説明

1,1’−ジアダマンチルカルボン酸、このような化合物を含有する医薬及びその使用

本発明は、有用な薬理活性を有する、式(I)[式中、R基は、請求項1で定義したとおりである]により定義される化合物に関する。詳しくは、本化合物は、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1の阻害剤であり、このため代謝性疾患のような、この酵素の阻害により影響を受けうる疾患の治療及び予防に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下の式(I):
【0002】
【化1】


[式中、R基は、本明細書に後から定義されるとおりである]により構造的に定義される化学骨格から誘導される化合物(互変異性体、立体異性体、その混合物及びその塩を包含する)に関する。本発明は更に、本発明の式(I)の化合物を含有する医薬組成物、並びに代謝障害の処置用の医薬組成物を調製するための本発明の化合物の使用に関する。更に、本発明は、本発明の化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
文献上、酵素の11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1に対する阻害作用を有する化合物は、メタボリック症候群、特に2型糖尿病、肥満症及び脂質異常症の処置について提案されている。
【0004】
WO 2001/055063において、ビスアダマンタン化合物及び誘導体は、耐熱性、光学特性及び可溶性において有利な特性を有すると記載されているため、これらは光学材料として有用である。とりわけ下記の化合物が説明されている:
【0005】
【化2】


[式中、Wは、ヒドロキシカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、i−プロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、i−ブトキシカルボニル、(1−メチル−プロピル−1−オキシ)−カルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−ペントキシカルボニル、(3−メチル−ブチル−1−オキシ)−カルボニル、n−ヘキシルオキシカルボニル、n−ヘプチルオキシカルボニル、n−オクチルオキシカルボニルである]。
【0006】
JP 2007-140188には、ポジティブ型感光性組成物及びパターン形成方法が記載されている。とりわけ下記の化合物が言及されている:
【0007】
【化3】

【0008】
JP 2006265224では、一般式:
【0009】
【化4】


[式中、Ar、Ar、m1、m2、m3、及びYは、文献中に定義したとおりである]で示される誘導体が、低誘電率樹脂の調製のための出発化合物として記載されている。とりわけ下記のジアダマンチル化合物が明記されている:
【0010】
【化5】


[R=Br、4−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル、3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル、4−(3−ベンジルオキシ−4−ニトロ−フェノキシ)−フェニル、4−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−フェノキシ)−フェニル]。
【0011】
この発明者らは、1,1’−ジアダマンチルカルボン酸が11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1の阻害剤と記載されていることに気づいていない。
【0012】
発明の目的
本発明の目的は、新規の1,1’−ジアダマンチルカルボン酸、特に酵素の11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1に関して活性なものを見い出すことである。本発明の更なる目的は、インビトロ及び/又はインビボで酵素の11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1に対する阻害作用を有しており、そして医薬として使用するのに適切な薬理学的及び薬物動態的特性を持つ、1,1’−ジアダマンチルカルボン酸を発見することである。
【0013】
本発明の更なる目的は、代謝障害、特に糖尿病、肥満症、及び脂質異常症の予防及び/又は治療に適切な新規の医薬組成物を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、当業者には前記及び後記の所見から直接明らかになるだろう。
【0015】
発明の対象
第1の態様において本発明は、式(I):
【0016】
【化6】


[式中、
Rは、水素、ハロゲン、C1−10−アルキル、C2−6−アルケニル、C2−6−アルキニル、C3−6−シクロアルキル、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、ニトロ、スルファニル、(het)アリール、アミノカルボニル、シアノアミノカルボニル、アゼチジン−1−イルカルボニル、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イルカルボニル、又はモルホリン−4−イルカルボニルを意味するが、ここで、
各アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アルケニル、及びアルキニル基は、場合によりフッ素、C1−4−アルキル、C3−6−シクロアルキル、ヒドロキシ、C1−4−アルコキシ、(het)アリールオキシ、C1−4−アルキルスルファニル、C1−4−アルキルスルフィニル、C1−4−アルキルスルホニル、アミノ、C1−4−アルキルアミノ、ジ−(C1−4−アルキル)アミノ、N−C1−3−アルコキシ−N−C1−3−アルキル−アミノ、アゼチジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、C1−4−アルキルカルボニルアミノ、N−(C1−4−アルキルカルボニル)−N−C1−3−アルキル−アミノ、(het)アリールカルボニルアミノ、N−[(het)アリールカルボニル]−N−C1−3−アルキル−アミノ、シアノ、カルボキシ、C1−4−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−4−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−4−アルキル)アミノカルボニル、(het)アリールアミノカルボニル、N−((het)アリール)−N−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、又は(het)アリールで相互に独立に一置換又は多置換されており、同時に各アルキル、シクロアルキル、及びシクロヘテロアルキル基は、場合によりフッ素で一置換若しくは多置換されているか、かつ/又はC1−3−アルキル、ヒドロキシ、C1−3−アルキルオキシ、シアノ、カルボキシ、C1−3−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、アミノ、アセチルアミノ、若しくは(het)アリールで相互に独立に一置換若しくは二置換されており、そしてここで、
各上記アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アルケニル、及びアルキニル基では、場合により1〜3個のCH基は、NR、O、S、SO、SO、及びCOによって相互に独立に置き換えられているが、これらの基の1つが偶然2回以上組み込まれるならば、これらは相互に直接結合せず、
は、水素、C1−6−アルキル、C3−6−アルケニル、C3−6−アルキニル、C3−6−シクロアルキル、(het)アリール、C1−4−アルキルカルボニル、C1−4−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−4−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)アミノ−カルボニル、C1−4−アルキルスルホニル、(het)アリールカルボニル、(het)アリールアミノカルボニル、又は(het)アリールスルホニルを意味するが、ここで、
各アルキル、シクロアルキル、アルケニル、及びアルキニル基は、場合によりフッ素で一置換又は多置換されており、かつ場合によりヒドロキシ、C1−4−アルコキシ、C1−4−アルキルスルファニル、C1−4−アルキルスルフィニル、C1−4−アルキルスルホニル、アミノ、C1−4−アルキルアミノ、ジ−(C1−4−アルキル)アミノ、C1−4−アルキルカルボニルアミノ、シアノ、カルボキシ、C1−4−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−4−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−4−アルキル)アミノカルボニル、又は(het)アリールで一置換されており、
(het)アリールは、フェニル、ナフチル、ピロリル、フラニル、チエニル、テトラゾリル、ピリジル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、及びイソキノリニルよりなる群から選択されるか、又は
ピロリル、フラニル、チエニル、及びピリジル(これらの全てで、1個又は2個のCH基は、Nにより置き換えられている)よりなる群から選択されるか、又は
インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、及びイソキノリニル(これらの全てで、1〜3個のCH基は、Nにより置き換えられている)よりなる群から選択されるか、又は
1,2−ジヒドロ−2−オキソ−ピリジニル、1,4−ジヒドロ−4−オキソ−ピリジニル、2,3−ジヒドロ−3−オキソ−ピリダジニル、1,2,3,6−テトラヒドロ−3,6−ジオキソ−ピリダジニル、1,2−ジヒドロ−2−オキソ−ピリミジニル、3,4−ジヒドロ−4−オキソ−ピリミジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−2,4−ジオキソ−ピリミジニル、1,2−ジヒドロ−2−オキソ−ピラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−2,3−ジオキソ−ピラジニル、2,3−ジヒドロ−2−オキソ−インドリル、2,3−ジヒドロベンゾ−フラニル、2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1H−ベンゾイミダゾリル、2,3−ジヒドロ−2−オキソ−ベンゾオキサゾリル、1,2−ジヒドロ−2−オキソ−キノリニル、1,4−ジヒドロ−4−オキソ−キノリニル、1,2−ジヒドロ−1−オキソ−イソキノリニル、1,4−ジヒドロ−4−オキソ−シンノリニル、1,2−ジヒドロ−2−オキソ−キナゾリニル、1,4−ジヒドロ−4−オキソ−キナゾリニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−2,4−ジオキソ−キナゾリニル、1,2−ジヒドロ−2−オキソキノキサリニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−3−オキソ−キノキサリニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−2,3−ジオキソ−キノキサリニル、1,2−ジヒドロ−1−オキソ−フタラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−ジオキソ−フタラジニル、クロマニル、クマリニル、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル、及び3,4−ジヒドロ−3−オキソ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジニル、ジヒドロキナゾリニル、3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル−カルボニル、1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル−カルボニル、2,3−ジヒドロ−インドール−1−イル−カルボニル、及び1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−3−イル−カルボニルよりなる群から選択されるが、ここで、
上記(het)アリール環は、場合によりモノ又はポリフッ素化されており、かつ場合によりLから相互に独立に選択される1個、2個、3個、又は4個の置換基で置換されており、
は、ハロゲン、C1−3−アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、アミノ、C1−3−アルキルアミノ、ジ−(C1−3−アルキル)アミノ、C1−3−アルキルカルボニルアミノ、C1−3−アルキルスルホニルアミノ、カルボキシ、C1−4−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−3−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、アミノスルホニル、C1−3−アルキルスルファニル、C1−3−アルキルスルフィニル、C1−3−アルキルスルホニル、ヒドロキシ、C1−3−アルキルオキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、フェネチル、フェノキシ、又はフェニルを意味するが、ここで前記全てのフェニル基は、場合によりフッ素、メチル、メトキシ、シアノ、カルボキシ、ジメチルアミノカルボニル、又はヒドロキシから相互に独立に選択される1個又は2個の置換基で置換されている(ただし、
上記アルキル又はアルキレン部分のそれぞれは、分岐していても、又は非分岐であってもよい)]で示される化合物、互変異性体、その立体異性体、その混合物、又はその塩、又はそのプロドラッグに関する[ただし、
(P1)一般式(I)(式中、Rは、ヒドロキシカルボニル、(2−メチル−1−オキソ−2−プロペニル−1−イル)オキシ−、ブロモ、4−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル、3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル、4−(3−ベンジルオキシ−4−ニトロ−フェノキシ)−フェニル、又は4−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−フェノキシ)−フェニルである)の化合物は除外され、そして
(P2)一般式(X):
【0017】
【化7】


(式中、Wは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、i−プロポキシカルボニル、n−ブチルオキシカルボニル、i−ブチルオキシカルボニル、(1−メチル−プロピル−1−オキシ)−カルボニル、t−ブチルオキシカルボニル、n−ペンチルオキシカルボニル、(3−メチル−ブチル−1−オキシ)−カルボニル、n−ヘキシルオキシカルボニル、n−ヘプチルオキシカルボニル、又はn−オクチルオキシカルボニルである)で示される化合物は除外される]。
【0018】
ただし書き(P1)に含まれる化合物を包含する本発明の一般式(I)の化合物、及び生理学的に許容しうるその塩は、有用な薬理学的性質、特に酵素の11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1に対する阻害作用を有する。
【0019】
本発明の更に別の態様は、無機又は有機酸との本発明の一般式(I)の化合物の生理学的に許容しうる塩に関する。
【0020】
更に別の態様において、本発明は、ただし書き(P1)及び(P2)に含まれる化合物を包含する少なくとも1つの一般式(I)の化合物、又は本発明の生理学的に許容しうる塩を、場合により1つ以上の不活性担体及び/又は希釈剤と一緒に含有する、医薬組成物に関する。
【0021】
更に別の態様において、本発明は、代謝障害のような、酵素の11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1を阻害することにより影響を受けうる疾患又は症状の治療又は予防のための、ただし書き(P1)及び(P2)に含まれる化合物を包含する一般式(I)の化合物、又は生理学的に許容しうるその塩に関する。
【0022】
更に別の態様において、本発明は、代謝障害のような、酵素の11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1を阻害することにより影響を受けうる疾患又は症状の治療又は予防に適した医薬組成物を調製するための、ただし書き(P1)及び(P2)に含まれる化合物を包含する、少なくとも1つの一般式(I)の化合物、又は生理学的に許容しうるその塩の1つの使用に関する。
【0023】
更に別の態様において、本発明は、一般式(I)の化合物の製造方法であって、
本明細書において前記及び後記のとおり定義される一般式(I)の化合物を調製するために、一般式(II):
【0024】
【化8】


[式中、
R基は、本明細書に前記及び後記のとおり定義され、そして
R’は、C1−6−アルキル、C3−6−シクロアルキル−C1−3−アルキル、C3−6−シクロアルキル、C2−6−アルケニル、C3−6−アルキニル、アリール−C1−3−アルキル、アリールであるが、ただし、
上記基の定義中に言及されるアルキル、シクロアルキル、アルケニル、及びアルキニル基は、単独で又は別の基の一部として、場合によりフッ素、塩素、C1−3−アルキル、又はC1−3−アルコキシで一置換又は多置換されており、そして
上記定義中に言及されるアリール基は、それぞれ場合によりフッ素、塩素、臭素、C1−3−アルキル、C1−3−アルキルオキシ、ニトロ、シアノ、又はジ−(C1−3−アルキル)アミノで相互に独立に一置換又は多置換されている、フェニル又はナフチルである]で示されるカルボン酸エステルを、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、又は水酸化バリウムのような無機塩基で、場合により移動触媒の存在下で、好ましくはテトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、エーテル、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、アセトニトリル、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、及び水から選択される溶媒又は溶媒の混合物中で、好ましくは−10〜120℃の温度で加水分解し;そして
必要ならば、上述の反応に使用された任意の保護基を同時に又は続けて開裂し;
必要に応じて、こうして得られた一般式(I)の化合物をその立体異性体に分割し;
必要に応じて、こうして得られた一般式(I)の化合物をそのプロドラッグに変換し; 必要に応じて、こうして得られた一般式(I)の化合物をその塩に、特に医薬としての使用のために生理学的に許容しうるその塩に変換することを特徴とする方法に関する。
【0025】
発明の詳細な説明
特に断りない限り、基、残基、及び置換基、特にRは、本明細書に上記及び後記のとおりである。化合物中に残基、置換基、又は基が数回出現するならば、これらは同一であるか又は異なる意味を有してよい。本発明の化合物の個々の基及び置換基の幾つかの好ましい意味は、本明細書に後述されよう。
【0026】
本発明により、式(I):
【0027】
【化9】


[式中、
Rは、水素、ハロゲン、C1−10−アルキル、C2−6−アルケニル、C2−6−アルキニル、C3−6−シクロアルキル、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、ニトロ、スルファニル、(het)アリール、アミノカルボニル、シアノアミノカルボニル、アゼチジン−1−イルカルボニル、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イルカルボニル、又はモルホリン−4−イルカルボニルを意味するが、ここで、
各アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アルケニル、及びアルキニル基は、場合によりフッ素、C1−4−アルキル、C3−6−シクロアルキル、ヒドロキシ、C1−4−アルコキシ、(het)アリールオキシ、C1−4−アルキルスルファニル、C1−4−アルキルスルフィニル、C1−4−アルキルスルホニル、アミノ、C1−4−アルキルアミノ、ジ−(C1−4−アルキル)アミノ、N−C1−3−アルコキシ−N−C1−3−アルキル−アミノ、アゼチジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、C1−4−アルキルカルボニルアミノ、N−(C1−4−アルキルカルボニル)−N−C1−3−アルキル−アミノ、(het)アリールカルボニルアミノ、N−[(het)アリールカルボニル]−N−C1−3−アルキル−アミノ、シアノ、カルボキシ、C1−4−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−4−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−4−アルキル)アミノカルボニル、(het)アリールアミノカルボニル、N−((het)アリール)−N−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、又は(het)アリールで相互に独立に一置換又は多置換されており、同時に各アルキル、シクロアルキル、及びシクロヘテロアルキル基は、場合によりフッ素で一置換若しくは多置換されているか、かつ/又はC1−3−アルキル、ヒドロキシ、C1−3−アルキルオキシ、シアノ、カルボキシ、C1−3−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、アミノ、アセチルアミノ、若しくは(het)アリールで相互に独立に一置換若しくは二置換されており、そしてここで、
各上記アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アルケニル、及びアルキニル基では、場合により1〜3個のCH基は、NR、O、S、SO、SO、及びCOによって相互に独立に置換されているが、これらの基の1つが偶然2回以上組み込まれるならば、これらは相互に直接結合せず、
は、水素、C1−6−アルキル、C3−6−アルケニル、C3−6−アルキニル、C3−6−シクロアルキル、(het)アリール、C1−4−アルキルカルボニル、C1−4−アルキルオキシカルボニル、C1−4−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)アミノ−カルボニル、C1−4−アルキルスルホニル、(het)アリールカルボニル、(het)アリールアミノカルボニル、又は(het)アリールスルホニルを意味するが、ここで、
各アルキル、シクロアルキル、アルケニル、及びアルキニル基は、場合によりフッ素で一置換又は多置換されており、かつ場合によりヒドロキシ、C1−4−アルコキシ、C1−4−アルキルスルファニル、C1−4−アルキルスルフィニル、C1−4−アルキルスルホニル、アミノ、C1−4−アルキルアミノ、ジ−(C1−4−アルキル)アミノ、C1−4−アルキルカルボニルアミノ、シアノ、カルボキシ、C1−4−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−4−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−4−アルキル)アミノカルボニル、又は(het)アリールで一置換されており、
(het)アリールは、フェニル、ナフチル、ピロリル、フラニル、チエニル、テトラゾリル、ピリジル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、及びイソキノリニルよりなる群から選択されるか、又は
ピロリル、フラニル、チエニル、及びピリジル(これらの全てで、1個又は2個のCH基は、Nにより置換されている)よりなる群から選択されるか、又は
インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、及びイソキノリニル(これらの全てで、1〜3個のCH基は、Nにより置換されている)よりなる群から選択されるか、又は
1,2−ジヒドロ−2−オキソ−ピリジニル、1,4−ジヒドロ−4−オキソ−ピリジニル、2,3−ジヒドロ−3−オキソ−ピリダジニル、1,2,3,6−テトラヒドロ−3,6−ジオキソ−ピリダジニル、1,2−ジヒドロ−2−オキソ−ピリミジニル、3,4−ジヒドロ−4−オキソ−ピリミジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−2,4−ジオキソ−ピリミジニル、1,2−ジヒドロ−2−オキソ−ピラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−2,3−ジオキソ−ピラジニル、2,3−ジヒドロ−2−オキソ−インドリル、2,3−ジヒドロベンゾ−フラニル、2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1H−ベンゾイミダゾリル、2,3−ジヒドロ−2−オキソ−ベンゾオキサゾリル、1,2−ジヒドロ−2−オキソ−キノリニル、1,4−ジヒドロ−4−オキソ−キノリニル、1,2−ジヒドロ−1−オキソ−イソキノリニル、1,4−ジヒドロ−4−オキソ−シンノリニル、1,2−ジヒドロ−2−オキソ−キナゾリニル、1,4−ジヒドロ−4−オキソ−キナゾリニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−2,4−ジオキソ−キナゾリニル、1,2−ジヒドロ−2−オキソキノキサリニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−3−オキソ−キノキサリニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−2,3−ジオキソ−キノキサリニル、1,2−ジヒドロ−1−オキソ−フタラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−ジオキソ−フタラジニル、クロマニル、クマリニル、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル、及び3,4−ジヒドロ−3−オキソ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジニルよりなる群から選択されるが、ここで、
上記(het)アリール環は、場合によりモノ又はポリフッ素化されており、かつ場合によりLから相互に独立に選択される1個、2個、3個、又は4個の置換基で置換されており、
は、ハロゲン、C1−3−アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、アミノ、C1−3−アルキルアミノ、ジ−(C1−3−アルキル)アミノ、C1−3−アルキルカルボニルアミノ、C1−3−アルキルスルホニルアミノ、カルボキシ、C1−4−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−3−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、アミノスルホニル、C1−3−アルキルスルファニル、C1−3−アルキルスルフィニル、C1−3−アルキルスルホニル、ヒドロキシ、C1−3−アルキルオキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、又はフェニル(場合によりフッ素、メチル、メトキシ、シアノ、又はヒドロキシから相互に独立に選択される1個又は2個の置換基で置換されている)を意味する(ただし、
上記アルキル又はアルキレン部分のそれぞれは、分岐していても、又は非分岐であってもよい)]で示される化合物、互変異性体、その立体異性体、その混合物、又はその塩、又はそのプロドラッグが好ましい[ただし、
(P1)一般式(I)(式中、Rは、ヒドロキシカルボニル、(2−メチル−1−オキソ−2−プロペニル−1−イル)オキシ−、ブロモ、4−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル、3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル、4−(3−ベンジルオキシ−4−ニトロ−フェノキシ)−フェニル、又は4−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−フェノキシ)−フェニルである)の化合物は除外され、そして
(P2)一般式(X):
【0028】
【化10】


(式中、Wは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、i−プロポキシカルボニル、n−ブチルオキシカルボニル、i−ブチルオキシカルボニル、(1−メチル−プロピル−1−オキシ)−カルボニル、t−ブチルオキシカルボニル、n−ペンチルオキシカルボニル、(3−メチル−ブチル−1−オキシ)−カルボニル、n−ヘキシルオキシカルボニル、n−ヘプチルオキシカルボニル、又はn−オクチルオキシカルボニルである)で示される化合物は除外される]。
【0029】
実施態様(E1a)によれば、R基は、好ましくはC1−6−アルキル[場合によりフッ素で一置換又は多置換されており、かつ場合によりヒドロキシ、C1−4−アルコキシ、(het)アリールオキシ、C1−4−アルキルスルフィニル、C5−6−シクロアルキル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、4−(het)アリール−ピペラジン−1−イル、4−C1−4−アルキルカルボニル−ピペラジン−1−イル、4−C1−4−アルキルスルホニル−ピペラジン−1−イル、モルホリン−4−イル、C1−4−アルキルカルボニルアミノ、(het)アリール−カルボニルアミノ、ピロリジン−2−オン−1−イル、ピペリジン−2−オン−1−イル、ピペラジン−2−オン−1−イル、ピペラジン−3−オン−1−イル、モルホリン−3−オン−4−イル、モルホリン−2−オン−4−イル、シアノ、カルボキシ、C1−4−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−4−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−4−アルキル)アミノカルボニル、(het)アリール−アミノカルボニル、N−(het)アリール−N−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル及び(het)アリールよりなる群から相互に独立に選択される1個、2個、3個又は4個の置換基で置換されており、同時に本明細書に前記の置換基中の各アルキル残基は、場合によりフッ素で一置換若しくは多置換されているか、かつ/又はヒドロキシ、C1−3−アルコキシ若しくはシアノで一置換されており;そして同時に本明細書に前記の各シクロアルキル又はシクロヘテロアルキル基は、場合によりC1−3−アルキル、フッ素、ヒドロキシ、C1−3−アルキルオキシ、シアノ、カルボキシ、C1−3−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、アミノ、アセチルアミノ、又は(het)アリールで相互に独立に一置換又は二置換されている]を意味する。
【0030】
更に好ましい実施態様(E1b)によれば、R基は、好ましくはC1−6−アルキル[場合によりフッ素で一置換又は多置換されており、かつ場合によりヒドロキシ、C1−4−アルコキシ、フェニルオキシ、ピリジニルオキシ、C1−4−アルキルスルフィニル、C5−6−シクロアルキル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、4−フェニル−ピペラジン−1−イル、4−C1−4−アルキルカルボニル−ピペラジン−1−イル、4−C1−4−アルキルスルホニル−ピペラジン−1−イル、モルホリン−4−イル、C1−4−アルキルカルボニルアミノ、フェニルカルボニルアミノ、ピロリジン−2−オン−1−イル、ピペリジン−2−オン−1−イル、ピペラジン−2−オン−1−イル、ピペラジン−3−オン−1−イル、モルホリン−3−オン−4−イル、モルホリン−2−オン−4−イル、シアノ、カルボキシ、C1−4−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−4−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−4−アルキル)アミノカルボニル、フェニルアミノカルボニル、N−フェニル−N−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、及びフェニルよりなる群から相互に独立に選択される1個、2個、又は3個の置換基で置換されており;同時に各アルキル残基は、場合によりフッ素で一置換若しくは多置換されているか、かつ/又はヒドロキシ、C1−3−アルコキシ若しくはシアノで一置換されており;そして同時に各フェニル環は、場合によりフッ素、シアノ、C1−3−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、メトキシ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アセチルアミノ、メチルスルホニルアミノ、カルボキシ、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル及びジメチルアミノカルボニルで相互に独立に一置換又は二置換されている]を意味する。
【0031】
更になお好ましい実施態様(E1c)によれば、R基は、好ましくはヒドロキシ−C1−3−アルキル又はピリジルオキシ−C1−3−アルキルを意味する。例には、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシプロパ−2−イル及びピリド−2−イルオキシメチルがある。
【0032】
実施態様(E2a)によれば、R基は、好ましくはC5−6−シクロアルキル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロフラノニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピラノニル、ピロリジノニル、ピペリジノニル、ピペラジノニル、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジノニル又はモルホリノニルを意味し、同時に本明細書に前記の各シクロアルキル又はシクロヘテロアルキル基は、場合によりC1−3−アルキル、フッ素、ヒドロキシ、C1−3−アルキルオキシ、シアノ、カルボキシ、C1−3−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、アミノ、アセチルアミノ、又は(het)アリールで相互に独立に一置換又は二置換されている。
【0033】
更に好ましい実施態様(E2b)によれば、R基は、好ましくはC5−6−シクロアルキル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロフラン−2−オニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピラン−2−オニル、ピロリジン−2−オニル、ピペリジン−2−オニル、ピペラジン−2−オニル、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−2−オニル、モルホリン−2−オニル、又はモルホリン−3−オニルを意味し、そしてこれらは、場合によりメチル、フッ素、ヒドロキシ、メトキシ、及びフェニルで相互に独立に一置換又は二置換されており、同時に各フェニル環は、場合によりフッ素、シアノ、C1−3−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、メトキシ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アセチルアミノ、メチルスルホニルアミノ、カルボキシ、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル又はジメチルアミノカルボニルで相互に独立に一置換又は二置換されている。
【0034】
実施態様(E3a)によれば、R基は、好ましくはヒドロキシ、(het)アリールオキシ、C1−4−アルキルオキシ、(het)アリール−C1−3−アルキルオキシ、シアノ−C1−3−アルキルオキシ、カルボキシ−C1−3−アルキルオキシ、C1−4−アルキルオキシ−カルボニル−C1−3−アルキルオキシ、アミノカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、C1−4−アルキルアミノカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、ジ−(C1−4−アルキル)アミノカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、(het)アリール−アミノカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、(het)アリール−C1−3−アルキル−アミノカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、N−(het)アリール−N−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、N−((het)アリール−C1−3−アルキル)−N−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、ピロリジン−1−イルカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、ピペリジン−1−イルカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、ピペラジン−1−イル−C1−3−アルキルオキシ、4−(C1−4−アルキル)−ピペラジン−1−イルカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、4−(het)アリール−ピペラジン−1−イルカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、又はモルホリン−4−イルカルボニル−C1−3−アルキルオキシを意味し、同時に各アルキル残基は、場合によりフッ素で一置換若しくは多置換されているか、かつ/又はヒドロキシ、C1−3−アルコキシ若しくはシアノで一置換されており;そして同時に本明細書に前記の各シクロヘテロアルキル基は、場合によりC1−3−アルキル、フッ素、ヒドロキシ、C1−3−アルキルオキシ、シアノ、カルボキシ、C1−3−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、アミノ、アセチルアミノ、又は(het)アリールで相互に独立に一置換又は二置換されている。
【0035】
更に好ましい実施態様(E3b)によれば、R基は、好ましくはヒドロキシ、フェノキシ、C1−4−アルキルオキシ、フェニル−C1−3−アルキルオキシ、シアノ−C1−3−アルキルオキシ、カルボキシ−C1−3−アルキルオキシ、C1−4−アルキルオキシカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、アミノカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、C1−4−アルキルアミノ−カルボニル−C1−3−アルキルオキシ、ジ−(C1−4−アルキル)アミノカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、フェニルアミノ−カルボニル−C1−3−アルキルオキシ、フェニル−C1−3−アルキル−アミノカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、N−フェニル−N−(C1−3−アルキル)−アミノ−カルボニル−C1−3−アルキルオキシ、N−(フェニル−C1−3−アルキル)−N−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、ピロリジン−1−イルカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、ピペリジン−1−イルカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、ピペラジン−1−イル−C1−3−アルキルオキシ、4−(C1−4−アルキル)−ピペラジン−1−イルカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、4−フェニル−ピペラジン−1−イルカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、又はモルホリン−4−イルカルボニル−C1−3−アルキルオキシを意味し;同時に各アルキル残基は、場合によりフッ素で一置換若しくは多置換されているか、かつ/又はヒドロキシ、C1−3−アルコキシ若しくはシアノで一置換されており;そして同時に各フェニル環は、場合によりフッ素、シアノ、C1−3−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、メトキシ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アセチルアミノ、メチルスルホニルアミノ、カルボキシ、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、又はジメチルアミノカルボニルで相互に独立に一置換又は二置換されている。
【0036】
実施態様(E4a)によれば、R基は、好ましくはアミノ、C1−4−アルキルカルボニルアミノ、(het)アリール−カルボニルアミノ、(het)アリール−C1−3−アルキル−カルボニルアミノ、C1−4−アルキルオキシカルボニルアミノ、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、ピペラジン−1−イル、4−(het)アリール−ピペラジン−1−イル、4−C1−4−アルキルカルボニル−ピペラジン−1−イル、4−(het)アリール−カルボニル−ピペラジン−1−イル、4−C1−4−アルキルスルホニル−ピペラジン−1−イル、又はモルホリン−4−イルを意味し;同時に各アルキル残基は、場合によりフッ素で一置換若しくは多置換されているか、かつ/又はヒドロキシ、C1−3−アルコキシ若しくはシアノで一置換されており;そして同時に本明細書に前記の各シクロヘテロアルキル基は、場合によりC1−3−アルキル、フッ素、ヒドロキシ、C1−3−アルキルオキシ、シアノ、カルボキシ、C1−3−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、アミノ、アセチルアミノ、又は(het)アリールで相互に独立に一置換又は二置換されている。
【0037】
更に好ましい実施態様(E4b)によれば、R基は、好ましくはアミノ、C1−4−アルキルカルボニルアミノ、フェニルカルボニルアミノ、フェニル−C1−3−アルキル−カルボニルアミノ、C1−4−アルキルオキシ−カルボニルアミノ、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、ピペラジン−1−イル、4−フェニル−ピペラジン−1−イル、4−C1−4−アルキルカルボニル−ピペラジン−1−イル、4−フェニルカルボニル−ピペラジン−1−イル、4−C1−4−アルキルスルホニル−ピペラジン−1−イル、又はモルホリン−4−イルを意味し;同時に各アルキル残基は、場合によりフッ素で一置換若しくは多置換されているか、かつ/又はヒドロキシ、C1−3−アルコキシ若しくはシアノで一置換されており;そして同時に各フェニル環は、場合によりフッ素、シアノ、C1−3−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、メトキシ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アセチルアミノ、メチルスルホニルアミノ、カルボキシ、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、又はジメチルアミノカルボニルで相互に独立に一置換又は二置換されている。
【0038】
更になお好ましい実施態様(E4c)によれば、R基は、好ましくはアミノ、C1−3−アルキルカルボニル−アミノ又はC1−4−アルキルオキシカルボニル−アミノを意味する。例には、アミノ、アセチルアミノ、tert−ブトキシカルボニルアミノがある。
【0039】
実施態様(E5a)によれば、R基は、好ましくはシアノ、C1−4−アルキルオキシカルボニル、(het)アリール−カルボニル、アミノカルボニル、C1−4−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−4−アルキル)アミノカルボニル、N−(C5ー6−シクロアルキル)−N−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、N−(C5ー6−シクロヘテロアルキル)−N−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、(het)アリールアミノカルボニル、(het)アリール−C1−3−アルキル−アミノカルボニル、N−(het)アリール−N−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、N−((het)アリール−C1−3−アルキル)−N−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、N−((het)アリール−C1−3−アルキル)−N−(C5ー6−シクロアルキル)−アミノカルボニル、アゼチジン−1−イルカルボニル、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イルカルボニル、ピペラジン−1−イルカルボニル、モルホリン−4−イルカルボニル、メトキシ−アミノカルボニル、又はシアノアミノ−カルボニルを意味し;同時に各アルキル残基は、場合によりフッ素で一置換若しくは多置換されているか、かつ/又はヒドロキシ、C1−3−アルコキシ若しくはシアノで一置換されており;そして同時に本明細書に前記の各シクロアルキル及びシクロヘテロアルキル基は、場合によりC1−4−アルキル、フッ素、ヒドロキシ、C1−3−アルキルオキシ、シアノ、カルボキシ、C1−3−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、アミノ、アセチルアミノ、又は(het)アリールで相互に独立に一置換又は二置換されている。
【0040】
更に好ましい実施態様(E5b)によれば、R基は、好ましくはシアノ、C1−4−アルキルオキシカルボニル、フェニルカルボニル、アミノカルボニル、C1−4−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−4−アルキル)アミノカルボニル、フェニルアミノカルボニル、フェニル−C1−3−アルキル−アミノカルボニル、N−フェニル−N−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、N−(フェニル−C1−3−アルキル)−N−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、N−(C1−3−アルキル)−N−(C5ー6−シクロアルキル)−アミノ−カルボニル、N−(C1−3−アルキル)−N−(C5ー6−シクロヘテロアルキル)−アミノ−カルボニル、N−(C5ー6−シクロアルキル)−N−(フェニル−C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、アゼチジン−1−イルカルボニル、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イルカルボニル、ピペラジン−1−イルカルボニル、モルホリン−4−イルカルボニル、メトキシ−アミノカルボニル、シアノアミノ−カルボニル、3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル−カルボニル、1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル−カルボニル、2,3−ジヒドロ−インドール−1−イル−カルボニル、又は1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−3−イル−カルボニルを意味し;同時に各アルキル残基は、場合によりフッ素で一置換若しくは多置換されているか、かつ/又はヒドロキシ、C1−3−アルコキシ若しくはシアノで一置換されており;そして同時に各フェニル及びベンゾ環は、場合によりフッ素、塩素、臭素、シアノ、C1−3−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、メトキシ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アセチルアミノ、メチルスルホニルアミノ、カルボキシ、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、フェニル、4−ジメチルカルバモイル−フェノキシ、又は4−カルボキシ−フェノキシで相互に独立に一置換又は二置換されており;そして同時に各シクロアルキル及びシクロヘテロアルキル基は、場合によりC1−4−アルキル、メトキシメチル、及びフェニルから選択される1個の置換基で置換されている。
【0041】
更になお好ましい実施態様(E5c)によれば、R基は、好ましくはシアノ、C1−4−アルキルオキシカルボニル、フェニルカルボニル、アミノカルボニル、C1−4−アルキルアミノ−カルボニル、ヒドロキシ−C2−4−アルキルアミノ−カルボニル、シアノアミノ−カルボニル、メトキシ−アミノカルボニル、フェニルアミノカルボニル、N−(C1−3−アルキル)−N−(C1−4−アルキル)−アミノ−カルボニル、N−(C1−3−アルキル)−N−(フェニル−C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、N−(C1−3−アルキル)−N−(C5ー6−シクロアルキル)−アミノ−カルボニル、N−(C1−3−アルキル)−N−ピペリジニル−アミノ−カルボニル、N−(C5ー6−シクロアルキル)−N−(フェニル−C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、N−フェニル−N−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、アゼチジン−1−イルカルボニル、ピロリジン−1−イルカルボニル、モルホリン−4−イルカルボニル、ピペラジン−1−イルカルボニル、3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル−カルボニル、1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル−カルボニル、2,3−ジヒドロ−インドール−1−イル−カルボニル、又は1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−3−イル−カルボニルを意味し、そしてここで、各フェニル及びベンゾ環は、場合によりフッ素、臭素、シアノ、C1−3−アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、フェニル、4−ジメチルカルバモイル−フェノキシ、及び4−カルボキシ−フェノキシから独立に選択される1個又は2個の置換基で置換されており;そして各シクロアルキル及びシクロヘテロアルキル基は、場合によりC1−4−アルキル、メトキシメチル、及びフェニルから選択される1個の置換基で置換されている。例には、シアノ、メトキシカルボニル、4−メトキシフェニルカルボニル、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、2−ヒドロキシエチル−アミノカルボニル、シアノアミノ−カルボニル、メトキシ−アミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、N−エチル−N−メチル−アミノカルボニル、N−イソプロピル−N−メチル−アミノカルボニル、N−ベンジル−N−メチル−アミノカルボニル、N−フェネチル−N−メチル−アミノカルボニル、N−[3−(4−メトキシフェニル)−プロパ−1−イル]−N−メチル−アミノカルボニル、アゼチジン−1−イルカルボニル、ピロリジン−1−イルカルボニル、モルホリン−4−イルカルボニル、4−メチル−ピペラジン−1−イルカルボニル、フェニルアミノカルボニル、N−メチル−N−フェニル−アミノカルボニル、N−メチル−N−(4−メトキシフェニル)−アミノカルボニル、N−メチル−N−(4−フェニル−フェニル)−アミノカルボニル、N−シクロヘキシル−N−メチル−アミノカルボニル、N−シクロヘキシル−N−エチル−アミノカルボニル、N−メチル−N−(4−フェニル−シクロヘキシル)−アミノカルボニル、N−メチル−N−(4−tert−ブチル−シクロヘキシル)−アミノカルボニル、N−シクロヘキシル−N−フェネチル−アミノカルボニル、N−シクロペンチル−N−メチル−アミノカルボニル、N−メチル−N−(ピペリジン−3−イル)−アミノカルボニル、2−メトキシメチル−ピロリジン−1−イルカルボニル、3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル−カルボニル、(7−シアノ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−カルボニル、[7−(4−ジメチルカルバモイル−フェノキシ)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−カルボニル、[7−(4−カルボキシ−フェノキシ)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−カルボニル、(6−ブロモ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−カルボニル、1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル−カルボニル、2,3−ジヒドロ−インドール−1−イル−カルボニル、及び1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−3−イル−カルボニルがある。
【0042】
実施態様(E6a)によれば、R基は、好ましくは(het)アリールを意味する。
【0043】
更に好ましい実施態様(E6b)によれば、R基は、好ましくはフェニル、フラニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、キナゾリニル、又はジヒドロキナゾリニルを意味し、同時に前記基のそれぞれは、場合によりフッ素、シアノ、C1−3−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、メトキシ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アセチルアミノ、メチルスルホニルアミノ、カルボキシ、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、フェネチル、又はフェニルで相互に独立に一置換又は二置換されている。
【0044】
更になお好ましい実施態様(E6c)によれば、R基は、好ましくはオキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、キナゾリニル、又はジヒドロキナゾリニルを意味し、そしてこれらのそれぞれは、場合によりフッ素、シアノ、C1−3−アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、フェネチル、及びフェニルから独立に選択される1個又は2個の置換基で置換されている。例には、フェニル−[1,3,4]オキサジアゾリル、ベンゾオキサゾリル、1−メチル−1H−ベンゾイミダゾリル、1−フェネチル−1H−ベンゾイミダゾリル、キナゾリニル、ジヒドロキナゾリニル、及びテトラゾリルがある。
【0045】
は、好ましくは水素、C1−4−アルキル、C5−6−シクロアルキル、(het)アリール、C1−4−アルキルカルボニル、C1−4−アルキルオキシカルボニル、C1−4−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)アミノ−カルボニル、C1−4−アルキルスルホニル、(het)アリールカルボニルを意味し、そしてここで各アルキル基は、場合によりフッ素で一置換又は多置換されており、かつ場合によりヒドロキシ、C1−4−アルコキシ、アミノ、C1−3−アルキルアミノ、ジ−(C1−3−アルキル)アミノ、C1−4−アルキルカルボニルアミノ、シアノ、カルボキシ、C1−3−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−3−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)アミノカルボニル、又は(het)アリールで一置換されている。
【0046】
更に好ましくは、Rは、水素、C1−3−アルキル、(het)アリール、C1−3−アルキルカルボニル、C1−4−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)アミノ−カルボニル、C1−4−アルキルスルホニル、(het)アリールカルボニルを意味し、そしてここで各アルキル基は、場合によりヒドロキシ、C1−4−アルコキシ、アミノ、C1−3−アルキルアミノ、ジ−(C1−3−アルキル)アミノ、C1−4−アルキルカルボニルアミノ、シアノ、カルボキシ、C1−3−アルコキシ−カルボニル、アミノカルボニル、C1−3−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)アミノ−カルボニル、又は(het)アリールで一置換されている。
【0047】
更になお好ましくは、Rは、水素、C1−3−アルキル、ヒドロキシ−C2−3−アルキル、フェニル−C1−3−アルキル、フェニル−カルボニル、C1−3−アルキルカルボニル、フェニル、又はC1−4−アルキル−スルホニルを意味する。例には、水素、メチル、エチル、フェニル、アセチル、メチルスルホニルがある。
【0048】
は、好ましくはフッ素、塩素、C1−3−アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、シアノ、C1−3−アルキルアミノ、ジ−(C1−3−アルキル)アミノ、アセチルアミノ、メチルスルホニルアミノ、カルボキシ、C1−4−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−3−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、メチルスルホニル、ヒドロキシ、C1−3−アルキルオキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、又はフェニル(場合によりフッ素、メチル、メトキシ、シアノ、又はヒドロキシから相互に独立に選択される1個又は2個の置換基で置換されている)を意味する。
【0049】
更に好ましくは、Lは、フッ素、塩素、メチル、トリフルオロメチル、シアノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アセチルアミノ、メチルスルホニルアミノ、カルボキシ、メトキシカルボニル、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、メチルスルホニル、ヒドロキシ、メトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、又はフェニル(場合によりフッ素、メチル、メトキシ、シアノ、又はヒドロキシから相互に独立に選択される1個又は2個の置換基で置換されている)を意味する。最も好ましくは、Lは、フッ素、メチル、トリフルオロメチル、シアノ、アセチルアミノ、ヒドロキシ、及びメトキシを意味する。
【0050】
(het)アリールという用語は、好ましくはフェニル、フラニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、又はピリミジニルを意味する。
【0051】
前記の先行技術に開示されている、式(I)及び(X)の1,1’−ジアダマンチル−3−カルボン酸誘導体は除外される。
【0052】
用語及び定義
本発明の化合物を説明するために使用される本明細書に上記及び後記の幾つかの用語を、これから更に厳密に定義する。
【0053】
本明細書に使用される「置換されている」という用語は、指定された原子上の任意の1個以上の水素が、指示された基からの選択肢で置き換えられている(ただし、指定された原子の通常の原子価を上回らない)こと、及びこの置換により安定な化合物が得られることを意味する。
【0054】
「プロドラッグ」という用語は、インビボでその活性型としての一般式(I)により表される化合物に変換される化合物を意味する。本発明のプロドラッグの例は、式(I)の1,1’−ジアダマンチル−3−カルボン酸のエステルである式(I)の化合物、特にC1−4−アルキル−エステル(ここで、このアルキル基は、ヒドロキシ又はC1−3−アルコキシで置換されていてもよい)、最も好ましくはメチル−、エチル、n−プロピル−又はi−プロピル−エステルである。
【0055】
ハロゲンという用語は、F、Cl、Br及びIよりなる群から選択される原子を意味する。
【0056】
1−n−アルキル(ここで、nは、1〜18の値を有することができる)という用語は、1〜n個のC原子を持つ飽和の分岐又は非分岐炭化水素基を意味する。このような基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシルなどを包含する。
【0057】
2−n−アルケニル(ここで、nは、2〜6の値を有する)という用語は、2〜n個のC原子及びC=C二重結合を持つ分岐又は非分岐炭化水素基を意味する。このような基の例は、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニルなどを包含する。
【0058】
2−n−アルキニル(ここで、nは、2〜6の値を有する)という用語は、2〜n個のC原子及びC≡C三重結合を持つ分岐又は非分岐炭化水素基を意味する。このような基の例は、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニルなどを包含する。特に断りない限り、アルキニル基は、1位のC原子を介して分子の残りの部分に結合している。したがって、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニルなどのような用語は、1−プロピン−1−イル、2−プロピン−1−イル、1−ブチン−1−イルなどという用語と等価である。これはまた、C2−n−アルケニル基にも同様に当てはまる。
【0059】
1−n−アルコキシという用語は、C1−n−アルキル−O基(ここで、C1−n−アルキルは、本明細書前記で定義したとおりである)を意味する。このような基の例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、tert−ペントキシ、n−ヘキソキシ、イソヘキソキシなどを包含する。
【0060】
1−n−アルキルカルボニルという用語は、C1−n−アルキル−C(=O)基(ここで、C1−n−アルキルは、本明細書前記で定義したとおりである)を意味する。このような基の例は、メチルカルボニル、エチルカルボニル、n−プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、n−ブチルカルボニル、イソブチルカルボニル、sec−ブチルカルボニル、tert−ブチルカルボニル、n−ペンチルカルボニル、イソペンチルカルボニル、ネオペンチルカルボニル、tert−ペンチルカルボニル、n−ヘキシルカルボニル、イソヘキシルカルボニルなどを包含する。
【0061】
3−n−シクロアルキルという用語は、3〜n個のC原子を持つ飽和のモノ−、ビ−、トリ−又はスピロ炭素環式基(ここで、nは、3〜10である)を意味する。このような基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロドデシル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、スピロ[4.5]デシル、ノルピニル、ノルボニル、ノルカリル、アダマンチルなどを包含する。好ましくは、C3−7−シクロアルキルという用語は、飽和単環式基を意味する。
【0062】
5−n−シクロアルケニルという用語は、本明細書前記で定義したように、更に少なくとも1個のC=C二重結合を有する、C5−n−シクロアルキル基を意味する。
【0063】
3−n−シクロヘテロアルキルという用語は、(3−m)〜(n−m)個のC原子(ここで、nは、3〜10を意味し、そしてmは、1〜3を意味する)、並びにNR、O、S、SO、及びSOから独立に選択されるm個のヘテロ原子を持つ飽和のモノ−、ビ−、トリ−又はスピロ炭素環式基を意味するが、そしてこの基は、更に1個のカルボニル基を有することができる。このような基の例は、アジリジニル、オキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、アゼパニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラノニル、テトラヒドロピラノニル、ピロリジノニル、ピペリジノニル、ピペラジノニル、モルホリノニルを包含する。好ましくは、C3−6−シクロヘテロアルキルという用語は、1個又は2個のヘテロ原子を持つ飽和単環式基を意味する。
【0064】
3−n−シクロアルキルカルボニルという用語は、C3−n−シクロアルキル−C(=O)基(ここで、C3−n−シクロアルキルは、本明細書前記で定義したとおりである)を意味する。
【0065】
トリ−(C1−4−アルキル)シリルという用語は、同一であるか又は2種若しくは3種の異なるアルキル基を有するシリル基を含む。
【0066】
ジ−(C1−3−アルキル)アミノという用語は、同一であるか又は2種の異なるアルキル基を有するアミノ基を含む。
【0067】
本明細書に記載される、基の一部である原子を包含する全ての原子は、それぞれの元素の全ての安定な同位体型を含む。例えば、明示的に、又はメチルのような基の一部としてのいずれかで、水素が言及されるときはいつでも、これは、元素の水素の安定な同位体型として水素及び重水素を包含する。
【0068】
本発明の化合物は、原則として既知の合成方法を用いて得ることができる。好ましくは、本化合物は、本明細書後記に詳述される本発明の以下の方法により得られる。
【0069】
本発明のほぼ全ての化合物の合成は、スキーム1に示されるモノカルボン酸(これは、さかのぼって既知のジエステルの選択的加水分解により得られる)から出発して達成できる。ジエステルの選択的モノけん化(monosaponification)は、例えば、LiOH、NaOH、KOH、Ca(OH)、Ba(OH)のような水酸化物塩での、1,2−ジクロロメタン、トルエン、ベンゼン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−ピロリジノン、ジメチルスルホキシド、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、エーテル、アセトン、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、及び水から選択される溶媒又は混合溶媒中での処理により達成できる。適切な反応温度は、使用する塩基に依存し、そして好ましくは0℃〜100℃の範囲にある。水酸化物塩のジエステルに対する化学量論は、反応の結果に決定的に重要であろう;好ましくは、水酸化物塩は、10当量までの準化学量論量で使用される。過酸化水素、相間移動触媒、クラウンエーテル、又は反応溶媒からのモノカルボキシラートの沈殿を促進する塩などの添加物が有利であろう。記載される条件は、メチルエステルに限定されるものではなく、場合により官能基で誘導体化される脂肪族及び/又は芳香族残基を有する他のエステルも同様に使用することができる。使用される反応溶媒に不溶性のモノエステルを形成する残基は、記載されるアプローチに特に適している。
【0070】
スキーム1. ジアダマンタンジエステルの選択的モノけん化
【0071】
【化11】

【0072】
あるいは、非対称化ジアダマンタン化合物は、これも既知化合物であるジカルボン酸誘導体から得られる(スキーム2)。ここでカルボキシ基の一方だけが、変換されて一酸となる。例えば、モノメチルエステルの合成は、ヨウ化メチル、臭化メチル、塩化メチル、メチルトシラート、メチルメシラート、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、又はジメチル硫酸メチルのようなメチル求電子試薬を用いて、無機塩基、例えば、LiOH、NaOH、KOH、CsOH、NaCO、KCO、CsCO、又は有機塩基、例えば、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ジアザビシクロウンデセン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジンのような塩基の存在下で実行することができる。適切な溶媒は、例えば、ジクロロメタン、トルエン、ベンゼン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、エーテル、アセトン、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、及び水(0℃〜100℃の温度で)である。メチル基はまた、ジアゾメタン、又はトリメチルシリルジアゾメタンのようなそれの代用物との、例えば、ジクロロメタン、トルエン、ベンゼン、アセトニトリル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、エーテル、酢酸エチル、又はこれらの混合溶媒中で、0〜60℃の温度での反応を介して結合させられる。上述の両方のアプローチにおいて、メチル求電子試薬、好ましくは準化学量論量又は1.5等量以下で使用される。また、ジカルボン酸を、カルボキシル官能基の更に反応性の高い物質に変換することも可能であり、次にこれは、活性化エステル基の一方だけをメタノールと選択的に反応させ、もう一方の活性化エステル基は、水で加水分解することにより目的化合物が得られる。メチルエステルの合成に加えて、他のアルキル残基も同様に結合させることができる。例えば、メリフィールド樹脂のような固体支持体へのジカルボン酸の結合もまた可能である。この反応条件は、ポリマー化合物での処理に必要とされる代替手法を除いて、上述の塩基の存在下でアルキル求電子試薬を用いる条件と同等である(例えば、Bunin, B.A., The Combinatorial Index, San Diego, Academic Pr., 1998を参照のこと)。このアプローチは、使用される樹脂によっては架橋があまり起こりそうもないため、高い有効性でジカルボキシジアダマンタンを非対称化できることが魅力である。
【0073】
スキーム2. ジアダマンタンジカルボン酸の選択的誘導体化
【0074】
【化12】

【0075】
スキーム3に示される1−ブロモ−1’−カルボキシ−ジアダマンタンは、本発明の化合物に近づくための別の良好な出発点である。この化合物は、ブロモ−又はカルボキシジアダマンタンから、それぞれカルボキシル化又は臭素化により調製することができる。前者の反応は、硫酸、発煙硫酸、及び/又は硝酸と組合せた1−ブロモジアダマンタン及びギ酸を、−10℃〜60℃の温度で用いて行うことができる(例えば、JP 2006265224を参照のこと)。後者の変換は、例えば、1−カルボキシジアダマンタンを臭素で、例えば、酢酸、水、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ヘキサン、これらの混合溶媒中、又は無溶媒で10〜110℃で処理することにより達成できる。
【0076】
スキーム3. 1−ブロモ−1’−カルボキシ−3,3’−ジアダマンタンの合成
【0077】
【化13】

【0078】
1−ブロモ−1’−カルボキシ−3,3’−ジアダマンタンから出発して、(het)アリール化ジアダマンタン類に到達できる;スキーム4中のR’及び(het)アリールは、本明細書前記に定義したとおりである。ジアダマンタンのフェニル(=(het)アリール)誘導体は、ブロモジアダマンタンをベンゼン又はその誘導体と、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、又はN−メチルピロリジノン中パラジウム担持炭素のような触媒の存在下、及び場合によりKCOのような塩基の存在下で60〜140℃で反応させることにより得ることができる(例えば、Synthesis 1998, 148-152を参照のこと)。これらの条件はまた、アルケン類、例えば、スチレン又はC1−6−アルキルエチレン誘導体からのオレフィン残基の導入も可能である。例えば、ピリジン、ピリミジン、キノリン、キサンチン、及びベンゾチアゾールのようなヘテロ芳香族は、ラジカル経路を介して臭素をそれぞれのヘテロ芳香族で置換することにより導入できる。アゾビスイソブチロニトリル又は過酸化ジベンゾイルのようなラジカル開始剤により生成される、シラン及びスタンナンから誘導されるラジカルが、臭化アルキルからラジカル中間体を生成させるために通常使用される。これらのラジカルは、上記のような、オレフィン性(例えば、アクリル酸又はビニルスルホニル誘導体)及び芳香族性二重結合に付加して、対応する付加又は置換生成物が得られる。水素化トリブチルスズ、ヘキサブチル二スズ、トリス(トリメチルシリル)シラン、及びテトラフェニルジシランは、この目的に最もしばしば使用される試薬の一つである。トルエン、ベンゼン、エタノール、及びテトラヒドロフランは、好ましくは60℃〜還流温度で使用される(例えば、Tetrahedron Lett. 1998, 39, 1921-1924を参照のこと)。臭素を芳香族で置換するための別の一般的アプローチは、周知のFriedel-Craftsアルキル化法を利用することである。この反応の過程で、ブロモジアダマンタンは、カルベニウムイオンに変換され、これが次に芳香環に付加し、最終的には環上の水素を置き換える。この反応は、通常ルイス酸、例えば、AlCl、AlBr、FeCl、AgSbF、ZnClの存在下で、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ヘキサン中で、又は反応させる芳香族を過剰に使用して、−20℃〜120℃で行われる。
【0079】
スキーム4. 1−ブロモ−1’−カルボキシ−3,3’−ジアダマンタンの誘導体化
【0080】
【化14】

【0081】
カルボキシジアダマンタンの臭素はまた、スキーム5に言及されるもののような他の求核試薬で置換してもよい。例えば、CuCNピリジンと、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド又はN−メチルピロリジノン中高温で反応させることにより、シアノ誘導体が得られ、水と、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、アルコール、又は水自体中、場合により例えば、AgO、AgCO、若しくはAgNOのような触媒及び/又は塩基、例えば、KCO若しくはピリジンの存在下で処理させることにより、ヒドロキシ誘導体が得られ、場合により官能基及び(het)アリール基を有する脂肪族アルコールと、塩基、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、又はピリジン、及び場合によりAgO、AgBF、AgCO、又はAgNOのような触媒の存在下20〜160℃の温度で反応させることにより、対応するアダマンチルエーテルが得られ、フェノール誘導体と共に、場合によりピリジンのような塩基の存在下で加熱することにより、アリールアダマンチルエーテルが得られ、アニソール又はフェノールのような電子の豊富な芳香族と共に加熱することにより、芳香族置換生成物が得られ、ビストシルアミドのようなビススルホニルアミドの銀イオンにより、ベンゼン中室温で処理することによって、又はアジ化トリメチルシリルのようなアジドにより、SnClのようなルイス酸の存在下CHCl中高温で処理することによって、対応する窒素誘導体化ジアダマンタンが得られる。チオールとしての硫黄原子の導入は、臭化ジアダマンチルをチオ尿素と、HBrと酢酸との混合物中で反応させることにより達成できる。
【0082】
グリニャール試薬を炭素求核試薬として使用すると、アルキル、アリル、及びアリール基の導入ができる(例えば、J. Org. Chem. 2001, 66, 2034-2043を参照のこと)。この反応は、ヘキサン、テトラヒドロフラン、エーテル、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジクロロメタン、トルエン、N−メチルピロリジノン、又はこれらの混合溶媒中で−30〜100℃の温度で実行することができる。銀塩、例えば、AgSOCFのような添加剤は、この反応を進行させるのに有利であるか又は必須である場合もある。
【0083】
例えば、β−カルボニルエステル類及びケトン類のようなCH−酸性化合物もまた、臭素原子を置換するための炭素求核試薬として使用することができる(例えば、Tetrahedron 1986, 45, 4253-4257、Tetrahedron Lett. 1988, 29,1465-1468、及びこれらに引用される文献を参照のこと)。ジカルボニル化合物のコバルト塩を、例えば、クロロベンゼン又はクロロホルム中で加熱することは、この変換を達成するための1つの方法である。ジアダマンタンの臭素は、普通のケトン類及びエステル類によりα位で置換されて、同様にカルボニル基になる。ケトン又はエステルを対応するトリメチルシリルエノールエーテルに変換し、そしてこの化合物をブロモジアダマンタンと、TiCl又はZnClのようなルイス酸の存在下ジクロロメタン中−0〜−70℃で反応させることは、例えば、この置換を遂行するための1つの変法である(例えば、Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1979, 18, 72を参照のこと)。
【0084】
スキーム5. 1−ブロモ−1’−カルボキシ−3,3’−ジアダマンタンの誘導体化
【0085】
【化15】

【0086】
以下において、上述の化合物を合成するための幾つかの合成手順が、本発明の化合物を得るために要約される。
【0087】
本発明の製造方法において、アミノ、アルキルアミノ又はイミノ基を含有する一般式(I)の化合物が得られるならば、これは、アシル化又はスルホニル化により、対応する一般式(I)のアシル又はスルホニル化合物に変換することができる。
【0088】
ヒドロキシ基を含有する一般式(I)の化合物が得られるならば、これは、アシル化又はスルホニル化により、対応する一般式(I)のアシル又はスルホニル化合物に変換することができる。
【0089】
ヒドロキシ基を含有する一般式(I)の化合物が得られるならば、これは、アルキル化により、対応する一般式(I)のエーテルに変換することができる。
【0090】
アミノ、アルキルアミノ、又はイミノ基を含有する一般式(I)の化合物が得られるならば、これは、アルキル化又は還元的アルキル化により、対応する一般式(I)のアルキル化合物に変換することができる。
【0091】
アミノ基を含有する一般式(I)の化合物が得られるならば、これは、イソシアナート又は塩化カルバモイルとの反応により、対応する一般式(I)の尿素誘導体に変換することができる。
【0092】
ニトロ基を含有する一般式(I)の化合物が得られるならば、これは、還元により、対応するアミノ化合物に変換することができる。
【0093】
イミノ基を含有する一般式(I)の化合物が得られるならば、これは、ニトロソ化とこれに続く還元により、対応するN−アミノ−イミノ化合物に変換することができる。
【0094】
1−3−アルキルオキシカルボニル基を含有する一般式(I)の化合物が得られるならば、これは、エステルの開裂により、対応するカルボキシ化合物に変換することができる。
【0095】
カルボキシ基を含有する一般式(I)の化合物が得られるならば、これは、エステル化により、対応する一般式(I)のエステルに変換することができる。
【0096】
カルボキシ基又はエステル基を含有する一般式(I)の化合物が得られるならば、これは、アミンとの反応により、対応する一般式(I)のアミドに変換することができる。
【0097】
カルボキシ基又は活性化カルボキシ基(例えば、無水物、ハロゲン化アシル)を含有する一般式(I)の化合物が得られるならば、これは、一炭素分解反応により、対応する一般式(I)のアミノ、イソシアナート、尿素、及びカルバモイル化合物に変換することができる。
【0098】
芳香族部分構造を含有する一般式(I)の化合物が得られるならば、これは、求電子置換反応により、塩素、臭素、若しくはヨウ素原子、又はニトロ、スルホン酸、クロロスルホニル、若しくはアシル基で誘導体化して、対応する誘導体化された一般式(I)の芳香族化合物にすることができる。
【0099】
芳香族アミノ基を含有する一般式(I)の化合物が得られるならば、これは、ジアゾ化とこれに続く、シアン化物、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、水酸化物、硫化アルキル若しくは硫化水素、又はアジドでそれぞれジアゾ基を置換することにより、対応する一般式(I)の芳香族シアノ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、メルカプト、又はアジド化合物に変換することができる。
【0100】
芳香族アミノ基を含有する一般式(I)の化合物が得られるならば、これは、ジアゾ化とこれに続く適した遷移金属種が介在する適切な(het)アリール求核試薬でのジアゾ基の置換により、対応する一般式(I)の(het)アリール誘導体化芳香族化合物に変換することができる。
【0101】
芳香族クロロ、ブロモ、ヨード、トリフルオロメチルスルホニルオキシ、メシルオキシ、又はトシルオキシ基を含有する一般式(I)の化合物が得られるならば、これは、遷移金属種介在プロセスを用いる、アリール、アルケニル、アルキニル、又はアルキルによるそれぞれの基の置換により、対応する一般式(I)のアリール、アルケニル、アルキニル、又はアルキル誘導体化芳香族化合物に変換することができる。
【0102】
芳香族クロロ、ブロモ、ヨード、トリフルオロメチルスルホニルオキシ、メシルオキシ、又はトシルオキシ基を含有する一般式(I)の化合物が得られるならば、これは、水素に置換することにより、対応する一般式(I)の芳香族化合物を得ることができる。
【0103】
2個の隣接炭素原子に、又は別の炭素原子により分離された2個の炭素原子に、アミノと、ヒドロキシ、アミノ、又はメルカプトとであるヘテロ原子を含有する一般式(I)の化合物が得られるならば、これらのヘテロ原子は、カルボキシ炭素原子を介して結合して、芳香環の一部であってもよい、環状アミジン、イミノエステル、又はイミノチオエステル部分構造を形成することができる。
【0104】
カルボキシ基を含有する一般式(I)の化合物が得られるならば、この化合物は、カルボキシ基の代わりに、芳香環の一部であってもよい、環状アミジン、イミノエステル、又はイミノチオエステル部分構造を有する化合物に変換することができる。
【0105】
シアノ基を含有する一般式(I)の化合物が得られるならば、これは、還元により、一般式(I)のアミノアルキル誘導体化化合物に変換することができる。
【0106】
シアノ基を含有する一般式(I)の化合物が得られるならば、これは、ヒドロキシルアミンでの処理により、N−ヒドロキシカルバムイミドイル基に変換することができる。
【0107】
N−ヒドロキシカルバムイミドイル基を含有する一般式(I)の化合物が得られるならば、これは、カルボキシル基又は関連基での処理により、一般式(I)のオキサジアゾール誘導体化化合物に変換することができる。
【0108】
アミノカルボニル基を含有する一般式(I)の化合物が得られるならば、これは、脱水により、対応する一般式(I)のシアノ化合物に変換することができる。
【0109】
ケト又はアルデヒド基を含有する一般式(I)の化合物が得られるならば、これは、還元により、対応する一般式(I)のヒドロキシ化合物に変換することができる。
【0110】
ケト又はアルデヒド基を含有する一般式(I)の化合物が得られるならば、これは、炭素求核試薬との反応により、対応する一般式(I)のヒドロキシアルキル化合物に変換することができる。
【0111】
シアノ基を含有する一般式(I)の化合物が得られるならば、これは、アジド塩又は誘導体と反応させることにより、対応する一般式(I)のテトラゾリル化合物に変換することができる。
【0112】
続いてのエステル化は、場合により塩化メチレン、N,N−ジメチルホルムアミド、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ベンゼン/テトラヒドロフラン若しくは1,4−ジオキサンのような溶媒若しくは混合溶媒中、又は特に有利には対応するアルコール中で、場合により塩酸のような酸の存在下、又は脱水剤の存在下で実行される。クロロギ酸イソブチル、塩化チオニル、トリメチルクロロシラン、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、三塩化リン、五酸化リン、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド/N−ヒドロキシスクシンイミド、N,N’−カルボニルジイミダゾール、トリフェニルホスフィン/四塩化炭素、又はこれらの組合せは、場合により4−ジメチルアミノピリジン及び/又は1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下で、この変換を遂行するために通常使用される試薬の一つである。本反応は、0〜150℃、好ましくは0〜80℃で行われる。
【0113】
続いてのエステル形成はまた、カルボキシ基を含有する化合物を塩基の存在下で対応するハロゲン化アルキルと反応させることにより実行することができる。
【0114】
続いてのアシル化又はスルホニル化は、場合により塩化メチレン、N,N−ジメチルホルムアミド、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ベンゼン/テトラヒドロフラン、又は1,4−ジオキサンのような溶媒又は混合溶媒中、対応するアシル又はスルホニル誘導体により、場合により第三級有機塩基若しくは無機塩基の存在下で、又は脱水剤の存在下で実行される。通常使用される物質は、例えば、クロロギ酸イソブチル、塩化チオニル、トリメチルクロロシラン、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、三塩化リン、五酸化リン、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド/N−ヒドロキシスクシンイミド、N,N’−カルボニルジイミダゾール、トリフェニルホスフィン/四塩化炭素、又はこれらの組合せであって、4−ジメチルアミノピリジン及び/又は1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下で0〜150℃、好ましくは0〜80℃の温度で使用することができる。
【0115】
続いてのアルキル化は、場合により塩化メチレン、N,N−ジメチルホルムアミド、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ベンゼン/テトラヒドロフラン、又は1,4−ジオキサンのような溶媒又は混合溶媒中、対応するハロゲン化物又はスルホン酸エステル、例えば、ヨウ化メチル、臭化エチル、硫酸ジメチル、又は塩化ベンジルのようなアルキル化剤により、場合により第三級有機塩基又は無機塩基の存在下で、0〜150℃、好ましくは0〜100℃の温度で実行される。
【0116】
続いての還元的アルキル化は、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、アセトン、又はブチルアルデヒドのような対応するカルボニル化合物により、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、又は水素化シアノホウ素ナトリウムのような錯体金属水素化物の存在下で、便利には6〜7のpHでかつ周囲温度で、又は遷移金属触媒、例えば、パラジウム/活性炭の存在下で水素を1〜5barの水素圧で用いて実行される。メチル化はまた、還元剤としてギ酸の存在下で、高温、例えば、60〜120℃で実行することができる。
【0117】
続いてのアミンからの尿素形成は、場合によりN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、トルエン、アセトニトリル、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、エーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、又は1,4−ジオキサンのような溶媒又は混合溶媒中、イソシアナート又は塩化カルバモイルにより、場合により第三級有機塩基、例えば、トリエチルアミン若しくはエチルジイソプロピルアミンの存在下で、又は無機塩基、例えば、炭酸カリウム若しくは酸化カルシウムの存在下で、0〜180℃、好ましくは5〜120℃の温度で実行される。ピリジン又は4−ジメチルアミノピリジンのような添加剤も有益であろう。
【0118】
続いてのニトロ基の還元は、例えば、水素、及びパラジウム担持炭素、二酸化白金、若しくはラネーニッケルのような触媒により、又は鉄若しくは亜鉛のような他の還元剤を酢酸のような酸の存在下で用いて実行される。
【0119】
続いてのN−アミノ−イミノ化合物を得るためのイミノ基のニトロソ化とこれに続く還元は、例えば、亜硝酸イソアミルのような亜硝酸アルキルにより実行され、N−ニトロソ−イミノ化合物が生成するが、次にこれは、例えば、亜鉛を酢酸のような酸の存在下で用いてN−アミノ−イミノ化合物に還元される。
【0120】
続いてのカルボン酸を得るためのC1−3−アルキルオキシカルボニル基の開裂は、例えば、塩酸若しくは硫酸のような酸、又は水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、若しくは水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物での加水分解により実行される。
【0121】
続いてのアミド形成は、反応性カルボン酸誘導体を対応するアミンと、場合により塩化メチレン、N,N−ジメチルホルムアミド、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ベンゼン/テトラヒドロフラン、又は1,4−ジオキサンのような溶媒又は混合溶媒(一方で使用されるアミンがまた溶媒として機能してもよい)中、場合により第三級有機塩基の存在下で、又は無機塩基の存在下で反応させるか、あるいは対応するカルボン酸と脱水剤の存在下で反応させることにより実行される。クロロギ酸イソブチル、塩化チオニル、トリメチルクロロシラン、三塩化リン、五酸化リン、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド/N−ヒドロキシスクシンイミド、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N,N’−カルボニルジイミダゾール若しくはトリフェニルホスフィン/四塩化炭素、又はこれらの組合せは、場合により4−ジメチルアミノピリジンの存在下で0〜150℃、好ましくは0〜80℃の温度で、このカップリングを達成するために適用することができる。
【0122】
続いての窒素基によるカルボン酸又は活性化カルボン酸誘導体の置換は、対応するアジ化アシルの転位により達成することができる(例えばクルチウス分解/転位及びホフマン分解/転位に関する文献を参照のこと)。このアジ化アシルは、カルボン酸と(PhO)P(O)Nとの、塩基、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、又はCsCOの存在下、例えば、シクロヘキサン、tert−ブタノール、トルエン、ベンゼン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、又はこれらの混合液中での反応により得ることができる。活性化カルボキシル官能基、例えば、塩化アシル、混合無水物(例えば、カルバミン酸、炭酸エステル、又はリン酸エステルとの)、アリールエステル(ペンタフルオロフェニル又は4−ニトロフェニルエステルなど)、アルキル−又はアリールチオエステルから出発して、アジ化アシルを、アジド求核試薬、例えば、アジ化ナトリウム又はアジ化トリメチルシリルでの、場合により添加剤、例えば、BuNBrの存在下で、好ましくはトルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、エーテル、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、アセトニトリル、アセトン、水、又はこれらの混合液中での処理により得ることができるが、使用されるアジドによっては、これらの幾つかは適切でない。アジ化アシルは、高温、好ましくは60〜140℃で転位することにより、イソシアナートが得られるが、これは使用される溶媒及び添加剤に応じて単離することができるか、あるいは加水分解により直ちに反応してさらに、遊離アミンが得られるか、アルコールとの反応ではカルバミン酸エステルが得られるか、又はアンモニア、第一級若しくは第二級アミンの付加では尿素誘導体が得られる。
【0123】
続いての芳香族部分構造上への塩素、臭素、又はヨウ素原子の導入は、芳香族化合物を適切なハロゲン原子の求電子試薬と反応させることにより実行される。適切な塩素及び臭素求電子試薬は、例えば、N−ハロスクシンイミド、HOCl、HOBr、tert−BuOCl、tert−BuOBr、塩素、臭素、ジブロモイソシアヌル酸、ジクロロ臭素酸ピリジニウム、三臭化ピリジニウム、又は塩化スルフリルであってよく、これらは単独で、あるいは酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、テトラフルオロホウ酸、トリフルオロメタンスルホン酸(triflic acid)、硫酸、若しくは酢酸、又はルイス酸、例えば、ハロゲン化鉄(III)、三フッ化ホウ素水和物、三フッ化ホウ素エーテル、若しくはハロゲン化アルミニウムと組合せて使用することができる。更に別の有用な組合せは、LiBrと硝酸セリウムアンモニウム、KCl若しくはKBrとOxone(登録商標)、又はKBrと過ホウ酸ナトリウムであろう。適切なヨウ素求電子試薬は、硝酸、三酸化硫黄、二酸化マンガン、HIO、過酸化水素、過ヨウ素酸ナトリウム、ペルオキシ二硫酸類、及びOxone(登録商標)のような酸化剤と組合せたヨウ素から生成することができる。更に別の適切なヨウ素求電子試薬は、例えば、塩化ヨウ素、ジクロロヨウ素酸類、及びN−ヨードスクシンイミドであってよい。これらのヨウ素求電子試薬は、添加剤なしに、あるいは例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、若しくは硫酸のような酸、又は三フッ化ホウ素水和物、若しくは銅塩のようなルイス酸の存在下で使用することができる。ニトロ基を導入しようとするならば、適切なニトロ求電子試薬は、例えば、硝酸、硝酸アセチル、硝酸セリウムアンモニウム、硝酸ナトリウム、N、硝酸アルキル、及びテトラフルオロホウ酸ニトロニウムから生成することができる。これらの試薬の幾つかは、添加剤なしに使用することができるが、これらの幾つかは、酸、例えば、硫酸若しくはトリフルオロメタンスルホン酸、無水酢酸、トリフルオロ酢酸無水物;ルイス酸、例えば、イッテルビウムトリフラート若しくは酢酸鉄、P、又は塩基と組合せて使用する方がよい。SOH基は、芳香族化合物を、例えば、濃硫酸、SO、ClSOH、又はインジウムトリフラートと組合せたClSONMeと反応させることにより導入できる。芳香族化合物をClSOHと反応させると、対応するクロロスルホニル化誘導体が得られ、これをスルホン酸に加水分解することができる。芳香族部分のアシル化は、それぞれハロゲン化アシル(例えば、塩化アシル)、又はアシル無水物、及びルイス酸(例えば、ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化ジエチルアルミニウム、ハロゲン化インジウム、ハロゲン化鉄(III)、ハロゲン化スズ(IV)、三フッ化ホウ素、ハロゲン化チタン(IV)など)、又はブレンステッド酸(例えば、硫酸又はトリフルオロメタンスルホン酸)から生成することができるアシル求電子試薬を用いて行われる。ホルミル基は、いわゆるビルスマイヤー又はビルスマイヤー−ハック条件ホスゲン、塩化チオニル、POCl、又は塩化オキサリルと組合せたジアルキルホルムアミドを用いて導入するのが最も良い。上述の求電子置換に好ましい溶媒は、使用される求電子試薬に応じて異なってよい;以下に一般に適用しやすいものがもう少し挙げられる:塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、エーテル、フッ素化炭化水素、ヘキサン、キノリン、又はアセトニトリル。適用される温度は、好ましくは0〜180℃の範囲である。
【0124】
続いての芳香族アミノ基の置換は、亜硝酸又はニトロソニウム発生源又は等価体(酸と組合せた亜硝酸塩、例えば、亜硝酸ナトリウムと塩酸、テトラフルオロホウ酸ニトロソニウム、又は亜硝酸アルキル、例えば、亜硝酸tert−ブチル又は亜硝酸イソアミルなど)を用いたアミノ基のジアゾ化により開始される。ジアゾ化は、場合により、塩化メチレン、ジクロロエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、水、酢酸エチル、アルコール、エーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、又はこれらの混合液中で、−10℃〜100℃の温度で実行される(アミノ基のジアゾ化は、例えば、Angew. Chem. Int. Ed. 1976, 15, 251に詳述される)。続いてのシアン化、塩化、又は臭化第一銅を用いる、ジアゾ基のそれぞれシアノ基、塩素、又は臭素への置換は、サンドマイヤー反応として知られている(例えば、March’s Advanced Organic Chemistry, Michael B. Smith and Jerry March, John Wiley & Sons Inc., 6. Ed., New Jersey, 2007及びこれに引用される文献を参照のこと);本反応は、場合により−10℃〜120℃で上記の溶媒又は混合液の1つの中で行われる。フッ素原子へのジアゾ基の置換は、テトラフルオロホウ酸塩又はテトラフルオロホウ酸で20〜160℃に加熱することにより達成することができる;本反応は、シーマン反応として知られている。ヨウ素は、ジアゾ化合物をヨウ化物塩、例えば、ヨウ化ナトリウムで、好ましくは水又は水性混合溶媒を使用して0〜120℃の温度で処理することにより導入できる。ジアゾ基は、水又は水性混合溶媒を使用して0〜180℃の温度でヒドロキシに置換される。本反応は、通常更に別の添加剤なしに進行するが、酸化第一銅又は強酸の添加が有利であろう。メルカプト又はアルキルメルカプトは、それらの対応するジスルフィド塩又はジアルキルジスルフィドを介して0〜120℃の温度で導入することができる;使用される硫黄種に応じて、不活性溶媒又は水性溶媒系が好ましい(例えば、Synth. Commun. 2001, 31, 1857及びこれに引用される文献を参照のこと)。
【0125】
続いてのアリール基による芳香族アミノ基の置換は、上述のように得られる対応するジアゾ化合物を介して実行することができる。アリール求核試薬、好ましくはアリールボロン酸、ボロン酸エステル、トリフルオロホウ酸類、ハロゲン化亜鉛、又はスタンナンとの反応は、パラジウム、ニッケル、ロジウム、銅、又は鉄、好ましくはパラジウムから誘導される遷移金属種の存在下で行われる。活性触媒は、遷移金属と配位子(例えば、ホスフィン、亜リン酸類、イミダゾールカルベン、イミダゾリジンカルベン、ジベンジリデンアセトン、アリル、又はニトリルなど)との錯体、パラジウム担持炭素若しくはナノ粒子のような遷移金属の元素形態、又は塩化物、臭化物、酢酸塩、若しくはトリフルオロ酢酸塩のような塩であってよい。これらの反応において、ジアゾ化合物は、好ましくはそのテトラフルオロホウ酸塩として、場合により塩化メチレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、水、酢酸エチル、アルコール、エーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、又はこれらの混合液中で、10℃〜180℃、好ましくは20℃〜140℃の温度で使用される。
【0126】
続いての芳香族クロロ、ブロモ、ヨード原子、又は芳香族トリフルオロメチルスルホニルオキシ、メシルオキシ、若しくはトシルオキシ基のアリール、アルケニル、アルキニル、又はアルキル残基への置換は、好ましくはパラジウム、ニッケル、ロジウム、銅又は鉄から誘導される遷移金属種が介在する。活性触媒は、遷移金属と配位子[例えば、ホスフィン類(例えば、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、置換ビフェニルジシクロヘキシルホスフィン、置換ビフェニルジ−tert−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリフリルホスフィン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン)、亜リン酸類、イミダゾールカルベン、イミダゾリジンカルベン、ジベンジリデンアセトン、アリル、又はニトリルなど]との錯体、パラジウム担持炭素、又は鉄若しくはパラジウムのナノ粒子のような遷移金属の元素形態、あるいはフッ化物、塩化物、臭化物、酢酸塩、トリフラート、又はトリフルオロ酢酸塩のような塩であってよい。この置換は、好ましくは、導入すべきアリール、アルケニル、又はアルキル残基のトリフルオロホウ酸塩、ボロン酸、若しくはボロン酸エステル(鈴木又は鈴木型反応)、ハロゲン化亜鉛(根岸又は根岸型反応)、スタンナン(スティル反応)、シラン(檜山又は檜山型反応)、ハロゲン化マグネシウム(熊田又は熊田型反応)により行われる。末端アルキンは、好ましくはそのまま、又は亜鉛アセチリド誘導体として使用される。求電子及び求核反応パートナーに応じて、ハロゲン化物塩、例えば、塩化リチウム、フッ化カリウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、水酸化カリウムのような水酸化物源、炭酸カリウム、酸化銀若しくは銀トリフラートのような銀塩、塩化銅若しくはチオフェンカルボン酸銅のような銅塩などの添加剤が、有利であるか、又は必須である場合もある。ヨウ化銅は、末端アルキン基とのカップリング(薗頭反応)における好ましい添加剤である。これらのカップリング反応は、場合により塩化メチレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、水、酢酸エチル、アルコール、エーテル、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、又はこれらの混合液中で行われるが、求核試薬に応じて、これらの幾つかは、あまり適していないか又は全然適していない。好ましい温度は、−10℃〜180℃の範囲にある。
【0127】
続いての芳香族塩素、臭素、若しくはヨウ素原子、又は芳香族トリフルオロメチルスルホニルオキシ、メシルオキシ、若しくはトシルオキシ基の水素原子への置換は、好ましくはパラジウム、ニッケル、白金、又はロジウムから誘導される遷移金属種が介在する。活性触媒は、上記のように、遷移金属と配位子との錯体、遷移金属の元素形態、又は塩であってよい。ラネーニッケル又はパラジウム担持炭素は、好ましい触媒種に入る。適切な水素源は、好ましくは1〜5barの圧力の水素、シラン類、例えば、トリアルコキシシラン、ボラン類、水素化物、例えば、水素化ホウ素アルカリ金属、ギ酸、又はギ酸塩、例えば、ギ酸アンモニウムであってよい。本反応は、好ましくは塩化メチレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、水、酢酸エチル、アルコール、エーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、又はこれらの混合液中で−10℃〜180℃で、更に好ましくは20℃〜140℃で実行される。
【0128】
続いての2個の隣接する炭素原子に、又は1個の炭素原子で分離された2個の炭素原子にヘテロ原子を有する化合物から出発する環化は、場合により、ニトリル、塩化若しくはフッ化カルボン酸、カルボン酸、ケテン、カルボン酸エステル、又はカルボン酸チオエステルのようなカルボキシ等価体によって行われる。全変換は、2つの反応工程よりなる:2個のヘテロ原子の一方へのカルボキシ等価体の結合と、これに続くもう一方のヘテロ原子との環化。第1の工程は、アミノ官能基とのアミド形成であって、これは本明細書に前述のように実行することができる。次の反応工程である第2のヘテロ原子との環化は、酸、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、硫酸、若しくは塩酸、又は塩基、例えば、水酸化ナトリウム、ナトリウムエトキシド、若しくはナトリウムtert−ブトキシドの存在下で加熱することにより達成できる。無水物、例えば、無水酢酸、オルトエステル、例えば、オルトギ酸トリメチル、塩化チオニル、ホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲン、オキシ塩化リン、五塩化リン、ジアルキルカルボジイミド、ホスフィンの組合せ、例えば、トリフェニルホスフィン若しくはトリアルキルホスフィンとアゾジカルボン酸ジアルキル、臭素、ヨウ素、又は1,2−ジハロエタン、例えば、1,2−ジブロモテトラフルオロエタンのような脱水試薬の使用が有利であろう。本反応は、好ましくは塩化メチレン、ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、エーテル、又はこれらの組み合せのような不活性溶媒又は混合液中で実行されるが、酸又は塩基の存在下での環化はまた、水又はアルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、若しくはtert−ブタノール、又はこれらの溶媒との組合せ中で行ってもよい。本反応は、0℃〜200℃、好ましくは20℃〜140℃の温度で実行される。カルボキシ基を有する式(I)の化合物又はその誘導体から出発する、反対のやり方も同様に行われる。
【0129】
続いてのアミノメチル基を得るためのシアノ基の還元は、場合により遷移金属種の存在下水素により、又は水素化物により行われる。例えば、パラジウム担持活性炭、水酸化パラジウム、酸化白金、又はラネーニッケルのような適切な遷移金属は、パラジウム、ニッケル、白金、ロジウム、又はルテニウムから誘導することができるが、これらは、酢酸エチル、アルコール、例えば、メタノール若しくはエタノール、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、エーテル、ベンゼン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、又はN−メチルピロリジノンのような溶媒中で、1〜10bar、好ましくは1〜5barの水素圧で、そして0〜180℃、好ましくは20〜120℃の温度で使用することができる。酸、例えば、塩酸、メタンスルホン酸、硫酸、又は酢酸のような添加剤は、本反応に有益であろう。適切な水素化物源は、例えば、ホウ化水素類、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリ−sec−ブチルホウ素カリウム、ボラン、若しくは水素化トリエチルホウ素リチウム;又はアラナート類、例えば、水素化アルミニウムリチウム若しくは水素化ジイソブチルアルミニウムから選択することができる。これらの試薬の幾つかは、例えば、水素化ホウ素ナトリウムのような、塩化ニッケル又は塩化コバルトと組合せて使用するのが最適である。これらの試薬は、例えば、テトラヒドロフラン、エーテル、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ベンゼン、又はトルエン中で使用することができる;幾つかはまた、アルコール溶液と混合可能である。好ましい反応温度は、−80℃〜160℃、更に好ましくは−40℃〜80℃の範囲である。
【0130】
続いてのシアノ基からのN−ヒドロキシカルバムイミドイル基の形成は、シアノ化合物をヒドロキシルアミンで処理することにより実行できる。本反応は、好ましくは水性又はアルコール性溶媒中で0℃〜140℃の温度で行われる。
【0131】
続いてのN−ヒドロキシカルバムイミドイルからのオキサジアゾールの形成は、場合によりニトリル、塩化若しくはフッ化カルボン酸、カルボン酸、無水物、ケテン、カルボン酸エステル、又はカルボン酸チオエステルのようなカルボキシ等価体によって行われる。本変換は、上述の2つの隣接するヘテロ原子から出発する環の形成に関連しており、同様に実行することができる。
【0132】
続いてのアミノカルボニル基からのシアノ基の形成は、場合により、無水物、例えば、無水酢酸、トリフルオロ酢酸無水物、若しくはトリフルオロメタンスルホン酸無水物、ホスゲン、塩化チオニル、塩化オキサリル、POCl、PCl、P10、亜リン酸トリフェニル、又はテトラクロロメタン、1,2−ジブロモテトラフルオロエタン、若しくは臭素と組合せたトリフェニル−若しくはトリアルキルホスフィンのような脱水試薬を用いることによって行われる。本反応は、好ましくはジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ヘキサン類、エーテル、1,4−ジオキサン、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、その混合液中で、又は無溶媒で、0℃〜140℃の温度で実行される。アミン類、例えば、ピリジン若しくはトリエチルアミン、又はN,N−ジメチルホルムアミドのような添加剤が有益であろう。
【0133】
続いての第二級又は第一級アルコールを得るためのケト又はアルデヒド基の還元は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化トリエチルホウ素リチウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、又は水素化アルミニウムリチウムのような錯体金属水素化物により実行することができる。この還元は、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ヘキサン類、エーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、ベンゼン、トルエン、アルコール類、例えば、メタノール、水、又はその混合液中で行うことができるが、全ての還元剤がこれらの溶媒全てと混合可能ではない。好ましい温度は、試薬の還元力に応じて−80℃〜140℃である。あるいは、遷移金属触媒の存在下、水素をこの還元に使用することができる。
【0134】
続いての第三級又は第二級アルコールを得るためのケト又はアルデヒド基への炭素求核試薬の付加は、アルキル又は(het)アリール金属化合物により、好ましくはリチウム又はマグネシウム誘導体により実行することができる。本反応は、好ましくはヘキサン類、エーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ベンゼン、トルエン、又はその混合液中で−80℃〜50℃で行われる。
【0135】
続いてのテトラゾリル基へのシアノの変換は、シアン化物をアジ化ナトリウム又はアジ化トリメチルシリルと、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、アルコール、水、その混合液中で、又は無溶媒で反応させることにより達成できる。有益な添加剤は、ZnBr、BuSnCl、NHCl、BuSnO、AlCl、AlMe、HNEtCl、BuNF、及びNEtであろう。本反応は、好ましくは20℃〜180℃で行われる。
【0136】
提示された方法の他に、種々の残基Rをジアダマンタン骨格に結合させるための多数の更なるアプローチを想定することができ、そしてこれらも有機化学文献に報告されている。したがって、前述の合成方法及び変換は、本発明の化合物を得るための可能な経路を何ら制限するものではなく、例として幾つかの経路を示すだけのものである。
【0137】
提示される合成経路は、保護基を使用することができる。それぞれの官能基に適切な保護基及びそれらの除去は、本明細書に後述される(Protecting Groups, Philip J. Kocienski, 3rd edition, Georg Thieme Verlag, Stuttgart, 2004及びこれに引用される文献も参照のこと)。
【0138】
本明細書に前述の反応において、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、又はイミノ基のような存在する任意の反応性基は、従来の保護基により反応中は保護することができ、そしてこれらは反応後に再び開裂される。
【0139】
例えば、ヒドロキシ基の保護基は、トリメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、トリイソプロピルシリル、アセチル、ピバロイル、ベンゾイル、メチル、tert−ブチル、アリル、トリチル、ベンジル、4−メトキシベンジル、テトラヒドロピラニル、メトキシメチル、エトキシメチル、又は2−トリメチルシリルエトキシメチル基であってよく、
カルボキシ基の保護基は、トリメチルシリル、メチル、エチル、tert−ブチル、アリル、ベンジル、又はテトラヒドロピラニルであってよく、
ケトン又はアルデヒドの保護基は、例えば、メタノール、グリコール、又はプロパン−1,3−ジオールから誘導される、それぞれケタール又はアセタールであってよく、
アミノ、アルキルアミノ、又はイミノ基の保護基は、メチル、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ベンジル、メトキシベンジル、又は2,4−ジメトキシベンジルであってよく、そしてアミノ基には追加としてフタリルであってよく、そして
末端アルキンの保護基は、トリメチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、又は2−ヒドロキシ−イソプロピルであってよい。
【0140】
任意のアシル保護基は、例えば、水性溶媒中で、例えば、水、イソプロパノール/水、酢酸/水、テトラヒドロフラン/水、又は1,4−ジオキサン/水中、トリフルオロ酢酸、塩酸、若しくは硫酸のような酸の存在下で、又は水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、若しくは水酸化カリウムのようなアルカリ金属塩基の存在下で加水分解により、あるいは例えば、ヨードトリメチルシランの存在下で非プロトン的に、0〜120℃、好ましくは10〜100℃の温度で開裂することができる。トリフルオロアセチル基は、好ましくは塩酸のような酸により、場合により酢酸のような溶媒中、50〜120℃の温度で処理することによって、又は水酸化ナトリウム溶液により、場合によりテトラヒドロフラン若しくはメタノールのような追加の溶媒中、0〜80℃の温度で処理することによって開裂される。
【0141】
使用される任意のアセタール又はケタール保護基は、例えば、水性溶媒中で、例えば、水、イソプロパノール/水、酢酸/水、テトラヒドロフラン/水、又は1,4−ジオキサン/水中で、トリフルオロ酢酸、塩酸、又は硫酸のような酸の存在下で加水分解により、あるいは例えば、ヨードトリメチルシランの存在下で非プロトン的に、0〜120℃、好ましくは10〜100℃の温度で開裂することができる。
【0142】
トリメチルシリル基は、例えば、水、水性混合溶媒又はメタノール若しくはエタノールのようなアルコール中、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、又はナトリウムメトキシドのような塩基の存在下で開裂される。例えば、塩酸、トリフルオロ酢酸、又は酢酸のような酸もまた適切であろう。開裂は通常、比較的低い温度で、例えば、−60〜60℃で起こる。トリメチルシリルの他のシリル基は、酸、例えば、トリフルオロ酢酸、塩酸、又は硫酸の存在下で、0℃〜100℃の温度で優先的に開裂される。シリル基の特に適切な開裂方法は、フッ化物塩、例えば、フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化水素、又はフッ化カリウムを、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、トルエン、ベンゼン、ジクロロエタン、又はジクロロメタンのような有機溶媒中、−20〜100℃の温度で使用することに基づく。
【0143】
ベンジル、メトキシベンジル、又はベンジルオキシカルボニル基は、例えば、パラジウム担持炭素、水酸化パラジウム、又は酸化白金のような触媒の存在下水素によって、メタノール、エタノール、酢酸エチル、又は氷酢酸のような溶媒中、場合により塩酸のような酸の存在下0〜100℃、好ましくは20〜60℃の温度で、かつ1〜7bar、好ましくは3〜5barの水素圧での水素化分解により有利に開裂される。アニソール、チオアニソール、又はペンタメチルベンゼンのような捕捉剤の存在下ヨウ化トリメチルシリル、三塩化ホウ素、又は三フッ化ホウ素もまた、ベンジルエーテル誘導体と共に使用することができる。メトキシベンジルのような電子が豊富なベンジル残基もまた、例えば、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)又は硝酸セリウムアンモニウム(CAN)により、好ましくはアルコール性又は水性溶媒中10〜120℃の温度で酸化的に開裂することができる。2,4−ジメトキシベンジル基は、好ましくはトリフルオロ酢酸中アニソールのような捕捉剤の存在下で開裂される。
【0144】
tert−ブチル又はtert−ブチルオキシカルボニル基は、好ましくはトリフルオロ酢酸、硫酸、若しくは塩酸のような酸で処理することにより、又はヨードトリメチルシランで、場合により塩化メチレン、1,4−ジオキサン、メタノール、イソプロパノール、水、若しくはジエチルエーテルのような溶媒を用いて処理することにより開裂される。
【0145】
第三級アミンのメチル基は、クロロギ酸1−クロロエチルでの処理により開裂することができる。臭化水素酸及び三臭化ホウ素は、メチルエーテル類の開裂に特に適している。
【0146】
一般式(I)の化合物は、前述のように、そのエナンチオマー及び/又はジアステレオマーに分割することができる。即ち、例えば、シス/トランス混合物は、そのシス及びトランス異性体に分割することができ、そしてラセミ化合物は、そのエナンチオマーに分離することができる。
【0147】
シス/トランス混合物は、例えば、クロマトグラフィーによりそのシス及びトランス異性体に分割することができる。ラセミ体として生じる一般式(I)の化合物は、それ自体既知の方法(Allinger N.L. and Eliel E.L., "Topics in Stereochemistry", Vol. 6, Wiley Interscience, 1971を参照のこと)によりその光学対掌体に分離することができ、そして一般式(I)のジアステレオマー混合物は、それ自体既知の方法、例えば、クロマトグラフィー及び/又は分別結晶法を用いて、その異なる物理化学特性を利用することによってそのジアステレオマーに分割することができる;こうして得られる化合物がラセミ体であるならば、これらは上記のようにエナンチオマーに分割することができる。
【0148】
ラセミ体は、好ましくはキラル相でのカラムクロマトグラフィーにより、又は光学活性溶媒からの結晶化により、又は例えば、エステル若しくはアミドのような、ラセミ化合物との塩若しくは誘導体を形成する光学活性物質と反応させることにより分割される。塩は、塩基性化合物に対しエナンチオピュアな酸と、そして酸性化合物に対しエナンチオピュアな塩基と形成することができる。ジアステレオマー誘導体は、例えば、酸、その活性化誘導体、又はアルコール類のようなエナンチオピュアな補助化合物と形成される。こうして得られる塩又は誘導体のジアステレオマー混合物の分離は、その異なる物理化学特性、例えば、溶解度の差を利用することにより達成できる;遊離の対掌体は、純粋なジアステレオマー塩又は誘導体から適切な試薬を作用させ除去させることができる。このような目的に慣用の光学活性酸は、例えば、D−及びL−型の酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジ−o−トリル酒石酸、リンゴ酸、マンデル酸、カンファースルホン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、又はキナ酸である。助剤として適用できる光学活性アルコールは、例えば、(+)又は(−)−メントールであり、そしてアミド中の光学活性アシル基は、例えば、(+)−又は(−)−メンチルオキシカルボニルであってよい。
【0149】
上記のように、式(I)の化合物は、塩、特に医薬としての使用には無機又は有機酸との生理学的に許容しうる塩に変換することができる(化合物(I)が塩基性残基を有するという条件で)。この目的に使用することができる酸は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、リン酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、又はマレイン酸を包含する。
【0150】
式(I)の化合物が、例えば、カルボキシ基のような酸性残基を含有するならば、これらは、無機又は有機塩基とのその塩、特に医薬としての使用には生理学的に許容しうるその塩に変換することができる。この目的に適切な塩基は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、カルシウムイソプロポキシド、水酸化マグネシウム、マグネシウムエトキシド、水酸化アンモニウム、シクロヘキシルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチル−D−グルカミン、L−リシン、L−アルギニン、及びピペラジンを包含する。
【0151】
本発明の化合物は、有利にはまた、後述の実施例に記載される方法を用いて入手可能であるが、この目的にはこれらの方法を文献から当業者には知られている方法と組合せることもできる。
【0152】
既に言及したように、ただし書き(P1)及び(P2)に含まれる化合物を包含する本発明の一般式(I)の化合物、並びに生理学的に許容しうるその塩は、有用な薬理学的性質、特に酵素の11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1に対する阻害作用を有する。
【0153】
新規化合物の生物学的性質は以下のとおり試験することができる:
【0154】
試験化合物による11β−HSD1のインビトロ阻害は、ヒト肝ミクロソームによりコルチステロンから生成されるコルチゾールを検出するHTRF(均一系時間分解蛍光(Homogeneous Time-Resolved Fluorescence))法(cisbio international, France)により測定する。簡単に述べると、化合物は、NADPH(200μM)及びコルチゾン(80nM)を含有するトリス緩衝液(20mMトリス、5mM EDTA、pH6.0)中で37℃で1時間インキュベートする。次に、反応で生成するコルチゾールを競合免疫測定法(2つのHTRF結合体:XL665に結合したコルチゾール及びユーロピウムクリプテートで標識された抗コルチゾール抗体を含む)を用いて検出する。検出反応のインキュベーション時間は、典型的には2時間である。コルチゾールの量は、ウェルの時間分解蛍光(Ex 320/75nm; Em 615/8.5nm及び665/7.5nm)を読みとることにより決定する。次に、2つの発光シグナルの比(Em665×10000/Em615)を計算する。各測定には、阻害されていないコルチゾール生成の対照(100%CTL;「高値」)として、化合物の代わりにビヒクル対照とのインキュベーション、並びに完全に阻害された酵素及びコルチゾールバックグラウンドの対照(0%CTL;「低値」)として、カルベノキソロンとのインキュベーションを含める。各測定にはまた、蛍光データをコルチゾール濃度に変換するために、コルチゾールについての較正曲線を含める。各化合物の阻害パーセント(%CTL)は、カルベノキソロンシグナルに対して測定し、そしてIC50曲線を作成する。
【0155】
例えば、本発明の一般式(I)の化合物は、IC50値が10000nM未満、特に1000nM未満、最も好ましくは200nM未満である。1μM濃度の幾つかの化合物例の%CTL値を以下の表2に示すが、ここで100%は阻害されないことを示し、ゼロ又はゼロ以下の値は完全な阻害を示す。%CTLの測定法は本明細書に前述されている。
【0156】
【表1】

【0157】
酵素の11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1を阻害する能力を考慮すると、ただし書き(P1)及び(P2)に含まれる化合物を包含する本発明の一般式(I)の化合物、並びに対応する薬学的に許容しうるその塩は、理論的には11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1活性の阻害により影響を受けうる全ての症状又は疾患の治療及び/又は予防処置に適している。したがって本発明の化合物は、疾患、特に代謝障害、即ち1型糖尿病、2型糖尿病のような症状、糖尿病の合併症(例えば、網膜症、腎症又は神経障害、糖尿病足、潰瘍、大血管障害、創傷治癒の遅延又は低下など)、代謝性アシドーシス若しくはケトーシス、反応性低血糖症、高インスリン血症、グルコース代謝疾患、インスリン耐性、メタボリック症候群、様々な原因の脂質異常症、アテローム動脈硬化症及び関連疾患、肥満、高血圧、慢性心不全、浮腫、並びに高尿酸血症の予防又は治療に特に適している。これらの物質はまた、例えば、膵臓β細胞のアポトーシス又は壊死のようなβ細胞変性の予防に適している。これらの物質はまた、膵臓細胞の機能を治療し、改善し又は回復させるのに、更にまた膵臓β細胞の数とサイズを増大させるのにも適している。本発明の化合物はまた、利尿剤又は抗高血圧薬として使用することができ、急性腎不全の予防及び治療に適している。
【0158】
加えて、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1の阻害は、高眼圧症の患者の眼内圧を低下させることが証明されており、よってこれらの化合物は、緑内障を治療するために使用できよう。
【0159】
グルココルチコイド受容体との相互作用のためのコルチゾールレベル調節における11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1の役割、及び骨量減少における過剰のグルココルチコイドの既知の役割を考慮すると、これらの化合物は、骨粗鬆症の治療又は予防において有益な効果を有するかもしれない。
【0160】
ストレス及び/又はグルココルチコイドは、認知機能に影響を与えることが証明されており、過剰のコルチゾールは脳の神経細胞脱落又は機能不全に関係している。11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1阻害剤での処置により、認知機能障害は改善又は予防しうる。このような化合物はまた、不安神経症又はうつ病を処置するのに有用でありうる。
【0161】
免疫系とHPA(視床下部下垂体−副腎)軸との動的相互作用は知られており、グルココルチコイドは細胞性応答と液性応答とのバランスを補助する。結核、ライ病、及び乾癬のような幾つかの病状では、免疫反応は典型的には液性応答に偏っている。より適切なのは細胞性応答であろう。11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1阻害剤は、免疫に関係する一時的な免疫応答を向上することにより、細胞性応答の獲得を保証するものであり、よって免疫調節に有用なものとなろう。
【0162】
詳しくは、ただし書き(P1)及び(P2)に含まれる化合物を包含する本発明の化合物、並びに生理学的に許容しうるその塩は、糖尿病、特に1型糖尿病、2型糖尿病、及び糖尿病合併症の予防又は治療に適している。
【0163】
治療又は予防のための対応する活性を達成するのに必要な用量は、通常、投与される化合物、患者、疾患若しくは症状の性質及び程度、並びに投与方法及びその頻度に依存し、これは患者の担当医により決定される。便宜的には、用量は、静脈内経路では1〜100mg、好ましくは1〜30mgであってよく、そして経口経路では1〜1000mg、好ましくは1〜100mgであってよく、各場合において1日に1〜4回投与される。このために本発明により調製される式(I)の化合物は、場合により他の活性物質と共に、1つ以上の不活性な従来の担体及び/又は希釈剤と共に、例えば、トウモロコシデンプン、乳糖、グルコース、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、クエン酸、酒石酸、水、水/エタノール、水/グリセロール、水/ソルビトール、水/ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、セチルステアリルアルコール、カルボキシメチルセルロース、若しくは固い脂肪のような脂肪性物質、又はこれらの適切な混合物と共に処方することにより、素錠若しくはコーティング錠、カプセル剤、粉剤、懸濁剤又は坐剤のような従来のガレヌス製剤が製造される。
【0164】
本発明の化合物はまた、特に上記の疾患及び症状の治療及び/又は予防のために、他の活性物質と併せて使用することができる。このような併用に適した他の活性物質は、例えば、上記適応症の1つに関して、本発明の11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1阻害剤の治療効果を増強するもの、及び/又は本発明の11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1阻害剤の用量を低下させられるものを包含する。このような併用に適した治療用薬物は、例えば、抗糖尿病薬であり、例えば、メトホルミン、スルホニル尿素剤(例えば、グリベンクラミド、トルブタミド、グリメピリド)、ナテグリニド、レパグリニド、チアゾリジンジオン類(例えば、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン)、SGLT2阻害剤(例えば、ダパグリフロジン、エタボン酸レモグリフロジン)、PPAR−γ−アゴニスト(例えば、GI262570)及びアンタゴニスト、PPAR−γ/αモジュレーター(例えば、KRP297)、α−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース、ボグリボース)、DPP−IV阻害剤(例えば、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン、アログリプチン、BI1356)、α2−アンタゴニスト、インスリン及びインスリン類似体、GLP−1及びGLP−1類似体(例えば、エキセンジン−4)、又はアミリンなどを包含する。このリストはまた、タンパク質チロシンホスファターゼ1の阻害剤、肝臓中の無秩序なグルコース産生に影響を与える物質(例えば、グルコース−6−ホスファターゼ、若しくはフルクトース−1,6−ビスホスファターゼ、グリコーゲンホスホリラーゼの阻害剤、グルカゴン受容体アンタゴニストなど)、及びホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ、グリコーゲンシンターゼキナーゼ、若しくはピルビン酸デヒドロキナーゼの阻害剤、及びグルコキナーゼアクチベーター、脂質低下剤、例えば、HMG−CoA−レダクターゼ阻害剤(例えば、シンバスタチン、アトルバスタチン)、フィブラート類(例えば、ベザフィブラート、フェノフィブラート)、ニコチン酸及びその誘導体、PPAR−αアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、ACAT阻害剤(例えば、アバシミブ)、又はコレステロール吸収阻害剤(例えば、エゼチミブなど)など、胆汁酸結合物質(例えば、コレスチラミンなど)、回腸胆汁酸トランスポーターの阻害剤、HDL上昇化合物(CETP阻害剤又はABC1レギュレーターなど)、又は肥満治療のための活性物質、例えば、シブトラミン又はテトラヒドロリポスタチン、SDRI類、アキソキン、レプチン、レプチン模倣物質、カンナビノイド1受容体のアンタゴニスト、MCH−1受容体アンタゴニスト、MC4受容体アゴニスト、NPY5若しくはNPY2アンタゴニスト、又はβ3−アゴニスト(SB−418790又はAD−9677など)、及び5HT2c受容体のアゴニストなどを包含する。
【0165】
更に、高血圧、慢性心不全又はアテローム動脈硬化症に影響を与える薬物(例えば、A−IIアンタゴニスト又はACE阻害剤、ECE阻害剤、利尿剤、β−遮断薬、Ca−アンタゴニスト、中枢作用性抗高血圧薬、α2−アドレナリン受容体のアンタゴニスト、中性エンドペプチダーゼの阻害剤、血小板凝集阻害剤など、又はこれらの組合せなど)との組合せが適している。アンギオテンシンII受容体アンタゴニストの例は、カンデサルタンシレキセチル、ロサルタンカリウム、メシル酸エプロサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、EXP−3174、L−158809、EXP−3312、オルメサルタン、メドキソミル、タソサルタン、KT−3−671、GA−0113、RU−64276、EMD−90423、BR−9701などである。アンギオテンシンII受容体アンタゴニストは、好ましくは高血圧及び糖尿病合併症の治療又は予防のために、しばしばヒドロクロロチアジドのような利尿剤と組合せて使用される。
【0166】
尿酸合成阻害剤又は尿酸排泄薬との併用は、痛風の治療又は予防に適している。
【0167】
GABA−受容体アンタゴニスト、Na−チャネル遮断薬、トピラマート、プロテインキナーゼC阻害剤、糖化最終産物阻害剤又はアルドースレダクターゼ阻害剤との併用は、糖尿病合併症の治療又は予防に使用することができる。
【0168】
上記の併用パートナーの用量は、通常推奨される最低用量の1/5〜通常推奨される用量の1/1が有用である。
【0169】
したがって、別の態様において本発明は、酵素の11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1を阻害することにより影響を受けうる疾患又は症状の治療又は予防に適した医薬組成物を調製するための、併用パートナーとして上述の活性物質の少なくとも1つと組合せた、ただし書き(P1)及び(P2)に含まれる化合物を包含する本発明の化合物、又はこのような化合物の生理学的に許容しうる塩の使用に関する。これらは、好ましくは代謝性疾患、特に上に列挙された疾患又は症状の1つ、最も詳しくは糖尿病又は糖尿病合併症である。
【0170】
別の活性物質と組合せた本発明の化合物又は生理学的に許容しうるその塩の使用は、同時に行われるか、又は時間を少しずらして(ただし特に短時間以内)行うことができる。これらが同時に投与される場合は、2つの活性物質は一緒に患者に投与される;一方、時間をずらして使用される場合は、2つの活性物質は、12時間以下、特に6時間以下の時間内に患者に投与される。
【0171】
このため、別の態様において本発明は、ただし書き(P1)及び(P2)に含まれる化合物を包含する本発明の化合物、又はこのような化合物の生理学的に許容しうる塩と、併用パートナーとして上述の活性物質の少なくとも1つとを、場合により1つ以上の不活性担体及び/又は希釈剤と一緒に含む医薬組成物に関する。
【0172】
即ち、例えば、本発明の医薬組成物は、本発明の式(I)の化合物又はこのような化合物の生理学的に許容しうる塩と、少なくとも1つのアンギオテンシンII受容体アンタゴニストとの組合せを、場合により1つ以上の不活性担体及び/又は希釈剤と一緒に含む。
【0173】
本発明の化合物、又は生理学的に許容しうるその塩と、これらと併用される追加の活性物質とは、両方とも1つの製剤(例えば、錠剤又はカプセル剤)中に一緒に存在してもよいか、又は2つの同一であるか又は異なる製剤中に、例えば、いわゆるキット・オブ・パーツ(kit-of-parts)として別々に存在してもよい。
【0174】
以下の実施例は、本発明を例示するものであり、本発明を限定するものではない。「周囲温度」及び「室温」という用語は、互換的に使用され、そして約20℃の温度を示す。
【0175】
下記の略語を使用した:
Ac アセチル
Bu ブチル
Et エチル
Me メチル
Pr プロピル
【0176】
出発化合物の調製:
実施例I
【0177】
【化16】

【0178】
1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3,3’−ジカルボン酸ジメチルエステル
オレウム(約25% SO、48mL)を、撹拌子及び1,1’−ジアダマンタン(4.0g)を入れたフラスコに加え、そして氷浴中で冷却した。淡褐色の溶液を、0℃で5分間撹拌し、その後、HCOOH(5.6mL、約6.6g)を0℃で滴下した(ガス発生)。得られた混合物を、0℃で2.5時間撹拌し、次に、MeOH(120mL)を0℃で20分間かけて加えた。撹拌を、0℃で1時間及び室温で一晩続けた。次に、混合物を、氷冷飽和NaHCO水溶液(850mL)に約2時間かけて滴下した。混合物を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を減圧下で濃縮した。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(CHCl/EtOAc 50:1→10:1)により精製して、標記化合物(4.7g、47%)を白色(無色)の固体として得た。
収量:2.68g(理論値の47%)
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): 3.58 (s, 6H), 2.03 (br. s, 4H), 1.79-1.65 (m, 8H), 1.63 (s, 4H), 1.60-1.45 (m, 12H)。
【0179】
実施例II
【0180】
【化17】

【0181】
[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3,3’−ジカルボン酸 3’−メチルエステル
水(5mL)、続いてMeOH(28.5mL)中の0.1M Ba(OH)を、[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3,3’−ジカルボン酸ジメチルエステル(1.0g)のMeOH(22.5mL)溶液に室温で加えた。懸濁液を40℃で2日間撹拌し、その後、さらにMeOHの0.1M Ba(OH)(26mL、2.6mmol)を加え、そして撹拌を40℃で2日間続けた。混合物を5% HPO水溶液で酸性化し、そして得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をMgSOパッドを通して濾過し、そして濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(CHCl/MeOH 98:2→95:5)により精製して、標記化合物を白色(無色)の固体として得た。
収量:0.57g(理論値の59%)
質量スペクトル(APCI):371[M−H]
【0182】
実施例III
【0183】
【化18】

【0184】
3’−イソブトキシカルボニルオキシカルボニル−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
N−メチル−モルホリン(40μl)及びクロロギ酸イソブチル(42μl)を、[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3,3’−ジカルボン酸 3’−メチルエステル(79mg)の氷冷1,2−ジメトキシエタン(5mL)溶液に連続して加えた。得られた混合物を0℃で40分間撹拌し、次に、5% HPO水溶液に注いだ。混合物を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を水で洗浄し、そして減圧下で濃縮して、粗標記化合物を得た。
収量:109mg(定量)
【0185】
実施例IV
【0186】
【化19】

【0187】
3’−クロロカルボニル−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3,3’−ジカルボン酸 3’−メチルエステル(300mg)のSOCl(6mL)溶液を、50℃で2時間撹拌した。周囲温度に冷ました後、溶液を減圧下で濃縮し、そして残渣をトルエン(10mL)で2回蒸発させて、粗標記化合物を得、それをさらに精製することなしに使用した。
収量:300mg(理論値の95%)
【0188】
下記の3方法(実施例V、VI、及びVII)は、対応するジアダマンチルカルボン酸又は塩化物から選択されるカルボン酸アミドの調製を記載する(3’−イソブトキシカルボニルオキシカルボニル−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステルも同様に用いることができる)。主として、記載した全てのアミドは、これらの手順のいずれかを使用して合成することができる。
【0189】
実施例V
【0190】
【化20】

【0191】
3’−ジメチルカルバモイル−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
N,N−ジメチルホルムアミド(5mL)、2M MeNHテトラヒドロフラン溶液(0.28mL)、及びiPrNEt(0.2mL)を、撹拌子、[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3,3’−ジカルボン酸 3’−メチルエステル(140mg)、HCTU[1−(ビス−ジメチルアミノ−メチレン)−5−クロロ−3−オキシ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イウム−へキサフルオロホスファート、240mg]、及び6−クロロ−1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール(100mg)を入れたフラスコに室温で連続して加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、その後、飽和NaHCO水溶液を加えた。得られた混合物をCHClで抽出し、合わせた抽出物を水で4回洗浄し、乾燥(MgSO)させ、そして濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル 1:1)により精製して、標記化合物を白色の固体として得た。
収量:120mg(理論値の80%)
質量スペクトル(APCI):400[M+H]
【0192】
下記化合物を、実施例Vと同様にして得た:
(1) 3’−メチルカルバモイル−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0193】
【化21】


1H-NMR (300 MHz, CDCl3): 5.7-5.6 (br. signal, 1H), 3.65 (s, 3H), 2.80 (d, J = 4.8, 3H), 2.19-2.05 (m, 4H), 1.86-1.50 (m, 24H)。
MeNHを、MeNHの代わりに求核試薬として使用した。
【0194】
(2) 3’−カルバモイル−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0195】
【化22】


1H-NMR (300 MHz, CDCl3): 5.8-5.6, 5.5-5.3 (2 br. signals, 2H), 3.67 (s, 3H); 2.20-2.09 (m, 4H), 1.90-約1.69 (m, 約14H), 約1.69-約1.53 (m, 約10H)。
EtNiPrと合わせたNHClを、アンモニア源として使用した。
【0196】
実施例VI
【0197】
【化23】

【0198】
3’−(ベンジル−メチル−カルバモイル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
TBTU[2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート;44mg]及びEtNiPr(26μL)を、[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3,3’−ジカルボン酸 3’−メチルエステル(50mg)のN,N−ジメチルホルムアミド(2mL)溶液に室温で加えた。混合物を室温で1時間撹拌し、その後、N−ベンジル−N−メチル−アミン(18μL)を加えた。混合物を室温で5時間撹拌し、次に減圧下で濃縮した。粗生成物を、さらに精製することなしにエステルけん化に付した。
【0199】
下記化合物を、実施例VIと同様にして得た:
(1) 3’−(メチル−フェネチル−カルバモイル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0200】
【化24】

【0201】
(2) 3’−(4−メチル−ピペラジン−1−カルボニル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0202】
【化25】

【0203】
(3) 3’−{[3−(4−メトキシ−フェニル)−プロピル]−メチル−カルバモイル}−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0204】
【化26】

【0205】
実施例VII
【0206】
【化27】

【0207】
3’−(ベンジル−メチル−カルバモイル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
NEt(21μL)及びピロリジン(10mg)を、3’−クロロカルボニル−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル(50mg)のCHCl(3mL)溶液に室温で連続して加えた。溶液を3時間撹拌した後、溶媒を減圧下で蒸発させて、粗標記化合物を得、それをさらに精製することなしにエステルけん化に付した(方法Bを参照)。
【0208】
下記化合物を、実施例VIIと同様にして得た:
(1) 3’−(モルホリン−4−カルボニル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0209】
【化28】

【0210】
(2) 3’−(2−ヒドロキシ−エチルカルバモイル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0211】
【化29】

【0212】
(3) 3’−(イソプロピル−メチル−カルバモイル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0213】
【化30】

【0214】
(4) 3’−(エチル−メチル−カルバモイル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0215】
【化31】

【0216】
(5) 3’−(シアノ−アミノ−カルボニル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0217】
【化32】

【0218】
(6) 3’−(アゼチジン−1−カルボニル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0219】
【化33】

【0220】
(7) 3’−(メトキシ−メチル−カルバモイル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0221】
【化34】

【0222】
(8) 3’−(2−ヒドロキシ−フェニルカルバモイル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0223】
【化35】

【0224】
(9) 3’−フェニルカルバモイル−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0225】
【化36】

【0226】
該化合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:0→1:1)により精製し、その後、けん化に付した。
【0227】
(10) 3’−(シクロヘキシル−メチル−カルバモイル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0228】
【化37】

【0229】
該化合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:0→1:1)により精製し、その後、けん化に付した。
【0230】
(11) 3’−(メチル−フェニル−カルバモイル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0231】
【化38】

【0232】
上記方法から出発して、反応をトルエン中で100℃にて実施した(マイクロ波照射で、15分加熱した)。該化合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:0→1:1)により精製し、その後、けん化に付した。
【0233】
(12) 3−[(3’−メトキシカルボニル−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]アン−3−カルボニル)−メチル−アミノ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【0234】
【化39】

【0235】
上記方法から出発して、反応をトルエン中で100℃にて実施した(マイクロ波照射で、15分加熱した)。該化合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:0→1:1)により精製し、その後、それをさらに処理した。
【0236】
(13) 3’−(2−メチルアミノ−フェニルカルバモイル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0237】
【化40】

【0238】
該化合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:0→1:1)により精製し、その後、けん化に付した。
【0239】
(14) 3’−[(4−メトキシ−フェニル)−メチル−カルバモイル]−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0240】
【化41】

【0241】
上記方法から出発して、反応をトルエン中で100℃にて実施した(マイクロ波照射で、15分加熱した)。該化合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:0→1:1)により精製し、その後、けん化に付した。
【0242】
(15) 3’−(ビフェニル−4−イル−メチル−カルバモイル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0243】
【化42】

【0244】
上記方法から出発して、反応をトルエン中で100℃にて実施した(マイクロ波照射で、15分加熱した)。該化合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:0→1:1)により精製し、その後、けん化に付した。
【0245】
(16)3’−(シクロヘキシル−エチル−カルバモイル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0246】
【化43】


質量スペクトル(ESI):482[M+H]
【0247】
上記方法から出発して、反応をトルエン中で100℃にて実施した(マイクロ波照射で、15分加熱した)。該化合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:0→1:1)により精製し、その後、けん化に付した。
【0248】
(17) 3’−[メチル−(4−フェニル−シクロヘキシル)−カルバモイル]−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0249】
【化44】

【0250】
上記方法から出発して、反応をトルエン中で100℃にて実施した(マイクロ波照射で、15分加熱した)。該化合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:0→1:1)により精製し、その後、けん化に付した。
【0251】
(18) 3’−[2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−メチル)−フェニルカルバモイル]−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0252】
【化45】

【0253】
該化合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:0→1:1)により精製し、その後、けん化に付した。
【0254】
(19) 3’−[(4−tert−ブチル−シクロヘキシル)−メチル−カルバモイル]−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0255】
【化46】

【0256】
上記方法から出発して、反応をトルエン中で100℃にて実施した(マイクロ波照射で、15分加熱した)。該化合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:0→1:1)により精製し、その後、けん化に付した。
【0257】
(20) 3’−(シクロヘキシル−フェネチル−カルバモイル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0258】
【化47】

【0259】
上記方法から出発して、反応をトルエン中で100℃にて実施した(マイクロ波照射で、15分加熱した)。該化合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:0→1:1)により精製し、その後、けん化に付した。
【0260】
(21) 3’−(シクロペンチル−メチル−カルバモイル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0261】
【化48】

【0262】
上記方法から出発して、反応をトルエン中で100℃にて実施した(マイクロ波照射で、15分加熱した)。該化合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:0→1:1)により精製し、その後、けん化に付した。
【0263】
(22) 3’−(2−フェネチルアミノ−フェニルカルバモイル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0264】
【化49】

【0265】
該化合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:0→1:1)により精製し、その後、けん化に付した。
【0266】
(23) 3’−(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0267】
【化50】

【0268】
該化合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:0→1:1)により精製し、その後、けん化に付した。
【0269】
(24) 3’−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−カルボニル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0270】
【化51】

【0271】
該化合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:0→1:1)により精製し、その後、けん化に付した。
【0272】
(25) 3’−(7−シアノ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−カルボニル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0273】
【化52】

【0274】
該化合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:0→1:1)により精製し、その後、けん化に付した。
【0275】
(26) 3’−[7−(4−ジメチルカルバモイル−フェノキシ)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−カルボニル]−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0276】
【化53】

【0277】
該化合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:0→1:1)により精製し、その後、けん化に付した。
【0278】
(27) 3’−(2−メトキシメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0279】
【化54】

【0280】
該化合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:0→1:1)により精製し、その後、けん化に付した。
【0281】
(28) 3’−(1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−3−カルボニル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0282】
【化55】

【0283】
該化合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:0→1:1)により精製し、その後、けん化に付した。
【0284】
(29) 3’−(2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボニル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
【0285】
【化56】

【0286】
該化合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:0→1:1)により精製し、その後、けん化に付した。
【0287】
実施例VIII
【0288】
【化57】

【0289】
3’−ヒドロキシメチル−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
NaBH(15mg)を、0℃に冷却した3’−イソブトキシカルボニルオキシカルボニル−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル(142mg、粗生成物)のEtOH(4mL)溶液に一度に加えた。混合物を0℃で30分間撹拌し、次に、5% HPO水溶液に注いだ。得られた混合物を酢酸エチルで抽出し、そして合わせた抽出物を水で洗浄し、そして減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(CHCl/EtOAc 15:1)により精製して、標記化合物を無色の固体として得た。
収量:93mg(理論値の約85%)
質量スペクトル(APCI):359[M+H]
【0290】
実施例IX
【0291】
【化58】

【0292】
3’−シアノ−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
(FCSOO(0.45mL)を、3’−カルバモイル−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル(100mg)及びピリジン(0.43mL)の1,4−ジオキサン(4mL)溶液に室温で滴下した。得られた混合物を室温で1時間撹拌し、次に、濃縮した。酢酸エチル及び飽和NaHCO水溶液を加え、そして混合物を20分間撹拌した。次に、混合物を酢酸エチルで抽出し、そして合わせた抽出物を希釈したNaCl水溶液で洗浄し、そして乾燥(MgSO)させた。溶媒の除去後、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl/EtOAc 1:0→45:1)により精製して、標記化合物を黄色を帯びた固体として得た。
収量:78mg(理論値の81%)
質量スペクトル(ESI):354[M+H]
【0293】
実施例X
【0294】
【化59】

【0295】
3’−tert−ブトキシカルボニルアミノ−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
テトラヒドロフラン(8mL)を、[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3,3’−ジカルボン酸 3’−メチルエステル(200mg)、(BuOCO)O(234mg)、NaN(122mg)、nBuNBr(70mg)、及びZn(OSOCF(38mg)の混合物に室温で加えた。乳白色の懸濁液を、50℃で2日間撹拌した。次に、飽和NaHCO水溶液を室温で加え(水層のpH値:8〜9)、そして得られた混合物をEtOAc及びCHClで抽出した。溶媒の除去後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 20:1→9:1)により精製して、標記化合物(225mg、94%)を泡状の固体として得た。
収量:225mg(理論値の94%)
質量スペクトル(ESI):444[M+H](非常に低い強度)、344[M+H−100](低強度シグナル)
【0296】
実施例XI
【0297】
【化60】

【0298】
3’−ヒドラジノカルボニル−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸
NEt(0.10mL)及びヒドラジン水和物(10μL)を、3’−クロロカルボニル−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル(82mg)のCHCl(3mL)溶液に室温で連続して加えた。溶液を室温で一晩撹拌し、次に、メタノール(3mL)及び4M KOH水溶液(3mL)を加えた。得られた溶液を50℃に温め、そしてこの温度で4時間撹拌した。次に、溶媒を蒸発させ、残渣を水に取り、そして1M塩酸を使用して中和した。水相を酢酸エチルで抽出し、そして合わせた抽出物を乾燥(NaSO)させた。溶媒を蒸発させて、粗標記化合物を得、それをさらに精製することなしに使用した。
収量:60mg(理論値の75%)
【0299】
実施例XII
【0300】
【化61】

【0301】
3’−(メチル−ピペリジン−3−イル−カルバモイル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル
トリフルオロ酢酸(2mL)を、ジクロロメタン(3mL)に溶解した3−[(3’−メトキシカルボニル−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]アン−3−カルボニル)−メチル−アミノ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(60mg)に室温で加えた。溶液を室温で3時間撹拌した、次に、KCO水溶液を注意深く加え、そして得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた抽出物を濃縮して、粗標記化合物を得、それをさらに精製することなしにけん化に付した(方法B)。
収量:45mg(理論値の91%)
質量スペクトル(ESI):469[M+H]
【0302】
実施例XIII
【0303】
【化62】

【0304】
7−(4−エトキシカルボニル−フェノキシ)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−カルボン酸ベンジルエステル
撹拌子、7−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−カルボン酸ベンジルエステル(5.00g)、4−フルオロ−安息香酸エチルエステル(3.27g)、18−クラウン−6(0.47g)、及びKF(Al上で40%、7.50g)を入れたフラスコに、アルゴンを15分間満たした。次に、ジメチルスルホキシド(50mL)を加え、そして得られた混合物を140℃に加熱した。混合物を140℃で3時間撹拌し、次に、室温に冷ました。混合物をジエチルエーテル(150mL)に注ぎ、そして得られた混合物を濾過した。濾液を水で洗浄し、そして水性の洗浄相をジエチルエーテルで抽出した。合わせた有機相を食塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)させ、そして濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル 3:1)により精製して、標記化合物を油状物として得た。
収量:4.56g(理論値の60%)
【0305】
実施例XIV
【0306】
【化63】

【0307】
7−(4−カルボキシ−フェノキシ)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−カルボン酸ベンジルエステル
水酸化ナトリウム(0.73g 水25mLに溶解した)を、7−(4−エトキシカルボニル−フェノキシ)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−カルボン酸ベンジルエステル(3.00g)のエタノール(100mL)溶液に加えた。得られた懸濁液を、45℃で一晩撹拌した。溶液を濃縮し、そして水性残渣を1M塩酸を使用してpH値2〜3に調整した、次に、ジクロロメタンを加え、そして混合物を10分間撹拌した。有機相を分離し、そして水相をジクロロメタンで2回抽出した。合わせた有機相を乾燥(NaSO)させ、そして濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル/酢酸 50:50:0.5)により精製して、標記化合物を油状物として得た。
収量:2.34g(理論値の83%)
【0308】
実施例XV
【0309】
【化64】

【0310】
7−(4−ジメチルカルバモイル−フェノキシ)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−カルボン酸ベンジルエステル
2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート(0.44g)を、氷浴中で冷却した7−(4−カルボキシ−フェノキシ)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−カルボン酸ベンジルエステル、ジメチルアミン(テトラヒドロフラン中2mol/L、0.68mL)、及びN−メチル−モルホリン(0.41mL)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に加えた。冷却浴を取り外し、そして得られた混合物を室温で3時間撹拌した。次に、さらに別のジメチルアミン(テトラヒドロフラン中2mol/L、0.70mL)及び2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート(0.20g)を加え、そして混合物をさらに4時間撹拌した。さらに別のジメチルアミン(テトラヒドロフラン中2mol/L、0.30mL)を加えた後、混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を濃縮し、そして残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル)により精製して、標記化合物を得た。
収量:0.45g(理論値の84%)
【0311】
実施例XVI
【0312】
【化65】

【0313】
N,N−ジメチル−4−(1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−7−イルオキシ)−ベンズアミド
10%パラジウム担持炭素(1.50g)、7−(4−ジメチルカルバモイル−フェノキシ)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−カルボン酸ベンジルエステル(2mL)、及びエタノール(200mL)の混合物を、水素雰囲気(3bar)下、室温で2時間振とうした。次に、触媒を濾過により分離し、そして濾液を濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(メタノール/1%アンモニアを含有するメタノール 1:0→0:1)により精製して、標記化合物を得、それをジオキサン6M HClを有するジオキサンから沈殿させた。
収量(標記化合物のHCl塩):4.20g(理論値の62%)
【0314】
最終化合物の調製:
方法A(表3の実施例1についての記述)
【0315】
【化66】

【0316】
[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3,3’−ジカルボン酸 3’−メチルエステル
LiOHHO(197mg)を、[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3,3’−ジカルボン酸ジメチルエステル(302mg)の1,4−ジオキサン(6mL)及び水(1.25mL)混合物に室温で加えた。混合物を室温で2.5日間撹拌した。次に、HPO水溶液を加え、そして懸濁液を濾過した。沈殿物を、シリカゲルクロマトグラフィー(CHCl/iPrOH 20:1)により精製して、標記化合物を無色の固体として得た。
収量:60mg(理論値の20%)
質量スペクトル(APCI):371[M−H]
【0317】
あるいはまた、該化合物は、実施例IIに記載のように得ることができる。
【0318】
方法B(表3の実施例12についての記述)
【0319】
【化67】

【0320】
3’−(モルホリン−4−カルボニル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸
4M KOH水溶液(2mL)を、3’−(モルホリン−4−カルボニル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル[58mg、実施例VII(1)からの粗生成物]のメタノール(3mL)溶液に室温で加えた。混合物を50℃に加熱し、そしてこの温度で2時間撹拌した。周囲温度に冷ました後、水を加え、そして得られた混合物を酢酸エチルで洗浄した。次に、4M塩酸を水相に加えて、溶液から標記化合物を沈殿させた。沈殿物を濾過により分離し、そして乾燥させて、固体の標記化合物を得た。
収量:50mg(理論値の87%)
質量スペクトル(ESI):428[M+H]
【0321】
エステル加水分解の容易性に応じて、上記方法を記載のように適用、あるいは温度及び使用した塩基(LiOH、NaOH、KOH)の種類及び量に関して僅かに変更する。より安定なエステル類のけん化は、好ましくは40〜60℃で、及び/又は大過剰量のKOHを使用して実施する。沈殿後、生成物の純度が十分でない場合、又は化合物が溶液から沈殿しない場合、粗生成物はシリカゲルクロマトグラフィー(MPLC、シクロヘキサン/酢酸エチル又はジクロロメタン/MeOHで行う)又は逆相(HPLC、MeCN/HOで、場合によりFCCOH又はNHの存在下で行う)により精製する。
【0322】
方法C(表3の実施例3についての記述)
【0323】
【化68】

【0324】
3’−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸
3M MeMgClテトラヒドロフラン溶液(0.31mL)を、[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3,3’−ジカルボン酸 3’−メチルエステル(100mg)の氷冷テトラヒドロフラン(5mL)溶液に滴下した。溶液を0℃で1時間撹拌した後、さらなる3M MeMgClテトラヒドロフラン(0.1mL)溶液を加え、続いて、さらに別の3M MeMgClを、さらに30分(0.1mL)及び60分(0.05mL)後に加えた。混合物を、0℃でさらに30分間及び室温で10時間撹拌した。次に、5% HPO水溶液を加え(水層のpH値:3〜4)、そして得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物をMgSOパッドで濾過し、そして濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(3回実施:CHCl/MeOH 98:2→95:5; CHCl/MeOH 96:4; CHCl/MeOH 25:1→20:1)により精製して、標記化合物を白色(無色)の固体として得た。
収量:62mg(理論値の62%)
質量スペクトル(ESI):373[M+H](非常に低い強度シグナル)、355[M+H−HO](主要なシグナル)
【0325】
方法D(表3の実施例6についての記述)
【0326】
【化69】

【0327】
3’−シアノ−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸
EtOH(5mL)、続いて水(1.25mL)を、撹拌子、3’−シアノ−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル(97mg)、及びKOH(粉末、154mg)を入れたフラスコに室温で加えた。溶液を室温で14日間撹拌した。次に、0.15M HPO水溶液を加え(水層のpH値:4〜5)、そして得られた混合物をEtOAc及びCHClで抽出した。合わせた抽出物を乾燥(MgSO)させ、そして減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(CHCl/MeOH 20:1)により精製して、標記化合物を白色(無色)の固体として得た。
収量:85mg(理論値の91%)
質量スペクトル(ESI):340[M+H]
【0328】
温度を40〜60℃に上昇することにより反応速度を上げることができる。
【0329】
方法E(表3の実施例8についての記述)
【0330】
【化70】

【0331】
3’−アミノ−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸
3’−tert−ブトキシカルボニルアミノ−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸(155mg)を、4M HCl1,4−ジオキサン溶液(3mL)に室温で溶解した。溶液を室温で一晩撹拌した。次に、混合物を濃縮し、残渣をCHClで3回蒸発させ、そして乾燥させて、標記化合物を白色(無色)の固体(HCl塩)として得た。
収量:132mg(定量、HCl塩として単離)
質量スペクトル(APCI):330[M+H]
【0332】
方法F(表3の実施例15についての記述)
【0333】
【化71】

【0334】
3’−(ピリジン−2−イルオキシメチル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸
NaH(21mg、鉱油中55%)を、3’−ヒドロキシメチル−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸(75mg)のN−メチルピロリジノン(3mL)溶液に室温で加えた。混合物を室温で30分間撹拌し、その後、2−クロロピリジン(25μL)を加え、そして混合物を70℃に温めた。混合物を2時間撹拌した後、さらに別の2−クロロピリジン(30μL)を加え、そして混合物をさらに70℃で一晩撹拌した。室温に冷却した後、1M NaOH水溶液及び酢酸エチルを加えた。生じた沈殿物を濾過により分離し、そして乾燥させて、標記化合物をカルボン酸ナトリウム塩として得た。
収量:40mg(理論値の41%、カルボン酸官能基のナトリウム塩として単離)
質量スペクトル(ESI):422[M+H]
【0335】
方法G(表3の実施例16についての記述)
【0336】
【化72】

【0337】
3’−アセチルアミノ−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸
無水酢酸(0.19g)を、3’−アミノ−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸(120mg)及びピリジン(0.15g)のCHCl(2mL)溶液に室温で加えた。溶液を室温で2時間撹拌した。次に、1M NaOH水溶液を加え、そして混合物をさらに10分間撹拌した。生じた沈殿物を濾過により分離し、そして乾燥させて、標記化合物をカルボン酸ナトリウム塩として得た。
収量:20mg(理論値の14%、カルボン酸官能基のナトリウム塩として単離)
質量スペクトル(ESI):372[M+H]
【0338】
方法H(表3の実施例21についての記述)
【0339】
【化73】

【0340】
3’−(1H−テトラゾール−5−イル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸
密閉した反応容器中nBuNFO(39mg)、MeSiN(50μL)、及び3’−シアノ−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸(85mg)の混合物を、90℃で6時間撹拌した。次に、そして各回8時間、全体で40時間、さらにMeSiN(50μL、全体で5×)を、混合物を90℃で撹拌しながら加えた。周囲温度に冷ました後、混合物をEtOAcで希釈し、そして1M 塩酸で洗浄した。溶媒を除去し、そして残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl/MeOH 1:0→4:1)により精製して、標記化合物を得た。
収量:10mg(理論値の10%)
質量スペクトル(ESI):383[M+H]
【0341】
方法I(表3の実施例24についての記述)
【0342】
【化74】

【0343】
3’−(4−メトキシ−ベンゾイル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸
4−メトキシフェニルマグネシウムブロミド(テトラヒドロフラン中0.5mol/L、0.27mL)を、アルゴン雰囲気下で−70℃(ドライアイス/アセトン)に冷却した3’−クロロカルボニル−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル(51mg)のトルエン(5mL)溶液に加えた。得られた溶液を、冷却浴中で室温に温めながら一晩撹拌した。次に、0.1M塩酸を加え、そして得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた抽出物を水で洗浄し、そして濃縮した。残渣をメタノールとテトラヒドロフラン(4mL)の1:1 混合物に取り、そして4M KOH水溶液(3mL)で処理した。溶液を室温で一晩撹拌した後、溶液を4M塩酸で酸性化し、そして得られた溶液を酢酸エチルで抽出した。合わせた抽出物を乾燥(NaSO)させ、そして減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 4:1→1:1)により精製して、標記化合物を得た。
収量:15mg(理論値の25%)
質量スペクトル(ESI):449[M+H]
【0344】
方法J(表3の実施例26についての記述)
【0345】
【化75】

【0346】
3’−(5−フェニル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸
3’−ヒドラジノカルボニル−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸(60mg)、トリメトキシメチル−ベンゼン(31mg)、及びp−トルエンスルホン酸水和物(31mg)のトルエン(1mL)混合物を、100℃で6時間撹拌した。溶液を室温に冷ました後、水を加え、そして得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた抽出物を乾燥(NaSO)させ、そして溶媒を蒸発させた。残渣を、逆相HPLC(アセトニトリル/水)により精製して、標記化合物を得た。
収量:14mg(理論値の19%)
質量スペクトル(ESI):457[M−H]
【0347】
方法K(表3の実施例27についての記述)
【0348】
【化76】

【0349】
3’−ベンゾオキサゾール−2−イル−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸
4M KOH水溶液(2mL)を、3’−(2−ヒドロキシ−フェニルカルバモイル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸メチルエステル(80mg)のメタノール(3mL)溶液に加えた。得られた溶液を50℃で4時間撹拌した。室温に冷ました後、溶液を濃縮し、残渣を水で希釈し、そして1M塩酸を使用して酸性化した。得られた混合物を酢酸エチルで抽出し、そして合わせた抽出物を濃縮した。残渣を酢酸(4mL)に取り、そして得られた溶液を100℃で一晩撹拌した。次に、溶液を濃縮し、そして残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール 1:0→9:1)により精製して、標記化合物を得た。
収量:30mg(理論値の40%)
質量スペクトル(ESI):432[M+H]
【0350】
方法L(表3の実施例50についての記述)
【0351】
【化77】

【0352】
3’−キナゾリン−2−イル−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸
3’−(1,4−ジヒドロ−キナゾリン−2−イル)−[1,1’]ビ[トリシクロ[デシル]−3−カルボン酸(60mg)、MnO(52mg)、及びトルエン(3mL)の混合物を、110℃で8時間撹拌した。室温に冷ました後、混合物をセライトで濾過し、そして濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール 1:0→9:1)により精製して、標記化合物を得た。
収量:10mg(理論値の19%)
質量スペクトル(ESI):443[M+H]
【0353】
【表2】





















【0354】
用語「活性物質」が、その塩を含む本発明の1つ以上の化合物を表す、いくつかの製剤例を説明する。上記のように1つ又は更なる活性物質との組み合わせの1つの場合、用語「活性物質」はまた、更なる活性物質を含む。
【0355】
実施例A
活性物質100mgを含有する錠剤
組成:
1錠剤は、以下を含む:
活性物質 100.0mg
乳糖 80.0mg
トウモロコシデンプン 34.0mg
ポリビニルピロリドン 4.0mg
ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
220.0mg
【0356】
調製方法:
活性物質、乳糖及びデンプンを一緒に混合し、ポリビニルピロリドン水溶液で均一に湿潤する。湿潤組成物を篩(メッシュサイズ2.0mm)にかけた後、ラック型乾燥器で50℃にて乾燥させ、それを再び篩(メッシュサイズ1.5mm)にかけ、潤滑剤を加える。最終混合物を圧縮して、錠剤を形成する。
錠剤重量: 220mg
直径: 10mm、二平面、両面に面を切り出し、一面に刻み目をつける。
【0357】
実施例B
活性物質150mgを含有する錠剤
組成:
1錠剤は、以下を含む:
活性物質 150.0mg
粉末乳糖 89.0mg
トウモロコシデンプン 40.0mg
コロイダルシリカ 10.0mg
ポリビニルピロリドン 10.0mg
ステアリン酸マグネシウム 1.0mg
300.0mg
【0358】
調製:
乳糖、トウモロコシデンプン及びシリカと混合した活性物質を、20%ポリビニルピロリドン水溶液で湿潤し、メッシュサイズ1.5mmの篩を通す。45℃で乾燥させた顆粒を同じ篩に再び通し、指定量のステアリン酸マグネシウムと混合する。錠剤を混合物から圧縮加工する。
錠剤重量: 300mg
ダイ: 10mm、フラット
【0359】
実施例C
活性物質150mgを含有する硬ゼラチンカプセル剤
組成:
1カプセルは、以下を含む:
活性物質 150.0mg
トウモロコシデンプン(乾燥) 約180.0mg
乳糖(粉末) 約87.0mg
ステアリン酸マグネシウム 3.0mg
約420.0mg
【0360】
調製:
活性物質を賦形剤と混合し、メッシュサイズ0.75mmの篩を通し、適切な装置を使用して均一に混合する。最終混合物をサイズ1の硬ゼラチンカプセルに充填する。
カプセル充填物:約320mg
カプセルシェル:サイズ1の硬ゼラチンカプセル。
【0361】
実施例D
活性物質150mgを含有する坐剤
組成:
1坐剤は、以下を含む:
活性物質 150.0mg
ポリエチレングリコール1500 550.0mg
ポリエチレングリコール6000 460.0mg
ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート 840.0mg
2,000.0mg
【0362】
調製:
坐薬用固形物を溶融後、その中に活性物質を均一に分布させ、溶融物をチルド型内に注ぐ。
【0363】
実施例E
活性物質10mgを含有するアンプル
組成:
活性物質 10.0mg
0.01N 塩酸 適量
2回蒸留した水を加えて 2.0mL
【0364】
調製:
活性物質を必要量の0.01N HClに溶解し、一般的な塩で等張にし、無菌濾過し、2mLのアンプルに移す。
【0365】
実施例F
活性物質50mgを含有するアンプル
組成:
活性物質 50.0mg
0.01N 塩酸 適量
2回蒸留した水を加えて 10.0mL
【0366】
調製:
活性物質を必要量の0.01N HClに溶解し、一般的な食塩で等張にし、無菌濾過し、10mLのアンプルに移す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化78】


[式中、
Rは、水素、ハロゲン、C1−10−アルキル、C2−6−アルケニル、C2−6−アルキニル、C3−6−シクロアルキル、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、ニトロ、スルファニル、(het)アリール、アミノカルボニル、シアノアミノカルボニル、アゼチジン−1−イルカルボニル、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イルカルボニル、又はモルホリン−4−イルカルボニルを意味するが、ここで、
各アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アルケニル、及びアルキニル基は、場合によりフッ素、C1−4−アルキル、C3−6−シクロアルキル、ヒドロキシ、C1−4−アルコキシ、(het)アリールオキシ、C1−4−アルキルスルファニル、C1−4−アルキルスルフィニル、C1−4−アルキルスルホニル、アミノ、C1−4−アルキルアミノ、ジ−(C1−4−アルキル)アミノ、N−C1−3−アルコキシ−N−C1−3−アルキル−アミノ、アゼチジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、C1−4−アルキルカルボニルアミノ、N−(C1−4−アルキルカルボニル)−N−C1−3−アルキル−アミノ、(het)アリールカルボニルアミノ、N−[(het)アリールカルボニル]−N−C1−3−アルキル−アミノ、シアノ、カルボキシ、C1−4−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−4−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−4−アルキル)アミノカルボニル、(het)アリールアミノカルボニル、N−((het)アリール)−N−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、又は(het)アリールで相互に独立に一置換又は多置換されており、同時に各アルキル、シクロアルキル、及びシクロヘテロアルキル基は、場合によりフッ素で一置換若しくは多置換されているか、かつ/又はC1−3−アルキル、ヒドロキシ、C1−3−アルキルオキシ、シアノ、カルボキシ、C1−3−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、アミノ、アセチルアミノ、若しくは(het)アリールで相互に独立に一置換若しくは二置換されており、そしてここで、
各上記アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アルケニル、及びアルキニル基では、場合により1〜3個のCH基は、NR、O、S、SO、SO、及びCOによって相互に独立に置き換えられているが、これらの基の1つが偶然2回以上組み込まれるならば、これらは相互に直接結合せず、
は、水素、C1−6−アルキル、C3−6−アルケニル、C3−6−アルキニル、C3−6−シクロアルキル、(het)アリール、C1−4−アルキルカルボニル、アミノカルボニル、C1−4−アルキルオキシカルボニル、C1−4−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)アミノ−カルボニル、C1−4−アルキルスルホニル、(het)アリールカルボニル、(het)アリールアミノカルボニル、又は(het)アリールスルホニルを意味するが、ここで、
各アルキル、シクロアルキル、アルケニル、及びアルキニル基は、場合によりフッ素で一置換又は多置換されており、かつ場合によりヒドロキシ、C1−4−アルコキシ、C1−4−アルキルスルファニル、C1−4−アルキルスルフィニル、C1−4−アルキルスルホニル、アミノ、C1−4−アルキルアミノ、ジ−(C1−4−アルキル)アミノ、C1−4−アルキルカルボニルアミノ、シアノ、カルボキシ、C1−4−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−4−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−4−アルキル)アミノカルボニル、又は(het)アリールで一置換されており、
(het)アリールは、フェニル、ナフチル、ピロリル、フラニル、チエニル、テトラゾリル、ピリジル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、及びイソキノリニルよりなる群から選択されるか、又は
ピロリル、フラニル、チエニル、及びピリジル(これらの全てで、1個又は2個のCH基は、Nにより置き換えられている)よりなる群から選択されるか、又は
インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、及びイソキノリニル(これらの全てで、1〜3個のCH基は、Nにより置き換えられている)よりなる群から選択されるか、又は
1,2−ジヒドロ−2−オキソ−ピリジニル、1,4−ジヒドロ−4−オキソ−ピリジニル、2,3−ジヒドロ−3−オキソ−ピリダジニル、1,2,3,6−テトラヒドロ−3,6−ジオキソ−ピリダジニル、1,2−ジヒドロ−2−オキソ−ピリミジニル、3,4−ジヒドロ−4−オキソ−ピリミジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−2,4−ジオキソ−ピリミジニル、1,2−ジヒドロ−2−オキソ−ピラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−2,3−ジオキソ−ピラジニル、2,3−ジヒドロ−2−オキソ−インドリル、2,3−ジヒドロベンゾ−フラニル、2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1H−ベンゾイミダゾリル、2,3−ジヒドロ−2−オキソ−ベンゾオキサゾリル、1,2−ジヒドロ−2−オキソ−キノリニル、1,4−ジヒドロ−4−オキソ−キノリニル、1,2−ジヒドロ−1−オキソ−イソキノリニル、1,4−ジヒドロ−4−オキソ−シンノリニル、1,2−ジヒドロ−2−オキソ−キナゾリニル、1,4−ジヒドロ−4−オキソ−キナゾリニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−2,4−ジオキソ−キナゾリニル、1,2−ジヒドロ−2−オキソキノキサリニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−3−オキソ−キノキサリニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−2,3−ジオキソ−キノキサリニル、1,2−ジヒドロ−1−オキソ−フタラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−ジオキソ−フタラジニル、クロマニル、クマリニル、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル、及び3,4−ジヒドロ−3−オキソ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジニル、ジヒドロキナゾリニル、3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル−カルボニル、1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル−カルボニル、2,3−ジヒドロ−インドール−1−イル−カルボニル、及び1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−3−イル−カルボニルよりなる群から選択されるが、ここで、
上記(het)アリール環は、場合によりモノ又はポリフッ素化されており、かつ場合によりLから相互に独立に選択される1個、2個、3個、又は4個の置換基で置換されており、
は、ハロゲン、C1−3−アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、アミノ、C1−3−アルキルアミノ、ジ−(C1−3−アルキル)アミノ、C1−3−アルキルカルボニルアミノ、C1−3−アルキルスルホニルアミノ、カルボキシ、C1−4−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−3−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、アミノスルホニル、C1−3−アルキルスルファニル、C1−3−アルキルスルフィニル、C1−3−アルキルスルホニル、ヒドロキシ、C1−3−アルキルオキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、フェネチル、フェノキシ、又はフェニルを意味するが、ここで前記全てのフェニル基は、場合によりフッ素、メチル、メトキシ、シアノ、カルボキシ、ジメチルアミノカルボニル、又はヒドロキシから相互に独立に選択される1個又は2個の置換基で置換されている(ただし、
上記アルキル又はアルキレン部分のそれぞれは、分岐していても、又は非分岐であってもよい)]で示される化合物、互変異性体、その立体異性体、その混合物、又はその塩、又はそのプロドラッグ[ただし、
(P1)一般式(I)(式中、Rは、ヒドロキシカルボニル、(2−メチル−1−オキソ−2−プロペニル−1−イル)オキシ−、ブロモ、4−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル、3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル、4−(3−ベンジルオキシ−4−ニトロ−フェノキシ)−フェニル、又は4−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−フェノキシ)−フェニルである)の化合物は除外され、そして
(P2)一般式(X):
【化79】


(式中、Wは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、i−プロポキシカルボニル、n−ブチルオキシカルボニル、i−ブチルオキシカルボニル、(1−メチル−プロピル−1−オキシ)−カルボニル、t−ブチルオキシカルボニル、n−ペンチルオキシカルボニル、(3−メチル−ブチル−1−オキシ)−カルボニル、n−ヘキシルオキシカルボニル、n−ヘプチルオキシカルボニル、又はn−オクチルオキシカルボニルである)で示される化合物は除外される]。
【請求項2】
Rが、C1−6−アルキル[場合によりフッ素で一置換又は多置換されており、かつ場合によりヒドロキシ、C1−4−アルコキシ、(het)アリールオキシ、C1−4−アルキルスルフィニル、C5−6−シクロアルキル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、4−(het)アリール−ピペラジン−1−イル、4−C1−4−アルキルカルボニル−ピペラジン−1−イル、4−C1−4−アルキルスルホニル−ピペラジン−1−イル、モルホリン−4−イル、C1−4−アルキルカルボニルアミノ、(het)アリール−カルボニルアミノ、ピロリジン−2−オン−1−イル、ピペリジン−2−オン−1−イル、ピペラジン−2−オン−1−イル、ピペラジン−3−オン−1−イル、モルホリン−3−オン−4−イル、モルホリン−2−オン−4−イル、シアノ、カルボキシ、C1−4−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−4−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−4−アルキル)アミノカルボニル、(het)アリール−アミノカルボニル、N−(het)アリール−N−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル及び(het)アリールよりなる群から相互に独立に選択される1個、2個、3個又は4個の置換基で置換されており、同時に本明細書に前記の置換基中の各アルキル残基は、場合によりフッ素で一置換若しくは多置換されているか、かつ/又はヒドロキシ、C1−3−アルコキシ若しくはシアノで一置換されており;そして同時に本明細書に前記の各シクロアルキル又はシクロヘテロアルキル基は、場合によりC1−3−アルキル、フッ素、ヒドロキシ、C1−3−アルキルオキシ、シアノ、カルボキシ、C1−3−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、アミノ、アセチルアミノ、又は(het)アリールで相互に独立に一置換又は二置換されている(ここで、(het)アリールという用語は、請求項1で定義したとおりである)]を意味する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Rが、C5−6−シクロアルキル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロフラノニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピラノニル、ピロリジノニル、ピペリジノニル、ピペラジノニル、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジノニル又はモルホリノニルを意味し、同時に本明細書に前記の各シクロアルキル又はシクロヘテロアルキル基は、場合によりC1−3−アルキル、フッ素、ヒドロキシ、C1−3−アルキルオキシ、シアノ、カルボキシ、C1−3−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、アミノ、アセチルアミノ、又は(het)アリールで相互に独立に一置換又は二置換されている(ここで、(het)アリールという用語は、請求項1に定義したとおりである)、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Rが、ヒドロキシ、(het)アリールオキシ、C1−4−アルキルオキシ、(het)アリール−C1−3−アルキルオキシ、シアノ−C1−3−アルキルオキシ、カルボキシ−C1−3−アルキルオキシ、C1−4−アルキルオキシカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、アミノカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、C1−4−アルキルアミノカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、ジ−(C1−4−アルキル)アミノカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、(het)アリール−アミノカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、(het)アリール−C1−3−アルキル−アミノカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、N−(het)アリール−N−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、N−((het)アリール−C1−3−アルキル)−N−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、ピロリジン−1−イルカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、ピペリジン−1−イルカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、ピペラジン−1−イル−C1−3−アルキルオキシ、4−(C1−4−アルキル)−ピペラジン−1−イルカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、4−(het)アリール−ピペラジン−1−イルカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、又はモルホリン−4−イルカルボニル−C1−3−アルキルオキシを意味し、同時に各アルキル残基は、場合によりフッ素で一置換若しくは多置換されているか、かつ/又はヒドロキシ、C1−3−アルコキシ若しくはシアノで一置換されており;そして同時に本明細書に前記の各シクロヘテロアルキル基は、場合によりC1−3−アルキル、フッ素、ヒドロキシ、C1−3−アルキルオキシ、シアノ、カルボキシ、C1−3−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、アミノ、アセチルアミノ、又は(het)アリールで相互に独立に一置換又は二置換されている(ここで、(het)アリールという用語は、請求項1で定義したとおりである)、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Rが、アミノ、C1−4−アルキルカルボニルアミノ、(het)アリール−カルボニルアミノ、(het)アリール−C1−3−アルキル−カルボニルアミノ、C1−4−アルキルオキシカルボニルアミノ、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、ピペラジン−1−イル、4−(het)アリール−ピペラジン−1−イル、4−C1−4−アルキルカルボニル−ピペラジン−1−イル、4−(het)アリール−カルボニル−ピペラジン−1−イル、4−C1−4−アルキルスルホニル−ピペラジン−1−イル、又はモルホリン−4−イルを意味し;同時に各アルキル残基は、場合によりフッ素で一置換若しくは多置換されているか、かつ/又はヒドロキシ、C1−3−アルコキシ若しくはシアノで一置換されており;そして同時に本明細書に前記の各シクロヘテロアルキル基は、場合によりC1−3−アルキル、フッ素、ヒドロキシ、C1−3−アルキルオキシ、シアノ、カルボキシ、C1−3−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、アミノ、アセチルアミノ、又は(het)アリールで相互に独立に一置換又は二置換されている(ここで、(het)アリールという用語は、請求項1で定義したとおりである)、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Rが、シアノ、C1−4−アルキルオキシカルボニル、(het)アリール−カルボニル、アミノカルボニル、C1−4−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−4−アルキル)アミノカルボニル、N−(C5ー6−シクロアルキル)−N−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、N−(C5ー6−シクロヘテロアルキル)−N−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、(het)アリールアミノカルボニル、(het)アリール−C1−3−アルキル−アミノカルボニル、N−(het)アリール−N−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、N−((het)アリール−C1−3−アルキル)−N−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、N−((het)アリール−C1−3−アルキル)−N−(C5ー6−シクロアルキル)−アミノカルボニル、アゼチジン−1−イルカルボニル、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イルカルボニル、ピペラジン−1−イルカルボニル、モルホリン−4−イルカルボニル、メトキシ−アミノカルボニル、又はシアノアミノ−カルボニルを意味し;同時に各アルキル残基は、場合によりフッ素で一置換若しくは多置換されているか、かつ/又はヒドロキシ、C1−3−アルコキシ若しくはシアノで一置換されており;そして同時に本明細書に前記の各シクロアルキル及びシクロヘテロアルキル基は、場合によりC1−4−アルキル、フッ素、ヒドロキシ、C1−3−アルキルオキシ、シアノ、カルボキシ、C1−3−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、アミノ、アセチルアミノ、又は(het)アリールで相互に独立に一置換又は二置換されている(ここで、(het)アリールという用語は、請求項1で定義したとおりである)、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Rが、フェニル、フラニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、キナゾリニル、又はジヒドロキナゾリニルを意味し、同時に前記基のそれぞれは、場合によりフッ素、シアノ、C1−3−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、メトキシ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アセチルアミノ、メチルスルホニルアミノ、カルボキシ、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、フェネチル、又はフェニルで相互に独立に一置換又は二置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
無機若しくは有機酸又は塩基との請求項1に記載の化合物の生理学的に許容しうる塩。
【請求項9】
請求項1に記載の1つ以上の化合物若しくは請求項1に記載のただし書き(P1)及び(P2)に含まれる化合物又は請求項2に記載の1つ以上の生理学的に許容しうるその塩を、場合により1つ以上の不活性担体及び/又は希釈剤と共に含有する、医薬組成物。
【請求項10】
代謝障害のような、酵素の11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1を阻害することにより影響を受けうる疾患又は症状の治療又は予防のための、請求項1に記載の化合物若しくは請求項1に記載のただし書き(P1)及び(P2)に含まれる化合物又は請求項2に記載の生理学的に許容しうるその塩。
【請求項11】
代謝障害のような、酵素の11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1を阻害することにより影響を受けうる疾患又は症状の治療又は予防に適した医薬組成物を調製するための、請求項1に記載の少なくとも1つの化合物の、若しくは請求項1に記載のただし書き(P1)及び(P2)に含まれる化合物の、又は請求項2に記載の生理学的に許容しうるその塩の使用。
【請求項12】
請求項1に記載の一般式(I)の化合物の製造方法であって、
一般式(II):
【化80】


[式中、
R基は、請求項1で定義したとおりであり、そして
R’は、C1−6−アルキル、C3−6−シクロアルキル−C1−3−アルキル、C3−6−シクロアルキル、C2−6−アルケニル、C3−6−アルキニル、アリール−C1−3−アルキル、アリールであるが、ただし、
上記基の定義中に言及されるアルキル、シクロアルキル、アルケニル、及びアルキニル基は、単独で又は別の基の一部として、場合によりフッ素、塩素、C1−3−アルキル、又はC1−3−アルコキシで一置換又は多置換されており、そして
上記定義中に言及されるアリール基は、それぞれ場合によりフッ素、塩素、臭素、C1−3−アルキル、C1−3−アルキルオキシ、ニトロ、シアノ、又はジ−(C1−3−アルキル)アミノで相互に独立に一置換又は多置換されている、フェニル又はナフチルである]で示されるカルボン酸エステルを加水分解し;そして
必要ならば、本明細書に前述の反応に使用された任意の保護基を同時に又は続けて開裂し;
必要に応じて、こうして得られた一般式(I)の化合物をその立体異性体に分割し;
必要に応じて、こうして得られた一般式(I)の化合物をそのプロドラッグに変換し;
必要に応じて、こうして得られた一般式(I)の化合物をその塩に、特に医薬としての使用のために生理学的に許容しうるその塩に変換することを特徴とする方法。

【公表番号】特表2011−529031(P2011−529031A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−519184(P2011−519184)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/059573
【国際公開番号】WO2010/010174
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】