説明

1,3,5−トリアジン化合物及びその製造方法

【課題】有機電界発光素子等に用いることのできる有機電子材料の中間体として有用な3,5−ジハロ置換フェニル基を有する1,3,5−トリアジン化合物を提供する。
【解決手段】一般式(2)


(式中、R、R及びRは、各々独立して水素原子又はメチル基を表す。Xは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。Arは、置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Yは対アニオンを表す。)で示されるオキソニウム塩とアンモニア源を反応させ、3,5−ジハロ置換フェニル基を有する1,3,5−トリアジン化合物を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子等に用いることのできる有機電子材料の中間体として有用な3,5−ジハロ置換フェニル基を有する1,3,5−トリアジン化合物とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の3,5−ジハロ置換フェニル基を有する1,3,5−トリアジン化合物は新規な化合物であり、これまでその製造法についても報告はない。本発明の1,3,5−トリアジン化合物は、有機電界発光素子に用いられる有機電子材料として高い性能を示す3,5−二置換フェニル基を有する1,3,5−トリアジン誘導体(例えば、特許文献1参照)の中間体として有用である。
【0003】
また、本発明の1,3,5−トリアジン化合物と類似の化合物として、3,5−ジブロモ−2−ヒドロキシフェニル基を有する1,3,5−トリアジン誘導体が開示されている(例えば、特許文献2及び3参照)が、フェニル基の2位に水酸基を有する点で、本発明の1,3,5−トリアジン化合物とは異なる。さらに、一般的には、有機電子材料として水酸基が残存することは耐久性及び導電性の点で好ましくない。
【0004】
また、ジハロフェニル基を有する1,3,5−トリアジン誘導体が開示されている(例えば、特許文献4参照)が、ハロゲン原子の置換位置は限定されておらず、本発明の3,5−ジハロ置換フェニル基に関する記述は一切ない。
【0005】
【特許文献1】特願2007−104808公報
【特許文献2】米国特許第3211698号明細書
【特許文献3】米国特許第3211699号明細書
【特許文献4】特開2007−137829公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、有機電界発光素子等に用いることのできる有機電子材料を効率よく製造するための中間体として有用な1,3,5−トリアジン化合物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、先の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明の1,3,5−トリアジン化合物が、電子輸送材料として有用な3,5−二置換フェニル基を有する1,3,5−トリアジン化合物の有効な中間体となり得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、一般式(1)
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、R、R及びRは、各々独立して水素原子又はメチル基を表す。Xは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。Arは、置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。)
で示される3,5−ジハロ置換フェニル基を有する1,3,5−トリアジン化合物に関するものである。
【0011】
また本発明は、一般式(2)
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、R、R、R、X及びArは、前記と同じである。Yは対アニオンを表す。)
で示されるオキソニウム塩とアンモニア源を反応させることを特徴とする一般式(1)
【0014】
【化3】

【0015】
(式中、R、R、R、X及びArは、前記と同じである。)
で示される3,5−ジハロ置換フェニル基を有する1,3,5−トリアジン化合物の製造方法に関するものである。
【0016】
また本発明は、一般式(3)
【0017】
【化4】

【0018】
(式中、R、R、R及びXは、前記と同じである。)
で示される酸塩化物と一般式(4)
【0019】
【化5】

【0020】
(式中、Arは、前記と同じである。)
で示される芳香族ニトリルとをルイス酸の存在下に反応させ、一般式(2)
【0021】
【化6】

【0022】
(式中、R、R、R、X、Ar及びYは、前記と同じである。)
で示されるオキソニウム塩を得、次いでアンモニア源と反応させることを特徴とする一般式(1)
【0023】
【化7】

【0024】
(式中、R、R、R、X及びArは、前記と同じである。)
で示される3,5−ジハロ置換フェニル基を有する1,3,5−トリアジン化合物の製造方法に関するものである。
【0025】
さらに本発明は、一般式(3)
【0026】
【化8】

【0027】
(式中、R、R、R及びXは、前記と同じである。)
で示される酸塩化物と一般式(4)
【0028】
【化9】

【0029】
(式中、Arは、前記と同じである。)
で示される芳香族ニトリルとをルイス酸の存在下に反応させることを特徴とする一般式(2)
【0030】
【化10】

【0031】
(式中、R、R、R、X、Ar及びYは、前記と同じである。)
で示されるオキソニウム塩の製造方法に関するものである。
【0032】
本発明の一般式(1)で示される3,5−ジハロ置換フェニル基を有する1,3,5−トリアジン化合物において、R、R及びRは、各々独立して水素原子又はメチル基を表し、合成が容易であり、続く有機電子材料の製造に際して反応収率がよい点で、R及びRは、水素原子が好ましい。
【0033】
Xは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表し、合成が容易であり、続く有機電子材料の製造に際して反応収率がよい点で、塩素原子又は臭素原子が好ましい。
【0034】
Arで表される置換されていてもよい芳香族炭化水素基としては、置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよいナフチル基、置換されていてもよいアントラニル基、置換されていてもよいペリレニル基及び置換されていてもよいトリフェニレニル基を挙げることができ、合成が容易であり、続く有機電子材料の製造に際して反応収率がよい点で、置換されていてもよいフェニル基又は置換されていてもよいナフチル基が好ましい。
【0035】
Arで表される置換されていてもよいフェニル基としては、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基、p−トリフルオロメチルフェニル基、m−トリフルオロメチルフェニル基、o−トリフルオロメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、メシチル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2,4−ジエチルフェニル基、3,5−ジエチルフェニル基、2−プロピルフェニル基、3−プロピルフェニル基、4−プロピルフェニル基、2,4−ジプロピルフェニル基、3,5−ジプロピルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、2,4−ジイソプロピルフェニル基、3,5−ジイソプロピルフェニル基、2−ブチルフェニル基、3−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、2,4−ジブチルフェニル基、3,5−ジブチルフェニル基、2−tert−ブチルフェニル基、3−tert−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、ビフェニル−4−イル基、ビフェニル−3−イル基、ビフェニル−2−イル基、2−メチルビフェニル−4−イル基、3−メチルビフェニル−4−イル基、2’−メチルビフェニル−4−イル基、4’−メチルビフェニル−4−イル基、2,2’−ジメチルビフェニル−4−イル基、2’,4’,6’−トリメチルビフェニル−4−イル基、6−メチルビフェニル−3−イル基、5−メチルビフェニル−3−イル基、2’−メチルビフェニル−3−イル基、4’−メチルビフェニル−3−イル基、6,2’−ジメチルビフェニル−3−イル基、2’,4’,6’−トリメチルビフェニル−3−イル基、5−メチルビフェニル−2−イル基、6−メチルビフェニル−2−イル基、2’−メチルビフェニル−2−イル基、4’−メチルビフェニル−2−イル基、6,2’−ジメチルビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリメチルビフェニル−2−イル基、2−トリフルオロメチルビフェニル−4−イル基、3−トリフルオロメチルビフェニル−4−イル基、2’−トリフルオロメチルビフェニル−4−イル基、4’−トリフルオロメチルビフェニル−4−イル基、6−トリフルオロメチルビフェニル−3−イル基、5−トリフルオロメチルビフェニル−3−イル基、2’−トリフルオロメチルビフェニル−3−イル基、4’−トリフルオロメチルビフェニル−3−イル基、5−トリフルオロメチルビフェニル−2−イル基、6−トリフルオロメチルビフェニル−2−イル基、2’−トリフルオロメチルビフェニル−2−イル基、4’−トリフルオロメチルビフェニル−2−イル基、3−エチルビフェニル−4−イル基、4’−エチルビフェニル−4−イル基、2’,4’,6’−トリエチルビフェニル−4−イル基、6−エチルビフェニル−3−イル基、4’−エチルビフェニル−3−イル基、5−エチルビフェニル−2−イル基、4’−エチルビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリエチルビフェニル−2−イル基、3−プロピルビフェニル−4−イル基、4’−プロピルビフェニル−4−イル基、2’,4’,6’−トリプロピルビフェニル−4−イル基、6−プロピルビフェニル−3−イル基、4’−プロピルビフェニル−3−イル基、5−プロピルビフェニル−2−イル基、4’−プロピルビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリプロピルビフェニル−2−イル基、3−イソプロピルビフェニル−4−イル基、4’−イソプロピルビフェニル−4−イル基、2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル−4−イル基、6−イソプロピルビフェニル−3−イル基、4’−イソプロピルビフェニル−3−イル基、5−イソプロピルビフェニル−2−イル基、4’−イソプロピルビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル−2−イル基、3−ブチルビフェニル−4−イル基、4’−ブチルビフェニル−4−イル基、2’,4’,6’−トリブチルビフェニル−4−イル基、6−ブチルビフェニル−3−イル基、4’−ブチルビフェニル−3−イル基、5−ブチルビフェニル−2−イル基、4’−ブチルビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリブチルビフェニル−2−イル基、3−tert−ブチルビフェニル−4−イル基、4’−tert−ブチルビフェニル−4−イル基、2’,4’,6’−トリ−tert−ブチルビフェニル−4−イル基、6−tert−ブチルビフェニル−3−イル基、4’−tert−ブチルビフェニル−3−イル基、5−tert−ブチルビフェニル−2−イル基、4’−tert−ブチルビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリ−tert−ブチルビフェニル−2−イル基等が挙げられる。原料が入手容易である点で、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基、4−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、p−クロロフェニル基、m−クロロフェニル基、o−クロロフェニル基、p−ブロモフェニル基、m−ブロモフェニル基、o−ブロモフェニル基、ビフェニル−4−イル基及びビフェニル−3−イル基が好ましく、合成が容易である点でフェニル基、p−トリル基、m−トリル基、4−tert−ブチルフェニル基、m−クロロフェニル基、ビフェニル−4−イル基及びビフェニル−3−イル基がさらに好ましい。
【0036】
また、Arで表される置換されていてもよいナフチル基としては、1−ナフチル基、4−メチルナフタレン−1−イル基、4−トリフルオロメチルナフタレン−1−イル基、4−エチルナフタレン−1−イル基、4−プロピルナフタレン−1−イル基、4−ブチルナフタレン−1−イル基、4−tert−ブチルナフタレン−1−イル基、5−メチルナフタレン−1−イル基、5−トリフルオロメチルナフタレン−1−イル基、5−エチルナフタレン−1−イル基、5−プロピルナフタレン−1−イル基、5−ブチルナフタレン−1−イル基、5−tert−ブチルナフタレン−1−イル基、2−ナフチル基、6−メチルナフタレン−2−イル基、6−トリフルオロメチルナフタレン−2−イル基、6−エチルナフタレン−2−イル基、6−プロピルナフタレン−2−イル基、6−ブチルナフタレン−2−イル基、6−tert−ブチルナフタレン−2−イル基、7−メチルナフタレン−2−イル基、7−トリフルオロメチルナフタレン−2−イル基、7−エチルナフタレン−2−イル基、7−プロピルナフタレン−2−イル基、7−ブチルナフタレン−2−イル基、7−tert−ブチルナフタレン−2−イル基等が挙げられる。原料が入手容易である点で、1−ナフチル基、4−メチルナフタレン−1−イル基、4−tert−ブチルナフタレン−1−イル基、5−メチルナフタレン−1−イル基、5−tert−ブチルナフタレン−1−イル基、2−ナフチル基、6−メチルナフタレン−2−イル基、6−tert−ブチルナフタレン−2−イル基、7−メチルナフタレン−2−イル基又は7−tert−ブチルナフタレン−2−イル基が好ましく、合成が容易な点で1−ナフチル基及び2−ナフチル基がさらに好ましい。
【0037】
Arで表される置換されていてもよいアントラニル基、置換されていてもよいペリレニル基及び置換されていてもよいトリフェニレニル基としては、1−アントラニル基、2−アントラニル基、9−アントラニル基、1−ペリレニル基、2−ペリレニル基又は1−トリフェニレニル基が挙げられる。
【0038】
で表される対アニオンとしては、F、Cl、Br、I、OTf、PF、BF、AlCl、SnCl、FeCl、TiCl、ZrCl、SbCl、ZnCl、MnCl等を例示することができ、入手容易であり反応収率がよい点で、AlCl、FeCl、SbClが好ましい。
【0039】
次に、本発明の製造方法について説明する。
【0040】
本発明の一般式(1)で示される3,5−ジハロ置換フェニル基を有する1,3,5−トリアジン化合物は、次の反応式
【0041】
【化11】

【0042】
(式中、R、R、R、X、Ar及びYは、前記と同じである。)
で示した方法により製造することができる。
【0043】
「工程1」は、酸塩化物(3)及び芳香族ニトリル(4)をルイス酸の存在下に反応させ、オキソニウム塩(2)を得る工程であり、一般的なフリーデル・クラフツ反応で用いられる反応条件及びルイス酸を適用することにより、反応収率よく目的物を得ることができる。酸塩化物(3)と芳香族ニトリル(4)とのモル比は、選択性がよい点で1:3〜2:3が好ましい。酸塩化物(3)及び芳香族ニトリル(4)は、当業者に公知の方法によって製造することができる。
【0044】
「工程1」で用いることのできるルイス酸としては、ルイス酸性を示す金属ハロゲン化物が挙げられ、具体的にはTiCl、ZrCl、MnCl、MnBr、FeCl、FeBr、ZnCl、BF、AlCl、AlBr、SnCl、SbCl、SbBr等を例示することができ、これらを適宜組み合わせて用いてもよい。入手容易である点でFeCl、AlCl、SnCl、SbClが好ましく、反応収率がよい点でSbClがさらに好ましい。反応に用いるルイス酸と酸塩化物(3)とのモル比は、反応収率がよい点で1:2〜2:1が好ましい。
【0045】
「工程1」で用いることのできる溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン又はニトロベンゼン等が例示でき、これらを適宜組み合わせて用いてもよい。反応収率がよい点でクロロホルム又はクロロベンゼンを用いることが好ましい。
【0046】
オキソニウム塩(2)は、「工程1」の終了後に通常の操作により単離してもよいが、単離せずに「工程2」に供することもできる。
【0047】
「工程2」は、オキソニウム塩(2)にアンモニア源を反応させることで、本発明の1,3,5−トリアジン化合物(1)を得る工程である。
【0048】
「工程2」で用いることのできるアンモニア源としては、アンモニア又は塩化アンモニウムが挙げられ、反応収率がよい点でアンモニアが好ましい。アンモニアはガスとして反応系中に通ずることもできるが、操作が簡便である点で水、メタノール、エタノール、ジエチルエーテル、ジクロロメタン等の溶媒に溶解し、アンモニア溶液として用いることが好ましい。反応収率がよい点で、アンモニア水溶液がさらに好ましい。アンモニア溶液の濃度に特に制限はなく、1重量%〜飽和溶液を用いることができる。オキソニウム塩(2)とアンモニア源とのモル比は、反応収率がよい点で1:1〜1:100が好ましい。
【0049】
「工程2」で用いることのできる溶媒としては、「工程1」で例示した溶媒を挙げることができ、反応収率がよい点でクロロホルム又はクロロベンゼンを用いることが好ましい。また、アンモニア溶液を溶媒としてもよい。
【0050】
「工程2」は、−50〜50℃、好ましくは−30〜5℃の範囲から適宜選ばれた反応温度で実施することにより、収率よく目的物を得ることができる。反応時間に特に制限はない。
【0051】
化合物(1)は、「工程2」の終了後に通常の処理をすることで得ることができる。必要に応じて、再結晶、カラムクロマトグラフィー又は昇華等で精製してもよい。
【実施例】
【0052】
以下、実施例及び参考例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0053】
H−NMR、13C−NMRスペクトルの測定には、Bruker社製 DPX250及びDPX500スペクトロメーターを使用した。
【0054】
HPLC測定は、Waters2690(カラム:GLサイエンス社 Inertsil ODS−3V、溶離液:アセトニトリル−テトラヒドロフラン、流速:1mL/分)を使用した。
【0055】
また、実験で使用した試薬は、Sigma−Aldrich Co.,Ltd.、東京化成工業株式会社、和光純薬工業株式会社、関東化学株式会社から購入し、必要に応じて精製したものを使用した。
【0056】
カラムクロマトグラフィーには、関東化学社製 粒径63−210μmの球状シリカゲルを用いた。
【0057】
実施例1
2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジンの合成
【0058】
【化12】

【0059】
3,5−ジブロモベンゾイルクロリド(5.97g)とベンゾニトリル(4.12g)をクロロホルム(50mL)に溶解し、0℃に冷却した後、5塩化アンチモン(5.98g)を滴下した。混合物を室温で10分間攪拌後、22時間還流した。室温まで冷却後、クロロホルムを減圧下留去し、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−オキサジアジン−1−イウム=ヘキサクロロアンチモン酸を黄色固体として得た。
【0060】
得られた黄色固体を0℃に冷却した28%アンモニア水溶液(300mL)に徐々に加えると白色固体が生成した。室温で1時間攪拌し、ろ過後、得られた白色固体を水、メタノールで洗浄した。白色固体を乾燥後、クロロホルム(150mL)を加え、加熱ろ過した。さらに、ろ別した不溶成分にクロロホルム(100mL)を加え、3回加熱ろ過した。全てのろ液を集め、クロロホルムを減圧下留去し、得られた固体をジクロロメタン−メタノールで再結晶し、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジンの白色固体(収量6.32g、収率68%)を得た。
【0061】
H−NMR(CDCl):δ7.56−7.61(m,4H),7.61−7.67(m,2H),7.90(t,J=1.8Hz,1H),8.72−8.78(m,4H),8.82(d,J=1.8Hz,2H).
13C−NMR(CDCl):δ123.4,128.8,129.1,130.6,133.0,135.7,137.6,139.8,169.3,172.0.
実施例2
2−(3−ブロモ−5−クロロフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジンの合成
【0062】
【化13】

【0063】
3−ブロモ−5−クロロ安息香酸クロリド(9.10g)とベンゾニトリル(7.40g)をクロロホルム(200mL)にアルゴン気流下で溶解した。得られた溶液を0℃に冷却し、5塩化アンチモン(10.7g)を滴下した。混合物を室温で1時間攪拌後、12時間還流した。室温まで冷却後、減圧下で低沸点成分を除去し、2−(3−ブロモ−5−クロロフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−オキサジアジン−1−イウム=ヘキサクロロアンチモン酸を黄色固体として得た。
【0064】
得られた黄色固体をアルゴン気流中で粉砕し、これを0℃に冷却した28%アンモニア水溶液にゆっくりと加えた。得られた懸濁液を室温でさらに1時間攪拌した。析出した固体をろ取し、水,メタノールで順次洗浄した。固体を乾燥後、ソックスレー抽出機(抽出溶媒:テトラヒドロフラン)で抽出した。抽出液を放冷後、析出した固体をろ取、乾燥して2−(3−ブロモ−5−クロロフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量5.60g、収率44%)を得た。
【0065】
H−NMR(CDCl):δ7.57−7.70(m,6H),7.75(dd,J=1.7Hz,1.7Hz,1H),8.66(brs,1H),8.74(d,J=7.2Hz,4H),8.76(brs,1H).
13C−NMR(CDCl):δ123.2,127.7,128.8,129.1,130.1,132.9,134.9,135.7,135.7,139.5,169.3,172.0.
実施例3
2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ジ−p−トリル−1,3,5−トリアジンの合成
【0066】
【化14】

【0067】
アルゴン気流下、還流管及びメカニカル撹拌機を取り付けた500mL三口反応容器に、3,5−ジブロモ安息香酸クロリド(29.8g)とp−トリルニトリル(23.4g)を取り、200mLのクロロベンゼンを加え、溶解した。得られた溶液を0℃に冷却し、5塩化アンチモン(29.9g)を滴下した。混合物を室温で1時間、さらに100℃で2時間還流した。得られた濃赤色の懸濁液を−20℃に冷却し、28%アンモニア水溶液(135mL)を加えた。この乳白色懸濁液を室温で30分間撹拌した後、油浴を用いてゆっくり140℃まで加熱し、溶媒を留去した。クロロベンゼン(100mL)を加え、130℃で加熱後ろ過し、不溶物を除いた。ろ液を放冷後、メタノール(100mL)を加えた。析出した固体をろ取し、メタノール(30mL×2)で洗浄した後、乾燥することで、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量21.2g、収率43%)を得た。HPLCより、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの含有率は95.2%であった。
【0068】
また、上記加熱ろ過においてろ別した不溶物に対しクロロベンゼン(100mL×2)を用いて同様の操作を行うことで、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量12.9g、収率26%)を得た。HPLCより、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの含有率は98.5%であった。
【0069】
H−NMR(CDCl):δ2.51(s,6H),7.39(d,J=8.1Hz,4H),7.90(t,J=1.7Hz,1H),8.63(d,J=8.1Hz,4H),8.80(d,J=1.7Hz,2H).
13C−NMR(CDCl):δ22.5(CH×2),123.3(quart.×2),129,1(CH×4),129.5(CH×4),130.6(CH×2),133.1(quart.×2),137.4(CH),140.0(quart.),143.6(quart.×2),169.0(quart.),171.8(quart.×2).
実施例4
2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(m−トリル)−1,3,5−トリアジンの合成
【0070】
【化15】

【0071】
3,5−ジブロモベンゾイルクロリド(26.6g)と3−メチルベンゾニトリル(20.9g)をクロロホルム(200mL)に溶解し、0℃に冷却した後、5塩化アンチモン(26.6g)を滴下し、室温で10分間攪拌後、12時間還流した。室温まで冷却後、クロロホルムを減圧下留去した。得られた2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(m−トリル)−1,3,5−オキサジアジン−1−イウム=ヘキサクロロアンチモン酸を橙色固体として得た。
【0072】
得られた橙色固体を0℃に冷却した28%アンモニア水溶液(500mL)に徐々に加えると白色固体が生成した。室温で1時間攪拌し、ろ過後、得られた白色固体を水、メタノールで洗浄した。白色固体を乾燥後、クロロホルム(200mL)を加え、加熱ろ過した。ろ別した不溶成分にクロロホルム(200mL)を加え、3回加熱ろ過した。全てのろ液を集め、クロロホルムを減圧下留去し、得られた固体をジクロロメタン−メタノールで再結晶し、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(m−トリル)−1,3,5−トリアジンの白色固体(収量26.2g、収率60%)を得た。
【0073】
H−NMR(CDCl):δ2.54(s,6H),7.42−7.46(m,2H),7.48(dd,J=7.5Hz,7.5Hz,2H),7.89(t,J=1.8Hz,1H),8.52(s,2H),8.54(d,J=7.5Hz,2H),8.80(d,J=1.8Hz,2H).
13C−NMR(CDCl):δ21.6,123.3,126.3,128.6,129.4,130.6,133.7,135.6,137.5,138.5,139.8,169.2,172.0.
実施例5
2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,5−トリアジンの合成
【0074】
【化16】

【0075】
3,5−ジブロモベンゾイルクロリド(2.98g)と4−tert−ブチルベンゾニトリル(3.18g)をクロロホルム(30mL)に溶解し、0℃に冷却した後、5塩化アンチモン(2.99g)を滴下した。混合物を室温で10分間攪拌後、17時間還流した。室温まで冷却後、クロロホルムを減圧下留去した。得られた2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,5−オキサジアジン−1−イウム=ヘキサクロロアンチモン酸を赤色固体として得た。
【0076】
得られた赤色固体を0℃に冷却した28%アンモニア水溶液(200mL)に徐々に加えると白色固体が生成した。室温で1時間攪拌し、ろ過後、得られた白色固体を水、メタノールで洗浄した。白色固体を乾燥後、クロロホルム(150mL)を加え、加熱ろ過した。ろ別した不溶成分にクロロホルム(100mL)を加え、加熱ろ過した。全てのろ液を集め、クロロホルムを減圧下留去し、得られた固体をジクロロメタン−メタノールで再結晶し、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,5−トリアジンの白色固体(収量4.46g、収率77%)を得た。
【0077】
H−NMR(CDCl):δ1.41(s,18H),7.61(d,J=8.5Hz,4H),7.88(t,J=1.8Hz,1H),8.65(d,J=8.5Hz,4H),8.80(d,J=1.8Hz,2H).
13C−NMR(CDCl):δ31.2,35.1,123.3,125.7,128.9,130.5,133.1,137.4,140.0,156.5,169.0,171.8.
実施例6
2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ジ(3−クロロフェニル)−1,3,5−トリアジンの合成
【0078】
【化17】

【0079】
3,5−ジブロモ安息香酸クロリド(5.00g)と3−クロロベンゾニトリル(4.60g)をクロロホルム(200mL)にアルゴン気流下で溶解した。得られた溶液を0℃に冷却し、5塩化アンチモン(4.70g)を滴下した。室温で1時間攪拌後、12時間還流した。室温まで冷却後、減圧下で低沸点成分を除去し、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ジ(3−クロロフェニル)−1,3,5−オキサジアジン−1−イウム=ヘキサクロロアンチモン酸を赤色固体として得た。
【0080】
得られた赤色固体をアルゴン気流中で粉砕し、0℃に冷却した28%アンモニア水溶液にゆっくりと加えた。得られた懸濁液を室温でさらに1時間攪拌した。析出した固体をろ取し、水,メタノールで順次洗浄した。固体を乾燥後、ソックスレー抽出機(抽出溶媒:クロロホルム)で抽出した。抽出液を放冷後、析出した固体をろ取、乾燥して2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ジ(3−クロロフェニル)−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量4.10g、収率46%)を得た。
【0081】
H−NMR(CDCl):δ7.49(t,J=7.9Hz,2H),7.63(t,J=1.9Hz,1H),7.79(brd,J=7.9Hz,2H),8.57(d,J=1.9Hz,2H),8.66(brd,J=7.9Hz,2H),8.81(t,J=1.7Hz,2H).
13C−NMR(CDCl):δ123.1(quart.×2),127.3(CH×2),127.7(CH×2),130.4(CH×2),131.9(CH×2),132.6(CH),135.7(quart.×2),136.0(CH×2),137.4(quart.×2),138.6(quart.),169.8(quart.),170.9(quart.×2).
実施例7
2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ジ(3−クロロフェニル)−1,3,5−トリアジンの合成
アルゴン気流下、還流管及びメカニカル撹拌機を取り付けた300mL三口反応容器に、3,5−ジブロモ安息香酸クロリド(20.9g)と3−クロロベンゾニトリル(36.4g)を取り、クロロベンゼン(150mL)を加えた。得られた溶液を0℃に冷却し、5塩化アンチモン(29.9g)を滴下した。混合物を室温で1時間、さらに100℃で2時間還流した。得られた橙色の懸濁液を−20℃に冷却し、28%アンモニア水溶液(140mL)を加えた。乳白色懸濁液を室温で30分間撹拌した後、油浴を用いてゆっくり140℃まで加熱し、有機溶媒(116mL)と水(60mL)を留去した。クロロベンゼン(100mL)を加え、130℃で加熱ろ過した。ろ液を放冷後、メタノール(100mL)を加えた。析出した固体をろ取し、メタノール(30mL×2)で洗浄した後、乾燥することで、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量12.0g、収率23%)を得た。
【0082】
また、上記加熱ろ過においてろ別した不溶物に対し同様の抽出操作を行うことで、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量1.30g、収率2.5%)を得た。
【0083】
実施例8
2,4−ビス(ビフェニル−4−イル)−6−(3,5−ジブロモフェニル)−1,3,5−トリアジンの合成
【0084】
【化18】

【0085】
3,5−ジブロモベンゾイルクロリド(2.98g)と4−ビフェニルカルボニトリル(3.58g)をクロロホルム(40mL)に溶解し、0℃に冷却した後、5塩化アンチモン(2.99g)を滴下した。混合物を室温で10分間攪拌後、14時間還流した。室温まで冷却後、クロロホルムを減圧下留去し、2,4−ビス(ビフェニル−4−イル)−6−(3,5−ジブロモフェニル)−1,3,5−オキサジアジン−1−イウム=ヘキサクロロアンチモン酸を赤色固体として得た。
【0086】
得られた赤色固体を0℃に冷却した28%アンモニア水溶液(150mL)に徐々に加えると白色固体が生成した。これを室温で1時間攪拌し、ろ過後、得られた白色固体を水、メタノールで洗浄した。白色固体を乾燥後、クロロホルム(200mL)に懸濁し、加熱ろ過した。また、ろ別した不溶成分に対しクロロホルム(150mL×3)を用いて加熱ろ過した。全てのろ液を集め、クロロホルムを減圧下留去し、得られた固体をジクロロメタン−メタノールで再結晶し、2,4−ビス(ビフェニル−4−イル)−6−(3,5−ジブロモフェニル)−1,3,5−トリアジンの白色固体(収量5.14g、収率83%)を得た。
【0087】
H−NMR(CDCl):δ7.40−7.45(m,2H),7.49−7.54(m,4H),7.70−7.75(m,4H),7.83(d,J=8.5Hz,4H),7.91(t,J=1.8Hz,1H),8.83(d,J=8.5Hz,4H),8.85(d,J=1.8Hz,2H).
13C−NMR(CDCl):δ123.4,127.3,127.5,128.2,129.0,129.7,130.7,134.7,137.6,139.9,140.3,145.7,169.3,171.8.
実施例9
2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの合成
【0088】
【化19】

【0089】
3,5−ジブロモ安息香酸クロリド(4.10g)と3−フェニルベンゾニトリル(5.00g)をクロロホルム(100mL)にアルゴン気流下で溶解した。得られた溶液を0℃に冷却し、5塩化アンチモン(4.20g)を滴下した。混合物を室温で1時間攪拌後、12時間還流した。室温まで冷却後、減圧下で低沸点成分を除去し、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−オキサジアジン−1−イウム=ヘキサクロロアンチモン酸を赤色固体として得た。
【0090】
得られた赤色固体をアルゴン気流中で粉砕し、0℃に冷却した28%アンモニア水溶液にゆっくりと加えた。得られた懸濁液を室温でさらに1時間攪拌した。析出した固体をろ取し、水,メタノールで順次洗浄した。固体を乾燥後、ソックスレー抽出機(抽出溶媒:クロロホルム)で抽出した。抽出液を放冷後、析出した固体をろ取、乾燥して2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量2.80g、収率32%)を得た。
【0091】
H−NMR(CDCl):δ7.46(brt,J=7.4Hz,2H),7.52−7.58(m,4H),7,67(dd,J=7.8Hz,7.7Hz,2H),7.76(brd,J=7.7Hz,4H),7.86(d,J=7.7Hz,2H),7.90(brd,1H),8.72(d,J=7.8Hz,2H),8.81(d,J=1.8Hz,2H),8.95(s,2H).
13C−NMR(CDCl):δ123.4,127.4,127.7,127.8,128.1,130.7,131.7,136.2,137.7,139.7,140.7,141.9,169.4,172.0.
実施例10
2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの合成
アルゴン気流下、還流管及びメカニカル撹拌機を取り付けた300mL三口反応容器に、3,5−ジブロモ安息香酸クロリド(15.0g)と3−フェニルベンゾニトリル(18.0g)を取り、クロロホルム(50mL)を加えた。得られた溶液を0℃に冷却し、5塩化アンチモン(15.1g)を滴下した。混合物を室温で1時間、70℃で6時間還流した。得られた濃赤色の懸濁液を0℃に冷却し、28%アンモニア水溶液(70mL)を加えた。乳白色懸濁液を室温で1時間撹拌した後、クロロベンゼン(150mL)を加え、油浴を用いてゆっくり140℃まで加熱し、有機溶媒(130mL)と水(46mL)を留去した。クロロベンゼン(50mL)を加え、130℃で加熱ろ過した。ろ液を放冷後、メタノール(50mL)を加え、析出した固体をろ取し、メタノール(20mL×2)で洗浄した後、乾燥することで、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量13.9g、収率43%)を得た。HPLCより、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの含有率は97.4%であった。
【0092】
上記加熱ろ過においてろ別した不溶物に対しクロロベンゼン(50mL×2)を用いて同様の抽出操作を行うことで、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量1.30g、収率4.3%)を得た。HPLCより、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの含有率は98.0%であった。
【0093】
実施例11
2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの合成
アルゴン気流下、還流管及びメカニカル撹拌機を取り付けた300mL三口反応容器に、3,5−ジブロモ安息香酸クロリド(15.0g)と3−フェニルベンゾニトリル(18.0g)を取り、クロロベンゼン(100mL)を加えた。得られた溶液を0℃に冷却し、5塩化アンチモン(15.1g)を滴下し、室温で1時間、さらに100℃で2時間還流した。得られた濃赤色の懸濁液を0℃に冷却し、28%アンモニア水溶液(70mL)を加えた。乳白色懸濁液を室温で30分間撹拌した後、クロロベンゼン(50mL)を加え、油浴を用いてゆっくり140℃まで加熱し、有機溶媒(130mL)と水(42mL)を留去した。クロロベンゼン(80mL)を加え、130℃で加熱ろ過した。ろ液を放冷後、実施例10と同様の操作を行うことで、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量14.6g、収率47%)を得た。HPLCより、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの含有率は97.4%であった。
【0094】
また、上記加熱ろ過においてろ別した不溶物に対し実施例10と同様の操作を行うことで、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量1.40g、収率4.6%)を得た。HPLCより、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの含有率は95.6%であった。
【0095】
実施例12
2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの合成
アルゴン気流下、還流管及びメカニカル撹拌機を取り付けた3L三口反応容器に、3,5−ジブロモ安息香酸クロリド(150g)と3−フェニルベンゾニトリル(180g)を取り、クロロベンゼン(1.0L)を加えた。得られた溶液を0℃に冷却し、5塩化アンチモン(151g)を滴下し、室温で1時間、さらに100℃で2時間撹拌した。得られた濃赤色の懸濁液を0℃に冷却し、28%アンモニア水溶液(700mL)を加えた。乳白色懸濁液を室温で30分間撹拌した後、クロロベンゼン(500mL)を加え、油浴を用いてゆっくり140℃まで加熱し、有機溶媒(1.1L)と水(400mL)を留去した。クロロベンゼン(600mL)を加え、130℃で加熱ろ過した。ろ液を放冷後、メタノール(500mL)を加えた。析出した固体をろ取し、メタノール(200mL×2)で洗浄した後、乾燥することで、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量103g、収率33%)を得た。HPLCより、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの含有率は97.7%であった。
【0096】
また、上記加熱ろ過においてろ別した不溶物に対しクロロベンゼン(500mL)を用いて同様の操作を行うことで、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量17.7g、収率5.7%)を得た。HPLCより、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの含有率は97.7%であった。
【0097】
実施例13
2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの合成
アルゴン気流下、還流管及びメカニカル撹拌機を取り付けた3L三口反応容器に、3,5−ジブロモ安息香酸クロリド(225g)と3−フェニルベンゾニトリル(270g)を取り、クロロベンゼン(1.1L)を加えた。得られた溶液を0℃に冷却し、5塩化アンチモン(227g)を滴下し、室温で1時間、さらに100℃で2時間撹拌した。得られた濃赤色の懸濁液を−20℃に冷却し、28%アンモニア水溶液(1.0L)を加えた。乳白色懸濁液を室温で30分間撹拌した後、油浴を用いてゆっくり140℃まで加熱し、有機溶媒(335mL)と水(165mL)を留去した。クロロベンゼン(500mL)を加え、さらに有機溶媒(665mL)と水(225mL)を留去した。クロロベンゼン(900mL)を加え、130℃で加熱ろ過した。ろ液を放冷後、メタノール(750mL)を加えた。析出した固体をろ取し、メタノール(300mL×2)で洗浄した後、乾燥することで、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量218g、収率47%)を得た。HPLCより、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの含有率は97.3%であった。
【0098】
また、上記加熱ろ過においてろ別した不溶物に対しクロロベンゼン(750mL)を用いて同様の抽出操作を行うことで、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量34.1g、収率7.3%)を得た。HPLCより、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの含有率は97.8%であった。
【0099】
実施例14
2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの合成
アルゴン気流下、還流管及びメカニカル撹拌機を取り付けた3L三口反応容器に、3,5−ジブロモ安息香酸クロリド(225g)と3−フェニルベンゾニトリル(270g)を取り、クロロベンゼン(1.1L)を加えた。得られた溶液を0℃に冷却し、5塩化アンチモン(227g)を滴下し、室温で1時間、さらに100℃で2時間撹拌した。得られた濃赤色の懸濁液を−20℃に冷却し、28%アンモニア水溶液(1.0L)を加えた。乳白色懸濁液を室温で30分間撹拌した後、油浴を用いてゆっくり140℃まで加熱した。クロロベンゼン(2.0L)を逐次加えながら有機溶媒(1.6L)と水(560mL)を留去した後、大気下、100℃で12時間加熱撹拌した。クロロベンゼン(1.0L)と水(100mL)を加え、130℃で加熱ろ過し、不溶物を除いた。ろ液を放冷後、メタノール(750mL)を加えた。析出した固体をろ取し、メタノール(300mL×2)で洗浄した後、乾燥することで、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量141g、収率30%)を得た。HPLCより、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの含有率は96.5%であった。
【0100】
また、上記加熱ろ過においてろ別した不溶物に対しクロロベンゼン(750mL)を用いて同様の抽出操作を行うことで、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量82.2g、収率18%)を得た。HPLCより、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの含有率は97.0%であった。
【0101】
実施例15
2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの合成
アルゴン気流下、還流管及びメカニカル撹拌機を取り付けた500mL三口反応容器に、3,5−ジブロモ安息香酸クロリド(22.5g)と3−フェニルベンゾニトリル(27.0g)を取り、クロロベンゼン(200mL)を加えた。得られた溶液を0℃に冷却し、5塩化アンチモン(22.7g)を滴下した、室温で1時間、さらに100℃で2時間撹拌した。得られた濃赤色の懸濁液を−20℃に冷却し、−20℃に冷却した28%アンモニア水溶液(100mL)を20分かけて滴下した。乳白色懸濁液を室温で30分間撹拌した後、クロロベンゼン(70mL)を加え、油浴を用いてゆっくり140℃まで加熱し、有機溶媒(80mL)と水(40mL)を留去した。この混合物を130℃で加熱ろ過した。ろ液を放冷後、メタノール(100mL)を加えた。析出した固体をろ取し、メタノール(30mL×2)で洗浄した後、乾燥することで、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量23.9g、収率51%)を得た。HPLCより、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの含有率は96.7%であった。
【0102】
上記加熱ろ過においてろ別した不溶物に対しクロロベンゼン(75mL)を用いて同様の抽出操作を行うことで、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量800mg、収率2.0%)を得た。HPLCより、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの含有率は95.9%であった。
【0103】
実施例16
2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの合成
アルゴン気流下、還流管及びメカニカル撹拌機を取り付けた500mL三口反応容器に、3,5−ジブロモ安息香酸クロリド(22.5g)と3−フェニルベンゾニトリル(27.0g)を取り、クロロベンゼン(200mL)を加えた。得られた溶液を0℃に冷却し、5塩化アンチモン(22.7g)を滴下し、室温で1時間、さらに100℃で2時間撹拌した。得られた濃赤色の懸濁液を0℃に冷却し、−20℃に冷却した28%アンモニア水溶液(100mL)に30分かけて滴下した。反応容器をクロロベンゼン(60mL)で洗浄し、洗液も同様にアンモニア水溶液へ滴下した。乳白色懸濁液を室温で30分間撹拌した後、油浴を用いてゆっくり140℃まで加熱し、有機溶媒(110mL)と水(36mL)を留去した。この混合物を130℃で加熱ろ過した。ろ液を放冷後、メタノール(100mL)を加えた。析出した固体をろ取し、メタノール(30mL×2)で洗浄した後、乾燥することで、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量23.8g、収率51%)を得た。HPLCより、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの含有率は95.6%であった。
【0104】
また、上記加熱ろ過においてろ別した不溶物に対しクロロベンゼン(75mL)を用いて同様の抽出操作を行うことで、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量1.30g、収率2.8%)を得た。HPLCより、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの含有率は94.8%であった。
【0105】
実施例17
2−(3,5−ジブロモ−4−メチルフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの合成
【0106】
【化20】

【0107】
アルゴン気流下、還流管及びメカニカル撹拌機を取り付けた300mL三口反応容器に、3,5−ジブロモ−p−トルイル酸クロリド(15.6g)と3−フェニルベンゾニトリル(18.0g)を取り、クロロベンゼン(100mL)を加えた。得られた溶液を0℃に冷却し、5塩化アンチモン(15.0g)を滴下し、室温で30分、さらに100℃で2時間撹拌した。得られた濃赤色の懸濁液を−20℃に冷却し、28%アンモニア水溶液(80mL)を加えた。乳白色懸濁液を室温で1時間撹拌した後、クロロベンゼン(100mL)を加え、油浴を用いてゆっくり140℃まで加熱し、有機溶媒(126mL)と水(50mL)を留去した。クロロベンゼン(50mL)を加え、130℃で加熱ろ過した。ろ液を放冷後、メタノール(100mL)を加えた。析出した固体をろ取し、メタノール(30mL×2)で洗浄した後、乾燥することで、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量9.90g、収率31%)を得た。
【0108】
また、上記加熱ろ過においてろ別した不溶物に対しクロロベンゼン(100mL)を用いて同様の抽出操作を行うことで、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量3.50g、収率11%)を得た。
【0109】
H−NMR(CDCl):δ2.73(S,3H),7.47(t,J=7.4Hz,2H),7.57(m,4H),7.71(t,J=7.7Hz,2H),7.79(d,J=7.2Hz,4H),7.89(d,J=7.7Hz,2H),8.78(brd,J=7.7Hz,2H),8.91(s,2H),9.00(brs,2H).
13C−NMR(CDCl):δ24.0(CH),125.6(quart.×2),127.4(CH×4),127.7(CH×4),128.0(CH×2),129.0(CH×4),129.2(CH×2),131.6(CH×2),132.2(CH×2),136.5(quart.×2),139.8(quart.)140.7(quart.×2),141.8(quart.×2),141.9(quart.),169.9(quart.)172.0(quart.×2).
実施例18
2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(1−ナフチル)−1,3,5−トリアジンの合成
【0110】
【化21】

【0111】
3,5−ジブロモベンゾイルクロリド(2.98g)と1−ナフトニトリル(3.06g)をクロロホルム(30mL)に溶解し、0℃に冷却した後、5塩化アンチモン(2.99g)を滴下した。混合物を室温で10分間攪拌後、22時間還流した。室温まで冷却後、クロロホルムを減圧下留去し、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(1−ナフチル)−1,3,5−オキサジアジン−1−イウム=ヘキサクロロアンチモン酸を赤色固体として得た。
【0112】
得られた赤色固体を0℃に冷却した28%アンモニア水溶液(100mL)に徐々に加えると白色固体が生成した。これを室温で1時間攪拌し、ろ過後、得られた白色固体を水、メタノールで洗浄した。白色固体を乾燥後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液 ヘキサン:クロロホルム=3:1〜1:1)で精製後、ジクロロメタン−メタノールで再結晶し、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(1−ナフチル)−1,3,5−トリアジンの白色固体(収量1.73g、収率29%)を得た。
【0113】
H−NMR(CDCl):δ7.60(ddd,J=8.0Hz,6.8Hz,1.2Hz,2H),7.65(ddd,J=8.6Hz,6.8Hz,1.5Hz,2H),7.69(dd,J=8.1Hz,7.4Hz,2H),7.92(t,J=1.8Hz,1H),7.99(brd,J=8.0Hz,2H),8.11(brd,J=8.1Hz,2H),8.58(dd,J=7.4Hz,1.3Hz,2H),8.84(d,J=1.8Hz,2H),9.16(brd,J=8.6Hz,2H).
13C−NMR(CDCl):δ123.6,125.2,125.9,126.3,127.5,128.8,130.7,131.1,131.3,132.8,133.3,134.3,137.8,139.7,168.9,174.5.
実施例19
2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(2−ナフチル)−1,3,5−トリアジンの合成
【0114】
【化22】

【0115】
アルゴン気流下、還流管及びメカニカル撹拌機を取り付けた300mL三口反応容器に、3,5−ジブロモ−p−トルイル酸クロリド(19.9g)と2−シアノナフタレン(20.4g)を取り、クロロベンゼン(180mL)を加えた。得られた溶液を0℃に冷却し、5塩化アンチモン(19.9g)を滴下し、室温で30分、さらに100℃で2時間撹拌した。得られた暗赤色の懸濁液を−20℃に冷却し、28%アンモニア水溶液(100mL)を加えた。乳白色懸濁液を室温で1時間撹拌した後、油浴を用いてゆっくり140℃まで加熱し、有機溶媒(70mL)と水(30mL)を留去した。放冷後、ろ過し、得られた固体をクロロベンゼン(100mL)に懸濁させた。懸濁液を130℃で加熱ろ過し、不溶物を除いた。クロロベンゼン(100mL)を用いてさらに3回、同様の抽出操作を繰り返した。放冷後、ろ液を合わせ、メタノール(400mL)を加えた。析出した固体をろ取し、メタノール(30mL×2)で洗浄した後、乾燥することで、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(2−ナフチル)−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量7.90g、収率14%)を得た。さらに、加熱ろ過で得られた不溶物をソックスレー抽出機(溶媒:クロロホルム)で抽出することで、2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(2−ナフチル)−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量5.40g、収率9.5%)を得た。
【0116】
H−NMR(CDCl):δ7.60−7.69(m,4H),7.94(s,1H),7.98(d,J=7.8Hz,2H),8.06(d,J=8.6Hz,2H),8.17(d,J=7.8Hz,2H),8.83(d,J=8.6Hz,2H),8.90(s,2H),9.34(s,2H).
参考例1
2−[5−クロロ−4’−(2−ピリジル)−1,1’−ビフェニル−3−イル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジンの合成
【0117】
【化23】

【0118】
アルゴン気流下、2−(4−ブロモフェニル)ピリジン(350mg)をテトラヒドロフラン(20mL)に溶解し、−78℃に冷却した。ここにブチルリチウム(1.65mmol)を含むヘキサン溶液(1.04mL)をゆっくり加え、この温度で30分間撹拌した。ジクロロ(テトラメチルエチレンジアミン)亜鉛(454mg)を加え、−78℃で10分間撹拌後、室温で1.5時間攪拌した。ここに実施例2で得た2−(3−ブロモ−5−クロロフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(350mg)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(46mg)を加え、18時間加熱還流した。放冷後、反応溶液を減圧濃縮し、得られた固体をジクロロメタン−メタノールで再結晶した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:クロロホルム=50:50〜0:100)で精製後、再度ジクロロメタン−メタノールで再結晶し、2−[5−クロロ−4’−(2−ピリジル)−1,1’−ビフェニル−3−イル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジンの白色固体(収量339mg、収率68%)を得た。
【0119】
H−NMR(CDCl):δ7.28−7.32(m,1H),7.59−7.67(m,2H),7.62(d,J=7.6Hz,4H),7.81−7.87(m,2H),7.85(d,J=8.3Hz,2H),7.88(brs,1H),8.20(d,J=8.3Hz,2H),8.74(brs,1H),8.75−8.80(m,1H),8.80(d,J=7.6Hz,4H),8.94(brs,1H).
13C−NMR(CDCl):δ120.6,122.4,125.9,127.6,127.7,127.8,128.8,129.1,130.9,132.8,135.4,136.0,136.9,138.6,139.3,140.0,142.4,149.9,156.8,171.5,172.0.
参考例2
2−{4−(2−ピリジル)−[1,1’:3’,1’’]−テルフェニル−5’−イル}−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジンの合成
【0120】
【化24】

【0121】
アルゴン気流下、フェニルボロン酸(73mg)、トリス(ジベンザルアセトン)ジパラジウム錯体(5.8mg)および2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(12mg)を1,4−ジオキサン(15mL)に懸濁し、3規定リン酸カリウム水溶液(0.6mL)を加え、10分間室温で攪拌した。この混合物に、参考例1で得た2−[5−クロロ−4’−(2−ピリジル)−1,1’−ビフェニル−3−イル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(149mg)を加え、110℃で48時間加熱還流した。放冷後、反応溶液を減圧濃縮し、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:クロロホルム=50:50〜0:100)で精製後、ジクロロメタン−メタノールで再結晶し、2−{4−(2−ピリジル)−[1,1’:3’,1’’]−テルフェニル−5’−イル}−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジンの白色固体(収量162mg、収率>99%)を得た。
【0122】
H−NMR(CDCl):δ7.28−7.32(m,1H),7.49(brt,J=7.4Hz,1H),7.56−7.72(m,8H),7.80−7.89(m,2H),7.85(d,J=8.5Hz,2H),7.95(d,J=8.3Hz,2H),8.12(brs,1H),8.22(d,J=8.3Hz,2H),8.79(brd,J=4.5Hz,1H),8.83(d,J=8.2Hz,4H),9.02(brs,1H),9.06(brs,1H).
13C−NMR(CDCl):δ120.5,122.3,126.7,126.9,127.5,127.6,127.8,128.7,129.0,129.1,130.1,132.6,136.2,136.9,137.5,138.8,140.9,141.4,141.7,142.5,149.9,157.0,171.6,171.8.
参考例3
2−[4,4’’’’−ビス(2−ピリジル)−[1,1’:4’,1’’:3’’,1’’’:4’’’,1’’’’]−キンクフェニル−5’’−イル]−4,6−ビス(m−トリル)−1,3,5−トリアジンの合成
【0123】
【化25】

【0124】
アルゴン気流下、4−ブロモ−4’−(2−ピリジル)ビフェニル(1.32g)を−78℃に冷却したテトラヒドロフラン(120mL)に溶解し、ブチルリチウム(4.5mmol)を含むヘキサン溶液(2.9mL)をゆっくり加えた。−78℃で20分間攪拌した後、ジクロロ(テトラメチルエチレンジアミン)亜鉛(1.29g)を加え、−78℃で10分間、次いで室温で2時間攪拌した。この溶液に、実施例4で得た2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(m−トリル)−1,3,5−トリアジン(700mg)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(35mg)を加え、14時間加熱還流下で攪拌した。反応溶液を減圧濃縮し、得られた固体をジクロロメタン−メタノールで再結晶した。得られた粗成生物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液 ヘキサン:クロロホルム=1:1〜クロロホルム)で精製後、トルエンで再結晶し、目的の2−[4,4’’’’−ビス(2−ピリジル)−[1,1’:4’,1’’:3’’,1’’’:4’’’,1’’’’]−キンクフェニル−5’’−イル]−4,6−ビス(m−トリル)−1,3,5−トリアジンの白色固体(収量970mg、収率86%)を得た。
【0125】
H−NMR(CDCl):δ2.55(s,6H),7.24−7.29(m,2H),7.43−7.47(m,2H),7.50(dd,J=7.5Hz,7.5Hz,2H),7.76−7.84(m,4H),7.84(d,J=8.3Hz,4H),7.87(d,J=8.3Hz,4H),7.93(d,=8.3Hz,4H),8.12−8.17(m,1H),8.15(d,J=8.3Hz,4H),8.61(s,2H),8.63(d,J=7.5Hz,2H),8.74(brd,J=4.6Hz,2H),9.04(d,J=1.7Hz,2H).
13C−NMR(CDCl):δ21.7,120.5,122.2,126.4,126.7,127.5,127.7,128.0,128.7,129.5,129.9,133.5,136.3,136.8,137.7,138.4,138.6,140.0,140.1,141.1,141.9,149.8,157.1,171.6,172.0.
参考例4
2,4−ビス(ビフェニル−3−イル)−6−[4,4’’−ビス(2−ピリジル)−[1,1’:3’,1’’]−テルフェニル−5’−イル]−1,3,5−トリアジンの合成
【0126】
【化26】

【0127】
アルゴン気流下、2−(4−ブロモフェニル)ピリジン(1.38g)をテトラヒドロフラン(100mL)に溶解し、−78℃に冷却した。ここにブチルリチウム(6.30mmol)を含むヘキサン溶液(3.99mL)をゆっくり加え、この温度で30分間撹拌した。ジクロロ(テトラメチルエチレンジアミン)亜鉛(1.82g)を加え、−78℃で10分間撹拌後、室温で1.5時間攪拌した。ここに実施例9で得た2−(3,5−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジン(1.24g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(185mg)を加え、18時間加熱還流した。放冷後、反応溶液を減圧濃縮し、得られた固体をジクロロメタン−メタノールで再結晶した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:クロロホルム=50:50〜0:100)で精製後、熱トルエンから再結晶し、2,4−ビス(ビフェニル−3−イル)−6−[4,4’’−ビス(2−ピリジル)−[1,1’:3’,1’’]−テルフェニル−5’−イル]−1,3,5−トリアジンの白色固体(収量1.08g、収率70%)を得た。
【0128】
H−NMR(CDCl):δ7.30−7.35(m,2H),7.43−7.49(m,2H),7.56(dd,J=7.8Hz,7.6Hz,4H),7.72(dd,J=7.7Hz,7.7Hz,2H),7.80(d,J=7.8Hz,4H),7.82−7.93(m,6H),7.98(d,J=8.3Hz,4H),8.21(t,J=1.7Hz,1H),8.23(d,J=8.3Hz,4H),8.79(d,J=4.9Hz,2H),8.83(d,J=7.7Hz,2H),9.09(s,2H),9.10(d,J=1.7Hz,2H).
13C−NMR(CDCl):δ120.6,122.3,126.9,127.4,127.6,127.7,127.8,127.8,128.1,129.0,129.3,130.1,131.4,136.8,136.9,137.6,138.9,140.8,141.3,141.8,141.9,149.9,157.0,171.7,171.9.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

(式中、R、R及びRは、各々独立して水素原子又はメチル基を表す。Xは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。Arは、置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。)
で示される3,5−ジハロ置換フェニル基を有する1,3,5−トリアジン化合物。
【請求項2】
及びRが、水素原子であることを特徴とする請求項1に記載の1,3,5−トリアジン化合物。
【請求項3】
Xが、塩素原子又は臭素原子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の1,3,5−トリアジン化合物。
【請求項4】
Arが、置換されていてもよいフェニル基又は置換されていてもよいナフチル基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の1,3,5−トリアジン化合物。
【請求項5】
一般式(2)
【化2】

(式中、R、R及びRは、各々独立して水素原子又はメチル基を表す。Xは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。Arは、置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Yは対アニオンを表す。)
で示されるオキソニウム塩とアンモニア源を反応させることを特徴とする一般式(1)
【化3】

(式中、R、R、R、X及びArは、前記と同じである。)
で示される3,5−ジハロ置換フェニル基を有する1,3,5−トリアジン化合物の製造方法。
【請求項6】
一般式(3)
【化4】

(式中、R、R及びRは、各々独立して水素原子又はメチル基を表す。Xは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。)
で示される酸塩化物と一般式(4)
【化5】

(式中、Arは、置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。)
で示される芳香族ニトリルとをルイス酸の存在下に反応させ、一般式(2)
【化6】

(式中、R、R、R、X及びArは、前記と同じである。Yは対アニオンを表す。)
で示されるオキソニウム塩を得、次いでアンモニア源と反応させることを特徴とする一般式(1)
【化7】

(式中、R、R、R、X及びArは、前記と同じである。)
で示される3,5−ジハロ置換フェニル基を有する1,3,5−トリアジン化合物の製造方法。
【請求項7】
アンモニア源が、アンモニア水溶液であることを特徴とする請求項5又は6に記載の1,3,5−トリアジン化合物の製造方法。
【請求項8】
ルイス酸が、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、塩化錫又は塩化アンチモンであることを特徴とする請求項6に記載の1,3,5−トリアジン化合物の製造方法。
【請求項9】
一般式(3)
【化8】

(式中、R、R及びRは、各々独立して水素原子又はメチル基を表す。Xは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。)
で示される酸塩化物と一般式(4)
【化9】

(式中、Arは、置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。)
で示される芳香族ニトリルとをルイス酸の存在下に反応させることを特徴とする一般式(2)
【化10】

(式中、R、R、R、X及びArは、前記と同じである。Yは対アニオンを表す。)
で示されるオキソニウム塩の製造方法。
【請求項10】
ルイス酸が、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、塩化錫又は塩化アンチモンであることを特徴とする請求項9に記載のオキソニウム塩の製造方法。

【公開番号】特開2010−95452(P2010−95452A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−265254(P2008−265254)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【出願人】(000173762)財団法人相模中央化学研究所 (151)
【Fターム(参考)】