説明

1種以上の酸化に感受性のある物質を含む、経口活性を持つ、本質的に無水の局所薬

本発明は、1種以上の酸化感受性物質を含有する、練り歯磨き、うがい薬またはうがい薬濃縮物の形態の、経口有効薬剤に関する。本発明は、前記薬剤がKarl Fischerによる、7.5重量%以下の水含有量を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、練り歯磨き、うがい薬またはうがい薬濃縮物(mouthwash concentrate)から選択され、1種以上の酸化に感受性のある物質、特に、1種以上の緑茶のポリフェノールを含む、経口活性を持つ局所薬に関する。意外にも、そのような薬剤の安定性が、該薬剤の総重量に基づいて、7.5重量%以下の水含有量を有する場合に、著しく改善され得ることが見出された。
【0002】
例えば、う食、歯肉炎、炎症過程(特に、歯周症および口臭など)などの多数の疾患および障害が口腔の領域に生じるが、それらは、通常、口腔内の揮発性硫黄化合物によって生じる。これらは、経口微生物による、硫黄含有アミノ酸および蛋白質の代謝変換の結果である。加えて、酸化的ストレス状態から生じる疾患が、口腔の生体組織に生じ得る。更に、これらは、多くの場合、炎症である。
【0003】
そのような疾患および障害を予防および治療するために、特に、口腔内および歯に局所投与されるよう設計される薬剤、詳細には、練り歯磨き、歯磨きジェル、スプレー、洗口液(mouth-rinses)およびうがい薬などの歯科用洗浄剤が用いられている。
【0004】
そのような薬剤において使用される多数の活性成分が、公知である。口腔の経口処置用の活性成分に関する多くの発行物から一例を挙げると、例えば、WO99/17735は、口臭を処置するための特定のキレートの使用を開示している。フッ素化合物は、う食への公知の活性成分である。デンタルケア製品および口腔処置用の製品における植物抽出物の使用が一般的であり、例は、WO02/092028またはFR2791893である。
【0005】
緑茶抽出物での製品は、周知である。特に、東アジアの大衆薬においては、緑茶は、治療薬として長い伝統を持つ。千年以上前、中国の薬剤師であるChen Zang(唐王朝618〜907年)によって、各薬物が特定の疾患に対してのみ作用するが、緑茶が全疾患への薬物になるという所説が公に述べられた。
【0006】
緑茶抽出物の主成分は、ポリフェノール、いわゆる、カテキンである。量に関して主に存在するカテキンは、(−)−没食子酸エピガロカテキンである。緑茶カテキンは、非常に強力な抗酸化作用を特徴とする。加えて、それらは、抗菌活性を有し、様々な不快臭の脱臭剤としても作用する。この活性の組み合わせは、一般に、デンタルケアおよび口腔ケアにおける適用、例えば、う食、歯肉炎、歯周症および口臭の予防または治療のため、興味深い。抗菌活性は、う食および歯肉炎(歯苔の形成)に対する保護として作用し、抗酸化作用は、炎症過程を予防するか、またはそれらの進行を抑制する。その脱臭性が、一方で、悪臭成分に結合することによって、他方で、抗菌活性による酵素阻害で、口腔内の硫黄生成菌を制御することによって、悪息を減少させ、よって、口臭の発生を予防する。
【0007】
口腔ケア製品における没食子酸エピガロカテキン、つまり、緑茶ポリフェノールの使用は、例えば、EP0067476に開示されている。
【0008】
WO02/02096は、全身の健康安寧が特定の局所経口組成物の投与によって改善され得ることを開示している。没食子酸エピガロカテキンが、多数の成分のうちの、一つの可能性のある成分として挙げられている。引例の経口製剤は、特にいずれかに限定されず、タフィー、チューインガム、歯磨き粉などを含む。水が、経口製剤の、一つの可能な担体として挙げられ、一般的に、それは、薬剤の約5%〜約70%、好ましくは、約20%〜約50%の量である。その値は、賦形剤に結合する水をふくむ全体的な水含有量、および全ての経口製剤物に基づいている。練り歯磨きの全体的な水含有量は示されていない。約2%〜約45%が、担体として添加される水の値として示されている。例として開示されている薬剤は、全て、担体として添加される、6.5%以上の水を含有する。練り歯磨きは、全て、かなりの水含有量を有する沈降シリカを著しく含量しているため、これらの薬剤の全体的な水含有分量は、いつも、8%を超えている。活性成分の没食子酸エピガロカテキンを含む製剤は、いずれの実施例にも製造されていない。活性成分の没食子酸エピガロカテキンを含む水低含有量の薬剤は、その引例に開示されていない。保存テストも実施されていなかった。
【0009】
経口活性を持つ局所薬におけるポリフェノール含有緑茶抽出物の使用は、緑茶に存在するポリフェノールが極めて反応性が高いため、困難である。それらは強力な抗酸化作用を有し、それが、長期保存の際に、そのようなポリフェノールを含む製剤を褐色に染色する、分解生成物を形成する。ほんの一部のポリフェノールが分解するとしても、通常、練り歯磨きおよびうがい薬を褐色に染色するのに十分である。特に、デンタルケア製品および口腔の処置用製品、詳細には、練り歯磨き製剤およびうがい薬では、褐色変色は許容され得ず、そのような製品は消費者に拒絶される。これらの問題の結果、緑茶の抽出物および緑茶ポリフェノールは、実際に歯のケア製品および口腔の処置用製品、例えば、練り歯磨きまたはうがい薬において、今日まで使用されていない。
【0010】
他の活性成分、特に、レチノイド、アスコルビル化合物およびアスコルビン酸、レスベラトロールおよびフラボノイドは、酸化的分解も受けるため、経口活性を持つ局所薬において、同様の問題を示す。更に、しばしば、染色される分解生成物が生じるか、または薬剤の効果が消失する。
【0011】
本発明の目的は、経口活性を持つ、新規な局所薬を提供することにあり、それらは、可能ならば、歯および口腔内に生じる、全般的な疾患および障害を処置することができ、う食および歯肉炎に作用して口臭を確実に抑制すること、またはそれらの発症を予防することができ、口腔の炎症、特に歯周症において活性があり、口腔の生体組織における酸化的ストレス状態を処置するのにも用いられてもよい。該薬剤は、練り歯磨きおよびうがい薬濃縮物またはうがい薬として、販売可能な魅力的外観を有していなければならず、室温での長期保存後でもこの外観を保持しているか、または少なくとも先行技術の製品よりも受ける変化が小さくなければならない。
【0012】
チューインガム、キャンディー、タフィーおよび錠剤(例えば、チューイング用または吸引用の錠剤)などの製品の場合、おそらくこれらの製品が着色されているせいで、これらの製品では、酸化に感受性のある物質の分解、特に、緑茶ポリフェノールの変色の問題は、通常生じない。しかし、それは、特に、練り歯磨き、うがい薬およびうがい薬濃縮物では見出されている。
【0013】
この問題の解決法は、酸化に感受性のある物質、特に、緑茶のポリフェノールの安定性は、これらの物質、特に緑茶のポリフェノールが、薬剤の総重量に基づいて、7.5重量%以下の水含有量を有する薬剤に製剤化されている場合に、著しく改善され得るという意外な発見に基づいている。これらの薬剤が、酸化に感受性のある物質、特に緑茶フェノールの分解を助長する更なる成分、例えば、練り歯磨き中にしばしば含有される、シリカまたはカルシウムを基にするスクラビング剤のようなアルカリ性成分を含む場合、酸化に感受性のある物質、特に、緑茶ポリフェノールの安定性は、これらの成分を酸でコンディショニングすることによって更に改善され得る。
【0014】
こうして、本発明は、1種以上の酸化に感受性のある物質、特に、緑茶ポリフェノールを1種以上含み、7.5重量%以下の水含有量を有する、練り歯磨き、うがい薬およびうがい薬濃縮物から選択される、経口活性を持つ局所薬を提供する。更に、本発明は、口腔および/または歯の局所処置のために、7.5重量%以下の水含有量を有する、そのような薬剤を製造するための、酸化に感受性のある物質、特に、緑茶ポリフェノールの使用に関する。最後に、本発明は、経口活性を持つそのような局所薬中、酸化に感受性のある物質の分解、特に、緑茶ポリフェノールの変色を減少させる方法であって、その薬剤の水含有量が7.5重量%以下に調整されることを特徴とする方法に関する。
【0015】
本発明により、経口活性を持つ局所薬の製造に使用され、担体として混合物に添加される水(遊離水)が、賦形剤および添加剤に結合する形態で存在する水、例えば、シリカゲルまたはチタニアを通して、薬剤に導入される水に比較して、酸化に感受性のある物質、特に、緑茶ポリフェノールの安定性に、より多大な影響を与えることも見出された。
【0016】
それゆえ、本発明は、練り歯磨き、うがい薬およびうがい薬濃縮物から選択される、酸化に感受性のある物質、特に、緑茶ポリフェノールを含有する、経口活性を持つ局所薬を製造する方法に関し、2重量%未満の水を賦形剤または添加剤と結合していない遊離水として添加する方法に関し、およびこの方法によって得られる経口薬に関する。
【0017】
他に断りがない限り、または明白であろうが、パーセント値は、常に、薬剤の総重量に基づく、成分の重量(%w/w)に関する。
【0018】
本発明において、「経口活性を持つ局所薬」は、口腔内に導入され、歯および/または口腔の他の領域について、医薬、衛生または化粧効果を発揮する薬剤を意味すると理解される。本発明によるこれらの薬剤は、練り歯磨き、うがい薬およびうがい薬濃縮物である。用語「口腔」は、局所処置を受け入れやすい、口および咽頭の全体的な領域を意味する。
【0019】
ドイツにおいては、うがい薬は「マウスウォーター(mouth water)」と呼ばれ得る。しかし、本発明のうがい薬は本質的に水を含まないため、より特定される用語「うがい薬」が好ましい。本発明のうがい薬濃縮物は、希釈剤(一般には水)を添加して最終消費者に使用される前に、一般的に、最終的なうがい薬に製剤化される。
【0020】
酸化に感受性のある物質は、本発明においては、特に限定されない。詳細には、これらは、レチノイド、アスコルビル化合物、アスコルビン酸、レスベラトロール、ユビキノン、フラボノイドおよび/または緑茶ポリフェノールである。フラボノイドが好ましく、緑茶ポリフェノールが特に好ましい。列挙され得るアスコルビル化合物は、特に、商標「Stay-C」のもとで販売されるリン酸アスコルビル、例えば、リン酸アスコルビルナトリウム(Stay-C50)のようなリン酸アスコルビルである。
【0021】
概念として、レチノイドの群は、経口薬中での使用が有害でない全てのレチノイドを包含し、レチノールおよびそのエステル、レチナール、その外にレチノイン酸およびそのエステルを含む。
【0022】
レチノールは、以下の構造:
【0023】
【化1】

【0024】
により特徴付けられる。
【0025】
レチノール(アクセロフトール;〔3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)−2,4,6,8−ノナテトラエン−1−オール〕も含む)は、ビタミンA1と同意語であり、誘導体 レチン−1−カルボン酸(ビタミンA酸、レチノイン酸、トレチノイン)およびそれらのエステル、またはレチン−1−アール(ビタミンAアルデヒド)に類似しており、場合によりビタミンAアルコールと呼ばれる。
【0026】
好ましくは、本発明のレチノールエステルは、構造:
【0027】
【化2】

【0028】
(式中、Xは、好ましくは、炭素原子1〜25個を有する、分枝状または非分枝状アルカノイルまたはアルケノイル残基である)を有する。好ましくは、パルミチン酸レチノール(=パルミチン酸レチニル)が、レチノールエステルとして選択される。
【0029】
レチナールは、構造:
【0030】
【化3】

【0031】
により特徴付けられる。
【0032】
レチナール〔ビタミンAアルデヒド、3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)−2,4,6,8−ノナテトラエナール〕は、オールトランス型が最も安定している。レチナールは、カロテンの酸化的開裂によって生成される。
【0033】
レチノイン酸〔ビタミンA酸、オールトランス−3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)−2,4,6,8−ノナテトラエン酸〕は、構造:
【0034】
【化4】

【0035】
により特徴付けられる。
【0036】
場合により、酸の水素原子の代わりに存在し得るエステル基は、好ましくは、炭素原子1〜25個のアルキル基である。
【0037】
上記トランス化合物のみならず、1以上の二重結合において、シス配置をとる類似化合物が、本発明において用いられ得る。上記化合物が、光学活性を示し得る場合、各鏡像体またはジアステレオマー、およびそれらの混合物、特に、ラセミ混合物の両方が、本発明において用いられ得る。
【0038】
本発明において、アスコルビン酸は、特に、構造式:
【0039】
【化5】

【0040】
で示される、L−アスコルビン酸{(R)−5−〔(S)−1,2−ジヒドロキシエチル〕−3,4−ジヒドロキシ−5−H−フラン−2−オン、ビタミンC}である。
【0041】
それは、水に十分に可溶性であり、アルコールに十分に可溶性であり、エーテル、石油エーテル、クロロホルム、ベンゼンに、その外に脂肪および脂肪油に不溶性である。アスコルビン酸の他の立体化学的形態も包含される。
【0042】
アスコルビル化合物は、好ましくは、脂肪酸のアスコルビルエステル、特に好ましくは、パルミチン酸アスコルビルを意味する。狭義でのアスコルビル化合物は、特に、一般構造:
【0043】
【化6】

【0044】
(式中、Rは、炭素原子25個まで有する分枝状または非分枝状アルキル基であり得る)で示されるアスコルビルエステルである。
【0045】
アスコルビルグリコシド、特に、アスコルビルグルコシド、詳細には、構造:
【0046】
【化7】

【0047】
で示されるアスコルビル−2−グルコシドも、本発明に包含される。
【0048】
狭義でのアスコルビル化合物は、また、リン酸アスコルビル、特に好ましくは、アスコルビン酸のアスコルビル−2−リン酸塩、およびそれぞれそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩および亜鉛塩およびそのような陽イオンの混合塩である。
【0049】
【化8】

【0050】
他の脱プロトン段階も本発明の意味で有利であるが、上記式は、三重脱プロトン化(triple deprotonation)でのリン酸アスコルビルを示す。
【0051】
ナトリウム塩、マグネシウム塩および亜鉛塩、例えば、リン酸アスコルビルナトリウムが好ましい。
【0052】
フラボンまたはフラボノイドは周知であり、しばしば、化粧および皮膚科適用において用いられる。この場合、WO00/74641を特に参照してもよく、それは更なる詳細のために、熟読され得る。
【0053】
フラボンおよびその誘導体(しばしば、ひとまとめに「フラボン」と呼ばれる)は、以下の基本構造(置換位が記される):
【0054】
【化9】

【0055】
により特徴付けられる。
【0056】
天然の生物体にも見出される、より重要なフラボンの幾つかは、以下の表に列挙される。
【0057】
【表1】


天然には、フラボンは、通常、グリコシド形態で見つかる。
【0058】
本発明において用いられ得る他のフラボノイドは、フラボノン:
【0059】
【化10】

【0060】
3−ヒドロキシフラボン:
【0061】
【化11】

【0062】
オーロン:
【0063】
【化12】

【0064】
およびイソフラボン
【0065】
【化13】

【0066】
である。
【0067】
本発明の意味内で、酸化に感受性のある物質は、一般的構造式:
【0068】
【化14】

【0069】
(式中、Z1〜Z7は、独立して、基H、OH、アルコキシおよびヒドロキシアルコキシから選択され、ここで、アルコキシおよびヒドロキシアルコキシ基は、分枝状または非分枝状であり得、そして、炭素原子を1〜18個有し、Glyは、モノグリコシド基およびオリゴグリコシド基の群から選択される)で示されるフラボノイド、
一般的構造式:
【0070】
【化15】

【0071】
(式中、Z1〜Z6は、独立して、基H、OH、アルコキシおよびヒドロキシアルコキシから選択され、ここで、アルコキシおよびヒドロキシアルコキシ基は、分枝状または非分枝状であり得、そして、炭素原子を1〜8個有し、Glyは、モノグリコシド基およびオリゴグリコシド基の群から選択される)で示されるフラボノイド、
一般的構造式:
【0072】
【化16】

【0073】
(式中、Z1〜Z6は、先に定義したとおりであり、Gly1、Gly2およびGly3は、独立して、モノグリコシド基またはオリゴグリコシド基である)で示されるフラボノイド、
構造:
【0074】
【化17】

【0075】
例えば、構造:
【0076】
【化18】

【0077】
(式中、Z1〜Z7、Gly1、Gly2およびGly3は、先に定義したとおりである)で示されるフラボングリコシドである。
【0078】
Gly2およびGly3は、それぞれ、別個にまたは一緒に、水素原子によって飽和され得る。
【0079】
Gly、Gly1、Gly2およびGly3は、独立して、ヘキソシル基、特に、ラムノシル(rhamnosyl)基およびグルコシル基から選択される。しかし、他のヘキソシル基、例えば、アロシル(allosyl)、アルトロシル(altrosyl)、ガラクトシル、グロシル(gulosyl)、ヨードシル、マンノシルおよびタロシル(talosyl)またはペントシル基などが用いられ得る。
【0080】
独立して、Z1〜Z7を、基H、OH、メトキシ、エトキシおよび2−ヒドロキシエトキシから選択することが好ましい。
【0081】
特に、α−グルコシルルチン、α−グルコシルミリクトリン(α-glucosylmyrictrin)、α−グルコシルイソケルシトリンおよびα−グルコシルケルシトリンが挙げられる。
【0082】
例示的なフラボノイドは、α−グルコシルルチン、ナリンギン(オーランチイン(aurantiin)、ナリンゲニン−7−ラムノグルコシド)、ヘスペリジン(3',5,7−トリヒドロキシ−4'−メトキシフラバノン−7−ルチノシド、ヘスペリドシド、ヘスペレチン−7−O−ルチノシド)、ルチン(3,3',4',5,7−ペンタヒドロキシフラボン−3−ルチノシド、ケルセチン−3−ルチノシド、ソホリン(sophorin)、ビルタン(birutan)、ルタビオン(rutabion)、タウルチン(taurutin)、フィトメリン(phytomelin)、メリン)、トロキセルチン(3,5−ジヒドロキシ−3',4',7−トリス(2−ヒドロキシエトキシ)−フラボン−3−(6−O−(6−デオキシ−α−L−マンノピラノシル)−β−D−グルコピラノシド))、モノキセルチン(3,3',4',5−テトラヒドロキシ−7−(2−ヒドロキシエトキシ)−フラボン−3−(6−O−(6−デオキシ−α−L−マンノピラノシル)−β−D−グルコピラノシド))、ジヒドロロビネチン(3,3',4',5',7−ペンタヒドロキシフラバノン)、タキシホリン(3,3',4',5,7−ペンタヒドロキシフラバノン)、エリオジクチオール−7−グルコシド(3',4',5,7−テトラヒドロキシフラバノン−7−グルコシド)、フラバノンマレイン(3',4',7,8−テトラヒドロキシフラバノン−7−グルコシド)およびイソケルシトリン(3,3',4',5,7−ペンタヒドロキシフラバノン−3−(β−D−グルコピラノシド)である。
【0083】
本発明の意味内で、酸化に感受性のある別の物質は、レスベラトロール(植物中に見出されるスチルベン誘導体)である。
【0084】
しかし、最も好ましくは、本発明の酸化に感受性のある物質は、1種以上の緑茶ポリフェノールであり、それらは、特に、先行技術の練り歯磨き、うがい薬およびうがい薬濃縮物中で、強度の酸化的変色を示すため、その製品は商業的に魅力のないものである。
【0085】
以下に、特に好ましい緑茶ポリフェノールに基づいて、本発明を本質的に例証するが、説明は、上記の酸化に感受性のある他の物質と同様に適用する。
【0086】
「緑茶ポリフェノール」が、本発明の枠組み内で述べられる場合、これは、抽出および場合により他の分離技術、例えば、特にクロマトグラフィー分離技術などによる慣用的手法で緑茶から回収され得る、緑茶に存在するポリフェノール化合物を意味する。緑茶に存在するポリフェノールのうち、化合物(−)−エピガロカテキン−3−ガラート(EGCG):
【0087】
【化19】

【0088】
は、最大の量的割合で存在する、最も重要なポリフェノール化合物である。緑茶中に存在する、他のポリフェノール化合物は、当業者に周知である。以下の化合物が挙げられる:
【0089】
【化20】





【0090】
緑茶ポリフェノールが、場合により、光学活性物質である場合、そのような物質への参照は、すべての単一の立体異性体、特に光学活性鏡像体のそれぞれ(好ましくは、天然に見出される光学活性鏡像体)およびそのいずれもの混合物、特にラセミ体についての参照である。
【0091】
本発明による用語「緑茶ポリフェノール」は、緑茶中に存在する全てのポリフェノール、特に、上述の化合物および、最も具体的には、化合物(−)エピガロカテキン−3−ガラートを含む。緑茶ポリフェノールは、通常の手法、例えば、高温水で緑茶葉を抽出することにより、緑茶から回収され得、表1に示す、ポリフェノールおよびその代表的成分からなる40%抽出物を得る。これは、Ballentine D.A. et al., 1997,による発行物、The Netherlands-Crit Rev Food Sci Nutr. 1997 Dec; 37(8):693-704(参照に含まれる)に基づいている。
【0092】
成分 ポリフェノール分画
(乾燥物質の%)
フラバノール(例えばEGCGを含む) 25.0
フラボノールおよびフラボノールグリコシド 3.0
フェノール酸およびエプシド(epside) 5.0
他のポリフェノール 3.0
カフェイン 3.0
テオブロミン 0.2

残りの成分
アミノ酸 4.0
有機酸 0.5
単糖類 4.0
多糖類 13.0
セルロース 7.0
蛋白質 15.0
リグニン 6.0
脂質 3.0
葉緑素および他の色素 0.5
灰分 5.0
揮発性成分 0.1
【0093】
抽出物中の緑茶ポリフェノールまたはフラボンは、例えば、以下の通りに組成されている。
【0094】
mg/100mgの乾燥茶葉 割合(%)
EGCG(没食子酸エピガロカテキン) 13.37 73.99
EGC(エピガロカテキン) 0.44 2.43
ECG(没食子酸エピカテキン) 2.91 16.10
EC(エピカテキン) 0.55 3.04
C(カテキン) 0.02 0.11
GCG(没食子酸ガロカテキン) 0.26 1.44
GA(没食子酸) 0.52 2.89
【0095】
本発明によれば、場合により水含有量を減量するために更に濃縮した後、上記の緑茶の水性抽出物でさえ、本発明の生成物を製造するために使用され得る。しかし、残りの成分を可能な限り最大量まで分別して、緑茶ポリフェノールのみを用いることが好ましい。場合により、クロマトグラフィー精製の後、用いられた抽出物が、それぞれ乾燥物質の%として示すと、緑茶ポリフェノール、特に、先に個々に列挙した緑茶ポリフェノールの少なくとも30%、より好ましくは、少なくとも50%、よりさらに好ましくは、少なくとも70%、特に、少なくとも80%、例えば、少なくとも90%、最も好ましくは、少なくとも95%を含有する。特に好ましくは、クロマトグラフィー精製にかけられる生成物が用いられ、よりさらに好ましくは、没食子酸エピガロカテキン含有量を可能な限り最大に増加する精製物、それぞれの乾燥物質の%で示すと、緑茶ポリフェノールの総量に基づいて、例えば、80%までまたはそれ以上、好ましくは、90%までまたはそれ以上を含む精製物を用いる。特に好ましくは、没食子酸エピガロカテキンを、本発明における緑茶ポリフェノールとして用いる。それを可能な限り最大量まで精製すると、他の緑茶ポリフェノールを極微量しか含有しなくなる(それぞれ乾燥物質の%として示すと、5%以下、好ましくは、3%以下、より好ましくは2%以下)。
【0096】
水性緑茶抽出物のクロマトグラフィー精製は、例えば、"Separation of individual catechins from green tea using silica gel column chromatography and HPLC", Journal of Food Lipids (2003), 10(2), 165-177, CODEN: JFFLES ISSN: 1065-7258に記載されるとおり、それ自体が公知の手法で実施され得る。緑茶抽出物の類似する仕上げを開示し、参照により包含される、EP-A1077211、EP-A1103550、US-A6,210,679、WO-A97/30597およびWO-A95/18540に参照がされ得る。クロマトグラフィー精製を行わずに水性緑茶抽出物を使用することができるが、緑茶ポリフェノールの前記抽出物は、しばしば、褐色に染色される、緑茶ポリフェノールの分解生成物を含有し、本発明による薬剤を、かすかな褐色に変色させる。変色が過度に強くなければ、本発明の薬剤を保存する際に、そのような変色が著しく増強することはないため、個々のケースにより許容され得る。しかし、精製される緑茶抽出物を使用することにより、および、特に、上記の通りのクロマトグラフィーにより分離されるポリフェノール分画を使用することにより、この問題は同時に回避され得、こうして得られる経口活性を持つ局所薬は、特に魅力的な色彩を有している。
【0097】
本発明による薬剤中の緑茶ポリフェノールの量は、特に限定されない。原則として、酸化に感受性のある物質、特に、緑茶ポリフェノールの含有量は、本発明の薬剤の総重量に基づくそれぞれの場合に、0.01重量%〜10重量%、好ましくは、0.05〜8重量%、例えば、0.1〜5重量%であり得る。酸化に感受性のある物質、特に、緑茶ポリフェノールに加え、アスコルビン酸およびその誘導体、レチノイド、特に、レチノール、さらに、レチニル誘導体、例えば、パルミチン酸レチニル、レスベラトロールおよびユビキノンの含有量は、0.01〜5重量%、特に、0.01〜3重量%、例えば、0.01〜2重量%が好ましい。
【0098】
エピガロカテキン−3−ガラートを、薬剤の総重量に基づいてそれぞれの場合に、0.01〜10重量%、より好ましくは、0.05〜8重量%、特に、0.1〜5重量%の量で含有する、練り歯磨き、うがい薬およびうがい薬濃縮物が、本発明において、特に好ましい。
【0099】
一般に、水のかなりの量が、経口活性を持つ局所薬中に用いられ、水が生理学的適合性のある、優れた担体であるため、薬物が、本発明では、薬剤の総重量に基づいて、7.5重量%を超える水を含有しないことが極めて重要であり、さもなければ、特にこれらの薬剤が練り歯磨き、うがい薬およびうがい薬濃縮物である場合に、保存時に、酸化に感受性のある物質の酸化的分解または緑茶ポリフェノールの変色が起こって、薬剤の、許容され得ない程の褐色変色を生じる。練り歯磨きおよびうがい薬またはうがい薬濃縮物の水含有量は、通常はかなり高い。例えば、DE-A4237500は、30重量%をはるかに超える水含有量を有する練り歯磨きを記載している。WO02/02096は、また、経口製剤中の水含有量5〜70重量%から出発して、実施例として開示される薬剤を製造する際に、遊離水として6.5%を超える量を添加することによって、賦形剤および添加剤に結合する水と合わせると、一定して8%を超える総水含有量になる練り歯磨きを記載している。
【0100】
本発明の薬剤の水含有量は、薬剤の総重量に基づくそれぞれの場合、好ましくは、6.5重量%を超えず、より好ましくは、4.8重量%を超えず、最も好ましくは、1.9重量%を超えない。他に断りがない限り、または当業者には明白であろうが、本出願において示される、いかなる水含有量も、Karl Fischerの公知の方法によって測定される水含有量である。Karl Fischerによる水含有量の測定は、例えば、"Karl Fischer Titration: Determination of Water (Chemical Laboratory Practice/Anleitungen fur die chemische Laboratoriums-praxis)、Vol. 20, Eugene Scholz, Springer Verlag, 1984"に記載されている。
【0101】
本発明の結果、特に、本発明の薬剤を製造するための担体として用いられる水(遊離水)が、酸化に感受性のある物質、特に、緑茶ポリフェノールの安定性に影響を与え、賦形剤および添加剤に結合する水がその安定性に重大な影響を与えないことが驚くべきことに発見された。それゆえ、本発明による薬剤を混合する場合には、遊離水の2重量%未満、より好ましくは、1.5重量%以下、よりさらに好ましくは、1.0重量%以下、より好ましくは、0.5重量%以下を使用することが好ましい。最も好ましくは、遊離水を全く使用しない。本発明によれば、「遊離水」は、液体として存在し、シリカゲル、ソルビトールまたはチタニアなどの固体物質に、吸着的にまたは結晶水として結合していない水を意味する。本発明による薬剤中の遊離水の量は、製造時に担体として用いられる水の量に由来する。
【0102】
本発明により、多くの場合、もし、酸化に感受性のある物質、特に、緑茶ポリフェノールの安定性に影響を与え得る、これらの薬剤の成分が、酸性化コンディショニング、即ち、酸性の手法で反応する薬剤との処理に付されるなら、酸化に感受性のある物質、特に、緑茶ポリフェノールの安定性が、経口活性を持つ薬剤中で更に上昇し得ることも、驚くべきことに発見された。もし、本発明の薬剤の水含有量が少ないにもかかわらず、本発明の物質の分解、特に、緑茶フェノールの分解による変色が起こるなら、薬剤の添加剤がそのような分解を助長するかが、2、3のルーチン実験によって決定され得る。その後、これらの添加剤は、酸性化コンディショニングに付され得、添加剤の適合性を改善し、さらに本発明の薬剤の不安定性、特に、緑茶フェノールの分解により生じる変色を低減する。緑茶ポリフェノールに加え、酸化に感受性のある他の物質と特に不適合な、酸化に感受性のあるそのような物質は、しばしば、塩基性の手法で反応する化合物、即ち、水性懸濁液または溶液中で、7を超えるpH値を生じる化合物である。
【0103】
そのようなアルカリ性添加剤は、特に、練り歯磨き中で、頻繁に用いられる。詳細には、練り歯磨き中に、しばしば存在する、シリカベースのスクラビング剤は、酸化に感受性のある物質、特に、緑茶ポリフェノールの、褐色変色または褐色変色作用のある分解生成物への分解に寄与し得る。
【0104】
それゆえ、本発明において、もし、アルカリ性スクラビング剤、特に、シリカベースのスクラビング剤、例えば、しばしば、練り歯磨き中で用いられるが、酸化に感受性のある物質、特に、緑茶ポリフェノールと適合性がない、シリカゲルまたはカルシウムベースの薬剤のような添加剤が、酸性化コンディショニングのステップ、即ち、酸性の手法で反応する化合物との処理に付されれば(酸性の手法で反応する化合物を不適合性の添加剤に添加すれば)、酸化に感受性のある物質の分解、特に、緑茶ポリフェノールの変色は、より大きく低減する。本発明の練り歯磨きは、好ましくは、アルカリ性スクラビング剤、特に、シリカまたは二酸化アルミニウム、例えば、シリカゲルまたは水酸化アルミニウムを、好ましくは、10〜30重量%、より好ましくは、10〜20重量%の量で含有する。
【0105】
本発明に関係する「酸性の手法で反応する化合物」は、1%の溶液または分散物中で、pH値7.0未満、より好ましくは、pH値6.0以下、よりさらに好ましくは、pH値5.0以下、特に、pH4.0以下を与える、全ての化合物である。適切な酸性化コンディショニングは、クエン酸、例えば、50%クエン酸を用いて実施され得る。コンディショニングは、別個のステップのいずれかで実施され得、前記アルカリ性化合物、例えば、シリカベースのスクラビング剤は、第1のステップで、酸性の手法で反応する化合物で処理され、その後、本発明による薬剤に添加される。あるいは、それは、本発明の薬剤の製剤化の間に実施され得る。これが好ましく、本発明の実施例において説明されている。それゆえ、本発明の薬剤は、好ましくは、酸性の手法で反応する化合物、例えば、クエン酸を含有する。
【0106】
酸性の手法で反応する化合物は、好ましくは、本発明の薬剤、特に、本発明の練り歯磨き中に、0.05〜5%、特に、0.1〜3%の量で存在する。
【0107】
本発明の経口活性を持つ局所薬は、例えば、デンタルケアの中心的存在であり、それゆえ、たびたび、酸化に感受性のある物質を含有するか、または、それぞれ、緑茶フェノールの多活性効果(multi-active effects)の適用に最も適したプラットホーム(platform)である練り歯磨きである。デンタルケアにおける、もう一つの重要な製品形態は、うがい薬である。それらは、抗菌作用に加えて、消臭作用があるため、それらは特に人気がある。加えて、緑茶ポリフェノールは、ここでも二重の効果を有する。それゆえ、本発明の経口活性を持つ局所薬は、練り歯磨き、うがい薬またはうがい薬濃縮物である。
【0108】
本発明の経口活性を持つ局所薬は、医薬品、化粧品または衛生品であり得る。本発明の練り歯磨き、うがい薬およびうがい薬濃縮物の慣用成分および添加剤は、当業者に周知であり、直接関係のある標準的発行物、例えば、"Formulierungstechnik"(formulation techniques), H. Mollet, A. Grubenmann, Wiley VCH 2000に記載されている。本発明の薬剤は、特に、抗菌活性を持つ成分などの更なる活性成分、例えば、抗菌活性を持つ天然生成物の更なる抽出物を含有していてもよい。本発明の薬剤への他の可能な添加剤は、通常のう食予防剤、例えば、ホスファート、ピロホスファート、ポリホスファート、ホスホナート、ポリホスホナートおよびそれらの混合物である。ポリアクリラートもしくはポリカルボキシラート、ポリエポキシスクシナート、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸および類似化合物、歯石(odontolith)もしくは歯苔の予防剤、フッ素イオンを放出し得る薬剤、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化スズ、フッ化アンモニウムおよびその混合物、減感剤および鎮痛剤、例えば、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、天然生成物の活性成分の抽出物および非ステロイド系抗炎症剤、通常の抗菌剤など口臭を抑制する薬剤、例えば、トリクロサン、フタル酸およびフタル酸塩、クロロヘキシジン、ヘキセチジン、サンギナリン、塩化ベンズアルコニウム、サリチルアニリド、臭化ドミフェン、塩化セチルピリジニウム、塩化N−テトラデシルピリジニウム、塩化テトラデシル−4−エチルピリジニウム、オクテニフィン(octenifin)、デルモピノール(delmopinol)、オクタペノール(octapenol)および他のピペリジン誘導体、ニキン調製物(nicin preparation)、亜鉛またはスズイオンを放出する薬剤、抗菌剤、例えば、オーグメンチン、アモキシシリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリンおよびメトロニダゾール、ならびにサリチル酸メチル、その外に、金属陽イオンおよびこの目的で一般に用いられるその混合物が、本発明の薬剤を製造するために使用され得る。経口活性を持つ局所薬中の慣用的添加剤の良好な概説が、例えば、WO02/092028(本明細書に参照として包含される)に見出され得る。
【0109】
本発明の練り歯磨きは、通常の研磨材(またはスクラビング剤)、例えば、シリカ、二酸化アルミニウム、リン酸塩およびその混合物、例えば、オルトリン酸二カルシウム二水和物、ピロリン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、シリカゲルなどを含有していてもよい。カルシウムが、スクラビング剤として含まれてもよく、実際の適用では、特に、砕かれるカルシウムまたは沈降カルシウムが用いられる。ポリエチレン微粉末、例えば、BASF,(ドイツ、Ludwigshafen)から販売される、粒度10μm未満の微粉末をスクラビング剤として用いてもよい。練り歯磨きは、慣用的添加剤、例えば、アニオン性、両性、双性イオン性、カチオン性もしくはノニオン性界面活性剤またはその混合物、抗酸化剤、歯の色を変化させる薬剤、特に、歯の漂白剤、無機質、ビタミンおよび栄養物、甘味料、湿潤剤、充填剤、増粘剤、アルカリ金属重炭酸塩、緩衝液、色素、香料などを含有していてもよい。更に、これに関しては、WO92/092028を参照されたい。
【0110】
加えて、本発明の薬剤は、少なくとも1種の担体物質を含有する。本発明による特に好ましい練り歯磨き用の、好ましい担体はグリセリンであるが、先行技術で公知の他の非水性担体、例えば、プロピレングリコールおよびポリグリセリンを用いてもよい。うがい薬濃縮物またはうがい薬は、それぞれ、アルコール(エタノール)を基にして、またはアルコールを用いずに製造してもよい。アルコールを含まないうがい薬濃縮物は、それらが、危険を伴わずに子どもに使用され得るという利点を有する。アルコールを含有するうがい薬濃縮物は、例えば、グリセリンエタノール混合物を基にして製造され得、アルコールを含まない、うがい薬濃縮物の適切な担体物質は、グリセリン、プロピレングリコールおよびポリグリセリンである。
【0111】
本発明の生成物の製造は、例えば、参照として包含されるWO02/092028に記載されるような、先行技術で知られる方法と同様に、それ自体が公知の手法で実施される。
【0112】
以下の実施例は、本発明を例証するものである。
【0113】
実施例1
練り歯磨きを以下の成分から製造した(全て重量%での量):
【0114】
A)グリセリン(無水物) 添加して100とする
没食子酸エピガロカテキン(EGCG) 0.10
Texapon N70(ラウリル硫酸ナトリウム) 1.42
フッ化ナトリウム 0.22
サッカリンナトリウム 0.10
Carbopol 981(carbomer) 0.70
Syloblanc 81(シリカゲル) 10.00
Syloblanc 82(シリカゲル) 10.00
B)クエン酸 0.45
水(水分) 0.30
100.00
【0115】
すなわち、最初に、緩やかに撹拌しながら、示した順序で、Aに列挙した物質の全てを室温で混合し、均質なペーストが得られるまで、撹拌を続けた。別個の容器中で、B)に列挙した物質を、緩やかに撹拌しながら、室温で混合し、均質なペーストに室温で添加した。均質なペーストが得られるまで、再度混合を行った。前記均質なペーストは、練り歯磨きとして適切であり、没食子酸エピガロカテキン0.1重量%を含有する。Karl Fischerによる総水含有量は、4.7%であった。
【0116】
比較実施例1
比較のために、没食子酸エピガロカテキン0.1重量%を含有し、以下の組成(重量%での量)を有する練り歯磨きを製造した。:
【0117】
水 添加して100とする
グリセリン 20.00
没食子酸エピガロカテキン(EGCG) 0.10
Texapon N70(ラウリル硫酸ナトリウム) 1.42
フッ化ナトリウム 0.22
サッカリンナトリウム 0.10
Carbopol 981(Carbomer) 1.40
Syloblanc 81(シリカゲル) 10.00
Syloblanc 82(シリカゲル) 10.00
100.00
【0118】
すなわち、最初に、緩やかに撹拌しながら、示した順序で、Aに列挙した物質の全てを、室温で混合し、均質なペーストが得られるまで、撹拌を続けた。Karl Fischerによる総水含有量は、59%であった。
【0119】
試験実施例1
実施例1および比較実施例1の2種の練り歯磨きを、室温(25℃)で8週間保存し、独立して、5℃で8週間保存した。その後、色を比色計で評価した。比色計での評価は、Roderick McDonald, Society of Dyers & Colourists, March 1997による"Colour Physics for Industry" に記載された、CIE 1976 L x a x b 「色空間」評価によって実施した。ΔEは、ΔE=[(L−Lo2+(a−ao2+(b−bo21/2(式中、Lは明度を表し、「a」の正値は赤色を意味し、「a」の負値は緑色を意味し、「b」の正値は黄色を意味し、「b」の負値は青色を意味する)により、いわゆる色空間から得られる。色の測定は、Minolta Spectrophotometer CM-3600dを用いて実施した。
【0120】
比較の結果を、図1に示す。5℃でも、本発明による練り歯磨きは、水をベースとする比較用生成物よりもかなり少ない変色であることが示される。その差は、室温で特に明白になった。本発明の練り歯磨きは、室温ででも、5℃で保存した後の比較用生成物より安定している。比較実施例の水ベースの練り歯磨きは、室温で保存した8週間の後にかなり変色したので、その練り歯磨きは、販売目的にはもはや適していなかった。これに対して、本発明の練り歯磨きは、極わずかの変色しか示さず、商業的利用を妨げないものである。
【0121】
図1のVBは、比較実施例の練り歯磨きを表し、EMは、本発明の練り歯磨きである。ΔEは、「色空間」の評価を示す。
【0122】
実施例2
緩やかに撹拌しながら、サッカリンナトリウムをグリセリンと室温で混合することによって、以下の成分:
A)グリセリン 添加して100とする
サッカリンナトリウム 1.80
B)没食子酸エピガロカテキン(EGCG) 2.50
アルコール(エタノール) 62.50
プロピレングリコール 5.00
100.00
から、うがい薬濃縮を製造した(全て重量%での量)。
【0123】
別個の容器で、没食子酸エピガロカテキンを室温のエタノールに溶解した。プロピレングリコールを室温で添加しながら撹拌した。成分B)の混合物を、成分A)の混合物に添加した。没食子酸エピガロカテキン2.5%のアルコール/グリセリンを基剤とする、うがい薬濃縮物を得た。Karl Fischerによる総水含有量は、0.5%未満であった。
【0124】
比較実施例2
先行技術に慣用的な水を含有し、以下の成分(重量%での量)を含む、
A)水 添加して100とする
グリセリン 5.00
サッカリンナトリウム 1.80
B)没食子酸エピガロカテキン(EGCG) 2.50
アルコール(エタノール) 62.50
100.00
比較うがい薬濃縮物を製造した。
【0125】
別個の容器で、没食子酸エピガロカテキンを、室温でエタノールに溶解し、成分B)を成分A)と混合した。Karl Fischerによる総水含有量は、29%であった。
【0126】
試験実施例2
実施例2および比較実施例2のうがい薬濃縮物を室温で3ヶ月保存し、独立して、5℃で3ヶ月間保存した。その後、検査実施例1に記載したとおり、比色測定を実施した。結果を図2に示している。うがい薬濃縮物の変色は、5℃での比較用生成物でも、許容し得るが、室温での3ヶ月保存後の比較用生成物の変色は非常に高いので、その生成物は、販売使用には不適切である。ある程度の変色が、本発明のうがい薬においても見られるが、それは、比較用生成物よりも著しく低い。
【0127】
図2において、VBは、比較実施例のうがい薬濃縮物を表し、EMは、本発明の実施例2のうがい薬濃縮物を表す。ΔEは、「色空間」の評価を示す。
【0128】
実施例3
緩やかに撹拌しながら、サッカリンナトリウムとグリセリンを室温で混合することによって、以下の成分(重量%での量)
A)グリセリン 添加して100とする
サッカリンナトリウム 1.80
B)没食子酸エピガロカテキン(EGCG) 2.50
C)香油(Peppermint 450-150 Dullberg) 2.50
プロピレングリコール 30.00
100.00
のうがい薬濃縮物を製造した。
【0129】
その後、没食子酸エピガロカテキンを添加して、没食子酸エピガロカテキンが完全に溶解するまで撹拌した。別個の容器で、成分C)を室温で混合し、その後、A)とB)の混合物に添加した。アルコールは含有せず、没食子酸エピガロカテキン2.5%を含有する、うがい薬濃縮物が得られた。Karl Fischerによる総水含有量は、0.5%未満であった。
【0130】
実施例4〜17
練り歯磨きを、それ自体が公知の手法によって、以下の表に列挙する成分から製造した。前記練り歯磨きを異なる温度で保存し、2週および3週(3月)後に、酸化に感受性のある物質の含有量を慣用的手法で測定した。その結果も以下の表に列挙している。練り歯磨き全種の、Karl Fischerによる総水含有量は、0.5%未満であった。
【0131】
【表2】

【0132】
【表3】

【0133】
【表4】

【0134】
【表5】

【0135】
【表6】

【0136】
【表7】

【0137】
【表8】

【0138】
【表9】

【0139】
【表10】

【0140】
【表11】

【0141】
【表12】

【0142】
【表13】

【0143】
【表14】

【0144】
【表15】


【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】実施例1(EM)と比較実施例1(VB)の練り歯磨きにおける「色空間」の評価(ΔE)
【図2】実施例2(EM)と比較実施例2(VB)のうがい薬濃縮物における「色空間」の評価(ΔE)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上の、酸化に感受性のある物質を含む、練り歯磨き、うがい薬またはうがい薬濃縮物の形態において、経口活性を持つ局所薬であって、その局所薬が、7.5重量%以下の、Karl Fischerによる水含有量を有することを特徴とする局所薬。
【請求項2】
酸化に感受性のある物質が、レチノイド、アスコルビル化合物、アスコルビン酸、レスベラトロール、フラボノイドおよび/または緑茶ポリフェノールから選択されることを特徴とする、請求項1記載の経口活性を持つ局所薬。
【請求項3】
1種以上の緑茶ポリフェノールを含有することを特徴とする、請求項2記載の経口活性を持つ局所薬。
【請求項4】
1種以上の緑茶ポリフェノールを、該局所薬の重量に基づいて、0.01〜10重量%の量で含有することを特徴とする、請求項3記載の経口活性を持つ局所薬。
【請求項5】
没食子酸エピガロカテキンを含有することを特徴とする、請求項3または4記載の経口活性を持つ局所薬。
【請求項6】
緑茶の抽出物を含むことを特徴とする、請求項3〜5のいずれか一項記載の経口活性を持つ局所薬。
【請求項7】
4.8重量%以下の、Karl Fischerによる水含有量を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項記載の経口活性を持つ局所薬。
【請求項8】
3重量%以下の、Karl Fischerによる水含有量を有することを特徴とする、請求項7記載の経口活性を持つ局所薬。
【請求項9】
該局所薬が、練り歯磨きであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項記載の経口活性を持つ局所薬。
【請求項10】
練り歯磨きが、塩基性の手法で反応するスクラビング成分、好ましくは、シリカまたはカルシウムに基づくスクラビング成分を有することを特徴とする、請求項9記載の経口活性を持つ局所薬。
【請求項11】
練り歯磨きが、ポリエチレン微粉末をスクラビング成分として含有することを特徴とする、請求項9記載の経口活性を持つ局所薬。
【請求項12】
該局所薬が、うがい薬またはうがい薬濃縮物であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項記載の経口活性を持つ局所薬。
【請求項13】
酸性の手法で反応する化合物を更に含有することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項記載の経口活性を持つ局所薬。
【請求項14】
酸性の手法で反応する化合物が、クエン酸であることを特徴とする、請求項13記載の経口活性を持つ局所薬。
【請求項15】
2重量%未満の遊離水(free water)が、添加されることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項記載の経口活性を持つ局所薬。
【請求項16】
口腔および/または歯の局所処置のために、7.5重量%以下の、Karl Fischerによる水含有量を有する、練り歯磨き、うがい薬またはうがい薬濃縮物を製造するための、酸化に感受性のある物質の使用。
【請求項17】
該薬剤が、う食、歯肉炎および/または口臭の予防および/または治療のためのものであることを特徴とする、請求項16記載の使用。
【請求項18】
該薬剤が、口腔内の炎症過程の予防および/または治療のためのものであることを特徴とする、請求項16記載の使用。
【請求項19】
口腔内の炎症過程が、歯周症であることを特徴とする、請求項18記載の使用。
【請求項20】
該薬剤が、口腔の生体組織における酸化的ストレス状態の予防および/または治療用の薬剤であることを特徴とする、請求項16記載の使用。
【請求項21】
酸化に感受性のある物質が、レチノイド、アスコルビル化合物、アスコルビン酸、レスベラトロール、フラボノイドおよび/または緑茶ポリフェノールから選択される、請求項16〜20のいずれか一項記載の使用。
【請求項22】
酸化に感受性のある物質が、1種以上の緑茶ポリフェノールである、請求項21記載の使用。
【請求項23】
練り歯磨き、うがい薬またはうがい薬濃縮物から選択される、経口活性を持つ局所薬中の、酸化に感受性のある物質を安定化させる方法であって、Karl Fischerによる、該薬剤の水含有量が7.5重量%以下に調整されることを特徴とする方法。
【請求項24】
酸化に感受性のある物質が、酸性の手法で反応する化合物と共に製剤化されることを特徴とする、請求項23記載の方法。
【請求項25】
酸化に感受性のある物質が、レチノイド、アスコルビル化合物、アスコルビン酸、レスベラトロール、フラボノイドおよび/または緑茶ポリフェノールから選択されることを特徴とする、請求項23または24記載の方法。
【請求項26】
酸化に感受性のある物質が、1種以上の緑茶ポリフェノールであり、該方法が、経口活性を持つ局所薬中の緑茶ポリフェノールの変色を低減することを特徴とする、請求項25記載の方法。
【請求項27】
酸化に感受性のある物質が通常の担体および添加剤と混合される、練り歯磨き、うがい薬またはうがい薬濃縮物から選択される、経口活性を持つ局所薬を製造する方法であって、水2重量%未満が担体として用いられることを特徴とする方法。
【請求項28】
水1.5重量%以下が、担体として用いられることを特徴とする、請求項27記載の方法。
【請求項29】
酸化に感受性のある物質が、レチノイド、アスコルビル化合物、アスコルビン酸、レスベラトロール、フラボノイドおよび/または緑茶ポリフェノールから選択されることを特徴とする、請求項27または28記載の方法。
【請求項30】
酸化に感受性のある物質が、1種以上の緑茶ポリフェノールであることを特徴とする、請求項29記載の方法。
【請求項31】
請求項27〜30のいずれか一項記載の方法によって得られる、練り歯磨き、うがい薬およびうがい薬濃縮物から選択される、経口活性を持つ局所薬。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−505064(P2007−505064A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525702(P2006−525702)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【国際出願番号】PCT/EP2004/009701
【国際公開番号】WO2005/025527
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】