説明

1,2−ベンゾイソチアゾール誘導体、農園芸用植物病害防除剤及び農園芸用害虫防除剤

農園芸用の植物病害に対し高い防除効果を有し、更に、広範囲の有害生物に対しても優れた効果を示し、又、抵抗性を帯びた有害生物をも防除でき、しかも、作物に薬害を生ずることなく、残効性に優れるという顕著な効果を示す1,2−ベンゾイソチアゾール誘導体又はその塩を活性成分として含有する農園芸用植物病害防除剤又は農園芸用害虫防除剤を提供する。
本発明の1,2−ベンゾイソチアゾール誘導体は、下記の一般式[I]で表されるものである。式中の記号はそれぞれ本文に定義される。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1,2−ベンゾイソチアゾール誘導体又はその塩、或いはこれらを有効成分とする農園芸用植物病害防除剤又は農園芸用害虫防除剤に関するものであり、更に詳細には、特定のベンゾイソチアゾール誘導体又はその塩、或いはこれらの使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまで1,2−ベンゾイソチアゾール誘導体に属する化合物としては、特許文献1〜4に記載された化合物が知られている。特許文献1、3及び4は医薬に関して、特許文献2は写真感光原料に関して記載されているが、いずれも農園芸用植物病害防除活性や農園芸用害虫防除活性に関する記載は無い。
【特許文献1】ドイツ国特許公開DE−3604050号公報
【特許文献2】特開平6−175264号公報
【特許文献3】欧州特許公開EP−105732号公報
【特許文献4】欧州特許公開EP−81955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
農作物或いは園芸作物の栽培において、植物病原菌によって引き起こされる病害発生は作物の生産効率に重大な影響を与えるため、植物病害防除には、これまで主として植物病原菌に直接作用する様々な化学合成農薬が使用されてきた。しかしながら、これらの化学合成農薬を多用してきた結果、耐性菌の出現による薬剤効力低下等の問題が発生してきている。又、化学物質の安全性、環境に対する影響への要求が高まってきており、より安全な農園芸用植物病害防除剤の開発が望まれている。
【0004】
又、農園芸用分野における既存の害虫防除剤には、残留、蓄積、環境汚染等の問題から使用が規制されたり、長期使用によって抵抗性害虫が発生し、効力の薄れたものも出てきている。特に、最近は、化学物質の安全性、環境に対する影響への要求も高まってきているため、低薬量において高い効力を有し、安全性に優れた植物病害防除剤、害虫防除剤の開発が望まれている。
【0005】
本発明はこのような問題点に対処するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の目的を達成するために、これまで植物病害防除活性及び害虫防除活性の知られていない1,2−ベンゾイソチアゾール誘導体を多数合成し、その植物病害防除活性及び害虫防除活性と有用性について鋭意検討した。その結果、下記一般式[I]で表される1,2−ベンゾイソチアゾール誘導体又はその塩(以下、本願化合物という)が、上記特徴を有する化合物であることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、
【0008】
(1)一般式[I]
【0009】
【化1】

【0010】
{式中、
は、C−Cシクロアルキル基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルケニル基、C−CシクロアルキルC−Cアルキル基、C−CアルコキシC−Cアルキル基、C−CアルキルチオC−Cアルキル基、C−Cハロアルキルチオ基、−C(=Y)−R基、−C(=Y)−Y−R基、−W−C(=O)−R基、−W−Y−W−Q基、−W−Y−C(=Y)−Q基、シアノC−Cアルキル基、ニトロC−Cアルキル基又は−W−NR基を示し、
Xは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cアルコキシカルボニル基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基を示し、
Y及びYはそれぞれ独立に酸素原子又は硫黄原子を示し、
WはC−Cアルキル基を示し、
は、C−Cアルキル基、C−Cハロアルキル基又はフェニル基(該フェニル基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基で置換されてもよい)を示し、
は、C−C12アルキル基、C−Cアルケニル基、C−Cアルキニル基、C−Cシクロアルキル基、C−Cハロアルキル基、C−CアルコキシC−Cアルキル基、ベンジル基(該ベンジル基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基で置換されてもよい)又はフェニル基(該基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基で置換されてもよい)、−W−Q基を示し、
は、C−Cアルキル基、C−Cハロアルキル基、−O−W−Q基又は−NR基を示し、
及びRはそれぞれ独立に水素原子、C−Cアルキル基、C−Cアルケニル基、フェニル基(該フェニル基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基で置換されてもよい)又は−W−Q基を示し、
及びRはそれぞれ独立に水素原子又はC−Cアルキル基を示し、
Qは同一若しくは相異なってよい酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択される1個以上のヘテロ原子を有する炭素数3ないし10の複素環基(該複素環基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、C1−C6ハロアルキル基又はC1−C6ハロアルコキシ基で置換されてもよい。)を示し、
はフェニル基(該基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基で置換されてもよい)又はQを示し、
nは0から4の整数を示す}で表される1,2−ベンゾイソチアゾール誘導体又はその塩を活性成分として含有することを特徴とする農園芸用植物病害防除剤。
【0011】
(2)一般式[I]
【0012】
【化2】

【0013】
{式中、
は、C−Cシクロアルキル基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルケニル基、C−CシクロアルキルC−Cアルキル基、C−CアルコキシC−Cアルキル基、C−CアルキルチオC−Cアルキル基、C−Cハロアルキルチオ基、−C(=Y)−R基、−C(=Y)−Y−R基、−W−C(=O)−R基、−W−Y−W−Q基、−W−Y−C(=Y)−Q基、シアノC−Cアルキル基、ニトロC−Cアルキル基又は−W−NR基を示し、
Xは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cアルコキシカルボニル基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基を示し、
Y及びYはそれぞれ独立に酸素原子又は硫黄原子を示し、
WはC−Cアルキル基を示し、
は、C−Cアルキル基、C−Cハロアルキル基又はフェニル基(該フェニル基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基で置換されてもよい)を示し、
は、C−C12アルキル基、C−Cアルケニル基、C−Cアルキニル基、C−Cシクロアルキル基、C−Cハロアルキル基、C−CアルコキシC−Cアルキル基、ベンジル基(該ベンジル基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基で置換されてもよい)又はフェニル基(該基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基で置換されてもよい)、−W−Q基を示し、
は、C−Cアルキル基、C−Cハロアルキル基、−O−W−Q基又は−NR基を示し、
及びRはそれぞれ独立に水素原子、C−Cアルキル基、C−Cアルケニル基、フェニル基(該フェニル基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基で置換されてもよい)又は−W−Q基を示し、
及びRはそれぞれ独立に水素原子又はC−Cアルキル基を示し、
Qは同一若しくは相異なってよい酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択される1個以上のヘテロ原子を有する炭素数3ないし10の複素環基(該複素環基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、C1−C6ハロアルキル基又はC1−C6ハロアルコキシ基で置換されてもよい。)を示し、
はフェニル基(該基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基で置換されてもよい)又はQを示し、
nは0から4の整数を示す}で表される1,2−ベンゾイソチアゾール誘導体又はその塩を活性成分として含有することを特徴とする農園芸用害虫防除剤。
【0014】
(3)一般式[I]
【0015】
【化3】

【0016】
{式中、
は、C−Cシクロアルキル基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルケニル基、C−CアルコキシC−Cアルキル基、C−CアルキルチオC−Cアルキル基、C−Cハロアルキルチオ基、−C(=Y)R基、−C(=Y)−Y−R基、−W−C(=O)−R基を示し、−W−Y−W−Q基、−W−Y−C(=Y)−Q基、ニトロC−Cアルキル基又は−W−NR基を示し、
Xは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cアルコキシカルボニル基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基を示し、
Y及びYはそれぞれ独立に酸素原子又は硫黄原子を示し、
WはC−Cアルキル基を示し、
は、C−Cアルキル基、C−Cハロアルキル基又はフェニル基(該フェニル基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基で置換されてもよい)を示し、
は、C−C12アルキル基、C−Cアルケニル基、C−Cアルキニル基、C−Cシクロアルキル基、C−Cハロアルキル基、C−CアルコキシC−Cアルキル基、ベンジル基(該ベンジル基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基で置換されてもよい)又はフェニル基(該基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基で置換されてもよい)、−W−Q基を示し、
は、C−Cアルキル基、C−Cハロアルキル基、−O−W−Q基又は−NR基を示し、
及びRはそれぞれ独立に水素原子、C−Cアルキル基、C−Cアルケニル基又はフェニル基(該フェニル基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基、−NR基で置換されてもよい)又は−W−Q基を示し、
及びRはそれぞれ独立に水素原子又はC−Cアルキル基を示し、
Qは同一若しくは相異なってよい酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択される1個以上のヘテロ原子を有する炭素数3ないし10の複素環基(該複素環基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、C1−C6ハロアルキル基又はC1−C6ハロアルコキシ基で置換されてもよい。)を示し、
はフェニル基(該基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基で置換されてもよい)又はQを示し、
nは0から4の整数を示す}で表される1,2−ベンゾイソチアゾール誘導体又はその塩。
【0017】
(4) 前記(3)記載の1,2−ベンゾイソチアゾール誘導体又はその塩を活性成分として含有することを特徴とする農園芸用植物病害防除剤。
【0018】
(5) 前記(3)記載の1,2−ベンゾイソチアゾール誘導体又はその塩を活性成分として含有することを特徴とする農園芸用害虫防除剤。
を提供するものである。
【0019】
本明細書に記載された記号及び用語について説明する。
【0020】
ハロゲン原子とはフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。
【0021】
−C等の表記は、これに続く置換基の炭素数が、この場合では1〜6であることを示している。
【0022】
−Cアルキル基とは、特に限定しない限り、炭素数が1〜6の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を示し、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1−エチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、ネオペンチル、n−へキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル又は1−エチル−2−メチルプロピル等の基を挙げることができる。
【0023】
−C12アルキル基とは、特に限定しない限り、炭素数が1〜12の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を示し、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1−エチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、ネオペンチル、n−へキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、ヘプチル、1−メチルヘキシル、5−メチルヘキシル、1,1−ジメチルペンチル、2,2−ジメチルペンチル、4,4−ジメチルペンチル、1−エチルペンチル、2−エチルペンチル、1,1,3−トリメチルブチル、1,2,2−トリメチルブチル、1,3,3−トリメチルブチル、2,2,3−トリメチルブチル、2,3,3−トリメチルブチル、1−プロピルブチル、1,1,2,2−テトラメチルプロピル、オクチル、1−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、6−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、5,5−ジメチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、1−エチル−1−メチルペンチル、ノニル、1−メチルオクチル、2−メチルオクチル、3−メチルオクチル、7−メチルオクチル、1−エチルヘプチル、1,1−ジメチルヘプチル、6,6−ジメチルヘプチル、デシル、1−メチルノニル、2−メチルノニル、6−メチルノニル、1−エチルオクチル、1−プロピルヘプチル、ウンデシル、1−メチルデシル、2−メチルデシル、8−メチルデシル、1−エチルノニル、1−プロピルオクチル、1−ブチルヘプチル、ドデシル、1−メチルウンデシル、3−メチルウンデシル、9−メチルウンデシル、10−メチルウンデシル、1−エチルデシル又は1−プロピルノニル等の基を挙げることができる。
【0024】
−Cシクロアルキルとは特に限定しない限り、炭素数が3〜6のシクロアルキル基を示し、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシル等の基を挙げることができる。
【0025】
−Cハロアルキル基とは、ハロゲン原子によって置換された、炭素数が1〜6の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を示し、例えば、フルオロメチル、クロロメチル、ブロモメチル、ジフルオロメチル、ジクロロメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、クロロジフルオロメチル、ブロモジフルオロメチル、2−フルオロエチル、1−クロロエチル、2−クロロエチル、1−ブロモエチル、2−ブロモエチル、2,2−ジフルオロエチル、1,2−ジクロロエチル、2,2−ジクロロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、1,1,2,2,−テトラフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、2−ブロモ−2−クロロエチル、2−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエチル、1−クロロ−1,2,2,2−テトラフルオロエチル、1−クロロプロピル、2−クロロプロピル、3−クロロプロピル、2−ブロモプロピル、3−ブロモプロピル、2−ブロモ−1−メチルエチル、3−ヨードプロピル、2,3−ジクロロプロピル、2,3−ジブロモプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、3,3,3−トリクロロプロピル、3−ブロモ−3,3−ジフルオロプロピル、3,3−ジクロロ−3−フルオロプロピル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、1−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロピル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル、ヘプタフルオロプロピル、1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル、2,3−ジクロロ−1,1,2,3,3−ペンタフルオロプロピル、2−クロロブチル、3−クロロブチル、4−クロロブチル、2−クロロ−1,1−ジメチルエチル、4−ブロモブチル、3−ブロモ−2−メチルプロピル、2−ブロモ−1,1−ジメチルエチル、2,2−ジクロロ−1,1−ジメチルエチル、2−クロロ−1−クロロメチル−2−メチルエチル、4,4,4−トリフルオロブチル、3,3,3−トリフルオロ−1−メチルプロピル、3,3,3−トリフルオロ−2−メチルプロピル、2,3,4−トリクロロブチル、2,2,2−トリクロロ−1,1−ジメチルエチル、4−クロロ−4,4−ジフルオロブチル、4,4−ジクロロ−4−フルオロブチル、4−ブロモ−4,4−ジフルオロブチル、2,4−ジブロモ−4,4−ジフルオロブチル、3,4−ジクロロ−3,4,4−トリフルオロブチル、3,3−ジクロロ−4,4,4−トリフルオロブチル、4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロブチル、4−ブロモ−3−クロロ−3,4,4−トリフルオロブチル、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチル、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル、2,2,2−トリフルオロ−1−メチル−1−トリフルオロメチルエチル、3,3,3−トリフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピル、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル、2,3,3,3−テトラフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピル、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブチル、ノナフルオロブチル、4−クロロ−1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブチル、5−クロロペンチル、3−クロロ−2,2−ジメチルプロピル、5−ブロモペンチル、1,5−ジブロモペンチル、4,4,4−トリフルオロ−2−メチルブチル、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチル、5−ブロモ−4,4,5,5−テトラフルオロペンチル、4,4−ジクロロ−5,5,5−トリフルオロペンチル、4,5−ジクロロ−4,5,5−トリフルオロペンチル、5−ブロモ−4−クロロ−4,5,5−トリフルオロペンチル、4,4,4−トリフルオロ−4−トリフルオロメチルブチル、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロペンチル、3,4,4,4−テトラフルオロ−3−トリフルオロメチルブチル、2,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−トリフルオロメチルブチル、2,4,5−トリクロロ−1,1,2,3,3,4,5,5−オクタフルオロペンチル、6−クロロヘキシル、6−ブロモヘキシル、4,4−ジクロロ−2,2−ジメチルブチル、4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロヘキシル、4,5,5,5−テトラフルオロ−4−トリフルオロメチルペンチル、3,4,4,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−トリフルオロメチルペンチル又は4,4,4−トリフルオロ−3,3−ビストリフルオロメチルブチル等の基を挙げることができる。
【0026】
−Cアルケニル基とは、特に限定しない限り、炭素数が2〜6の直鎖又は分岐鎖状のアルケニル基を示し、例えば、ビニル、1−プロペニル、i−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、2−ブテニル、1−メチル−2−プロペニル、3−ブテニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、1,3−ブタジエニル、1−ペンテニル、1−エチル−2−プロペニル、2−ペンテニル、1−メチル−1−ブテニル、3−ペンテニル、1−メチル−2−ブテニル、4−ペンテニル、1−メチル−3−ブテニル、3−メチル−1−ブテニル、1,2−ジメチル−2−プロペニル、1,1−ジメチル−2−プロペニル、2−メチル−2−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1,2−ジメチル−1−プロペニル、2−メチル−3−ブテニル、3−メチル−3−ブテニル、1,3−ペンタジエニル、1−ビニル−2−プロペニル、1−ヘキセニル、1−プロピル−2−プロペニル、2−へキセニル、1−メチル−1−ペンテニル、1−エチル−2−ブテニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル、1−メチル−4−ペンテニル、1−エチル−3−ブテニル、1−(i−ブチル)ビニル、1−エチル−1−メチル−2−プロペニル、1−エチル−2−メチル−2−プロペニル、1−(i−プロピル)−2−プロペニル、2−メチル−2−ペンテニル、3−メチル−3−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1,3−ジメチル−2−ブテニル、1,1−ジメチル−3−ブテニル、3−メチル−4−ペンテニル、4−メチル−4−ペンテニル、1,2−ジメチル−3−ブテニル、1,3−ジメチル−3−ブテニル、1,1,2−トリメチル−2−プロペニル、1,5−ヘキサジエニル、1−ビニル−3−ブテニル又は2,4−ヘキサジエニル等の基を挙げることができる。
【0027】
−Cハロアルケニル基とはハロゲン原子によって置換された、炭素数が2〜6の直鎖又は分岐鎖状のアルケニル基を示し、例えば、2−クロロビニル、2−ブロモビニル、2−ヨードビニル、3−クロロ−2−プロペニル、3−ブロモ−2−プロペニル、1−クロロメチルビニル、2−ブロモ−1−メチルビニル、1−トリフルオロメチルビニル、3,3,3−トリクロロ−1−プロペニル、3−ブロモ−3,3−ジフルオロ−1−プロペニル、2,3,3,3−テトラクロロ−1−プロペニル、1−トリフルオロメチル−2,2−ジフルオロビニル、2−クロロ−2−プロペニル、3,3−ジフルオロ−2−プロペニル、2,3,3−トリクロロ−2−プロペニル、4−ブロモ−3−クロロ−3,4,4−トリフルオロ−1−ブテニル、1−ブロモメチル−2−プロペニル、3−クロロ−2−ブテニル、4,4,4−トリフルオロ−2−ブテニル、4−ブロモ−4,4−ジフルオロ−2−ブテニル、3−ブロモ−3−ブテニル、3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニル、3,4,4−トリブロモ−3−ブテニル、3−ブロモ−2−メチル−2−プロペニル、3,3−ジフルオロ−2−メチル−2−プロペニル、3,3,3−トリフルオロ−2−メチルプロペニル、3−クロロ−4,4,4−トリフルオロ−2−ブテニル、3,3,3−トリフルオロ−1−メチル−1−プロペニル、3,4,4−トリフルオロ−1,3−ブタジエニル、3,4−ジブロモ−1−ペンテニル、4,4−ジフルオロ−3−メチル−3−ブテニル、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−1−ペンテニル、5,5−ジフルオロ−4−ペンテニル、4,5,5−トリフルオロ−4−ペンテニル、3,4,4,4−テトラフルオロ−3−トリフルオロメチル−1−ブテニル、4,4,4−トリフルオロメチル−3−メチル−2−ブテニル、3,5,5−トリフルオロ−2,4−ペンタジエニル、4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロ−2−ヘキセニル、3,4,4,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−トリフルオロメチル−1−ペンテニル、4,5,5,5−テトラフルオロ−4−トリフルオロメチル−2−ペンテニル又は5−ブロモ−4,5,5−トリフルオロ−4−トリフルオロメチル−2−ペンテニル等の基を挙げることができる。
【0028】
−Cアルキニル基とは、特に限定しない限り、炭素数が2〜6の直鎖又は分岐鎖状のアルキニル基を示し、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、1−メチル−2−プロピニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、1−エチル−2−プロピニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、1−メチル−2−ブチニル、4−ペンチニル、1−メチル−3−ブチニル、2−メチル−3−ブチニル、1−ヘキシニル、1−(n−プロピル)−2−プロピニル、2−ヘキシニル、1−エチル−2−ブチニル、3−ヘキシニル、1−メチル−2−ペンチニル、1−メチル−3−ペンチニル、4−メチル−1−ペンチニル、3−メチル−1−ペンチニル、5−ヘキシニル、1−エチル−3−ブチニル、1−エチル−1−メチル−2−プロピニル、1−(i−プロピル)−2−プロピニル、1,1−ジメチル−2−ブチニル又は2,2−ジメチル−3−ブチニル等の基を挙げることができる。
【0029】
−Cアルコキシ基とは、アルキル部分が前記の意味を有する炭素数が1〜6の(アルキル)−O−基を示し、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ基、i−プロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、i−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、1−メチルブチルオキシ、2−メチルブチルオキシ、3−メチルブチルオキシ、1−エチルプロピルオキシ、1,1−ジメチルプロピルオキシ、1,2−ジメチルプロピルオキシ、ネオペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ又は1,1−ジメチルブチルオキシメトキシ等の基を挙げることができる。
【0030】
−CシクロアルキルC−Cアルキル基とは、アルキル部分及びシクロアルキル部分が前記の意味を有する炭素数が1〜6のシクロアルキルにより置換された炭素数が1〜6のアルキル基を示し、例えば、シクロプロピルメチル、シクロペンチルメチル、2−(シクロプロピル)エチル、4−(シクロペンチル)ブチル、シクロヘキシルメチル、1−シクロヘキシルエチル又は2−シクロヘキシルエチル等の基を挙げることができる。
【0031】
−CアルコキシC−Cアルキル基とはアルキル部分及びアルコキシ部分が前記の意味を有する炭素数が1〜6のアルコキシにより置換された炭素数が1〜6のアルキル基を示し、例えば、メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、イソプロポキシメチル、ブトキシメチル、s−ブトキシメチル、i−ブトキシメチル、t−ブトキシメチル、ペンチルオキシメチル、メトキシエチル、エトキシエチル又はブトキシエチル等の基を挙げることができる。
【0032】
−CアルキルチオC−Cアルキル基とは、アルキル部分が前記の意味を有する炭素数が1〜6の(アルキル)−S−基によって置換された炭素数が1〜6のアルキル基を示し、例えば、メチルチオメチル、エチルチオメチル、n−プロピルチオメチル、イソプロピルチオメチル、ブチルチオメチル、s−ブチルチオメチル、i−ブチルチオメチル、t−ブチルチオメチル、ペンチルチオメチル、メチルチオエチル、エチルチオエチル又はブチルチオエチル等の基を挙げることができる。
【0033】
−Cハロアルコキシ基とは、ハロアルキル部分が前記の意味を有する同一又は相異なるハロゲン原子1〜13で置換されている炭素数が1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基を示し、例えば、クロロメトキシ、ジフルオロメトキシ、クロロジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ又は2,2,2−トリフルオロエトキシ等の基を挙げることができる。
【0034】
次に、一般式[I]で示される本願化合物の具体例を表1〜表8に記載する。しかしながら、本願化合物はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0035】
本明細書における表中で、例えばMeとはメチル基を示し、以下同様にEtとはエチル基を、Prとはn−プロピル基を、Pr−iとはイソプロピル基を、Buとはn−ブチル基を、Bu−sとはセカンダリーブチル基を、Bu−iとはイソブチル基を、Bu−tとはターシャリーブチル基を、Pnとはn−ペンチル基を、Pn−cとはシクロペンチル基を示す。C13とはn−ヘキシル基を、C15とはn−ヘプチル基を、Phとはフェニル基を、pyridylとはピリジル基を示す。又、例えばPh(4−Cl)とは4−クロロフェニル基を示し、3−pyridyl(2−Cl)とは2−クロロ−3−ピリジル基を示す。
【0036】
【表1】


【0037】
【表2】


【0038】
【表3】


【0039】
【表4】


【0040】
【表5】


【0041】
【表6】


【0042】
【表7】


【0043】
【表8】



【0044】
本願化合物である一般式[I]で示される1,2−ベンゾイソチアゾール誘導体の代表的な製造方法を以下に例示するが、これらの方法に限定されるものではない。
【0045】

<製造方法1>
【化4】

【0046】
(式中、X及びnは前記と同じ意味を表し、Rは、C−Cシクロアルキル基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルケニル基、C−Cシクロアルキル基C−Cアルキル基、C−CアルコキシC−Cアルキル基、C−CアルキルチオC−Cアルキル基、−C(=Y)−R基(式中、Y及びRは前記と同じ意味を示す)、−C(=Y)−Y−R(式中、Y、Y及びRは前記と同じ意味を示す)、−W−C(=O)−R基(式中、W及びRは前記と同じ意味を示す)、−W−Y−W−Q基(式中、W、Y及びQは前記と同じ意味を示す)、−W−Y−C(=Y)−Q基(式中、W、Y、Y及びQは前記と同じ意味を示す)、シアノC−Cアルキル基、ニトロC−Cアルキル基又は−W−NR基(式中、R及びRは前記と同じ意味を示す)を示し、Zは、メタンスルホニルオキシ基等の低級アルキルスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等の低級ハロアルキルスルホニルオキシ基、パラトルエンスルホニルオキシ基等の(置換)フェニルスルホニルオキシ基又はハロゲン原子を示し、Mは、水素原子又はナトリウム原子若しくはカリウム原子等のアルカリ金属原子を示す。)
【0047】
(工程1)
一般式[III]で表される化合物は、一般式[II]で表されるサッカリン誘導体とチオカルボニル化剤とを溶媒中又は溶媒非存在下で反応させることにより製造することができる。
【0048】
本工程で使用できるチオカルボニル化剤としては、五硫化りん又はローソン試薬(2,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1,3−ジチア−2,4−ジフォスフェタン−2,4−ジスルフィド)等が挙げられる。
【0049】
本工程で使用するチオカルボニル化剤の使用量は、サッカリン誘導体[II]1モルに対して0.5〜10モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜2.0モルである。
【0050】
本反応で使用できる溶媒としては、本反応の進行を阻害しないものであればよく、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、モノグライム又はジグライム等のエーテル類、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素又はテトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン又はキシレン等の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン等のイミダゾリノン類、ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物類、アセトニトリル等のニトリル類、ピリジン等芳香族ヘテロ環化合物等を使用することができ、更にこれらの混合溶媒も使用することができる。
【0051】
反応温度は−20℃から使用する不活性溶媒の沸点域の範囲から選択すればよく、好ましくは0℃〜150℃の範囲で行うのがよい。
【0052】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常30分〜48時間である。
【0053】
反応の目的物である一般式[III]で表される化合物は、反応終了後、常法により反応系から採取される。得られた目的物は、必要に応じてカラムクロマトグラフィー、再結晶等の操作によって精製することもできる。
【0054】
上記の一般式[II]の化合物は、テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Letters)32巻、49号、7179頁(1991年)記載の方法及びこれらに準じて製造することができる。
上記の一般式[III]の化合物は、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(Journal of Organic Chemistry),第16巻、第1582頁(1951年);インディアン・ジャーナル・オブ・ケミストリー・セクションB(Indian Journal of Chemistry Section B)第27巻、第109頁(1988年)記載の方法及びこれらに準じて製造することもできる。
【0055】
(工程2)
一般式[Ia]で表される本願化合物は、化合物[III]及びZRを溶媒中で塩基の存在下又は非存在下に反応させることにより製造することができる。
【0056】
本工程で使用するZRの使用量は、化合物[III]1モルに対して0.5〜10モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0057】
本工程で使用できる塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム又は炭酸カルシウム等の金属炭酸塩類、炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウム等の金属炭酸水素塩類、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム又は酢酸マグネシウム等の金属酢酸塩類に代表される金属カルボン酸塩類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムターシャリーブトキシド、カリウムメトキシド又はカリウムターシャリーブトキシド等の金属アルコキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム又は水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム又は水素化カルシウム等の金属水素化物等が挙げられる。
【0058】
塩基の使用量は化合物[III]1モルに対して0〜10モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0〜1.2モルである。
【0059】
本反応で使用できる溶媒としては、本反応の進行を阻害しないものであればよく、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、モノグライム又はジグライム等のエーテル類、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素又はテトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン又はトルエン等の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン等のイミダゾリノン類、ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物類、アセトニトリル等のニトリル類等を使用することができ、更にこれらの混合溶媒も使用することができる。
【0060】
反応温度は−20℃から使用する不活性溶媒の沸点域の範囲から選択すればよく、好ましくは0℃〜100℃の範囲で行うのがよい。
【0061】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、一般的には30分〜48時間である。
【0062】
反応の目的物である一般式[Ia]で表される本願化合物は、反応終了後、常法により反応系から採取される。得られた目的物は、必要に応じてカラムクロマトグラフィー、再結晶等の操作によって精製することもできる。
【0063】

<製造方法2>
【化5】

【0064】
(式中、X及びnは前記と同じ意味を表し、R10は、C−Cシクロアルキル基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルケニル基、C−CシクロアルキルC−Cアルキル基、−W−C(=O)−R基(式中、W及びRは前記と同じ意味を示す)又は−W−NR基(式中、R及びRは前記と同じ意味を示す)を示し、Halは、ハロゲン原子を示し、Mは、水素原子又はナトリウム原子若しくはカリウム原子等のアルカリ金属を示す。)
【0065】
(工程3)
一般式[V]で表される化合物は、化合物[IV]を適当な溶媒中又は非溶媒下でハロゲン化させることにより製造することができる。
【0066】
本工程で使用できるハロゲン化剤としては、塩化ホスホリル、臭化ホスホリル、塩化チオニル又は五塩化りん等が挙げられる。
【0067】
本反応で使用できる溶媒としては、本反応の進行を阻害しないものであればよく、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、モノグライム又はジグライム等のエーテル類、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素又はテトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン又はトルエン等の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等を使用することができ、更にこれらの混合溶媒も使用することができる。
【0068】
本工程で使用するハロゲン化剤の使用量は、化合物[IV]1モルに対して1〜10モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.5モルである。
【0069】
反応温度は0℃から使用する不活性溶媒の沸点域の範囲から選択すればよい。反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常30分〜5時間である。
【0070】
反応の目的物である一般式[V]で表される化合物は、反応終了後、常法により反応系から採取される。得られた目的物は、必要に応じてカラムクロマトグラフィー、再結晶等の操作によって精製することもできる。
【0071】
上記の一般式[V]で表される化合物は、例えばジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry),第10巻、第840頁(1967年)記載の方法及びこれらに準じて製造することもできる。
【0072】
(工程4)
一般式[Ib]で表される化合物は、化合物[V]とMSR10とを、溶媒中、塩基存在下若しくは非存在下、反応させる方法により製造することができる。
【0073】
本工程で使用するMSR10の使用量は、化合物[V]1モルに対して0.5〜10モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0074】
本工程で使用するMSR10の使用量は、化合物[V]1モルに対して0.5〜10モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0075】
本工程で使用できる塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム又は炭酸カルシウム等の金属炭酸塩類、炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウム等の金属炭酸水素塩類、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム又は酢酸マグネシウム等の金属酢酸塩類に代表される金属カルボン酸塩類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムターシャリーブトキシド、カリウムメトキシド又はカリウムターシャリーブトキシド等の金属アルコキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム又は水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム又は水素化カルシウム等の金属水素化物、ピリジン、トリエチルアミン又は1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の有機塩基等が挙げられる。
【0076】
塩基の使用量は化合物[V]1モルに対して0.5〜10モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0077】
本反応で使用できる溶媒としては、本反応の進行を阻害しないものであればよく、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、モノグライム又はジグライム等のエーテル類、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素又はテトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン又はトルエン等の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン等のイミダゾリノン類、ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物類、アセトニトリル等のニトリル類等を使用することができ、更にこれらの混合溶媒も使用することができる。
【0078】
反応温度は−20℃から使用する不活性溶媒の沸点域の範囲から選択すればよく、好ましくは0℃〜100℃の範囲で行うのがよい。
【0079】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常30分〜48時間である。
【0080】
反応の目的物である一般式[Ib]で表される本願化合物は、反応終了後、常法により反応系から採取される。得られた目的物は、必要に応じてカラムクロマトグラフィー、再結晶等の操作によって精製することもできる。
【0081】
上記の一般式[Ib]で表される化合物は、例えばジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(Journal of Organic Chemistry),第17巻、第488頁(1952年);インディアン・ジャーナル・オブ・ケミストリー・セクションB(Indian Journal of Chemistry Section B)第32巻、第564頁(1993年)記載の方法及びこれらに準じて製造することもできる。
【0082】
一般式[I]で示される本願化合物を農園芸用植物病害防除剤又は農園芸用害虫防除剤として使用する場合には、その目的に応じて有効成分を適当な剤型で用いることができる。通常は有効成分を不活性な液体又は固体の担体で希釈し、必要に応じて界面活性剤、その他をこれに加え、粉剤、水和剤、乳剤、粒剤等の製剤形態で使用できる。
【0083】
有効成分の配合割合は必要に応じ適宜選ばれるが、粉剤及び粒剤とする場合は0.1〜50%(重量)、又、乳剤及び水和剤とする場合は5〜80%(重量)が適当である。
【0084】
製剤化に際して用いられる担体としては、例えばタルク、ベントナイト、クレー、カオリン、珪藻土、ホワイトカーボン、バーミキュライト、炭酸カルシウム、消石灰、珪砂、硫安、尿素等の固体担体、イソプロピルアルコール、キシレン、シクロヘキサン又はメチルナフタレン等の液体担体等が挙げられる。
【0085】
界面活性剤及び分散剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸金属塩、ジナフチルメタンジスルホン酸金属塩、アルコール硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、ポリオキシエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル又はポリオキシエチレンソルビタンモノアルキレート等が挙げられる。補助剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール又はアラビアゴム等が挙げられる。使用に際しては適当な濃度に希釈して散布するか又は直接施用する。
【0086】
これら製剤の実際の使用に際しては、そのまま使用するか、又は水等の希釈剤で所定濃度に希釈して使用することができる。本願化合物を含有する種々の製剤、又はその希釈物の施用は、通常一般に行なわれている施用方法、即ち、散布(例えば噴霧、ミスティング、アトマイジング、散粉、散粒、水面施用、箱施用等)、土壌施用(例えば混入、潅注等)、表面施用(例えば塗布、粉衣、被覆等)、浸漬、毒餌、くん煙施用等により行うことができる。又、家畜に対して前記有効成分を飼料に混合して与え、その排泄物での有害虫、特に有害昆虫の発生、成育を防除することも可能である。又、いわゆる超高濃度少量散布法により施用することもできる。この方法においては、活性成分を100%含有することが可能である。有効成分の配合割合は必要に応じ適宜選ばれるが、粉剤及び粒剤とする場合は0.1〜20%(重量)、又、乳剤及び水和剤とする場合は1〜80%(重量)が適当である。これらの施用量は、使用される化合物の種類、対象病害、対象害虫、発生傾向、被害の程度、環境条件、使用する剤型などによって変動する。
【0087】
例えば粉剤及び粒剤のようにそのまま使用する場合には、有効成分で10アール当り0.1g〜5kg、好ましくは1g〜1kgの範囲から適宜選ぶのがよい。又、乳剤及び水和剤のように液状で使用する場合には、0.1ppm〜10,000ppm、好ましくは10〜3,000ppmの範囲から適宜選ぶのがよい。又、育苗箱施用によって用いる場合、化合物の溶出性を制御した製剤化を行うことにより、長期にわたる効果を付与することが可能である。
【0088】
一般式[I]で示される本願化合物は上記の施用形態により、糸状菌、細菌又はウィルスに起因する植物の病害を防除できる。
【0089】
具体的な病害の非限定例としては、例えば、キュウリべと病(Pseudoperonospora cubensis)、リンゴ黒星病(Venturia inaequalis)、コムギうどんこ病(Erysiphe graminis)、コムギふ枯病菌(Septoria nodorum)、イネいもち病(Pyricularia oryzae)、キュウリ灰色かび病(Botrytis cinerea)、イネ紋枯病(Rhizoctonia solani)、コムギ赤さび病(Puccinia recondita)、イネ白葉枯病(Xanthomonas oryzae)、イネもみ枯細菌病(Burkholderia glumae)、イネ苗立枯細菌病(Burkholderia plantarii)、イネ褐状病(Acidovorax avenae)、内穎褐変病(Erwinia ananas)等が挙げられる。
【0090】
本願化合物は、半翅目害虫、鱗翅目害虫、鞘翅目害虫、双翅目害虫、膜翅目害虫、直翅目害虫、シロアリ目害虫、アザミウマ目害虫、ハダニ類、植物寄生性線虫類等の害虫に対して、優れた防除効果を示す。そのような害虫の例としては、以下の如き害虫類を例示することができる。
【0091】
半翅目害虫、例えばホソヘリカメムシ(Riptortus clavatus)、ミナミアオカメムシ(Nezara viridula)、メクラカメムシ類(Lygus sp.)、アメリカコバネナガカメムシ(Blissus leucopterus)、ナシグンバイ(Stephanitis nashi)等のカメムシ類(異翅類;HETEROPTERA)、ツマグロヨコバイ(nephotettix cincticeps)、ヒメヨコバイ類(Empoasca sp., Erythroneura sp.,Circulifer sp.)等のヨコバイ類、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、セジロウンカ(Sogatella furcifera)、ヒメトビウンカ(Laodelphax striatellus)等のウンカ類、Psylla sp.等のキジラミ類、シルバーリーフコナジラミ(Bemisia tabaci)、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)等のコナジラミ類、ブドウネアブラムシ(Viteus vitifolii)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、リンゴアブラムシ(Aphis pomi)、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、Aphis fabae、ニセダイコンアブラムシ(Rhopalosiphum psedobrassicas)、ジャガイモヒゲナガアブラムシ(Aulacorthum solani)、ムギミドリアブラムシ(Schizaphis graminum)等のアブラムシ類、クワコナカイガラムシ(Pseudococcus comstocki)、ルビーロウムシ(Ceroplastes rubens)、サンホーゼカイガラムシ(Comstockaspis perniciosa)、ヤノネカイガラムシ(Unaspis yanonensis)等のカイガラムシ類、サシガメ(Rhodnius sp.)等。
【0092】
鱗翅目害虫、例えばチャハマキ(Homona magnanima)、コカクモンハマキ(Adoxophyes orana)、テングハマキ(Sparganothis pilleriana)、ナシヒメシンクイ(Grapholitha molesta)、マメシンクイガ(Leguminivora glycinivorella)、コドリンガ(Laspeyresia pomonella)、Eucosma sp.、Lobesia botrana等のハマキガ類、ブドウホソハマキ(Eupoecillia ambiguella)等のホソハマキガ類、Bambalina sp.等のミノガ類、コクガ(Nemapogon granellus)、イガ(Tinea translucens)等のヒロズコガ類、ギンモンハモグリガ(Lyonetia prunifoliella)等のハモグリガ類、キンモンホソガ(Phyllonorycter rigoniella)等のホソガ類、ミカンハモグリガ(Phyllocnistis citrella)等のコハモグリガ類、コナガ(Plutella xylostella)、Prays citri等のスガ類、ブドウスカシバ(Paranthrene regalis)、Synanthedon sp.等のスカシバガ類、ワタアカミムシ(Pectinophora gossypiella)、ジャガイモガ(Phthorimaea operculella)、Stomopteryx sp.等のキバガ類、モモシンクイ(Carposina niponensis)等のシンクイガ類、イラガ(Monema flavescens)等のイラガ類、ニカメイガ(Chilo suppressalis)、コブノメイガ(Cnaphalocrocis medinalis)、Ostrinia nubilalis、アワノメイガ(Ostrinia furnacalis) 、ハイマダラノメイガ(Hellula undalis)、ハチミツガ(Galleria mellonella)、Elasmopalpus lignosellus、Loxostege sticticalis等のメイガ類、モンシロチョウ(Pieris rapae)等のシロチョウ類、ヨモギエダシャク(Ascotis selenaria)等のシャクガ類、オビカレハ(Malacosoma neustria)等のカレハガ類、Manduca sexta等のスズメガ類、チャドクガ(Euproctis pseudoconspersa)、マイマイガ(Lymantria dispar)等のドクガ類、アメリカシロヒトリ(Hyphantria cunea)等のヒトリガ類、タバコバッドワーム(Heliothis virescens)、ボールワーム(Helicoverpa zea)、シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)、オオタバコガ(Helicoverpa armigera)、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)、ヨトウガ(Mamestra brassicae)、タマナヤガ(Agrotis ipsiron)、アワヨトウ(Pseudaletia separata)、イラクサキンウワバ(Trichoplusia ni)等のヤガ類等。
【0093】
鞘翅目害虫、例えばドウガネブイブイ(Anomala cuprea)、マメコガネ(Popillia japonica)、ヒメコガネ(Anomala rufocuprea)、Eutheola rugiceps等のコガネムシ類、ワイヤーワーム(Agriotes sp.)、Conodeus sp.等のコメツキムシ類、ニジュウヤホシテントウ(Epilachna vigintioctopunctata)、インゲンテントウムシ(Epilachna varivestis)等のテントウムシ類、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)等のゴミムシダマシ類、ゴマダラカミキリ(Anoplophora malasiaca)、マツノマダラカミキリ(Monochamus alternatus)等のカミキリムシ類、インゲンマメゾウムシ(Acanthoscelides obtectus)、アズキゾウムシ(Callosobruchus chinensis)等のマメゾウムシ類、コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata)、コーンルートワーム(Diabrotica sp.)、イネドロオイムシ(Oulema oryzae)、テンサイトビハムシ(Chaetocnema concinna)、Phaedon cochlearias、Oulema melanopus、Dicladispa armigera等のハムシ類、Apion godmani等のホソクチゾウムシ類、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus)、ワタミゾウムシ(Anthonomus grandis)等のゾウムシ類、コクゾウムシ(Sitophilus zeamais)等のオサゾウムシ類、キクイムシ類、カツオブシムシ類、シバンムシ類等。
【0094】
双翅目害虫、例えばキリウジガガンボ(Tipra ano)、イネユスリカ(Tanytarsus oryzae)、イネシントメタマバエ(Orseolia oryzae)、チチュウカイミバエ(Ceratitis capitata)、イネミギワバエ(Hydrellia griseola)、オウトウショウジョウバエ(Drosophila suzukii)、フリッツフライ(Oscinella frit)、イネカラバエ(Chlorops oryzae)、インゲンモグリバエ(Ophiomyia phaseoli)、マメハモグリバエ(Liriomyza trifolii)、アカザモグリハナバエ(Pegomya hyoscyami)、タネバエ(Hylemia platura)、ソルガムフライ(Atherigona soccata)、イエバエ(Musca domestica)、ウマバエ(Gastrophilus sp.)、サシバエ(Stomoxys sp.)、ネツタイシマカ(Aedes aegypti)、アカイエカ(Culex pipiens)、シナハマダラカ(Anopheles slnensis)、コガタアカイエカ(Culex tritaeniorhynchus)等。
【0095】
膜翅目害虫、例えばクキバチ類(Cephus sp.)、カタビロコバチ類(Harmolita sp.)、カブラハバチ類(Athalia sp.)、スズメバチ類(Vespa sp.)、ファイアーアント類等。
【0096】
直翅目害虫、例えばチャバネゴキブリ(Blatella germanica)、ワモンゴキブリ(Periplaneta Americana)、ケラ(Gryllotalpa africana)、バッタ(Locusta migratoria migratoriodes)、Melanoplus sanguinipes等。
【0097】
シロアリ目害虫、例えば、ヤマトシロアリ(Reticulitermes speratus)、イエシロアリ(Coptotermes formosanus)等。
【0098】
アザミウマ目害虫、例えば、チャノキイロアザミウマ(Scirtothrips dorsalis)、ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)、クロトンアザミウマ(Heliothrips haemorrhoidalis)、ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)、イネクダアザミウマ(Haplothrips aculeatus)等。
【0099】
ハダニ類、例えばナミハダニ(Tetranychus urticae)、カンザワハダニ(Tetranychus kanzawai)、ミカンハダニ(Panonychus citri)、リンゴハダニ(Panonychus ulmi)、イエローマイト(Eotetranychus carpini)、テキサスシトラスマイト(Eotetranychus banksi)、ミカンサビダニ(Phyllocoptruta oleivora)、チャノホコリダニ(Polyphagotarsonemus latus)、ヒメハダニ(Brevipalpus sp.)、ロビンネダニ(Rhizoglyphus robini)、ケナガコナダニ(Tyrophagus putrescentiae)等。
【0100】
植物寄生性線虫類、例えばネコブセンチュウ類(Meloidogyne sp.)、ネグサレセンチュウ類(Pratylenchus sp.)、シストセンチュウ類(Heterodera sp.、Globadera sp.)、イネシンガレセンチュウ(Aphelenchoides besseyi)、マツノザイセンチュウ(Bursaphelenchus xylophilus)等。
【0101】
その他有害動物、不快動物、衛生害虫、寄生虫、例えばスクミリンゴガイ(Pomacea canaliculata)、ナメクジ(Incilaria sp.)、アフリカマイマイ(Achatina fulica)等の腹足綱類(Gastropoda)、ダンゴムシ(Armadillidium sp.)、ワラジムシ、ムカデ等の等脚目類(Isopoda)、Liposcelis sp.等のチャタテムシ類、Ctenolepisma sp.等のシミ類、Pulex sp.、Ctenocephalides sp.等のノミ類、Trichodectes sp.等のハジラミ類、Cimex sp.等のトコジラミ類、オウシマダニ(Boophilus microplus)、フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)等の動物寄生性ダニ類、ヒョウヒダニ類等を挙げることができる。
【0102】
更に、一般式[I]で表される本願化合物は必要に応じて公知の殺虫剤、植物病害防除剤、除草剤、植物生長調節剤又は肥料等と混合してもよい。
【0103】
実施例
【0104】
以下に、本発明の農園芸用植物病害剤又は農園芸用害虫防除剤で用いる一般式[I]で表される本願化合物の誘導体及びその合成中間体の製造法、製剤法並びに用途を下記の実施例で詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。尚、以下の説明において「%」は重量百分率を示す。
【0105】
<実施例1>
3−メトキシメチルチオ−1,2−ベンゾイソチアゾール−1,1−ジオキシドの製造(化合物番号9)
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−チオキソ−1,1−ジオキシド0.5g(2.5ミリモル)をN,N−ジメチルホルムアミド(30ml)に溶解し、(60%)水素化ナトリウム0.11g(2.75ミリモル)を加え、反応液を室温下、30分間撹拌した。反応液に室温下、クロロメチルメチルエーテル0.56g(5.9ミリモル)を加えた。反応溶液を室温下、12時間撹拌した。反応終了確認後、反応溶液を水中にあけ、酢酸エチルにて抽出した。得られた有機層を水洗し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。無機物を濾別した後、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、黄色粉末(融点151−153℃)の3−メトキシメチルチオ−1,2−ベンゾイソチアゾール−1,1−ジオキシド0.11g(収率:18%)を得た。
1H-NMRデータ(CDCl3/TMS δ(ppm)):3.52(3H,s)、5.56(2H,s)、7.75(3H,m)、7.91(1H,d)
【0106】
<実施例2>
3−メチルチオメチルチオ−1,2−ベンゾイソチアゾール−1,1−ジオキシドの製造(化合物番号14)
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−チオキソ−1,1−ジオキシド0.5g(2.5ミリモル)をN,N−ジメチルホルムアミド(30ml)に溶解し、(60%)水素化ナトリウム0.11g(2.8ミリモル)を加え、反応液を室温下、30分間撹拌した。反応液に室温下、クロロメチルメチルスルフィド0.27g(5.9ミリモル)を加えた。反応溶液を室温下、12時間撹拌した。反応終了確認後、反応溶液を水中にあけ酢酸エチルにて抽出した。得られた有機層を水洗し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。無機物を濾別した後、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、乳白色粉末(融点112−113℃)の3−メチルチオメチルチオ−1,2−ベンゾイソチアゾール−1,1−ジオキシド0.27g(収率:42%)を得た。
1H-NMRデータ(CDCl3/TMS δ(ppm)):2.32(3H,s)、4.52(2H,s)、7.73(3H,m)、7.92(1H,d)
【0107】
<実施例3>
1−(1,1−ジオキソ−1,2−ベンゾイソチアゾール−3−イルチオ) −プロパン−2−オンの製造(化合物番号16)
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−チオキソ−1,1−ジオキシド0.8g(4.0ミリモル)をN,N−ジメチルホルムアミド(50ml)に溶解し、(60%)水素化ナトリウム0.16g(4.0ミリモル)を加え、反応液を室温下、30分間撹拌した。反応液に室温下、クロロアセトン0.41g(4.4ミリモル)を加えた。反応溶液を室温下、12時間撹拌した。反応終了確認後、反応溶液を水中にあけ酢酸エチルにて抽出した。得られた有機層を水洗し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。無機物を濾別した後、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、乳白色粉末(融点126−127℃)の1−(1,1−ジオキソ−1,2−ベンゾイソチアゾール−3−イルチオ) −プロパン−2−オン0.67g(収率:66%)を得た。
1H-NMRデータ(CDCl3/TMS δ(ppm)):2.41(3H,s)、4.34(2H,s)、7.80(3H,m)、
7.90(1H,d)
【0108】
<実施例4>
2−(1,1−ジオキソ−1,2−ベンゾイソチアゾール−3−イルチオ) −N,N−ジメチルアセトアミドの製造(化合物番号19)
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−チオキソ−1,1−ジオキシド0.5g(2.5ミリモル)をN,N−ジメチルホルムアミド(30ml)に溶解し、(55%)水素化ナトリウム0.11g(2.6ミリモル)を加え、反応液を室温下、30分間撹拌した。反応液に室温下、N,N−ジメチルクロロアセトアミド0.39g(3.2ミリモル)を加えた。反応溶液を室温下、3時間撹拌した。反応終了確認後、反応溶液を水中にあけ酢酸エチルにて抽出した。得られた有機層を水洗し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。無機物を濾別した後、減圧下で溶媒を留去した。残渣をイソプロピルエーテルで洗浄し、黄色粉末(融点233−235℃)の2−(1,1−ジオキソ−1,2−ベンゾイソチアゾール−3−イルチオ)−N,N−ジメチルアセトアミド0.33g(収率:47%)を得た。
1H-NMRデータ(CDCl3/TMS δ(ppm)):3.04(3H,s)、3.174(3H,s)4.45(2H,s)、7.75(3H,m)、7.90(1H,d)
【0109】
<実施例5>
チオカルボン酸 S−(1,1−ジオキソ−1,2−ベンゾイソチアゾール−3−イル) O−エチルエステルの製造(化合物番号29)
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−チオキソ−1,1−ジオキシド1.0g(5.0ミリモル)をN,N−ジメチルホルムアミド(50ml)に溶解し、(55%)水素化ナトリウム0.23g(5.3ミリモル)を加え、反応液を室温下、30分間撹拌した。反応液に室温下、クロロぎ酸エチルエステル0.7g(6.5ミリモル)を加えた。反応溶液を室温下、12時間撹拌した。反応終了確認後、反応溶液を水中にあけ酢酸エチルにて抽出した。得られた有機層を水洗し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。無機物を濾別した後、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、黄色粉末(融点144−146℃)のチオカルボン酸 S−(1,1−ジオキソ−1,2−ベンゾイソチアゾール−3−イル) エステル O−エチルエステル0.59g(収率:44%)を得た。
1H-NMRデータ(CDCl3/TMS δ(ppm)):1.42(3H,t)、4.49(2H,q)、7.73(3H,m)、
7.95(1H,d)
【0110】
<実施例6>
2,2,2−トリフルオロエチルチオ−1,2−ベンゾイソチアゾール−1,1−ジオキシドの製造(化合物番号3)
(60%)水素化ナトリウム0.12g(3.0ミリモル)をN,N−ジメチルホルムアミド(40ml)に溶解し、2,2,2−トリフルオロエタンチオール0.34g(3.0ミリモル)を加え、反応液を室温下、30分間撹拌した。反応液に室温下、3−クロロ−1,2−ベンゾイソチアゾール−1,1−ジオキシド0.6g(3.0ミリモル)、N,N−ジメチルホルムアミド(10ml)溶液を加えた。反応溶液を室温下、12時間撹拌した。反応終了確認後、反応溶液を水中にあけ酢酸エチルにて抽出した。得られた有機層を水洗し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。無機物を濾別した後、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、乳白色粉末(融点124−125℃)の2,2,2−トリフルオロエチルチオ−1,2−ベンゾイソチアゾール−1,1−ジオキシド0.1g(収率:12%)を得た。
1H-NMRデータ(CDCl3/TMS δ(ppm)):4.1(2H,q)、7.76(3H,m)、7.73(3H,m)、7.93(H,d)
【0111】
前記実施例に準じて合成した本願化合物[I]の構造式と物性値を、前記実施例を含め表9〜表11に示す。但し、表中の記号は前記と同様の意味を表す。
【0112】
【表9】

【0113】
【表10】

【0114】
【表11】


【0115】
化合物番号17,27及び35については、H−NMRデータ(CDCl/TMS δ(ppm)値)を以下に示す。
化合物番号17:7.90(1H,d)、7.76(3H,m)、4.32(2H,s)、2.70(2H,q)、1.17(3H,t)
化合物番号27:7.96(3H,m)、4.23(2H,d)、2.10(1H,m)、0.99(6H,d)
化合物番号35:8.17(3H,m)、8.10(1H,d)、7.58(5H,m)
【0116】
次に、本発明の農園芸用植物病害防除剤の代表的な製剤例を実施例により更に具体的に説明するが、本発明の範囲は以下の製剤例に限定されるものではない。以下の説明において「%」は重量百分率を示す。
【0117】
<実施例7 粉剤>
表9の化合物番号3の化合物2%、珪藻土5%及びクレー93%を均一に混合粉砕して粉剤とした。又、化合物番号3に代えて、表1〜8に記載の化合物各々を用いて同様に粉剤を得ることができる。
【0118】
<実施例8 水和剤>
表9の化合物番号14の化合物50%、珪藻土45%、ジナフチルメタンジスルホン酸ナトリウム2%及びリグニンスルホン酸ナトリウム3%を均一に混合粉砕して水和剤とした。又、化合物番号14に代えて、表1〜8に記載の化合物各々を用いて同様に水和剤を得ることができる。
【0119】
<実施例9 乳剤>
表10の化合物番号37の化合物30%、シクロヘキサノン20%、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル11%、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム4%及びメチルナフタレン35%を均一に溶解して乳剤とした。又、化合物番号37に代えて、表1〜8に記載の化合物各々を用いて同様に乳剤を得ることができる。
【0120】
<実施例10 粒剤>
表9の化合物番号20の化合物24%、ラウリルアルコール硫酸エステルのナトリウム塩2%、リグニンスルホン酸ナトリウム5%、カルボキシメチルセルロース2%及びクレー67%を均一に混合粉砕する。この混合物に水20%相当量を加えて練合し、押出式造粒機を用いて14〜32メッシュの粒状に加工したのち、乾燥して粒剤とした。又、化合物番号20に代えて、表1〜8に記載の化合物各々を用いて同様に粒剤を得ることができる。
【0121】
<実施例11 粒剤>
表9の化合物番号29の化合物26%、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4%、α化でんぷん3%、クレー70.6%を高速撹拌機中で均一に混合し、適量の水を加えて 混練後、バスケット型造粒機を用い、目開き径1.0mmのスクリーンより押出造粒し、造粒物を60℃で静置乾燥して基剤を得た。この基剤82%にアクリル樹脂6%、ウレタン樹脂3%、クレー9%を混合し、表6の化合物番号29)の化合物21.3%を含有する溶出制御粒剤を得た。又、化合物番号29に代えて、表1〜8に記載の化合物各々を用いて同様に溶出制御乳剤を得ることができる。
【0122】
次に、本発明の農園芸用植物病害防除剤の奏する効果について試験例をあげて具体的に説明する。
【0123】
<試験例1 イネいもち病予防効果試験>
直径7cmの素焼鉢各々に、イネ種子(品種:愛知旭)を15粒ずつ播種し、温室内で育成した。第4葉が完全に展開したイネ苗に、実施例8に準じて調製した水和剤を、有効成分濃度が500ppmになるように水で希釈し、1鉢当り10ml散布した。風乾後、イネいもち病菌(Pyricularia oryzae)の分生胞子懸濁液を噴霧接種し、直ちに25℃の湿室内に24時間入れた。その後温室内に移し、接種5日後に第4葉の病斑数を調査した。以下の数式1により防除価を求め、表12の基準により評価した。結果を表13に示した。
【0124】
【数1】



【0125】
【表12】

【0126】
【表13】

【0127】
<試験例2 イネいもち病水面施用試験>
直径9cmの白磁鉢に1.5葉期の水稲(品種:愛知旭)稚苗を3茎ずつ4カ所に移植し、温室内で育成した。2.5葉期に、実施例8に準じて調製した水和剤を有効成分濃度が10アールあたり1000gになるように鉢に水面施用処理をした。処理10日後に、イネいもち病菌(Pyricularia oryzae)の分生胞子懸濁液を噴霧接種し、直ちに25℃の湿室内に24時間入れた。その後、温室内に移し、接種5日後に接種時の最高位葉の病斑数を調査した。前記数式1により防除価を求め、表12の基準により評価した結果を表14に示した。
【0128】
【表14】

【0129】
<試験例3 イネいもち病育苗箱施用試験>
イネ用の育苗箱(サイズ:縦×横×高さ 30cm×60cm×3cm)に人工培土を詰め、1箱当たりイネ(品種;愛知旭)の種籾180g(乾重量換算)を播種した。播種3週間後に、実施例10に準じて調製した粒剤を有効成分が箱当り12gになるように育苗箱に均一に処理した。処理4時間後に、イネの幼苗5茎を育苗培土ごと分け取り、1/10000aワグネルポットに移植した。処理40日後に、イネいもち病菌(Pyricularia oryzae)の分生胞子懸濁液を噴霧接種し、直ちに25℃の湿室内に24時間入れた。その後、温室内に移し、接種6日後に接種時の第2葉の病斑数を調査した。前記数式1により防除価を求め、表12の基準により評価した結果を表15に示した。
【0130】
【表15】

【0131】
<試験例4 コムギふ枯病予防効果試験>
直径6cmのプラスチックポット各々に、コムギ種子(品種:農林61号)を10粒ずつ播種し、温室内で育成した。2葉が展開したコムギ苗に、実施例8に準じて調製した水和剤を、有効成分濃度が500ppmになるように水で希釈し、1ポット当たり10ml散布した。風乾後、コムギふ枯病菌(Septoria nodorum)の柄胞子を接種し、温室内で管理した。接種10日後にポット全体の第1葉の発病面積を調査し、表16の基準により評価した。結果を表17に示した。
【0132】
【表16】

【0133】
【表17】

【0134】
<試験例5 コムギうどんこ病防除効果試験>
直径6cmのプラスチックポット各々に、コムギ種子(品種:農林61号)を10粒ずつ播種し、温室内で育成した。2葉が展開したコムギ苗に、実施例8に準じて調製した水和剤を、有効成分濃度が500ppmになるように水で希釈し、1ポット当り10ml散布した。処理7日後に、コムギうどんこ病菌(Erysiphe graminis)の分生胞子を振りかけて接種し、接種8日後に第1葉の発病面積を調査し、表16の基準により評価した結果を表18に示した。
【0135】
【表18】

【0136】
<試験例6 キュウリべと病予防効果試験>
縦9cm×横9cmの塩化ビニール製鉢にキュウリ種子(品種:相模半白)を10粒ずつ播種し、温室内で7日間育成した。子葉が展開したキュウリ幼苗に、実施例8に準じて調製した水和剤を、有効成分濃度が500ppmになるように水で希釈し、各々1鉢当たり15mlを噴霧散布した。風乾後、キュウリべと病菌(Pseudoperonospora cubensis)の分生胞子懸濁液を噴霧接種し、直ちに20℃の湿室内に24時間入れた。その後温室内に移し、7日後にポット全体の子葉の発病面積を調査し、表16の基準により評価した。結果を表19に示した。
【0137】
【表19】

【0138】
次に、本発明の農園芸用害虫防除剤の奏する効果について試験例をあげて具体的に説明する。
【0139】
<試験例7> トビイロウンカ殺虫試験
実施例8に準じて調製した水和剤を有効成分として500ppmの濃度に水で希釈した。その薬液に、イネ芽だし籾を浸漬し、容量60mlのプラスティックカップに入れた。これにトビイロウンカ4齢幼虫を10頭放ち、蓋をして25℃の恒温室に置いた。6日後に生存虫数を数え、以下の数式2の計算式により死虫率を求めた。
【0140】
【数2】

【0141】
この試験において90以上の死虫率が得られる化合物の代表として、化合物番号2等が挙げられる。
【0142】
<試験例8> ナミハダニ防除試験
実施例8に準じて調製した水和剤を有効成分として500ppmの濃度に水で希釈した。その薬液に、予めナミハダニ成虫を接種しておいたダイズ苗を浸漬し、風乾した。処理後のダイズ苗は25℃の恒温室に置き、13日後に生存虫数を調査し、以下の数式3の計算式により防除価を求めた。
【0143】
【数3】

【0144】
この試験において90以上の防除価が得られる化合物の代表として、化合物番号7等が挙げられる。
【0145】
<試験例9>ワタアブラムシ殺虫試験
実施例8に準じて調製した水和剤を有効成分として100ppmの濃度に水で希釈した。その薬液に、予めワタアブラムシ若虫を接種しておいたキュウリ苗を浸漬し、風乾した。処理後のキュウリ苗を25℃の恒温室に置き、3日後に死虫数を調査し、前記数式3の計算式により防除価を求めた。
【0146】
この試験において90以上の防除価が得られる化合物の代表として、化合物番号2等が挙げられる。
【0147】
<試験例10> ネコブセンチュウに対する試験
本願の各化合物を1%tween20含有N,N−ジメチルホルムアミドに溶解した5%乳剤を作成した。この乳剤を有効成分として20ppmの濃度に蒸留水で希釈した。その薬液0.5mlと、サツマイモネコブセンチュウ第二期幼虫約100頭を含む懸濁液0.5mlを混合し25℃の恒温室に置いた。2日後に顕微鏡下で生存線虫数を調査し、以下の数式4の計算式により制線虫率を求めた。
【0148】
【数4】

【0149】
この試験において90%以上の制線虫活性が得られる化合物の代表として、化合物番号4、8、41、42、47、56、57、58、61、63、65等が挙げられる。
【産業上の利用の可能性】
【0150】
一般式[I]で示される本願化合物は、イネいもち病、コムギふ枯病、コムギうどんこ病、キュウリべと病等の農園芸の植物病害に対して高い防除効果を有し、更に半翅目害虫、鱗翅目害虫、鞘翅目害虫、双翅目害虫、膜翅目害虫、直翅目害虫、シロアリ目害虫、アザミウマ目害虫、ハダニ類、植物寄生性線虫類等の広範囲の有害生物に対しても優れた防除効果を示し、又、抵抗性を帯びた有害生物をも防除できる。しかも、作物に薬害を生ずることなく、残効性、耐雨性に優れるという特徴をも併せ持っているため、農園芸用病害防除剤又は農園芸用害虫防除剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式[I]
【化1】


{式中、
は、C−Cシクロアルキル基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルケニル基、C−CシクロアルキルC−Cアルキル基、C−CアルコキシC−Cアルキル基、C−CアルキルチオC−Cアルキル基、C−Cハロアルキルチオ基、−C(=Y)−R基、−C(=Y)−Y−R基、−W−C(=O)−R基、−W−Y−W−Q基、−W−Y−C(=Y)−Q基、シアノC−Cアルキル基、ニトロC−Cアルキル基又は−W−NR基を示し、
Xは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cアルコキシカルボニル基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基を示し、
Y及びYはそれぞれ独立に酸素原子又は硫黄原子を示し、
WはC−Cアルキル基を示し、
は、C−Cアルキル基、C−Cハロアルキル基又はフェニル基(該フェニル基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基で置換されてもよい)を示し、
は、C−C12アルキル基、C−Cアルケニル基、C−Cアルキニル基、C−Cシクロアルキル基、C−Cハロアルキル基、C−CアルコキシC−Cアルキル基、ベンジル基(該ベンジル基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基で置換されてもよい)又はフェニル基(該基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基で置換されてもよい)、−W−Q基を示し、
は、C−Cアルキル基、C−Cハロアルキル基、−O−W−Q基又は−NR基を示し、
及びRはそれぞれ独立に水素原子、C−Cアルキル基、C−Cアルケニル基、フェニル基(該フェニル基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基で置換されてもよい)又は−W−Q基を示し、
及びRはそれぞれ独立に水素原子又はC−Cアルキル基を示し、
Qは同一若しくは相異なってよい酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択される1個以上のヘテロ原子を有する炭素数3ないし10の複素環基(該複素環基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、C1−C6ハロアルキル基又はC1−C6ハロアルコキシ基で置換されてもよい。)を示し、
はフェニル基(該基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基で置換されてもよい)又はQを示し、
nは0から4の整数を示す}で表される1,2−ベンゾイソチアゾール誘導体又はその塩を活性成分として含有することを特徴とする農園芸用植物病害防除剤。
【請求項2】
一般式[I]
【化2】


{式中、
は、C−Cシクロアルキル基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルケニル基、C−CシクロアルキルC−Cアルキル基、C−CアルコキシC−Cアルキル基、C−CアルキルチオC−Cアルキル基、C−Cハロアルキルチオ基、−C(=Y)−R基、−C(=Y)−Y−R基、−W−C(=O)−R基、−W−Y−W−Q基、−W−Y−C(=Y)−Q基、シアノC−Cアルキル基、ニトロC−Cアルキル基又は−W−NR基を示し、
Xは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cアルコキシカルボニル基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基を示し、
Y及びYはそれぞれ独立に酸素原子又は硫黄原子を示し、
WはC−Cアルキル基を示し、
は、C−Cアルキル基、C−Cハロアルキル基又はフェニル基(該フェニル基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基で置換されてもよい)を示し、
は、C−C12アルキル基、C−Cアルケニル基、C−Cアルキニル基、C−Cシクロアルキル基、C−Cハロアルキル基、C−CアルコキシC−Cアルキル基、ベンジル基(該ベンジル基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基で置換されてもよい)又はフェニル基(該基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基で置換されてもよい)、−W−Q基を示し、
は、C−Cアルキル基、C−Cハロアルキル基、−O−W−Q基又は−NR基を示し、
及びRはそれぞれ独立に水素原子、C−Cアルキル基、C−Cアルケニル基、フェニル基(該フェニル基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基で置換されてもよい)又は−W−Q基を示し、
及びRはそれぞれ独立に水素原子又はC−Cアルキル基を示し、
Qは同一若しくは相異なってよい酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択される1個以上のヘテロ原子を有する炭素数3ないし10の複素環基(該複素環基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、C1−C6ハロアルキル基又はC1−C6ハロアルコキシ基で置換されてもよい。)を示し、
はフェニル基(該基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基で置換されてもよい)又はQを示し、
nは0から4の整数を示す}で表される1,2−ベンゾイソチアゾール誘導体又はその塩を活性成分として含有することを特徴とする農園芸用害虫防除剤。
【請求項3】
一般式[I]
【化3】


{式中、
は、C−Cシクロアルキル基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルケニル基、C−CアルコキシC−Cアルキル基、C−CアルキルチオC−Cアルキル基、C−Cハロアルキルチオ基、−C(=Y)R基、−C(=Y)−Y−R基、−W−C(=O)−R基を示し、−W−Y−W−Q基、−W−Y−C(=Y)−Q基、ニトロC−Cアルキル基又は−W−NR基を示し、
Xは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cアルコキシカルボニル基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基を示し、
Y及びYはそれぞれ独立に酸素原子又は硫黄原子を示し、
WはC−Cアルキル基を示し、
は、C−Cアルキル基、C−Cハロアルキル基又はフェニル基(該フェニル基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基で置換されてもよい)を示し、
は、C−C12アルキル基、C−Cアルケニル基、C−Cアルキニル基、C−Cシクロアルキル基、C−Cハロアルキル基、C−CアルコキシC−Cアルキル基、ベンジル基(該ベンジル基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基で置換されてもよい)又はフェニル基(該基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基で置換されてもよい)、−W−Q基を示し、
は、C−Cアルキル基、C−Cハロアルキル基、−O−W−Q基又は−NR基を示し、
及びRはそれぞれ独立に水素原子、C−Cアルキル基、C−Cアルケニル基又はフェニル基(該フェニル基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基、−NR基で置換されてもよい)又は−W−Q基を示し、
及びRはそれぞれ独立に水素原子又はC−Cアルキル基を示し、
Qは同一若しくは相異なってよい酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択される1個以上のヘテロ原子を有する炭素数3ないし10の複素環基(該複素環基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、C1−C6ハロアルキル基又はC1−C6ハロアルコキシ基で置換されてもよい。)を示し、
はフェニル基(該基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロアルキル基、C−Cハロアルコキシ基又は−NR基で置換されてもよい)又はQを示し、
nは0から4の整数を示す}で表される1,2−ベンゾイソチアゾール−1,1−ジオキシド誘導体又はその塩。
【請求項4】
請求項3記載の1,2−ベンゾイソチアゾール−1,1−ジオキシド誘導体又はその塩を活性成分として含有することを特徴とする農園芸用植物病害防除剤。
【請求項5】
請求項3記載の1,2−ベンゾイソチアゾール−1,1−ジオキシド誘導体又はその塩を活性成分として含有することを特徴とする農園芸用害虫防除剤。

【国際公開番号】WO2005/060750
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【発行日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516486(P2005−516486)
【国際出願番号】PCT/JP2004/019029
【国際出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(000000169)クミアイ化学工業株式会社 (86)
【出願人】(000102049)イハラケミカル工業株式会社 (48)
【Fターム(参考)】