説明

1つ又は複数の干渉信号の存在下で送信された所望の信号を復元する方法及び受信機

【課題】1つ又は複数の干渉信号の存在下で送信された所望の信号を復元する方法を提供する。
【解決手段】受信機が、所望の信号部分及び1つ又は複数の干渉信号部分を含む信号を受信する。信号は反復的に処理されて、所望の信号が取得される。ここで、信号は、各反復において、1つ又は複数のビームフォーミング重みが関連付けられたビームフォーミングによって処理され、該1つ又は複数のビームフォーミング重みは前の反復において処理された信号に基づいて反復ごとに計算される。1つ又は複数のビームフォーミング重みは、行列反転なしで計算される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、移動通信システム等の通信システムに関する。より詳細には、本発明の実施の形態は、1つ又は複数の干渉信号の存在下でそのようなシステムにおいて送信された所望の信号を復元する手法に関する。本発明の実施の形態は、所望の信号を復元する方法、及び受信機、例えば干渉除去及び干渉キャンセルを用いた反復受信機を説明する。
【背景技術】
【0002】
図1は、複数の基地局すなわちノードBS、BS、及びBSを含むセルラシステムの一部分の概略図を示している。各基地局BS、BS、及びBSは、それぞれ既定の範囲Rg、Rg、及びRgを有する。範囲Rg、Rg、及びRgは図1に示すように幾分重複する。また、図1は、複数の移動デバイス又はユーザ機器UE(UE=ユーザ機器)並びにユーザデバイスが通信することができる追加のリソースR及びRを示している。例えば、ユーザ機器UEは、実線の矢印で示すようにリソースRと通信している。一方、ユーザ機器UEは基地局BSの範囲にあり、したがって、破線の矢印で示すような干渉信号も受信する。実線の矢印によって、いわゆる「サービス提供リンク(servicing link)」が示されるのに対し、破線の矢印はいわゆる「干渉リンク」を示す。例えば、ユーザ機器UE及びユーザ機器UEは基地局BSの範囲内のみにあり、サービングリンクを介してのみ基地局BSに接続している。すなわち、ユーザ機器UE及びUEは干渉を一切受けない。それとは対照的に、サービス提供リンクを介して第1の基地局BSに接続しているユーザ機器UEは、基地局BS及びBSからの干渉信号を受信する。ユーザ機器UEはサービス提供リンクを介して基地局BSに接続するが、リソースRからの干渉信号を受信する。
【0003】
セルラシステム等の通信システムは、高いシステム容量を可能にするために通信システムの大きな周波数再利用率を有する。このため、ダウンリンクにおいて、セルエッジにおけるユーザ機器UEは近傍基地局からの大きなセル間干渉を受ける可能性がある一方、アップリンクにおいて、基地局は同じ物理層時間/周波数リソースを用いて送信している他のユーザ機器からの大きな干渉を受ける可能性がある。図1に示す例では、例えば、ユーザ機器UEは基地局BSの周囲のセルのセルエッジにある場合があり、したがって、近傍基地局BS及びBSから上述したセル間干渉を受ける場合がある。信号対干渉雑音比(SINR)が低減することによって全体システム性能が深刻に低下することになる。
【0004】
範囲拡張を可能にすることができる異種ネットワーク(HetNets)のようなネットワークにおいて同様の問題が存在する場合がある。図2は、そのような異種ネットワークの例を示している。そのようなネットワークでは、例えばセルCにサービングしている基地局BSに接続されたピコセル基地局Mによってピコネットが形成される。ピコセル基地局Mによってサービングされているエリアによって、ピコセルPCが画定され、このピコセルPC内において、ユーザ機器はピコセル基地局Mと通信し、そしてピコセル基地局Mは基地局BSと通信する。そのようなネットワークは矢印Aによって示されるような範囲の拡張を可能にすることができ、ユーザ機器がその中でピコセル基地局Mによってサービングを受けることができるピコセルPCが増大する。しかしながら、図2に示すように、この結果、ユーザ機器UEが基地局BSからの大きな干渉信号Iを受信するロケーションに上記ユーザ機器があるという状況が生じる場合がある。その大きな干渉信号は、ユーザ機器内の受信機において見られる所望の信号電力よりも大きい場合さえある。
【0005】
当該技術分野において、システム性能を改善するための様々な手法、例えば電力制御及び無線リソース管理が存在する。また、受信機側の信号処理技法は、強力な干渉信号の存在に起因した性能劣化に効果的に対抗することで知られている。1つの手法は、非特許文献1によって記載されている、いわゆる受信機最適結合である。この手法は、「干渉除去結合」(IRC:interference rejection combining)とも呼ばれ、適応アンテナアレイを用いて干渉をゼロにする(null out)ことが提案されている。非特許文献2は、空間的有色雑音及び干渉(spatially colored noise plus interference)を用いた最大比結合(MRC)手法にIRCを適用することによって大きな性能利得を達成することができることを示している。図3は、所望の信号及び干渉信号を受信するアンテナアレイを有する受信機の概略図である。図3に示すように、受信機Rxは複数のアンテナANT〜ANTを含む。ソースアンテナSANTは受信機Rxに向けて所望の信号を送信すると仮定される。また、別のアンテナIANTから干渉信号がもたらされる。受信機Rxにおいて、アンテナアレイANT〜ANTを用いて受信機ビームフォーミングが行われ、これによってソースアンテナSANTから受信される信号に焦点を当て、好ましくは干渉アンテナIANTからの干渉信号をゼロにする。上述したような1つの手法は、大きな利得を示し、HSDPA(高速ダウンリンクパケットアクセス)のために指定されてもいる干渉除去結合手法(IRC)である。IRC手法、すなわち線形受信機ビームフォーミング手法によって、受信機RXは干渉信号を抑制し、アンテナSANTから送信された所望の信号の推定及び復号を可能にする。
【0006】
一方で、反復受信機技法は、システム性能を改善することが知られている。反復受信機技法は、非特許文献3によって記載されている、いわゆるターボ等化によって着想を得ている。この手法によれば、異なる受信機機能ブロック間の軟情報が反復的に交換される。図4は、そのような反復受信機のブロック図を示している。受信機は、MIMO(多入力/多出力)検出を実行し、また干渉キャンセルも実行する入力ブロック100を含む。処理された信号はデインターリーバ102を通してチャネル復号器104に転送され、チャネル復号器104は信号を復号し、復号されたシンボルを出力する。チャネル復号器104によって生成された信号はインターリーバ106を介して入力ブロック100にフィードバックされる。図4に示す受信機は、複数の反復について、前回の反復からの情報を考慮に入れることによって干渉信号を推定し、干渉信号をキャンセルし、再び前回の反復からの情報を考慮に入れて所望の信号を推定及び復号する。この反復受信機は最適共同処理の複雑度が高くなることを回避する。
【0007】
別の手法は、追加の複雑度を受け入れることができる場合に連続干渉キャンセル(SIC)を用いて非線形検出器を適用することである。これは、非特許文献4及び非特許文献5によって記載されている。受信機におけるアンテナアレイのサイズから依存した連続干渉キャンセルプロセスによれば、最も強力な干渉信号又は干渉物のうちの1つ又は複数がキャンセルされる。
【0008】
このため、従来技術において、リソース分割及びセル選択のいずれかを用いる、信号対干渉雑音比の劣化を回避する複数の手法が既知であるが、これによって、時間/周波数/空間リソースが犠牲となる。基地局内協調も既知であるが、これは近傍セルからの正確なチャネル知識を必要とする。受信機における干渉抑制及び干渉キャンセル、並びに軟情報交換を用いた反復受信機も既知である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】J. Winters、「Optimum combining in digital mobile radio with cochannel interference」、IEEE J. Sel. Areas Commun., vol. 2, no. 4, pp. 528-539, Jul. 1984
【非特許文献2】A. N. Barreto及びR. D. Vieira、「A critical analysis of receiver diversity with multiple antennas with spatially coloured noise」、Proc. of Intl. Workshop on Signal Processing Advances in Wireless Communication (SPAWC 2008), Recife, Brazil, Jul. 2008
【非特許文献3】M. Tuechler、R. Koetter、及びA. C. Singer、「Turbo equalization: principles and new results」、IEEE Trans. Commun., vol. 50, no. 5, pp. 754-767, May 2002
【非特許文献4】X. Wang及びH. Poor、「Iterative (turbo) soft interference cancellation and decoding for coded CDMA」、IEEE Trans. Commun., vol. 47, no. 7, pp. 1046-1061, Jul. 1999
【非特許文献5】G. J. Foschini、G. D. Golden、R. A. Valenzuela、及びP. W. Wolniansky、「Simplified processing for high spectral efficiency wireless communication employing multi-element arrays」、IEEE J. Sel. Areas Commun., vol. 17, no. 11, pp. 1841-1852, Nov. 1999
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、改善された干渉管理方式を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、請求項1に記載の方法及び請求項19に記載の受信機によって達成される。
【0012】
本発明の実施の形態は、1つ又は複数の干渉信号の存在下で送信される所望の信号を復元する方法であって、
信号を受信するステップであって、該受信信号は所望の信号部分及び1つ又は複数の干渉信号部分を含む、受信するステップと、
前記信号を反復的に処理して前記所望の信号を得る、反復的に処理するステップと、
を含み、前記信号を反復的に処理するステップは、各反復において、前記信号を、1つ又は複数のビームフォーミング重みが関連付けられたビームフォーミングによって処理することを含み、前記1つ又は複数のビームフォーミング重みは、反復ごとに、前の反復で処理された前記信号に基づいて計算され、
前記1つ又は複数のビームフォーミング重みは、行列反転なしで計算される、1つ又は複数の干渉信号の存在下で送信される所望の信号を復元する方法を提供する。
【0013】
本発明の更なる実施の形態は、1つ又は複数の干渉信号の存在下で送信された信号を復元する受信機であって、
複数のアンテナと、
前記アンテナから信号を受信するように構成され、なお、該受信号は所望の信号及び1つ又は複数の干渉信号部分を含み、かつ該受信信号を反復的に処理して本発明の実施の形態の手順に従って所望の信号部分を取得するように構成された信号プロセッサと、
を備える、1つ又は複数の干渉信号の存在下で送信された信号を復元する受信機を提供する。
【0014】
本発明の更なる実施の形態は、本発明の実施の形態による受信機を備える移動ユニットを提供する一方、他の実施の形態は本発明の実施の形態による受信機を用いる基地局を提供する。
【0015】
実施の形態によれば、前記1つ又は複数のビームフォーミング重みを計算することは、1つの主要な干渉物のみを考慮し、他の干渉信号を加法性時空間白色ガウス雑音として扱うことを含む。
【0016】
実施の形態によれば、前記ビームフォーミング重みを計算することは、前記雑音干渉信号の前記共分散行列の前記逆行列に基づいてビームフォーミング重みベクトルを計算することを含み、前記ビームフォーミング重みベクトルは以下のように計算され、
【数1】

であり、前記主要な干渉物の前記共分散行列の前記逆行列は以下のように計算することができ、
【数2】

である。
【0017】
実施の形態によれば、前記所望の信号はOFDM送信を用いて送信され、OFDMリソースブロックのサブブロックについて、同じ前記1つ又は複数のビームフォーミング重みが計算される。前記OFDMリソースブロックは、複数の副搬送波及び複数のOFDMシンボルを含むことができ、前記サブブロックは、前記周波数領域における副搬送波数によって定義される周波数長と、前記時間領域におけるOFDMシンボル数によって定義される時間長とを含む。各副搬送波についてビームフォーミング重みベクトルが計算される場合、前記サブブロックの前記時間長は前記リソースブロック内の前記OFDMシンボル数に等しいとすることができ、前記サブブロックの前記周波数長は1に設定され、単一の共分散行列が、前記それぞれの副搬送波の前記サブブロック内の全ての共分散行列を近似することができる。前記単一の共分散行列は以下のように計算される。
【数3】

【0018】
実施の形態によれば、前記ビームフォーミング重みを計算することは、同じサブブロック内の前記データシンボルの同じビームフォーミング重みベクトルを計算することを含むことができる。前記ビームフォーミング重みベクトルは、前記サブブロック内の前記雑音干渉信号の全ての共分散行列を近似する単一の共分散行列に基づいて計算することができる。前記単一の共分散行列は以下のように計算され、
【数4】

である。
【0019】
実施の形態によれば、前記サブブロックにおいて、前記雑音干渉信号の前記統計的特性が一定であるように近似される。
【0020】
実施の形態によれば、OFDMサブフレームが、所定の数のリソースブロックを含み、前記チャネルにおいて、送信チャネルの係数は、1つのサブフレーム中、前記時間領域において一定であるように近似され、前記サブブロックの前記時間長は、前記サブフレーム内の前記OFDMシンボル数に等しく、前記サブブロックの前記周波数長は、前記周波数領域において類似したチャネルフェージングを受ける前記副搬送波に依拠して設定される。前記周波数領域において、前記チャネル内の前記雑音干渉信号の前記統計的特性を一定であるものとして近似することができる場合には、前記サブブロックの前記周波数長は、前記サブフレーム内の前記副搬送波数に等しいとすることができる。前記チャネルが高周波数選択性フェージングチャネルである場合、前記サブブロックの前記周波数長は1に設定することができる。
【0021】
実施の形態によれば、前記受信信号を処理することは、
(a)初期段階において、前記受信した信号を、初期ビームフォーミング重みを用いたビームフォーミングによって処理するステップと、
(b)ビームフォーミングによって処理された前記信号に基づいて、最も強力な信号の初期推定値を取得するステップであって、該初期推定値は軟情報を含む、取得するステップと、
(c)前記受信した信号から前記軟情報を差し引くステップであって、処理された信号を生成する、差し引くステップと、
(d)前記処理された信号に基づいて前記ビームフォーミング重みを計算するステップと、
(e)ビームフォーミングによって処理された前記処理された信号に基づいて次に最も強力な信号の推定値を取得するステップであって、該推定値は軟情報を含む、取得するステップと、
(f)前記所望の信号部分の推定値が取得されるまで、又は最大反復数に達するまで、前記処理された信号に基づいてステップ(c)〜ステップ(e)を繰り返すこと、
を含むことができる。
【0022】
実施の形態によれば、前記初期ビームフォーミング重みは、前記受信した信号に含まれるパイロットシンボルに基づいて計算され、前記ビームフォーミングは線形受信機ビームフォーミング、例えば干渉除去合成を含むことができ、前記受信信号を処理することは、干渉キャンセル、例えば連続干渉キャンセルを含むことができる。反復の数は受信機が除去できる干渉信号の数に依拠するとすることができる。反復の数は、受信アンテナの数と無関係の任意の数とすることができる。
【0023】
このため、本発明の実施の形態は、ビームフォーミング手法を計算するのに必要とされる行列反転を回避する、低複雑度の手法を用いた干渉抑制又は干渉キャンセルのための改善した効率的な手法を提供する。
【0024】
本発明の実施の形態は、干渉キャンセルの既知の手法を新たな形で用いる。より具体的には、本発明の実施の形態は、様々な信号部分を含む受信信号からより強力な信号を連続的にキャンセルすることによって動作するSIC(連続干渉キャンセル)アルゴリズムを用いる反復受信機を提供する。これは、全てのユーザが判定済みとなるか又は許容可能なキャンセル数に達するまで繰り返される。ビームフォーミング手法である干渉除去結合(IRC)アルゴリズムを用いて、各反復において最も強力な信号が求められる。各反復において、前回の反復において処理された信号に基づいて、好ましくはSINRを最大にするように、このビームフォーミング手法のための1つ又は複数の重みが、行列反転なしで計算される。ビームフォーミング重みは、現在の反復における目標検出信号(目標検出信号は所望の信号又は干渉信号とすることができる)と、処理された受信信号に残された他の信号との間のSINRを最大にするように計算することができる。ビームフォーミング計算は、既知の手法を用いて行うことができる(例えば、R. A. Monzingo及びT. W. Miller、「Introduction to adaptive arrays」、New York, Wily, 1980を参照されたい)。本発明の実施の形態は、所望のセル及びセルエッジスペクトルの効率目標を達成することができる手法を提供する。
【0025】
本発明の実施の形態は、干渉制限されたシステムの性能を向上させる反復受信機アルゴリズムを提供する。適応アンテナアレイを用いて干渉を抑制することによって、推定性能を大幅に改善することができる。所望の信号及び干渉信号の一部を復号することが可能な高度な受信機の場合、連続干渉キャンセルを用いて干渉に対する受信機のロバスト性を更に増大させることができる。最適な共同処理は計算要件が大きいことに起因してコストが高いが、これらの動作を反復して別個に実行することによって、受信機の複雑度を低減しながらこれらの2つの手法の利点を利用することが可能になる。
【0026】
本発明の実施の形態によれば、例えばセルラシステムのセルエッジにおけるユーザについて、適応アンテナアレイを用いて干渉をゼロにする干渉除去結合(IRC)アルゴリズムを用いることによって、セル間干渉に起因したシステム性能の重大な劣化を回避又は低減することができる。加えて、所望の信号及び干渉信号の一部を復号することが可能な受信機は連続干渉キャンセル(SIC)を用いることができ、SICはまず、所望の信号をゼロにすることによって干渉信号を復調し、次に推定された干渉シンボルを受信信号から差し引き、所望の信号をはるかに少ない干渉で復号することができるようにする。上述したように、これらの2つの手法を共同で実行することは、計算要件が大きいことに起因してコストが高くなるので、本発明の手法によれば、上述したIRCアルゴリズム及びSICアルゴリズム並びに他の機能は、反復的に別個に実行され、それによって受信機の複雑度が低減し、軟情報が、異なる受信機構成要素、例えばチャネル推定器、MIMO検出器、及びチャネル復号器間で交換される。
【0027】
このため、本発明の実施の形態は、強力なセル間干渉の存在下で信号を推定する高度な受信機を提供する。適応アンテナアレイを用いて反復受信機内で受信機ビームフォーミング手法を展開する。この手法において、1つ又は複数のビームフォーミング重みは、各反復において、チャネル復号器からの軟情報及び以前に推定された干渉信号を考慮に入れて更新される。上述したような最適な結合手法を用いて、大きな電力を有する信号(干渉信号又は所望の信号のいずれか)をまず推定することができ、次にその信号を連続的にキャンセルして性能を更に改善することができる。
【0028】
提案されているアルゴリズム又は手法は、基地局又はユーザ機器において適用することができる。
【0029】
本発明の手法は、受信機における高度な信号処理を通じて干渉を除去及びキャンセルするか又は少なくとも実質的に低減し、それによってより良好な性能を達成することができ、それが今度は、より高いスペクトル効率、より高い周波数利用率、サービングされる多数のユーザ、及びユーザ体験の向上につながるので有利である。これによってネットワーク容量を増大し、多数の顧客/ユーザを同時にサービングすることが可能になる。
【0030】
本発明の実施の形態によれば、3GPPロングタームエボリューション(LTE)ダウンリンク送信との関連で、強力なセル間干渉の存在下での信号検出のための高度な受信機が提示されている。この受信機は、直交周波数分割多重(OFDM)手法に基づく。適応アンテナアレイによって、連続干渉キャンセル(SIC)を含む反復受信機内の受信機ビームフォーミングが容易になる。ビームフォーミング重みベクトルは、チャネル復号器からの軟情報及び以前に推定された干渉信号を考慮に入れた、IRCを用いた各反復において更新される。最適合成を用いて、より大きな電力を有する信号(干渉信号又は所望の信号のいずれか)を最初に推定することができ、次にその信号を連続的にキャンセルして性能を更に改善することができる。本発明による手法によれば、実施の形態は、ビームフォーミング重みを計算するのに必要とされる行列反転を回避する低複雑度のアルゴリズムを提供する。
【0031】
本発明による手法は、大きな性能利得を得ることを可能にし、この結果、大きな電力の干渉に関してロバスト性が高くなり、反復数を低減することが可能になり、ひいては、複雑度が低減され、スペクトル効率が高くなり、ネットワーク容量が増大し、ユーザ体験が改善し、多数のユーザを同時にサービングすることが可能になるので有利である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】セルラシステムの一部の概略図である。
【図2】異種ネットワークの例を示す図である。
【図3】所望の信号及び干渉信号を受信するアンテナアレイを有する受信機の概略図である。
【図4】反復受信機のブロック図である。
【図5】本発明の実施形態による結合された干渉抑制及び干渉キャンセルを用いた反復受信機手法が適用される、通信システムにおいて用いることができる送信機のブロック図である。
【図6】本発明の実施形態による受信機のブロック図である。
【図7】OFDM送信システムのフレーム構造を示す図である。
【図8】連続的な干渉キャンセラーを埋め込んだ反復受信機手法を用いた本発明の更なる実施形態を示す図である。
【図9】図7のリソースブロックに基づいて、様々なビームフォーミング手法を示す図であり、図9(a)はブロックビームフォーミング手法を示す図であり、図9(b)は搬送波ごとのビームフォーミング手法を示す図である。
【図10】EVecAチャネルモデルの推定の下で、SIRが−5dBに等しい1つの干渉物が存在する場合のフレーム誤り率(FER)のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施形態を図面を参照して以下で説明する。
【0034】
本発明の実施形態の後続の説明では、ダウンリンク送信のためのユーザ機器側の動作に言及する。しかしながら、以下に説明する原理は基地局側の動作にも等しく適用することができ、それに従って、後に説明する手法又はアルゴリズムを拡張することが容易であることに留意されたい。また、後続の説明では、以下の表記が用いられることに留意されたい。大文字(小文字)の太字の文字は、行列(列ベクトル)を表すのに用いられる。(・)は転置を表し、(・)は複素共役転置(エルミート)をそれぞれ表す。E(・)は統計的期待値を表す。
【数5】

との間の共分散行列は、
【数6】

として定義される。
【数7】

はN×Nの単位行列を表す。
【0035】
図5は、本発明の実施形態による結合された干渉抑制及び干渉キャンセルを用いた反復受信機手法が適用される、通信システムにおいて用いることができる送信機のブロック図である。送信機は、送信される信号を提供するソース200と、チャネル符号化器202と、インターリーバ204とを備える。また、シンボルマッパ206及びパイロットシンボルソース208が提供され、シンボルマッパ206からの信号及びパイロットシンボルソース208からのパイロット信号がマルチプレクサー210によって結合され、OFDM変調器211を介してアンテナ212に転送され送信される。
【0036】
図6は、本発明の実施形態による受信機のブロック図を示している。受信機は、OFDM復調ブロック300に接続された複数のアンテナを備える。そして、OFDM復調ブロック300は、復調された信号を処理するブロック301に接続される。実施形態は2つ以上のアンテナを用いることができることに留意されたい。本明細書において説明される原理は、そのような受信機にも同様に等しく適用される。ブロック301は受信機ビームフォーミング及び必要な受信機ビームフォーミング重み更新を実行する。ブロック301から出力された信号はシンボル検出器302に入力され、シンボル検出器302はシンボルを検出し、そのシンボルをデインターリーバ304に出力し、そしてデインターリーバ304は信号をチャネル復号器306に提供し、チャネル復号器306は復号されたシンボルを出力する。また、復号器306によって復号されたシンボルは、インターリーバ308を介してシンボル検出器302にフィードバックされ、また、シンボルはブロック301にもフィードバックされる。図6において、受信機に向けて信号を提供する2つのアンテナ、すなわち所望の信号を提供するソースアンテナ及び干渉信号を提供する干渉アンテナが示されている。このため、受信機のアンテナアレイにおいて、ソースアンテナからの部分及び干渉アンテナからの部分、すなわち所望の信号部分及び干渉信号部分を含む信号が受信される。
【0037】
後続の検討において、図6に示すような受信機を有する単一のユーザ機器が、サービング基地局、すなわちソースからの所望の信号、及び同じ搬送周波数を用いて送信している近傍基地局からの干渉信号を受信すると仮定される。様々なセルからの基地局は、所望の信号及び干渉信号が同時に開始し、同じ持続時間を有するように同期されていると仮定される。ユーザ機器は、セル間干渉抑制及び干渉キャンセルを実行するのに用いられるN個の受信アンテナを有する。大きな干渉を受け、低い受信SINRを有するセルエッジにおけるユーザ機器のために、基地局によって送信ビームフォーミングを適用して、より多くのエネルギーをセルエッジユーザに向けることができる。各基地局は、情報の1つのストリームを送信する1つのアンテナを有すると仮定される。しかしながら、本発明はそのような実施形態には限定されず、後述する手法及びアルゴリズムを、マルチアンテナの事例に拡張することが容易であることに留意されたい。マルチアンテナの事例では、ユーザ機器及び基地局の双方が複数のアンテナを備え、例えばL. Zheng及びD.N.C. Tse「Diversity and multiplexing: A fundamental tradeoff in multiple antenna channels」(IEEE Trans. On Inform. Theory, vol. 49, no. 5, pp. 1073-1096, May. 2003)によって記載されているようなダイバーシティ受信及び複数ストリーム送信(空間多重化)を可能にする。
【0038】
実施形態によれば、通信システムは、例えば3GPP TS36.211「Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Physical Channels and Modulations」に記載されているように、OFDMに基づくLTEダウンリンク送信システムを含む。そのような送信システムのフレーム構造は、図7に示されている。図7は、
【数8】

個の副搬送波と、
【数9】

個のOFDMシンボルとを含むリソースブロックを示している。1つのサブフレームはNRB個のリソースブロックを含み、後続の説明のために、1つのリソースブロックからなる最小スケジューリング単位が仮定される。
【0039】
時間領域において、チャネルは、1つのサブフレームの間一定であり、異なるサブフレームにおいて独立同一分布を有する(i.i.d.)と仮定される。周波数領域において、チャネルフェージングは様々なチャネルモデルによって特徴付けられる。可能な送信機及び受信機の構造が図5及び図6に示されている。送信機において、ビットのシーケンスが誤り訂正コーディングを用いて符号化され、コーディングされたビットがインターリーブされ、複素データシンボルにマッピングされる。基準信号又はパイロット信号は、データシンボルと多重化され、送信のための時間−周波数グリッドが形成される。単純にするために、シンボルアルファベットα(i=1,...,4)を有する単位エネルギー4相位相偏移変調(QPSK)が仮定される。これらのシンボルアルファベットは、所望の信号及び全ての他の干渉信号について用いられる。それにもかかわらず、本明細書に記載される本発明による手法は、例えばM.Tuechler、A.C.Singer、及びR.Koetter、「Minimum mean squared error equalization using a priori information」、IEEE Trans. Signal Processing, vol. 50, pp. 673-683, Mar. 2002によって記載されているような他のコンステレーション(constellation:配置)に容易に拡張することができることに留意されたい。
【0040】
離散時間ベースバンドモデルの場合、受信機におけるサイクリックプレフィックス(CP)除去及びFFTの後、l番目のOFDMシンボルの副搬送波k上の受信信号は以下のように書くことができる。
【数10】

ここで、
【数11】

は、m番目の受信アンテナにおける受信信号であり、sk,l(0)はサービング基地局からの送信信号であり、
【数12】

は、k番目の副搬送波における、サービング基地局の送信機アンテナと、m番目の受信アンテナとの間のチャネル係数であり、sk,l(j)はj番目の干渉している基地局からの送信信号であり、
【数13】

は、k番目の副搬送波における、j番目の干渉している基地局の送信アンテナと、m番目の受信アンテナとの間のチャネル係数である。
【数14】

はm番目の受信アンテナにおける加法性時空間白色ガウス雑音を表し、これはサービング基地局及び干渉している基地局からのデータシンボルと無相関であり、ゼロ平均及び分散
【数15】

を有する。
【0041】
後続の検討において、受信機が、サービング基地局とユーザ機器との間の必要なチャネル状態情報(CSI)を有すると仮定され、連続干渉キャンセル(SIC)を適用する実施形態の場合、ユーザ機器が、干渉リンクに関する知識を有していることが更に仮定される。復号複雑度を低減するために、所望の信号のみが復号され、干渉信号は更に復号されることなくシンボルレベルにおいて検出される。このようにして、限られた情報、例えばユーザ機器と、干渉している基地局との間のチャネル、及び干渉信号の変調方式のみがユーザ機器において必要とされる。
【0042】
実施形態によれば、最初に、アンテナにおいて受信される信号内のパイロットシンボルに基づいて、ビームフォーミング重みが計算され、アンテナは、ブロック301からの情報に基づいて、主要な受信ビームが干渉アンテナに向かって方向付けされる一方、副次的な受信ビームが干渉アンテナ及びソースアンテナから離れるように方向付けされ、それによってソースアンテナによって提供される所望の信号及び他の可能な干渉信号を抑制するように制御される。干渉アンテナから受信される信号が推定され、推定された干渉信号が受信信号から差し引かれる。次の反復において、ここで主要な受信ビームがソースアンテナに向けて方向付けされる一方、副次的な受信ビームが干渉アンテナの方向と異なる方向に方向付けられるようにビームフォーミング重みが再計算される。この結果、干渉信号が抑制され、ここで、受信した信号から所望の信号を推定することが可能になり、次にこの所望の信号がブロック306において最終的に復号され、出力される。換言すれば、反復キャンセルが実行される複数の反復に関して、本発明の実施形態によれば、線形受信機ビームフォーミング手法に基づいて、所望の信号が抑制され(前回の反復からの情報を考慮に入れる)、再び前回の反復からの情報を考慮に入れて干渉が推定され、最終的に干渉信号がキャンセルされることに従って干渉キャンセルが実行される。動作ごとに、新たな重みを計算することによって新たな線形受信機ビームフォーミングが実行され、それによって、所望の信号を推定及び復号することができるように干渉信号が抑制される。このため、反復受信機は、線形受信機ビームフォーミング手法によって受信信号を処理し、処理された信号をシンボル検出器に渡し、その後、処理された信号から、検出されたシンボルが反復的に受信機ビームフォーミングユニットにフィードバックされる。ここで、各反復において、ビームフォーミング重みは、先行する反復においてシンボル検出器からフィードバックされた以前に判定された干渉信号及び所望の信号に基づいて計算/再計算される。
【0043】
図8は、連続干渉キャンセラーを埋め込んだ反復受信機手法を用いた本発明の更なる実施形態を示している。500において、所望の信号及び1つ又は複数の干渉信号を含む信号が受信される。受信信号はその後処理される信号である。502において、その信号からビームフォーミング重みが計算される。初期状態において、受信信号はビームフォーミング重みの初期セットを用いて線形受信機ビームフォーミングブロック300(図6を参照されたい)によって処理される。502においてビームフォーミング重みが計算された後、504において、計算されたビームフォーミング重みを用いて線形ビームフォーミング手法が信号に適用される。ブロック300において生成された出力がシンボル検出器302に渡され、506において、最も強力な信号から推定されたシンボルが得られる。最も強力な信号は干渉信号の場合もあるし所望の信号の場合もある。506における初期段階において、最も強力な信号の初期推定値が取得される。508において、最も強力な信号に関する軟情報がフィードバックされ、信号から差し引かれ、処理された受信信号が構築され、それによって、この信号は、次に510において、処理済み信号となる。512において、ここで所望の信号の最終的な推定値が入手可能であるか否か、又は最大反復数に達したか否かが判断される。最終推定値が入手可能でもなく、最大反復値に達してもいない場合、方法はブロック502に戻り、更なる反復又は後続の反復を開始し、その反復において、処理された受信信号に基づいてビームフォーミング重みが再計算され、次に、そのビームフォーミング重みがブロック300に供給され、ビームフォーミング重みの更新されたセットを用いた線形受信機ビームフォーミングが行われる。ブロック300の出力は再びシンボル検出器302に渡され、2番目に強力な信号(第2の反復時)の推定値が取得される。ステップ512において、最終的な推定値に達したか、又は最大反復数に達したと判断された場合、方法はステップ514に進み、ステップ514において信号が復号され出力される。
【0044】
本発明の実施形態によれば、所望の信号と干渉との間の信号対干渉雑音比が最大になるように線形受信機ビームフォーミング重みが計算される。上記で説明された本発明の手法によって、大きな性能利得を達成することができる。これによって、HetNets(図2を参照されたい)において受ける場合があるような大きな電力干渉に対してよりロバストなシステムがもたらされる。また、反復数を低減することができ、それによって今度は、システムの複雑度が低減する。より高いスペクトル効率及びネットワーク容量の増大を達成することができる。また、ユーザ体験が改善し、同時にサービス提供されるユーザ数を増大させることができる。
【0045】
続いて、SIC手法を用いて実装された反復受信機に基づいて図8の実施形態が更に詳細に説明され、ここで所望の信号及び或る数の干渉信号が検出される。式(1)は、N個の受信機アンテナ(図6を参照されたい)からの信号を一緒にスタックし、受信機におけるそれらの信号電力に従ってインデックスを再順序付けすることによって以下の式に書き換えられる。
【数16】

ここで、X’は受信機が検出しキャンセルすることができる干渉信号の数であり、受信信号
【数17】

は最大の受信信号対雑音比(SNR)を有すると仮定される。
【0046】
初期段階において、事前情報は入手可能でない。受信したパイロットシンボルから計算されたビームフォーミング重みの初期セットを用いた線形受信機ビームフォーミングによって受信信号が処理される。出力はシンボル検出器302に渡され、干渉信号又は所望の信号のいずれかとすることができる最も強力な信号の初期推定値が取得され、次に、推定されたシンボルが受信信号から差し引かれて処理された受信信号が構成される。その処理された受信信号に基づいてビームフォーミング重みベクトルが再計算される。後続の反復において、処理された信号は、ビームフォーミング重みベクトルの更新されたセットを用いる線形受信機ビームフォーミングブロック301に供給され、出力がシンボル検出器302に渡され、2番目に強力な信号の推定値が取得される。所望の信号の最終的な推定値が入手可能となるまで、又は最大反復数に達するまで反復が繰り返される。実施形態によれば、所望の信号の軟情報のみがチャネル復号器306に送信されて復号され、干渉信号は更に復号されることなくシンボルレベルにおいてのみ推定される。これによって、ユーザ機器が計算複雑度を節減することが可能になり、干渉している基地局とユーザ機器との間で限られた情報のみが交換されればよい。詳細なアルゴリズムが以下に説明される。
【0047】
q番目の反復において、sk,l(x)の更新されたバイアスされていない推定値を、J.Winters、「Optimum combining in digital mobile radio with cochannel interference」、IEEE J. Sel. Areas Communication, vol. 2, no. 4, pp. 528-539, July 1984によって論考されているように、以下のように表すことができる。
【数18】

ここで、
【数19】

はq番目の反復においてシンボルsk,l(x)を推定するためのビームフォーミング重みベクトルである。
【数20】

は、q番目の反復においてシンボルsk,l(x)を推定するための処理された受信信号であり、この信号は、以前に検出された信号を減算することによって得ることができ、以下のように書くことができる。
【数21】

ここで、Xは、その段階において検出されている信号数であり、mk,l(j)はその段階におけるシンボルsk,l(j)の平均であり、以下で更に詳細に説明されるように、軟情報から計算される。
【0048】
ベクトル
【数22】

は、雑音と、SIC後の残留干渉と、シンボルsk,l(x)を推定するときにq番目の持続時間において検出されていない他の干渉信号との和として定義される。ベクトル
【数23】

は、以下のように書くことができる。
【数24】

ここで、
【数25】

は、複素正規分布
【数26】

を有する、時間的に白色であり、かつ空間的に相関しているベクトルであると仮定される。パケット交換ネットワークでは、トラフィック信号はサブフレームごとにスケジューリングされるので、近傍セルからの干渉信号はサブフレームごとに変動する場合がある。他方で、チャネル統計も様々な副搬送波にわたって変動する。
【0049】
ビームフォーミング重みベクトル
【数27】

は、例えばR. A. Monzingo及びT. W. Miller、「Introduction to adaptive arrays」、New York, Wily, 1980において記載されているように、出力SINRを最大にするように導出される。これは以下のように表すことができる。
【数28】

【0050】
式(3)においてビームフォーミング重み
【数29】

を得るために、各ベクトル
【数30】

の共分散行列
【数31】

が推定される。第1の反復において、データシンボルに関する事前情報が利用可能でないので、基準信号又はパイロット信号を含む受信信号のみが共分散行列
【数32】

を推定するのに用いられる。1つのサブフレーム内の基準信号の数が限られていることに起因して、基準信号に基づいて1つのビームフォーミング重みベクトルのみが導出され、第1の反復について、サブフレーム内の全てのデータシンボルを検出するのに用いられる。後の反復において、受信信号は、以前に検出されたデータシンボルと、基準信号との双方を含み、
【数33】

の推定品質が改善される。
【0051】
式(3)において信号sk,l(x)を推定するのに逆行列が必要であるので、データシンボルごとに特定のビームフォーミング重みベクトルを適用するのは実際的でない。このため、本発明の実施形態によれば、図7に示すような、周波数領域においてM個の連続副搬送波を有し、時間領域においてM個のOFDMシンボルを有するサブブロックが定義される。各サブブロックにおいて、チャネル統計は時間領域及び周波数領域の双方において平坦であるように近似される。このため、雑音干渉信号
【数34】

の統計特性は、1つのサブブロックにおいて一定であるように近似することができる。このようにして、同じビームフォーミング重みベクトルを用いて、同じサブブロック内の全てのデータシンボルを検出することができる。p番目のサブブロックについて、対応するビームフォーミング重みベクトル
【数35】

を用いて、p番目のサブブロック内の全てのデータシンボルを検出する。サブブロック分割判断基準によりp番目のサブブロック内の全ての共分散行列
【数36】

を近似するのに用いられる単一の共分散行列は、E.G.Larsson、「Robust structured interference rejection combining」、Proc. of IEEE Wireless Communications and Networking Conference (WCNC), New Orleans, LA, March 2005にも記載されているように、以下のように書くことができる。
【数37】

【0052】
時間不変チャネルを仮定することは、チャネル係数が、時間領域において、1つのサブフレームの間一定であることを意味する。このため、各サブブロックの時間長を、1つのサブフレーム内のOFDMシンボル数に等しくなるように選択することができる。一方、サブブロックの周波数長は、チャネルの周波数選択性に依拠することができ、それによって、周波数領域において類似したチャネルフェージングを受けている副搬送波のみが同じサブブロックにグループ化される。2つの極端な事例を考慮することができるが、実際のチャネル状態はそれらの間の周波数長Mを与える。
(1)ブロックビームフォーミング手法:
チャネルが周波数領域においても平坦である場合、1つのサブフレーム内の全てのデータシンボルを検出するのに、同じビームフォーミング重みベクトルを適用することができる。これは、周波数長が、1つのサブフレーム内の副搬送波数に等しいこと、すなわち、
【数38】

であることを意味する。
(2)搬送波ごとのビームフォーミング手法:
受信機が高周波数選択性フェージングチャネルを受けている場合、各副搬送波は自身のビームフォーミング重みベクトルを有することができ、それによって周波数長は1に設定され、すなわちM=1となる。
【0053】
図9は、図7のリソースブロックに基づいて、上記で述べた手法を示している。図9(a)は、図7のリソースブロックに基づいて、ブロックビームフォーミング手法を示している。見てとることができるように、ビームフォーミング重みベクトル
【数39】

がサブフレームのリソースブロック全体について求められ、すなわちビームフォーミング重みベクトルが全てのシンボル及び全ての副搬送波について計算されるのに対し、図9(a)の左側は、周波数領域における平坦なチャネル特性を示している。ブロックビームフォーミング手法の場合、ビームフォーミング重みベクトルを計算することは1つの行列反転を必要とする。
【0054】
図9(b)は、搬送波ごとのビームフォーミング手法を示している。見てとることができるように、図7のリソースブロック又はサブフレームについて、12個のビームフォーミング重みベクトル
【数40】

を計算する必要がある。なぜなら、図9(b)の左側で見られるように、チャネル特性が平坦ではなく、すなわち周波数領域において高速に変化するためである。この状況を鑑みて、搬送波ごとのビームフォーミング手法が選択され、各副搬送波について、全てのOFDMシンボルを包含するビームフォーミング重みベクトルが計算される。この計算には、それぞれのビームフォーミング重みベクトルを計算するための多数の行列反転が必要とされる。
【0055】
本発明による手法によれば、以下で更に詳細に説明するように、ビームフォーミング重みベクトルを計算するために1つ又は複数の行列反転を実行する必要性と関連付した複雑度は、そのような行列反転を回避することによって低減される。
【0056】
所望の信号について、検出器302から推定されたシンボルの軟情報がチャネル復号器306に送信される。単純にするために、後続の説明において、対応するユーザインデックスxは省かれ、所望の信号はsk,lとして表され、関連ビットとして(sk,l,1,sk,l,2)を有する。シンボルsk,lの平均はmk,l=E(sk,l)として表される。データシンボルに関する限り、平均はゼロを用いて初期化される。しかし、全ての反復において、それらの平均は推定されたシンボルからの軟情報を用いて更新される。一方で、基準シンボル又はパイロットシンボルについて、平均は全ての反復について実際の値に設定される。
【0057】
検出器302及び復号器306の各反復後、推定された軟シンボルを用いて平均が更新される。より具体的には、外因性(extrinsic)対数尤度比(LLR)が
【数41】

として計算される。ここで、L(sk,l,j)は「事前(a priori)」LLRであり、
【数42】

は「事後(a posteriori)」LLRであり、以下のように定義される。
【数43】

ここで、j=1,2であり、ここで
【数44】

は現在の反復における推定されたシンボルであり、ここでP(sk,l,j=0)及びP(sk,l,j=1)は事前確率であり、
【数45】

は事後確率である。
【0058】
例えば非特許文献3、並びにM. Tuechler、並びにA. C. Singer及びR. Koetter、「Minimum mean squared error equalization using a priori information」、IEEE Trans. Signal Processing, vol. 50, pp. 673-683, Mar, 2002によって記載されているように、L(sk,l,j)を計算するために、確率密度関数(PDF)
【数46】

が導出され、このPDFは、ガウス近似を取ることができ、すなわち、
【数47】

であり、ここで平均
【数48】

及び分散
【数49】

である。平均μk,l,i及び分散σk,l,iは以下のようにすることができる。
【数50】

ここで、
【数51】

は、式(8)におけるp番目のサブブロックに属する
【数52】

についての、q番目の反復における
【数53】

の共分散行列である。その後、外因性LLRを以下のように計算することができる。
【数54】

(K. Fang、L. Rugini、及びG. Leus、「Low-complexity block turbo equalization for OFDM systems in time-varying channels」、IEEE Trans. Signal Processing, vol. 56, no. 11, pp. 5555-5566, Nov. 2008を参照されたい)。
【0059】
図6に示すように、外因性LLR L(sk,l,i)が復号器306に渡され、新たな外因性LLR
【数55】

が生成される。この新たな外因性LLRは事前LLRに加算され、事後LLR又は事前LLRの新たなバージョンが形成され、これを用いて推定されたシンボルの平均を更新する。すなわち
【数56】

となる(非特許文献3並びにK. Fang、L. Rugini、及びG. Leus、「Low-complexity block turbo equalization for OFDM systems in time-varying channels」、IEEE Trans. Signal Processing, vol. 56, no. 11, pp. 5555-5566, Nov. 2008を参照されたい)。
【0060】
上記の計算は所望の信号に関するものであり、その所望の信号の軟情報がチャネル復号器306に渡され情報ビットが復号される。干渉信号に関して、外因性情報
【数57】

のみを用いて、式10及び式11に示したのと同じように計算される式12に示される平均値が更新される。
【0061】
上記で説明したように、高周波数選択性チャネルを受けている受信機には、搬送波ごとのビームフォーミング手法が好ましい。一方、上述したように、各ビームフォーミング重み計算は、式(6)から明らかであるような1つの逆行列演算を必要とし、これによって、副搬送波が多数であることに起因した高い計算複雑度が生じる。本発明による手法によれば、行列反転なしでビームフォーミング重みを計算するために、複雑度の低いアルゴリズムが提供される。これによって、特に、多数の受信アンテナを装備した受信機の場合に、複雑度が劇的に低減する。
【0062】
式(4)のシステム入出力関係は、以下のように書き換えることができる。
【数58】

ここで、その段階において、SIC後の1つの主要な干渉物yのみが考慮され、他の干渉信号は、加法性時空間白色ガウス雑音として扱われる。有効雑音項ηk,lは、複素正規分布
【数59】

を有すると仮定される。これによって、共分散行列
【数60】

を以下のように書くことが可能になる。
【数61】

ここで、vk,l(y)はq番目の反復において推定されたシンボル
【数62】

の分散である。
【0063】
1つの主要な干渉物yは、受信信号電力に依拠するSICの次数に従って、又は例えばその段階における残留干渉電力を比較することによる或るメトリックに従って選択することができる。有効雑音ηk,lの分散は、以下のように計算することができる。
【数63】

【0064】
行列反転補題を適用することによって、共分散行列
【数64】

の逆行列は以下のように表すことができる。
【数65】

【0065】
このため、本発明による手法に従って行列反転が回避され、むしろ、式(16)から見てとることができるように、ベクトル乗算しか必要とされない。ベクトル乗算が要求する計算複雑度はより低く、特異行列を反転するときの潜在的な誤りも回避される。上記の手法は、k個の副搬送波とl個のOFDMシンボルとを有するサブブロックに適用可能であることに留意されたい。
【0066】
上述した搬送波ごとのビームフォーミングを検討すると、サブブロックの時間/周波数長は
【数66】

及びM=1にそれぞれセットされる。副搬送波kのサブブロック内の全ての
【数67】

を近似するのに用いられる単一の共分散行列は、時間領域においてシンボル分散vk,lを平均することによって得ることができる。これは以下のように表すことができる。
【数68】

続いて、k番目の副搬送波のビームフォーミング重みを式(6)に従って計算することができるが、行列反転は、(17)に概略を示すように、新たな雑音干渉信号の共分散行列を適用することによって回避される。
【0067】
外因性LLR及び軟情報更新を、式(11)及び式(12)において同様に導出することができる。ここで、シンボル分散は以下のように計算される。
【数69】

【0068】
上記で概略を示したように、搬送波ごとのビームフォーミング手法は、本発明の実施形態による低複雑度アルゴリズムを用いるが、上述したように、このアルゴリズムは単一の主要な干渉信号を考慮に入れる。これによって、残留干渉が依然として大きな電力を有する場合に、早期の反復において性能劣化が生じる場合がある。なぜなら、干渉信号は空間的に有色であるが、加法性空間白色ガウス雑音として近似されるためである。しかしながら、一般に、セルラシステム内の幾つかの主要な干渉物及びシミュレーション結果のみが、第1の反復後に干渉信号を大きく取り除くことができることを示す。
【0069】
他方で、共分散行列
【数70】

は特異行列である場合がある。特異行列は、行列反転演算を実行するときに大きな誤りを引き起こすため、本発明の手法による低複雑度の搬送波ごとのビームフォーミングアルゴリズムが、本発明者らによってシミュレーションにおいて有効性が確認されているように、反転を用いた元々の(既知の)手法と同じ性能を実質的に提供することが予期される。
【0070】
上述したように、新たなアルゴリズムが検討され、シミュレーションによって元々の手法と比較された。シミュレーションのために、受信機は2つの受信アンテナを有すると仮定された。3GPP TS 36.101、「Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); User Equipment (UE) radio transmission and reception」に記載されているような、多数のチャネルタップ及び長い遅延広がりを有する拡張車両A(EvecA)チャネルモデルがシミュレーションに用いられた。x番目の干渉物の信号対干渉比(SIR)が
【数71】

として定義された。ここで、
【数72】

は時間領域における全てのチャネルタップのエネルギーである。SNRは
【数73】

として定義される。全てのサービング基地局及び干渉している基地局について、基地局送信アンテナと受信アンテナとの間のチャネル係数はi.i.d.である。送信機においてレート1/3のターボ符号が用いられ、受信機における復号器は一定のlog−MAP復号アルゴリズムを用いる。検出器及び復号器の反復ごとに、ターボ復号器は復号器内で2つの反復を実行し、SICが適用されると、まず干渉信号が検出され、次にキャンセルされる。
【0071】
図10は、EVecAチャネルモデルの仮定の下で、1つの干渉物が存在し、SIRが−5dBに等しい場合のフレーム誤り率(FER)を示している。第1の反復後及び第3の反復後のFER性能がプロットされており、ブロック手法と比較して、搬送波ごとの手法を適用することによって大きな性能改善が達成されることを見てとることができる。本発明による低複雑度の搬送波ごとのビームフォーミングアルゴリズムは、元々のビームフォーミングアルゴリズムと類似したFER性能を更に示すが、複雑度が低減されている。
【0072】
上記の実施形態を、OFDM手法を用いた状況で説明してきたが、本発明はこれに限定されないことに留意されたい。そうではなく、行列反転を回避する本発明による手法は、他の送信手法を用いたシステムにも適用することができる。
【0073】
装置との関係で幾つかの態様が説明されたが、これらの態様は対応する方法の記述も表し、ここでブロック又はデバイスは方法ステップ又は方法ステップの特徴に対応することが明らかである。それに類似して、方法ステップに関連して説明された態様も、対応する装置の対応するブロック又はアイテム又は特徴の記述を表す。
【0074】
或る実施態様要件に依拠して、本発明の実施形態はハードウェア又はソフトウェアで実施することができる。実施態様は、電子的に読取り可能な制御信号が格納されたデジタル記憶媒体、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、DVD、CD、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、又はフラッシュメモリを用いて実行することができ、それらは、それぞれの方法が実行されるようにプログラム可能なコンピュータシステムと連携する(又は連携可能である)。
【0075】
本発明による幾つかの実施形態は、本明細書に記載される方法のうちの1つが実行されるようにプログラム可能なコンピュータシステムと連携することができる電子的に読取り可能な制御信号を有するデータ担体を含む。概して、本発明の実施形態は、プログラムコードを有するコンピュータプログラム製品として実装することができる。そのプログラムコードは、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されると、方法のうちの1つを実行するように動作可能である。プログラムコードは、例えば機械可読担体上に格納することができる。他の実施形態は、機械可読担体上に格納された、本明細書に記載された方法のうちの1つを実行するコンピュータプログラムを含む。したがって、換言すれば、本発明の方法の一実施形態は、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに本明細書に記載された方法のうちの1つを実行するプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。したがって、本発明の方法の更なる実施形態は、データ担体(又はデジタル記憶媒体若しくはコンピュータ可読媒体)であって、そのデータ担体上に記録された、本明細書に記載された方法のうちの1つを実行するコンピュータプログラムを含む、データ担体である。
【0076】
したがって、本発明の方法の更なる実施形態は、本明細書に記載された方法のうちの1つを実行するコンピュータプログラムを表すデータストリーム又は信号シーケンスである。データストリーム又は信号シーケンスは、例えば、データ通信接続を介して、例えばインターネットを介して転送されるように構成することができる。
【0077】
更なる実施形態は、本明細書に記載された方法のうちの1つを実行するように構成又は適合された処理手段、例えばコンピュータ又はプログラム可能な論理デバイスを含む。更なる実施形態は、本明細書に記載された方法のうちの1つを実行するコンピュータプログラムがインストールされたコンピュータを含む。幾つかの実施形態では、プログラム可能な論理デバイス(例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ)を用いて、本明細書に記載された方法の機能のうちの幾つか又は全てを実行することができる。幾つかの実施形態では、フィールドプログラマブルゲートアレイは、本明細書に記載された方法のうちの1つを実行するためにマイクロプロセッサと連携することができる。概して、本方法は好ましくは任意のハードウェア装置によって実行される。
【0078】
上述した実施形態は、単に本発明の原理を例示するものである。本明細書において記載される構成及び詳細の変更及び変形は当業者には明らかであることが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲の範囲によってのみ制限され、本明細書における実施形態の記述及び説明のために提示された特定の詳細によって制限されるものではないことが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の干渉信号の存在下で送信される所望の信号を復元する方法であって、
信号を受信するステップであって、該受信信号は所望の信号部分及び1つ又は複数の干渉信号部分を含む、受信するステップと、
前記信号を反復的に処理して前記所望の信号を得る、反復的に処理するステップと、
を含み、前記信号を反復的に処理するステップは、各反復において、前記信号を、1つ又は複数のビームフォーミング重みが関連付けられたビームフォーミングによって処理するステップを含み、前記1つ又は複数のビームフォーミング重みは、反復ごとに、前の反復で処理された前記信号に基づいて計算され、
前記1つ又は複数のビームフォーミング重みは、行列反転なしで計算される、1つ又は複数の干渉信号の存在下で送信される所望の信号を復元する方法。
【請求項2】
前記1つ又は複数のビームフォーミング重みを計算するステップは、1つの主要な干渉物のみを考慮し、他の干渉信号を加法性時空間白色ガウス雑音として扱うステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ビームフォーミング重みを計算するステップは、前記雑音干渉信号の前記共分散行列の前記逆行列に基づいてビームフォーミング重みベクトルを計算するステップを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ビームフォーミング重みベクトルは、
【数1】

のように計算され、ここで、前記主要な干渉物(y)の前記共分散行列の前記逆行列は、、
【数2】

のように計算される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記所望の信号はOFDM送信を用いて送信され、OFDMリソースブロックのサブブロックについて、同じ前記1つ又は複数のビームフォーミング重みが計算される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記OFDMリソースブロックは、複数の副搬送波及び複数のOFDMシンボルを含み、前記サブブロックは、前記周波数領域における副搬送波数によって定義される周波数長(M)と、前記時間領域におけるOFDMシンボル数によって定義される時間長(M)とを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
各副搬送波についてビームフォーミング重みベクトルが計算される場合、前記サブブロックの前記時間長は前記リソースブロック内の前記OFDMシンボル数に等しく、前記サブブロックの前記周波数長は1に設定され、単一の共分散行列が、前記それぞれの副搬送波の前記サブブロック内の全ての共分散行列を近似する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記単一の共分散行列は、
【数3】

のように計算される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ビームフォーミング重みを計算するステップは、同じサブブロック内の前記データシンボルの同じビームフォーミング重みベクトルを計算するステップを含む、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項10】
前記ビームフォーミング重みベクトルは、前記サブブロック内の前記雑音干渉信号の全ての共分散行列を近似する単一の共分散行列に基づいて計算される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記単一の共分散行列は、
【数4】

のように計算される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記サブブロックにおいて、前記雑音干渉信号の前記統計的特性が一定であるように近似される、請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
OFDMサブフレームが、所定の数(NRB)のリソースブロックを含み、前記チャネルにおいて、送信チャネルの係数は、1つのサブフレーム中、前記時間領域において一定であるように近似され、前記サブブロックの前記時間長は、前記サブフレーム内の前記OFDMシンボル数に等しく、前記サブブロックの前記周波数長は、前記周波数領域において類似したチャネルフェージングを受ける前記副搬送波に依拠して設定される、請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記周波数領域において、前記チャネル内の前記雑音干渉信号の前記統計的特性を一定であるものとして近似することができる場合には、前記サブブロックの前記周波数長は、前記サブフレーム内の前記副搬送波数に等しい、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記チャネルが高周波数選択性フェージングチャネルである場合、前記サブブロックの前記周波数長は1に設定される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記受信信号を処理するステップは、
(a)初期段階において、前記受信した信号を、初期ビームフォーミング重みを用いたビームフォーミングによって処理するステップと、
(b)ビームフォーミングによって処理された前記信号に基づいて、最も強力な信号の初期推定値を取得するステップであって、該初期推定値は軟情報を含む、取得するステップと、
(c)前記受信した信号から前記軟情報を差し引くステップであって、処理された信号を生成する、差し引くステップと、
(d)前記処理された信号に基づいて前記ビームフォーミング重みを計算するステップと、
(e)ビームフォーミングによって処理された前記処理された信号に基づいて次に最も強力な信号の推定値を取得するステップであって、該推定値は軟情報を含む、取得するステップと、
(f)前記所望の信号部分の推定値が取得されるまで、又は最大反復数に達するまで、前記処理された信号に基づいてステップ(c)〜ステップ(e)を繰り返すステップと、
を含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記初期ビームフォーミング重みは、前記受信した信号に含まれるパイロットシンボルに基づいて計算され、前記ビームフォーミングは線形受信機ビームフォーミング、例えば干渉除去合成を含み、前記受信信号を処理するステップは、干渉キャンセル、例えば連続干渉キャンセルを含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の命令を実行するための、機械可読媒体上に格納された命令を含むコンピュータプログラム製品であって、該命令はコンピュータ上で実行される、コンピュータプログラム製品。
【請求項19】
1つ又は複数の干渉信号の存在下で送信された信号を復元する受信機であって、
複数のアンテナと、
前記アンテナから信号を受信するように構成され、なお、該受信号は所望の信号部分及び1つ又は複数の干渉信号部分を含み、かつ該受信信号を反復的に処理して請求項1〜17のいずれか1つに記載の方法に従って所望の信号部分を取得するように構成された信号プロセッサと、
を備える、1つ又は複数の干渉信号の存在下で送信された信号を復元する受信機。
【請求項20】
無線通信システムのための移動ユニットであって、1つ又は複数の干渉信号の存在下で送信された所望の信号を復元する請求項19に記載の受信機を備える、無線通信システムのための移動ユニット。
【請求項21】
通信システムのための基地局であって、1つ又は複数の干渉信号の存在下で送信された所望の信号を復元する請求項19に記載の受信機を備える、通信システムのための基地局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−74629(P2013−74629A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−214025(P2012−214025)
【出願日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】