説明

1つ以上の生物学的活性物質、調合補助物質および磁化可能粒子を包含する経口剤形

本発明は、2つ以上の相組成を有し、その相組成がその配合のため経口投与後に体内で溶解でき、磁化可能粒子が調合補助物質中で結合して磁化状態で存在し、これらの相組成が経口投与後、体内で異なる時間において溶解し、時間、位置および体内での移動に対する磁場強度が検出システムを用いて得られ、コンピュータを用いた評価システムを用いて評価することができる、1つ以上の生物学的活性物質、調合補助物質および磁化可能粒子を包含する経口剤形に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、経口剤形に組み込まれた磁場を用いて、前記剤形の体内への摂取および体内での溶解度をモニタリングする分野に関する。
【0002】
背景技術
WO 98/07364は、医薬品または剤形の通常の摂取をモニタリングするためのモニタリングシステムを記述する。患者の体内の剤形に含有される物質の非侵襲的検出装置が、システムの構成要素として含まれる。この場合の検出装置は、試薬を必要とせず、患者の体内の当該物質の存在に相関する物理的に測定可能なパラメータを直接測定するべく設計される。特に、体内に照射される電磁放射線にある程度まで影響を及ぼすマーカー物質が使用される。この電磁放射線は、特に可視域または赤外線域の光線であるのが望ましい。このモニタリングシステムは、剤形の体内への摂取を検出し、血流中のマーカーの系統的な追跡を可能にする。一例として、当該検出装置は時計と類似のセンサを包含することができる。
【0003】
Weitschiesら(2005)著、「Advanced Drug Delivery Reviews 57, 1210−1222」は、いわゆる「磁気マーカーモニタリング方法」を記述している。ここでは、磁場をカプセルまたは錠剤といった経口剤形に組み入れ、その磁場を剤形の経口摂取後に検出デバイスを用いて測定することができる。一例として、製薬用結合剤に封入したマグネタイト粒子(Fe34)は磁場を生成するのに好適である。一例として、例えばEUDRAGIT(登録商標)Lなどのマグネタイト粒子を含有する胃液抵抗性ポリマーで錠剤をコーティングすることができる。いわゆるSQUIDデバイスを用いて、磁気標識錠剤を体内に摂取した後、その存在を直接検出することができる。胃液抵抗性ポリマーのコーティングが腸領域で溶解すると、磁気信号が失われる。それ以降の差別化は不可能である。
【0004】
Weitschiesら(2010)著、「European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics 74, p.93−101」は、消化管内の経口固形剤形の磁気マーカーモニタリングによる高解像度リアルタイムトラッキングを記述している。即放層および徐放層を有する磁気標識二重層錠剤が、図の一つに示されている。両層は層に小さなボアホールを開けてそこに酸化鉄粉末を充填することにより磁気標識する。このボアホールはシアノアクリル酸ブチルまたはステアリン酸マグネシウムで封印する。錠剤を均質磁場で5分間磁化した(Weitschies et al. (2008) European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics 70, p.641−648, s. Materials and methods, 2.1 Magnetic labelling of tablets, cited in Weitschies et al. (2010) in fig. 3 as [42])。このため、この二層に組み込まれた磁場は同方向または同配向をとり、そのため整列してしまう。
【0005】
これは、別の図に示された相対磁気モーメントが減少するのみであると考えられるためである。さらに、空腹状態、食事の開始時および食後30分に健常志願者で測定される相対磁気モーメントは著明に異なるため、使用した経口剤形に典型的な特性はいかなる種類のものも検出されない。摂取後の経口剤形の明確な識別を可能にする典型的な特性を生成するために生じる磁気標識の問題には言及していない。
【0006】
DE102008033662A1は、カプセルまたは錠剤であって2つ以上の活性磁気部材を含む製薬学的剤形を記述している。この2つ以上の活性磁気部材は互いに不安定な位置に置き、生体適合性のものとする。磁気部材の典型的な例は、永久磁石または鉄などの磁化材料である。不安定な位置に磁気部材を置くためには、部材間に特殊なコーティングまたは安定剤を施すことが示唆される。磁気部材に生体適合性のコーティング剤でコーティングを施すことにより、生体適合性は得られる。剤型が溶解した後、活性磁気部材は遊離し、磁気引力によって安定な位置をとり、凝集した部材の形態をとる。磁場におけるこの変化は人体の外から検出することができる。その後、凝集した磁気部材は腸を通って排泄される。
【0007】
本発明とは異なり、DE102008033662A1の磁場は消失しない。磁気部材はそのまま残るどころか、磁気引力によって凝集しサイズが増大する。磁気部材がコーティングにより生体適合性であっても、刺激を引き起こすか、腸内を凝集した部材が通過する際に腸内表面に機械的ストレスによる損傷を与える可能性は除外できない。さらに、カプセルまたは錠剤といった製薬学的剤形内で活性磁気部材に不安定な位置をとらせることはきわめて困難であると考えられる。磁気部材に生体適合性コーティングを施す必要性も、DE102008033662A1に基づく製薬学的剤形のもう一つの欠点である。
【0008】
図および参照番号の一覧
本発明は以下の図によって説明される。
図1:実施例1の磁場図
図2:実施例3の試験配置図
20 測定装置に接続したホールセンサ
21 ペトリ皿
22 プラスチックグリッド
23 EUDRAGIT(登録商標) E PO/酸化鉄フィルム
24 EUDRAGIT(登録商標) FS30/酸化鉄フィルム
25 プラスチッククランプ
26 液体培地(蒸留水、0.1 HClまたは0.1 NaOH)
図3:実施例3の磁場図
図4:硬ゼラチンカプセルの半分の磁化内部コーティング製造の説明
40 酸化鉄粉末を包含するペースト
41 硬ゼラチンカプセル、サイズ0、下半分
42 硬ゼラチンカプセル、サイズ1、下半分
43 EUDRAGIT(登録商標)/PEG/酸化鉄の混合物を分配するための内側カプセルの移動ベクター
44 永久磁石。
【0009】
発明が解決しようとする課題
医薬品の服用処方に不注意または意図的に従わなければ、医薬品を正しく服用していた場合ほど効率的に疾患を治療できないことが多くなることから、経済的な問題が生じる。これにより、医療機関には望ましくない支出が発生する。さらに、服用処方に従わないことで、特に心血管系薬剤といった重要な医薬品の場合、患者は自らをリスクに晒すことになる。このため、一般的にも、特に健康の急性期に重要な薬物を処方する場合にも、医薬品の実際の摂取状況をモニタリングする検出システムが必要とされている。
【0010】
臨床試験では、摂取のため提供された剤形が無視できない一定の確率で処方された間隔通りに患者によって不注意または場合によっては意図的に摂取されないという問題が度々生じる。これが発見されなければ、かかる臨床試験の結果を信頼に足るデータに基づき評価することができなくなる。
【0011】
WO98/07364に記述された医薬品または剤形の定期的な摂取をモニタリングするためのモニタリングシステムは、剤形それ自体において対応するマーカー物質が利用可能な場合にしか好適ではない。これは、可能な応用範囲を大幅に狭めるものである。さらに、検出のためには大量の電磁放射エネルギーが必要とされ、照射された身体部位の過熱といったきわめて望ましくない副作用も除外できない。先行技術で記載された「磁気マーカーモニタリング」は、モニタリングの更なる可能性を広げている。しかし、剤形の摂取を検出するには今のところ著しい複雑性を要する。Weitschiesら(2005)が使用したSQUID装置は高価で、実際には持ち運びができない。
【0012】
Weitschiesら(2010)著、「European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics 74, p.93−101」では、即放層および徐放層を有する磁気標識二重層錠剤が、図の一つに示されている。両層は層に小さなボアホールを開けてそこに酸化鉄粉末を充填することにより磁気標識する。このボアホールはシアノアクリル酸ブチルまたはステアリン酸マグネシウムで封印する。錠剤を均質磁場で5分間磁化した(Weitschies et al. (2008) European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics 70, p.641−648, s. Materials and methods, 2.1 Magnetic labelling of tablets, cited in Weitschies et al. (2010) in fig. 3 as [42])。このため、この二層に組み込まれた磁場は同一の方向または配向性に配向され、したがって整列する。Weitschiesら(2010)の発表に基づくこの二重層錠剤には、二つの大きな欠点がある。ボアホールを酸化鉄粉末で充填するため、磁化可能粒子は一体となった部材にだけ結合するのではなく、異なる溶解挙動をとる複数の相の一部に結合する。これは、これらのうちの一相が溶解し始めると、ボアホールが遅かれ早かれ制御不能なまま開いてしまうことを意味する。このため、摂取した人体の状態を一定に行っても、集積化磁界から生じる磁気モーメントは摂取後、制御不能に変動することになる。このほかに変動要素はないためである。したがって、この経口剤形は、検出可能な明確な磁気特性プロファイルを提供する経口剤形の好適な土台とはならない。さらに、この二層に組み込まれた磁場は同方向または同配向をとり、したがって整列してしまうことから、二相の経時的溶解において明確な差別化が認められず、明確な磁気特性プロファイルを検出することは不可能である。
【0013】
DE102008033662A1は、カプセルまたは錠剤であって2つ以上の活性磁気部材を含む剤型を記述している。この2つ以上の活性磁気部材は互いに不安定な位置に置き、生体適合性のものとする。磁気部材の典型的な例は、永久磁石または鉄などの磁化材料である。剤型が溶解した後、この活性磁気部材は磁気引力によって安定な位置をとり、それにより検出可能な磁場が変化する。図に示されたように、剤型内の磁気部材は同方向に整列する。この磁気部材は本発明の磁化可能粒子のように調合補助物質中で結合しないため、これらの部材は制御不能なまま遊離する。このため、明確な磁気特性プロファイルを検出することは不可能である。
【0014】
問題は、臨床試験で有益に使用することのできる、1つ以上の生物学的活性物質、調合補助物質および磁場配向粒子を包含する経口剤形を提供することであると考えられた。特に、摂取間隔およびシステム操作方法の逸脱は確実に検出できなければならない。さらに、剤形を確実かつ個別に検出することが可能でなければならない。
【0015】
この目的は以下によって達成される:
1つ以上の生物学的活性物質、調合補助物質および磁化可能粒子を包含する経口剤形であって、その剤形が2つ以上の相組成を有し、その相がその配合のため経口投与後に体内で溶解でき、磁化可能粒子が調合補助物質中で結合して磁化状態で存在し、
さらには、
磁化粒子が2つ以上の相、望ましくは3つ、4つまたは5つの相からなる剤形中に存在して磁場を形成し、2つまたは2つ以上の磁場が異なる整列を示し、これらの相が経口投与後、体内で異なる時間に溶解し、その磁場が相の溶解後に消失し、時間、位置および体内での移動に対する磁場強度が検出システムを用いて得られ、コンピュータを用いた評価システムを用いて評価することができる。
【0016】
本発明に基づく剤形は、特に2つ以上の磁場が異なる相で統合され、その相がその配合のため経口摂取後に体内で溶解し、2つまたは2つ以上の磁場が異なる整列を示すことにおいて先行技術とは異なる。これによりまず、2つ以上の磁場の重ね合わせが生じる。第一の磁場が溶解すると、さらなる磁場が存在する限り、最後の磁場がこれに該当する相の溶解後に消失するまで、この重ね合わされた磁場は完全にまたは部分的に持ち上げられる。2つまたは2つ以上の磁場が異なる整列を示すため、剤形が溶解するにつれて振幅信号が生成され、その信号をその特性によって特定の剤形と関連づけることができる。
【0017】
したがって、剤形に組み込まれた後、磁場が経時的な振幅強度スペクトルを生じ、それは剤形に特徴的であり、かつ、検出システムおよび評価システムを用いて入手することができる。この特異的な2段階以上の信号は、剤形の溶解の結果として体内への摂取後にしか発生されないため、システムを隠れて操作することはもはやほぼ不可能である。この「署名」にも似た信号は臨床試験で使用できるだけでなく、本発明の剤形が以下に記述する販売形態において対応する磁気マーカーとともに提供される場合は、製品偽造の防止にも使用することができる。
【0018】
本発明の実施形態
本発明に基づく経口剤形は、1つ以上の生物学的活性物質、調合補助物質および磁化可能粒子を包含する。
【0019】
磁化可能粒子
本発明の意図する範囲において、磁化可能粒子は粒子であり、望ましくは強磁性材料から構成される粒子であって、前記粒子の配向および/または粒子内部の元素磁性粒子(elementary magnetic particles)の磁化、したがって粒子全体の磁化のいずれかまたは両方の結果として外側から作用する磁場によって磁化され、前記粒子が磁場を形成する。磁化前の粒子は、その配向性および粒子内部の元素磁性粒子の整列において磁気的に無秩序状態であり、そのため周囲のノイズ信号を上回る磁場(<または<< 1μT)はテスラメーターで実質的に全く測定できない。粒子の配向性および粒子内部の元素磁性粒子の磁化の両効果の組み合わせまたは重ね合わせが多くの場合で想定され、望ましい。磁化可能粒子は望ましくは調合補助マトリックス内に包埋するのがよい。このマトリックスを用いて磁場を固定し、剤形から放出される物質をモニタリングする。
【0020】
外側から作用する磁場の影響を受けて、磁化可能粒子はその移動が可能にならない固体または凍結したマトリックス内にあることを前提として、その内部の元素磁性粒子の整列により磁化される。これにより、外側から作用する磁場が除去されても、その磁場は存在し続けることになる。
【0021】
外側から作用する磁場の影響を受けて、磁化可能粒子はマトリックス内、望ましくはその移動が可能な液体、ゲルまたは溶融状態のマトリックス内にあることを前提として、外側から作用する磁場によって、主として磁力線に沿って整列状態に配向される。例えば、磁化可能粒子を包含する分散液または懸濁液は、スプレーコーティング剤を生成するのに使用され、乾燥状態では剤形上でコロイドまたはゲル状に遷移するフィルム形成ポリマーを主成分とし、この状態で磁化されることができる。この整列によりすでに磁場が形成される。例えばマトリックスの固体状態への遷移によりこの配向が固定されれば、外側から作用する磁場が除去されても、その磁場は存在し続けることになる。粒子の配向性および粒子内部の元素磁性粒子の配向付けの両方の効果の重ね合わせが想定される。磁化可能粒子は望ましくはマグネタイト(Fe34)またはマグヘマイト(Fe23)であるのがよい。マグネタイトおよびマグヘマイトは毒性学的および薬理学的に安全であると考えられており、とりわけ食品または医薬品で非毒性の不溶性色素として使用される。当業者に既知の錯体ドーピング無機組成物(NdFeBなど)といったその他の磁化可能粒子で起こりうる毒性は、例えばケイ酸塩ガラス中への透化により、剤形の特異的な配合によって抑制することもできる。必要であれば、フェライトMnFe24またはMgFe24といったその他の磁場配向粒子も好適とすることができる。確実な検出を行うためには、磁場ごとにまたは剤形、例えば1錠につき合計で約0.01mg以上の磁化可能粒子が存在する必要がある。極端な場合、可能とされる最大含量はほぼ1gあるいは10gまでに達することがある。便宜的には、各磁場は0.05〜100mg、望ましくは0.1〜50mg、特に0.2〜20mgの磁化可能粒子を包含する。磁化可能粒子の平均粒径は、例えば1nm〜1mm、望ましくは100nm〜100μmであるのがよい。
【0022】
もともと調合補助物質に包埋された磁化可能粒子を含有する経口剤形の相のマトリックスがそれぞれ溶解した後、磁場は消失または消滅し、磁化可能粒子は腸内で遊離する。サイズが比較的小さく、個々の磁気特性はやや低いことから、これらの粒子は腸内に自由に分布し、凝集することはない。このため、腸表面に存在する磁化可能粒子に起因して何らかの問題または刺激が生じるとは考えにくい。経口剤形の該当相の溶解後に磁場が消失または消滅することは、周囲のノイズ信号を上回る磁場(<または<< 1μT)が残ることが実質的にないことを意味する。
【0023】
磁場
本発明の意図する範囲における磁場は、周囲のノイズ信号から識別される磁場、特に1cm、望ましくは2cmの距離からテスラメーターで測定した場合の強度がほぼ1μT以上、望ましくは10μT以上の磁場である。
【0024】
磁場配向可能粒子または磁化可能粒子の配向性は、外部磁場を印加することにより生成することができる。例えば、永久磁石、電磁石および移動可能で空間的に構造化された磁場などは、外部磁場を生成するのに好適である。印加する外部磁場の磁束密度は、便宜的に例えば0.01〜0.9T、特に0.1〜0.8Tである。外部磁場は便宜的に0.1〜2cmの距離から印加することができる。剤形に包含される磁場は同じまたは異なる整列を示すことができる。
【0025】
ただし、2つまたは2つ以上の磁場が望ましくは異なるか反対の整列を示しているのがよい。2つの磁場が異なるか反対の整列を示すことは、磁場が多かれ少なかれ反対方向に配向しており、それゆえ結果として測定される全体的な磁場強度は、2つの磁場強度のベクトルの差になる。異なるか反対の方向とは、2つの磁場強度の合計が、強いほうの磁場の強度よりも少ないあらゆる配向性を意味する。望ましくは、異なるか反対の方向とは、2つの磁場強度のベクトル合計が、2つの磁場の合計の50%未満、60%未満、70%未満、80%未満、90%未満または100%である配向を意味するのがよい。例えば、同じ強度で完全に反対方向に配向された2つの磁場がある場合、これらの磁場の合計はゼロとなる。これは、2つの磁場強度の合計を100%減じたもので、磁場のベクトルまたは磁場強度が互いに加算されてゼロになるか、互いに打ち消しあうためである。
【0026】
異なる整列を有する2つまたは2つ以上の磁場が存在する利点は、いずれかの磁場が溶解した後に、検出システムが、結果生じた磁場または全体の磁場の方向の変化を検出できることである。これにより、経口剤形の磁気特性図の検出がより高感度かつ明確に行える。
【0027】
2つのまたはすべての磁場が同じ整列を有する場合、検出システムは経口剤形の溶解の途上で、一方向の全体的な磁場の減衰を検出できるのみとなり、人為的効果および解釈の問題が生まれる余地が生じ、検出された磁気特性検出および磁気特性測定システムそれ自体の正確性に影響が及ぶおそれがある。
【0028】
1cmの距離からテスラメーターで測定した磁場強度は、例えば1〜1000μT、望ましくは2〜500μT、特に望ましくは5〜250μTであるのがよい。人体内の磁場を測定する際には、皮膚表面から5〜20cmの距離を前提とする必要がある。適切な検出システムまたはセンサはそれでも磁場を検出できなければならないが、その磁場強度は距離に応じて著明に低下する。ホールセンサを基本とするセンサをこの目的のため使用することができる。
【0029】
特徴的な強度プロファイル
剤形に組み込んだ後の磁場またはその重ね合わせは、その剤形に特徴的な強度プロファイルを時間の経過とともに呈するに至り、そのプロファイルは検出システムおよび評価システムを用いて入手することができる。
【0030】
整列
下表は、さまざまな経口薬剤の磁化相で考えうる整列を、本明細書に示す実施例に本発明を限定することなく説明するものである。
【0031】
実施例1〜3は、2つの磁化相を有し、これらが経口投与後の異なる時間に体内で順番に溶解する経口剤形を説明するものである。実施例4〜9は、3つの磁化相を有し、これらが経口投与後の異なる時間に体内で順番に溶解する経口剤形を説明するものである。各実施例で、第1相が第一に溶解し、次に第2相が、実施例4〜9ではその後第3相が溶解する。
【0032】
上向き矢印(↑)は、特定の相の磁化可能粒子が磁化状態で存在し、一つの整列または方向(例えば北/南方向)で磁場を形成していることを示す。下向き矢印(↓)は、特定の相の磁化可能粒子が磁化状態で存在し、1つの磁場が上向き矢印(↑)で示した磁場とは反対方向または反対の整列(この場合は北/南方向に対して180°の南/北方向)で形成されていることを示す。この磁場強度は、上向き矢印(↑)で1プラス、下向き矢印(↓)で1マイナスの相対値であると推定される。
【0033】
摂取直後は、溶解する相はない。この時点で、経口剤形に含まれるすべての磁場強度は合計値として加算される。
【0034】
第1相が溶解した時、残る磁場強度は実施例1〜3では第2相の磁場強度であり、実施例4〜9では第2相および第3相の磁場強度の合計である。第2相が溶解した時、残る磁場強度は実施例1〜3ではゼロであり、実施例4〜9では残る第3相の磁場強度である。
【0035】
実施例1、4および7では、経口剤形のすべての相が同じ整列の磁場を有する。これらの場合、時間の経過とともに検出されるのは減少するか増加する磁気モーメントのみである。これにより、特定の経口剤形の磁気特性図を明確に識別することは困難になる。したがって、これらの実施例は本発明に基づくものではない。
【0036】
このほかの実施例2、3、5、6、8および9のすべてで、磁気モーメントは増加して減少するか、減少して増加し、特定の経口剤形の磁気特性プロファイルを明確に識別することははるかに容易である。したがって、これらの実施例は本発明に基づくものである。
【表1】

【0037】
投与形態および医薬品形態の一般的な製造方法
調剤学、特に製剤学の分野における当業者は、すべての製剤学的製造方法の知識を有する。これらは本発明の知識を有する前記当業者によって応用され、本発明に基づく磁気標識剤形を製造することが可能である。特に、当業者は物質を含有するペレットおよびコアの製造、調合補助物質の応用、ポリマー封入体の製造、一般的な錠剤の製造、特に圧縮による錠剤の製造およびカプセルの製造および充填に精通する。
【0038】
この詳細は例えば以下の確立された教本から収集することができる:
−Voigt, R. (1984): Lehrbuch der pharmazeutischen Technologie [製剤学技術テキストブック];Verlag Chemie Weinheim − Beerfield Beach/ Florida − Basle.
−Sucker, H., Fuchs, P., Speiser, P.: Pharmazeutische Technologie [製剤学技術], Georg Thieme Verlag Stuttgart (1991), 特に第15および16章、pp.626−642
−Gennaro, A., R. (編), Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton Pennsylvania (1985), chapter 88, pp. 1567−1573.
−List, P. H. (1982): Arzneiformenlehre [医薬品教本], Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft mbH Stuttgart。
【0039】
本発明に基づく剤形
本発明に基づく経口剤形は、磁場を組み込むための2種類以上の異なる相を有する限り、またこれらの相が経口投与後体内で異なる時間に溶解する限り、事実上あらゆる種類の経口剤形である。したがって、本剤形は2つ以上の相を包含する。例えば、2相、3相、4相、5相またはそれ以上の相を有することができる。
【0040】
磁場を局在させる剤形の相は、例えばコア、ポリマーフィルムカプセル封入体またはカプセルの半分またはこれらの部材の組み合わせであることができる。したがって、用語「相」は当該剤形の非限定的な部材または個別に製造可能であるか製造された部材と同義である。
【0041】
例えば、本剤形は、充填カプセル、さらなるカプセルに封入された充填カプセルまたはカプセル封入錠剤の形態をとることができる。
【0042】
前記カプセル封入錠剤の第1相は、例えば、磁性粒子を有するために磁場を形成する胃液抵抗性で腸液可溶性のフィルムカプセル封入体を備える。本錠剤のコアは、例えば、前記胃液抵抗性で腸液可溶性のフィルムカプセル封入体が溶解した後にしか徐放性に溶解しない磁性粒子を包含し、物質とともに磁性粒子を緩徐に放出する第2相を構成することができる。
【0043】
例えば、剤形は物質を包含する平坦な錠剤の形態をとるコアを有することができ、当該錠剤の平坦な両側がそれぞれ融合手技による磁性フィルムを備える。本工程において、これらの磁性フィルムは体内で異なる時間または異なる場所で溶解するという状態になければならない。
【0044】
剤形は少なくとも3相の組成を有することができ、当該剤形の3相に磁性粒子が存在する。
【0045】
剤形は少なくとも3相の組成を有することができ、1つまたは1相より多くは生物学的活性物質を包含するが磁性粒子は包含しない。これには、磁性粒子を包含するが活性物質を包含しない相が個別に生成され、それを生物学的活性物質を含有するが磁性粒子は含有しない相と組み合わせることができるという利点がある。これにより製造工程が簡略化される。
【0046】
磁性粒子を包含する1相は、即放相として調合することができる。これには、受信電子(receiving electronic)が早期に磁気モーメントの振幅を検出することができるため、磁性プロファイルの検出の感度が上昇するという利点がある。
【0047】
本発明に基づく剤形の製造方法
本発明は、磁場を形成する2相以上を包含する剤形の製造方法に関し、個々の相は磁化可能粒子に調合補助物質を結合させ、当該磁化可能粒子を外側から作用する磁場によって磁化し、相内に磁場を発生させることによって製造し、磁化可能粒子の磁化は剤形の接合前または後に実施することができ、当該相は剤形内に占める位置によって、または相内で使用する調合補助物質によって、体内で異なる時間に溶解することができる。
【0048】
望ましくは、磁場を包含する相は、製造中に非固体状態から固体状態に遷移する調合補助物質と磁化可能粒子を結合することによって製造するのがよく、調合補助物質が非固体状態の時に外側から作用する磁場を用いて磁化可能粒子を配向させ、調合補助物質の凝固によりその配向性および磁化を固定させることで、相を包含する磁場を形成する。
【0049】
望ましくは、磁場を形成する相は個別に製造し、場合によっては磁場を有さないさらなる相をその後接合させて、本発明に基づく剤形を形成するのがよい。例えば、磁性ポリマーフィルムは、フィルム形成ポリマー、溶媒および磁場配向粒子を包含する調製液を生成し、前記調製液を非固体状態の薄膜に注ぎ、磁場を印加して磁化可能粒子を配向させることによって得ることができ、その結果、磁化可能粒子は組成物中でそれ自体で配向して磁場を形成し、その磁場は凝固の後固定される。
【0050】
例えば1つ以上の磁化したカプセルの半分を剤形の1相または複数の相として使用することで、1つ以上の磁場を導入することができる。これは、硬ゼラチンカプセルおよび軟ゼラチンカプセルの両方に応用でき、異なる素材のカプセルまたはカプセルの半分、たとえばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)のカプセルにも応用できる。
【0051】
磁化したカプセルの半分は、フィルム形成ポリマー、溶媒および磁化可能粒子を包含する調製液から、ディップコーティング法を用いて製造して、非固体状態のカプセルの半分に磁場を印加することによって得ることができ、その結果、磁化可能粒子は組成物中でそれ自体で配向して磁場を形成し、その磁場は凝固の後固定される。
【0052】
カプセルの半分は、例えばその内側を、磁場配向粒子を包含する調合補助物質でコーティングすることができる(実施例5参照)。また、まだ液体で磁場配向粒子を包含する調合補助物質を、完成されたカプセルの半分に充填することができる。この液体は、例えばカプセルの半分の内部で膨らむスタンプを用いることによって、カプセルの内壁に均等に分布させることができる。この時点で、調合補助物質がまだゲル状態でも、磁場配向粒子または磁化可能粒子を外部の磁場の影響により配向させることができる。内部コーティングを乾燥させた後、粒子の配向性は固定される。この方法で得られたカプセルの半分は、この時点で内側に磁場を形成する相を包含する。その後、当該カプセルの半分を、同様に磁場を形成するが体内で異なる時間または異なる場所において溶解するさらなる相と組み合わせることができる。内側をコーティングしたカプセルの半分は、例えば外側を相応にコーティングした適合するカプセルの半分と組み合わせることができる。剤形を完成させるため、磁場を有する必要のない物質を含有するペレットを、磁化したカプセルの半分に充填することができる。
【0053】
例えば1つ以上の磁化した押出成形コアを剤形の1相または複数の相として使用することでも、1つ以上の磁場を導入することができる。この場合、これらは例えば物質を含有する相応に磁化されたコアまたはペレットである。
【0054】
押出成形コアは、フィルム形成熱可塑性ポリマー、場合によっては物質および磁化可能粒子からなる調製液からストランド押出成形法によって製造でき、その後ストランドを細長い、または平らな形態に切断する。溶融状態の調製液から得られた押出成形ストランドは、外側から印加する磁場を通過することができ、その結果、組成物中の磁場配向粒子または磁化可能粒子は配向してそこで磁場を形成し、その磁場は細長い、または平らな形態のストランドを冷却した後固定される。
【0055】
磁場配向粒子を包含する相は、特にカプセル封入フィルムの形態において、フィルム形成ポリマーおよび磁場配向粒子を包含する溶液または分散液のスプレー塗布により、剤形に挿入または塗布することができ、磁場配向粒子または磁場をすでに配向させた粒子を包含する他の相と組み合わせることができる。
【0056】
磁場配向粒子または磁化可能粒子のための調合補助物質
磁場配向粒子または磁化可能粒子は、調合補助物質とともにマトリックスに結合させるか包埋する。調合補助物質は粉末の形態または製造中に非固体状態から固体状態に遷移する形態として存在させることができる。
【0057】
一般に、異なる相には相互に異なる調合補助物質を包含させ、前記相が経口投与後体内で異なる時間に溶解できるようにする。
【0058】
ただし、剤形においては、原則として同じ調合で製造された相が、しかしながら体内で異なる時間に溶解できるように剤形内における位置を選択することを前提とすれば、原則として同じ調合補助物質を用いて磁場を形成する相を製造することも可能である。これは、例えば磁場を形成する1つの相が剤形の外部領域に位置し、磁場を形成するもう1つの相が内部に位置し、これらの相を場合によっては分離層によって隔離することが可能な場合にいえることである。
【0059】
最も簡略な例では、磁化可能粒子を、粉末の調合補助物質および場合によっては医薬物質をともに圧縮して錠剤コアを形成することができる。このコアは、本発明の意図する範囲における磁化可能相を構成する。一般に磁化可能粒子は圧縮後移動することができない。したがって、コア相の磁化は、外側から作用する磁場を用いて、磁化可能粒子内の元素磁性粒子を磁化することによって行われる。こうして、コアを磁場を形成する相に変換することができる。
【0060】
磁化前に、磁場を形成するコア相は、同様に磁化可能粒子を有するカプセル封入体(カプセル封入相)も備える。このカプセル封入体は、例えば胃液抵抗性ポリマーから構成される。その後、このカプセル封入剤形を、それ全体として外側から作用する磁場に曝露し、その結果、コア相およびカプセル封入相は同時に磁化される。体内に摂取された後、この胃液抵抗性カプセル封入体は第1相として迅速に腸内で溶解し、この過程で磁場は失われる。第2相であるコアは、例えば遅れて溶解し、第2の磁場が失われるのが後になるように調合することができる。この2つの磁場の重ね合わせおよび剤形の溶解過程におけるその連続的な喪失により、経時的に特徴的な磁場強度プロファイルを得ることができる。
【0061】
フィルム形成ポリマーは、望ましくは磁化可能粒子を固定するための調合補助物質として使用することができるのがよい。得られた磁化可能粒子は、製造中に、例えばゲル状態または溶融状態といった非固体状態で配向することにより磁化することができる。得られた磁化可能粒子は、固体状態で、磁化可能粒子内部の元素磁石を配向することにより磁化することができる。
【0062】
好適な調合補助物質としては、例えばメチルメタクリレートおよびエチルアクリレートのコポリマー類、メチルメタクリレートおよびエチルアクリレートおよびメタクリル酸のコポリマー類、メチルメタクリレートおよびメチルメタクリレートおよびメタクリル酸のコポリマー類、メチルメタクリレート、エチルアクリレートおよびトリメチルアンモニオメチルメタクリレートのコポリマー類が挙げられる。EUDRAGIT(登録商標) E100、EUDRAGIT(登録商標) E PO、EUDRAGIT(登録商標) L100、EUDRAGIT(登録商標) L100−55、EUDRAGIT(登録商標) S、EUDRAGIT(登録商標) FS、EUDRAGIT(登録商標) RSまたはEUDRAGIT(登録商標) RL、EUDRAGIT(登録商標) NEまたはEUDRAGIT(登録商標) NMは特に好適なコポリマー類である。
【0063】
以下も好適である:ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール類、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール−グラフトコポリマー(Kollicoat(登録商標))、デンプンおよびその誘導体、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP、Coateric(登録商標))、ポリビニルアセテート(PVAc、Kollicoat)、ビニルアセテート−ビニルピロリドンコポリマー(Kollidon(登録商標) VA64)、ビニルアセテート:クロトン酸コポリマー類、分子量が1000(g/mol)を上回るポリエチレングリコール類、キトサン、20〜40質量%のメチルメタクリレートおよび60〜80質量%のメタクリル酸を包含する(メタ)アクリレートコポリマー、架橋および/または未架橋ポリアクリル酸、Naアルギネート、および/またはペクチン、アニオン性カルボキシメチルセルロースなどのセルロース類およびその塩(CMC、Na−CMC、Ca−CMC、Blanose、Tylopur)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC、Duodcell(登録商標))、ヒドロキシエチルセルロース(HEC、Klucel)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、Pharmacoat、Methocel、Sepifilm、Viscontran、Opadry)、ヒドロキシメチルエチルセルロース(HEMC)、エチルセルロース(EC、Ethocel(登録商標)、Aquacoat(登録商標)、Surelease(登録商標))、メチルセルロース(MC、Viscontran、Tylopur、Methocel)、セルロースエステル、セルロースグリコレート、セルロースアセテートフタレート(CAP、Cellulosi acetas PhEur、セルロースアセテートフタレート、NF、Aquateric(登録商標))、セルロースアセテートスクシネート(CAS)、セルロースアセテートトリメリエート(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP、HP50、HP55)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS −LF、−MF、−HF)または上述のポリマーの混合物。ポリ乳酸または種々のResomer(登録商標)製品などのポリ乳酸コグリコリドといった生体分解性ポリマー類も好適である。
【0064】
フィルム形成ポリマーのほか、フィルム形成ポリマーではない通常の製剤補助物質を、調剤補助物質として既知の方法で用いるか、追加的に含めることができる。ここでは安定剤、着色剤、抗酸化剤、湿潤剤、色素、漂白剤、流動補助剤、風味剤、香料、侵入促進剤、可塑剤、孔形成剤、滑剤などが例として挙げられる。これらは主として製造補助剤として使用され、製造方法を確実かつ再現可能なものにし、長期の良好な保存安定性を保証するものでなければならない。さらに、通常の製剤補助剤は、フィルム形成ポリマーに対して0.001〜30質量%、望ましくは0.1〜10質量%で存在するのがよい。例えば、ラクトース、スクロース、グルコースまたはデンプンといった結合剤は、調合補助剤として好適である。
【0065】
磁場配向粒子または磁化可能粒子は、調合補助物質が非固体状態である場合は、望ましくは外側から作用する磁場を用いて配向させることができるのがよい。粒子の配向性は調合補助物質の凝固により固定され、相を包含する磁場が形成される。
【0066】
生物学的活性物質
本発明に基づく剤形は1つ以上の生物学的活性物質を包含し、これは剤形の1つ以上の相に位置させることができる。本発明の意図する範囲における生物学的活性物質は、摂取後に体内で生理学的または治療作用を発揮する物質である。したがって、用語「生物学的活性物質」は、すべての栄養(栄養補助)剤および医薬品を含む。これは、この相またはこれらの相が磁場配向粒子を同時に含有するかどうかには関係がない。生物学的活性物質は、望ましくは剤形のコアまたは封入カプセルに含有されるのがよい。本発明は、服用の誤りがその患者を危険に晒す心血管用医薬品などの重要な医薬品の服用モニタリングに特に好適である。
【0067】
検出および評価システム
体内での位置に対する磁場強度は検出システムを用いて把握することができ、コンピュータを用いた評価システムを用いて評価することができる。このシステムは、本発明に基づく剤形の患者による摂取をモニタリングする目的に役立てる。特に、正確な摂取、不注意による服用の誤りまたはシステムの意図的な操作といったその他の不正行為が検出できなければならない。
【0068】
検出システムは望ましくは身体に装着できるのがよく、主として1つ以上、望ましくは2つまたは3つの磁場測定センサを包含する。センサは望ましくは既知のホールプローブまたはホールセンサまたは磁場を測定するためのテスラメーターの原則に基づくのがよい。複数のセンサ、すなわち2つ、3つ、4つ、5つまたは6つ以上のセンサを用いて三角測定を行うのが望ましい。剤形で得られる磁場強度は1cmの距離からテスラメーターを用いて測定した場合、例えば1〜1000μT、望ましくは2〜500μT、特に望ましくは5〜250μTである。人体内の磁場を測定する際には、センサと剤形内の磁場発生源との距離は、最大100cm、例えば1〜30cmであると推定される。相応の検出システムおよびセンサは、距離に応じて強度が低下する磁束密度をそれでも検出できなければならない。磁場測定用のホールプローブまたはホールセンサは十分な感度を有する。
【0069】
検出システム、例えば1つ以上のセンサは、例えば皮膚に直接、または皮膚に近接して身体に適用するが、いかなる場合でも体内の磁場を誤差なく測定できるのに十分な距離でなければならない。特別な実施形態において、検出システムまたはセンサ装置の1つ以上の部材を、当業者に既知のインプラント構造を用いて皮膚の下または体内に装着することができる。1つ以上のセンサを皮膚上、例えば腹壁および/または頸部に直接装着することができる。1つ以上のセンサを皮膚に近接して、例えば衣服の中または上から直接装着することができる。
【0070】
検出システムおよびコンピュータを用いた評価システムは、望ましくは磁場を検出または測定するための1つ以上のセンサを包含するのがよい。コンピュータを用いた評価システムは、望ましくはデータ処理部材、当該データ処理部材に組み入れるか、あるいは独自に存在することのできるコンピュータおよびデータを収集、算出および評価するためのソフトウェアを包含するのがよい。
【0071】
データ処理部材はデータの保存または中間記憶に使用し、場合によってはその評価または部分的評価にも使用する。必要なすべてのプロセッサ、保存用構成要素および周辺部材を包含し、相応のソフトウェアを備えたコンピュータは、データ処理部材または装置の個別部品として組み入れる。
【0072】
必要なソフトウェアは、剤形の既知または予測される信号の特徴が既知であれば、情報技術分野の当業者によって容易に作製できる。本工程で、磁場信号は、センサまたは複数のセンサの位置に対する体内磁場の位置および整列の経時的な連続的空間的変化から生じる擾乱変数に関連して測定し、前記信号は前記擾乱変数を考慮に入れて計測し、当該データを互いに関連づけることができる。擾乱変数を除いたデータは実質的に、身体の外側で静的測定を実施した場合に得られるデータに相当する。ソフトウェアを作製するため、当業者は例えば変調、認識モード、変換、フーリエ変換など、たたみ込み、相関および自己相関、不変性測定、内挿および外挿誤差アルゴリズム、線形状分析および擾乱場の除去といった技術を使用することができる。望ましくは、専門システムを包含したニューラルネットワークおよびデータベースといった自動適応式システムを組み込むのがよい。
【0073】
センサおよびデータ処理部材は、1つの装置にともに収納することができる。こうした装置は、望ましくは身体に装着しやすいように設計するのがよい。サイズはおおよその以下の寸法を上回るべきではない:200×100×30mm(長さ×幅×高さ)。重量は可能な限り抑え、約500gを上回るべきではない。本装置は、例えばキャリーストラップシステムを用いて、患者の腹壁に装着することができる。
【0074】
センサおよびデータ処理部材は望ましくは互いに独立して存在するのがよい。センサは望ましくは送信可能な設定を備え、データをデータ処理部材に送信することを可能にし、そのデータ処理部材はデータを受信し、データを転送するためのインターフェースを有することができる。センサおよびデータ処理部材は望ましくは、例えばセンサはわずか1〜20g、データ処理部材は10〜250gと軽量になるよう設計し、身体、例えば頸部、手首、胸部または腹壁に装着でき、患者にはほぼ感知されないのがよい。センサおよびデータ処理部材のエネルギー源は、望ましくは自給自足式または充電式であるのがよい。センサはレシーバー部材にワイヤレスでデータ送信が可能であるのが特に望ましい。
【0075】
使用
さらに本発明は、患者による剤形の摂取をモニタリングする目的で検出システムおよびコンピュータを用いた評価システムと組み合わされた本発明に基づく剤形の使用に関する。実用においては、この使用は数多くの手順に組み入れることができる。こうして服用の誤りを明確に検出し、試験またはさらに進んでは任意の治療を評価する際に考慮に入れることができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】実施例1の磁場図を示す図である。
【図2】実施例3の試験配置図を示す図である。
【図3】実施例3の磁場図を示す図である。
【図4】硬ゼラチンカプセルの半分の磁化内部コーティング製造の説明を示す図である。
【0077】
実施例
実施例1
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)に包埋した磁場配向粒子または磁化可能粒子の磁場強度の測定
蒸留水360gを500mL実験用ボトルに入れ、マグネチックスターラー(IKA Combimag)上で攪拌しながら70℃に加熱した。ヒドロキシプロピルメチルセルロース40g(METHOCEL(登録商標) E5 Premium LV, Dow Chemicals)を加熱した水に添加して、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)が完全に溶解するまで10分間攪拌した。その後、溶液の温度を室温まで冷却した。当該領域での平均粒径が約20〜200μmのFe34粉末0.75g(Sicovit(登録商標) Black 80 E 172)を、直径100mmのペトリ皿(VWR)中の作製済みHPMC溶液(10% m/m)39.25gに添加し、マグネチックスターラー上で10分間攪拌した。マグネチックスターラーを停止し、酸化鉄(Fe34)を包含する溶液を、マグネチックスターラー上で室温にて静置し凝固させた。
【0078】
同じ構成要素を有するフィルムを比較のため追加で作製した。ただし、前記フィルムは通常の実験台で室温にて乾燥させ、磁石を近接させなかった。
【0079】
テスラメーター(model FM220, Projekt Elektronik GmbH)の測定プローブを、蒸発皿の底に外側から装着した。床からの距離は4mmであった。テスラメーターを0テスラに較正した。マグネチックスターラー上で磁化したフィルムを蒸発皿に置き、最も強い磁場が測定されるまで回転させ、その後支持物を用いて固定した。その後、37℃に加熱した蒸留水を蒸発皿に注いだ。磁場強度を毎秒測定した。
【0080】
結果:
最初に、強度44μTの信号が測定でき、その強度は水の添加後、300秒かけて8μTまで低下した。HPMCフィルムは水に溶解し、その結果、磁場で整列した酸化鉄粒子はもはや整列位置をとらないことが観察された。HPMC中で固定された酸化鉄においてマグネチックスターラーにより過去に作製された整列磁場は、HPMCフィルムが溶解するともはや存在しない。比較用のフィルムは、当該テスラメーターのデジタルディスプレイ上で測定可能な磁場強度を全く示さなかった(< 1μT)。
【0081】
図1:実施例1の磁場図。加熱した脱塩水を添加した後に、磁化フィルムの磁場強度を測定(単位μT)。
【0082】
実施例2
磁場強度を測定するためのマグネタイトを包含するEUDRAGIT(登録商標)フィルムの製造
蒸留水99gを秤量し、250mL実験用ボトルに、クエン酸トリエチル3g(TSポリマーに対し10% m/m)およびEUDRAGIT(登録商標) L30 D−55(EUDRAGIT(登録商標) L100−55は、50質量%のエチルアクリレートおよび50質量%のメタクリル酸のコポリマーである。EUDRAGIT(登録商標) L 30D−55は、30質量%のEUDRAGIT(登録商標) L100−55を包含する分散液である。これらの構成要素を400rpmで30分間攪拌した。
【0083】
その後、Fe34(酸化鉄、Sicovit(登録商標) Black)750mgを、作製済みEUDRAGIT(登録商標) L 30D−55分散液19.25gに添加した。この水性懸濁液をマグネチックスターラー上に置いたテフロンホイルコーティングのペトリ皿に注いだ。マグネチックスターラーに含有される磁石の磁場により、分散液中の酸化鉄微粉末を整列させた。
【0084】
結果:
48時間かけて、ペトリ皿の水溶液は乾燥フィルムを形成し、酸化鉄がマグネチックスターラー中の磁石の磁力線に沿って整列しているのが目視できた。
【0085】
実施例3
水性培地で特異的な空間配置をとる2枚の磁性フィルムが時間差で溶解した結果としての磁場強度の変化を測定
EUDRAGIT(登録商標) E POは、25質量%のメチルメタクリレート、25質量%のブチルメタクリレートおよび50質量%の粉末状ジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマーである。EUDRAGIT(登録商標) FSは、25質量%のメチルメタクリレート、65質量%のメチルアクリレートおよび10質量%のメタクリル酸のコポリマーである。EUDRAGIT(登録商標) FS 30 Dは、30質量%のEUDRAGIT(登録商標) FSを包含する分散液である。
【0086】
酸化鉄((Fe34)Sicovit(登録商標) Black 80 E 172)0.75gを、テフロンホイルコーティングのペトリ皿中のEUDRAGIT(登録商標) E PO中和溶液(水に対し15% m/m)19.25gに添加し、マグネチックスターラーを用いて攪拌しながら混合した。撹拌機能のスイッチを切った後、フィルムをマグネチックスターラー上で室温にて静置して乾燥させ、酸化鉄粒子が磁場に沿って整列した。
【0087】
酸化鉄((Fe34)Sicovit(登録商標) Black 80 E 172)0.75gを、テフロンホイルコーティングのペトリ皿中のEUDRAGIT(登録商標) FS30 D分散液19.25gに添加し、マグネチックスターラーを用いて攪拌しながら混合した。撹拌機能のスイッチを切った後、フィルムをマグネチックスターラー上で静置して乾燥させ、酸化鉄粒子が磁場に沿って整列するのを目視した。
【0088】
テスラメーターのセンサ(図2、20)を直径14cmのペトリ皿(21)の底の裏側に装着した。ペトリ皿にプラスチック製のグリッド(22)を置き、その上にEUDRAGIT(登録商標) E PO/酸化鉄フィルム(23)を置いた。EUDRAGIT(登録商標) FS 30 D/酸化鉄フィルム(24)を本フィルムの上にクランプ(25)を用いて貼付した。この過程において、両フィルムは、個々の磁場強度で1.1cm離れたセンサにおいて最大の信号相殺が得られるように並べた。試験中にフィルムが浮くのを避けるため、プラスチック製のグリッド(22)を組み合わせたフィルムの上に置き、検査システムの完成とした。最初に蒸留水(26)300mLをペトリ皿に入れた。磁場強度を60秒毎に測定した。8分後水を除去した。ポンプシステムを用いて0.1N HCl溶液(26)300mLを、両フィルムが完全に浸漬するようにペトリ皿に入れた。その後、HCl溶液をポンプシステムを用いて循環させた。磁場強度を60秒毎に測定した。67分後、HCl溶液を除去した。ポンプシステムを用いて、0.1N NaOH溶液(26)300mLを、残ったEUDRAGIT(登録商標) FS/酸化鉄フィルムが完全に浸漬するようにペトリ皿に入れた。その後、NaOH溶液をポンプシステムを用いて循環させた。磁場強度を60秒毎に測定した。127分後、試験を終了した。
【0089】
結果:
結果を図3の磁場図に示す。
【0090】
フィルムが蒸留水中にあった時間帯には、フィルムの構造または磁場強度に変化は認められなかった(0分後〜8分後)。
【0091】
HCl溶液を添加した後、EUDRAGIT(登録商標) E PO/酸化鉄フィルムが溶解するのが観察された。同時に、磁場強度に変化が現れた。組み合わせたフィルムの磁場強度は当初−36μT(マイクロテスラ)であったのが、フィルム(EUDRAGIT(登録商標) E)が完全に溶解した後は+23μTとなった(9分後〜67分後)。
【0092】
NaOHを添加した後、外側のフィルム(EUDRAGIT(登録商標) FS 30)が溶解するのが観察され、磁場強度は+24μTから127分後には8μTへと変化した(68分後〜127分後)。
【0093】
実施例4
EUDRAGIT(登録商標) Eフィルムとともに磁場と整列した固定Fe34粉末を包含するHPMCカプセルの製造
EUDRAGIT(登録商標) E PO溶液(15% m/m)1.5gをガラス製ボトルで提供した。酸化鉄粉末(Fe34)3gおよびポリエチレングリコール((PEG)Macrogol(登録商標) 300)1.5gを添加し、プラスチック製の棒で攪拌しながら混合し、均質塊を得た。結果得られたペーストをシリンジに入れた。
【0094】
シリンジを用いてペースト(図4、40)をサイズ0の硬ゼラチンカプセル(41)の下部に、カプセルの底の丸い部分がペースト(40)で隠れるまで押し込んだ。サイズ1カプセル(42)の下部を充填済みのカプセルに圧入して回転させ(移動ベクトル43)、充填したペースト(40)が底およびサイズ0とサイズ1カプセルの壁の間に生じた隙間に分布するようにした。その後、この方法で調製したカプセルの半分を、開口部を永久磁石(44、円形、(14×5mm))の上にかぶせた状態で、室温(約23℃)で12時間静置し、材料が完全に乾燥するまで保存した。テスラメーターを用いて、この方法でコーティングし、磁石で処理したカプセルの半分を、1cmの距離から測定した。磁場強度30μTが測定された。
【0095】
結果:
酸化鉄を包含するペーストは、処理後も、確実かつ永続的に硬ゼラチンカプセルの半分の内壁に結合していた。この方法で製造したカプセルの半分は、測定可能な磁場を提供しており、磁場を形成する剤形の相として使用することができる。
【0096】
実施例5
整列が異なる磁場を有する磁性構成要素を備えた結合カプセル(ゼラチンおよびHPMC)の製造
サイズ0のカプセル下半分を、実施例4に示す方法に従って製造した。サイズ4のカプセル下半分を実施例4と同じ方法で製造した。この実施例においては、小さいほうのカプセルの半分の磁場強度が1cmの距離で160μTと測定され、大きいほうのカプセルの半分の磁場強度は180μTであった。サイズ4のカプセル下半分を、サイズ4のカプセル上半分を用いて封鎖した。マルチトール(水素添加二糖類(Maltisorb(登録商標)))をサイズ0のカプセルの半分に充填し、小さいカプセル(サイズ4)が大きいカプセル(サイズ0)に固定されていることを確認した。内部カプセル(サイズ4)を外部カプセル(サイズ0)の中で固定して回転し、2つの磁場を重ね合わせることにより磁場強度を最大限低下させた。これにより得られた磁場強度は1cmの距離で40μTとなった。サイズ0のカプセル下半分をサイズ0のカプセル上半分で封鎖した。
【0097】
この例示的方法で製造された「カプセル内カプセル」は、いまだ物質を含有していないという条件付きで、本発明に基づく剤形である。ただし、物質を任意にまたは組み合わせた形態でカプセル間または小さいほうのカプセルの内部空間に挿入することができることは、当業者には明白である。
【0098】
実施例6
剤形の相として磁性層および構成要素を有する錠剤の製造
各ケースで、8mm(直径)穴の12穴付きPE製ブリスター包装フィルムにパラフィンワックスを1滴落とした。その後、PE製ブリスター包装のくぼみに、EUDRAGIT(登録商標) E PO中和溶液(15% m/m、pH7.0)を5滴添加し、その後40℃の乾燥キャビネットに入れ、乾燥した。乾燥したEUDRAGIT(登録商標) E POフィルムが形成されたら、酸化鉄粉末50mgをPE製ブリスター包装フィルムのくぼみに添加した。その後、さらにEUDRAGIT(登録商標) E PO中和溶液を5滴添加し、PE製ブリスター包装フィルムを円形の永久磁石(14×5mm)の上に置き、酸化鉄粒子を整列させた。その後、このブリスター包装を(磁石とともに)40℃の乾燥キャビネットで再び乾燥させた。
【0099】
プラセボ錠剤用混合物200mgを、偏心打錠器ERWEKA type EP−1の下スタンプ(12mm)に入れた。酸化鉄を有する乾燥したEUDRAGIT(登録商標) E POコアを、PE製ブリスター包装フィルムから取り出して、錠剤用混合物の上に乗せた。その後、追加のプラセボ錠剤用混合物を下スタンプの上端まで充填した。8〜15kNの圧力でこの混合物を錠剤の形態に圧縮した。
【0100】
結果:
こうして製造された磁場を有する錠剤は、テスラメーターを用いて測定できた。本発明に基づく剤形を得るには、物質および、錠剤内部の相とは溶解特性の異なる第2の磁場形成相を追加する必要がある。
【符号の説明】
【0101】
20 測定装置に接続したホールセンサ、 21 ペトリ皿、 22 プラスチックグリッド、 23 EUDRAGIT(登録商標) E PO/酸化鉄フィルム、 24 EUDRAGIT(登録商標) FS30/酸化鉄フィルム、 25 プラスチッククランプ、 26 液体培地(蒸留水、0.1 HClまたは0.1 NaOH)、 40 酸化鉄粉末を包含するペースト、 41 硬ゼラチンカプセル、サイズ0、下半分、 42 硬ゼラチンカプセル、サイズ1、下半分、 43 EUDRAGIT(登録商標)/PEG/酸化鉄の混合物を分配するための内側カプセルの移動ベクター、 44 永久磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの生物学的活性物質、調合補助物質および磁化可能粒子を包含する経口剤形であって、その剤形が少なくとも2つの相組成を有し、その相がその配合のため経口投与後に体内で溶解でき、磁化可能粒子が調合補助物質中で結合して磁化状態で存在し、
さらには、
磁化粒子が剤形の少なくとも2つの相中に存在して磁場を形成し、2つまたは少なくとも2つの磁場が異なる整列を示し、これらの相が経口投与後、体内で異なる時間に溶解し、時間、位置および体内での移動に対する磁場強度が検出システムを用いて得られ、コンピュータを用いた評価システムを用いて評価することができる経口剤形。
【請求項2】
剤形に組み込まれた後に、その剤形に特徴的なものであって、評価システムおよび検出システムを用いて得られることができる経時強度スペクトルを磁場が生じることを特徴とする、請求項1に記載の剤形。
【請求項3】
剤形が少なくとも3つの相組成を有し、磁化粒子が剤形の3相に存在することを特徴とする、請求項1または2に記載の剤形。
【請求項4】
剤形が少なくとも3つの相組成を有し、1つまたは少なくとも1つの相が生物学的活性物質を包含するが、磁化粒子を包含しないことを特徴とする、請求項1〜3のなかの1つ以上に記載の剤形。
【請求項5】
磁化粒子を包含する少なくとも1つの相が即放相として調合されることを特徴とする、請求項1〜4のなかの1つ以上に記載の剤形。
【請求項6】
1cmの距離からテスラメーターを用いて測定した磁場強度が1〜1000μTの範囲にあることを特徴とする、請求項1〜5のなかの1つ以上に記載の剤形。
【請求項7】
磁場が局在する剤形の部材が、コア、ポリマーフィルムカプセル封入体またはカプセルの半分またはこれらの部材の組み合わせであることを特徴とする、請求項1〜6のなかの1つ以上に記載の剤形。
【請求項8】
磁化可能粒子がマグネタイト(Fe)またはマグヘマイト(Fe)であることを特徴とする、請求項1〜7のなかの1つ以上に記載の剤形。
【請求項9】
剤形が充填カプセル、さらなるカプセルに封入された充填カプセルまたはカプセル封入錠剤の形態を有することを特徴とする、請求項1〜8のなかの1つ以上に記載の剤形。
【請求項10】
剤形が磁場を形成する少なくとも2つの相を包含し、個々の相が磁化可能粒子に調合補助物質を結合させ、当該磁化可能粒子を外側から作用する磁場によって磁化し、相内に磁場を発生させることによって製造され、磁化可能粒子の磁化が剤形の接合前または後に実施することができ、当該相が剤形内に占める位置によって、または相内で使用する調合補助物質によって、体内で異なる時間に溶解することができることを特徴とする、請求項1〜9のなかの1つ以上に記載の剤形の製造方法。
【請求項11】
磁場を包含する相が、製造中に非固体状態から固体状態に遷移する調合補助物質と磁化可能粒子を結合することによって製造され、調合補助物質が非固体状態の時に外側から作用する磁場を用いて磁化可能粒子が配向され、その配向性が調合補助物質の凝固中に固定され、磁場を形成する相が形成されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
磁場を形成する相が互いに個別に、および、可能であれば追加の相とともに製造され、その後ともに接合されて本発明の剤形を形成することを特徴とする、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
フィルム形成ポリマーが磁場配向可能粒子または磁化可能粒子を固定するための調合補助物質として使用されることを特徴とする、請求項10〜12のなかの1つ以上に記載の方法。
【請求項14】
非固体状態の調合がゲル状態または溶融状態であることを特徴とする、請求項11〜13のなかの1つ以上に記載の方法。
【請求項15】
剤形が平坦な錠剤の形態をとるコアを包含した活性成分を包含し、当該錠剤の平坦な両側がそれぞれ融合手段による磁性フィルムを備え、磁性フィルムが反対方向の磁場を有することを特徴とする、請求項10〜14のなかの1つ以上に記載の方法。
【請求項16】
1つ以上の磁化したカプセルの半分を剤形の部材または複数の部材として使用することにより、1つ以上の磁場を導入することを特徴とする、請求項10〜15のなかの1つ以上に記載の方法。
【請求項17】
磁化したカプセルの半分が、カプセルの半分を、フィルム形成ポリマー、溶媒および磁化可能粒子を包含する調製液から、ディップコーティング法を用いて製造し、非固体状態のカプセルの半分に磁場を印加することによって得られ、その結果、磁化可能粒子が組成物中でそれ自体で配向して磁場を形成し、その磁場が凝固の後固定されることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
1つ以上の磁化した押出コアを剤形の部材または複数の部材として使用することにより、1つ以上の磁場を導入することを特徴とする、請求項10〜17のなかの1つ以上に記載の方法。
【請求項19】
押出コアが、フィルム形成熱可塑性ポリマー、可能であれば物質および磁化可能粒子の調製液からストランド押出成形法を用いて製造し、その後ストランドを細長い、または平らな形態に切断することによって製造され、調製液のストランドが溶融状態で外側から印加された磁場を通過し、その結果、組成物中の磁化配向可能粒子または磁化可能粒子が配向かつ磁化してそこで磁場を形成し、その磁場が細長い、または平らな形態のストランドを冷却した後に固定されることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
患者による剤形の摂取をモニタリングする目的の、請求項1〜9のなかの1つ以上に記載の検出システムおよびコンピュータを用いた評価システムと組み合わされた剤形の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−503831(P2013−503831A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527293(P2012−527293)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【国際出願番号】PCT/EP2010/062641
【国際公開番号】WO2011/026808
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee, D−64293 Darmstadt, Germany
【Fターム(参考)】