説明

1,3,5−トリアジン化合物とその製造方法、及びそれらを構成成分とする有機電界発光素子

【課題】 有機電界発光素子の低電圧駆動及び高効率発光を可能にする1,3,5−トリアジン化合物と、それを電子輸送材とする有機電界発光素子を提供する。
【解決手段】
下記一般式(1)で表される1,3,5−トリアジン化合物。
【化1】


式中、Ar及びArは、炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表し、Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい含窒素複素環基を表す。この1,3,5−トリアジン化合物を構成成分として含む有機電界発光素子は、低電圧で駆動することができ、高い効率発光を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子の構成成分として有用な含窒素複素環基を含むターアリーレニル基を有する1,3,5−トリアジン化合物とその製造方法に関する。
【0002】
本発明の1,3,5−トリアジン化合物は、良好な電荷輸送特性を有することから有機電界発光素子の構成成分として有用である。
【0003】
本発明は、さらに、上記1,3,5−トリアジン化合物を含む少なくとも1つの層を有する駆動性及び耐久性に優れた有機電界発光素子に関する。
【背景技術】
【0004】
有機電界発光素子は、発光材料を含有する発光層を、正孔輸送層と電子輸送層で挟み、さらにその外側に陽極と陰極を取付け、発光層に注入された正孔及び電子の再結合により生ずる励起子が失活する際の光の放出(蛍光又は燐光)を利用する素子であり、ディスプレイ等へ応用されている。
【0005】
本発明の1,3,5−トリアジン化合物は、トリアジン環の2,4位に含窒素複素環基及び芳香族炭化水素基で置換されたフェニリル基を有することを特徴とすると共に、6位に芳香族炭化水素基を有することを特徴とする。
【0006】
最近、1,3,5−トリアジン誘導体を有機電界発光素子に用いることが提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)が、これらのトリアジン誘導体は、トリアジン環の2,4,6位に2,4−二置換フェニル基又は3,4−二置換フェニル基を有している点で、2,4位のみにターアリーレニル基を有する本発明の1,3,5−トリアジン化合物とは異なるものである。
【0007】
また、1,3,5−トリアジン誘導体を有機電界発光素子に用いることが提案されている(例えば、特許文献5、6参照)が、これらのトリアジン誘導体ではトリアジン環の2,4,6位のフェニル基上の置換基の位置は限定されておらず、そして、2,4位に複素環芳香族基を含むターアリーレニル基を有することを特徴とする本発明の1,3,5−トリアジン化合物は具体的に示されていない。
【0008】
また、有機電界発光素子に用いるトリアジン環に複素環芳香族基を含むターアリーレニル基を有するトリアジン誘導体の例(例えば、特許文献5参照)が提案されているが、提案されたトリアジン誘導体はトリアジン環の6位に芳香族基で置換された芳香族炭化水素基を有する構造を有し、6位に他の芳香族基に置換されていない芳香族炭化水素基を有する本発明の1,3,5−トリアジン化合物とは全く異なるものである。
【0009】
また、1,3,5−トリアジン誘導体を有機電界発光素子に用いることが提案されている(例えば、特許文献7参照)が、これらの1,3,5−トリアジン誘導体はトリアジン環の2,4位にクアテルアリール基を有する構造を有するものであって、2,4位にターアリール基を有する本発明の1,3,5−トリアジン化合物とは全く異なるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6057048号明細書
【特許文献2】米国特許第6229012号明細書
【特許文献3】米国特許第6225467号明細書
【特許文献4】特開2004−63465号公報
【特許文献5】特開2004−22334号公報
【特許文献6】特開2007−137829号公報
【特許文献7】特開2010−155826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
有機電界発光素子は様々な表示機器に利用されているが、電源供給に制限のある携帯機器への有機電界発光素子の利用に関しては、より消費電力を低減させることが求められている。
【0012】
特に電子輸送材料については、優れた電荷注入及び輸送特性により素子を低電圧で駆動させると共に、隣接する発光層からの励起子の漏洩を防ぎ発光効率を高めることにより、消費出力の低減を可能とする材料は、従来の化合物の中には見出すことができず、新たな材料が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、トリアジン環の2,4位のみに特定のターアリーレニル基を有する1,3,5−トリアジン化合物を電子輸送層として用いることによって、汎用の有機電界発光素子に比べて低電圧での駆動、及び発光効率の向上を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
かくして、本発明は、一面において、下記一般式(1)
【0015】
【化1】

(式中、Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい含窒素複素環基を表す。)で示される1,3,5−トリアジン化合物を提供する。
【0016】
本発明は、他の一面において、下記一般式(2)
【0017】
【化2】

(式中、Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Xは脱離基を表す。)で示される化合物と、下記一般式(3)
【0018】
【化3】

(式中、Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい含窒素複素環基を表す。Mは金属含有基又はヘテロ原子基を表す。)で示される化合物とを、塩基の存在下または非存在下、パラジウム触媒の存在下にカップリング反応させることを特徴とする、下記一般式(1)
【0019】
【化4】

(式中、Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい含窒素複素環基を表す。)で示される1,3,5−トリアジン化合物の製造方法を提供する。
【0020】
本発明は、さらに他の一面において、下記一般式(4)
【0021】
【化5】

(式中、Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表し、B(ORの2つのRは同一又は異なっていてもよい。又、2つのRは一体となって酸素原子及びホウ素原子を含んで環を形成することもできる。)で示される化合物と、下記一般式(5)
【0022】
【化6】

(式中、Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい含窒素複素環基を表す。Xは脱離基を表す。)で示される化合物とを、塩基及びパラジウム触媒の存在下にカップリング反応させることを特徴とする、下記一般式(1)
【0023】
【化7】

(式中、Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい含窒素複素環基を表す。)で示される1,3,5−トリアジン化合物の製造方法を提供する。
【0024】
さらに、本発明は、さらに他の一面において、下記一般式(1)
【0025】
【化8】

(式中、Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい含窒素複素環基を表す。)で示される1,3,5−トリアジン化合物を構成成分として含む有機電界発光素子を提供する。
【発明の効果】
【0026】
一般式(1)で表される本発明の1,3,5−トリアジン化合物(以下、「1,3,5−トリアジン化合物(1)」ということがある)から成る薄膜は、高い表面平滑性、アモルファス性、耐熱性、電子輸送能、正孔ブロック能、酸化還元耐性、耐水性、耐酸素性、電子注入特性等を有するため、有機電界発光素子の材料として有用であり、とりわけ電子輸送材、正孔ブロック材、発光ホスト材等として用いることができる。
【0027】
1,3,5−トリアジン化合物(1)を含む薄膜は、低電圧で駆動可能であり、高い発光効率を示し、ひいては消費電力が低く、長寿命であるという特性を有する有機電解発光素子を与える。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の有機電界発光素子の層構成の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の有機電界発光素子の層構成の他の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0029】
1.ITO透明電極付きガラス基板
2.正孔注入層
3.正孔輸送層
4.発光層
5.正孔阻止層
6.電子輸送層
7.陰極層
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0031】
1,3,5−トリアジン化合物(1)を表す一般式(1)において、Arで表される芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ペリレニル基又はトリフェニレニル基等の単環式炭化水素基及び縮合多環式炭化水素基を挙げることができ、これらの基は炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい。炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基等を挙げることができ、これらのアルキル基は直鎖、分岐又は環状のいずれでもよく、さらにハロゲン原子等で一個以上置換されていてもよい。Arには、環集合芳香族炭化水素基、例えば、ビフェニリル基のような、アリール置換基を有するアリール基は含まれない。
【0032】
合成容易であり有機電界発光素子用材料としての性能がよい点で、Arは炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基又は炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいナフチル基が好ましい。ことさら無置換のフェニル基が特に好ましい。
【0033】
以下、Arで表される芳香族炭化水素基の具体的な例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0034】
炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよいフェニル基としては、フェニル基のほか、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、メシチル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2,4−ジエチルフェニル基、3,5−ジエチルフェニル基、2−プロピルフェニル基、3−プロピルフェニル基、4−プロピルフェニル基、2,4−ジプロピルフェニル基、3,5−ジプロピルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、2,4−ジイソプロピルフェニル基、3,5−ジイソプロピルフェニル基、2−ブチルフェニル基、3−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、2,4−ジブチルフェニル基、3,5−ジブチルフェニル基、2−tert−ブチルフェニル基、3−tert−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2,3,4−トリフルオロフェニル基、2,3,5−トリフルオロフェニル基、2,3,6−トリフルオロフェニル基、2,4,5−トリフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、2,3,4,5−テトラフルオロフェニル基、2,3,4,6−テトラフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。
【0035】
上記の置換されていてもよいフェニル基の中でも、有機電界発光素子用材料としての性能がよい点で、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基、2,6−ジメチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基が好ましい。合成が容易な点でフェニル基がさらに好ましい。
【0036】
炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいナフチル基としては、1−ナフチル基、2−ナフチル基のほか、4−メチルナフタレン−1−イル基、4−トリフルオロメチルナフタレン−1−イル基、4−エチルナフタレン−1−イル基、4−プロピルナフタレン−1−イル基、4−ブチルナフタレン−1−イル基、4−tert−ブチルナフタレン−1−イル基、5−メチルナフタレン−1−イル基、5−トリフルオロメチルナフタレン−1−イル基、5−エチルナフタレン−1−イル基、5−プロピルナフタレン−1−イル基、5−ブチルナフタレン−1−イル基、5−tert−ブチルナフタレン−1−イル基、6−メチルナフタレン−2−イル基、6−トリフルオロメチルナフタレン−2−イル基、6−エチルナフタレン−2−イル基、6−プロピルナフタレン−2−イル基、6−ブチルナフタレン−2−イル基、6−tert−ブチルナフタレン−2−イル基、7−メチルナフタレン−2−イル基、7−トリフルオロメチルナフタレン−2−イル基、7−エチルナフタレン−2−イル基、7−プロピルナフタレン−2−イル基、7−ブチルナフタレン−2−イル基、7−tert−ブチルナフタレン−2−イル基等が挙げられる。
【0037】
上記の置換されていてもよいナフチル基の中でも、有機電界発光素子用材料としての性能がよい点で、1−ナフチル基、4−メチルナフタレン−1−イル基、4−tert−ブチルナフタレン−1−イル基、5−メチルナフタレン−1−イル基、5−tert−ブチルナフタレン−1−イル基、2−ナフチル基、6−メチルナフタレン−2−イル基、6−tert−ブチルナフタレン−2−イル基、7−メチルナフタレン−2−イル基又は7−tert−ブチルナフタレン−2−イル基が好ましい。
【0038】
炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいアントリル基、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェナントリル基、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいペリレニル基及び炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいトリフェニレニル基の例としては、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、9−フェナントリル基、1−ペリレニル基、2−ペリレニル基および1−トリフェニレニル基等を挙げることができる。
【0039】
Arで表される芳香族炭化水素基としては、前述のArで表される芳香族炭化水素基と同様のものを挙げることができ、これらの基は炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい。合成容易であり有機電界発光素子用材料としての性能がよい点で、Arは炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基又は炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいナフチル基が好ましく、ことさら無置換のフェニル基がより好ましい。
【0040】
なお、本発明の1,3,5−トリアジン化合物(1)は、トリアジンにターアリーレニル基が結合していることを特徴としており、Ar及びArはビフェニリル基等のアリール基で置換されたアリール基を含まない。
【0041】
Arで表される含窒素複素環基としては、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、キノリル基、イソキノリル基、アクリジル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キナゾリル基、キノキサリル基、ナフチリジル基、インドリジル基又はアザインドリジル基を挙げることができ、これらの基は炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい。本発明の1,3,5−トリアジン化合物(1)はトリアジンにターアリーレニル基が結合していることを特徴としており、Arは、アリール基で置換された含窒素複素環基、例えば、フェニルピリジル基を含まない。また、Arは、ビピリジル基のような環集合含窒素複素環基を含まない。
【0042】
Arは無置換又はメチル基もしくはフッ素で置換されたものが好ましい。合成容易であり、有機電界発光素子用材料としての性能がよい点で、ピリジル基、キノリル基、ピリミジル基、ピラジル基、イソキノリル基、アクリジル基、チアゾリル基又はベンゾチアゾリル基がさらに好ましく、これらは無置換又はメチル基もしくはフッ素で置換されていてもよい。
【0043】
以下、Arの具体的な例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよいピリジル基としては、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基のほか、3−メチル−2−ピリジル基、4−メチル−2−ピリジル基、5−メチル−2−ピリジル基、6−メチル−2−ピリジル基、2−メチル−3−ピリジル基、4−メチル−3−ピリジル基、5−メチル−3−ピリジル基、6−メチル−3−ピリジル基、2−メチル−4−ピリジル基、3−メチル−4−ピリジル基、3,4−ジメチル−2−ピリジル基、3,5−ジメチル−2−ピリジル基、3,6−ジメチル−2−ピリジル基、2,4−ジメチル−3−ピリジル基、2,5−ジメチル−3−ピリジル基、2,6−ジメチル−3−ピリジル基、4,5−ジメチル−3−ピリジル基、4,6−ジメチル−3−ピリジル基、5,6−ジメチル−3−ピリジル基、2,3−ジメチル−4−ピリジル基、2,5−ジメチル−4−ピリジル基、2,6−ジメチル−4−ピリジル基、3,5−ジメチル−4−ピリジル基、3,6−ジメチル−4−ピリジル基、3−フルオロ−2−ピリジル基、4−フルオロ−2−ピリジル基、5−フルオロ−2−ピリジル基、6−フルオロ−2−ピリジル基、2−フルオロ−3−ピリジル基、4−フルオロ−3−ピリジル基、5−フルオロ−3−ピリジル基、6−フルオロ−3−ピリジル基、2−フルオロ−4−ピリジル基、3−フルオロ−4−ピリジル基、3,4−ジフルオロ−2−ピリジル基、3,5−ジフルオロ−2−ピリジル基、3,6−ジフルオロ−2−ピリジル基、2,4−ジフルオロ−3−ピリジル基、2,5−ジフルオロ−3−ピリジル基、2,6−ジフルオロ−3−ピリジル基、4,5−ジフルオロ−3−ピリジル基、4,6−ジフルオロ−3−ピリジル基、5,6−ジフルオロ−3−ピリジル基、2,3−ジフルオロ−4−ピリジル基、2,5−ジフルオロ−4−ピリジル基、2,6−ジフルオロ−4−ピリジル基、3,5−ジフルオロ−4−ピリジル基、3,6−ジフルオロ−4−ピリジル基、3,4,5−トリフルオロ−2−ピリジル基、3,4,6−トリフルオロ−2−ピリジル基、3,5,6−トリフルオロ−2−ピリジル基、4,5,6−トリフルオロ−2−ピリジル基、テトラフルオロ−2−ピリジル基、2,4,5−トリフルオロ−3−ピリジル基、2,4,6−トリフルオロ−3−ピリジル基、2,5,6−トリフルオロ−3−ピリジル基、4,5,6−トリフルオロ−3−ピリジル基、テトラフルオロ−3−ピリジル基、2,3,5−トリフルオロ−4−ピリジル基、2,3,6−トリフルオロ−4−ピリジル基、テトラフルオロ−4−ピリジル基等を挙げることができる。
【0045】
炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよいピリミジル基としては、2−ピリミジル基、4−ピリミジル基、5−ピリミジル基、4−メチル−2−ピリミジル基、5−メチル−2−ピリミジル基、2−メチル−4−ピリミジル基、5−メチル−4−ピリミジル基、6−メチル−4−ピリミジル基、2−メチル−5−ピリミジル基、4−メチル−5−ピリミジル基等をあげることができる。
【0046】
炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよいピラジル基としては、ピラジル基、2−メチルピラジル基、4−メチルピラジル基、5−メチルピラジル基、2−フルオロピラジル基、4−フルオロピラジル基、5−フルオロピラジル基等を挙げることができる。
【0047】
炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよいキノリル基としては、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、3−メチル−2−キノリル基、4−メチル−2−キノリル基、5−メチル−2−キノリル基、6−メチル−2−キノリル基、7−メチル−2−キノリル基、8−メチル−2−キノリル基、2−メチル−3−キノリル基、4−メチル−3−キノリル基、5−メチル−3−キノリル基、6−メチル−3−キノリル基、7−メチル−3−キノリル基、8−メチル−3−キノリル基、2−メチル−4−キノリル基、3−メチル−4−キノリル基、5−メチル−4−キノリル基、6−メチル−4−キノリル基、7−メチル−4−キノリル基、8−メチル−4−キノリル基、2−メチル−5−キノリル基、3−メチル−5−キノリル基、4−メチル−5−キノリル基、6−メチル−5−キノリル基、7−メチル−5−キノリル基、8−メチル−5−キノリル基、2−メチル−6−キノリル基、3−メチル−6−キノリル基、4−メチル−6−キノリル基、5−メチル−6−キノリル基、7−メチル−6−キノリル基、8−メチル−6−キノリル基、2−メチル−7−キノリル基、3−メチル−7−キノリル基、4−メチル−7−キノリル基、5−メチル−7−キノリル基、6−メチル−7−キノリル基、8−メチル−7−キノリル基、2−メチル−8−キノリル基、3−メチル−8−キノリル基、4−メチル−8−キノリル基、5−メチル−8−キノリル基、6−メチル−8−キノリル基、7−メチル−8−キノリル基、3−フルオロ−2−キノリル基、4−フルオロ−2−キノリル基、5−フルオロ−2−キノリル基、6−フルオロ−2−キノリル基、7−フルオロ−2−キノリル基、8−フルオロ−2−キノリル基、2−フルオロ−3−キノリル基、4−フルオロ−3−キノリル基、5−フルオロ−3−キノリル基、6−フルオロ−3−キノリル基、7−フルオロ−3−キノリル基、8−フルオロ−3−キノリル基、2−フルオロ−4−キノリル基、3−フルオロ−4−キノリル基、5−フルオロ−4−キノリル基、6−フルオロ−4−キノリル基、7−フルオロ−4−キノリル基、8−フルオロ−4−キノリル基などを挙げることができる。
【0048】
炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよいイソキノリル基としては、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、3−メチル−1−イソキノリル基、4−メチル−1−イソキノリル基、5−メチル−1−イソキノリル基、6−メチル−1−イソキノリル基、7−メチル−1−イソキノリル基、8−メチル−1−イソキノリル基、1−メチル−3−イソキノリル基、4−メチル−3−イソキノリル基、5−メチル−3−イソキノリル基、6−メチル−3−イソキノリル基、7−メチル−3−イソキノリル基、8−メチル−3−イソキノリル基、1−メチル−4−イソキノリル基、3−メチル−4−イソキノリル基、5−メチル−4−イソキノリル基、6−メチル−4−イソキノリル基、7−メチル−4−イソキノリル基、8−メチル−4−イソキノリル基、3−フルオロ−1−イソキノリル基、4−フルオロ−1−イソキノリル基、5−フルオロ−1−イソキノリル基、6−フルオロ−1−イソキノリル基、7−フルオロ−1−イソキノリル基、8−フルオロ−1−イソキノリル基、1−フルオロ−3−イソキノリル基、4−フルオロ−3−イソキノリル基、5−フルオロ−3−イソキノリル基、6−フルオロ−3−イソキノリル基、7−フルオロ−3−イソキノリル基、8−フルオロ−3−イソキノリル基、1−フルオロ−4−イソキノリル基、3−フルオロ−4−イソキノリル基、5−フルオロ−4−イソキノリル基、6−フルオロ−4−イソキノリル基、7−フルオロ−4−イソキノリル基、8−フルオロ−4−イソキノリル基等を挙げることができる。
【0049】
炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよいチアゾリル基としては、2−チアゾリル基、4−チアゾリル基、5−チアゾリル基等を挙げることができる。
【0050】
炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよいベンゾチアゾリル基としては、2−ベンゾチアゾリル基、4−ベンゾチアゾリル基、5−ベンゾチアゾリル基、6−ベンゾチアゾリル基、7−ベンゾチアゾリル基等を挙げることができる。
【0051】
また、炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよいアクリジル基、炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよいナフチリジル基、炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよいキナゾリル基、炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよいキノキサリル基、炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよいインドリジル基及び炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよいアザインドリジル基の具体例としては、9−アクリジル基、1,6−ナフチリジン−2−イル基、1,8−ナフチリジン−2−イル基、2−キナゾリル基、4−キナゾリル基、2−キノキサリル基、2−インドリジル基、イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル基等を挙げることができる。
【0052】
1,3,5−トリアジン化合物(1)中の任意の水素原子は重水素原子に置換されてもよい。
【0053】
次に、本発明の1,3,5−トリアジン化合物(1)の製造方法について説明する。
【0054】
1,3,5−トリアジン化合物(1)は、次の反応式で示される工程1を含む方法により製造することができる。
【0055】
【化9】

一般式(1)、(2)及び(3)において、Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい含窒素複素環基を表す。Ar、ArおよびArの具体例は、前述のとおりである。
【0056】
は脱離基を表す。Xで表される脱離基としては、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられる。反応収率がよい点で、臭素原子又は塩素原子が好ましい。
【0057】
Mは金属含有基又はヘテロ原子基を表す。その具体例は、後記の化合物(3)について説明する。
【0058】
一般式(2)で示される化合物(以下、「化合物(2)」と称することがある)は、例えば、後記の参考例−1に示す方法を用いて製造することができる。化合物(2)中の任意の水素原子は重水素原子に置換されていてもよい。
【0059】
一般式(3)で示される化合物(以下、「化合物(3)」と称することがある)は、例えば、J.Tsuji著、「Palladium Reagents and Catalysts」,John Wiley & Sons,2004年、Journal of Organic Chemistry,60巻,7508−7510,1995年、Journal of Organic Chemistry,65巻,164−168,2000年、Organic Letters,10巻,941−944,2008年、又はChemistry of Materials,20巻,5951−5953,2008年に開示されている方法を用いて製造することができる。化合物(3)中の任意の水素原子は重水素原子に置換されていてもよい。
【0060】
化合物(3)の好ましい例として、次の3−1〜3−24(式中、Mは金属含有基又はヘテロ原子基を表す。)を挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0061】
【化10】

Mで表される金属含有基としては、Li、Na、MgCl、MgBr、MgI、CuCl、CuBr、CuI、AlCl、AlBr、Al(Me)、Al(Et)、Al(Bu)、Sn(Me)、Sn(Bu)、SnF、ZnR(式中、Rは、ハロゲン原子を表す。)等が例示でき、ZnRとしては、ZnCl、ZnBr、ZnI等が例示できる。収率が良い点で、金属含有基としては、ZnClが好ましく、テトラメチルエチレンジアミンが配位しているZnCl(TMEDA)がより好ましい。また、これらの金属含有基には、エーテル類やアミン類などの配位子が配位していても良く、配位子の種類としては工程1を阻害しないものであれば制限はない。
【0062】
Mで表されるヘテロ原子基としては、SiMe、SiPh、SiF、B(OR等が例示できる。式B(ORにおいて、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表し、B(ORの2つのRは同一又は異なっていてもよい。また、2つのRは一体となって酸素原子及びホウ素原子を含んで環を形成することもできる。B(ORの具体例としては、B(OH)、B(OMe)、B(OPr)、B(OBu)、B(OPh)等が例示できる。2つのRが一体となって酸素原子及びホウ素原子を含んで環を形成した場合のB(ORとしては、次の(I)から(VI)で示される基が例示できる。これらの中でも、収率がよい点で(II)で示される基が好ましい。
【0063】
【化11】

「工程1」は、化合物(2)を、塩基の存在下又は非存在下、パラジウム触媒の存在下に化合物(3)と反応させ、本発明の1,3,5−トリアジン化合物(1)を製造する方法であり、鈴木−宮浦反応、根岸反応、玉尾−熊田反応、スティレ反応等の、一般的なカップリング反応の反応条件を適用することにより、収率よく目的物を得ることができる。
【0064】
「工程1」で用いることのできるパラジウム触媒としては、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、硝酸パラジウム等の塩を例示することができる。さらに、π−アリルパラジウムクロリドダイマー、パラジウムアセチルアセトナト、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム及びジクロロ(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム等の錯化合物を例示することができる。中でも、第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体は収率がよい点で好ましく、入手容易である点で、トリフェニルホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体がさらに好ましい。
【0065】
「工程1」で用いるパラジウム触媒の量は、いわゆる触媒量であれば特に制限はないが、収率がよい点で、パラジウム触媒と化合物(2)とのモル比は、1:50〜1:10が好ましい。
【0066】
なお、これらの第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体は、パラジウム塩又は錯化合物に第三級ホスフィンを添加し、反応系中で調製することもできる。パラジウム塩又は錯化合物に添加できる第三級ホスフィンとしては、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、tert−ブチルジフェニルホスフィン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン、2−(ジフェニルホスフィノ)−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリ(2−フリル)ホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリス(2,5−キシリル)ホスフィン、(±)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル等を例示することができる。入手容易であり、収率がよい点で、トリフェニルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン又は2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニルが好ましい。第三級ホスフィンとパラジウム塩又は錯化合物とのモル比は、1:10〜10:1が好ましく、収率がよい点で1:4〜5:1がさらに好ましい。
【0067】
「工程1」において、MがB(ORである化合物(3)を用いた鈴木−宮浦反応による場合には、収率がよい点で塩基の存在下に反応を実施することが好ましい。この際、用いることのできる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等を例示することができ、収率がよい点で炭酸セシウム又は水酸化ナトリウムが好ましい。塩基と化合物(3)とのモル比に特に制限はないが、1:2〜10:1が好ましく、収率がよい点で1:1〜3:1がさらに好ましい。
【0068】
「工程1」で用いる化合物(2)と化合物(3)とのモル比に特に制限はないが、1:1〜5:1が好ましく、収率がよい点で2:1〜3:1がさらに好ましい。
【0069】
「工程1」の反応は、収率が良い点で溶媒中で実施することが好ましい。「工程1」で用いることのできる溶媒に特に制限はないが、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、エタノール、ブタノール又はキシレン等を例示することができ、これらを適宜組み合わせて用いてもよい。収率がよい点でテトラヒドロフラン又はエタノール及びテトラヒドロフランの混合溶媒又は1,4−ジオキサン及びブタノールの混合溶媒を用いることが好ましい。
【0070】
化合物(1)は、「工程1」の終了後に通常の処理を行うことで取得することができる。必要に応じて、再結晶、カラムクロマトグラフィー又は昇華等で精製してもよい。
【0071】
別法として、本発明の1,3,5−トリアジン化合物(1)は、次の反応式で示される工程2を含む工程によっても製造することができる。
【0072】
【化12】

一般式(1)、(4)及び(5)において、Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい含窒素複素環基を表す。Ar、ArおよびArの具体例は、前述の通りである。
【0073】
は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表し、B(ORの2つのRは同一又は異なっていてもよい。又、2つのRは一体となって酸素原子及びホウ素原子を含んで環を形成することもできる。B(ORの具体例としては、化合物(3)について挙げたものと同様なものが挙げられる。
【0074】
は脱離基を表す。Xで表される脱離基としては、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を例示することができる。収率がよい点で、臭素原子が好ましい。
【0075】
一般式(4)で示される化合物(以下、「化合物(4)」と称することがある)は、例えば、後記の参考例−2に示した方法に準じて製造することができる。また化合物(4)中の任意の水素原子は重水素原子に置換されていてもよい。
【0076】
一般式(5)で示される化合物(以下、「化合物(5)」と称することがある)は、例えば、J.Org.Chem.48巻,1064−1069,1983年に開示されている方法を用いて製造することができる。また化合物(5)中の任意の水素原子は重水素原子に置換されていてもよい。
【0077】
化合物(5)の好ましい例として、次の5−1〜5−24(式中、Xは脱離基を表す。)を例示することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0078】
【化13】

「工程2」は化合物(4)を、パラジウム触媒及び塩基の存在下に化合物(5)と反応させて、1,3,5−トリアジン化合物(1)を得る方法である。一般的な鈴木−宮浦反応の反応条件を適用することにより、収率よく目的物を得ることができる。
【0079】
「工程2」で用いることのできるパラジウム触媒としては、「工程1」で例示したパラジウム塩及び錯化合物を例示することができる。中でも、第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体は収率がよい点で好ましく、入手容易であり、収率がよい点で、トリフェニルホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体が特に好ましい。「工程2」で用いるパラジウム触媒の量は、いわゆる触媒量であれば特に制限はないが、収率がよい点で、パラジウム触媒と化合物(4)とのモル比は、1:100〜1:10が好ましい。
【0080】
なお、第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体は、パラジウム塩又は錯化合物に第三級ホスフィンを添加し、反応系中で調製することもできる。パラジウム塩又は錯化合物に添加できる第三級ホスフィンとしては、「工程1」で例示した第三級ホスフィンを例示することができる。中でも入手容易であり、収率がよい点で、トリフェニルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、ビス(ジフェニルホスフィノ)ビナフチル又は2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニルが好ましい。第三級ホスフィンとパラジウム塩又は錯化合物とのモル比は、1:10〜10:1が好ましく、収率がよい点で1:2〜5:1がさらに好ましい。
【0081】
「工程2」は塩基の存在下に実施することが必須である。「工程2」で用いることのできる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等を例示することができ、収率がよい点で炭酸ナトリウム、リン酸カリウムが望ましい。塩基と化合物(4)とのモル比に特に制限はないが、1:2〜10:1が好ましく、収率がよい点で3:1〜3:1がさらに好ましい。
【0082】
「工程2」の反応は、収率が良い点で溶媒中で実施することが好ましい。「工程2」で用いることのできる溶媒に特に制限はないが、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル、エタノール、メタノール、ブタノール、1,4−ジオキサン又はキシレン等が例示でき、これらを適宜組み合わせて用いてもよい。収率がよい点でトルエン及び水の混合溶媒又は1,4−ジオキサン及び水の混合溶媒を用いることが望ましい。
【0083】
1,3,5−トリアジン化合物(1)は、「工程2」の終了後に通常の処理をすることで取得することが出来る。必要に応じて、再結晶、カラムクロマトグラフィー又は昇華等で精製してもよい。
【0084】
1,3,5−トリアジン化合物(1)を製造する「工程2」の原料である化合物(4)は、例えば、次の反応式で示した工程3を含む方法により製造することができる。
【0085】
【化14】

一般式(2)、(4)、(6)及び(7)において、Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい含窒素複素環基を表す。Xは脱離基を表す。Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表し、B(ORの2つのRは同一又は異なっていてもよい。又、2つのRは一体となって酸素原子及びホウ素原子を含んで環を形成することもできる。
「工程3」は、化合物(2)を塩基及びパラジウム触媒の存在下に、一般式(6)で示されるボラン化合物、又は一般式(7)で示されるジボロン化合物と反応させることにより、「工程2」で用いる化合物(4)を製造する工程である。この工程では、例えば、The Journal of Organic Chemistry,60巻,7508−7510,1995年又はJournal of Organic Chemistry,65巻,164−168,2000年に開示されている反応条件を適用することにより、収率よく目的物を得ることができる。
【0086】
「工程3」で用いることのできるパラジウム触媒としては、「工程1」で例示したパラジウム塩又は錯化合物と同様のものを例示することができる。中でも、第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体は収率がよい点で好ましく、入手容易であり、収率がよい点で、トリフェニルホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体が特に好ましい。「工程3」で用いるパラジウム触媒の量は、いわゆる触媒量であれば特に制限はないが、収率がよい点で、パラジウム触媒と化合物(2)とのモル比は、1:50〜1:10が好ましい。
【0087】
なお、第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体は、パラジウム塩又は錯化合物に第三級ホスフィンを添加し、反応系中で調製することもできる。パラジウム塩又は錯化合物に添加できる第三級ホスフィンとしては、「工程1」で例示した第三級ホスフィンを例示することができる。中でも入手容易である点で、トリフェニルホスフィンが好ましい。第三級ホスフィンとパラジウム塩又は錯化合物とのモル比は、1:10〜10:1が好ましく、収率がよい点で1:2〜5:1がさらに好ましい。
【0088】
「工程3」の反応は塩基の存在下に実施することが必須である。「工程3」で用いることのできる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等を例示することができ、収率がよい点で酢酸カリウムが望ましい。塩基と化合物(2)とのモル比に特に制限はないが、1:2〜10:1が好ましく、収率がよい点で1:1〜3:1がさらに好ましい。
【0089】
「工程3」で用いるボラン化合物(6)又はジボロン化合物(7)と化合物(2)とのモル比に特に制限はないが、1:1〜5:1が好ましく、収率がよい点で2:1〜3:1がさらに好ましい。
【0090】
「工程3」の反応は溶媒中で実施してもよい。「工程3」で用いることのできる溶媒に特に制限はないが、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、エタノール、メタノール又はキシレン等が例示でき、これらを適宜組み合わせて用いてもよい。収率がよい点でテトラヒドロフラン、トルエン又は1,4−ジオキサンを用いることが望ましい。
【0091】
本工程で得られた化合物(4)は、反応後単離してもよいが、単離せずに「工程2」に供してもよい。
【0092】
本発明の1,3,5−トリアジン化合物(1)は、有機電界発光素子の多層構造を形成する薄膜の少なくとも1つを製造するのに用いられる。薄膜の製造方法に特に限定はないが、好ましい例としては真空蒸着法による成膜を挙げることができる。真空蒸着法による成膜は、汎用の真空蒸着装置を用いることにより行うことができる。真空蒸着法で膜を形成する際の真空槽の真空度は、有機電界発光素子作製の製造タクトタイムが短く製造コストが優位である点で、一般的に用いられる拡散ポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオポンプ等により到達し得る1×10−2〜1×10−6Pa程度が好ましい。蒸着速度は形成する膜の厚さによるが0.005〜10nm/秒が好ましい。
【0093】
別法として、溶液塗布法によっても1,3,5−トリアジン化合物(1)から成る有機電界発光素子用薄膜を製造することが出来る。例えば、1,3,5−トリアジン化合物(1)を、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、トルエン、酢酸エチル又はテトラヒドロフラン等の有機溶媒に溶解し、汎用の装置を用いたスピンコート法、インクジェット法、キャスト法又はディップ法等による成膜が可能である。
【実施例】
【0094】
以下、実施例及び参考例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0095】
参考例−1
【0096】
【化15】

アルゴン気流下、3−ブロモ−5−シアノビフェニル(2.0g)、ベンゾイルクロリド(0.45mL)をクロロホルム(10mL)に溶解し、0度に冷却した。五塩化アンチモン(0.49mL)を滴下し、この混合物を加熱還流下に昇温し、20時間加熱した。室温まで冷却後、アンモニア水(40mL)に混合物を加え、固形物をろ過した。固形物をクロロホルムで熱時ろ過後、得られた溶液を濃縮し目的の2,4−ビス(5−ブロモビフェニル−3−イル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジンの白色固体(収量1.7g,収率70%)を得た。
【0097】
H−NMR(CDCl):δ7.48−7.66(m,9H),7.75(d,J=7.0Hz,4H),8.01(s,2H),8.80(d,J=8.0Hz,2H),8.87(s,2H),8.93(s,2H).
参考例−2
【0098】
【化16】

アルゴン気流下、2,4−ビス(5−ブロモビフェニル−3−イル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(3.00g)、ビスピナコラートジボロン(2.70g)、酢酸カリウム(2.09g)、ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム(136mg)をテトラヒドロフラン(100mL)に懸濁し、21時間還流した。室温まで冷却後、減圧下で低沸点成分を除去し、得られた固体にクロロホルム(100mL)を加え、有機層を水(100mL)で洗浄した後に、硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。硫酸マグネシウムをろ別し、クロロホルムを減圧留去し得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒 クロロホルム)で精製し、2−フェニル−4,6−ビス[5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ビフェニル−3−イル]−1,3,5−トリアジンの黄色固体(収量2.77g,収率80%)を得た。
【0099】
H−NMR(CDCl):δ1.49(s,24H),7.33(tt,J=7.3,1.4Hz,2H),7.44(t,J=7.3Hz,4H),7.51−7.57(m,3H),7.74(brdd,J=7.3,1.4Hz,4H),8.23(dd,J=1.8,1.2Hz,2H),8.77(brdd,J=7.3,1.4Hz,2H),9.06(t,J=1.8Hz,2H),9.11(brdd,J=1.8,1.2Hz,2H).
実施例−1
【0100】
【化17】

アルゴン気流下、1.58M−tert−ブチルリチウムペンタン溶液(11mL)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、−78℃に冷却した。ここに2−ブロモピリジン(0.86mL)を滴下し、この混合物を0.5時間攪拌した後、ジクロロ(テトラメチルエチレンジアミン)亜鉛(5.00g)を加え、室温まで昇温した後さらに1時間攪拌した。この混合物に2,4−ビス(5−ブロモビフェニル−3−イル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(1.90g)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(69mg)をテトラヒドロフラン(20mL)に懸濁したものを加え、加熱還流下で72時間攪拌した。混合物を室温まで冷却後、メタノール(50mL)を加え、粗生成物をろ取した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒/クロロホルム:ヘキサン=4:1〜1:1)及び再結晶(トルエン)により精製し、目的の2−フェニル−4,6−ビス[5−(2−ピリジル)ビフェニル−3−イル]−1,3,5−トリアジンの白色固体(収量1.30g,収率69%)を得た。
【0101】
H−NMR(CDCl):δ7.32−7.38(m,2H),7.42−7.48(m,3H),7.84−7.91(m,6H),8.00(d,J=8.0Hz,2H),8.57(t,J=1.8Hz,2H),8.81(d,J=4.8Hz,2H),8.85(dd,J=1.8,8.0Hz,2H),9.10(t,J=1.8Hz,2H),9.34(t,J=1.8Hz,2H).
実施例−2
【0102】
【化18】

アルゴン気流下、3−ピリジルボロン酸(1.12g)、2,4−ビス(5−ブロモビフェニル−3−イル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(2.17g)、4M−水酸化ナトリウム水溶液(3.5mL)、酢酸パラジウム(16mg)、1M−トリ−tert−ブチルホスフィントルエン溶液(0.21mL)をテトラヒドロフラン(40mL)及びエタノール(20mL)の混合溶媒に懸濁し、15時間還流した。反応混合物を放冷後、低沸点分を減圧留去し、析出した固体を水、メタノール、ヘキサンで洗浄した。その後、o−キシレン中で再結晶を行い、目的の2−フェニル−4,6−ビス[5−(3−ピリジル)ビフェニル−3−イル]−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量600mg,収率28%)を得た。
【0103】
H−NMR(CDCl):δ7.49(t,J=7.4Hz,2H),7.53−7.71(m,9H),8.14(d,J=7.0Hz,4H),8.05(s,2H),8.16(d,J=7.9Hz,2H),8.73(d,J=4.9Hz,2H),8.82(d,J=8.3,2H),8.97(s,2H),9.06(s,2H),9.09(s,2H).
実施例−3
【0104】
【化19】

アルゴン気流下、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン(267mg)、2,4−ビス(5−ブロモビフェニル−3−イル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(310mg)、炭酸セシウム(847mg)及び二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(11mg)をテトラヒドロフラン(10mL)、エタノール(2mL)及び水(2mL)の混合溶媒に懸濁し、120時間還流した。反応混合物を放冷後、低沸点分を減圧留去し、メタノールを加えた。析出した固体をろ別し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:クロロホルム=2:1〜1:5)で精製し、目的の2−フェニル−4,6−ビス[5−(4−ピリジル)ビフェニル−3−イル]−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量49mg,収率16%)を得た。
【0105】
H−NMR(CDCl):δ7.47−7.56(m,13H),7.65(d,J=6.8Hz,4H),7.88(s,2H),8.60(d,J=7.6Hz,2H),8.70(m,4H),8.77(s,2H),8.85(s,2H).
実施例−4
【0106】
【化20】

アルゴン気流下、2−フェニル−4,6−ビス[5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ビフェニル−3−イル]−1,3,5−トリアジン(1.31g)、2−ブロモピリミジン(760mg)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(170mg)を2M−炭酸ナトリウム水溶液(20mL)及びトルエン(100mL)の混合溶液に懸濁し、25時間還流した。反応混合物を放冷後、低沸点成分を減圧留去し、水を加えた。析出した固体をろ別し、水、メタノール、ヘキサンで洗浄後、o−キシレンから再結晶を行い、目的の2−フェニル−4,6−ビス[5−(2−ピリミジニル)ビフェニル−3−イル]−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量898mg,収率79%)を得た。
【0107】
H−NMR(CDCl):δ7.32(t,J=4.9Hz,2H),7.48(t,J=7.4Hz,2H),7.59(t,J=7.4Hz,4H),7.64−7.67(m,3H),7.93(d,J=8.4Hz,4H),8.93(d,J=6.9Hz,2H),8.96(d,J=4.8Hz,4H),9.01(s,2H),9.23(s,2H),9.88(s,2H).
実施例−5
【0108】
【化21】

アルゴン気流下、2,4−ビス[5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ビフェニル−3−イル]−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(1.60g)、クロロピラジン(670mg)、トリス(ジベンジリデナセトン)ジパラジウム(41mg)及び2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(85mg)を、2M−炭酸ナトリウム水溶液(5.8mL)及びトルエン(29mL)の混合溶液に懸濁し、90時間還流した。反応混合物を放冷後、低沸点成分を減圧留去し、水を加えた。析出した固体をろ別し、水、メタノール及びヘキサンで洗浄後、熱o−キシレンに溶解し、不溶物をろ別した。o−キシレンを減圧留去した後、冷却し生じた固体をろ別することで目的の2−フェニル−4,6−ビス[5−(2−ピラジニル)ビフェニル−3−イル]−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量960mg,収率70%)を得た。
【0109】
H−NMR(CDCl):δ7.49(t,J=7.4Hz,2H),7.59(t,J=7.3Hz,4H),7.63−7.70(m,3H),7.87(d,J=7.1Hz,4H),8.58(s,2H),8.65(s,2H),8.78(s,2H),8.87(d、J=6.4Hz,2H),9.163(s,2H),9.32(s、2H),9.42(s,2H).
実施例−6
【0110】
【化22】

アルゴン気流下、6−ブロモ−3−ピコリン(157mg)、2,4−ビス[5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ビフェニル−3−イル]−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(250mg)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(23mg)を、2M−炭酸ナトリウム水溶液(2mL)及びトルエン(8mL)の混合溶液に懸濁し、90時間還流した。反応混合物を放冷後、低沸点成分を減圧留去し、水を加えた。析出した固体をろ別し、水、メタノール及びヘキサンで洗浄し、目的の2,4−ビス[5−(3−メチルピリジン−6−イル)ビフェニル−3−イル]−6−フェニル−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量200mg,収率89%)を得た。
【0111】
H−NMR(CDCl):δ2.47(s,6H),7.46(t,J=7.3Hz,2H),7.55(t,J=7.3Hz,4H),7.62−7.70(m,5H),7.88(d,J=7.0Hz,4H),7.91(d,J=8.1Hz,2H),8.55(s,2H),8.65(s,2H),8.87(d,J=7.7Hz,2H),9.09(s,2H),9.32(s,2H).
実施例−7
【0112】
【化23】

アルゴン気流下、5−ブロモ−2−ピコリン(157mg)、2,4−ビス[5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ビフェニル−3−イル]−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(250mg)、リン酸カリウム(386mg)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(32mg)を、1,4−ジオキサン(8mL)及び水(2mL)の混合溶媒に懸濁し、4時間還流した。反応混合物を放冷後、水を加えた。析出した固体をろ別し、目的の2,4−ビス[5−(2−メチルピリジン−5−イル)ビフェニル−3−イル]−6−フェニル−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量215mg,収率95%)を得た。
【0113】
H−NMR(CDCl):δ2.75(s,6H),7.42(d,J=8.0Hz,2H),7.49(t,J=7.4Hz,2H),7.56−7.68(m,7H),7.81(d,J=7.1Hz,4H),8.03(s,2H),8.08(d,J=8.0Hz,2H),8.82(d,J=6.6Hz,2H),8.95(s,2H),8.97(s,2H),9.04(s,2H).
実施例−8
【0114】
【化24】

アルゴン気流下、1−クロロイソキノリン(596mg)、2,4−ビス[5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ビフェニル−3−イル]−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(1.01g)、3M−リン酸カリウム水溶液(1.4mL)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(32.4mg)を、1,4−ジオキサン(10mL)に懸濁し、3時間還流した。反応混合物を放冷後、水を加えた。析出した固体をろ別し、目的の2,4−ビス[5−(イソキノリン−1−イル)ビフェニル−3−イル]−6−フェニル−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量948mg,収率94%)を得た。
【0115】
H−NMR(CDCl):δ7.45(t,J=7.3Hz,2H),7.51−7.65(m,9H),7.73(d,J=8.2Hz,2H),7.76(d,J=5.2Hz,2H),7.84(d,J=7.1Hz,4H),7.97(d,J=8.2Hz,2H),8.21(s,2H),8.26(d,J=8.5Hz,2H),8.71(d,J=5.7Hz,2H),8.81(d,J=6.8Hz,2H),9.11(s,2H),9.17(s,2H).
実施例−9
【0116】
【化25】

アルゴン気流下、2−クロロキノリン(596mg)、2,4−ビス[5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ビフェニル−3−イル]−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(1.01g)、3M−リン酸カリウム水溶液(1.4mL)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(32.4mg)を、1,4−ジオキサン(10mL)に懸濁し、5時間還流した。反応混合物を放冷後、水を加えた。析出した固体をろ別し、これを乾燥させた。得られた固体をo−キシレン(3.5mL)で再結晶し、目的の2−フェニル−4,6−ビス[5−(キノリン−2−イル)ビフェニル−3−イル]−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量913mg,収率90%)を得た。
【0117】
H−NMR(CDCl):δ7.48(t,J=7.2Hz,2H),7.55−7.64(m,9H),7.78(t,J=7.6Hz,2H),7.88(m,6H),8.08(d,J=8.4Hz,2H),8.26(d,J=8.0Hz,4H),8.68(s,2H),8.83(d,J=5.2Hz,2H),9.11(s,2H),9.54(s,2H).
実施例−10
【0118】
【化26】

アルゴン気流下、3−ブロモキノリン(757mg)、2,4−ビス[5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ビフェニル−3−イル]−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(1.0g)、3M−炭酸セシウム水溶液(1.9mL)及びビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロライド(19.7mg)を、1,4−ジオキサン(10mL)に懸濁し、3時間還流した。反応混合物を放冷後、水を加えた。析出した固体をろ別し、目的の2−フェニル−4,6−ビス[5−(キノリン−3−イル)ビフェニル−3−イル]−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量949mg,収率95%)を得た。
【0119】
H−NMR(CDCl):δ7.49(t,J=7.1Hz,2H),7.56−7.66(m,9H),7.80(t,J=7.0Hz,2H),7.84(d,J=7.0Hz,4H),7.97(d,J=8.0Hz,2H),8.17(s,2H),8.22(d,J=8.4Hz,2H),8.52(s,2H),8.83(s,2H),9.08(s,2H),9.12(s,2H),9.41(s,2H).
実施例−11
【0120】
【化27】

アルゴン気流下、8−ブロモ−2−メチルキノリン(808mg)、2,4−ビス[5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ビフェニル−3−イル]−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(1.0g)、3M−リン酸カリウム水溶液(1.4mL)及び酢酸パラジウム(6.3mg)、ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(15.5mg)を、DMF(10mL)に懸濁し、3時間還流した。反応混合物を放冷後、水を加えた。析出した固体をろ別し、目的の2,4−ビス[5−(2−メチルキノリン−8−イル)ビフェニル−3−イル]−6−フェニル−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量949mg,収率91%)を得た。
【0121】
H−NMR(CDCl):δ2.65(s,6H),7.28(d,J=8.4Hz,2H),7.48(t,J=7.3Hz,2H),7.55−7.67(m,9H),7.84(d,J=8.1Hz,2H),7.98(d,J=7.2Hz,4H),7.94(d,J=7.1Hz,2H),8.12(d,J=8.4Hz,2H)、8.33(s,2H),8.91(d,J=7.6Hz,2H),9.12(s,2H),9.34(s,2H).
実験例−12
【0122】
【化28】

アルゴン気流下、9−クロロアクリジン(389mg)、2,4−ビス[5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ビフェニル−3−イル]−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(0.50g)、3M−リン酸カリウム水溶液(0.7mL)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(16.2mg)を、1,4−ジオキサン(5mL)に懸濁し、2時間還流した。反応混合物を放冷後、水を加えた。析出した固体をろ別し、目的の2,4−ビス[5−(9−アクリジニル)ビフェニル−3−イル]−6−フェニル−1,3,5−トリアジンの白黄色粉末(収量498mg,収率87%)を得た。
【0123】
H−NMR(CDCl):δ7.44−7.53(m,13H),7.79−7.88(m,12H),7.95(s,2H),8.34(d,J=8.8Hz,4H),8.74(d,J=4.2Hz,2H),8.82(s,2H),9.22(s,2H).
実施例−13
【0124】
【化29】

アルゴン気流下、2−クロロ−3−フルオロピリジン(479mg)、2,4−ビス[5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ビフェニル−3−イル]−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(1.4g)、3M−リン酸カリウム水溶液(1.4mL)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(32.4mg)を、1,4−ジオキサン(10mL)に懸濁し、16時間還流した。反応混合物を放冷後、水を加えた。析出した固体をろ別し、目的の2,4−ビス[5−(3−フルオロピリジン−2−イル)ビフェニル−3−イル]−6−フェニル−1,3,5−トリアジンの黄白色粉末(収量872mg,収率68%)を得た。
【0125】
H−NMR(CDCl):δ7.35−7.40(m,2H),7.46(t,J=7.4Hz,2H),7.54−7.67(m,9H),7.87(d,J=7.1Hz,4H),8.51(s,2H),8.64(d,J=4.6Hz,2H),8.86(d,J=7.9Hz,2H),9.14(s,2H),9.42(s,2H).
実施例−14
【0126】
【化30】

アルゴン気流下、2−クロロベンゾチアゾール(618mg)、2,4−ビス[5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ビフェニル−3−イル]−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(1.0g)、3M−炭酸カリウム水溶液(1.4mL)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(32.4mg)を、1,4−ジオキサン(10mL)に懸濁し、21時間還流した。反応混合物を放冷後、水を加えた。析出した固体をろ別し、20mLのo−キシレンで再結晶をした。得られた固体をろ別し、目的の2,4−ビス[5−(2−ベンゾチアゾリル)ビフェニル−3−イル]−6−フェニル−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量300mg,収率29%)を得た。
【0127】
H−NMR(CDCl):δ7.44−7.49(m,5H),7.54−7.61(m,8H),7.86(d,J=7.6Hz,4H),7.96(d,J=7.7Hz,2H),8.16(d,J=8.0Hz,2H),8.60(s,2H),8.81(d,J=7.6Hz,2H),9.12(s,2H),9.41(s,2H).
実施例−15
【0128】
【化31】

アルゴン気流下、2−ブロモチアゾール(597mg)、2,4−ビス[5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ビフェニル−3−イル]−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(1.0g)、3M−リン酸カリウム水溶液(1.4mL)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(16.1mg)及びビス(ジフェニルホスフィノ)ビナフチル(34.9mg)を、ジメチルスルホキシド(10mL)に懸濁し、21時間還流した。反応混合物を放冷後、水を加えた。析出した固体をろ別し、20mLのo−キシレンで再結晶をした。得られた固体をろ別し、目的の2,4−ビス[5−(2−チアゾリル)ビフェニル−3−イル]−6−フェニル−1,3,5−トリアジンの薄紫色粉末(収量200mg,収率23%)を得た。
【0129】
H−NMR(CDCl):δ7.32−7.36(m,3H),7.42−7.46(m,6H),7.54−7.56(m,4H),7.74(d,J=8.4Hz,4H),8.23(s,2H),8.76−8.79(m,2H),9.06(s,2H),9.11(s,2H).
試験例−1
有機電界発光素子の作製と性能評価
基板として、2mm幅の酸化インジウム−スズ(ITO)膜がストライプ状にパターンされたITO透明電極付きガラス基板を用いた。この基板をイソプロピルアルコールで洗浄し、さらに、オゾン紫外線洗浄にて表面処理を行った。洗浄後の基板に、真空蒸着法で各層の真空蒸着を行い、図1に示すような多層構造を有する発光面積4mmの有機電界発光素子を作製した。
【0130】
まず、真空蒸着槽内に前記ガラス基板を導入し、1.0×10−4Paまで減圧した。その後、図1に示すように、前記ガラス基板1上に有機化合物層として、正孔注入層2、正孔輸送層3、発光層4、正孔阻止層5、及び電子輸送層6を順次成膜し、その後陰極層7を成膜した。
【0131】
正孔注入層2としては、昇華精製したフタロシアニン銅(II)を10nmの膜厚で真空蒸着した。正孔輸送層3としては、N,N’−ジ(ナフチレン−1−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(NPD)を30nmの膜厚で真空蒸着した。発光層4としては、4−4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(CBP)とトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(III)(Ir(ppy))を94:6(質量%)の割合で30nmの膜厚で真空蒸着した。
【0132】
正孔阻止層5としては、ビス(2−メチル−8−キノリノレート)−(1,1’−ビフェニル−4−オレート)アルミニウム(BAlq)を5nmの膜厚で真空蒸着した。電子輸送層6としては、実施例2で合成した2−フェニル−4,6−ビス[5−(3−ピリジル)ビフェニル−3−イル]−1,3,5−トリアジンを45nmの膜厚で真空蒸着した。
【0133】
なお、各有機材料は抵抗加熱方式により成膜し、加熱した化合物を0.3〜0.5nm/秒の成膜速度で真空蒸着した。最後に、ITOストライプと直行するようにメタルマスクを配し、陰極層6を成膜した。陰極層6は、フッ化リチウムとアルミニウムをそれぞれ1.0nmと100nmの膜厚で真空蒸着し、2層構造とした。
【0134】
それぞれの膜厚は、触針式膜厚測定計(DEKTAK)で測定した。さらに、この素子を酸素及び水分濃度1ppm以下の窒素雰囲気グローブボックス内で封止した。封止は、ガラス製の封止キャップと前記成膜基板エポキシ型紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス社製)を用いた。
【0135】
作製した有機電界発光素子に直流電流を印加し、TOPCON社製のLUMINANCE METER(BM−9)の輝度計を用いて発光特性を評価した。発光特性として、電流密度20mA/cmを流した時の電圧(V)、輝度(cd/m)、電流効率(cd/A)、電力効率(lm/W)を測定し、連続点灯時の輝度半減時間を測定した。作製した素子の測定値は、電圧6.9V、輝度5490cd/m、電流効率27.5cd/A、電力効率12.6lm/Wであった。
【0136】
試験例−2
試験例−1の電子輸送層6に代えて、実施例5で合成した2−フェニル−4,6−ビス[5−(2−ピラジニル)ビフェニル−3−イル]−1,3,5−トリアジンを45nmの膜厚で真空蒸着した有機電界発光素子を作成した。作成した素子の測定値は電圧7.6V、輝度5080cd/m、電流効率25.4cd/A、電力効率10.6lm/Wであった。
【0137】
比較例−1
試験例−1の電子輸送層6に代えて、汎用電子輸送材料であるAlq3を45nmの膜厚で真空蒸着した有機電界発光素子を試験例−1と同様に作製した。作製した素子の測定値は、電圧9.0V、輝度5200cd/m、電流効率26.0cd/A、電力効率9.1lm/Wであった。
【0138】
試験例−3
基板には、2mm幅の酸化インジウム−スズ(ITO)膜がストライプ状にパターンされたITO透明電極付きガラス基板を用いた。この基板をイソプロピルアルコールで洗浄した後、オゾン紫外線洗浄にて表面処理を行った。洗浄後の基板に、真空蒸着法で各層の真空蒸着を行い、図2に示すような多層構造を有する発光面積4mmの有機電界発光素子を作製した。
【0139】
まず、真空蒸着槽内に前記ガラス基板を導入し、1.0×10−4Paまで減圧した。その後、図2に示すように前記ガラス基板1上に有機化合物層として、正孔注入層2、正孔輸送層3、発光層4、電子輸送層5を順次成膜し、その後陰極層6を成膜した。
【0140】
正孔注入層2としては、昇華精製したフタロシアニン銅(II)を10nmの膜厚で真空蒸着した。正孔輸送層3としては、N,N’−ジ(ナフチレン−1−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(NPD)を30nmの膜厚で真空蒸着した。発光層4としては、2―t−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(TBADN)と4,4’−ビス[4−(ジ−p−トリルアミノ)フェニルエテン−1−イル]ビフェニル(DPAVBi)を95:5(質量%)の割合で40nmの膜厚で真空蒸着した。
【0141】
電子輸送層5としては、実施例−1で合成した2−フェニル−4,6−ビス[5−(2−ピリジル)ビフェニル−3−イル]−1,3,5−トリアジンを20nmの膜厚で真空蒸着した。なお、各有機材料は抵抗加熱方式により成膜し、加熱した化合物を0.3〜0.5nm/秒の成膜速度で真空蒸着した。
【0142】
最後に、ITOストライプと直行するようにメタルマスクを配し、陰極層6を成膜した。陰極層6は、フッ化リチウムとアルミニウムをそれぞれ1.0nmと100nmの膜厚で真空蒸着し、2層構造とした。それぞれの膜厚は、触針式膜厚測定計(DEKTAK)で測定した。
【0143】
さらに、この素子を酸素及び水分濃度1ppm以下の窒素雰囲気グローブボックス内で封止した。封止は、ガラス製の封止キャップと前記成膜基板エポキシ型紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス社製)を用いた。
【0144】
作製した有機電界発光素子に直流電流を印加し、TOPCON社製のLUMINANCE METER(BM−9)の輝度計を用いて発光特性を評価した。発光特性として、電流密度20mA/cmを流した時の電圧(V)、輝度(cd/m)、電流効率(cd/A)、電力効率(lm/W)を測定し、連続点灯時の輝度半減時間を測定した。作製した素子の測定値は、電圧6.1V、輝度1804cd/m、電流効率9.02cd/A、電力効率4.62lm/Wであった。
【0145】
試験例−4
試験例−3の電子輸送層5に代えて、実施例4で合成した2−フェニル−4,6−ビス[5−(2−ピリミジニル)ビフェニル−3−イル]−1,3,5−トリアジンを20nmの膜厚で真空蒸着した有機電界発光素子を作成した。作成した素子の測定値は電圧6.5V、輝度1875cd/m、電流効率9.38cd/A、電力効率4.78lm/Wであった。
【0146】
試験例−5
試験例−3の電子輸送層5に代えて、実施例8で合成した2,4−ビス[5−(イソキノリン−1−イル)ビフェニル−3−イル]−6−フェニル−1,3,5−トリアジンを20nmの膜厚で真空蒸着した有機電界発光素子を作成した。作成した素子の測定値は6.4V、輝度1891cd/m2、電流効率9.468cd/A、電力効率4.61lm/Wであった。
【0147】
試験例−6
試験例−3の電子輸送層5に代えて、実施例9で合成した2−フェニル−4,6−ビス[5−(キノリン−2−イル)ビフェニル−3−イル]−1,3,5−トリアジンを20nmの膜厚で真空蒸着した有機電界発光素子を作成した。作成した素子の測定値は電圧6.5V、輝度1991cd/m、電流効率9.96cd/A、電力効率4.83lm/Wであった。
【0148】
試験例−7
試験例−3の電子輸送層5に代えて、実施例10で合成した2−フェニル−4,6−ビス[5−(キノリン−3−イル)ビフェニル−3−イル]−1,3,5−トリアジンを20nmの膜厚で真空蒸着した有機電界発光素子を作成した。作成した素子の測定値は電圧6.4V、輝度1763cd/m、電流効率8.82cd/A、電力効率4.35lm/Wであった。
【0149】
比較例−2
試験例−3の電子輸送層5に代えて、汎用電子輸送材料であるAlq3を20nmの膜厚で真空蒸着した有機電界発光素子を試験例−1と同様に作製した。作製した素子の測定値は、電圧6.6V、輝度1768cd/m、電流効率8.84cd/A、電力効率4.29lm/Wであった。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明の1,3,5−トリアジン化合物(1)から成る薄膜は、高い表面平滑性、アモルファス性、耐熱性、電子輸送能、正孔ブロック能、酸化還元耐性、耐水性、耐酸素性、電子注入特性等を有し、有機電界発光素子の多層構造の少なくとも1つの層を構成するのに用いることができる。とりわけ、1,3,5−トリアジン化合物(1)は、有機電界発光素子の電子輸送材、正孔ブロック材、発光ホスト材等として用いることができる。さらに、蛍光発光材料を用いた様々な有機電界発光素子への適用も可能である。1,3,5−トリアジン化合物(1)から成る薄膜を有する有機電界発光素子は、低電圧で駆動可能であり、消費電力が低く、かつ長寿命であるという特長を有する。
【0151】
さらに、1,3,5−トリアジン化合物(1)は、フラットパネルディスプレイなどの用途以外にも、低消費電力が求められる照明用途などにも有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

(式中、Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい含窒素複素環基を表す。)で示される1,3,5−トリアジン化合物。
【請求項2】
Arが、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基又は炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいナフチル基である請求項1に記載の1,3,5−トリアジン化合物。
【請求項3】
Arが、フェニル基である請求項1又は2に記載の1,3,5−トリアジン化合物。
【請求項4】
Arが、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基又は炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいナフチル基である請求項1〜3のいずれかに記載の1,3,5−トリアジン化合物。
【請求項5】
Arが、フェニル基である請求項1〜4のいずれかに記載の1,3,5−トリアジン化合物。
【請求項6】
Arが、メチル基又はフッ素で置換されていてもよい含窒素複素環基である請求項1〜5のいずれかに記載の1,3,5−トリアジン化合物。
【請求項7】
Arが、無置換又はメチル基もしくはフッ素で置換された、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピリミジル基、ピラジル基、アクリジル基、チアゾリル基又はベンゾチアゾリル基である請求項1〜6のいずれかに記載の1,3,5−トリアジン化合物。
【請求項8】
下記一般式(2)
【化2】

(式中、Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Xは脱離基を表す。)で示される化合物と、下記一般式(3)
【化3】

(式中、Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい含窒素複素環基を表す。Mは金属含有基又はヘテロ原子基を表す。)で示される化合物とを、塩基の存在下または非存在下、パラジウム触媒の存在下にカップリング反応させることを特徴とする、下記一般式(1)
【化4】

(式中、Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい含窒素複素環基を表す。)で示される1,3,5−トリアジン化合物の製造方法。
【請求項9】
Mが、ZnR(式中、Rはハロゲン原子を表す。)又はB(OR(式中、Rは水素原子、炭素数1から4のアルキル基又はフェニル基を表し、B(ORの2つのRは同一又は異なっていてもよい。又、2つのRは一体となって酸素原子及びホウ素原子を含んで環を形成することもできる。)で示される基である請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
パラジウム触媒が、第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体である請求項8又は9に記載の1,3,5−トリアジン化合物の製造方法。
【請求項11】
第三級ホスフィンが、トリフェニルホスフィン又はトリ(tert−ブチル)ホスフィンである請求項10に記載の1,3,5−トリアジン化合物の製造方法。
【請求項12】
下記一般式(4)
【化5】

(式中、Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表し、B(ORの2つのRは同一又は異なっていてもよい。又、2つのRは一体となって酸素原子及びホウ素原子を含んで環を形成することもできる。)で示される化合物と、下記一般式(5)
【化6】

(式中、Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい含窒素複素環基を表す。Xは脱離基を表す。)で示される化合物とを、塩基及びパラジウム触媒の存在下にカップリング反応させることを特徴とする、下記一般式(1)
【化7】

(式中、Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい含窒素複素環基を表す。)で示される1,3,5−トリアジン化合物の製造方法。
【請求項13】
パラジウム触媒が、第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体であることを特徴とする請求項12に記載の1,3,5−トリアジン化合物の製造方法。
【請求項14】
第三級ホスフィンが、トリフェニルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、ビス(ジフェニルホスフィノ)ビナフチル又は2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニルであることを特徴とする請求項13に記載の1,3,5−トリアジン化合物の製造方法。
【請求項15】
下記一般式(1)
【化8】

(式中、Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Arは炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素で置換されていてもよい含窒素複素環基を表す。)で示される1,3,5−トリアジン化合物を構成成分として含む有機電界発光素子。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−149059(P2012−149059A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−286791(P2011−286791)
【出願日】平成23年12月27日(2011.12.27)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【出願人】(000173762)公益財団法人相模中央化学研究所 (151)
【Fターム(参考)】