Xが、C−R112であり、
113が、ハロアルキル(好ましくはCFハロアルコキシ(好ましくはOCF))又は−SFであり;或いは
n′が、0、1、又は2(好ましくは0又は1)である
という特徴の、1つ又は複数を有することが好ましい。
【0058】
本発明の製剤及び方法に使用される、式(II)の化合物のさらに好ましい種類は、
101が、シアノであり;
102が、S(O)n′103であり;
103が、ハロメチルであり;
104が、−N=C(R105)−Z−R106であり;
Zが、NR107であり;
105が、水素又はアルキルであり;
106及びR107が、独立に、水素、アルキル、アルケニル、又はアルキニル、或いは、1つ又は複数のハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ、又は−S(O)15により置換されたアルキル、或いは、ハロゲン、ニトロ、及びアルキルから選択された1個又は複数の基で任意選択で環が置換されている、フェニル又はピリジルによって置換されたアルキルを表し;
Xが、窒素及びC−R112から選択され;
106及びR112が、それぞれ独立にハロゲン原子を表し、R113が、ハロアルキル、ハロアルコキシ、及び−SFから選択され、R115が、アルキル又はハロアルキルであり;且つ
m′及びn′が、独立に、0、1、及び2から選択されるものである。
【0059】
式(II)の化合物の、さらに好ましい種類は、
101が、シアノであり;
102が、S(O)n′CFであり;
104が、−N=C(R105)−Z−R106又は−N=C(R105)−N(R107)−R108であり;
Zが、NR107であり;
105が、水素又はアルキルであり;
106及びR107が、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、又はアルキニル、或いは、1つ又は複数のハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ、又は−S(O)R115により置換されたアルキル、或いは、ハロゲン、ニトロ、及びアルキルから選択された1個又は複数の基で任意選択で環が置換されている、フェニル又はピリジルによって置換されたメチルを表し;
108が、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、又は−S(O)t′110であり;
Xが、窒素及びC−R112から選択され;
109、R110、及びR114が、独立に、アルキル又はハロアルキルを表し;
111及びR112が、それぞれ塩素原子を表し;
m′及びn′が、0、1、又は2であり、t′が0又は2であるものである。
【0060】
式(II)の化合物の、さらに好ましい種類は、
101が、シアノであり;
102が、S(O)n1CFであり;
104が、−N=C(R105)−Z−R106であり;
Zが、NR107であり;
105が、水素又はメチルであり;
106及びR107が、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、又はアルキニル、或いは、1つ又は複数のハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ、又は−S(O)m′115により置換されたアルキル、或いは、ハロゲン、ニトロ、及びアルキルから選択された1個又は複数の基で任意選択で環が置換されている、フェニル又はピリジルによって置換されたアルキルを表し;
Xが、C−R112であり;
111及びR112が、それぞれ塩素原子を表し;
113が、CF又は−SFであり;
m′が、0、1、又は2であり;且つ
n′が、0又は1であるものである。
【0061】
式(II)の化合物の、さらに好ましい種類は、
101が、シアノであり;
102が、S(O)n′CFであり;
104が、−N=C(R105)−Z−R106であり;
Zが、NR107であり;
105及びR107が、それぞれ、水素原子を表し;
106が、アルキル又はハロアルキルであり;
Xが、C−R112であり;
111及びR112が、それぞれ塩素原子を表し;
113が、CF又は−SFであり;
n′が、0であるものである。
【0062】
本発明による好ましい式(III)の化合物は、
201が、シアノであり;
202が、S(O)203であり;
203が、アルキル又はハロアルキルであり;
204が、−N(R205)C(O)CR206207208であり;
205が、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、及びハロシクロアルキルアルキルであり;
206が、アルコキシ、ハロアルコキシ、又は水素であり;
207及びR208が、独立に、水素、アルキル、又はハロアルキルであり;或いは
207及びR208が、それらが結合する炭素と一緒になって、窒素、酸素、及びイオウから選択された1個又は複数のヘテロ原子をさらに含有することができる3から7員環を形成することができ;
が、窒素及びC−R212から選択され;
211及びR212が、独立に、ハロゲン、水素、CN、及びNOから選択され;
213が、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−S(O)CF、及び−SFから選択され;且つ
h及びkが、独立に、0、1、及び2から選択されるものである。
【0063】
式(III)の化合物の好ましいグループは、R207及びR208によって形成された環が、1個又は複数のヘテロ原子、より好ましくは1個の酸素原子を含有するものである。
【0064】
本発明の式(III)の化合物は、下記の特徴の1つ又は複数を有すること、即ち
201が、シアノであり;
203が、ハロメチル、好ましくはCFであり;
211及びR212が、独立にハロゲンであり;
が、C−R212であり;
213が、ハロアルキル、ハロアルコキシ、又は−SFであり;或いは
hが、0又は1、又は2、好ましくは0又は1である
という特徴の1つ又は複数を有することが好ましい。
【0065】
化合物の好ましい種類は、R204が、N(R205)C(O)CR206207208であるものである。
【0066】
化合物の別の好ましい種類は、R204が、N(R205)C(O)アリールであるものである。
【0067】
化合物の別の好ましい種類は、R204が、N(R205)C(O)OR207であるものである。
【0068】
好ましいR205は、C−Cアルキルであり、より好ましくはC−Cアルキルであり、最も好ましくはメチルである。
【0069】
好ましいR206は、アルコキシであり、最も好ましくはメトキシ、エトキシ、又はプロポキシである。
【0070】
好ましいR207及びR208は、どちらも水素である。
【0071】
1−N−アリールピラゾール誘導体の、特に好ましい別のグループは、下記の式の4−チオカルボニルピラゾール誘導体である。
【0072】


(式中、R301は、HN−C(S)−であり、
302は、ハロゲノアルキル、ハロゲノアルケニル、又はハロゲノアルキニルであり、
303は、水素、アミノ、又は下記の基の1つであり、
【0073】


但し、R304は、アルキル、ハロゲノアルキル、アルコキシアルキル、或いはそれぞれの場合において任意選択で置換されたフェニル又はピリジルを表し、
305は、水素又はアルキルを表し、
306は、水素、アルキル、或いはそれぞれの場合において任意選択で置換されたフェニル又はピリジルを表し、且つ
307は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ホルミル、アルキルカルボニル、ハロゲノアルキルカルボニル、又はアルコキシカルボニルを表し;
Arは、それぞれの場合において任意選択で置換されたフェニル又はピリジルを表し、
nは、数0、1、又は2を表す。)
【0074】
式(IV)の、特に好ましい誘導体は、
301が、HN−C(S)−を表し;
302が、好ましくは1から12個のハロゲン原子を有する(C−C)−ハロゲノアルキル、1から8個のハロゲン原子を有する(C−C)−ハロゲノアルケニル、又は1から6個のハロゲン原子を有する(C−C)−ハロゲノアルキニルを表し;
303が、好ましくは水素、アミノ、又は下記の基の1つを表し、
【0075】


但し、R304は、(C−C)−アルキル、1から3個のハロゲン原子を有する(C−C)−ハロゲノアルキル、(C−C)−アルコキシ−(C−C)−アルキルを表し、或いは、フェニル又はピリジルを表し、このそれぞれは、シアノ、ニトロ、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−ハロゲノアルキル、C−C−ハロゲノアルコキシ、又はC−C−ハロゲノアルキルチオであってそれぞれの場合に1から5個のハロゲン原子を有するものからなる群からの、同一又は異なる置換基により任意選択で一置換から三置換されたものであり、
305は、水素又は(C−C)−アルキルを表し、
306は、水素、(C−C)−アルキル、フェニル、即ちシアノ、ニトロ、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−ハロゲノアルキル、C−C−ハロゲノアルコキシ、又はC−C−ハロゲノアルキルチオであってそれぞれの場合に1から5個のハロゲン原子又はヒドロキシルを有するものからなる群からの、同一又は異なる置換基により任意選択で一置換から三置換されたフェニル、又はヒドロキシルを表し、或いは、シアノ、ニトロ、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−ハロゲノアルキル、C−C−ハロゲノアルコキシ、又はC−C−ハロゲノアルキルチオであってそれぞれの場合に1から5個のハロゲン原子を有するものにより置換されたピリジルを表し、且つ
307は、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、ホルミル、(C−C)−アルキルカルボニル、1から6個のハロゲン原子を有する(C−C)−ハロゲノアルキルカルボニル、又は(C−C)−アルコキシカルボニルを表し;
Arは、好ましくはフェニル又はピリジルを表し、このそれぞれは、ハロゲン、ハロゲノ(C−C)アルキル、ハロゲノ(C−C)アルキルチオ、ハロゲノ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシ、メトキシ、ヒドラジン、(C−C)−ジアルキルヒドラジノ、アミノ、(C−C)アルキルアミノ、ジ(C−C)アルキルアミノ、(C−C)アルキルイミノ、シアノ、(C−C)アルキルチオ、又は下記の基からなる群からの、同一又は異なる置換基により任意選択で一置換から三置換されたものであり、
【0076】


但し、R308及びR309は、同一又は異なっており、水素又は(C−C)−アルキルを表し;
111は、好ましくは数0、1、又は2を表すものである。
【0077】
301は、HN−C(S)−を表し;
302は、特に好ましくは、フッ素、塩素、及び臭素からなる群からの、1個又は9個の同一又は異なるハロゲン原子を有する(C−C)−ハロゲノアルキル、フッ素、塩素、又は臭素からなる群からの、1から5個の同一又は異なるハロゲン原子を有する(C−C)−ハロゲノアルケニル、或いはフッ素、塩素、及び臭素からなる群からの、1から5個の同一又は異なるハロゲン原子を有する(C−C)−ハロゲノアルキニルを表し;
303は、特に好ましくは、水素、アミノ、又は下記の基の1つを表し、
【0078】


但し、R304は、(C−C)−アルキル、1〜3個のハロゲン原子を有する(C−C)−ハロゲノアルキル、(C−C)−アルコキシ(C−C)−アルキル、又はフェニルを表し、これは、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、(C−C−ハロゲノアルキル、C−C−ハロゲノアルコキシ、又はC−C−ハロゲノアルキルチオであって、それぞれの場合に1から3個のハロゲン原子を有するものからなる群からの、同一又は異なる置換基により任意選択で一置換から三置換されたものであり、
305は、水素又は(C−C)−アルキルを表し、
306は、水素、(C−C)−アルキル、又はフェニル、即ちヒドロキシル、シアノ、ニトロ、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロゲノアルキル、C−C−ハロゲノアルコキシ、又はC−C−ハロゲノアルキルチオであってそれぞれの場合に1から3個のハロゲン原子を有するものからなる群からの、同一又は異なる置換基により任意選択で一置換又は二置換されたフェニル、特に4−ヒドロキシ−3−メトキシ−フェニルを表し、且つ
307は、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、ホルミル、(C−C)−アルキルカルボニル、或いは、フッ素、塩素、又は臭素からなる群からの、1から5個の同一又は異なるハロゲン原子を有する(C−C)−ハロゲノアルキルカルボニル、或いは(C−C)−アルコキシカルボニルを表し;
Arは、特に好ましくは、フェニル又はピリジルを表し、このそれぞれは、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルチオ、トリフルオロメトキシ、メトキシ、ヒドラジン、ジメチルヒドラジノ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、イミノメチル、シアノ、メチルチオ、又は下記の基からなる群からの、同一又は異なる置換基により任意選択で一置換から三置換されたものであり、
【0079】


但し、R308及びR309は、同一又は異なっており、水素又は(C−C)−アルキルを表し;
111は、特に好ましくは、数0、1、又は2を表すものである。
【0080】
最も好ましく優先される式(IV)の化合物は、
301が、HN−C(S)−を表し;
302が、最も好ましくは、下記の基の1つ、即ち−CF、−CHF−CF−CH−CF−CHF、−CFCHFCl、−CH−CF、−CHCFCl、−CH−CF−CHF、−CF−CFCl−CF、−C(Cl)(CF)−CFCl、−C(Cl)(CF)−CHCl−CF、−C(CF)=CClの1つを表し;
303が、最も好ましくは、水素、アミノ、又は下記の基の1つ、即ち−NH−CO−CH、−NH−CO−C、−N=CH−NH、−N=C(CH)−NH、−N=CH−N(CH、−N=C(CH)−N(CH
【0081】


−NHC、又は−NH−CH−CH=CHの1つを表すものである。
【0082】
Arは、最も好ましくは、
(1)同一又は異なる置換基によって二置換又は三置換されたフェニルであって、フッ素又は塩素が2位を占有し、トリフルオロメチルが4位を占有し、フッ素、塩素、シアノ、メトキシ、メチルチオ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチルチオ、又はヒドラジノが6位を占有しているもの;或いは
(2)4位がトリフルオロメチルで置換され、6位がフッ素又は塩素で置換された、2−ピリジル置換基を表す。
【0083】
111は、整数0、1、又は2の1つを表すことが、最も好ましい。特に最も好ましい化合物は、R302が−CFであり、R303がアミノであり、Arが、三置換されたフェニルであり、この置換基は、2位がクロロ基であり、4位がトリフルオロメチル基であり、6位がクロロ基であり、n111は1であるものである。
【0084】
特に好ましい化合物は、下記の式のものである。
【0085】



【0086】
その他の好ましい1−N−アリールピラゾールには、下記の化合物が含まれる。
【0087】









【0088】
フィプロニルの他に、特に好ましい1−N−アリールピラゾール誘導体には、下記の式のフィプロニルチオ
【0089】


及び下記の式のフィプロニルスルホンが含まれる。
【0090】

【0091】
前に論じた1−N−アリールピラゾール誘導体について論じている特許の他に、当業者なら、参照によりその全てが本明細書に組み込まれているDE19928155、DE19853560、WO2000031043、DE19650197、WO9824769、US6265430、US2001007876に記載されている手順を採用することによって、これらの化合物を作製することができるであろう。
【0092】
式(I)の化合物(1)の定義のアルキル基は、一般に、1から6個の炭素原子を含む。R及びRと、それらが結合する窒素原子とによって形成されたこの環は、一般に、5、6、又は7員環である。
【0093】
他に特に指定しない限り、アルキル及びアルコキシ基は、一般に、1から6個の炭素原子、好ましくは1から4個の炭素原子を有する低級アルキル及びアルコキシ基である。一般に、ハロアルキル、ハロアルコキシ、及びアルキルアミノ基は、1から4個の炭素原子を有する。ハロアルキル及びハロアルコキシ基は、1個又は複数のハロゲン原子を持つことができ、このタイプの好ましい基には、−CF及び−OCFが含まれる。シクロアルキル基は、一般に、3から6個の炭素原子を有し、好ましくは3から5個の炭素原子を有し、1個又は複数のハロゲン原子によって置換することができる。アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、及びハロアルキニル基は、一般に、3から5個の炭素原子を含有する。アリールという用語は、フェニル、ピリジル、フリル、及びチオフェニルを意味し、このそれぞれは、任意選択で、1つ又は複数のハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ニトロ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、又はジアルキルアミノにより置換されるものである。式(I)から(III)の化合物において、置換アルキルという用語は、例えば1つ又は複数のハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ、又は−S(O)115によって置換されたアルキル;或いは、ハロゲン、ニトロ、及びアルキルから選択された1個又は複数の基で、任意選択でそれぞれ置換された、フェニル又はピリジルによって置換されたアルキルを意味し、この場合R115は、アルキル又はハロアルキルであり、mは0、1、又は2である。式(I)の化合物で、アルキル基は、一般に1から5個のハロゲン原子によって、好ましくは1から3個のハロゲン原子によって置換されることが好ましい。塩素及びフッ素原子が好ましい。
【0094】
104が−N=C(R105)−Z−R106であり、ZがNR107であり、R106が水素原子を表している式の化合物は、互変異性二重結合異性体型−NH−C(R105)=N−R107として存在することができる。そのような型は、どちらも、本発明に包含されることを理解すべきである。
【0095】
式(III)の化合物では、置換基の下記の例が提供され、即ち:
シクロアルキルの例は、シクロプロピルメチルであり;シクロアルコキシの例は、シクロプロピルオキシであり;
アルコキシアルキルの例は、CHOCH−であり;
アルコキシアルコキシの例は、CHOCHO−であり;
アルコキシアルコキシアルコキシの例は、CHOCHOCHO−であり;
アリールオキシの例は、フェノキシ基であり;
アリールアルコキシ基の例は、ベンジルオキシ又は2−フェニルエトキシである。
【0096】
一般に、ジアルキルアミノ又はジ(ハロアルキル)アミノ基では、窒素上のアルキル及びハロアルキル基を、互いに独立に選択することができる。
【0097】
式(I)の化合物の好ましい種類には、RがCNであり、Rがハロアルキルであり、RがNHであり、R11及びR12が互いに独立にハロゲン原子であり、R13がハロアルキルである化合物が含まれる。XはC−R12であることが、さらに好ましい。本発明で、特に非常に好ましい式(I)の化合物は、5−アミノ−3−シアノ−1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−4−トリオフルオロメチルスルフィニルピラゾール又はフィプロニルである。
【0098】
式(I)−(III)の化合物は、特許出願WO87/3781、93/6089、及び94/21606、及び00/59862、又は欧州特許出願295,117に記載されているプロセスの1つ又はその他のものによって、或いは、化学合成の専門家である当業者の能力の範囲内にある、任意のその他のプロセスによって調製することができる。本発明の生成物の化学調製に関し、当業者なら、とりわけ「ケミカルアブストラクト(Chemical Abstract)」及びそこに引用されている文書の内容全てを、自由に利用することができると見なされる。
【0099】
上記で論じたように、アミトラズは当技術分野で周知であり、商業上の供給元から得ることができる。アミトラズは、ホルムアミジンとして知られる化学群に属する。したがって本発明は、本発明の組成物及び方法における、アミトラズなどの少なくとも1種のホルムアミジンの使用を包含する。ホルムアミジンは、どのような特定の理論にも必ずしも拘泥するものではないが、モノアミンオキシダーゼを阻害することによって、且つ/又は昆虫の神経系を妨げることによって(例えば、神経膜の電圧感受性ゲート)殺虫剤として有用であり、且つダニ及びマダニの全ての時期に対して特に有用な、アミトラズやクロルジメホルム、クロルメブホルム、ホルメタネート、及び1−ジメチル−2−(2′−メチル−4′−クロロフェニル)−ホルムアミジン(クロルフェナミジン)などの、構造−N=CH−Nを有する殺虫剤である。これらの殺虫剤を動物に施用する量は、必要以上の実験をすることなく、これらの殺虫剤の知られている用途から決定することができる(例えばMITABANは、ウシ、ブタ、及びイヌ用に認可された市販のアミトラズ製品であり、米国では典型的な場合、イヌの首輪として使用されるものであるが、液体濃縮物など液体の形で利用することも可能である;アミトラズは、ラットの経口LD50が800mg/kgであり、ウサギの皮膚LD50が>200mg/kgである;0.025%溶液でイヌの皮膚に施用した場合、アミトラズは、一時的な鎮静作用、直腸温の低下をもたらし、血糖を上昇させ、且つアミトラズは、0.25mg/kg/d×90日与えた場合、十分に耐性があり、1〜4mg/kgの容量では、高血糖症が一貫して観察されたが、鎮静は、最も頻繁に生ずる厄介な作用である。)。したがって本発明の組成物及び方法では、ホルムアミジン、好適にはアミトラズを用いることができ、即ちアミトラズは、本発明で使用することができるホルムアミジンの例示である。
【0100】
本発明で有用な殺寄生生物化合物は、様々な外部寄生虫の発達期に、殺卵子及び/又は殺幼虫効果をもたらすものも含む。これらの多くは、例えば米国特許第5439924号により既に知られている。これらの化合物の中には、注目の昆虫成長抑制化合物(IGR)があり、これは、発達期(卵及び幼虫)から成虫期への発達を阻止することによって、又はキチンの合成を阻害することによって、作用するものである。特許FR−A−2713889がさらに知られており、これは一般に、非常に多様な種類に属する多くの有害な昆虫を防除するために、幼若ホルモン活性を有する化合物及びキチン合成阻害剤を含んだIGR(昆虫成長抑制剤)タイプの少なくとも1種の化合物と、3種のN−アリールジアゾール化合物の少なくとも1種、特にフィプロニルとの組合せについて記述している。また、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6797724号、第6685954号、第6413542号、第6096329号は、そこに記載されているIGR及びそこに記載されている製剤であってアミトラズやクロルジメホルムなどの1種又は複数のホルムアミジンをさらに含有するものを、本発明を実施する際に使用することができるので、これらの特許のそれぞれに引用されている各文献と共に参照されたい。
【0101】
IGR化合物は、本発明の毒餌製剤中にもたらされる、別の種類の殺虫剤又は殺ダニ剤である。このグループに属する化合物は、施術者に周知であり、広範にわたる様々な化学物質の種類を示す。これらの化合物は全て、害虫の発達又は成長を妨げることによって作用する。様々な外部寄生虫の発達期に対し、殺卵子及び/又は殺幼中作用をもたらす化合物は、例えば米国特許第5439924号によって既に知られている。記載されているこれらの化合物の中には、発達期(卵及び幼虫)から成虫期への発達を阻止することによって、又はキチンの合成を阻害することによって作用するIGR化合物がある。昆虫成長抑制剤は、例えば、米国特許第3748356号、米国特許第3818047号、米国特許第4225598号、米国特許第4798837号、及び米国特許第4751225号、並びにEP179022、又はU.K.2140010に記載されている。フランス特許No.A−2713889は、一般に、非常に多様な種類に属する多くの有害な昆虫を防除するために、幼若ホルモン活性及びチキン合成阻害剤を有する少なくとも1種の化合物と、3種のN−アリールピラゾール化合物の少なくとも1種、特にフィプロニルとを含む、IGRの組合せについて記述している。
【0102】
本発明で使用することができるIGR化合物の例は、幼若ホルモンを模倣する化合物、特に
アザジルキチン(Agridyne社製)
ジオフェノラン(Novartis社製)
フェノキシカルブ(Novartis社製)
ヒドロプレン(Novartis社製)
キノプレン(Novartis社製)
メトプレン(Novartis社製)
ピリプロキシフェン(住友/Mgk社製)
テトラヒドロアザジラキチン(Agridyne社製)
4−クロロ−2−(2−クロロ−2−メチルプロピル)−5−(6−ヨード−3−ピリジルメトキシ)ピリリジン−3(2H)−オンと、
キチン合成阻害剤、特に
クロルフルアズロン(石原産業社製)
シロマジン(Novartis社製)
ジフルベンズロン(Solvay Duphar社製)
フルアズロン(Novartis社製)
フルシクロクスロン(Solvay Duphar社製)
フルフェノクスロン(Cyanamid社製)
ヘキサフルムロン(Dow Elanco社製)
インフェヌロン(Novartis社製)
テブフェノジド(Rohm & Haas社製)
テフルベンズロン(Cyanamid社製)
トリフルムロン(Bayer社製)が含まれる。
【0103】
これらの化合物は、その国際的な一般名称によって定義される(The Pesticide Manual,第10版,1994, Ed. Clive Tomlin,英国)。
【0104】
キチン合成阻害剤は、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−(2−フルオロ−4−((トリフリオロメチル))フェニル尿素、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−(2−フルオロ−4−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ))フェニル尿素、及び1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−(2−フルオロ−4−トリフルオロ−メチル)フェニル尿素などの化合物も含む。ノバルロン(Isagro社製、イタリアの会社)も、IGR化合物の一例である。
【0105】
好ましいIGR化合物には、メトプレン、ピリプロキシフェン、ヒドロプレン、シロマジン、ルフェヌロン、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル尿素、及びノバルロンが含まれる。
【0106】
本発明の外部寄生虫用の組合せと併用することができる、その他の種類の化合物には、アベルメクチン及びミルベマイシン誘導体、ピレスロイド、ベンズアミダゾール、及びイミダゾールが含まれる。好ましいアベルメクチン又はミルベマイシンには、ドラメクチン、エナメクチン、アバメクチン、エプリノメクチン、イベルメクチン、セラメクチン、モキシデクチン、及びミルベマイシンオキシムが含まれる。好ましいピレスロイドには、ピレスリン、ペルメトリン、レスメトリン、及びスミトリンが含まれる。好ましいベンズイミダゾールには、アルベンダゾール、フェンベナゾール、メベンダゾール、オキシベンダゾール、及びトリクラベンダゾールが含まれる。好ましいイミダゾレオチアゾールは、レバミゾールである。本発明の外部寄生虫用組合せと共に含まれる、これらの化合物の量は、動物のタイプ及び侵襲の程度に依存する。これらの化合物の量は、当業者によって容易に決定される。代表的な量には、0.001mg/kgから100mg/kgが含まれ、アベルメクチンの場合には、0.001mg/kgから10mg/kgという好ましい範囲を有し、その他の種類の場合は、0.1mg/kgから100mg/kgである。
【0107】
本発明の製剤の投与は、早めに断続的に行うことができ、毎日、毎週、隔週、毎月、隔月、3カ月ごと、又はより長い持続時間ごとに投与することができる。治療と治療の間の時間は、処理される寄生虫や、侵襲の程度、動物のタイプ、哺乳類又は鳥類、及びそれが棲息する環境などの要因に依存する。特定の状況に関して特定の投与期間を決定することは、施術者の技能レベルの範囲内に十分含まれる。本発明は、動物が強力な寄生虫の圧力に曝される環境で、寄生虫と永久に闘うための方法を企図するものであり、投与は、この場合、毎日投与がなされるよりもはるかに少ない頻度である。例えば、本発明による治療は、イヌやネコなどの哺乳類に対して毎月実施することが好ましい。
【0108】
スポットオン製剤は、活性成分を、医薬品として許容され又は獣医学上許容されるビヒクルに溶解することによって、調製することができる。或いは、スポットオン製剤は、動物の表面に治療薬の残留物が残るように、活性成分をカプセル化することによって調製することができる。これらの製剤は、治療すべき宿主動物の種、感染症の重篤さ及びタイプ、宿主の体重に応じて、組合せ中の治療薬の重量が変化することになる。化合物は、特に予防の場合、既知の方法によって連続的に投与することができる。一般に、単回用量として与えられ、又は1から5日間にわたる分割用量として与えられる、体重1kg当たり約0.001から約10mgという用量は、満足のいくものになるが、当然ながら、より高く又はより低い投薬範囲が示される場合も存在する可能性があり、そのような場合も、特定の状況に関するこの特定の投与期間の範囲内にある。本発明は、動物が強力な蚊の圧力に曝される環境で、蚊と闘うための方法を企図するものであり、投与は、この場合、毎日投与がなされるよりもはるかに少ない頻度である。例えば、本発明による治療は、イヌ及びネコ及び鳥類に対して毎月実施することが好ましい。
【0109】
スポットオン及びポアオン製剤は、活性成分を、医薬品として許容され又は獣医学上許容されるビヒクルに溶解することによって、調製することができる。或いは、スポットオン製剤は、動物の表面に治療薬の残留物が残るように、活性成分をカプセル化することによって、調製することができる。これらの製剤は、組合せ中の治療薬の重量が、治療すべき宿主動物の種、感染の重篤さ及びタイプ、宿主の体重に応じて変化することになる。化合物は、既知の方法によって、特に予防の場合に連続的に投与することができる。一般に、単回用量として、又は1から5日間にわたって施用される分割用量として与えられた、体重1kg当たり約0.001から約100mgの用量の1−N−アリールピラゾールと、0.01から約100mg/kgのアミトラズとは満足のいくものになるが、当然ながら、より高く又はより低い投薬範囲が示される場合があり、これも本発明の範囲内である。特定の宿主及び寄生虫に対する特定の投与計画を決定することは、施術者の通常スキルの範囲内に十分含まれる。
【0110】
1−N−アリールピラゾール誘導体を含有する単一製剤は、実質的に液体の担体中にあり、単回施用又は少ない回数で繰り返し施用することを可能にする形をとることが好ましい。製剤は、動物の非常に局在化された領域に投与されることになり、好ましくは2つの肩の間に投与される。特定の宿主及び寄生虫に対する特定の投与計画を決定することは、施術者の通常スキルの範囲内に十分含まれる。この局在化領域は、10cm未満の表面積を有することが最も好ましく、特に5から10cmの間の面積を有する。意外なことに、そのような製剤は、標的とされる寄生虫の両方に対して非常に効果的であることが発見された。
【0111】
治療は、式(II)の化合物が約0.001から約100mg/kgの間で含有される用量を、宿主に対して1回で投与するように実施することが好ましい。
【0112】
サイズの小さい動物に対する、1−N−アリールピラゾールの化合物の量は、動物の重量1kgに対して好ましくは約0,01mgよりも多く、特に好ましい方法では、約1から約50mgである。
【0113】
徐放性製剤を使用することも、好ましいと考えられる。
【0114】
本発明は、存在する寄生虫と、その廃棄物及び排泄物とを除去することによって、動物の外皮及び皮膚を清浄化するための方法も提供する。したがって治療された動物は、見た目がより快く感触もより快い外皮を示す。
【0115】
本発明は、治療目的が、疾患を引き起こす寄生虫感染を治療し予防することを対象とした、そのような方法にも関する。
【0116】
別の好ましい実施形態では、これは、上記定義した式(II)の少なくとも1種を含有することを特徴とした組成物を、小動物、特にイヌ及びネコのノミを根絶するために提供する。
【0117】
本発明の製剤は、動物の1つの場所、一般には2つの肩の間に断続的に施用するための、濃縮した溶液、懸濁液、マイクロエマルジョン、又はエマルジョンの局所投与を提供する。本発明の製剤は、この製剤を哺乳類などの動物、特にイヌ、ネコ、ヒツジ、ブタ、ウシ、及びウマと、鳥類、特にニワトリ、シチメンチョウ、及びウズラに施用したときに、寄生虫に対して特に活性であることが発見された。外部寄生虫用組合せは、この製剤中に、約1から約20%の割合で、好ましくは約5から約15%の割合で有利に存在することができる(パーセンテージは、重量対体積=W/Vで表す)。液体担体ビヒクルは、医薬品として許容され又は獣医学上許容される有機溶媒と、任意選択で有機共溶媒とを含む。
【0118】
また、利用可能な場合には、本明細書で提供される活性化合物の、医薬品として許容され又は獣医学上許容される酸又は塩基性の塩も企図される。「酸」という用語は、医薬品として許容され又は獣医学上許容される、全ての無機又は有機酸を意図する。無機酸には、臭化水素酸や塩酸などのハロゲン化水素酸や、硫酸、リン酸、及び硝酸などの鉱酸が含まれる。有機酸には、医薬品として許容され又は獣医学上許容される全ての脂肪族、脂環式、及び芳香族のカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸と、脂肪酸が含まれる。好ましい酸は、直鎖又は分子鎖の飽和又は不飽和C−C20脂肪族カルボン酸であって、ハロゲンによって又はヒドロキシル基によって任意選択で置換されたもの、或いは、C−C12芳香族カルボン酸である。そのような酸の例は、炭酸、ギ酸、フマル酸、酢酸、プロピオン酸、イソプロピオン酸、吉草酸、グリコール酸や乳酸などのα−ヒドロキシ酸、クロロ酢酸、安息香酸、メタンスルホン酸、及びサリチル酸である。ジカルボン酸の例には、シュウ酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、及びマレイン酸が含まれる。トリカルボン酸の例は、クエン酸である。脂肪酸には、医薬品として許容され又は獣医学上許容される、4から24個の炭素原子を有する全ての飽和又は不飽和脂肪族又は芳香族カルボン酸が含まれる。その例には、酪酸、イソ酪酸、s−酪酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、及びフェニルステリック酸が含まれる。その他の酸には、グルコン酸、グリコヘプタン酸、及びラクトビオン酸が含まれる。
【0119】
「塩基」という用語は、医薬品として許容され又は獣医学上許容される全ての無機又は有機塩基を意図する。そのような塩基には、例えば、リチウムやナトリウム、カリウム、マグネシウム、又はカルシウム塩などの、アルカリ金属及びアルカリ土類金属塩が含まれる。有機塩基には、一般的なヒドロカルビル及び複素環式アミン塩が含まれ、これには例えば、ホルホリン及びピペリジン塩が含まれる。
【0120】
液体担体ビヒクル用の有機溶媒は、好ましくは、約10から約35の間の誘電率、好ましくは約20から約30の間の誘電率を有することになり、全組成物中のこの溶媒の含量は、100%の組成物の残分であることが好ましい。これらのパラメータに基づいて、適切な溶媒を選択することは、施術者の技能レベルの範囲内に十分含まれる。
【0121】
液体担体ビヒクル用の有機共溶媒は、好ましくは、約100℃未満の沸点を有することになり、好ましくは約80℃未満であり、約10から約40の間の誘電率を有することになり、好ましくは約20から約30の間であり;この共溶媒は、溶媒に対する重量/重量(W/W)比によれば、約1/15から約1/2の間で組成物中に有利に存在することができ;この共溶媒は、特に乾燥促進剤として働くために、揮発性であり、水及び/又は溶媒に対して混和性がある。この場合も、これらのパラメータに基づいて適切な溶媒を選択することは、施術者の技能レベルの範囲内に十分含まれる。
【0122】
液体担体ビヒクル用の有機溶媒には、製剤の技術分野で知られている、一般に許容される有機溶媒が含まれる。これらの溶媒は、例えばRemington Pharmaceutical Science、第16版(1986)に見ることができる。これらの溶媒には、例えば、アセトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、又はジエチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutol)が含まれる。これらの溶媒には、C−C10カプリル/カプリントリグリセリド(Estasan又はMiglyol 812)、オレイン酸、又はプロピレングリコールなど、所望の相の性質に応じて様々な賦形剤を補うことができる。
【0123】
液体担体は、マイクロエマルジョンでもよい。マイクロエマルジョンも、液体担体ビヒクルとして十分適切である。マイクロエマルジョンは、水相、油相、界面活性剤、及び補助界面活性剤を含む4成分系である。これらは、半透明及び等方性の液体である。
【0124】
マイクロエマルジョンは、油相中に水相の微小な液滴が分散され、又はその逆で、水相中に油相の微小な液体が分散された、安定な分散体からなる。これらの微小な液滴のサイズは、200nm未満である(エマルジョンの場合、1000〜100000nm)。界面膜は、界面活性(SA)分子と補助界面活性(Co−SA)分子とが交互に並んだものからなり、これは、界面張力を低下させることによって、マイクロエマルジョンを自然に形成することが可能になるものである。
【0125】
油相は特に、鉱油又は植物油から、或いは不飽和ポリグリコシル化グリセリド又はトリグリセリドから、或いは、そのような化合物の混合物から形成することができる。油相は、トリグリセリドを含むことが好ましく、中鎖トリグリセリド、例えばC−C10カプリル/カプリントリグリセリドを含むことがより好ましい。油相は、特に、マイクロエマルジョンの約2から約15(V/V)%、より特別には約7から約10(V/V)%、好ましくは約8から約9(V/V)%、存在することになる。
【0126】
水相には、例えば水、又はプロピレングリコールやグリコールエーテル、ポリエチレングリコール又はグリセロールなどの、グリコール誘導体が含まれる。プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、及びジプロピレングリコールモノエチルエーテルが、特に好ましい。一般に、水相は、マイクロエマルジョン中に約1から約4(V/V)%存在することになる。
【0127】
マイクロエマルジョン用の界面活性剤には、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリグリコール化C−C10グリセリド、又はポリグリセリル−6−ジオレエートが含まれる。これらの界面活性剤の他に、補助界面活性剤には、エタノールやプロパノールなどの短鎖アルコールが含まれる。
【0128】
いくつかの化合物は、上記論じた3成分、即ち水相、界面活性剤、及び補助界面活性剤に一般的なものである。しかし、同じ製剤の各成分として異なる化合物を使用することは、施術者の技能レベルの範囲内に十分含まれる。
【0129】
補助界面活性剤と界面活性剤との比は、好ましくは約1/7から約1/2になる。マイクロエマルジョン中、好ましくは、界面活性剤が約25から約75%V/V、補助界面活性剤が約10から約55%V/Vになる。
【0130】
同様に、共溶媒も、製剤の分野の当業者に周知である。好ましい共溶媒は、乾燥の促進剤であるものであり、例えば、無水エタノール、イソプロパノール(2−プロパノール)、又はメタノールが含まれる。
【0131】
結晶化阻害剤は、特に、約1から約20%(W/V)の割合で、好ましくは約5から約15%の割合で存在することができる。阻害剤は、液体担体に溶かした式(I)の化合物10%(W/V)及び阻害剤10%を含む溶液0.3mlを、20℃でスライドガラス上に堆積し、24時間静置させる試験に対応することが好ましい。次いでスライドを、裸眼で観察する。許容される阻害剤は、この阻害剤を添加することによって、ごく僅かしか又は全く結晶をもたらさないものであり、特に10個未満の結晶をもたらし、好ましくは結晶が0のものである。
【0132】
これは好ましくないが、製剤は、任意選択で水を、特に0から約30%(体積対体積V/V)の割合で、特に0から約5%の割合で含むことができる。
【0133】
製剤は、空気中での酸化の阻害を目的とする抗酸化剤を含むこともでき、この薬剤は、特に、約0.005から約1%(W/V)の割合で、好ましくは約0.01から約0.05%の割合で存在する。
【0134】
本発明で使用することができる結晶化阻害剤は、
−ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルとビニルピロリドンとのコポリマー、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、マンニトール、グリセロール、ソルビトール、又はソルビタンのポリオキシエチレン化エステル;レシチン、又はナトリウムカルボキシメチルセルロース;又はメタクリレートなどのアクリル誘導体、
−アルカリステアレートなどの陰イオン界面活性剤、特にステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、又はステアリン酸アンモニウム;ステアリン酸カルシウム又はステアリン酸トリエタノールアミン;アビエチン酸ナトリウム;アルカリスルフェート、特にラウリル硫酸ナトリウム及びセチル硫酸ナトリウム;ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート又はナトリウムジオクチルスルホスクシネート;又は脂肪酸、遠くにヤシ油から得られるもの、
−式NR′R″R′″R″″Yの水溶性第4級アンモニウム塩などの、陽イオン界面活性剤であって、ラジカルRが、同一又は異なる任意選択でヒドロキシル化した炭化水素ラジカルであり、Yが、ハロゲン化物陰イオンや硫酸陰イオン、及びスルホン酸陰イオンなどの、強酸の陰イオンであり;臭化セチルトリメチルアンモニウムが、使用することのできる陽イオン界面活性剤の1種であるもの、
−式NR′R″R′″のアミン塩であって、ラジカルRが、同一又は異なる任意選択でヒドロキシル化した炭化水素ラジカルであり;オクタデシルアミン塩酸塩が、使用することのできる陽イオン界面活性剤の1種であるもの、
−任意選択でポリオキシエチレン化したソルビタンのエステルなどの、非イオン性界面活性剤、特にポリソルベート80、又はポリオキシエチレン化アルキルエーテル;ポリエチレングリコールステアレート、ヒマシ油のポリオキシエチレン化誘導体、ポリグリセロールエステル、ポリオキシエチレン化脂肪アルコール、ポリオキシエチレン化脂肪酸、又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマー、
−ベタインの置換ラウリル化合物などの両性界面活性剤、
−或いは、好ましくは上記列挙した化合物の少なくとも2種の混合物
を含む。
【0135】
特に好ましい実施形態では、結晶化阻害剤の1対を使用することになる。そのような対には、例えば、ポリマータイプの被膜形成剤と界面活性剤との組合せが含まれる。これらの薬剤は、特に、結晶化阻害剤として既に述べたような化合物から選択されることになる。
【0136】
特に好ましいポリマータイプの被膜形成剤は、
−様々なグレードのポリビニルピロリドン、
−ポリビニルアルコール、及び
−酢酸ビニルとビニルピロリドンとのコポリマー
を含む。
【0137】
特に好ましい界面活性剤には、非イオン性界面活性剤で形成されたもの、好ましくはソルビタンのポリオキシエチレン化エステル、特に様々なグレードのポリソルベート、例えばポリソルベート80が含まれる。
【0138】
被膜形成剤及び界面活性剤は、特に、他の場所で述べた結晶化阻害剤の総量の限度内で、同量又は異なる量で組み込むことができる。
【0139】
したがって、このように構成された対は、注目すべき方法で、被覆上の結晶化が無くなること、及び毛皮の審美的外観の維持という目的を確実なものにし、即ち、活性成分が高濃度であるにもかかわらず、付着しがちな傾向又は付着性外観になり易い傾向が無い。
【0140】
特に好ましい抗酸化剤は、当技術分野で従来のものであり、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、チオ硫酸ナトリウム、又はこれらの2種以下の混合物が含まれる。
【0141】
上記論じた製剤の補助剤は、この分野の当業者に周知であり、商業的に又は既知の技法によって得ることができる。これらの濃縮組成物は、一般に、上記定義した成分の簡単な混合によって調製され、その開始点は、活性材料を主溶媒に混合することであり、次いでその他の成分又は補助剤を添加する。
【0142】
利用される体積は、動物の重量に応じて約0.3から約1ml程度にすることができ、好ましくは、ネコの場合に約0.5ml程度であり、イヌの場合に約0.3から約5ml程度である。
【0143】
油状であることが有利である本発明によるポアオン溶液は、一般に、希釈剤又はビヒクルと、式(II)の化合物が希釈剤に溶解しない場合にはこの化合物用の溶媒(有機溶媒)も含む。約0.05から約10%(重量/体積)、より好ましくは約0.1から約2%という低い濃度が好ましい。任意選択で、その値は約0.25から約1.5%の間であり、特に約1%の領域である。
【0144】
本発明のポアオン溶液で使用することができる有機溶媒は、特に、クエン酸アセチルトリブチル、ジメチルエステルなどの脂肪酸エステル、アジピン酸ジイソブチル、アセトン、アセトニトリル、ベンジルアルコール、ブチルジグリコール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、エタノール、イソプロパノール、メタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、モノメチルアセトアミド、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリオキシエチレングリコール、プロピレングリコール、2−ピロリドン、特にN−メチルピロリドン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール、及びフタル酸ジエチル、又はこれら溶媒の少なくとも2種の混合物で作製することができる。
【0145】
本発明のポア溶液用のビヒクル又は希釈剤として、特に、
大豆油や落花生油、ヒマシ油、コーン油、綿実油、オリーブ油、グレープシード油、ヒマワリ油などの植物油;ワセリンやパラフィン、シリコーンなどの鉱油;脂肪族又は環式炭化水素、或いは、例えば中鎖(特にCからC12)トリグリセリド
を挙げることができる。
【0146】
皮膚軟化剤及び/又は展着剤及び/又は被膜形成剤は、好ましくは添加されることになり、この薬剤は、特に、
ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルとビニルピロリドンのコポリマー、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、マンニトール、グリセロール、ソルビトール、ポリオキシエチレン化ソルビタンエステル;レシチン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、シリコーン油、ポリジオルガノシロキサン油、特にポリジメチルシロキサン(PDMS)油、例えばシラノール官能基を有するもの、又は45V2油、
アルカリステアレートなどの陰イオン界面活性剤、特にステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、又はステアリン酸アンモニウム;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸トリエタノールアミン;アビエチン酸ナトリウム;アルキルスルフェート、特にラウリル硫酸ナトリウム、及びセチル硫酸ナトリウム;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム;脂肪酸、特にヤシ油から得られたもの、
式NR′R″R′″R″″Yの水溶性第4級アンモニウム塩などの、陽イオン界面活性剤であって、ラジカルRが、任意選択でヒドロキシル化した炭化水素ラジカルであり、Yが、ハロゲン化物陰イオンや硫酸陰イオン、及びスルホン酸陰イオンなどの、強酸の陰イオンであり;臭化セチルトリメチルアンモニウムが、使用することのできる陽イオン界面活性剤の中に含まれるもの、
式NR′R″R′″のアミン塩であって、ラジカルRが、任意選択でヒドロキシル化した炭化水素ラジカルであり;オクタデシルアミン塩酸塩が、使用することのできる陽イオン界面活性剤の中に含まれるもの、
任意選択でポリオキシエチレン化したソルビタンエステルなどの、非イオン性界面活性剤、特にポリソルベート80、ポリオキシエチレン化アルキルエーテル;ポリオキシプロピレン−スチロールエーテルなどのポリオキシプロピル化脂肪アルコール;ポリエチレングリコールステアレート、ヒマシ油のポリオキシエチレン化誘導体、ポリグリセロールエステル、ポリオキシエチレン化脂肪アルコール、ポリオキシエチレン化脂肪酸、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー、
ベタインの置換ラウリル化合物などの両性界面活性剤
或いは、これら薬剤の少なくとも2種の混合物
から選択される。
【0147】
溶媒は、化合物IIの濃度、及び化合物IIのこの溶媒への溶解度に比例して使用することになる。
【0148】
皮膚軟化剤は、約0.1から約10体積%の割合で使用することが好ましく、特に約0.25から約5体積%で使用する。
【0149】
本発明はさらに、
a)1−N−アリールピラゾール誘導体及びアミトラズを含む、有効量の外部寄生虫用組合せと、
b)医薬品として又は獣医学的に許容される液体担体ビヒクルと
を含む、寄生虫用スプレー製剤を提供する。
好ましい担体ビヒクルには、イソプロパノール、エタノール、メタノール、アセトン、エーテル、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリコールホルマール、DGME、及びDMSOが含まれる。
【0150】
下記の非限定的な実施例は、本発明について述べている。
[実施例1]
【0151】
本発明による下記の製剤を、従来の技法により調製した。
成分 量(%w/v)
フィプロニル 10.0
アミトラズ 5.0
エタノール 10.0
ポリビドン 5.0
ポリソルベート80 5.0
ブチル化ヒドロキシアニソール 0.02
ブチル化ヒドロキシトルエン 0.01
ジエチレングリコールモノエチルエーテル QS 100
[実施例2]
【0152】
本発明による下記の製剤を、従来の技法により調製した。
成分 量(%w/v)
フィプロニル 10.0
アミトラズ 15.0
エタノール 10.0
ポリビドン 5.0
ポリソルベート80 5.0
ブチル化ヒドロキシアニソール 0.02
ブチル化ヒドロキシトルエン 0.01
ジエチレングリコールモノエチルエーテル QS 100
[実施例3]
【0153】
本発明による下記の製剤を、従来の技法により調製した。
成分 量(%w/v)
フィプロニル 10.0
アミトラズ 12.0
エタノール 10.0
ポリビドン 5.0
ポリソルベート80 5.0
ブチル化ヒドロキシアニソール 0.02
ブチル化ヒドロキシトルエン 0.01
ジエチレングリコールモノエチルエーテル QS 100
[比較例4]
【0154】
本発明による下記の製剤を、従来の技法により調製した。
成分 量(%w/v)
フィプロニル 10.0
エタノール 10.0
ポリビドン 5.0
ポリソルベート80 5.0
ブチル化ヒドロキシアニソール 0.02
ブチル化ヒドロキシトルエン 0.01
ジエチレングリコールモノエチルエーテル QS 100
[実施例5]
【0155】
イヌに付くマダニに対し、実施例3の製剤(本発明による)の効力持続時間を、比較例4の製剤と比較した。結果を以下に示す。
イヌに付くクリイロコイタマダニ(Rhipicephalus sanguineus)というマダニに対する効力の持続時間。(48時間カウントでの効力%)
【0156】

上記からわかるように、本発明による製剤は、フィプロニル単独の場合よりもはるかに長い時間、効果が続いていた。
[実施例6]
【0157】
イヌに付くマダニに対し、実施例3の製剤(本発明による)の効力の速度を、比較例4の製剤と比較した。結果を以下に示す。
イヌに付くクリイロコイタマダニ(Rhipicephalus sanguineus)というマダニに対する効力の速度。(効力カウントは、毎週の侵襲ごとに6時間後に行った)
【0158】

上記からわかるように、本発明による製剤は、フィプロニル単独を含む製剤よりも速い効果率を示す。
[実施例7]
【0159】
イヌに付くノミに対し、実施例3の製剤(本発明による)の効力の持続時間を、比較例4の製剤と比較した。結果を以下に示す。
ノミに対する効力の持続時間(ノミに対する効力%は、毎週の侵襲ごとに24時間後に測定した)
【0160】

上記からわかるように、本発明による製剤は、フィプロニル単独を含む製剤よりもはるかに長い時間、効果が続いた。アミトラズは、哺乳類及び鳥類へのノミの侵襲を治療するのに使用されることが、当技術分野では知られていないので、この高い効力は驚くべきことである。
【0161】
上述の説明は、例示を目的とするもので、限定しようとするものではない。本明細書で記述される実施形態の、様々な変更及び修正を、当業者なら思い浮かべるであろう。これらの変更は、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)フィプロニル及びアミトラズを含む、有効量の殺外部寄生生物用組合せと、
b)溶媒及び任意で共溶媒を含み、製剤を動物の局所部位に施用するための、医薬品として又は獣医学上許容される、液体担体ビヒクルであって、前記溶媒が、アセトニトリル、ベンジルアルコール、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、ブチルジグリコール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、グリコールホルマール、モノメチルアセトアミド、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリオキシエチレングリコール、2−ピロリドン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチルフタレート脂肪酸エステル、又はこれら溶媒の少なくとも2種の混合物であり、前記共溶媒が、エタノール、イソプロパノール、又はメタノールである、液体担体ビヒクルと、
c)任意選択で、結晶化阻害剤と
を含む、非ヒト哺乳類又は鳥類の寄生虫感染症を治療又は予防するための殺寄生生物用スポットオン製剤以外の局所製剤。
【請求項2】
結晶化阻害剤が存在し、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤、アミン塩、両性界面活性剤、又はポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルとビニルピロリドンのコポリマー、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、マンニトール、グリセロール、ソルビトール、ポリオキシエチレン化ソルビタンエステル、レシチン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、及びアクリル誘導体、並びにこれら結晶化阻害剤の混合物からなる群から選択される、
請求項1に記載の殺寄生生物用スポットオン製剤以外の局所製剤。
【請求項3】
抗酸化剤をさらに含む、請求項1又は2に記載の殺寄生生物用スポットオン製剤以外の局所製剤。
【請求項4】
抗酸化剤が、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、及びチオ硫酸ナトリウムからなる群から選択される、請求項3に記載の殺寄生生物用スポットオン製剤以外の局所製剤。
【請求項5】
水が、0から30%v/vの割合で存在する、請求項1〜4のいずれかに記載の殺寄生生物用スポットオン製剤以外の局所製剤。
【請求項6】
結晶化阻害剤が、1から20%w/vの量で存在する、請求項2に記載の殺寄生生物用スポットオン製剤以外の局所製剤。
【請求項7】
ポアオン製剤である、請求項1〜6のいずれかに記載の殺寄生生物用スポットオン製剤以外の局所製剤。
【請求項8】
スプレー製剤である、請求項1〜6のいずれかに記載の殺寄生生物用スポットオン製剤以外の局所製剤。
【請求項9】
陰イオン界面活性剤が、アルカリステアレート、アビエチン酸ナトリウム;アルキルスルフェート;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、及び脂肪酸であり、
陽イオン界面活性剤が、式NR′R″R′″R″″Yの水溶性第4級アンモニウム塩であり、前記ラジカルR′、R″、R′″及びR″″は独立に、任意選択でヒドロキシル化された炭化水素ラジカルであり、Yは強酸の陰イオンであり、
アミン塩が、NR′R″R′″のアミン塩であり、前記ラジカルR′、R″及びR′″は独立に、任意選択でヒドロキシル化された炭化水素ラジカルであり、
非イオン性界面活性剤が、任意選択でポリオキシエチレン化されたソルビタンエステル、ポリオキシエチレン化アルキルエーテル、ポリエチレングリコールステアレート、ヒマシ油のポリオキシエチレン化誘導体、ポリグリセロールエステル、ポリオキシエチレン化脂肪アルコール、ポリオキシエチレン化脂肪酸、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマーであり、
両性界面活性剤が、ラウリル−置換ベタイン化合物である、
請求項2に記載の殺寄生生物用スポットオン製剤以外の局所製剤。
【請求項10】
昆虫成長抑制剤をさらに含む、請求項1〜9のいずれかに記載の殺寄生生物用スポットオン製剤以外の局所製剤。
【請求項11】
医薬品として又は獣医学上許容される担体が、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを含み、結晶化阻害剤が存在し、ポリビニルピロリドンを含み、界面活性剤がポリソルベート80であり、抗酸化剤が、ブチル化ヒドロキシアニソール及びブチル化ヒドロキシトルエンである、請求項4に記載の殺寄生生物用スポットオン製剤以外の局所製剤。
【請求項12】
少なくとも1種のミルベマイシン若しくはアベルメクチン誘導体、イミダゾチアジド駆虫剤、ベンズイミダゾール駆虫剤、又はピレスロイドをさらに含む、請求項1〜11のいずれかに記載の殺寄生生物用スポットオン製剤以外の局所製剤。
【請求項13】
寄生虫を予防し、防除し、又は無くすことを必要とする非ヒト哺乳類又は鳥類の寄生虫を、予防し、防除し、又は無くすために、殺寄生生物活性を提供する方法であって、前記非ヒト哺乳類又は鳥類に、請求項1に記載のスポットオン製剤以外の局所製剤の有効量を施用することを含む方法。
【請求項14】
殺寄生生物活性が、1カ月から3カ月の長期間にわたって続く、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
1−アリール−ピラゾールがフィプロニルであり、ホルムアミジンがアミトラズであり、非ヒト哺乳類がネコ又はイヌであり、寄生虫がノミ、マダニ、又はその両方である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
液体担体ビヒクルが溶媒及び共溶媒を含み、前記溶媒が、ブチルジグリコール、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリオキシエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、又はこれら溶媒の少なくとも2種の混合物であり、前記共溶媒が、エタノール又はイソプロパノールであり、
結晶化阻害剤が存在し、該結晶化阻害剤が、非イオン性界面活性剤、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニルとビニルピロリドンのコポリマー、ポリエチレングリコール、又はこれら結晶化阻害剤の混合物である、
請求項1に記載の殺寄生生物用スポットオン製剤以外の局所製剤。
【請求項17】
非イオン性界面活性剤が、任意選択でポリオキシエチレン化ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン化アルキルエーテル、ポリエチレングリコールステアレート、ヒマシ油のポリオキシエチレン化誘導体、ポリグリセロールエステル、ポリオキシエチレン化脂肪アルコール、ポリオキシエチレン化脂肪酸、又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマーである、請求項16に記載の殺寄生生物用スポットオン製剤以外の局所製剤。
【請求項18】
液体担体中の10%(w/v)のフィプロニル及び10%(w/v)の結晶化阻害剤を含む溶液0.3mlを20℃でスライドガラス上に堆積し、24時間静置させる試験に供され、その後、10個未満の結晶が裸眼で観察される結晶化阻害剤を含む、請求項1に記載の殺寄生生物用スポットオン製剤以外の局所製剤。
【請求項19】
ポリマータイプの被膜形成剤及び界面活性剤を含む結晶化阻害剤系である結晶化阻害剤を含む、請求項1に記載の殺寄生生物用スポットオン製剤以外の局所製剤。
【請求項20】
ポリマータイプの被膜形成剤が、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、又は酢酸ビニルとビニルピロリドンとのコポリマーであり、界面活性剤が非イオン性界面活性剤である、請求項19に記載の殺寄生生物用スポットオン製剤以外の局所製剤。
【請求項21】
結晶化阻害剤系が、ポリビニルピロリドンとポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸との混合物である、請求項20に記載の殺寄生生物用スポットオン製剤以外の局所製剤。
【請求項22】
ビヒクルが少なくとも1種の溶媒を含む、請求項1に記載の殺寄生生物用スポットオン製剤以外の局所製剤。
【請求項23】
ビヒクルが少なくとも2種の溶媒を含む、請求項1に記載の殺寄生生物用スポットオン製剤以外の局所製剤。
【請求項24】
溶媒がエステルを含む、請求項22に記載の殺寄生生物用スポットオン製剤以外の局所製剤。
【請求項25】
ビヒクルが、イソプロパノール、エタノール、ポリエチレングリコール、グリコールホルマール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、又はジメチルスルホキシドを含む、請求項22に記載の殺寄生生物用スポットオン製剤以外の局所製剤。
【請求項26】
ビヒクルがジメチルスルホキシドを含む、請求項25に記載の殺寄生生物用スポットオン製剤以外の局所製剤。
【請求項27】
ポリビニルピロリドンを含む、請求項1に記載の殺寄生生物用スポットオン製剤以外の局所製剤。
【請求項28】
担体が、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びエタノールを含む、請求項1に記載の殺寄生生物用スポットオン製剤以外の局所製剤。

【公開番号】特開2012−102133(P2012−102133A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−1607(P2012−1607)
【出願日】平成24年1月6日(2012.1.6)
【分割の表示】特願2006−545460(P2006−545460)の分割
【原出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(304040692)メリアル リミテッド (73)
【Fターム(参考)】