説明

1型糖尿病用の完全自動制御システム

【課題】血糖値のモニタリングと外因性インスリンの投与に伴うわずらわしさを低減するとともに1型糖尿病患者の血糖値を適切に調整し、高及び低血糖症による合併症を防ぐことが可能な自動制御システムを提供する。
【解決手段】1型糖尿病の閉ループ血糖コントロールに関し、モデル予測制御(MPC)を利用する増補的な適合アルゴリズムを開発した。線形経験的入出力被験者モデル22が、MPCアルゴリズムとともに用いられ、オンラインで血糖を調整する。被験者モデル22は、再帰的に適用され、インスリンと、グルカゴン等の逆調節作用薬とを供給するための制御信号が、オンラインでの血糖濃度の測定のみに基づいて生成される。MPC信号は、皮下空間でのインスリンの蓄積及び制御信号の攻撃性を最小限にする増補目的関数を最適化するとともに、血糖の濃度を所定の基準設定点にまで調整することにより、合成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖尿病用の制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
1型糖尿病は、生命をおびやかす慢性の病気であり、ランゲルハンス膵臓島(pancreatic islets of Langerhans)のベータ細胞が分泌するホルモンインスリンの伝達の欠陥による病気である。インスリンは、細胞表面上の受容体を開き、これによって細胞の欠くことのできない栄養素である血糖の流入が調整される。内因性インスリンの欠乏により、1型糖尿病を患う患者は、外因性インスリンの投与なしでは血糖を正常血糖の範囲に調整することができない。しかしながら、低いまたは高い血糖値の状態を最小限に抑えて可能な場合には除去するための正確なインスリンドースを提供することが重要である。高血糖症として知られる高血糖値状態及び低血糖症として知られる低血糖値状態は、両方とも、患者の症状を悪化させたり、有害な結果につながる。低血糖症は、昏睡状態をもたらす場合があり、脳へのダメージや麻痺を含む急性合併症を引き起こす。一方、極度の高血糖症もまた、昏睡状態をもたらし、軽症慢性の高血糖症は、血管疾患、腎臓の合併症、視力低下、神経変性、及び皮膚疾患等の長期にわたる有害かつ生命をおびやかす合併症を引き起こす。
【0003】
実際のところ、1型糖尿病の患者は、その血糖値を正常血糖の範囲に維持するため、血糖をモニタし、一日に何度か外因性インスリンを投与しなければならないといった絶え間ない努力をする必要がある。これは、要求が厳しく、忍耐を必要とする投与計画である。投与計画をうまく厳密に守ったとしても、患者は血糖値のばらつきに苦心し、しばしば好適な血糖コントロールをしようと苦心することになる。一方、投与計画に従わない患者は、いくつかの合併症のリスクを負うことになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
血糖値のモニタリングと外因性インスリンの投与に伴うわずらわしさを低減するとともに、1型糖尿病患者の血糖値を適切に調整し、高及び低血糖症による合併症を防ぐことが望ましい。本明細書によって開示される閉ループ制御システムは、血糖測定に基づいて自動的にインスリンの供給を命令する。このシステムでは、オンライン動作中にインスリンのわずかなオーバードースが可能なので、グルカゴンとして知られるホルモン等のインスリン反応に対して逆調節効果(counter-regulatory effect)を有する薬剤も当該システムによる供給の際に利用可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書によって開示される、1型糖尿病用の自動制御システムは、モデル予測制御(MPC)を利用する適合アルゴリズムを採用する。入力及び出力の被験者モデル(subject model)が、MPCアルゴリズムとともに用いられ、オンラインで血糖を調整する。被験者モデルは、再帰的に適合化され、インスリンの供給は、もっぱら、オンラインでの血糖濃度の測定に基づく。MPC信号は、制御信号の能動性(control signal aggressiveness)、及び皮下領域もしくはインスリンの注入を受け付ける空間における局部的なインスリンの蓄積の両方を最小限にすると同時に、血糖の濃度を予め設定された基準設定点に調整する目的関数を最大限に利用することによって合成される。人体中のインスリンの薬物動態(経時変化活動)に関連する一時的値に基づいて、インスリンの吸収速度、ピーク吸収時間、及び反応の全時間といった観点から、投与インスリンの皮下蓄積を示す数学的定式化を導出する。MPCアルゴリズムは、また、積分効果(integral effect)を伴う制御作用を提供し、さらに、本質的に、全体的な薬物消費量を最小限にする。制御アルゴリズムは、患者の自由な活動下での動作を可能とする学習能力を備えた自動血糖制御システムを提供する。
【0006】
被験者モデルは、経験的な被験者モデルであってもよく、被験者の開ループ血糖コントロールから得られる入出力データに対して行われたシステム同定プロセスに基づいて初期的に構築されてもよい。さらに、制御部は、モデル予測制御アルゴリズムがインスリンのドースの修正が不要である旨を示した場合に、インスリン制御信号を生成することによってインスリンの供給の基本比率を提供するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、血糖値のモニタリングと外因性インスリンの投与に伴うわずらわしさを低減するとともに1型糖尿病患者の血糖値を適切に調整し、高及び低血糖症による合併症を防ぐことが可能な自動制御システムが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、人間等の被験者(被験者)12の血糖値を調整するための自動制御システム10を示す。例えばカテーテルを介して被験者12の皮下空間に接続された薬物注入ポンプ等である供給装置14により被験者12は、インスリンを投与される。下記のように、供給装置14は、所定の環境下において血糖値を制御するのにより効果的なグルカゴン等の逆調節作用薬も供給する。本実施形態においては、特にグルカゴンについて言及しているが、これは説明の便宜のためだけのものであり、その他の逆調節作用薬を用いてもよい。供給装置14は、インスリン及びグルカゴンの両方を供給するために、インスリンとグルカゴンのそれぞれのカートリッジを備えた機械式駆動の注入機構を採用することが好適である。
【0009】
血糖値センサ16は、被験者12に接続され、被験者12の血糖値を継続的にサンプリングする。検知については様々な手法を採用することができる。制御部18は、血糖値センサ16からの血糖値信号及びユーザによって提供されるパラメータに応じて供給装置14の動作を制御する。本明細書に開示される技術の一の特徴点は、被験者12が摂取した食事に関する明確な情報またはその他の「フィードフォワード」情報を必要とせずに制御部18がその動作を行うことができる点である。ユーザによって提供される、必要な初期設定パラメータの一つは、被験者12の体重である。ユーザによって提供される他のパラメータは、後述するように、システム10が維持しようとする目標血糖値を設定する「設定点」である。
【0010】
図2は、制御部18の機能上のブロック図であり、特に、制御部18内のソフトウェア/ファームウェアによって実行される制御アルゴリズムを高レベルで描写したものである。図示するように、目的関数オプティマイザ20は、一定な(時間と無関係な)設定点信号r(t+k)が入力され、ドース制御信号u(t)を生成する。ドース制御信号u(t)は、図1に示すインスリン/グルカゴン供給装置(供給装置)14の動作を制御するための信号である。また、入力ドース制御信号u(t)は、以下に詳細に説明するように、インスリン及び/またはグルカゴンの供給に対する被験者12の反応を明確にモデル化する被験者モデル(subject model)22にも供給される。被験者モデル22は、センサ16から実血糖値信号y(t)を受信し、目的関数オプティマイザ20の動作に用いられる予測血糖値信号
【数1】


を生成する。
【0011】
システムの動作の間、ドース制御信号u(t)及び実血糖値信号y(t)は、継続的に被験者モデル22に供給され、これにより、被験者モデル22が内部的にアップデートされるとともに、アップデートされた予測血糖値信号
【数2】


を生成する。好適な将来基準設定点の値r(t+k)と比較することにより、目的関数オプティマイザ20は、将来エラー信号を生成し、この将来エラー信号は、モデル予測制御(MPC)アルゴリズムに基づいてドース制御信号u(t)を最適化して合成するために用いられる。入力信号u(t)に対応する量のインスリンまたはグルカゴンが、供給装置14を介して被験者に物理的に投与され、また、信号u(t)は被験者モデル22に受け渡される。血糖値センサ16は、あらためて実行されるサイクルを完了するため、最新の実血糖値信号y(t)を提供する。
【0012】
被験者モデル22は、信号u(t)及びy(t)の現在及び過去の値に基づいて、将来の血糖値を予測する機能を有する。採用できるモデルは様々である。以下、被験者モデルの具体的な一例を説明する。
【0013】
被験者モデルの選択肢は、被験者の開ループ血糖値コントロールによって生成された入出力データに対して行われたシステムの同定によって得られる経験式である。被験者モデルは、外因性入力(ARMAX)構造を有する単一入力、単一出力の自己回帰移動平均であり、以下の式によって表される。
【数3】


ここで、Ut は、(入力)インスリン/グルカゴンドースを表し、yt は、基準設定点からの(出力)血糖濃度の偏差値を表し、ωt は、ホワイトガウスノイズのシーケンスを表し、dは、固有のシステム遅延(デッドタイム)であり、z-1は、単位遅延シフト演算子としての役割を果たすものである。スカラー多項式A,B,Cは、それぞれ、以下の式により与えられる。
【数4】


モデルの順位(order)及び遅延は、オフラインのシステム同定分析によって予め求めてもよい。同定されたモデルが、オンラインの集中制御システムに採用されるが、モデルパラメータは、それぞれ再帰的にアップデートされるという意味では、静的ではなく動的に(自由に)定められる。式(1)等のモデルの再帰的な(オンラインの)パラメータ予測は、モデルを独立変数(regressor)の形、すなわち、下記の式に書き直すことによって容易となる。
【数5】


ここで、独立変数ψt とθは、それぞれ、下記の式により与えられる。
【数6】


オンラインのパラメータ予測を経時変化するバージョンのベクトルθ、すなわちθt に包含させ(pack in)、予想ωt :=yt −ψT θt をψt 中で用いた状態で、既知の再帰的予測の手法の一つは、拡張最小二乗[13,14]であり、以下に示される式に従うものである。
【数7】


ここで、et :=yt −ψtT θt-1 及びP0 は、正定値行列に用いられる。再帰的パラメータ予測の他の選択肢は、拡張最小二乗と類似する再帰的最尤推定法であるが、
【数8】


ψt の代わりに用いられる[14]。他の再帰的(オンライン)パラメータ予測手法、例えば、操作変数法、勾配評価法、あるいは、当業者によく知られている忘却因子を用いるその他の種類の予測手法を用いることもできる[14]。これらの手法にかかわらず、適応可能な被験者モデルは、血糖濃度のオンラインでの予測をするために用いることができ、制御信号を生成する際に制御部が本質的に採用することができる。
【0014】
目的関数オプティマイザ20は、被験者モデル22からの予測血糖値信号
【数9】


に基づいて、インスリン/グルカゴン制御信号u(t)を最適化して生成する機能を有する。最適化技術については、様々なものを採用することができる。以下、目的関数オプティマイザ20の具体的な一例を説明するが、以下の説明では目的関数オプティマイザ20を「制御部ブロック」と称する。以下の一例においては、モデル予測制御(MPC)手法を用いる。
【0015】
制御部ブロックは、1以上のMPC手法を用いることができ、このMPC手法は、すべて、(1)数学的モデルを用いて将来のある時点(ホライゾン(horizon))における出力を予測し、(2)各ステップにおいて目的関数を最適化する制御信号を算出し、(3)receding horizon手法(receding horizon strategy)を採用する[5、8]。後者の観点は、将来に向かって予測ホライゾンを繰り返して配置することを参照し、各ステップにおいて、算出されたシーケンス中に最初の制御信号を適用するのみのものである。
【0016】
ARMAX被験者モデルと互換性のある既知のMPCアルゴリズムの一つは、一般化予測制御(GPC)アルゴリズムであり、以下の式により与えられる複数ステージ(multi stage)二次費用関数を最適化する。
【数10】


ここで、Nd及びNmは、それぞれ、最小及び最大(出力)予測費用ホライゾンリミットであり、Nuは制御ホライゾン境界、δmは予測エラーのウェイト、λnは制御信号のウェイトである。GPCの実行におけるいくつかの基本ガイドラインは、(1)早期の出力は現在の入力信号の影響を受けないので、Nd≧dであること、(2)U(t|t)による反応立ち上がり時間の実質的な部分をカバーする出力ホライゾンNy:=Nm-Ndであること、及び(3)Ny≧NuでNu=0または平方(square)ホライゾンであること、すなわち、Ny=Nuであって、一般に実行されたものであることである。
【0017】
積分効果を有する制御動作につき、予測判断材料(predictor)及び制御デザインは、以下の式に基づく。
【数11】


そして、対応するディオファントス分離属性(Diophantine separation identity)は、以下の式により与えられる。
【数12】


ここで、Fは、モニック(monic)指数多項式Eに対応するリマインダ多項式であり、前者及び後者のそれぞれのz-1中での階数はn及びk-1であり、あるいは、具体的には、Fk =f0+f1z-1+・・・+fn z-n、及び、Ek=1+e1 z-1+・・・+eK-1 z-(K-1)である。最適な予測判断材料
【数13】


は、下記の式を満たすように定められる。
【数14】


この式は、次の式をもたらす。
【数15】


ここで、Gk:=Ek Bである。なお、Gkはz-1中で階数(m+K-1)であり、Ekが、モニック∀kなので、g0=b0であり、Gk=g0+g1 Z-1+・・・+gm+K-1z-(m+K-1)と書き直すことができる。GPCアルゴリズムを実行するため、式(10)を次の式のように表す。
【数16】


ここで、右側の最初のタームは、kについて将来タームk-d(求めた制御信号を含む)のみを含む。Nd=d及びNy+1=Nu+1=:Nとし、すなわち、Nステップの予測及び制御ホライゾンを二乗させ(square)、k=d→(Ny+d)上で式(11)を適用し、タームの寄与を以下の行列式に包含させる。
【数17】


式(12)の最後の2つの数量は、時間tで利用可能であり、これらは直接測定可能であるか、あるいは、過去の測定のみに依拠し、ベクトルfにグループ化することができ、以下の式が導出される。
【数18】


δm=1及びλn=λとすると、式(6)は下記の式に書き換えることができる。
【数19】


ここで、γは将来の設定点を保持するベクトルであり、γ=[Cγt+dt+d+1 ・・・Cγt+N+d-1]Tである。式(14)をさらに解くと、下記の式を導出することができる。
【数20】


JGPCを最小化する制約なしベクトルuが式(15)から求められ、下記の式により与えられる。
【数21】


GTG≧0のため、式(16)は、λ>0で固有の解を与える。最初の制御移動のみがtにおいて重要性があるもの(interest)である。すなわち、下記の式を導出することができる。
【数22】

【0018】
従って、現在の状況と好適な結果が同時に起これば、すなわち、γ-f=0であれば、式(17)での制御のインクリメントまたは移動は、ゼロとなる。Nu<Nyの場合のみに許容できる非平方ホライゾンを処理するため、GをGNuで置き換える。ここで、GNuは、Gの最初のNu+1の列から構成され、uは、uの最初のNu+1の要素を含むuNuで置き換えられる。その他は同一のままである。なお、Ny=Nu=N-1=0での一般化最小分散(GMV)制御は、平方ホライゾンを有するGPCの特別な場合である。
【0019】
皮下薬物投与の場合、皮下空間における薬物(典型的には、インスリン)の蓄積は、式(6)の未加工制御費用関数(raw control cost function)まで拡張(augment)することができ、最適化処理における追加的な制御目的(control objective)とみなすことができる。結果として、オンライン制御信号は、同時に、(1)制御部の能動性(aggressiveness)を最適化し、(2)皮下空間でのインスリンの蓄積を最小限にし、(3)血糖の濃度を予め定められた設定点の目標値まで調整する。投与されたインスリンの皮下での蓄積に適用できる数学的定式化は、薬物動態(時間経過による作用)に依拠する一時的な値に基づいて、吸収速度、ピーク吸収時間、及び、作用の全時間という観点から導出することができる。p(t)を、皮下空間から吸収されるプラズマ化した薬物のmU/dl単位での濃度とすると、その進行は以下の式で表すことができる。
【数23】


ここで、U0は、単位を(U)とする皮下薬物衝撃ドースであり、K、α1、及びα2は正の定数である。SCデポ(depot)におけるインスリンの蓄積量のペンディング作用の測定は、総面積(
【数24】


すなわち、ドースU0による経時的な全作用の測定)と
【数25】


すなわち、U0の消費部分の測定との間の差をとることによって行うことができる。SCデポにおけるインスリンの残量の残存効果の測定をq(t)で表すとすると、次の式に到達する。
【数26】


これは、離散時間型モデルとして、下記の式で表すことができる。
【数27】


ここで、Tsは、サンプリング期間である。IVドースは、SCデポをバイパスすることにより把握することができる。すなわち、IV薬物ドースについて、式(19)でq(t)=0、式(20)でqk=0だと、α1とα2についての同一の値とともに、SCデポからプラズマ化するまでにあたかもゼロピーク(α2→∞)及びゼロデプリーションまたはゼロコンサンプション時間(α1→∞)があるかのようである。式(20)を、固有の単位をmg/dlとする式(1)のオリジナルな離散時間モデルにまで拡張するまでに、式(20)の多面的な分析をせず、固有の単位をmUmin/dlからmg/dlに変換するためにリスケール(re-scale)し、制御信号の計算(最適化)を均一な(拡張された)システムの全体に対して行った。式(20)上で機能するための全スケーリング因数は、血糖の衝撃ドースの定常状態効果から得ることができ、式(18)のスケーリング積分毎に異なるものである。そこで、mg/(mU分)を単位とするスケーリング因数
【数28】


を用いることができ、ここで、yは、単位衝撃ドースU0毎の血糖中の定常状態のエクスカーション(excursion)(基準からのオフセット)である。定常状態の血糖値yは、インスリンの薬力学から概算することができ、これは、技術文献において利用可能である。式(20)のスケーリングqkシステムを式(1)の元のykシステムに拡張するため、下記の式で与えられる単一入力、複数出力モデルを得た。
【数29】


ここで、yk=[yk sfqk]Tであり、ωkは、ホワイトノイズシーケンスのベクトルであり、
A(z-1)、B(z-1)、C(z-1)は、それぞれ、下記の式で表される。
【数30】


スケーリング因数sfは、単位の適切な変換をもたらすが、単位のない因数によってスケーリングすることもできる。
ここで、簡単にするため、式(1)の同一のシステム遅延dをqkとukとの間であると仮定する。同一の入力信号を介した2つのシステムの間の接続が、最適化された制御信号について解く際に重要性を有し[5]、これによって行列Gを、新たなシステム用の、下記の式によって表される類似の行列Geに拡張することができる。
【数31】


ここで、giqは、qkシステムに関連し、ykシステム中のgiに類似する。ベクトルfもまた、長さが2倍の拡張バージョンのfeとなるように調整される。GPC信号は、再度、式(17)によって与えられるが、Ge(または、非平方ホライゾンの最初のNu+1の列)及びfeが、それぞれ、G及びfの代わりに用いられるとともに、rについて、自明の拡張バージョンのreが用いられる。GMV制御は、Ny=Nu=N-1=0と設定することにより、回復する。
【0020】
以下は、制御信号u(t)に対して制約を課すことについての説明である。
【0021】
入出力信号に対する制約は、それらを、動作の許容可能な、望ましくは主観的なフィールドに制限する。出力の制約は、通常は明確に意図されるものではないが、費用関数の最適化を介して黙示的に実行されるものである[5]。一般に、入力の制約は、以下の式で表すことができる。
【数32】


最小(基本的な)及び最大(ボーラス)ドース等の入力の制限、または、それらの変化率は、飽和またはクリッピング(clipping)によって明確に守られる。入力の制約は、ユーザによる初期化のために残されるが、同時に、被験者の体重に基づいて、最大許容値以下(また、時々クリップまたはオーバードライブ)となるように定められてもよい。
【0022】
図3は、図1のシステム10が行う処理の全てを示す。ステップ24で、血糖値センサ16は、被験者12の血糖値を継続的に検知し、それに対応する実血糖値信号y(t)を生成する。ステップ26で、供給装置14は、インスリン/グルカゴンドース制御信号u(t)に応じて動作し、被験者12の皮下空間に、対応するドースのインスリン及びグルカゴンを供給する。
【0023】
ステップ28で、制御部18は、インスリン/グルカゴンドース制御信号u(t)を、被験者12の体重、設定点r(t+k)、実血糖値信号y(t)によって時間とともに表される被験者12の経時変化する血糖値、の関数として生成する。具体的には、制御部18は、図示するステップ30及びステップ32の動作を含む制御アルゴリズムを採用している。
【0024】
ステップ30で、被験者モデル16を、被験者12のインスリン及びグルカゴンの供給ドースに対する反応を明確にモデル化するために用い、実血糖値信号y(t)の経時変化する値と、インスリン/グルカゴンドース制御信号u(t)に基づいて、被験者の予想血糖値を示す予想血糖値信号
【数33】


を生成する。
【0025】
ステップ32で、(a)予測血糖値信号
【数34】


と、被験者12の好適な将来の血糖値を示す設定点信号r(t+k)との間の差、及び、(b)被験者12の皮下空間におけるインスリンの局部的な蓄積に基づいて、インスリン/グルカゴンドース制御信号u(t)が生成される。インスリンの局部的な蓄積の値は、上述のように、インスリンの薬物動態に従って追跡される。
【0026】
図4は、図3のステップ32の詳細を示す。特に、図示する例では上述のとおりMPC制御手法を採用している。ステップ34で、目的関数が、(a)実血糖値信号y(t)及び期間(time horizon)中の所定の設定点値との間の差の加重積分、及び(b)期間(time horizon)中のインスリン/グルカゴン制御信号u(t)の加重積分の目的とともに最適化されることにより、インスリン/グルカゴン制御信号u(t)が生成される。
【0027】
ステップ36で、被験者モデル22のモデルパラメータが再帰的かつ継続的にアップデートされ、インスリン及びグルカゴンの供給ドースに対する被験者12の反応の変化に対して被験者モデル22を動的に適応する。
【0028】
本発明は、図1に示すシステム、方法、図2に示す制御部、図4に示す、制御部によって実行される方法によって具現される。制御部によって実行される方法については、メモリ、プロセッサ、入出力回路を含む一般的なコントローラハードウェアによって実行されるコンピュータプログラムの命令によって実行される。この命令は、半導体メモリ、磁気メモリ(磁気ディスク)、光学メモリ(CD,DVD等の光学ディスク)等のコンピュータ読み取り可能な媒体から制御部に与えられるものであってもよい。
【0029】
本発明を好ましい形態に関して詳しく示し、説明したが、特許請求の範囲に示された本発明の趣旨及び範囲を逸脱しない範囲で当業者が形状や細部を変更することは、本発明の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る1型糖尿病用の完全自動制御システムを示すブロック図である。
【図2】図1のシステム中の制御部の機能上のブロック図である。
【図3】図2の制御部の動作の詳細を含む、図1のシステムの動作を示すフローチャートである。
【図4】図3の制御ステップの詳細を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0031】
12 被験者
14 供給装置
16 血糖値センサ
18 制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の血糖値を自動的に制御するためのシステムであって、
前記被験者の血糖値を継続的に検知し、それに対応する血糖値信号を生成するように動作する血糖値センサと、
インスリンドース制御信号に応じたドースで、前記被験者にインスリンを供給するように動作する供給装置と、
前記被験者の体重及び時間とともに前記血糖値信号により示される経時変化する前記被験者の血糖値の関数として前記インスリンドース制御信号を生成するように動作する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記インスリンドース制御信号を、
(a)前記血糖値信号及び
(b)以前に供給されたインスリンの効果を示す、所定のサンプリング期間ごとに得られた値の全てに基づいて計算された、前記被験者中のインスリンの蓄積
に基づいて生成する制御アルゴリズムを備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
(1)前記制御アルゴリズムが、インスリンの供給ドースに対する前記被験者の反応を明確にモデル化し、前記血糖値信号及びインスリンドース制御信号の経時変化する値に基づいて、前記被験者の予測される血糖値を示す予測血糖値信号を生成する被験者モデルを含み、
(2)前記インスリンドース制御信号が、前記予測血糖値信号と、前記被験者の好適な血糖値を示す設定点信号との差に基づいて生成されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記制御部が、前記インスリンドース制御信号を、
(a)期間に渡る前記予測血糖値信号及び前記設定点信号の差についての加重積分、及び
(b)前記期間に渡る前記インスリンドース制御信号の加重積分、
を対象とする目的関数を最適化することによって生成するモデル予測制御アルゴリズムを備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記モデル予測制御アルゴリズムが、モデルパラメータを再帰的かつ継続的にアップデートして、前記被験者モデルを、インスリンの供給ドースに対する前記被験者の反応の変化に動的に適合させる適合モデル予測制御アルゴリズムであることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記目的関数が、(c)前記被験者中の利用の有限比率によるインスリンの蓄積を最小限にする目的にも拡張して適用されることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記被験者モデルが、経験的被験者モデルであることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記経験的被験者モデルが、前記被験者の開ループ血糖制御によって得られる入出力データに対して行われるシステム同定処理に基づいて初期的に構築されるタイプのものであることを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記制御部は、さらに、前記制御アルゴリズムが、供給の基本比率を超えるドースのインスリンが不要である旨を示した場合、前記インスリンドース制御信号を生成してインスリンの供給の基本比率を提供することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記基本比率がユーザによって提供される基本比率値に基づいて決定されることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記制御部が、ユーザによって提供される基本比率値が無い、または所定の最大許容値よりも大きい場合に、前記被験者の体重に基づいたデフォルトの基本比率値を採用することを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記制御部が、経時的な前記血糖値信号に基づいてオンラインで前記基本比率を適応することを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記制御部が、インスリンの最大許容ドースに対応する制限を前記インスリンドース制御信号に自動的に課すように動作することを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記血糖値センサが、前記供給装置と一体化されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記供給装置が、機械駆動式の注入機構と、インスリンのカートリッジとを備えることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記供給装置による供給は、前記被験者の皮下空間に対するものであり、前記被験者のインスリンの蓄積に基づいて前記インスリンドース制御信号を生成することは、前記被験者のプラズマ中に蓄積されたインスリンと、前記インスリンの前記皮下空間から前記プラズマへの吸収とに基づいて行われることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記供給装置が、逆調節作用薬ドース制御信号に応じて、前記被験者に逆調節作用薬のドースを供給するようにさらに動作し、
前記制御部が、前記被験者の体重と、時間とともに前記血糖値信号により示される経時変化する前記被験者の血糖値との関数として、前記逆調節作用薬ドース制御信号を生成するようにさらに動作することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記逆調節作用薬が、グルカゴンを含むことを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
逆調節作用薬ドース制御信号を生成することが、逆調節作用薬の過去のドースからの前記被験者中の蓄積から成る請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記被験者中のインスリンの蓄積に基づく前記インスリンドース制御信号の生成が、前記制御アルゴリズムの攻撃性に対する制御効果を提供する請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記インスリンドース制御信号を生成することが、前記インスリンドース制御信号および前記血糖値信号の間における関係の1つ以上の第1の数学的表現と、前記インスリンドース制御信号に基づく前記被験者中のインスリンの蓄積の推定量の1つ以上の第2の数学的表現との組み合わせに基づいて行われる請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記血糖値信号に基づいて前記インスリンドース制御信号を生成することが、前記インスリンドース制御信号および前記血糖値信号の過去および現行の成分のスケーリングされた総和を含み、前記被験者中のインスリンの蓄積の推定量が、前記インスリンドース制御信号の過去、現行、および/または未来の成分を含む、前記インスリンドース制御信号に基づく蓄積寄与のスケーリングされた総和に基づいて得られる請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記被験者中のインスリンの蓄積の推定量が、前記インスリンドース制御信号のフィードバックにより得られる請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記第1の数学的表現および前記第2の数学的表現が、制御目的を得るために用いられる請求項20に記載のシステム。
【請求項24】
被験者の血糖値を自動的に制御するためのシステムを制御する方法であって、
血糖値センサが、継続的に前記被験者の血糖値を検知してそれに対応する血糖値信号を生成し、
供給装置が、インスリンドース制御信号に応じたドースのインスリンを前記被験者に供給し、
制御部が、前記被験者の体重及び時間とともに前記血糖値信号によって示される前記被験者の経時変化する血糖値の関数として前記インスリンドース制御信号を制御アルゴリズムにより生成し、
前記制御アルゴリズムは、
前記インスリンドース制御信号を、
(a)前記血糖値信号及び
(b)以前に供給されたインスリンの効果を示す、所定のサンプリング期間ごとに得られた値の全てに基づいて計算された、前記被験者中のインスリンの蓄積
に基づいて生成することを含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項25】
(1)前記制御アルゴリズムが、インスリンの供給ドースに対する前記被験者の反応を明確にモデル化し、前記血糖値信号及びインスリンドース制御信号の経時変化する値に基づいて、前記被験者の予測される血糖値を示す予測血糖値信号を生成する被験者モデルを利用し、
(2)前記インスリンドース制御信号が、前記予測血糖値信号と、前記被験者の好適な血糖値を示す設定点信号との差に基づいて生成されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記制御アルゴリズムが、前記インスリンドース制御信号を、
(a)期間に渡る前記血糖値信号及び前記設定点信号の差についての加重積分、及び
(b)前記期間に渡る前記インスリンドース制御信号の加重積分、
を対象とする目的関数を最適化することによって生成するモデル予測制御アルゴリズムを備えることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記モデル予測制御アルゴリズムが、モデルパラメータを再帰的かつ継続的にアップデートして、前記被験者モデルを、インスリンの供給ドースに対する前記被験者の反応の変化に動的に適合させる適合モデル予測制御アルゴリズムであることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記目的関数が、(c)前記被験者中の利用の有限比率によるインスリンの蓄積を最小限にする目的にも拡張して適用されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記被験者モデルが、経験的被験者モデルであることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記経験的被験者モデルが、前記被験者の開ループ血糖制御によって得られる入出力データに対して行われるシステム同定処理に基づいて初期的に構築されることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記制御アルゴリズムが供給の基本比率を超えるドースのインスリンが不要である旨を示した場合、さらに、前記インスリンドース制御信号を生成してインスリンの供給の基本比率を提供することを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記基本比率がユーザによって提供される基本比率値に基づいて決定されることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ユーザによって提供される基本比率値が無い、または所定の最大許容値よりも大きい場合に、前記被験者の体重に基づいたデフォルトの基本比率値を採用することを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
経時的な前記血糖値信号に基づいて、オンラインで前記基本比率を適応することを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
さらに、インスリンの最大許容ドースに対応する制限を前記インスリンドース制御信号に自動的に課すことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記供給装置による供給は、被験者の皮下空間に対するものであり、前記被験者のインスリンの蓄積に基づいて前記インスリンドース制御信号を生成することは、前記被験者のプラズマ中に蓄積されたインスリンと、前記インスリンの前記皮下空間から前記プラズマへの吸収とに基づいて行われることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項37】
逆調節作用薬ドース制御信号に応じて、前記被験者に逆調節作用薬のドースを供給するように供給装置を動作させることと、
前記被験者の体重と、時間とともに前記血糖値信号により示される経時変化する前記被験者の血糖値との関数として、前記逆調節作用薬ドース制御信号を生成することと、
をさらに含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項38】
前記逆調節作用薬が、グルカゴンを含むことを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項39】
逆調節作用薬ドース制御信号を生成することが、逆調節作用薬の過去のドースからの前記被験者中の蓄積から成る、請求項24に記載の方法。
【請求項40】
前記被験者中のインスリンの蓄積(b)に基づく前記インスリンドース制御信号の生成が、前記制御アルゴリズムの攻撃性に対する制御効果を提供する、請求項24に記載の方法。
【請求項41】
前記インスリンドース制御信号を生成することが、前記インスリンドース制御信号および前記血糖値信号の間における関係の1つ以上の第1の数学的表現と、前記インスリンドース制御信号に基づく前記被験者中のインスリンの蓄積の推定量の1つ以上の第2の数学的表現との組み合わせに基づいて行われる、請求項24に記載の方法。
【請求項42】
前記インスリンドース制御信号および前記血糖値信号の間における関係が、前記インスリンドース制御信号および前記血糖値信号の過去および現行の成分のスケーリングされた総和を含み、前記被験者中のインスリンの蓄積の推定量が、前記インスリンドース制御信号の過去、現行、および/または未来の成分を含む、前記インスリンドース制御信号に基づく蓄積寄与のスケーリングされた総和に基づいて得られる、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記被験者中のインスリンの蓄積の推定量が、前記インスリンドース制御信号のフィードバックにより得られる請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記第1の数学的表現および前記第2の数学的表現が、制御目的を得るために用いられる請求項41に記載の方法。
【請求項45】
被験者の血糖値を自動的に制御するシステムに用いられる制御部であって、前記制御部は、インスリンドース制御信号を、前記被験者の体重及び時間の経過とともに血糖値信号によって示される前記被験者の経時変化する血糖値の関数として生成するように動作し、前記血糖値信号は、継続的に前記被験者の血糖値を検知する血糖値センサによって生成され、前記インスリンドース制御信号は、供給装置によるインスリンの前記被験者への供給ドースを制御し、前記制御部は、
前記インスリンドース制御信号を、
(a)前記血糖値信号及び
(b)以前に供給されたインスリンの効果を示す、所定のサンプリング期間ごとに得られた値の全てに基づいて計算された、前記被験者中のインスリンの蓄積
に基づいて生成する制御アルゴリズムを備える、
ことを特徴とする制御部。
【請求項46】
前記供給装置によって前記被験者に供給する逆調節作用薬ドースを制御するための逆調節作用薬ドース制御信号を生成するようにさらに動作し、前記逆調節作用薬ドース制御信号は、前記被験者の体重及び時間と共に前記血糖値信号によって示される前記被験者の経時変化する血糖値の関数として生成されることを特徴とする請求項45に記載の制御部。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−86032(P2012−86032A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−275281(P2011−275281)
【出願日】平成23年12月16日(2011.12.16)
【分割の表示】特願2008−511449(P2008−511449)の分割
【原出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【出願人】(301069856)トラスティーズ オブ ボストン ユニバーシティ (15)
【出願人】(506175840)ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ ユニヴァーシティー オブ イリノイ (30)
【Fターム(参考)】