説明

1,2−ジクロロエタンの製造方法

a)炭化水素源が第1分解工程、すなわち少なくとも1つの分解炉で実施される熱分解工程にかけられ、こうして分解生成物の混合物を生成する工程と、b)分解生成物の前記混合物が、エチレンおよび他の成分を含有する生成物の混合物を得ることを可能にする一連の処理工程にかけられる工程と、c)エチレンを含有する生成物の前記混合物が、生成物の前記混合物を塔C1の内部で幾らかのエチレンを含有するエチレンより軽質な化合物に富む画分(画分A)と画分F1とに分離することからなる第1分離工程S1にかけられる工程と、d)画分F1が、画分F1を塔C2の内部で画分F2と重質画分(画分C)とに分離することからなる第2分離工程S2にかけられる工程と、e)画分F2が、画分F2を塔C3の内部でエチレンに富む画分(画分B)と、主にエタンからなる画分F3とに分離することからなる第3分離工程S3にかけられる工程と、f)画分Aが塩素化反応器に搬送され、そして画分Bがオキシ塩素化反応器に搬送され、それらの反応器で画分AおよびB中に存在するエチレンのほとんどが1,2−ジクロロエタンに転化される工程と、g)得られた1,2−ジクロロエタンが塩素化およびオキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れから分離される工程とによる炭化水素源から出発するDCEの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1,2−ジクロロエタン(DCE)の製造方法、塩化ビニル(VC)の製造方法およびポリ塩化ビニル(PVC)の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今まで、99.8%純度より高いエチレンが普通はDCEの製造のために使用されている。この非常に高い純度のエチレンは、様々な石油製品の分解、引き続く分解の他の生成物からエチレンを単離し、そして非常に高い純度の製品を得るための多数の複雑な、費用のかかる分離操作によって得られる。
かかる高純度のエチレンの生産に関連した高いコストを鑑みて、99.8%未満の純度を有するエチレンを使用するDCEの様々な製造方法が開発されてきた。これらの方法は、分解から生じた生成物を分離する過程を簡略化することによって、こうしてDCEの製造にとって何の利益もない複雑な分離を放棄することによってコストを削減するという利点を有する。
例えば、国際公開第00/26164号パンフレットは、エチレンの塩素化と一体となったエタンの簡略化分解によるDCEの製造方法を記載している。この趣旨で、エチレン塩素化工程は、エタンの分解中に得られた不純物の存在下に行われる。
国際公開第03/48088号パンフレットそれ自体は、エタン、エチレンおよび水素をはじめとする不純物を含む画分であって、次に塩素化および/またはオキシ塩素加にかけられる画分の形成をもたらすエタンの脱水素によるDCEの製造方法を記載している。
【0003】
しかしながら、上述した方法は、オキシ塩素化反応中のそれらの存在が操作上の問題、すなわち重質生成物による触媒の被毒および存在する水素の非経済的な転化を引き起こす不純物をエチレンが含有することを考えると、得られたエチレンがエチレン塩素化/オキシ塩素化プロセスのために使用できないという欠点を有する。この水素転化は酸素を消費し、高い反応熱を放出するであろう。これは次に、一般に熱交換能力と結びついたオキシ塩素化反応器の能力を制限するであろう。従って、混合物中の水素の存在によって引き起こされる、非常に高い投資が、熱交換領域、ひいては反応器容量を保証するために費やされなければならない。別個の反応器での水素の燃焼という講じられる選択肢は、それが大量の、水素に対して化学量論量の酸素、およびまた燃焼熱を除去するための交換用の大きな表面積を必要とするのでこの難点を解決せず、その結果として、それはかなりのエチレン消費を有し、それは安全性に関連した問題を生じるかもしれない。最終的に、生成した水の除去は生産コストの増加につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明それ自体の一目的は、DCEの製造にとって何の利益もない、分解の他の生成物からエチレンを単離するための複雑な分離を放棄することによってコストを削減するという利点を有し、かつ、上述の問題を回避するという利点を有する、99.8%未満の純度を有するエチレンを使用する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この趣旨で、本発明は、
a)炭化水素源が第1分解工程、すなわち少なくとも1つの分解炉で実施される熱分解工程にかけられ、こうして分解生成物の混合物を生成する工程と、
b)分解生成物の前記混合物が、エチレンおよび他の成分を含有する生成物の混合物を得ることを可能にする一連の処理工程にかけられる工程と、
c)エチレンを含有する生成物の前記混合物が、生成物の前記混合物を塔C1の内部で幾らかのエチレンを含有するエチレンより軽質な化合物に富む画分(画分A)と画分F1とに分離することからなる第1分離工程S1にかけられる工程と、
d)画分F1が、画分F1を塔C2の内部で画分F2と重質画分(画分C)とに分離することからなる第2分離工程S2にかけられる工程と、
e)画分F2が、画分F2を塔C3の内部でエチレンに富む画分(画分B)と、主にエタンからなる画分F3とに分離することからなる第3分離工程S3にかけられる工程と、
f)画分Aが塩素化反応器に搬送され、そして画分Bがオキシ塩素化反応器に搬送され、それらの反応器で画分AおよびB中に存在するエチレンのほとんどが1,2−ジクロロエタンに転化される工程と、
g)得られた1,2−ジクロロエタンが塩素化およびオキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れから分離される工程と
による炭化水素源から出発するDCEの製造方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明によるDCEの製造方法の実施形態を概略的に表す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
考えられる炭化水素源は、任意の公知の炭化水素源であってもよい。好ましくは、第1分解工程(工程a))にかけられる炭化水素源は、ナフサ、ガスオイル、天然ガス液、エタン、プロパン、ブタン、イソブタンおよびそれらの混合物からなる群から選択される。特に好ましい方法では、炭化水素源は、エタン、プロパン、ブタンおよびプロパン/ブタン混合物からなる群から選択される。より特に好ましい方法では、炭化水素源は、プロパン、ブタンおよびプロパン/ブタン混合物からなる群から選択される。プロパン/ブタン混合物はそのまま存在してもよく、またはプロパンとブタンとの混合物からなってもよい。
【0008】
表現「エタン、プロパン、ブタンおよびプロパン/ブタン混合物」は、本発明の目的のためには、市販されている製品、すなわち主に純製品(エタン、プロパン、ブタンまたは混合物としてのプロパン/ブタン)から、および第2に純製品それ自体より軽質もしくは重質な他の飽和もしくは不飽和炭化水素からなる製品を意味すると理解される。
表現「第1分解工程」、すなわち少なくとも1つの分解炉で実施される熱分解工程(工程a))は、分解生成物の混合物の形成を引き起こすように熱の作用下の、水、酸素、硫黄誘導体および/または触媒などの第3化合物の存在下または不存在下の炭化水素源の転化を意味すると理解される。
分解生成物のこの混合物は有利には、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、酸素、硫化水素、少なくとも1個の炭素原子を含む有機化合物、および水を含む。
【0009】
工程a)は少なくとも1つの分解炉で実施される。工程a)は好ましくは少なくとも2つの分解炉で、特に好ましくは少なくとも3つの分解炉で実施される。工程a)は好ましくは5つ以下の分解炉で、特に好ましくは4つ以下の分解炉で実施される。より特に有利には、使用中の炉の1つがデコーキング操作を受けなければならないときに当該炉と交換するために追加の分解炉が利用可能である。
より特に好ましい方法では、工程a)は3つの分解炉で実施される。最も特に好ましい方法では、工程a)は3つの異なる分解炉で実施され、それらのそれぞれに由来する分解生成物の混合物は、工程b)の前に一緒に集められる。より特に有利には、使用中の3つの炉の1つがデコーキング操作を受けなければならないときに当該炉と交換するために第4分解炉が利用可能である。
【0010】
それ故、工程a)を3つの異なる分解炉で実施し、それらのそれぞれに由来する分解生成物の混合物が工程b)の前に一緒に集められ、そして使用中の3つの炉の1つと交換するために第4分解炉を利用可能にすることが特に有利である。
この第1分解工程a)の後に、分解生成物の前記混合物は、エチレンおよび他の成分を含有する生成物の混合物を得ることを可能にする一連の処理工程にかけられる。
【0011】
工程b)は有利には次の工程からなる:分解されたガスの熱の熱回収、場合により有機急冷(場合により中間液での交換器のネットワークにわたった熱回収を含む)、水性急冷、ガスの圧縮および乾燥、そしてまた存在するかまたは加えられた二酸化炭素のほとんどおよび硫黄化合物のほとんどの除去(例えば、アルカリ性洗浄を用いる)、場合により、例えば、アセチレンなどの望ましくない誘導体の水素化および場合により、例えば、PSA(圧力スイング吸着)法によるかまたは膜法による、幾らかの水素および/またはメタンの除去。
【0012】
有利には、本発明による方法で、工程b)に由来するエチレンおよび他の成分を含有する生成物の混合物は、水素、メタン、2〜7個の炭素原子を含む化合物、一酸化炭素、窒素および酸素を含む。水素、メタン、アセチレン以外の2〜7個の炭素原子を含む化合物は好ましく、生成物の前記混合物の総容量に対して少なくとも200容量ppmの量で存在する。一酸化炭素、窒素、酸素およびアセチレンは、生成物の前記混合物の総容量に対して200容量ppm未満の量で、または少なくとも200容量ppmの量で存在してもよい。7個より多い炭素原子を含有する化合物、二酸化炭素、硫化水素および他の硫黄化合物ならびにまた水を含有する化合物はまた、生成物の前記混合物の総容量に対して200容量ppm未満の量で生成物の上述の混合物中に存在してもよい。
ガスの圧縮および乾燥は有利には、少なくとも6個の炭素原子を含む化合物の通過が最小限であるような特定の条件下に行われる。使用されてもよい冷却流体は有利には、大気冷却塔からの水の温度より低い温度で用いられる。冷却流体は好ましくは少なくとも−5℃の、より好ましくは少なくとも0℃の温度で用いられる。冷却流体は最も好ましくは氷水である。
【0013】
上に定義された工程b)の後に、エチレンおよび他の成分を含有する生成物の混合物は、生成物の前記混合物を主塔C1内部で幾らかのエチレンを含有するエチレンより軽質な化合物に富む画分(画分A)と画分F1とに分離することからなる、第1分離工程S1である工程c)にかけられる。
塔C1へのその導入前に、工程b)に由来する生成物の混合物は、熱調節工程にかけられてもよい。用語「熱調節工程」は、エネルギーの利用、例えば、先ず未処理水で、次に氷水で、次に徐々に冷たい液体で冷却される交換器一式プラス生成される流れの顕熱を回収するクロス交換器での生成物の混合物の漸次冷却を最適化する一連の熱交換を意味すると理解される。
【0014】
生成物の前記混合物は、単一画分としてかまたは幾つかのサブ画分として工程S1の間、塔C1へ導入されてもよい。それは好ましくは幾つかのサブ画分として導入される。
塔C1は有利には、回収部分および/または精留部分を含む塔である。両部分が存在する場合、精留部分は好ましくは回収部分の上にある。
塔C1は有利には、2つの前述の部分を含む蒸留塔および2つの部分の1つを含むにすぎない塔から選択される。好ましくは、塔C1は蒸留塔である。
蒸留塔は、プレート蒸留塔、ランダム充填材の蒸留塔、構造化充填材の蒸留塔および上述のインターナルの2つ以上を組み合わせた蒸留塔から選択されてもよい。
従って、工程S1は好ましくは蒸留工程である。
塔C1は有利には、例えば、少なくとも1つのリボイラーおよび少なくとも1つの凝縮器などの関連付属品を備えている。
幾らかのエチレンを含有するエチレンより軽質な化合物に富む画分Aは有利には塔C1の頂部から出るが、有利には少なくとも揮発性の化合物に富む画分F1は有利には塔C1の底部から出る。
【0015】
上述の工程S1は有利には、少なくとも5、好ましくは少なくとも10、特に好ましくは少なくとも12バール絶対の圧力で実施される。工程S1は有利には、40バール絶対以下、好ましくは38バール絶対以下、特に好ましくは36バール絶対以下の圧力で実施される。
工程S1が実施される温度は、塔C1の底部で有利には少なくとも0、好ましくは少なくとも5、特に好ましくは少なくとも10℃である。それは、塔C1の底部で有利には80℃以下、好ましくは60℃以下、特に好ましくは40℃以下である。
工程S1が実施される温度は、塔C1の頂部で有利には少なくとも−70、好ましくは少なくとも−60、特に好ましくは少なくとも−55℃である。それは、塔C1の頂部で有利には0℃以下、好ましくは−15℃以下、特に好ましくは−25℃以下である。
【0016】
画分Aはエチレンより軽質な化合物に富む。これらの化合物は一般にメタン、窒素、酸素、水素および一酸化炭素である。有利には、画分Aは、工程c)にかけられた生成物の混合物中に含有されるエチレンより軽質な化合物の少なくとも70wt%、好ましくは少なくとも80wt%、特に好ましくは少なくとも85wt%を含有する。有利には、画分Aは、工程c)にかけられた生成物の混合物中に含有されるエチレンより軽質な化合物の99.99wt%以下、好ましくは99.95wt%以下、特に好ましくは99.9wt%以下を含有する。
有利には、画分Aは、画分Aの総容量に対して少なくとも10vol%、好ましくは少なくとも20vol%、特に好ましくは少なくとも25vol%のメタンを含有する。有利には、画分Aは、画分Aの総容量に対して80vol%以下、好ましくは75vol%以下、特に好ましくは70vol%以下のメタンを含有する。
有利には、画分Aは、工程c)にかけられた生成物の混合物中に含有されるメタンの少なくとも90%、好ましくは少なくとも93%、特に好ましくは少なくとも95%を含有する。
【0017】
有利には、画分Aは、画分Aの総容量に対して少なくとも2vol%、好ましくは少なくとも4vol%、特に好ましくは少なくとも3vol%の水素を含有する。有利には、画分Aは、画分Aの総容量に対して60vol%以下、好ましくは50vol%以下、特に好ましくは45vol%以下の水素を含有する。
有利には、画分Aは、工程c)にかけられた生成物の混合物中に含有される水素の少なくとも95vol%、好ましくは少なくとも97vol%、特に好ましくは少なくとも99vol%を含有する。
【0018】
有利には、画分Aは、工程c)にかけられた生成物の混合物中に含有されるアセチレンの少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、特に好ましくは少なくとも15%を含有する。有利には、画分Aは、工程c)にかけられた生成物の混合物中に含有されるアセチレンの95%以下、好ましくは90%以下、特に好ましくは85%以下を含有する。
アセチレン水素化が工程b)中に行われるとき、画分Aは、画分Aの総容量に対して有利には0.01vol%以下、好ましくは0.005vol%以下、特に好ましくは0.001vol%以下のアセチレン含有率で特徴付けられる。
有利には、画分Aは、工程c)にかけられた生成物の混合物中に含有されるエタンの20%以下、好ましくは12%以下、特に好ましくは8%以下を含有する。
【0019】
画分Aは、画分Aの総容量に対して有利には0.01vol%以下、好ましくは0.005vol%以下、特に好ましくは0.001vol%以下の少なくとも3個の炭素原子を含有する化合物の含有率で特徴付けられる。
画分Aは、画分Aの総容量に対して有利には0.005vol%以下、好ましくは0.002vol%以下、特に好ましくは0.001vol%以下の硫黄化合物の含有率で特徴付けられる。
【0020】
有利には、画分F1は、工程c)にかけられた生成物の混合物中に含有されるエチレンより軽質な化合物の30%以下、好ましくは20%以下、特に好ましくは15%以下を含有する。
画分F1は有利には、画分F1の総容量に対して10vol%以下、好ましくは5vol%以下、特に好ましくは2vol%以下のメタン含有率で特徴付けられる。
画分F1は有利には、画分F1の総容量に対して5vol%以下、好ましくは2vol%以下、特に好ましくは1vol%以下の水素含有率で特徴付けられる。
画分F1はさらに、画分F1の総容量に対して有利には2vol%以下、好ましくは1.5vol%以下、特に好ましくは1vol%以下のアセチレン含有率で特徴付けられる。
【0021】
有利には、画分F1は、画分F1の総容量に対して少なくとも85vol%、好ましくは少なくとも90vol%、特に好ましくは少なくとも95vol%の少なくとも2個の炭素原子を含有する化合物を含有する。
有利には、画分F1は、画分F1の総容量に対して70vol%以下、好ましくは60vol%以下、特に好ましくは50vol%以下の3個以上の炭素原子を有する化合物を含有する。
【0022】
上に定義された工程c)の後に、画分F1は、画分F1を塔C2の内部で画分F2と重質画分(画分C)とに分離することからなる第2分離工程S2にかけられる。
塔C2へのその導入前に、工程c)に由来する生成物の混合物は、例えば、アセチレン水素化などの、熱および/または化学的調節工程にかけられてもよい。用語「熱調節工程」は、エネルギーの利用、例えば、先ず未処理水で、次に氷水で、次に徐々に冷たい液体で冷却される交換器一式プラス生成される流れの顕熱を回収するクロス交換器での生成物の混合物の漸次冷却を最適化する一連の熱交換を意味すると理解される。
【0023】
生成物の前記混合物は、単一画分としてかまたは幾つかのサブ画分として工程S2の間、塔C2へ導入されてもよい。それは好ましくは幾つかのサブ画分として導入される。
塔C2は有利には、回収部分および/または精留部分を含む塔である。両部分が存在する場合、精留部分は好ましくは回収部分の上にある。
塔C2は有利には、2つの前述の部分を含む蒸留塔および2つの部分の1つを含むにすぎない塔から選択される。好ましくは、塔C2は蒸留塔である。
蒸留塔は、プレート蒸留塔、ランダム充填材の蒸留塔、構造化充填材の蒸留塔および上述のインターナルの2つ以上を組み合わせた蒸留塔から選択されてもよい。
【0024】
従って、工程S2は好ましくは蒸留工程である。
塔C2は有利には、例えば、少なくとも1つのリボイラーおよび少なくとも1つの凝縮器などの関連付属品を備えている。
ほとんど揮発性の化合物に有利には富む、画分F2は有利には塔C2の頂部から出るが、少なくとも揮発性の化合物に有利には富む重質画分Cは有利には塔C2の底部から出る。
【0025】
上述の工程S2は有利には、少なくとも5、好ましくは少なくとも8、特に好ましくは少なくとも10バール絶対の圧力で実施される。工程S2は有利には、40バール絶対以下、好ましくは37バール絶対以下、特に好ましくは35バール絶対以下の圧力で実施される。
工程S2が実施される温度は、塔C2の底部で有利には少なくとも0、好ましくは少なくとも10、特に好ましくは少なくとも15℃である。それは、塔C2の底部で有利には90℃以下、好ましくは86℃以下、特に好ましくは83℃以下である。
工程S2が実施される温度は、塔C2の頂部で有利には少なくとも−65、好ましくは少なくとも−55、特に好ましくは少なくとも−50℃である。それは、塔C2の底部で有利には5℃以下、好ましくは0℃以下、特に好ましくは−2℃以下である。
【0026】
画分Cは有利には少量のエタンおよび少なくとも3個の炭素原子を含む化合物を含有する。有利には、画分Cを構成する化合物は、工程b)に由来するエチレンおよび他の成分を含有する生成物の混合物から生じる。画分Cはまた有利には、工程c)およびd)中に二次反応によって生成された少なくとも3個の炭素原子を含有する化合物を含有する。少なくとも3個の炭素原子を含む化合物の中で、プロパン、プロペン、ブタンおよびそれらの不飽和誘導体ならびにまた飽和または不飽和のより重質な化合物の全てが挙げられてもよい。
【0027】
表現「少量のエタン」は、画分Cが工程d)にかけられた生成物の混合物中に含有されるエタンの5%以下、好ましくは3%以下、特に好ましくは2%以下を含有することを意味すると理解される。
画分Cは有利には、画分Cの総質量に対して少なくとも90wt%、好ましくは少なくとも93wt%、特に好ましくは少なくとも95wt%の少なくとも3個の炭素原子を含む化合物を含有する。
画分Cは有利には、画分Cの総質量に対して1wt%以下、好ましくは0.8wt%以下、特に好ましくは0.5wt%以下のエチレンを含有する。
【0028】
工程d)中に得られた後、画分Cは有利には、少なくとも1つの水素化工程にかけられる。好ましくは、それは、1つもしくは2つの一連の水素化工程にかけられる。例えば蒸留により、画分の1つについては5個未満の炭素原子を含む化合物、および他の1つについては少なくとも5個の炭素原子を含む化合物をそれぞれ含有する2つの異なる画分へ分離する1つの工程が水素化工程の前に、その間にまたはその後に実施されてもよい。かかる分離が水素化工程の前に実施されるとき、水素化は有利には5個未満の炭素原子を含む化合物に関して行われる。
【0029】
第1の場合によれば、画分Cは有利には、2つの水素化工程、好ましくは引き続き、例えば蒸留により、画分の1つについては5個未満の炭素原子を含む化合物、および他の1つについては少なくとも5個の炭素原子を含む化合物をそれぞれ含有する2つの異なる画分へ分離する工程にかけられる。この分離工程に、特に好ましくは、5個未満の炭素原子を含む化合物の分解工程へのリサイクリングが続く。少なくとも5個の炭素原子を含む化合物はそれら自体、特に好ましい方法では、燃焼されてエネルギーを提供するか、または任意の形態に品質向上される。
【0030】
第2の場合によれば、画分Cを、例えば蒸留により、画分の1つについては5個未満の炭素原子を含む化合物、および他の1つについては少なくとも5個の炭素原子を含む化合物をそれぞれ含有する2つの異なる画分へ分離することからなる分離工程が有利に実施される。5個未満の炭素原子を含む化合物を含有する、得られた画分は次に好ましくは、分解工程にリサイクルする前に2つの水素化工程にかけられる。少なくとも5個の炭素原子を含む化合物に関しては、それらは、特に好ましい方法では、燃焼されてエネルギーを提供するか、または任意の形態に品質向上される。
【0031】
第3の場合によれば、画分Cは有利には、1つの水素化工程、好ましくは引き続き、例えば蒸留により、画分の1つについては5個未満の炭素原子を含む化合物、および他の1つについては少なくとも5個の炭素原子を含む化合物をそれぞれ含有する2つの異なる画分へ分離する工程にかけられる。この分離工程に、特に好ましくは、5個未満の炭素原子を含む化合物の分解工程へのリサイクリングが続く。少なくとも5個の炭素原子を含む化合物はそれら自体、特に好ましい方法では、燃焼されてエネルギーを提供するか、または任意の形態に品質向上される。
【0032】
第4の場合によれば、画分Cを、例えば蒸留により、画分の1つについては5個未満の炭素原子を含む化合物、および他の1つについては少なくとも5個の炭素原子を含む化合物をそれぞれ含有する2つの異なる画分へ分離することからなる分離工程が有利に実施される。5個未満の炭素原子を含む化合物を含有する、得られた画分は次に好ましくは、分解工程にリサイクルする前に1つの水素化工程にかけられる。少なくとも5個の炭素原子を含む化合物に関しては、それらは、特に好ましい方法では、燃焼されてエネルギーを提供するか、または任意の形態に品質向上される。
【0033】
上述の水素化工程は、例えば、アルミナ、シリカ、シリカ/アルミナ、炭素、炭酸カルシウムまたは硫酸バリウムなどの担体上に付着されたパラジウム、白金、ロジウム、ルテニウムまたはイリジウムをベースとする触媒などの任意の公知の水素化触媒、またニッケルをベースとする触媒およびコバルト−モリブデン錯体をベースとするものを用いて行われてもよい。好ましくは、水素化工程は、アルミナまたは炭素上に付着されたパラジウムまたは白金をベースとする触媒、ニッケルをベースとする触媒またはコバルト−モリブデン錯体をベースとする触媒を用いて行われる。特に好ましい方法では、それはニッケルをベースとする触媒を用いて行われる。
【0034】
水素化工程が行われる温度は、有利には少なくとも5℃、好ましくは少なくとも20℃、特に好ましい方法では少なくとも50℃である。それは有利には150℃以下、好ましくは100℃以下である。圧力については、それは有利には1バール以上、好ましくは3バール以上である。それは有利には40バール以下、好ましくは35バール以下、特に好ましい方法では30バール以下、最も特に好ましい方法では25バール以下、最も有利には20バール以下である。
好ましくは、水素化工程は、それが完全である、すなわち好ましくは少なくとも99%であるような量の水素を使用して行われる。消費されなかった過剰の水素は、水素化画分から分離されてもよいし、または該当する場合にはそれと共に第1熱分解工程に場合により搬送されてもよい。
【0035】
水素化工程は有利には気相でまたは液相で行われる。好ましくは、それは液相で行われる。
少なくとも1つの外部交換器を用いてかまたは液体の部分蒸発によって反応のカロリーを吸収することが有利であり得る。反応のカロリーは好ましくは、少なくとも1つの外部交換器を用いて吸収される。外部交換器は有利には、反応器へ統合されてもまたは外部ループ上に提供されてもよい。反応器へ統合されるとき、外部交換器は、熱交換と反応(多管型固定床)とを組み合わせる1つの領域へまたは一連の熱交換および反応領域で統合されてもよい。外部交換器は好ましくは外部ループ上に提供される。外部ループは有利には、ガスまたは液体、好ましくは液体であってもよい。
【0036】
水素化は有利には、スラリー型反応器、1つ以上の床の、好ましくは1つの床の固定床型反応器、またはそれらの組み合わせで行われてもよい。好ましくは、水素化は、固定床反応器で、より好ましくは単一の床の固定床反応器で行われる。固定床反応器は、連続気相でまたは連続液相で、好ましくは連続気相で、より好ましくは頂部から底部まで液体が流れる連続気相(トリクルベッド)で特徴付けられるかもしれない。水素化反応は最も好ましくは、外部ループ上に提供される外部交換器を備えた1床のトリクルベッドで行われる。
【0037】
画分F2は有利には、画分F2の総容量に対して0.01vol%以下、好ましくは0.005vol%以下、特に好ましくは0.001vol%以下の少なくとも3個の炭素原子を含む化合物を含有する。
画分F2はさらに、画分F2の総容量に対して有利には2vol%以下、好ましくは1.5vol%以下、特に好ましくは1vol%以下のアセチレン含有率で特徴付けられる。
画分F2は有利には、画分F2の総容量に対して0.005vol%以下、好ましくは0.002vol%以下、特に好ましくは0.001vol%以下の硫黄化合物の含有率で特徴付けられる。
画分F2は、画分F2の総容量に対して有利には50vol%以上、好ましくは60vol%以上、特に好ましくは65vol%以上のエチレン含有率で特徴付けられる。
【0038】
上に定義された工程d)の後に、画分F2は、画分F2を塔C3でエチレンに富む画分(画分B)と、主にエタンからなる画分F3とに分離することからなる第3分離工程S3にかけられる。
塔C3へのその導入の前に、工程d)に由来する生成物の混合物は、例えば、アセチレン水素化などの、熱および/または化学的調節工程にかけられてもよい。用語「熱調節工程」は、エネルギーの利用、例えば、先ず未処理水で、次に氷水で、次に徐々に冷たい液体で冷却される交換器一式プラス生成される流れの顕熱を回収するクロス交換器での生成物の混合物の漸次冷却を最適化する一連の熱交換を意味すると理解される。
【0039】
生成物の前記混合物は、単一画分としてかまたは幾つかのサブ画分として工程S3の間、塔C3へ導入されてもよい。それは好ましくは幾つかのサブ画分として導入される。
塔C3は有利には、回収部分および/または精留部分を含む塔である。両部分が存在する場合、精留部分は好ましくは回収部分の上にある。
塔C3は有利には、2つの前述の部分を含む蒸留塔および2つの部分の1つを含むにすぎない塔から選択される。好ましくは、塔C3は蒸留塔である。
蒸留塔は、プレート蒸留塔、ランダム充填材の蒸留塔、構造化充填材の蒸留塔および上述のインターナルの2つ以上を組み合わせた蒸留塔から選択されてもよい。
【0040】
従って、工程S3は好ましくは蒸留工程である。
エチレンに富む画分Bは有利には塔の頂部から出るが、主にエタンからなる画分F3は有利には塔の底部から出る。
上述の工程S3は有利には、少なくとも5、好ましくは少なくとも6、特に好ましくは少なくとも7バール絶対の圧力で実施される。工程S3は有利には、30バール絶対以下、好ましくは25バール絶対以下、特に好ましくは22バール絶対以下の圧力で実施される。
【0041】
工程S3が実施される温度は、塔C3の底部で有利には少なくとも−50、好ましくは少なくとも−45、特に好ましくは少なくとも−40℃である。それは、塔C3の底部で有利には10℃以下、好ましくは0℃以下、特に好ましくは−5℃以下である。
工程S3が実施される温度は、塔C3の頂部で有利には少なくとも−70、好ましくは少なくとも−65、特に好ましくは少なくとも−60℃である。それは、塔C3の底部で有利には−15℃以下、好ましくは−20℃以下、特に好ましくは−25℃以下である。
【0042】
画分Bは有利には、画分Bの総容量に対して2vol%以下、好ましくは0.5vol%以下、特に好ましくは0.1vol%以下の水素含有率で特徴付けられる。
画分Bは、画分Bの総容量に対して有利には0.01vol%以下、好ましくは0.005vol%以下、特に好ましくは0.001vol%以下の、少なくとも3個の炭素原子を含有する化合物の含有率で特徴付けられる。
画分Bは、画分Bの総容量に対して0.005vol%以下、好ましくは0.002vol%以下、特に好ましくは0.001vol%以下の硫黄化合物の含有率で特徴付けられる。
【0043】
画分Bはさらに、画分Bの総容量に対して有利には2vol%以下、好ましくは1.5vol%以下、特に好ましくは1vol%以下のアセチレン含有率で特徴付けられる。
画分F3は主にエタンからなる。用語「主になる」は、それが画分F3の総容量に対して少なくとも90vol%のエタンを含むことを意味すると理解される。それは、画分F3の総容量に対して好ましくは少なくとも95vol%、特に好ましくは少なくとも97vol%、より特に好ましくは少なくとも98vol%のエタンを含む。
画分F3はさらに、画分F3の総容量に対して5vol%以下、好ましくは3vol%以下、特に好ましくは1.5vol%以下のエチレン含有率で特徴付けられる。
【0044】
画分F3は任意の目的のために使用されてもよい。好ましくは、それは工程a)に搬送される。画分F3は、出発原料としてかまたは燃料として工程a)に搬送されてもよい。特に好ましい方法では、それは出発原料として工程a)に搬送される。
好ましくは、本発明による方法の分離工程S1、S2およびS3は、特に好ましい方法では、蒸留塔で実施される、蒸留工程である。
本発明による方法の分離工程S1、S2およびS3は有利には熱統合される。熱統合は好ましくは、程度の差があるが冷たい、好ましくは、低温での1つと中程度の温度での他との2つの冷凍サイクルである温度レベルで直接にか、1つ以上冷凍サイクルによるか、またはそれらの組み合わせにより、より好ましくはそれらの組み合わせにより行われる。
【0045】
冷凍サイクルは有利には、2個の炭素原子を含有する化合物、3個の炭素原子を含有する化合物をベースとする。2個の炭素原子を含有する化合物のうち、エチレン、エタンまたはそれらの混合物が挙げられてもよい。エチレンが好ましい。3個の炭素原子を含有する化合物のうち、プロピレン、プロパンおよびそれらの混合物が挙げられてもよい。プロピレンが好ましい。
低温サイクルおよび中温サイクルは好ましくは相互連結され、それは、低温サイクルの熱源が中温サイクルの冷熱源であるが、中温サイクルの熱源が大気冷却塔からの水であることを意味する。低温サイクルは好ましくは、2個の炭素原子の化合物を使用し、より好ましくは少なくとも95モル%のエチレンを含有する。中温サイクルは好ましくは3個の炭素原子の化合物を使用し、より好ましくは少なくとも95モル%のプロパンまたは少なくとも95モル%のプロピレンを含有する。より好ましくは、中温サイクルは、少なくとも95モル%のプロピレンを含有する。
【0046】
上に定義された工程の後に、画分Aは塩素化反応器に、そして画分Bはオキシ塩素化反応器に搬送され、そこで画分AおよびB中に存在するエチレンのほとんどは1,2−ジクロロエタンへ転化される。
本発明による方法によれば、画分Aは塩素化反応器に、そして画分Bは、好ましくはエネルギーの回収付き膨張後に、オキシ塩素化反応器に搬送される。
本発明の方法によれば、画分Bおよび画分Aを特徴付けるために下に明示される量は、オキシ塩素化および塩素化反応器へそれらのそれぞれを入れる前のものである。
【0047】
画分Bは有利には、画分Bの総容量に対して40vol%〜99.65vol%のエチレンを含有する。画分Bは有利には、画分Bの総容量に対して少なくとも40vol%、好ましくは少なくとも50vol%、特に好ましくは少なくとも60vol%のエチレンを含有する。画分Bは有利には、画分Bの総容量に対して99.8vol%以下、好ましくは99.7vol%以下、特に好ましくは99.65vol%以下のエチレンを含有する。
画分Aは有利には、それが画分Bのエチレンの容量含有率の10〜95%を表すような容量含有率のエチレンを含有する。画分Aは有利には、それが画分Bのエチレンの容量含有率の98%以下、好ましくは96%以下、特に好ましくは95%以下のような容量含有率のエチレンを含有する。画分Aは有利には、それが画分Bのエチレンの容量含有率の少なくとも5%、好ましくは少なくとも8%、特に好ましくは少なくとも10%であるような容量含有率のエチレンを含有する。
【0048】
本発明による方法の第1変形によれば、DCEの製造方法が有利にバランスすること(すなわち、エチレンの塩素化およびオキシ塩素化ならびに形成された1,2−ジクロロエタン(DCE)の熱分解による製造方法が本方法に必要な量のHClを生成することを可能にすること)を考えると、画分AおよびBのそれぞれでのエチレン・スループットの質量分率は有利には、生成されたエチレンの総量(画分A+画分B)の45〜55%である。好ましくは、画分Aでのエチレン・スループットの質量分率は生成される総量の約55%であり、画分Bでのエチレン・スループットの質量分率は約45%である。特に好ましい方法では、画分Aでのエチレン・スループットの質量分率は生成される総量の約52.5%であり、画分Bでのエチレン・スループットの質分率は約47.5%である。
【0049】
本発明による方法の第2変形によれば、DCEの製造方法が有利にバランスしないこと(すなわち、例えば、HClの外部源がオキシ塩素化のためのHClの供給の一部を提供することを可能にすること、または生成されたDCEのある部分が熱分解にかけられないこと)を考えると、画分AおよびBのそれぞれでのエチレン・スループットの質量分率は有利には、生成されたエチレンの総量(画分A+画分B)の20〜80%である。好ましくは、画分Aでのエチレン・スループットの質量分率は生成されたエチレンの総量(画分A+画分B)の25〜75%である。
【0050】
本発明による方法の第2変形の第1実施形態によれば、DCEの製造方法が外部のHCl源によって有利にバランスしないことを考えると、画分Aでのエチレン・スループットのモル分率は有利には、工程b)にかけられた生成物の混合物中に含有されるエチレンの総モル量と外部源からのHClのモル量との差の45〜55%、好ましくは50〜54%、特に好ましくは約52.5%である。
本発明による方法の第2変形の第2実施形態によれば、DCEの製造方法がDCEの共製造によって有利にバランスしない(従ってDCEの一部が熱分解にかけられない)ことを考えると、画分Bでのエチレン・スループットのモル分率は有利には、工程b)にかけられた生成物の混合物中に含有されるエチレンの総モル量と共製造されたDCEのモル量との差の45〜55%、好ましくは46〜50%、特に好ましくは約47.5%である。
【0051】
塩素化反応は有利には、FeCl3または別のルイス(Lewis)酸などの溶解触媒を含有する液相(好ましくは主にDCE)で実施される。この触媒をアルカリ金属塩化物などの共触媒と有利に組み合わせることが可能である。良好な結果を与えたペアは、FeCl3とLiClとの錯体(リチウムテトラクロロフェラート−オランダ国特許出願第6901398号明細書に記載されている)である。
有利に使用されるFeCl3の量は、液体ストックの1kg当たり約1〜30gのFeCl3である。FeCl3対LiClのモル比は有利には約0.5〜2である。
加えて、塩素化プロセスは好ましくは塩素化有機液体媒体中で行われる。より好ましくは、液体ストックとも呼ばれる、この塩素化有機液体媒体は主にDCEからなる。
【0052】
本発明による塩素化プロセスは有利には30〜150℃の温度で実施される。良好な結果は、圧力にかかわらず沸点より下の温度(サブクール条件下の塩素化)および沸点そのもの(沸点での塩素化)の両方で得られた。
本発明による塩素化プロセスがサブクール条件下の塩素化プロセスであるとき、それは、有利には50℃以上、好ましくは60℃以上、しかし有利には80℃以下、好ましくは70℃以下の温度で、そして有利には1バール絶対以上、好ましくは1.1バール絶対以上、しかし有利には20バール絶対以下、好ましくは10バール絶対以下、特に好ましくは6バール絶対以下の気相での圧力で操作することによって良好な結果を与えた。
【0053】
反応の熱を有効に回収する、沸点での塩素化プロセスが好ましいことがある。この場合、反応は有利には、60℃以上、好ましくは70℃以上、特に好ましくは85℃以上、しかし有利には150℃以下、好ましくは135℃以下の温度で、そして有利には0.2バール絶対以上、好ましくは0.5バール絶対以上、特に好ましくは1.1バール絶対以上、より好ましくは1.3バール絶対以上、しかし有利には10バール絶対以下、好ましくは6バール絶対以下の気相での圧力で行われる。
塩素化プロセスはまた、沸点での塩素化のためのハイブリッド・ループ冷却プロセスであってもよい。表現「沸点での塩素化のためのハイブリッド・ループ冷却プロセス」は、形成されたDCEの少なくともその量を気相に生成しながら、反応媒体の冷却が、例えば反応媒体中に浸漬された交換器を用いてか、または交換器中を循環するループによって実施されるプロセスを意味すると理解される。有利には、反応温度および圧力は、生成されたDCEが気相で出て、そして反応媒体からの熱の残りが交換表面領域を用いて除去されるように調節される。
【0054】
エチレンおよびまた塩素(それ自体純粋かまたは希釈された)を含有する画分Aが、一緒にまたは別々に、任意の公知デバイスによって反応媒体へ導入されてもよい。画分Aの別々の導入は、その分圧を上げるために、およびこのプロセスの律速段階を多くの場合に構成するその溶解を容易にするために有利であるかもしれない。
塩素は、エチレンのほとんどを転化させるのに十分な量で、そして過剰の未転化塩素の添加を必要とすることなく加えられる。用いられる塩素/エチレン比は好ましくは1.2〜0.8、特に好ましくは1.05〜0.95モル/モルである。
【0055】
得られた塩素化生成物はDCE、そしてまた1,1,2−トリクロロエタンなどの少量の副生物または少量のエタンもしくはメタン塩素化生成物を主に含有する。塩素化反応器に由来する生成物の流れからの得られたDCEの分離は公知の形態に従って実施され、塩素化反応の熱を利用することを一般に可能にする。
未転化生成物(メタン、一酸化炭素、窒素、酸素および水素)は次に有利には、初期の混合物から出発して純エチレンを分離するために必要であるはずのものより容易な分離にかけられる。
【0056】
オキシ塩素化反応は有利には、不活性担体上に沈着された銅をはじめとする、活性元素を含む触媒の存在下に実施される。不活性担体は有利には、アルミナ、シリカゲル、混合酸化物、粘土および天然起源の他の担体から選択される。アルミナが好ましい不活性担体である。
【0057】
数が有利には少なくとも2つであり、その1つが銅である活性元素を含む触媒が好ましい。銅以外の活性元素のうち、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属ならびにルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金および金からなる群からの金属が挙げられてもよい。以下の活性元素を含有する触媒が特に有利である:銅/マグネシウム/カリウム、銅/マグネシウム/ナトリウム;銅/マグネシウム/リチウム、銅/マグネシウム/セシウム、銅/マグネシウム/ナトリウム/リチウム、銅/マグネシウム/カリウム/リチウムおよび銅/マグネシウム/セシウム/リチウム、銅/マグネシウム/ナトリウム/カリウム、銅/マグネシウム/ナトリウム/セシウムおよび銅/マグネシウム/カリウム/セシウム。参照により援用される、欧州特許出願公開第255 156A号明細書、欧州特許出願公開第494 474A号明細書、欧州特許出願公開第657 212A号明細書および欧州特許出願公開第657 213A号明細書に記載されている触媒が最も特に好ましい。
【0058】
金属形態で計算される、銅含有率は有利には、触媒1kg当たり30〜90g、好ましくは触媒1kg当たり40〜80g、特に好ましくは触媒1kg当たり50〜70gの触媒である。
金属形態で計算される、マグネシウム含有率は有利には、触媒1kg当たり10〜30g、好ましくは触媒1kg当たり12〜25g、特に好ましくは触媒1kg当たり15〜20gである。
金属形態で計算される、アルカリ金属含有率は有利には、触媒1kg当たり0.1〜30g、好ましくは触媒1kg当たり0.5〜20g、特に好ましくは触媒1kg当たり1〜15gの触媒である。
Cu:Mg:アルカリ金属原子比は、有利には1:0.1〜2:0.05〜2、好ましくは1:0.2〜1.5:0.1〜1.5、特に好ましくは1:0.5〜1:0.15〜1である。
窒素でBET法に従って測定される、有利には25m2/g〜300m2/g、好ましくは50〜200m2/g、特に好ましくは75〜175m2/gである比表面積を有する触媒が特に有利である。
【0059】
触媒は固定床でまたは流動床で使用されてもよい。この第2選択肢が好ましい。オキシ塩素化プロセスは、この反応向けに通常推奨される範囲の条件下に操作される。温度は有利には150〜300℃、好ましくは200〜275℃、最も好ましくは215〜255℃である。圧力は有利には大気圧より大きい。2〜10バール絶対の値が良好な結果を与えた。4〜7バール絶対の範囲が好ましい。この圧力は、反応器で最適滞留時間を達成するために、および様々な操作スピードについて一定速度の通過を保つために有効に調節されてもよい。通常の滞留時間は1〜60秒、好ましくは10〜40秒の範囲である。
このオキシ塩素化のための酸素源は、空気、純酸素またはそれらの混合物、好ましくは純酸素であってもよい。未転化反応体の容易なリサイクリングを可能にする後者の解決策が好ましい。
【0060】
反応体は、任意の公知デバイスによって床へ導入されてもよい。安全上の理由から酸素を他の反応体とは別々に導入することが一般に有利である。また、これらの安全上の理由により、反応器を出るまたはそれにリサイクルされるガス混合物を、該当する圧力および温度で引火性の限度外に保つ必要がある。いわゆる濃混合気、言い換えれば、燃料と比較して点火するのには少なすぎる酸素を含有する混合物を維持することが好ましい。この関連で、水素の豊富な存在(2vol%より多い、好ましくは5vol%より多い)は、この化合物の広範囲の引火性を考えると不利となるであろう。
用いられる塩化水素/酸素比は有利には3〜6モル/モルである。エチレン/塩化水素比は有利には0.4〜0.6モル/モルである。
得られた塩素化生成物は、主にDCEそしてまた少量の1,1,2−トリクロロエタンなどの副生物を含有する。オキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れから得られるDCEの分離は、公知の形態に従って実施される。オキシ塩素化反応の熱は一般に、分離のためにまたは任意の他の目的のために蒸気形態で回収される。
メタンおよびエタンなどの未転化生成物は次に、初期の混合物から出発して純エチレンを分離するために必要であるはずのものより容易な分離にかけられる。
【0061】
エチレンの塩素化によってまたはオキシ塩素化によって得られたDCEは次にVCに転化されてもよい。
従って、本発明はまたVCの製造方法に関する。この趣旨で、本発明は
a)炭化水素源が第1分解工程、すなわち少なくとも1つの分解炉で実施される熱分解工程にかけられ、こうして分解生成物の混合物を生成する工程と、
b)分解生成物の前記混合物が、エチレンおよび他の成分を含有する生成物の混合物を得ることを可能にする一連の処理工程にかけられる工程と、
c)エチレンを含有する生成物の前記混合物が、生成物の前記混合物を塔C1の内部で幾らかのエチレンを含有するエチレンより軽質な化合物に富む画分(画分A)と画分F1とに分離することからなる第1分離工程S1にかけられる工程と、
d)画分F1が、画分F1を塔C2の内部で画分F2と重質画分(画分C)とに分離することからなる第2分離工程S2にかけられる工程と、
e)画分F2が、画分F2を塔C3の内部でエチレンに富む画分(画分B)と、主にエタンからなる画分F3とに分離することからなる第3分離工程S3にかけられる工程と、
f)画分Aが塩素化反応器に搬送され、そして画分Bがオキシ塩素化反応器に搬送され、それらの反応器で画分AおよびB中に存在するエチレンのほとんどが1,2−ジクロロエタンに転化される工程と、
g)得られた1,2−ジクロロエタンが塩素化およびオキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れから分離される工程と、
h)得られた1,2−ジクロロエタンが熱分解にかけられ、こうしてVCを生成する工程と
によるVCの製造方法に関する。
【0062】
本発明によるDCEの製造方法について明示される特定の条件および好ましさは、本発明によるVCの製造方法に適用される。
熱分解が実施されてもよい条件は当業者に公知である。この熱分解は有利には、管状炉中気相での反応によって達成される。通常の熱分解温度は400〜600℃に広がり、480℃〜540℃の範囲が好ましい。滞留時間は有利には1〜60秒であり、5〜25秒の範囲が好ましい。DCEの転化率は有利には、副生物の形成および炉パイプの汚れを制限するために45〜75%に制限される。以下の工程は、任意の公知デバイスを使用して、精製VCとオキシ塩素化へと好ましくは品質向上されるべき塩化水素とを集めることを可能にする。精製後に、未転化DCEは有利には熱分解炉に搬送される。
【0063】
加えて、本発明はまたPVCの製造方法に関する。この趣旨で、本発明は、
a)炭化水素源が第1分解工程、すなわち少なくとも1つの分解炉で実施される熱分解工程にかけられ、こうして分解生成物の混合物を生成する工程と、
b)分解生成物の前記混合物が、エチレンおよび他の成分を含有する生成物の混合物を得ることを可能にする一連の処理工程にかけられる工程と、
c)エチレンを含有する生成物の前記混合物が、生成物の前記混合物を塔C1の内部で幾らかのエチレンを含有するエチレンより軽質な化合物に富む画分(画分A)と画分F1とに分離することからなる第1分離工程S1にかけられる工程と、
d)画分F1が、画分F1を塔C2の内部で画分F2へおよび重質画分(画分C)へ分離することからなる第2分離工程S2にかけられる工程と、
e)画分F2が、画分F2を塔C3の内部でエチレンに富む画分(画分B)と、主にエタンからなる画分F3とに分離することからなる第3分離工程S3にかけられる工程と、
f)画分Aが塩素化反応器に搬送され、そして画分Bがオキシ塩素化反応器に搬送され、それらの反応器で画分AおよびB中に存在するエチレンのほとんどが1,2−ジクロロエタンに転化される工程と、
g)得られた1,2−ジクロロエタンが塩素化およびオキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れから分離される工程と、
h)得られた1,2−ジクロロエタンが熱分解にかけられ、こうしてVCを生成する工程と、
i)VCが重合させられてPVCを生成する工程と
によるPVCの製造方法に関する。
【0064】
本発明によるDCEの製造方法およびVCの製造方法について明示される特定の条件および好ましさは、本発明によるPVCの製造方法に適用される。
PVCの製造方法は、バルク、溶液または水性分散重合法であってもよく、好ましくはそれは水性分散重合法である。
【0065】
表現「水性分散重合」は、水性懸濁液でのラジカル重合ならびにまた水性エマルジョンでのラジカル重合および水性マイクロサスペンジョンでの重合を意味すると理解される。
表現「水性懸濁液でのラジカル重合」は、分散剤および油溶性ラジカル開始剤の存在下に水性媒体中で行われる任意のラジカル重合法を意味すると理解される。
表現「水性エマルジョンでのラジカル重合」は、乳化剤および水溶性ラジカル開始剤の存在下に水性媒体中で行われる任意のラジカル重合法を意味すると理解される。
均質化水性分散系での重合とも呼ばれる、表現「水性マイクロサスペンジョンでの重合」は、油溶性開始剤が使用され、モノマー小滴のエマルジョンが強力な機械撹拌および乳化剤の存在によって調製される任意のラジカル重合法を意味すると理解される。
【0066】
本発明によるDCEの製造方法は、それぞれ塩素化反応におよびオキシ塩素化反応に十分に好適である2つの異なるエチレン画分を使用するという利点を有する。特に、本発明による方法は、水素でわずかに汚染されているエチレン画分をオキシ塩素化反応のために使用し、そしてこれはコストがそれほど高くないという利点を有する。
本発明による方法の別の利点は、それが炭化水素源から、この製造されたモノマーから出発して得られるポリマーに及ぶ完全に統合されたプロセスを、同じ工業用地で所有することを可能にすることである。
本発明による方法の他の利点は、本方法が、後述するような画分を分離するための条件の変更によって、例えば、イソシアネートの製造装置など別の製造から生じる、塩化水素の外部源を開発することが有利である状況に対処することが可能であることである。逆に言えば、塩素化に対してオキシ塩素化の割合を低下させる塩化水素の市場の状況が有利になることが可能である。
【0067】
本発明による方法は、少なくとも3個の炭素原子を含む化合物であって、一般にDCEの熱分解中にある種の阻害の原因である化合物を分離することを可能にするのでさらに有利である。この阻害は、1,2−ジクロロプロパンおよびモノクロロプロペンなどの誘導体の形成のためである。これらの誘導体は、DCEから完全に分離することが困難である。安定なアリル基を形成するそれらの能力が、ラジカルルートで実施されるDCEの熱分解に対するそれらの強力な阻害効果を説明する。3個の炭素原子を含有するこれらの副生物またはより重質な副生物の形成はさらに、オキシ塩素化でおよび塩素化で反応体の不必要な消費を構成するか、またはそれらを破壊するためのコストを発生させるであろう。加えて、これらの重質化合物は、塔およびエバポレーターの汚染にも寄与する。
【0068】
3つではなく2つの分離工程を提供する類似の炭化水素源から出発するDCEの製造方法に関して、追加分離工程を含む本発明による方法は、第1分離工程でのエチレンより軽質な化合物のより良好な分離で、およびより良好な熱統合で特徴付けられる。それは、品質向上されるかもしれないエタンのより良好な分離を可能にし、各分離工程中により低い還流比を可能にするという利点を有する。本発明による方法が、エチレンより重質な化合物を、主にエタンからなる画分F3へ分離することを可能にする事実はまた、それが水素化にかけられるときに画分Cの沸点を上げるという利点を有する。
【0069】
ここで、本発明によるDCEの製造方法は、本明細書に添付の図面に関連して例示される。この図面は、本発明によるDCEの製造方法の実施形態を概略的に表す、添付図1からなる。
プロパン、ブタンおよびプロパン/ブタン混合物からなる群から選択された炭化水素源の分解から生じるエチレンおよび他の成分を含有する生成物の混合物1は、底部リボイラーおよびオーバーヘッド凝縮器を備えた蒸留塔である、塔2へ導入され、そこでそれは、2つの異なる画分、すなわち塔2の頂部での画分3および塔2の底部での画分4へ分離される。
エチレンより軽質な化合物、具体的にはメタン、水素、窒素、酸素および一酸化炭素に富む画分3は、エチレン塩素化装置に搬送される。
【0070】
画分4は次に、底部リボイラーおよびオーバーヘッド凝縮器を備えた蒸留塔5に搬送される。
塔5に入った後、画分4は、塔5の頂部から出る画分6と、塔5の底部から出る画分7とに分離される。
画分6は次に、底部リボイラーおよびオーバーヘッド凝縮器を備えた蒸留塔8に搬送される。
塔8に入った後、画分6は、塔8の頂部から出る画分9と、主にエタンからなる画分10とに分離される。
非常に低い水素含有率で特徴付けられる画分9は、エチレンオキシ塩素化装置に搬送される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)炭化水素源が第1分解工程、すなわち少なくとも1つの分解炉で実施される熱分解工程にかけられ、こうして分解生成物の混合物を生成する工程と、
b)分解生成物の前記混合物が、エチレンおよび他の成分を含有する生成物の混合物を得ることを可能にする一連の処理工程にかけられる工程と、
c)エチレンを含有する生成物の前記混合物が、生成物の前記混合物を塔C1の内部で幾らかのエチレンを含有するエチレンより軽質な化合物に富む画分(画分A)と画分F1とに分離することからなる第1分離工程S1にかけられる工程と、
d)画分F1が、画分F1を塔C2の内部で画分F2と重質画分(画分C)とに分離することからなる第2分離工程S2にかけられる工程と、
e)画分F2が、画分F2を塔C3の内部でエチレンに富む画分(画分B)と、主にエタンからなる画分F3とに分離することからなる第3分離工程S3にかけられる工程と、
f)画分Aが塩素化反応器に搬送され、そして画分Bがオキシ塩素化反応器に搬送され、それらの反応器で画分AおよびB中に存在するエチレンのほとんどが1,2−ジクロロエタンに転化される工程と、
g)得られた1,2−ジクロロエタンが塩素化およびオキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れから分離される工程と
による炭化水素源から出発する1,2−ジクロロエタンの製造方法。
【請求項2】
炭化水素源がナフサ、ガスオイル、天然ガス液、エタン、プロパン、ブタン、イソブタンおよびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
炭化水素源がエタン、プロパン、ブタン、およびプロパン/ブタン混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
工程a)が3つの異なる分解炉で実施され、それらのそれぞれに由来する分解生成物の混合物が工程b)の前に一緒に集められ、そして第4分解炉が使用中の3つの炉の1つと交換するために利用できることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程b)に由来するエチレンおよび他の成分を含有する生成物の混合物が水素、メタン、2〜7個の炭素原子を含む化合物、一酸化炭素、窒素および酸素を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
分離工程S1、S2およびS3が蒸留工程であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
画分Bが画分Bの総容量に対して40vol%〜99.65vol%のエチレンを含有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
画分Aが、それが画分Bのエチレンの容量含有率の10%〜95%を表すような容量含有率のエチレンを含有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
a)炭化水素源が第1分解工程、すなわち少なくとも1つの分解炉で実施される熱分解工程にかけられ、こうして分解生成物の混合物を生成する工程と、
b)分解生成物の前記混合物が、エチレンおよび他の成分を含有する生成物の混合物を得ることを可能にする一連の処理工程にかけられる工程と、
c)エチレンを含有する生成物の前記混合物が、生成物の前記混合物を塔C1の内部で幾らかのエチレンを含有するエチレンより軽質な化合物に富む画分(画分A)と画分F1とに分離することからなる第1分離工程S1にかけられる工程と、
d)画分F1が、画分F1を塔C2の内部で画分F2と重質画分(画分C)とに分離することからなる第2分離工程S2にかけられる工程と、
e)画分F2が、画分F2を塔C3の内部でエチレンに富む画分(画分B)と、主にエタンからなる画分F3とに分離することからなる第3分離工程S3にかけられる工程と、
f)画分Aが塩素化反応器に搬送され、そして画分Bがオキシ塩素化反応器に搬送され、それらの反応器で画分AおよびB中に存在するエチレンのほとんどが1,2−ジクロロエタンに転化される工程と、
g)得られた1,2−ジクロロエタンが塩素化およびオキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れから分離される工程と、
h)得られた1,2−ジクロロエタンが熱分解にかけられ、こうしてVCを生成する工程と
による塩化ビニルの製造方法。
【請求項10】
a)炭化水素源が第1分解工程、すなわち少なくとも1つの分解炉で実施される熱分解工程にかけられ、こうして分解生成物の混合物を生成する工程と、
b)分解生成物の前記混合物が、エチレンおよび他の成分を含有する生成物の混合物を得ることを可能にする一連の処理工程にかけられる工程と、
c)エチレンを含有する生成物の前記混合物が、生成物の前記混合物を塔C1の内部で幾らかのエチレンを含有するエチレンより軽質な化合物に富む画分(画分A)と画分F1とに分離することからなる第1分離工程S1にかけられる工程と、
d)画分F1が、画分F1を塔C2の内部で画分F2と重質画分(画分C)とに分離することからなる第2分離工程S2にかけられる工程と、
e)画分F2が、画分F2を塔C3の内部でエチレンに富む画分(画分B)と、主にエタンからなる画分F3とに分離することからなる第3分離工程S3にかけられる工程と、
f)画分Aが塩素化反応器に搬送され、そして画分Bがオキシ塩素化反応器に搬送され、それらの反応器で画分AおよびB中に存在するエチレンのほとんどが1,2−ジクロロエタンに転化される工程と、
g)得られた1,2−ジクロロエタンが塩素化およびオキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れから分離される工程と、
h)得られた1,2−ジクロロエタンが熱分解にかけられ、こうしてVCを生成する工程と、
i)VCが重合させられてPVCを生成する工程と
によるポリ塩化ビニルの製造方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−541266(P2009−541266A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515883(P2009−515883)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際出願番号】PCT/EP2007/056187
【国際公開番号】WO2007/147870
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(591001248)ソルヴェイ(ソシエテ アノニム) (252)
【Fターム(参考)】