説明

1個の抗原特異的Bリンパ球を用いた抗原特異的抗体産生ハイブリドーマの作製方法及びモノクローナル抗体の製造方法

1個の抗原特異的Bリンパ球を用いた抗原特異的抗体産生ハイブリドーマの作製方法及びモノクローナル抗体の製造方法を提供する。抗原特異的抗体産生ハイブリドーマの作製方法は、ある抗原に特異的に反応するBリンパ球(抗原特異的Bリンパ球)を1個選択し、選択した抗原特異的Bリンパ球を培養し、培養により増殖した抗原特異的Bリンパ球をミエローマ細胞と融合させハイブリドーマを作製することを含む。この方法により作製されたハイブリドーマを用いて、モノクローナル抗体を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、1個の抗原特異的Bリンパ球を用いた抗原特異的抗体産生ハイブリドーマの作製方法及びモノクローナル抗体の製造方法に関する。
【背景技術】
従来から、モノクローナル抗体を製造するために、抗原特異的抗体産生ハイブリドーマが作製されている。従来のハイブリドーマの作製方法では、ハイブリドーマを作製した後に抗原特異的抗体を産生するハイブリドーマクローンをスクリーニングする。しかし、ハイブリドーマの作製はあまり効率の良いものではない。すなわち、全てのBリンパ球がハイブリドーマになるわけではなく、ミエローマと細胞融合を起こしたBリンパ球の一部がハイブリドーマになるからである。また、抗原で刺激した脾細胞を用いてハイブリドーマを作製しても、抗原特異的抗体産生ハイブリドーマだけができるわけではなく、できてくるハイブリドーマのほとんどは関係ない抗体を産生しているか、抗体自身を産生していない。
例えば、従来の方法で目的の抗体を産生しているハイブリドーマを見つけようとする場合、免疫したマウスから取ってきた脾細胞を使ってミエローマとの細胞融合を行い、96ウェルプレート10枚くらいに蒔く。全部の細胞を使うともっと蒔けるが、1人でスクリーニングを行う場合は時間的制限があり、残りはフリーズなどして保存する。この方法により、通常500個くらいのウェルのハイブリドーマが増殖する。
ところが、500個のウェルからハイブリドーマが全て同じようなスピードで増殖してくるわけではなく、早く増殖するものもあればゆっくり増殖するものもある。従って、500個全部の増殖を同時にチェックできない。まず、顕微鏡下でどのウェルから細胞が増殖してきており、抗体をチェックするのに適した細胞数まで増殖しているかをチェックする。その上で、適当なウェルから細胞上清を採取し、抗原特異的抗体を産生しているかをチェックする。この細胞のチェックと細胞上清のチェックは素早く行う必要がある。というのは、ハイブリドーマはどんどん増殖するので、放っておくと増殖しすぎて培地の栄養状態が悪くなり死滅するからである。従って、欲しいハイブリドーマが死んでしまわないうちにスクリーニングし終わらなければならない。
また、目的のハイブリドーマが増殖しているウェルが見つかった場合、そのウェルには通常、目的の抗体を産生しているハイブリドーマのほかに別の抗体を産生しているハイブリドーマが増殖していることがしばしばある。また、ハイブリドーマ自体染色体を落としながら増殖するので、抗体を産生していたハイブリドーマが抗体の染色体を喪失してしまうことにより抗体を作らなくなる場合もある。このような細胞の増殖は通常、抗体を産生しているハイブリドーマよりも速いことが多く、放っておくと培養している細胞のほとんどが抗体を産生していない細胞になってしまう。従って、欲しいハイブリドーマが増殖しているウェルが見つかるとすぐにそのウェルの細胞を96ウェルプレートに1個の細胞が1個のウェルになるようにまき直して(限界希釈法)、もう一度、ほしい抗体産生ハイブリドーマをスクリーニングし直す(二次スクリーニング)。目的のハイブリドーマを検出後、二次スクリーニングまでを速やかに、細胞の状態が悪くならないうちに終えてしまう必要がある。
上記のように、全ての作製したハイブリドーマをスクリーニングせずに、一部だけを使ってスクリーニングすることになることがあるので、頻度の低い抗原特異的抗体産生ハイブリドーマを得ることはむずかしくなる。
より具体的には、人の抗原特異的抗体の場合、末梢Bリンパ球をEBウィルスで形質転換させ株化して抗原特異的抗体を産生している細胞をスクリーニングする方法がある(リンパ球機能検索法(改訂5版) 矢田純一、藤原道夫編著、中外医学社、1994年、「ヒトモノクローナル抗体作製へのEBウィルストランスフォームB細胞の利用」水野文雄、大里外誉郎、pp381−391)。この方法の場合、樹立できるリンパ球細胞株の頻度が低いことから、抗原特異的抗体産生Bリンパ球細胞株を得られる確率は非常に低い。また、細胞株の樹立に1ヶ月程度かかり時間がかかる。さらに、樹立されたBリンパ球細胞株が産生する抗体量は少ない。マウスの場合はハイブリドーマを作製することができるが、人の場合は効率のよいハイブリドーマの系は作成されていない。
マウスの場合、ハイブリドーマを作製することができる。従来、ハイブリドーマの作製は、マウスを抗原で免疫し、そのマウスから脾臓あるいはリンパ節を取りだし、リンパ球を調製し、調製した約10個のリンパ球と約10個のミエローマ細胞とをポリエチレングリコールを用いて、ないしは電圧をかけることにより融合させ、HAT等の選択培地で培養し、増殖してきたハイブリドーマが抗原特異的抗体を産生しているかをELISA、フローサイトメトリー等を用いてスクリーニングし、抗原特異的抗体産生ハイブリドーマを選択する(リンパ球機能検索法(改訂5版) 矢田純一、藤原道夫編著、中外医学社、1994年、「B細胞ハイブリドーマによるモノクローナル抗体作製法」成内秀夫、pp574−576、Monoclonal antibodies in“Antibodies:A Laboratory Manual”by Ed Harlow and David Lane,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY,pp139−pp244,1988)。この方法を用いることにより、300〜400ウェルからハイブリドーマが増殖するが、その中で抗原特異的抗体を産生しているハイブリドーマが増殖しているウェルは数%である。この数は用いた抗原によって異なるが、抗原特異的抗体産生Bリンパ球の頻度が低い場合、この方法でハイブリドーマを作製することは困難である。
そこで本発明は、頻度が比較的高い抗原特異的リンパ球は勿論のこと、頻度の低い抗原特異的リンパ球であっても、簡便に特定の抗原に特異的に反応するリンパ球を選択し、この選択された抗原特異的Bリンパ球から、抗原特異的抗体産生ハイブリドーマを作製する方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、作製された抗原特異的抗体産生ハイブリドーマからモノクローナル抗体を製造する方法を提供することも目的とする。
【発明の開示】
本発明は、ある抗原に特異的に反応するBリンパ球(以下、抗原特異的Bリンパ球という)を1個選択し、選択した抗原特異的Bリンパ球を培養し、培養により増殖した抗原特異的Bリンパ球をミエローマ細胞と融合させハイブリドーマを作製することを含む、抗原特異的抗体産生ハイブリドーマの作製方法に関する。
上記作製方法においては、前記選択した抗原特異的Bリンパ球の培養は、抗CD40抗体またはCD40リガンド(CD40L)及びインターロイキン4(IL−4)を含むインターロイキンの共存下で行うこと、
前記選択した抗原特異的Bリンパ球の培養は、Bリンパ球を増殖することができるマイトーゲン(例えば、LPSなど)の共存下で行うこと、または
前記選択した抗原特異的Bリンパ球の培養は、抗CD40抗体またはCD40LおよびIL−4を含むインターロイキンおよびマイトーゲン(例えば、LPSなど)の共存下で行うこと、
箭記1個の抗原特異的リンパ球の選択はフローサイトメータ、またはマイクロウェルアレイチップを用いて行うこと、
前記1個の抗原特異的リンパ球の選択は、1個の被検体リンパ球が含まれるマイクロウェルを複数有する抗原特異的リンパ球検出用マイクロウェルアレイチップの各マイクロウェルに抗原を添加し、次いで、抗原に反応したリンパ球を検出し、検出された抗原特異的リンパ球をマイクロウェルから取り出すことにより行うこと、並びに
抗原特異的リンパ球は、頻度が0.1%以下であることができる。
さらに本発明は、上記本発明の方法により作製されたハイブリドーマを用いて、モノクローナル抗体を製造する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
図1は、細胞内Caイオンの濃度変化をCaイオン依存性の蛍光色素を用いることにより測定する方法の説明図である。
図2は、蛍光色素を用いる方法におけるマイクロウェルアレイチップへの細胞の分注、抗原刺激、取り出しまでについての説明図である。
図3はOVAで免役したマウス血清中のOVAに対する抗体をELISAにより測定した結果である。
図4は方法で樹立したOVA特異的抗体を産生するハイブリドーマの培養上清中の抗体をELISAにて測定した結果である。
【発明を実施するための最良の形態】
血液中のリンパ球は1個1個がそれぞれ別々の抗原に反応する。そこで、本発明では、例えば、抗原に特異的に反応したBリンパ球を検出し、このBリンパ球から、ハイブリドーマを作製する。
従来のハイブリドーマの作製では、免疫したマウスから調製してきた脾細胞を何の処理もせず、直接ミエローマ細胞と融合して、ハイブリドーマを作製し、抗原特異的な抗体を産生しているかは、ハイブリドーマが増殖してから調べはじめた。それに対して本発明の方法では、抗原特異的な抗体を作っているBリンパ球をまず検出、採取し、採取された抗原特異的Bリンパ球を用いて、ハイブリドーマを作製する。
[抗原特異的リンパ球の選択]
1個の抗原特異的リンパ球の選択は、例えば、フローサイトメータ、またはマイクロウェルアレイチップを用いて行うことができる。
フローサイトメータを用いる1個の抗原特異的リンパ球の選択は、常法により行うことができる。
マイクロウェルアレイチップを用いた方法では、例えば、1個の被検体リンパ球が含まれるマイクロウェルを複数有する抗原特異的リンパ球検出用マイクロウェルアレイチップの各マイクロウェルに抗原を添加し、次いで、抗原に反応したリンパ球を検出し、検出された抗原特異的リンパ球をマイクロウェルから取り出すことにより、1個の抗原特異的リンパ球を得ることができる。この方法について、より具体的に説明する。
(マイクロウェルアレイチップ)
マイクロウェルアレイチップとしては、複数のマイクロウェルを有し、かつ各マイクロウェルが被検体リンパ球を1個含むことができるものを使用することができる。各マイクロウェルが被検体リンパ球を1個含むことで、抗原特異的リンパ球を細胞レベルで特定することが可能になる。即ち、このマイクロウェルアレイチップを用いると、マイクロウェルに含まれる被検体リンパ球が1個であることから、抗原に反応する被検体リンパ球を1個の細胞として特定でき、結果として、抗原特異的リンパ球を1個の細胞として検出できる。そして、検出された1個の抗原特異的リンパ球を取り出して、ハイブリドーマの作製に用いる。
但し、同一のマイクロウェルには、リンパ球以外の細胞が被検体リンパ球とともに含まれていても良い。リンパ球以外の細胞であれば、抗原に反応せず、検出されることもないからである。
マイクロウェルの形状や寸法には特に制限はないが、マイクロウェルの形状は、例えば、円筒形であることができ、円筒形以外に、直方体、逆円錐型等であることもできる。また、円筒形のマイクロウェルの寸法は、例えば、直径5〜100μm、好ましくは5〜15μmであり、深さ5〜100μm、好ましくは5〜30μmであることができる。
1つのマイクロウェルアレイチップが有するマイクロウェルの数は、特に制限はないが、抗原特異的リンパ球の頻度が10個に1個から多い場合には約500個であるという観点から、1cm当たり、例えば、2,000〜100,000個の範囲であることができる。
マイクロウェルには、被検体リンパ球が培養液とともに格納されている。培養液としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
1.137mM NaCl,2.7mM KCl,1.8mM CaCl,1mM MgCl,1mg/mlグルコース,1mg/ml BSA,20mM HEPES(pH7.4)
2.10%FCS(牛胎仔血清)含有RPMI1640培地
3.1mg/ml BSA含有RPMI1640培地
4.10%FCS(牛胎仔血清)含有Dulbecco’s MEM培地
5.1mg/ml BSA含有Dulbecco’s MEM培地
被検体リンパ球は血液由来であることができ、例えば、Bリンパ球またはTリンパ球であることができる。それ以外に扁桃腺(リンパ節)、脾臓等のリンパ組織由来リンパ球、がん浸潤リンパ球などの病変部位浸潤リンパ球等を挙げることができる。
(抗原特異的リンパ球の検出方法)
抗原特異的リンパ球の検出方法は、上記マイクロウェルアレイチップの各マイクロウェルに抗原を添加し、細胞を刺激し、抗原に反応する細胞を検出することを含む。
各マイクロウェルへの抗原の添加は、以下のように行うことができる。
1.ピペットを用いてマイクロウェルアレイチップ全面を覆うように抗原液を添加する。
2.1ウェルずつ自動スポッターを用いて抗原液を添加する。
この方法により検出される抗原には、特に制限はないが、例えば、タンパク質、ペプチド、DNA、RNA、脂質、または糖鎖等であることができる。また、抗原は、細菌、ウィルス、自己抗原、がん抗原またはアレルゲン等であることができる。
細胞の培養は、例えば、リンパ球を培養液に懸濁させ、ウェルに分注後、室温あるいは37℃にて、空気中あるいはCOインキュベータ内にて培養することで行うことができる。
抗原に反応する細胞の検出は、以下のように行うことができる。
例えば、Bリンパ球の抗原受容体(免疫グロブリン)に抗原が結合するとまず細胞内シグナル伝達が起こり、それに続いて細胞増殖、抗体産生が起こる。従って、細胞内シグナル伝達、細胞増殖、抗体産生を種々の方法により検知することにより、抗原に反応する細胞を検出することができる。
細胞内シグナル伝達を検出することによる、抗原に反応する細胞の検出は、例えば、細胞内Caイオンの濃度変化をCaイオン依存性の蛍光色素を用いることにより行うことができる。
細胞内Caイオン濃度変化は、蛍光色素としてFura−2、Fluo−3あるいはFluo−4を用い、検出装置として蛍光顕微鏡あるいはマイクロアレイスキャナーを用いる。
具体的には、図1に示すように、Bリンパ球にCaイオン依存性蛍光色素であるFura−2、Fluo−3あるいはFluo−4を導入する。次いで抗原でBリンパ球を刺激すると、細胞内Caイオン濃度が上昇する。その結果、CaイオンがCaイオン依存性蛍光色素に結合し、蛍光強度が増強される。Caイオン濃度が低いと青っぽい色、高いと赤っぽい色で示されている。この方法では、抗原で刺激されることにより細胞内Caイオンが上昇したBリンパ球(抗原特異的)を、マイクロウェルアレイチップを用いて検出できる。
細胞増殖を検出することによる、抗原に反応する細胞の検出は、例えば、細胞数を、生細胞特異的蛍光色素を用いて計測することによっても行うことができる。この方法は、具体的には、抗原でBリンパ球を刺激しCOインキュベータ内にて37℃、3日間培養すると、細胞が増殖する。細胞が増殖後、培養液中にフルオレッセイン・ジアセテート(Fluorescein diacetate(FDA))あるいはカルボキシ・フルオレッセイン・ジアセテート・スクシンイミジル・エステル(Carboxy−fluorescein diacetate,succinimidyl ester(CFSE))溶液を加える。これらの試薬は生細胞の膜を透過し、細胞内でエステラーゼによって分解され、膜不透過性の蛍光色素を生成する。この蛍光色素の発光は細胞数に比例するためウェル内の生細胞が発光する蛍光強度の和を蛍光顕微鏡あるいはマイクロアレイスキャナーを用いて計測することにより生細胞数を測定する。
抗体産生を計測することによっても、抗原に反応する細胞の検出を行うことができる。抗体産生は抗体を免疫化学的に計測することにより検出できる。
具体的には、抗原でBリンパ球を刺激しCOインキュベータ内にて37℃、1週間培養すると、抗体が培養液中に分泌される。培養液中に分泌された抗原特異的抗体をELISA法(酵素標識免疫吸着法)により検出する。
尚、この検出方法では、マイトゲン、レクチン、抗体、サイトカイン、PMA、Caイオノフォアを用いても、シグナル伝達、細胞増殖、抗体産生を検出することができる。
以下に、蛍光色素を用いる方法におけるマイクロウェルアレイチップへの細胞の分注、抗原刺激、取り出しまでについて図2に基づいて説明する。
(1)細胞の分注
ウェル1つずつに細胞を入れる。
ウェルに入れる細胞は、抗原により免疫したマウスの脾臓、リンパ節からリンパ球画分を分離後、Bリンパ球画分をさらに分離精製して得られる。
次に、Fluo3/AM(2μM)溶液に細胞を懸濁させ、室温に30分置き、さらに緩衝液で細胞を洗浄し、細胞内に負荷されなかった色素を除去する。
その後この細胞をマイクロウェルに分注する。
チップの両側にプラスチックシールを貼り、その上にカバーグラスを乗せ、緩衝液を満たすことで、乾燥を防ぐ。
(2)蛍光測定
まず、未刺激の細胞の蛍光を測定する。その際の蛍光強度(A)を測定する。
次いで抗原溶液をスライドグラスとカバーグラスの隙間に流し入れ緩衝液と交換し、抗原による刺激を受けた細胞の蛍光を測定する。刺激後1〜2分後の蛍光強度(B)を測定する。刺激前後の蛍光強度比(B/A)の高いウェルの細胞を選別する。
(3)抗原刺激に反応した細胞の取り出し
スライドグラスとカバーグラスの隙間に空気を入れると、カバーグラスは容易に剥がれる。抗原刺激により反応した細胞を、未刺激の細胞の蛍光強度と抗原による刺激を受けた細胞の蛍光強度の比(B/A)により選別し、取り出す。
[ハイブリドーマの作製]
本発明の方法では、選択した1個の抗原特異的Bリンパ球を培養し、培養により増殖した抗原特異的Bリンパ球をミエローマ細胞と融合させハイブリドーマを作製する。1個のBリンパ球だけではハイブリドーマを作製することは事実上困難である。そこで、まず、1個の抗原特異的Bリンパ球を培養し、増殖させる。抗原特異的Bリンパ球の培養は、例えば、抗CD40抗体またはCD40リガンド(CD40L)及びインターロイキン4(IL−4)を含むインターロイキンの共存下で行う事ができる。この方法では、CD40とIL−4による刺激で抗原特異的Bリンパ球は増殖する。この増殖方法自体は公知である(Banchereau J,de Paoli P,Valle A,Garcia E,Rousset F. Long−term human Bcell lines dependent on interleukin−4 and antibody to CD40. Science 251:70−72,1991)。しかし、従来、ハイブリドーマの作製にこの方法を用いた例は無い。
また、Bリンパ球の培養は、Bリンパ球を増殖することができるマイトーゲン(例えば、リポポリサッカライド(LPS)など)の共存下で行うこと、または抗CD40抗体またはCD40LおよびIL−4を含むインターロイキンおよびLPSの共存下で行うことができる。B細胞の増殖を誘導するものとして、LPS以外に、例えば、PMA(phorbol 12−myristate 13−acetate)、Caイオノフォア、抗免疫グロブリン抗体等を挙げることができる。
LPS等のマイトーゲンで刺激したBリンパ球を用いてハイブリドーマが作製できることは公知である(例えば、(1)Van Snick JL,Coulie P,Monoclonal anti−IgG autoantibodies derived from lipopolysaccharide−activated spleen cells of 129/Sv mice.Journal of Experimental Medicine,155:219−230,1982.
(2)Lange M,Le Guern C,Cazenave PA,Covalent coupling of antigens to chemically activated lipopolisaccharide:a tool for in vivo and in vitro specific B cell stimulation.Journal of Immunological Methods,63:123−131,1983参照。)。但し、1個の抗原特異的Bリンパ球を増殖させ、ハイブリドーマ作製に用いた例はない。
抗原特異的Bリンパ球の培養は、具体的には、以下の様に行うことができる。
1. マイクロウェルから回収した抗原特異的Bリンパ球は、あらかじめ抗CD40抗体あるいはCD40リガンド(CD40L)をコートしておいた96ウェルプレートのウェルに移す。このウェルの中には200μLのインターロイキン4(IL−4)が入った細胞培養液(10%FCS入りRPMI1640培地)もあらかじめ入っている。
2. 96ウェルプレートをCOインキュベータ(5% CO)に移し37℃で1週間から10日間、細胞を培養する。
3. CD40およびIL−4のシグナルにより増殖したBリンパ球をウェルから回収し、定法にしたがってミエローマ細胞と融合させハイブリドーマを作製する。
4. CD40とIL−4のシグナルを加えるときに、可溶性の抗CD40抗体あるいはCD40Lを使用する代わりに、CD40LとIL−4の遺伝子を導入しCD40LとIL−4を産生する付着性の細胞をあらかじめ96ウェルプレートのウェルに培養しておき、その上で回収した抗原特異的Bリンパ球を培養することも可能である。
5. IL−4に加えて、IL−2,IL−5,IL−6等を加えてもよい。
本発明のハイブリドーマ作製方法では、抗原で免疫したマウスから調製したリンパ球をマイクロウェルアレイチップに添加し、抗原刺激を加えることによりまず抗原特異的Bリンパ球を同定する。この同定した1個の抗原特異的Bリンパ球を増殖させ、それを用いてハイブリドーマを作製する。従って、増殖し抗体を産生するハイブリドーマの大部分は抗原特異的抗体を産生すると予想される。マイクロウェルアレイチップを用いた抗原特異的Bリンパ球の検出法は頻度の低い抗原特異的Bリンパ球を検出できるため、これまで困難であった抗原に対する抗体を産生するハイブリドーマを産生することが可能である。
また、従来のハイブリドーマ作製法では、人手および時間がかかったが、マイクロウェルアレイチップを用いることにより抗原特異的Bリンパ球の検出が短時間でおこなえるため、人手および時間の節約が可能になる。
【実施例】
以下本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
1.Bリンパ球の分離
抗原で免疫したマウスの脾臓およびリンパ節よりリンパ球画分を分離し、さらにAutoMACS(Miltenyi Biotec,Bergisch Gladbach,Germany)を用いてリンパ球画分からBリンパ球画分をさらに分離精製する。
2.Fluo3の細胞への導入(図1参照)
2x10個のBリンパ球を2μM Fluo3/AM(同仁、熊本)/loading buffer(137mM NaCl,2.7mM KCl,1.8mM CaCl,1mM MgCl,1mg/mlグルコース,1mg/ml BSA,20mM HEPES(pH7.4))に懸濁し、室温に30分インキュベーションする。loading bufferで細胞を洗浄し、細胞内に導入されなかったFluo3/AMを除く。その後細胞をRPMI1640/10%FCS溶液に懸濁する。
3.マイクロウェルアレイチップ(図2参照)
マイクロウェルアレイチップはpoly(dimethylsiloxane)(PDMS)あるいはシリコンを用いて作製されており、直径10μm、深さ20μmのマイクロウェルが2cm x 2cmのチップ上に縦・横30μmの間隔(マイクロウェルの中心から中心までの距離は40μm)で配置されている。チップの両側には厚さ1mm幅約1mm長さ2cmのシールを貼る。
4.マイクロアレイスキャナー
本装置は基本的に日立ソフトエンジニアリング(横浜市)のマイクロアレイスキャナー(CRBIO IIe)を用いており、以下の変更を加えている。搭載されているレーザー(Cy3用,532nm;Cy5用,635nm)のうちの1本(Cy5用,635nm)を473nmのレーザーと置換してある。
5.マイクロウェルアレイチップを用いた活性化Bリンパ球の検出(図2参照)
上記マイクロウェルアレイチップに上記細胞懸濁液を添加し、5分間静置する。マイクロウェルに入らなかった細胞をRPMI1640/10%FCS溶液を用いて洗い流す。リンパ球の直径は約10μmであり、使用するマイクロウェルの直径が10μmであるためにひとつのマイクロウェルにはリンパ球は1個入る。カバーグラスを上記シールの上に置き、チップとカバーグラスの間にRPMI1640/10%FCS溶液を満たす。このマイクロウェルアレイチップをマイクロアレイスキャナーに挿入し、解像度2.5μmでスキャンし、データを保存する(抗原刺激前の蛍光のデータ:A)。
次に、チップとカバーグラスの間のRPMI1640/10%FCS溶液を除き、そこへRPMI1640/10%FCS溶液に溶解させた抗原(10μg/mL)を加える。抗原を加えて1分後にマイクロウェルアレイチップをマイクロアレイスキャナーに挿入し、解像度2.5μmでスキャンし、データを保存する(抗原刺激後の蛍光のデータ:B)。
刺激前後の蛍光強度の比(B/A)を計算し、比の大きいウェルを特定する。このウェルの中に抗原特異的Bリンパ球が存在する。
6.マイクロウェルからの細胞の分取。
マイクロマニピュレータを用いてガラスキャピラリーを用いることにより顕微鏡下で細胞を分取する。
7.ハイブリドーマの作製方法
1)96穴プレートのウェルに10μg/mLの抗CD40抗体(eBioscience社)を加え、一晩インキュベーションすることにより、抗CD40抗体をウェルにコーティングしておく。分離した細胞を96穴プレートのウェルにあらかじめ加えておいた培地(10%FCS含有RPMI1640、100U/mlリコンビナントIL−4(eBioscience社)に加え、37℃、5%CO存在下で、約1週間から10日培養する。
2)細胞をウェルから回収しエッペンドルフチューブに移す。そこへ約200個のマウスミエローマ細胞(X63.Ag8.653)を加え、2000回転、2分間遠心する。
3)細胞の沈渣をほぐさないよう注意深く上清を取り除き、1mlのRPMI1640培地(FCS不含)を加え、細胞を懸濁し、2000回転、2分間遠心する。
4)細胞の沈渣をほぐさないよう注意深く上清を取り除き、さらに2000回転、10秒間遠心する。
5)細胞の沈渣をほぐさないよう注意深く上清を完全に取り除く。
6)20μlの30%ポリエチレングリコール(Sigma)を加え、軽く細胞を撹拌する。
7)2000回転、5分間遠心する。500μlのRPMI1640培地(FCS不含)を加え、細胞を懸濁する。次に20%FCS含有RPMI1640培地を500μl添加し、細胞を懸濁する。
8)2000回転、5分間遠心後、上清を取り除き、細胞を1mlの20%FCS含有HAT選択培地に懸濁する。さらに、20mlの20%FCS含有HAT選択培地を加え、2mlずつ24ウェルプレートのウェルに添加する。
HAT選択培地:RPMI1640,1x10−4M hypoxanthine,4x10−7M aminopterin,1.6x10−5M thymidine
9)37℃、5%CO存在下で約7〜8日培養する。
10)ハイブリドーマの増殖を光学顕微鏡下で観察し、培養上清中の抗体をELISA法等を用いて検出する。
8.ハイブリドーマの作製方法(別法)
1)Bリンパ球を〔50,000個の放射線照射(50Gy)したEL4細胞、500U/mLヒトIL−2、5ng/mL PMA、PWMで刺激したヒトT細胞の培養上清(5%v/v)〕を含む10%FCS含有RPMI1640培地(200μL/well)で1週間培養(37℃,5%CO)する。
2)培養上清を100μL除き、そこへ10,000個の放射線照射(50Gy)したCD40リガンドを発現させた付着細胞と5ng/mLヒトIL−4を加え、〔500U/mLヒトIL−2、5ng/mL PMA、PWMで刺激したヒトT細胞の培養上清(5%v/v)〕を含む10%FCS含有RPMI1640培地(200μL/well)で1週間培養(37℃,5%CO)する。
3)培養上清を100μL除き、そこへ10,000個の放射線照射(50Gy)したCD40リガンドを発現させた付着細胞を加え、〔5ng/mLヒトIL−4、500U/mLヒトIL−2、5ng/mL PMA、PWMで刺激したヒトT細胞の培養上清(5%v/v)〕を含む10%FCS含有RPMI1640培地(200μL/well)で1週間培養(37℃,5%CO)する。
以下、上記「7.ハイブリドーマの作製方法」の2)〜10)の操作と同様の操作を繰り返して、ハイブリドーマを検出した。
(抗OVA抗体産生ハイブリドーマの調製)
以下に抗OVA抗体産生ハイブリドーマの調製例を示す。
免疫
BALB/cマウスの皮下に卵白アルブミン(OVA)10μgをComplete Freund Adjuvantに混合したものを注入した。2週間後にOVA10μgをIncomplete Freund Adjuvantに混合したものを同マウス皮下に注入した。さらに2週間後にOVA10μgをIncomplete Freund Adjuvantに混合したものを同マウス皮下に注入した。その後、マウス血清を採取し、ELISAにてOVAに対する抗体が産生されていることを以下の方法によりチェックした。
血清中の抗OVA抗体の検出は以下のように行った。
96穴プレートにOVA蛋白をコーティングし、非特異的な結合が起こらないようにブロッキングを行った。この各ウェルに免疫したマウスより得た血清を希釈したものを添加し、室温で2時間反応させた後、洗浄し、アルカリフォスファターゼ標識抗マウス免疫グロブリンを添加し、さらに室温で2時間反応させた。洗浄後、アルカリフォスファターゼの基質を加え、室温で15分反応させた後、414nmの吸光度を測定した。結果を図3に示す。
細胞への蛍光色素の負荷
2週間後にPBSに溶解させたOVA10μgを腹腔内に注入した。4日後に脾臓を取り出し、脾細胞を調製した。脾細胞を1μM Fluo−4 AM、1μM CellTracker Orange、0.02%Pluronic F−127を含む緩衝液A(20mM HEPES,pH7.4,137mM NaCl,2.7mM KCl,1.8mM CaCl,1mM MgCl,1mg/mL glucose,1mg/mL BSA)に10/mLの細胞密度になるように懸濁し、30分間室温にてインキュベーションした。その後同緩衝液Aにて細胞を洗浄し、細胞に取り込まれなかったFluo−4およびCellTracker Orangeを除いた後、細胞を10/μLになるように10%FCSを含むRPMI1640液(緩衝液B)に懸濁した。
OVA特異的Bリンパ球の検出
マイクロウェルアレイチップ(シリコン製、ウェル直径10μm、ウェル深さ約15μm、ウェルピッチ20μm,約24万ウェル)に蛍光色素を負荷した脾細胞(10/μL)を添加し、ウェルに入らなかった余分な細胞を除去した。カバーグラスでチップを覆った後日立ソフトウェアエンジニアリング(株)製CRBIO IIe−FITCに挿入し、473nmの励起波長、535nmの蛍光波長でFluo−4の蛍光を、次いで535nmの励起波長、585nmの蛍光波長にてCellTracker Orangeの蛍光をスキャンした。次に、チップをスキャナーから取り出し、チップとカバーグラスの間に入っている緩衝液Bを除去し、そこへ緩衝液Bに溶解させたOVA(100μg/mL)を添加した。チップをスキャナーに挿入し、OVA添加後1分後に解像度2.5μmでスキャンした。刺激前および刺激後のFluo−4の蛍光の比を計算し、蛍光の比が5倍から10倍増加した細胞のアドレスを特定した。
OVA特異的Bリンパ球の回収および培養
チップとカバーグラスの間入っていた緩衝液Bを除去し、カバーグラスを外した。その後乾燥しないように緩衝液Bをチップに添加した。チップを蛍光顕微鏡にセットし、顕微鏡下で観察しながらマイクロマニピュレータを用いて上でスキャナーを用いて同定したOVA特異的Bリンパ球を回収した。
回収したBリンパ球を〔50,000個の放射線照射(50Gy)したEL4細胞、500U/mLヒトIL−2、5ng/mL PMA、PWMで刺激したヒトT細胞の培養上清(5%v/v)〕を含む10%FCS含有RPMI1640培地(200μL/well)で1週間培養(37℃,5%CO)した。次に培養上清を100μL除き、そこへ10,000個の放射線照射(50Gy)したCD40リガンドを発現させた付着細胞と5ng/mLヒトIL−4を加え、〔500U/mLヒトIL−2、5ng/mL PMA、PWMで刺激したヒトT細胞の培養上清(5%v/v)〕を含む10%FCS含有RPMI1640培地(200μL/well)で1週間培養(37℃,5%CO)した。さらに培養上清を100μL除き、そこへ10,000個の放射線照射(50Gy)したCD40リガンドを発現させた付着細胞を加え、〔5ng/mLヒトIL−4、500U/mLヒトIL−2、5ng/mL PMA、PWMで刺激したヒトT細胞の培養上清(5%v/v)〕を含む10%FCS含有RPMI1640培地(200μL/well)で1週間培養(37℃,5%CO)した。
ハイブリドーマの作製
Bリンパ球の増殖を光学顕微鏡にて観察し、細胞が増殖しているウェルから細胞を回収しエッペンドルフチューブへ移した。そこへ約200個のマウスミエローマ細胞(X63.Ag8.653)を加え、2000回転、2分間遠心した。細胞の沈渣をほぐさないよう注意深く上清を取り除き、1mLのRPMI1640培地(FCS不含)を加え、細胞を懸濁し、2000回転、2分間遠心した。細胞の沈渣をほぐさないよう注意深く上清を取り除き、さらに2000回転、10秒間遠心し細胞の沈渣をほぐさないよう注意深く上清を完全に取り除いた。20μLの30%ポリエチレングリコール(Sigma)を加え、軽く細胞を撹拌後、2000回転、5分間遠心した。500μLのRPMI1640培地(FCS不含)を加え、細胞を懸濁した。次に20%FCS含有RPMI1640培地を500μL添加し、細胞を懸濁した。2000回転、5分間遠心後、上清を取り除き、細胞を1mLの20%FCS含有HAT選択培地(RPMI1640,1x10−4M hypoxanthine,4x10−7M aminopterin,1.6x10−5M thymidine)に懸濁した。さらに、20mLの20%FCS含有HAT選択培地を加え、2mLずつ24ウェルプレートのウェルに添加し、37℃、5%CO存在下で7〜10日培養した。ハイブリドーマの増殖を光学顕微鏡下で観察し、培養上清中の抗OVA抗体を、下記に示すELISA法を用いて検出した。図4は検出したハイブリドーマの培養上清中の抗OVA抗体のELISAの結果を示している。培養上清の希釈倍数に応じて吸光度が変化しており、可溶性のOVAを培養上清に加えることで、ウェル底面のOVAに対する抗体の結合が特異的に阻害されることから、培養上清中に抗OVA抗体が産生されていることがわかる。
ハイブリドーマ上清中の抗OVA抗体の検出は以下のように行った。
96穴プレートにOVA蛋白をコーティングし、非特異的な結合が起こらないようにブロッキングを行った。この各ウェルにハイブリドーマの培養上清を希釈したものを添加した(PBS)。また、ELISA反応の特異性を検討するために別のウェルにはハイブリドーマの培養上清を加える時に同時に2μg/mLのOVAあるいはγ−globulinを添加した。室温で2時間反応させた後、洗浄し、アルカリフォスファターゼ標識抗マウス免疫グロブリンを添加し、さらに室温で2時間反応させた。洗浄後、アルカリフォスファターゼの基質を加え、室温で15分反応させた後、414nmの吸光度を測定した。結果を図4に示す。
【産業上の利用の可能性】
本発明によれば、抗原特異的抗体産生Bリンパ球を選択、採取し、これを利用してハイブリドーマを作製することで、従来のハイブリドーマの作製方法に比べて、抗原特異的抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングの手間が大幅に省け、ハイブリドーマの作製効率等は大幅に改善される。具体的には、以下の通りである。
(a)扱う細胞数が減るので、プレートにまくときのウェル数が減少する。扱う細胞数が少ないのでスクリーニングにかける時間が減り、スクリーニングする人の負担が軽減する。
(b)ハイブリドーマが増殖してきたときに、抗原特異的抗体を産生していないハイブリドーマも増殖してくるが、抗原特異的抗体産生Bリンパ球を初めに選択、濃縮しているので、このようなネガティブの細胞の頻度が減少する。
(c)また、マイクロウェルアレイチップを用いて頻度の低い抗原特異的抗体産生B細胞を検出、採取して、増殖させ、確実にハイブリドーマを作製することで、これまでは作製することができなかった頻度の低い抗原特異的抗体産生B細胞由来のハイブリドーマを作製することが可能になる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある抗原に特異的に反応するBリンパ球(以下、抗原特異的Bリンパ球という)を1個選択し、選択した抗原特異的Bリンパ球を培養し、培養により増殖した抗原特異的Bリンパ球をミエローマ細胞と融合させハイブリドーマを作製することを含む、抗原特異的抗体産生ハイブリドーマの作製方法。
【請求項2】
前記選択した抗原特異的Bリンパ球の培養は、抗CD40抗体またはCD40リガンド(CD40L)及びインターロイキン4(IL−4)を含むインターロイキンの共存下で行う請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記選択した抗原特異的Bリンパ球の培養は、Bリンパ球を増殖することができるマイトーゲンの共存下で行う請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記選択した抗原特異的Bリンパ球の培養は、抗CD40抗体またはCD40LおよびIL−4を含むインターロイキンおよびマイトーゲンの共存下で行う請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1個の抗原特異的リンパ球の選択はフローサイトメータ、またはマイクロウェルアレイチップを用いて行う請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記1個の抗原特異的リンパ球の選択は、1個の被検体リンパ球が含まれるマイクロウェルを複数有する抗原特異的リンパ球検出用マイクロウェルアレイチップの各マイクロウェルに抗原を添加し、次いで、抗原に反応したリンパ球を検出し、検出された抗原特異的リンパ球をマイクロウェルから取り出すことにより行う請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
抗原特異的リンパ球は、頻度が0.1%以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法により作製されたハイブリドーマを用いて、モノクローナル抗体を製造する方法。

【国際公開番号】WO2004/087911
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【発行日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−504201(P2005−504201)
【国際出願番号】PCT/JP2004/004274
【国際出願日】平成16年3月26日(2004.3.26)
【出願人】(503117829)財団法人富山県新世紀産業機構 (12)
【出願人】(502413278)
【出願人】(502413289)
【出願人】(395015227)
【出願人】(502345407)
【Fターム(参考)】