説明

1,2,4−オキサジアゾール安息香酸化合物ならびにナンセンス抑制及び疾患の治療のためのその使用

【課題】中途翻訳終止又はナンセンス変異依存mRNA分解の調節によって改善される疾患を治療若しくは予防する医薬組成物および方法又は、それと関連する1つ以上の症状を改善する方法の提供。
【解決手段】下記に例示される新規な1,2,4-オキサジアゾール安息香酸化合物、1,2,4-オキサジアゾール安息香酸誘導体を使用する方法及び、1,2,4-オキサジアゾール安息香酸誘導体を含む医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
本発明は、1,2,4-オキサジアゾール安息香酸化合物、その化合物を含む組成物ならびに、これらの化合物又は組成物を投与することによるmRNAのナンセンス変異に関連する疾患を治療若しくは予防する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2.発明の背景
細胞における遺伝子発現は、転写及び翻訳の一連のプロセスに依存する。それと共に、これらのプロセスは、その対応する遺伝子のヌクレオチド配列からタンパク質を生成する。
【0003】
転写は、RNAポリメラーゼによるDNAからmRNAの合成を含む。転写は、遺伝子のプロモーター領域で始まり、例えば新生RNAにおけるステムループ構造の形成又はrho遺伝子産物の結合によって終止が誘導されるまで続く。
【0004】
次にタンパク質が、翻訳のプロセスによりmRNAから生成され、tRNA、tRNAシンセターゼ及び種々の他のタンパク質及びRNA種の助けによってリボソーム上に生じる。翻訳は、開始、伸長及び終止の3相を含む。翻訳は、タンパク質因子、mRNA、tRNA、補因子及び、mRNA上で翻訳を始めるように翻訳機械に指示するmRNA上でシグナルを認識するリボソームサブユニットからなる開始複合体の形成によって開始される。
【0005】
開始複合体が形成されたなら、リボソームのペプチジルトランスフェラーゼ活性ならびにtRNA及びtRNAシンセターゼによるアミノ酸の繰り返しの追加によって、ポリペプチド鎖の成長が生じる。リボソームのA部位における3つの終止コドン(UAA、UAG、UGA)のうちの1つの存在は、ポリペプチド鎖放出因子(RF)に終止シグナルを結合し、認識するように知らせる。その後、リボソームのP部位に位置するtRNAの3’ヌクレオチドと新生ポリペプチド鎖との間のエステル結合が加水分解される。完成したポリペプチド鎖が放出され、リボソームサブユニットが、翻訳の別の一巡のために再利用される。
【0006】
塩基の数が変えられるDNA配列の変異は、挿入又は欠失変異(フレームシフト変異)として分類され、ゲノムの主たる破壊を生じ得る。1個の塩基を別の塩基に変えるDNAの変異は、ミスセンス変異と分類され、転移(1個のプリンが別のプリンへ、又は1個のピリミジンが別のピリミジンへ)及び転換(プリンがピリミジンへ、又はピリミジンがプリンへ)の種類へと再分される。
【0007】
挿入、欠失、転移及び転換の変異は全て、ナンセンス変異又は鎖終止変異を生じ得る。ここで、塩基変異又はフレームシフト変異は、アミノ酸コドンを3つの終止コドンのうちの1つへと変える。これらの中途な終止コドンは、中途翻訳終止(premature translation termination)の結果として、細胞中に異常型タンパク質を生じ得る。必須遺伝子におけるナンセンス変異は、致命的であり得、また多数の疾患、少し例を挙げれば、例えば癌、リソソーム貯蔵障害、筋ジストロフィー、嚢胞性線維症及び血友病を生じ得る。
【0008】
ナンセンス変異を有する細菌及び真核生物株においては、tRNA分子の1つにおける変異の結果として、ナンセンス変異の抑制を生じることができ、それで変異体tRNAは、翻訳プロセスに関連するタンパク質における変異の結果として、リボソーム(リボソームRNA若しくはリボソームタンパク質)における変異の結果として、又は翻訳プロセスを変えることが知られている化合物(例えばシクロヘキシミド又はアミノグリコシド抗体)の付加によって、ナンセンスコドンを認識することができる。その結果は、アミノ酸がナンセンス変異の部位でポリペプチド鎖に組み込まれ、翻訳がナンセンスコドンで中途に終止しないことである。挿入されたアミノ酸は、野生型タンパク質の元のアミノ酸と必ずしも同じでないが、しかしながら、多数のアミノ酸置換は、タンパク質の構造又は機能に著しい効果を有することはない。かくして、ナンセンス変異の抑制によって生じたタンパク質は、野生型タンパク質の活性に近い活性を有すると思われる。この筋書きは、ナンセンス変異の抑制により翻訳の中途な終止を避けることによって、ナンセンス変異に関連する疾患を治療する機会を提供する。
【0009】
アミノグリコシド抗体の真核生物終止コドンの読み通しを促進する能力は、ナンセンス変異により引き起こされる人疾患における可能な治療剤としてこれらの薬剤に興味を引き付けた。そのような治療法が見込みがある1つの疾患は、古典的後期乳児期神経性セロイド脂褐素沈着症(classical late infantile neuronal ceroid lipofuscinosis)(LINCL)(目下有効な治療法がない、致命的小児期神経組織変性疾患)である。リソソームのトリペプチジル-ペプチダーゼ1(TPP-I)をエンコードする遺伝子CLN2における中途終止コドン変異は、LINCLを診断された子供の約半数における疾患に関連する。LINCL細胞系におけるTPP-I活性を回復する、アミノグリコシドゲンタマイシンの能力が調べられてきた。共通に見られるナンセンス変異(Arg208Stop)及び異なるまれなナンセンス変異について複合の異型接合であった一人の患者から誘導された細胞系においては、約7%の正常レベルのTPP-Iが、ゲンタマイシン治療で最大に回復された。これらの結果は、アミノグリコシド又は機能的に同様の薬剤によるナンセンス変異の薬理学的抑制は、LINCLにおける治療の可能性を有し得ることを示唆する(Sleatら、Eur. J. Ped. Neurol. 5: Suppl A 57-62 (2001))。
【0010】
嚢胞性線維症膜内外コンダクタンス調節(CFTR)遺伝子に中途終止コドンを有する培養細胞においては、アミノグリコシドでの治療は、全長CFTRの生成を導いた(Bedwellら、Nat.Med.3:1280-1284(1997);Howardら、Nat.Med.2:467-469(1996))。デュシェーヌ筋ジストロフィーについてのマウスのモデルにおいては、硫酸ゲンタマイシンは、中途終止コドンにおいて翻訳の終止を抑制し、全長ジストロフィンを生じることが観察された(Barton-Davisら、J.Clin.Invest.104:375-381(1999))。全長ジストロフィンの量の少しの増加は、mdxマウスにおいて萎縮-誘発損傷に対する保護を提供した。ナンセンスコドンの部位に挿入されたアミノ酸は、これらの研究において決定されなかった。
【0011】
ナンセンスコドンの読み違いを仲介することによる中途翻訳終止を抑制する小分子の治療法又は予防法は、多数の疾患の治療のために有用であろう。小分子の薬剤、特に経口の生物学的に利用できる薬剤の発見は、ナンセンス変異によって引起される疾患に対して使用することができる広いスペクトルの選択的治療法の導入へと至り得る。
【発明の概要】
【0012】
3. 発明の概要
本発明は、新規な化合物、新規な医薬組成物及び新規な治療法を包含する。化合物、組成物及び方法は一部、種々の疾患において役割を演じる、中途翻訳終止及び/又はナンセンス変異依存mRNA分解機構の調節に基づく。そのような疾患は、翻訳の中途な終止の結果として生じる活性タンパク質の量の減少により起こり得る。本発明の化合物は、mRNAの翻訳がナンセンス変異を過ぎて続き、全長タンパク質の製造をもたらすことを可能にする。かくして本発明は、化合物、組成物ならびに、種々の疾患、特に遺伝病を治療及び予防するための方法を包含する。
【0013】
本発明は、式I:
【化1】

【0014】
の1,2,4-オキサジアゾール安息香酸化合物又はその薬学的に許容される塩、水和物、包接化合物(clathrtes)、プロドラッグ、多形体、立体異性体(鏡像体、ジアステレオマー、ラセミ体又は立体異性体混合物を含む)を包含し、ここで、
Zは、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換の複素環、置換若しくは非置換のアリールアルキルであり;
R1は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、-(CH2CH2)nOR6又は任意の生物加水分解性基(biohydrolyzable group)であり;
R2、R3、R4、R5及びR6は独立して、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ハロゲン、CF3、OCF3、OCHF2、CN、COOH、COOR7、SO2R7、NO2、NH2又はN(R7)2であり;
各R7は独立して、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ハロゲン又はCF3であり;かつ
nは1〜7の整数である。
【0015】
関連する実施態様においては、本発明は、式II:
【化2】

【0016】
の1,2,4-オキサジアゾール安息香酸化合物又はその薬学的に許容される塩、水和物、包接化合物又は立体異性体を包含し、ここで、Zは式Iにおけるのと同義であり、Rは水素又はハロゲンである。
【0017】
本発明の好ましい実施態様においては、式I及びIIの化合物は、薬学的に許容される塩、水和物、包接化合物、プロドラッグ、多形体、生物加水分解性のエステル、ラセミ体又は、限定されないが純鏡像体及びジアステレオマーを任意的に含む精製立体異性体である。
【0018】
本発明はさらに、中途な翻訳の終止又はナンセンス変異依存mRNA分解(nonsense-mediated mRNA decay)の調節により改善される疾患を治療又は予防する方法又はそれと関連する1つ以上の症状を改善する方法であって、それを必要とする患者に治療又は予防に有効な量の式I又はIIの化合物及びその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、プロドラッグ又は多形体を投与することを含む方法を包含する。好ましい実施態様においては、疾患は、遺伝病;CNS疾患;炎症性疾患;神経組織変性疾患;自己免疫疾患;増殖疾患、特に癌;心臓血管疾患;又は肺疾患であり;より好ましくは疾患は、限定されることはないが、アミロイドーシス、LINCL、血友病、アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症、巨人症、小人症、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、嚢胞性線維症、老化、肥満、パーキンソン病、ニーマン-ピック病、嚢胞性線維症、家族性高コレステロール血症、色素性網膜炎、デュシェーヌ筋ジストロフィー又はマルファン症候群を包含する。
【0019】
本発明はさらに、遺伝病、遺伝病に関連する1つ以上の症状又は遺伝病の発現を治療若しくは予防又は改善する方法であって、それを必要とする患者に、治療若しくは予防に有効な量の式I又はIIの化合物及びその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、プロドラッグ又は多形体を投与することを含む方法を包含する。好ましい実施態様においては、疾患は、CNS疾患;炎症性疾患;神経組織変性疾患;心臓血管疾患;自己免疫疾患;癌であり、より好ましくは遺伝病は、限定されることはないが、アミロイドーシス、LINCL、血友病、アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症、巨人症、小人症、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、嚢胞性線維症、老化、肥満、パーキンソン病、ニーマン-ピック病、嚢胞性線維症、家族性高コレステロール血症、色素性網膜炎、デュシェーヌ筋ジストロフィー又はマルファン症候群を包含する。
【0020】
本発明はさらに、癌、癌に関連する1つ以上の症状又は癌の発現を治療若しくは予防又は改善する方法であって、それを必要とする患者に、治療若しくは予防に有効な量の式I又はIIの化合物及びその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、プロドラッグ又は多形体を投与することを含む方法に関する。
【0021】
好ましい実施態様においては、患者は、哺乳動物、さらに好ましくは遺伝病にかかりやすい人又は遺伝病になる危険のある人である。代替の実施態様においては、患者は、許容できるナンセンス変異スクリーニングアッセイによって対象又はそれから抽出された細胞をスクリーニングする工程を含むスクリーニング法を受けて、ナンセンス変異の存在が決定されている。関連する実施態様においては、患者がナンセンス変異スクリーニングアッセイについてスクリーニングされ、1種以上の本発明の化合物の投与によって治療されることにおいて、治療は個人化され;特に、患者は、例えば疾患のタイプ、細胞タイプ及び問題となる遺伝子に依存して、問題となる変異に特に適した化合物で治療されることができる。さらなる実施態様においては、患者は幼児又は小児である。なお別の実施態様においては、本発明は、妊娠した女性又は胎児を直接治療することを含む。
【0022】
本発明のなお好ましい実施態様においては、化合物は、非経口的に、経皮で、粘膜に、鼻に、口内に、舌下に、又は経口的に投与され、より好ましくは、化合物は経口的に投与され、最も好ましくは、化合物は、錠剤、カプセル又は液体の形態で経口的に投与される。
【0023】
本発明は、中途翻訳終止及び/又はナンセンス変異依存mRNA分解を調節するための方法を包含する。本発明はさらに、細胞における中途翻訳終止及び/又はナンセンス変異依存mRNA分解を抑制する方法であって、中途翻訳終止及び/又はナンセンス変異依存mRNA分解を示す細胞を有効量の式I又はIIの化合物と接触させることを含む方法を包含する。本発明はさらに、細胞においてナンセンス抑制を誘発するための方法であって、ナンセンス変異を示す細胞を有効量の式I又はIIの化合物と接触させることを含む方法を包含する。ナンセンスコドンは、任意のタイプの細胞のDNA又はRNAに存在することができ、自然に生じるか又は突然変異誘発から生じ得る。したがって、本発明の方法に包含される細胞は、動物細胞、哺乳動物細胞、細菌細胞、植物細胞及びウィルス感染した細胞を包含する。1つの実施態様においては、ナンセンスコドンは始原DNAに存在した。別の実施態様においては、ナンセンスコドンは突然変異誘発から生じた。
【0024】
いかなる特定の理論にも限定されることはないが、式I又はIIの化合物の、終止コドンの読み通しを促進する能力は、ナンセンス変異によって全部又は一部引き起こされる任意の疾患の治療又は予防においてそれらを有用にする。そのような疾患は、翻訳の中途な終止の結果として生成される活性たんぱく質の量の減少により生じ得る。いかなる特定の理論にも限定されることはないが、式I又はIIの化合物は、mRNAの翻訳がナンセンス変異を過ぎて続くことを可能にし、全長タンパク質の生成をもたらす。本発明の有力な態様は、式I又はIIの化合物の治療能力が必ずしも疾患特異的でないこと、その代わり、ナンセンス変異に関連する任意の疾患を治療又は予防するのに有効であることである。さらには、本発明の方法は、患者特異的であり得る。すなわち、患者はスクリーニングされて、この疾患がナンセンス変異に関連するかどうかを決定され得る。もしそうなら、患者は、本発明の化合物で治療することができる。
【0025】
式I又はIIの化合物は、遺伝病を治療又は予防するのに有用である。式I又はIIの化合物によって治療又は予防することができる遺伝病としては、癌、自己免疫疾患、血液疾患、膠原病、糖尿病、炎症性疾患又は中枢神経系疾患を包含する。
【0026】
3.1 定義
本明細書において使用されるように、「中途翻訳終止(premature translation termination)」は、アミノ酸に対応するコドンを終止コドンに変える変異の結果をいう。
【0027】
本明細書において使用されるように、「ナンセンス変異依存mRNA分解(nonsense-mediated mRNA decay)」は、中途翻訳終止コドンを含むmRNAの分解を仲介する任意のメカニズムをいう。
【0028】
本明細書において使用されるように、「中途終止コドン(premature termination codon)」又は「中途終止コドン(premature stop codon)」は、アミノ酸に対応するコドンが生じるべき場合に終止コドンが発生することをいう。
【0029】
本明細書において使用されるように、「ナンセンス変異」は、アミノ酸に対応するコドンを終止コドンに変える、点変異をいう。
【0030】
本明細書において使用されるように、「ナンセンス抑制」は、中途な翻訳及び/又はナンセンス変異依存mRNA分解の阻止又は抑制をいう。
【0031】
本明細書において使用されるように、「中途翻訳終止及び/又はナンセンス変異依存mRNA分解の調節」は、ナンセンス抑制のレベルを変えることによる遺伝子発現の調節をいう。例えば、中途な終止コドンを有する遺伝子によりエンコードされた欠陥タンパク質の生成を増加させる、すなわち疾患遺伝子の中途な終止コドンの読み通しを許し、それで遺伝子の翻訳が生じ得るのが望ましいなら、中途翻訳終止及び/又はナンセンス変異依存mRNA分解の調節は、ナンセンス抑制の上方調節を伴う。逆に、中途な終止コドンを有するmRNAの崩壊を促進するのが望ましいなら、中途翻訳終止及び/又はナンセンス変異依存mRNA分解の調節は、ナンセンス抑制の下方調節を伴う。
【0032】
本明細書において使用されるように、「患者」は、動物(例えば牛、馬、羊、豚、鶏、七面鳥、ウズラ、猫、犬、マウス、ラット、ウサギ、モルモット等)を意味し、好ましくは哺乳動物、例えば非霊長類及び霊長類(サル及び人)を意味し、最も好ましくは人を意味する。ある実施態様においては、患者は、幼児、小児、青年又は成人である。1つの実施態様においては、患者がナンセンス変異を有することが、予備スクリーニングによって決定された。別の実施態様においては、どのナンセンス変異を患者が有するか(すなわちUAA、UGA又はUAG)が予備スクリーニングによって決定された。別の実施態様においては、患者は、細菌細胞(例えばPseudomonas aeruginosa)で感染させられる。別の実施態様においては、患者の細胞がウィルス感染される。
【0033】
本明細書において使用されるように、他に特定されなければ、「置換された」という語は、1〜4個又はそれ以上の置換基で置換された基を意味し、置換基は例えばハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロオキシ、オキソ、アルカノイル、アルキルカルボニル、シクロアルキル、アリール、アリールオキシ、アラルキル、アルカノイルオキシ、シアノ、アジド、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アラルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、アミノ基上の2個の置換基がアルキル、アリール、アラルキルから選択される1置換若しくは2置換されたアミノ、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アラルカノイルアミノ、置換アルカノイルアミノ、置換アリールアミノ、置換アラルカノイルアミノ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクロチオ、アルキルチオノ、アリールチオノ、アラルキルチオノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、スルホンアミド(例えばSO2NH2)、置換スルホンアミド、ニトロ、カルボキシ、アルバミル(例えばCONH2)、置換カルバミル(例えばCONHアルキル、CONHアリール、CONHアラルキル又は、窒素上にアルキル、アリール又はアラルキルから選択される2個の置換基がある例)、アルコキシカルボニル、アリール、置換アリール、グアニジノ及びヘテロシクロ、例えばインドリル、イミダゾリル、フリル、チエニル、チアゾリル、ピロリジル、ピリジル、ピリミジル等である。ここで、先に記載したように、置換基自体がさらに置換され、そのようなさらなる置換基は、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アリール及びアラルキルからなる群より選択される。特定の実施態様においては、置換という語はシアノを意味しない。
【0034】
本明細書において使用されるように、他に特定されなければ、「アルキル」という語は、飽和直鎖若しくは分岐の非環状の、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜10個の炭素原子、最も好ましくは1〜4個の炭素原子を有する炭化水素を意味する。典型的な飽和直鎖アルキルとしては、-メチル、-エチル、-n-プロピル、-n-ブチル、-n-ペンチル、-n-ヘキシル、-n-ヘプチル、-n-オクチル、-n-ノニル及び-n-デシルを包含し;一方、飽和分岐アルキルとしては、-イソプロピル、-sec-ブチル、-イソブチル、-tert-ブチル、-イソペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、2,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルペンチル、2,4-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルヘキシル、2,4-ジメチルヘキシル、2,5-ジメチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,2-ジメチルヘキシル、3,3-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルヘキシル、4,4-ジメチルヘキシル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、2-エチルヘキシル、3-エチルヘキシル、4-エチルヘキシル、2-メチル-2-エチルペンチル、2-メチル-3-エチルペンチル、2-メチル-4-エチルペンチル、2-メチル-2-エチルヘキシル、2-メチル-3-エチルヘキシル、2-メチル-4-エチルヘキシル、2,2-ジエチルペンチル、3,3-ジエチルヘキシル、2,2-ジエチルヘキシル、3,3-ジエチルヘキシル等を包含する。アルキル基は、置換されないか、又は置換されることができる。不飽和アルキル基としては、アルケニル基及びアルキニル基を包含し、これらは以下で論じる。
【0035】
本明細書において使用されるように、他に特定されなければ、「アルケニル基」という語は、直鎖若しくは分岐の非環状の、2〜20個の炭素原子、より好ましくは2〜10個の炭素原子、最も好ましくは2〜6個の炭素原子を有し、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を含む炭化水素を意味する。典型的な直鎖及び分岐の(C2〜C10)アルケニルとしては、-ビニル、-アリル、-1-ブテニル、-2-ブテニル、-イソブチレニル、-1-ペンテニル、-2-ペンテニル、-3-メチル-1-ブテニル、-2-メチル-2-ブテニル、-2,3-ジメチル-2-ブテニル、-1-ヘキセニル、-2-ヘキセニル、-3-ヘキセニル、-1-ヘプテニル、-2-ヘプテニル、-3-ヘプテニル、-1-オクテニル、-2-オクテニル、-3-オクテニル、-1-ノネニル、-2-ノネニル、-3-ノネニル、-1-デセニル、-2-デセニル、-3-デセニル等を包含する。アルケニル基の二重結合は、別の不飽和基と共役していないか、又は共役していることができる。アルケニル基は、置換されないか、又は置換されることができる。
【0036】
本明細書において使用されるように、他に特定されなければ、「アルキニル基」という語は、直鎖若しくは分岐の非環状の、2〜20個の炭素原子、より好ましくは2〜10個の炭素原子、最も好ましくは2〜6個の炭素原子を有し、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を含む炭化水素を意味する。典型的な直鎖及び分岐の(C2〜C10)アルキニルとしては、-アセチレニル、-プロピニル、-1-ブチニル、-2-ブチニル、-1-ペンチニル、-2-ペンチニル、-3-メチル-1-ブチニル、-4-ペンチニル、-1-ヘキシニル、-2-ヘキシニル、-5-ヘキシニル、-1-ヘプチニル、-2-ヘプチニル、-6-ヘプチニル、-1-オクチニル、-2-オクチニル、-7-オクチニル、-1-ノニニル、-2-ノニニル、-8-ノニニル、-1-デシニル、-2-デシニル、-9-デシニル等を包含する。アルキニル基の三重結合は、別の不飽和基と共役していないか、又は共役していることができる。アルキニル基は、置換されないか、又は置換されることができる。
【0037】
本明細書において使用されるように、他に特定されなければ、「ハロゲン」又は「ハロ」という語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。
【0038】
本明細書において使用されるように、他に特定されなければ、「アルキルスルホニル」という語は、-アルキル-SO3H又は-SO3-アルキルを意味し、ここでアルキルは先と同様に定義され、-SO2-CH3、-SO2-CH2CH3、-SO2-(CH2)2CH3、-SO2-(CH2)3CH3、-SO2-(CH2)4CH3、-SO2-(CH2)5CH3等を包含する。
【0039】
本明細書において使用されるように、他に特定されなければ、「カルボキシル」又は「カルボキシ」という語は、-COOHを意味する。
【0040】
本明細書において使用されるように、他に特定されなければ、「アルコキシ」という語は-O-(アルキル)を意味し、ここでアルキルは先と同様に定義され、-OCH3、-OCH2CH3、-O(CH2)2CH3、-O(CH2)3CH3、-O(CH2)4CH3、-O(CH2)5CH3等を包含する。
【0041】
本明細書において使用されるように、他に特定されなければ、「アルコキシカルボニル」という語は、-C(=O)O-(アルキル)を意味し、ここでアルキルは先と同様に定義され、-C(=O)O-CH3、-C(=O)O-CH2CH3、-C(=O)O-(CH2)2CH3、-C(=O)O-(CH2)3CH3、-C(=O)O-(CH2)4CH3、-C(=O)O-(CH2)5CH3等を包含する。好ましい実施態様においては、エステルは生物加水分解性である(すなわち、in vitro又はin vivoでエステルが加水分解されてカルボン酸になる)。
【0042】
本明細書において使用されるように、他に特定されなければ、「アルコキシアルキル」という語は、-(アルキル)-O-(アルキル)を意味し、ここで各「アルキル」は独立して先に定義されたアルキル基であり、-CH2OCH3、-CH2OCH2CH3、-(CH2)2OCH2CH3、-(CH2)2O(CH2)2CH3等を包含する。
【0043】
本明細書において使用されるように、他に特定されなければ、「アリール」という語は、5〜14個の環原子を含む、炭素環の芳香族環を意味する。炭素環のアリール基の環原子は全て炭素原子である。アリール環構造は、1個以上の環構造を有する化合物、例えば単環、2環又は3環の化合物ならびにベンゾ-縮合した炭素環部分、たとえば5,6,7,8-テトラヒドロナフチル等を含む。好ましくはアリール基は、単環又は2環である。典型的なアリール基としては、フェニル、トリル、アントラセニル、フルオレニル、インデニル、アズレニル、フェナントレニル及びナフチルを包含する。炭素環アリール基は、置換されないか、又は置換されることができる。
【0044】
本明細書において使用されるように、他に特定されなければ、「ヘテロアリール」という語は、5〜14個の環原子を含み、環原子は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは1〜3個のヘテロ原子を含む、炭素環芳香族環を意味する。ヘテロアリール環構造は、1個以上の環構造を有する化合物、例えば単環、2環又は3環の化合物ならびに縮合した複素環部分を含む。典型的なヘテロアリールは、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、ピリジル、フリル、ベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、キノリニル、ピロリル、インドリル、オキサゾリル、ベンズオキサゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ベンゾキナゾリニル、アクリジニル、ピリミジル、及びオキサゾリルである。基は置換されないか、又は置換されることができる。
【0045】
本明細書において使用されるように、他に特定されなければ、「アリールオキシ」という語は-O-アリール基を意味し、ここでアリールは先に定義したのと同様である。アリールオキシ基は置換されないか、又は置換されることができる。
【0046】
本明細書において使用されるように、他に特定されなければ、「アリールアルキル」という語は-(アルキル)-(アリール)を意味し、ここでアルキル及びアリールは先と同様に定義され、限定されることはないが、-(CH2)-フェニル、-(CH2)2-フェニル、-(CH2)3-フェニル、-CH(フェニル)2、-CH(フェニル)3、-(CH2)-トリル、-(CH2)-アントラセニル、-(CH2)-フルオレニル、-(CH2)-インデニル、-(CH2)-アズレニル、-(CH2)- ナフチル等を包含する。
【0047】
本明細書において使用されるように、他に特定されなければ、「ヘテロアリールアルキル」という語は-(アルキル)-(ヘテロアリール)を意味し、ここでアルキル及びヘテロアリールは先と同様に定義され、限定されることはないが、-(CH2)-ピリジル、-(CH2)2-ピリジル、-(CH2)3-ピリジル、-CH(ピリジル)2、-C(ピリジル)3、-(CH2)-トリアゾリル、-(CH2)-テトラゾリル、-(CH2)-オキサジアゾリル、-(CH2)-フリル、-(CH2)-ベンゾフラニル、-(CH2)-チオフェニル、-(CH2)-ベンゾチオフェニル等を包含する。
【0048】
本明細書において使用されるように、他に特定されなければ、「アリールアルキルオキシ」という語は-O-(アルキル)-(アリール)を意味し、ここでアルキル及びアリールは先と同様に定義され、限定されることはないが、-O-(CH2)2-フェニル、-O-(CH2)3-フェニル、-O-CH(フェニル)2、-O-CH(フェニル)3、-O-(CH2)-トリル、-O-(CH2)-アントラセニル、-O-(CH2)-フルオレニル、-O-(CH2)-インデニル、-O-(CH2)-アズレニル、-O-(CH2)- ナフチル等を包含する。
【0049】
本明細書において使用されるように、他に特定されなければ、「シクロアルキル」という語は、単環若しくは多環の、炭素原子及び水素原子を含み、炭素-炭素多重結合を有していない飽和環を意味する。シクロアルキル基は、置換されないか、又は置換されることができる。シクロアルキル基の例としては、限定されることはないが、(C3〜C7)シクロアルキル基を包含し、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルならびに、飽和環状及び2環のテルペンを包含する。シクロアルキル基は、置換されないか、又は置換されることができる。好ましくはシクロアルキル基は、単環又は2環である。
【0050】
本明細書において使用されるように、他に特定されなければ、「複素環式」という語は、炭素原子及び水素原子を含み、任意的に1〜4個の多重結合を有する単環若しくは多環を意味し、環原子は、窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは1〜3個のヘテロ原子を含む。複素環式環構造は、1個以上の環構造を有する化合物、例えば単環、2環若しくは3環の化合物を包含する。好ましくは複素環式基は、単環若しくは2環である。典型的な複素環としては、限定されることはないが、モルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル等を包含する。複素環式環は、置換されないか、又は置換されることができる。
【0051】
本明細書において使用されるように、他に特定されなければ、「シクロアルキルオキシ」という語は、-O-(シクロアルキル)を意味し、シクロアルキルは先に定義されている。
【0052】
本明細書において使用されるように、他に特定されなければ、「シクロアルキルアルキルオキシ」という語は、-O-(アルキル)-(シクロアルキル)を意味し、シクロアルキル及びアルキルは先に定義されており、限定されることはないが、-O-(シクロプロピル)、-O-(シクロブチル)、-O-(シクロペンチル)、-O-(シクロヘキシル)、-O-(シクロヘプチル)等を包含する。
【0053】
本明細書において使用されるように、他に特定されなければ、「アミノアルコキシ」という語は、-O-(アルキル)-NH2を意味し、アルキルは先に定義されており、限定されることはないが、-O-CH2-NH2、-O-(CH2)2-NH2、-O-(CH2)3-NH2、-O-(CH2)4-NH2、-O-(CH2)5-NH2等を包含する。
【0054】
本明細書において使用されるように、他に特定されなければ、「アルキルアミノ」という語は、-NH(アルキル)又は-N(アルキル)(アルキル)を意味し、ここでアルキルは先に定義されており、限定されることはないが、-NHCH3、-NHCH2CH3、-NH(CH2)2CH3、-NH(CH2)3CH3、-NH(CH2)4CH3、-NH(CH2)5CH3、-N(CH3)2、-N(CH2CH3)2、-N((CH2)2CH3)2、-N(CH3) (CH2CH3)等を包含する。
【0055】
本明細書において使用されるように、他に特定されなければ、「アリールアミノ」という語は、-NH(アリール)を意味し、ここでアリールは先に定義されており、限定されることはないが、-NH(フェニル)、-NH(トリル)、-NH(アントラセニル)、-NH(フルオレニル)、-NH(インデニル)、-NH(アズレニル)、-NH(ピリジニル)、-NH(ナフチル)等を包含する。
【0056】
本明細書において使用されるように、他に特定されなければ、「アリールアルキルアミノ」という語は、-NH(アルキル)-(アリール)を意味し、ここでアルキル及びアリールは先に定義されており、-NH- CH2-(フェニル)、-NH- CH2-(トリル)、-NH- CH2-(アントラセニル)、-NH- CH2-(フルオレニル)、-NH- CH2-(インデニル)、-NH- CH2-(アズレニル)、-NH- CH2-(ピリジニル)、-NH- CH2-(ナフチル)、-NH- (CH2)2-(フェニル)等を包含する。
【0057】
本明細書において使用されるように、他に特定されなければ、「シクロアルキルアミノ」という語は、-NH(シクロアルキル)を意味し、ここでシクロアルキルは先に定義されており、- NH-シクロプロピル、- NH -シクロブチル、- NH -シクロペンチル、- NH -シクロヘキシル、- NH -シクロヘプチル等を包含する。
【0058】
本明細書において使用されるように、他に特定されなければ、「アミノアルキル」という語は、-(アルキル)-NH2を意味し、ここでアルキルは先に定義されており、-CH2-NH2、-(CH2)2-NH2、-(CH2)3-NH2、-(CH2)4-NH2、-(CH2)5-NH2等を包含する。
【0059】
-シクロペンチル、- NH -シクロヘキシル、- NH -シクロヘプチル等を包含する。
【0060】
本明細書において使用されるように、他に特定されなければ、「アルキルアミノアルキル」という語は、-(アルキル)-NH-(アルキル)又は-(アルキル)-N-(アルキル)(アルキル)を意味し、各「アルキル」は独立して、先に定義されたアルキル基であり、-CH2-NH-CH3、-CH2-NHCH2CH3
-CH2-NH(CH2)2CH3、-CH2-NH(CH2)3CH3、-CH2-NH(CH2)4CH3、-CH2-NH(CH2)5 CH3、-(CH2)2-NH-CH3、-CH2-N(CH3)2、-CH2-N(CH2CH3)2、-CH2-N((CH2)2CH3)2、-CH2-N(CH3)(CH2CH3)、-(CH2)2-N(CH3)2等を包含する。
【0061】
本明細書において使用されるように、「治療に有効な量」は、疾患の治療若しくは管理における治療上の利益を提供するか、又は疾患に関連する症状を遅らせるか若しくは最小にするのに十分な、本発明の化合物又は他の活性成分の量をいう。さらには、本発明の化合物に関して治療に有効な量は、治療剤単独又は他の治療との組合せでの、疾患の治療若しくは管理における治療上の利益を提供する量を意味する。本発明の化合物の量に関連して使用されるなら、その語は、治療全体を改善するか、疾患の症状若しくは原因を減らす若しくは回避するか、又は別の治療剤の治療の効力又は別の治療剤との相乗効果を高める量を包含し得る。
【0062】
本明細書において使用されるように、「予防に有効な量」は、疾患の再発又は広がりの予防を生じるのに十分な本発明の化合物又は他の活性成分の量をいう。予防に有効な量は、患者(限定されないが、疾患に罹りやすくされた人を含む)における初期の疾患、又は疾患の再発若しくは広がり、又は疾患の発生を予防するのに十分な量をいうことができる。予防に有効な量はまた、疾患の予防において予防的利益を提供する量をいうことができる。さらには、本発明の化合物に関して予防に有効な量は、単独又は他の剤との組合せで、疾患の予防において予防的利益を提供する量を意味する。本発明の化合物の量に関連して使用されるなら、その語は、予防全体を改善するか、又は別の予防剤の予防効力又は別の予防剤との相乗効果を高める量を包含し得る。
【0063】
本明細書において使用されるように、「治療プロトコール」は、1種以上の治療剤のタイミング及び投与量の管理プログラム(regimen)をいう。
【0064】
本明細書において使用されるように、「予防プロトコール」は、1種以上の予防剤のタイミング及び投与量の管理プログラムをいう。
【0065】
本明細書において使用されるように、「プロトコール」は、投与スケジュール及び投与量の管理プログラムを包含する。
【0066】
本明細書において使用されるように、「組合せて」は、1種より多い予防及び/又は治療剤の使用をいう。
【0067】
本明細書において使用されるように、「管理する」、「管理すること」及び「管理」という語は、対象が予防剤又は治療剤に由来する有益な効果をいい、これは疾患の治癒を生じない。ある実施態様においては、対象は、疾患の進行又は悪化を防ぐように、疾患を「管理する」ために、1種以上の予防剤又は治療剤を投与される。
【0068】
本明細書において使用されるように、「予防する」、「予防すること」及び「予防」という語は、予防剤又は治療剤の投与から生じる、対象における疾患の開始、再発又は広がりの防止をいう。
【0069】
本明細書において使用されるように、「治療する」、「治療すること」及び「治療」という語は、疾患又は疾患に関連する症状の根絶又は改善をいう。ある実施態様においては、そのような語は、そのような疾患を有する患者への1種以上の予防剤又は治療剤の投与から生じる、疾患の広がり又は悪化を最小にすることをいう。
【0070】
本明細書において使用されるように、「薬学的に許容される塩」という語は、薬学的に許容される非毒性の酸又は塩基から製造される塩をいい、酸又は塩基は、無機酸及び無機塩基ならびに有機酸及び有機塩基を包含する。本発明の化合物について適当な薬学的に許容される塩基付加塩としては、限定されることはないが、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛から作られる金属塩又は、リシン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)及びプロカインから作られる有機塩が包含される。適当な非毒性の酸としては、限定されることはないが、無機酸及び有機酸、例えば酢酸、アルギン酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、蟻酸、フマル酸、フル酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グリコール酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パム(pamoic)酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、硫酸、酒石酸及びp-トルエンスルホン酸を包含する。特定の非毒性の酸としては、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及びメタンスルホン酸を含む。特定の塩の例はかくして、塩酸塩及びメシレート塩を包含する。塩の他の例は、当技術分野でよく知られている。例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences, 第18版、Mack Publishing, Easton PA (1990)参照。
【0071】
本明細書において使用されるように、他に示されなければ、「プロドラッグ」という語は、生物学的条件下(in vitro又はin vivo)で、加水分解、酸化又はさもなければ反応して、活性化合物、特に本発明の化合物を提供することができる化合物の誘導体を意味する。プロドラッグの例としては、限定されることはないが、生物加水分解性の部分、例えば生物加水分解性のアミド、生物加水分解性のエステル、生物加水分解性のカルバメート、生物加水分解性のカーボネート、生物加水分解性のウレイド及び生物加水分解性のホスフェート類似体を含む本発明の化合物の誘導体及び代謝産物を包含する。好ましくは、カルボキシル官能基を有する化合物のプロドラッグは、カルボン酸の低級アルキルエステルである。カルボキシレートエステルは、分子に存在する任意のカルボン酸部分をエステル化することによって、便利に形成される。プロドラッグは典型的には、よく知られた方法、例えばBurger’s Medicinal Chemistry and Drug Discovery 第6版(Donald J. Abraham編、2001、Wiley)及びDesign and Application of Prodrugs(H. Bundgaad編、1985、Harwood Academic Publishers Gmfh)に記載された方法を用いて製造することができる。
【0072】
本明細書において使用されるように、他に示されなければ、「生物加水分解性(biohydrolyzable)アミド」、「生物加水分解性のエステル」、「生物加水分解性のカルバメート」、「生物加水分解性のカーボネート」、「生物加水分解性のウレイド」及び「生物加水分解性のホスフェート」という語は、1) 化合物の生物学的活性を妨げないが、in vivoで有利な特性、例えば摂取、作用の持続又は作用の開始をその化合物に与えることができるか;又は2) 生物学的に不活性であるが、in vivoで生物学的に活性な化合物へと転化される化合物のそれぞれアミド、エステル、カルバメート、カーボネート、ウレイド又はホスフェートを意味する。生物加水分解性のエステルの例としては、限定されることはないが、低級アルキルエステル、アルコキシアシルオキシエステル、アルキルアシルアミノアルキルエステル及びコリンエステルを包含する。生物加水分解性アミドの例としては、限定されることはないが、低級アルキルアミド、α-アミノ酸アミド、アルコキシアシルアミド及びアルキルアミノアルキルカルボニルアミドを包含する。生物加水分解性のカルバメートの例としては、限定されることはないが、低級アルキルアミン、置換エチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、複素環及びヘテロ芳香族アミンならびにポリエーテルアミンを包含する。
【0073】
本明細書において使用されるように、他に示されなければ、「光学的に純粋な」又は「立体異性的に(stereomerically)純粋な」という語は、その化合物の他の立体異性体を実質的に含まない化合物の立体異性体を意味する。例えば、1個のキラル中心を有する立体異性的に純粋な化合物は、その化合物の反対の鏡像体を実質的に含まない。2個のキラル中心を有する立体異性的に純粋な化合物は、その化合物の他のジアステレオマーを実質的に含まない。典型的な立体異性的に純粋な化合物は、約80重量%より多いその化合物の1個の立体異性体及び約20重量%未満のその化合物の他の立体異性体を含み、より好ましくは、約90重量%より多いその化合物の1個の立体異性体及び約10重量%未満のその化合物の他の立体異性体を含み、なおさらに好ましくは、約95重量%より多いその化合物の1個の立体異性体及び約5重量%未満のその化合物の他の立体異性体を含み、最も好ましくは、約97重量%より多いその化合物の1個の立体異性体及び約3重量%未満のその化合物の他の立体異性体を含む。
【0074】
本明細書において使用されるように、他に示されなければ、「鏡像体的に純粋な」という語は、1個のキラル中心を有する化合物の立体異性的に純粋な組成を意味する。
【0075】
示された構造とその構造に与えられた名称との間に不一致があるなら、示された構造がより重く認容されるべきであることを注意すべきである。加えて、構造又は構造の一部の立体化学が、例えば太字又は破線で示されていないなら、構造又は構造の一部は、その全ての立体異性体を包含するものと解釈されるべきである。
【0076】
4. 発明の詳細な説明
4.1 本発明の化合物
本発明は、式I:
【化3】

【0077】
の1,2,4-オキサジアゾール安息香酸化合物又はその薬学的に許容される塩、水和物、包接化合物、プロドラッグ、多形体、立体異性体(鏡像体、ジアステレオマー、ラセミ体又は立体異性体混合物を含む)を包含し、ここで、
Zは、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換の複素環、置換若しくは非置換のアリールアルキルであり;
R1は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、-(CH2CH2)nOR6又は任意の生物加水分解性基であり;
R2、R3、R4、R5及びR6は独立して、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ハロゲン、CF3、OCF3、OCHF2、CN、COOH、COOR7、SO2R7、NO2、NH2又はN(R7)2であり;
各R7は独立して、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ハロゲン又はCF3であり;かつ
nは1〜7の整数である。
【0078】
代替の実施態様においては、本発明は、R1、R2、R3、R4及びR5が水素であり、かつZがメチル、2-カルボキシエチル、3-(4-ピリジニル)プロピル又は2-(4-ピペリジニル)エチルではない、式Iの化合物を包含する。
【0079】
好ましい実施態様においては、本発明は、R1がHである式Iの化合物を包含する。
【0080】
好ましい実施態様においては、本発明は、R1がH以外の任意の生物加水分解性の基である式Iの化合物を包含する。
【0081】
関連する実施態様においては、本発明は、式II:
【化4】

【0082】
の1,2,4-オキサジアゾール安息香酸化合物又はその薬学的に許容される塩、水和物、包接化合物又は立体異性体を包含し、Zは置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換の複素環、置換若しくは非置換のアリールアルキルであり;かつRは水素又はハロゲンである。
【0083】
1つの実施態様においては、Rはハロゲン、フッ素である。好ましい実施態様においては、Rは水素である。
【0084】
好ましい実施態様においては、本発明は、式I又はIIの化合物を包含し、ここで、Zは、p-トリル;(4-クロロメチル-フェニル);(2-クロロ-ピリジン-3-イル);(2-フルオロフェニル);(3,4-ジフルオロ-フェニル);(4-メトキシ-フェニル);ベンゾ[1,3]ジオキソール-イル;(4-エチル-フェニル);o-トリル;(2-クロロ-フェニル);(3-メチル-チオフェン-2-イル);ベンゾ[b] チオフェン-2-イル;(3-フルオロフェニル);(4-tert-ブチルフェニル);(2-メトキシフェニル);(2,-ジフルオロフェニル);チオフェン-2-イル;(2,4-ジフルオロフェニル);(3-クロロ-フェニル);m-トリル;(4-トリフルオロメチル-フェニル);(4-フルオロフェニル);(3-メトキシフェニル);フェニル;(2,6-ジフルオロフェニル);(2,-ジメチル-フラン-3-イル);(4-ピロール-1-イル-フェニル);(3-ジメチルアミノ-フェニル);ビフェニル-4-イル;(4-ジメチルアミノ-フェニル);ベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-イル;m-トリル;(2-トリフルオロメチル-フェニル);(6-クロロ-ピリジン-3-イル);(3,ビス-トリフルオロメチル-フェニル);フラン-2-イル;(4-ニトロ-フェニル);(3,4-ジメトキシ-フェニル);(3-トリフルオロメトキシ-フェニル);ナフタレン-1-イル;シクロヘキシル;ピリジン-3-イル;ピリジン-4-イル;シクロペンチル;シクロプロピル;(4-ペンチルオキシ-フェニル);(3,4-トリメトキシ-フェニル);(4-イソブチル-フェニル);シクロブチル;(1-アセチル-ピペリジン-4-イル);イソオキサゾール-イル;[2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-メチル-イソオキサゾール-4-イル]又は[2-クロロ-フェニル)-メチル-イソオキサゾール-4-イル]であり;さらに好ましくは、Zは(3-フルオロ-フェニル)であり;さらに好ましくは、Zは(4-フルオロ-フェニル)であり;なおさらに好ましくは、Zは(2-フルオロ-フェニル)である。
【0085】
特定の実施態様においては、本発明は、Zが4-シアノ-フェニルではない式I又はIIの化合物を包含する。
【0086】
本発明の好ましい実施態様は、限定されることはないが、以下の化合物ならびに、その薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、包接化合物及び立体異性体を包含する:
3-(5-p-トリル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-[5-(4-クロロメチル-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(2-クロロ-ピリジン-3-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(3,4-ジフルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(4-メトキシ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-(5-ベンゾ-[1,3]ジオキソール-5-イル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-[5-(4-エチル-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-(5-o-トリル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-[5-(2-クロロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(3-メチル-チオフェン-2-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-(5-ベンゾ-[b]チオフェン-2-イル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-[5-(3-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(4-tert-ブチル-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(2-メトキシ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(2,5-ジフルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-(5-チオフェン-2-イル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-[5-(2,4-ジフルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(3-クロロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-(5-m-トリル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-[5-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(4-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(3-メトキシ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-(5-フェニル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-[5-(2,6-ジフルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(2,5-ジメチル-フラン-3-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(4-ピロール-1-イル-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(3-ジメチルアミノ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-(5-ビフェニル-4-イル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-[5-(4-ジメチルアミノ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-(5-ベンゾ-[1,2,5]オキサジアゾール-5-イル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-(5-m-トリル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-[5-(2-トリフルオロメチル-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(6-クロロ-ピリジン-3-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(3,5-ビス-トリフルオロメチル-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-(5-フラン-2-イル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-[5-(4-ニトロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(3,4-ジメトキシ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(3-トリフルオロメトキシ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-(5-ナフタレン-1-イル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-(5-シクロヘキシル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-(5-ピリジン-3-イル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-(5-ピリジン-4-イル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-(5-シクロペンチル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-(5-シクロプロピル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-[5-(4-ペンチルオキシ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(3,4,5-トリメトキシ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(4-イソブチル-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-(5-シクロブチル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-[5-(1-アセチル-ピぺリジン-4-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-(5-イソオキサゾール-5-イル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-{5-[3-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-5-メチル-イソオキサゾール-4-イル]-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル}-安息香酸;
3-(5-イソプロピル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-(5-tert-ブチル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-(5-ブチル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-(5-プロペニル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-[5-(4-クロロ-ベンジル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(4-クロロ-フェノキシメチル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-(5-ベンジル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-(5-メトキシメチル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-[5-(1-フェニル-プロピル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(4-フルオロ-ベンジル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(3-クロロ-フェノキシメチル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(6-クロロ-ピリジン-3-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-(5-シクロペンチルメチル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-[5-(4-メトキシ-ベンジル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(2,3-ジフルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(2-フルオロ-5-メチル-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(2-メチルスルファニル-ピリジン-3-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(2,2-ジフルオロ-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
4-フルオロ-3-[5-(4-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
2-フルオロ-5-[5-(4-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(4-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(3-フルオロ-ビフェニル-4-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-{5-[3-(2-クロロ-フェニル)-5-メチル-イソオキサゾール-4-イル]-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル}-安息香酸;
3-[5-(4-シアノ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸ナトリウム塩;
3-[5-(4-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸メチルエステル;
5-[5-(4-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-2-メトキシ-安息香酸;
3-[5-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(3-フルオロ-ビフェニル-4-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(6-ピロリジン-1-イル-ピリジン-3-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(3,4,5,6-テトラヒドロ-2H-[1,2’]ビピリジニル-5’-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(2-フルオロ-6-ヒドロキシ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸メチルエステル;
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸2-メトキシ-エチルエステル;
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸2-(2-メトキシ-エトキシ)-エチルエステル;
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸2-[2-(2-メトキシ-エトキシ)-エトキシ]-エチルエステル;
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸2-{2-[2-(2-メトキシ-エトキシ)-エトキシ]-エトキシ}-エチルエステル;
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸2-(2-{2-[2-(2-メトキシ-エトキシ)-エトキシ]-エトキシ}-エトキシ)-エチルエステル;
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸2-[2-(2-{2-[2-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-エトキシ]-エトキシ}-エトキシ)-エトキシ]-エチルエステル;
3-[5-(4-アミノ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(4-アジド-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;及び
3-[5-(4-ベンジルオキシ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸。
【0087】
式I及びIIの化合物ならびに先に挙げた化合物は、本明細書において「本発明の化合物」と称される。典型的な本発明の化合物は、以下の表1に示される。
【表1】

【0088】

【0089】

【0090】

【0091】

【0092】

【0093】

【0094】

【0095】

【0096】

【0097】

【0098】

【0099】

【0100】

【0101】

【0102】

【0103】

【0104】

【0105】

【0106】

【0107】
表1における活性測定は、293Tヒト胎児腎臓細胞において安定にトランスフェクトされたUGA中途終止コドンを含むルシフェラーゼリポーター構築物を含む、細胞に基づくルシフェラーゼリポーターッセイ(セクション4.2に記載されている)で行なった。中途終止コドンの読み通しを可能にすることが知られている、小分子の3-[3-(4-イソプロピル-フェニル)-2,5-ジオキソ-イミダゾリジン-1-イル]-安息香酸が、内部標準として使用された。活性測定は、細胞中で与えられたタンパク質を製造するのに必要とされる化合物の最小濃度(効能(potency))と、細胞により製造されるタンパク質の最大量(効力(efficacy))との間の質的相関関係に基づく。効能及び効力の活性は、極めて高い、非常に高い又は有意であるとしてランク付けされる。これらの活性の組合せが使用されて、活性のランク付けが決定される。タンパク質合成の極めて高い効能及びきわめて高い効力の両方を有することが分かった化合物は、「*****」と分類される。タンパク質合成の極めて高い効能及び非常に高い効力を有することが分かった化合物は、「****」と分類された。タンパク質合成の非常に高い効能及び極めて高い効力を有することが分かった化合物は、「****」と分類された。タンパク質合成の非常に高い効能及び非常に高い効力を有することが分かった化合物は、「***」と分類される。タンパク質合成の非常に高い効能及び有意の効力を有することが分かった化合物は、「**」と分類された。タンパク質合成の有意の効能及び非常に高い効力を有することが分かった化合物は、「**」と分類された。同様に、タンパク質合成の有意の効能及び有意の効力を有することが分かった化合物は、「*」と分類される(以下の表参照)。
【表2】

【0108】
タンパク質合成の、又は細胞に基づくルシフェラーゼアッセイにおける、有意より小さい効能又は効力を有する化合物は、星印なしと分類された。それにもかかわらず、これらの化合物は、本発明のin vivo法において有用性を有すると考えられる。
【0109】
本発明は、本発明の化合物のin vivo又はin vitroの使用ならびに、本発明の化合物の、種々の疾患及び障害の治療及び予防において有用な医薬組成物及び1単位投与剤型への組み込みを包含する。特定の疾患及び障害は、メッセンジャーRNAにおけるナンセンス変異の抑制によって改善されるものを含む。
【0110】
本発明の化合物又はその薬学的に許容される多形体、プロドラッグ、塩、包接化合物、溶媒和物又は水和物を含む本発明の投与形態(投与剤型)を含む医薬組成物は、本発明の方法において使用することができる。
【0111】
理論により限定されることはないが、本発明の化合物は、中途な翻訳の終止及び/又はナンセンス変異依存mRNA分解を調節することができると考えられる。したがって、本発明の第1の実施態様は、中途な翻訳の終止及び/又はナンセンス変異依存mRNA分解を調節する方法であって、ナンセンス変異を示す細胞を、有効量の本発明の化合物又は薬学的に許容されるそのプロドラッグ、代謝産物、多形体、塩、溶媒和物、水和物又は包接化合物と接触させることを含む方法に関する。特定の実施態様においては、本発明は、ナンセンス抑制を誘発する方法であって、ナンセンス変異を示す細胞を、有効量の本発明の化合物又は薬学的に許容されるそのプロドラッグ、代謝産物、多形体、塩、溶媒和物、水和物又は包接化合物と接触させることを含む方法に関する。
【0112】
4.2 生物学的アッセイ及び動物研究
中途な翻訳の終止及び/又はナンセンス変異依存mRNA分解を調節する化合物は、多数の技術によって同定することができる。例えば、中途な翻訳終止コドンを有する任意の遺伝子の転写後発現を調節する化合物をスクリーニングする方法は、国際公開第WO 01/44516 A2に記載されており、これは、引用することによりその全部が本明細書に組み入れられる。好ましい実施態様においては、中途な終止コドンを有するmRNAは、in vitroで翻訳され、試験化合物のライブラリーをスクリーニングするのに使用される。好ましい実施態様においては、中途な終止コドンを有するmRNAは、中途な終止コドンを有するリポーター遺伝子である。
【0113】
ナンセンス抑制を促進する小分子を同定する高処理量のスクリーンでの使用のために、2つのアッセイが展開された。各アッセイは、それが機能的なリポーター遺伝子アッセイであり(タンパク質が機能的であるなら、光がかろうじて生成される)、極めて敏感である(光強度は、nM範囲のルシフェラーゼ濃度に比例する)ので、ルシフェラーゼを使用した。第1のアッセイは、細胞に基づくルシフェラーゼリポーターアッセイであり、第2のアッセイは、ウサギの網状赤血球溶解物及びナンセンス含有ルシフェラーゼリポーターmRNAからなる生化学アッセイである。細胞に基づくアッセイにおいては、UGA中途終止コドンを含むルシフェラーゼリポーター構築物が、293T人胎児の腎臓細胞において安定にトランスフェクトされた。生化学アッセイにおいては、UGA中途終止コドンを含むmRNAが、tRNA、ヘミン、クレアチンキナーゼ、アミノ酸、KOAc、Mg(OAc)2及びクレアチンリン酸を追加されたウサギの網状赤血球溶解物を用いたin vitro翻訳反応においてリポーターとして使用された。mRNAの翻訳は、ウィルス誘導リーダー配列内で開始され、これは、キャップRNAを必要としないので、アッセイの費用を有意に減らした。合成mRNAは、T7プロモーター及びMegaScript in vitro転写キット(Ambion)を用いて、in vitroで製造された。生化学アッセイ及び細胞に基づくアッセイの両方において、中途な終止コドンの読み通しを可能にすることが知られている小分子の3-[3-(4-イソプロピル-フェニル)-2,5-ジオキソ-イミダゾリジン-1-イル]-安息香酸の添加は、ルシフェラーゼ活性の増加をもたらし、したがって、内部標準として使用された。
【0114】
動物モデル系をまた使用して、式I又はIIの化合物の安全性及び効力を証明することができる。式I又はIIの化合物は、興味ある疾患、状態又は症状について動物モデルを用いて生物学的活性について試験することができる。これらは、機能的リードアウト系に結合された標的RNA要素を含むように操作された動物、例えばトランスジェニックマウスを包含する。
【0115】
嚢胞性線維症についての動物モデルの例としては、限定されることはないが、cftr(-/+)マウス(例えばFreedmanら、2001、Gastroenterology 121(4):950-7参照)、cftr(tm1HGU/tm1HGU)マウス(例えばBernhardら、2001、Exp. Lung Res 27(4):349-66参照)、欠損cAMP-仲介Cl(-)コンダクタンスを有するCFTR-欠失マウス(例えばStotlandら、2000、Pediatr Pulmonol 30(5):413-24参照)及びC57BL/6-Cftr(m1UNC)/ Cftr(m1UNC)ノックアウトマウス(例えばStotlandら、2000、Pediatr Pulmonol 30(5):413-24参照)を包含する。
【0116】
筋ジストロフィーについての動物モデルの例としては、限定されることはないが、マウス、ハムスター、猫、犬及びC.elegansを包含する。筋ジストロフィーについてのマウスモデルの例としては、限定されることはないが、dy-/-マウス(例えばConnollyら、2002、J. Neuroimmunol 127(1-2):80-7参照)、筋炎を有する筋ジストロフィー(mdm)マウス変異体(例えばGarveryら、2002、Genomics 79(2):146-9参照)、mdxマウス(例えばNakamuraら、2001、Neuromuscul Disord 11(3):251-9参照)、ウトロフィン(utrophin)-ジストロフィン(dystrophin)ノックアウト(dko)マウス(例えばNakamuraら、2001、Neuromuscul Disord 11(3):251-9参照)、dy/dyマウス(例えばDubowitzら、2000、Neuromuscul Disord 10(4-5):292-8参照)、mdx(Cv3)マウスモデル(例えばPillersら1999、Laryngoscope 109(8):1310-2参照)及びミオトニーADR-MDX変異体マウス(例えばKramerら、1998、Neuromuscul Disord 8(8):542-50参照)を包含する。筋ジストロフィーについてのハムスターモデルの例としては、限定されることはないが、ザルコグリカン(sarcoglycan)-欠損ハムスター(例えばNakamuraら、2001、Am J Physiol Cell Physiol 281(2):C690-9参照)及びBIO14.6ジストロフィーハムスター(例えばSchlenker&Burbach、1991、J Appl Physiol 71(5):1655-62参照)を包含する。筋ジストロフィーについての猫モデルの例としては、限定されることはないが、肥大猫筋ジストロフィーモデル(例えばGaschen&Burgunder、2001、Acta Neuropathol (Berl) 101(6):591-600参照)を包含する。筋ジストロフィーについての犬モデルとしては、限定されることはないが、ゴールデンレトリーバー筋ジストロフィー(例えばFletcherら、2001、Neuromuscul Disord 11(3):239-43参照)及び犬X連鎖筋ジストロフィー(例えばValentineら、1992、Am J Med Genet 42(3):352-6参照)を包含する。筋ジストロフィーについてのC.elegansモデルの例は、Chamberlain & Benian, 2000, Curr Biol 10(21):R795-7及びCulette & Sattelle, 2000, Hum Mol Genet 9(6):869-77に記載されている。
【0117】
家族性高コレステロール血症についての動物モデルの例としては、限定されることはないが、機能的LDLリポーター遺伝子を欠いているマウス(例えばAjiら、1997、Circulation 95(2):430-7参照)、Yoshidaラット(例えばFantappieら、1992、Life Sci 50(24):1913-24参照)、JCR:LA-cpラット(例えばRichardsonら、1998、Atherosclerosis 138(1):135-46参照)、豚(例えばHasler-Rapaczら、1998、Am J Med Genet 76(5):379-86参照)及びワタナベ遺伝性高類脂血症ウサギ(例えばTsutsumiら、2000,Arzneimittelforschung 50(2):118-21;Harschら、1998、Br J Pharmacol 124(2):227-82;及びTanakaら、1995、Atherosclerosis 114(1):73-82参照)を包含する。
【0118】
一般的な人の癌についての動物モデルの例としては、限定されることはないが、コンパニオンアニマルの自然発生腫瘍(例えばVail&MacEwen,2000,Cancer Invest 18(8):781-92参照)を包含する。肺癌についての動物モデルの例としては、限定されることはないが、Zhang&Roth(1994, In Vivo 8(5):755-69)により記載された肺癌動物モデル及び、崩壊したp53機能を有するトランスジェニックマウスモデル(例えばMorrisら、1998, J. La State Med Soc 150(4):179-85参照)を包含する。胸部癌についての動物モデルの例としては、限定されることはないが、サイクリンD1を過剰発現するトランスジェニックマウス(例えばHosokawaら、2001、Transgenic Res 10(5):471-8参照)を包含する。結腸癌についての動物モデルの例としては、限定されることはないが、TCRbeta及びp53二重ノックアウトマウス(例えばKadoら、2001、Cancer Res 61(6):2395-8参照)を包含する。膵臓癌についての動物モデルの例としては、限定されることはないが、Panc02ネズミ膵臓腺癌の転移モデル(例えばWangら、2001、Int J Pancreatol 29(1):37-46参照)及び皮下膵臓腫瘍に生じたnu-nuマウス(例えばGhanehら、2001、Gene Ther 8(3):199-208参照)を包含する。非-ホジキンリンパ腫についての動物モデルの例としては、限定されることはないが、重篤複合免疫不全(SCID)マウス(例えばBryantら、2000、Lab Invest 80(4):553-73参照)及びIgHmu-HOX11トランスジェニックマウス(例えばHoughら、1998、Proc Natl Acad Sci USA 95(23):13853-8参照)を包含する。食道癌についての動物モデルの例としては、限定されることはないが、人パピローマウィルスタイプ16 E7オンコジーンについてトランスジェニックなマウス(例えばHerberら、1996、J Virol 70(3):1873-81参照)を包含する。結腸直腸癌についての動物モデルの例としては、限定されることはないが、Apcマウスモデル(例えばFodde&Smits、2001、Trends Mol Med 7(8):369-73及びKuraguchiら、2000、Oncogene 19(50):5755-63参照)を包含する。神経線維腫症についての動物モデルの例としては、限定されることはないが、変異体NF1マウス(例えばCichowskiら、1996、Semin Cancer Biol 7(5):291-8参照)を包含する。網膜芽腫についての動物モデルの例としては、限定されることはないが、網膜にシミアンウィルス40T抗原を発現するトランスジェニックマウス(例えばHowesら、1994、Invest Ophthalmol Vis Sci 35(2):342-51及びWindleら、1990、Nature 343(6259):665-9参照)及び同系交配ラット(例えばNishidaら、1981、Curr Eye Res 1(1):53-5及びKobayashiら、1982、Acta Neuropathol (Berl) 57(2-3):203-8参照)を包含する。ウィルムス腫瘍(Wilm’s tumor) についての動物モデルの例としては、限定されることはないが、WT1ノックアウトマウス(例えばScharnhorstら、1997、Cell Growth Differ 8(2):133-43参照)、高発生率の腎芽細胞腫(neuphroblastoma) を有するラット亜系(例えばMesfin&Breech、1996、Lab Anim Sci 46(3):321-6参照)及びウィルムス腫瘍(Wilm’s tumor)を有するWistar/Furthラット(例えばMurphyら、1987、Anticancer Res 7(4B):717-9参照)を包含する。
【0119】
色素性網膜炎についての動物モデルの例としては、限定されることはないが、ロイヤルカレッジ オブ サージョンズ(Royal College of Surgeon)(RCS)ラット(例えばVollrathら、2001、Proc Natl Acad Sci USA 98(22):12584-9及びHanitzschら、1998、Acta Anat (Basel) 162(2-3):119-26参照)、ロドプシンノックアウトマウス(例えばJaissleら、2001、Invest Ophthalmol Vis Sci 42(2):506-13参照)及びWag/Rijラット(例えばLaiら、1980、Am J Pathol 98(1):281-4参照)を包含する。
【0120】
肝硬変についての動物モデルの例としては、限定されることはないが、CCl4-暴露マウス(例えばKloehnら、2001、Horm Metab Res 33(7):394-401参照)及び細菌細胞成分又は大腸炎によって起こされるげっ歯動物モデル(例えばVierling、2001、Best Pract Res Clin Gastroenterol 15(4):591-610参照)を包含する。
【0121】
血友病についての動物モデルの例としては、限定されることはないが、血友病Aについてのげっ歯動物モデル(例えばReipertら、2000、Thromb Haemost 84(5):826-32;Jarvisら、1996、Thromb Haemost 75(2):318-25;及びBiら、1995、Nat Genet 10(1):119-21参照)、血友病Aについての犬モデル(例えばGallo-Pennら、1999、Hum Gene Ther 10(11):1791-802及びConnellyら、1998、Blood 91(9):3273-81参照)、血友病Bについてのネズミモデル(例えばSnyderら、1999、Nat Med 5(1):64-70;Wangら、1997、Proc Natl Acad Sci USA 94(21):11563-6;及びFangら、1996、Gene Ther 3(3):217-22参照)、血友病Bについての犬モデル(例えばMountら、2002、Blood 99(8):2670-6;Snyderら、1999、Nat Med 5(1):64-70;Fangら、1996、Gene Ther 3(3):217-22及びKayら、1994、Proc Natl Acad Sci USA 91(6):2353-7参照)及び血友病Bについてのアカゲザルモデル(例えばLozierら、1999、Blood 93(6):1875-81参照)を包含する。
【0122】
ヴォン ヴィレブランド病についての動物モデルの例としては、限定されることはないが、同系交配マウス系統RIIIS/J(例えばNicholsら、1994、83(11):3225-31及びSweeneyら、1990、76(11):2258-65参照)、ボトロセチン(botrocetin)を注射されたラット(例えばSandersら、1988、Lab Invest 59(4):443-52参照)及びヴォン ヴィレブランド病についての豚モデル(例えばNicholsら、1995、Proc Natl Acad Sci USA 92(7):2455-9;Johnson&Bowie、1992、J Lab Clin Med 120(4):553-8及びBrinkhousら、1991、Mayo Clin Proc 66(7):733-42参照)を包含する。
【0123】
b-サラセミアについての動物モデルの例としては、限定されることはないが、グロビン遺伝子に変異を有するネズミモデル(例えばLewisら、1998、Blood 91(6):2152-6;Rajaら、1994、Br J Haematol 86(1):156-62;Poppら、1985、445:432-44;及びSkowら、1983、Cell 34(3):1043-52参照)を包含する。
【0124】
腎結石についての動物モデルの例としては、限定されることはないが、遺伝的高カルシウム尿症ラット(例えばBushinskyら、1999、Kidney Int 55(1):234-43及びBushinskyら、1995、Kidney Int 48(6):1705-13参照)、化学的に処理したラット(例えばGrasesら、1998、Scand J Urol Nephrol 32(4):261-5;Burgessら、1995、Urol Res 23(4):239-42;Kumarら、1991、J Urol 146(5):1384-9;Okadaら、1985、Hinyokika Kiyo 31(4):565-77;及びBluestoneら、1975、Lab Invest 33(3):273-9参照)、高シュウ酸尿症ラット(例えばJonesら、1991、J Urol 145(4):868-74参照)、片側逆向性腎盂鏡法(unilateral retrograde flexible nephroscopy)を用いた豚(例えばSeifmahら、2001、57(4):832-6参照)及び遮断された上尿路を有するウサギ(例えばItataniら、1979、Invest Urol 17(3):234-40参照)を包含する。
【0125】
毛細管拡張性運動失調についての動物モデルの例としては、限定されることはないが、毛細管拡張性運動失調のネズミモデル(例えばBarlowら、1999、Proc Natl Acad Sci USA 96(17):9915-9及びInoueら、1986、Cancer Res 46(8):3979-82参照)を包含する。
【0126】
リソソーム貯蔵疾患についての動物モデルの例としては、限定されることはないが、ムコ多糖症タイプVIIについてのマウスモデル(例えばBrooksら、2002、Proc Natl Acad Sci USA 99(9):6216-21;Monroyら、2002、Bone 30(2):352-9;Voglerら、2001、Pediatr Dev Pathol. 4(5):421-33;Voglerら、2001、Pediatr Res. 49(3):342-8;及びWolfeら、2000、Mol Ther. 2(6):552-6参照)、異染性白質萎縮症についてのマウスモデル(例えばMatznerら、2002、Gene Ther. 9(1):53-63参照)、ザントホフ病のマウスモデル(例えばSangoら、2002、Neuropathol Appl Neurobiol. 28(1):23-34参照)、ムコ多糖症タイプIIIAについてのマウスモデル(例えばBhattacharyyaら、2001、Glycobiology 11(1):99-10及びBhaumikら、1999、Glycobiology 9(12):1389-96参照)、アリールスルファターゼA(ASA)-欠損マウス(例えばD’Hoogeら、1999、Brain Res. 847(2):352-6及びD’Hoogeら、1999、Neurosci Lett. 273(2):93-6参照);アスパルチルグルコサミン尿症を有するマウス(例えばJalankoら、1998、Hum Mol Genet. 7(2):265-72参照);ムコ多糖症タイプVIについての猫モデル(例えばCrawleyら、1998、J Clin Invest. 101(1):109-19及びNorrdinら、1995、Bone 17(5):485-9参照);ニーマン-ピック病タイプCの猫モデル(例えばMarchら、1997、Acta Neuropathol (Berl). 94(2):164-72参照);酸スフィンゴミエリナーゼ-欠損マウス(例えばOtterbach&Stoffel、1995、Cell 81(7):1053-6参照)及びウシマンノシドーシス(例えばJollyら、1975、Birth Defects Orig Arctic Ser. 11(6):273-8参照)を包含する。
【0127】
結節硬化症(TSC) についての動物モデルの例としては、限定されることはないが、TSC1のマウスモデル(例えばKwiatkowskiら、2002、Hum Mol Genet. 11(5):525-34参照)、Tsc1(TSC1同族体)ノックアウトマウス(例えばKobayashiら、2001、Proc Natl Acad Sci USA 2001 Jul 17;98(15):8762-7参照)、TSC2遺伝子変異体(Eker)ラットモデル(例えばHino 2000, Nippon Rinsho 58(6):1255-61;Mizuguchiら、2000、J Neuropathol Exp Neurol. 59(3):188-9;Hinoら、1999、Prog Exp Tumor Res. 35:95-108参照)及びTsc2(+/-)マウス(例えばOndaら、1999、J Clin Invest. 104(6):687-95参照)を包含する。
【0128】
4.3 合成及び製造
本発明の化合物は、標準のよく知られた合成法(例えばMarch, J. Advanced Organic Chemistry; Reactions Mechanisms,and Structure, 第4版、1992年)によって得ることができる。本発明の化合物及びその中間体を製造するために有用な出発物質は、市販されていて入手可能であるか、又は公知の合成法及び試薬を用いて、市販されていて入手可能な物質から製造することができる。
【0129】
式I又はIIの化合物は、以下のスキームA及びBに示された合成を用いて合成することができる。本発明の化合物は、以下のセクションで論じられる方法によって製造され得る。
【0130】
式Iの化合物は、スキームAに示された方法を用いて製造することができる。
【0131】
スキームA
【化5】

【0132】
市販されていて入手可能な酸不安定な樹脂A1、例えばトリチル樹脂、2-クロロトリチルクロリド樹脂、フェニルアセトアミドメチル(PAM)樹脂及びp-アルコキシベンジルアルコール樹脂は、本発明において使用することができる。安息香酸化合物A2及びトリチル樹脂(ここでX=2-クロロトリチルクロリド)のカップリングは、適当な溶媒、例えばジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、トルエン中で、3級アミン試薬、例えばジイソプロピルエチルアミン又はトリエチルアミンの存在下で行なうことができる。代替の方法においては、アシル化樹脂A3は、標準のエステル結合形成条件を用いて、ジイソプロピルカルボジイミド(フェニルアセトアミドメチル樹脂及びp-アルコキシベンジルアルコール樹脂について)又は等価物、例えばベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス-ピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、ブロモ-トリス-ピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBrOP)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)を用いて、ジメチルホルムアミド中のジイソプロピルエチルアミンを用いないで、又は用いて、便利に製造される。樹脂に結合されたシアノ安息香酸エステルは、不活性溶媒中で、例えばエタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン及びジメチルホルムアミド又は混合物中で、ジイソプロピルエチルアミンと共に又はそれなしで、ヒドロキシルアミンで処理して、ヒドロキシアミジン化合物A4を与えることができる。ヒドロキシアミジン樹脂A4は、スキームAに示された構造Iの化合物の種々の残部を有する1,2,4-オキサジアゾールライブラリー化合物の合成のための共通リンカーとして使用することができる。樹脂に結合されたヒドロキシアミジン化合物は、塩基試薬、例えばジイソプロピルエチルアミン又はトリエチルアミンの存在下で、不活性溶媒、例えばジクロロメタン、テトラヒドロフラン及びジメチルホルムアミド又は混合物中で、試薬A5(ここで基Yは幾つかの脱離基、例えばハロ、イミダゾイル、p-ニトロフェノール等を示す)にてアシル化される。代替方法では、アシル化は、ジイソプロピルカルボジイミド又は等価物、例えばベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス-ピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、ブロモ-トリス-ピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を用いて、ジメチルホルムアミド中のジイソプロピルエチルアミンを用いないで、又は用いて、試薬A5(ここで基Yはヒドロキシを示す)を用いて便利に行なわれる。樹脂に結合されたアシル化化合物A6は、酸性条件下で、例えばジクロロメタン中2モルのトリフルオロ酢酸又はジクロロメタン中3モルの酢酸の条件下で開裂されて、所望の化合物A7を与える。遊離の酸化合物A7での閉環反応は、不活性溶媒、例えばトルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン及びジメチルホルムアミド又は混合物中で、塩基試薬、例えばジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン又はフッ化テトラブチルアンモニウムを用いて、又は用いないで、還流によって行なって、1,2,4-オキサジアゾール化合物Iを与えることができる。代替の閉環反応は、樹脂に結合された化合物A6の脱水環化によって行なうことができる(スキームA)。この変換は、不活性溶媒、例えばトルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン及びジメチルホルムアミド又は混合物中で、塩基試薬、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン又はフッ化テトラブチルアンモニウムを用いて、又は用いないで、達成することができる。反応の温度は、環境温度から溶媒の還流温度の範囲である。
【0133】
上記した固相の化学は、構造Iの化合物の溶液相の合成に適用することができる。これは、以下のスキームBに記載される。
【0134】
スキームB
【化6】

【0135】
シアノ化合物B1は、ヒドロキシルアミンでヒドロキシアミジン化される。この反応は通常、塩基試薬、例えばトリエチルアミン、炭酸カリウム又はジイソプロピルエチルアミンの存在下で、溶媒、例えばメタノール、エタノール、tert-ブタノール、テトラヒドロフラン又はジメチルホルムアミド中で、環境温度から、選択された溶媒の還流温度までの範囲の温度で行なわれる。ヒドロキシアミジン化合物B2は、試薬B3(ここで基Yは幾つかの脱離基、たとえばハロ、イミダゾイル、p-ニトロフェノール等を示す)でアシル化される。この反応は通常、塩基試薬、例えばトリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンを用いて、溶媒、例えばジクロロメタン、テトラヒドロフラン又はジメチルホルムアミド中で行なわれる。代替の方法では、アシル化は、通常のエステル結合形成反応(ここで基Yはヒドロキシを示す)下で、ジイソプロピルカルボジイミド又は等価物、例えばベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス-ピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、ブロモ-トリス-ピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を用いて、ジイソプロピルエチルアミンを用いないで、又は用いて、便利に行なわれる。アシル化化合物B4での閉環は、塩基試薬、例えばトリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンを用いて、又は用いないで、溶媒、例えばジクロロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン又はジメチルホルムアミド中で、環境温度から、選択された溶媒の還流温度までの範囲の温度で達成することができる。
【0136】
4.4 使用法
本発明は、患者における中途翻訳終止及び/又はナンセンス変異依存mRNA分解の抑制によって改善される障害又は疾患を治療又は予防する方法であって、そのような治療又は予防を必要とする患者に、治療に有効な量の本発明の化合物又はその薬学的に許容されるプロドラッグ、溶媒和物、代謝産物、多形体、塩、溶媒和物、水和物又は包接化合物を投与することを含む方法を包含する。
【0137】
1つの実施態様においては、本発明は、中途翻訳終止及び/又はナンセンス変異依存mRNA分解を示す遺伝子に関連する任意の疾患の治療又は予防を包含する。1つの実施態様においては、疾患は一部、中途な終止コドンから生じる遺伝子の発現の欠如による。中途翻訳終止及び/又はナンセンス変異依存mRNA分解を示し得る遺伝子の特定の例ならびに、中途翻訳終止及び/又はナンセンス変異依存mRNA分解に関連する疾患の特定の例は、U.S.Patent Application No. 60/390,747、標題:中途翻訳終止及びナンセンス変異依存mRNA分解を調節する小分子を同定ずるための方法(Method For Identifying Small Molecules That Modulate Premature Translation Termination And Nonsence Mediated mRNA Decay)、2002年6月21日出願に見出され、これは、引用することによりその全部が本明細書に組み入れられる。
【0138】
中途翻訳終止及び/又はナンセンス変異依存mRNA分解の抑制によって改善される疾患としては、限定されることはないが、遺伝病、癌、自己免疫疾患、血液疾患、膠原病、糖尿病、神経組織変性疾患、増殖性疾患、心臓血管系疾患、肺疾患、炎症性疾患又は中枢神経系疾患を包含する。
【0139】
本発明の方法の範囲内の特定の遺伝病としては、限定されることはないが、アミロイドーシス、血友病、アルツハイマー病、テイ-サックス病、アテローム性動脈硬化症、巨人症、小人症、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進、老化、肥満、パーキンソン病、ニーマン-ピック病、嚢胞性線維症、筋ジストロフィー、心臓疾患、腎結石、毛細管拡張性運動失調、家族性高コレステロール血症、色素性網膜炎、リソソーム貯蔵疾患、結節硬化症、デュシェーヌ筋ジストロフィー及びマルファン症候群を包含する。固体腫瘍及び他の癌の両方が、本発明の方法内に包含される。
【0140】
別の実施態様においては、遺伝病は自己免疫疾患である。好ましい実施態様においては、自己免疫疾患は慢性関節リウマチ又は対宿主性移植片病である。
【0141】
別の実施態様においては、遺伝病は血液疾患である。好ましい実施態様においては、血液疾患は、血友病、ヴォン ヴィレブランド病、毛細管拡張性運動失調、b-サラセミア又は腎結石である。
【0142】
別の実施態様においては、遺伝病は膠原病である。1つの実施態様においては、膠原病は、骨形成不全又は肝硬変である。
【0143】
別の実施態様においては、遺伝病は糖尿病である。
【0144】
別の実施態様においては、遺伝病は炎症性疾患である。好ましい実施態様においては、炎症性疾患は関節炎である。
【0145】
別の実施態様においては、遺伝病は中枢神経系疾患である。1つの実施態様においては、中枢神経系疾患は神経組織変性疾患である。好ましい実施態様においては、中枢神経系疾患は、多発性硬化症、筋ジストロフィー、デュシェーヌ筋ジストロフィー、アルツハイマー病、テイ-サックス病、後期乳児期神経セロイド脂褐素沈着症(late infantile neuronal ceroid lipofuscinosis)(LINCL)又はパーキンソン病である。
【0146】
別の実施態様においては、遺伝病は癌である。好ましい実施態様においては、癌は、頭及び首、目、皮膚、口、のど、食道、胸、骨、肺、結腸、S字結腸、直腸、胃、前立腺、胸部、卵巣、腎臓、肝臓、膵臓、脳、腸、心臓又は副腎の癌である。
【0147】
別の好ましい実施態様においては、癌は、腫瘍サプレッサー遺伝子に関連する(例えばGarinisら、2002、Hum Gen 111:115-117;Meyersら、1998、Proc Natl Acad Sci USA 95:15587-15591;Kungら、2000、Nature Medicine 6(12):1335-1340参照)。そのような腫瘍サプレッサー遺伝子としては、限定されることはないが、APC, ATM, BRAC1, BRAC2, MSH1, pTEN, Rb及びp53を包含する。
【0148】
特に好ましい実施態様においては、腫瘍サプレッサー遺伝子は、p53遺伝子である。ナンセンス変異は、p53遺伝子において同定され、癌に関係していた。p53遺伝子における幾つかのナンセンス変異が同定された(例えばMasudaら、2000、、Tokai J Exp Clin Med 25(2):69-77;Ohら、2000、Mol Cells 10(3):275-80;Liら、2000、Lab Invest. 80(4):493-9;Yangら、1999、Zhonghua Zhong Liu Za Zhi 21(2):114-8;Finkelsteinら、1998、Mol Diagn. 3(1):37-41;Kajiyamaら、1998、Dis Esophagus. 11(4):279-83;Kawamuraら、1999、Leuk Res 23(2):115-26;Radigら、1998、Hum Pathol. 29(11):1310-6;Schuyerら、1998、Int J Cancer 76(3):299-303;Wang-Gohrkeら、1998、Oncol Rep. 5(1):65-8;Fulopら、1998、J Reprod Med. 43(2):119-27;Ninomiyaら、1997、J Dermatol Sci. 14(3):173-8;Hsiehら、1996、Cancer Lett. 100(1-2):107-13;Rallら、1996、Pancreas. 12(1):10-7;Fukutomiら、1995、Nippon Rinsho. 53(11):2764-8;Frebourgら、1995、Am J Hum Genet. 56(3):608-15;Doveら、1995、Cancer Surv. 25:335-55;Adamsonら、1995、Br J Haematol. 89(1):61-6;Graysonら、1994、Am J Pediatr Hematol Oncol. 16(4):341-7;Lepelleyら、1994、Leukemia. 8(8):1342-9;McIntyreら、1994、J Clin Oncol. 12(5):925-30;Horioら、1994、Oncogene. 9(4):1231-5;Nakamuraら、199
2、Jpn J Cancer Res. 83(12):1293-8;Davidoffら、1992、Oncogene 7(1):127-33;及びIshiokaら、1991、Biochem Biophys Res Commun. 177(3):901-6参照;これらの開示は、引用することにより、その全部が本明細書に組み入れられる)。限定されることはないが、先に引用した参考文献中に記載されたナンセンス変異を含む、中途な翻訳コドンをエンコードするp53遺伝子に関連する任意の疾患は、理論によって限定されることなく、式I又はIIの化合物によって治療又は予防することができ、これらの化合物は、中途翻訳終止及び/又はナンセンス変異依存mRNA分解を仲介する。
【0149】
他の実施態様においては、必要とする患者に、有効量の式Iの化合物を投与することによって治療又は予防されるべき疾患としては、固体腫瘍、肉腫、癌腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、骨膜腫、中皮腫、ユーイング腫、平滑筋肉腫、黄紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、胸部癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、骨髄癌、気管支原生癌、腎細胞癌、肝臓癌、胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胎生期癌、ウィルムス腫、頸部癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、カポージ肉腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫(menangioma)、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、血液-骨腫瘍、急性リンパ芽球白血病、急性リンパ芽球B-細胞白血病、急性リンパ芽球T-細胞白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球白血病、急性単芽球白血病、急性赤白血病、急性巨核芽球白血病、急性骨髄単球性白血病、急性非リンパ性白血病、急性未分化白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病又は多発性骨髄腫を包含する。例えばHarrison’s Principles of Internal Medicine, Eugene Braunwaldら編、pp491-762(2001年第15版)参照。
【0150】
好ましい実施態様においては、本発明は、中途翻訳終止及び/又はナンセンス変異依存mRNA分解の調節により改善される疾患を治療又は予防する方法又は、それと関連する1つ以上の症状を改善する方法であって、細胞を、有効な量の式I又はIIの化合物と接触させることを含む方法を包含する。本発明の方法により包含される細胞としては、動物細胞、哺乳動物細胞、細菌細胞、植物細胞及びウィルス感染した細胞を包含する。1つの実施態様においては、ナンセンスコドンは、始原DNAに存在した。別の実施態様においては、ナンセンスコドンは突然変異誘発から生じた。
【0151】
ある実施態様においては、式I若しくはIIの化合物又はその薬学的に許容される塩は、患者、好ましくは哺乳動物、より好ましくは人に、中途翻訳終止及び/又はナンセンス変異依存mRNA分解に関連する疾患に対する予防的基準として投与される。
【0152】
好ましい実施態様においては、患者が、中途翻訳終止及び/又はナンセンス変異依存mRNA分解に関連する疾患にかかっていることがまず決定される。別の実施態様においては、患者は、スクリーニングプロセスを受けてナンセンス変異の存在を決定され、これは、許容されるナンセンス変異スクリーニングアッセイによって、対象又はそれから抽出した細胞をスクリーニングする工程を含む。好ましい実施態様においては、患者のDNAは、配列決定することができるか、又はサザンブロット、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)、ショートタンデムリピート(Short Tandem Repeat)(STR)の使用若しくは多形長制限断片(RFLP)分析に供して、患者のDNAにナンセンス変異が存在するかどうかを決定することができる。あるいは、ウェスタンブロット又は他の免疫アッセイによって、変化したレベルの、ナンセンス変異を有するタンパク質が患者において発現されるかどうかを決定することができる。別の実施態様においては、患者は、ナンセンス変異の存在についてin uteroでスクリーニングを受けた胎児である。式I又はIIの化合物の投与は、出生前又は後に行なうことができる。関連した実施態様においては、患者がナンセンス変異スクリーニングアッセイについてスクリーニングされ、1種以上の本発明の化合物の投与により治療されることにおいて、治療は個人化される。特に患者は、例えば疾患のタイプ、細胞のタイプ及び問題となる遺伝子に依存して、問題となる変異について特に適した化合物を用いて治療されることができる。そのような方法は、当業者によく知られている。
【0153】
別の実施態様においては、細胞(例えば動物細胞、哺乳動物細胞、細菌細胞、植物細胞及びウィルス感染した細胞)は、上記したような方法(すなわち、細胞のDNAは配列決定することができるか、又はサザンブロット、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)、ショートタンデムリピート (STR)の使用若しくは多形長制限断片(RFLP)分析に供して、細胞のDNAにナンセンス変異が存在するかどうかを決定することができる)を用いて、中途翻訳終止及び/又はナンセンス変異依存mRNA分解についてスクリーニングされる。
【0154】
本発明の特定の方法はさらに、追加の治療剤(すなわち、本発明の化合物以外の治療剤)の投与を含む。本発明のある実施態様においては、本発明の化合物は、少なくとも1種の他の治療剤と組合せて使用することができる。治療剤としては、限定されることはないが、非オピオイド鎮痛薬;非ステロイド抗炎症剤;制吐剤;β-アドレナリン作用遮断薬;抗痙攣薬;抗鬱薬;Ca+-チャンネルブロッカー;抗癌剤及びそれらの混合物を包含する。
【0155】
ある実施態様においては、式I又はIIの化合物は、抗癌剤と組合せて投与又は処方することができる。適当な抗癌剤としては、限定されることはないが、アルキル化剤;ナイトロジェンマスタード;葉酸塩拮抗物質;プリン拮抗物質;ピリミジン拮抗物質;紡錘体毒(spindle poison);トポイソメラーゼ阻害剤;アポトーシス誘発剤;脈管形成阻害剤;ポドフィロトキシン;ニトロソ尿素;シスプラチン;カルボプラチン;インターフェロン;アスパルギナーゼ(asparginase);タモキシフェン;ロイプロリド;フルタミド;メゲストロール;マイトマイシン;ブレオマイシン;ドキソルビシン;イリノテカン(irinotecan)及びタクソールを包含する。
【0156】
ある実施態様においては、式I又はIIの化合物は、抗生物質と組合せて投与又は処方することができる。ある実施態様においては、抗生物質は、マクロライド(例えばトブラマイシン(Tobi(商標)))、セファロスポリン(例えばセファレキシン(Keflex(商標))、セフラジン(Velosef(商標))、セフロキシム(Ceftin(商標))、セフプロジル(Cefzil(商標))、セファクロル(Ceclor(商標))、セフィキシム(Suprax(商標))若しくはセファドロキシル(Duricef(商標)))、クラリスロマイシン(例えばクラリスロマイシン(Biaxin(商標)))、エリスロマイシン(例えばエリスロマイシン(EMycin(商標)))、ペニシリン(例えばペニシリンV(V-Cillin K(商標)若しくはPen Vee K(商標)))又はキノロン(例えばオフロキサシン(Floxin(商標))、シプロフロキサシン(Cipro(商標))若しくはノルフロキサシン(Noroxin(商標)))である。好ましい実施態様においては、抗生物質は、Pseudomonas aeruginosaに対して活性である。
【0157】
本発明の化合物及び他の治療剤は、追加的に、又はさらに好ましくは相乗作用的に作用することができる。好ましい実施態様においては、本発明の化合物を含む組成物は、別の治療剤の投与と同時に投与され、別の治療剤は、同じ組成物の一部であるか、又は本発明の化合物を含む組成物とは別の組成物中にあることができる。別の実施態様においては、本発明の化合物は、別の治療剤の投与前又は投与後に投与される。
【0158】
しかしながら、疾患又は状態の短期又は長期の管理における本発明の特定の活性成分の予防又は治療的な投与量の大きさは、疾患又は状態の性質及び重篤さならびに、活性成分が投与される経路と共に変化する。投与量及び、おそらく投与頻度はまた、個々の患者の年齢、体重及び応答にしたがって変化する。適当な投与プログラムは、そのような要素を当然考慮する当業者によって容易に選択され得る。一般に、ここで記載された状態について推奨される毎日の投与量範囲は、1日1回単一投与として与えられて、好ましくは1日を通じて分割した投与として与えられて、1日当たり約0.1mg〜約2000mgの範囲内にある。1つの実施態様においては、毎日の投与量は、単一投与量で、又は等しく分割された投与量で投与される。詳細には、毎日の投与量範囲は、1日当たり約5mg〜約500mg、より詳細には1日当たり約10mg〜約200mgであるべきである。患者の管理においては、治療は、少ない投与量で、できれば約1mg〜約25mgで開始されるべきであり、必要なら、患者の全体的な応答に依存して、単一投与量又は分割投与量として、1日当たり約200mg〜約2000mgまでに増加させる。
【0159】
幾つかの場合には、当業者に明らかであるように、本明細書に開示された範囲外の活性成分の投与量を使用することが必要であり得る。さらには、臨床医又は治療をしている医師は、どのように及びいつ、個々の患者に関しての治療を中断するか、調節するか、又は終わらせるかを知るであろうことが注意される。
【0160】
本明細書において使用される「治療に有効な量」「予防に有効な量」及び「治療又は予防に有効な量」という語句は、上記した投与量及び投与頻度スケジュールを包含する。当業者によって容易に知られるように、異なる疾患及び状態について、異なる治療に有効な量が適用可能であリ得る。同様に、そのような疾患を治療又は予防するのに十分な量は、慣用の治療に関連する悪影響を引起すのに不十分であるか又は悪影響を減らすのに十分であるが、また上記した投与量及び投与頻度スケジュールによって包含される。
【0161】
4.5 医薬組成物
本発明の化合物又はその薬学的に許容される多形体、プロドラッグ、塩、溶媒和物、水和物又は包接化合物を含む医薬組成物及び1単位投与剤型はまた、本発明に包含される。本発明の個々の投与形態は、経口、粘膜(舌下、口内、直腸、鼻又は膣を含む)、非経口(皮下、筋肉内、ボーラス注入、動脈内又は静脈内を含む)、経皮又は局所投与のために適当であり得る。
【0162】
本発明の医薬組成物及び投与形態は、本発明の化合物又はその薬学的に許容されるプロドラッグ、多形体、塩、溶媒和物、水和物又は包接化合物を含む。本発明の医薬組成物及び投与形態は典型的にはまた、1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0163】
この実施態様に包含される特定の医薬組成物は、本発明の化合物又はその薬学的に許容される多形体、プロドラッグ、塩、溶媒和物、水和物又は包接化合物ならびに、少なくとも1種の追加の治療剤を含む。追加の治療剤の例としては、限定されることはないが、抗癌薬及び抗炎症治療(限定されることはないが、セクション4.3において先に挙げたものを含む)を包含する。
【0164】
本発明の1単位投与剤型は、患者への経口、粘膜(例えば鼻、舌下、膣、口内若しくは直腸)、非経口(例えば皮下、静脈内、ボーラス注入、筋肉内若しくは動脈内)又は経皮投与のために適当である。投与剤型の例としては、限定されることはないが、錠剤、キャプレット、カプセル、例えば軟質弾性ゼラチンカプセル、カシェ剤、トローチ剤、ロゼンジ、分散剤、座薬、軟膏、パップ剤(湿布剤)、ペースト、粉末、包帯剤、クリーム、硬膏、溶液、パッチ、エアゾール(例えば鼻用スプレー又は吸入器)、ゲル、患者への経口又は粘膜投与のために適当な液体投与形態であって、懸濁物(例えば水性若しくは非水性の液体懸濁液、水中油形エマルジョン又は油中水形エマルジョン)、溶液及びエリキシル剤を包含するもの、患者への非経口投与のために適当な液体投与形態及び、再構成されて患者への非経口投与のために適当な液体投与形態を提供することができる滅菌固体(例えば結晶又は無定形固体)を包含する。
【0165】
本発明の投与形態の組成、形状及びタイプは典型的には、その用途に依存して変化する。例えば、炎症又は関連疾患の短期治療において使用される投与形態は、同じ疾患の長期治療において使用される投与形態より多くの量の1種以上の活性成分を含み得る。同様に、非経口の投与形態は、同じ疾患又は障害を治療するのに使用される経口投与形態より少ない量の1種以上の活性成分を含み得る。本発明に包含される特定の投与形態が互いに変化するこれらの方法及び他の方法は、当業者に容易に明らかであろう。例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences, 第18版、Mack Publishing, Easton PA (1990)参照。
【0166】
典型的な医薬組成物及び投与形態は、1種以上の担体、賦形剤又は希釈剤を含む。適当な賦形剤は、製薬業の当業者によく知られており、適当な賦形剤の限定されない例は、本明細書に提供される。特定の賦形剤が医薬組成物又は投与形態に組み込むのに適当であるかどうかは、当技術分野でよく知られた種々の要因(限定されることはないが、投与形態が患者に投与される方法を含む)に依存する。例えば、経口投与形態、例えば錠剤は、非経口投与形態において使用するのに適当でない賦形剤を含むことができる。特定の賦形剤の適合性はまた、投与形態中の特定の活性成分に依存する。
【0167】
本発明はさらに、活性成分を含む無水の医薬組成物及び投与形態を包含する。というのは、水はいくつかの化合物の分解を促進し得るからである。例えば、水の添加(例えば5%)は、時間にわたる製剤の特性、例えば貯蔵寿命又は安定性を決定するために長期貯蔵をシミュレートする手段として、製薬技術において広く許容される。例えばJens T. Carstensen, Drug Stability: Principles & Practice, 第2版、Marcel Dekker, NY, NY, 1995, PP. 379-80参照。事実上、水及び熱は、幾つかの化合物の分解を加速する。かくして、製剤への水の影響は、非常に重要であり得る。というのは、水分及び/又は湿気は、製剤の製造中、取扱い中、包装中、貯蔵中、出荷中及び使用中に一般に遭遇するからである。
【0168】
本発明の無水の医薬組成物及び投与形態は、無水又は低水分の含有成分及び、低水分又は低湿度条件を使用して製造することができる。ラクトース及び、1級若しくは2級アミンを含む少なくとも1種の活性成分を含有する医薬組成物及び投与形態は、製造中、包装中及び/又は貯蔵中に水分及び/又は湿気との実質的接触が予想されるなら、好ましくは無水である。
【0169】
無水の医薬組成物は、その無水の性質が維持されるように、製造及び貯蔵されるべきである。したがって、無水の組成物は好ましくは、それらが適当な方式のキットに含まれることができるように、水への暴露を防ぐことが知られている材料を用いて包装される。適当な包装の例としては、限定されることはないが、密閉封止された箔、プラスチック、単位投与容器(例えばガラス瓶)、ブリスターパック及びストリップパック(strip pack)を包含する。
【0170】
本発明はさらに、活性成分が分解する速度を低下させる1種以上の化合物を含む医薬組成物及び投与形態を包含する。本明細書では「安定剤」と称されるそのような化合物は、限定されることはないが、酸化防止剤、例えばアスコルビン酸、pH緩衝剤又は塩緩衝剤を包含する。
【0171】
賦形剤の量及びタイプのように、投与形態中の活性成分の量及び特定のタイプは、例えば限定されることはないが、患者に投与されるべき経路のような要因に依存して異なり得る。しかしながら、本発明の典型的な投与形態は、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、水和物、多形体又はプロドラッグを、食物と共に取って、朝に単一の1日1回投与量として与えられて、好ましくは1日を通して分割された投与量として与えられて、1日当たり約0.1mg〜約2000mgの範囲内にて含む。より詳細には、毎日の投与量は、等しく分割された投与量で、毎日2回投与される。詳細には、毎日の投与量範囲は、1日当たり約5mg〜約500mg、より詳細には1日当たり約10mg〜約200mgであるべきである。患者の管理においては、治療は、より低い投与量、おそらく約1mg〜約25mgで開始され、必要なら、患者の全体的な応答に依存して、単一投与量又は分割投与量として、1日当たり約200mg〜約2000mgまで増加されるべきである。
【0172】
4.5.1 経口投与形態
経口投与のために適当な本発明の医薬組成物は、個別の投与形態、たとえば、限定されることはないが、錠剤(例えばかむことができる錠剤)、キャプレット、カプセル及び液体(例えば風味を付けられたシロップ)として提供することができる。そのような投与形態は、所定量の活性成分を含み、当業者によく知られた製薬業の方法により製造することができる。一般的には、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 第18版、Mack Publishing, Easton PA (1990)参照。
【0173】
本発明の典型的な経口投与形態は、活性成分を、慣用の製薬コンパウンド技術に従う少なくとも1種の賦形剤と完全な混合物で合わせることによって製造される。賦形剤は、投与のために望ましい調製物の形態に依存して、広く種々の形態を取り得る。例えば経口液体又はエアゾール投与形態に使用するのに適当な賦形剤としては、限定されることはないが、水、グリコール、油、アルコール、調味剤、防腐剤及び着色剤を包含する。固体経口投与形態(例えば粉末、錠剤、カプセル及びキャプレット)に使用するのに適当な賦形剤の例としては、限定されることはないが、デンプン、糖、微晶質セルロース、希釈剤、粒状化剤、滑剤、結着剤及び崩壊剤を包含する。
【0174】
経口投与のための液体調製物は、例えば溶液、シロップ又は懸濁液の形態を取り得るか、又は使用前に水又は他の適当な媒体で構成されるための乾燥製品として提供され得る。そのような液体調製物は、薬学的に許容される添加剤、例えば懸濁剤(例えばソルビトールシロップ、セルロース誘導体又は水素化可食脂肪)、乳化剤(例えばレシチン又はアラビアゴム)、非水性の媒体(例えばアーモンドオイル、油状エステル、エチルアルコール、又は分画した植物油)及び防腐剤(例えばp-ヒドロキシ安息香酸メチル若しくはプロピル又はソルビン酸)と共に慣用の手段によって製造することができる。調製物はまた、適当なときには、緩衝塩、調味剤、着色剤及び甘味剤を含むことができる。
【0175】
投与の容易さの故に、錠剤及びカプセルは、有利な経口投与単位形態を提示し、この場合には、固体賦形剤が使用される。所望なら、錠剤は、標準の水性若しくは非水性の技術によって、コーティングされることができる。そのような投与形態は、製薬業の任意の方法によって製造することができる。概して、医薬組成物及び投与形態は、活性成分と、液体担体、細かく分けた固体担体又はその両方とを均質にかつ完全に混合し、次いで、必要なら製品を所望の体裁へと成形することによって製造される。
【0176】
例えば、錠剤は、圧縮又は成形によって製造することができる。圧縮錠剤は、適当な機械で、任意的に賦形剤と混合した、自由流動形態、例えば粉末若しくは顆粒の活性成分を圧縮することによって製造することができる。成形錠剤は、適当な機械で、不活性な液体希釈剤で湿らせた粉末化化合物の混合物を成形することによって製造することができる。
【0177】
本発明の経口投与形態に使用できる賦形剤の例としては、限定されることはないが、結着剤、充填剤、崩壊剤及び滑剤を包含する。医薬組成物及び投与形態において使用するのに適当な結着剤としては、限定されることはないが、コーンスターチ、ジャガイモデンプン又は他のデンプン、ゼラチン、天然及び合成のゴム、例えばアラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、粉末化トラガカントゴム、ガーゴム、セルロース及びその誘導体(例えばエチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、予めゼラチン化されたデンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばNos. 2208, 2906, 2910)、微晶質セルロース及びそれらの混合物を包含する。
【0178】
本明細書に開示された医薬組成物及び投与形態において使用するのに適当な充填剤の例としては、限定されることはないが、タルク、炭酸カルシウム(例えば顆粒又は粉末)、微晶質セルロース、粉末セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、予めゼラチン化されたデンプン及びそれらの混合物を包含する。本発明の医薬組成物における結着剤又は充填剤は典型的には、医薬組成物又は投与形態の約50〜約99重量%で存在する。
【0179】
微晶質セルロースの適当な形態としては、限定されることはないが、AVICEL-PH-101, AVICEL-PH-103, AVICEL-RC-581, AVICEL-PH-105(FMC Corporation, American Viscose Division, Avicel Sales, Marcus Hook, PAから入手可能)及びそれらの混合物として売られている物質を包含する。特定の結着剤は、AVICEL-RC-581として売られている、微晶質セルロース及びナトリウムカルボキシメチルセルロースの混合物である。適当な無水若しくは低水分の賦形剤又は添加剤としては、AVICEL-PH-103(商標)及びStarch 1500 LMを包含する。
【0180】
崩壊剤は、水性環境に暴露されたときに崩壊する錠剤を提供するために、本発明の組成物において使用される。崩壊剤を多く含みすぎる錠剤は、貯蔵中に崩壊することがあり、一方、少なすぎる錠剤は、所望の速度で崩壊しないか、又は所望の条件下で崩壊しないことがある。かくして、活性成分の放出を不利益に変える、多すぎるか又は少なすぎることのない十分な量の崩壊剤を使用して、本発明の固体経口投与形態を形成すべきである。使用される崩壊剤の量は、製剤のタイプに基づいて変化し、これは、当業者には容易に認識することができる。典型的な医薬組成物は、約0.5〜約15重量%の崩壊剤、特に約1〜約5重量%の崩壊剤を含む。
【0181】
本発明の医薬組成物及び投与形態において使用することができる崩壊剤としては、限定されることはないが、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微晶質セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、ナトリウムデンプングリコレート、ジャガイモ若しくはタピオカデンプン、予めゼラチン化したデンプン、他のデンプン、クレー、他のアルギン、他のセルロース、ゴム及びそれらの混合物を包含する。
【0182】
本発明の医薬組成物及び投与形態において使用することができる滑剤としては、限定されることはないが、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽鉱油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素化植物油(例えばピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ごま油、オリーブ油、コーン油及び大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天及びそれらの混合物を包含する。追加の滑剤としては、例えばサイロイド(syloid)シリカゲル(AEROSIL 200、Baltimore, MDのW.R. Grace Co.により製造)、合成シリカの凝集エアゾール(Plano, TXのDegussa Co.により販売)、CAB-O-SIL(Boston, MAのCabot Co.により販売される火成二酸化ケイ素製品)及びそれらの混合物を包含する。使用されるのなら、滑剤は典型的には、それらが組み込まれる医薬組成物又は投与形態の約1重量%未満の量で使用される。
【0183】
4.5.2 徐放性投与形態
本発明の活性成分は、制御放出手段によって、又は当業者に良く知られた放出装置によって投与することができる。例としては、限定されることはないが、U.S Patent Nos. : 3,845,770; 3,916,899; 3,536,809; 3,598,123; 及び4,008,719; 5,674,533; 5,059,595; 5,591,767; 5,120,548; 5,073,543; 5,639,476; 5,354,556; 及び5,733,566に記載されているものを包含し、これらの特許のそれぞれが、引用することにより本明細書に組み入れられる。そのような投与形態は、変化する割合で所望の放出プロファイルを提供するために、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリクス、ゲル、透過性膜、浸透系、多層コーティング、微粒子、リポソーム、微小球又はそれらの組合せを用いて、1種以上の活性成分のゆっくりとした放出又は制御放出を提供するために使用することができる。本明細書に記載されたものを含む、当業者に公知の適当な制御放出製剤は、本発明の活性成分を用いて使用するために容易に選択することができる。本発明はかくして、経口投与のために適当な1単位投与形態、例えば、限定されることはないが、制御放出のために適合された錠剤、カプセル、ゲルキャップ及びキャプレットを包含する。
【0184】
全ての制御放出の製薬製品は、その非制御の対応品によって達成される以上の、薬剤治療を改善する共通の目標を有する。理想的には、治療における最適に設計された制御放出調製物の使用は、最短時間で状態を治療又は制御するのに使用される最小の薬剤物質によって特徴づけられる。制御放出製剤の利点は、薬剤の活性を引伸ばすこと、投薬頻度を減らすこと、及び患者の応諾を増すことを含む。その他に、制御放出製剤は作用の開始時間又は他の特性、例えば薬剤の血中濃度に影響を及ぼすために使用することができ、かくして副作用(例えば悪影響)の発生に影響を及ぼすことができる。
【0185】
ほとんどの制御放出製剤は、所望の治療効果を即座に生じる薬剤(活性成分)の量を最初に放出し、このレベルの治療又は予防効果を長時間にわたって維持する薬剤の他の量を徐々にかつ連続して放出するように設計される。身体中のこの一定濃度の薬剤を維持するために、薬剤は、代謝され、身体から排出される薬剤の量に置き換わる速度で投与形態から放出されなければならない。活性成分の制御放出は、限定されることはないが、pH、温度、酵素、水又は他の生理学的条件若しくは化合物を包含する種々の条件によって刺激され得る。
【0186】
4.5.3 非経口投与形態
非経口投与形態は、限定されることはないが、皮下、静脈内(ボーラス注入を含む)、筋肉内及び動脈内を含む種々の経路によって、患者に投与することができる。それらの投与は典型的には、汚染物に対する患者の自然防御を回避するので、非経口投与形態は好ましくは、滅菌されているか、又は患者に投与する前に滅菌することができる。非経口投与形態の例としては、限定されることはないが、注入のために容易な溶液、注入のための薬学的に許容される媒体中に溶解又は懸濁されるのが容易な乾燥製品、注入のために容易な懸濁物及びエマルジョンを包含する。
【0187】
本発明の非経口投与形態を提供するために使用することができる適当な媒体は、当業者によく知られている。例としては、限定されることはないが、注入のための水USP;水性媒体、例えば、限定されることはないが、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液ならびに、乳酸化リンゲル注射液;水混和性媒体、例えば、限定されることはないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール;ならびに非水性媒体、例えば、限定されることはないが、コーン油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル及び安息香酸ベンジルを包含する。
【0188】
本明細書に開示された1種以上の活性成分の溶解性を増す化合物をまた、本発明の非経口投与形態に組み込むことができる。
【0189】
4.5.4 経皮及び局所投与形態
本発明の経皮及び局所投与形態としては、限定されることはないが、クリーム、ローション、軟膏、ゲル、溶液、エマルジョン、懸濁物又は、当業者に公知の他の形態を包含する。例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences, 第18版、Mack Publishing, Easton PA (1990);及びIntroduction to Pharmaceutical Dosage Forms, 第4版、Lea & Febiger, Philadelphia (1985)参照。経皮投与形態は、「貯蔵器タイプ」又は「マトリックスタイプ」のパッチを含み、これらは、皮膚に施用し、特定の期間皮膚に付けていて、所望量の活性成分の浸透を可能にすることができる。
【0190】
適当な賦形剤(例えば担体及び希釈剤)ならびに、本発明に包含される経皮及び局所投与形態を提供するのに使用できる他の物質は、製薬業における当業者によく知られており、与えられた医薬組成物又は投与形態が施用される特定の組織に依存する。その事実を考慮すると、非毒性で薬学的に許容される、ローション、チンキ、クリーム、エマルジョン、ゲル又は軟膏を形成するために、典型的な賦形剤としては、限定されることはないが、水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン-1,3-ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油及びそれらの混合物を包含する。加湿剤又は湿潤剤をまた、所望なら、医薬組成物及び投与形態に添加することができる。そのような追加の成分の例は、当技術分野においてよく知られている。例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences, 第18版、Mack Publishing, Easton PA (1990)参照。
【0191】
治療されるべき特定の組織に依存して、追加の成分は、本発明の活性成分での治療の前に、共に又は後に使用することができる。例えば、浸透促進剤を使用して、活性成分を組織に送り込むのを助けることができる。適当な浸透促進剤としては、限定されることはないが、アセトン、種々のアルコール、例えばエタノール、オレイル及びテトラヒドロフリル;アルキルスルホキシド、例えばジメチルスルホキシド;ジメチルアセトアミド;ジメチルホルムアミド;ポリエチレングリコール;ピロリドン、例えばポリビニルピロリドン;コリドン グレード(Kollidon grade)(Povidone、Polyvidone);尿素;ならびに種々の水溶性若しくは水不溶性糖エステル、例えばTween 80(ポリソルベート80)及びSpan 60(ソルビタンモノステアレート)を包含する。
【0192】
医薬組成物若しくは投与形態のpH又は、医薬組成物若しくは投与形態が施用される組織のpHはまた、1種以上の活性成分の放出を改善するように調整することができる。同様に、溶媒担体の極性、そのイオン強度又は張性を調整して、放出を改善することができる。化合物、例えばステアレートをまた医薬組成物若しくは投与形態に添加して、放出を改善するように、1種以上の活性成分の親水性又は親油性を有利に変えることができる。これに関しては、ステアレートは、製剤のための脂質媒体として、乳化剤若しくは界面活性剤として、及び放出促進剤若しくは浸透促進剤として働き得る。活性成分の異なる塩、水和物又は溶媒和物を使用して、得られる組成物の特性をさらに調整することができる。
【0193】
4.5.5 粘膜投与形態
本発明の粘膜投与形態は、限定されることはないが、眼用の溶液、スプレー及びエアゾール又は、当業者に公知の他の投与形態を包含する。例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences, 第18版、Mack Publishing, Easton PA (1990);及びIntroduction to Pharmaceutical Dosage Forms, 第4版、Lea & Febiger, Philadelphia (1985)参照。口腔内の粘膜組織を治療するために適当な投与形態は、マウスウォッシュ又は口内用ジェルとして処方することができる。1つの実施態様においては、エアゾールは担体を含む。別の実施態様においては、エアゾールは担体を含まない。
【0194】
式I又はIIの化合物はまた、吸入によって直接肺に投与することができる(例えばTongら、PCT出願第WO 97/39745;Clarkら、PCT出願第WO 99/47196参照、これらは引用することにより本明細書に組み入れられる)。吸入による投与のために、式I又はIIの化合物は、多数の異なる装置によって、便利に肺に送り込むことができる。例えば、低沸点のプロペラント、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の適当な気体を含むキャニスターを使用する計量投与吸入器(Metered Dose Inhaler)(MDI)を用いて、式Iの化合物を直接肺に送り込むことができる。MDI装置は、多くの供給業者、例えば3M Corporation, Aventis, Boehringer Ingleheim, Forest Laboratories, Glaxo-Wellcome, Schering Plough及びVecturaから入手可能である。
【0195】
あるいは、乾燥粉末吸入器(Dry Powder Inhaler)(DPI)装置を使用して、式Iの化合物を肺に投与することができる(例えばRaleighら、Proc. Amer. Assoc. Cancer Research Annual Meeting, 1999, 40, 397参照、引用することにより本明細書に組み入れられる)。DPI装置は典型的には、容器内部に乾燥粉末の雲を作る気体の噴出のようなメカニズムを使用し、これを患者が吸入することができる。DPI装置はまた当技術分野でよく知られており、多数の販売者から購入することができ、そのような販売者としては、例えばFisons, Glaxo-Wellcome, Inhale Therapeutic Systems, ML Laboratories, Qdose及びVecturaを含む。普及している変種は、多数回投与量DPI(MDDPI)系であり、これは1回より多い治療投与量の放出を考慮する。MDDPI装置は、AstraZeneca, Glaxo Wellcome, IVAX, Schering Plough, SkyePharma及びVecturaのような会社から入手可能である。例えば、吸入器又は吹き入れ器で使用するためのゼラチンのカプセル及びカートリッジは、化合物及び、これらの系に適当な粉末基剤、例えばラクトース又はデンプンの粉末混合物を含んで処方されることができる。
【0196】
式I又はIIの化合物を肺に送り込むのに使用することができる別のタイプの装置は、例えばAradigm Corporationにより供給される液体スプレー装置である。液体スプレー系は、極めて小さいノズル穴を使用して、液体薬剤製剤をエアゾール化し、これは次に、肺へと直接吸入され得る。
【0197】
好ましい実施態様においては、ネブライザー装置を使用して、式I又はIIの化合物が肺に送り込まれる。ネブライザーは、例えば超音波エネルギーを使用することによって液体薬剤製剤からエアゾールを作って、容易に吸入することができる細かい粒子を形成する(例えばVerschoyleら、British J Cancer, 1999, 80, Suppl 2, 96参照、引用することにより本明細書に組み入れられる)。ネブライザーの例としては、Sheffield/Systemic Pulmonary Delivery Ltd. (Armerら、米国特許第 5,954,047;Van der Lindenら、米国特許第5,950,619;Van der Lindenら、米国特許第5,970,974参照、引用することにより本明細書に組み入れられる)、Aventis and Batelle Pulmonary Therapeuticsにより供給される装置を包含する。ネブライザー装置により送り込まれた、吸入された式Iの化合物は、空気消化性(aerodigestive)癌(Engelkeら、American Association of Cancer Research, San Francisco, Calif., Apr. 1-5, 2000でのPoster 342 )及び肺癌(Dahlら、American Association of Cancer Research, San Francisco, Calif., Apr. 1-5, 2000でのPoster524)のための治療として目下研究下にある。
【0198】
特に好ましい実施態様においては、電気流体力学(electrohydrodynamic)(EHD)エアゾール装置を使用して、式I又はIIの化合物が肺に送り込まれる。EHDエアゾール装置は、電気エネルギーを使用して、液体薬剤溶液又は懸濁液をエアゾール化する(例えばNoakesら、米国特許第4,765,539;Coffee、米国特許第4,962,885;Coffee、PCT出願第WO 94/12285;Coffee、PCT出願第WO 94/14543;Coffee、PCT出願第WO 95/26234;Coffee、PCT出願第WO 95/26235;Coffee、PCT出願第WO 95/32807参照、引用することにより本明細書に組み入れられる)。式Iの化合物の製剤の電気化学特性は、EHDエアゾール装置を用いてこの薬剤を肺へ送り込むときに最適化するのに重要なパラメータであり得、そのような最適化は、当業者によって日常的に行われる。EHDエアゾール装置は、存在する肺用放出技術より有効に薬剤を肺へ送り込むことができる。式I又はIIの化合物の肺内放出の他の方法は、当業者に公知であり、本発明の範囲内にある。
【0199】
ネブライザー及び液体噴霧装置及びEHDエアゾール装置にて使用するのに適当な液体薬剤製剤は典型的には、薬学的に許容される担体と共に式Iの化合物を含む。好ましくは薬学的に許容される担体は、液体、例えばアルコール、水、ポリエチレングリコール又は過フルオロカーボンである。任意的に、別の物質を添加して、式I又はIIの化合物の溶液又は懸濁液のエアゾール特性を変えることができる。好ましくはこの物質は、液体、例えばアルコール、グリコール、ポリグリコール又は脂肪酸である。エアゾール装置で使用するのに適当な液体薬剤溶液又は懸濁液を処方する他の方法は当業者に公知である(例えばBiesalski、U.S. Pat. Nos. 5,112,598;Biesalski、5,556,611参照、引用することにより本明細書に組み入れられる)。式Iの化合物はまた、直腸又は膣用組成物例えば、例えば慣用の座薬基剤、例えばココアバター又は他のグリセリドを含む座薬又は保持浣腸剤で処方することができる。
【0200】
先に記載した製剤のほかに、式I又はIIの化合物はまた、貯留調製物として処方することができる。そのような長期作用製剤は、移植によって(例えば皮下に、若しくは筋肉内に)、又は筋肉内注入によって投与することができる。かくして、例えば化合物は、適当なポリマー又は疎水性物質(例えば、許容される油中のエマルジョンとして)又はイオン交換樹脂と共に、又は溶解性に乏しい誘導体、たとえば溶解性に乏しい塩として、処方することができる。
【0201】
あるいは、他の医薬放出系を使用することができる。リポソーム及びエマルジョンは、式I又はIIの化合物を放出するのに使用することができる放出媒体のよく知られた例である。ある種の有機溶媒、例えばジメチルスルホキシドがまた、通常、より大きい毒性という犠牲を払うが、使用できる。式Iの化合物はまた、制御放出系で送り込むことができる。1つの実施態様においては、ポンプを使用することができる(Sefton, CRC Crit. Ref Biomed Eng., 1987, 14, 201;Buchwaldら、Surgery, 1980, 88, 507;Saudekら、N. Engl. J Med., 1989, 321, 574)。別の実施態様においては、ポリマー物質を使用することができる(制御放出の医学への適用(Medical Applications of Controlled Release), Langer 及び Wise(編集), CRC Pres., Boca Raton, Fla. (1974); 制御された薬剤の生物学的利用能、薬剤製品の設計及び性能(Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance), Smolen 及び Ball 編集), Wiley, New York (1984); Ranger 及びPeppas, J Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem., 1983, 23, 61参照;またLevyら、Science 1985, 228, 190; Duringら、Ann. Neurol., 1989, 25, 351; Howardら、1989, J. Neurosurg. 71, 105参照)。なお別の実施態様においては、制御放出系を、本発明の化合物の標的、例えば肺に接近して置くことができ、かくして、全身投与量の部分のみを必要とする(例えばGoodson, Medical Application of Controlled Release, 前出、Vol. 2, pp. 115 (1984)参照)。他の制御放出系を使用することができる(例えばLanger, Science, 1990, 249, 1527参照)。
【0202】
適当な賦形剤(例えば担体及び希釈剤)ならびに、本発明に包含される粘膜投与形態を提供するのに使用することができる他の物質は、製薬の技術分野の当業者によく知られており、与えられた医薬組成物又は投与形態が投与される特定の部位又は方法に依存する。その事実を考慮すると、典型的な賦形剤としては、限定されることはないが、水、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン-1,3-ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油及びそれらの混合物を包含し、これらは、非毒性であり、薬学的に許容される。そのような追加成分の例は、当技術分野でよく知られている。例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences, 第18版、Mack Publishing, Easton PA (1990)参照。
【0203】
医薬組成物若しくは投与形態のpH又は、医薬組成物若しくは投与形態が施用される組織のpHをまた調整して、1種以上の活性成分の放出を改善することができる。同様に、溶媒担体の極性、そのイオン強度又は張性を調整して放出を改善することができる。化合物、例えばステアレートをまた医薬組成物若しくは投与形態に添加して、放出を改善するように、1種以上の活性成分の親水性又は親油性を有利に変えることができる。これに関しては、ステアレートは、製剤のための脂質媒体として、乳化剤若しくは界面活性剤として、及び放出促進剤若しくは浸透促進剤として働き得る。活性成分の異なる塩、水和物又は溶媒和物を使用して、得られる組成物の特性をさらに調整することができる。
【実施例】
【0204】
5. 実施例
以下の実施例は、適当な試薬及び物質が使用され、記載された条件の少しの変更が維持されるなら、本発明において具体化されるすべての化合物を製造するのに使用することができる方法を使用する。そのような変更は、以下の記載に与えられた過度の実験なしに、当業者に容易に行われる。
【0205】
5.1 実施例1:3-[5-(4-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]安息香酸の製造
【化7】

【0206】
40gの2-クロロトリチルクロリド樹脂(Papp polymere, Germany)を乾燥ジメチルホルムアミド(200mL)に10分間懸濁させ、溶媒を排出した。この樹脂に、300mLのジメチルホルムアミド中の3-シアノ安息香酸(12.71g、96.4ミリモル)の溶液を添加し、室温で4時間撹拌した。溶媒を排出し、樹脂を、ジクロロメタン(3 x 200mL x 1分間)、ジメチルホルムアミド(3 x 200mL x 1分間)、メタノール(3 x 200mL x 1分間)及びジクロロメタン(3 x 200mL x 1分間)で洗浄した。樹脂を4時間減圧乾燥した。所望の生成物を、トリエチルシラン/トリフルオロ酢酸/ジクロロメタン(10/50/40)での少量の反応樹脂の開裂によって分析した。LC/MS(ESI)m/z148[M+H]+及び97%純度。
【0207】
エタノール(300mL)中の3-シアノ安息香酸トリチル樹脂を室温で10分間撹拌した後、溶媒を排出した。エタノール(200mL)中のヒドロキシアミン塩酸塩(35.81g、516ミリモル)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(89.3mL、516ミリモル)を添加し、室温で5分間撹拌した。この樹脂に、反応混合物を加え、40℃で24時間撹拌した。溶媒を排出し、樹脂をジクロロメタン(3 x 200mL x 10分間)、ジメチルホルムアミド(3 x 200mL x10分間)、メタノール(3 x 200mL x 10分間)及びジクロロメタン(3 x 200mL x 10分間)で洗浄した。樹脂を4時間減圧乾燥した。所望の生成物を、トリエチルシラン/トリフルオロ酢酸/ジクロロメタン(10/50/40)での少量の反応樹脂の開裂によって分析した。LC/MS(ESI)m/z181[M+H]+及び90%純度。
【0208】
ヒドロキシアミジン樹脂(500gm、0.4ミリモル)の無水ジクロロメタン(3mL)中の懸濁液に、4-フルオロベンゾイルクロリド(95μL、0.8ミリモル)及びジイソプロピルエチルアミン(138μL、0.8ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で1晩撹拌した。溶媒を排出し、樹脂を、ジクロロメタン(3 x 10mL x 10分間)、ジメチルホルムアミド(3 x 10mL x 10分間)、メタノール(3 x 10mL x 10分間)及びジクロロメタン(3 x 10mL x 10分間)で洗浄した。樹脂を4時間減圧乾燥した。所望の生成物を、トリエチルシラン/トリフルオロ酢酸/ジクロロメタン(10/50/40)での少量の反応樹脂の開裂によって分析した。LC/MS(ESI)m/z303[M+H]+及び65%純度。
【0209】
無水ジクロロメタン(1.5mL)中のアシル化樹脂の懸濁液に、ジクロロメタン(1.5mL)中の50%トリフルオロ酢酸を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。樹脂を除去し、ろ液を減圧下で濃縮した。樹脂をトルエン(4mL)中の10%ジメチルホルムアミドに溶かした後、130℃で2時間撹拌した。溶媒を除去し、所望の生成物を、分離用LC/MSにより精製した。LC/MS(ESI)m/z285[M+H]+及び98%純度。
【0210】
上記した手順を用いて、以下の化合物が製造される。化合物は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)を用いて、LC/MSで分析される。
【表3】

【0211】

【0212】

【0213】

【0214】

【0215】

【0216】

【0217】

【0218】

【0219】

【0220】

【0221】

【0222】

【0223】

【0224】
5.2 実施例2:3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸の製造
【化8】

【0225】
DMF(0.6L)中の3-シアノ安息香酸(44.14g、300ミリモル)の溶液に、K2CO3(62.19g、450ミリモル)を添加した後、室温で30分間撹拌した。この懸濁液に、ヨウ化メチル(28mL、450ミリモル)を20分間かけて添加し、反応混合物を室温でさらに4時間撹拌した。反応混合物を1.2Lの氷水に注ぎ、30分間撹拌し、沈殿をろ別した。白色ケーキをメタノール(70mL)に溶かした後、冷水中で再沈殿させた。所望の生成物が、収率79%にて、白色粉末として得られた(38g、LC/UVによる純度99%)。1H-NMR(CDCl3)δ8.85(2H), 8.28(1H), 8.02(1H), 4.17(3H)。
【0226】
エタノール(500mL)中の3-シアノ安息香酸メチルエステル(50g、310ミリモル)の溶液に、室温にて50%水性ヒドロキシルアミン(41mL、620ミリモル)を添加した。反応混合物を100℃で1時間撹拌し、溶媒を減圧下で除去した。油状残渣を20/80エタノール/トルエン(50mL x 2)に溶かした後、再び濃縮した。所望のエステル(61g、十分な収量)が、98%純度(LC/UV)で白色粉末として得られた。1H-NMR(CDCl3)δ9.76(1H), 8.24(1H), 7.82(2H), 7.51(1H), 5.92(2H), 3.82(3H)。
【0227】
無水THF(200mL)中の3-(N-ヒドロキシカルバミミドイル)-安息香酸メチルエステル(60g、310ミリモル)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(75mL、434ミリモル)を5℃にて添加した後、混合物に、2-フルオロベンゾイルクロリド(48.1mL、403ミリモル)を20分間かけて添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。沈殿をろ別し、ろ液を減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル(400mL)に溶かした後、水洗した(200mL x 2)。減圧下で溶媒を除去し、所望の生成物を、ヘキサン中60%酢酸エチルで結晶化させて、所望の生成物(81g、83%収率)を白色固体として得た。1H-NMR(CDCl3)δ8.18(1H), 8.03(2H), 7.48(2H), 7.18(2H), 5.61(2H), 3.82(3H)。
【0228】
トルエン(500mL)中の44gの3-(N-2-フルオロベンゾイルカルバミミドイル)-安息香酸メチルエステルを、ディーン-スターク(Dean-Stark)装置を用いて、130℃で4時間還流した。反応混合物を5℃で18時間撹拌した。白色沈殿をろ別し、ろ液を濃縮し、トルエン中で再び結晶化させた。所望のオキサジアゾール(38g、92%収率)が、99%純度(LC/UV)で白色固体として得られた。1H-NMR(CDCl3)δ8.91(1H), 8.38(1H), 8.15(2H), 7.62(2H), 7.35(2H), 3.95(3H)。
【0229】
THF(400mL)中の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸メチルエステル(33g、111モル)の溶液に、1.5M水性NaOH(100mL、144ミリモル)を添加した。反応混合物を100℃で2時間還流した。有機溶媒を減圧下で除去し、水性溶液を5℃で2時間撹拌した。白色沈殿をろ別し、ろ液を濃縮し、水中で再び沈殿させた。白色ケーキを冷水で洗浄した後、凍結乾燥機を用いて乾燥した。所望の塩(33g、96%収率)が、98.6%純度(LC/UV)で白色粉末として得られた。
【0230】
THF(40mL)中の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸メチルエステル(3.3g、11ミリモル)の溶液に、1.5M水性NaOH(10mL、14ミリモル)を添加した。反応混合物を100℃で2時間還流した。有機溶媒を除去し、水性溶液を水(50mL)で希釈した後、水性HClで酸性にした。白色沈殿をろ別し、白色ケーキを冷水で洗浄した後、凍結乾燥機を用いて乾燥した。所望の酸(3.0g、96%収率)が、98%純度(LC/UV)で白色粉末として得られた。融点242℃;IRν3000(芳香族C-H)、1710(C=O);1H-NMR(D6-DMSO)δ8.31(1H), 8.18(2H), 8.08(1H), 7.88(2H), 7.51(2H);13C-NMR(D6-DMSO)δ172.71, 167.38, 166.48, 161.25, 135.80, 132.24, 131.79, 131.79, 131.08, 130.91, 129.81, 127.76, 125.48, 117.38, 111.70;19F-NMR(D6-DMSO)δ109.7。
【0231】
以下の化合物は、上記した手順を用いて製造される。
【表4】

【0232】

【0233】

【0234】

【0235】

【0236】

【0237】
5.3 実施例3:ナンセンス抑制を促進するか、及び/又は翻訳終止を調節する化合物の同定及び特性決定
セクション4.2で上記したアッセイを、2つの高処理量スクリーンで使用した。化合物は、細胞に基づくアッセイ及び生化学アッセイにおいてスクリーニングされた。化合物は、化学構造を確定するために、試験され、再合成され、そして再び試験された。3-[2-(4-イソプロピル-3-メチル-フェノキシ)-アセチルアミノ]-安息香酸ナトリウム塩は、さらにin vitroルシフェラーゼナンセンス抑制アッセイを用いて特性決定された。選択された化合物の観察されたナンセンス抑制活性がウサギ網状赤血球アッセイ系に限定されないことを保証するために、HeLa細胞抽出物を調製し、最適化した(Lie & Macdonald, 1999, Development 126(22): 4989-4996及びLie & Macdonald, 2000, Biochem. Biophys. Res. Commun. 270(2): 473-481)。
【0238】
5.4 実施例4:ナンセンス抑制を高め、機能性タンパク質を製造する化合物の特定決定
本発明の化合物は、未処理の抽出物より3〜4倍生化学アッセイにおいてナンセンス抑制のレベルを高めることが先に証明された。化合物がまたin vivoで機能するかどうかを決定するために、UGAナンセンス含有ルシフェラーゼ遺伝子を有する安定な細胞系を、選択された化合物で処理した。細胞は、1%ペニシリン-ストレプトマイシン(P/S)及び10%ウシ胎児血清(FBS)で補足した標準培地で、70%融合性(confluency)まで増殖させ、処理前日に1:1分割した。次の日に、細胞をトリプシン処理し、40,000個の細胞を、96-ウェル組織培養皿の各ウェルに添加した。各化合物の連続希釈物を調製して、2 logに及ぶ6-点投与量応答曲線(30μM〜0.3μM)を生成させた。DMSO溶媒の最終濃度は、各ウェル1%で一定にしておいた。1%DMSOで処理した細胞は背景標準として働き、ゲンタマイシンで処理した細胞は、正の対照として働いた。
【0239】
5.5 実施例5:3-[2-(4-イソプロピル-3-メチル-フェノキシ)-アセチルアミノ]-安息香酸ナトリウム塩は、化学変性剤の接触性を28S rRNAにおける特定のヌクレオチドに変える
以前の研究は、翻訳の忠実性を低下させるゲンタマイシン及びアミノグリコシド族の他のメンバーが、16S rRNAのA部位に結合することを証明した。化学的フットプリンティング、UV架橋及びNMRによって、ゲンタマイシンは、ヌクレオチド1406、1407、1494及び1496でrRNAのA部位(ヌクレオチド1400-1410及び1490-1500からなる、E. coli番号付け)で結合することが示された(Moazed & Noller, 1987, Nature 327(6121):389-394;Woodcockら、1991, EMBO J. 10(10):3099-3103;及びSchroederら、2000, EMBO J 19:1-9)。
【0240】
HeLa細胞から生成されたリボソームを、小分子(濃度100μMで)と共にインキュベートした後、化学変性剤(硫酸ジメチル[DMS]及びケトキサル(Kethoxal)[KE])で処理した。化学変性後、rRNAをフェノール-クロロホルム抽出し、エタノール沈殿し、3つのrRNAの異なる領域にハイブリッド化している末端-ラベルしたオリゴヌクレオチドを用いたプライマー伸長反応において分析し、6%ポリアクリルアミドゲル上で分離した。プライマー伸長のために使用したプローブは、全18S(7個のオリゴヌクレオチドプライマー)、28S(24個のオリゴヌクレオチドプライマー)及び5S(1個のプライマー)rRNAに及ぶ。これらの実験における対照は、DMSO(DMSOにより誘発されるrRNA接触性の変化のための対照)、パロモマイシン(18S rRNA結合のためのマーカー)及びアニソマイシン(28S rRNA結合のためのマーカー)を含む。
【0241】
これらのフットプリンティング実験の結果は、3-[2-(4-イソプロピル-3-メチル-フェノキシ)-アセチルアミノ]-安息香酸ナトリウム塩は、化学変性剤の接触性を28S rRNAにおける特定のヌクレオチドに変えることを示した。より詳細には、3-[2-(4-イソプロピル-3-メチル-フェノキシ)-アセチルアミノ]-安息香酸ナトリウム塩により保護される領域は、(1) ペプチド結合形成において関係するペプチジルトランスフェラーゼ中心(ドメインA)付近の保存領域及び(2) これら両領域へのベルナマイシニンBの結合に基づくペプチジルトランスフェラーゼ中心と相互作用し得る、ドメインIIにおける保存領域を含む。
【0242】
5.6 実施例6:細胞に基づく疾患モデルにおける中途な終止コドンのリードスルー(readthrough)
特定の遺伝病において変えられたmRNAへのナンセンス-抑制化合物の効果を扱うために、アミノ酸1282(W1282X)にナンセンスコドンを有する気管支上皮細胞系を、3-[2-(4-イソプロピル-3-メチル-フェノキシ)-アセチルアミノ]-安息香酸ナトリウム塩(20μM)で処理し、CFTR機能を、SPQアッセイを用いたcAMP-活性化塩素チャンネルとして監視した(Yangら、1993, Hum Mol Genet. 2(8):1253-1261及びHowardら、1996, Nat. Med. 2(4):467-469)。これらの実験は、これらの細胞のcAMP処理が、CFTR-仲介ハライド発散の刺激と一致するSPQ蛍光の増加をもたらすことを示した。細胞が化合物で処理されないとき、又は細胞がcAMPで刺激されないなら、蛍光の増加は観察されなかった。これらの結果は、化合物処理後にこのナンセンス含有対立遺伝子から発現した全長CFTRはまた、cAMP -刺激アニオンチャンネルと同様に機能することを示し、かくして、3-[2-(4-イソプロピル-3-メチル-フェノキシ)-アセチルアミノ]-安息香酸ナトリウム塩で処理されたときに、嚢胞性線維症細胞系が塩素チャンネル活性を増加させることを証明する。
【0243】
5.7 実施例7:mdxナンセンス含有マウスからの初代細胞は、3-[2-(4-イソプロピル-3-メチル-フェノキシ)-アセチルアミノ]-安息香酸ナトリウム塩で処理されたときに、全長ジストロフィンタンパク質を発現する
427kDaジストロフィンポリペプチドの中途な終止が、エキソン23における位置3185でのCからTへの転移であることが示されたmdxマウスにおける変異(Sicinskiら、1989, Science 244(4912):1578-1580)。1日齢のmdxマウスから誘導されたマウス初代骨格筋培養物を、以前に記載されたようにして調製した(Barton-Davisら、1999, J Clin Invest. 104(4):375-381)。細胞を、3-[2-(4-イソプロピル-3-メチル-フェノキシ)-アセチルアミノ]-安息香酸ナトリウム塩(20μM)の存在下で10日間培養した。培地は4日毎に交換し、筋芽細胞培養物におけるジストロフィンの存在を、以前に記載されたような免疫染色によって検出した(Barton-Davisら、1999, J Clin invest. 104(4):375-381)。ジストロフィンタンパク質のC-末端に対する1次モノクローナル抗体(F19A12)を希釈せずに使用し、ローダミン-結合抗-マウスIgGを二次抗体として使用した。F19A12抗体は、ナンセンスコドンの抑制によって生成された全長タンパク質を検出する。University of Pennsylvaniaにおいて、Leica DMR顕微鏡、デジタルカメラ及び関連する画像処理ソフトウェアを用いて、染色を検分した。
【0244】
5.8 実施例8:mdxマウスにおける中途終止コドンのリードスルー
以前に記載されているように(Barton-Davisら、1999, J Clin Invest. 104(4):375-381)、化合物は、麻酔したマウスの皮膚下に埋め込んだAlzet浸透圧ポンプによって放出した。3-[2-(4-イソプロピル-3-メチル-フェノキシ)-アセチルアミノ]-安息香酸ナトリウム塩の2回の投与量を投与した。ゲンタマイシンは正の対照として働き、溶媒だけを満たしたポンプは、負の対照としてのみ働いた。組織が暴露される計算された投与量が10μM及び20μMであるように、適当な化合物をポンプに装填した。ゲンタマイシン濃度は、約200μMの組織暴露を達成するように計算された。最初の実験では、マウスは14日間処理され、その後マウスはケタミンで麻酔され、全採血された。次に実験動物の前脛骨(TA)筋を削り取り、凍結し、横紋筋へのジストロフィン組み込みの免疫蛍光分析に使用した。TA筋におけるジストロフィンの存在は、以前に記載されているように(Barton-Davisら、1999, J Clin Invest. 104(4):375-381)、免疫染色によって検出した。
【0245】
5.9 実施例9:200mg投与量カプセル
表3は、バッチ製剤及び、200mg1回投与単位、すなわち約40重量%のための1回投与量製剤を示す。
【表5】

【0246】
予めゼラチン化したコーンスターチ(SPRESS B-820)及び本発明の化合物成分は710μmの篩いを通された後、バッフル挿入を有するDiffusion Mixerに装填され、15分間ブレンドされる。ステアリン酸マグネシウムは210μmの篩いを通され、Diffusion Mixerに添加される。次にブレンドは、Dosatorタイプのカプセル充填機を用いて、カプセル当たり500mg(8400カプセルバッチサイズ)で、サイズ#0のカプセルにカプセル封入される。
【0247】
5.10 実施例10:100mgの経口投与形態
表4は、バッチ製剤及び100mgの本発明の化合物を含む1回投与単位製剤を示す。
【表6】

【0248】
微晶質セルロース、クロスカルメロースナトリウム及び本発明の化合物成分は、#30メッシュの篩い(約430μ〜655μ)を通される。Pluronic F-68(商標)(Lenexa, KSのJRH Biosciences, Inc.により製造)界面活性剤は、#20メッシュの篩い(約457μ〜1041μ)を通される。Pluronic F-68(商標)界面活性剤及び0.5kgのクロスカルメロースナトリウムは、16qt2シェルタンブルブレンダーに装填され、約5分間混合される。次に混合物は、微晶質セルロースが添加された、3立方フィートの2シェルタンブルブレンダーに移され、約5分間ブレンドされる。化合物が添加され、さらに25分間ブレンドされる。この予備ブレンドは、ローラーコンパクターの放出部に付けられたハンマーミルを有するローラーコンパクターを通され、タンブルブレンダーに戻される。残ったクロスカルメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムがタンブルブレンダーに添加され、約3分間ブレンドされる。最終混合物は、1錠当たり250mgにて、ロータリー錠剤プレスで圧縮される(200,000錠剤バッチサイズ)。
【0249】
5.11 実施例11:エアゾール投与形態
本発明の化合物及び12.6kg部分のトリクロロモノフルオロメタンを、高剪断ミキサーを備えた封止ステンレス鋼の容器中で合わせることによって、濃縮物が製造される。混合は、約20分間行なわれる。次に、濃縮物を残部のプロペラントと、21〜27℃に温度制御され、2.8〜4.0BARに圧力制御された大量生成物タンク中で合わせることによって、大量懸濁物が、封止容器中で製造される。本発明の組成物の100回吸入を提供するように設計された、計量された値を有する17mlのエアゾール容器。各容器は、以下を備えている:
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

の化合物であって、ここで、
Zは、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換の複素環、置換若しくは非置換のアリールアルキルであり;
R1は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、-(CH2CH2)nOR6又は任意の生物加水分解性基であり;
R2、R3、R4、R5及びR6は独立して、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ハロゲン、CF3、OCF3、OCHF2、CN、COOH、COOR7、SO2R7、NO2、NH2又はN(R7)2であり;
各R7は独立して、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ハロゲン又はCF3であり;かつ
nは1〜7の整数である;
ただし、R1、R2、R3、R4及びR5がそれぞれ水素であるとき、Zはメチル、2-カルボキシエチル、3-(4-ピリジニル)プロピル又は2-(4-ピペリジニル)エチルではない、
化合物。
【請求項2】
式II:
【化2】

を有する請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、水和物、包接化合物又は立体異性体であって、ここでZは、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換の複素環、置換若しくは非置換のアリールアルキルであり、Rは水素又はハロゲンである、
化合物。
【請求項3】
R1が生物加水分解性エステルである請求項1記載の化合物。
【請求項4】
Zがp-トリル;(4-クロロメチル-フェニル);(2-クロロ-ピリジン-3-イル);(2-フルオロ-フェニル);(3,4-ジフルオロ-フェニル);(4-メトキシ-フェニル);ベンゾ[1,3]ジオキソール-イル;(4-エチル-フェニル);o-トリル;(2-クロロ-フェニル);(3-メチル-チオフェン-2-イル);ベンゾ[b] チオフェン-2-イル;(3-フルオロ-フェニル);(4-tert-ブチル-フェニル);(2-メトキシ-フェニル);(2,-ジフルオロ-フェニル);チオフェン-2-イル;(2,4-ジフルオロ-フェニル);(3-クロロ-フェニル);m-トリル;(4-トリフルオロメチル-フェニル);(4-フルオロ-フェニル);(3-メトキシ-フェニル);フェニル;(2,6-ジフルオロ-フェニル);(2,-ジメチル-フラン-3-イル);(4-ピロール-1-イル-フェニル);(3-ジメチルアミノ-フェニル);ビフェニル-4-イル;(4-ジメチルアミノ-フェニル);ベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-イル;m-トリル;(2-トリフルオロメチル-フェニル);(6-クロロ-ピリジン-3-イル);(3,ビス-トリフルオロメチル-フェニル);フラン-2-イル;(4-ニトロ-フェニル);(3,4-ジメトキシ-フェニル);(3-トリフルオロメトキシ-フェニル);ナフタレン-1-イル;シクロヘキシル;ピリジン-3-イル;ピリジン-4-イル;シクロペンチル;シクロプロピル;(4-ペンチルオキシ-フェニル);(3,4-トリメトキシ-フェニル);(4-イソブチル-フェニル);シクロブチル;(1-アセチル-ピペリジン-4-イル);イソオキサゾール-イル;[2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-メチル-イソオキサゾール-4-イル]又は[2-クロロ-フェニル)-メチル-イソオキサゾール-4-イル]である請求項1又は2記載の化合物。
【請求項5】
3-(5-p-トリル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-[5-(4-クロロメチル-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(2-クロロ-ピリジン-3-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(3,4-ジフルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(4-メトキシ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-(5-ベンゾ-[1,3]ジオキソール-5-イル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-[5-(4-エチル-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-(5-o-トリル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-[5-(2-クロロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(3-メチル-チオフェン-2-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-(5-ベンゾ-[b]チオフェン-2-イル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-[5-(3-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(4-tert-ブチル-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(2-メトキシ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(2,5-ジフルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-(5-チオフェン-2-イル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-[5-(2,4-ジフルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(3-クロロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-(5-m-トリル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-[5-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(4-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(3-メトキシ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-(5-フェニル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-[5-(2,6-ジフルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(2,5-ジメチル-フラン-3-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(4-ピロール-1-イル-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(3-ジメチルアミノ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-(5-ビフェニル-4-イル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-[5-(4-ジメチルアミノ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-(5-ベンゾ-[1,2,5]オキサジアゾール-5-イル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-(5-m-トリル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-[5-(2-トリフルオロメチル-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(6-クロロ-ピリジン-3-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(3,5-ビス-トリフルオロメチル-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-(5-フラン-2-イル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-[5-(4-ニトロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(3,4-ジメトキシ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(3-トリフルオロメトキシ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-(5-ナフタレン-1-イル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-(5-シクロヘキシル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-(5-ピリジン-3-イル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-(5-ピリジン-4-イル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-(5-シクロペンチル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-(5-シクロプロピル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-[5-(4-ペンチルオキシ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(3,4,5-トリメトキシ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(4-イソブチル-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-(5-シクロブチル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-[5-(1-アセチル-ピぺリジン-4-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-(5-イソオキサゾール-5-イル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-{5-[3-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-5-メチル-イソオキサゾール-4-イル]-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル}-安息香酸;
3-(5-イソプロピル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-(5-tert-ブチル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-(5-ブチル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-(5-プロペニル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-[5-(4-クロロ-ベンジル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(4-クロロ-フェノキシメチル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-(5-ベンジル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-(5-メトキシメチル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-[5-(1-フェニル-プロピル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(4-フルオロ-ベンジル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(3-クロロ-フェノキシメチル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(6-クロロ-ピリジン-3-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-(5-シクロペンチルメチル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-安息香酸;
3-[5-(4-メトキシ-ベンジル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(2,3-ジフルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(2-フルオロ-5-メチル-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(2-メチルスルファニル-ピリジン-3-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(2,2-ジフルオロ-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
4-フルオロ-3-[5-(4-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
2-フルオロ-5-[5-(4-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(4-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(3-フルオロ-ビフェニル-4-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-{5-[3-(2-クロロ-フェニル)-5-メチル-イソオキサゾール-4-イル]-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル}-安息香酸;
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸ナトリウム塩;
3-[5-(4-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸メチルエステル;
5-[5-(4-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-2-メトキシ-安息香酸;
3-[5-(3-フルオロ-ビフェニル-4-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(6-ピロリジン-1-イル-ピリジン-3-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(3,4,5,6-テトラヒドロ-2H-[1,2’]ビピリジニル-5’-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(2-フルオロ-6-ヒドロキシ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸メチルエステル;
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸2-メトキシ-エチルエステル;
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸2-(2-メトキシ-エトキシ)-エチルエステル;
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸2-[2-(2-メトキシ-エトキシ)-エトキシ]-エチルエステル;
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸2-{2-[2-(2-メトキシ-エトキシ)-エトキシ]-エトキシ}-エチルエステル;
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸2-(2-{2-[2-(2-メトキシ-エトキシ)-エトキシ]-エトキシ}-エトキシ)-エチルエステル;
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸2-[2-(2-{2-[2-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-エトキシ]-エトキシ}-エトキシ)-エトキシ]-エチルエステル;
3-[5-(4-アミノ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;
3-[5-(4-アジド-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸;及び
3-[5-(4-ベンジルオキシ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸ならびに、
その薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、包接化合物及び立体異性体からなる群より選択される化合物。
【請求項6】
請求項1又は5記載の化合物及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項7】
請求項1又は5記載の化合物及び薬学的に許容される担体を含む単位投与剤型。
【請求項8】
細胞において中途翻訳終止(premature translation termination)又はナンセンス変異依存mRNA分解(nonsense-mediated mRNA decay)を調節する方法であって、中途翻訳終止又はナンセンス変異依存mRNA分解を示す細胞を、有効量の式:
【化3】

(ここで、Zは、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換の複素環、置換若しくは非置換のアリールアルキルであり;
R1は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、-(CH2CH2)nOR6又は任意の生物加水分解性基であり;
R2、R3、R4、R5及びR6は独立して、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ハロゲン、CF3、OCF3、OCHF2、CN、COOH、COOR7、SO2R7、NO2、NH2又はN(R7)2であり;
各R7は独立して、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ハロゲン又はCF3であり;かつ
nは1〜7の整数である)
の化合物と接触させることを含む方法。
【請求項9】
中途翻訳終止又はナンセンス変異依存mRNA分解を示す細胞を、有効量の式II:
【化4】

の化合物又はその薬学的に許容される塩、水和物、包接化合物若しくは立体異性体と接触させることを含み、ここで、Zは、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換の複素環、置換若しくは非置換のアリールアルキルであり、Rは水素又はハロゲンである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
該疾患が遺伝病である請求項8又は9記載の方法。
【請求項11】
該遺伝病が、自己免疫疾患、血液疾患、膠原病、糖尿病、炎症性疾患又は中枢神経系疾患である請求項8又は9記載の方法。
【請求項12】
自己免疫疾患が、慢性関節リウマチ又は対宿主性移植片病である請求項11記載の方法。
【請求項13】
炎症性疾患が関節炎である請求項11記載の方法。
【請求項14】
中枢神経系疾患が、多発性硬化症、筋ジストロフィー、後期乳児期神経セロイド脂褐素沈着症、デュシェーヌ筋ジストロフィー、アルツハイマー病、テイ-サックス病、神経組織変性疾患又はパーキンソン病である請求項11記載の方法。
【請求項15】
血液疾患が、血友病、ヴォン ヴィレブランド病、毛細管拡張性運動失調、b-サラセミア又は腎結石である請求項11記載の方法。
【請求項16】
膠原病が、骨形成不全又は肝硬変である請求項11記載の方法。
【請求項17】
遺伝病が、家族性赤血球増加症、免疫不全、腎臓病、嚢胞性線維症、家族性高コレステロール血症、色素性網膜炎、アミロイドーシス、アテローム性動脈硬化症、巨人症、小人症、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、老化、肥満、ニーマン-ピック病又はマルファン症候群である請求項10記載の方法。
【請求項18】
遺伝病を治療若しくは予防するか、又は遺伝病に関連する1つ以上の症状若しくは遺伝病の発現を改善する方法であって、それを必要とする患者に、治療若しくは予防に有効な量の式:
【化5】

(ここで、Zは、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換の複素環、置換若しくは非置換のアリールアルキルであり;
R1は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、-(CH2CH2)nOR6又は任意の生物加水分解性基であり;
R2、R3、R4、R5及びR6は独立して、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ハロゲン、CF3、OCF3、OCHF2、CN、COOH、COOR7、SO2R7、NO2、NH2又はN(R7)2であり;
各R7は独立して、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ハロゲン又はCF3であり;かつ
nは1〜7の整数である)
の化合物を投与することを含む方法。
【請求項19】
治療若しくは予防に有効な量の式II:
【化6】

の化合物又はその薬学的に許容される塩、水和物、包接化合物若しくは立体異性体をそれを必要とする患者に投与することを含み、ここで、Zは、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換の複素環、置換若しくは非置換のアリールアルキルであり、Rは水素又はハロゲンである、請求項18記載の方法。
【請求項20】
該遺伝病が、自己免疫疾患、血液疾患、膠原病、糖尿病、炎症性疾患又は中枢神経系疾患である請求項18又は19記載の方法。
【請求項21】
自己免疫疾患が、慢性関節リウマチ又は対宿主性移植片病である請求項20記載の方法。
【請求項22】
炎症性疾患が関節炎である請求項20記載の方法。
【請求項23】
中枢神経系疾患が、多発性硬化症、筋ジストロフィー、後期乳児期神経セロイド脂褐素沈着症、デュシェーヌ筋ジストロフィー、アルツハイマー病、テイ-サックス病、神経組織変性疾患又はパーキンソン病である請求項20記載の方法。
【請求項24】
血液疾患が、血友病、ヴォン ヴィレブランド病、毛細管拡張性運動失調、b-サラセミア又は腎結石である請求項20記載の方法。
【請求項25】
膠原病が、骨形成不全又は肝硬変である請求項20記載の方法。
【請求項26】
遺伝病が、家族性赤血球増加症、免疫不全、腎臓病、嚢胞性線維症、家族性高コレステロール血症、色素性網膜炎、アミロイドーシス、アテローム性動脈硬化症、巨人症、小人症、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、老化、肥満、ニーマン-ピック病又はマルファン症候群である請求項8又は9記載の方法。
【請求項27】
癌又は、癌に関連する1つ以上の症状若しくは癌の発現を治療、予防若しくは改善する方法であって、それを必要とする患者に、治療若しくは予防に有効な量の式:
【化7】

(ここで、Zは、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換の複素環、置換若しくは非置換のアリールアルキルであり;
R1は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、-(CH2CH2)nOR6又は任意の生物加水分解性基であり;
R2、R3、R4、R5及びR6は独立して、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ハロゲン、CF3、OCF3、OCHF2、CN、COOH、COOR7、SO2R7、NO2、NH2又はN(R7)2であり;
各R7は独立して、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ハロゲン又はCF3であり;かつ
nは1〜7の整数である)
の化合物を投与することを含む方法。
【請求項28】
治療若しくは予防に有効な量の式II:
【化8】

の化合物又はその薬学的に許容される塩、水和物、包接化合物若しくは立体異性体をそれを必要とする患者に投与することを含み、ここで、Zは、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換の複素環、置換若しくは非置換のアリールアルキルであり、Rは水素又はハロゲンである、請求項27記載の方法。
【請求項29】
該癌が、頭及び首、目、皮膚、口、のど、食道、胸、骨、肺、結腸、S字結腸、直腸、胃、前立腺、胸部、卵巣、腎臓、肝臓、膵臓、脳、腸、心臓、副腎の癌、固体腫瘍、肉腫、癌腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、骨膜腫、中皮腫、ユーイング腫、平滑筋肉腫、黄紋筋肉腫、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、骨髄癌、気管支原生癌、腎細胞癌、肝臓癌、胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胎生期癌、ウィルムス腫、頸部癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、カポージ肉腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫(menangioma)、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、血液-骨腫瘍、急性リンパ芽球白血病、急性リンパ芽球B-細胞白血病、急性リンパ芽球T-細胞白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球白血病、急性単芽球白血病、急性赤白血病、急性巨核芽球白血病、急性骨髄単球性白血病、急性非リンパ性白血病、急性未分化白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、多発性骨髄腫又はp53-関連の癌である請求項27又は28記載の方法。
【請求項30】
患者が哺乳動物である請求項18、19、27又は28のいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
化合物が、非経口的に、経皮的に、粘膜に、鼻に、口内に、舌下に又は経口的に投与される請求項18、19、27又は28のいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
化合物が経口的に投与される請求項31記載の方法。
【請求項33】
化合物が、錠剤、液体又はカプセルの形態で経口的に投与される請求項32記載の方法。
【請求項34】
治療又は予防に有効な量が、1日当たり約1mg〜約2000mgである請求項18、19、27又は28のいずれか1項記載の方法。
【請求項35】
治療又は予防に有効な量が、1日当たり約5mg〜約500mgである請求項34記載の方法。
【請求項36】
治療又は予防に有効な量が、1日当たり約10mg〜約200mgである請求項35記載の方法。
【請求項37】
自己免疫疾患、血液疾患、膠原病、糖尿病、炎症性疾患若しくは中枢神経系疾患に関連する1つ以上の症状又はそれらの発現を治療、予防又は改善する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の式:
【化9】

(ここで、Zは、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換の複素環、置換若しくは非置換のアリールアルキルであり;
R1は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、-(CH2CH2)nOR6又は任意の生物加水分解性基であり;
R2、R3、R4、R5及びR6は独立して、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ハロゲン、CF3、OCF3、OCHF2、CN、COOH、COOR7、SO2R7、NO2、NH2又はN(R7)2であり;
各R7は独立して、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ハロゲン又はCF3であり;かつ
nは1〜7の整数である)
の化合物を投与することを含む方法。
【請求項38】
該疾患が、慢性関節リウマチ、対宿主性移植片病、関節炎、多発性硬化症、筋ジストロフィー、後期乳児期神経セロイド脂褐素沈着症、デュシェーヌ筋ジストロフィー、アルツハイマー病、テイ-サックス病、神経組織変性疾患、パーキンソン病、ニーマン-ピック病、血友病、ヴォン ヴィレブランド病、毛細管拡張性運動失調、b-サラセミア、腎結石、骨形成不全、肝硬変、家族性赤血球増加症、免疫不全、腎臓病、嚢胞性線維症、家族性高コレステロール血症、色素性網膜炎、アミロイドーシス、アテローム性動脈硬化症、巨人症、小人症、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、老化、肥満又はマルファン症候群である請求項37記載の方法。

【公開番号】特開2011−251981(P2011−251981A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−156613(P2011−156613)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【分割の表示】特願2006−509896(P2006−509896)の分割
【原出願日】平成16年4月9日(2004.4.9)
【出願人】(503369705)ピーティーシー セラピューティクス,インコーポレーテッド (31)
【Fターム(参考)】