説明

1,3−二置換−4−フェニル−1H−ピリジン−2−オン

本発明は、新規化合物、特に式(I)の新規ピリジノン誘導体に関し、すべてのラジカルは、この出願書類[application]および請求項に定義されたとおりである。本発明の化合物は、代謝調節型受容体−サブタイプ2(「mGluR2」)が関連するグルタミン酸機能障害および疾病に関係する神経学的および精神医学的な障害の治療または予防に有用な、代謝調節型受容体サブタイプであるmGluR2の正のアロステリック調節因子である。特に、このような疾病は、不安神経症,統合失調症,片頭痛,鬱病およびてんかんからなる群から選択される中枢神経系障害である。本発明は、mGluR2が関連するこの種の疾病の予防および治療に対するこのような化合物の使用と同様に、医薬組成物および該化合物と組成物との調製工程もその目的とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ2(「mGluR2」)の正のアロステリック調節因子であり、かつ代謝調節型受容体のサブタイプであるmGluR2が関連するグルタミン酸機能障害および疾病に関係する神経学的および精神医学的な障害の治療または予防における使用に有効である新規ピリジノン誘導体に関する。また、本発明は、このような化合物を含む医薬組成物,該化合物および組成物を調製する工程,ならびにmGluR2が関連する神経学的および精神医学的な障害および疾病の予防または治療における該化合物の使用をその目的とする。
【背景技術】
【0002】
グルタミン酸は、哺乳動物の中枢神経系における主要なアミノ酸神経伝達物質である。グルタミン酸は、例えば、学習と記憶,それだけでなく知覚,シナプス可塑性の発達,運動制御,呼吸,および心臓血管機能の調節など生理機能の多くで主要な役割を果たす。さらにまた、グルタミン酸は、グルタミン酸神経伝達が不安定な様々な神経学的および精神医学的な疾病の中心にいる。
【0003】
イオンチャネル型グルタミン酸受容体チャネル(iGluRs),ならびに速い興奮性伝達に関与するNMDA受容体,AMPA受容体およびカイニン酸受容体の活性化を通して、グルタミン酸はシナプスの神経伝達を仲介する。
【0004】
加えて、シナプス効力の微調整に寄与するという、より調節的な役割を有する代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)を、グルタミン酸は活性化させる。
【0005】
本明細書中でオルト立体的結合部位と呼ばれる、mGluRの大きな細胞外アミノ末端ドメインにグルタミン酸が結合し、mGluRを活性化させる。この結合によって、該受容体の立体構造変化が引き起こされ、その結果Gタンパク質および細胞内シグナル伝達経路が活性化される。
【0006】
サブタイプであるmGluR2は、Gαiタンパク質の活性化を介してアデニル酸シクラーゼと負に共役し、そしてGαiタンパク質の活性化によって、シナプスでのグルタミン酸の放出が阻害される。中枢神経系(CNS)において、mGluR2受容体は主に、皮質,視床領域,副嗅球,海馬,扁桃体,尾状核被殻および側坐核のいたるところで豊富に存在する。
【0007】
臨床試験において、mGluR2を活性化することは不安障害の治療に有効であることが示された。さらに、様々な動物モデルにおいても、mGluR2の活性化が有効であることが示された。これは、統合失調症,てんかん,中毒/薬物依存,パーキンソン病,痛み,睡眠障害およびハンチントン舞踏病の治療に対して新規な治療方法となる可能性を示した。
【0008】
現在、mGluRsを標的とする市販の薬理学的ツールの多くは、mGluRファミリーのメンバーのいくつかを活性化するオルト立体的リガンドであり、該リガンドはグルタミン酸の構造類似体である。
【0009】
mGluRに選択的に作用する化合物を開発する新しい手段は、高度に保存されたオルト立体的結合部位とは異なる部位に結合することによって該受容体を調節するというアロステリック機構を通して作用する化合物を同定することである。
【0010】
mGluRの正のアロステリック調節因子は、この魅力的な代替手段を提供する新規な薬理学的な実体として近年浮上してきた。様々な化合物が、mGluR2の正のアロステリック調節因子として記載されている。国際公開第2004/092135号パンフレット(NPS&アストラ・ゼネカ社),国際公開第2004/018386号パンフレット,国際公開第2006/014918号パンフレットおよび国際公開第2006/015158号パンフレット(メルク社),国際公開第2001/56990号パンフレット(イーライ・リリー社)ならびに国際公開第2006/030032号パンフレット(Addex & Janssen Pharmaceutica)には、mGluR2の正のアロステリック調節因子として、それぞれフェニルスルホンアミド,アセトフェノン,インダノン,ピリジルメチルスルホンアミドおよびピリジノン誘導体が記載されている。これらパンフレット中で具体的に開示された化合物はいずれも、本発明の化合物と構造的な関連はない。
【0011】
これら化合物は単独では該受容体を活性化しないことが証明されている。むしろ、グルタミン酸単独で最小の反応しか引き起こさないあるグルタミン酸濃度において、これら化合物は該受容体に最大の反応をもたらすことができる。mGluR2の正のアロステリック調節因子はオルト立体的部位に結合せずに、代わりに該受容体の七回膜貫通領域内にあるアロステリック部位に結合することが突然変異解析によって明確に証明された。
【0012】
不安神経症モデルおよび精神病モデルにおいて、mGluR2の正のアロステリック調節因子で得られた効果がオルト立体的アゴニストで得られた効果と類似することが動物データから示唆されている。不安神経症モデルである、不安がより強まった驚愕においても、ストレスによる異常高熱においても、mGluR2のアロステリック調節因子は活性を有することが示された。さらに、統合失調症の聴覚による驚愕効果モデルである、ケタミンまたはアンフェタミンによる運動過多症においても、アンフェタミンによるプレパルス抑制崩壊においても、該化合物は逆活性を有することが示された。(J. Pharmacol. Exp. Ther. 2006, 318, 173-185; Psychopharmacology 2005, 179, 271-283)。
【0013】
代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ2の選択的な正のアロステリック調節因子であるビフェニル−インダノン(BINA)が、精神病の幻覚薬モデルを妨害することが近年の動物実験によりさらに明らかにされた。これは、統合失調症におけるグルタミン酸機能障害を治療するためにmGluR2受容体を標的とする策略を支持する。(Mol. Pharmacol. 2007, 72, 477-484)。
【0014】
正のアロステリック調節因子はグルタミン酸反応に対して相乗的に作用することができるが、例えばLY379268またはDCG−IVなどのオルト立体的mGluR2アゴニストによる反応も該因子によって強化されることが示された。これらのデータは、さらにもう1つの新規な治療方法によって、mGluR2が関与する上述の神経学的および精神医学的な疾病が治療されるという証拠を提供する。そして、該治療方法において、mGluR2のオルト立体的アゴニストとともにmGluR2の正のアロステリック調節因子を組み合わせて使用することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開第2004/092135号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2004/018386号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2006/014918号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2006/015158号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2001/56990号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2006/030032号パンフレット
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】J. Pharmacol. Exp. Ther. 2006, 318, 173-185
【非特許文献2】Psychopharmacology 2005, 179, 271-283
【非特許文献3】Mol. Pharmacol. 2007, 72, 477-484
【発明の詳細な説明】
【0017】
本発明は、下記式(I)を有する化合物およびその立体化学的な異性体ならびに薬学的に許容し得るその塩およびその溶媒和物である、代謝型グルタミン酸受容体2の調節因子活性を有する化合物に関し、
【0018】
【化1】

【0019】
式中、
1は、C1−6アルキル基;あるいは、ハロ,トリフルオロメチル基もしくはトリフルオロメトキシ基で置換されたフェニル基,フェニル基またはC3−7シクロアルキル基で置換されたC1−3アルキル基であり;
2は、ハロ,トリフルオロメチル基,C1−3アルキル基またはシクロプロピル基であり;
3は、水素,ハロまたはトリフルオロメチル基であり;
4は、水素,C1−3アルキル基,C1−3アルキルオキシ基,ヒドロキシC1−3アルキル基またはテトラヒドロピラン−2−イルオキシC1−3アルキル基であり;
nは、1または2であり;
Xは、共有結合,OまたはNR5であり:
5は、水素,C1−3アルキル基またはヒドロキシC2−3アルキル基であり;
Yは、OまたはCR6(OH)であり;
6は、水素またはC1−3アルキル基であり;あるいは
4およびR6は、ラジカルである−CH2−CH2−を形成する。
【0020】
本発明の一態様は、式(I)の化合物もしくはその立体化学的な異性体または薬学的に許容し得るその塩もしくはその溶媒和物に関し、式中、
1は、1−ブチル基,2−メチル−1−プロピル基,3−メチル−1−ブチル基,(シクロプロピル)メチル基または2−(シクロプロピル)−1−エチル基であり;
2が、クロロ,ブロモ,シクロプロピル基またはトリフルオロメチル基であり;
3が、水素,クロロまたはトリフルオロメチル基であり;
4が、水素またはヒドロキシメチル基であり;
nが、2であり;
Xが、共有結合,OまたはNR5であり;
5が、水素であり;
Yが、OまたはCR6(OH)であり;
6が、水素またはメチル基である。
【0021】
本発明の一態様は、式(I)の化合物もしくはその立体化学的な異性体または薬学的に許容し得るその塩もしくはその溶媒和物に関し、式中、
1が、1−ブチル基,3−メチル−1−ブチル基,(シクロプロピル)メチル基または2−(シクロプロピル)−1−エチル基であり;
2が、クロロであり;
3が、水素またはクロロであり;
4が、水素またはヒドロキシメチル基であり;
nが、2であり;
Xが、共有結合,OまたはNR5であり;
5が、水素であり;
Yが、OまたはCR6(OH)であり;
6が、水素またはメチル基である。
【0022】
基または基の一部としてのC1−3アルキル基という表記は、メチル基,エチル基,1−プロピル基および1−メチルエチル基などのような、飽和した、直鎖状または分岐状の、1〜3個の炭素原子を有する炭化水素ラジカルを定義する。
【0023】
基または基の一部としてのC1−6アルキル基という表記は、メチル基,エチル基,1−プロピル基,1−メチルエチル基,1−ブチル基,2−メチル−1−プロピル基,3−メチル−1−ブチル基,1−ペンチル基,1−ヘキシルなどのような、飽和した、直鎖状または分岐状の、1〜6個の炭素原子を有する炭化水素ラジカルを規定する。−(CH2n−という表記は、上記式中においてCnと略される。
【0024】
3−7シクロアルキル基という表記は、シクロプロピル基,シクロブチル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル基およびシクロヘプチル基などのような、飽和した環式炭化水素ラジカルを規定する。
【0025】
基または基の一部としてのハロまたはハロゲンという表記は、フルオロ[fluoro],クロロ[chloro],ブロモ[bromo],ヨード[iodo]を包括するものである。
【0026】
治療上の使用において、式(I)の化合物の塩は、その対イオンが薬学的に許容し得る塩である。しかしながら、薬学的に許容し得ない酸および塩基の塩も、例えば、薬学的に許容し得る化合物の調製または精製における用途を見出すことができる。薬学的に許容し得るものであろうとなかろうと、すべての塩は本発明の範囲の中に包含される。
【0027】
薬学的に許容し得る塩は、式(I)の化合物を形成できる、治療上活性を有する無毒性酸付加塩形態を含むよう定義される。適切な酸(例を挙げると、無機酸としては、例えば、ハロゲン化水素酸、特に、塩酸,臭化水素酸,硫酸,硝酸およびリン酸;有機酸としては、例えば、酢酸,ヒドロキシ酢酸,プロパン酸,乳酸,ピルビン酸,シュウ酸,マロン酸,コハク酸,マレイン酸,フマル酸,リンゴ酸,酒石酸,クエン酸,メタンスルホン酸,エタンスルホン酸,ベンゼンスルホン酸,p−トルエンスルホン酸,シクラミン酸,サリチル酸,p−アミノサリチル酸およびパモン酸)で、塩基性形態の式(I)の化合物を処理することによって、該塩が得られる。
【0028】
逆に言えば、該塩形態は、適切な塩基で処理することによって、遊離の塩基性形態に変換することができる。
【0029】
酸性プロトンを含む式(I)の化合物は、適切な有機塩基および無機塩基で処理することによって、治療上活性を有するこれら無毒性塩基付加塩形態に変換することもできる。適切な塩基の塩形態としては、例えば、アンモニウム塩,アルカリ金属およびアルカリ土類金属塩、特に、リチウム,ナトリウム,カリウム,マグネシウムおよびカルシウムの塩が挙げられ、有機塩基を有する塩としては、例えば、ベンザチン,N−メチル−D−グルカミン,ヒブラミン[hybramine]の塩が挙げられ、アミノ酸を有する塩としては、例えば、アルギニンおよびリジンが挙げられる。
【0030】
逆に言えば、該塩形態は、適切な酸で処理することによって、遊離の酸性形態に変換することができる。
【0031】
溶媒和物という用語は、その上記塩と同様に、式(I)の化合物が形成することができる溶媒付加形態を包含する。このような溶媒付加形態の例として、水和物,アルコラートなどが挙げられる。
【0032】
本明細書中に用いられる「立体化学的な異性体」という用語は、式(I)の化合物が有することができる、考えられるすべての異性体を定義するものである。特に言及または指摘しない限り、化合物の化学的な記号表示は、考えられるすべての立体化学的な異性体の混合物を意味し、該混合物は基本的な分子構造のすべてのジアステレオマーおよびエナンチオマーを包含する。また、本発明は、他の異性体を実質的に含まない、すなわち含んでも10%未満、好ましくは5%未満、特に2%未満およびもっとも好ましくは1%未満である、式(I)の化合物およびその塩ならびに溶媒和物の個々の異性体それぞれを包含するものである。このように、式(I)の化合物が例えば(R)として特定される場合、これは、該化合物が実質的に(S)異性体がないことを意味する。立体中心は、R−またはS−配置を有することができ;二価環式(部分的に)飽和ラジカルにおける置換基は、シス−配置またはトランス−配置のいずれかを有することができる。
【0033】
CASによる命名法会議[nomenclature convention]を受け、公知の絶対配置の立体中心が化合物中に2個存在する場合、RまたはSの記述子が、もっとも小さい番号を付されたキラル中心、すなわち参照中心[reference center]に与えられる(カーン−インゴルド−プレローグ配列則に基づく)。第二の立体中心の配置は相対的記述子である[R*,R*]または[R*,S*]を用いて示される。この場合、R*は常に参照中心として特定され、[R*,R*]は同じ鏡像異性を有する中心を示し、[R*,S*]は異なる鏡像異性の中心を示す。例えば、化合物のもっとも小さい番号を付されたキラル中心がS配置を有し、第二の中心がRである場合、立体記述子はS−[R*,S*]として特定されるだろう。「α」および「β」が用いられる場合:もっとも小さい環番号を有する環構造[ring system]の不斉炭素原子上の最優先置換基の位置は、恣意的に常に、環構造により決定される平均平面の「α」位にある。参照原子上の最優先置換基の位置に対して、環構造の他の不斉炭素原子上の最優先置換基(式(I)に記載の化合物の水素原子)の位置は、環構造により決定される平均平面の同じ側に該置換基がある場合、「α」と命名され、環構造により決定される平均平面の反対側に該置換基がある場合、「β」と命名される。
【0034】
この出願書類の構成において、式(I)の化合物に関して言及される場合は特に、原子[element]は天然に存在するものかまたは合成して製造されたものであっても、自然に豊富にあるものかまたは同位元素的に豊富な形態であっても、この原子のすべての同位元素および同位体混合物を包含する。式(I)の放射性標識された化合物は、3H,11C,18F,122I,123I,125I,131I,75Br,76Br,77Brおよび82Brからなる群から選択される放射性同位元素を含むことができる。放射性同位元素は、好ましくは3H,11Cおよび18Fからなる群から選択される。
【0035】
〔調製〕
本発明による化合物は通常、一連の段階により調製することができ、各段階は当業者に公知である。特に、該化合物は、以下の合成方法に従って調製することができる。
【0036】
式(I)の化合物は、当該分野で公知の分割手順に続いて、互いに分離することができる、エナンチオマーのラセミ混合物の形で合成することができる。式(I)のラセミ化合物は、好適なキラル酸との反応によって、対応するジアステレオマー塩形態に変換することができる。続いて、該ジアステレオマー塩形態は、例えば、選択的結晶化または分別結晶化によって分離され、エナンチオマーはアルカリによって、そこから遊離される。式(I)の化合物のエナンチオマー形態を分離する代わりの方法として、キラル固定相を用いた液体クロマトグラフィーが挙げられる。この純粋な立体化学的な異性体は、反応が立体特異的に起こるという条件で、適切な出発物質の、対応する純粋な立体化学的な異性体に由来することもできる。
【0037】
A.最終化合物の調製
実験手順1
式(I)の化合物は、反応スキーム(1)に従い、式(II)の中間体を式(III)の中間体と反応させることで調製することができる。好適な反応不活性溶媒(例えば、1,4−ジオキサンなど)または不活性溶媒の混合液(例えば、1,4−ジオキサン/DMFなど)中、好適な塩基(例えば、水性NaHCO3またはNa2CO3など),Pd−錯体触媒(例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0))存在下、該反応が終了するのに要する好適な時間加熱(従来の加熱下またはマイクロ波照射下のいずれか)して反応を実施する。Wは、ボロン酸またはボロン酸エステルとのPdを媒介したカップリングに好適な基(例えば、ハロゲンまたはトリフラートなど)であり、R5およびR6は、水素またはアルキル基であってもよく、例えば、式−CH2CH2−,−CH2CH2CH2−または−C(CH32C(CH32−の二価ラジカルをともに形成してもよい。反応スキーム(1)において、他のすべての可変記号は式(I)中に定義されている。
【0038】
【化2】

【0039】
実験手順2
代わりの手順として、R2がハロゲンである場合、式(I)の化合物は、反応スキーム(2)に従い、式(IV)の中間体をN−ハロスクシンイミド試薬(例えば、N−クロロスクシンイミド,N−ブロモスクシンイミドまたはN−ヨードスクシンイミドなど)と反応させることによって調製することできる。この反応は、好適な反応不活性かつ非プロトン性の溶媒(例えば、ジクロロメタンまたはジメチルホルムアミドなど)中、好適な温度で、該反応が終了するのに要する時間、反応混合物を撹拌することによって実施する。反応スキーム(2)において、他のすべての可変記号は、式(I)中に定義されている。
【0040】
【化3】

【0041】
このような中間体(II),(III)および(IV)は、反応スキーム(3)〜(21)(下記参照)に従い調製することができる。当業者に周知の合成法によって、最終化合物や中間体に存在する種々の官能基を、式(I)の他の官能基に変換することができる。
【0042】
B.中間体化合物の調製
実験手順3
式(II−a)の中間体は、式(V)の中間体を、好適なハロゲン化剤(例えば、オキシ臭化リンなど)と反応させることによって調製することができる。好適な反応不活性溶媒(例えば、DMFなど)中、適度に高い温度(例えば、110℃など)で、反応を実施する。反応スキーム(3)において、可変記号はすべて式(I)中に定義されている。
【0043】
【化4】

【0044】
実験手順4
式(II−b)の中間体は、式(V)の中間体をトリフリック無水物[triflic anhydride](トリフルオロメタンスルホン酸無水物とも呼ばれる)と反応させることによって調製することができる。好適な反応不活性溶媒(例えば、ジクロロメタンなど)中、塩基(例えば、ピリジンなど)存在下、低温(例えば、−78℃など)で反応を実施する。反応スキーム(4)において、可変記号はすべて式(I)中に定義されている。
【0045】
【化5】

【0046】
実験手順5
式(V−a)の中間体(式中、R2がハロである)は、反応スキーム(5)に従い、式(VI)の中間体をN−ハロスクシンイミド試薬(N−クロロスクシンイミド,N−ブロモスクシンイミドまたはN−ヨードスクシンイミドなど)と反応させることで調製することができる。この反応は、好適な反応不活性かつ非プロトン性の溶媒(例えば、ジクロロメタンまたは1,2−ジクロロエタンなど)中、好適な温度(通常、室温)で、該反応を終了させるのに要する時間、反応混合物を撹拌して実施する。反応スキーム(5)において、可変記号R1は式(I)中に定義されている。
【0047】
【化6】

【0048】
実験手順6
式(V−b)の中間体(式中、R2=トリフルオロメチル基,C1−3アルキル基またはシクロプロピル基)は、好適な反応不活性溶媒(例えば、エタノールなど)中、触媒(例えば、活性炭上10%パラジウムなど)存在下、該反応を確実に終了させるのに要する時間(通常、室温、水素1気圧で2時間)式(VII)の中間体を水素化することにより調製することができる。反応スキーム(6)において、可変記号R1は式(I)中に定義されている。
【0049】
【化7】

【0050】
実験手順7
式(VI)の中間体は、好適な反応不活性溶媒(例えば、エタノールなど)中、触媒(例えば、活性炭上10%パラジウムなど)存在下、該反応を確実に終了させるのに要する時間(通常、室温、水素1気圧で2時間)式(VIII)の中間体を水素化分解することにより調製することができる。反応スキーム(7)において、可変記号R1は式(I)中に定義されている。
【0051】
【化8】

【0052】
実験手順8
式(VIII)の中間体は、塩基(例えば、K2CO3など)、任意にヨウ化塩(例えば、KIなど)を用いて、不活性溶媒(アセトニトリルまたはDMFなど)中、適度に高い温度(例えば、80〜120℃など)で、該反応を終了するのに要する好適な時間(例えば、16時間など)、公知の手順で、市販の4−ベンジルオキシ−1H−ピリジン−2−オンを、式(IX)(式中、Zは好適な脱離基である)の市販のアルキル化剤と反応させることで調製することができる。反応スキーム(8)において、可変記号R1は式(I)中に定義されており、Zは好適な脱離基(例えば、ハロゲンなど)である。
【0053】
【化9】

【0054】
実験手順9
式(VII−a)の中間体は、好適な反応不活性溶媒(例えば、DMF,ジクロロメタンまたは酢酸など)中、通常室温で1〜24時間、式(X)の中間体を市販のN−ハロスクシンイミド(例えば、N−クロロスクシンイミド(NCS),N−ブロモスクシンイミド(NBS)またはN−ヨードスクシンイミド(NIS))と反応させることによって調製することができる。反応スキーム(9)において、可変記号R1は式(I)中に定義されている。
【0055】
【化10】

【0056】
実験手順10
式(VII−b)の中間体は、好適な反応不活性溶媒(例えば、DMFなど)中、好適な銅塩(例えば、ヨウ化銅(I)など)存在下、該反応が終了するのに要する好適な時間加熱(例えば、100℃で5時間など)して、式(VII−a)の中間体(式中、ハロはヨウ素である)を市販のメチル2,2−ジフルオロ−2−(フルオロスルホニル)酢酸塩と反応させることで調製することができる。反応スキーム(10)において、可変記号R1は式(I)中に定義されている。
【0057】
【化11】

【0058】
実験手順11
式(VII−c)の中間体は、好適な反応不活性溶媒(例えば、1,4−ジオキサンなど)中、好適なパラジウム触媒−錯体(例えば、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]−ジクロロパラジウム(II)−DCM錯体など)存在下、そして、好適な塩基(例えば、NaHCO3など)存在下、該反応を終了させるのに要する好適な時間加熱(例えば、マイクロ波照射下175℃で20分間)して、式(VII−a)の中間体をC1−3アルキルボロン酸誘導体またはシクロプロピル−ボロン酸誘導体(例えば、シクロプロピルボロン酸またはメチルボロン酸など)と反応させることで調製することができる。反応スキーム(11)において、可変記号R1は式(I)中に定義されている。
【0059】
【化12】

【0060】
実験手順12
式(III)の中間体は、パラジウム触媒(例えば、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)二塩化物など)存在下、不活性溶媒(例えば、ジクロロメタンなど)中、好適な塩(例えば、酢酸カリウムなど)存在下、適度に高い温度(例えば、110℃など)で、例えば、16時間、公知の手順によって、式(XI)の中間体を好適なホウ素源(例えば、ビス(ピナコラト)ジボロンなど)と反応させることで調製することができる。
【0061】
加えて、式(III)の中間体は、公知の手順の金属−ハロゲン交換およびそれに続く適切なホウ素源との反応により式(XI)の中間体から調製することができる。よって、例えば、適度に低い温度(例えば、−40℃など)で、不活性溶媒(例えば、THFなど)中、式(XI)の中間体を有機リチウム化合物(例えば、n−ブチルリチウムなど)と反応させた後、適切なボロン源(例えば、トリメトキシボランなど)と反応させる。反応スキーム(12)において、可変記号はすべて式(I)中に定義されており、R5およびR6は、水素またはアルキル基でもあっても、例えば、式−CH2CH2−,−CH2CH2CH2−,または−C(CH32C(CH32−の二価ラジカルをともに形成してもよい。
【0062】
【化13】

【0063】
実験手順13
加えて、式(III−a)の中間体は、当業者に公知の還元的アミノ化条件(例えば、好適な反応不活性溶媒(例えば、1,2−ジクロロエタンなど)中、トリアセトキシホウ化水素存在下、好適な温度(通常、室温)で、該反応が終了するのに要する好適な時間、式(XII)の市販の中間体を式(XIII)の環式ケトン誘導体と反応させることで調製することができる。
【0064】
【化14】

【0065】
実験手順14
式(IV)の中間体は、反応スキーム(14)に従って、式(II−a)の中間体(式中、R2=Hである)を式(III)の中間体と反応させることによって調製することができる。この反応は、好適な反応不活性溶媒(例えば、1,4−ジオキサンなど)または不活性溶媒の混合液(例えば、1,4−ジオキサン/DMFなど)中で実施することができる。該反応は、好適な塩基(例えば、水性NaHCO3またはNa2CO3など),Pd−錯体触媒(例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)など)存在下、反応が終了するのに要する好適な時間加熱(従来の加熱下またはマイクロ波照射下のいずれか)して実施することができる。反応スキーム(14)において、可変記号はすべて式(I)中に定義されている。Wは、Pdで媒介されたボロン酸またはボロン酸エステルのカップリングに好適な基(例えば、ハロゲンまたはトリフラートなど)であり、R5およびR6は、水素またはアルキル基でもあっても、例えば、式−CH2CH2−,−CH2CH2CH2−,または−C(CH32C(CH32−の二価ラジカルをともに形成してもよい。
【0066】
【化15】

【0067】
実験手順15
式(XI−a)の中間体は、当業者に公知の還元的アミノ化条件(例えば、好適な反応不活性溶媒(例えば、1,2−ジクロロエタンなど)中、トリアセトキシホウ化水素存在下、好適な温度(通常、室温)で、該反応を終了するのに要する好適な時間)下で、公知の手順によって、式(XIV−a)のアニリン中間体を式(XIII)の環式ケトン誘導体と反応させることで調製することができる。反応スキーム(15)において、可変記号はすべて式(I)中に定義されており、ハロ−は、クロロ−,ブロモ−またはヨード−であってもよい。
【0068】
【化16】

【0069】
実験手順16
式(XI−b)の中間体は、公知の手順に従い、ホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィンなど)および光延様[Mitsunobu-like]カップリングに好適なカップリング剤(例えば、ジ−tert−ブチルアザジカルボン酸など)存在下、不活性溶媒(例えば、ジクロロメタンなど)中、適度に低い温度(例えば、25℃など)で、例えば、2時間、式(XIV−b)のフェノール中間体を式(XV)の環式アルコールと反応させることで調製することができる。反応スキーム(16)において、可変記号はすべて式(I)中に定義されており、ハロ−は、クロロ−,ブロモ−またはヨード−であってもよい。
【0070】
【化17】

【0071】
実験手順17
加えて、式(XI−c)の中間体は、式(XIV−c)の中間体から、公知の手順である金属−ハロゲン交換と、それに続き、式(XIII)の環式ケトンを反応させることによって調製することができる。このように、例えば、不活性溶媒(例えば、THFなど)中、適度に低い温度(例えば、−40℃など)で、式(XI−c)の中間体を有機リチウム化合物(例えば、n−ブチルリチウムなど)と反応させた後、引き続きテトラヒドロ−4H−ピラン−4−オンと反応させる。反応スキーム(17)において、可変記号はすべて式(I)中に定義されており、ハロ−は、クロロ−,ブロモ−またはヨード−であってもよい。
【0072】
【化18】

【0073】
実験手順18
加えて、式(XI−d)の中間体は、式(XI−c)の中間体から、脱水[dehydratation]反応に続く水素化反応という順序の二段階反応において公知の手順で調製することができる。このように、例えば、適度に高い温度(例えば、100℃など)で、不活性溶媒(例えば、トルエンなど)中、例えば、2時間、式(XI−c)の中間体を酸(例えば、p−トルエンスルホン酸一水和物など)と反応させると、式(XI−e)の中間体が得られる。その後、好適な触媒(例えば、酸化白金など)の触媒量存在下、溶媒(例えば、エタノールなど)中、この中間体を水素化することができ、中間体(XI−d)が得られる。反応スキーム(18)において、ハロ−は、クロロ−,ブロモ−またはヨード−であってもよい。他のすべての可変記号は式(I)中に定義されている。
【0074】
【化19】

【0075】
実験手順19
加えて、式(XI−f)の中間体は、適切なジ−ハロ誘導体とのアルキル化反応に続くエステル官能基のアルコールへの還元という順序の二段階反応において、市販または合成の(4−ハロフェニル)−酢酸アルキルエステル誘導体から公知の手順で調製することができる。このように、例えば、塩基(水素化ナトリウムなど)存在下、不活性溶媒(DMFなど)中、適当な温度で該反応を確実に終了するのに要する時間(通常、室温で10〜16時間)、2−クロロエチルエーテルと反応させると、式(XI−g)の中間体が得られる。その後、不活性溶媒(テトラヒドロフランなど)中、適度な温度で該反応を確実に終了するのに要する時間(通常、−10℃〜室温で2時間)、この中間体を金属還元剤(例えば、水素化リチウムアルミニウムなど)と反応させると、式(XI−f)の中間体が得られる。反応スキーム(19)において、可変記号はすべて式(I)中に定義されており、ハロ−は、クロロ−,ブロモ−またはヨード−であってもよい。
【0076】
【化20】

【0077】
実験手順20
加えて、式(XI)の中間体は、ザントマイヤー型反応を介して、式(XVI)のアニリン様中間体から、公知の手順で調製することができる。反応スキーム(20)において、可変記号はすべて式(I)中に定義されており、ハロ−は、クロロ−,ブロモ−またはヨード−であってもよい。
【0078】
【化21】

【0079】
実験手順21
式(XVI)の中間体は、公知の手順(触媒水素化または還元剤としての塩化スズ(II)二水和物の使用など)によるニトロ基のアミノ官能基への還元を介して、式(XVII)の中間体から公知の手順で調製することができる。反応スキーム(21)において、可変記号はすべて式(I)中に定義されている。
【0080】
【化22】

【0081】
実験手順22
式(XVII)の中間体は、公知の手順により、好適な塩基(例えば、炭酸セシウムなど)存在下、不活性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミドまたはアセトニトリルなど)中、適温で、該反応を確実に終了させるのに要する好適な時間、式(XVIII)の中間体を式(XIX)の好適な中間体と反応させることで調製することができる。反応スキーム(22)において、可変記号はすべて式(I)中に定義されている。
【0082】
【化23】

【0083】
式(IX),(XIII),(XIV−a,−bおよび−c),(XV),(XVIII)ならびに(XIX)の出発物質は、市販の中間体か、または当業者に一般的に知られている従来の反応手順に従って調製できる中間体のいずれかである。
【0084】
〔薬理学〕
本発明で提供される化合物は、代謝型グルタミン酸受容体の正のアロステリック調節因子であり、特に、該化合物はmGluR2の正のアロステリック調節因子である。本発明の化合物は、グルタミン酸の認識部位、すなわち、オルト立体的リガンド部位に結合するようには見えないが、代わりに該受容体の七回膜貫通領域中のアロステリック部位に結合すると思われる。グルタミン酸またはmGluR2のアゴニストの存在下、本発明の化合物は、mGluR2反応を増強させる。本発明で提供される化合物がグルタミン酸またはmGluR2アゴニストの該受容体反応を増強することができるという事実に基づき、該化合物はmGluR2での効果を有すると期待され、該受容体の反応を増進する。よって、本発明は、医薬として使用する本発明に記載の化合物に関し、さらに本発明は、ヒトを含む哺乳動物の疾患を治療もしくは予防、特に治療するための薬剤の製造における本発明に記載の化合物または本発明に記載の医薬組成物の使用に関する。該治療または予防は、mGluR2のアロステリック調節因子(特に、mGluR2の正のアロステリック調節因子)の神経調節作用によって、影響を受けるかまたは容易となる。また、本発明は、ヒトを含む哺乳動物の疾患を治療もしくは予防、特に治療するための薬剤の製造において使用する本発明に記載の化合物または本発明に記載の医薬組成物に関する。該治療または予防は、mGluR2のアロステリック調節因子(特に、mGluR2の正のアロステリック調節因子)の神経調節作用によって、影響を受けるかまたは容易となる。本発明は、ヒトを含む哺乳動物の疾患を治療もしくは予防、特に治療するための本発明に記載の化合物または本発明に記載の医薬組成物に関する。該治療または予防は、mGluR2のアロステリック調節因子(特に、mGluR2の正のアロステリック調節因子)の神経調節作用によって、影響を受けるかまたは容易となる。
【0085】
また、本発明は、ヒトを含む哺乳動物のグルタミン酸機能不全を伴う様々な神経学的および精神医学的な障害を治療,予防,改善,抑制もしくはその危険性を緩和するための薬剤の製造における、本発明に記載の化合物または本発明に記載の医薬組成物の使用に関する。該治療または予防は、mGluR2の正のアロステリック調節因子の神経調節作用によって、影響を受けるかまたは容易となる。
【0086】
本発明が、例えば、哺乳動物の治療のための薬剤の製造における、本発明の化合物または組成物の使用に関すると考えられる場合、該使用は例えば、このような治療を要する哺乳動物への、本発明の化合物または組成物の有効量の投与を含む、哺乳動物の治療法として、特定の権利範囲内であると解釈されるべきと理解される。
【0087】
特に、グルタミン酸機能不全を伴う神経学的および精神医学的な障害としては、以下の疾患または疾病の1以上が挙げられる:例えば、心臓バイパス手術およびバイパス移植術に続く脳の欠損などのような急性の神経学的および精神医学的な障害,脳卒中,脳虚血,脊髄外傷,頭部外傷,周生期低酸素症、心停止,低血糖による神経損傷,認知症(AIDSによる認知症を含む。),アルツハイマー病,ハンチントン舞踏病,筋萎縮性側索硬化症,眼性損傷,網膜症,認知障害,特発性および薬物性パーキンソン病,振戦を含む筋痙直に伴う筋肉の痙攣および障害,てんかん,痙攣,片頭痛(片頭痛による頭痛を含む),尿失禁,薬物耐性,薬物離脱(例えば、アヘン剤,ニコチン,タバコ製品,アルコール,ベンゾジアゼピン,コカイン,鎮静剤,催眠薬などの薬物を含む。),精神病,統合失調症,不安神経症(全般性不安障害,パニック障害および強迫性障害を含む。),気分障害(鬱病,躁病,双極性障害を含む。),三叉神経痛,聴力障害,耳鳴,目の黄斑部変性,嘔吐,脳浮腫,痛み(急性および慢性状態,激痛,頑痛,神経障害性の痛み,および外傷後の痛みを含む。),遅発性ジスキネジア,睡眠障害(ナルコレプシを含む。),注意力欠陥/多動性障害,ならびに行動障害。
【0088】
特に、このような疾患または疾病は、不安障害,精神病性障害,人格障害,物質関連障害,摂食障害,気分障害,片頭痛,てんかんもしくは痙攣性疾患,小児期障害,認知障害,神経変性,神経毒性および虚血からなる群から選択される中枢神経系障害である。
【0089】
上記中枢神経系障害は、広場恐怖,全般性不安障害(GAD),強迫性障害(OCD),パニック障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD),社会恐怖症および他の恐怖症からなる群から選択される不安障害であることが好ましい。
【0090】
上記中枢神経系障害は、統合失調症,妄想性障害,統合失調性感情障害,統合失調症様障害および物質誘発性[substance-induced]精神病性障害からなる群から選択される精神病性障害であることが好ましい。
【0091】
上記中枢神経系障害は、強迫性人格障害および統合失調性,統合失調症性障害からなる群から選択される人格障害であることが好ましい。
【0092】
上記中枢神経系障害は、アルコール乱用,アルコール依存,アルコール離脱,アルコール離脱せん妄,アルコールによる精神病性障害,アンフェタミン依存,アンフェタミン離脱,コカイン依存,コカイン離脱,ニコチン依存,ニコチン離脱,オピオイド依存およびオピオイド離脱からなる群から選択される物質関連障害であることが好ましい。
【0093】
上記中枢神経系障害は、神経性食欲不振症および神経性過食症からなる群から選択される摂食障害であることが好ましい。
【0094】
上記中枢神経系障害は、双極性障害(IおよびII),循環病,鬱病,気分変調性障害,大鬱病性障害および物質誘発性気分障害からなる群から選択される気分障害であることが好ましい。
【0095】
上記中枢神経系障害は、片頭痛であることが好ましい。
【0096】
上記中枢神経系障害は、全身性非痙攣性のてんかん,全身性痙攣性のてんかん,小発作てんかん重積状態,大発作てんかん重積状態,意識障害の有無にかかわらない部分てんかん,乳児痙攣,持続性部分てんかん[epilepsy partialis continua],および他の種類のてんかんからなる群から選択されるてんかんまたは痙攣性疾患であることが好ましい。
【0097】
上記中枢神経系障害は、注意欠陥/多動性障害であることが好ましい。
【0098】
上記中枢神経系障害は、せん妄,物質誘発性の持続的せん妄,認知症,HIV疾病に起因する認知症,ハンチントン舞踏病に起因する認知症,パーキンソン病に起因する認知症,アルツハイマー型の認知症,物質誘発性の持続的認知症および軽度認識障害からなる群から選択される認知障害であることが好ましい。
【0099】
上述した障害のうち、不安神経症,統合失調症,片頭痛,鬱病およびてんかんの治療が特に重要である。
【0100】
現時点で、アメリカ精神医学会の精神疾患診断統計マニュアル(DSM−IV)の第四版には、本願明細書中に記載の障害を同定するための診断ツールが掲載されている。当業者は、本願明細書中に記載の神経学的および精神医学的な障害のための他の命名法,疾病分類学,および分類体系が存在し、これらは医学的および科学的な発展とともに進化することを認識している。
【0101】
式(I)の化合物を含め、mGluR2のこの正のアロステリック調節因子がグルタミン酸に対するmGluR2の反応を増進するので、本発明の方法が内因性のグルタミン酸を利用することは好都合である。
【0102】
式(I)の化合物を含め、mGluR2のこの正のアロステリック調節因子がアゴニストに対するmGluR2の反応を増進するので、本発明が、mGluR2アゴニストと組み合わせて、式(I)の化合物を含むmGluR2の正のアロステリック調節因子の有効量を投与することによる、グルタミン酸機能不全を伴う神経学的および精神医学的な障害の治療まで拡張されるものと理解される。
【0103】
本発明の化合物は、式(I)の化合物または他の薬物が有効であり得る疾病または疾患の治療,予防,抑制,改善,またはその危険性の低減において1以上の他の薬物と組み合わせて利用することができる。この場合、薬物の組合せは、いずれの薬物を単独で用いるより安全であるか、またはより効果的である。
【0104】
〔医薬組成物〕
本発明は、薬学的に許容し得る担体または希釈剤および、活性成分として、本発明による化合物(特に、式(I)による化合物,その薬学的に許容し得る塩,その溶媒和物またはその立体化学的な異性体)の治療上の有効量を含む医薬組成物にも関する。
【0105】
本発明による化合物(特に、式(I)による化合物,その薬学的に許容し得る塩,溶媒和物およびその立体化学的な異性体)もしくは任意のサブグループまたはこれらの組み合わせは、投与目的のための様々な剤型で処方することができる。適切な組成物として、通常、薬を全身的に投与するために用いるすべての組成物を挙げることができる。
【0106】
本発明の医薬組成物を調製するために、活性成分として特定の化合物(任意で塩形態)の有効量を、均一な混合物[intimate admixture]において、薬学的に許容し得る担体または希釈剤とともに組み合わせる。該担体または希釈剤は、投与に望ましい調製形態に応じて多種多様な形態を採ることができる。これらの医薬組成物は、特に経口的な投与,直腸性の投与,経皮的投与,非経口的な注射による投与または吸入による投与にとって好適な、一体的な投与形態をとることが望ましい。例えば、経口の剤形で組成物を調製する際、例えば、懸濁液,シロップ,エリキシル剤,乳濁液および溶液などのような経口液体を調製する場合には、例えば、水,グリコール,油,アルコールなど;また粉末,丸薬,カプセルおよび錠剤の場合には、例えば、澱粉,糖,カオリン,希釈剤,潤滑油,結合剤,崩壊剤などのような固体担体というように、どのような通常の薬剤の媒体でも用いることができる。投与を容易にするために経口投与が好まれ、この場合、固体薬剤担体が用いられることは言うまでもないが、錠剤およびカプセルがもっとも有利な経口の投与量単位の形態に相当する。非経口組成物の場合、担体は、例えば、溶解性を補助する他の成分を含んでいてもよいが、通常滅菌水を含み、それも少なくとも大部分を占める。
【0107】
例えば、その担体が食塩水,グルコース溶液または食塩水およびグルコース溶液の混合物を含むよう注射剤を調製することができる。この場合、適切な液体担体,懸濁剤などを用いて注射剤を調製することもできる。また、使用の直前に液体の形態に変換することを意図した固体の形態で調製することも包含する。経皮投与に好適な組成物の場合、その担体は、任意に浸透促進剤および/または好適な湿潤剤を、任意に小さい割合の天然の好適な添加剤と組み合わせた上で含み、この添加剤は皮膚に重大な悪影響を及ぼさない。該添加剤は、皮膚への投与を容易にするものであっても、および/または、所望する組成物の調製に有用なものであってもよい。これら組成物は、多様な方法で投与することができ、例えば、経皮パッチとして,スポット剤として,軟膏としてである。
【0108】
投与の容易さおよび投与量の均一性のために、上述した医薬組成物を単位投与量の形態で処方することは特に好都合である。本明細書中に用いられる「単位投与量の形態」とは、一体的な投与量として好適な物質的に分離した単位に言及し、各単位は、必要な薬剤担体との共同により所望する治療効果を生じるよう計算された活性成分の予め決められた量を含んでいる。この単位投与量の形態の例として、錠剤(分割錠剤または被覆錠剤を含む。),カプセル,丸薬,粉末パケット,ウェーハ,坐薬,注射剤または懸濁液など、およびそれらを複数に分割したものである。
【0109】
当業者に周知であるように、投与の正確な用量および頻度は、使用する式(I)の特定の化合物,治療される特定の疾患,治療される疾患の重篤度,年齢,体重,性別,障害の範囲および特定の患者の全身的な身体状態ならびに個人が服用しているかもしれない他の薬物に左右される。さらにまた、このような1日分の有効量は、治療される対象の反応および/または本発明の化合物を処方する医師の評価次第で減らすことも増やすこともできることは明らかである。
【0110】
投与様式に応じて、医薬組成物は、活性成分を0.05〜99重量%、好ましくは0.1〜70重量%、より好ましくは0.1〜50重量%の量で、薬学的に許容し得る担体を1〜99.95重量%、好ましくは30〜99.9重量%、より好ましくは50〜99.9重量%の量で含み、すべてのパーセンテージが該組成物の総重量に基づく。
【0111】
既に述べたように、本発明は、式(I)の化合物または他の薬剤が有用であり得る疾病または疾患の治療,予防,抑制,改善,またはその危険性の低減における、本発明の化合物および1以上の他の薬剤を含む医薬組成物ならびに薬剤の製造における該組成物の使用にも関する。本発明は、本発明の化合物とmGluR2のオルト立体的アゴニストとの組合せにも関する。本発明は、医薬として使用するこのような組合せにも関する。本発明は、(a)本発明の化合物,その薬学的に許容し得る塩またはその溶媒和物と、(b)mGluR2のオルト立体的アゴニストとを含む、ヒトを含む哺乳動物の疾患の治療または予防における、同時の,単独の,または連続の使用のための複合調剤[combined preparation]としての製品にも関する。該治療または予防は、mGluR2のアロステリック調節因子、特にmGluR2の正のアロステリック調節因子の神経調節作用によって、影響を受けるかまたは容易となる。このような組合せもしくは製品中の種々の薬物は、薬学的に許容し得る担体もしくは希釈剤とともに一度の調製で混合するか、または種々の薬物を、薬学的に許容し得る担体もしくは希釈剤とともに別個に調製して各々を混合しない状態においてもよい。
【実施例】
【0112】
次に、本発明について実施例を示して詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0113】
化学
本発明の化合物を調製するいくつかの方法は、以下の実施例において例示されている。特に明記しない限り、すべての出発物質は商業用供給元から得られたものであり、それ以上精製せずに使用した。
【0114】
以下、「THF」はテトラヒドロフランを意味し;「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドを意味し;「EtOAc」は酢酸エチルを意味し;「DCM」はジクロロメタンを意味し;「DME」は1,2−ジメトキシエタンを意味し;「DCE」は1,2−ジクロロエタンを意味し;「DIPE」はジイソプロピルエーテルを意味し;「DMSO」はジメチルスルホキシドを意味し;「DBU」は1,8−ジアザ−7−ビシクロ[5.4.0]ウンデセンを意味する。
【0115】
マイクロ波の補助のある反応は、単一モード反応器:Initiator(商標) Sixty EXPマイクロ波反応器(Biotage AB社)で、または多重モード反応器:MicroSYNTH Labstation(マイルストーン社)で実施した。
【0116】
〔説明1〕
4−ベンジルオキシ−1−ブチル−1H−ピリジン−2−オン(D1)
【0117】
【化24】

【0118】
アセトニトリル(200ml)中の4−ベンジルオキシ−1H−ピリジン−2−オン(5.0g,24.84mmol)の溶液に、1−ブロモブタン(3.75g,27.33mmol)および炭酸カリウム(10.3g,74.52mmol)を加え、この混合物を16時間還流加熱した。反応混合物を珪藻土で濾過し、真空濃縮した。その後、粗残留物をジエチルエーテルで粉末にし、純粋なD1(6.26g,98%)を白色固体として得た。
【0119】
〔説明2〕
1−ブチル−4−ヒドロキシ−1H−ピリジン−2−オン(D2)
【0120】
【化25】

【0121】
エタノール(300ml)中の中間体D1(2.01g,7.83mmol)と活性炭上の触媒量10%パラジウムとの混合物を水素雰囲気下2時間撹拌した。この混合物を珪藻土で濾過し、溶媒を真空で蒸発させ、中間体D2(1.3g,100%)を得た。D2はこれ以上精製せずに用いた。
【0122】
〔説明3〕
4−ブロモ−1−ブチル−1H−ピリジン−2−オン(D3)
【0123】
【化26】

【0124】
DMF(140ml)中の中間体D2(1.44g,8.6mmol)の溶液に、オキシ臭化リン(5.4g,18.9mmol)を加え、この混合物を110℃で1時間加熱した。氷浴で冷却した後、この溶液を水とEtOAcとに分配した。EtOAcで3回抽出した後、合わせた有機画分を乾燥(Na2SO4)し、溶媒を真空で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した(シリカゲル;溶出剤としてDCM)。所望する画分を回収し、真空で蒸発させ、中間体D3(1.82g,93%)を得た。
【0125】
〔説明4〕
4−ブロモ−1−(3−メチルブチル)−1H−ピリジン−2−オン(D4)
【0126】
【化27】

【0127】
出発物質として4−ヒドロキシ−1−(3−メチルブチル)−1H−ピリジン−2−オンを用いて、D3合成と同じ手順に従い中間体D4を調製した。該出発物質は、4−ベンジルオキシ−1H−ピリジン−2−オンと1−ブロモ−3−メチルブタンとの反応による中間体D2の合成と同じ方法で調製した。
【0128】
〔説明5〕
1−ブチル−3−クロロ−4−ヒドロキシ−1H−ピリジン−2−オン(D5)
【0129】
【化28】

【0130】
DMF(30ml)中の中間体D2(2.0g,11.96mmol)の溶液に、N−クロロスクシンイミド(1.6g,11.96mmol)を加えた。この反応を室温で終夜撹拌した後、真空濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製(シリカゲル;溶出剤として0〜5%のメタノ−ル/DCM)し、中間体D5(2.0g,83%)を得た。
【0131】
〔説明6〕
トリフルオロ−メタンスルホン酸1−ブチル−3−クロロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−4−イルエステル(D6)
【0132】
【化29】

【0133】
−78℃で冷却されたDCM(80ml)中の中間体D5(2.0g,9.92mmol)の溶液に、ピリジン(1.60ml,19.8mmol)を加えた。得られた溶液を10分間撹拌した後、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(1.90ml,10.9mmol)を添加し、さらに−78℃で3時間撹拌した。この混合物を室温まで加温した後、塩化アンモニウム飽和水溶液を加えることによってクエンチし、水で希釈、DCMで抽出、乾燥(Na2SO4)し、溶媒を真空で蒸発させ、粗生成物として中間体D6(3.31g,100%)を得た。D6はこれ以上精製せずに用いた。
【0134】
〔説明7〕
(テトラヒドロピラン−4−イル)−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−アミン(D7)
【0135】
【化30】

【0136】
DCE(50ml)中の、4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニルアミン(0.5g,2.28mmol)とテトラヒドロピラン−4−オン(0.25ml,2.73mmol)とナトリウムトリアセトキシホウ化水素(0.71g,3.42mmol)との混合物を、室温で16時間撹拌した。粗生成物を珪藻土で濾過し、DCMで洗浄後、濾過液を真空で蒸発させて、D7(0.69g)を得た。D7はこれ以上精製せずに用いた。
【0137】
〔説明8〕
1−(3−メチルブチル)−4−[4−(テトラヒドロピラン−4−イルアミノ)−フェニル]−1H−ピリジン−2−オン(D8)
【0138】
【化31】

【0139】
ジオキサン(4ml)と炭酸ナトリウム飽和水溶液(4ml)との混合液中の、中間体D4(0.46g,1.9mmol)と中間体D7(0.69g,2.28mmol)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.21g,0.19mmol)との懸濁液を、マイクロ波照射下150℃で10分間加熱した。粗生成物を珪藻土で濾過し、EtOAcで洗浄した。有機層を分離し、塩水で洗浄、乾燥(Na2SO4)し、溶媒を真空で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した(シリカゲル;溶出剤としてDCM/EtOAcを8:2、最後にEtOAc)。所望する画分を回収し、真空で蒸発させ、D8(0.64g,95%)を黄色の固体として得た。
【0140】
〔説明9〕
4−(4−ブロモ−フェニル)−テトラヒドロピラン−4−カルボン酸メチルエステル(D9)
【0141】
【化32】

【0142】
室温でDMF(100ml)中の(4−ブロモフェニル)−酢酸メチルエステル(12.52g,54.6mmol)と15−クラウン−5(1.2g,5.46mmol)との撹拌溶液に、NaH(60%)(4.74g,119mmol)を分割して加えた。室温で40分間撹拌した後、NaI(8.14g,54.6mmol)と2−クロロエチルエーテル(13.76g,96.2mmol)とを加えた。反応混合物を室温で10時間撹拌後、溶媒を真空で蒸発させた。残留物をEtOAcとトルエンと(1:1)の混合物で処理し、0.5N HCl溶液で洗浄した。水層をより多くのEtOAc/トルエン(1:1)でさらに抽出し、合わせた有機抽出液を水で洗浄した後、NaHCO3飽和水溶液で洗浄し、最後に塩水で洗浄した。合わせた有機抽出液を乾燥(Na2SO4)し、溶媒を真空で蒸発させた。粗残留物をn−ヘプタンで粉末にし、可溶性画分を減圧下で乾燥するまで蒸発させ、D9(3.96g,24%)を黄色の液体として得た。
【0143】
〔説明10〕
[4−(4−ブロモフェニル)−テトラヒドロピラン−4−イル]−メタノール(D10)
【0144】
【化33】

【0145】
2雰囲気下−10℃で撹拌されたTHF(20ml)中の中間体D9(1.07g,3.58mmol)の溶液に、THF中の1.0M水素化アルミニウムリチウム(3.58ml,3.58mmol)を滴下した。得られた溶液を徐々に室温まで加温し、さらに2時間撹拌した。0℃まで冷却後、10%NaOH水溶液を慎重に加え、室温になるまでこの混合物を放置した。その後、DCMで抽出し、乾燥(Na2SO4)させ、溶媒を真空で蒸発させて、中間体D10(0.96g,99%)を白色固体として得た。D10はこれ以上精製せずに用いた。
【0146】
〔説明11〕
{4−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−テトラヒドロピラン−4−イル}−メタノール(D11)
【0147】
【化34】

【0148】
ジオキサン(12ml)およびDMF(3ml)中の中間体D10(0.96g,3.53mmol)の溶液に、ビス(ピナコラト)ジボラン(1.43g,5.65mmol)と酢酸カリウム(1.04g,10.59mmol)とを加えた。この混合物を脱気後、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]−ジクロロパラジウム(II)−DCMとの錯体(1:1)(0.09g,0.106mmol)を加えた。この反応混合物をマイクロ波照射下150℃で40分間加熱した。室温まで冷却後、水を加え、この混合物をEtOAcで抽出した。有機画分を乾燥(Na2SO4)し、溶媒を真空で蒸発させた。粗残留物をカラムクロマトグラフィーで精製した(シリカゲル;溶出剤としてDCM)。所望する画分を回収し、真空で蒸発させ、油状残留物を得た。これをn−ヘプタンで粉末にして、白色固体としてD11(0.65g,58%)を得た。
【0149】
〔説明12〕
4−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシメチル)−4−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−テトラヒドロピラン(D12)
【0150】
【化35】

【0151】
乾燥DCM(20ml)中の中間体D11(0.58g,1.8mmol)と3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(0.2ml,2.18mmol)とp−トルエンスルホン酸(触媒量)との混合物を室温で1時間撹拌した。この反応混合物をNaHCO3飽和水溶液で洗浄後、合わせた有機抽出液を乾燥(Na2SO4)し、溶媒を真空で蒸発させた。粗残留物をカラムクロマトグラフィーで精製した(シリカゲル;溶出剤としてDCM)。所望する画分を回収し、真空で蒸発させ、D12(0.73g,100%)を得た。D12はこれ以上精製せずに用いた。
【0152】
〔実施例1〕
3−クロロ−1−(3−メチルブチル)−4−[4−(テトラヒドロピラン−4−イルアミノ)−フェニル]−1H−ピリジン−2−オン(E1)
【0153】
【化36】

【0154】
DMF(10ml)中の中間体D8(0.65g,1.91mmol)とN−クロロスクシンイミド(0.25g,1.91mmol)との溶液を45℃で16時間撹拌した。室温まで冷却後、水を加え、この溶液をEtOAcで抽出した。有機層を分離し、塩水で洗浄し、乾燥(Na2SO4)して、溶媒を真空で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した(シリカゲル;溶出剤としてDCM/EtOAcが8:2)。所望する画分を回収し、真空で蒸発させ、E1(0.20g,28%)を淡いピンク色の固体として得た。融点は、>300℃であった。
【0155】
〔実施例2〕
1−ブチル−3−クロロ−4−{4−[4−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシメチル)−テトラヒドロピラン−4−イル]−フェニル}−1H−ピリジン−2−オン(E2)
【0156】
【化37】

【0157】
ジオキサン(6ml)中の中間体D6(0.17g,0.5mmol)と中間体D12(0.2g,0.5mmol)と触媒であるテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.03g,0.025mmol)とNaHCO3(3g,過剰)との混合物を、マイクロ波照射下150℃で10分間加熱した。室温まで冷却後、反応混合物を珪藻土で濾過し、EtOAcで処理して、有機層を水で洗浄後、塩水で洗浄した。有機画分を乾燥(Na2SO4)し、溶媒を真空で蒸発させた。粗残留物をカラムクロマトグラフィーで精製した(シリカゲル;溶出剤としての0〜10%のEtOAc/DCM)。所望する画分を回収し、真空で蒸発させ、無色油としてE2(0.10g,45%)を得た。
【0158】
〔実施例3〕
1−ブチル−3−クロロ−4−[4−(4−ヒドロキシメチル−テトラヒドロピラン−4−イル)−フェニル]−1H−ピリジン−2−オン(E3)
【0159】
【化38】

【0160】
メタノール(10ml)中の化合物E2(0.10g,0.22mmol)とp−トルエンスルホン酸の触媒量との混合物を室温で1時間撹拌した。溶媒を真空で蒸発させ、その結果生じた残留物をDCMで吸収し、NaHCO3の飽和水溶液で洗浄し、合わせた有機抽出液を乾燥(Na2SO4)し、溶媒を真空で蒸発させた。粗残留物をカラムクロマトグラフィーで精製した(シリカゲル;溶出剤として0〜30%のEtOAc/DCM)。所望する画分を回収し、真空で蒸発させ、無色油としてE3(0.05g,61%)を得た。
【0161】
化合物E4〜E9(表1)は、同様の方法で調製した。
【0162】
物理化学的データ
LCMS−基本手順
HPLC測定は、下記方法のそれぞれに規定されている脱気剤,オートサンプラー[autosampler],カラムオーブン[column oven],ダイオードアレイ検出器(DAD)およびカラムを有するポンプ(四成分系または二成分系)を含む、アジレント・テクノロジー社のHP1100を用いて実施した。カラムからのフローを分割し、MS分光計に流入させた。MS検出器をエレクトロスプレーイオン化供給源から構成した。窒素を噴霧ガスとして用いた。供給源の温度を140℃に維持した。データ取得は、MassLynx−Openlynxソフトウェアにより実施した。
【0163】
基本手順に加えて:逆相HPLCを、流速1ml/分,60℃として、アジレント社のXDB−C18カートリッジ(1.8μm,2.1×30mm)で実施した。用いた勾配条件:6.5分までに90%A(0.5g/l酢酸アンモニウム溶液),5%B(アセトニトリル),5%C(メタノ−ル)から50%Bおよび50%Cに、7分で100%Bに、そして7.5〜9.0分で初期条件に平衡化した。注入量を2μlとした。高解像度マススペクトル(飛行時間,TOF)は、0.1秒間の滞留時間を用いて0.5秒間で100から750までスキャンすることによって陽イオン化モードのみから得られた。キャピラリー・ニードル電圧[capillary needle voltage]は2.5kVであり、コーン電圧は20Vであった。ロイシン−エンケファリンをロック・マス較正[lock mass calibration]に用いる標準物質とした。
【0164】
融点
多くの化合物の融点は、メトラー社FP62という装置でオープン・キャピラリー管において測定した。融点は、3〜10℃/分の温度勾配により測定した。最大温度は300℃であった。融点はデジタル表示から読み取ったものであり、この分析法に共通して付きまとう実験上の不確実性をもって得られたものである。
【0165】
表1は、上記実施例のうちの1つ(実施例No.)に従って調製した式(I)の化合物を一覧表にしたものである。
表1:
【0166】
【化39】

【0167】
【表1】

【0168】
D.薬理学に係る実施例
本発明で提供される化合物は、mGluR2の正のアロステリック調節因子である。これら化合物は、グルタミン酸の結合部位以外のアロステリック部位に結合することによって、グルタミン酸反応を強化すると考えられる。式(I)の化合物が存在すると、グルタミン酸濃度に対するmGluR2の反応が強まる。式(I)の化合物は、該受容体の機能を強化することができるため、実質的にmGluR2における効果を有すると期待される。下記の[35S]GTPγS結合アッセイ法を用いたmGluR2で試験された正のアロステリック調節因子の挙動、およびこの挙動が該化合物(特に、式(I)の化合物)の同定に好適であることが、表4に示されている。
【0169】
35S]GTPγS結合アッセイ
35S]GTPγS結合アッセイは、非加水分解性の形態であるGTP,[35S]GTPγS(γ放射性35Sで標識されたグアノシン5’三リン酸)の取り込みを測定するというGタンパク質共役受容体(GPCR)機能の研究で用いる機能性膜ベース[membrane-based]アッセイである。Gタンパク質αサブユニットは、グアノシン5’二リン酸(GDP)のグアノシン三リン酸(GTP)への交換を触媒し、アゴニストによってGPCRが活性化されると[35S]GTPγSが取り込まれ、この交換サイクルを続けることができなくなる(ハーパー(1998年)Current Protocols in Pharmacology 2.6.1〜10,ジョン・ワイリー&サンズ社)。放射性[35S]GTPγSの取り込み量はGタンパク質活性の直接的尺度であるから、アゴニスト活性を測定することができる。mGluR2受容体はGαiタンパク質に選択的に共役する(この方法にでは選択的共役)ことを示すため、この方法は、組換え株化細胞および組織のいずれにおけるmGluR2受容体の受容体活性化の研究にも広く用いられている(シャフハウザーら(2003年),ピンカートンら(2004年),ミュテルら(1998年) Journal of Neurochemistry.71巻:2558〜64頁;シャフハウザーら(1998年)Molecular Pharmacology 53巻:228〜33頁)。これより、出願人らは、ヒトmGluR2受容体をトランスフェクションした、シャフハウザーら((2003年)Molecular Pharmacology 4巻:798〜810頁)のものを改変した細胞から得られた膜を用いた、本発明の化合物の正のアロステリック調節(PAM)特性を検出するための[35S]GTPγS結合アッセイの使用を記載する。
【0170】
〔膜調製〕
CHO細胞をコンフルエンスになる前まで培養し、PBSで洗浄する前に5mM酪酸により24時間刺激した後、ホモジナイズ用緩衝液(50mMトリス−HCl緩衝液,pH7.4,4℃)中こすりとって回収した。細胞溶解物を、ULTRA−TURRAXホモジナイザを用いて短時間(15秒間)ホモジナイズした。ホモジネートを23500×gで10分間遠心分離し、上清を捨てた。ペレットを、5mMトリス−HCl(pH7.4)中に再懸濁し、再び遠心分離した(30000×g,20分間,4℃)。最終ペレットを、50mMのHEPES(pH7.4)に再懸濁し、使用前に適切なアリコートに分割して−80℃で保存した。タンパク質濃度は、ウシ血清アルブミンを基準としてブラッドフォード法(バイオラッド社,USA)により測定した。
【0171】
〔[35S]GTPγS結合アッセイ〕
ヒトmGluR2を含む膜における試験化合物のmGluR2の正のアロステリック調節活性の測定は、凍結した膜を用いて実施した。凍結した膜を解凍し、短時間ホモジナイズした後、所定の最小濃度のグルタミン酸(PAMアッセイ)を添加または無添加の、段階的に濃度を増加させた(0.3nM〜50μM)正のアロステリック調節因子を含むアッセイ用緩衝液(50mM HEPES(pH7.4),100mM NaCl,3mM MgCl2,50μM GDP,10μg/ml サポニン)中、96穴プレートでプレインキュベート(15μg/1アッセイ・1穴,30℃で30分間)した。PAMアッセイでは、膜をEC25濃度(すなわち、最大のグルタミン酸反応の25%を与える濃度であって、既報のデータ(ピンら(1999年)Eur.J.Pharmacol.375巻:277〜294頁)に沿った濃度)でグルタミン酸とプレインキュベートした。反応総量を200μlとするために[35S]GTPγS(0.1nM,f.c.)を添加した後、活性化によって[35S]GTPγSを取り込ませるよう、さらにインキュベートした(30℃で30分間)。この反応を、ガラスファイバー濾板(Unifilter 96−well GF/B濾板,パーキン−エルマー社,ダウナーズグローブ,USA)で急速に真空濾過することによって止めた。マイクロプレートは、96穴プレ−トのセルハーベスター(Filtermate,パーキン−エルマー社,USA)を用い、次いで300μlの氷冷洗浄用緩衝液(pH=7.4、Na2PO4・2H20 10mMおよびNaH2PO4・H20 10mM)で3回洗浄した。その後、フィルターを風乾し、40μlの液体シンチレーション・カクテル(Microscint−O)を各穴に加え、膜に結合した[35S]GTPγSを96穴シンチレーション・プレートリーダー(Top−Count,パーキン−エルマー社,USA)で測定した。非特異的[35S]GTPγS結合は、冷却した10μMのGTPの存在下で測定する。各曲線は、11種の濃度で、データポイント1つ当り2個のサンプルを用いて少なくとも1回実施して得られたものである。
【0172】
〔データ分析〕
正のアロステリック調節(PAM)を測定するため添加したグルタミン酸(mGluR2アゴニスト)がEC25存在した場合の、本発明の代表的な化合物の濃度−反応曲線を、Prism GraphPadソフトウェア(グラフ・パッド社,サンディエゴ,USA)を用いて作成した。曲線は、EC50値を決定することができる、4個のパラメータを有するロジスティック方程式(Y=Bottom+(Top−Bottom)/(1+10^(LogEC50−X)*Hill Slope))にフィッティングさせた。EC50は、最大グルタミン酸反応の半分の反応を生じさせる化合物の濃度である。正のアロステリック調節因子がない場合のグルタミン酸反応から、正のアロステリック調節因子が完全に飽和した濃度で存在する場合の最大グルタミン酸反応を差し引くことによってEC50を算出する。よって、最大効果の半分を生じる濃度がEC50として算出される。
【0173】
表2.〔本発明の化合物についての薬理学的デ−タ。〕
正のアロステリック調節(GTPγS−PAM)を測定するために、mGluR2アゴニストであるグルタミン酸が所定のEC25濃度で存在する条件で、すべての化合物について試験した。示されている値は、少なくとも1回の実験から得られた、11種の濃度反応曲線の2個の数値の平均である。試験された化合物のすべてのpEC50(−logEC50)の数値が5.0以上であり、6.09から7.40までの値を示した。1回の実験におけるpEC50の測定値の誤差は、ログ単位で約0.3のであると推定される。
【0174】
【表2】

【0175】
E.組成物に係る実施例
これら実施例を通して用いた「活性成分」とは、式(I)の最終化合物,その薬学的に許容し得る塩,溶媒和物およびその立体化学的な異性体に関する。
【0176】
本発明の製剤に係る代表的な実施例を以下に示す:
1.錠剤
活性成分 5〜50mg
ジリン酸カルシウム 20mg
ラクトース 30mg
滑石 10mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
ジャガイモ澱粉 ad200mg(最後に加えて総量を200mgにする。)
この実施例において、活性成分は、本発明の化合物のいずれかと同じ量、特に任意の例示した化合物と同じ量で置換することができる。
【0177】
2.懸濁液
各1ミリリットルに、1〜5mgの活性成分1種,50mgのカルボキシメチルセルロースナトリウム,1mgの安息香酸ナトリウム,500mgのソルビトールおよびad1mlの水(最後に水を加えて総量を1mlにする。)を含まれるように、水性懸濁液を経口投与用に調製する。
【0178】
3.注射剤
プロピレングリコールを10体積%で含む水中、1.5重量%の本発明の活性成分を撹拌することによって、非経口組成物を調製する。
【0179】
4.軟膏
活性成分 5〜1000mg
ステアリル・アルコール 3g
ラノリン 5g
白色ワセリン 15g
水 ad100g(最後に加えて総量を100gにする。)
この実施例において、活性成分は、本発明の化合物のいずれかと同じ量、特に任意の例示した化合物と同じ量で置換することができる。
【0180】
合理的な改変は、本発明の範囲からの逸脱しないものと考える。このように記載された本発明が当業者によって様々な方法で改変できることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)を有する化合物もしくはその立体化学的な異性体または薬学的に許容し得るその塩またはその溶媒和物;
【化1】

式中、
1は、C1−6アルキル基;あるいは、ハロ,トリフルオロメチル基もしくはトリフルオロメトキシ基で置換されたフェニル基,フェニル基またはC3−7シクロアルキル基で置換されたC1−3アルキル基であり;
2は、ハロ,トリフルオロメチル基,C1−3アルキル基またはシクロプロピル基であり;
3が、水素,ハロまたはトリフルオロメチル基であり;
4は、水素,C1−3アルキル基,C1−3アルキルオキシ基,ヒドロキシC1−3アルキル基またはテトラヒドロピラン−2−イルオキシC1−3アルキル基であり;
nは、1または2であり;
Xは、共有結合,OまたはNR5であり:
5は、水素,C1−3アルキル基またはヒドロキシC2−3アルキル基であり;
Yは、OまたはCR6(OH)であり;
6は、水素またはC1−3アルキル基であり;あるいは
4およびR6は、ラジカルである−CH2−CH2−を形成する。
【請求項2】
1が、1−ブチル基,2−メチル−1−プロピル基,3−メチル−1−ブチル基,(シクロプロピル)メチル基もしくは2−(シクロプロピル)−1−エチル基であり;
2が、ハロであり;
3が、水素,クロロもしくはトリフルオロメチル基であり;
4が、水素もしくはヒドロキシメチル基であり;
nが、2であり;
Xが、共有結合,OもしくはNR5であり;
5が、水素であり;
Yが、OもしくはCR6(OH)であり;
6が、水素もしくはメチル基である請求項1に記載の化合物または薬学的に許容し得るその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項3】
1が、1−ブチル基,3−メチル−1−ブチル基,(シクロプロピル)メチル基もしくは2−(シクロプロピル)−1−エチル基であり;
2が、クロロであり;
3が、水素もしくはクロロであり;
4が、水素もしくはヒドロキシメチル基であり;
nが、2であり;
Xが、共有結合,OもしくはNR5であり;
5が、水素であり;
Yが、OもしくはCR6(OH)であり;
6が、水素もしくはメチル基である請求項1に記載の化合物または薬学的に許容し得るその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項4】
トリフルオロメタンスルホン酸1−ブチル−3−クロロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−4−イルエステルである請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
治療上の有効量の請求項1〜4のいずれかに記載の化合物と、薬学的に許容し得る担体または賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項6】
薬剤として使用される請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
ヒトを含む哺乳動物の疾患を治療または予防するための薬剤の製造における、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物または請求項5に記載の医薬組成物の使用であって、
該治療または該予防が、mGluR2の正のアロステリック調節因子の神経調節作用によって影響を受けるかまたは容易となる、該化合物または該医薬組成物の使用。
【請求項8】
不安障害,精神病性障害,人格障害,物質関連障害,摂食障害,気分障害,片頭痛,てんかんまたは痙攣性疾患,小児期障害,認知障害,神経変性,神経毒性および虚血からなる群から選択される中枢神経系障害を治療または予防するための薬剤の製造における、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物または請求項5に記載の医薬組成物の使用。
【請求項9】
上記中枢神経系障害が、広場恐怖,全般性不安障害(GAD),強迫性障害(OCD),パニック障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD),社会恐怖症および他の恐怖症からなる群から選択される不安障害である請求項8に記載の使用。
【請求項10】
上記中枢神経系障害が、統合失調症,妄想性障害,統合失調性感情障害,統合失調症様障害および物質誘発性[substance-induced]精神病性障害からなる群から選択される精神病性障害である請求項8に記載の使用。
【請求項11】
上記中枢神経系障害が、強迫性人格障害および統合失調性(統合失調症性障害)からなる群から選択される人格障害である請求項8に記載の使用。
【請求項12】
上記中枢神経系障害が、アルコール乱用,アルコール依存,アルコール離脱,アルコール離脱せん妄,アルコールによる精神病性障害,アンフェタミン依存,アンフェタミン離脱,コカイン依存,コカイン離脱,ニコチン依存,ニコチン離脱,オピオイド依存およびオピオイド離脱からなる群から選択される物質関連障害である請求項8に記載の使用。
【請求項13】
上記中枢神経系障害が、神経性食欲不振症および神経性過食症からなる群から選択される摂食障害である請求項8に記載の使用。
【請求項14】
上記中枢神経系障害が、双極性障害(IおよびII),循環病,鬱病,気分変調性障害,大鬱病性障害および物質誘発性気分障害からなる群から選択される気分障害である請求項8に記載の使用。
【請求項15】
上記中枢神経系障害が、片頭痛である請求項8に記載の使用。
【請求項16】
上記中枢神経系障害が、全身性非痙攣性のてんかん,全身性痙攣性のてんかん,小発作てんかん重積状態,大発作てんかん重積状態,意識障害の有無にかかわらない部分てんかん,乳児痙攣,持続性部分てんかん[epilepsy partialis continua],および他の種類のてんかんからなる群から選択されるてんかんまたは痙攣性疾患である請求項8に記載の使用。
【請求項17】
上記小児期障害が、注意欠陥/多動性障害である請求項8に記載の使用。
【請求項18】
上記中枢神経系障害が、せん妄,物質誘発性の持続的せん妄,認知症,HIV疾病に起因する認知症,ハンチントン舞踏病に起因する認知症,パーキンソン病に起因する認知症,アルツハイマー型の認知症,物質誘発性の持続的認知症および軽度認識障害からなる群から選択される認知障害である請求項8に記載の使用。
【請求項19】
上記中枢神経系障害が、不安神経症,統合失調症,片頭痛,鬱病,およびてんかんからなる群から選択される請求項8に記載の使用。
【請求項20】
請求項7〜19のいずれかに記載の疾患を治療または予防するための薬剤の製造における、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物とmGluR2のオルト立体的[orthosteric]アゴニストとを組み合わせた使用。
【請求項21】
不安障害,精神病性障害,人格障害,物質関連障害,摂食障害,気分障害,片頭痛,てんかんまたは痙攣性疾患,小児期障害,認知障害,神経変性,神経毒性および虚血からなる群から選択される中枢神経系障害を治療または予防するのに使用される請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項22】
請求項1〜4のいずれかに記載の化合物を対象に投与することを含む方法であって、
不安障害,精神病性障害,人格障害,物質関連障害,摂食障害,気分障害,片頭痛,てんかんまたは痙攣性疾患,小児期障害,認知障害,神経変性,神経毒性および虚血からなる群から選択される中枢神経系障害を治療または予防する方法。

【公表番号】特表2010−539120(P2010−539120A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524404(P2010−524404)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【国際出願番号】PCT/EP2008/007550
【国際公開番号】WO2009/033703
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(508278538)オルソー−マクニール−ジャンセン ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド. (9)
【出願人】(507088783)アデックス ファーマ エス エー (14)
【Fターム(参考)】