説明

1−N−フェニルアミノ−1H−イミダゾール誘導体及びこれを含む医薬組成物

本発明は、式(I):
【化1】


(式中、R、R、R、R、R、R及びnは本明細書中に定義する)のイミダゾール誘導体に関する。また、本発明は、これらの誘導体を含む医薬組成物、及び、その使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アロマターゼ阻害剤としての1−N−フェニルアミノ−1H−イミダゾール誘導体、及び、これを含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アロマターゼは、アンドロステンジオン又はテストステロンといった男性ホルモンがそれぞれエストロン及びエストラジオールといったエストロゲンに変わるという特定の転換の原因となる生理学的な酵素である(非特許文献1)。従って、女性の性的な分化、排卵、着床、妊娠、乳房及び子宮内膜における細胞増殖等の、エストロゲン誘導性又はエストロゲン依存性の正常又は異常な生物学的工程、並びに、男性における精子形成若しくは前立腺細胞増殖の調節、又は、骨構成若しくは免疫T細胞及びサイトカインのバランス等の非生殖機能の調節を妨害するために、アロマターゼの阻害が選択される(非特許文献2〜4)。
【0003】
抗菌剤として多くのアゾール誘導体が知られている。いくつかのイミダゾール又はトリアゾール誘導体が、アロマターゼ酵素の阻害剤として既に記載されている。一般的に、レトロゾール(letrozole)(特許文献1、非特許文献5):
【0004】
【化1】

【0005】
、又は、アナストロゾール(anastrozole)(特許文献2、非特許文献6):
【0006】
【化2】

【0007】
においてみられるように、イミダゾリル基又はトリアゾリル基は芳香環と結合している。
【0008】
メチレン基によってベンゾトリアゾールと結合しているイミダゾール又はトリアゾールが、特許文献3中に記載されている:
【0009】
【化3】

【0010】
パラ位にN−アミノイミダゾール基を有するジターブチルフェノール(Diterbutyl phenol)が特許文献4中に記載されており、炎症抑制特性及び浮腫抑制特性を有していることが示されている:
【0011】
【化4】

【0012】
より最近、M.OKADAら(非特許文献7)が、一連の[4−ブロモフェニルメチル−4−シアノフェニルアミノ]アゾール及びそのアジン類似体について記載している:
【0013】
【化5】

【0014】
本発明において、1−[N−フェニルアミノ]基を例外なく含むイミダゾール誘導体が予想外にも高いアロマターゼ阻害能力を有していることが発見された。
【特許文献1】ヨーロッパ特許出願EP−A−236940
【特許文献2】ヨーロッパ特許出願EP−A−296749
【特許文献3】ヨーロッパ特許出願EP−A−293978
【特許文献4】アメリカ合衆国特許US4,908,363
【非特許文献1】Simpson ERら,Endocrine Reviews,1994,15:342−355
【非特許文献2】Simpson ERら,Recent Progress in Hormone Research,1997,52:185−213
【非特許文献3】Endocrine Related Cancer(1999,volume6,n°2)の全体
【非特許文献4】Breast Cancer Research Treatment(1998,volume49,supplement n°1)の全体
【非特許文献5】Lamb HM及びAdkins JC,Drugs,1998,56:1125−1140
【非特許文献6】Wiseman LR及びAdkins JC,Drugs Aging,1998,13:321−332
【非特許文献7】M.OKADAら,Chem.Pharm.Bull.,44(10),1996,1871−1879
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、本発明の目的の一つは、効果的なアロマターゼ阻害剤である1−[N−フェニルアミノ]イミダゾール誘導体を提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、下記の1−[N−フェニルアミノ]イミダゾール誘導体又はその医薬品に許容される酸付加塩を有効成分として含む医薬組成物を提供することである。
【0017】
本発明の更に別の目的は、様々な疾患を治療又は予防するための、並びに、女性、男性、雌及び雄の野生動物又は家畜の生殖機能を管理するための薬の製造における、1−[N−フェニルアミノ]イミダゾール誘導体の使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の1−[N−フェニルアミノ]イミダゾール誘導体は下記の一般式(I):
【0019】
【化6】

【0020】
、並びに、その酸付加塩、溶媒化合物及び立体異性体で表わされ、
式中、
・R及びRは、各々独立して、水素、(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基である;
・n=0、1、2;
・R、R、R及びRは、各々独立して、水素、(C−C)アルキル基、ハロゲン、シアノ基、(C−C)アルコキシ基、トリフルオロメチル基、(C−C)アルキルチオ基、(C−C)アルキルスルホニル基、スルホンアミド基、アシル基、(C−C)アルコキシカルボニル基又はカルボキシアミド基である;
・また、R、R及びこれらを有するフェニル環は、ベンゾフラン又はN−メチルベンゾトリアゾールを形成している。
【0021】
明細書及び特許請求の範囲中において、「(C−C)アルキル基」という用語は、炭素原子を1〜6個有する直鎖又は分岐の炭化水素鎖を意味するものとする。(C−C)アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基又はヘキシル基である。
【0022】
「ハロゲン」という用語は、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又はフッ素原子を意味するものとする。
【0023】
「(C−C)シクロアルキル基」という用語は、炭素原子を3〜8個有する飽和単環式炭化水素を意味するものとする。(C−C)シクロアルキル基は、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基又はシクロオクチル基である。
【0024】
「(C−C)アルコキシ基」という用語は、Rが上記(C−C)アルキル基であるOR基を意味するものとする。(C−C)アルコキシ基は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基又はイソペンチルオキシ基である。
【0025】
「アシル基」という用語は、R’が水素又は上記(C−C)アルキル基である下記の基:
【0026】
【化7】

【0027】
:を意味するものとする。
【0028】
式(I)の化合物は、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸及びリン酸等の無機酸と、又は、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸及びメタンスルホン酸等の有機カルボン酸と、酸付加塩を形成する。
【0029】
式(I)の好ましい化合物は、:
・nが0又は1である;
・R及びRが、各々独立して、水素又は(C−C)アルキル基である;
・Rがシアノ基又はトリフルオロメチル基である;
・Rが水素、(C−C)アルキル基、ハロゲン、シアノ基、(C−C)アルコキシ基、トリフルオロメチル基、(C−C)アルキルチオ基、(C−C)アルキルスルホニル基又は(C−C)アルコキシカルボニル基である;
・Rが水素、ハロゲン、(C−C)アルコキシ基又はトリフルオロメチル基である;
・Rが水素である;又は、
・R、R及びフェニル環がN−メチルベンゾトリアゾールを形成している:
ようなものである。
【0030】
また、
・nが0又は1である;
・R、R及びRが各々水素である;
・Rがハロゲン、シアノ基又はトリフルオロメチル基である:
ような式(I)の化合物も好ましい。
【0031】
特に好ましい式(I)の化合物は、Rがシアノ基であるもの、Rが水素又はトリフルオロメチル基であるもの、及び、nが1であるものである。
【0032】
価値のある化合物は、下記:
4−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)−N−(4−トリフルオロメチルフェニルメチル)アミノ]ベンゾニトリル、
4−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)−N−(4−クロロフェニルメチル)アミノ]ベンゾニトリル、
4−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)−N−(4−シアノフェニルメチル)アミノ]ベンゾニトリル、
4,4’−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)アミノ]ビスベンゾニトリル、
4−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)アミノ]ベンゾニトリル、
4−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)−N−(3,4−ジフルオロフェニルメチル)アミノ]ベンゾニトリル、及び、
その酸付加塩、溶媒化合物又は立体異性体:
からなる群より選択される。
【0033】
本発明の化合物は、アロマターゼ阻害により内因性エストロゲンの供給源を枯渇させる可能性があるため、単独で又は他の有効成分と併用して、人間及び野生動物又は家畜の、任意のエストロゲン依存性疾患の治療又は予防、又は、エストロゲンに調節される生殖機能の管理に使用することができる。
【0034】
乳房はエストロゲンに刺激された増殖及び/又は分化の影響を受けるため、アロマターゼ阻害剤は、女性の良性胸部疾患、男性の女性化乳房、並びに、女性及び男性における(Brodie AM及びNjar VC,Steroids,2000,65:171−179;Pritchard KI,Cancer,2000,85,suppl 12:3065−3072)又は雄若しくは雌の家畜における、転移を伴う又は伴わない良性又は悪性の乳ガンの治療又は予防において特に有用である。
【0035】
排卵、着床及び妊娠の機構にエストロゲンが関与しているため、本発明のアロマターゼ阻害剤は、女性(Njar VC及びBrodie AM,Drugs,1999,58:233−255)及び雌の野生動物又は家畜の種をそれぞれ避妊、胎芽成長抑制(contragestive)又は堕胎する目的で使用できる。
【0036】
また、子宮もエストロゲン性の刺激に感受性のある生殖器であるため、アロマターゼの阻害は、女性(Njar VC及びBrodie AM,Drugs,1999,58:233−255)及び雌の家畜における子宮内膜症、良性子宮疾患、又は、転移を伴う又は伴わない良性又は悪性の子宮ガンの治療又は予防においても有用である。
【0037】
卵巣はエストロゲンの生理学的な供給源であることから、アロマターゼ阻害剤を、異常な又は時期の不適切な卵巣のエストロゲン産生(それぞれ、多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary syndrome)又は性早熟症(precocious puberty))を治療するために使用できる(Bulunら,J Steroid Biochem Mol Biol,1997,61:133−139)。また、卵巣及び卵巣以外の、エストロゲンを産生する、転移を伴う又は伴わない良性又は悪性の腫瘍(Sasano H及びHarada N,Endocrine Reviews,1998,19:593−607)に対しても、本発明のアロマターゼ阻害剤による治療が有効である可能性がある。
【0038】
男性においては、前立腺及び精巣の組織もエストロゲン性の刺激に対する感受性がある(Abney TO,Steroids,1999,64:610−617;Carreau Sら,Int J Androl,1999,22:133−138)。従って、アロマターゼ阻害剤は、転移を伴う若しくは伴わない良性(Sciarra F及びToscano V,Archiv Androl,2000,44:213−220)若しくは悪性の前立腺ガンの治療若しくは予防(Auclerc Gら,Oncologist,2000,5:36−44)、又は、男性及び雄の野生動物若しくは家畜における、精子形成機能若しくは機能不全の治療、予防若しくは制御に使用できる。
【0039】
また、エストロゲンは、骨のターンオーバーの調節に関与していることについても知られている。従って、アロマターゼ阻害剤は、単独で又は他の再吸収阻害剤又は骨形成促進剤(proosteogenic agent)と併用して、適切な一連の治療又は摂生による骨疾患の治療又は予防において有用である可能性がある。
【0040】
また、エストロゲンは、主要な免疫機能であるThとThとの間のバランス調節に関与しているため、狼瘡、多発性硬化症及び慢性関節リウマチ等の性依存性自己免疫疾患の治療又は予防において有用である可能性がある。
【0041】
エストロゲン依存性疾患を治療又は予防する目的で式(I)の化合物を投与する場合、この化合物を、他の一種又は数種の性内分泌腺治療薬と併用することができる。男性又は女性の生殖能力、妊娠、堕胎又は出産等の生殖機能を制御又は管理する場合には、式(I)の化合物を、例えばLH−RHアゴニスト若しくはアンタゴニスト、発情妊娠前(estroprogestative)避妊薬、プロゲスチン、プロゲスチン阻害剤又はプロスタグランジンと併用することができる。式(I)の化合物で乳房、子宮又は卵巣の良性又は悪性疾患を治療又は予防する場合には、この化合物を、例えばエストロゲン阻害剤、プロゲスチン又はLH−RHアゴニスト若しくはアンタゴニストと併用することができる。前立腺又は精巣の良性又は悪性疾患を治療又は予防する場合には、式(I)の化合物を、例えばアンドロゲン阻害剤、プロゲスチン、リアーゼ阻害剤又はLH−RHアゴニスト若しくはアンタゴニストと併用することができる。
【0042】
本明細書中において、「併用する」という用語は、投与時間、及び、ある時間における任意の薬剤の投与量に関係なく、式(I)の化合物と一種以上の他の薬剤とを任意の方法で併用投与することを指す。上記併用投与は、例えば同時に又は逐次実施することができる。
【0043】
従って、本発明はまた、治療上有効な量の式(I)の化合物又はその医薬品に許容される酸付加塩を、任意に別の有効成分と併用して、これを要する患者に投与すること含む、上記疾患を治療又は予防する方法にも関する。
【0044】
上記の任意の疾患を治療/予防するために、式(I)の化合物を、例えば経口で、局所的に、非経口的に、医薬品に許容される従来の非毒性の基材、補助剤及び媒体を含む投与単位型の製剤として投与してもよい。このような投薬形態は例示として示すものであり、当業者であれば、式(I)の化合物を投与するための製剤をこれら以外の投与形態で開発できる可能性がある。本明細書中において、「非経口的」という用語は、皮下注射、静脈注射、筋肉注射、胸骨内注射又は点滴を含む。本発明の化合物は、人間の治療以外にも、マウス、ラット、馬、畜牛羊(cattle sheep)、犬、猫等の温血動物の治療にも効果的である。
【0045】
上記有効成分を含む医薬組成物は、例えば錠剤、トローチ剤、甘味入り錠剤、水性若しくは油性懸濁液、分散可能粉末若しくは顆粒、エマルション、硬質若しくは軟質カプセル、又は、シロップ若しくはエリキシル剤等の、経口使用に適した形態のものであってよい。経口使用するための組成物は、医薬組成物を製造するための従来既知の任意の方法によって調製することができ、このような組成物は、高品質で味の良好な医薬品とするために、甘味料、着香料、着色料及び防腐剤からなる群より選択される一種以上の物質を含んでいてもよい。
【0046】
錠剤は、錠剤の製造に適切な、医薬品に許容される非毒性の補形薬と、有効成分とを混合して含む。上記補形薬は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム若しくはリン酸ナトリウム等の活性のない賦形剤、例えばコーンスターチ若しくはアルギン酸等の顆粒化剤及び崩壊剤、例えばデンプン、ゼラチン若しくはアラビアゴム等の結合剤、並びに、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸若しくはタルク等の滑剤であってよい。錠剤は、被覆されていなくてもよいし、公知の方法で被覆して胃腸管内での崩壊及び吸収を遅らせることにより効果を長時間持続させたものであってもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリン又はジステアリン酸グリセリン等の時間遅延用物質を使用してもよい。
【0047】
また、米国特許No.4,256,108、No.4,166,452及びNo.4,265,874中に記載されている方法で錠剤を被覆して、制御放出用の浸透性治療用錠剤を形成してもよい。
【0048】
また、経口使用用の製剤は、(例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリン等の)活性のない固体の賦形剤と有効成分とを混合して含む硬質ゼラチンカプセルとして、又は、水若しくは(例えば落花生油、流動パラフィン又はオリーブ油等の)油状媒体と有効成分とを混合して含む軟質ゼラチンカプセルとして提示してもよい。
【0049】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適切な補形薬と有効成分とを混合して含むものである。このような補形薬とは、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム及びアラビアゴム等の懸濁剤;例えば(レシチン等の)天然リン脂質、又は(例えばステアリン酸ポリオキシエチレン等の)アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合物、又は、(例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール等の)エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合物、又は、(モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンエステル等の)エチレンオキシドと脂肪酸由来の部分エステルとヘキシトールとの縮合物、又は、(例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンエステル等の)エチレンオキシドと脂肪酸由来の部分エステルとヘキシトール無水物との縮合物等の分散剤又は湿潤剤である。また、上記水性懸濁液は、例えばp−ヒドロキシ安息香酸エチル又はp−ヒドロキシ安息香酸n−プロピル等の一種以上の防腐剤、一種以上の着色料、一種以上の着香料、及び、スクロース、サッカリン又はアスパルテーム等の一種以上の甘味料を含んでいてもよい。
【0050】
油性懸濁液は、有効成分を、例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油若しくはヤシ油等の植物油中に、又は、流動パラフィン等の鉱物油中に懸濁することによって調製してもよい。上記油性懸濁液は、例えば密蝋、固形パラフィン又はセチルアルコール等の増粘剤を含んでいてもよい。上記甘味料及び着香料を添加することによって、味の良好な経口製剤を調製してもよい。このような組成物は、アスコルビン酸等の抗酸化剤を添加することによって保存してもよい。
【0051】
水を添加して水性懸濁液を調製するのに適切な分散可能な粉末及び顆粒において、有効成分は、分散剤又は湿潤剤、懸濁剤及び一種以上の防腐剤と混合されている。適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤の例としては、既に上述したものが挙げられる。また、上記以外の補形薬、例えば甘味料、着香料及び着色料等を使用してもよい。また、本発明の医薬組成物は、水中油型エマルションの形態であってもよい。油相は、例えばオリーブ油若しくは落花生油等の植物油、又は、例えば流動パラフィン等の鉱物油、又は、これらの混合物であってもよい。適切な乳化剤は、例えば大豆レシチン等の天然リン脂質、及び、(例えばモノオレイン酸ソルビタン等の)脂肪酸とヘキシトール無水物とに由来するエステル又は部分エステル、及び、(例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等の)上記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物であってよい。また、上記エマルションは、甘味料及び着香料を含んでいてもよい。
【0052】
上記医薬組成物は、注射可能な無菌の水性懸濁液又は油性懸濁液の形態であってもよい。この懸濁液は、上記適切な分散剤又は湿潤剤及び上述の懸濁剤を使用して公知の技術によって調製してもよい。また、上記注射可能な無菌の製剤は、非経口経路において許容される非毒性の賦形剤又は溶媒中に溶解又は懸濁した、注射可能な無菌の溶液又は懸濁液(例えば1,3−ブタンジオール溶液等)であってもよい。許容される媒体及び溶媒のうちで使用できるのは、水、リンガー溶液及び等張性塩化ナトリウム溶液である。また、無菌の不揮発性油が、溶媒又は懸濁媒体として従来から使用される。この目的のために、合成のモノグリセリド又はジグリセリドを含む任意の弱刺激性の不揮発性油を使用してもよい。また、オレイン酸等の脂肪酸を注射可能薬剤の調製に使用することもできる。
【0053】
1日当たり約0.0001mg〜約20mg/kg体重の投与量、又は、患者1人について1日当たり約0.1mg〜約2000mgの投与量が、上記症状の治療において有用である。
【0054】
基材物質と併用することにより単回投与用の形態を作成できる有効成分の量は、治療対象及び各投与法によって異なるであろう。投与単位型の製剤は、一般的に、有効成分を約0.1mg〜約400mg、好ましくは約1mg〜約100mg、概して0.1mg、1mg、2mg、5mg、10mg、20mg、40mg、50mg、60mg、80mg、100mg又は400mg含むであろう。
【0055】
しかし、当然のことながら、任意の特定の患者に対して特効のある投与量は、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路、排出速度、薬の組み合わせ、及び、治療中の特定の疾患の重症度を含む様々な要因によって異なるであろう。
【0056】
本発明の式(I)の1−N−フェニルアミノ−1H−イミダゾール誘導体及びその酸付加塩は、下記の一般的なスキーム1によって調製できる。
【0057】
【化8】

【0058】
スキーム1によれば、アニリン誘導体(1)と式(2)のアルデヒドと縮合させ、イミン中間体を、水素化ホウ素ナトリウムで還元することによって、又は、触媒として酸化パラジウム又は酸化白金を使用して水素化することによって、N,N−二置換アニリン(3)が得られる。また、上記アニリン(3)は、ハロゲノ誘導体(8)と式(1)のアニリンとを反応させることによっても調製できる。
【0059】
標準的な条件で上記N,N−二置換アニリン(3)をそのニトロソ誘導体に転化させた後、還元することによって、式(4)の1,1−二置換ヒドラジンが得られる。
【0060】
また、上記1,1−二置換ヒドラジン(4)は、U.LERCH及びJ.KONIGが記載する条件(Synthesis,1983,2,157−8)で、式(7)の化合物と式(8)の化合物とを選択的にN−アルキル化することによっても調製できる。
【0061】
その後、(4)とジアルキルオキシアルキルイソチオシアネート誘導体又はエチレンジオキシアルキルイソシアネート誘導体とを縮合させることによってチオセミカルバジド(5)が得られ、これを酢酸又は硫酸等の酸で処理することによって1−アミノイミダゾール2−チオン(6)に変換する。
【0062】
S.GRIVAS及びE.RONNEが記載する条件(Acta Chemica Scandinavia,1995,49,225−229)で酢酸中において(6)を脱硫することによって、最終的に1−N−フェニルアミノ−1H−イミダゾール誘導体(I)が得られ、これをその医薬品に許容される酸付加塩の一種に任意に転化させる。また、N−イミダゾロアニリン(imidazoloaniline)(9)とハロゲノ誘導体(8)とを縮合させることによって、R又はRが電子を引き抜く基であるような化合物(I)を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
以下の実施例及び試験は本発明の説明を目的とするものであって、限定を意味するものではない。
【0064】
<N−アルキルアニリン(3)の調製>
【実施例1】
【0065】
N−(4−クロロフェニルメチル)−4−シアノアニリン
4−クロロベンズアルデヒド(35.69g、0.253mol)を無水エタノール(250ml)中に溶解した溶液に、4−アミノベンゾニトリル(30g、0.253mol)を徐々に添加した。この反応混合物を室温で3時間撹拌し、沈殿をろ過してエーテルで洗浄し、THF/エタノールの1/1混合物(250ml)中に流し入れた。得られた懸濁液を氷冷し、NaBH(4.8g、0.127mol)を徐々に添加して、この反応混合物を室温で0.75時間撹拌した。酢酸(3ml)及び水(500ml)を添加した後、沈殿をろ過して水で洗浄し乾燥させて、白色の固体(51.27g、84%)を得た(mp:130℃)。
【0066】
H−NMR(CDCl):4.35(d、2H)、4.75(s、1H)、6.55(d、2H)、7.20−7.50(m、6H)
【0067】
4−クロロベンズアルデヒドを
・4−メトキシベンズアルデヒド、
・3−フルオロ−4−メトキシベンズアルデヒド
で置き換える以外は上記と同じ手順で、
・4−シアノ−N−(4−メトキシフェニルメチル)アニリン(mp:109℃)、及び、
・4−シアノ−N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニルメチル)アニリン(mp:108℃)
がそれぞれ得られた。
【実施例2】
【0068】
4−シアノ−N−(4−メチルフェニルメチル)アニリン
p−トルアルデヒド(40.68g、0.338mol)と、4−アミノベンゾニトリル(40g、0.338mol)と、Pd/C(4g)を無水エタノール(300ml)中に5%で溶解した溶液との混合物を、室温で一晩水素化した。この反応混合物を塩化メチレンで希釈してセライト(R)でろ過し、濃縮して乾燥させた。そして、エタノールから結晶化させることによって、白色の固体(74.9g、99%)が得られた(mp:100℃)。
【0069】
H−NMR(CDCl):2.35(s、3H)、4.3(d、2H)、4.7(s、1H)、6.55(d、2H)、7.10−7.30(m、4H)、7.35(d、2H)
【0070】
p−トルアルデヒドを
・4−シアノベンズアルデヒド、
・3,4−ジメトキシベンズアルデヒド
で置き換える以外は上記と同じ手順で、
・4−シアノ−N−(4−シアノフェニルメチル)アニリン(mp:156℃)及び、
・4−シアノ−N−(3,4−ジメトキシフェニルメチル)アニリン(mp:150℃)
がそれぞれ得られた。
【0071】
<N,N−二置換ヒドラジン(4)の調製>
これは、文献(Tetrahedron 1982,38(3):419−423、及び、Organic Fonctional Group Preparations 1968,1:374−376)中に記載されている手順で一般的に調製する。
【実施例3】
【0072】
−(4−クロロフェニルメチル)−N−(4−シアノフェニル)ヒドラジン
4−シアノ−N−(4−クロロフェニルメチル)アニリン(30g、0.125mol)を2NのHSO(150ml)中に懸濁した懸濁液を氷冷したものに、亜硝酸ナトリウム(9.48g、0.137mol)を水(30ml)に溶解した水溶液を添加した。この反応混合物を室温で2時間撹拌した。亜硝酸ナトリウム(9.48g、0.137mol)を水(30ml)に溶解した水溶液を添加して、この反応物を一晩撹拌した。亜硝酸ナトリウム(6.6g、0.095mol)を水(20ml)に溶解した水溶液を添加して、この反応物を1時間撹拌した。酢酸エチルで抽出した後、炭酸水素ナトリウム飽和溶液、水及びブラインで連続して有機相を洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて真空下で蒸発させ、白色の固体(30.5g)を得た。得られた固体をエーテル(60ml)、酢酸(60ml)及び水(60ml)の混合物中に懸濁した懸濁液に、35℃未満の温度を維持できる割合の亜鉛粉末(24.5g、0.375mol)を添加した。この混合物を2時間撹拌し、酢酸(60ml)、水(60ml)及び亜鉛(6g)を添加して、0.5時間撹拌を続けた。エーテル(200ml)を添加した後、この反応混合物をろ過して無機物を酢酸エチルで洗浄し、酢酸エチルで抽出した後、水、ブラインで有機相を洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を真空下で濃縮し、ジイソプロピルエーテルから結晶化させることによって、固体(18.78g、58%)を得た(mp:90℃)。
【0073】
H−NMR(CDCl):3.75(s、2H)、4.69(s、2H)、7.05(d、2H)、7.15(d、2H)、7.35(d、2H)、7.49(d、2H)
【0074】
4−シアノ−N−(4−クロロフェニルメチル)アニリンを
・4−シアノ−N−(4−メトキシフェニルメチル)アニリン、
・4−シアノ−N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニルメチル)アニリン、
・4−シアノ−N−(4−メチルフェニルメチル)アニリン、
・4−シアノ−N−(4−シアノフェニルメチル)アニリン、
・4−シアノ−N−(3,4−ジメトキシフェニルメチル)アニリン、
・4−ブロモ−N−(4−シアノフェニルメチル)アニリン
で置き換える以外は上記と同じ手順で、
・N−(4−メトキシフェニルメチル)−N−(4−シアノフェニル)ヒドラジン(mp:74℃)、
・N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニルメチル)−N−(4−シアノフェニル)ヒドラジン(mp:102℃)、
・N−(4−メチルフェニルメチル)−N−(4−シアノフェニル)ヒドラジン(mp:74℃)、
・N−(4−シアノフェニルメチル)−N−(4−シアノフェニル)ヒドラジン(mp:215℃)、
・N−(3,4−ジメトキシフェニルメチル)−N−(4−シアノフェニル)ヒドラジン(mp:134℃)、及び、
・N−(4−シアノフェニルメチル)−N−(4−ブロモフェニル)ヒドラジン(mp:114℃)
がそれぞれ得られた。
【実施例4】
【0075】
−(4−トリフルオロメチルフェニルメチル)−N−(4−シアノフェニル)ヒドラジン
窒素雰囲気下において、THF(100ml)を入れたフラスコ中にナトリウムアミド粉末(95%、4.8g、0.117mol)を撹拌しながら入れた。この溶液を氷冷し、(文献(Jose L.Castroら,J.Med.Chem.1994,37,3023−3032))によって調製した)4−シアノ−フェニルヒドラジン塩酸塩(10g、0.058mol)を徐々に添加した。氷浴をはずして、このオレンジ色の懸濁液に窒素を1時間流し入れて通過させ、溶解しているアンモニアの大部分を除去した。氷冷しながら4−トリフルオロメチルベンジル塩化物(12g、0.062mol)を添加した後、この反応混合物を室温で1.5時間撹拌し、水(100ml)中に流し入れた。酢酸エチルで抽出した後、有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて真空下で蒸発させた。ジイソプロピルエーテルから粉砕することによって、黄色の固体(7.5g、43%)を得た(mp:98℃)。
【0076】
H−NMR(CDCl):3.8(s、2H)、4.8(s、2H)、7.05(d、2H)、7.33(d、2H)、7.5(d、2H)、7.6(d、2H)
【0077】
4−トリフルオロメチルベンジル塩化物を
・4−フルオロベンゾニトリル、
・4−フルオロベンジル臭化物、
・4−メチルチオベンジル塩化物、
・3,4−ジフルオロベンジル塩化物、
・2,4−ジフルオロベンジル塩化物、
・3,5−ジフルオロベンジル塩化物、
・4−ブロモベンジル臭化物
で置き換える以外は上記と同じ手順で、
・N−ビス(4−シアノフェニル)ヒドラジン(mp:222℃)、
・N−(4−フルオロフェニルメチル)−N−(4−シアノフェニル)ヒドラジン(mp:114〜115℃)、
・N−(4−メチルチオフェニルメチル)−N−(4−シアノフェニル)ヒドラジン(mp:72℃)、
・N−(3,4−ジフルオロフェニルメチル)−N−(4−シアノフェニル)ヒドラジン(mp:72℃)、
・N−(2,4−ジフルオロフェニルメチル)−N−(4−シアノフェニル)ヒドラジン(mp:70℃)、
・N−(3,5−ジフルオロフェニルメチル)−N−(4−シアノフェニル)ヒドラジン(mp:124℃)、及び、
・N−(4−ブロモフェニルメチル)−N−(4−シアノフェニル)ヒドラジン(mp:90℃)
がそれぞれ得られた。
【0078】
実施例4A
−(4−シアノフェニルメチル)−N−(4−メトキシフェニル)ヒドラジン
トルエン(200ml)及びトリエチルアミン(46.40ml、329.80mmol)を入れたフラスコ中にクロロメチルベンゾニトリル(25g、164.90mmol)を撹拌しながら入れた。(文献(Jose L.Castroら,J.Med.Chem.1994,37,3023−3032)によって調製した)4−シアノ−フェニルヒドラジン塩酸塩(28.80g、164.90mmol)を徐々に添加し、この反応混合物を還流しながら3時間撹拌した。冷却した後でこの混合物をろ過し、トルエン(50ml)及び水(200ml)で洗浄して、白色の固体(27.20g、65%)を得た(mp:115℃)。
【0079】
H−NMR(DMSO d):3.65(s、3H)、4.30(s、2H)、4.57(s、2H)、6.77(d、2H)、6.94(d、2H)、7.48(d、2H)、7.76(d、2H)
【0080】
<式(I)のイミダゾールの調製>
【実施例5】
【0081】
4−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)−N−(4−トリフルオロメチルフェニル)アミノ]ベンゾニトリル
tBuOK(1.06g、0.00895mol)をDMSO(18ml)中に溶解して冷却した溶液(10〜15℃)中に、(対応する2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾール2−チオンを脱硫することによって調製した;J.G.Schantl,Heterocycles,37(3),1873,1994)N−(1H−イミダゾール−1−イル)−4−トリフルオロメチルアニリン(1.85g、0.00814mol)を徐々に添加した。この反応混合物を室温で1時間撹拌した後、4−フルオロベンゾニトリル(0.936g、0.00773mol)をDMSO(18ml)中に溶解したものを添加し、この反応混合物を2時間撹拌して高濃度の水酸化ナトリウム水溶液中に流し入れた。そして、沈殿を集めて真空下で乾燥させた。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(トルエン/ジオキサン:7/3)にかけ、ジイソプロピルエーテルから結晶化させて、固体(1.6g、60%)を得た(mp:104℃)。
【0082】
分析
(計算値)C:62.2;H:3.38;F:17.36;N:17.07
(実測値)C:62.22;H:3.40;F:17.3;N:17.1
H−NMR(DMSO d):6.96(d、2H)、7.15(s、1H)、7.31(d、2H)、7.68(s、1H)、7.6−7.85(m、4H)、7.87(s、1H)
【実施例6】
【0083】
4−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)−N−(4−トリフルオロメチルフェニルメチル)アミノ]ベンゾニトリル
a)4−[N−(2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾール−1−イル−2−チオン)−N−(4−トリフルオロメチルフェニルメチル)アミノ]ベンゾニトリル
−(4−トリフルオロメチルフェニルメチル)−N−(4−シアノフェニル)ヒドラジン(7.5g、0.025mol)をエタノール(100ml)中に懸濁した懸濁液に、2,2−ジメトキシエチルイソチオシアネート(4g、0.027mol)を滴下し、この反応混合物を還流しながら2時間加熱した。冷却後に溶媒を真空下で蒸発させて、得られた残渣をHSO(2N)(20ml)中に流し入れ、この懸濁液を還流しながら0.3時間加熱した。酢酸エチルで抽出した後に有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて、真空下で濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(トルエン/ジオキサン:8/2)にかけ、ジイソプロピルエーテル/エタノールから粉砕することによって、黄色の固体(2.7g、28%)が得られた(mp:200℃)。
【0084】
H−NMR(DMSO d):5−5.4(m、2H)、6.65(d、2H)、6.95(d、1H)、7.15(d、1H)、7.7(m、6H)
【0085】
b)4−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)−N−(4−トリフルオロメチルフェニルメチル)アミノ]ベンゾニトリル
4−[N−(2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾール−1−イル−2−チオン)−N−(4−トリフルオロメチルフェニルメチル)アミノ]ベンゾニトリル(2.7g、0.0072mol)を酢酸(20ml)中に懸濁して氷冷した懸濁液に、35%過酸化水素(1.1ml、0.035mol)を滴下した。TLC反応を完全に終了させてこの反応混合物を水で希釈し、水酸化ナトリウムでpH11に調節して亜硫酸水素ナトリウムで処理し、酢酸エチルで抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させて、真空下で濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(トルエン/酢酸エチル:7/3、その後6/4)にかけ、ジイソプロピルエーテルから結晶化させることによって、固体(1g、41%)を得た(mp:134℃)。
【0086】
分析
(計算値)C:63.1;H:3.8;N:16.3
(実測値)C:63.4;H:3.58;N:16.3
H−NMR(DMSO d):5.15(s、2H)、6.65(d、2H)、7(s、1H)、7.4(s、1H)、7.5−7.9(m、7H)
M+=342
【0087】
−(4−トリフルオロメチルフェニルメチル)−N−(4−シアノフェニル)ヒドラジンを
・N−(4−クロロフェニルメチル)−N−(4−シアノフェニル)ヒドラジン、
・N−(4−メトキシフェニルメチル)−N−(4−シアノフェニル)ヒドラジン、
・N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニルメチル)−N−(4−シアノフェニル)ヒドラジン、
・N−(4−メチルフェニルメチル)−N−(4−シアノフェニル)ヒドラジン、
・N−(4−シアノフェニルメチル)−N−(4−シアノフェニル)ヒドラジン、
・N−(3,4−ジメトキシフェニルメチル)−N−(4−シアノフェニル)ヒドラジン、
・N−ビス(4−シアノフェニル)ヒドラジン、
・N−(4−フルオロフェニルメチル)−N−(4−シアノフェニル)ヒドラジン、
・N−(4−メチルチオフェニルメチル)−N−(4−シアノフェニル)ヒドラジン、
・N−(3,4−ジフルオロフェニルメチル)−N−(4−シアノフェニル)ヒドラジン、
・N−(2,4−ジフルオロフェニルメチル)−N−(4−シアノフェニル)ヒドラジン、
・N−(3,5−ジフルオロフェニルメチル)−N−(4−シアノフェニル)ヒドラジン、
・N−(4−ブロモフェニルメチル)−N−(4−シアノフェニル)ヒドラジン、
・N−(4−シアノフェニルメチル)−N−(4−ブロモフェニル)ヒドラジン、
・N−(4−シアノフェニルメチル)−N−(1−メチルベンゾトリアゾール−6−イル)ヒドラジン、
・N−(4−シアノフェニルメチル)−N−(3−トリフルオロメチル−4−シアノフェニル)ヒドラジン、
・N−フェニルメチル−N−(4−シアノフェニル)ヒドラジン、
・N−(4−シアノフェニル)−N−(3−トリフルオロメチル−4−シアノフェニル)ヒドラジン、
・N−(3−フルオロフェニルメチル)−N−(4−シアノフェニル)ヒドラジン、
・N−(4−メトキシカルボニルフェニルメチル)−N−(4−シアノフェニル)ヒドラジン、
・N−(4−シアノフェニル)−N−(4−フルオロフェニル)ヒドラジン、
・N−(3−トリフルオロメチルフェニルメチル)−N−(4−シアノフェニル)ヒドラジン
で置き換える以外は上記と同じ手順で、下記の化合物がそれぞれ得られた。
【実施例7】
【0088】
4−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)−N−(4−クロロフェニルメチル)アミノ]ベンゾニトリル、塩酸塩
mp:190℃
分析
(計算値)C:59.15;H:4.09;Cl:20.54;N:16.23
(実測値)C:59.04;H:3.99;Cl:20.5;N:16.2
H−NMR(DMSO d):5.15(s、2H)、6.95(d、2H)、7.4(s、4H)、7.75(m、3H)、8.10(s、1H)、9.6(s、1H)
【実施例8】
【0089】
4−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)−N−(4−メトキシフェニルメチル)アミノ]ベンゾニトリル、塩酸塩
mp:178℃
分析
(計算値)C:63.44;H:5.03;Cl:10.40;N:16.44
(実測値)C:63.4;H:5.01;Cl:10.4;N:16.6
H−NMR(DMSO d):3.70(s、3H)、5.05(s、2H)、6.85(d、2H)、7(d、2H)、7.25(d、2H)、7.79(s、1H)、7.80(d、2H)、8.1(s、1H)、9.50(s、1H)
【実施例9】
【0090】
4−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)−N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニルメチル)アミノ]ベンゾニトリル、塩酸塩
mp:190℃
H−NMR(DMSO d):3.80(s、3H)、5.05(s、2H)、7(d、2H)、7.05−7.15(m、2H)、7.30(d、1H)、7.8(d、2H)、7.75(s、1H)、8.1(s、1H)、9.50(s、1H)
【実施例10】
【0091】
4−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)−N−(4−メチルフェニルメチル)アミノ]ベンゾニトリル
mp:156℃
分析
(計算値)C:74.98;H:5.59;N:19.43
(実測値)C:74.55;H:5.56;N:19.3
H−NMR(DMSO d):2.25(s、3H)、4.95(s、2H)、6.65(d、2H)、6.98(s、1H)、7.10(d、2H)、7.2(d、2H)、7.35(s、1H)、7.70(m、3H)
【実施例11】
【0092】
4−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)−N−(4−シアノフェニルメチル)アミノ]ベンゾニトリル、塩酸塩
mp:195℃
分析
(計算値):C:64.38;H:4.2;Cl:10.56;N:20.86
(実測値)C:64.31;H:4.29;Cl:10.6;N:20.9
H−NMR(DMSO d):5.30(s、2H)、7.10(d、2H)、7.62(d、2H)、7.70−8(m、5H)、8.17(s、1H)、9.7(s、1H)
【実施例12】
【0093】
4−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)−N−(3,4−ジメトキシフェニルメチル)アミノ]ベンゾニトリル、塩酸塩
mp:167℃
分析
(計算値)C:61.54;H:5.16;Cl:9.56;N:15.11
(実測値)C:61.39;H:5.13;Cl:9.57;N:15.1
H−NMR(DMSO d):3.70(s、3H)、3.73(s、3H)、5(s、2H)、6.65−7.15(m、5H)、7.75(s、1H)、7.80(d、2H)、8.10(s、1H)、9.5(s、1H)
【実施例13】
【0094】
4,4’−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)アミノ]ビスベンゾニトリル、塩酸塩
mp:199℃
分析
(計算値)C:63.46;H:3.76;Cl:11.02;N:21.76
(実測値)C:63.2;H:3.81;Cl:11.0;N:21.9
H−NMR(DMSO d):7.26(d、4H)、7.9(s、1H)、7.92(d、4H)、8.30(s、1H)、9.80(s、1H)
【実施例14】
【0095】
4−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)アミノ]ベンゾニトリル、塩酸塩半水化物
mp:176−178℃
分析
(計算値)C:60.45;H:4.48;F:5.62;Cl:10.5;N:16.59
(実測値)C:60.71;H:4.64;F:5.54;Cl:10.6;N:17.0
H−NMR(DMSO d):5.15(s、2H)、7.2(t、2H)、7.4(q、2H)、7.8(s、1H)、7.0−7.8(AB、4H)、9.6(s、1H)
【実施例15】
【0096】
4−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)−N−(4−メチルチオフェニルメチル)アミノ]ベンゾニトリル
mp:128℃
分析
(計算値)C:67.56;H:5.03;N:17.5;S:10.02
(実測値)C:67.12;H:4.90;N:17.2;S:9.51
H−NMR(DMSO d):2.4(s、3H)、5.05(s、2H)、6.65(d、2H)、7(s、1H)、7.15−7.3(m、4H)、7.35(s、1H)、7.7(m、3H)
【実施例16】
【0097】
4−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)−N−(4−メチルスルホニルフェニルメチル)アミノ]ベンゾニトリル
mp:190℃
H−NMR(DMSO d):3.2(s、3H)、5.2(s、2H)、6.6(d、2H)、7(s、1H)、7.45(s、1H)、7.6−7.9(m、7H)
【実施例17】
【0098】
4−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)−N−(3,4−ジフルオロフェニルメチル)アミノ]ベンゾニトリル
mp:132℃
分析
(計算値)C:65.86;H:3.9;N:18.07
(実測値)C:65.47;H:3.78;N:18.1
H−NMR(DMSO d):5.0(s、2H)、6.7(d、2H)、6.9−7.8(m、8H)
【実施例18】
【0099】
4−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)−N−(2,4−ジフルオロフェニルメチル)アミノ]ベンゾニトリル
mp:149℃
分析
(計算値)C:65.86;H:3.9;N:18.07
(実測値)C:66.0;H:3.84;N:18.2
H−NMR(DMSO d):5.1(s、2H)、6.7(d、2H)、6.9−7.8(m、8H)
【実施例19】
【0100】
4−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)−N−(3,5−ジフルオロフェニルメチル)アミノ]ベンゾニトリル
mp:170℃
分析
(計算値)C:65.86;H:3.9;N:18.07
(実測値)C:65.73;H:3.8;N:18.02
H−NMR(DMSO d):5.1(s、2H)、6.6(d、2H)、7−7.2(m、4H)、7.5(s、1H)、7.75(d、2H)、7.9(s、1H)
【実施例20】
【0101】
4−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)−N−(4−ブロモフェニルメチル)アミノ]ベンゾニトリル、塩酸塩
mp:125℃
H−NMR(CDCl):5(s、2H)、6.8(d、2H)、7(s、1H)、7.25(m、3H)、7.35(s、1H)、7.4(d、2H)、7.65(d、2H)、9.85(s、1H)
【実施例21】
【0102】
4−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)−N−(4−ブロモフェニル)アミノメチル]ベンゾニトリル
mp:138℃
分析
(計算値)C:57.81;H:3.71;N:15.86;Br:22.62
(実測値)C:57.85;H:3.7;N:15.9;Br:23.2
H−NMR(DMSO d):4.85(s、2H)、6.5(d、2H)、7(s、1H)、7.1(s、1H)、7.25−7.55(m、5H)、7.6(d、2H)
【実施例22】
【0103】
4−[N−(1−メチルベンゾトリアゾール−6−イル)−N−(1H−イミダゾール−1−イル)アミノメチル]ベンゾニトリル
mp:184℃
H−NMR(DMSO d):4.20(s、3H)、5.1(s、2H)、6.5(dd、1H)、6.95(s、1H)、7.2(s、1H)、7.4(s、1H)、7.57(d、2H)、7.7−7.85(m、3H)、7.9(d、1H)
【実施例23】
【0104】
4−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)−N−(4−シアノフェニルメチル)アミノ]−3−トリフルオロメチルベンゾニトリル
mp:226℃
分析
(計算値)C:62.18;H:3.29;N:19.08
(実測値)C:61.89;H:3.35;N:18.9
H−NMR(DMSO d):5.25(s、2H)、6.8−7.05(m、3H)、7.45(s、1H)、7.55(d、2H)、7.8(d、3H)、8.05(d、1H)
【実施例24】
【0105】
4−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)−N−(フェニルメチル)アミノ]ベンゾニトリル
mp:107℃
H−NMR(DMSO d):5.05(s、2H)、6.65(d、2H)、7(s、1H)、7.25−7.4(m、6H)、7.65−7.75(m、3H)
【実施例25】
【0106】
4−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)−N−(4−シアノフェニル)アミノ]−3−トリフルオロメチルベンゾニトリル
mp:166℃
H−NMR(DMSO d):7.2(m、3H)、7.3(d、2H)、7.75(s、1H)、7.95(d、2H)、8.15(d、1H)、8.25(s、1H)
【実施例26】
【0107】
4−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)−N−(3−フルオロフェニルメチル)アミノ]ベンゾニトリル
mp:112℃
分析
(計算値)C:69.9;H:4.48;N:19.18
(実測値)C:69.38;H:4.35;N:19.3
H−NMR(DMSO d):5.05(s、2H)、6.65(d、2H)、7(s、1H)、7.05−7.25(m、3H)、7.3−7.45(m、2H)、7.7−7.85(m、3H)
【実施例27】
【0108】
メチル4−[N−(4−シアノフェニル)−N−(1H−イミダゾール−1−イル)アミノメチル]安息香酸塩
mp:178℃
H−NMR(DMSO d):3.85(s、3H)、5.15(s、2H)、6.65(d、2H)、7(s、1H)、7.4(s、1H)、7.5(d、2H)、7.65−7.8(m、3H)、7.9(d、2H)
【実施例28】
【0109】
4−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)−N−(4−フルオロフェニル)アミノ]ベンゾニトリル
mp:113℃
H−NMR(DMSO d):6.45(d、2H)、7.1(s、1H)、7.25−7.45(m、2H)、7.5−7.7(m、5H)、8.2(s、1H)
【実施例29】
【0110】
4−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)−N−(3−トリフルオロメチルフェニルメチル)アミノ]ベンゾニトリル
mp:122℃
H−NMR(DMSO d):5.15(s、2H)、6.7(d、2H)、7(s、1H)、7.4(s、1H)、7.5−7.8(m、7H)
【0111】
2−イソシアネートアセトアルデヒドジメチルアセタールを
・2−イソチオシアネートプロピオンアルデヒドジエチルアセタール、
・1−イソチオシアネートプロパン−2−オンジエチルアセタール、
・2−イソチオシアネートブタン−3−オンジエチルアセタール、
で置き換える以外は実施例6と同じ手順で、下記の化合物が得られた。
【実施例30】
【0112】
4−[N−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(4−ブロモフェニルメチル)アミノ]ベンゾニトリル
mp:152℃
分析
(計算値)C:58.9;H:4.11;N:15.26
(実測値)C:58.67;H:4.16;N:15.3
H−NMR(DMSO d):2.1(s、3H)、5(s、2H)、6.65(d、2H)、7.05(s、1H)、7.3(d、2H)、7.5(d、2H)、7.6(s、1H)、7.7(d、2H)
M+=366
【実施例31】
【0113】
4−[N−(5−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(4−ブロモフェニルメチル)アミノ]ベンゾニトリル
mp:152℃
H−NMR(CDCl):2(s、3H)、4.9−5.2(m、2H)、6.65(d、2H)、7(s、1H)、7.25(d、2H)、7.5(d、2H)、7.6(d、2H)、9.25(s、1H)
M+=366
【実施例32】
【0114】
4−[N−(4,5−ジメチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(4−ブロモフェニルメチル)アミノ]ベンゾニトリル
mp:150℃
分析
(計算値)C:59.8;H:4.49;N:14.7
(実測値)C:58.7;H:4.41;N:14.6
H−NMR(DMSO d):1.9(s、3H)、2.1(s、3H)、4.95−5.25(m、2H)、6.6(d、2H)、7.3−7.8(m、7H)
M+=380
【実施例33】
【0115】
4−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)−N−(4−メトキシフェニル)アミノ]メチルベンゾニトリル
a)4−[N−(2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾール−1−イル−2−チオン)−N−(4−メトキシフェニル)アミノ]メチルベンゾニトリル
−(4−シアノフェニルメチル)−N−(4−メトキシフェニル)ヒドラジン(27.10g、106.98mmol)をエタノール(250ml)中に懸濁した懸濁液に、2,2−ジメトキシエチルイソチオシアネート(17.30g、117.67mmol)を滴下し、この反応混合物を還流しながら2時間加熱した。冷却後に溶媒を真空下で蒸発させ、得られた油を酢酸/水(9/1、250ml)中に希釈して、この懸濁液を還流しながら1.5時間加熱して、室温で一晩置いた。得られた残渣を水(1400ml)中に流し入れ、褐色の沈殿を集めた。エタノールから粉砕した後、この褐色の固体から白色の固体(9.60g、27%)が得られた(mp:150℃)。
【0116】
H−NMR(DMSO d):3.70(s、3H)、5.08(s、2H)、6.60(d、2H)、6.75−7.00(m、3H)、7.20(s、1H)、7.80(s、4H)
【0117】
b)4−[N−(1H−イミダゾール−1−イル)−N−(4−メトキシフェニル)アミノ]メチルベンゾニトリル
4−[N−(2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾール−1−イル−2−チオン)−N−(4−メトキシフェニル)アミノ]メチルベンゾニトリル(9.50g、28.24mmol)を酢酸(50ml)中に懸濁して氷冷した懸濁液に、35%過酸化水素(1.1ml、0.035mol)を滴下した。TLC反応を完全に終了させてこの反応混合物を水で希釈し、水酸化ナトリウムでpH11に調節して亜硫酸水素ナトリウムで処理し、酢酸エチルで抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(トルエン/ジオキサン:6/4)にかけることによって、純粋なオレンジ色の油(5.80g、67%)を得た。
【0118】
H−NMR(DMSO d):3.70(s、3H)、4.90(s、2H)、6.60−7.00(m、5H)、7.40(s、1H)、7.55(d、2H)、7.70(s、1H)、7.78(d、2H)
【0119】
塩酸エタノール(hydrochloric ethanol)から結晶化させることによって、白色の結晶(5.70g、66%)を得た(mp:207℃)。
【0120】
H−NMR(DMSO d):3.70(s、3H)、4.97(s、2H)、6.93(d、2H)、7.13(d、2H)、7.45(d、2H)、7.70(s、1H)、7.84(d、2H)、8.04(s、1H)、8.18(s、1H)、9.55(s、1H)
【0121】
<生物学的試験の結果>
in vitro試験
ヒト胎盤の絨毛ガン由来のJEG−3細胞株は、本質的にヒトアロマターゼを非常に多量に含んでいるため(Bahn RSら,J Clin Endocrinol Metab,1981,52:447−450)、アロマターゼ阻害剤と推定される物質をin vitroにおいてスクリーニングして評価することができる有用で実用的な系である(Yue W及びBrodie AM,J Steroid Biochem Mol Biol,1997,63:317−328)。グルコース1g/l及び何も補足していない10%ウシ胎児血清を含むpH7.4で37℃のイーグルの最少培地を入れたプラスティック製フラスコ中において、5%CO雰囲気下で、JEG−3細胞群を単層で80%コンフルエントまで増殖させる。その後、アロマターゼ活性を測定する24時間前に、JEG−3細胞を96ウェルマイクロプレート中に分けて播種し(1ウェル当たり生細胞60,000〜100,000個/培地100μl)、24時間後にマイクロプレートを洗浄して、放射性アロマターゼ基質(1β−H−アンドロステンジオン、10nM)を含有する新鮮な培地と、1%ジメチルスルホキシド中に試験時濃度10−11〜10−4Mで溶解した試験化合物(総容量150μl)とを添加する。
【0122】
インキュベートを開始して2時間後に、新しい同型の96ウェルマイクロプレートに上清100μlを移す。デキストランで被覆した炭の溶液(1%)を各ウェル中に添加する(100μl/ウェル);氷上に10分間静置した後、マイクロプレートを4℃で10分間遠心分離する(1500g)。放射性基質及び新たに生合成されたエストロゲンを含むステロイドの全量を上記炭で複雑に捕獲する;1β−Hを除去する特殊な酸化段階を含む1β−H−アンドロステンジオン芳香族化段階において特異的に形成されるH水のみが、この段階において上清中に残っている。上清100μlを別の同型の96ウェルマイクロプレートに移し、シンチレーション計測用液(200μl/ウェル)を添加して、Microbeta Plus 1450マイクロプレート計測器(Wallac社,EG&G)を使用してβ線を測定した。
【0123】
平行して、細胞の入ったマイクロプレート中において、pH12.3の10mMテトラ酢酸エチレンジアミン溶液中でJEG−3細胞を破砕及び可溶化することによってアロマターゼ反応を停止させる。その後、蛍光色素Hoechst33258及びVictor(Wallac社,EG&G)マイクロプレート蛍光計を使用して、標準的な蛍光測定法でDNAを測定する。
【0124】
最後に、アロマターゼ活性を2時間測定し(fmole/DNAμg)、アロマターゼ阻害を、阻害剤を使用せずにインキュベートしたコントロールに対する割合で示す。濃度に対する阻害%の非線形の適合度分析によって、50%阻害濃度(IC50)を決定できる:IC50が最も小さい阻害剤が最も効果的である(表A)。
【0125】
表A:in vitroにおけるヒトアロマターゼの阻害
【0126】
【表1】

【0127】
in vivoにおけるアロマターゼの阻害
アロマターゼは、エストロゲンのうちで主要な女性ホルモンであるエストラジオールの生合成における原因となるステロイド合成酵素である。ラットにおいては、4日間の発情周期中の特定時期にエストラジオールが生理学的に合成されて、循環濃度が高くなる:これは、発情前の終わり、すなわち、発情前と発情期との境界の夜間に起こる排卵の直前に起こるものであり、排卵前の急上昇(preovulatory surge)といわれている。この排卵前の急上昇におけるエストラジオール濃度の阻害に基づいて、アロマターゼ阻害をin vivoにおいて評価するための高感度の生理学的モデルが開発された。
【0128】
雌のWistarラット(成体)に対して膣スミア試験を毎日実施することにより、規則的な4日間の発情周期について観察する;2〜3回の規則的な周期の後、発情間期(すなわち発情前の前日)のおよそ午後4:00において、上記ラットに10μg/kg(容量では4ml/kg)という極少量を一回経口投与して治療する。正確にその24時間後に、ガスで麻酔して大動脈から血液試料を抜き取る。
【0129】
市販のキット(Diagnostic Systems Laboratories社,アメリカ合衆国テキサス州ウェブスター)を使用するラジオイムノアッセイによって血漿エストラジオール濃度を測定する。コントロール群及び試験群は通常7〜10匹のラットから構成され、この数は、実験群のうち、周期の規則的なラットを振り分けることによって決まる。結果は、pg/mlで示し、その後、媒体のみを経口的に投与したコントロール群のエストラジオール濃度を100%とした場合の阻害%で示すことによって、異なる別々の試験同士を比較する。というのは、排卵前の急上昇における濃度が各コントロール群において試験毎に約25〜40pg/mlの範囲で異なる可能性があるためである。
【0130】
表B:in vivoにおけるアロマターゼの阻害
【0131】
【表2】

【0132】
本発明の一般式(I)を満たす化合物は、in vivoにおいてアロマターゼを阻害することによって、N−トリアゾ−ル構造の対照として使用したYM511(Okadaら,Chem Pharm Bull,1996,44:1871−1879)よりも、又は、既に治療に使用されている標準的なアロマターゼ阻害剤であるアナストロゾールよりも、わずかに大きな又は顕著に大きなエストラジオール生合成阻害を引き起こすことが分かるであろう。従って、一般式(I)を満たす化合物は、これらの化合物よりも本質的に改善されていることが分かる。
【0133】
in vivoにおけるデ−タ(表B)はin vitroにおけるデ−タ(表A)と完全に対応してはいないが、全体として、これら二通りの生物学的結果から、本発明の一連の1−N−フェニルアミノ−1H−イミダゾール誘導体によってナノモル単位及びナノモル以下の単位で多量にアロマターゼ阻害剤が得られ、そのうちの数種はin vivoにおいてエストロゲン生合成を効果的に阻害することが分かる。従って、これらの化合物は、男性(人間の男性又は雄の動物)及び特に女性(人間の女性又は雌の動物)において、病理学的な又は生理学的なエストロゲン依存性の機構を妨害する又は管理する際に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

:(式中、
・R及びRが、各々独立して、水素、(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基である;
・nが0、1又は2である;
・R、R、R及びRが、各々独立して、水素、(C−C)アルキル基、ハロゲン、シアノ基、(C−C)アルコキシ基、トリフルオロメチル基、(C−C)アルキルチオ基、(C−C)アルキルスルホニル基、スルホンアミド基、アシル基、(C−C)アルコキシカルボニル基又はカルボキシアミド基である;
・また、R、R及びこれらを有するフェニル環が、ベンゾフラン又はN−メチルベンゾトリアゾールを形成している)イミダゾール誘導体、並びに、その酸付加塩、溶媒化合物及び立体異性体。
【請求項2】
式中、
・nが0又は1である;
・R及びRが、各々独立して、水素又は(C−C)アルキル基である;
・Rがシアノ基又はトリフルオロメチル基である;
・Rが水素、(C−C)アルキル基、ハロゲン、シアノ基、(C−C)アルコキシ基、トリフルオロメチル基、(C−C)アルキルチオ基、(C−C)アルキルスルホニル基又は(C−C)アルコキシカルボニル基である;
・Rが水素、ハロゲン、(C−C)アルコキシ基又はトリフルオロメチル基である;
・Rが水素である;又は、
・R、R及びこれらを有するフェニル環がN−メチルベンゾトリアゾールを形成している
ことを特徴とする請求項1に記載の誘導体、並びに、その酸付加塩、溶媒化合物及び立体異性体。
【請求項3】
式中、
・nが0又は1である;
・R、R及びRが各々水素である;
・Rがハロゲン、シアノ基又はトリフルオロメチル基である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の誘導体、並びに、その酸付加塩、溶媒化合物及び立体異性体。
【請求項4】
式中、Rがシアノ基である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の誘導体、並びに、その酸付加塩、溶媒化合物及び立体異性体。
【請求項5】
式中、Rが水素又はトリフルオロメチル基である
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の誘導体、並びに、その酸付加塩、溶媒化合物及び立体異性体。
【請求項6】
式中、nが1である
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の誘導体、並びに、その酸付加塩、溶媒化合物及び立体異性体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の誘導体、又は、その医薬品に許容される酸付加塩、及び、医薬品に許容される基材を含む
ことを特徴とする医薬組成物。
【請求項8】
アロマターゼ阻害剤組成物である
ことを特徴とする請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記誘導体を0.1〜400mg含む
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
エストロゲン依存性疾患を治療又は予防するための薬の製造における請求項1〜6のいずれか1項に記載の誘導体又はその医薬品に許容される酸付加塩の使用であって、
前記誘導体を性内分泌腺治療薬と任意に併用する
ことを特徴とする使用。
【請求項11】
男性又は女性の生殖能力、妊娠、堕胎又は出産等の生殖機能を制御又は管理するための薬の製造における請求項1〜6のいずれか1項に記載の誘導体又はその医薬品に許容される酸付加塩の使用であって、
前記誘導体を、LH−RHアゴニスト若しくはアンタゴニスト、発情妊娠前避妊薬、プロゲスチン、プロゲスチン阻害剤又はプロスタグランジンと任意に併用する
ことを特徴とする使用。
【請求項12】
乳房、子宮又は卵巣の良性又は悪性疾患を治療又は予防するための薬の製造における請求項1〜6のいずれか1項に記載の誘導体又はその医薬品に許容される酸付加塩の使用であって、
前記誘導体を、エストロゲン阻害剤、プロゲスチン又はLH−RHアゴニスト若しくはアンタゴニストと任意に併用する
ことを特徴とする使用。
【請求項13】
前立腺又は精巣の良性又は悪性疾患を治療又は予防するための薬の製造における請求項1〜6のいずれか1項に記載の誘導体又はその医薬品に許容される酸付加塩の使用であって、
前記誘導体を、アンドロゲン阻害剤、プロゲスチン、リアーゼ阻害剤又はLH−RHアゴニスト若しくはアンタゴニストと任意に併用する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の誘導体の使用。

【公表番号】特表2006−511546(P2006−511546A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−560486(P2004−560486)
【出願日】平成15年12月15日(2003.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2003/015027
【国際公開番号】WO2004/054983
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(501130143)ラボラトワール テラメックス (6)
【Fターム(参考)】