説明

1,2,4,5−置換フェニル誘導体とその製造方法、及び有機電界発光素子

【課題】有機電界発光素子の低消費電力化を可能にする1,2,4,5−置換フェニル誘導体と、それを電子輸送材とする長寿命を備えた有機電界発光素子の提供。
【解決手段】下記式(1)で表される1,2,4,5−置換フェニル誘導体。


(式中、Arは、フェニル基またはアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基、フェニル基または2〜4環の炭化水素基。Xは、単結合、フェニレン基、ナフチレン基または2価の含窒素ヘテロ芳香族基。Ar、ArおよびArの少なくとも1つはアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基であり、残りは水素原子である。Xが1,3−フェニレン基の時、ArはArおよびArと同一ではなく、また、Xが1,4−フェニレン基の時、ArはArと同一ではない。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1,2,4,5−置換フェニル誘導体とその製造方法に関するものである。本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体は、ベンゼンの1,2,4,5位のいずれかに、含窒素ヘテロ芳香族基を有する置換基を持つことを特徴とする。この1,2,4,5−置換フェニル誘導体は、良好な電荷輸送特性を持ち、安定な薄膜を形成することから、蛍光又は燐光有機電界発光素子の構成成分として有用である。
【0002】
本発明は、さらに、1,2,4,5−置換フェニル誘導体からなる少なくとも一つの有機化合物層を有し、駆動性及び発光性に優れた、発光効率が高い有機電界発光素子に関するものである。
【背景技術】
【0003】
有機電界発光素子は、発光材料を含有する発光層を、正孔輸送層と電子輸送層で挟み、さらにその外側に陽極と陰極を取付け、発光層に注入された正孔及び電子の再結合により生ずる励起子が失活する際の光の放出(蛍光又は燐光)を利用する素子であり、ディスプレー等へ応用されている。
【0004】
1,2,4,5−置換フェニル誘導体を有機電界発光素子に用いる例(特許文献1参照)が開示されている。この例ではベンゼンの1,2,4,5位上の置換基がメタフェニレン基に限定しており、本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体は含まれない。
【0005】
1,2,4,5−置換フェニル誘導体として、ビピリジル基を導入した化合物を有機電界発光素子に用いる例(特許文献2参照)が開示されているが、この誘導体では、置換基がピリジル基に限定されており、本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体は含まれない。
【0006】
1,2,4,5−置換フェニル誘導体が有機電界発光素子に用いられている例(特許文献3参照)が開示されているが、この例では1,1’:4’,1’’テルフェニルの2’位および5’位が置換された化合物しか規定しておらず、本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体とは異なる。また、この特許文献には、上記化合物の発光効率が高いことのみが議論されているだけで、有機電界発光素子に望まれる低消費電力・長寿命は記載されておらず、上記化合物の効果は限定的である。
【0007】
さらに、フェニル基とピリジル基を組み合わせた誘導体を有機電界発光素子に用いた例(特許文献4〜8参照)があるが、この誘導体は、本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体とは骨格が異なるものであって、その有機電界発光素子の性能は十分に向上されてはいない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−90085号公報
【特許文献2】WO2009−151039号公報
【特許文献3】WO2009−081873号公報
【特許文献4】特開2008−63232号公報
【特許文献5】特開2003−336043号公報
【特許文献6】特開2007−015993号公報
【特許文献7】特開2005−255986号公報
【特許文献8】特開2008−127326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
有機電界発光素子は様々な表示機器に利用されているが、電源供給に制限のある携帯機器への有機電界発光素子の利用に関しては、より低消費電力を達成することが求められている。また、同時に有機電界発光素子の商業利用を行う際には、安定した性能を得るために素子寿命をどのように伸長するかが問題となる。
【0010】
特に電子輸送材料については、素子を低電圧で駆動せしめ消費出力を低減させるための優れた電荷注入及び輸送特性と、素子の長寿命化を可能にする耐久性を併せ持った材料は、従来の化合物の中には見出すことができず、新たな材料が望まれている。
【0011】
本発明の目的は、有機電界発光素子の構成材料として用いるとき、良好な電荷注入、輸送特性を持つ新規構造を有する1,2,4,5−置換フェニル誘導体を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、工業的に有利な、上記1,2,4,5−置換フェニル誘導体の製造方法を提供することにある。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、駆動性及び発光性に優れた発光効率の高い有機電界発光素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、含窒素ヘテロ芳香族基を有する置換基をベンゼンの1,2,4,5位のいずれかに持つ1,2,4,5−置換フェニル誘導体は、青色蛍光素子若しくは燐光素子として用いる為に必要な広いエネルギーギャップ及び高い三重項エネルギーを有すること、また、この1,2,4,5−置換フェニル誘導体を電子輸送層として用いた有機電界発光素子は、駆動性及び発光性に優れており、発光効率が高いという特性を持つことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明は、一面において、下記一般式(1)
【0016】
【化1】

(式中、Arはフェニル基若しくはアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基、フェニル基若しくはアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、またはフェニル基若しくはアルキル基で置換されていてもよい2〜4環の炭化水素基を表す。Xは単結合、アルキル基で置換されていてもよいフェニレン基、アルキル基で置換されていてもよいナフチレン基、またはアルキル基で置換されていてもよい2価の含窒素ヘテロ芳香族基を表す。Ar、ArおよびArは、各々独立にアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基または水素原子を表す。但し、Ar、ArおよびArのうち少なくとも一つはアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基を表す。Xが1,3−フェニレン基の時、ArはArおよびArと同一とならない。Xが1,4−フェニレン基の時、ArはArと同一とならない。また、式中の各水素原子は各々独立に重水素原子であってもよい。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体を提供する。
【0017】
本発明は、他の一面において、下記一般式(2)
【0018】
【化2】

(式中、Zは脱離基を表す。Ar、ArおよびArは各々独立にアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基または水素原子を表す。但し、Ar、ArおよびArのうち少なくとも一つは、アルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基を表す。また、下記の一般式(3)中のXが1,3−フェニレン基の時、ArはArおよびArと同一ではなく、また、Xが1,4−フェニレン基の時、ArはArと同一ではない。式中の各水素原子は各々独立に重水素原子であってもよい。)で示される化合物と、
下記一般式(3)
【0019】
【化3】

(式中、Arはフェニル基若しくはアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基、フェニル基若しくはアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、またはフェニル基若しくはアルキル基で置換されていてもよい2〜4環の炭化水素基を表す。Xは単結合、アルキル基で置換されていてもよいフェニレン基、アルキル基で置換されていてもよいナフチレン基、またはアルキル基で置換されていてもよい2価の含窒素ヘテロ芳香族基を表す。Mは、金属基またはヘテロ原子基を表す。また、式中の各水素原子は各々独立に重水素原子であってもよい。)で示される化合物とを、塩基の存在下または非存在下、金属触媒の存在下でカップリング反応させることを特徴とする、
下記一般式(1)
【0020】
【化4】

(式中、Arはフェニル基若しくはアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基、フェニル基若しくはアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、またはフェニル基若しくはアルキル基で置換されていてもよい2〜4環の炭化水素基を表す。Xは単結合、アルキル基で置換されていてもよいフェニレン基、アルキル基で置換されていてもよいナフチレン基、またはアルキル基で置換されていてもよい2価の含窒素ヘテロ芳香族基を表す。Ar、ArおよびArは、各々独立にアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基または水素原子を表す。但し、Ar、ArおよびArのうち少なくとも一つはアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基を表す。Xが1,3−フェニレン基の時、ArはArおよびArと同一とならない。Xが1,4−フェニレン基の時、ArはArと同一とならない。また、式中の各水素原子は各々独立に重水素原子であってもよい。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体の製造方法を提供する。
【0021】
本発明は、さらに他の一面において、下記一般式(2)
【0022】
【化5】

(式中、Zは脱離基を表す。Ar、ArおよびArは各々独立にアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基または水素原子を表す。但し、Ar、ArおよびArのうち少なくとも一つはアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基を表す。また、前記の一般式(3)中のXが1,3−フェニレン基の時、ArはArおよびArと同一ではなく、また、Xが1,4−フェニレン基の時、ArはArと同一ではない。式中の各水素原子は各々独立に重水素原子であってもよい。)で示される化合物を、
下記一般式(4)
【0023】
【化6】

(Ar、ArおよびArは各々独立にアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基または水素原子を表す。但し、Ar、ArおよびArのうち少なくとも一つはアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基を表す。また、前記一般式(3)中のXが1,3−フェニレン基の時、ArはArおよびArと同一ではなく、また、Xが1,4−フェニレン基の時、ArはArと同一ではない。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。また、式中の各水素原子は各々独立に重水素原子であってもよい。)で示される化合物と、
下記一般式(5)
【0024】
【化7】

(式中、Z及びZは各々独立に脱離基を表す。但し、ZとZは同一とならない。)で示される化合物を、塩基の存在下または非存在下、金属触媒の存在下でカップリング反応させることを特徴とする、
下記一般式(1)
【0025】
【化8】

(式中、Arはフェニル基若しくはアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基、フェニル基若しくはアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、またはフェニル基若しくはアルキル基で置換されていてもよい2〜4環の炭化水素基を表す。Xは単結合、アルキル基で置換されていてもよいフェニレン基、アルキル基で置換されていてもよいナフチレン基、またはアルキル基で置換されていてもよい2価の含窒素ヘテロ芳香族基を表す。Ar、ArおよびArは、各々独立にアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基または水素原子を表す。但し、Ar、ArおよびArのうち少なくとも一つはアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基を表す。Xが1,3−フェニレン基の時、ArはArおよびArと同一とならない。Xが1,4−フェニレン基の時、ArはArと同一とならない。また、式中の各水素原子は各々独立に重水素原子であってもよい。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体の製造方法を提供する。
【0026】
さらに、本発明は、さらに他の一面において、下記一般式(1)
【0027】
【化9】

(式中、Arはフェニル基若しくはアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基、フェニル基若しくはアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、またはフェニル基若しくはアルキル基で置換されていてもよい2〜4環の炭化水素基を表す。Xは単結合、アルキル基で置換されていてもよいフェニレン基、アルキル基で置換されていてもよいナフチレン基、またはアルキル基で置換されていてもよい2価の含窒素ヘテロ芳香族基を表す。Ar、ArおよびArは、各々独立にアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基または水素原子を表す。但し、Ar、ArおよびArのうち少なくとも一つはアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基を表す。Xが1,3−フェニレン基の時、ArはArおよびArと同一とならない。Xが1,4−フェニレン基の時、ArはArと同一とならない。また、式中の各水素原子は各々独立に重水素原子であってもよい。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体を構成成分として含む有機電界発光素子を提供する。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一般式(1)で表される1,2,4,5−置換フェニル誘導体は、良好な電荷注入、輸送特性を持つことから、蛍光又は燐光有機電界発光素子の材料として有用であり、とりわけホスト材や電子輸送材等として好適である。
【0029】
また、上記1,2,4,5−置換フェニル誘導体のバンドギャップは3.2eV以上であり、パネルを構成する3原色(赤:1.9eV、緑:2.4eV、青:2.8eV)の各色のエネルギーを閉じ込めるのに十分なワイドバンドギャップ材料である。よって、単色の表示素子、3原色のカラー表示素子、照明用途などの白色素子など様々な素子への応用が可能である。本化合物の三重項エネルギーも高く、燐光用途への適用も十分可能である。さらに置換基の変更によって溶解性の制御も可能であるため、蒸着素子ばかりでなく塗布素子への応用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】後記の試験例−1で作製する有機電界発光素子の断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1.ITO透明電極付きガラス基板
2.正孔注入層
3.正孔輸送層
4.発光層
5.電子輸送層
6.陰極層
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0033】
本発明の一般式(1)で表される1,2,4,5−置換フェニル誘導体(以下、「化合物(1)」ということがある)において、Arで表されるフェニル基またはアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基、フェニル基またはアルキル基で置換されていてもよいフェニル基若しくはフェニル基またはアルキル基で置換されていてもよい2〜4環の炭化水素基の好ましい例としては、アルキル基で置換されていてもよいピリジル基、アルキル基で置換されていてもよいフェニル基、およびアルキル基で置換されていてもよいフルオレニル基等を挙げることができる。
【0034】
以下、さらにArの具体例を挙げるが、Arはこれらに限定されるものではない。
【0035】
フェニル基またはアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基としては、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−メチルピリジン−3−イル基、2−メチルピリジン−4−イル基、2−メチルピリジン−5−イル基、2−メチルピリジン−6−イル基、3−メチルピリジン−2−イル基、3−メチルピリジン−4−イル基、3−メチルピリジン−5−イル基、3−メチルピリジン−6−イル基、4−メチルピリジン−2−イル基、4−メチルピリジン−3−イル基、2,6−ジメチルピリジン−3−イル基、2,6−ジメチルピリジン−4−イル基、3,6−ジメチルピリジン−2−イル基、3,6−ジメチルピリジン−4−イル基、3,6−ジメチルピリジン−5−イル基、2−フェニルピリジン−3−イル基、2−フェニルピリジン−4−イル基、2−フェニルピリジン−5−イル基、2−フェニルピリジン−6−イル基、3−フェニルピリジン−2−イル基、3−フェニルピリジン−4−イル基、3−フェニルピリジン−5−イル基、3−フェニルピリジン−6−イル基、4−フェニルピリジン−2−イル基、4−フェニルピリジン−3−イル基、2,6−ジフェニルピリジン−3−イル基、2,6−ジフェニルピリジン−4−イル基、3,6−ジフェニルピリジン−2−イル基、3,6−ジフェニルピリジン−4−イル基、3,6−ジフェニルピリジン−5−イル基、2−ピリミジル基、4−ピリミジル基、5−ピリミジル基、2−メチルピリミジン−4−イル基、2−メチルピリミジン−5−イル基、4−メチルピリミジン−2−イル基、4−メチルピリミジン−5−イル基、4−メチルピリミジン−6−イル基、5−メチルピリミジン−2−イル基、5−メチルピリミジン−4−イル基、2,4−ジメチルピリミジン−6−イル基、4,6−ジメチルピリミジン−2−イル基、2−フェニルピリミジン−4−イル基、2−フェニルピリミジン−5−イル基、4−フェニルピリミジン−2−イル基、4−フェニルピリミジン−5−イル基、4−フェニルピリミジン−6−イル基、5−フェニルピリミジン−2−イル基、5−フェニルピリミジン−4−イル基、2,4−ジフェニルピリミジン−6−イル基、4,6−ジフェニルピリミジン−2−イル基、2−ピラジル基、2−メチルピラジン−3−イル基、2−メチルピラジン−5−イル基、2−メチルピラジン−6−イル基、2,6−ジメチルピラジン−3−イル基、2−フェニルピラジン−3−イル基、2−フェニルピラジン−5−イル基、2−フェニルピラジン−6−イル基等が挙げられる。
【0036】
有機電界発光素子材料として性能が良い点で、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、3−メチルピリジン−6−イル基、2−メチルピリジン−5−イル基、3−フェニルピリジン−6−イル基、2−フェニルピリジン−5−イル基、2−ピリミジル基、4−ピリミジル基、5−ピリミジル基、5−フェニルピリミジン−2−イル基が好ましい。合成が容易な点で、2−ピリジル基、3−ピリジル基、2−フェニルピリジン−5−イル基、5−フェニルピリミジン−2−イル基が更に好ましい。
【0037】
フェニル基またはアルキル基で置換されていてもよいフェニル基としては、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、1,3,5−トリメチルフェニル基、2−ビフェニル基、3−ビフェニル基、4−ビフェニル基、1,1’:3’,1’’−テルフェニル−2’−イル基、1,1’:3’,1’’−テルフェニル−4’−イル基、1,1’:3’,1’’−テルフェニル−5’−イル基、1,1’:3’,1’’−テルフェニル−6’−イル基、1,1’:2’,1’’−テルフェニル−3’−イル基、1,1’:2’,1’’−テルフェニル−4’−イル基、1,1’:4’,1’’−テルフェニル−2’−イル基等が挙げられる。
【0038】
有機電界発光素子材料として性能が良い点で、フェニル基、p−トリル基、4−ビフェニル基、1,1’:3’,1’’−テルフェニル−5’−イル基が好ましく、合成が容易な点で、フェニル基、p−トリル基、4−ビフェニル基が更に好ましい。
【0039】
フェニル基またはアルキル基で置換されていてもよい2〜4環の炭化水素基としては、1−ナフチル基、4−メチルナフタレン−1−イル基、4−トリフルオロメチルナフタレン−1−イル基、4−エチルナフタレン−1−イル基、4−プロピルナフタレン−1−イル基、4−ブチルナフタレン−1−イル基、4−tert−ブチルナフタレン−1−イル基、5−メチルナフタレン−1−イル基、5−エチルナフタレン−1−イル基、5−プロピルナフタレン−1−イル基、5−ブチルナフタレン−1−イル基、5−tert−ブチルナフタレン−1−イル基、2−ナフチル基、6−メチルナフタレン−2−イル基、6−トリフルオロメチルナフタレン−2−イル基、6−エチルナフタレン−2−イル基、6−プロピルナフタレン−2−イル基、6−ブチルナフタレン−2−イル基、6−tert−ブチルナフタレン−2−イル基、7−メチルナフタレン−2−イル基、7−エチルナフタレン−2−イル基、7−プロピルナフタレン−2−イル基、7−ブチルナフタレン−2−イル基、7−tert−ブチルナフタレン−2−イル基、1−アントリル基、2−メチルアントラセン−1−イル基、3−メチルアントラセン−1−イル基、4−メチルアントラセン−1−イル基、9−メチルアントラセン−1−イル基、10−メチルアントラセン−1−イル基、2−フェニルアントラセン−1−イル基、3−フェニルアントラセン−1−イル基、4−フェニルアントラセン−1−イル基、5−フェニルアントラセン−1−イル基、6−フェニルアントラセン−1−イル基、7−フェニルアントラセン−1−イル基、8−フェニルアントラセン−1−イル基、9−フェニルアントラセン−1−イル基、10−フェニルアントラセン−1−イル基、2−アントリル基、1−メチルアントラセン−2−イル基、3−メチルアントラセン−2−イル基、4−メチルアントラセン−2−イル基、9−メチルアントラセン−2−イル基、10−メチルアントラセン−2−イル基、1−フェニルアントラセン−2−イル基、3−フェニルアントラセン−2−イル基、4−フェニルアントラセン−2−イル基、5−フェニルアントラセン−2−イル基、6−フェニルアントラセン−2−イル基、7−フェニルアントラセン−2−イル基、8−フェニルアントラセン−2−イル基、9−フェニルアントラセン−2−イル基、10−フェニルアントラセン−2−イル基、9−アントリル基、2−メチルアントラセン−9−イル基、3−メチルアントラセン−9−イル基、4−メチルアントラセン−9−イル基、10−メチルアントラセン−9−イル基、1−フェニルアントラセン−9−イル基、2−フェニルアントラセン−9−イル基、3−フェニルアントラセン−9−イル基、4−フェニルアントラセン−9−イル基、10−フェニルアントラセン−9−イル基、1−フェナントリル基、2−フェニルフェナントレン−1−イル基、3−フェニルフェナントレン−1−イル基、4−フェニルフェナントレン−1−イル基、9−フェニルフェナントレン−1−イル基、2−フェントリル基、1−フェニルフェナントレン−2−イル基、3−フェニルフェナントレン−2−イル基、4−フェニルフェナントレン−2−イル基、9−フェニルフェナントレン−2−イル基、3−フェナントリル基、1−フェニルフェナントレン−3−イル基、2−フェニルフェナントレン−3−イル基、4−フェニルフェナントレン−3−イル基、9−フェニルフェナントレン−3−イル基、4−フェナントリル基、1−フェニルフェナントレン−4−イル基、2−フェニル−4−フェナントリル基、3−フェニル−4−フェナントリル基、9−フェニルフェナントレン−4−イル基、9−フェナントリル基、1−フェニルフェナントレン−9−イル基、2−フェニルフェナントレン−9−イル基、3−フェニルフェナントレン−9−イル基、4−フェニルフェナントレン−9−イル基、1−ピレニル基、6−フェニルピレン−1−イル基、7−フェニルピレン−1−イル基、8−フェニルピレン−1−イル基、2−ピレニル基、6−フェニルピレン−2−イル基、7−フェニルピレン−2−イル基、1−トリフェニレニル基、2−トリフェニレニル基、9,9−ジメチルフルオレン−1−イル基、9,9−ジメチルフルオレン−2−イル基、9,9−ジメチルフルオレン−3−イル基、9,9−ジメチルフルオレン−4−イル基、9,9−ジフェニルフルオレン−1−イル基、9,9−ジフェニルフルオレン−2−イル基、9,9−ジフェニルフルオレン−3−イル基、9,9−ジフェニルフルオレン−4−イル基、9,9−ジメチルベンゾ[a]フルオレン−3−イル基、9,9−ジメチルベンゾ[a]フルオレン−4−イル基、9,9−ジメチルベンゾ[a]フルオレン−5−イル基、9,9−ジメチルベンゾ[a]フルオレン−6−イル基、9,9−ジメチルベンゾ[a]フルオレン−7−イル基、9,9−ジメチルベンゾ[a]フルオレン−8−イル基、9,9−ジメチルベンゾ[b]フルオレン−1−イル基、9,9−ジメチルベンゾ[b]フルオレン−4−イル基、9,9−ジメチルベンゾ[b]フルオレン−5−イル基、9,9−ジメチルベンゾ[b]フルオレン−6−イル基、9,9−ジメチルベンゾ[b]フルオレン−7−イル基、9,9−ジメチルベンゾ[b]フルオレン−8−イル基、9,9−ジメチルベンゾ[c]フルオレン−1−イル基、9,9−ジメチルベンゾ[c]フルオレン−2−イル基、9,9−ジメチルベンゾ[c]フルオレン−5−イル基、9,9−ジメチルベンゾ[c]フルオレン−6−イル基、9,9−ジメチルベンゾ[c]フルオレン−7−イル基、9,9−ジメチルベンゾ[c]フルオレン−8−イル基、9,9−ジフェニルベンゾ[a]フルオレン−3−イル基、9,9−ジフェニルベンゾ[a]フルオレン−4−イル基、9,9−ジフェニルベンゾ[a]フルオレン−5−イル基、9,9−ジフェニルベンゾ[a]フルオレン−6−イル基、9,9−ジフェニルベンゾ[a]フルオレン−7−イル基、9,9−ジフェニルベンゾ[a]フルオレン−8−イル基、9,9−ジフェニルベンゾ[b]フルオレン−1−イル基、9,9−ジフェニルベンゾ[b]フルオレン−4−イル基、9,9−ジフェニルベンゾ[b]フルオレン−5−イル基、9,9−ジフェニルベンゾ[b]フルオレン−6−イル基、9,9−ジフェニルベンゾ[b]フルオレン−7−イル基、9,9−ジフェニルベンゾ[b]フルオレン−8−イル基、9,9−ジフェニルベンゾ[c]フルオレン−1−イル基、9,9−ジフェニルベンゾ[c]フルオレン−2−イル基、9,9−ジフェニルベンゾ[c]フルオレン−5−イル基、9,9−ジフェニルベンゾ[c]フルオレン−6−イル基、9,9−ジフェニルベンゾ[c]フルオレン−7−イル基、9,9−ジフェニルベンゾ[c]フルオレン−8−イル基等が挙げられる。
【0040】
有機電界発光素子の性能が良い点で、9,9−ジメチルフルオレン−2−イル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−ピレニル基、2−フェナントレニル基、9−フェナントレニル基、9,9−ジメチルベンゾ[c]フルオレン−2−イル基、9−アントリル基が好ましく、合成が容易な点で9,9−ジメチルフルオレン−2−イル基、1−ナフチル基、9−フェナントレニル基が更に好ましい。
【0041】
化合物(1)において、Ar、ArおよびArは、各々独立にアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基または水素原子を表す。ただし、Ar、ArおよびArのうち少なくとも一つはアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基である。有機電界発光素子用材料としての性能が良い点で、Ar、ArおよびArは、アルキル基で置換されていてもよいピリジル基または水素原子が好ましい。Arがピリジル基であって、ArおよびArが水素原子であることが更に好ましい。
【0042】
以下、さらにAr、ArおよびArの具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
アルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基としては、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−メチルピリジン−3−イル基、2−メチルピリジン−4−イル基、2−メチルピリジン−5−イル基、2−メチルピリジン−6−イル基、3−メチルピリジン−2−イル基、3−メチルピリジン−4−イル基、3−メチルピリジン−5−イル基、3−メチルピリジン−6−イル基、4−メチルピリジン−2−イル基、4−メチルピリジン−3−イル基、2,6−ジメチルピリジン−3−イル基、2,6−ジメチルピリジン−4−イル基、3,6−ジメチルピリジン−2−イル基、3,6−ジメチルピリジン−4−イル基、3,6−ジメチルピリジン−5−イル基、2−ピリミジル基、4−ピリミジル基、5−ピリミジル基、2−メチルピリミジン−4−イル基、2−メチルピリミジン−5−イル基、4−メチルピリミジン−2−イル基、4−メチルピリミジン−5−イル基、4−メチルピリミジン−6−イル基、5−メチルピリミジン−2−イル基、5−メチルピリミジン−4−イル基、2,4−ジメチルピリミジン−6−イル基、4,6−ジメチルピリミジン−2−イル基、2−ピラジル基、2−メチルピラジン−3−イル基、2−メチルピラジン−5−イル基、2−メチルピラジン−6−イル基、2,6−ジメチルピラジン−3−イル基等が挙げられる。
【0044】
有機電界発光素子材料として性能が良い点で、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、3−メチルピリジン−6−イル基、2−メチルピリジン−5−イル基、2−ピリミジル基、5−ピリミジル基、2−ピラジル基が好ましい。合成が容易な点で、2−ピリジル基、3−ピリジル基、3−メチルピリジン−6−イル基、2−メチルピリジン−5−イル基が更に好ましい。
【0045】
化合物(1)において、Xは、単結合、アルキル基で置換されていてもよいフェニレン基、アルキル基で置換されていてもよいナフチレン基若しくはアルキル基で置換されていてもよい2価の含窒素ヘテロ芳香族置換基を表す。2価の含窒素ヘテロ芳香族基としてはピリジレン基、ピリミジレン基、ピラジレン基、ピリダジレン基等が挙げられるが、これに限定されるものではない。Xは、上記の中でも、有機電界発光素子用材料としての性能が良い点で、単結合、フェニレン基、ピリジレン基またはピリミジレン基が好ましい。
【0046】
置換基であるアルキル基としては炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、1−メチルプロピル基、tert−ブチル基、ペンタン−1−イル基、3−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル基、ヘキサン−1−イル基等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0047】
なお、Xが1,3−フェニレン基の時、ArはArおよびArのいずれとも同一とならない。Xが1,4−フェニレン基の時、ArはArと同一とならない。
【0048】
また、化合物(1)において、各水素原子は各々独立に重水素原子であってもよい。
【0049】
化合物(1)としては、次の(A1)〜(A88)を例示できるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0050】
【化10】

【0051】
【化11】

【0052】
【化12】

【0053】
【化13】

【0054】
【化14】

【0055】
【化15】

【0056】
【化16】

【0057】
【化17】

【0058】
【化18】

【0059】
【化19】

【0060】
【化20】

一般式(3)で示される化合物(以下、「化合物(3)」ということがある)は、例えば、特開2008−280330号公報〔0061〕〜〔0076〕に開示されている方法を用いて製造することができる。
【0061】
化合物(3)としては、次の(B1)〜(B96)を例示できるが、これらに限定されるものではない。なお、ここでMは金属基又はヘテロ原子基を表す。
【0062】
【化21】

【0063】
【化22】

【0064】
【化23】

【0065】
【化24】

【0066】
【化25】

一般式(4)で示される化合物(以下、「化合物(4)」ということがある)は、例えば、特開2008−280330号公報〔0061〕〜〔0076〕に開示されている方法を用いて製造することができる。
【0067】
化合物(4)としては、次の(C1)〜(C27)を例示できるが、これらに限定されるものではない。なお、ここでのMは金属基又はヘテロ原子基を表す。
【0068】
【化26】

【0069】
【化27】

【0070】
【化28】

【0071】
【化29】

次に、本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体の製造方法について説明する。
【0072】
1,2,4,5−置換フェニル誘導体(1)は、次の反応式で示される「工程1」により製造できる。
【0073】
【化30】

上記一般式(1)、(2)、(3)において、Arはフェニル基若しくはアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基、フェニル基若しくはアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、またはフェニル基若しくはアルキル基で置換されていてもよい2〜4環の炭化水素基を表す。Xは単結合、アルキル基で置換されていてもよいフェニレン基、アルキル基で置換されていてもよいナフチレン基、またはアルキル基で置換されていてもよい2価の含窒素ヘテロ芳香族基を表す。Ar、ArおよびArは、各々独立にアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基または水素原子を表す。但し、Ar、ArおよびArのうち少なくとも一つはアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基を表す。Xが1,3−フェニレン基の時、ArはArおよびArと同一とならない。Xが1,4−フェニレン基の時、ArはArと同一とならない。Zは脱離基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。
【0074】
「工程1」は一般式(2)で示される化合物(以下、化合物(2)ということがある)を、場合によっては塩基の存在下に、金属触媒の存在下に化合物(3)と反応させ、本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体を得る方法である。この反応では、鈴木−宮浦反応、根岸反応、玉尾−熊田反応、スティレ反応等の、一般的なカップリング反応の反応条件を適用することにより、収率よく目的物を得ることができる。
【0075】
化合物(2)におけるZで表される脱離基としては、塩素基、臭素基、ヨウ素基、トリフルオロメチルスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、クロロメタンスルホニルオキシ基及びp−トルエンスルホニルオキシ基等を挙げることができる。
【0076】
化合物(3)におけるMで表される金属基又はヘテロ原子基としては、ZnR、MgR、Sn(R、B(OR等が挙げることができる。但し、R及びRは、各々独立に塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表し、Rは、炭素数1から4のアルキル基又はフェニル基を表し、Rは水素原子、炭素数1から4のアルキル基又はフェニル基を表し、B(ORの2つのRは同一又は異なっていてもよい。又、2つのRは一体となって酸素原子及びホウ素原子を含んで環を形成することもできる。
【0077】
化合物(3)におけるB(ORとしては、B(OH)、B(OMe)、B(OPr)、B(OBu)、B(OPh)等が例示できる。又、2つのRが一体となって酸素原子及びホウ素原子を含んで環を形成した場合のB(ORの例としては、次の(D1)から(D6)で示される基が例示でき、収率がよい点で(D2)で示される基が好ましい。
【0078】
【化31】

「工程1」で用いることのできる金属触媒としては、パラジウム触媒及びニッケル触媒等が挙げられる。
【0079】
「工程1」で用いることのできるパラジウム触媒としては、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、硝酸パラジウム等の塩を例示することができる。さらに、π−アリルパラジウムクロリドダイマー、パラジウムアセチルアセトナト、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム及びジクロロ(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム等の錯化合物を例示することができる。中でも、第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体は反応収率がよい点で好ましい。
【0080】
なお、第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体は、パラジウム塩又は錯化合物に第三級ホスフィンを添加し、反応系中で調製することもできる。この際用いることのできる第三級ホスフィンとしては、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、tert−ブチルジフェニルホスフィン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン、2−(ジフェニルホスフィノ)−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリ(2−フリル)ホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリス(2,5−キシリル)ホスフィン、(±)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル等が例示できる。入手容易であり、反応収率がよい点で、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニルが好ましい。
【0081】
第三級ホスフィンとパラジウム塩又は錯化合物とのモル比は、1:10〜10:1が好ましく、反応収率がよい点で1:2〜5:1がさらに好ましい。
【0082】
また、「工程1」で用いることができるニッケル触媒の具体例としては[1,1’ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ニッケル(II)ジクロリド、[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)ジクロリド、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)ジクロリド、[1,1’ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)ジクロリド、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)ジクロリド、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)ジクロリド等が挙げられる。
【0083】
「工程1」で用いることのできる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、リン酸三カリウム、リン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等を例示することができ、収率がよい点でリン酸三カリウムが望ましい。
【0084】
塩基と化合物(3)とのモル比は、1:2から10:1が望ましく、収率がよい点で1:1から3:1がさらに望ましい。
【0085】
「工程1」で用いる化合物(2)と化合物(3)とのモル比は、1:2から1:10が望ましく、収率がよい点で1:2から1:4がさらに望ましい。
【0086】
「工程1」で用いることのできる溶媒として、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル、エタノール、メタノール又はキシレン等が例示でき、これらを適宜組み合わせて用いてもよい。収率がよい点でジオキサン及び水の混合溶媒を用いることが望ましい。
【0087】
「工程1」は、0℃から150℃から適宜選ばれた温度で実施することができ、収率がよい点で80℃から100℃で行うことがさらに望ましい。
【0088】
化合物(1)は、「工程1」の終了後に通常の処理をすることで得られる。必要に応じて、再結晶、カラムクロマトグラフィー又は昇華等で精製してもよい。
【0089】
次に、1,2,4,5−置換フェニル誘導体(1)の製法において、「工程1」の原料として用いる化合物(2)の製法について説明する。
【0090】
化合物(2)は、次の反応式に示す「工程2」により製造できる。
【0091】
【化32】

上記一般式(2)、(4)、(5)において、Z及びZは各々独立に脱離基を表す。但し、ZとZは同一とならない。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。Ar、ArおよびArは各々独立にアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基または水素原子を表す。但し、Ar、ArおよびArのうち少なくとも一つはアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基を表す。
【0092】
「工程2」は一般式(5)で示される化合物(以下、化合物(5)ということがある)を、場合によっては塩基の存在下に、金属触媒の存在下に化合物(4)と反応させ、化合物(1)の製造に用いる化合物(2)を得る方法であり、鈴木−宮浦反応、根岸反応、玉尾−熊田反応、スティレ反応等の、一般的なカップリング反応の反応条件を適用することにより、収率よく目的物を得ることができる。
【0093】
化合物(4)におけるMで表される金属基又はヘテロ原子基としてとしては、ZnR、MgR、Sn(R、B(OR等が挙げることができる。但し、R及びRは、各々独立に塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表し、Rは、炭素数1から4のアルキル基又はフェニル基を表し、Rは水素原子、炭素数1から4のアルキル基又はフェニル基を表し、B(ORの2つのRは同一又は異なっていてもよい。又、2つのRは一体となって酸素原子及びホウ素原子を含んで環を形成することもできる。
【0094】
化合物(4)におけるB(ORとしては、収率がよい点で前述の(D2)で示される基が好ましい。
【0095】
化合物(5)におけるZ及びZで表される脱離基としては、塩素基、臭素基、ヨウ素基、トリフルオロメチルスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、クロロメタンスルホニルオキシ基及びp−トルエンスルホニルオキシ基等を挙げることができる。化合物(5)としては次の(E1)〜(E5)を例示できるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0096】
【化33】

「工程2」で用いることのできる金属触媒としては、「工程1」で例示したパラジウム又はニッケル触媒と同様のものを例示することができる。中でも、入手容易であり、反応収率がよい点で、トリフェニルホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体が特に好ましい。
【0097】
第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体は、パラジウム塩又は錯化合物に第三級ホスフィンを添加し、反応系中で調整することもできる。この際用いることのできる三級ホスフィンとしては、「工程1」で例示した第三級ホスフィンと同様のものが例示できる。入手容易であり、反応収率がよい点で、トリフェニルホスフィンが好ましい。第三級ホスフィンとパラジウム塩又は錯化合物とのモル比は、1:10から10:1が好ましく、反応収率がよい点で1:2から5:1がさらに好ましい。
【0098】
「工程2」で用いることのできる塩基としては、「工程1」で例示した塩基と同様のものを例示することができ、収率がよい点で炭酸ナトリウムが望ましい。塩基と化合物(4)とのモル比は、1:1から10:1が望ましく、収率がよい点で2:1から5:1が望ましい。
【0099】
「工程2」で用いることのできる溶媒として、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル、エタノール、メタノール又はキシレン等が例示でき、これらを適宜組み合わせて用いてもよい。収率がよい点でテトラヒドロフラン及び水の混合溶媒を用いることが望ましい。
【0100】
「工程2」は、0℃から150℃から適宜選ばれた温度で実施することができ、収率がよい点で50℃から60℃で行うことがさらに望ましい。
【0101】
化合物(2)は、「工程1」の終了後に通常の処理をすることで得られる。必要に応じて、再結晶、カラムクロマトグラフィー又は昇華等で精製してもよいが、単離することなく「工程1」に供することもできる。
【0102】
本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体(1)を構成成分として含む有機電界発光素子の製造方法に特に限定はないが、真空蒸着法による成膜が可能である。真空蒸着法による成膜は、汎用の真空蒸着装置を用いることにより行うことができる。真空蒸着法で膜を形成する際の真空槽の真空度は、有機電界発光素子作製の製造タクトタイムや製造コストを考慮すると、一般的に用いられる拡散ポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオポンプ等により到達し得る1×10−2〜1×10−5Pa程度が好ましい。蒸着速度は、形成する膜の厚さによるが0.005〜1.0nm/秒が好ましい。
【0103】
また、本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体は、汎用の装置を用いたスピンコート法、インクジェット法、キャスト法又はディップ法等による成膜も可能である。
【実施例】
【0104】
以下、実験例及び試験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0105】
実施例−1
【0106】
【化34】

Tf:トリフルオロメタンスルホニル
アルゴン気流下、4,6−ジクロロ−1,3−ジヒドロキシベンゼン2.00g(11.2mmol)、ピリジン3.53g(44.7mmol)を11.2mLのジクロロメタンに溶解させ、0℃に冷却した。その後、無水トリフルオロメタンスルホン酸をジクロロメタンで1Mに希釈した溶液26.8mL(26.8mmol)を20分かけて滴下し、室温で3時間撹拌した。得られた反応溶液にジエチルエーテルを加えて希釈し、1Mの塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水にて洗浄した。得られた有機層を濃縮乾燥し、目的の1,3−ジクロロ−4,6−ビス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼンの燈色液体(収量4.2g、収率85%)を得た。
【0107】
H−NMR(CDCl):δ.7.73(s,1H),7.39(s,1H).
実施例−2
【0108】
【化35】

アルゴン気流下、1,3−ジクロロ−4,6−ビス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン5.69g(12.8mmol)、4−(2−ピリジル)フェニルボロン酸5.11g(25.7mmol)、ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム270mg(0.38mmol)を193mLのテトラヒドロフランに溶解させ、2Mの炭酸ナトリウム水溶液38.5mL(77.0mmol)を加えた後に、加熱還流下で29時間攪拌した。室温まで冷却後、水層を除去し、有機層を濃縮して反応粗体を得た。得られた反応粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム及びヘキサンの混合溶媒)により精製し、目的の4’,6’−ジクロロ−4,4’’−ジ(2−ピリジル)−1,1’:3’,1’’−テルフェニルの黄白色固体(収量3.59g、収率62%)を得た。
【0109】
H−NMR(CDCl):δ.7.25(dd,J=8.7,4.7Hz,2H),7.42(s,1H),7.58(d,J=8.6Hz,4H),7.64(s,1H),7.77(d,J=3.5Hz,4H),8.07(d,J=8.6Hz,4H),8.71(d,J=4.7Hz,2H).
実施例−3
【0110】
【化36】

アルゴン気流下、4’,6’−ジクロロ−4,4’’−ジ(2−ピリジル)−1,1’:3’,1’’−テルフェニル3.00g(6.62mmol)、4,4,4’,4’,5,5,5’5’−オクタメチル−2,2−ビ−1,3,2−ジオキサボロラン6.72g(26.5mmol)、トリスジベンジリデンアセトンパラジウム121.2mg(0.13mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル125.8mg(0.26mmol)、酢酸カリウム2.60g(26.5mmol)を150mLの1,4−ジオキサン及び30mLの水の混合溶媒に溶解し、加熱還流下で2時間攪拌した。反応液を濃縮した後、クロロホルムを加え、有機層と水層を分離した。得られた有機層を濃縮し、得られた粗製生物をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム及びメタノールの混合溶媒)により精製し、目的の4’6’−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−4,4’’−ジ(2−ピリジル)−1,1’:3’,1’’−テルフェニル(収量1.60g、収率38%)を得た。
【0111】
H−NMR(CDCl):δ.1.25(s,24H),7.21(ddd,J=6.7,5.0,1.8Hz,2H),7.47(s,1H),7.54(d,J=8.6Hz,4H),7.72−7.78(m,4H),8.01(d,J=8.4Hz,4H),8.10(s,1H),8.70(d,J=4.7Hz,2H).
実施例−4
【0112】
【化37】

アルゴン気流下、4’,6’−ジクロロ−4,4’’−ジ(2−ピリジル)−1,1’:3’,1’’−テルフェニル0.70g(1.54mmol)、フェニルボロン酸0.75g(6.18mmol)、酢酸パラジウム10.4mg(0.046mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル44.1mg(0.092mmol)、炭酸セシウム4.02(12.4mmol)を30mLのテトラヒドロフランに溶解し、加熱還流下で26間攪拌した。室温まで冷却後、反応系中にクロロホルムを加えて薄めた後、濾過によって無機残渣を取り除いた。得られた有機層を濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム及びヘキサンの混合溶媒)により精製し、目的の4’−フェニル−4−(2−ピリジル)−5’−[4−(2−ピリジル)フェニル]−1,1’:2’,1’’−テルフェニルの白色固体(収量0.69g、収率83%)を得た。
【0113】
H−NMR(CDCl):δ.7.20−7.27(m,12H),7.35(d,J=8.4Hz,4H),7.55(s,1H),7.61(s,1H),7.69−7.75(m,4H),7.89(d,J=8.5Hz,4H), 8.67(d,J=4.6Hz,2H).
実施例−5
【0114】
【化38】

アルゴン気流下、4’,6’−ジクロロ−4,4’’−ジ(2−ピリジル)−1,1’:3’,1’’−テルフェニル0.70g(1.54mmol)、4−ビフェニルボロン酸1.22g(6.18mmol)、酢酸パラジウム10.4mg(0.046mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル44.1mg(0.093mmol)、炭酸セシウム4.02g(12.4mmol)を30mLのテトラヒドロフランに溶解し、加熱還流下で24間攪拌した。続いて5mLの水を加えた後、加熱還流下で24時間撹拌した。室温まで冷却後、水層を除き有機層を濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム及びヘキサンの混合溶媒)により精製し、目的の4’’,6’’−ビス[4−(2−ピリジル)フェニル]−1,1’:4’,1’’:3’’,1’’’:4’’’,1’’’’−キンクフェニルの白色固体(収量0.62g、収率58%)を得た。
【0115】
H−NMR(CDCl):δ.7.18−7.22(m,2H),7.30(t,J=7.3Hz,2H),7.35(d,J=8.5Hz,4H),7.39(t,J=7.9Hz,4H),7.40(d,J=8.6Hz,4H),7.49(d,J=8.5Hz,4H),7.58(d,J=7.0Hz,4H),7.65(s,2H),7.70−7.74(m,4H),7.91(d,J=8.5Hz,4H),8.66(d,J=4.6Hz,2H).
実施例−6
【0116】
【化39】

アルゴン気流下、4’,6’−ジクロロ−4,4’’−ジ(2−ピリジル)−1,1’:3’,1’’−テルフェニル0.80g(1.76mmol)、9,9−ジメチルフルオレン−2−ボロン酸0.66g(3.31mmol)、酢酸パラジウム19.8mg(0.088mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル84.1mg(0.18mmol)、リン酸三カリウム1.94g(9.17mmol)を100mLのジオキサン及び15mLの水の混合溶媒に溶解し、加熱還流下で26時間攪拌した。室温まで冷却後、水層を除き有機層を濃縮した。得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム及びヘキサンの混合溶媒)により精製し、目的の4’,6’−ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−4,4’’−ジ(2−ピリジル)−1,1’:3’,1’’−テルフェニルの白色固体(収量0.45g、収率33%)を得た。
【0117】
H−NMR(CDCl):δ.1.24(s,12H),7.19(t,J=6.2Hz,4H), 7.25−7.38(m,12H),7.62−7.70(m,9H),7.77(s,1H),7.87(d,J=8.5Hz,4H),8.65(d,J=4.4Hz,2H).
実施例−7
【0118】
【化40】

アルゴン気流下、4’,6’−ジクロロ−4,4’’−ジ(2−ピリジル)−1,1’:3’,1’’−テルフェニル1.00g(2.21mmol)、3−ピリジンボロン酸1.08g(8.82mmol)、酢酸パラジウム24.8mg(0.11mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル105mg(0.22mmol)、リン酸三カリウム3.74g(17.6mmol)を100mLのトルエン、10mLのエタノール及び10mlの水の混合溶媒に溶解し、加熱還流下で24間攪拌した。室温まで冷却後、水層を除き有機層を濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム及びメタノールの混合溶媒)により精製し、目的の4,4’’−ジ(2−ピリジル)−4’,6’−ジ(3−ピリジル)−1,1’:3’,1’’−テルフェニルの白色固体(収量0.25g、収率21%)を得た。
【0119】
H−NMR(CDCl):δ.7.20−7.27(m,4H),7.33(d,J=8.5Hz,4H),7.52(s,1H),7.56(d,J=8.3Hz,2H),7.68(s,1H),7.72(d,J=7.8Hz,2H),7.77(t,J=7.5Hz,2H),7.93(d,J=8.5Hz,4H),8.49(d,J=5.0Hz,2H),8.60(s,2H),8.68(d,J=5.0Hz,2H).
実施例−8
【0120】
【化41】

アルゴン気流下、4’,6’−ジクロロ−4,4’’−ジ(2−ピリジル)−1,1’:3’,1’’−テルフェニル0.50g(1.10mmol)、4−(3−ピリジル)フェニルボロン酸0.66g(3.31mmol)、酢酸パラジウム12.4mg(0.055mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル52.6mg(0.11mmol)、リン酸三カリウム2.34g(11.0mmol)を30mLのジオキサン及び20mLの水の混合溶媒に溶解し、加熱還流下で75間攪拌した。室温まで冷却後、水層を除き有機層を濃縮した。得られた粗生成物をトルエンによる再結晶を2回繰り返し、目的の4−(2−ピリジル)−4’’−(3−ピリジル)−4’−[4−(3−ピリジル)フェニル]−5’−[4−(2−ピリジル)フェニル]−1,1’:2’,1’’−テルフェニルの茶色固体(収量0.27g、収率35%)を得た。
【0121】
H−NMR(CDCl):δ.7.18−7.22(m,2H),7.32(d,J=7.9Hz,1H),7.34(d,J=7.9Hz,1H),7.39(d,J=8.5Hz,4H),7.40(d,J=8.5Hz,4H),7.49(d,J=8.5Hz,4H),7.62(s,1H),7.66(s,1H),7.70−7.72(m,4H),7.86(d,J=8.1Hz,2H),7.92(d,J=8.5Hz,4H),8.55(d,J=4.9Hz,2H),8.66(d,J=4.6Hz,2H),8.84(s,2H).
実施例−9
【0122】
【化42】

アルゴン気流下、4’,6’−ジクロロ−4,4’’−ジ(2−ピリジル)−1,1’:3’,1’’−テルフェニル0.50g(1.10mmol)、2−フェニルピリジン−5−イルボロン酸0.66g(3.31mmol)、酢酸パラジウム12.4mg(0.055mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル52.6mg(0.11mmol)、リン酸三カリウム2.34g(11.0mmol)を15mLのジオキサン及び10mLの水の混合溶媒に溶解し、加熱還流下で91間攪拌した。室温まで冷却後、水層を除き有機層を濃縮した。得られた粗生成物をトルエンによる再結晶を2回繰り返し、目的の4’,6’−ビス(2−フェニルピリジン−5−イル)−4,4’’−ジ(2−ピリジル)−1,1’:3’,1’’−テルフェニルの灰色固体(収量0.22g、収率29%)を得た。
【0123】
H−NMR(CDCl):δ.7.21(t,J=5.6Hz,2H),7.36−7.46(m,10H),7.57−7.63(m,5H),7.69−7.75(m,5H),7.93(d,J=8.3Hz,4H),7.98(d,J=7.0Hz,4H),8.66(d,J=4.6Hz,2H),8.68(d,J=1.4Hz,2H).
実施例−10
【0124】
【化43】

アルゴン気流下、4’,6’−ジクロロ−4,4’’−ジ(2−ピリジル)−1,1’:3’,1’’−テルフェニル0.10g(0.22mmol)、2−[3,5−ジ(2−ピリジル)フェニル]−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン0.24g(0.66mmol)、酢酸パラジウム2.5mg(0.011mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル11.0mg(0.023mmol)、リン酸三カリウム421mg(1.99mmol)を11mLの1,4−ジオキサン及び2.5mLの水の混合溶媒に溶解し、加熱還流下で40間攪拌した。室温まで冷却後、水層と有機層を分離し、有機層を濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)により精製し、目的の3,5−ジ(2−ピリジル)−5’−{3,5−ジ(2−ピリジル)フェニル}−4’’−(2−ピリジル)−4’−{4−(2−ピリジル)フェニル}−1,1’:2’,1’’−テルフェニルの灰色固体(収量0.030g、収率16%)を得た。
【0125】
H−NMR(CDCl):δ.7.14−7.20(m,6H),7.49(d,J=8.5Hz,4H),7.50(d,J=8.0Hz,4H),7.59−7.71(m,8H),7.72(s,1H),7.92(d,J=7.5Hz,4H),7.93(s,1H),7.95(d,J=2.0Hz,4H),8.54(t,J=1.6Hz,2H),8.63−8.66(m、6H).
実施例−11
【0126】
【化44】

アルゴン気流下、4’6’−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−4,4’’−ジ(2−ピリジル)−1,1’:3’,1’’−テルフェニル0.30g(0.47mmol)、酢酸パラジウム5.3mg(0.024mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル22.5mg(0.047mmol)、2−クロロ−5−フェニルピリジン0.21g(1.13mmol)、リン酸三カリウム0.48(2.26mmol)を15mLの1,4−ジオキサンおよび4.5mLの水の混合溶媒に溶解させた後、60℃で24時間、95℃で3時間攪拌した。0℃まで冷却後、析出した固体をろ取し、得られた粗生成物をトルエンによる再結晶で精製することにより目的の4’,6’−ビス(3−フェニルピリジン−6−イル)−4,4’’−ジ(2−ピリジル)−1,1’:3’,1’’−テルフェニルの灰色固体(収量0.069g、収率21%)を得た。
【0127】
H−NMR(CDCl):δ.7.11(dd,J=8.2,0.9Hz,2H),7.21(t,J=5.1Hz,2H),7.36(t,J=7.3Hz,2H),7.42−7.46(m,8H),7.58(dd,J=8.5,1.4Hz,4H),7.63(dd,J=8.3,2.4Hz,2H),7.66(s,1H),7.72(d,J=4.2Hz,4H),7.94(d,J=8.5Hz,4H),8.21(s,1H),8.67(d,J=4.6Hz,2H),8.89(dd,J=2.4,0.8Hz,2H).
実施例―12
【0128】
【化45】

アルゴン気流下、4’6’−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−4,4’’−ジ(2−ピリジル)−1,1’:3’,1’’−テルフェニル0.39g(0.61mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム2.8mg(0.024mmol)、2−クロロ−5−フェニルピリミジン0.35g(1.82mmol)を8mLのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させた後、2Mに調整したリン酸三カリウム水溶液1.82mL(3.64mmol)を加えた。得られた混合液を100℃に昇温し、12時間攪拌した。室温まで冷却後、15mLの水および15mLのメタノールを加え、0℃まで冷却した。析出した固体をろ取し、得られた粗生成物をトルエンによる再結晶で精製することにより目的の4’6’−ビス(5−フェニルピリミジン−2−イル)−4,4’’−ジ(2−ピリジル)−1,1’:3’,1’’−テルフェニルの灰色固体(収量0.28g、収率67%)を得た。
【0129】
H−NMR(CDCl):δ.7.18−7.22(m,2H),7.40−7.44(m,6H),7.48(t,J=7.4Hz,4H),7.57(d,J=7.0Hz,4H),7.72−7.74(m,5H),7.94(d,J=8.6Hz,4H),8.57(s,1H),8.66(d,J=4.6Hz,2H),8.88(s,4H).
試験例−1
素子作製に用いる有機材料は、昇華精製を行った後に使用した。基板には、2mm幅の酸化インジウム−スズ(ITO)膜がストライプ状にパターンされたITO透明電極付きガラス基板を用いた。この基板をイソプロピルアルコールで洗浄した後、オゾン紫外線洗浄にて表面処理を行った。洗浄後の基板に、真空蒸着法で各層の真空蒸着を行い、図1に示す多層構造を有する発光面積4mmの有機電界発光素子を作製した。
【0130】
まず、真空蒸着槽内に前記ガラス基板を導入し、1.0×10−4Paまで減圧した。その後、図1の1で示す、前記ガラス基板上に有機化合物層として、正孔注入層2、正孔輸送層3、発光層4及び電子輸送層5を順次成膜し、その後陰極層6を成膜した。正孔注入層2としては、昇華精製したフタロシアニン銅(II)を25nmの膜厚で真空蒸着した。正孔輸送層3としては、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(NPD)を45nmの膜厚で真空蒸着した。発光層4としては、2―tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(TBADN)と4,4’−ビス[4−(ジ−p−トリルアミノ)フェニルエテン−1−イル]ビフェニル(DPAVBi)を97:3(質量%)の割合で40nmの膜厚で真空蒸着した。電子輸送層5としては、実施例−4で合成した4’−フェニル−4−(2−ピリジル)−5’−[4−(2−ピリジル)フェニル]−1,1’:2’,1’’−テルフェニルを20nmの膜厚で真空蒸着した。
【0131】
なお、各有機材料は抵抗加熱方式により成膜し、加熱した化合物を0.3〜0.5nm/秒の成膜速度で真空蒸着した。最後に、ITOストライプと直交するようにメタルマスクを配し、陰極層6を成膜する。陰極層6は、フッ化リチウムとアルミニウムをそれぞれ1.0nmと100nmの膜厚で真空蒸着し、2層構造とした。それぞれの膜厚は、触針式膜厚測定計(DEKTAK)で測定した。
【0132】
さらに、この素子を酸素及び水分濃度1ppm以下の窒素雰囲気グローブボックス内で封止した。封止は、ガラス製の封止キャップと前記成膜基板エポキシ型紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス社製)を用いた。
【0133】
作製した有機電界発光素子に直流電流を印加し、TOPCON社製のLUMINANCE METER(BM−9)の輝度計を用いて発光特性を評価した。発光特性として、電流密度20mA/cmを流した時の電圧(V)、輝度(cd/m)、電流効率(cd/A)、電力効率(lm/W)を測定した。
【0134】
作製した素子の測定値は、6.15V、1792cd/m、8.96cd/A、4.58lm/Wであった。
【0135】
比較例−1
試験例−1の電子輸送層5に代えて、既存材料のトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(Alq)を20nmの膜厚で真空蒸着した以外は、試験例−1と同様に作製した。
【0136】
作製した素子の測定値は、6.44V、1664cd/m、8.32cd/A、4.06lm/Wであった。
【0137】
試験例−2
試験例−1の電子輸送層5に代えて、実施例−5で合成した4’’,6’’−ビス[4−(2−ピリジル)フェニル]−1,1’:4’,1’’:3’’,1’’’:4’’’,1’’’’−キンクフェニルを20nmの膜厚で真空蒸着した以外は、試験例−1と同様に作製した。
【0138】
作製した素子の測定値は、5.76V、1818cd/m、9.09cd/A、4.96lm/Wであった。
【0139】
試験例−3
試験例−1の発光層4に代えて、2―tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(TBADN)と4,4’−ビス[4−(ジ−p−トリルアミノ)フェニルエテン−1−イル]ビフェニル(DPAVBi)を93:7(質量%)の割合で40nmの膜厚とし、試験例−1の電子輸送層5に代えて、実施例−7で合成した4,4’’−ジ(2−ピリジル)−4’,6’−ジ(3−ピリジル)−1,1’:3’,1’’−テルフェニルを20nmの膜厚で真空蒸着した以外は、試験例−1と同様に作製した。
【0140】
作製した素子の測定値は、4.3V、2040cd/m、10.2cd/A、7.49lm/Wであった。また、この素子の輝度半減時間は、192時間であった。
【0141】
比較例−2
試験例−3の電子輸送層5に代えて、既存材料のトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(Alq)を20nmの膜厚で真空蒸着した以外は、試験例−1と同様に作製した。
【0142】
作製した素子の測定値は、5.7V、1985cd/m、9.93cd/A、5.48lm/Wであった。またこの素子の輝度半減時間は、578時間であった。
【0143】
試験例−4
試験例−3の電子輸送層5に代えて、実施例−8で合成した4−(2−ピリジル)−4’’−(3−ピリジル)−4’−[4−(3−ピリジル)フェニル]−5’−[4−(2−ピリジル)フェニル]−1,1’:2’,1’’−テルフェニルを20nmの膜厚で真空蒸着した以外は、試験例−1と同様に作製した。
【0144】
作製した素子の測定値は、4.1V、1993cd/m、9.97cd/A、7.67lm/Wであった。またこの素子の輝度半減時間は、243時間であった。
【0145】
試験例−5
試験例−3の電子輸送層5に代えて、実施例−9で合成した4’,6’−ビス(2−フェニルピリジン−5−イル)−4,4’’−ジ(2−ピリジル)−1,1’:3’,1’’−テルフェニルを20nmの膜厚で真空蒸着した以外は、試験例−1と同様に作製した。
【0146】
作製した素子の測定値は、4.2V、2060cd/m、10.3cd/A、7.72lm/Wであった。またこの素子の輝度半減時間は、218時間であった。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体からなる薄膜は、アモルファス性、耐熱性、電子輸送能、正孔ブロック能、耐水性、耐酸素性、電子注入特性等をもつため、有機電界発光素子の材料として有用であり、とりわけ電子輸送材、正孔ブロック材、発光ホスト材等として用いることができる。さらに本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体(1)は、ワイドバンドギャップを有するため、蛍光素子だけではなく燐光素子、さらに導電性の向上や素子寿命の改善に用いられる目的で、n−ドーパントを加えるドーピング素子にも適用可能である。
【0148】
また本発明の実施例では、蒸着素子として高い発光効率および低駆動電力化を実現できた。これによってパネル以外の照明などにも利用可能である。さらに有機溶媒への溶解性や高い電子輸送性を有するため、塗布素子、フレキシブル素子、有機トランジスタ、有機薄膜太陽電池への応用などに利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

(式中、Arはフェニル基若しくはアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基、フェニル基若しくはアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、またはフェニル基若しくはアルキル基で置換されていてもよい2〜4環の炭化水素基を表す。Xは単結合、アルキル基で置換されていてもよいフェニレン基、アルキル基で置換されていてもよいナフチレン基、またはアルキル基で置換されていてもよい2価の含窒素ヘテロ芳香族基を表す。Ar、ArおよびArは各々独立にアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基または水素原子を表す。但し、Ar、ArおよびArのうち少なくとも一つはアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基を表す。Xが1,3−フェニレン基の時、ArはArおよびArと同一とはならない。Xが1,4−フェニレン基の時、ArはArと同一とはならない。また、式中の各水素原子は各々独立に重水素原子であってもよい。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体。
【請求項2】
Arがアルキル基で置換されていてもよいピリジル基、アルキル基で置換されていてもよいフェニル基、またはアルキル基で置換されていてもよいフルオレニル基である請求項1に記載の1,2,4,5−置換フェニル誘導体。
【請求項3】
Xが単結合、フェニレン基、ピリジレン基またはピリミジレン基である請求項1または2に記載の1,2,4,5−置換フェニル誘導体。
【請求項4】
Ar、ArおよびArが各々独立にアルキル基で置換されていてもよいピリジル基または水素原子である請求項1から3のいずれかに記載の1,2,4,5−置換フェニル誘導体。
【請求項5】
Arがピリジル基であって、ArおよびArが水素原子である請求項1から4のいずれかに記載の1,2,4,5−置換フェニル誘導体。
【請求項6】
下記一般式(2)
【化2】

(式中、Zは脱離基を表す。Ar、ArおよびArは各々独立にアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基または水素原子を表す。但し、Ar、ArおよびArのうち少なくとも一つはアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基を表す。また、下記の一般式(3)中のXが1,3−フェニレン基の時、ArはArおよびArと同一ではなく、また、Xが1,4−フェニレン基の時、ArはArと同一ではない。式中の各水素原子は各々独立に重水素原子であってもよい。)で示される化合物と、下記一般式(3)
【化3】

(式中、Arはフェニル基若しくはアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基、フェニル基若しくはアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、またはフェニル基若しくはアルキル基で置換されていてもよい2〜4環の炭化水素基を表す。Xは単結合、アルキル基で置換されていてもよいフェニレン基、アルキル基で置換されていてもよいナフチレン基、またはアルキル基で置換されていてもよい2価の含窒素ヘテロ芳香族基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。また、式中の各水素原子は各々独立に重水素原子であってもよい。)で示される化合物とを、塩基の存在下または非存在下、金属触媒の存在下でカップリング反応させることを特徴とする、下記一般式(1)
【化4】

(式中、Arはフェニル基若しくはアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基、フェニル基若しくはアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、またはフェニル基若しくはアルキル基で置換されていてもよい2〜4環の炭化水素基を表す。Xは単結合、アルキル基で置換されていてもよいフェニレン基、アルキル基で置換されていてもよいナフチレン基、またはアルキル基で置換されていてもよい2価の含窒素ヘテロ芳香族基を表す。Ar、ArおよびArは各々独立にアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基または水素原子を表す。但し、Ar、ArおよびArのうち少なくとも一つはアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基を表す。Xが1,3−フェニレン基の時、ArはArおよびArと同一とはならない。Xが1,4−フェニレン基の時、ArはArと同一とはならない。また、式中の各水素原子は各々独立に重水素原子であってもよい。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体の製造方法。
【請求項7】
下記一般式(2)
【化5】

(式中、Zは脱離基を表す。Ar、ArおよびArは各々独立にアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基または水素原子を表す。但し、Ar、ArおよびArのうち少なくとも一つはアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基を表す。また、前記一般式(3)中のXが1,3−フェニレン基の時、ArはArおよびArと同一ではなく、また、Xが1,4−フェニレン基の時、ArはArと同一ではない。式中の各水素原子は各々独立に重水素原子であってもよい。)で示される化合物を、下記一般式(4)
【化6】

(Ar、ArおよびArは各々独立にアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基または水素原子を表す。但し、Ar、ArおよびArのうち少なくとも一つはアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基を表す。また、前記一般式(3)中のXが1,3−フェニレン基の時、ArはArおよびArと同一ではなく、また、Xが1,4−フェニレン基の時、ArはArと同一ではない。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。また、式中の各水素原子は各々独立に重水素原子であってもよい。)で示される化合物と、下記一般式(5)
【化7】

(式中、Z及びZは各々独立に脱離基を表す。但し、ZとZは同一とはならない。)で示される化合物を、場合によっては塩基の存在下に、金属触媒の存在下でカップリング反応させることにより製造することを特徴とする請求項6に記載の1,2,4,5−置換フェニル誘導体の製造方法。
【請求項8】
下記一般式(1)
【化8】

(式中、Arはフェニル基若しくはアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基、フェニル基若しくはアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、またはフェニル基若しくはアルキル基で置換されていてもよい2〜4環の炭化水素基を表す。Xは単結合、アルキル基で置換されていてもよいフェニレン基、アルキル基で置換されていてもよいナフチレン基、またはアルキル基で置換されていてもよい2価の含窒素ヘテロ芳香族基を表す。Ar、ArおよびArは各々独立にアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基または水素原子を表す。但し、Ar、ArおよびArのうち少なくとも一つはアルキル基で置換されていてもよい含窒素ヘテロ芳香族基を表す。Xが1,3−フェニレン基の時、ArはArおよびArと同一とはならない。Xが1,4−フェニレン基の時、ArはArと同一とはならない。また、式中の各水素原子は各々独立に重水素原子であってもよい。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体を構成成分として含む有機電界発光素子。

【図1】
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【公開番号】特開2012−144523(P2012−144523A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−272376(P2011−272376)
【出願日】平成23年12月13日(2011.12.13)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】