説明

1次元−2次元切り替え型GC−MS分析装置

【課題】 装置構成を変更することなく簡単な切り替え操作のみによって、1台の分析機器を用いて1次元GC−MS/におい嗅ぎ分析と、2次元GC−MS/におい嗅ぎ分析を自由自在に行えるようにする。
【解決手段】圧力制御装置付き試料注入口、試料注入口に接続したGC1次元目カラム、GC1次元目カラムに接続した3方コネクタT1−2、T1−2に各々接続したT1−1、T1−3、T1−1、T1−3に接続し、3方コネクタT1−1、T1−3の流路を調整するソレノイドバルブ、ソレノイドバルブに接続した第1の圧力制御装置、T1−3に接続するT2−1、T2−1に接続する第2の圧力制御装置、T2−1に接続するT2−2、T2−2に接続するT2−3、T2−3に各々接続する質量分析器およびにおい嗅ぎ装置、T1−1とT2−2に接続するGC2次元目カラム、を備えるにおい成分分析装置を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC−MS)に関する。さらに詳しくは、GC−MSにおいて、装置構成を変更することなく、ガスクロマトグラフ装置(GC)を1次元あるいは2次元に容易に切り替えることにより、目的とする成分の同定を行うことができる装置に関する。また、本発明は、GC−MSおよびにおい嗅ぎ装置を用いた装置において、装置構成を変更することなく、GCを1次元あるいは2次元に容易に切り替えることにより、におい成分の同定を行うことができる装置に関する。また、同一装置の構成により、におい嗅ぎ装置を他のGC検出器に置き換えることにより、汎用的な化学物質の同定装置として使用する事も可能である。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者の食の安全、健康影響などに関する関心の高まりなどを受けて、食品、飲料、香料、包装容器、自動車、自動車部品メーカーなど多くの業種に1次元GC−MS/におい嗅ぎ装置が導入されている。このにおい成分の分析においては、GCや、GC−MSを用い、GC出口部分に取り付けて使用するにおい嗅ぎ装置(非特許文献1)と組合せて分析を行うことで、同定分析を行っている(1次元GC−MS/におい嗅ぎ分析、図1、図2参照)。
【0003】
しかしながら、分析に求められる要求は益々高まり、より微量のにおい成分に対する分析技術が求められるため、1次元GC−MS/におい嗅ぎ装置のみでは分離不十分であり、これらの成分を分離するための2次元GC−MS/におい嗅ぎ装置への要求が高まっている。この2次元分析においては、1台のGCでは分離不十分な場合に、2台目のGCを接続した2次元GC(非特許文献2、3)を用い、同じく2台目のGC出口に質量分析器(MS)、そしてにおい嗅ぎ装置をつけて、同定分析を行っている(2次元GC−MS/におい嗅ぎ分析、図3、図4参照)。
【0004】
しかしながら、これらの1次元GC−MS/におい嗅ぎ分析装置と、2次元GC−MS/におい嗅ぎ装置は別々の装置であり、分離不十分な成分の分析と同定を行う際には、高額な装置を2システム保有する必要がある。
【0005】
また、におい分析以外の一般分析においても、同様に1台のGCで分離が不十分な場合には、別の2次元GCシステムを用いて分析を行う必要がある。
【特許文献1】特開2005−291715
【非特許文献1】GERSTEL社加熱脱着導入システムカタログ、16,17ページ
【非特許文献2】GERSTEL社エクセレントソリューションカタログ、14,15ページ
【非特許文献3】丸善株式会社 ガスクロ自由自在、89ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、GC−MSにおいて、装置構成を変更することなく、簡単な切り替え操作のみによって、1次元GC分析と2次元GC分析を行えるようにすることにある。また、2次元GC−MS/におい嗅ぎ装置において、装置構成を変更することなく、簡単な切り替え操作のみによって、1次元GC−MS/におい嗅ぎ分析と、2次元GC−MS/におい嗅ぎ分析を自由自在に行えるようにすることにある。また、におい分析以外の用途においても、1次元GC分析と2次元GC分析を切り替えて行うことを、可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、2次元GC−MS/におい嗅ぎ装置内に、特定の流路制御を行う機構を組み込むことにより、装置構成を変更することなく、簡単な切り替え操作のみによって、1次元GC−MS/におい嗅ぎ分析と、2次元GC−MS/におい嗅ぎ分析を自由自在に行えることを見出した。また同様に、特定の流路制御を行う機構を組み込むことにより、装置構成を変更することなく1次元GC−MSと2次元GC−MSによる分析を行えることを見出した。
【0008】
即ち、本発明は、(a)圧力制御装置付き試料注入口と、(b)前記試料注入口に接続したGC1次元目カラムと、(c)前記GC1次元目カラムに接続した3方コネクタT1−2と、(d)前記3方コネクタT1−2に各々接続した3方コネクタT1−1、T1−3と、(e)前記3方コネクタT1−1、T1−3に接続し、3方コネクタT1−1、T1−3の流路を調整するソレノイドバルブと、(f)前記ソレノイドバルブに接続した第1の圧力制御装置と、(g)前記3方コネクタT1−3に接続する3方コネクタT2−1と、(h)前記3方コネクタT2−1に接続する第2の圧力制御装置と、(i)前記3方コネクタT2−1に接続する3方コネクタT2−2と、(j)前記3方コネクタT2−2に接続する3方コネクタT2−3と、(k)前記3方コネクタT2−3に各々接続する質量分析器およびにおい嗅ぎ装置と、(l)前記3方コネクタT1−1と前記3方コネクタT2−2に接続するGC2次元目カラムと、を備えることを特徴とするにおい成分分析装置である。
また、本発明は、(a)圧力制御装置付き試料注入口と、(b)前記試料注入口に接続したGC1次元目カラムと、(c)前記GC1次元目カラムに接続した3方コネクタT1−2と、(d)前記3方コネクタT1−2に各々接続した3方コネクタT1−1、T1−3と、(e)前記3方コネクタT1−1、T1−3に接続し、3方コネクタT1−1、T1−3の流路を調整するソレノイドバルブと、(f)前記ソレノイドバルブに接続した圧力制御装置FPR1と、(g)前記3方コネクタT1−3に接続する5方コネクタと、(h)前記5方コネクタにそれぞれ接続する圧力制御装置FPR2、GC2次元目カラム、質量分析器およびにおい嗅ぎ装置と、を備えることを特徴とするにおい成分分析装置である。
また、本発明は、1次元目カラム部分のみおよび/または2次元目カラム部分のみを、温度調整する装置を有する、上記のにおい成分分析装置である。
また、本発明は、(a)圧力制御装置付き試料注入口と、(b)前記試料注入口に接続したGC1次元目カラムと、(c)前記GC1次元目カラムに接続した3方コネクタT1−2と、(d)前記3方コネクタT1−2に各々接続した3方コネクタT1−1、T1−3と、(e)前記3方コネクタT1−1、T1−3に接続し、3方コネクタT1−1、T1−3の流路を調整するソレノイドバルブと、(f)前記ソレノイドバルブに接続した第1の圧力制御装置と、(g)前記3方コネクタT1−3に接続する3方コネクタT2−1と、(h)前記3方コネクタT2−1に接続する第2の圧力制御装置と、(i)前記3方コネクタT2−1に接続する3方コネクタT2−2と、(j)前記3方コネクタT2−2に接続する3方コネクタT2−3と、(k)前記3方コネクタT2−3に各々接続する質量分析器およびGC検出器と、(l)前記3方コネクタT1−1と前記3方コネクタT2−2に接続するGC2次元目カラムと、を備えることを特徴とする分析装置である。
また、本発明は、(a)圧力制御装置付き試料注入口と、(b)前記試料注入口に接続したGC1次元目カラムと、(c)前記GC1次元目カラムに接続した3方コネクタT1−2と、(d)前記3方コネクタT1−2に各々接続した3方コネクタT1−1、T1−3と、(e)前記3方コネクタT1−1、T1−3に接続し、3方コネクタT1−1、T1−3の流路を調整するソレノイドバルブと、(f)前記ソレノイドバルブに接続した第1の圧力制御装置と、(g)前記3方コネクタT1−3に接続する5方コネクタと、(h)前記5方コネクタにそれぞれ接続する第2の圧力制御装置、GC2次元目カラム、質量分析器およびGC検出器と、を備えることを特徴とする分析装置である。
また、本発明は、1次元目カラム部分のみおよび/または2次元目カラム部分のみを、温度調整する装置を有する、上記の分析装置である。
また、本発明は、GC検出器が、FID、NPD、ECD、SCD、NCD、AED、FPD、およびPFPDからなる群から選択される上記の分析装置である。
また、本発明は、(a)圧力制御装置付き試料注入口と、(b)前記試料注入口に接続したGC1次元目カラムと、(c)前記GC1次元目カラムに接続した3方コネクタT1−2と、(d)前記3方コネクタT1−2に各々接続した3方コネクタT1−1、T1−3と、(e)前記3方コネクタT1−1、T1−3に接続し、3方コネクタT1−1、T1−3の流路を調整するソレノイドバルブと、(f)前記ソレノイドバルブに接続した第1の圧力制御装置と、(g)前記3方コネクタT1−3に接続する3方コネクタT2−1と、(h)前記3方コネクタT2−1に接続する第2の圧力制御装置と、(i)前記3方コネクタT2−1に接続する3方コネクタT2−2と、(j)前記3方コネクタT2−2に接続する質量分析器と、(k)前記3方コネクタT1−1と前記3方コネクタT2−2に接続するGC2次元目カラムと、を備えることを特徴とする分析装置である。
また、本発明は、1次元目カラム部分のみおよび/または2次元目カラム部分のみを、温度調整する装置を有する、上記の分析装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、2次元GC−MS/におい嗅ぎ装置において、装置構成を変更することなく、簡単な切り替え操作のみによって、1次元GC−MS/におい嗅ぎ分析と、2次元GC−MS/におい嗅ぎ分析を自由自在に行えるようになる。また、本発明によれば、におい分析以外の分析においても、1次元GC分析と2次元GC分析を切り替えて行うことが、可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を図面を参照して、説明する。図5に本発明のにおい成分分析装置の概略を示す。図5において、本発明のにおい成分分析装置は、(a)圧力制御装置付き試料注入口51と、(b)圧力制御装置付き試料注入口51に接続したGC1次元目カラム55と、(c)GC1次元目カラム55に接続した3方コネクタT1−2と、(d)3方コネクタT1−2に各々接続した3方コネクタT1−1、T1−3と、(e)3方コネクタT1−1、T1−3に接続するソレノイドバルブ54と、(f)ソレノイドバルブ54に接続した圧力制御装置52と、(g)3方コネクタT1−3に接続する3方コネクタT2−1と、(h)3方コネクタT2−1に接続する圧力制御装置53と、(i)3方コネクタT2−1に接続する3方コネクタT2−2と、(j)3方コネクタT2−2に接続する3方コネクタT2−3と、(k)3方コネクタT2−3に各々接続する質量分析器43およびにおい嗅ぎ装置44と、(l)3方コネクタT1−1と3方コネクタT2−2に接続するGC2次元目カラム56を備える。また、試料注入口51、圧力制御装置52、ソレノイドバルブ54、3方コネクタT1−1、T1−2、T1−3およびGC1次元目カラム55は、1次元目ガスクロマトグラフ装置41を構成する。そして、圧力制御装置53、3方コネクタT2−1、T2−2、T2−3およびGC2次元目カラム56は、2次元目ガスクロマトグラフ装置42を構成する。そして、本発明のにおい成分分析装置は、ガスクロマトグラフ装置41および42にそれぞれ接続する制御用コンピュータ45から構成される。
【0011】
次に、本発明のにおい成分分析装置の作用について説明する。まず、GC1次元カラムのみによる、分析方法について説明する。図6において、分析対象となる試料を、圧力制御装置付き試料注入口51から注入する。この際の試料注入口の圧力P0は、3方コネクタT1−2における圧力P1より高く設定されている。圧力制御装置付き試料注入口51から注入された試料は、GC1次元目カラム55に導入され、保持時間に応じて分離され、3方コネクタT1−2をとおり3方コネクタT1−3を経由して、2次元目ガスクロマトグラフ装置42に導入される。尚、ソレノイドバルブ54は、スイッチがOFFの状態にあり、圧力制御装置52から流入する移動相ガスは、3方コネクタT1−1を通り、3方コネクタT1−2およびGC2次元目カラム56に導入されるよう分離して流れる。このため、GC1次元目カラム55から流出した試料は、GC2次元目カラム56に導入されることなく、3方コネクタT2−1に導入されることとなる。そして、GC1次元目カラム55で分離された試料は、3方コネクタT2−1、T2−2、T2−3を経て、質量分析器43およびにおい嗅ぎ装置44に分かれて導入される。ここで、質量分析器43にて、質量分析が行われ、また、同時ににおい嗅ぎ装置44により、におい物質の検出が行われる。なお、T2−2では、GC2次元目カラム56を通過した移動相ガスが混合されるが、この移動相ガスには、試料成分が混入しておらず、質量分析器43およびにおい嗅ぎ装置44における検出に影響を与えるものではない。以上によりGC1次元目のカラムのみを用いた分析が、本装置により行われる。
【0012】
次に、GC1次元カラムの他に、GC2次元目カラムを用いた分析方法について説明する。例えば図4に示すように、GC1次元目カラムによる分離において、異臭を感じたが、共存成分に埋もれて同定ができない場合には、目的とする試料をGC1次元目カラムを用いて分離した後、その分離した試料部分をGC2次元目カラムに導入する。即ち、図6に示すように、まず、GC1次元目カラム55により試料を分離した後、先の分析において異臭を感じた部分の保持時間に達した場合、図7に示すようにソレノイドバルブ54をONにする。すると、圧力制御装置52から供給される移動相ガスが、3方コネクタT1−3に導入され、GC1次元目カラム55から供給される、目的とする試料成分の含まれる移動相ガスが3方コネクタT1−2に導入されて、3方コネクタT1−3から導入される移動相ガスと混合され、3方コネクタT1−1に供給される。このとき、圧力制御装置52から3方コネクタT1−3に供給された移動相ガスは、一部が3方コネクタT1−2に、残りが3方コネクタT2−1に導入される。3方コネクタT1−1から出た試料ガスは、GC2次元目カラム56に導入に導入され、各成分に分離されて、3方コネクタT2−2に導入される。3方コネクタT2−2では、3方コネクタT1−3から供給された移動相ガスと試料ガスとが混合され、3方コネクタT2−3を通って質量分析装置43、およびにおい嗅ぎ装置44にそれぞれ供給される。これにより、図4に示すように、2次元目カラムを用いてにおい成分を同定することが可能となる。なお、試料成分をGC2次元目カラム56に導入し終えたところで、ソレノイドバルブ54を再びOFFにすると同時に圧力制御装置付き試料注入口51の圧力P0を3方コネクタT1−2の圧力P1より低くすることにより、GC1次元目カラム55に残った他の試料成分は圧力制御装置付き試料注入口51に戻され、そのまま排気される。これにより、目的としない他の成分が、質量分析器43やにおい嗅ぎ装置44に流入するのを防ぐことができる。なお、これらのバルブの制御や圧力制御装置は、制御用コンピュータ45によって、制御させてもよい。
【0013】
以上のようにして、1つの装置を用いて、GC1次元におい分析、およびGC2次元におい分析を、装置構成を変更することなく、簡単な切り替え操作により行うことができるようになる。
【0014】
次に本発明の他の態様につて説明する。本発明の他の態様としては、図6におけるにおい嗅ぎ装置44に替えて、GC検出器70を接続する(図9参照)。図9において、各装置の作用は、GC検出器70を除き、図6におけるものと同一であるので、説明を省略する。本装置において、GC検出器70は、GC1次元目カラム55のみを用いて分離された試料につき、質量分析装置43とともに、GCの検出を行うことができる。そして、ソレノイドバルブ54を切り替えることにより、特定部分の試料についてGC2次元目カラム56により、さらに分離された試料について、質量分析装置43とともに、GCの検出を行うことができる。
【0015】
なお、GC検出器70における検出装置としては、特に限定はないが、例えば、FID(水素炎イオン化検出器)、NPD(窒素リン検出器)、ECD(電子捕獲型検出器)、SCD(イオウ炎化学発光検出器)、(NCD)窒素炎化学発光検出器、AED(原子発光検出器)、FPD(炎光光度検出器)、およびPFPD(パルスド炎光光度検出器)等を挙げることができる。
【0016】
次に、本発明の装置の他の態様について説明する。図10において、本発明の分析装置は、図9における3方コネクタT2−1、T2−2、T2−3に替えて、5方コネクタ80を用いた例である。5方コネクタ80に替えることにより、より簡潔な装置とすることができる。なお、図10において、GC検出器70に替えて、図6におけるにおい嗅ぎ装置44を用いてにおい分析装置とすることもできる。
【0017】
図11において、本発明の別の態様について説明する。図6と比較した場合、GC1次元目カラム55、GC2次元目カラム56が、流路制御部90から突出し、おのおのカラムヒータ92および94により、温度調整されている。また、図6と比較して、3方コネクタT2−1、T2−2、T2−3に替えて、5方コネクタ80を用いている。この構成に替えることにより、より簡潔な装置とすることができる。
【0018】
次に、本発明の装置の他の態様について説明する。図12に本発明の分析装置の概略を示す。図12において、本発明の分析装置は、(a)圧力制御装置付き試料注入口51と、(b)圧力制御装置付き試料注入口51に接続したGC1次元目カラム55と、(c)GC1次元目カラム55に接続した3方コネクタT1−2と、(d)3方コネクタT1−2に各々接続した3方コネクタT1−1、T1−3と、(e)3方コネクタT1−1、T1−3に接続するソレノイドバルブ54と、(f)ソレノイドバルブ54に接続した圧力制御装置52と、(g)3方コネクタT1−3に接続する3方コネクタT2−1と、(h)3方コネクタT2−1に接続する圧力制御装置53と、(i)3方コネクタT2−1に接続する3方コネクタT2−2と、(j)3方コネクタT2−2に接続する質量分析器43と、(k)3方コネクタT1−1と3方コネクタT2−2に接続するGC2次元目カラム56を備える。また、試料注入口51、圧力制御装置52、ソレノイドバルブ54、3方コネクタT1−1、T1−2、T1−3およびGC1次元目カラム55は、1次元目ガスクロマトグラフ装置41を構成する。そして、圧力制御装置53、3方コネクタT2−1、T2−2およびGC2次元目カラム56は、2次元目ガスクロマトグラフ装置42を構成する。そして、本発明の分析装置は、ガスクロマトグラフ装置41および42にそれぞれ接続する制御用コンピュータ45から構成される。
【0019】
次に、本発明の分析装置の作用について説明する。まず、GC1次元カラムのみによる、分析方法について説明する。図12において、分析対象となる試料を、圧力制御装置付き試料注入口51から注入する。この際の試料注入口の圧力P0は、3方コネクタT1−2における圧力P1より高く設定されている。圧力制御装置付き試料注入口から注入された試料は、GC1次元目カラムに導入され、保持時間に応じて分離され、3方コネクタT1−2をとおり3方コネクタT1−3を経由して、2次元目ガスクロマトグラフ装置42に導入される。尚、ソレノイドバルブ54は、スイッチがOFFの状態にあり、圧力制御装置52から流入する移動相ガスは、3方コネクタT1−1を通り、3方コネクタT1−2およびGC2次元目カラム56に導入されるよう分離して流れる。このため、GC1次元目カラム55から流出した試料は、GC2次元目カラム56に導入されることなく、3方コネクタT2−1に導入されることとなる。そして、GC1次元目カラム55で分離された試料は、3方コネクタT2−1、T2−2を経て、質量分析器43に導入される。ここで、質量分析器43にて、質量分析が行われる。なお、T2−2では、GC2次元目カラム56を通過した移動相ガスが混合されるが、この移動相ガスには、試料成分が混入しておらず、質量分析器43における検出に影響を与えるものではない。以上によりGC1次元目のカラムのみを用いた分析が、本装置により行われる。
【0020】
次に、GC1次元カラムの他に、GC2次元目カラムを用いた分析方法について説明する。GC1次元目カラムによる分離において、共存成分が複数あり同定ができない場合には、目的とする試料をGC1次元目カラムを用いて分離した後、その分離した試料部分をGC2次元目カラムに導入する。即ち、図12に示すように、まず、GC1次元目カラム55により試料を分離した後、先の分析における共存部分の保持時間に達した場合、ソレノイドバルブ54をONにする。すると、圧力制御装置52から供給される移動相ガスが、3方コネクタT1−3に導入され、GC1次元目カラム55から供給される、目的とする試料成分の含まれる移動相ガスが3方コネクタT1−2に導入されて、3方コネクタT1−3から導入される移動相ガスと混合され、3方コネクタT1−1に供給される。このとき、圧力制御装置52から3方コネクタT1−3に供給された移動相ガスは、一部が3方コネクタT1−2に、残りが3方コネクタT2−1に導入される。3方コネクタT1−1から出た試料ガスは、GC2次元目カラム56に導入に導入され、各成分に分離されて、3方コネクタT2−2に導入される。3方コネクタT2−2では、3方コネクタT1−3から供給された移動相ガスと試料ガスとが混合され、質量分析装置43に供給される。これにより、2次元目カラムを用いて目的とする成分を同定することが可能となる。なお、試料成分をGC2次元目カラム56に導入し終えたところで、ソレノイドバルブ54を再びOFFにすると同時に圧力制御装置付き試料注入口51の圧力P0を3方コネクタT1−2の圧力P1より低くすることにより、GC1次元目カラム55に残った他の試料成分は圧力制御装置付き試料注入口51に戻され、そのまま排気される。これにより、目的としない他の成分が、質量分析器43に流入するのを防ぐことができる。なお、これらのバルブの制御や圧力制御装置は、制御用コンピュータ45によって、制御させてもよい。
【0021】
以上のようにして、1つの装置を用いて、GC1次元分析、およびGC2次元分析を、装置構成を変更することなく、簡単な切り替え操作により行うことができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明によれば、2次元GC−MS/におい嗅ぎ装置において、装置構成を変更することなく、簡単な切り替え操作のみによって、1次元GC−MS/におい嗅ぎ分析と、2次元GC−MS/におい嗅ぎ分析を自由自在に行えるようになる。また、本発明によれば、におい分析以外の用途においても、1次元GC分析と2次元GC分析を切り替えて行うことが、可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、1次元のガスクロマトグラフ−質量分析器を用いたにおい嗅ぎ装置を示す図である。
【図2】図2は、1次元のガスクロマトグラフ−質量分析器を用いたにおい嗅ぎ装置を用いた、分析例である。
【図3】図3は、2次元のガスクロマトグラフ−質量分析器を用いたにおい嗅ぎ装置を示す図である。
【図4】図4は、2次元のガスクロマトグラフを用いた場合の分析例である。
【図5】図5は、本発明の構成を示す図である。
【図6】図6は、本発明の作用を示す図である。
【図7】図7は、本発明の作用を示す図である。
【図8】図8は、本発明の作用を示す図である。
【図9】図9は、本発明の他の態様を示す図である。
【図10】図10は、本発明の他の態様を示す図である。
【図11】図11は、本発明の他の態様を示す図である。
【図12】図12は、本発明の他の態様を示す図である。
【符号の説明】
【0024】
1 ガスクロマトグラフ
2 質量分析器
3 試料注入口
4 カラム
5 スプリッタ
6 におい嗅ぎ装置
21 1次元目ガスクロマト装置
22 2次元目ガスクロマト装置
25 GC1次元目カラム
26 抵抗管
27 DEANS方式による流路切り替え
28 GC2次元目カラム
1−1、T1−2、T1−3、T2−1、T2−2、T2−3 3方コネクタ
41 1次元目ガスクロマトグラフ装置
42 2次元目ガスクロマトグラフ装置
43 質量分析器
44 におい嗅ぎ装置
45 制御用コンピュータ
51 圧力制御装置付き試料注入口
52、53 圧力制御装置
54 ソレノイドバルブ
55 GC1次元目カラム
56 GC2次元目カラム
70 GC検出器
80 5方コネクタ
90 流路制御部
92 1次元目カラム用ヒータ
94 2次元目カラム用ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)圧力制御装置付き試料注入口と、
(b)前記試料注入口に接続したGC1次元目カラムと、
(c)前記GC1次元目カラムに接続した3方コネクタT1−2と、
(d)前記3方コネクタT1−2に各々接続した3方コネクタT1−1、T1−3と、
(e)前記3方コネクタT1−1、T1−3に接続し、3方コネクタT1−1、T1−3の流路を調整するソレノイドバルブと、
(f)前記ソレノイドバルブに接続した第1の圧力制御装置と、
(g)前記3方コネクタT1−3に接続する3方コネクタT2−1と、
(h)前記3方コネクタT2−1に接続する第2の圧力制御装置と、
(i)前記3方コネクタT2−1に接続する3方コネクタT2−2と、
(j)前記3方コネクタT2−2に接続する3方コネクタT2−3と、
(k)前記3方コネクタT2−3に各々接続する質量分析器およびにおい嗅ぎ装置と、
(l)前記3方コネクタT1−1と前記3方コネクタT2−2に接続するGC2次元目カラムと、
を備えることを特徴とするにおい成分分析装置。
【請求項2】
(a)圧力制御装置付き試料注入口と、
(b)前記試料注入口に接続したGC1次元目カラムと、
(c)前記GC1次元目カラムに接続した3方コネクタT1−2と、
(d)前記3方コネクタT1−2に各々接続した3方コネクタT1−1、T1−3と、
(e)前記3方コネクタT1−1、T1−3に接続し、3方コネクタT1−1、T1−3の流路を調整するソレノイドバルブと、
(f)前記ソレノイドバルブに接続した圧力制御装置FPR1と、
(g)前記3方コネクタT1−3に接続する5方コネクタと、
(h)前記5方コネクタにそれぞれ接続する圧力制御装置FPR2、GC2次元目カラム、質量分析器およびにおい嗅ぎ装置と、
を備えることを特徴とするにおい成分分析装置。
【請求項3】
1次元目カラム部分のみおよび/または2次元目カラム部分のみを、温度調整する装置を有する、請求項1または2に記載のにおい成分分析装置。
【請求項4】
(a)圧力制御装置付き試料注入口と、
(b)前記試料注入口に接続したGC1次元目カラムと、
(c)前記GC1次元目カラムに接続した3方コネクタT1−2と、
(d)前記3方コネクタT1−2に各々接続した3方コネクタT1−1、T1−3と、
(e)前記3方コネクタT1−1、T1−3に接続し、3方コネクタT1−1、T1−3の流路を調整するソレノイドバルブと、
(f)前記ソレノイドバルブに接続した第1の圧力制御装置と、
(g)前記3方コネクタT1−3に接続する3方コネクタT2−1と、
(h)前記3方コネクタT2−1に接続する第2の圧力制御装置と、
(i)前記3方コネクタT2−1に接続する3方コネクタT2−2と、
(j)前記3方コネクタT2−2に接続する3方コネクタT2−3と、
(k)前記3方コネクタT2−3に各々接続する質量分析器およびGC検出器と、
(l)前記3方コネクタT1−1と前記3方コネクタT2−2に接続するGC2次元目カラムと、
を備えることを特徴とする分析装置。
【請求項5】
(a)圧力制御装置付き試料注入口と、
(b)前記試料注入口に接続したGC1次元目カラムと、
(c)前記GC1次元目カラムに接続した3方コネクタT1−2と、
(d)前記3方コネクタT1−2に各々接続した3方コネクタT1−1、T1−3と、
(e)前記3方コネクタT1−1、T1−3に接続し、3方コネクタT1−1、T1−3の流路を調整するソレノイドバルブと、
(f)前記ソレノイドバルブに接続した第1の圧力制御装置と、
(g)前記3方コネクタT1−3に接続する5方コネクタと、
(h)前記5方コネクタにそれぞれ接続する第2の圧力制御装置、GC2次元目カラム、質量分析器およびGC検出器と、
を備えることを特徴とする分析装置。
【請求項6】
1次元目カラム部分のみおよび/または2次元目カラム部分のみを、温度調整する装置を有する、請求項4または5に記載の分析装置。
【請求項7】
GC検出器が、FID、NPD、ECD、SCD、NCD、AED、FPD、およびPFPDからなる群から選択される請求項4〜6のいずれかに記載の分析装置。
【請求項8】
(a)圧力制御装置付き試料注入口と、
(b)前記試料注入口に接続したGC1次元目カラムと、
(c)前記GC1次元目カラムに接続した3方コネクタT1−2と、
(d)前記3方コネクタT1−2に各々接続した3方コネクタT1−1、T1−3と、
(e)前記3方コネクタT1−1、T1−3に接続し、3方コネクタT1−1、T1−3の流路を調整するソレノイドバルブと、
(f)前記ソレノイドバルブに接続した第1の圧力制御装置と、
(g)前記3方コネクタT1−3に接続する3方コネクタT2−1と、
(h)前記3方コネクタT2−1に接続する第2の圧力制御装置と、
(i)前記3方コネクタT2−1に接続する3方コネクタT2−2と、
(j)前記3方コネクタT2−2に接続する質量分析器と、
(k)前記3方コネクタT1−1と前記3方コネクタT2−2に接続するGC2次元目カラムと、
を備えることを特徴とする分析装置。
【請求項9】
1次元目カラム部分のみおよび/または2次元目カラム部分のみを、温度調整する装置を有する、請求項8に記載の分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−257960(P2009−257960A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107892(P2008−107892)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(508118588)ゲステル株式会社 (1)
【Fターム(参考)】