説明

1工程噴霧乾燥法

活性又は機能性成分を封入するカプセルは、この成分を含有する供給物が、滴の形で噴霧塔中で分散され、かつ−20℃〜500℃の範囲内の温度に曝される方法によって得ることができる。該塔において、懸濁させた粉化剤の雲状物は、被覆を提供し、かつ前記カプセルをお互いに他着することから妨げ、及び反応物は、該カプセルの壁の水溶性を改質するように活性成分のポリマー又は膜形成キャリヤーと反応するために提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性成分、すなわち、香味、香気、機能性添加剤、例えば食品もしくは栄養成分、昆虫忌避剤もしくは誘引剤、殺虫剤、抗微生物剤もしくは抗菌剤、染料又は酸化防止成分、又はさらにかかる成分の1つ以上の適切な混合物を封入する、100〜2000μmの範囲内の平均直径を有するカプセルの製造方法に関する。
【0002】
さらに本発明は、カプセルそれ自体、活性成分を含みかつ100〜2000μmの範囲内の平均直径を有する噴霧された粒子の水溶性の調整方法、及び本発明のカプセルを製造するための多工程の乾燥装置の使用に関する。
【0003】
発明の背景及び解決すべき課題
本発明の課題は、平均直径100〜2000μmを有する粒子における活性化合物及び/又は組成物の封入である。一般に、封入は、安定な、使用及び加工の容易さ、並びに移動可能な活性成分の形状を提供するための目的を有する。該活性成分が、室温で液体である場合に、粒子中への封入は、さらに、容易な取扱い、及び乾燥生成物との混合、並びに活性成分のより小さく凝集された形の提供の利点を有し、その際、後者が、場合により有利である。
【0004】
一般に、易流動性粉末における封入は、便利に投与され、かつ他の成分と混合され、又は直接、消費最終生成物に添加されることができる、活性成分の形を製造する目的を有する。これに関して、粒子サイズ及び活性成分の装填量が関連してくる。比較的大きな粒子は、活性成分の少量が消費最終生成物に添加されるべきである場合に、無用になる。それというのも、該生成物における粒子分布が、およそ、それらの種々の領域における最終濃度の有意な変動をもたらしうるからである。反対に、比較的小さな粒子は、体積比に対してより少ない有益な表面を欠点としてもつ。この比は、特に、蒸発による消失を妨げる必要がある場合に、揮発性活性成分、例えば多くの香気及び香味と関連がある。さらに、粒子が小さくなれば、粉末の爆発の危険も高くなり、かつ取扱いが、従って、より注意深く、及びより高い費用で行われている。
【0005】
噴霧乾燥は、ガラス状の基材中に、活性成分、特に、香味及び/又は香気を封入するために広く使用されており、かつ先行技術において実質的に開示されている。かかる方法において、該活性成分は、該活性成分及び場合により他の成分、例えば乳化剤、染料等を封入することが可能な基材を形成することができるキャリヤー物質を含有する水媒体中で、溶解又は細かく分散され、かつ一般に"供給物"として公知のこの混合物は、形成された液滴を、例えば、熱気体、空気又は窒素と接触させるチャンバー中に細かく噴霧される。そして、水分は、液滴から非常に早く蒸発され、かつ5〜200ミクロンの範囲の乾燥粒子が、回収される。前記粉末は、乾燥膜形成において又はポリマー基材中で細かく分散された活性物質を含有する。
【0006】
典型的に、懸濁液の滴は、ノズルを介して噴霧塔中で噴霧され、その際、該滴は熱気に曝され、水分の蒸発、及び従って、一般にその乾燥塔の底部で収集される乾燥粒子の形成を生じる。しかしながら、典型的な噴霧乾燥は、直径約100μより非常に大きいカプセルを製造するのに適さない。それというのも、前記の大きな滴の乾燥は、該滴の塔の内壁への他着を妨げるためには十分に早くないからである。従来の噴霧乾燥法の他の欠点は、噴霧乾燥させるための懸濁液又は乳濁液の粘度を、細かい霧状にするために、数100mPasに保つ必要がある事である。このことは、懸濁液又は乳濁液に添加されうる物質、例えば増粘剤の量を制限し、かつ/又は水の実質的な量の添加を必要とする。後者は、乾燥工程中に取り除かれなければならず、従って製造費が増加する。
【0007】
従って、従来の噴霧乾燥は、一工程で、100〜2000μの範囲内の粒子直径を有する粒子の製造に適していない。大きい粒子が所望される場合に、他の工程を必要とする。例えば、多工程の乾燥機において、流動床が、噴霧チャンバーの底部で組み込まれ、かつノズル又は回転噴霧機から製造された細かい液滴(150ミクロン未満)が、チャンバー中で凝集されて、凝集物を得る。該凝集物を、流動床中で収集して、それらの乾燥を終える。この生成物は、細かい一次粒子の凝集物からなり、かつ該凝集物の最大サイズは、400ミクロンより大きくならない。
【0008】
活性成分又は組成物の大きな顆粒を製造するために、凝結防止剤を噴霧塔中へ乳濁液又は懸濁液の噴霧中に添加することも公知である。例えば、WO 04/062382号においては、脂溶性物質のビーズ製剤の製造方法を開示しており、その際、脂溶性物質の水性懸濁液は、粉末デンプン及び熱気を別々の入り口を通して同時に導入する間に、噴霧塔中へ供給される。この方法は、噴霧域中で200℃まで、しかし有利には60〜120℃の温度を有し、かつ該脂溶性物質は、ビタミン、例えばビタミンA、D、E、K、カロテノイド、多価不飽和脂肪酸、油又は脂肪である。
【0009】
WO 91/17821号は、噴霧剤を同時に導入しながら、50〜120℃の温度を有する空気の供給下で、基材材料中に水性懸濁液を噴霧することによって組み込まれた香味性を含有するマイクロカプセルの製造方法を開示している。該噴霧剤は、デンプン、改質デンプン、リン酸三カルシウム及びその他を含有してよい。この文献のいくつかの実施例は、初期の乳濁液(実施例1、3及び4)に存在する香味性材料の50質量%までの実質的な損失があることを明確に示す。
【0010】
US 4,870,196号は、粉末の易流動性コハク酸トコフェリルの製造方法を記載しており、その際、該コハク酸トコフェリルの粉化剤は、粉末域に存在し、液滴の形成を容易にする。該粉化剤は、薄層としてコハク酸トコフェリル上に"積もり"、従って粒子のサイズを増大することが言える。
【0011】
US 4,764,317号は、湿ったビーズの製造を含む方法を開示しており、その際、該ビーズは、該ビーズを共に他着することから妨げた粉末の層上に、又は装置の壁上に落ちる。
【0012】
最終的に、例えば、ビタミンの大きな顆粒を製造するための凝結防止剤、例えばデンプンを使用する一般の考えは、例えばInternational Encyclopaedia of Food Nutrition、第9巻、Fat−soluble vitamins、1970年において明らかにされている。
【0013】
全ての噴霧乾燥又はこのタイプの多工程乾燥法において、前記の凝結防止剤が、反応しない被覆を形成するために、供給物の液滴の周りに添加される。供給液滴のサイズは、凝結防止剤の層によって増加されるが、しかし膜形成の封入基材又はポリマーキャリヤーは、この被覆によって改質されない。
【0014】
従って、水性媒体中でより遅い溶解速度を有する粒子を得ることが所望される場合に、他の方法が、第二工程において、粒子を例えばワックスもしくは脂肪で被覆して、該粒子の溶解を遅延するため、又は基材を改質することが可能な化学成分と反応する粒子の反応を誘発するために添加されなければならない。
【0015】
本発明の目的は、より費用効果のある噴霧法、特に噴霧乾燥方法を提供することであり、その際、単行程は、溶解速度及び活性成分の放出に関して、適用の要求に適合させる特性を有する活性成分の大きい粒子(100〜2000μmのサイズ)の製造を可能にする。この効果のために、本発明は、一工程の効果的な方法を提供し、その際、前記基材が、キャリヤー基材の改質、特に基材のゲル化、結晶化、架橋、又は重合を含むことが可能な固体又は液体の物質と共に、粉化剤の添加によって、活性/キャリヤー混合物の乳濁液又は懸濁液の噴霧乾燥又は噴霧冷却中に、化学的に又は物理的に改質される。該基材の改質又は溶解の特性は、例えばカプセルを最終適用中に再び水和する間に、生じてもよい。
【0016】
本発明の方法は、先に開示された噴霧乾燥法によって得ることができる粒子サイズよりも大きい、300μmよりも大きい直径を有する粒子を得ることを可能にし、代替の顆粒形性タイプ、例えば押出法もしくはコアセルベーション法、又はさらに凝集技術よりもより経済的である。
【0017】
他の粒子形成技術、例えば二軸押出機による押出技術において、該押出機における水量及び滞留時間は、(特に揮発成分の封入のための)基材材料と反応することが可能なあらゆる物質の適切な水和、及び/又は基材ポリマーとかかる反応物との適切な反応を可能にするためには不十分である。さらに、300〜800ミクロンの粒子直径は、得るのが難しい。さらに、あらゆる反応が反応物と基材との間で生じることが認められた場合に、該押出機における圧力は、おそらく受け入れがたい値まで増加し、香味のディフェージング、又は押出ダイの出口での溶融物の膨張を導く。
【0018】
他の技術は、振動又は浸水ノズルのように、1000ミクロン未満の粒子の低い生産能力のために本発明の方法よりも高価であり、かつ/又は槽からの分離、ビーズの洗浄及び分離乾燥のような付加的な操作装置を必要とする。さらに、該操作装置は、例えば香味又は香気の維持及び性質のために不利益である。
【0019】
コアセルベーション技術は、親水性と疎水性との双方の活性を処理することができず、固体材料もまたできない。さらに、コアセルベーションは、達成するのが難しい付加的な乾燥工程を要求し、揮発性物質の維持に影響を及ぼす。コアセルベーションは、ポリマーの殻材料の選択の点からも融通性がない。
【0020】
最終的に、流動床の噴霧顆粒又は噴霧凝集物は、より費用も高くなり、かつ単工程の方法において本発明の粉末と同様の粉末の製造が不可能である。
【0021】
発明の要約
従って、本発明は、100〜2000μmの範囲内の平均直径を有し、かつ活性成分を含有するカプセルの製造方法を提供し、その際、該方法は、
a)活性成分、キャリヤーもしくは基材材料、及び溶剤を含有する溶液、懸濁液及び/又は乳濁液を製造して、供給物を形成する工程、
b)平均直径100〜2000μmを有する滴の形で前記供給物を噴霧塔中へ噴霧する工程、
c)噴霧工程と同時に、噴霧塔中へ粉化剤を導入する工程、
d)噴霧工程と同時に、噴霧塔中へ−20℃〜500℃の範囲内の温度を有する気体を供給する工程、及び
e)噴霧塔からカプセルを取り出す工程
を含み、その際、工程c)において使用された粉化剤の添加と同時に、噴霧塔中に前記キャリヤー材料と反応可能な反応物を導入し、得られたカプセルの水性媒体中での溶解性を改質する。
【0022】
この方法の最も好ましい実施態様において、この溶剤は、水性溶剤、特に水である。
【0023】
本発明の方法の特定の実施態様によると、後は、噴霧乾燥法であり、その際、熱気は、50℃〜500℃、より有利には120℃より高い温度で、前記方法の工程d)において、噴霧塔中へ供給される。驚くべきことに、かかる高い温度の使用にもかかわらず、この実施態様によって封入された揮発性物質の減少が、先に公知の噴霧乾燥法よりも極めて低く、その際、より低い熱気温度が使用される。
【0024】
該方法のかかる噴霧乾燥の一実施態様において、前記熱気の温度は、有利には100℃〜250℃の範囲内、及び最も有利には120℃〜200℃の範囲内である。
【0025】
本発明の他の側面は、噴霧冷却法、すなわち、工程d)において供給された空気が、30℃以下、より有利には−20℃〜10℃の間の温度である方法に関する。
【0026】
本発明の方法の他の特定の及び好適な実施態様において、前記粉化剤は、供給物のキャリヤー材料と反応することができる物質を含有する。
【0027】
前記方法の特定の実施態様は、多工程噴霧乾燥法又は噴霧冷却法に関し、その際形成された粒子が、噴霧チャンバーの底部で提供される流動床乾燥機又は冷却機中で収集される。場合により、第二の乾燥又は冷却装置は、その後に組み込まれ、粒子の乾燥又は冷却のより正確な調整を可能にしてよい。
【0028】
本発明は、前記方法によって得ることができる粒子、及び香味又は香料成分、栄養性補助剤、例えばビタミン又は多価不飽和脂肪酸、抗酸化剤又は抗菌剤、染料、及び機能性目的を有する他の物質によって伝統的に改良又は改質された消費製品におけるかかる粒子の使用も提供する。
【0029】
有利には、本発明の方法は、100〜2000μmの範囲内の平均直径を有し、香味及び/又は香気成分を封入するカプセルを提供し、その際、該成分の装填量は、18〜50質量%、有利には20〜40質量%の範囲内であり、該カプセルは、粉化剤によって提供される被覆を含有し、それによってこの被覆は、該カプセルの総質量の0.1〜30質量%を提供する。
【0030】
本発明は他に、活性成分を含有し、かつ100〜2000μmの範囲内の平均直径を有する噴霧させた粒子の水溶性の調整方法を提供し、その際、該粒子は、前記の方法によって製造される。
【0031】
他の側面において、本発明は、本発明の方法によってカプセルを製造するための多工程乾燥装置の使用を提供する。
【0032】
本発明の方法は、先行技術から公知の方法と比較して多数の重要な利点を伴う。まず第一に、該利点は、大きい粒子の製造を可能にし、かつ先行技術において使用されたものよりもより粘着性の構造のより高い粘度を有する調合物の噴霧乾燥及び冷却を許容する一工程の低費用の方法である。得られた固体が、水性媒体中で、不溶性の状態から部分的にもしくはゆっくりと溶解し、又はさらに非常に早い溶解によって特徴付けられる、種々の水溶性の挙動を有するために計画されうるために、得られた固体は、活性成分の放出のよりよい調整を提供する。さらに、得られた粒子は、凝集物の場合と違い、密な壁を有することができる。該粒子は、平均的により球体であることも観察された。
【0033】
図面の説明
図1は、本発明によって得られた乾燥顆粒を示す。
【0034】
図2は、水中で30分間50℃で滞留した後の図1の粒子を示す。
【0035】
発明の詳細な実施態様の説明
本発明は、前記のような、活性成分を封入する、100〜2000μmの範囲内の平均直径を有するカプセルの製造方法を提供する。
【0036】
"活性成分"に関しては、この記載を通して、以下に記載されているような基材中で、噴霧乾燥又は噴霧冷却法によって封入され、かつ香味、芳香、薬剤、栄養性、化粧品、洗浄、抗菌性もしくは脱臭、酸化防止剤、又はさらに軟化のタイプの機能性効果を提供することが可能な、消費製品における使用するための、あらゆる個々の成分又は成分の混合物を意味する。
【0037】
この指示は、伝統的に付香又は味をつけた固体又は液体の消費製品、例えば香水、石けん、化粧品、及び他のボディケア製品、ヘアケア製品、食品もしくは飲料水、チューイングガムもしくはオーラルケア製品、例えばうがい薬及び練り歯磨き、又はさらに医薬品、食品サプリメント、及び他のかかる製品の、匂い及び/又は味、並びに構造の特性を付与又は改質することができる成分を意味する、特定の香味及び/又は香気を含むものとする。
【0038】
"活性成分"という表現は、有利には、本発明によって封入され、かつ従ってガラス基材中で閉じこめられうる香味及び香気以外の材料も含む。機能性添加物、例えば、砂糖の代替物、医薬品、ビタミン、並びに治療食、又は栄養性サプリメント、及び治療薬が例である。特に、成分、例えば多価不飽和脂肪酸、又はかかる酸に富んでいる市販の油は、本発明のカプセルにおいて、安定したままであり、かつ好ましい味を維持する。
【0039】
酸化防止剤及びビタミン、例えばアスコルビン酸(ビタミンC)、トコフェロール(ビタミンE)、又はそれらの混合物は、本発明の文脈における"活性成分"でもあり、一般に本発明の方法による封入から得られてよい、あらゆる他の一般の栄養性成分、又は薬用化粧品成分、及び食品成分であってもよい。
【0040】
さらに、体もしくは空気脱臭において、又は食品及び化粧品製品の貯蔵において伝統的に使用される、脱臭、悪臭中和、並びに抗菌もしくは抗微生物化合物及び組成物は、本発明による"活性成分"でもある。
【0041】
他に、本発明による"活性成分"は、治療的な活性、及び医薬品成分を含有する。
【0042】
本発明の方法は、例えばWO 2004/062382号(特に2頁26〜35行)において記載されているような、あらゆる従来の噴霧塔中で実施されてよい。従来の多工程噴霧装置は、この方法の工程を実施するために極めて適している。該装置は、噴霧塔、及び該塔の底部に、部分的に乾燥させた粒子を該塔を横切って落下した後に阻止する流動床を有する。典型的な多工程乾燥機において、空気入口及び空気出口は、該塔の上部域に位置する。一般に、これらの装置において、本明細書で"粉化剤"と見なされる、本発明の目的のために要求されたような、微粒子の懸濁液及び雲状物を保つことが可能である。該粉化剤は、有利には、水性乳濁液の入口に近く、又は乾燥塔の低い部分中のどちらかに位置していてよい、一般に分かれた入口によって導入される。該粉化剤は、操作方式において、一定の動作であり、かつ空気出口と共に塔を出て、同様の塔中にもとへ戻ってよい。
【0043】
本発明によって製造されたカプセルは、100から、及びより有利には200から2000μmの範囲内の平均直径を有する。有利には、該平均直径は、200〜800μm、より有利には300〜500μmの範囲内である。例えば"平均直径"の表現において使用されるような"平均(average)"及び/又は"平均(mean)"の用語は、相加平均を言う。
【0044】
前記カプセルのサイズは、本発明の方法の工程によって乾燥塔中に分散された滴のサイズによって決定される。本発明の一実施態様において、活性成分の出発乳濁液又は懸濁液、及びキャリヤー又は基材材料、すなわち食品は、噴霧ノズルを介して、又は噴霧塔中での遠心車輪ディスクを介して導かれる。他の装置は、調整された平均サイズの液滴の形での供給物を分散するために使用されてよい。例えば、振動口が、代わりに使用されてよい。
【0045】
噴霧ノズルが、滴を分散するために使用される場合に、該滴のサイズは、例えば、ノズルによって導入された噴霧気体の流量によって調整されてよい。遠心車輪ディスクが分散のために使用される場合に、本発明の用語に対する液滴のサイズを調整するための主な要因は、塔中のディスクから分散された滴との遠心力である。同様に、該遠心力は、回転速度及びディスクの直径に依存する。供給物流量、該供給物の粘度及び表面張力、並びにディスクの配置は、最終の滴のサイズ及びサイズ分布を調整するパラメータでもある。該パラメータの調整によって、当業者は、組成物の滴のサイズを調整でき、塔中に分散させることができる。
【0046】
有利には、本発明の方法は、一般に、供給物として設計され、水、活性成分、基材材料、及び或いはかかる基材材料を粉化剤中に存在する反応物と反応することによって改質することができる付加的な反応物を含む、水性溶液、懸濁液及び/又は乳濁液を製造する工程を含む。
【0047】
本明細書の文脈中で、"含有"という単語は、"他のものの中に、含む"という意味を取る。"ただ一つからなる"ということを意味するとして解釈されるべきではない。
【0048】
典型的に香味及び/又は芳香の、活性成分は、ポリマー又は他の基材材料と共にそれを溶解することによるキャリヤー系と、それらの中に懸濁することによって及び/又は乳化することによって、混合されてよい。便利にするために、乳化という用語は、活性成分と基材材料との混合の全ての種々の形を包含するために使用される。
【0049】
該活性成分は、親水性及び/又は疎水性であってよい。従って、本発明は、例えば水溶成分、例えばジュース剤又は反応性香味を含有する成分の多くの種類に対して適切である。該成分は、親水性及び疎水性成分との組合せも含んでよい。該成分が親水性である場合に、該成分は、一般に、水溶液中で基材材料と共に溶解される。好ましい一実施態様によって、該成分は、疎水性成分を含有するが、一方で前記基材材料は水に溶けてよい。一般に、この場合において、該疎水性成分は、基材材料内で、例えば0.5〜10μm、有利には1〜5μmの範囲内の平均直径を有する小さな液滴の形で乳化される。乳化は、例えば、有利には乳化剤の存在下で、高圧ホモジナイザー又はコロイドミルを使用することによって製造されてよい。
【0050】
香味及び/又は香気の活性成分又は組成物は、天然源及び合成源の双方の、香味及び/又は香気産業における最新の使用の成分を含む。それは、単独の化合物及び混合物を含む。本発明において使用されるカプセルは、有利には、−2〜7、有利には2〜6の範囲でlogPを使用して、液体の形で揮発性の又は不安定な成分を封入することができる。かかる構成材料の特定の例は、例えば、CRC Pressの、Fenaroli’s Handbook of flavour ingredients、1975年;Van Nostrandによって編集された、M.B. Jacobsによる、Synthetic Food adjuncts、1947年;又はS. Arctanderによる、Perfume and Flavour Chemicals、1969年、Montclair、New Jersey(USA)における、最新の文献において見出されてよい。
【0051】
従って、好ましい一実施態様において、前記成分は、香味及び/又は香気化合物又は組成物、香味又は香気の天然抽出物、並びにあらゆる前記成分の混合物からなる群から選択される。
【0052】
香味及び/又は香気成分は、消費製品に快い臭気を噴霧及び/又は提供する、すなわち消費製品に匂い又は香味又は味を付与する、又は前記消費製品の味及び/又は匂いを改質する当業者によく知られている。天然抽出物は、消費最終製品を味付ける又は付香するための系中へ封入されることもできる。それらの例は、特に、シトラス抽出物、例えばレモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツもしくはマンダリンオイル、又はコーヒー、紅茶、ミント、ココア、もしくはハーブ及び香辛料の精油を含む。
【0053】
香味及び/又は香気の活性成分の他の例は、合成の香味及び/又は香気の油、香味芳香剤、及び天然抽出物、例えば油、精油、含油樹脂、並びに植物から、例えば葉、花、果実、根、根茎、茎等から由来の他の抽出物である。
【0054】
香味成分という用語によって含まれる香味は、反応性香味、又は加工した香味である。前記香味は、食品成分及び/又は食料においてもしくは加工された香味において使用するために適切な成分を加熱することによって得られてよい。窒素源及び炭水化物源は、かかる加工された香味を得るためのマイラードタイプの反応を実施するために必要である。
【0055】
香味及び香気の用語は、香気及び香味において最新使用の化合物、例えば、冷却、清涼、唾液、刺激性、刺痛、及び辛い/スパイシーな化合物も含む。
【0056】
前記の香味及び/又は香気は、のの、溶剤、補助剤、添加剤及び/又は他の一般に、香気及び/又は香味産業における最新使用の成分との混合物の形で存在してよい。
【0057】
香味及び/又は香気成分の典型的な特徴は、高い割合の揮発性化合物及び/又は成分である。従って、一実施態様において、該成分は、25℃で蒸気圧0.007Pa以上を有する化学化合物の少なくとも10質量%、有利には少なくとも20質量%、より有利には少なくとも30質量%、及び最も有利には40質量%を含有する。有利には、少なくとも10質量%は、0.1以上の蒸気圧を有し、より有利には、少なくとも10質量%は、25℃で1Pa以上の蒸気圧を有し、かつ最も有利には、少なくとも10質量%は、25℃で10Pa以上の蒸気圧を有する。25℃で0.007Paの値は、熟練したフレーバリスト及び/又は調香師によって使用される化合物の大部分を包含することから、選択される。それら基準に応じる化合物は、一般に、揮発性の特徴を有するとしてみなされる。加えて、より低い揮発性のために、無臭のままである化合物が除去される。かかるより高い揮発性の化合物の10質量%の範囲は、先に知られている噴霧乾燥法によって封入されることができる実質的な活性香味又は香味成分の一部であるとしてみなされる。
【0058】
本発明の目的のため、及び便利にするために、前記の蒸気圧値は、計算によって決定される。従って、"EPI suite";2000年、U.S.、Environmental Protection Agencyにおいて開示されている方法は、活性成分の特定の化合物又は成分の蒸気圧の具体的な値を決定するために使用される。
【0059】
本発明の文脈において、百分率は、特に示されていない限り、乾燥物の質量百分率である。同様に、割合が部として示される場合には、乾燥物の質量部を意味する。水が組成物の一部として示される場合に、百分率は、水を含む組成物の総質量を言う。
【0060】
本発明の工程における供給物の調製において有用な基材材料は、活性成分のためのキャリヤーを提供する目的を有する。有利には、該基材材料は、供給物を分散させた滴の乾燥に対する膜又はガラス質の基材を形成するためのそれらの能力に基づいて選択される。ガラス質の基材は、約1010〜1012Pa*sの程度の粘度、及び極めて低い分子易動度によって特徴付けられる非晶質の固体である。ガラス質の状態のよい理解は、Dominique Championらによって、"Towards an improved understanding of glass transition and relaxations in foods:molecular mobility in the glass transition range"、Trends in Food Science and Technology11(2000年)41〜55頁において提供される。
【0061】
基材成分は、例えば、ポリマー、すなわちタンパク質及び特にペクチン、食品サプリメント及び栄養性製品における非常に便利な材料、ポリマー炭水化物、及び他のポリマー材料から選択されてよい。有利には、ポリマー材料は、効果的な酸素遮断を提供するために親水性ポリマーを含有する。従って、基材は、親水コロイドを含有してよい。加えて、少ない水溶性ポリマー、すなわち疎水性ポリマーは、いくつかの親油性の特徴をガラス質の基材に提供し、従って水分からの保護を提供するために基材中に存在してもよい。加えて、該基材は、さらに、ポリマーではない成分を含んでよいが、しかし密なガラス質の基材の形成を補佐してよく、又は他の目的のために添加されてよい。
【0062】
好適なタンパク質は、例えば、カゼイン、乳漿タンパク質、大豆タンパク質、ペクチン及び/又はゼラチンを含む。該タンパク質は、良好な乳化及び膜形成の特性を有し、従ってポリマー基材のための主成分を形成することができる。
【0063】
該基材成分は、炭水化物を含有してよい。
【0064】
例えば、該基材成分は、単糖、二糖、三糖、オリゴ糖、多糖又はそれらの混合物を含有してよい。
【0065】
好適な単糖は、D−アピオース、L−アラビノース、2−デオキシ−D−リボース、D−リキソース、2−O−メチル−D−キシロース、D−リボース、D−キシロース、全てのペントース又はヘキソース、例えばL−フコース、L−ガラクトース、D−ガラクトース、D−グルコース、D−マンノース、L−ラムノース、L−マンノース、又はそれらの幾つかの混合物を含む。
【0066】
単糖及び二糖は、対応するアルコール、例えばキシリトール、ソルビトール、D−マンニトール及び/又はマルチトールに還元されてよい。同様に、アルドン酸、ジカルボン酸又はウロン酸との酸化、及び酸、アルカリ又はアミノ化合物との反応は、例えば本発明の基材成分中に含まれてよいイソマルトールのような多くの他の化合物を生じることができる。
【0067】
好適なオリゴ糖は、3〜10個の単糖単位からなる分子、例えばマルトペントース、フルクト−及び/又はガラクトオリゴ糖である。
【0068】
多糖、すなわち1分子あたり10個より多くの単糖単位を含有する等が、特に好ましい。これらのポリマーは、完全に直鎖(セルロース、アミロース)、分枝鎖状(アミロペクチン、グリコーゲン)又は直線的な分枝鎖のいずれかであってよい。該ポリマーは、カルボキシル基(ペクチン、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース)又は強酸基(ファーセレラン(furcellaran)、カラギナン又は改質デンプン)を含むことができる。該ポリマーは、(例えばメチルエチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースの場合に)中性の置換基、又は(カルボキシメチル、硫酸又はリン酸基での)酸性の置換基での誘導によって化学的に改質されることができる。
【0069】
前記基材成分は、ゴム及び/又は親水コロイド、例えばアラビアゴム、寒天等を含有してよい。
【0070】
有利には、該基材成分は、デンプン及び/又はデンプン誘導体、例えばα化デンプン、低粘沸性デンプン(thin−boiling starch)もしくは高粘沸性デンプン(thick−boiling starch)、デキストリン又は種々の分子量のマルトデキストリンを含有する。最も有利には、該基材成分は、平均のデキストロース当量5〜25、有利には6〜20、より有利には10〜18を有する、マルトデキストリン及び/又はコーンスターチシロップを含有する。他の可能なデンプンの改質、及び基材成分として好適な得られた誘導体は、オクテニル−コハク酸デンプン、デンプンエーテル(例えばカルボキシメチルデンプン)、デンプンエステル(例えばデンプン一リン酸)、架橋デンプン及び/又は酸化デンプンを含む。
【0071】
好ましい一実施態様において、該基材成分は、一つのガラス質の基材の乾燥質量あたり、有利には前記で示された範囲内のDE値で、マルトデキストリン60〜95質量%、及び改質デンプン、例えばアルケニル−コハク酸デンプン(特にオクテニル−コハク酸デンプン)5〜40質量%を含有する。
【0072】
前記の基材材料が、食品及び/又は飲料に対するカプセルの適用の場合に好適である場合に、これらは、カプセルが食品への添加用ではない場合に好適である多くの他の材料であってよい。例えば、香気又は悪臭の制御成分を含有するカプセルにおいて、該基材材料は、材料の非常に広い範囲から選択されてよい。該材料は、合成ポリマー、コポリマー又は天然非食品ポリマー、塩及び基材材料として使用されてよい他の充填剤が含まれる。該材料は、セルロース及び/又はヘミ−セルロース、並びにセルロース誘導体を含む。
【0073】
該基材成分は、前記の及び/又は以下の炭水化物、それらの誘導体及び/又はタンパク質の混合物を含んでよい。例えば、単糖、二糖又は三糖、及び/又はそれらの反応生成物(前記を参照)は、タンパク質又は多糖を基剤とした基材の組合せにおける添加物として使用されてよく、かつ所望の特性を基材成分に提供する。
【0074】
本発明の方法の工程において製造される供給物は、有利には、基材材料10〜70質量%、水30〜70質量%、及び活性成分5〜35質量%を含有する。より有利には、前記の百分率は、噴霧乾燥供給物において、基材材料、水、及び活性成分の、それぞれ、20〜40、40〜60、及び10〜30質量%、最も有利には25〜35、45〜55、及び15〜20質量%である。
【0075】
本発明の方法の好ましい一実施態様によって、活性成分、基材成分及び水を含有する前記の供給物は、45〜80質量%、有利には50〜70質量%の範囲内の乾燥物含量を有する。比較的高い乾燥物含量は、噴霧塔中での処理及び管理することがやや難しい、高い粘度の乳濁液を伴う。反対に、高い乾燥物含量のために、乾燥方法は、より少ない水分を、蒸発する必要があるとき、より効率的になる。従来の噴霧乾燥とは異なり、供給物の液滴の直径サイズが、150μm未満である場合に、本発明は、比較的大きな滴の乾燥の成功を可能にする。より高い粘度の供給物は、細かい噴霧を製造することが必要ではないために、乾燥させることができ、その際、粉化剤の使用は、非常に大きな滴の乾燥を可能にする。
【0076】
本発明は、同時に噴霧工程へ、噴霧塔中への粉化剤の導入工程を含む。かかる粉化剤は、主に、噴霧された供給物の滴上へ粉化剤の被覆を提供することを意図する。本発明によって、この粉化剤は、被覆又は凝結防止の成分に加えて、水性媒体中のカプセルの溶解の特性を改質するために、封入した基材の一つ又は複数の材料と反応することが可能な成分を含んでよい。
【0077】
本発明による粉化剤の一部又は全体を形成する前記の"被覆又は凝結防止剤の成分"は、本明細書で、湿った供給物の液滴を他着することができ、かつある程度まで水分を吸収するあらゆる成分を意味することを意図する。かかる作用物質は、デンプン、デンプン誘導体、タルク、ベントナイト、二酸化ケイ素、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム又はカリウムのケイ酸塩、ナトリウム、カリウム又はカルシウムのアルミノケイ酸塩、カルシウム、ナトリウム又はマグネシウムの炭酸塩、カルシウム又はマグネシウムのリン酸塩、クエン酸第二鉄アンモニウム、微晶性セルロース及びセルロース誘導体又は繊維、アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム又はアンモニウムの脂肪酸の塩、酸化マグネシウム、並びに前記粉化剤の2つ以上を含有する混合物からなる群から有利に選択される。この被覆又は凝結防止剤の成分の目的は、分散させた供給物の滴を、互いに及び/又は噴霧塔の内壁に張り付くことから妨げることである。これは、供給物の合計の固体質量の0.1〜30質量%の割合で存在してよい。
【0078】
"反応成分又は反応物"の作用剤、或いは粉化剤の一部は、本明細書で、前記供給物のキャリヤー又は基材材料と反応することができ、噴霧して、ゲル化、重合化、架橋、結晶化、又は前記基材材料の水溶性を改質することができる該基材材料のあらゆる他の化学又は物理変態を誘導する、あらゆる化合物又は物質を意味することを意図する。従って、反応成分の性質は、活性成分の供給物において使用される基材材料の性質に依存しており、かつ従って、当業者によって選択されうる。
【0079】
基材の溶解性の改質を誘導するために、固体のカプセルが、この反応が可能になる点で最終生成物中に取り込まれる場合に、供給物の噴霧中又はその後の工程でのどちらかで、少なくとも1つの供給物の成分と反応することができる供給物中に反応物を有することが必須である。従って、少なくとも2つの成分は、噴霧塔中で、一つのゲル化剤、供給物中のモノマー又はポリマー、及びゲル化剤、供給物のモノマー又はポリマーと反応することができる反応物、有利には固体材料を有し、得られた顆粒中で活性成分を封入する最終基材の水溶性を改質しなければならない。
【0080】
本発明の特定の実施態様によって、反応物又は反応成分は、粉化剤の一部であり、かつ被覆又は凝結防止の成分と混合された固体材料であり、その際双方は、供給物が噴霧される入口と同様の入口を通して噴霧塔中に供給される。供給物の粒子は、従って、それらの基材が、その水溶性を変えることができる改質反応を受ける場合に、凝結防止剤で被覆される。
【0081】
前記粉化剤は、従って、塔中で懸濁され、かつそれらが塔を出た後すぐに、分散させた滴上に被覆を形成する。従って、本発明の好ましい一実施態様において、該粉化剤の粒子は、噴霧塔中で懸濁され、かつ噴霧塔中の入口から出口まで循環し、その際該出口は、熱気体の出口でもある。
【0082】
一般に、粉化剤自体は、噴霧塔中での粉化剤のための入口から、排気気体と共に出る出口までの循環中に動く。該粉化剤は、噴霧塔中の入口までパイプを戻る粉化剤によって転送されてよいサイクロン集塵機中で再利用されてよい。有利には、該粉化剤は、少なくとも部分的に、供給物の分散させた滴で、交流で、循環する。従って、本発明の好ましい一実施態様において、分散させたカプセル上で吸収されない余分の粉化剤が、熱気体と共に、粉化剤から熱気体を分離するサイクロン又はフィルターバグハウス(filter bag house)に導く、排気気体の出口を通って噴霧塔を出て、そしてそれによって、該粉化剤が、噴霧塔中に再導入され、従って、サイクロンから噴霧塔まで、そしてサイクロンに戻る粉化剤の連続循環を生じる。
【0083】
乾燥凝結防止剤と共に本発明による好ましい粉化剤を形成する乾燥反応物は、供給物の大きな液滴の湿った表面上に張り付く。反応物と基材材料との反応は、カプセルが再水和される場合、及び/又は該カプセルが、例えば反応物の放出を誘導するpH及び/又は温度条件における媒体において導入される場合に、液滴の飛行の間に直接開始するか、又は適用における反応物の放出によって導入されるかのどちらかが可能である。
【0084】
凝結防止剤の層或いは反応物自体は、大きな液滴を噴霧チャンバーの壁への張り付きから妨げる。
【0085】
凝結防止及び反応物の成分の双方は、有利には、100μm、及びより有利には50μm未満の直径サイズの粉末粒子から形成される。
【0086】
粉化剤中及び/又は供給物中に存在する、反応物又は反応の成分のための材料は、基材材料の性質に適応されなければならない。
【0087】
この反応物が、噴霧塔中で、粉化剤の凝結防止成分とは別々に導入されてもよいことは、言うまでもない。しかしながら、これらは、同時に供給物の噴霧をもたらす。さらに、該反応物は、液体の形で、乾物と粉化剤の凝結防止成分とを混合させる代わりに第二のノズルを介してチャンバー中に噴霧されてよい。
【0088】
種々のポリマー/モノマー、ゲル化剤及び/又は種々の反応物を、使用することができる。
【0089】
前記反応物は、基材調製において、供給物のpH条件が該反応物をポリマーとの反応から妨げることを提供する、封入ポリマーと共に導入されてもよい。付加的な第三の物質は、塔中で、噴霧媒体を改質することが要求されてよく、従って、反応物とポリマーとの反応を誘発する。例えば、不溶性型のカルシウム塩は、アルギン酸塩、及び最終適用消費製品中の、又は後半の水との接触に対する顆粒の表面での三の存在によって誘導されるPHにおける変化によって誘発されたアルギン酸塩とカルシウムの反応と共に、基材中で取り込まれてよい。
【0090】
供給物の水性媒体は、有機溶剤を含んでよく、又は代わりに、供給媒体は、かかる溶剤の基剤であってよい。
【0091】
本発明の方法は、回転噴霧機、高圧ノズル、振動ノズル等、噴霧チャンバー又は塔、及びチャンバーの底部に又はそこから分けて組み込まれた流動床のような、あらゆる基本的なタイプの噴霧装置又は滴製造装置を含む、あらゆる噴霧装置中で実施されてよい。
【0092】
場合により、付加的な乾燥機が、当該の粉末の3工程乾燥において使用される乳業装置において公知のものと同様に、使用されてよい。
【0093】
凝結防止剤及び反応物の要求される量の連続導入のための投与装置は、本発明の装置又は器具において提供されてもよい。
【0094】
供給物は、少なくとも1つのポリマー又は膜形成物質、又は封入基材を形成し活性成分を運ぶことが可能なあらゆる他の成分からならなければならない。このポリマーの選択は、噴霧雰囲気の一部を形成し、かつ有利には、粉化剤、又は代わりに、封入ポリマーが粒子状の反応物と反応するためには不十分である場合に、添加されてよい第二の基材材料、すなわち第二のポリマー、ゲル化剤又は反応物と反応し、水性媒体中で基材の性質及び溶解性を、及び従って活性成分の放出の速動性を改質することが可能なモノマーにおいて取り込まれる反応物の性質を決定してよい。
【0095】
本発明の方法は、噴霧乾燥又は噴霧冷却法であってよい。
【0096】
いわゆる噴霧冷却は、供給物が、既にゲル化剤、又は融点を有しかつ冷却して封入基材を硬化できる化合物を含むという意味で標準の噴霧乾燥とは異なる。
【0097】
現在の噴霧乾燥法と同様の制約は、供給物が低い粘度も有さなければならず、かつ直径300ミクロン未満の細かい液滴だけが、冷却して適切に凝固されてよいために、噴霧冷却と関連がある。該供給物は、常に粘着性があり、そのため、現在の噴霧チャンバーの形状が、かかる大きな粒子の適切な冷却を可能にするために非常に大きくなければならない。
【0098】
本発明によって、前記の噴霧冷却法は、冷却して、ゲル化、結晶化又は凝固のいずれかによって硬化することができる基材又はキャリヤー材料を含有する供給物の噴霧を含む。該供給物は、大きい液滴で噴霧され、かつ塔中で、この基材の溶解性を改質することができる反応物を含有する乾燥粉化剤と接触する。
【0099】
本発明の噴霧乾燥法と噴霧冷却法の双方は、非常に粘着性の供給配合物の使用を許可する利点があるのに対し、標準の噴霧法において、供給物の配合は、噴霧チャンバー中の至る所で張り付く生成物を回避するために適応させなければならない。従って、標準の供給配合物は、例えば、大量の糖又は可塑剤を含むことができなかった。本発明は、供給物が、標準の噴霧乾燥又は噴霧冷却法によって取り扱うことが難しい原料を含有することができるために、この問題を解決する。
【0100】
形成された顆粒は、化学又は物理反応が、さらに顆粒の完全な乾燥又は硬化が達成されるまで最終的に続けられうる場合に、チャンバーの底部の流動床で収集される。
【0101】
噴霧塔中の空気の吸込温度は、−20℃〜+500℃を含む、広い範囲の値で変動してよい。前記の方法は、供給物の性質に依存して、それらの飛行中に少なくとも部分的に粒子を乾燥するための熱気体、又は液滴の硬化を誘導するための冷気のいずれかを使用して実施されることができる。前記のように、該方法の特定の実施態様は、120℃より高い吸込温度に関する。
【0102】
高い吸込温度(例えば150℃)の場合において、顆粒の部分乾燥は、飛行中に実施し、かつ該乾燥は、流動床において、顆粒が要求された最終残留水分を得るまで続く。
【0103】
低い吸込温度(例えば5℃)の場合において、供給物は、冷却して基材を硬化することができるゲル化剤のいずれかを含むべきであり、又は供給物と反応物との化学反応は、十分に液滴を乾燥させ、かつ流動床中で該液滴を収集するために十分な早さであるべきである。そして、前記顆粒は、乾燥され、又はさらに流動床の温度が増加する方法の第二相において、又は装置(例えば付加的な外部の流動床乾燥機/冷却機)の分離した部分において硬化される。
【0104】
前記のように、これらは、噴霧塔中へ、121〜250℃の範囲内の温度を有する熱気体を供給される。本発明のかかる実施態様において、該熱気体は、先行技術において開示された温度よりもより高い温度で供給される。驚くべきことに、活性成分を含有する比較的大きいサイズの滴が、有利には、乾燥中により少ない損失を有する間に、より高い温度を有する気体の供給下で乾燥されることが証明されている。理論によって束縛されるものではないが、およそ吸込気体流のより高い温度によってもたらされた噴霧域中のより高い温度が、より短い乾燥時間をもたらすと仮定する。本発明によって、より多くの水が、その飛行中の滴から蒸発し、かつ続く流動床における乾燥時間も、より短くなる。
【0105】
さらにより好ましい実施態様によって、乾燥塔中に供給される熱気体は、130〜220℃、有利には140〜210℃、及び最も有利には150〜190℃の範囲内の温度を有する。
【0106】
熱気体の入口を介した熱気体の供給は、噴霧塔において、約180〜約50℃、有利には約170℃〜約40℃の範囲内の温度をもたらす。該塔における温度は、噴霧域での高い温度を提供する、熱気体の入口での最も高い温度で、勾配に従う。塔の底部で、温度は、分散させた滴からの水の蒸発によって、非常に低い。
【0107】
本発明の方法は、粉化剤の被覆を含有するカプセルを噴霧塔から取り除く工程を含有する。
【0108】
該方法は、回分式又は連続式で実施されうる。従って、回分式において、それらは、収集容器に導く流動床のレベルで出口を提供される。流動床を閉め、そして収集容器に導く弁を開くことによって、カプセルは、カプセルが収集容器から取り除かれてよい場合に、例えば重力によって、収集容器へ導かれる。好ましい一実施態様において、本発明の方法は、カプセルが、それらの最終含水率を正確に調整するためにさらに乾燥されてよい場合に、連続して、例えば組み込まれた流動床から外部の付加的な流動床へ顆粒を運搬することによって、実施される。連続式において、全ての方法におけるカプセルの滞留時間が減少され、生成物の質に利益をもたらすことが判明する。
【0109】
有利には、流動床は、20℃〜約100℃の範囲内の温度を有する気体を供給され、その際、この範囲内の温度を有する気体は、該床から小さな開口部まで供給されて、カプセルを流動化/遮断することを意味する。有利には、該気体の温度は、65〜90℃の範囲内である。一般に、該気体は、空気である。噴霧域と同様に、本発明の方法は、さらに、先行技術を考慮して、流動床において、比較的高い温度を提供する。さらに、より短い乾燥機間は、驚くべきことに、より低い揮発性成分の損失をもたらす。
【0110】
本発明の方法によって得ることができる及び/又は得られるカプセルは、1〜50質量%の活性成分の装填量、例えば香味及び/又は香気の装填量を有してよい。好ましい一実施態様において、活性成分の装填量は、18〜50質量%の範囲内である。従って、20〜40質量%、有利には25〜38質量%、及びより有利には27〜35質量%の範囲内の高い活性成分の装填量を有することができる。
【0111】
より高い成分装填量は、本発明の方法によって得ることができ、その際、入口気体の比較的高い温度が使用され、従って先に知られている方法を使用した場合の揮発性成分よりも明確に優れた揮発性成分をもたらす。この高い装填量は、さらに、該方法によって得られた揮発性の低減させた損失の結果である。
【0112】
一般に、カプセルの総質量に対する粉化剤の寄与率は、本発明の好ましい一実施態様に対応する、0.1〜30%の範囲内であってよい。しかしながら、本発明は、粉化剤の0.1〜27質量%、有利には0.5〜25質量%、より有利には1〜20質量%、及び最も有利には2〜15質量%までの量の低減を考慮に入れる。好ましい一実施態様において、粉化剤の量は、本発明のカプセルの総質量の10質量%以下を構成する。
【0113】
本発明はさらに、本発明の方法によって得ることができる及び/又は得られるカプセルを提供する。
【0114】
本発明は、本発明のカプセル、及び/又は本発明の方法によって得ることができるカプセルを含有する食品も提供する。生成物は、例えば、カプセルの活性成分が、香味成分である食品であってよい。
【0115】
本発明は、活性成分が、付香組成物、例えば、香料、オーデトワレ、又は場合によりさらに溶剤及び/又は他の補助剤を含有する付香成分の他の組成物である、本発明のカプセルを含有する付香製品も含む。
【0116】
活性製薬成分の封入は、それらを含有する医薬調合物及び製薬生成物にも関する本発明によっても包含される。
【0117】
本発明の方法によって得ることができるカプセルの適用は、活性成分の制御された放出が、環境を含む水性又は湿気における使用に対して所望される場合に、最も有用であり、かつ有利である。例えば、即席飲料のための粉末の製造は、インスタントスープ調整品、味遮蔽用途、チューイングガム、低脂肪食品又は他の食品適用として、該カプセルから特に利益を得る。該カプセルは、活性の制御された放出が望ましい場合に、製薬産業又は化粧品産業における適用を見出してもよい。
【0118】
本発明は、次の実施例の方法によって説明されうる。
【0119】
実施例
次の実施例において、次の一般的な条件を適用した。組み込まれた流動床を有する、Niro(登録商標)FSD0.8型の小規模噴霧乾燥機/冷却機を、前記の方法を実施するために使用した。この噴霧乾燥機において、主要な空気流を、噴霧チャンバーの頂点の噴霧ノズルの周りの輪形隙間中に導入し、そして同一のチャンバーの天井から排出した。その排気気体を、凝結防止剤及び反応物を含む微粒子を付加的な空気流を使用してチャンバーに収集して戻す、サイクロンに通過した。流動床を、該チャンバーの底部に組み込み、凝結防止剤及び反応物によって囲まれた湿った顆粒を収集した。第三の空気流を、該顆粒を乾燥するための流動床中の多孔板に通過させた。
【0120】
実施例1
リモネンを含有するカプセルの製造
a)乾燥凝結防止剤及び粉化剤を形成する反応混合物の製造
Roquette Freres SA製の天然デンプンB型250gを、乾燥グルコン酸カルシウム(Fluka社製)150gと、機械的撹拌機(スイスのHUG Maschinenbau社製)を使用して混合した。Degussa社製のヒュームドシリカの、Aerosil(登録商標)200の0.4gを、粉末混合物の流動性を増加するために添加した。
【0121】
b)供給物の製造
改質デンプン(National Starch社製のCapsul(登録商標))65.5g、クエン酸5g及びスクロース50gを、温水(50℃)1150gと共に、溶解機ディスクを使用して、透明な黄色の溶液が得られるまで溶解した。そして、アルギン酸塩(FMC Biopolymer社製のprotanal LF10/60)29.5gを、完全溶解するまで添加した。純粋なリモネン150gを、改質デンプン溶液中へUltraTurrax(登録商標)UT25の2分間で23000rpm回転する回転子/固定子高速剪断混合機を使用して乳化した。
【0122】
c)処理条件
−入口の主要な空気流の温度=100℃
−入口の主要な空気流の流量=55Kg/h
−流動床の空気流の温度=65℃
−流動床の空気流の流量=24Kg/h
−微細な戻り空気流の温度=50℃
−微細な戻り空気流の流量=11Kg/h
−ノズルの気体流量=3Kg/h
−ノズル直径=1mm
−供給温度=40℃
【0123】
前記の方法の初めに、粉化剤混合物(すなわち、天然デンプンとグルコン酸カルシウムとの配合物)を、チャンバー中で、前記天井における穴を通して導入した。そしてこの粉末混合物を、チャンバー中で同時に流動化し、そして閉ループ中へ連続的に再循環した。
【0124】
全ての温度設定が、装置における所望の値に達した後に、供給物を、10分間、供給流量0.055l/分で噴霧した。
【0125】
そして前記噴霧を、停止し、そして顆粒を、流動床中で15分間より長い間、流動化を保った。
【0126】
乾燥顆粒180gを、流動床へ連結させたガラス容器中で蝶型弁を介して収集した。それらの平均直径は、350ミクロンであった。図1は、得られた乾燥顆粒の一般的な外観を示す。
【0127】
顆粒が水中で溶解するか確認するために、該顆粒1gを、冷水500ml中へ導入した。水和後、図2で見られるように、白い顆粒が、明瞭に見ることができ、そして水の相は明瞭なままであった。リモネンの乳濁液滴は、アルギン酸塩のゲル中に閉じ込められ、かつ水相中へ移動することはできなかった。
【0128】
実施例2
リモネンを含有するカプセルの製造
a)乾燥凝結防止剤及び反応物の製造
Roquette Freres SA製の天然デンプンB型200gを、乾燥グルコン酸カルシウム(Aldrich 22、764−1)100gと、機械的撹拌機(スイスのHUG Maschinenbau社製)を使用して混合した。
【0129】
b)供給物の製造
改質デンプン(National Starch社製のCapsul(登録商標))100g、マルトデキストリン10−18DE640g、及びペクチン(Degussa社製のUnipectine OF 305)60gを、温水(50℃)1100gと共に、溶解機ディスクを使用して、透明な黄色の溶液が得られるまで溶解した。純粋なリモネン200gを、改質デンプン溶液中へUltraTurrax(登録商標)UT25の2分間で23000rpm回転する回転子/固定子高速剪断混合機を使用して乳化した。
【0130】
c)処理条件
−入口の主要な空気流の温度=210℃
−入口の主要な空気流の流量=75Kg/h
−流動床の空気流の温度=75℃
−流動床の空気流の流量=24Kg/h
−微細な戻り空気流の温度=50℃
−微細な戻り空気流の流量=11Kg/h
−ノズルの気体流量=20nl/h
−ノズル直径=1mm
−供給温度=40℃
【0131】
前記の方法の初めに、粉末混合物を、チャンバー中で、微細な戻りパイプへ連結したホッパーを介して導入した。そして、この粉末混合物を、チャンバー中で同時に流動化し、そして閉ループ中へ連続的に再循環した。
【0132】
全ての温度設定が、装置において得られた後に、供給物を、10分間、供給流量0.057l/分で噴霧した。
【0133】
そして前記噴霧を、停止し、そして顆粒を、流動床中で10分間より長い間、流動化を保った。
【0134】
乾燥顆粒270gを、流動床へ連結させたガラス容器中で蝶型弁を介して収集した。それらの平均直径は、500ミクロンであった。
【0135】
顆粒が水中で溶解するか確認するために、該顆粒1gを、温水(60℃)1000ml中へ導入した。水和後、白い顆粒が、明瞭に見ることができ、そして水の相は明瞭なままであった。リモネンの乳濁液滴は、ペクチンゲル中に閉じ込められ、かつ水相中へ移動することはできなかった。
【0136】
最終のリモネン装填量は、顆粒の最終質量に対して、15%(w/w)であった。該顆粒は、それらの表面上で、乾燥グルコン酸Caと天然デンプンとの混合物の約20%(w/w)を含んだ。最初の供給物中に含まれる量と比較した香味の損失は、10%未満であり、前記方法は、かかるより高い揮発性活性成分の封入のために非常に効果的であることを示した。該顆粒の表面に存在するグルコン酸Caと天然デンプンとの最終量は、香味の損失の計算のために考慮されなければならいことに注意する。
【0137】
実施例3
リモネンを含有するカプセルの製造
実施例2と同様の処理条件を、ペクチンのより少ない量を含有する配合物を除いて、使用した。
【0138】
供給物の製造:
改質デンプン(National Starch社製のCapsul(登録商標))100g、マルトデキストリン10−18DE680g、及びペクチン(Degussa社製のUnipectine OF 305)20gを、温水(50℃)1100gと共に、溶解機ディスクを使用して、透明な黄色の溶液が得られるまで溶解した。純粋なリモネン200gを、改質デンプン溶液中へUltraTurrax(登録商標)UT25の2分間で23000rpm回転する回転子/固定子高速剪断混合機を使用して乳化した。乾燥顆粒270gを、ガラス容器中で収集した。
【0139】
最終リモネン装填量は、顆粒の最終質量に対して、15%(w/w)であった。ペクチンの量は、非常に低かったが、その粒子は、温水中でまだゼリー状であり、かつリモネンの液滴は、ゲル状基材中で閉じ込まれた。
【0140】
実施例4及び5
香味含有カプセルの製造
2つの香味、ミント調の香味(Firmenich SA製の880335 NF)、ストロベリー調の香味(Firmenich SA製の502301 TA)のそれぞれを、実施例3において記載されている条件と同一の条件で封入し、香味活性材料の付香されたカプセルを提供し、そしてその際、温水中で導入した場合に同様の挙動を示した。最終の香味装填量は、それぞれ、ミントの香味カプセル33質量%、ストロベリーの香味カプセル35.2質量%であり、その際、どちらの場合も、該粒子は、平均直径350ミクロンを有した。
【0141】
実施例6
香料を含有するカプセルの製造
a)乾燥凝結防止剤及び粉化剤を形成する反応混合物の製造
Roquette Freres SA製の天然デンプンB型250gを、乾燥硫酸二ナトリウム(Na2SO4−Fluka社製)75gと、機械的撹拌機(スイスのHUG Maschinenbau社製)を使用して混合した。
【0142】
b)供給物の製造
ポリビニルアルコール(Erkol V03/1410)207.6g、スクロース28g、消泡剤0.4gを、温水(50℃)800gと共に、溶解機ディスクを使用して、透明な黄色の溶液が得られるまで溶解した。香料(Loving UN 147988)164gを、ポリビニルアルコール/スクロース溶液中で、UltraTurrax(登録商標)UT25の2分間で23000rpm回転する回転子/固定子高速剪断混合機を使用して乳化した。
【0143】
c)処理条件
−入口の主要な空気流の温度=230℃
−入口の主要な空気流の流量=75Kg/h
−流動床の空気流の温度=75℃
−流動床の空気流の流量=23Kg/h
−微細な戻り空気流の温度=50℃
−微細な戻り空気流の流量=16Kg/h
−ノズルの気体流量=3Kg/h
−ノズル直径=1mm
−供給温度=40℃
【0144】
前記方法の初めに、粉化剤混合物を、チャンバー中へ微細な戻りラインへ連結したホッパーを介して導入した。そして、この粉末混合物を、チャンバー中で同時に流動化し、そして閉ループ中へ連続的に再循環した。
【0145】
全ての温度設定が、装置における所望の値に達した後に、供給物を、10分間、供給流量0.055l/分で噴霧した。
【0146】
そして前記噴霧を、停止し、そして顆粒を、流動床中で15分間より長い間、流動化を保った。
【0147】
乾燥顆粒180gを、流動床へ連結させたガラス容器中で蝶型弁を介して収集した。それらの平均直径は、350ミクロンであった。
【0148】
顆粒が水中で溶解するか確認するために、該顆粒1gを、冷水500ml中へ導入した。水和後、図2で見られるように、白い顆粒が、明瞭に見ることができ、そして水の相は明瞭なままであった。芳香乳濁液の液滴は、ポリビニルアルコール基材中で閉じこめられ、ポリビニルアルコールが硫酸二ナトリウムの存在下で沈澱するために非常にゆっくり溶解した。
【0149】
実施例7
内部ゲル化によってリモネンを含有するカプセルの製造
a)乾燥凝結防止剤及び粉化剤を形成する反応混合物の製造
Roquette Freres SA製の天然デンプンB型250gを、乾燥クエン酸150gと、機械的撹拌機(スイスのHUG Maschinenbau社製)を使用して混合した。Degussa社製のヒュームドシリカの、Aerosil(登録商標)200の0.4gを、粉末混合物の流動性を増加するために添加した。
【0150】
b)供給物の製造
改質デンプン(National Starch社製のCapsul(登録商標))60.5g、及びスクロース50gを、温水(50℃)1150gと共に、溶解機ディスクを使用して、透明な黄色の溶液が得られるまで溶解した。リン酸二カルシウム(Fluka社製)10gを該溶液に添加し、改質デンプン/スクロース溶液中でリン酸二カルシウムの懸濁液を製造した。そして、アルギン酸塩(FMC Biopolymer社製のprotanal LF10/60)29.5gを、完全溶解するまで添加した。純粋なリモネン150gを、リン酸二カルシウムの懸濁液中へUltraTurrax(登録商標)UT25の2分間で23000rpm回転する回転子/固定子高速剪断混合機を使用して乳化した。
【0151】
c)処理条件
−入口の主要な空気流の温度=100℃
−入口の主要な空気流の流量=55Kg/h
−流動床の空気流の温度=65℃
−流動床の空気流の流量=24Kg/h
−微細な戻り空気流の温度=50℃
−微細な戻り空気流の流量=11Kg/h
−ノズルの気体流量=3Kg/h
−ノズル直径=1mm
−供給温度=40℃
【0152】
前記方法の初めに、粉化剤混合物(すなわち、天然デンプンとクエン酸との配合物)を、チャンバー中で、前記天井における穴を通して導入した。そしてこの粉末混合物を、チャンバー中で同時に流動化し、そして閉ループ中へ連続的に再循環した。
【0153】
全ての温度設定が、装置における所望の値に達した後に、供給物を、10分間、供給流量0.055l/分で噴霧した。
【0154】
そして前記噴霧を、停止し、そして顆粒を、流動床中で15分間より長い間、流動化を保った。
【0155】
乾燥顆粒180gを、流動床へ連結させたガラス容器中で蝶型弁を介して収集した。それらの平均直径は、350ミクロンであった。図1は、得られた乾燥顆粒の一般的な外観を示す。
【0156】
顆粒が水中で溶解するか確認するために、該顆粒1gを、冷水500ml中へ導入した。水和後、白い顆粒が、明瞭に見ることができ、そして水の相は明瞭なままであった。リモネンの乳濁液滴は、アルギン酸塩のゲル中に閉じ込められ、かつ水相中へ移動することはできなかった。
【0157】
実施例8
甘味料を含有するカプセルの製造
a)乾燥凝結防止剤及び反応物の製造
天然デンプンB型(Roquette Freres SA製)200gを、乾燥グルコン酸カルシウム(Aldrich 22、764−1)100gと、機械的撹拌機(スイスのHUG Maschinenbau社製)を使用して混合した。
【0158】
b)供給物の製造
改質デンプン(National Starch社製のCapsul(登録商標))100g、マルトデキストリン10−18DE660g、及びペクチン(Degussa社製のUnipectine OF 305)40gを、温水(50℃)1100gと共に、溶解機ディスクを使用して、透明な黄色の溶液が得られるまで溶解した。アスパルテーム200gを、UltraTurrax(登録商標)UT25の2分間で23000rpm回転する回転子/固定子高速剪断混合機を使用して改質デンプン溶液へ添加した。
【0159】
c)処理条件
−入口の主要な空気流の温度=210℃
−入口の主要な空気流の流量=75Kg/h
−流動床の空気流の温度=75℃
−流動床の空気流の流量=24Kg/h
−微細な戻り空気流の温度=50℃
−微細な戻り空気流の流量=11Kg/h
−ノズルの気体流量=25nl/h
−ノズル直径=1mm
−供給温度=40℃
【0160】
前記方法の初めに、粉末混合物を、チャンバー中へ微細な戻りパイプへ連結したホッパーを介して導入した。そして、この粉末混合物を、チャンバー中で同時に流動化し、そして閉ループ中へ連続的に再循環した。
【0161】
全ての温度設定が、装置において得られた後に、供給物を、10分間、供給流量0.057l/分で噴霧した。
【0162】
そして前記噴霧を、停止し、そして顆粒を、流動床中で10分間より長い間、流動化を保った。
【0163】
乾燥顆粒75gを、流動床へ連結させたガラス容器中で蝶型弁を介して収集した。平均直径は、58g>210ミクロン及び17g>500ミクロンであった。
【0164】
顆粒が水中で溶解するか確認するために、該顆粒1gを、温水(60℃)1000ml中へ導入した。水和後、白い顆粒が、明瞭に見ることができ、水中で遅れた溶解性を示した。
【0165】
最終のアスパルテーム装填量は、顆粒の最終質量に対して、約16%(w/w)であった。該顆粒は、それらの表面上で、乾燥グルコン酸Caと天然デンプンとの混合物の約20%(w/w)を含んだ。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】本発明によって得られた乾燥顆粒を示す図。
【図2】水中で30分間50℃で滞留した後の図1の粒子を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
100〜2000μmの範囲内の平均直径を有し、かつ活性成分を含有するカプセルの製造方法であって、その際、該方法は、
a)活性成分、キャリヤーもしくは基材材料、及び溶剤を含有する溶液、懸濁液及び/又は乳濁液を製造して、供給物を形成する工程、
b)平均直径100〜2000μmを有する滴の形で前記供給物を噴霧塔中へ噴霧する工程、
c)噴霧工程と同時に、噴霧塔中へ粉化剤を導入する工程、
d)噴霧工程と同時に、噴霧塔中へ−20℃〜500℃の範囲内の温度を有する気体を供給する工程、及び
e)噴霧塔からカプセルを取り出す工程
を含み、その際、工程c)において使用された粉化剤の添加と同時に、噴霧塔中に前記キャリヤー材料と反応可能な反応物を導入し、得られたカプセルの水性媒体中での溶解性を改質する方法。
【請求項2】
熱気体が、前記方法の工程d)において50℃〜500℃の温度で噴霧塔中に供給される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該熱気体の温度が、100℃〜250℃の範囲内、より有利には120℃〜200℃の範囲内である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記の気体の温度が、30℃未満、より有利には−20℃〜10℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
さらに、粉化剤によって被覆された後に、及び噴霧塔中で熱気体によって少なくとも外面的に乾燥された後に、流動床によって前記カプセルを横取りする工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記溶剤が、水性である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記粉化剤が、供給物のキャリヤー材料と反応することができる反応物を含有する、請求項1又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記流動床に、41〜約100℃の範囲内の温度を有する気体が供給される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記の活性成分を含有する供給物が、10〜80質量%の範囲内、より有利には45〜75質量%の範囲内の乾燥物質含量を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記カプセルが、0.1〜70質量%、有利には10〜50質量%の香味及び/又は香気成分装填量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
供給物における基材材料が、多糖、及び有利には、単糖及び/又は二糖、三糖及びオリゴ糖の群から選択された糖を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記粉化剤が、前記カプセルの総質量の0.1〜30質量%を表すカプセルの表面上の被覆を提供する、請求項1又は7に記載の方法。
【請求項13】
前記のキャリヤー又は基材材料が、デキストリン、タンパク質、デンプン、改質デンプン、トウモロコシシロップ、セルロース及びそれらの誘導体、ガム、親水コロイド、微生物、多糖、並びにそれら材料の2つ以上の混合物からなる群から選択される、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記粉化剤が、デンプン、デンプン誘導体、タルク、ベントナイト、二酸化ケイ素、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム又はカリウムのケイ酸塩、ナトリウム、カリウム又はカルシウムのアルミノケイ酸塩、カルシウム、ナトリウム又はマグネシウムの炭酸塩、カルシウム又はマグネシウムのリン酸塩、クエン酸第二鉄アンモニウム、微晶性セルロース及びセルロース誘導体又は繊維、アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム又はアンモニウムの脂肪酸の塩、酸化マグネシウム、並びに前記粉化剤の2つ以上を含有する混合物からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記反応物が、キャリヤー材料と反応して、ゲル化、重合化、架橋、結晶化、又は前記キャリヤー材料の水溶性を改質することができるそれらのあらゆる他の化学又は物理変態を誘導することができる物質である、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記キャリヤー材料が、改質デンプンを含有し、或いはマルトデキストリン及び/又はタンパク質との混合物で含有し、前記粉化剤が、天然デンプンであり、かつ前記反応物が、グルコン酸カルシウムである、請求項13から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記キャリヤー材料が、ポリビニルアルコールを含有し、前記粉化剤が、天然デンプンであり、かつ前記反応物が、硫酸二ナトリウムである、請求項13から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
請求項1から17までのいずれか1項に記載の方法によって得ることができる、活性成分を含有するカプセル。
【請求項19】
100〜2000μmの範囲内の平均直径を有し、活性成分を含有するカプセルであって、その際、活性成分の装填量が、0.1〜70質量%の範囲内であり、前記カプセルが、粉化剤によって提供される被覆を含有し、それによって被覆は、カプセルの総質量の0.1〜30質量%を提供するカプセル。
【請求項20】
活性成分を有し、かつ平均直径100〜2000μmを有する噴霧された粒子の水溶性を調整する方法であって、該粒子は、請求項1から17までのいずれか1項に記載の方法によって製造される方法。
【請求項21】
請求項18に記載のカプセルを含有する消費製品。
【請求項22】
請求項19に記載のカプセルを含有する消費製品。
【請求項23】
香水、石けん、化粧品、もしくは他のボディケア製品、ヘアケア製品、食品もしくは飲料水、チューイングガムもしくはオーラルケア製品、例えばうがい薬及び練り歯磨き、医薬品、食品サプリメントの形である、請求項21又は22に記載の消費製品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−537322(P2009−537322A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511619(P2009−511619)
【出願日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【国際出願番号】PCT/IB2007/051655
【国際公開番号】WO2007/135583
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(390009287)フイルメニツヒ ソシエテ アノニム (146)
【氏名又は名称原語表記】FIRMENICH SA
【住所又は居所原語表記】1,route des Jeunes, CH−1211 Geneve 8, Switzerland
【Fターム(参考)】